説明

データ保存機能を有するテストチューブ

【課題】多数のテストチューブを使用して複雑な試験を行う場合、誤認・混同を起さないテストチューブを開発する。重複記録、損傷データの補償可能とする。
【解決手段】外筒と内筒の2つの部分からなり、外筒にはデータのみを内筒には試料液のみ担持させ、両者をアンロック不可能に結合し、或いは摩擦によって固定して試験に使用する。テストチューブが内筒及び外筒の2つの部分から構成されているため、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースが拡大されて、データの重複記録が可能となるため、ヒューマン・エラーを含む損傷データの補償にも使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に化学及び生化学関係の研究・開発に使用される、情報の記録/ 読み出し及び/ または消去機能を備えた、保存テストチューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年化学工業特に生化学関係の研究・開発技術が急速に進歩して、研究過程では極めて多数のテストチューブを取り扱う必要性が益々高まっている。そのため多数のテストチューブを誤りなく保管し、試験を繰り返す過程で、個々のテストチューブの誤認・混同を起こすことなく管理できる機能を有する、テストチューブ及びその管理方法の必要性が高くなっている。このため内容物のデータまたは/
及びアドレス管理情報の保持機能を有する保存テストチューブへの要望が高まっている。
【0003】
このような目的のため近年多くの試みがなされているが、本件発明と関係があるデータ保持機能を有するテストチューブに関する出願としては、例えば次ぎのような特許文献が挙げられる。
【特許文献1】特表2001−502595
【特許文献2】特許第3996766号 特許文献1はテストチューブの底部に、バーコード、ドットコード等光学的に読み取り可能な印字・印刷機能を備え、光学的に不透明な表面に光学的読取可能なコーティングが施されたテストチューブに関するものであり、特許文献2はテストチューブの底部に気密室を設け、その内部に光学的に読取り可能な文字・記号等を記載したラベルを封入して、外部から光学的に読取り可能とした構造を有するテストチューブに関するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、近年化学工業特に生化学関係の研究・開発技術において、研究過程ではで極めて多数のテストチューブを取り扱う必要がある。その際多数のテストチューブを誤りなく保管し、試験を繰り返す過程で、個々のテストチューブの誤認・混同を起こすことなく管理するために使用される、データ保存機能を有するテストチューブを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
テストチューブには通常の印刷機器の他、レーザーまたはプリンター等で直接目盛線、その数値等の文字または記号等を印刷・刻印することが可能である。或いはテストチューブにICタグを埋め込んで外部から電気的に文字または記号等を書き込み及び/
または消去し或いは再記録することも可能である。しかし、殆どの場合容器は透明または半透明であり、サンプルを封入した場合その印字・刻印等の色彩・性状等によっては、テストチューブの内容物の色彩、濁り等と混同するため、印字した文字・記号等の読取り、或いは電気的手段等による識別も困難となることがある。或いは、内部の状態が見え難くなるため内容液の注入、取り出し等の操作にも支障をきたすおそれがある。このような場合には容器に着色、例えば、白色或いは黒色またはその他の適当な色彩を塗布すれば、解読或いは注入、取り出し操作等が可能となる場合もある。
【0006】
このような問題点を解決するためには、試料を色彩・性状等の微妙な変化も外部から常に観察が可能な透明なテストチューブに封入する。一方、これらの試料のデータ等の記録は試料の色彩等の影響を受けず常に、印字・刻印等の読取りが可能な不透明或いは着色した別個のケースに保持させる。このように材質が異なる2つのチューブを組み合わせて使用することにより、前記の2つの問題点を解消することができるとの着想に到達した。
【0007】
これは、試料を収納した内筒とデータ等の記録を保持する外筒とを組み合わて固定し、外筒に設けた窓から内筒の内部に収納された液の状態の観察ができる構造を有するテストチューブである。ここで、「不透明或いは着色した」とはテストチューブの「情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(5) 」に記載した目盛線、数値、その他数字、文字、記号、情報コード等の読取りが、背景となるチューブに収納された試料の色彩等の影響を受けず、正確に読み取れる範囲内の光学的状態を指している。
