説明

データ作成装置、データ作成方法、データ作成用プログラム、描画装置、描画方法、描画用プログラム、および、コンピュータ読取可能な記録媒体

【課題】階調データの生成に際して処理時間の短縮化を図ることである。
【解決手段】オーバーサンプリング処理では、各画素には複数のサブピクセルが対応し、複数のサブピクセルのサンプリング位置の中の、表示される図形の輪郭線や骨格部分の内部に含まれる数によって、各画素の階調値が決まる。(a)に示された、各サブピクセルの中央をサンプリング位置として生成された階調データと、(b)に示された、各サブピクセルの下端中央をサンプリング位置として生成された階調データとが、対応する画素の階調値をそのまま足し合わせることによりマージされて、(c)に示された階調データが生成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の階調データの作成に関し、特に、画像の階調データの作成における処理速度の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図形等の元画像から画素ごとの画像の階調データを生成する場合、たとえば面積階調方式によって階調データが作成されていた。面積階調方式は、非特許文献1に記載されるように、複数のドットが含まれるマトリクスを設定し、この中にいくつかドットを配置するかによって疑似的に濃度を変える手法である。そして、面積階調方式を利用した階調データの生成については、図10を参照して説明する。
【0003】
図10(A)には、階調データを生成される画素(縦4画素×横8画素)が示されている。なお、図10(A)には、各画素に対応する、元画像の輪郭線が領域X1として示されている。
【0004】
面積階調方式が利用されて各画素の階調データが作成される際には、各画素に対して、図10(B)に示されるように、たとえば10×10のサブピクセルを定義し、画素ごとに、元画像の輪郭線に囲まれたサブピクセルのサンプリング点の数が係数されていた。具体的には、図10(B)には、第1行第4列目の画素のサブピクセルが拡大されて模式的に示されている。そして、図10に示されたような例では、各画素の階調データが作成される際には、各画素の100個のサブピクセルのそれぞれについてそのサンプリング点が輪郭線の内部に存在するか否かが判断される。これにより、各画素について、輪郭線の内部にサンプリング点が存在するサブピクセルの数が計数される。そして、各画素の階調値は、当該計数値に基づいて決定される。
【0005】
図10(B)では、各サブピクセルのサンプリング点が、各サブピクセルの中央部分のドットで示されている。そして、図10(B)では100個のサブピクセルのサンプリング点の中の75個のサンプリング点が輪郭線(領域X1)の内部に位置している。このため、図10(A)の第1行第4列目の画素の階調値は75%とされる。
【非特許文献1】“Tech-On!”、[online]、日経BP社、[平成20年8月25日検索]、インターネット〈http://techon.nikkeibp.co.jp/article/WORD/20061215/125470/〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の階調データの生成では、各画素について、100等の多くのサブピクセルについて、サンプリング位置が輪郭線の内部に位置するか否かを判断する必要があった。したがって、処理時間が長くなってしまうとう不都合が生じていた。
【0007】
本発明は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、階調データの生成に際して処理時間の短縮化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従ったデータ作成装置は、図形を表示装置に表示するための画像データを作成するデータ作成装置であって、前記図形の基本部分を示す情報を記憶する第1の記憶手段と、前記図形の基本部分以外の部分の階調データをオーバーサンプリング処理によって生成する階調生成手段と、前記オーバーサンプリング処理を実行するための情報であるオーバーサンプリング情報を記憶するための第2の記憶手段とを備え、前記階調生成手段は、前記第2の記憶手段から抽出したオーバーサンプリング情報に基づいて前記階調データを生成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に従ったデータ作成装置では、前記オーバーサンプリング情報は、各画素に対するサンプリング数またはサブピクセルにおける着色のサンプリング位置を特定する情報であることが好ましい。
【0010】
