説明

データ作成装置およびプログラム

【課題】表示枠の境界において文字が途切れて表示されることによる誤認を防止することができるデータ作成装置を実現する。
【解決手段】本発明に係るデータ作成装置10は、プログラマブル表示器20のスクリーン22に表示するためのレシピデータの表示枠をデータ作成画像上で作成するレシピデータ枠作成部11を備える。レシピデータ枠作成部11は、データ作成画像において、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域が表示枠内に収まるか否かを判定する比較判定部11cと、比較判定部11cによって、上記文字列の描画領域が上記表示枠内に収まらないと判定された場合に、データ作成画像において、上記文字列のうち上記表示枠から少なくとも部分的にはみ出す文字の表示を省略するメモリ展開部11dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器に表示するための罫線で区分される表示枠を作成するデータ作成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
制御システムのHMI(Human Machine Interface)として、プログラマブル表示器が広く使用されている。プログラマブル表示器は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)とのインターフェースを備えており、PLCに接続されたデバイスの稼働状況を表示したり、デバイスへの制御指示を与えるための操作入力を画面から受け付けたりする機能を備えた操作型表示器である。一般に、プログラマブル表示器は、グラフィック表示機能を有するので、操作盤、スイッチ、表示灯等を表示することができ、制御システムにおける操作端末としての役割を果たす。これにより、プログラマブル表示器は、各PLCの稼働状況などの表示やPLCへの制御指示を行うことができる。
【0003】
また、このような制御システムにおいては、システムの運用上、PLCによる制御に必要なデータ(レシピデータ)を適宜更新することが求められる。例えば、近年の多品種少量生産の要求に対応するためには、各工程での条件設定を頻繁に変更する必要がある。
【0004】
レシピデータは、例えばパーソナルコンピュータで構成されるデータ作成装置によって作成され、プログラマブル表示器を介してPLCに配信される。各PLCは、当該レシピデータをメモリのストア領域に書き込んでデータ更新を行い、このデータに基づいてデバイスを制御する。
【0005】
図9は、特許文献1に記載されているレシピデータの一例を示す図であり、(a)は、レシピ情報テーブルT101を示しており、(b)は、レシピDBマスタテーブルT102を示している。レシピ情報テーブルT101は、レシピデータを設定するためのテーブルであり、レシピ情報テーブルT101には、NODE、SYMBOL、TYPE、DATAおよびNUMBERの各設定項目(フィールド)が設けられている。また、レシピDBマスタテーブルT102は、レシピ情報テーブルT101を管理するためのテーブルであり、このテーブルには、KEYCODE、MDBおよびTBLの各設定項目(フィールド)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−14008号公報(2001年1月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
制御システムのユーザは、プログラマブル表示器にレシピデータを表示させることにより、レシピデータの内容を確認することができる。しかしながら、プログラマブル表示器では、レシピデータの他に、デバイスを示す部品なども表示されるため、レシピデータが表示される表示枠のサイズは、データ作成装置において調整される。そして、サイズ調整された表示枠のデータがプログラマブル表示器に転送され、プログラマブル表示器において、レシピデータが表示枠に入れ込まれてレシピ情報テーブルとして表示される。
【0008】
従来のデータ作成装置では、レシピデータが表示される表示枠のサイズ調整を行った場合、以下の問題が生じていた。
【0009】