【0008】
外筒の断面には方形及び円形が適用可能であるが、この中では方形がより好ましい。方形の場合、数字、文字等を含む種々のコードを各種の方法でテストチューブの外筒に保持させるが、これらのコードを常に平面状の部分に保持させることが可能である。一方、外筒の断面が円形の場合には外筒側面の「情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース」も曲面となり、そこに書き込んで保持せざるを得ない。このため外筒の断面が方形の場合には円形よりも、コードの書き込み、読み出し等の操作においても、これらの操作に使用される機器の構造も簡便となり、発生するミスも少なく保守も容易である点で優れている。
【0009】
更に、外筒が円形の場合には情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースとして、側面と底面が利用可能である。外筒が方形の場合には更に上面にも情報の記録/ 読み出し等の機能を持たせことが可能となり、バックアップ機能を高めることができる。このためのスペースとして外筒の4隅と内筒との間には断面が略3角形の空間がある。この空間に外筒上縁からせり出させて略3角形のスペース4ケ所を設ければ、データの重複記録が可能となり、データの一部が損傷を受けた場合でも、そのデータによる補償が可能となるため、操作が継続できるバックアップ機能を持たせることが可能となる。
【0010】
更に、外筒上面の「情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース」は、保存テストチューブを収納ラックに収納した場合にも上から容易に見える状態となる。このため目視で情報の読み出しができるデータの記録場所としても重要である。通常多数のテストチューブを収納ラックに収納して使用されるが、その状態のままでは目視できるデータの収納場所は限られている。目視以外の光学的・電気的の情報の記録/
読み出し方式が発達した現在でも、テストチューブに目視で認識可能な情報を記載しておくことは不可欠である。これは本件発明の大きな特徴の一つである。
【0011】
本件発明のテストチューブには外筒の底面にも、情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースが設けられている。通常多数の保存テストチューブをラックに収納して使用するため、情報の記録/
読み出し等はラックの底部を移動する読み取り可能な機器によってなされる。例えば、2次元ドッドコードを使用すれば相当多量な情報の記録/ 読み出しが可能である。尚、収納場所の関係で通常目視のためには使用困難であるが、側面にも目視可能な数字・記号を記録してバッグ・アップすることも可能である。
【0012】
本発明の保存テストチューブは側面等にも、底面と同一な情報を担持させることが可能である。複数面に同一の情報が保持されているので情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有する機器を備えた異なった形態のラックに収納することも可能となるため、多数のテストチューブを大規模且つ複雑な研究開発・生産管理等で利用できる。また、多数のテストチューブの保管、取り出して試験に使用、その後再度以前の場所へ戻して保存する等の操作は、総てコンピューター制御により自動的に行うことが可能である。
【0013】
このために本発明のテストチューブには可及的に多くの情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースを設けている。情報の記録媒体としては目盛線、単位、数字、記号・文字、1次元バーコード及び2次元ドットコード等が使用可能であり、記録方法としては印刷・刻印・磁気記録・電気的信号の記録等が使用可能である。更にICタグを使用すれば記録/
読み出し/ 消去/ 再記録も可能となる。その他、目視による読取り可能な記録併用の重要性は前記の通りである。このためテストチューブには最大限の情報の記録/ 読み出しまたは/
及び消去機能を有するスペースを、設けることができるようにレイアウトれていることも本発明の特徴の一つである。
【0014】
本発明では前記のように、極力情報の記録部位及び記録容量の増大、記録部位を容器の各方向より可能として記録媒体の多用化がなされているため、重要データの複数スペースへの重複保存が可能となっている。これによってテストチューブを試験等に使用する過程でデータの一部が損傷しても、重複保存されているその他のデータの使用が可能となる。更に重複保存するデータを別種類の媒体に保存すれば、同時に損傷されない場合も多くバック・アップの効果が一層高められる。本発明の情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースには、このような使用方法も含まれている。更に、バック・アップはテストチューブの使用過程で人為的な汚染等の原因で発生する、ヒューマン・エラーによるデータの損傷に対しても有効である。これも本発明の保存テストチューブの特徴の一つである。
