説明

データベース管理システム、データベース管理方法及びデータベース管理プログラム

【課題】効率的にデータの検索を行なうことができるデータベース管理システム、データベース管理方法及びデータベース管理プログラムを提供する。
【解決手段】検索要求においてタクソノミ利用希望がある場合、データベース管理サーバ20の制御部21は、キーワードが記録されたタクソノミデータの下位分類を特定する。この場合、最下位のタクソノミデータを取得するまで検索を繰り返す。そして、最下位のタクソノミデータを取得した場合、リーフメタデータのグループを特定し、実データが記録されたカラムを取得する。次に、制御部21は、このリーフメタデータに関連付けられた付加属性を取得し、この属性を変換するための変換係数を特定する。そして、制御部21は、データベース25から実データを取得し、変換係数を用いて変換して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベースを検索するためのデータベース管理システム、データベース管理方法及びデータベース管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、データウェアハウスのような多様化した大量なデータを保持するデータベースにおいて、リレーショナルデータベースが利用されることがある。このリレーショナルデータベースでは、関係モデルと呼ばれる概念に基づいてデータを扱う。そして、リレーショナルデータベースでは、データにカラム(列)とレコード(行)が与えられ、各テーブル(表)の中に配置して整理されている。それぞれのカラムやレコードを中心にデータを整理し直すことで、データの抽出操作を容易にすることができる。このリレーショナルデータベースを操作・管理するためのシステムは、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)と呼ばれる。
【0003】
このようなデータベースからデータを抽出する場合、データベースのプログラム仕様書を参照して、データの格納場所や、このデータの仕様を特定しなければならない。例えば、データベースに記録されたテーブルにおいて、特定のデータ種類のカラムだけを参照する場合、仕様書に記述されたカラムのデータ種類を利用して、カラム指定のSQL文をプログラミングを行ない、データの検索を行なっていた。この場合、プログラミングにおいてカラム名称を直接指定するか、データベースのView機能により、参照したいデータを特定する必要がある。
【0004】
前者の手法では、SQL文において複数のカラムを指定しなければならないため、面倒である。また、カラムを追加した場合など、SQL文を修正しなければならず、フレキシブルな対応ができない。後者も同様に、複数のデータ種類単位でViewを作成する必要があり、作成負荷が発生する。このために、検索式の作成に手間がかかり、円滑な検索を行なうことができなかった。
【0005】
このようなデータベースにおける検索の利便性の向上のために、概念情報(メタデータ)を利用する技術も検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献記載の技術では、予め全体のデータベースシステムのメタ情報を管理する情報資源管理辞書に、ネットワークに接続されているデータベースシステムの情報収集のための基本的な管理情報を登録しておく。そして、情報資源管理制御システムは、情報収集のための基本的な情報により指定されたタイミングで個別データベースシステムのメタ情報や個別の情報資源ツールからメタ情報を収集し、収集されたメタ情報を情報資源管理辞書に反映させる。
【特許文献1】特開平10−91503号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようなデータウエアハウスにおいては、多くのデータが多様な形式で保存されている。このため、複数の異なる構造、データ名を持つデータベースをまとめて横断的に検索することが困難である。例えば、データマイニング等のようにデータの因果関係を検討する場合、カラム名とは無関係に特定種類のデータを抽出することができないため、作業効率の低下を招いていた。
【0007】
また、リレーショナルデータベースにおいて各テーブルに格納されたデータの分類を行
なう場合には、テーブルを分けて作成するか、テーブルのカラムに属性カラムをもたせて管理する必要がある。
【0008】
特許文献1に記載の技術においても、複数次元の分類を行なう場合には、分類のためのメタ情報が増えるとともに複雑なSQL文の作成の実行が必要となる。更に、分類属性のフレキシブルな変更も困難であった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、効率的にデータの検索を行なうことができるデータベース管理システム、データベース管理方法及びデータベース管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、上位タクソノミデータと下位タクソノミデータを関連付けて記録したメタ情報記憶手段と、最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータに対する実データを記録したデータベースと、実データの検索を実行する制御手段とを備えたデータベース管理システムであって、前記制御手段が、キーワードを含む検索要求を取得する検索要求取得手段、前記メタ情報記憶手段を用いて、前記キーワードについてのタクソノミデータを検索し、前記メタ情報記憶手段において、前記キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、前記上