また、本発明に従ったデータ作成装置では、前記階調生成手段は、前記図形についての指標に基づいて前記オーバーサンプリング情報を抽出することが好ましい。
【0011】
また、本発明に従ったデータ作成装置は、前記図形の基本部分を示す情報に基づいて、前記図形を当該図形の基本部分の傾きごとにブロックに分割するブロック分割手段をさらに備え、前記図形についての指標は、前記図形のブロックごとの傾きであることが好ましい。
【0012】
また、本発明に従ったデータ作成装置では、前記階調生成手段は、サブピクセルにおいて異なるサンプリング位置で着色を取得し、各サンプリング位置で着色を取得したことにより取得した各画素の階調データの平均値を算出することにより各画素の階調データを生成することが好ましい。
【0013】
また、本発明に従ったデータ作成装置では、前記階調生成手段は、サブピクセルにおいて異なるサンプリング位置で着色を取得し、各サンプリング位置で着色を取得したことにより取得した各画素の階調データに重みをつけて算出することにより各画素の階調データを生成することが好ましい。
【0014】
本発明に従った描画装置は、上記したデータ作成装置によって作成された画像データに基づいて前記表示装置に前記図形を表示させる描画装置であって、前記階調データに基づいて、図形の表示色の表示データと背景の表示色の表示データとを混合することにより表示用データを生成する、データ混合手段と、前記データ混合手段が生成した表示用データを前記表示装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明に従ったデータ作成方法は、図形を表示装置に表示するための画像データを作成するデータ作成方法であって、第1の記憶手段が、前記図形の基本部分を示す情報を記憶するステップと、階調生成手段が、前記図形の基本部分以外の部分の階調データをオーバーサンプリング処理によって生成するステップと、第2の記憶手段が、前記オーバーサンプリング処理を実行するための情報であるオーバーサンプリング情報を記憶するステップとを備え、前記階調データを生成するステップは、前記第2の記憶手段からオーバーサンプリング情報を抽出し、当該抽出したオーバーサンプリング情報に基づいて前記階調データを生成することを特徴とする。
【0016】
本発明に従った描画方法は、上記したデータ作成方法によって作成された画像データを、前記表示装置に送信することにより前記表示装置において前記図形を表示させる描画方法であって、前記階調データに基づいて図形の表示色の表示データと背景の表示色の表示データとを混合することにより表示用データを生成するステップと、前記表示用データを前記表示装置に送信するステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に従ったデータ作成方法は、図形を表示装置に表示するための画像データを作成するデータ作成方法であって、コンピュータに、第1の記憶手段が、前記図形の基本部分を示す情報を記憶するステップと、階調生成手段が、前記図形の基本部分以外の部分の階調データをオーバーサンプリング処理によって生成するステップと、第2の記憶手段が、前記オーバーサンプリング処理を実行するための情報であるオーバーサンプリング情報を記憶するステップとを実行させ、前記階調データを生成するステップは、前記第2の記憶手段からオーバーサンプリング情報を抽出し、当該抽出したオーバーサンプリング情報に基づいて前記階調データを生成することを特徴とする。
【0018】
本発明に従った描画用プログラムは、上記したデータ作成用プログラムによって作成された画像データを、前記表示装置に送信することにより前記表示装置において前記図形を表示させるための描画用プログラムであって、コンピュータに、前記階調データに基づいて図形の表示色の表示データと背景の表示色の表示データとを混合することにより表示用データを生成するステップと、前記表示用データを前記表示装置に送信するステップとを実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明の或る局面に従った記録媒体は、上記したデータ作成用プログラムを記録していることを特徴とする。
【0020】
本発明の他の局面に従った記録媒体は、上記した描画用プログラムを記録していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、階調データは、各画素に対するサンプリング数や、または、サブピクセルにおける着色のサンプリング位置を特定する情報などを含む、オーバーサンプリング情報が抽出され、当該オーバーサンプリング情報に基づいてオーバーサンプリング処理が実行されることによって生成される。つまり、本発明によれば、オーバーサンプリング方式によって、階調データが生成される。
【0022】
