データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法
【課題】データ送信装置からデータ伝送装置へのデータ伝送において、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能な、データ伝送装置を得る。
【解決手段】データ処理部12は、データ送信装置2から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、受信部11が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定部24と、判定部24によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成部26と、受信部11が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元するIP復元部28と、を有する。
【解決手段】データ処理部12は、データ送信装置2から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、受信部11が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定部24と、判定部24によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成部26と、受信部11が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元するIP復元部28と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法に関し、特に、複数TS(Transport Stream)伝送方式を用いた通信システムにおける、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルテレビ網を用いたBSデジタル放送の再送信サービスにおいては、BSデジタル放送の複数のトランスポートストリームを効率良く伝送するための方式として、複数TS伝送方式が採用されている(例えば下記非特許文献1参照)。
【0003】
複数TS伝送方式では、53個のスロットを有する多重フレーム(TSMF:Transport Streams Multiplexing Frame)が規定され、TS(トランスポートストリーム)の伝送は、多重フレームのフレーム構造にマッピングされて行われる。多重フレームの第1スロットには、TSパケットの形式をした多重フレームヘッダが格納される。第2スロット以降は、事業者等ごとに所定のスロットが割り当てられる。事業者の放送するMPEG2のTSパケットは、割り当てられたスロットに順に格納される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】社団法人日本CATV技術協会標準規格 JCTEA STD−002−5.0 デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置、社団法人日本CATV技術協会、2007年10月10日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データ送信装置(例えばケーブルテレビ通信システムの親局)からデータ伝送装置(例えば子局)へIP(Internet Protocol)網を介してトランスポートストリームを送信する場合には、多重フレームを複数のスロット単位で分割することにより、スロット順に並んで連続する複数のIPパケットとして、RTP(Real-time Transport Protocol)等によるデータ伝送が行われる。一つのIPパケットには、複数(例えば7個)のTSパケットが格納される。
【0006】
データ伝送装置は、定期的に受信する多重フレームヘッダに基づいて、多重フレームの同期処理を行う。ここで、多重フレームのスロット数が固定値であるため、多重フレームヘッダの送信間隔は等間隔である。従って、データ伝送装置は、多重フレームヘッダが格納されているIPパケットを受信した場合には、次の多重フレームヘッダが格納されているIPパケットを予想することができ、その予想したIPパケットから多重フレームヘッダを抽出する。
【0007】
しかし、IP網を介したデータ伝送では、IP網においてIPパケットが欠損し、一部のIPパケットがデータ送信装置からデータ伝送装置に到達しない状況が生じ得る。一つのIPパケットが欠損すると、その中に格納されている複数のTSパケットがまとめて欠損することとなる。従って、次の多重フレームヘッダが格納されているIPパケットの予想が大幅にずれ、予想したIPパケットから多重フレームヘッダを抽出できないため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がある。次の多重フレームヘッダを検出することによって同期が復旧するまでは、その間に受信したTSパケットは全て廃棄せざるを得ないため、一旦IPパケットの欠損が生じると、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されることとなり、その影響が大きい。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、データ送信装置からデータ伝送装置へのデータ伝送において、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能な、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るデータ伝送装置は、データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置であって、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信する受信部と、前記受信部が受信したIPパケット列を処理するデータ処理部と、を備え、前記データ処理部は、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記受信部が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、前記受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、を有することを特徴とするものである。
【0010】
第1の態様に係るデータ伝送装置によれば、生成手段は、判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成し、復元手段は、受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0011】
本発明の第2の態様に係るデータ伝送装置は、第1の態様に係るデータ伝送装置において特に、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列には、多重フレーム内の複数のストリームデータに関する情報を記述する基準データが格納されたIPパケットである基準パケットが含まれ、前記受信部が過去に受信した基準パケットに含まれる基準データを保持する保持手段をさらに備え、欠損パケットが基準パケットである場合、前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを用いて補完パケットを生成することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「基準データ」には、例えば複数TS伝送方式における多重フレームヘッダが含まれる。
【0013】
第2の態様に係るデータ伝送装置によれば、欠損パケットが基準パケットである場合、生成手段は、保持手段が保持している基準データを用いて補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データを用いて生成された補完パケットが挿入されることによって、欠損した基準データを含むIPパケット列を復元することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様に係るデータ伝送装置は、第2の態様に係るデータ伝送装置において特に、欠損パケットが基準パケットである場合に、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定する特定手段をさらに備え、前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを、前記特定手段が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成することを特徴とするものである。
【0015】
第3の態様に係るデータ伝送装置によれば、特定手段は、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定し、生成手段は、保持手段が保持している基準データを、特定手段が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データは、復元されたIPパケット列の適切な位置に格納されるため、基準データに基づく多重フレームの同期を確実にとることが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るデータ伝送装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るデータ伝送装置において特に、前記基準パケットには、複数TS伝送方式における多重フレームヘッダが格納されており、前記データ処理部は、前記受信部が受信したIPパケット列内で多重フレームヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する判別手段をさらに有することを特徴とするものである。
【0017】
第4の態様に係るデータ伝送装置によれば、判別手段は、受信部が受信したIPパケット列内で多重フレームヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する。従って、多重フレームヘッダを検出するか否かによって、複数TS伝送方式であるか単一TS伝送方式であるかを自動的に判別することが可能となる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るデータ伝送装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係るデータ伝送装置において特に、前記生成手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成することを特徴とするものである。
【0019】
ここで、「所定の誤り訂正」には、例えばFEC(Forward Error Correction)パケットの利用が含まれる。
【0020】
第5の態様に係るデータ伝送装置によれば、生成手段は、受信部が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成する。従って、ヌルパケット(データの内容がヌルデータで埋められたTSパケット)を埋めることによって補完パケットを生成する場合と比較すると、欠損したIPパケットを正しく復元することが可能となる。