【0015】
更に新しいテストチューブの内筒へ初めて内容液を注入する時、同時にその試料に関する原始データを外筒の複数種類の媒体に記録し、内筒を外筒内部へ挿入してロックされる構成となっている。この原始データは以後追加書き込み或いは削除等の変更が一切できないように保持されるが、その他の情報の記録/ 読み出し及び/ または消去機能を備えたスペースも併せて設けることができる。その後得られ試験結果等のデータも記録し或いは消去できる。本発明のストチューブではこのようにして2種類の情報を保持・運用することも可能である。これも本発明のテストチューブのその他の特徴の一つである。
【0016】
前記で述べた幾つかの着想に基づいて本発明に到達した。すなわち、保存テストチューブ(1) は底部が閉止された、断面が方形の外筒(2) 及び断面が円形の内筒(3)
からなり、外筒(2) の側面には一つまたは複数の窓及び/ または裏面にそれと対向する窓(4) が設けられている。外筒の窓から内筒内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒の上部及び窓以外の側面または底面の何れかまたはそれらの複数面には、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(5) を備えている。内筒(3) は上部から試料の注入及び取り出しが可能である。
【0017】
外筒内側下部とそれに対向する内筒外側下部との間にはロック機構(6) が設けられ、内筒を外筒(2) の内部へ押し込むと、ロック機構により内筒と外筒とが不可逆に固定される構造を有する、情報の記録/ 読み出し及び/
または消去機能を備えたテストチューブである。ここで不可逆に固定される構造とは、一旦ロックするとその部分を破壊しない限り、アンロックできない構造を意味している。これによって、多数のテストチューブをコンピューターで管理し、長期間にわたって複雑な出し入れを伴う試験を繰り返す場合でも、ラベルの表示と内容物の誤認・混同を起こさないように管理するためである。ロック機構は特に限定しないが、例えば内筒下部にその周囲が松茸の傘状の突起を設け、外筒稜線の内側4ケ所の部分にそれに対応する凹部を設ければ、このような機能を付与することができる。或いは、外筒内側とそれに対向する内筒外側とを、弾性変形を摩擦によって固定する態様のロック機構も適用可能である。
【0018】
更に、前記の保存テストチューブの態様において、チューブ(1) の外筒(2) は不透明な材質でつくられ、上縁と内筒(3) との4隅間隙にはそれぞれ略3角形の平面(7)
が外筒上縁からせり出して形成され、外筒(2) の表裏には矩形の窓(4) が設けられている。外筒下部の4隅には稜線(8) が取り付けられ、稜線(8) で囲まれた空間は下方が絞られて、その断面が変形8角形の形状となっている。この隣接する稜線相互の間にはそれぞれ4ケ所の逆台形の窓(9)
が形成され、稜線の下端に円形の底面(10)が取り付けられた構造を有している。外筒を不透明な材質でつくるのは、内筒に収納された試料の色調等によって、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースへの情報の収納・読み出しの障害とならないようにするためである。
【0019】
また、内筒の材質には通常透明なガラスやポリエチレン、ポリプロピレン等プラスチックが使用されるが、光の影響を受け易い発光性物質や蛍光性物質を使用する場合には、その影響を考慮して色調等を変更することもできる。前記のように、本発明の保存テストチューブには内容液の情報等のみをを担持する外筒及び、その内容液を収納する機能のみを有する内筒の2つの部品が含まれ、両者が結合して構成されている。この2つの部品はそれぞれの使用目的及び機能が異なるため、その使用目的及び機能に適した材質を選択することができる。例えば、ポリプロピレンは耐薬品性に優れているため、薬液収納用テストチューブには適しているが、印字が困難なため使用できない場合がある。しかし、本発明の保存テストチューブでは情報は外筒で保持されるため、このような問題は全く起こらない。これも本発明も大きな特徴の一つである。
【0020】
外筒に設けられた窓(4) 及び逆台形の窓(8) からは内筒(3) 内部の観察または/ 及び透視が可能である。本発明のテストチューブの構造上、その底部迄充分観察できるため、液中の懸濁物、沈殿物、相分離の有無等の観察も可能である。更に、外筒上部4ケ所の略3角形の平面(7)
