説明

データ入力装置及び管理サーバ

【課題】データ入力の利便性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】UI提供部40は、UIエミュレータ42を備えており、プロファイル保持部50に保持されたプロファイル情報の中から、ユーザが希望するUIを実現するためのプロファイル情報を読み出し、UIエミュレータ42にそのUIを実現させる。プロファイル情報には、ボタンに割り当てる機能を示すキーアサイン情報、変換元データを受け付ける際の入力方法を示す情報、変換対象となる変換元データの表示形態や、予測変換候補や変換候補などを画面に提示する際の表示形態などを含んでいる。UIエミュレータ42は、これらのプロファイル情報に基づいてUIを提供し、ユーザの操作を入力エンジン30へ伝達する。また、入力エンジン30から出力される変換先データをアプリケーション群に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ入力技術に関し、特に、ユーザから受け付けたデータを他のデータに変換して入力するデータ入力装置及び管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
日本語の文字列を入力する際に、ユーザが入力した読みを漢字に変換して入力するプログラムが広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。近年、携帯電話端末が広く普及し、携帯電話端末間で電子メールを送受信するユーザが増加しており、携帯電話端末のメーカーは、それぞれに、キーボードを持たない携帯電話端末において日本語の文章を効率よく入力するための技術を開発し、携帯電話端末に搭載している。
【特許文献1】特開2004−139402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、各メーカーが異なる仕様の日本語入力プログラムを携帯電話端末に搭載しているので、ユーザが携帯電話端末を買い換えて、異なるメーカーの携帯電話端末へ移行しようとすると、それまで慣れ親しんでいた日本語入力環境が奪われ、新たな日本語入力環境における操作の学習を強いられることになる。携帯電話端末を、通話だけでなく、電子メールを送受信するための端末として頻繁に利用するユーザも多く、日本語入力の利便性は携帯電話端末を購入する上で重要な要素の一つになっている。日本語入力環境の違いを理由に同種の携帯電話端末を購入し続けるユーザも多く、ユーザの選択の幅を制限することにもなっていた。
【0004】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、データ入力の利便性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、データ入力装置に関する。このデータ入力装置は、ユーザから変換元データの入力を受け付ける入力部と、変換元データを変換先データへ変換する要求を受け付けると、辞書を参照して変換先データの候補を抽出し、ユーザに提示する候補提示部と、ユーザから変換先データの選択を受け付けると、変換先データを確定して出力する出力部と、複数のデータ入力プログラムにおける前記入力部、前記候補提示部、又は前記出力部の動作を規定したプロファイル情報を格納したプロファイル保持部と、ユーザから、データ入力プログラムの種別を受け付け、その種別に応じたプロファイル情報を前記プロファイル保持部から読み出し、前記入力部、前記候補提示部、又は前記出力部に通知して、そのデータ入力プログラムの動作をエミュレートするエミュレート部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、データ入力の利便性を向上させる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態では、ユーザが携帯電話端末を買い換える際に、従来利用していた携帯電話端末における日本語入力環境を、新しい携帯電話端末に継承させることを可能とする技術を提案する。これにより、ユーザは新たな操作に慣れる必要がなく、従来の操作性を継承し、効率よく文章を入力することができる。また、任意の携帯電話端末において従来の日本語入力環境を継承することを可能とすることで、ユーザが携帯電話端末を買い換える際の選択の幅を広げることができる。
【0009】
図1は、携帯電話端末における日本語入力画面の例を示す。携帯電話端末10aは、予測変換機能を有しており、ユーザが「あか」と入力した時点で、「あか」から予測される変換候補12aを画面に提示し、ユーザの選択を受け付ける。携帯電話端末10bも、予測変換機能を有しているが、予測変換候補12bの表示形態が異なる。携帯電話端末10cは、予測変換機能を有しておらず、「あか」の変換候補12cを画面に提示している。このように、携帯電話端末によって日本語入力環境が異なり、例えば、携帯電話端末10aの予測変換機能に慣れ親しんだユーザが、携帯電話端末10cに買い換えたときに、予測変換機能がないことに不便を感じる可能性がある。
【0010】
さらに、携帯電話端末ごとにボタンの位置が異なり、日本語入力プログラムがボタンに割り当てる機能も異なる。例えば、携帯電話端末10aでは、ボタン14aに変換候補を提示させる機能が、ボタン16aに選択した変換候補に決定する機能が、ボタン18aに入力文字種を変更する機能が、それぞれ割り当てられているが、携帯電話端末10cでは、ボタン14cに入力文字種を変更する機能が、ボタン16cに選択した変換候補に決定する機能が、割り当てられている。このように、携帯電話端末によってボタンの機能が異なるので、ユーザが携帯電話端末を買い換えたときに、ボタン操作を誤る可能性がある。
【0011】
本実施の形態では、それぞれの携帯電話端末に搭載された日本語入力プログラムのUIをエミュレートするUIエミュレータを設け、同じ変換エンジンを利用しつつUIをユーザに合わせて変更することで、携帯電話端末を買い換えても慣れ親しんだ日本語入力環境を利用可能とする。また、それまで利用していた携帯電話端末から辞書データや予測変換アルゴリズム等を新しい携帯電話端末に転送して継承させることで、それまで学習していた辞書などを引き継ぎ、効率よく文章を入力することを可能とする。
