説明

データ保存向けのエネルギー及び空間効率のよい検出

【課題】光学式記憶システムにおいてエネルギー消費及び熱の蓄積を低減させたデータのデコード処理技法を提供する。
【解決手段】光学データ72はデータストリーム76になるように変換されてバッファリングされ(78)、このデータストリーム76に対してチェックサムアルゴリズム82が適用される。計算したチェックサム82、84がデータストリーム76のエンコード済みチェックサムとマッチングした場合、そのデータストリーム76は追加のデコード88を行わずに出力86される。計算したチェックサム82、84がエンコード済みチェックサムとマッチングしない場合、訂正済みデータストリーム90を生成するようにバッファリング済みデータストリーム80がデコード処理88され、また訂正済みデータストリーム90にチェックサムアルゴリズム92、94が適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示した主題は光学式記憶に関し、またさらに詳細には、光学式記憶システムにおいてデータをデコード処理するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ演算パワーが進歩するに連れて、コンピュータテクノロジーは、民生用ビデオ、データアーカイブ、ドキュメント記憶、撮像及び映画制作(ただしこれらに限らない)などの新たな用途分野に入った。これらの用途によって、記憶容量の増大やデータレートの上昇を有するデータ保存技法を開発するための絶え間ない前進が提供されている。
【0003】
光学式記憶システムに関する記憶容量の漸進的な増大がデータ保存テクノロジーの開発に関する一例となり得よう。例えば1980年代前半に開発されたコンパクトディスクは、概ね650〜700MBのデータ容量、または概ね74〜80分の2チャンネルオーディオプログラムを有する。これに対して1990年代前半に開発されたディジタル多目的ディスク(DVD)フォーマットは、概ね4.7GB(単一層)または8.5GB(デュアル層)の容量を有する。さらに、より高分解能のビデオフォーマット向けの需要などより高い需要を満たすために、容量がさらに大きい記憶技法が開発されている。例えばBlu−ray Disc(TM)フォーマットなどの大容量記録フォーマットは、単一層ディスクでは約25GB、またデュアル層ディスクでは50GBを保持することが可能である。コンピュータテクノロジーの開発が続くに連れて、さらに大容量の記憶媒体が望まれよう。例えば、ホログラフィ記憶システムやマイクロホログラフィ記憶システムが、記憶産業の容量増大の要件を達成し得るような開発中の別の記憶テクノロジーの例である。
【0004】
データ容量の増大に加えて、大きなデータレートも望まれている。例えば、標準的なDVDフォーマットのビデオビットレートは約9.8Mbpsとなることがあり、また標準的なBlu−ray Disc(TM)フォーマットのビデオビットレートは約40.0Mbpsとなることがある。さらに、より大容量の記憶システムが開発されるのに伴ってデータレートの上昇が期待されることになろう。こうした高速度のデータ処理を支援するためには、典型的なチャンネルデコード処理手順に関わる多くの計算やステップについて大量のエネルギーが使用されることになろう。例えば効率のよいReed−Solomonデコーダは1Gbpsで動作することがあり、また概ね200mW/sを消費することがある。複素軟判定(complex soft−decision)デコード処理はかなり多くのパワーを消費することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光学式記憶システムで使用される複素デコード処理はかなりの量のエネルギーを利用すると共に熱の蓄積を生じることがあり、これにより内部及び/または外部冷却が必要となることがある。こうした冷却方法は長期故障率が受容不可能となるために望ましくない。したがって効率のよいデータデコード処理が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、光学読取り機システムを提供する。本システムは、光学媒体からの光学データ読取りに基づいてデータストリームを生成するように構成された光学読取り回路を含む。本システムはさらに、データストリームに対してチェックサムテストを適用するように構成されたチェックサム回路と、そのデータストリームがチェックサムテストに適合するか否かを判定するように構成されたプロセッサと、を含む。さらに本システムは、プロセッサによりデータストリームがチェックサムテストに適合したと判定されたときには非起動とするように構成され、かつプロセッサによりデータストリームがチェックサムテストに不適合であると判定されたときには起動とするように構成されたデコーダを含む。