これにより、面積階調方式よりも、階調データの生成に際して処理時間の短縮化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明のデータ作成装置および描画装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、同一の構成要素については各図において同一の符号を付すものとし、その名称や機能が同一である場合には、当該構成要素についての詳細な説明は繰返さない。
【0024】
[1.装置の構成]
[1−1.ハードウェア構成]
図1は、本発明のデータ作成装置および描画装置の一実施の形態である情報処理装置を含む情報処理システムのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【0025】
図1を参照して、情報処理システム500は、情報処理装置1と表示装置300から主に構成される。
【0026】
情報処理装置1は、当該情報処理装置1全体の制御を行なうCPU(Central Processing Unit)1Aと、CPU1AのワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)2と、CPU1Aが実行するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)3と、ハードディスク5と、光ディスクドライブ6と、磁気ディスクドライブ7と、リモコン(リモートコントローラ)8Aと、リモコンI/F8とを備えている。情報処理装置1において各構成要素はバス9で接続されている。光ディスクドライブ6と磁気ディスクドライブ7は、それぞれ、情報処理装置1に対して着脱可能な光ディスク6Aと磁気ディスク7Aに対して情報の読取および/または書込が可能である。ユーザは、リモコン8Aを操作することにより、情報処理装置1に対して情報を入力できる。リモコンI/F8は、情報処理装置1から離間して操作されるリモコン8Aから送信される情報を受信して、CPU1Aに送信する。
【0027】
情報処理装置1は、表示装置300と接続されている。CPU1Aは、表示装置300に対して、当該表示装置300で表示される情報を出力する。これにより、表示装置300では、情報処理装置1から送信されてきた表示データに基づいた表示が行なわれる。
【0028】
[1−2.データ作成装置の制御ブロック構成]
図2は、情報処理装置1がデータ作成装置として機能する場合の制御ブロック図である。
【0029】
図2を参照して、データ作成装置100では、階調情報作成部10は、文字や記号等の図形についての階調データを生成する。階調データの生成の際には、アンチエリアシング処理として、オーバーサンプリング情報500に基づいて、オーバーサンプリング処理を実行する。
【0030】
オーバーサンプリング情報500は、階調データを生成する際の、各画素に対するサンプリング点の数や、縦方向および横方向サブピクセルの数、サブピクセルにおけるサンプリング位置を特定する情報を含む。
【0031】
オーバーサンプリング情報500は、ROM3またはRAM2等に記憶されている。ROM3に記憶されている場合には、オーバーサンプリング情報500は予め定められた情報である。なお、ユーザが、リモコン8A等を操作することにより、オーバーサンプリング情報を入力することもできる。入力されたオーバーサンプリング情報500は、たとえばRAM2に記憶される。階調情報作成部10は、情報抽出部11を介して、オーバーサンプリング情報500を取得する。
【0032】
階調情報作成部10は、表示装置300に表示させる図形(文字や記号等)の種類を特定する情報である文字情報501を取得し、当該文字情報501に応じた階調情報を用いて表示データを補正することもできる。データ作成装置100では、文字情報501は、文字情報格納部19に格納される。階調情報作成部10は、表示データの作成の際に、文字情報取得部16を介して文字情報501を取得する。
【0033】
なお、データ作成装置100では、表示装置300に表示させるそれぞれの図形において、部分ごとの傾きを検出し、検出した傾きによって当該図形を2以上のブロックに分割することができる。そして、階調情報作成部10は、表示装置300に表示させる図形の階調データの中でも、ブロックごとに、階調データを生成することができる。
【0034】
階調情報作成部10は、生成した階調データを、描画装置200を介して、表示装置300へ送信する。なお、階調情報作成部10は、出力部12を介して、当該階調データを外部装置400等の他の装置に送信することもできる。
【0035】