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得するタクソノミ検索手段、前記データベースから、前記取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力する検索結果出力手段を備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータベース管理システムにおいて、付加属性を変換するための変換テーブルを記録した変換情報記憶手段を更に備え、前記メタ情報記憶手段には、タクソノミデータに対して付加属性が関連付けられて記録されており、前記制御手段は、前記検索要求において、実データの出力時の出力形式を決定し、前記変換情報記憶手段に記録された変換テーブルを用いて、前記取得したリーフメタデータの付加属性を前記出力形式に変換して情報を出力する属性変換手段を更に備えたことを要旨とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記属性変換手段は、出力対象のリーフメタデータに付加属性が記録されていない場合には、前記メタ情報記憶手段を用いて、上位タクソノミデータを特定し、この上位タクソノミに関連付けられた付加属性を用いて出力形式に変換することを要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、上位タクソノミデータと下位タクソノミデータを関連付けて記録したメタ情報記憶手段と、最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータに対する実データを記録したデータベースと、実データの検索を実行する制御手段とを備えたデータベース管理システムを用いてデータベースを管理する方法であって、前記制御手段が、キーワードを含む検索要求を取得し、前記メタ情報記憶手段を用いて、前記キーワードについてのタクソノミデータを検索し、前記メタ情報記憶手段において、前記キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、前記上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得し、前記データベースから、前記取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力することを要旨とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、上位タクソノミデータと下位タクソノミデータを関連付けて
記録したメタ情報記憶手段と、最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータに対する実データを記録したデータベースと、実データの検索を実行する制御手段とを備えたデータベース管理システムを用いてデータベースを管理するプログラムであって、前記制御手段を、キーワードを含む検索要求を取得する検索要求取得手段、前記メタ情報記憶手段を用いて、前記キーワードについてのタクソノミデータを検索し、前記メタ情報記憶手段において、前記キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、前記上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得するタクソノミ検索手段、前記データベースから、前記取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力する検索結果出力手段として機能させることを要旨とする。
【0015】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、制御手段が、キーワードを含む検索要求を取得し、メタ情報記憶手段を用いて、キーワードについてのタクソノミデータを検索する。そして、メタ情報記憶手段において、キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得する。そして、データベースから、取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力する。これにより、利用者は、実データが格納されたデータベースやテーブル名を指定する必要がなく、キーワードを指定することにより、所望の実データを取得することができる。また、カラムの新たな追加や変更の場合にもタクソノミデータを変更すれば、このタクソノミデータを用いて対応するカラムからデータを取得することができる。特に、テーブル数やカラム数が多い場合には有効である。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、制御手段は、検索要求において、実データの出力時の出力形式を決定する。そして、変換情報記憶手段に記録された変換テーブルを用いて、取得したリーフメタデータの付加属性を出力形式に変換して情報を出力する。これにより、複数種類の実データを取得した場合にも、統一した属性(例えば、単位)を用いて出力を行なうことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、出力対象のリーフメタデータに付加属性が記録されていない場合には、メタ情報記憶手段を用いて、上位タクソノミデータを特定し、この上位タクソノミに関連付けられた付加属性を用いて出力形式に変換する。これにより、上位タクソノミデータと下位タクソノミデータの付加属性が共通する場合には、下位タクソノミデータの付加属性を省略することができる。従って、変換情報記憶手段の記憶容量を削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、効率的にデータの検索を行なうことができるデータベース管理システム、データベース管理方法及びデータベース管理プログラムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を、図1〜図6を用いて説明する。本実施形態では、データを管理するためのリレーショナルデータベースを検索する場合に用いるデータベース管理システム、データベース管理方法及びデータベース管理プログラムとして説明する。