【0007】
別の実施形態は、記憶媒体からデータブロックを読み取る工程と、該データブロックに基づいてビットストリームを作成する工程と、該ビットストリームをバッファリングする工程と、該ビットストリームにチェックサムテストを適用する工程と、ビットストリームがチェックサムテストに適合した場合にデコーダを非起動にする工程と、を含む方法を提供する。
【0008】
さらに別の実施形態では、マルチチャンネルの光学読取り機向けのデコード処理法を提供する。本方法は、複数の光学データチャンネルから複数のデータブロックを読み取る工程と、該複数のデータブロックに基づいて複数のデータストリームを作成する工程と、該複数のデータストリームの各々に対してチェックサムテストを実行する工程と、を含む。さらに本方法は、複数のデータストリームの各々に関して共通のデコーダを利用する工程を含む。
【0009】
本発明に関するこれらの特徴、態様及び利点、並びにその他の特徴、態様及び利点については、同じ参照符号が図面全体を通じて同じ部分を表している添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことによってより理解が深まるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に従った光学読取り機システムを表したブロック図である。
【図2】一実施形態に従ったチェックサムアルゴリズムを用いた高効率のデコード処理を表した流れ図である。
【図3】一実施形態に従った共通デコーダを用いた複数のチャンネルの読取り処理を表した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
光学式記憶システムなどのある種の記憶システムでは、データ書き込み処理が典型的には、媒体に書き込まれたデータを正確に復元し得ることを確認するためのリードアフターライト(read−after−write:RAW)照合を含むことがある。RAW照合は一般に、媒体に対してデータを書き込むこと、並びにこれを即座に読み取ると共にデータが正しく書き込まれたことを確認するために読み取ったデータをチェックすること、を含むことがある。例えば幾つかのシステムでは、データが媒体上に書き込まれる際に、これをブロック単位でエンコードすることがある。エンコード済みの書き込みブロックに対応する未エンコードのデータブロックを保存することがある。次いでこのエンコード済みデータブロックを読み戻してデコード処理することがあると共に、デコード済みの読取りデータを保存しておいた未エンコードデータと比較することがある。データブロック同士がマッチングした場合は、書き込まれたデータは正確であると共に後続のデータブロックに対する書き込み処理を継続することがある。データブロック同士がマッチングしない場合は、RAW照合は不適合となると共にそのデータブロックが(例えば、媒体上の別の箇所に)再書き込みされることがある。したがって、RAWが書き込み処理中にデータの正確性を確認すると、RAW照合に適合したデータは正しい確率が高いのが一般的である。
【0012】
典型的な記憶システムでは、保存済みデータを読み取るための処理は典型的には、読み取ったデータのデコード処理を含むことがある。例えば、媒体からデータが読み取られてビットストリームになるように変換されることがある。このビットストリームは次いで、例えばReed−Solomonエンコード、フィードフォワード組織コード、再帰的組織コード、Viterbiコード、ビットエラー率最小化コード、その他を含む多くの異なるエラー訂正コード(ECC)に対応することがある任意の冗長ビットを除去するようにデコード処理されることがある。次いでこの冗長ビットは、読取り処理中に生じた可能性があるエラーの訂正のために使用されることがある。こうしたデコード処理は大量のエネルギーを要することが多い。例えば1Gbpsで動作するReed−Solomonデコーダは概ね200mWを消費することがあり、またあるタイプの軟判定デコード処理ではさらに多くのエネルギーを消費することがある。マルチチャンネル読取り処理を用いる記憶システムは、さらに多くのエネルギーを消費することがあると共に、各チャンネルが読み取られる際にデコーダが絶えずデコード処理しているためにさらに追加的な回路も必要となることがある。典型的なデコード処理スキームの動作に用いられる大量のエネルギーのために熱の蓄積が生じることがある。幾つかのシステムでは内部または外部冷却を実装することによって蓄熱に対処しているが、こうした方法ではシステムの複雑性が高くなりまた望ましくない長期故障率を有することがある。