例えば、従来のデータ作成装置では、サイズ調整の結果、レシピ情報テーブルT101が図10に示すように表示される。このとき、罫線で区分される表示枠F101では、「O」の右端部分が途切れているため、ユーザに「C」であると誤認されるおそれがある。また、表示枠F102では、「E」の下端部分が途切れているため、ユーザに「F」であると誤認されるおそれがある。同様に、図9(b)に示す「KEYCODE」の文字列を表示する場合も、「C」の右端部分が途切れると、ユーザに「O」であると誤認されるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、表示枠の境界において文字が途切れて表示されることによる誤認を防止できるデータ作成装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明に係るデータ作成装置は、プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠をデータ作成画像上で作成する表示枠作成手段を備えるデータ作成装置において、上記データ作成画像上で、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域が上記表示枠内に収まるか否かを判定する判定手段と、上記判定手段によって、上記文字列の描画領域が上記表示枠内に収まらないと判定された場合に、上記データ作成画像において、上記文字列のうち上記表示枠から少なくとも部分的にはみ出す文字の表示を省略する省略手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、ユーザがデータ作成装置において罫線で区分される表示枠を作成する場合に、判定手段がデータ作成画像において、文字列の描画領域が表示枠内に収まるか否かを判定し、判定手段によって、上記文字列の描画領域が上記表示枠内に収まらないと判定されると、省略手段によって、表示枠から一部または全部がはみ出す文字の表示が省略される。したがって、データ作成装置において、表示枠の境界において文字が途切れて表示されることによる誤認を防止できる。
【0013】
本発明に係るデータ作成装置は、プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠をデータ作成画像上で作成する表示枠作成手段を備えるデータ作成装置において、上記データ作成画像上で、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域の幅が上記表示枠の幅以上であるか否かを判定する判定手段と、上記判定手段によって、上記文字列の描画領域の幅が上記表示枠の幅よりも大きいと判定された場合に、上記データ作成画像において、上記文字列のうち上記表示枠から幅方向にはみ出す文字の表示を省略する省略手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、表示枠から幅方向にはみ出す文字の表示が省略されるので、「C」や「O」等の文字が表示枠の境界において幅方向に途切れて表示されることによる誤認を防止することができる。
【0015】
本発明に係るデータ作成装置は、プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠をデータ作成画像上で作成する表示枠作成手段を備えるデータ作成装置において、上記データ作成画像上で、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域の高さが上記表示枠内の高さ以上であるか否かを判定する判定手段と、上記判定手段によって、上記文字列の描画領域の高さが上記表示枠の高さよりも大きいと判定された場合に、上記データ作成画像において、上記文字列の表示を省略する省略手段とを備えることを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、表示枠から高さ方向にはみ出す文字の表示が省略されるので、「E」、「F」、「I」、「L」等の文字が表示枠の境界において高さ方向に途切れて表示されることによる誤認を防止することができる。
【0017】
本発明に係るデータ作成装置では、上記文字列の描画領域の高さが上記表示枠の高さよりも大きい場合に、上記省略手段は、上記表示枠を構成する上側の罫線の表示を省略することが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、ユーザは、実際にプログラマブル表示器に表示される態様で、文字列のデータを作成できるので、データ作成装置のユーザが認識するデータの内容と、プログラマブル表示器のユーザが認識するデータの内容とを一致させることができる。
【0019】
本発明に係るプログラムは、上記データ作成装置の各手段として、コンピュータを動作させるプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明に係るデータ作成装置は、表示枠の境界において文字が途切れて表示されることによる誤認を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】データ作成装置の表示デバイスに表示されたレシピ情報テーブルを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るデータ作成装置において、表示サイズが縮小されたレシピ情報テーブルを示す図である。
【図4】レシピ情報テーブルにおける特定の列の表示処理を示す図である。
【図5】上記表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図7】(a)および(b)は、図6に示すデータ作成装置の表示デバイスに表示されるサンプル画像を示す図である。
