説明

データ伝送システムにおける受信データ転送制御装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、互いに離れた複数地点に散在するコンピュータや制御装置間を共通伝送路で相互に接続し、情報交換を行なう例えばデータ伝送システム、ローカルエリアネットワーク(以下、LANと称する)システム等における受信データの転送制御装置に係り、特に受信データの転送処理時間を大幅に短縮して、システム全体のデータ伝送速度の高速化を図り得るようにしたデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、工場自動化の進展に伴ない、コンピュータ、PC(プログラマブルコントローラ)、DCS(デジタル計装制御コントローラ)等のインテリジェント機器を、LANに接続してネットワーク化することで、製造指示・実績等の生産情報、製造プログラムデータやプロセス制御データ、監視データ等を、複数の各機器相互間で情報交換して分散制御とシステム全体の監視制御を行なう、高機能・高性能な連続プロセス制御システムが構築される傾向にある。しかも、このような連続プロセス制御システムにおいては、システム内の複数の各機器相互間で情報交換される監視制御データをシステム全体で共有することにより、これら共有データを用いて各機器毎での分散制御とシステム全体の監視制御とを効率よく行なう方式が採られている。
【0003】ところで、一般に、各機器相互間の情報交換にあっては、各機器が1台ずつ個別に他の機器を指定しながら情報を送信し、かつその受信確認を行なう1:1型のデータ伝送が採用されている。しかしながら、手順実行の煩雑さや処理スピードの遅れ等が問題となり、最近ではこの1:1型のデータ伝送方式に代わって、一斉同報通信または群同報通信、すなわち放送型によるデータ伝送方式が採用されるようになってきている。この放送型データ伝送方式では、各機器が周期的にデータを送信し、他の機器ではその周期的に到来する監視制御データを受信する。そして、監視制御データは、各機器共通の一意のメモリアドレスを持った共有メモリ(以下、コモンメモリと称する)に格納され、最新データに更新される。このようにして、高速で効率的なN:N型の情報交換が行なわれ、各機器毎の分散制御とシステム全体の監視制御が実現される。そして、このような方式を採用したものとしては、例えば“特公昭64−8501号「データ伝送システム」、“特願昭63−225904号「トークンパッシングバス方式を用いたネットワークシステム」、“特願昭62−225516号「データ伝送方式」等がある。以下、従来の連続プロセス制御システムに適用されるLANシステムの構成例について、図5R>5を用いて説明する。
【0004】図5において、本システムでは、共通伝送路Lに適宜な間隔をもって、例えば制御機器毎の複数のノード101 −10n が接続され、これらの各ノード101−10n には各々コモンメモリCMが内蔵されている。伝送路使用権をもったノードは、所定の時間以内に必要な情報を、一斉同報通信または群同報通信を行ない、所定時間経過する毎に次のノードに伝送路使用権を与える。このように、本システムは、トークンパッシング方式というメディアアクセス制御方式をとっている。
【0005】なお、図5では、ループ形ネットワークが構成されているが、このネットワークの形態には、その他に、各ノード101 −10n をバス状に接続するバス形、スター状に接続するスター形ネットワークがある。
【0006】また、このメディアアクセス制御方式には、ループ形ネットワークに適用されるIEEE802.5方式や、米国規格局ANSIで標準化されているFDDI方式があり、またバス形、スター形ネットワークに適用される米国電子電気技術者協会(IEEE)により標準化しているIEEE802.4方式がある。これらの方式は、いずれもトークンパッシング方式であり、トークンと呼ばれるフレームを各ノード間で受け渡すことによって送信権が順々に各ノードに受け渡され、同一時刻では、複数のノードが同時に送信権を獲得することはない。一方、トークンを受け渡されたノードでは、予め設定された時間内でデータを送信する。従って、各ノードは、ノード総数と各ノードの設定時間とから、自局がデータを送出するまでに待たねばならない最大時間を計算するこが可能であり、また順番に従って必ずデータを送信することができ、確定的な伝送路アクセスを行なうことが可能となる。
