説明

データ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェス装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、データ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェース装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来において、自動車用の自動車電話装置は、自動車電話無線機と自動車電話機を備える。無線機と電話機の間は上りおよび下りの音声回線と上りおよび下りのシリアル信号線で接続されている。通常、自動車にファクシミリ装置等のデータ伝送端末を搭載する場合には、無線機と電話機の間にネットワークコントロールユニット(NCU)と呼ばれるインターフェース装置を介在させる。このインターフェース装置は無線機と電話機間または無線機とデータ伝送端末間の音声回線を選択して切り換えるリレーを備えるものである。このような技術は特開平2−57051号公報や特開平2−57052号公報に開示されている。
【0003】また、無線機と電話機との間のシリアル信号を検知し、データ伝送端末に送って、データ伝送端末をシリアル信号に応じて制御するような技術も特開平3−247065号公報や特開平3−265348号公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来において、データ伝送端末からデータを送信しようとする場合、電話機を操作して相手とつなげる必要があった。しかし、ユーザーが電話機から電話をかけたとき、相手が不在であったり、話中である場合には、ユーザーは一度電話を切り、再びダイヤルして電話をかけなければならなかった。
【0005】そこで、本発明においては、相手が不在であっても再度ユーザーがダイヤルせずにデータ伝送端末からデータを送信可能とすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決する手段】上記課題を解決するために本発明において講じた手段は、自動車電話無線機,自動車電話機,およびデータ伝送端末間に接続される、データ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェース装置であって、通常状態で前記無線機と前記電話機間の回線を接続すると共に、駆動状態で前記無線機と前記データ伝送端末間の回線を接続するリレーと、前記電話機の発するダイヤル情報が、電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号か否かを識別するダイヤル情報識別手段と、該ダイヤル情報識別手段が識別した前記ダイヤル情報が電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号であり、更に相手方の電話機が応答しない場合に、前記データ伝送端末に対して、所定のタイミングでリダイヤル指示を行わせるためのリダイヤル自動送信指示を行い、前記リダイヤル自動送信指示を受けた前記データ伝送端末から前記リダイヤル指示が発せられたとき前記ダイヤル情報を前記無線機に送信し、前記相手方の電話機が応答した場合に前記リレーを駆動状態とする制御手段とを備え、前記ダイヤル情報識別手段が、前記ダイヤル情報がファクシミリ宛であることを識別し、前記制御手段は前記ダイヤル情報がファクシミリ宛であるときのみ作動する構成としたことである。
【0007】
【作用】上記作用によれば、電話機をダイヤルして相手を発呼すると無線機を介して相手に発呼信号が送られる。このとき、ダイヤル情報識別手段は、そのダイヤル情報が電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号であるか否かを識別する。そして、そのダイヤル情報が電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号であった場合には、相手方の電話機が応答しなかった場合に、制御手段は、データ伝送端末に対して、所定のタイミングでリダイヤル指示を行わせるためのリダイヤル自動送信指示を行う。これを受けてデータ伝送端末は、所定のタイミングで制御手段に対してリダイヤル指示を行う。制御手段は、データ伝送端末から当該リダイヤル指示を受けると、当該リダイヤル情報を無線機に送信する。その結果、相手方の電話機が応答した場合には、制御手段はリレーを駆動状態とし、無線機とデータ伝送端末間の回線が接続されることにより、データ伝送端末内のデータが相手方に自動送信される。従って、ユーザーは、リダイヤル条件番号をダイヤル情報識別手段に予め登録しておけば、相手方の電話機が応答しなかった場合でも、再度電話機をダイヤルすることなく、データ伝送端末内のデータを相手方に自動送信することができる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。図1において、自動車電話の無線機1と電話機2の間にはインターフェース装置3が介在されている。