【図8】図7(a)に示すサンプル画像において、表示枠のサイズが縮小された状態を示す図である。
【図9】レシピデータの一例を示す図であり、(a)は、レシピ情報テーブルを示しており、(b)は、レシピDBマスタテーブルを示している。
【図10】従来のデータ作成装置において、表示サイズが縮小されたレシピ情報テーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1〜図5に基づいて説明すれば以下のとおりである。
【0023】
(制御システムの構成)
図1は、本実施形態に係る制御システム1の構成を示すブロック図である。制御システム1は、デバイス40を制御するためのシステムであり、データ作成装置10、プログラマブル表示器20およびPLC30を備えている。
【0024】
データ作成装置10は、汎用のパーソナルコンピュータで構成されており、レシピデータ枠作成部11、表示デバイス12、表示メモリ13、記憶部14およびインターフェース(I/F)部15を備えている。
【0025】
I/F部15は、プログラマブル表示器20との間の通信を行うための通信制御部であり、ネットワークを介してプログラマブル表示器20のI/F部25に接続されている。
【0026】
レシピデータ枠作成部11は、レシピデータRDの表示枠を作成・変更するための機能ブロックであり、サンプル文字列入力部11a、表示サイズ調整部11b、比較判定部11cおよびメモリ展開部11dを有している。作成・変更されたレシピデータRDの表示枠は、表示枠データRD1として記憶部14に記憶されるとともに、I/F部15からプログラマブル表示器20に転送される。レシピデータRDの表示枠の具体的な作成手順などについては、後述する。
【0027】
表示デバイス12は、例えば液晶表示装置で構成される。レシピデータ枠作成部11が機能しているときに、表示デバイス12には、レシピデータRDの表示枠のデータ作成画像が表示される。
【0028】
表示メモリ13は、例えばVRAMで構成される。表示メモリ13には、記憶部14から読み出されたデータのうち、表示デバイス12に表示される画像データが展開される。
【0029】
プログラマブル表示器20は、CPUなどの演算処理装置を備えており、PLC30に対する操作機能や、デバイス40の状態等を表示する機能を有する専用コンピュータである。プログラマブル表示器20は、HMI処理部21、スクリーン22、タッチパネル23、記憶部24、およびインターフェース(I/F)部25・26を備えている。
【0030】
プログラマブル表示器20は、I/F部25を介してデータ作成装置10に通信可能に接続されるとともに、I/F部26を介してPLC30と通信することにより、PLC30を介して各デバイス40の状態を取得し、その状態をスクリーン22に表示する。さらに、プログラマブル表示器20は、ユーザによるタッチパネル23への操作に応じて、デバイス40の状態制御をPLC30に指示する。
【0031】
データ作成装置10から転送された表示枠データRD1は、I/F部25を介してプログラマブル表示器20にダウンロードされ、記憶部24に記憶される。また、記憶部24には、データベースソフト等で作成されプログラマブル表示器20に転送されたレシピデータRDも記憶されている。また、HMI処理部21は、ユーザの操作に応じて、記憶部24に記憶されたレシピデータRDを読み出して、その内容をスクリーン22に表示された表示枠に入れ込んでレシピ情報テーブルT1を表示することができる。
【0032】
レシピデータRDは、PLC30に配信され、制御装置としてのPLC30は、レシピデータRDに設定されている制御条件に基づいて、デバイス40を制御する。デバイス40としては、センサ、スイッチなどの入力機器や、アクチュエータ、リレー、電磁弁などの出力機器が用いられる。
【0033】
(レシピデータの表示態様)
上記のように、レシピデータRDの表示枠は、データ作成装置10のレシピデータ枠作成部11によって作成される。レシピデータRDは、プログラマブル表示器20において、データ作成装置10で作成された表示枠に入れ込まれて、図2に示すようなレシピ情報テーブルT1としてプログラマブル表示器20のスクリーン22に表示される。レシピ情報テーブルT1では、罫線で区分される表示枠内に、設定項目および設定値を示す文字列が表示されている。
【0034】
具体的には、レシピ情報テーブルT1には、NODE、SYMBOL、TYPE、DATAおよびNUMBERの各設定項目(フィールド)がデフォルト名として設けられている。「NODE」は、接続ノード(局)のノード名(局名)を表しており、プログラマブル表示器20の名称などの記入が可能である。「SYMBOL」は、レシピデータの転送先となるデバイス40の名称を表している。「TYPE」は、デバイスのデータタイプを表している。このデータタイプは、データの表現形式(ビット形式(16ビット、32ビットなど)または文字列形式)および数値の表現形式(10進符号の有無、16進、BCDなど)を組み合わせたデータの表現タイプであって、これらの組み合わせに対応した1〜10などの番号で設定される。「DATA」はPLC30に与えるレシピデータを表しており、「NUMBER」はレシピデータの個数を表している。