【0013】
したがって、保存済みデータを読み取るための典型的なデコード処理は、並列デコーダ及び/または冷却機構を実現するために、大きなエネルギーの使用、蓄熱の増加、及びシステム設計の複雑性の増大に至ることがある。しかしながら、読取りながら常にデコード処理する典型的なデコード方式は常に効率がよい訳ではない。具体的には、RAW照合を用いて記録しておいたデータを読み取る際に、RAW照合されるデータがすでに正しい確率が高いため、更なるデコード処理やエラー訂正が常に有用ではないことや必要でないことがある。換言すると、RAW照合されるデータが常に正しいために読み取ったデータをデフォルトでデコード処理することは非効率となることがある。本明細書に開示した1つまたは複数の実施形態は、チェックサムアルゴリズムを実行しそのチェックサム結果に基づいて読み取ったデータを選択的にデコード処理することによってエネルギー消費及びシステムの複雑性を低減するための方法及びシステムを提供する。
【0014】
ここで図面を見ると図1は、選択的デコード処理技法の一実施形態を実現し得る記憶システム読取り機の一例を提供するブロック図である。図1に示したこの読取り機システムは光学読取り機システム10としているが、別のタイプの記憶システム読取り機によっても本技法を実現し得ることに留意すべきである。光学読取り機システム10は、光学式記憶ディスク12などの記憶媒体からデータを読み取るために使用されることがある。光学データディスク12上に保存されたデータは、光学データディスク12上に読取りビーム16を投射する一連の光学素子14によって読み取られる。光学データディスク12から光学素子14によって反射ビーム18が取り込まれる。光学素子14は、励起ビームを発生させ、これらのビームを光学データディスク12上に集束させ、かつ光学データディスク12から戻される反射18を検出するように設計された任意の数の異なる素子を備えることがある。反射ビーム18は、光学式記憶ディスク12上のマイクロホログラムから反射された光と、光学式記憶ディスク12の表面から反射された光と、マイクロホログラムからの反射光と該表面からの反射光とのある種の相互作用と、からなる何らかの合成を含むことがある。光学素子14は、光学ドライブ電子回路パッケージ22に対する結合20を介して制御される。光学ドライブ電子回路パッケージ22は、1つまたは複数のレーザーシステムに対する電源、検出器からの電子信号を検出するための検出用電子回路、検出信号をディジタル信号に変換するためのアナログ対ディジタル変換器などのユニットや、検出器信号が光学データディスク12上に保存されたビット値を実際にどの時点で取り込まれたかを予測するビット予測器などの別のユニットを含むことがある。
【0015】
光学データディスク12の上への光学素子14の配置は、光学データディスク12の表面の上で光学素子を前後に移動させるように構成した機械式アクチュエータ26を有するようなトラッキングサーボ24によって制御される。光学ドライブ電子回路22及びトラッキングサーボ24はプロセッサ28によって制御される。本技法に従った幾つかの実施形態ではそのプロセッサ28は、光学素子14が受け取りプロセッサ28に対してフィードバックさせ得るサンプリング情報に基づいて光学素子14の位置を決定することを可能とさせることがある。光学素子14の位置は、反射18を増強及び/または増幅するように、あるいは反射18の干渉を低減させるように決定されることがある。幾つかの実施形態ではそのトラッキングサーボ24または光学ドライブ電子回路22は、光学素子14が受け取ったサンプリング情報に基づいた光学素子14の位置の決定を可能とさせることがある。
【0016】
プロセッサ28はさらに、スピンドルモータ34に対してパワー32を提供するモータ制御器30を制御する。スピンドルモータ34は、光学データディスク12の回転速度を制御するスピンドル36に結合させている。光学素子14が光学データディスク12の外側エッジからスピンドル36の近くに移動するに連れて、プロセッサ28によって光学データディスクの回転速度を上昇させることがある。このことは、光学素子14が外側エッジにあるときの光学データディスク12からのデータに関するデータレートを、光学素子が内側エッジにあるときと本質的に同じに保つために実施されることがある。ディスクの最大回転速度は、約500回転毎分(rpm)、1000rpm、1500rpm、3000rpm、5000rpm、10,000rpm、あるいはこれ以上とすることがある。