【0021】
本発明の第6の態様に係るデータ伝送装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るデータ伝送装置において特に、前記判定手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定することを特徴とするものである。
【0022】
第6の態様に係るデータ伝送装置によれば、判定手段は、受信部が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定する。従って、単にパケット到着順序が前後しただけの場合には、IPパケットの欠損として処理する必要はなく、生成手段や復元手段による処理が不要となるため、データ処理部の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0023】
本発明の第7の態様に係るプログラムは、データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置に搭載されたコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、前記コンピュータを、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、として機能させることを特徴とするものである。
【0024】
第7の態様に係るプログラムによれば、生成手段は、判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成し、復元手段は、受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0025】
本発明の第8の態様に係るデータ伝送方法は、データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置におけるデータ伝送方法であって、前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、(A)前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定するステップと、(B)前記ステップ(A)において欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成するステップと、(C)前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0026】
第8の態様に係るデータ伝送方法によれば、ステップ(B)では、ステップ(A)において欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットが生成され、ステップ(C)では、データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットが挿入されることにより、データ送信装置から送信されたIPパケット列が復元される。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、データ送信装置からデータ伝送装置へのデータ伝送において、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能な、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成を示す図である。
【図2】多重フレームのフレーム構造を示す図である。
【図3】データ送信装置から送信されるストリームデータを示す図である。
【図4】一つのIPパケットの例を示す図である。
【図5】一つのIPパケットの例を示す図である。
【図6】データ伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図7】プログラムを実行することによってデータ処理部に実現される機能を示すブロック図である。
【図8】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第1の例を示す図である。
【図9】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第2の例を示す図である。
【図10】補完パケットを示す図である。
【図11】復元されたIPパケット列を示す図である。
【図12】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第3の例を示す図である。
【図13】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第4の例を示す図である。
【図14】補完パケットを示す図である。
【図15】置換後の補完パケットを示す図である。
【図16】復元されたIPパケット列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体構成を示す図である。通信システム1は、例えば、ケーブルテレビ網を用いたBSデジタル放送の再送信サービスを提供するためのシステムである。図1に示すように、通信システム1は、データ送信装置2、IP(Internet Protocol)網3、データ伝送装置4、変調部5、ケーブルテレビ網6、及びSTB(Set Top Box)7を備えて構成されている。データ送信装置2及びデータ伝送装置4は、IP網3に接続されている。データ伝送装置4は、変調部5に接続されている。変調部5及びSTB7は、ケーブルテレビ網6に接続されている。STB7は、テレビ8に接続されている。
【0031】
データ送信装置2は、例えばケーブルテレビ通信システムの親局であり、データ伝送装置4は、当該システムの例えば子局である。データ伝送装置4は、データ送信装置2からIP網3を介して受信したBSデジタル放送のストリームデータ(動画や音声等の連続的に送信されるデータ送信方式(全てのデータを受信し終える前に再生が可能な方式)によって送信されるデータ)を、変調部5を介してケーブルテレビ網6に放送波として伝送する。STB7は、ケーブルテレビ網6から放送波を受信する。これにより、テレビ8においてBSデジタル放送の視聴が可能となる。
【0032】
通信システム1においては、BSデジタル放送の複数のストリームデータを効率良く伝送するための方式として、複数TS伝送方式が採用されている。複数TS伝送方式では、53個のスロットを有する多重フレーム(TSMF:Transport Streams Multiplexing Frame)が規定され、ストリームデータの伝送は、多重フレームのフレーム構造を維持したまま行われる。
【0033】
図2は、多重フレームのフレーム構造を示す図である。多重フレームの第1スロット(スロット番号「1」)には、TSパケットの形式をした多重フレームヘッダ(以下「TSMFヘッダ」と称す)が格納される。第2スロット以降には、MPEG2等によって圧縮符号化されたストリームデータを格納するTSパケット(以下「MPEGパケット」と称す)が、事業者等毎に割り当てられた所定のスロットに格納される。各スロットのデータサイズは、MPEGパケットのデータサイズに等しい188バイトである。TSMFヘッダには、各スロットへのMPEGパケットの配置情報等の、多重フレーム内の複数のストリームデータに関する情報を記述する基準データが記述される。
【0034】
図3は、データ送信装置2から送信されるストリームデータを示す図である。図3に示すように、データ送信装置2からデータ伝送装置4へIP網3を介してストリームデータを送信する場合には、多重フレームを複数(以下の例では7個)のスロット単位で分割することにより、スロット順に並んで連続する複数のIPパケットの列(以下「IPパケット列」と称す)として、RTP(Real-time Transport Protocol)等によるデータ伝送が行われる。
【0035】
図4,5は、一つのIPパケットの例をそれぞれ示す図である。図4に示すIPパケットには、多重フレームの第1スロットから第7スロットのデータが格納されており、IPヘッダ、RTPヘッダ、第1スロットに対応するTSMFヘッダ、及び第2〜第7スロットに対応する6個のMPEGパケットが格納されている。以下、本明細書においては、TSMFヘッダが格納されているIPパケットを、他のIPパケットと区別するために「基準パケット」とも称す。図5に示すIPパケットには、7個のMPEGパケットが格納されている。図5に示すIPパケットにはTSMFヘッダが格納されていないため、当該IPパケットは基準パケットではない。図4,5に示すIPパケットにおいて、RTPヘッダには、IPパケット列を構成する複数のIPパケット間で連続する、例えば2〜4バイト程度のシーケンス番号が記述されている。
【0036】
図6は、データ伝送装置4の構成を示すブロック図である。図6の接続関係で示すように、データ伝送装置4は、受信部11、データ処理部12、送信部13、及び記憶部14を備えて構成されている。受信部11は、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を、IP網3を介して受信する。データ処理部12は、受信部11が受信したIPパケット列を処理する。送信部13は、データ処理部12によって処理されたストリームデータを、ケーブルテレビ網5に送信する。記憶部14には、データ処理部12を動作させるためのプログラム15が格納されている。データ処理部12は、記憶部14からプログラム15を読み出して実行する。
【0037】
図7は、プログラム15を実行することによってデータ処理部12に実現される機能を示すブロック図である。図7の接続関係で示すように、データ処理部12は、置換部20、判別部21、同期部22、保持部23、判定部24、特定部25、生成部26、FEC(Forward Error Correction)部27、IP復元部28、及びTS復元部29を備えて構成されている。換言すれば、プログラム15は、データ伝送装置4に搭載されるコンピュータとしてのデータ処理部12を、置換部20、判別部21、同期部22、保持部23、判定部24、特定部25、生成部26、FEC部27、IP復元部28、及びTS復元部29として機能させるためのプログラムである。判定部24はレジスタ30を有しており、特定部25はレジスタ31を有している。
【0038】
図8は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第1の例を示す図である。図8には、連続する3つのIPパケットX100,X101,X102を示している。図8において、IPヘッダには「I」の略字を、RTPヘッダには「R」の略字を、MPEGパケットには「M」の略字を、それぞれ付している(以下同様)。各IPパケットX100〜X102には7個のMPEGパケットがそれぞれ格納されており、TSMFヘッダは格納されていないため、IPパケットX100〜X102はいずれも基準パケットではない。図8に示す例において、IPパケットX100のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「100」であり、IPパケットX101のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「101」であり、IPパケットX102のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「102」である。