【0035】
ここで、表示デバイス12に表示される表示枠のデータ作成画像において、表示枠は、図3のように表示される。すなわち、サンプル入力したサンプル文字列「SYMBOL」、「NUMBER」のうち、表示枠から少なくとも部分的にはみ出す文字「OL」、「ER」の表示が省略される。また、文字列の描画領域の高さが、表示枠の高さよりも大きい行L1については、行L1全体の文字列の表示が省略されるとともに、行L1を規定する罫線PL1の表示も省略される。
【0036】
このようにデータ作成装置10の表示デバイス12において表示枠を表示させることにより、特に、「O」や「E」の文字が表示枠の境界において途切れて表示されることによる誤認を防止することができる。
【0037】
また、従来のデータ作成装置において文字列が途切れて表示される行L101(図10参照)は、プログラマブル表示器では表示されない。そのため、データ作成装置のユーザがプログラマブル表示器においてレシピデータの確認を行った場合、入力した行L101のデータが表示されないため、ユーザを混乱させるおそれがある。
【0038】
これに対し、本実施形態では、図2および図3に示すように、サイズ調整後には行L1が表示されない。したがって、データ作成装置10のユーザが認識するレシピ情報テーブルT1の内容と、プログラマブル表示器20のユーザが認識するレシピ情報テーブルT1の内容とを一致させることができる。
【0039】
また、データ作成装置10のユーザは、プログラマブル表示器20にレシピデータを表示する場合の、表示可能な文字列の文字数、および表示枠の行数を容易に把握できる。また、ユーザは、データベースソフトなどによってレシピデータを入力する際に、表示可能な文字数を超えないように入力することで、プログラマブル表示器20にレシピデータが表示されたときに、文字列が途切れて表示されることによる誤認をあらかじめ防止することができる。
【0040】
(レシピデータの表示処理)
データ作成装置10におけるレシピデータRDの表示処理は、図1に示すレシピデータ枠作成部11のサンプル文字列入力部11a、表示サイズ調整部11b、比較判定部11cおよびメモリ展開部11dによって行われる。
【0041】
サンプル文字列入力部11aは、図示しないキーボードやマウス等による操作を受け付けて、レシピデータRDの各表示枠内に文字列を入力するものである。表示サイズ調整部11bは、図示しないマウス等による操作を受け付けて、レシピデータRDの表示枠の表示サイズを調整するものである。比較判定部11cは、サイズ調整されたレシピデータRDの表示枠において、文字列の描画領域のサイズと表示枠のサイズとを比較し、文字列の描画領域が表示枠内に収まるか否かを判定するものである。メモリ展開部11dは、作成中のレシピデータRDの表示枠のうち、表示デバイス12に表示するデータを表示メモリ13に展開するものである。
【0042】
レシピデータRDの表示処理の手順について、図4および図5を参照して説明する。便宜上、図2に示すレシピ情報テーブルT1における「NUMBER」の設定項目が表示される列R1の表示処理について説明する。
【0043】
図4は、列R1の表示処理を示す図であり、図5は、その表示処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
まず、キーボード等の入力操作によりサンプル文字列(以下、文字列という)が入力されると(S1)、図4(a)に示す状態となる。続いて、マウス等の操作により表示サイズが調整され(S2)、図4(b)に示すように、列R1の表示領域の幅および高さが縮小される。このとき、列R1の各表示枠を上から順に表示枠F1〜F6とする。
【0045】
続いて、図1に示す比較判定部11cは、表示枠F1から順に、文字列の描画領域が枠内に収まるか否かを判定する。具体的には、図4(c)に示すように、表示枠F1の幅W1と文字列の描画領域の幅W2との比較、および、表示枠F1の高さH1と文字列の描画領域の高さH2との比較を行う(S3、S4)。
【0046】
S3において、表示枠F1の幅W1が文字列の描画領域の幅W2よりも小さい場合、比較判定部11cは、文字列の右端の文字を省略し(S5)、再度、表示枠F1の幅W1と、文字列の描画領域の幅W2とを比較する。そして、S3およびS5の処理は、表示枠F1の幅W1が文字列の描画領域の幅W2以上であると判定されるまで繰り返される。その後、S4に移行し、表示枠F1の高さH1が文字列の描画領域の高さH2以上であると判定されると、メモリ展開部11dは、比較判定部11cによって省略された文字を除く文字列を表示メモリ13に展開する。これにより、比較判定部11cによって省略された文字を除く文字列が表示枠F1内に表示される(S6)。