【0020】
図1に示すように、クライアント端末10が、ネットワークを介してデータベース管理サーバ20に接続されている。
クライアント端末10は、データベースの検索を行なう利用者が用いるコンピュータ端
末であり、CPU、RAM、ROM等から構成された制御手段、HDD等の記憶手段、通信手段、ディスプレイ等の表示手段、キーボードやポインティングデバイス等の入力手段等を備える。
【0021】
このクライアント端末10に接続されたデータベース管理サーバ20は、データベースを管理するコンピュータサーバである。このデータベース管理サーバ20は、CPU、RAM、ROM等から構成された制御部21を備える。この制御部21は、後述する処理(分類登録段階、DB検索段階、タクソノミ検索段階、属性変換段階等を含む処理)を行なう。このためのデータベース管理プログラムを実行することにより、制御部21は、メタデータ登録手段211、DB検索手段212、タクソノミ検索手段213、属性変換手段214等として機能する。
【0022】
メタデータ登録手段211は、クライアント端末10から受信したデータ(分類データや実データのカラム特定データ等)に基づいて、後述するメタデータ記憶部22に対して、分類属性(タクソノミデータ)やその親子関係(上位や下位)の登録を行なう。更に、このタクソノミデータに関連付けて、DBカラム特定データや付加属性をメタデータ記憶部22に登録する。
【0023】
DB検索手段212は検索要求取得手段や検索結果出力手段として機能し、クライアント端末10からの検索要求に応じて、データベースの検索を行なう。そして、クライアント端末10に対して検索結果を出力する。
【0024】
タクソノミ検索手段213は、クライアント端末10からの要求に応じて、タクソノミデータを用いて分類を特定する。
属性変換手段214は、タクソノミデータに関連付けられた付加属性を用いて、実データの属性を変換するための係数を取得する。
【0025】
更に、データベース管理サーバ20は、メタ情報記憶手段としてのメタデータ記憶部22、変換情報記憶手段としての変換テーブル記憶部23、データベース25を備える。
メタデータ記憶部22には、図2に示すように、データベース25を用いてタクソノミを利用した検索を行なう場合に用いるメタデータ220が記録される。このメタデータ220は、メタデータ登録手段211によって登録される。メタデータ220は、DBカラム特定データとタクソノミデータとを含んで構成される。
【0026】
DBカラム特定データは、後述する最下位タクソノミデータに関連付けられたリーフメタデータが記録される。更に、各リーフメタデータに対応して、データベース25において実データの格納場所(カラム)を特定するためのデータ(カラム識別子)に関するデータが記録される。
【0027】
タクソノミデータは、実データの内容を分類するためのデータである。本実施形態においては、このタクソノミデータは、上位分類(上位タクソノミデータ)から下位分類(下位タクソノミデータ)に複数の階層から構成されている。例えば、図3に示すように、上位分類のタクソノミデータ221aとしての「材料」に対して、下位分類のタクソノミデータ221bとしての「ガス」、「薬液」、「基板」等が関連付けられている。そして、最下位分類(最下位タクソノミデータ)であるタクソノミデータ221bとしての「ガス」に対してはリーフメタデータ221nとして「二窒化酸素ガス」、「アルゴンガス」等が関連付けられている。
【0028】
更に、各タクソノミデータには、付加属性に関するデータを関連付けて記録できるデータフィールドが設けられている。本実施形態では、この付加属性として、「時間フォーマ
ット」、「文字コード」、「単位」等から構成されている。「時間フォーマット」フィールドには、年月日時刻のデータフォーマットやタイムゾーンを特定するためのデータが記録される。「文字コード」フィールドには、「EUC」、「JIS」、「ASCII」、「UNICODE」等のように、文字と各文字に割り当てられたバイト表現との関係を表わすコード体系を示すデータが記録される。「単位」フィールドには、実データに用いられた単位を特定するためのデータが記録される。
【0029】
ここで、上位分類に関連付けられた付加属性は下位分類に継承される。例えば、下位分類のタクソノミデータ221bの分類「薬液」のように、文字コードに関する付加属性が記録されていない場合、上位分類のタクソノミデータ221aの付加属性「UTF−8」が承継される。
【0030】
変換テーブル記憶部23には、実データに用いられている付加属性(例えば、単位)を他の属性に変換するための変換テーブルが記録されている。この変換テーブルには、任意の属性を他の属性に変換するための変換係数に関するデータが記録されている。
【0031】
データベース25には、複数のカラムから構成されたテーブルが記録されているリレーショナルデータベースである。本実施形態では、カラム識別子によって特定されるカラムに、リーフメタデータに対応する実データ(例えば、時系列データ)が記録される。
【0032】