【0007】従って、図5に示すLANシステムでは、各ノード101 −10n が順番に周期的に、自身の出力データDATA1 −DATAn を挿入した図6に示すようなデータフレームを、他のノードへ一斉同報または群同報伝送を行なうこととなる。なお、図6において、PAはプリアンブル、SDはスタートデリミタ、FCはフレーム制御、DAは受信先アドレス、SAは送信元アドレス、DSAPは受信先アドレス識別子、SSAPは送信元アドレス識別子、Cは情報コマンド、WNは情報ワード数、ADRSは受信データをコモンメモリへ格納するときの開始メモリアドレス、DATA0−DATAnはデータ、FCSはフレームチェックシーケンスである。
【0008】この場合、他の全てのノードが上記のデータフレームを受信すると、このデータフレームは、コモンメモリCMの共通の一意のメモリアドレスへ格納される。伝送路使用権を持つノードは、所定時間経過すると、次のノードにトークフレームを渡す。このトークフレームを受け取ったノードは、所定時間伝送路使用権を獲得し、同様にデータフレームを伝送する。従って、全てのノード101 −10n は、コモンメモリCMに同一データを保有することになる。図7は、所定の伝送周期T内に、各ノード101 −10n が順番にデータフレームD1,トークフレームTK、…を伝送して一巡する伝送路上のフレーム列の一列を示している。
【0009】このようにして、各ノード101 −10n は、図8に示すようなハード構成例を有している。図8において、伝送路使用権を持つノード、例えば101 が図6のようなデータフレームを伝送すると、他のノード102 〜10n ではそのデータフレームをトランシーバ回路31で受信した後、その受信出力32をトークンパッシング方式送受信制御回路30に送出する。このトークンパッシング方式送受信制御回路30では、受信されたデータフレーム中のDAフィールドにおいて、自局指定アドレス、同報アドレスまたは群同報アドレスが自局を指定している場合には、いずれも自局指定であると判断し、データフレームの自局内へ取り込みを行なう。しかる後に、DMA制御回路22では、トークンパッシング方式送受信制御回路30におけるデータフレーム受信完了時に、そのデータフレームの中からFCフィールド〜FCSフィールドまでの受信データを取り出して、デュアルポート付きの受信バッファ21に格納する。
【0010】この場合、受信バッファ21には、図9に示すように格納される。図9の(a)は正常受信の場合の受信バッファ21の格納状態、図9の(b)は受信誤りのある場合の受信バッファ21の格納状態をそれぞれ示している。但し、ここでは、受信データフィールド長が64の場合の例を示している。ここで、LN、およびSTSとあるのは、各々受信して格納したデータの総数LN、および受信が正常に完了したかまたは受信誤りが発生したか否かの状態を示すステータス情報STSを表わし、トークンパッシング方式送受信制御回路30によりデータフレーム受信完了時に受信バッファ21に書き込まれる。
【0011】一方、送受信制御プロセッサ33においては、データフレーム受信完了検出信号34を受けると、受信データ処理を行なう。すなわち、この受信データの処理は、受信バッファ21に格納されている受信データのDSAPフィールド、SSAPフィールド、Cフィールドが、指定された規定値に一致しているか否かの判定である。そして、判定の結果、一致している場合には、受信したデータフィールドのデータ総数を示すWNと、コモンメモリ20に格納する開始メモリアドレスを示すADRSフィールドとを読み出し、ADRS値とWN値をDMA制御回路22に設定する。ここで、DMA制御回路22は動作を行なって、受信バッファ21に格納されている受信データDATA0 −DATAnをコモンメモリ20に転送する。このコモンメモリ20に格納されたデータは、ホスト機器60、すなわちコンピュータやPC、DCSにより、機器インターフェイス回路24を経由して読み出され利用される。
【0012】なお、バッファメモリバス40は、バッファメモリデータバス41とバッファメモリアドレスバス42とからなる。また、コモンメモリバス50は、コモンメモリデータバス51とコモンメモリアドレスバス52とからなる。さらに、61はホストシステムバス、23はゲート回路である。
【0013】このように、上述した従来による受信データ転送制御方式では、受信データフレームは一旦、受信バッファ21に格納され、受信完了と共にフレーム中のADRSフィールドとWNフィールドの値を読み出し、DMA転送により最終格納場所であるコモンメモリCMの相当アドレスへ転送して格納する方式を採用している。