【0047】
図4(c)に示す例では、表示枠F1の幅W1が文字列「NUMBER」の描画領域の幅W2よりも小さいので、比較判定部11cは、文字列「NUMBER」の右端の文字「R」を省略し(S5)、再度、表示枠F1の幅W1と文字列「NUMBE」の描画領域の幅W2とを比較する(S3)。この場合も、表示枠F1の幅W1が文字列「NUMBE」の描画領域の幅W2よりも小さいので、比較判定部11cは、文字列「NUMBE」の右端の文字「E」を省略し(S5)、再度、表示枠F1の幅W1と文字列「NUMB」の描画領域の幅W2とを比較する(S3)。これにより、表示枠F1の幅W1が文字列「NUMB」の描画領域の幅W2よりも大きくなるので、S4に移行する。S4において、表示枠F1の高さH1が文字列「NUMB」の描画領域の高さH2よりも大きいので、図4(d)に示すように、表示枠F1内に文字列「NUMB」が表示される(S6)。
【0048】
続いて、表示枠F2〜F5について、比較判定部11cによる判定処理を実行する。表示枠F2〜F5では、各表示枠の幅W1および高さH1はそれぞれ、文字列「100」の描画領域の幅W2および高さH2よりも大きいので(S3およびS4において「YES」)、図4(e)に示すように、各表示枠内に文字列「100」が省略されることなく表示される(S6)。
【0049】
続いて、表示枠F6について、比較判定部11cによる判定処理を実行する。図4(f)に示すように、表示枠F6の高さH1は、文字列「100」の描画領域の高さH2よりも小さい(S4において「NO」)。そのため、比較判定部11cは文字列「100」の表示を省略するとともに(S8)、表示枠F6の上側の罫線の表示も省略する(S9)。その結果、図4(g)に示すように、表示枠F6は、表示枠F5と結合して表示枠F5’となる。表示枠F5’の高さH1は、表示枠F5に表示されていた文字列「100」の描画領域の高さH2よりも大きいので(S4において「YES」)、表示枠F5’には、文字列「100」がそのまま表示される(S6)。
【0050】
S3〜S6の処理が全ての表示枠について完了すると(S7において「YES」)、レシピ情報テーブルT1が図3に示す態様で表示される。
【0051】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について図6〜図8に基づいて説明すれば以下のとおりである。実施形態1では、表示枠内に直接レシピデータのサンプル文字列を入力することにより、プログラマブル表示器で表示させたい文字数や文字イメージを表示できるような表示枠を作成していた。一方、本実施形態では、レシピデータの作成において、サンプル文字列としてデフォルトの文字列が表示枠内に表示されたデフォルト画像をサイズ変更可能に表示させる。
【0052】
図6は、本実施形態に係る制御システム1’の構成を示すブロック図である。制御システム1’は、図1に示す制御システム1において、データ作成装置10をデータ作成装置10’に置き換えた構成である。データ作成装置10’は、データ作成装置10において、レシピデータ枠作成部11をレシピデータ枠作成部11’に置き換えた構成であり、レシピデータ枠作成部11’は、レシピデータ枠作成部11において、サンプル文字列入力部11aをデフォルト文字列表示部11eに置き換えた構成である。
【0053】
実施形態1では、図3に示すように、表示枠とレシピ情報テーブルT1に表示される文字列のイメージ表示ができるサンプル文字列とを一緒に表示させていた。これに対し、本実施形態では、表示枠とサンプル文字列が予め設定されたデフォルトの文字列とをサンプル画像として表示させ、レシピデータの文字列は、表計算ソフトウェアなどによって、別途作成される。
【0054】
図7(a)および(b)は、上記のデータ作成装置10’の表示デバイス12に表示されるデフォルト画像を示す図である。
【0055】
図7(a)に示すデフォルト画像では、表示枠の1行目に、レシピデータのブロック名を示す「Recipe Label」のデフォルト文字列が表示され、2〜11行目には、行数を示す数字のデフォルト文字列が表示される。当該デフォルト文字列が表示されることにより、ユーザは、当該表示枠が、レシピデータのブロック名が表示される表示枠であり、行数が11行であることを認識することができる。
【0056】
図7(b)に示すデフォルト画像では、表示枠の左側の列では、1行目にレシピデータの項目名を示す「Element Label」のデフォルト文字列が表示され、2〜11行目には、行数を示す数字のデフォルト文字列が表示される。また、表示枠の右側の列での1行目には、レシピデータの項目名に対する値を示す「Element Value」のデフォルト文字列が表示される。このデフォルト文字列の各文字は、等幅で表示される。これにより、ユーザは、当該表示枠が、レシピデータの項目名およびそれに対する値が表示される表示枠であり、行数が11行であることを認識することができる。