【0039】
図7を参照して、IPパケット列を構成する複数のIPパケットは、受信部11から置換部20に順に入力される。置換部20は、受信部11から順に入力された各IPパケットのシーケンス番号に基づいて、データ送信装置2からデータ伝送装置4へのIPパケットの到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えを行う。図8を参照して、例えば、IPパケットX102がIPパケットX101より先に到着した場合には、置換部20に入力されるIPパケットのシーケンス番号は、「100」→「102」→「101」の順序となる。この場合、置換部20は、シーケンス番号が「102」のIPパケットX102と、シーケンス番号が「101」のIPパケットX101との順序を並び替えることにより、IPパケットX100→X101→X102の順に正しく並ぶIPパケット列を出力する。なお、IPパケットの到着順序の前後を是正するための上記処理に加えて、同一のIPパケットを複数回受信した場合に、2回目以降に受信したIPパケットを削除する処理を行ってもよい。
【0040】
図7を参照して、置換部20から出力されたIPパケット列は、判別部21、判定部24、FEC部27、及びIP復元部28に入力される。
【0041】
判別部21は、置換部20から入力されたIPパケット列内でTSMFヘッダを検出することにより、当該IPパケット列の方式が複数TS伝送方式であることを判別し、データ伝送装置4を複数TS伝送方式に対応する動作モードに設定する。一方、判別部21は、置換部20から入力されたIPパケット列内でTSMFヘッダを検出しないことにより、当該IPパケット列の方式が単一TS伝送方式であることを判別し、データ伝送装置4を単一TS伝送方式に対応する動作モードに設定する。この例では、複数TS伝送方式が採用されており、判別部21はTSMFヘッダを検出するため、データ伝送装置4は複数TS伝送方式に対応する動作モードに設定される。
【0042】
同期部22は、IPパケット列内に所定の間隔(53個のパケット毎)でTSMFヘッダが配置されていることを確認し、最新のTSMFヘッダを保持部23に入力する。保持部23は、同期部22から入力された最新のTSMFヘッダを保持する。
【0043】
判定部24は、受信部11から順に入力された各IPパケットのシーケンス番号に基づいて、IPパケットの欠損が生じているか否かを判定する。つまり、データ送信装置2から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、受信部11が受信していないIPパケット(以下「欠損パケット」と称す)が有るか否かを判定する。具体的には、受信部11から入力されたIPパケットのシーケンス番号をレジスタ30に格納し、今回入力されたIPパケットのシーケンス番号と、レジスタ30に格納されている前回入力されたIPパケットのシーケンス番号とを比較する。そして、その差が「2」以上であれば、IPパケットの欠損が生じていると判定する。
【0044】
図8に示した例では、IPパケットX101のシーケンス番号「101」とIPパケットX100のシーケンス番号「100」との差は「1」であり、IPパケットX102のシーケンス番号「102」とIPパケットX101のシーケンス番号「101」との差も「1」であり、差はいずれも「2」未満であるため、判定部24はIPパケットの欠損は生じていないと判定する。
【0045】
図7を参照して、特定部25が有するレジスタ31には、MPEGパケットのカウント値が格納されている。このカウント値は、TSMFヘッダを検出する度に「1」にリセットされ、その後、各IPパケット内に含まれるMPEGパケットの個数に等しい数だけ、IPパケット毎にカウント値がインクリメントされる。つまり、レジスタ31のカウント値は、各IPパケットの最後尾に格納されているMPEGパケットのスロット番号に等しくなる。図8に示した例では、レジスタ31のカウント値は、IPパケットX100に対応して「30」となり、IPパケットX101に対応して「37」となり、IPパケットX102に対応して「44」となる。
【0046】
判定部24によってIPパケットの欠損が生じていないと判定された場合は、生成部26、FEC部27、及びIP復元部28での処理はパスされ、TS復元部29においてIPパケットからMPEGパケットへの復元が行われた後、復元されたMPEGパケットが送信部13に入力される。
【0047】
図9は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第2の例を示す図である。図9には、図8に示したIPパケットX101が欠損した場合の例を示している。
【0048】
図9に示した例では、IPパケットX102のシーケンス番号「102」と、その直前のIPパケットX100のシーケンス番号「100」との差が「2」であり、その差が「2」以上となるため、判定部24はIPパケットの欠損が生じていると判定する。この例の場合、IPパケットX101が欠損パケットとなる。
【0049】
特定部25が有するレジスタ31のカウント値は、IPパケットX100に対応して「30」となっている。特定部25は、その時点でのレジスタ31のカウンタ値「30」に、IPパケットX102内に含まれているMPEGパケットの個数に等しい値を加算し、その加算値を、多重フレームのスロット番号の最大値である「53」と比較する。図9に示した例では、IPパケットX102内に含まれているMPEGパケットの個数は7個であり、加算値は「37」となるため、加算値「37」は「53」より小さくなる。パケットの欠損が生じており、かつ、加算値が「53」未満であることを示す情報は、特定部25から生成部26に入力される。
【0050】
この場合、生成部26は、ヌルパケットによって欠損パケットX101を補完するための補完パケットY101を生成する。図10は、補完パケットY101を示す図である。補完パケットY101には、IPヘッダ、RTPヘッダ、及び7個のヌルパケットが格納されている。図10において、ヌルパケットには「N」の略字を付している(以下同様)。各ヌルパケットのデータサイズは、MPEGパケットのデータサイズに等しい188バイトである。補完パケットY101のRTPヘッダには、欠損パケットX101のシーケンス番号に等しい「101」が記述される。なお、FEC部27(図7参照)による誤り訂正によって欠損パケットX101内のMPEGパケットのデータを復元できる場合には、FEC部27によって復元されたデータが生成部26に入力され、生成部26は、ヌルパケットではなくその復元されたデータを用いて補完パケットY101を生成する。
【0051】
補完パケットY101は、生成部26からIP復元部28に入力される。また、特定部25が有するレジスタ31のカウント値が、補完パケットY101内に含まれるヌルパケットの個数に等しい数だけインクリメントされる。この例の場合、IPパケットX100に対応して「30」となっていたレジスタ31の値が、補完パケットY101に対応して「37」にインクリメントされる。
【0052】
IP復元部28は、置換部20から入力されたIPパケット列(つまり受信部11が受信したIPパケット列)のうち、欠損パケットX101の位置に補完パケットY101を挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元する。図11は、復元されたIPパケット列を示す図である。置換部20からIP復元部28に入力されたIPパケット列(図9参照)のIPパケットX100とIPパケットX102との間に、生成部26からIP復元部28に入力された補完パケットY101が挿入されており、これにより、欠損パケットX101が補完パケットY101によって補完されたIPパケット列が復元されている。IP復元部28によって復元されたIPパケット列は、TS復元部29に入力される。
【0053】
TS復元部29は、IP復元部28から入力されたIPパケット列に対して、IPパケットからMPEGパケットへの復元を行い、その復元したMPEGパケットを送信部13に入力する。
【0054】
図12は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第3の例を示す図である。図12には、連続する3つのIPパケットX200,X201,X202を示している。図12において、TSMFヘッダには「T」の略字を付している(以下同様)。各IPパケットX200,X202には7個のMPEGパケットがそれぞれ格納されており、TSMFヘッダは格納されていないため、IPパケットX200,X202はいずれも基準パケットではない。IPパケットX201にはTSMFヘッダと6個のMPEGパケットとが格納されており、TSMFヘッダが格納されているため、IPパケットX201は基準パケットである。図12に示す例において、IPパケットX200のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「200」であり、IPパケットX201のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「201」であり、IPパケットX202のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「202」である。
【0055】
図12に示した例では、IPパケットX201のシーケンス番号「201」とIPパケットX200のシーケンス番号「200」との差は「1」であり、IPパケットX202のシーケンス番号「202」とIPパケットX201のシーケンス番号「201」との差も「1」であり、差はいずれも「2」未満であるため、判定部24はIPパケットの欠損は生じていないと判定する。
【0056】
上記の通り、特定部25が有するレジスタ31のカウント値は、TSMFヘッダを検出する度に「1」にリセットされ、その後、各IPパケット内に含まれるMPEGパケットの個数に等しい数だけ、IPパケット毎にカウント値がインクリメントされる。図12に示した例では、レジスタ31のカウント値は、IPパケットX200に対応して「50」となり、IPパケットX201に対応して「4」となり、IPパケットX202に対応して「11」となる。
【0057】
判定部24によってIPパケットの欠損が生じていないと判定された場合は、生成部26、FEC部27、及びIP復元部28での処理はパスされ、TS復元部29においてIPパケットからMPEGパケットへの復元が行われた後、復元されたMPEGパケットが送信部13に入力される。
【0058】
図13は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第4の例を示す図である。図13には、図12に示したIPパケットX201が欠損した場合の例を示している。
【0059】
図13に示した例では、IPパケットX202のシーケンス番号「202」と、その直前のIPパケットX200のシーケンス番号「200」との差が「2」であり、その差が「2」以上となるため、判定部24はIPパケットの欠損が生じていると判定する。この例の場合、基準パケットであるIPパケットX201が欠損パケットとなる。
【0060】