【0017】
幾つかの実施形態では、光学データディスク12からの光学データが光学素子14の位置で反射ビーム18の形態で受け取られて光学ドライブ電子回路パッケージ22によってビットストリームに変換された後に、光学ドライブ電子回路22はビットストリーム(例えば、反射ビーム18に対応したディジタル化済みデータストリーム)をチェックサム回路58に送ることがある。チェックサム回路58は、光学ドライブ電子回路22内に含まれることや、これに結合されることがある。複数のデータチャンネル(例えば、光ディスク上の複数のデータトラック)が同時に読み取られるような実施形態では、光学ドライブ電子回路22は1つまたは複数のビットライン56を通じて異なるチャンネルからの幾つかのビットストリームを送ることがある。チェックサム回路58は、チェックサムアルゴリズムを適用してチェックサムを算定し埋め込まれた元のチェックサムを用いて算定済みチェックサムをチェックすることによって各ビットストリームの正確性をチェックすることがある。チェックサム回路58のチェックサムテストに適合したデータが正確であると判定されることがあり、またこれが出力されることがある。プロセッサ28は、チェックサム回路58の動作、データの出力、及び/またはチェックサム不適合を生じさせるデータの処置を制御することがある。
【0018】
チェックサム回路58はデコーダ60に結合されることがあり、またデコーダ60は、冗長ビットの除去及び/または読取り処理中に発生した可能性があるエラーの訂正を行うようにチェックサム回路58からのビットストリームをデコード処理するための回路を含むことがある。幾つかの実施形態ではそのデコーダ60は、プロセッサ28からの制御信号62を介して非起動または起動とさせねばならないことがある。例えばデコーダ60は、チェックサム回路58によりチェックサム不適合が生じたと判定されるまで非起動状態のままとすることがある。プロセッサ28は、デコーダ60を起動させるように制御信号62を送信することがある。
【0019】
プロセッサ28は、ランダムアクセスメモリすなわちRAM38と読出し専用メモリすなわちROM40に接続されている。ROM40は、プロセッサ28に対してトラッキングサーボ24、光学ドライブ電子回路22及びモータ制御器30の制御を可能にさせるプログラムを包含している。さらにROM40は、デコーダ60を制御するためのデータ、並びにプロセッサ28に対してRAM38内に保存しておいた光学ドライブ電子回路22からのデータ(例えば、バッファリングしたデータストリーム)(ただしこれに限らない)の解析を可能にさせるプログラムも含むことがある。幾つかの実施形態ではそのデコーダ60はさらに、アルゴリズム(例えば、チェックサムアルゴリズム及び/またはデコード処理アルゴリズム)を保存するためのメモリを含むことがある。本明細書でさらに詳細に検討するように、RAM38内に保存されたデータに対するこうした解析は例えば、読み取ったデータの正確性の確認(例えば、チェックサムアルゴリズム)、デコード処理、あるいは光学データディスク12からの情報をその他のユニットが使用し得るデータストリームに変換するのに必要な別の機能を含むことがある。
【0020】
光学読取り機システム10が民生用電子デバイスなどの市販のユニットである場合、これにはプロセッサ28に対するユーザによるアクセス及び制御を可能にさせるための制御子を有することがある。こうした制御子は、キーボード、プログラム選択スイッチその他などのパネル制御子42の形態をとることがある。さらにプロセッサ28の制御は、リモートの受信器44によって実施されることがある。リモート受信器44はリモート制御48から制御信号46を受け取るように構成されることがある。制御信号46は、赤外線ビーム、音響信号または無線信号(ただしこれらに限らない)の形態をとることがある。
【0021】