、外筒側面の窓以外の部分及び、底面(10)の何れかまたはそれらの複数ケ所に、情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(5) が設けられている。ここで、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能は、そこで使用される機器の機能によって異なるため、使用目的に応じて選択される。例えば、目盛線とその数値、その他文字・記号の印字、印刻は目視による読取りが可能であり、バーコード・ドットコードの印刷画面の読取りにはコード・リーダーが必要となり、磁気記録または電気信号を記録したICタグ等の記録/
読み出しまたは/ 及び消去にはその専用機器が必要となる。従って、使用目的によりそれぞれの機器の機能に応じて選択・使用される。
【0021】
前記のテストチューブの何れの態様においても、内筒(3) を外筒(2) の内部へ押し込んでロック或いは固定した時、円筒及び外筒の上面が同一平面となるテストチューブも本発明に含まれている。外筒上部4ケ所の略3角形の平面(7)
へ死角を少なくしてそのスペースに担持された情報を有効に使用することが可能となる。
【0022】
その他の態様として、テストチューブ(21)は底部が閉止された、断面が円形の外筒(22)及び内筒(23)からなり、外筒(22)の側面には一つまたは複数の窓及び/
または裏面にそれと対向する窓(24)が設けられた態様も含まれている。外筒の窓から内筒内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒の窓以外の側面または底面の何れかまたはそれらの両面には、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(25)が設けられている。
【0023】
内筒(23)は上部から試料の注入及び取り出しが可能であり、外筒内側下部とそれに対向する内筒外側下部との間にはロック機構(26)が設けられている。内筒を外筒内部へ押し込むと、このロック機構により内筒と外筒とが不可逆に固定、或いは摩擦により固定される構造を有する、情報の記録/
読み出し及び/ または消去機能を備えたテストチューブである。
【0024】
または、前記のテストチューブの態様において、テストチューブ(21)の外筒(22)は不透明な材質でつくられ、外筒の表裏には矩形の窓(24)が設けられている。外筒下部の4隅には稜線(28)が取り付けられ、稜線(28)で囲まれた空間は下方が絞られた、その断面が変形8角形の形状となっている。隣接する稜線相互の間にはそれぞれ4ケ所の逆台形の窓(29)が形成され、稜線の下端に円形の底面(10)が取り付けられた構造を有している。
【0025】
外筒に設けられた窓(24)及び逆台形の窓(28)から、円筒(23)内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒側面の窓以外の部分及び底面(30)の何れかまたは両者に、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(25)を備えたテストチューブである。その他保存テストチューブには保存中に塵埃等の混入防止のため、ネジ込みまたは挿入、或いはアルミシール等のキャップの取付が可能である。
【0026】
前記の態様において、テストチューブの内容液等に関する情報である、目盛線、その数値、文字、記号、文書及びイメージ等は、それぞれの媒体に従って印刷、刻印、1次元または2次元のバーまたはドットコード、磁気または電気信号に変換されて、テストチューブの情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(25)に記録される。更にそれぞれの機器で読み出されて使用される。目視により読取り可能な記録についても同様である。尚、ICタグも底面を含む何れのスペースにも取り付け可能であり、ICタグに記録されたアドレスや情報の一部を2次元ドットコードにも重複して記録させた場合には、ICタグの高速読取りが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明のデータ保持機能を有するテストチューブは、試料を収納する内筒と、試料に関する情報を保持する外筒の2つの部分から構成され、両者を不可逆に結合、すなわちロック部分を破壊しない限りアンロックできない構造となっている。或いは、摩擦による固定機構により固定された構造となっている。この両者すなわち内筒と外筒とを別個の構成としたことにより、それぞれの材質選択の範囲が広がり、広範囲の試験に適用可能となる。更にこの2つの部分から構成することによって、テストチューブの情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースを大幅に拡大することも可能となる。