特定部25が有するレジスタ31のカウント値は、IPパケットX200に対応して「50」となっている。特定部25は、その時点でのレジスタ31のカウンタ値「50」に、1つのIPパケットに対応するスロット数「7」を加算した値「57」が、多重フレームのスロット番号の最大値である「53」を超えることにより、欠損パケットX201が基準パケットであることを検知する。また、特定部25は、欠損パケットX201に対応する7個のスロットのうち、「57」から「53」を減じた「4」番目のスロットに、TSMFヘッダが格納されていたことを特定する。基準パケットの欠損が生じており、かつ、この例において「4」番目のスロットにTSMFヘッダが格納されていたことを示す情報は、特定部25から生成部26に入力される。
【0061】
この場合、生成部26は、まず、ヌルパケットによって欠損パケットX201を補完するための補完パケットY201を生成する。図14は、補完パケットY201を示す図である。補完パケットY201には、IPヘッダ、RTPヘッダ、及び7個のヌルパケットが格納されている。補完パケットY201のRTPヘッダには、欠損パケットX201のシーケンス番号に等しい「201」が記述される。なお、FEC部27(図7参照)による誤り訂正によって欠損パケットX201内のMPEGパケットのデータを復元できる場合には、FEC部27によって復元されたデータが生成部26に入力され、生成部26は、ヌルパケットではなくその復元されたデータを用いて補完パケットY201を生成する。
【0062】
生成部26は、次に、保持部23によって保持されている最新のTSMFヘッダを読み出し、補完パケットY201に含まれる7個のヌルパケットのうち、この例において「4」番目のヌルパケットを、読み出した最新のTSMFヘッダによって置換する。図15は、置換後の補完パケットY201を示す図である。
【0063】
置換後の補完パケットY201は、生成部26からIP復元部28に入力される。また、特定部25が有するレジスタ31のカウント値が、補完パケットY201に応じてインクリメントされる。この例の場合、IPパケットX100に対応して「50」となっていたレジスタ31の値が、補完パケットY201の「4」番目に格納されているTSMFヘッダによって「1」にリセットされた後、TSMFヘッダ以降のヌルパケットの個数「3」だけインクリメントされることにより、レジスタ31のカウント値は「4」となる。
【0064】
IP復元部28は、置換部20から入力されたIPパケット列(つまり受信部11が受信したIPパケット列)のうち、欠損パケットX201の位置に、置換後の補完パケットY201を挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元する。図16は、復元されたIPパケット列を示す図である。置換部20からIP復元部28に入力されたIPパケット列(図13参照)のIPパケットX200とIPパケットX202との間に、生成部26からIP復元部28に入力された補完パケットY201が挿入されており、これにより、欠損パケットX201が補完パケットY201によって補完されたIPパケット列が復元されている。IP復元部28によって復元されたIPパケット列は、TS復元部29に入力される。
【0065】
TS復元部29は、IP復元部28から入力されたIPパケット列に対して、IPパケットからMPEGパケットへの復元を行い、その復元したMPEGパケットを送信部13に入力する。
【0066】
このように本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、生成部26は、判定部24によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成し、IP復元部28は、受信部11が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元する。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置4において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、欠損パケットが基準パケットである場合、生成部26は、保持部23が保持している基準データ(この例では最新のTSMFヘッダ)を用いて補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データを用いて生成された補完パケットが挿入されることによって、欠損した基準データを含むIPパケット列を復元することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、特定部25は、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定し、生成部26は、保持部23が保持している基準データを、特定部25が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データは、復元されたIPパケット列の適切な位置に格納されるため、基準データに基づく多重フレームの同期を確実にとることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、判別部21は、受信部11が受信したIPパケット列内でTSMFヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する。従って、TSMFヘッダを検出するか否かによって、複数TS伝送方式であるか単一TS伝送方式であるかを自動的に判別することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、生成部26は、受信部11が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正(この例ではFEC)によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成する。従って、ヌルパケットを埋めることによって補完パケットを生成する場合と比較すると、欠損したIPパケットを正しく復元することが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、判定部24は、受信部11が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定する。従って、単にパケット到着順序が前後しただけの場合には、IPパケットの欠損として処理する必要はなく、生成部26やIP復元部28による処理が不要となるため、データ処理部12の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0072】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
2 データ送信装置
3 IP網
4 データ伝送装置
6 ケーブルテレビ網
12 データ処理部
15 プログラム
20 置換部
21 判別部
22 同期部
23 保持部
24 判定部
25 特定部
26 生成部
27 FEC部
28 IP復元部
29 TS復元部
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法に関し、特に、複数TS(Transport Stream)伝送方式を用いた通信システムにおける、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルテレビ網を用いたBSデジタル放送の再送信サービスにおいては、BSデジタル放送の複数のトランスポートストリームを効率良く伝送するための方式として、複数TS伝送方式が採用されている(例えば下記非特許文献1参照)。
【0003】
複数TS伝送方式では、53個のスロットを有する多重フレーム(TSMF:Transport Streams Multiplexing Frame)が規定され、TS(トランスポートストリーム)の伝送は、多重フレームのフレーム構造にマッピングされて行われる。多重フレームの第1スロットには、TSパケットの形式をした多重フレームヘッダが格納される。第2スロット以降は、事業者等ごとに所定のスロットが割り当てられる。事業者の放送するMPEG2のTSパケットは、割り当てられたスロットに順に格納される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】社団法人日本CATV技術協会標準規格 JCTEA STD−002−5.0 デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置、社団法人日本CATV技術協会、2007年10月10日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データ送信装置(例えばケーブルテレビ通信システムの親局)からデータ伝送装置(例えば子局)へIP(Internet Protocol)網を介してトランスポートストリームを送信する場合には、多重フレームを複数のスロット単位で分割することにより、スロット順に並んで連続する複数のIPパケットとして、RTP(Real-time Transport Protocol)等によるデータ伝送が行われる。一つのIPパケットには、複数(例えば7個)のTSパケットが格納される。
【0006】
データ伝送装置は、定期的に受信する多重フレームヘッダに基づいて、多重フレームの同期処理を行う。ここで、多重フレームのスロット数が固定値であるため、多重フレームヘッダの送信間隔は等間隔である。従って、データ伝送装置は、多重フレームヘッダが格納されているIPパケットを受信した場合には、次の多重フレームヘッダが格納されているIPパケットを予想することができ、その予想したIPパケットから多重フレームヘッダを抽出する。
【0007】
しかし、IP網を介したデータ伝送では、IP網においてIPパケットが欠損し、一部のIPパケットがデータ送信装置からデータ伝送装置に到達しない状況が生じ得る。一つのIPパケットが欠損すると、その中に格納されている複数のTSパケットがまとめて欠損することとなる。従って、次の多重フレームヘッダが格納されているIPパケットの予想が大幅にずれ、予想したIPパケットから多重フレームヘッダを抽出できないため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がある。次の多重フレームヘッダを検出することによって同期が復旧するまでは、その間に受信したTSパケットは全て廃棄せざるを得ないため、一旦IPパケットの欠損が生じると、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されることとなり、その影響が大きい。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、データ送信装置からデータ伝送装置へのデータ伝送において、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能な、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係るデータ伝送装置は、データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置であって、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信する受信部と、前記受信部が受信したIPパケット列を処理するデータ処理部と、を備え、前記データ処理部は、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記受信部が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、前記受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、を有することを特徴とするものである。