プロセッサ28がデータストリームを生成するようにRAM38内に保存されたデータを解析した後、このデータストリームはプロセッサ28によって他のユニットに提供されることがある。例えばそのデータは、外部ネットワーク上に配置されたコンピュータその他のデバイスなど外部のディジタルユニットに対して、ネットワークインタフェース50を介してディジタルデータストリームとして提供されることがある。別法として、プロセッサ28はこのディジタルデータストリームを、高品位マルチメディアインタフェース(HDMI)などの民生用エレクトロニクス・ディジタルインタフェース52、あるいはUSBポートなどの別の高速インタフェース(ただしこれらに限らない)に対して提供することがある。プロセッサ28はさらに、ディジタル対アナログ信号プロセッサ54など接続された別のインタフェースユニットを有することもある。ディジタル対アナログ信号プロセッサ54によってプロセッサ28は、テレビジョン上のアナログ入力信号に対するものや増幅システムへの音響信号入力に対するものなど、別のタイプのデバイスに対して出力するためのアナログ信号を提供することが可能となる。
【0022】
図2には、チェックサムアルゴリズムを用いた選択的デコード処理スキームのための処理法を表した流れ図を提供している。処理法70は、記憶媒体のチャンネルからのデータブロックの読取り(ブロック72)で開始されることがある。例えば図1に戻ると本処理法は、読取りビーム16を送り出し光学素子14において反射ビーム18を受け取っている光学読取り機システム10によって開始されることがある。反射ビーム18のデータは、ビットストリーム76を作成するように処理されることがある。処理法70は、読取り反復の繰り返しを含み得ることに留意すべきである。読取り反復回数を決定する処理(例えば、第1の読取り判定ブロック74)については以下で詳細に記載することにする。さらにビットストリーム76はバッファリング(ブロック78)されると共に、読取りエラーが検出された場合にアクセスを受けられるように記憶素子(例えば、図1のRAM38)内にバッファリング済みビットストリーム80として保存されることがある。
【0023】
チェックサムテストの適用(ブロック82)は、データブロックのチェックサムを計算しこの計算したチェックサムをデータブロックと一緒に送りかつ/または保存された初めにエンコードしたチェックサムと比較するようなチェックサムのアルゴリズム、機能または手順の適用を意味することがある。チェックサムは、計算したチェックサムと元のチェックサムの間の差によって初めに保存したデータと目下の読取りデータの間の差を示せるようにデータブロックを特定するために使用し得る固定サイズの任意のデータを意味することがある。例えばチェックサム技法は、パリティバイト、モジュラー(modular)サム、チェックサム、その他を含むことがある。ビットストリーム80は、計算したチェックサムがエンコードしたチェックサムとマッチングした場合にチェックサムテスト(ブロック82)に適合することがあり、一方計算したチェックサムがエンコードしたチェックサムとマッチングしない場合にチェックサムテスト(ブロック82)に不適合となることがある。幾つかの実施形態では適当な任意のプロセッサ28が、チェックサム回路58を通すようにビットストリームを伝達しこのビットストリームがチェックサムテストに適合か不適合かを判定することによってチェックサムテストを制御することがある。
【0024】
処理法70によりビットストリーム76がチェックサムテスト(ブロック82)に適合したと判定された場合(ブロック84)、ビットストリーム76は追加のデコード処理を行わずに出力される(ブロック86)ことがある。リードアフターライト(RAW)照合技法を用いてデータを記録し終えれば、このデータはすでに十分に正確であることがある。したがって、ビットストリーム76は典型的にはチェックサムテスト(ブロック82)に適合し得ることが理解されよう。幾つかの実施形態では、ビットストリーム76の出力に追加の処理を要することがある。
【0025】
本処理法によりビットストリーム76がチェックサムテスト(ブロック82)に不適合であると判定された場合(ブロック84)、バッファリングしたビットストリーム80がデコード処理される(ブロック88)ことがある。例えばバッファリングしたビットストリーム80が、図1の光学読取り機システム10内でチェックサム回路58からデコーダ60に送られることがある。データブロックがチェックサムテスト(ブロック82)に不適合でなければ一般に、データのデコード処理が実施されないことがある。データブロックがチェックサムテストに適合した場合、バッファリングしたビットストリーム80はバッファリングしたビットストリーム80をデコード処理に提供する点線の経路(ブロック88)で示したようなデコード処理(ブロック88)を必要としないことがある。検討したように、不正確である可能性が高いデータに対する選択的デコード処理によれば、正確である可能性が高いデータに対して不必要なデコード処理を実行するために利用されることになるエネルギーが節減されるためデコード処理システムの効率が向上することになる。