次に、上記のようなシステムを用いて、データベース検索を行なう場合の処理手順を説明する。ここでは、タクソノミ登録処理、データ取得処理(図4)、タクソノミ利用処理(図5)、属性変換係数取得処理(図6)に分けて説明する。
【0033】
(タクソノミ登録処理)
まず、タクソノミ登録処理を説明する。ここでは、利用者が、クライアント端末10を用いて、タクソノミの登録を行なう場合を想定する。この場合、まず、利用者はクライアント端末10からデータベース管理サーバ20にアクセスする。
【0034】
クライアント端末10は、データベース管理サーバ20からメニュー画面を取得する。このメニュー画面には、タクソノミの分類の登録や編集を要求するためのタクソノミ登録要求機能、データベース検索を要求するための検索条件設定機能を備える。ここで、タクソノミ登録要求機能が選択された場合には、クライアント端末10は、分類登録編集要求をデータベース管理サーバ20に送信する。
【0035】
この場合、データベース管理サーバ20の制御部21のメタデータ登録手段211は、メタデータ記憶部22からメタデータ220を取得し、タクソノミデータを一覧表示させるための分類編集画面データを生成する。各分類には、付加属性データやカラム特定データが関連付けられている。そして、メタデータ登録手段211は、分類編集画面データをクライアント端末10に送信する。
【0036】
クライアント端末10は、分類編集画面をディスプレイに出力する。この分類編集画面において、新規分類の作成、既存の分類の削除、各分類の関連付けの変更、新規カラム特定データの設定、既存のカラム特定データの削除や変更等を行なうことができる。
【0037】
分類編集画面において編集を完了した場合、クライアント端末10は、メタデータ登録要求を送信する。このメタデータ登録要求には、分類編集画面において編集されたメタデータを含める。
【0038】
そして、データベース管理サーバ20の制御部21は、メタデータの検証処理を実行す
る。具体的には、制御部21のメタデータ登録手段211は、クライアント端末10において指定されたテーブルやカラムが存在しない場合等のように登録内容に不正がある場合にはエラーを出力する。そして、不正がない場合には、メタデータ登録手段211は、メタデータ220をメタデータ記憶部22に登録する。
【0039】
(データ取得処理)
次に、図4を用いて、データ取得処理を説明する。ここでは、利用者が、クライアント端末10を用いて、データベースの検索を行なう場合を想定する。検索を行なう場合、利用者はクライアント端末10からデータベース管理サーバ20にアクセスする。
【0040】
この場合、データベース管理サーバ20の制御部21は、検索条件取得処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、クライアント端末10のディスプレイに表示されたメニュー画面において検索条件設定機能が選択された場合には、クライアント端末10は、検索条件設定要求をデータベース管理サーバ20に送信する。
【0041】
検索条件設定要求を受信した制御部21のDB検索手段212は、クライアント端末10に対して、検索設定画面データを送信する。この場合、クライアント端末10は、検索設定画面をディスプレイに出力する。検索設定画面には、タクソノミ利用設定機能、検索条件設定機能を含む。タクソノミを利用する場合には、分類に用いられているキーワードを検索条件設定機能により設定する。一方、タクソノミを利用しない場合には、検索対象のカラム識別子を検索条件設定機能により設定する。そして、各設定欄への入力を完了した場合、クライアント端末10は、検索要求をデータベース管理サーバ20に送信する。この検索要求には、検索設定画面において設定された各データを含める。具体的には、タクソノミの利用を希望した場合には、タクソノミ利用コマンドを検索要求に含める。更に、検索条件設定欄において入力されたキーワードやカラム識別子に関するデータを含める。
【0042】
検索要求を受信したデータベース管理サーバ20の制御部21は、タクソノミ利用希望の有無の判定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21のDB検索手段212は、クライアント端末10から受信した検索要求におけるタクソノミ利用コマンドの有無を用いて判定する。
【0043】
検索要求にタクソノミ利用コマンドが含まれている場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、データベース管理サーバ20の制御部21は、後述するようにタクソノミデータ利用処理を実行する(ステップS1−3)。
【0044】
一方、検索要求にタクソノミ利用コマンドが含まれていない場合(ステップS1−2において「NO」の場合)、データベース管理サーバ20の制御部21は、タクソノミデータ利用処理をスキップする。
【0045】
そして、データベース管理サーバ20の制御部21は、対象カラムのデータ取得処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、タクソノミを利用した場合には、制御部21のDB検索手段212は、後述するようにタクソノミデータ利用処理において特定されたリーフメタデータに対応するカラムの実データを取得する。一方、タクソノミデータを利用しなかった場合には、DB検索手段212は、検索設定画面において設定された検索対象カラムを用いて実データを取得する。
【0046】
次に、データベース管理サーバ20の制御部21は、属性変換処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21のDB検索手段212は、後述するように属性変換手段214から変換係数を取得する。そして、DB検索手段212は、データベースか