【0014】従って、かかる受信データ転送制御方式においては、物理的に異なる受信バッファ21とコモンメモリCMとが存在する。このため、データフレームを一度受信バッファ21に格納した後、最終的にコモンメモリCMに格納するので、これら2つのメモリ間でデータの移動処理が必要である。その結果、受信データの処理時間が長くなり、システム全体のデータ転送能力が制限されるという問題がある。
【0015】よって、ネットワークシステムのデータ転送速度を高速化して伝送性能を向上させようとしても、受信データの転送処理に関わる処理時間が、受信バッファ21とコモンメモリCMとの間のコモンメモリバス50の転送性能に依存することから、データ伝送速度をそれ相当に高速化して転送性能を上げる場合には、ハードウェアの複雑さを招き、またその場合でも、なおかつ性能に限界が生じる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の受信データ転送制御方式においては、受信データの転送処理時間が長く、結果的にシステム全体のデータ伝送能力が制限されてしまうという問題があった。
【0017】本発明の目的は、受信データの転送処理時間を大幅に短縮でき、システム全体のデータ伝送速度の高速化を図ることが可能な極めて信頼性の高いデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明では、共通伝送路に接続された各ノードでは、各々所定の周期で順番にデータを一斉同報通信または群同報通信にて伝送し、他のノードでは、データフレームを受信し受信フレームに含まれるフレーム種別がデータフレームを指定しているか検出し、データフレームが上記データフレームの場合には、データを取り出して受信バッファに格納し、かつシステム全体に共通で一意の特定アドレスを用いて受信データを読み出すことにより各ノード間の情報交換を行なうトークンパッシング方式によるメディアアクセス制御を用いたデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置において、共通伝送路に接続されてデータフレームを受信し、またデータフレームを送出するトランシーバ手段と、トランシーバ手段からのデータフレームを受信し、当該受信データフレームに含まれる受信先アドレスが自局を指定しているか否かを検出し、自局宛の場合にはデータフレームを受信し、またデータをトークンパッシング方式メディアアクセス制御方式に従ってトランシーバ手段に送出し、さらに自局宛のデータフレームの受信開始を検出して受信開始信号を出力し、さらにまた受信データフレームが誤りなく受信されたか否かを検出して、正常または異常状態を示す信号と共に受信完了信号を出力するトークンパッシング方式送受信制御手段と、トークンパッシング方式送受信制御手段からの受信開始信号を受信して、受信データフレームに含まれているフレーム種別がデータフレームか否かを検出し、受信データフレームがデータフレームの場合には受信データフレームに含まれている受信データの格納先メモリアドレスを取り出して保持し、また受信データフレームに含まれる所定の受信データを取り出し、さらに受信完了信号を受信して正常または異常受信かを検出して受信データの受信バッファ手段への格納を制御する受信データフレーム転送制御手段と、トークンパッシング方式送受信制御手段に対して、送信すべきデータを格納している送信バッファ手段と、受信データフレーム転送制御手段からの受信データを受信して格納する受信バッファ手段と、受信バッファ手段に格納されている受信データのアドレスを格納していると共に、受信バッファ手段の受信データをアクセスするために外部から入力される特定のアドレスを、受信データが格納されている受信バッファ手段のアドレスに変換して変換アドレスを生成するアドレス変換メモリ手段と、アドレス変換メモリ手段に対して受信データをアクセスするために特定のアドレスを供給する外部インターフェイス手段とを備えて構成している。
【0019】ここで、特に受信バッファ手段としては、データフレームに含まれる所定のデータの数に等しいブロックサイズ毎に分割し、かつブロックの個数は受信するデータフレーム総数より余分に1つ多い構成としている。
【0020】また、受信データフレーム転送制御手段としては、トークンパッシング方式送受信制御手段からのデータフレームの受信開始信号を受信して、受信データフレームがデータフレームであることを検出すると、空き状態にある受信バッファ手段の一つのブロックに受信データを転送して格納し、トークンパッシング方式送受信制御手段からの正常受信完了信号を検出すると、外部インターフェイス手段から当該ブロックが新たな受信データと見なせるように、アドレス変換メモリ手段の特定アドレスに対応する受信データが格納されている受信バッファ手段のアドレスを当該ブロックのアドレスに書換え、また書き換えられて不用となった古い受信データが格納されている受信バッファ手段のブロックを次の受信データが書き込めるようにし、さらに異常受信完了信号を検出すると、アドレス変換メモリ手段の内容更新を行なわずに、当該ブロックを再び次の受信データが書き込めるようにしている。