【0026】
バッファリングしたビットストリーム80に対するデコード処理(ブロック88)には、ビットストリーム80からのあらゆる冗長ビットの除去及び/またはバッファリングしたビットストリーム80に対するエラー訂正を伴うことがある。例えば、ビットストリーム内の冗長ビットは、例えばReed−Solomonエンコード、フィードフォワード組織コード、再帰的組織コード、Viterbiコード、ビットエラー率最小化コード、その他を含む異なる多くのエラー訂正コード(ECC)に対応することがある。次いでこの冗長ビットを使用して、読取り処理中に生じた可能性があるエラーが訂正されることがある。訂正済みビットストリーム90はデコード処理(ブロック88)から得られることがあり、またこの訂正済みビットストリーム90に対してチェックサムアルゴリズム(ブロック92)が適用されることになる。この流れ図においてチェックサムアルゴリズム(ブロック82及び92)に異なる番号付けとすることがあるが、これらのチェックサムアルゴリズムは、共通のチェックサムテストが適用される異なるビットストリームの間での識別をのみを目的として番号を異ならせているだけであることに留意すべきである。処理法70は再度、訂正済みビットストリーム90がチェックサムテスト(ブロック92)に適合するか否かを判定する(ブロック94)ことがある。訂正済みビットストリーム90がチェックサムテスト(ブロック92)に適合した場合、その結果が出力される(ブロック86)ことがある。
【0027】
訂正済みビットストリーム90が第2のチェックサムテスト(ブロック92)に不適合である場合、幾つかの実施形態ではその不適合のデータブロックを再度読取り(ブロック72)、同じデータブロックに関する追加的なビットストリーム96を生成することがある。この追加的ビットストリーム96に対してもチェックサムテストが適用されることがあり、また初めに読み取ったビットストリーム76の場合と同様に、チェックサムテストに不適合であれば追加的ビットストリーム96がデコード処理され、またチェックサムテストに適合すればこれが出力されることがある。幾つかの実施形態では処理法70は、データブロックに対してすでに完了した読取り回数をトラッキングすることがあり、また処理法70により目下の読取り(ブロック72)が第1の読取りでないと判定された場合(ブロック74)は、追加的ビットストリーム96を初めにバッファリングしたビットストリームと合成させ(ブロック98)、合成ビットストリーム100を形成することがある。バッファリングしたビットストリーム80の追加的ビットストリーム96との合成処理(ブロック98)は、データブロックに対する2回の読取りに基づいたビット予測値を合成することがあり、またデコード処理後に訂正される確率が高くなることがある。この合成ビットストリーム100はデコード処理される(ブロック88)ことがあり、また訂正済みの合成ビットストリーム90に対して追加的なチェックサムテスト(ブロック92)が適用されることがある。処理法70によって訂正済み合成ビットストリーム90がここでは追加的なチェックサムテスト(ブロック92)に適合したと判定された場合(ブロック94)、訂正済み合成ビットストリーム90が出力される(ブロック86)ことがある。訂正済み合成ビットストリーム90が未だ追加的なチェックサムテスト(ブロック92)に不適合である場合、幾つかの実施形態ではそのデータブロックが再度読み取られる(ブロック72)ことがある。
【0028】
幾つかの実施形態では処理法70は、チェックサムテスト(ブロック92)に不適合であったデータブロックを再読取りするようにチャンネルを再帰的に読み取る(ブロック72)ことがあり、また追加の各読取りにおいて目下のビットストリーム96がデコード処理(ブロック88)のためにバッファリングしたビットストリーム80と合成される(ブロック98)ことがある。一実施形態では、処理法70の1回の反復中に生成された各合成ビットストリーム100も後続の処理反復における合成(ブロック98)のために使用するためにバッファリングされることがある。さらに幾つかの実施形態では処理法70は、与えられた任意のデータブロックに関する読取り回数を制限することがある。例えばプロセッサ28(図1)は処理法70を制御して各データブロックの読取り回数をトラッキングすることがあり、またあるしきい値(例えば、読取り回数4回)の後にデータブロックに対する処理法70を停止することがある。