以上、図2を参照して説明したデータ作成装置100は、情報処理装置1によって構成される。具体的には、階調情報作成部10、情報抽出部11、出力部12、文字情報取得部16、傾き検出部17およびブロック分割部18は、ROM3および/またはハードディスク5等に記憶されたプログラムを実行するCPU1Aによって構成される。また、文字情報格納部19は、RAM2および/またはハードディスク5によって構成される。
【0036】
[1−3.描画装置について]
図2に記載された描画装置200は、データ作成装置100で生成された図形の階調データに基づいて、表示装置300における文字色と背景色の色データを混合することにより、図形の基本部分以外の部分の画像データを生成する。そして、描画装置200は、図形の基本部分の画像データとそれ以外の部分の画像データを合成して、表示装置300へ送信する。
【0037】
描画装置200は、ROM3および/またはハードディスク5等に記憶されたプログラムを実行するCPU1Aによって構成される。
【0038】
[1−4.図形の基本部分を示す情報]
文字情報格納部19には、表示装置300に表示させる文字または記号などの図形についてのスケルトンデータ(文字や記号の基本部分を示す情報の一例)が、当該文字または記号ごとに付与されたコード番号等に関連付けられて記憶されている。
【0039】
なお、本実施の形態では、スケルトンデータとして、図3(A)に示すように、各図形の骨格を示す線(骨格線)を特定するための座標が記憶されている。
【0040】
図3には、「仲」という文字のスケルトンデータが示されている。具体的には、「仲」という文字の骨格線が、図3(B)に示されているように、ST1〜ST8の8本のストロークから構成されるものとされ、そして、ST1〜ST8の各ストロークの始点と終点を特定する座標が、図3(A)に、端点1と端点2として記憶されている。
【0041】
なお、本実施の形態では、図形の基本部分を示す情報は、スケルトンデータに限定されず、たとえば、アウトラインデータであっても良い。つまり、データ作成装置100は、アウトラインデータを基本部分とし、当該アウトラインデータまたは当該アウトラインデータに対してアンチエリアシング処理を施されたデータに対して、当該データにおける基本部分の近傍部分(つまり、アウトラインデータの輪郭部分の近傍部分)の階調データの補正を行なうこともできる。
【0042】
[2.階調データの生成]
次に、データ作成装置100における階調データの生成の際に実行される処理について、当該処理のフローチャートである図4を参照しつつ説明する。
【0043】
図4を参照して、表示装置300に図形を表示させるための指示等が入力されると、階調情報作成部10は、まずステップSA10で、RAM2やROM3からオーバーサンプリング情報を取得して、ステップSA20へ処理を進める。なお、ここでは、たとえばユーザに対してオーバーサンプリング情報(サブピクセル数やサブピクセルにおけるサンプリング位置やサンプリング数)の入力を促し、ユーザから当該情報が入力されたことを条件としてステップSA20へ処理を進めても良い。
【0044】
ステップSA20では、階調情報作成部10は、表示装置300に表示させる図形を特定する情報を、図形を表示させるための指示内容等から抽出することにより取得して、ステップSA30へ処理を進める。
【0045】
ステップSA30では、階調情報作成部10は、表示装置300に表示させる図形の基本部分を特定する情報(たとえば、スケルトンデータ)を文字情報格納部19から文字情報取得部16を介して取得して、ステップSA40へ処理を進める。
【0046】
ステップSA40では、ステップSA30で基本部分を特定する情報を取得した図形に対してオーバーサンプリングを行ない、ステップSA50へ処理を進める。
【0047】
なお、ステップSA40におけるオーバーサンプリングは、ステップSA10で取得したオーバーサンプリング情報に基づいて行なわれる。
【0048】
図5は、たとえば、オーバーサンプリング情報が、サブピクセル数を2×2で「4」とし、各サブピクセルにおけるサンプリング数を「1」とし、各サブピクセルにおけるサンプリング位置を「中央」とするものである場合の例を示す。
【0049】
図5では、縦方向に9個のサブピクセルが、横方向に16個のサブピクセルが配列された状態が示されている。各サブピクセルの中央「・」は、各サブピクセルにおけるサンプリング位置が示されている。画像データを構成する各画素Pは、縦方向に2個かつ横方向に2個のサブピクセルに対応している。
【0050】
図5では、サンプリング位置(サンプリング点)が領域XA(骨格部分)に含まれるようなサブピクセルが着色されて示されている。ここで、サブピクセルが着色されているとは、骨格部分に含まれたりまたは輪郭に囲まれているように、領域XA内に含まれることを示す。
【0051】