【0021】
【作用】従って、本発明のデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置においては、受信データフレームに受信データフィールド長に等しいブロック毎に受信バッファを分割し、また分割するブロックの個数は受信するデータフレーム総数より余分に1つ多い構成としている。一方、受信データフレーム転送制御手段は、トークンパッシング方式送受信制御手段路からデータフレームの受信開始信号を受けると、受信データフレームが自局宛の受信データフレームであると判断する。そして、空き状態にある受信バッファ手段内の一つのブロックを用いて、トークンパッシング方式送受信制御手段路から出力される受信データを、そのブロックに順番に受信データフィールド長に等しい数まで転送し格納する。しかる後に、トークンパッシング方式送受信制御手段から、受信データフレームを誤りなく受信完了したことを示す正常受信完了信号を受け取ると、外部インターフェイス手段から見た時に、このブロックが新たな受信データと見えるように、アドレス変換メモリ手段の内容を書き換える。すなわち、新たに受信したデータフレーム中のデータフィールドを格納したブロックの先頭アドレスを用いて受信バッファ手段のデータを読み出すことにより、システム全体に共通の一意のメモリアドレスをもつ仮装コモンメモリからデータを読み出したのと同様の処理を行ない、従来必要であった受信バッファ手段からコモンメモリへの転送処理なしで、各ノードの受信データを利用する。
【0022】この場合、アドレス変換メモリ手段に書き込まれていた古い受信データを格納していたブロックは不用となる。そこで、このブロックが新たな受信フレームのデータを格納できるように空き状態にする。また、受信データ転送制御手段がトークンパッシング方式送受信制御手段から受信したフレームに誤りが発生しており、受信データは無効であることを示す異常受信完了信号を受け取ると、アドレス変換メモリ手段の内容を更新することは行なわず、当該ブロックを再び次の受信データが書き込めるように空き状態として、受信データフレームの受信データの転送処理を行なう。
【0023】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明による受信データ転送制御装置を適用したデータ伝送システムにおける各ノードのハードウェア構成例を示すブロック図であり、図8と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0025】すなわち、本実施例では、各ノードにおける前記コモンメモリ20およびゲート回路23を削除すると共に、これらに代えて受信データフレーム転送制御回路70と、デュアルポートメモリ形式をとったアドレス変換メモリ回路80とを付加した構成としている。
【0026】なお、受信バッファ21は、1伝送周期T内に受信するシステム全体のデータ量を格納出来るだけのブロック数と、さらに余分な1つの空き状態のブロックと、本発明で言及しない種別の受信フレームを格納できる容量のメモリと、自局データを送信するための送信データを格納するための送信バッファ手段のための容量のメモリとを備えている。
【0027】ここで、受信データフレーム転送制御回路70は、図2にその構成例を示すように、受信完了信号34、トークンパッシング方式送受信制御回路30からの受信開始信号35、正常または異常受信完了のステータス信号36、受信データ書き込みタイミング信号37を受けて、転送回路のタイミング信号77,78を発生する転送タイミング回路71と、トークンパッシング方式送受信制御回路30からバッファメモリバス41に出力される受信データフィールド長WNを転送タイミング回路71からのタイミング信号77によりラッチするカウンタWN−CNT72と、タイミング信号78によりコモンメモリ格納先頭番地ADRSをラッチするレジスタADRS73と、アドレス変換メモリ回路80のADRS番地から読み出した受信データの格納されているブロックの先頭番地をラッチするNEXT−PTR74と、空きブロックの先頭番地をラッチしているBF−PTR75とからなっている。