【0009】インターフェース装置3はデータ伝送端末であるファクシミリ装置4にも接続されている。
【0010】ファクシミリ装置4は、画像読取部、画像印字部、符号化・複号化部、画像メモリ、通信制御部、操作表示部、システム制御部、モデム等を備える。画像読取部、画像印字部、符号化・複号化部および画像メモリは、画像の読み取りや画像の印字等の画像処理を行う。また、通信制御部はモデムを介して外部と画像データの通信を行う。
【0011】インターフェース装置3は、無線機1,電話機2およびファクシミリ装置4のモデム間の音声回線TX,RXを切り換えるリレー6を備える。また、インターフェース装置3は、無線機1からの上りシリアル信号線および下りシリアル信号線,電話機2からの上りシリアル信号線および下りシリアル信号線,およびファクシミリ装置4のシステム制御部からの上りシリアル信号線および下りシリアル信号線に接続されたセントラルプロセッシングユニット(以下CPUと称する)5を備える。CPU5は、通常は、電話機2からのシリアル信号を受け取り、このシリアル信号を無線機1につながるシリアル信号線へ送出する。また、無線機1からのシリアル信号を受け取り、このシリアル信号を電話機2につながるシリアル信号線へ送出する。このとき、CPU5はファクシミリ装置4に必要なシリアル信号を選択してファクシミリ装置4のシステム制御部へ送信する。
【0012】リレー6は、通常の状態において、無線機1と電話機2の音声回線を接続している。リレー6を駆動することにより無線機1とファクシミリ装置4が接続される。
【0013】ユーザーはファクシミリを使って画像を送信する場合には、電話機2を使って相手側に電話をかける。CPU5は無線機1からのシリアル信号を監視し、電話がつながったことを確認すると、リレー6を駆動する。これにより、無線機1とファクシミリ装置4の音声回線が接続される。ファクシミリ装置4は画像読取部により画像を読み取り、通信制御部およびモデムを介して画像信号を音声回線を通して無線機1に送出する。
【0014】反対に、相手側からファクシミリ通信を要求された場合、CPU5が無線機1からのシリアル信号を傍受し、ファクシミリ通信の要求であることを認識し、リレー6を駆動する。これにより、無線機1とファクシミリ装置4の音声回線が接続される。同時にファクシミリ装置4のシステム制御部に信号を送る。よって、無線機1が受け取った画像信号は音声回線を通してファクシミリ装置4のモデムに送られる。このモデムは画像信号を復調し通信制御部に画像データを送る。通信制御部は画像印字部に信号を送り、画像を印字させる。
【0015】上述のCPU5は図2に示すフローチャートに従って動作する。CPU5は、ステップ10にて、電話機2側からシリアル信号がきたかどうかを判断する。シリアル信号がこない場合にはステップ10を繰り返す。尚、ここで、無線機1側からシリアル信号が届いた場合には、そのシリアル信号をそのまま電話機2およびファクシミリ装置4に送信する。電話機2からシリアル信号が届いた場合には、ステップ11において、その信号が電話ダイヤル発呼信号であるか否かを判断する。ダイヤル発呼信号はダイヤル信号,ダイヤル番号(局番)およびダイヤル完了信号からなる。この3つの信号が連続し届いたとき発呼ありとみなす。受けたシリアル信号が電話ダイヤル発呼信号でなければ、ステップ13にてそのシリアル信号を無線機側に送信し、ステップ10に戻る。電話機2側から届いたシリアル信号が電話ダイヤル発呼信号である場合には、ステップ12において、その電話ダイヤル信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号であるか否かを判断する。リダイヤル条件番号は予め設定しておく。短縮番号に登録してあるファクシミリ用のダイヤル信号をリダイヤル条件番号に設定しておく。ステップ12において、電話機2側から届いた電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号でない場合にはステップ13にてそのシリアル信号を無線機側に送信し、ステップ10に戻る。電話機2側からシリアル信号が届き、そのシリアル信号が電話ダイヤル発呼信号であって、更に、その電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件を満たすものであるときに、ステップ14以下を実行する。
【0016】ステップ14では、受け取ったダイヤル番号をCPU5内部に備えるメモリーに記憶する。次に、ステップ15にて、受け取ったシリアル信号を無線機1のシリアル信号線に送出する。次に、ステップ16にてタイマーを60秒にセットしスタートさせる。ステップ17ではタイマーが終了したか否かを判断する。また、ステップ18では無線機1側から通話中表示信号がきたか否かを判断する。通話中表示信号は電話を受けた相手か受話器を取った後、通信中に発せられる。タイマー終了までに通話中表示信号が届かない場合には、相手が話中または不在であると判断してステップ25を実行する。タイマーが終了するまでに通話中表示信号が届いた場合にはステップ19を実行する。ステップ19ではファクシミリ装置4(図中ではFAXと表示)に原稿の送信指示を発する。次に、ステップ20において、リレー6をファクシミリ装置4側に切り換える。次に、ファクシミリ装置4がファクシミリ送信を終了するまで、ステップ21にて待機する。ファクシミリ装置4がファクシミリ送信を終了すると、ステップ22にてリレー6を電話機2側に切り換え、ステップ23にてオンフック信号を無線機1に送出する。最後に、ステップ24にて内部メモリーに記憶したダイヤル番号を消去し、ステップ10に戻る。