更に情報の記録スペースの拡大のみならず、容器のあらゆる方向に情報を有することも本発明の大きな特徴である。これによってデータの2重記録が可能となる等、試験によるデータの損傷を補償できる他、ヒューマン・エラーのバッグアップも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下実施例を挙げて、本発明のデータ保持機能を有するテストチューブの態様を更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1に本発明のテストチューブの1態様の斜視図を示す。テストチューブ(1) は内筒(3) がポリプロピレンからなり、外筒(2) は白色または黒色のポリプロピレンからなっている。外筒の表面及びそれに対応する裏面には矩形の窓(4)
が設けられている。
【0030】
外筒下部の4隅には稜線(8) が取り付けられ、稜線(8) で囲まれた空間は下方が絞られた、その断面が変形8角形の形状となり、隣接する稜線相互の間にはそれぞれ4ケ所の逆台形の窓(9)
が形成されている。稜線の下端に円形の底面(10)が取り付けられた構造となっている。また、外筒下部の稜線の付け根部分の内側4ケ所には外筒のロック機構(6) の凹部が設けられている。
【0031】
その他、外筒上縁と内筒(3) との4隅の間隙にはそれぞれ略3角形の平面(7) が外筒上縁からせり出して形成されている。略3角形の平面(7) 4ケ所、外筒側面の窓以外の部分及び、底面(10)には情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースが設けられている。
【0032】
テストチューブの内容液等に関する情報は、数字、文字、記号及びイメージとして、それぞれの媒体に従って、印刷、刻印、1次元または2次元のバーまたはドットコード、磁気または電気信号に変換され、前記のスペースに記録され、このスペースから取り出されて使用される。尚、目視により読取り可能な記録も重要な情報でありここに含まれている。
【実施例2】
【0033】
図2に本発明のその他の1態様であるテストチューブの斜視図を示す。前記の実施例1で述べた態様において、内筒(3) を外筒(2) の内部へ押し込んでロックした状態において、内筒及び外筒の上面が同一平面となる態様である。
【0034】
この態様ではこの部分に設けられた、情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースが外部の広範囲な角度から直接見えるようになるため、目視が容易となる他、機器によるインプット及び読み出しも容易となる。目視で読み取れるデータには特に適している。
【実施例3】
【0035】
図3に本発明のその他の1態様であるテストチューブの斜視図を示す。図に示すように実施例1の態様において、外筒下部の絞られた形状となる部分を削除した形状となっている。テストチューブが自立可能であること及び、底面で保持する簡易構造のラックが使用可能となる。
【実施例4】
【0036】
図4に本発明のその他の1態様であるテストチューブの斜視図を示す。テストチューブ(21)は断面が円形の外筒(22)及び内筒(23)からなり、外筒は白色または黒色のポリプロピレンからなり、内筒はガラスである。外筒(22)の表面及びそれに対応する裏面には矩形の窓(24)が設けられている。
【0037】
外筒下部には等間隔で4ケ所に稜線(28)が取り付けられ、稜線(28)で囲まれた空間は下方が絞られた、その断面が変形8角形の形状となり、隣接する稜線相互の間にはそれぞれ4ケ所の逆台形の窓(29)が形成され、稜線(28)の下端に円形の底面(30)が取り付けられた構造となっている。また、外筒下部の稜線の付け根部分の内側4ケ所には外筒のロック機構(26)の凹部(32)が設けられ、内筒下部の周囲にはロック機構(26)の凸部(31)が設けられている。
【実施例5】
【0038】
図5に本発明のその他の1態様であるテストチューブの斜視図を示す。図に示すように実施例4の態様において、外筒下部の絞られた形状となる部分を削除した形状となっている。このためテストチューブが自立可能であること及び、底面で保持する簡易構造のラックが使用可能となる。
【0039】
テストチューブの内容液等に関する情報は、先に述べた実施例の場合と同様に、それぞれの媒体に従って、印刷、刻印、1次元または2次元のバーまたはドットコード、磁気または電気信号に変換されて、情報の記録/
読出/ 消去機能を備えたスペース(25)に記録されている。また、このスペースから取り出されて使用される。尚、目視により読取り可能な記録も重要な情報でありここに含まれている。
【0040】