【0028】一方、アドレス変換メモリ回路80は、図3R>3にその構成例を示すように、受信データフレーム転送制御回路70とバッファメモリバス40からのアドレスおよびデータバスの各々91,92および42,41をマルチプレックスするマルチプレクサMPX1−86,MPX2−87と、デュアルポートメモリ83と、ホストアドレスバス入力62と当該ホストアドレスバス入力62に対応した受信データの格納されているブロックの先頭番地を示すデュアルポートメモリ83からの読み出しデータ85とを用いて、実際の仮装コモンメモリアドレスを計算する計算機(加算器)81とからなっている。
【0029】次に、以上のように構成した本実施例の受信データ転送制御装置の一連の作用に付いて、図4に示すフロー図を用いて説明する。なお図4は、受信データフレーム転送制御処理の手順(受信データフレーム転送制御回路70の転送タイミング発生回路71に於けるタイミング信号発生と処理の手順)を示している。
【0030】いま、各ノードにより送信され、図6で示されるようなフレームフォーマットを持つデータフレームは、図1に示すようなハードウェア構成例を有する各ノードのトランシーバ回路31により信号受信される。このトランシーバ回路31からの出力32は、トークンパッシング方式送受信制御回路30に導かれる。そして、このトークンパッシング方式送受信制御回路30により、受信フレーム中のDAフィールドが自局を指定しているか、同報または群同報アドレスかが一致検出され、各々に一致する場合には、トークンパッシング方式送受信制御回路30によりデータフレームの取り込みが行なわれる。そして、受信したデータフレームのFCフィールドからFCSフィールドまでの受信データが、バッファメモリバス40に受信開始信号35と共に、受信データ書き込みタイミング信号37のタイミングで出力される。
【0031】一方、転送タイミング発生回路71は、図4R>4に示すステップS1により受信開始を検出すると、ステップS2によりバッファメモリバス40上の受信データフィールド長WNとコモンメモリ格納先頭番地ADRSをWN−CNT72,ADRS73に、タイミング信号77,78を発生してラッチする。次に、ステップS3によりADRS73の値によりアドレス変換メモリ回路80をアクセスし、その読み出し値をNEXT−PTR74にタイミング信号79によりラッチする。次に、ステップS4により、受信データ書き込みタイミング信号37毎にWN−CNT72をカウントダウンする。さらに、BF−PTR75の値を上位アドレスとし、またWN−CNT72の値を下位アドレスとして、受信バッファの格納番地を指定して受信データを書き込む。そして、ステップS5により、WN−CNT72がカウントダウンして−1となるまで上記の処理を繰り返し行なう。
【0032】やがて、WN−CNT72が−1に達すると、ステップS6によりトークンパッシング方式送受信制御回路30からの受信完了信号34、正常または異常受信完了のステータス信号36を待つ。そして、ステップS7により、正常または異常受信完了のステータス信号36が異常受信完了の場合には、処理を中断して再度トークンパッシング方式送受信制御回路30からの受信開始信号35を持つステップS1に移行する。そして、ステップS7により、正常または異常受信完了のステータス信号36が正常受信完了の場合には、ステップS8によりBF−PTR75の値をADRSで示されるアドレス変換メモリ番地に書き込み、さらにNEXT−PTR74の値をBF−PTR75に書き換える。これらの一連の処理を完了すると、ステップS1に戻り、再び受信フレームの開始を待つ。
【0033】一方、図1でホスト機器60は、コモンメモリの内容を読み出す場合、機器インターフェイス回路24を経由して読み出すコモンメモリアドレスをアドレス変換メモリ70に送る。また、図3でホスト機器60からのコモンメモリアドレス信号はホストアドレスバス入力62に導かれ、デュアルポートメモリ83のアドレス信号入力となってメモリ内容を読み出す。この読み出された値は、前述した処理ステップS8で書き込まれた仮装コモンメモリの実際の受信バッファロックの先頭番地である。そこで、ホストアドレスバス入力62とこの読み出しデータ85とを加算器81によって加算を行なうことにより、実際の仮装コモンメモリのアドレスを生成する。ここで、加算が必要なのは、デュアルポートメモリ83に保持している先頭番地が、ブロック容量毎の倍数に対応する上位アドレス値のみのためである。従って、ホスト機器60が読み出そうとしたコモンメモリ番地は、アドレス変換メモリ回路80により受信データが格納保持されている受信バッファ21のメモリ番地に変換されてアクセスされる。