【0017】ステップ25ではオンフック信号を無線機1に送出する。次に、ステップ26にてファクシミリ装置4にリダイヤル自動送信指示を行う。ここで、ステップ27において、電話機2側から終了指示かきたかどうかを判断する。具体的には、電話機2のダイヤルの内、終了ボタンが押された場合、終了指示があったものとみなす。電話機2において終了ボタンを押すとシリアル信号線を介して終了指示を示すシリアル信号がCPU5に送られる。ステップ27では、終了指示を示すシリアル信号を受けたとき、ステップ30に飛び、ファクシミリ装置4にリダイヤル自動送信解除指示を行う。そして、ステップ24にて内部メモリーに記憶したダイヤル番号を消去し、ステップ10に戻る。一方、ステップ27にて終了指示を示すシリアル信号を受けていないとき、ステップ28にてファクシミリ装置4からリダイヤル指示があったかどうかを判断する。その後、ステップ27に戻り、終了指示を示すシリアル信号を受けるか、ファクシミリ装置4からリダイヤル指示を受けるまで、ステップ27,28を繰り返す。ファクシミリ装置4は相手が話中であった場合に、例えば1分おきにリダイヤル指示をCPU5に向けて送信する。CPU5は、待機中にこのリダイヤル指示をファクシミリ装置4から受けた場合には、ステップ29にて内部メモリーに記憶してあったダイヤル番号を読みだし、電話ダイヤル信号を生成し、無線機1へのシリアル信号線に送出する。その後、ステップ16へ戻る。
【0018】上記のCPU5の処理において、リダイヤル機能が働くのは、電話機2より受けたダイヤル番号がリダイヤル条件番号のときだけである。電話機2が電話で相手と話したい場合には、リダイヤル条件番号以外のダイヤル番号をダイヤルするので、無線機1と電話機2間のシリアル信号は素通りし、また、音声回線も無線機1と電話機2間が接続された状態になるので、通常の電話通信ができる。
【0019】ここで、ユーザーがリダイヤル条件番号をダイヤルした場合、相手が話中であると一旦電話を切る。ファクシミリ装置4にリダイヤル解除の設定をしていなければ、自動的にファクシミリ装置4がリダイヤル指示を発する。これにより、インターフェース装置3のCPU5が無線機1へ電話ダイヤル信号を送出する。したがって、相手が話中の場合、ユーザーは再び電話をかけなくても自動的にインターフェース装置3が相手を発呼する。
【0020】本実施例において、CPU5は、本発明におけるダイヤル情報識別手段および制御手段に相当する。すなわち、CPU5は、ステップ10から12において、電話機2の発するダイヤル情報を識別する。また、CPU5は、ステップ26においてファクシミリ装置4にリダイヤル自動送信指示を行い、ステップ28および29において、ファクシミリ装置4からリダイヤル指示を受けてダイヤル情報を無線機1に送信し、ステップ20において、リレー6を駆動状態とする。
【0021】本実施例においては、ユーザーが電話機から電話をかけたとき、相手が不在であったり、話中である場合には、ユーザーが一度電話を切っても、自動的に再びダイヤルして電話をかけ、つながれば自動的にデータ伝送を実施する。よって、自動車電話においても、自動的に再ダイヤルができる。
【0022】また、本実施例においては、ステップ14〜29において、電話機2側からシリアル信号が届いてもCPU5はそのシリアル信号を無線機1に送出しない。したがってリダイヤルの機能が実行中に電話機2から発呼しても信号どうしが干渉することがない。
【0023】また、本実施例においてはダイヤル情報の識別の際、データ伝送用に予め登録された番号がダイヤルされた場合のみ再ダイヤルが実行される。したがって、通常の電話においては、無線機1と電話機2間の音声回線が接続されたままになるので問題ない。
【0024】上記実施例において、相手が話中であった場合にCPU5はファクシミリ装置4からリダイヤル指示がくるまで待機する。このとき、リダイヤルを解除するには、電話機2の終了ボタンを押せばよい。尚、終了ボタンを押す代わりに特定のダイヤル番号を押したとき解除するようにしてもよい。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、自動車電話においても、相手が不在のとき自動的にリダイヤルができるため、使い勝手がよい。
【0026】
【0027】また、本発明においては、電話機の発するダイヤル情報がファクシミリ宛である場合にリダイヤル機能を働かせることとしている。従って、通常の電話通信を行いたい場合にはリダイヤル機能は働かず、相手のファクシミリ装置に繋げたい場合のみリダイヤル機能を働かせることができる。