【0029】
RAW照合を用いて記録したデータの大部分は正しい可能性が極めて高いことがあり、また第1のチェックサムテスト(ブロック82)に適合することがあることが理解されよう。データが第1のチェックサムテスト(ブロック82)に適合すると、そのデータには追加のデコード処理(ブロック88)は不要であり、またシステム10(図1)のデコーダ60を起動する必要がない。幾つかの実施形態では、チェックサム不適合の場合に不適合データに対する追加のエラー訂正のために(例えば、プロセッサ28からの制御信号62を介して)デコーダ60が起動されることがある。しかし、デコーダ60に関するデフォルト非起動のステータスによれば、システム10に対してかなりのエネルギー節減及び発熱低減をもたらし得る。
【0030】
さらに、1つまたは複数の実施形態ではデコーダ60を絶えず起動させていないことがあるため、1つのデコーダ60をマルチチャンネル読取り機システムに利用することがある。例えば典型的な読取り機システムは、データが読取り中及び/または読取りの直後に常にデコード処理されるのが典型的であるために、同時に読み取られる各チャンネルごとに1つのデコーダを用いることがある。こうしたシステムでは、複数のチャンネル読取り機向けに1つのデコーダを実現するために追加的なデコーダ及び回路を使用しなければならないため、エネルギー消費及び発熱が大きくなるのみならず、複雑性も増大することになり得る。幾つかの実施形態では、複数のチャンネル読取り機に対して1つのデコーダ60を用いることによってエネルギー消費の低減及びシステムの複雑性の低減が得られることがある。
【0031】
図3には、共通の1つのデコーダを用いた同時4チャンネル読取りを表したブロック図を表している。検討のように、RAW照合したデータの大部分は正しいことがあり、またチェックサムテストに適合して出力される(ブロック86)ことがある。したがってこのデータは追加のデコード処理(ブロック88)を必要としないことがある。あるチャンネル上のデータがデコード処理(ブロック88)に送られる場合と比べて出力に送られる場合(ブロック86)の方がより高頻度であるため、複数のチャンネル読取り機がデコーダ60を効率よく共有し得る。例えば図3に示した実施形態では、チェックサム不適合の事象が一般に稀である場合に、デコード処理(ブロック88)のためにその各々が共通の1つのデコーダ60を使用し得るような4つのチャンネルをマルチチャンネル読取り機で読み取ることがある。幾つかの実施形態では、チェックサムテストを不適合となる可能性がある特定のあるチャンネルに関してデコード処理(ブロック88)を選択するようにプロセッサによりマルチプレクサを制御することがある。
【0032】
本発明のある種の特徴についてのみ本明細書において図示し説明してきたが、当業者によって多くの修正や変更がなされるであろう。したがって添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神の範囲に属するこうした修正や変更のすべてを包含させるように意図したものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0033】
10 光学読取り機システム
12 光学式またはホログラフィ式ディスク
14 光学素子
16 読取りビーム
18 反射ビーム
20 光学ドライブ/信号結合
22 光学ドライブ素子
24 トラッキングサーボ
26 機械式アクチュエータ
28 プロセッサ
30 モータ制御器
32 モータドライブ接続
34 スピンドルモータ
36 スピンドル
38 RAM
40 ROM
42 パネル制御子
44 リモート受信器
46 リモート信号
48 リモート制御
50 ネットワークインタフェース
52 民生用ディジタルインタフェース
54 D/A信号プロセッサ
56 ビットライン
58 チェックサム回路
60 デコーダ
62 入力信号
70 処理法
72 チャンネルの読取り
74 第1の読取りか?
76 ビットストリーム
78 バッファリング
80 バッファリングしたビットストリーム
82 チェックサムアルゴリズム
84 チェックサムに適合したか?
86 出力
88 デコード
90 訂正済みビットストリーム
92 チェックサムアルゴリズム
94 チェックサムに適合したか?