【0034】以上のように処理することにより、システム全体に共通の一意のメモリアドレスをもつ仮装コモンメモリからデータを読み出したのと同様の処理が行なえることで、従来必要であった受信バッファ21からコモンメモリへの転送処理なしで、各ノードの受信データを利用することが可能となる。
【0035】上述したように、本実施例においては、受信データの転送処理時間を大幅に短縮することができ、ひいてはシステム全体のデータ伝送速度の高速化を図ることが可能となる。特に、共通伝送路(LAN)上のトラフィックが非常に重く、すなわち間断なくデータを受信して処理する場合に非常に有効なものとなる。換言すると、LANの受信データ処理に関して一般的に問題となる、LANの信号伝送速度の高速化に伴ない受信するデータの処理が追従できず、LAN全体としてのデータ転送能力の向上が期待したほど見込めないことに対する有効な解決となる。
【0036】また、各ノードの出力データを確実に格納することができ、しかも常に正しいデータを受信バッファに格納でき、ホスト機器側からのコモンメモリアドレスを指定して、正常なデータを確実に読み出すことが可能となる。
【0037】さらに、本装置を実現するためのハードウェアとしても、安価な一般的なメモリを組み合わせることによって容易に構成することができるため、広く一般のデータ伝送システムにおける受信データ処理に対して有効に適用することが可能となる。尚、本発明の受信データ転送制御装置を適用するネットワークシステムの形態は、バス型、ループ型、スター型等に特定されるものではない。従って、共通伝送路として用いるケーブルも、電気式、光式、無線式等に特に限定されるものではない。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、受信データの転送処理時間を大幅に短縮でき、システム全体のデータ伝送速度の高速化を図ることが可能な極めて信頼性の高いデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による受信データ転送制御装置を適用した場合の一実施例を示すブロック図。
【図2】同実施例における受信データフレーム転送制御回路の詳細な構成例を示すブロック図。
【図3】同実施例におけるアドレス変換メモリ回路の詳細な構成例を示すブロック図。
【図4】同実施例における受信データ転送制御処理の手順を示すフロー図。
【図5】連続プロセス制御システムに適応されるLANシステムの構成例を示す概要図。
【図6】各ノードで伝送されるデータフレームのフレームフォーマットの一例を示す概要図。
【図7】各ノードで伝送されるデータフレームの伝送路上でのフレーム列の一例を示す概要図。
【図8】従来技術により構成したノードのハードウェア構成の一例を示すブロック図。
【図9】正常受信、受信誤りのある場合の受信フレームデータの受信バッファ内への格納状態の一例を示す模式図。
【符号の説明】
101 −10n …ノード、20…コモンメモリ、21…受信バッファ、22…DMA制御回路、23…ゲート回路、24…機器インターフェイス回路、30…トークンパッシング方式送受信制御回路、31…トランシーバ回路、32…受信出力、33…送受信制御プロセッサ、34…データフレーム受信完了検出信号、40…バッファメモリバス、41…バッファメモリデータバス、42…バッファメモリアドレスバス、50…コモンメモリバス、51…コモンメモリデータバス、52…コモンメモリアドレスバス、60…ホスト機器、61…ホストシステムバス、70…受信データフレーム転送制御回路、71…転送タイミング回路、72…カウンタWN−CNT、73…レジスタADRS、74…NEXT−PTR、75…BF−PTR、80…アドレス変換メモリ回路、81…計算機(加算器)、83…デュアルポートメモリ、86…マルチプレクサMPX1、87…マルチプレクサMPX2、L…共通伝送路、CM…コモンメモリ、PA…プリアンブル、SD…スタートデリミタ、FC…フレーム制御、DA…受信先アドレス、SA…送信元アドレス、DSAP…受信先アドレス識別子、SSAP…送信元アドレス識別子、C…情報コマンド、WN…情報ワード数、ADRS…開始メモリアドレス、DATA0−DATAn…データ、FCS…フレームチェックシーケンス、D1…データフレーム、TK…トークフレーム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 