【0057】
図7(a)および(b)に示す表示枠内には、文字列を直接入力することはできず、レシピデータの入力は、表計算ソフトウェアなどによって、別途作成される。
【0058】
図6に示すデフォルト文字列表示部11eは、図7(a)および(b)に示すデフォルト文字を表示枠に表示する機能ブロックである。記憶部14には、デフォルト文字列データRD2があらかじめ記憶されており、デフォルト文字列表示部11eは、デフォルト文字列データRD2を読み出すことにより、表示デバイス12にサンプル文字列を表示する。
【0059】
また、記憶部14には、デフォルト文字列が表示される表示枠データRD1が記憶されている。表示サイズ調整部11bは、表示枠データRD1を読み出すことにより、表示デバイス12に表示枠をサイズ変更可能に表示する。
【0060】
表示枠データRD1の作成が完了すると、記憶部14に記憶されているデータのうち、表示枠データRD1がプログラマブル表示器20に転送され、プログラマブル表示器20の記憶部24に記憶される。プログラマブル表示器20のHMI処理部21は、表示枠データRD1とレシピデータRDとを読み出して、スクリーン22にレシピ情報テーブルT1を表示する。
【0061】
本実施形態では、サンプル表示において、表示枠のサイズが変更され、デフォルト文字列の描画領域が表示枠内に収まらない場合、デフォルト文字列のうち、表示枠から少なくとも部分的にはみ出す文字の表示を省略する。例えば、図7(a)に示す表示枠の幅を縮小した結果、デフォルト文字列「Element Label」の「l」の文字がはみ出す場合、図8に示すように、「l」の文字を省略して、「Element Labe」の文字列を表示する。
【0062】
また、12行目を表示させた場合に、デフォルト文字列の描画領域の高さが12行目の表示枠の高さよりも大きいため、12行目に表示されるべきデフォルト文字列「12」の表示、および、12行目の表示枠を構成する上側の罫線の表示が省略される。その結果、表示枠の最終行(11行目)の高さは、1〜10行の高さよりも大きく表示される。
【0063】
このような文字列および罫線の省略表示は、図6に示す比較判定部11cおよびメモリ展開部11dによって実行され、その表示処理の具体的内容は、図4に示すものと略同様である。
【0064】
これにより、データ作成装置10’のユーザは、プログラマブル表示器20にレシピデータを表示する場合の、表示可能な文字列の文字数、および表示枠の行数を容易に把握できる。また、ユーザは、データベースソフトなどによってレシピデータを入力する際に、表示可能な文字数を超えないように入力することで、プログラマブル表示器20にレシピデータが表示されたときに、確実に表示される文字列をあらかじめ把握することができる。
【0065】
(ソフトウェアによる本発明の実施)
本実施形態に係るデータ作成装置10・10’のレシピデータ枠作成部11・11’は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、レシピデータ枠作成部11・11’の少なくとも一部の機能を、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0066】
すなわち、データ作成装置10・10’は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるデータ作成装置10・10’のプログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記データ作成装置10に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成可能である。
【0067】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/BD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0068】
また、データ作成装置10・10’を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0069】
(付記事項)
上記では、レシピデータ枠作成部の比較判定部によって、文字列の描画領域が表示枠内に収まらないと判定された場合に、文字列のうち、表示枠から少なくとも部分的にはみ出す文字の表示を省略する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0070】
例えば、文字列の描画領域の幅が表示枠の幅よりも大きい場合に、上記文字列のうち、上記表示枠から幅方向にはみ出す文字の表示を省略する一方、文字列の描画領域の高さが表示枠の高さよりも大きい場合であっても、文字列を高さ方向に途切れたまま表示させる構成としてもよい。当該構成であっても、「C」や「O」等の文字が表示枠の境界において幅方向に途切れて表示されることによる誤認を防止することができる。