【0010】
第1の態様に係るデータ伝送装置によれば、生成手段は、判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成し、復元手段は、受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0011】
本発明の第2の態様に係るデータ伝送装置は、第1の態様に係るデータ伝送装置において特に、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列には、多重フレーム内の複数のストリームデータに関する情報を記述する基準データが格納されたIPパケットである基準パケットが含まれ、前記受信部が過去に受信した基準パケットに含まれる基準データを保持する保持手段をさらに備え、欠損パケットが基準パケットである場合、前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを用いて補完パケットを生成することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、「基準データ」には、例えば複数TS伝送方式における多重フレームヘッダが含まれる。
【0013】
第2の態様に係るデータ伝送装置によれば、欠損パケットが基準パケットである場合、生成手段は、保持手段が保持している基準データを用いて補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データを用いて生成された補完パケットが挿入されることによって、欠損した基準データを含むIPパケット列を復元することが可能となる。
【0014】
本発明の第3の態様に係るデータ伝送装置は、第2の態様に係るデータ伝送装置において特に、欠損パケットが基準パケットである場合に、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定する特定手段をさらに備え、前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを、前記特定手段が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成することを特徴とするものである。
【0015】
第3の態様に係るデータ伝送装置によれば、特定手段は、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定し、生成手段は、保持手段が保持している基準データを、特定手段が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データは、復元されたIPパケット列の適切な位置に格納されるため、基準データに基づく多重フレームの同期を確実にとることが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様に係るデータ伝送装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るデータ伝送装置において特に、前記基準パケットには、複数TS伝送方式における多重フレームヘッダが格納されており、前記データ処理部は、前記受信部が受信したIPパケット列内で多重フレームヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する判別手段をさらに有することを特徴とするものである。
【0017】
第4の態様に係るデータ伝送装置によれば、判別手段は、受信部が受信したIPパケット列内で多重フレームヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する。従って、多重フレームヘッダを検出するか否かによって、複数TS伝送方式であるか単一TS伝送方式であるかを自動的に判別することが可能となる。
【0018】
本発明の第5の態様に係るデータ伝送装置は、第1〜第4のいずれか一つの態様に係るデータ伝送装置において特に、前記生成手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成することを特徴とするものである。
【0019】
ここで、「所定の誤り訂正」には、例えばFEC(Forward Error Correction)パケットの利用が含まれる。
【0020】
第5の態様に係るデータ伝送装置によれば、生成手段は、受信部が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成する。従って、ヌルパケット(データの内容がヌルデータで埋められたTSパケット)を埋めることによって補完パケットを生成する場合と比較すると、欠損したIPパケットを正しく復元することが可能となる。
【0021】
本発明の第6の態様に係るデータ伝送装置は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係るデータ伝送装置において特に、前記判定手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定することを特徴とするものである。
【0022】
第6の態様に係るデータ伝送装置によれば、判定手段は、受信部が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定する。従って、単にパケット到着順序が前後しただけの場合には、IPパケットの欠損として処理する必要はなく、生成手段や復元手段による処理が不要となるため、データ処理部の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0023】
本発明の第7の態様に係るプログラムは、データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置に搭載されたコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、前記コンピュータを、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、として機能させることを特徴とするものである。
【0024】
第7の態様に係るプログラムによれば、生成手段は、判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成し、復元手段は、受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0025】
本発明の第8の態様に係るデータ伝送方法は、データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置におけるデータ伝送方法であって、前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、(A)前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定するステップと、(B)前記ステップ(A)において欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成するステップと、(C)前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元するステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0026】
第8の態様に係るデータ伝送方法によれば、ステップ(B)では、ステップ(A)において欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットが生成され、ステップ(C)では、データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットが挿入されることにより、データ送信装置から送信されたIPパケット列が復元される。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、データ送信装置からデータ伝送装置へのデータ伝送において、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能な、データ伝送装置、プログラム、及びデータ伝送方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの全体構成を示す図である。
【図2】多重フレームのフレーム構造を示す図である。
【図3】データ送信装置から送信されるストリームデータを示す図である。
【図4】一つのIPパケットの例を示す図である。
【図5】一つのIPパケットの例を示す図である。
【図6】データ伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図7】プログラムを実行することによってデータ処理部に実現される機能を示すブロック図である。
【図8】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第1の例を示す図である。
【図9】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第2の例を示す図である。
【図10】補完パケットを示す図である。
【図11】復元されたIPパケット列を示す図である。
【図12】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第3の例を示す図である。
【図13】受信部が受信したIPパケット列の一部についての第4の例を示す図である。
【図14】補完パケットを示す図である。
【図15】置換後の補完パケットを示す図である。
【図16】復元されたIPパケット列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システム1の全体構成を示す図である。通信システム1は、例えば、ケーブルテレビ網を用いたBSデジタル放送の再送信サービスを提供するためのシステムである。図1に示すように、通信システム1は、データ送信装置2、IP(Internet Protocol)網3、データ伝送装置4、変調部5、ケーブルテレビ網6、及びSTB(Set Top Box)7を備えて構成されている。データ送信装置2及びデータ伝送装置4は、IP網3に接続されている。データ伝送装置4は、変調部5に接続されている。変調部5及びSTB7は、ケーブルテレビ網6に接続されている。STB7は、テレビ8に接続されている。
【0031】