共通伝送路に接続された各ノードでは、各々所定の周期で順番にデータを一斉同報通信または群同報通信にて伝送し、他のノードでは、データフレームを受信し受信フレームに含まれるフレーム種別が前記データフレームを指定しているか検出し、データフレームが前記データフレームの場合には、前記データを取り出して受信バッファに格納し、かつシステム全体に共通で一意の特定アドレスを用いて受信データを読み出すことにより前記各ノード間の情報交換を行なうトークンパッシング方式によるメディアアクセス制御を用いたデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置において、前記共通伝送路に接続されてデータフレームを受信し、またデータフレームを送出するトランシーバ手段と、前記トランシーバ手段からのデータフレームを受信し、当該受信データフレームに含まれる受信先アドレスが自局を指定しているか否かを検出し、自局宛の場合にはデータフレームを受信し、また前記データをトークンパッシング方式メディアアクセス制御方式に従って前記トランシーバ手段に送出し、さらに自局宛のデータフレームの受信開始を検出して受信開始信号を出力し、さらにまた前記受信データフレームが誤りなく受信されたか否かを検出して、正常または異常状態を示す信号と共に受信完了信号を出力するトークンパッシング方式送受信制御手段と、前記トークンパッシング方式送受信制御手段からの受信開始信号を受信して、受信データフレームに含まれているフレーム種別が前記データフレームか否かを検出し、受信データフレームが前記データフレームの場合には前記受信データフレームに含まれている受信データの格納先メモリアドレスを取り出して保持し、また前記受信データフレームに含まれる所定の受信データを取り出し、さらに前記受信完了信号を受信して正常または異常受信かを検出して受信データの受信バッファ手段への格納を制御する受信データフレーム転送制御手段と、前記トークンパッシング方式送受信制御手段に対して、前記送信すべきデータを格納している送信バッファ手段と、前記受信データフレーム転送制御手段からの受信データを受信して格納する受信バッファ手段と、前記受信バッファ手段に格納されている前記受信データのアドレスを格納していると共に、前記受信バッファ手段の受信データをアクセスするために外部から入力される前記特定のアドレスを、前記受信データが格納されている受信バッファ手段の前記アドレスに変換して変換アドレスを生成するアドレス変換メモリ手段と、前記アドレス変換メモリ手段に対して前記受信データをアクセスするために前記特定のアドレスを供給する外部インターフェイス手段と、を備えて成ることを特徴とするデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置。
【請求項2】 前記受信バッファ手段としては、前記データフレームに含まれる所定のデータの数に等しいブロックサイズ毎に分割し、かつブロックの個数は受信するデータフレーム総数より余分に1つ多い構成とし、また、前記受信データフレーム転送制御手段としては、前記トークンパッシング方式送受信制御手段からのデータフレームの受信開始信号を受信して、受信データフレームが前記データフレームであることを検出すると、空き状態にある前記受信バッファ手段の一つのブロックに受信データを転送して格納し、前記トークンパッシング方式送受信制御手段からの正常受信完了信号を検出すると、前記外部インターフェイス手段から当該ブロックが新たな受信データと見なせるように、前記アドレス変換メモリ手段の前記特定アドレスに対応する受信データが格納されている受信バッファ手段のアドレスを当該ブロックのアドレスに書換え、また書き換えられて不用となった古い受信データが格納されている受信バッファ手段のブロックを次の受信データが書き込めるようにし、さらに異常受信完了信号を検出すると、前記アドレス変換メモリ手段の内容更新を行なわずに、当該ブロックを再び次の受信データが書き込めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送システムにおける受信データ転送制御装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【特許番号】特許第3075809号(P3075809)
【登録日】平成12年6月9日(2000.6.9)
【発行日】平成12年8月14日(2000.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−295734
【出願日】平成3年11月12日(1991.11.12)
【公開番号】特開平5−136788
【公開日】平成5年6月1日(1993.6.1)
【審査請求日】平成9年8月25日(1997.8.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)