このように、本実施の形態では、従来のように面積階調方式ではなく、オーバーサンプリング方式によって階調データを生成するため、階調データの生成に際して処理時間の短縮化を図ることができる。
【0052】
なお、オーバーサンプリング処理では、処理対象がアウトラインデータとされた場合には、領域XAで示された領域の外郭は、アウトラインデータの輪郭線に相当することとなる。
【0053】
図4に戻って、ステップSA40におけるオーバーサンプリングの結果として、階調情報作成部10は、ステップSA50で、表示装置300に表示させる図形の基本部分(骨格部分)および当該部分の近傍の部分の階調レベルを決定し、これらの階調データを生成し、RAM2等に記憶させて、階調データ生成処理を終了させる。
【0054】
なお、以上説明した階調データ生成処理において、オーバーサンプリング情報は、上記したものに限定されない。たとえば、サンプリング位置は、図6に示されるように、各サブピクセルの下端であって左右方向については中央の位置であっても良いし、この他にも、各サブピクセルの右下隅、左下隅、右上隅、左上隅、上端であって左右方向の中央、左端であって上下方向の中央、右端であって上下方向の中央、適宜変更されても良い。
【0055】
[3.階調データ生成処理の変形例]
図7は、図4のフローチャートに係る処理の変形例のフローチャートである。
【0056】
本変形例では、各サブピクセルについて、複数のサンプリング位置のそれぞれについてオーバーサンプリング処理が行なわれ、得られた各画素の階調値を足し合わせることにより、画像データの階調値が決定される。
【0057】
図7を参照して、この変形例では、階調情報作成部10は、ステップSA10で、オーバーサンプリング情報を取得し、ステップSA20で、表示装置300に表示させる図形を特定する情報を取得し、そして、ステップSA30で、当該図形のスケルトンデータを取得した後、ステップSA41へ処理を進める。
【0058】
ステップSA41では、階調情報作成部10は、1箇所目(たとえば図5に示したような各サブピクセルの中央部分)でサンプリングを行ないながらオーバーサンプリング処理を実行して各画素の階調値を取得し、次に、ステップSA42で、2箇所目(たとえば図6に示したような各ピクセルの下端中央部分)でサンプリングを行ないながらオーバーサンプリング処理を実行して各画素の階調値を取得する。このように2箇所それぞれのオーバーサンプリング処理によって得られた各画素の階調値の一例を図8(a)および図8(b)にそれぞれ示す。
【0059】
図5と図6から理解されるように、処理対象となる図形の基本部分(アウトラインデータやスケルトンデータ)が同じであっても、各サブピクセル中のサンプリング位置が異なれば、同じサブピクセルであっても着色される場合と着色されない場合に分かれることがある。これにより、対応する画素における階調値が異なることが考えられる。
【0060】
そして、図8(a)と図8(b)から理解されるように、処理対象となる図形が同じスケルトンデータであっても、サンプリング位置によって、同じ位置の画素であっても階調値が異なる場合がある。
【0061】
なお、図8(a)および図8(b)では、各升目が画素に対応し、0〜4の5階調の画像データが模式的に示されている。塗りつぶされた升目は、最も階調値の高い画素(階調値4)に対応している。それ以外の画素では、0以外の階調値を有する画素には数字によって階調値が記入されている。
【0062】
図7に戻って、ステップSA42で2箇所目でのオーバーサンプリング処理が終了した後、階調情報作成部10は、ステップSA43で、ステップSA41で得られた階調データとステップSA42で得られた階調データとをマージさせる。
【0063】
図8(c)を参照して、複数の階調データのマージについて説明する。
図8(c)は、図8(a)に示された階調データと図8(b)に示された階調データとを、対応する画素の階調値をそのまま足し合わせることによりマージされて生成された階調データを模式的に示している。
【0064】
図8(c)は、5階調の2つの階調データを足し合わせることにより生成されているため、8階調の階調データとされている。
【0065】
なお、複数の階調データをマージする際に、図8(a)〜図8(c)を参照して説明したように、複数の階調データの階調値をそのまま足し合わせても良いし、サンプリング位置等の、オーバーサンプリングがなされた条件に基づいて、得られた階調データの階調値に重み付けして、階調データがマージされても良い。
【0066】
また、複数の階調データの平均値を、新たに生成される画像データにおける階調データとすれば、図8(a)〜図8(c)を参照して説明したような、マージ後の階調データにおいて階調数を上げることなく階調データを生成できる。