データ送信装置2は、例えばケーブルテレビ通信システムの親局であり、データ伝送装置4は、当該システムの例えば子局である。データ伝送装置4は、データ送信装置2からIP網3を介して受信したBSデジタル放送のストリームデータ(動画や音声等の連続的に送信されるデータ送信方式(全てのデータを受信し終える前に再生が可能な方式)によって送信されるデータ)を、変調部5を介してケーブルテレビ網6に放送波として伝送する。STB7は、ケーブルテレビ網6から放送波を受信する。これにより、テレビ8においてBSデジタル放送の視聴が可能となる。
【0032】
通信システム1においては、BSデジタル放送の複数のストリームデータを効率良く伝送するための方式として、複数TS伝送方式が採用されている。複数TS伝送方式では、53個のスロットを有する多重フレーム(TSMF:Transport Streams Multiplexing Frame)が規定され、ストリームデータの伝送は、多重フレームのフレーム構造を維持したまま行われる。
【0033】
図2は、多重フレームのフレーム構造を示す図である。多重フレームの第1スロット(スロット番号「1」)には、TSパケットの形式をした多重フレームヘッダ(以下「TSMFヘッダ」と称す)が格納される。第2スロット以降には、MPEG2等によって圧縮符号化されたストリームデータを格納するTSパケット(以下「MPEGパケット」と称す)が、事業者等毎に割り当てられた所定のスロットに格納される。各スロットのデータサイズは、MPEGパケットのデータサイズに等しい188バイトである。TSMFヘッダには、各スロットへのMPEGパケットの配置情報等の、多重フレーム内の複数のストリームデータに関する情報を記述する基準データが記述される。
【0034】
図3は、データ送信装置2から送信されるストリームデータを示す図である。図3に示すように、データ送信装置2からデータ伝送装置4へIP網3を介してストリームデータを送信する場合には、多重フレームを複数(以下の例では7個)のスロット単位で分割することにより、スロット順に並んで連続する複数のIPパケットの列(以下「IPパケット列」と称す)として、RTP(Real-time Transport Protocol)等によるデータ伝送が行われる。
【0035】
図4,5は、一つのIPパケットの例をそれぞれ示す図である。図4に示すIPパケットには、多重フレームの第1スロットから第7スロットのデータが格納されており、IPヘッダ、RTPヘッダ、第1スロットに対応するTSMFヘッダ、及び第2〜第7スロットに対応する6個のMPEGパケットが格納されている。以下、本明細書においては、TSMFヘッダが格納されているIPパケットを、他のIPパケットと区別するために「基準パケット」とも称す。図5に示すIPパケットには、7個のMPEGパケットが格納されている。図5に示すIPパケットにはTSMFヘッダが格納されていないため、当該IPパケットは基準パケットではない。図4,5に示すIPパケットにおいて、RTPヘッダには、IPパケット列を構成する複数のIPパケット間で連続する、例えば2〜4バイト程度のシーケンス番号が記述されている。
【0036】
図6は、データ伝送装置4の構成を示すブロック図である。図6の接続関係で示すように、データ伝送装置4は、受信部11、データ処理部12、送信部13、及び記憶部14を備えて構成されている。受信部11は、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を、IP網3を介して受信する。データ処理部12は、受信部11が受信したIPパケット列を処理する。送信部13は、データ処理部12によって処理されたストリームデータを、ケーブルテレビ網5に送信する。記憶部14には、データ処理部12を動作させるためのプログラム15が格納されている。データ処理部12は、記憶部14からプログラム15を読み出して実行する。
【0037】
図7は、プログラム15を実行することによってデータ処理部12に実現される機能を示すブロック図である。図7の接続関係で示すように、データ処理部12は、置換部20、判別部21、同期部22、保持部23、判定部24、特定部25、生成部26、FEC(Forward Error Correction)部27、IP復元部28、及びTS復元部29を備えて構成されている。換言すれば、プログラム15は、データ伝送装置4に搭載されるコンピュータとしてのデータ処理部12を、置換部20、判別部21、同期部22、保持部23、判定部24、特定部25、生成部26、FEC部27、IP復元部28、及びTS復元部29として機能させるためのプログラムである。判定部24はレジスタ30を有しており、特定部25はレジスタ31を有している。
【0038】
図8は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第1の例を示す図である。図8には、連続する3つのIPパケットX100,X101,X102を示している。図8において、IPヘッダには「I」の略字を、RTPヘッダには「R」の略字を、MPEGパケットには「M」の略字を、それぞれ付している(以下同様)。各IPパケットX100〜X102には7個のMPEGパケットがそれぞれ格納されており、TSMFヘッダは格納されていないため、IPパケットX100〜X102はいずれも基準パケットではない。図8に示す例において、IPパケットX100のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「100」であり、IPパケットX101のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「101」であり、IPパケットX102のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「102」である。
【0039】
図7を参照して、IPパケット列を構成する複数のIPパケットは、受信部11から置換部20に順に入力される。置換部20は、受信部11から順に入力された各IPパケットのシーケンス番号に基づいて、データ送信装置2からデータ伝送装置4へのIPパケットの到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えを行う。図8を参照して、例えば、IPパケットX102がIPパケットX101より先に到着した場合には、置換部20に入力されるIPパケットのシーケンス番号は、「100」→「102」→「101」の順序となる。この場合、置換部20は、シーケンス番号が「102」のIPパケットX102と、シーケンス番号が「101」のIPパケットX101との順序を並び替えることにより、IPパケットX100→X101→X102の順に正しく並ぶIPパケット列を出力する。なお、IPパケットの到着順序の前後を是正するための上記処理に加えて、同一のIPパケットを複数回受信した場合に、2回目以降に受信したIPパケットを削除する処理を行ってもよい。
【0040】
図7を参照して、置換部20から出力されたIPパケット列は、判別部21、判定部24、FEC部27、及びIP復元部28に入力される。
【0041】
判別部21は、置換部20から入力されたIPパケット列内でTSMFヘッダを検出することにより、当該IPパケット列の方式が複数TS伝送方式であることを判別し、データ伝送装置4を複数TS伝送方式に対応する動作モードに設定する。一方、判別部21は、置換部20から入力されたIPパケット列内でTSMFヘッダを検出しないことにより、当該IPパケット列の方式が単一TS伝送方式であることを判別し、データ伝送装置4を単一TS伝送方式に対応する動作モードに設定する。この例では、複数TS伝送方式が採用されており、判別部21はTSMFヘッダを検出するため、データ伝送装置4は複数TS伝送方式に対応する動作モードに設定される。
【0042】
同期部22は、IPパケット列内に所定の間隔(53個のパケット毎)でTSMFヘッダが配置されていることを確認し、最新のTSMFヘッダを保持部23に入力する。保持部23は、同期部22から入力された最新のTSMFヘッダを保持する。
【0043】
判定部24は、受信部11から順に入力された各IPパケットのシーケンス番号に基づいて、IPパケットの欠損が生じているか否かを判定する。つまり、データ送信装置2から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、受信部11が受信していないIPパケット(以下「欠損パケット」と称す)が有るか否かを判定する。具体的には、受信部11から入力されたIPパケットのシーケンス番号をレジスタ30に格納し、今回入力されたIPパケットのシーケンス番号と、レジスタ30に格納されている前回入力されたIPパケットのシーケンス番号とを比較する。そして、その差が「2」以上であれば、IPパケットの欠損が生じていると判定する。
【0044】
図8に示した例では、IPパケットX101のシーケンス番号「101」とIPパケットX100のシーケンス番号「100」との差は「1」であり、IPパケットX102のシーケンス番号「102」とIPパケットX101のシーケンス番号「101」との差も「1」であり、差はいずれも「2」未満であるため、判定部24はIPパケットの欠損は生じていないと判定する。
【0045】
図7を参照して、特定部25が有するレジスタ31には、MPEGパケットのカウント値が格納されている。このカウント値は、TSMFヘッダを検出する度に「1」にリセットされ、その後、各IPパケット内に含まれるMPEGパケットの個数に等しい数だけ、IPパケット毎にカウント値がインクリメントされる。つまり、レジスタ31のカウント値は、各IPパケットの最後尾に格納されているMPEGパケットのスロット番号に等しくなる。図8に示した例では、レジスタ31のカウント値は、IPパケットX100に対応して「30」となり、IPパケットX101に対応して「37」となり、IPパケットX102に対応して「44」となる。
【0046】
判定部24によってIPパケットの欠損が生じていないと判定された場合は、生成部26、FEC部27、及びIP復元部28での処理はパスされ、TS復元部29においてIPパケットからMPEGパケットへの復元が行われた後、復元されたMPEGパケットが送信部13に入力される。
【0047】
図9は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第2の例を示す図である。図9には、図8に示したIPパケットX101が欠損した場合の例を示している。
【0048】
図9に示した例では、IPパケットX102のシーケンス番号「102」と、その直前のIPパケットX100のシーケンス番号「100」との差が「2」であり、その差が「2」以上となるため、判定部24はIPパケットの欠損が生じていると判定する。この例の場合、IPパケットX101が欠損パケットとなる。
【0049】
特定部25が有するレジスタ31のカウント値は、IPパケットX100に対応して「30」となっている。特定部25は、その時点でのレジスタ31のカウンタ値「30」に、IPパケットX102内に含まれているMPEGパケットの個数に等しい値を加算し、その加算値を、多重フレームのスロット番号の最大値である「53」と比較する。図9に示した例では、IPパケットX102内に含まれているMPEGパケットの個数は7個であり、加算値は「37」となるため、加算値「37」は「53」より小さくなる。パケットの欠損が生じており、かつ、加算値が「53」未満であることを示す情報は、特定部25から生成部26に入力される。
【0050】