ら取得した実データに対して、タクソノミデータに関連付けられた付加属性に対応する変換係数を用いて変換する。
【0047】
そして、データベース管理サーバ20の制御部21は、検索結果の出力処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21のDB検索手段212は、付加属性を変換した実データをクライアント端末10に提供する。
【0048】
(タクソノミ利用処理)
次に、図5を用いて、タクソノミ利用処理を説明する。
この処理では、データベース管理サーバ20の制御部21は、キーワード検索処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21のタクソノミ検索手段213は、メタデータ記憶部22を用いて、クライアント端末10から取得したキーワードが登録されたタクソノミデータを検索する。
【0049】
ここで、キーワードがメタデータ記憶部22に登録されていない場合(ステップS2−2において「NO」の場合)には、ステップS1−1のキーワード取得処理に戻る。
一方、キーワードがメタデータ記憶部22に登録されている場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、このデータベース管理サーバ20の制御部21は、下位分類の特定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21のタクソノミ検索手段213は、検索要求に含まれるキーワードが記録されたタクソノミデータに関連付けられた下位分類のタクソノミデータ(下位タクソノミデータ)を取得する。なお、複数の下位タクソノミデータが関連付けられている場合には、すべてのタクソノミデータを取得する。
【0050】
そして、データベース管理サーバ20の制御部21は、各下位タクソノミデータの階層判断処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21のタクソノミ検索手段213は、取得した下位タクソノミデータに関連付けられた下位分類の有無を確認する。
【0051】
下位分類が存在しているため、最下位タクソノミデータでないと判断した場合(ステップS2−4において「NO」の場合)には、データベース管理サーバ20の制御部21は、このタクソノミデータに関連付けられた更に下位の分類の特定処理を実行する(ステップS2−3)。このように、制御部21のタクソノミ検索手段213は、最下位タクソノミデータに達するまで、ステップS2−3、S2−4を繰り返す。
【0052】
一方、下位分類が存在していないため、最下位タクソノミデータであると判断した場合(ステップS2−4において「YES」の場合)には、データベース管理サーバ20の制御部21は、リーフメタデータのグループの特定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21のタクソノミ検索手段213は、最下位と判断されたすべてのタクソノミデータに関連付けられたリーフメタデータをメタデータ記憶部22から抽出し、制御部21のメモリに、リーフメタデータのグループとして仮記憶する。
【0053】
そして、データベース管理サーバ20の制御部21は、すべての検索対象の特定の完了判断処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21のタクソノミ検索手段213は、キーワードの関連付けられたすべてのタクソノミデータについて、リーフメタデータを特定できたかどうかについて確認する。ここで、リーフメタデータを特定していない分類が残っており、すべて検索対象の特定を完了していない場合(ステップS2−6において「NO」の場合)には、データベース管理サーバ20の制御部21は、この分類のタクソノミデータについてステップS2−3以降の処理を繰り返す。
【0054】
一方、すべてのリーフメタデータを特定し、すべて検索対象の特定を完了できた場合(ステップS2−6において「YES」の場合)、リーフメタデータのグループの出力処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21のタクソノミ検索手段213は、メモリに一時記憶したすべてのリーフメタデータをDB検索手段212に供給する。
【0055】
(属性変換係数取得処理)
次に、図6を用いて、属性変換係数取得処理を説明する。この処理は、前述したタクソノミデータ利用処理において特定されたリーフメタデータ毎に繰り返して実行される。
【0056】
ここでは、データベース管理サーバ20の制御部21は、タクソノミデータに関連付けられた付加属性の検索処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の属性変換手段214は、メタデータ記憶部22から、検索結果としてのリーフメタデータに関連付けられたタクソノミデータの付加属性を取得する。
【0057】
ここで、タクソノミデータに関連付けられた付加属性が登録されておらず、付加属性を取得できない場合(ステップS3−2において「NO」の場合)、データベース管理サーバ20の制御部21は、上位分類のタクソノミデータの検索処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の属性変換手段214は、各タクソノミデータに関連付けられている上位分類のタクソノミデータを検索する。そして、属性変換手段214は、不足していた付加属性が記録されているタクソノミデータを検出するまでステップS3−1〜S3−3を繰り返す。
【0058】