【0067】
[4.階調データ生成処理のさらなる変形例]
図9は、図4のフローチャートに係る処理のさらなる変形例のフローチャートである。
【0068】
図9を参照して、この変形例では、階調情報作成部10は、ステップSA10で、オーバーサンプリング情報を取得し、ステップSA20で、表示装置300に表示させる図形を特定する情報を取得し、そして、ステップSA30で、当該図形の基本部分を示すデータを取得した後、ステップSA44へ処理を進める。
【0069】
ステップSA44では、階調情報作成部10は、処理対象となっている図形を、アウトラインデータや骨格部分の角度ごとにブロックに分割して、ステップSA45へ処理を進める。
【0070】
なお、このようなブロック分割は、たとえば、図3を参照して説明したスケルトンデータにおける、ストロークごとに、図形を分割することによって実現される。
【0071】
そして、ステップSA45では、階調情報作成部10は、ステップSA44で分割したブロックごとに、オーバーサンプリング処理を実行して、ステップSA46へ処理を進める。なお、この変形例では、ステップSA10において取得されるオーバーサンプリング情報は、たとえばアウトラインデータや骨格部分の角度によって、オーバーサンプリング処理における、各画素に対応するサブピクセルの数や、各サブピクセルにおけるサンプリング数やサンプリング位置を特定する情報が含まれる。そして、ステップSA45では、ブロックごとに、その骨格部分の傾きに応じたオーバーサンプリング情報に基づいたオーバーサンプリング処理が実行される。
【0072】
そして、階調情報作成部10は、ステップSA46で、ステップSA45におけるオーバーサンプリング処理の結果に基づいてブロックごとに階調データが生成し、そして、ステップSA52において、それらを結合して図形全体の階調値を生成して、階調データ生成処理を終了させる。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明のデータ作成装置および描画装置の一実施の形態である情報処理装置を含む情報処理システムのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明のデータ作成装置の一実施の形態に係る制御ブロック図である。
【図3】図2のデータ作成装置が利用するスケルトンデータの一例を模式的に示す図である。
【図4】図2のデータ作成装置において実行される階調データ生成処理のフローチャートである。
【図5】図4の階調データ生成処理において実行されるオーバーサンプリング処理の内容の一例を説明するための図である。
【図6】図4の階調データ生成処理において実行されるオーバーサンプリング処理の内容の他の例を説明するための図である。
【図7】図4の階調データ生成処理の変形例のフローチャートである。
【図8】図7に示された処理における階調データのマージを説明するための図である。
【図9】図2のデータ作成装置において実行される階調データ作成処理のフローチャートである。
【図10】面積階調方式を利用した従来の階調データの生成の態様を説明するための図である。
【符号の説明】
【0075】
1 情報処理装置、1A CPU、2 RAM、3 ROM、5 ハードディスク、6 光ディスクドライブ、6A 光ディスク、7 磁気ディスクドライブ、7A 磁気ディスク、8 リモコンI/F、8A リモコン、9 バス、10 階調情報作成部、11 情報抽出部、12 出力部、16 文字情報取得部、17 傾き検出部、18 ブロック分割部、19 文字情報格納部、100 データ作成装置、200 描画装置、300 表示装置、400 外部装置、500 情報処理システム、501 文字情報、502 オーバーサンプリング情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図形を表示装置に表示するための画像データを作成するデータ作成装置であって、
前記図形の基本部分を示す情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記図形の基本部分以外の部分の階調データをオーバーサンプリング処理によって生成する階調生成手段と、
前記オーバーサンプリング処理を実行するための情報であるオーバーサンプリング情報を記憶するための第2の記憶手段とを備え、
前記階調生成手段は、前記第2の記憶手段から抽出したオーバーサンプリング情報に基づいて前記階調データを生成する、データ作成装置。
【請求項2】
前記オーバーサンプリング情報は、各画素に対するサンプリング数またはサブピクセルにおける着色のサンプリング位置を特定する情報である、請求項1に記載のデータ作成装置。
【請求項3】