この場合、生成部26は、ヌルパケットによって欠損パケットX101を補完するための補完パケットY101を生成する。図10は、補完パケットY101を示す図である。補完パケットY101には、IPヘッダ、RTPヘッダ、及び7個のヌルパケットが格納されている。図10において、ヌルパケットには「N」の略字を付している(以下同様)。各ヌルパケットのデータサイズは、MPEGパケットのデータサイズに等しい188バイトである。補完パケットY101のRTPヘッダには、欠損パケットX101のシーケンス番号に等しい「101」が記述される。なお、FEC部27(図7参照)による誤り訂正によって欠損パケットX101内のMPEGパケットのデータを復元できる場合には、FEC部27によって復元されたデータが生成部26に入力され、生成部26は、ヌルパケットではなくその復元されたデータを用いて補完パケットY101を生成する。
【0051】
補完パケットY101は、生成部26からIP復元部28に入力される。また、特定部25が有するレジスタ31のカウント値が、補完パケットY101内に含まれるヌルパケットの個数に等しい数だけインクリメントされる。この例の場合、IPパケットX100に対応して「30」となっていたレジスタ31の値が、補完パケットY101に対応して「37」にインクリメントされる。
【0052】
IP復元部28は、置換部20から入力されたIPパケット列(つまり受信部11が受信したIPパケット列)のうち、欠損パケットX101の位置に補完パケットY101を挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元する。図11は、復元されたIPパケット列を示す図である。置換部20からIP復元部28に入力されたIPパケット列(図9参照)のIPパケットX100とIPパケットX102との間に、生成部26からIP復元部28に入力された補完パケットY101が挿入されており、これにより、欠損パケットX101が補完パケットY101によって補完されたIPパケット列が復元されている。IP復元部28によって復元されたIPパケット列は、TS復元部29に入力される。
【0053】
TS復元部29は、IP復元部28から入力されたIPパケット列に対して、IPパケットからMPEGパケットへの復元を行い、その復元したMPEGパケットを送信部13に入力する。
【0054】
図12は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第3の例を示す図である。図12には、連続する3つのIPパケットX200,X201,X202を示している。図12において、TSMFヘッダには「T」の略字を付している(以下同様)。各IPパケットX200,X202には7個のMPEGパケットがそれぞれ格納されており、TSMFヘッダは格納されていないため、IPパケットX200,X202はいずれも基準パケットではない。IPパケットX201にはTSMFヘッダと6個のMPEGパケットとが格納されており、TSMFヘッダが格納されているため、IPパケットX201は基準パケットである。図12に示す例において、IPパケットX200のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「200」であり、IPパケットX201のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「201」であり、IPパケットX202のRTPヘッダに記述されているシーケンス番号は「202」である。
【0055】
図12に示した例では、IPパケットX201のシーケンス番号「201」とIPパケットX200のシーケンス番号「200」との差は「1」であり、IPパケットX202のシーケンス番号「202」とIPパケットX201のシーケンス番号「201」との差も「1」であり、差はいずれも「2」未満であるため、判定部24はIPパケットの欠損は生じていないと判定する。
【0056】
上記の通り、特定部25が有するレジスタ31のカウント値は、TSMFヘッダを検出する度に「1」にリセットされ、その後、各IPパケット内に含まれるMPEGパケットの個数に等しい数だけ、IPパケット毎にカウント値がインクリメントされる。図12に示した例では、レジスタ31のカウント値は、IPパケットX200に対応して「50」となり、IPパケットX201に対応して「4」となり、IPパケットX202に対応して「11」となる。
【0057】
判定部24によってIPパケットの欠損が生じていないと判定された場合は、生成部26、FEC部27、及びIP復元部28での処理はパスされ、TS復元部29においてIPパケットからMPEGパケットへの復元が行われた後、復元されたMPEGパケットが送信部13に入力される。
【0058】
図13は、受信部11が受信したIPパケット列の一部についての第4の例を示す図である。図13には、図12に示したIPパケットX201が欠損した場合の例を示している。
【0059】
図13に示した例では、IPパケットX202のシーケンス番号「202」と、その直前のIPパケットX200のシーケンス番号「200」との差が「2」であり、その差が「2」以上となるため、判定部24はIPパケットの欠損が生じていると判定する。この例の場合、基準パケットであるIPパケットX201が欠損パケットとなる。
【0060】
特定部25が有するレジスタ31のカウント値は、IPパケットX200に対応して「50」となっている。特定部25は、その時点でのレジスタ31のカウンタ値「50」に、1つのIPパケットに対応するスロット数「7」を加算した値「57」が、多重フレームのスロット番号の最大値である「53」を超えることにより、欠損パケットX201が基準パケットであることを検知する。また、特定部25は、欠損パケットX201に対応する7個のスロットのうち、「57」から「53」を減じた「4」番目のスロットに、TSMFヘッダが格納されていたことを特定する。基準パケットの欠損が生じており、かつ、この例において「4」番目のスロットにTSMFヘッダが格納されていたことを示す情報は、特定部25から生成部26に入力される。
【0061】
この場合、生成部26は、まず、ヌルパケットによって欠損パケットX201を補完するための補完パケットY201を生成する。図14は、補完パケットY201を示す図である。補完パケットY201には、IPヘッダ、RTPヘッダ、及び7個のヌルパケットが格納されている。補完パケットY201のRTPヘッダには、欠損パケットX201のシーケンス番号に等しい「201」が記述される。なお、FEC部27(図7参照)による誤り訂正によって欠損パケットX201内のMPEGパケットのデータを復元できる場合には、FEC部27によって復元されたデータが生成部26に入力され、生成部26は、ヌルパケットではなくその復元されたデータを用いて補完パケットY201を生成する。
【0062】
生成部26は、次に、保持部23によって保持されている最新のTSMFヘッダを読み出し、補完パケットY201に含まれる7個のヌルパケットのうち、この例において「4」番目のヌルパケットを、読み出した最新のTSMFヘッダによって置換する。図15は、置換後の補完パケットY201を示す図である。
【0063】
置換後の補完パケットY201は、生成部26からIP復元部28に入力される。また、特定部25が有するレジスタ31のカウント値が、補完パケットY201に応じてインクリメントされる。この例の場合、IPパケットX100に対応して「50」となっていたレジスタ31の値が、補完パケットY201の「4」番目に格納されているTSMFヘッダによって「1」にリセットされた後、TSMFヘッダ以降のヌルパケットの個数「3」だけインクリメントされることにより、レジスタ31のカウント値は「4」となる。
【0064】
IP復元部28は、置換部20から入力されたIPパケット列(つまり受信部11が受信したIPパケット列)のうち、欠損パケットX201の位置に、置換後の補完パケットY201を挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元する。図16は、復元されたIPパケット列を示す図である。置換部20からIP復元部28に入力されたIPパケット列(図13参照)のIPパケットX200とIPパケットX202との間に、生成部26からIP復元部28に入力された補完パケットY201が挿入されており、これにより、欠損パケットX201が補完パケットY201によって補完されたIPパケット列が復元されている。IP復元部28によって復元されたIPパケット列は、TS復元部29に入力される。
【0065】
TS復元部29は、IP復元部28から入力されたIPパケット列に対して、IPパケットからMPEGパケットへの復元を行い、その復元したMPEGパケットを送信部13に入力する。
【0066】
このように本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、生成部26は、判定部24によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成し、IP復元部28は、受信部11が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元する。従って、IPパケットの欠損が生じた場合であっても、データ送信装置2から送信されたIPパケット列を復元することによって、多重フレームの同期だけは維持できるため、データ伝送装置4において多重フレームの同期処理をやり直す必要がない。その結果、同期が復旧するまで適切な受信動作が大幅に中断されるという事態を回避できるため、IPパケットの欠損に伴う影響を最小限に抑えることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、欠損パケットが基準パケットである場合、生成部26は、保持部23が保持している基準データ(この例では最新のTSMFヘッダ)を用いて補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データを用いて生成された補完パケットが挿入されることによって、欠損した基準データを含むIPパケット列を復元することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、特定部25は、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定し、生成部26は、保持部23が保持している基準データを、特定部25が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成する。従って、基準パケットが欠損した場合であっても、基準データは、復元されたIPパケット列の適切な位置に格納されるため、基準データに基づく多重フレームの同期を確実にとることが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、判別部21は、受信部11が受信したIPパケット列内でTSMFヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する。従って、TSMFヘッダを検出するか否かによって、複数TS伝送方式であるか単一TS伝送方式であるかを自動的に判別することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、生成部26は、受信部11が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正(この例ではFEC)によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成する。従って、ヌルパケットを埋めることによって補完パケットを生成する場合と比較すると、欠損したIPパケットを正しく復元することが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態に係るデータ伝送装置4によれば、判定部24は、受信部11が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定する。従って、単にパケット到着順序が前後しただけの場合には、IPパケットの欠損として処理する必要はなく、生成部26やIP復元部28による処理が不要となるため、データ処理部12の処理負荷を軽減することが可能となる。