【0028】また、本発明においては、電話機から特定のダイヤル情報が発せられたとき、リダイヤル機能を中止させることとしている。従って、リダイヤル機能を働かせている間に、リダイヤル機能を中止したい場合は、簡単にリダイヤル機能を中止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のファクシミリ装置の回路構成図
【図2】図1の実施例のCPU5のフローチャート
【符号の説明】
1 無線機
2 電話機
3 インターフェース装置
4 ファクシミリ装置(データ伝送端末)
5 CPU(ダイヤル情報識別手段、制御手段)
6 リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動車電話無線機,自動車電話機,およびデータ伝送端末間に接続される、データ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェース装置であって、通常状態で前記無線機と前記電話機間の回線を接続すると共に、駆動状態で前記無線機と前記データ伝送端末間の回線を接続するリレーと、前記電話機の発するダイヤル情報が、電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号か否かを識別するダイヤル情報識別手段と、該ダイヤル情報識別手段が識別した前記ダイヤル情報が、電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号であり、更に相手方の電話機が応答しない場合に、前記データ伝送端末に対して、所定のタイミングでリダイヤル指示を行わせるためのリダイヤル自動送信指示を行い、前記リダイヤル自動送信指示を受けた前記データ伝送端末から前記リダイヤル指示が発せられたとき前記ダイヤル情報を前記無線機に送信し、前記相手方の電話機が応答した場合に前記リレーを駆動状態とする制御手段とを備え前記ダイヤル情報識別手段が、前記ダイヤル情報がファクシミリ宛であることを識別し、前記制御手段は前記ダイヤル情報がファクシミリ宛であるときのみ作動することを特徴とするデータ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェース装置。
【請求項2】 自動車電話無線機,自動車電話機,およびデータ伝送端末間に接続される、データ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェース装置であって、通常状態で前記無線機と前記電話機間の回線を接続すると共に、駆動状態で前記無線機と前記データ伝送端末間の回線を接続するリレーと、前記電話機の発するダイヤル情報が、電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号か否かを識別するダイヤル情報識別手段と、該ダイヤル情報識別手段が識別した前記ダイヤル情報が電話ダイヤル発呼信号であってかつ該電話ダイヤル発呼信号のダイヤル番号がリダイヤル条件番号であり、更に相手方の電話機が応答しない場合に、前記データ伝送端末に対して、所定のタイミングでリダイヤル指示を行わせるためのリダイヤル自動送信指示を行い、前記リダイヤル自動送信指示を受けた前記データ伝送端末から前記リダイヤル指示が発せられたとき前記ダイヤル情報を前記無線機に送信し、前記相手方の電話機が応答した場合に前記リレーを駆動状態とする制御手段とを備え、該制御手段は、前記リダイヤル自動送信指示を行った後に、前記電話機から終了指示を示す特定のダイヤル情報が発せられたとき、前記データ伝送端末に対して、その後の前記リダイヤル指示を中止させるためのリダイヤル自動送信解除指示を行うことを特徴とするデータ伝送端末を備えた自動車電話のインターフェース装置。

【図1】
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【図2】
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【特許番号】特許第3489122号(P3489122)
【登録日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【発行日】平成16年1月19日(2004.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−71544
【出願日】平成4年3月27日(1992.3.27)
【公開番号】特開平5−276276
【公開日】平成5年10月22日(1993.10.22)
【審査請求日】平成11年2月16日(1999.2.16)
【前置審査】 前置審査
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【参考文献】
【文献】特開 平2−107029(JP,A)
【文献】実開 昭59−78767(JP,U)