96 追加的ビットストリーム
98 合成
100 合成ビットストリーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学媒体(12)からの第1の光学データ読取り(74)に基づいて第1のデータストリーム(76)を生成するように構成された光学読取り回路(28)と、
第1のデータストリーム(76)に対してチェックサムテスト(82、84)を適用するように構成されたチェックサム回路(58)と、
第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合するか否かを判定する(84)ように構成されたプロセッサ(28、58)と、
プロセッサ(28、58)により第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に適合したと判定されたときに非起動とするように構成され、かつプロセッサ(28、58)により第1のデータストリーム(76)がチェックサムテスト(82、84)に不適合であると判定されたときに起動とするように構成されたデコーダ(60)と、
を備える光学読取り機システム(10)。
【請求項2】
チェックサム回路(58)にアクセス可能なメモリシステム(38、40)であってチェックサムテスト(82、84)のチェックサムアルゴリズム(82)を保存するように構成されたメモリシステム(38、40)を備える請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記プロセッサ(28、58)はデコーダ(60)に対する非起動または起動を制御信号を介して行うように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記光学読取り回路及び前記デコーダに結合されたバッファ(78)を備えており、該バッファ(78)は光学読取り回路が生成した第1のデータストリーム(76)をバッファリングするように構成されていると共に、該デコーダは該バッファ(78)にアクセスし、バッファリングした第1のデータストリーム(76)をデコード処理し、かつエラー訂正済みの第1のデータストリーム(90)を生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記チェックサム回路(58)はエラー訂正済みの第1のデータストリーム(90)に対してチェックサムテスト(92)を適用するように構成されていると共に、前記プロセッサ(28、58)はエラー訂正済みの第1のデータストリーム(90)がチェックサムテスト(92)に適合するか否かを判定する(94)ように構成されている、請求項4に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記プロセッサ(28、58)はプロセッサ(28、58)によってエラー訂正済みの第1のデータストリーム(90)がチェックサムテスト(92)に不適合であると判定された場合に光学媒体(12)からの第2の光学データ読取りを制御するように構成されていると共に、前記光学読取り回路(28)は該第2の光学読取りに基づいて第2のデータストリーム(96)を生成するように構成されている、請求項5に記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記プロセッサ(28、58)は光学媒体(12)からの第2の光学データ読取りを制御するように構成されていると共に、前記光学読取り回路(28)は該第2の光学読取りに基づいて第2のデータストリーム(96)を生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記プロセッサ(28、58)は、
合成データストリーム(100)を生成するように第1のデータストリーム(80)を第2のデータストリーム(96)と合成すること、
エラー訂正済み合成データストリーム(90)を生成するために合成データストリーム(100)をデコーダに送ること、並びに
エラー訂正済み合成データストリーム(86)にチェックサムテスト(92)を適用するためにエラー訂正済み合成データストリーム(90)をチェックサム回路(58)に送ること、
を行うように構成されている、請求項7に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記プロセッサは、
エラー訂正済み合成データストリーム(90)がチェックサムテスト(92)に適合するか否かを判定すること(94)、並びに
プロセッサ(28、58)によってエラー訂正済み合成データストリーム(90)がチェックサムテスト(92)に適合したと判定された場合(94)にエラー訂正済み合成データストリーム(90)を出力すること(86)、
を行うように構成されている、請求項8に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記プロセッサ(28、58)は、
エラー訂正済み合成データストリーム(90)がチェックサムテスト(92)に適合するか否かを判定すること(94)、
プロセッサ(28、58)によってエラー訂正済み合成データストリーム(90)がチェックサムテスト(92)に不適合であると判定された場合に光学媒体(12)からの第3の光学データ読取りを制御することであって、前記光学読取り回路(28)は該第3の光学読取りに基づいて第3のデータストリーム(96)を生成するように構成されている読取り制御、並びに
第1のデータストリーム(76)、第2のデータストリーム(96)、合成データストリーム(100)及びエラー訂正済み合成データストリーム(90)のうちの1つまたは幾つかと第3のデータストリーム(96)を合成すること(98)、
を行うように構成されている、請求項8に記載のシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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