【0071】
あるいは、文字列の描画領域の高さが表示枠の高さよりも大きい場合に、上記文字列の表示を省略する一方、文字列の描画領域の幅が表示枠の幅よりも大きい場合であっても、文字列を幅方向に途切れたまま表示させる構成としてもよい。当該構成であっても、「E」、「F」、「I」、「L」等の文字が表示枠の境界において高さ方向に途切れて表示されることによる誤認を防止することができる。
【0072】
また、上記では、プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠として、レシピデータの表示枠を例に説明したが、表示枠に表示される文字列のデータはレシピデータに限定されない。
【0073】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠の作成に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 制御システム
1’ 制御システム
10 データ作成装置
10’ データ作成装置
11 レシピデータ枠作成部(表示枠作成手段)
11’ レシピデータ枠作成部(表示枠作成手段)
11a サンプル文字列入力部
11b 表示サイズ調整部
11c 比較判定部(判定手段)
11d メモリ展開部(省略手段)
11e デフォルト文字列表示部
12 表示デバイス
13 表示メモリ
14 記憶部
15 インターフェース部
20 プログラマブル表示器
21 HMI処理部
22 スクリーン(表示画面)
23 タッチパネル
24 記憶部
25 インターフェース部
26 インターフェース部
30 PLC
40 デバイス
F1〜F6 表示枠
F5’ 表示枠
L1 罫線
RD レシピデータ
RD1 表示枠データ
RD2 デフォルト文字列データ
T1 レシピ情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠をデータ作成画像上で作成する表示枠作成手段を備えるデータ作成装置において、
上記データ作成画像上で、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域が上記表示枠内に収まるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段によって、上記文字列の描画領域が上記表示枠内に収まらないと判定された場合に、上記データ作成画像において、上記文字列のうち上記表示枠から少なくとも部分的にはみ出す文字の表示を省略する省略手段とを備えることを特徴とするデータ作成装置。
【請求項2】
プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠をデータ作成画像上で作成する表示枠作成手段を備えるデータ作成装置において、
上記データ作成画像上で、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域の幅が上記表示枠の幅以上であるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段によって、上記文字列の描画領域の幅が上記表示枠の幅よりも大きいと判定された場合に、上記データ作成画像において、上記文字列のうち上記表示枠から幅方向にはみ出す文字の表示を省略する省略手段とを備えることを特徴とするデータ作成装置。
【請求項3】
プログラマブル表示器の表示画面に表示するための罫線で区分される表示枠をデータ作成画像上で作成する表示枠作成手段を備えるデータ作成装置において、
上記データ作成画像上で、上記表示枠内に表示される文字列の描画領域の高さが上記表示枠内の高さ以上であるか否かを判定する判定手段と、
上記判定手段によって、上記文字列の描画領域の高さが上記表示枠の高さよりも大きいと判定された場合に、上記データ作成画像において、上記文字列の表示を省略する省略手段とを備えることを特徴とするデータ作成装置。
【請求項4】
上記文字列の描画領域の高さが上記表示枠の高さよりも大きい場合に、上記省略手段は、上記表示枠を構成する上側の罫線の表示を省略することを特徴とする請求項1または3に記載のデータ作成装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のデータ作成装置の各手段として、コンピュータを動作させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−226684(P2012−226684A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95873(P2011−95873)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】