図6に本発明のロック機構の1態様であるロック部分の断面図を示す。図6(a) は内筒を外筒の内部へ挿入する過程の状態を示し、図6(b) は内筒が挿入されて外筒と不可逆にロックされた状態を示す。ここで、内筒を図6(a)
の矢印の方向へ押し込むと内筒外側下部に環状に設けられた松茸の傘状の凸部(31)が、これに対応する外筒下部の稜線(28)の付け根の内側に設けられた凹部(32)に挿入されて、図5(b)
に示すようにロックされた状態となる。内筒の松茸の傘状の断面の形状と、これに対応する外筒の凹部の形状から分るように両者が不可逆に固定され、この部分を破壊しない限りアンロック出来ない構造となっていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のテストチューブは外筒、内筒の2つの部分からなり、それぞれ内容液及びデータ記録後同時に不可逆にロックまたは固定された構成となっている。このためデータの読み誤り等混同のおそれがなく、更に情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペースが拡大されているため、データの重複記録が可能となるため、ヒューマン・エラーを含む損傷データを補償することが可能である。ラックに収納された多数のテストチューブをコンピューターによって、自動的に制御して取り出し、試験に使用後再び自動的に以前の保管場所に収納し、繰り返し試験に使用するような高度なシステムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】データ保持機能を有するテストチューブの1態様の斜視図を示す。
【図2】データ保持機能を有するテストチューブのその他の態様の斜視図を示す。
【図3】データ保持機能を有するテストチューブのその他の態様の斜視図を示す。
【図4】データ保持機能を有するテストチューブのその他の態様の斜視図を示す。
【図5】データ保持機能を有するテストチューブの1態様のロック部分の断面図を示
【図6】データ保持機能を有するテストチューブのロック部分の1態様の断面図を示す。
【符号の説明】
【0043】
1 テストチューブ
2 外筒
3 内筒
4 外筒側面の窓
5 情報の記録/ 読出/ 消去機能を備えたスペース
6 ロック機構
7 外筒上縁と円筒間の4ケ所の平面
8 稜線
9 逆台形の窓
10 底面
21 外筒側面の窓以外の部分
22 外筒
23 内筒
24 外筒側面の窓
25 情報の記録/ 読出/ 消去機能を備えたスペース
26 ロック機構
28 稜線
29 逆台形の窓
30 底面
31 内筒外側下部に環状に設けられた松茸の傘状の凸部
32 外筒下部の稜線の内側に設けられた凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存テストチューブ(1) は底部が閉止された、断面が方形の外筒(2) 及び断面が円形の内筒(3) からなり、
外筒(2) の側面には一つまたは複数の窓及び/ または裏面にそれと対向する窓(4) が設けられて、外筒の窓から内筒内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒の上部及び窓以外の側面または底面の何れかまたはそれらの複数面には、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(5) を備え、内筒(3) は上部から試料の注入及び取り出しが可能であり、
外筒内側下部とそれに対向する内筒外側下部との間にはロック機構(6) 或いは弾性変形を摩擦により固定する機構が設けられ、内筒を外筒内部へ押し込むと、内筒と外筒とがロック機構(6)
により不可逆に、または摩擦による固定機構により固定される構造を有する、情報の記録/ 読み出し及び/ または消去機能を有するスペース(5) を備えた、データ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項2】
保存テストチューブ(1) の外筒(2) は不透明な材質でつくられ、上縁と内筒(3) との4隅の間隙にはそれぞれ略3角形の平面(7) が外筒上縁からせり出して形成され、外筒(2)
の表裏には矩形の窓(4) が設けられ、外筒下部の4隅には稜線(8) が取り付けられ、稜線(8) で囲まれた空間は下方が絞られた断面が変形8角形の形状となり、隣接する稜線相互の間にはそれぞれ4ケ所の逆台形の窓(9)
が形成され、稜線の下端に円形の底面(10)が取り付けられた構造を有し、
外筒に設けられた窓(4) 及び逆台形の窓(9) から内筒(3) 内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒上部4ケ所の略3角形の平面(7) 、外筒側面の窓以外の部分及び、底面(10)の何れかまたは複数ケ所に、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(5) を備えた、請求項1記載のデータ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項3】