【0012】
図2は、携帯電話端末に搭載されるデータ入力装置の構成を示す。データ入力装置20は、メーラー22、ブラウザ24、アプリケーション26など、日本語入力を必要とするアプリケーション群と、ユーザから変換元データ、例えば漢字の読みなどを受け付け、変換先データ、例えば漢字などに変換する入力エンジン30と、それらの間を仲介するUIを提供するUI提供部40と、複数の日本語入力プログラムのUIを実現するためのパラメータ群を含むプロファイル情報を格納したプロファイル保持部50とを備える。
【0013】
UI提供部40は、UIエミュレータ42を備えており、プロファイル保持部50に保持されたプロファイル情報の中から、ユーザが希望するUIを実現するためのプロファイル情報を読み出し、UIエミュレータ42にそのUIを実現させる。プロファイル情報には、ボタンに割り当てる機能を示すキーアサイン情報、変換元データを受け付ける際の入力方法を示す情報、変換対象となる変換元データの表示形態や、予測変換候補や変換候補などを画面に提示する際の表示形態、例えば、縦方向に列挙表示する、横方向に列挙表示するなどを示す表示情報などを含んでいる。UIエミュレータ42は、これらのプロファイル情報に基づいてUIを提供し、ユーザの操作を入力エンジン30へ伝達する。また、入力エンジン30から出力される変換先データをアプリケーション群に出力する。
【0014】
図3は、UIエミュレータ42の構成を示す。UIエミュレータ42は、プロファイル情報を読み出してUIエミュレータ42の動作を管理するIMManager61、プロファイル情報にしたがって携帯電話端末のボタンに機能を割り当てるIMKey62、設定情報を管理するIMConfig63、日本語変換機能を実現するIMEngine64、予測変換機能を提供するIMPreedit65、変換候補を提示するIMCandidate66、ガイダンスの提示を制御するIMguidance67、変換候補の確定を制御するIMCommit68を含む。
【0015】
このように、データ入力装置20は、ユーザから所望のUIの種別を受け付け、該当するプロファイル情報を参照してUIを提供することにより、任意の携帯電話端末における日本語入力環境を実現することができる。
【0016】
図4は、ユーザが携帯電話端末を買い換えるときに、日本語入力環境を継承させる様子を示す図である。プロファイル管理サーバ100は、各種の携帯電話端末の日本語入力プログラムのUIを実現するためのプロファイル情報を提供する。ユーザが新しい携帯電話端末10dへ日本語入力環境の継承を希望すると、新しい携帯電話端末10dが接続されたPCなどの端末は、インターネットを介してプロファイル管理サーバ100に接続し、ユーザが従来利用していた携帯電話端末10eの機種を送り、その機種に搭載された日本語入力プログラムのUIを実現するためのプロファイル情報をダウンロードする。ダウンロードされたプロファイル情報は、新しい携帯電話端末10dに転送され、プロファイル保持部50に格納される。プロファイル管理サーバ100が任意の機種のUIを実現するためのプロファイル情報を用意することにより、ユーザは所望のUIを新しい携帯電話端末10dに継承させることができる。
【0017】
従来利用していた携帯電話端末10eから新しい携帯電話端末10dに辞書データや、予測変換候補又は変換候補を抽出するアルゴリズムなどを転送し、継承させてもよい。これにより、それまで学習させていた変換履歴などを継承し、より効率よく文章を入力することが可能となる。
【0018】
図4に示した機能は、携帯電話事業者の店頭などでユーザに提供されてもよい。これにより、ユーザが携帯電話端末を買い換える際の利便性を向上させることができ、ユーザの購買欲を惹起することができる。
【0019】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】携帯電話端末における日本語入力画面の例を示す図である。
【図2】携帯電話端末に搭載されるデータ入力装置の構成を示す図である。
【図3】UIエミュレータの構成を示す図である。
【図4】ユーザが携帯電話端末を買い換えるときに、日本語入力環境を継承させる様子を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
10 携帯電話端末、20 データ入力装置、30 入力エンジン、40 UI提供部、42 UIエミュレータ、50 プロファイル保持部、100 プロファイル管理サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから変換元データの入力を受け付ける入力部と、
変換元データを変換先データへ変換する要求を受け付けると、辞書を参照して変換先データの候補を抽出し、ユーザに提示する候補提示部と、
ユーザから変換先データの選択を受け付けると、変換先データを確定して出力する出力部と、
複数のデータ入力プログラムにおける前記入力部、前記候補提示部、又は前記出力部の動作を規定したプロファイル情報を格納したプロファイル保持部と、
ユーザから、データ入力プログラムの種別を受け付け、その種別に応じたプロファイル情報を前記プロファイル保持部から読み出し、前記入力部、前記候補提示部、又は前記出力部に通知して、そのデータ入力プログラムの動作をエミュレートするエミュレート部と、
を備えることを特徴とするデータ入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−317099(P2007−317099A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148388(P2006−148388)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)
【Fターム(参考)】