一方、付加属性を取得した場合(ステップS3−2において「YES」の場合)、データベース管理サーバ20の制御部21は、付加属性の仮記憶処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の属性変換手段214は、制御部21のメモリに、リーフメタデータに対応させて付加属性を仮記憶する。
【0059】
そして、すべてのリーフメタデータに対応する付加属性を取得した場合、データベース管理サーバ20の制御部21は、付加属性に応じて属性変換係数の特定処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、まず、制御部21の属性変換手段214は代表属性を決定する。本実施形態では、仮記憶された付加属性の中で、最も多く利用されている属性を代表属性として決定する。そして、属性変換手段214は、各リーフメタデータに関連付けられた各付加属性と代表属性との変換係数を変換テーブル記憶部23から取得し、各リーフメタデータに対応させて変換係数をDB検索手段212に供給する。
【0060】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
・ 上記実施形態では、データベース管理サーバ20は、メタデータ記憶部22を備える。このメタデータ記憶部22には、データベース25の検索を行なう場合に用いるメタデータ220が記録される。このメタデータ220は、タクソノミデータとDBカラム特定データとを含んで構成される。そして、タクソノミデータ利用処理においては、キーワードがメタデータ記憶部22に登録されている場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、このデータベース管理サーバ20の制御部21は、下位分類の特定処理を実行する(ステップS2−3)。このようにして、制御部21のタクソノミ検索手段213は、最下位のタクソノミデータに達するまで検索処理を繰り返す。そして、最下位タクソノミデータに関連付けられたリーフメタデータを用いて、実データが記録されたカラムを特定する。これにより、キーワードを入力するだけで、分類された実データを取得できる。従って、利用者は、上位分類を指定することにより、柔軟かつ効率的にデータベース検索を行なうことができる。また、この分類はデータ格納後にも設定することが可能であり、膨大なデータを効率的に整理することができる。
【0061】
・ 上記実施形態では、メタデータ記憶部22に記録された各タクソノミデータには、付加属性に関するデータが関連付けられている。これにより、データベースにおいて付加属性のためのカラム設定を省くことが可能であり、データ量を削減することができる。
【0062】
更に、変換テーブル記憶部23には、実データに用いられている付加属性(例えば、単位)を他の属性に変換するための変換テーブルが記録されている。そして、タクソノミデータに関連付けられた付加属性が登録されておらず、付加属性を取得できない場合(ステップS3−2において「NO」の場合)、データベース管理サーバ20の制御部21は、上位分類のタクソノミデータの検索処理を実行する(ステップS3−3)。そして、属性変換手段214は、不足していた付加属性が記録されているタクソノミデータを検出するまでステップS3−1〜S3−3を繰り返す。これにより、メタデータ記憶部22において、上位分類の付加属性を用いて、実データの付加属性を特定することができる。従って、共通する付加属性については、上位分類に記憶しておくことにより下位分類に承継されるため、メタデータ記憶部22のメモリ容量の削減を図ることができる。
【0063】
・ 上記実施形態では、すべてのリーフメタデータに対応する付加属性を取得した場合、データベース管理サーバ20の制御部21は、付加属性に応じて属性変換係数の特定処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の属性変換手段214は、仮記憶された付加属性の中で代表属性を決定し、各リーフメタデータに関連付けられた各付加属性と代表属性との変換係数を変換テーブル記憶部23から取得する。これにより、リーフメタデータによって特定されるグループにおいて、共通した付加属性を用いて、実データを出力することができる。特に、最も多く利用されている属性を代表属性として決定することにより、属性を変換すべき実データの数を削減することができるので、処理負荷を軽減することができる。
【0064】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
○ 上記実施形態では、上位分類のタクソノミデータ221aと下位分類のタクソノミデータ221bとを用いて説明したが、タクソノミデータの階層はこれに限定されるものではない。また、メタデータ記憶部22において、最上位分類から最下位分類までの階層数の異なる階層構造を混在させることも可能である。
【0065】
○ 上記実施形態では、属性変換係数取得処理において、最も多い付加属性を代表属性として決定する。代表属性の決定方法はこれに限定されるものではない。例えば、クライアント端末10において指定された代表属性を取得して、この代表属性と各付加属性とを用いて、各実データを変換するようにしてもよい。これにより、利用者が希望する属性を用いて出力することができる。
【0066】
○ 上記実施形態では、データベース25には、複数のカラムから構成された実データを記録した。ここで、データベース25には、複数のテーブルを記録しておくことも可能である。この場合には、メタデータ220のDBカラム特定データとして、リーフメタデータに対して、データベース25において実データの格納場所(テーブルやカラム)を特定するためのデータ(テーブル識別子やカラム識別子)に関するデータを記録しておく。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態のシステムの概略図。