内筒(3) を外筒(2) の内部へ押し込んでロックまたは固定した時、円筒及び外筒の上面が同一平面となる形状を有する、請求項1または2記載のデータ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項4】
保存テストチューブ(21)は底部が閉止された、断面が円形の外筒(22)及び内筒(23)からなり、
外筒(22)の側面には一つまたは複数の窓及び/ または裏面にそれと対向する窓(24)が設けられて、外筒の窓から内筒内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒の窓以外の側面または底面の何れかまたはそれらの両面には、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(25)が設けられ、内筒(23)は上部から試料の注入及び取り出しが可能であり、
外筒内側下部とそれに対向する内筒外側下部との間にはロック機構(26)或いは弾性変形を摩擦により固定する機構が設けられ、内筒を外筒内部へ押し込むと、内筒と外筒とがロック機構(26)により不可逆に、または摩擦による固定機構により固定される構造を有する、情報の記録/
読み出し及び/ または消去機能を有するスペース(25)を備えた、データ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項5】
保存テストチューブ(21)の外筒(22)は不透明な材質でつくられ、外筒の表裏には矩形の窓(24)が設けられ、外筒下方には等間隔4ケ所に稜線(28)が取り付けられ、稜線(28)で囲まれた空間は下方が絞られた断面が変形8角形の形状となり、隣接する稜線相互の間にはそれぞれ4ケ所の逆台形の窓(29)が形成され、稜線の下端に円形の底面(30)が取り付けられた構造を有し、
外筒に設けられた窓(24)及び逆台形の窓(28)から、円筒(23)内部の観察または/ 及び透視が可能であり、外筒側面の窓以外の部分及び、底面(30)の何れかまたは両者に、情報の記録/
読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(25)を備えた、請求項4記載のデータ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項6】
外筒内側下部とそれに対向する内筒外側下部との間に取り付けられたロック機構(6) 、(26)が、内筒外側下部に環状に設けられた松茸の傘状の凸部(31)と、これに対応する外筒下部の稜線(8)
、(28)の内側に設けられた凹部(32)からなり、内筒が外筒内部に押し込まれた時、内筒の傘状の凸部が外筒の凹部に嵌め込まれることにより、内筒と外筒とが不可逆に固定される構造を有する、請求項1〜5の何れかに記載されたデータ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項7】
外筒内側下部とそれに対向する内筒外側下部との間に取り付けられた固定機構が、外筒内側下部の下方がやや絞られたナット内面と同様な螺旋状の凹凸を有する表面と、その内径より僅かに大きな外径を有する、下方がやや絞られた円錐台形の内筒を、圧力をかけて挿入することにより、弾性変形したナットのネジ山状部分が摩擦により固定される構造を有する、請求項1〜5の何れかに記載されたデータ保存機能を有するテストチューブ。
【請求項8】
保存テストチューブに関する情報が、情報の記録/ 読み出しまたは/ 及び消去機能を有するスペース(5) 、(25)には、目視、ICタグ等も含むそれぞれの情報媒体に従って、印刷、刻印、1次元バーコードまたは2次元ドットコード、磁気記録または電気信号として記録され、ICタグと2次元ドットコードが共に含まれている場合もある、請求項1ないし請求項7の何れかに記載された、データ保存機能を有するテストチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−222443(P2009−222443A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64976(P2008−64976)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【特許番号】特許第4303771号(P4303771)
【特許公報発行日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(508078329)
【出願人】(508078307)
【Fターム(参考)】