前記階調生成手段は、前記図形についての指標に基づいて前記オーバーサンプリング情報を抽出する、請求項2に記載のデータ作成装置。
【請求項4】
前記図形の基本部分を示す情報に基づいて、前記図形を当該図形の基本部分の傾きごとにブロックに分割するブロック分割手段をさらに備え、
前記図形についての指標は、前記図形のブロックごとの傾きである、請求項3に記載のデータ作成装置。
【請求項5】
前記階調生成手段は、サブピクセルにおいて異なるサンプリング位置で着色を取得し、各サンプリング位置で着色を取得したことにより取得した各画素の階調データの平均値を算出することにより各画素の階調データを生成する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のデータ作成装置。
【請求項6】
前記階調生成手段は、サブピクセルにおいて異なるサンプリング位置で着色を取得し、各サンプリング位置で着色を取得したことにより取得した各画素の階調データに重みをつけて算出することにより各画素の階調データを生成する、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のデータ作成装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のデータ作成装置によって作成された画像データに基づいて前記表示装置に前記図形を表示させる描画装置であって、
前記階調データに基づいて、図形の表示色の表示データと背景の表示色の表示データとを混合することにより表示用データを生成する、データ混合手段と、
前記データ混合手段が生成した表示用データを前記表示装置に送信する送信手段とを備える、描画装置。
【請求項8】
図形を表示装置に表示するための画像データを作成するデータ作成方法であって、
第1の記憶手段が、前記図形の基本部分を示す情報を記憶するステップと、
階調生成手段が、前記図形の基本部分以外の部分の階調データをオーバーサンプリング処理によって生成するステップと、
第2の記憶手段が、前記オーバーサンプリング処理を実行するための情報であるオーバーサンプリング情報を記憶するステップとを備え、
前記階調データを生成するステップは、前記第2の記憶手段からオーバーサンプリング情報を抽出し、当該抽出したオーバーサンプリング情報に基づいて前記階調データを生成する、データ作成方法。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ作成方法によって作成された画像データを、前記表示装置に送信することにより前記表示装置において前記図形を表示させる描画方法であって、
前記階調データに基づいて図形の表示色の表示データと背景の表示色の表示データとを混合することにより表示用データを生成するステップと、
前記表示用データを前記表示装置に送信するステップとを備える、描画方法。
【請求項10】
図形を表示装置に表示するための画像データを作成するデータ作成用プログラムであって、
コンピュータに、
第1の記憶手段が、前記図形の基本部分を示す情報を記憶するステップと、
階調生成手段が、前記図形の基本部分以外の部分の階調データをオーバーサンプリング処理によって生成するステップと、
第2の記憶手段が、前記オーバーサンプリング処理を実行するための情報であるオーバーサンプリング情報を記憶するステップとを実行させ、
前記階調データを生成するステップは、前記第2の記憶手段からオーバーサンプリング情報を抽出し、当該抽出したオーバーサンプリング情報に基づいて前記階調データを生成する、データ作成用プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のデータ作成用プログラムによって作成された画像データを、前記表示装置に送信することにより前記表示装置において前記図形を表示させるための描画用プログラムであって、
コンピュータに、
前記階調データに基づいて図形の表示色の表示データと背景の表示色の表示データとを混合することにより表示用データを生成するステップと、
前記表示用データを前記表示装置に送信するステップとを実行させる、描画用プログラム。
【請求項12】
請求項10に記載のデータ作成用プログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項13】
請求項11に記載の描画用プログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−55380(P2010−55380A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219755(P2008−219755)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】