【0072】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0073】
2 データ送信装置
3 IP網
4 データ伝送装置
6 ケーブルテレビ網
12 データ処理部
15 プログラム
20 置換部
21 判別部
22 同期部
23 保持部
24 判定部
25 特定部
26 生成部
27 FEC部
28 IP復元部
29 TS復元部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置であって、
多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信する受信部と、
前記受信部が受信したIPパケット列を処理するデータ処理部と、
を備え、
前記データ処理部は、
前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記受信部が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、
前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、
前記受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、
を有する、データ伝送装置。
【請求項2】
前記データ送信装置から送信されたIPパケット列には、多重フレーム内の複数のストリームデータに関する情報を記述する基準データが格納されたIPパケットである基準パケットが含まれ、
前記受信部が過去に受信した基準パケットに含まれる基準データを保持する保持手段をさらに備え、
欠損パケットが基準パケットである場合、前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを用いて補完パケットを生成する、請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
欠損パケットが基準パケットである場合に、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定する特定手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを、前記特定手段が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成する、請求項2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記基準パケットには、複数TS伝送方式における多重フレームヘッダが格納されており、
前記データ処理部は、前記受信部が受信したIPパケット列内で多重フレームヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する判別手段をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成する、請求項1〜4のいずれか一つに記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定する、請求項1〜5のいずれか一つに記載のデータ伝送装置。
【請求項7】
データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置に搭載されたコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、
前記コンピュータを、
前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、
前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、
前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置におけるデータ伝送方法であって、
前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、
(A)前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定するステップと、
(B)前記ステップ(A)において欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成するステップと、
(C)前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元するステップと、
を備える、データ伝送方法。
【請求項1】
データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置であって、
多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信する受信部と、
前記受信部が受信したIPパケット列を処理するデータ処理部と、
を備え、
前記データ処理部は、
前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記受信部が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、
前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、
前記受信部が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、
を有する、データ伝送装置。
【請求項2】
前記データ送信装置から送信されたIPパケット列には、多重フレーム内の複数のストリームデータに関する情報を記述する基準データが格納されたIPパケットである基準パケットが含まれ、
前記受信部が過去に受信した基準パケットに含まれる基準データを保持する保持手段をさらに備え、
欠損パケットが基準パケットである場合、前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを用いて補完パケットを生成する、請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
欠損パケットが基準パケットである場合に、補完パケット内において基準データが格納されるべき位置を特定する特定手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記保持手段が保持している基準データを、前記特定手段が特定した位置に挿入することにより、補完パケットを生成する、請求項2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記基準パケットには、複数TS伝送方式における多重フレームヘッダが格納されており、
前記データ処理部は、前記受信部が受信したIPパケット列内で多重フレームヘッダを検出することにより、複数TS伝送方式によるデータ伝送であることを判別する判別手段をさらに有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対する所定の誤り訂正によって復元されたデータを用いて補完パケットを生成する、請求項1〜4のいずれか一つに記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記受信部が受信したIPパケット列に対して、パケット到着順序の前後を是正するためのIPパケットの並び替えが行われた後のIPパケット列を対象として、欠損パケットの有無を判定する、請求項1〜5のいずれか一つに記載のデータ伝送装置。
【請求項7】
データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置に搭載されたコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、
前記コンピュータを、
前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定する判定手段と、
前記判定手段によって欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成する生成手段と、
前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元する復元手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
データ送信装置からIP(Internet Protocol)網を介して受信したストリームデータを他の通信網に伝送するデータ伝送装置におけるデータ伝送方法であって、
前記データ伝送装置は、多重化された複数のストリームデータを含む所定の多重フレームが分割して格納された、連続する複数のIPパケットを含むIPパケット列を、前記データ送信装置から前記IP網を介して受信し、
(A)前記データ送信装置から送信されたIPパケット列に含まれる複数のIPパケットのうち、前記データ伝送装置が受信していないIPパケットである欠損パケットの有無を判定するステップと、
(B)前記ステップ(A)において欠損パケットが有ると判定された場合に、欠損パケットを補完するためのIPパケットである補完パケットを生成するステップと、
(C)前記データ伝送装置が受信したIPパケット列のうち欠損パケットの位置に補完パケットを挿入することにより、前記データ送信装置から送信されたIPパケット列を復元するステップと、
を備える、データ伝送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図16】
【公開番号】特開2012−124638(P2012−124638A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272373(P2010−272373)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【出願人】(500241273)株式会社ブロードネットマックス (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【出願人】(500241273)株式会社ブロードネットマックス (10)
【Fターム(参考)】
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