【図2】メタデータ記憶部に記録されたメタデータの説明図。
【図3】タクソノミデータの階層構成及び付加属性の説明図。
【図4】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図5】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【図6】本発明の一実施形態の処理手順の説明図。
【符号の説明】
【0068】
10…クライアント端末、20…データベース管理サーバ、21…制御部、211…メタデータ登録手段、212…DB検索手段、213…タクソノミ検索手段、214…属性変換手段、22…メタデータ記憶部、23…変換テーブル記憶部、25…データベース、221a,221b…タクソノミデータ、221n…リーフメタデータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位タクソノミデータと下位タクソノミデータを関連付けて記録したメタ情報記憶手段と、
最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータに対する実データを記録したデータベースと、
実データの検索を実行する制御手段とを備えたデータベース管理システムであって、
前記制御手段が、
キーワードを含む検索要求を取得する検索要求取得手段、
前記メタ情報記憶手段を用いて、前記キーワードについてのタクソノミデータを検索し、
前記メタ情報記憶手段において、前記キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、前記上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得するタクソノミ検索手段、
前記データベースから、前記取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力する検索結果出力手段
を備えたことを特徴とするデータベース管理システム。
【請求項2】
付加属性を変換するための変換テーブルを記録した変換情報記憶手段を更に備え、
前記メタ情報記憶手段には、タクソノミデータに対して付加属性が関連付けられて記録されており、
前記制御手段は、
前記検索要求において、実データの出力時の出力形式を決定し、
前記変換情報記憶手段に記録された変換テーブルを用いて、前記取得したリーフメタデータの付加属性を前記出力形式に変換して情報を出力する属性変換手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータベース管理システム。
【請求項3】
前記属性変換手段は、出力対象のリーフメタデータに付加属性が記録されていない場合には、前記メタ情報記憶手段を用いて、上位タクソノミデータを特定し、この上位タクソノミに関連付けられた付加属性を用いて出力形式に変換することを特徴とする請求項2に記載のデータベース管理システム。
【請求項4】
上位タクソノミデータと下位タクソノミデータを関連付けて記録したメタ情報記憶手段と、
最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータに対する実データを記録したデータベースと、
実データの検索を実行する制御手段とを備えたデータベース管理システムを用いてデータベースを管理する方法であって、
前記制御手段が、
キーワードを含む検索要求を取得し、
前記メタ情報記憶手段を用いて、前記キーワードについてのタクソノミデータを検索し、
前記メタ情報記憶手段において、前記キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、前記上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得し、
前記データベースから、前記取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力することを特徴とするデータベース管理方法。
【請求項5】
上位タクソノミデータと下位タクソノミデータを関連付けて記録したメタ情報記憶手段と、
最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータに対する実データを記録したデータベースと、
実データの検索を実行する制御手段とを備えたデータベース管理システムを用いてデータベースを管理するプログラムであって、
前記制御手段を、
キーワードを含む検索要求を取得する検索要求取得手段、
前記メタ情報記憶手段を用いて、前記キーワードについてのタクソノミデータを検索し、
前記メタ情報記憶手段において、前記キーワードが上位タクソノミデータとして登録されている場合には、前記上位タクソノミデータに関連付けられている下位タクソノミデータの取得を繰り返すことにより特定した最下位タクソノミデータに対応するリーフメタデータを取得するタクソノミ検索手段、
前記データベースから、前記取得したすべてのリーフメタデータについての実データを抽出して出力する検索結果出力手段
として機能させることを特徴とするデータベース管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−110374(P2009−110374A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283342(P2007−283342)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【Fターム(参考)】