説明

データ処理システム、リーダライタおよびプログラム

【課題】 カードの認証情報を容易に更新できるデータ処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 データ処理システム1は、ネットワークで接続された複数のリーダライタ20と、リーダライタ20との通信を可能にするためのID情報を記憶したICカード30とを備える。ネットワークに新たに接続された一のリーダライタ20は、その接続時に、当該一のリーダライタ20との通信を可能にするためのID情報を、ネットワークに接続された他のリーダライタ20に送信し、ネットワークに接続された他のリーダライタ20は、一のリーダライタ20からID情報を受信したときにID情報をメモリに記憶し、他のリーダライタ20は、ICカード30を検出したときに、メモリに記憶された一のリーダライタ20のID情報をICカード30に送信し、ICカード30は、他のリーダライタ20から送信された一のリーダライタ20のID情報を記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダライタを含むデータ処理システムに関し、特にリーダライタとの通信を行うための通信情報をカードに追加する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リーダライタによってカードの内容を読み取り、処理を行うデータ処理システムが知られている。例えば、特許文献1は、ICカードを利用した非接触カードシステムを開示している。特許文献1に記載されたシステムでは、ICカードが使用可能かどうかを認証するためのコマンドをリーダライタからICカードに送信し、このコマンドに応じてICカードから送信されてくるレスポンスに基づいて、リーダライタはICカードが使用可能か否かを判定する。
【0003】
また、特許文献1は、非接触カードシステムのメンテナンスを容易に行える方法を開示している。具体的には、メンテナンス情報を格納したメンテナンス用のICカードを準備しておく。そして、リーダライタによってメンテナンス用のICカードの内容を読み取ることによって、ICカードからリーダライタにメンテナンス情報が送信される。これにより、例えば、メンテナンス情報を用いて、リーダライタのコントローラのプログラムデータを書き換えることができる。
【0004】
上記のように、従来のカードシステムにおいては、不正カードの使用を防止するためにカードの認証が行われる。特にメンテナンス用のICカードの場合には、リーダライタの設定を変更することが可能なので認証の必要性が大きい。
【特許文献1】特開平11−25231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような認証を行うカードシステムでは、リーダライタが新たに設置された場合には、新しいリーダライタに対してカードを認証するための情報をカードに追加する必要がある。しかしながら、カードは利用者に配布されているので、カードの内容を更新するためには、いったんカードを回収しなければならず、大変な手間がかかる。
【0006】
本発明は、上記背景に鑑み、カードの認証情報を容易に更新できるデータ処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のデータ処理システムは、ネットワークで接続された複数のリーダライタと、前記リーダライタとの通信を可能にするための通信情報であって前記リーダライタごとに異なる通信情報を記憶したカードとを備え、前記ネットワークに新たに接続された一のリーダライタは、その接続時に、前記カードと当該一のリーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記ネットワークに接続された他のリーダライタに送信し、前記ネットワークに接続された他のリーダライタは、前記一のリーダライタから前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶部に記憶し、前記他のリーダライタは、カードを検出したときに、前記記憶部に記憶された前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信し、前記カードは、前記他のリーダライタから送信された前記一のリーダライタの通信情報を記憶する構成を有する。
【0008】
この構成により、新しく設置された一のリーダライタと通信するための通信情報を他のリーダライタを通じてカードに記憶させるので、新しく設置されたリーダライタの通信情報が自動的にカードに追加され、カードの使用者が意識的に通信情報を追加しなくてよいので便利である。
【0009】
本発明のデータ処理システムにおいて、前記他のリーダライタは、カードを検出したときに、他のアプリケーションの実行コマンドより先に、前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信する構成を有する。
【0010】
この構成により、利用者が特に意識することなく、通信情報を更新(追加)することができ、また他のアプリケーションが途中で中断された場合にも、新しく設置されたリーダライタの通信情報を確実にカードに記憶させることができる。
【0011】
本発明のデータ処理システムにおいて、前記他のリーダライタは、前記カードを検出したときに、前記カードに記憶された通信情報を問い合わせる問合せ信号を前記カードに送信し、前記問合せ信号に応じて受信した通信情報の中に、前記一のリーダライタの通信情報が含まれていない場合に、前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信する構成を有する。
【0012】
この構成により、カードに一のリーダライタの通信情報が既に記憶されている場合には、他のリーダライタは、カードに一のリーダライタの通信情報を送信しないので、無駄なシーケンスが生じず、速やかに他のアプリケーションの処理を開始できる。
【0013】
本発明のデータ処理システムにおいて、前記他のリーダライタは、前記一のリーダライタから前記通信情報を受信したときに、当該他のリーダライタとの通信を可能にするための通信情報を前記一のリーダライタに送信する構成を有する。
【0014】
この構成により、新しく設置されたリーダライタに、他のリーダライタの通信情報を記憶させることができる。
【0015】
本発明のデータ処理システムは、前記通信情報として、リーダライタのIDおよび鍵情報を用いた構成を有する。
【0016】
この構成により、リーダライタとカードとの間の認証処理を適切に行える。
【0017】
本発明のリーダライタは、ネットワークによって複数の他のリーダライタと接続して用いられるリーダライタであって、前記ネットワークに接続されたときに、当該リーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記ネットワークに送出する通信情報送信部と、前記ネットワークを通じて前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶する通信情報記憶部と、カードを検出したときに、前記通信情報記憶部に記憶された通信情報を前記カードに書き込む通信情報書込部とを備えた構成を有する。
【0018】
この構成により、本発明のデータ処理システムと同様に、リーダライタが新しく設置された場合に、そのリーダライタの通信情報が他のリーダライタを通じて自動的にカードに追加されるので便利である。また、本発明のデータ処理システムの各種の構成を、本発明のリーダライタに適用することも可能である。
【0019】
本発明のカードの通信情報の更新方法は、ネットワークで接続された複数のリーダライタと、前記リーダライタとの通信を可能にするための通信情報であって前記リーダライタごとに異なる通信情報を記憶したカードとを備えたデータ処理システムにおけるカードの通信情報の更新方法であって、一のリーダライタが前記ネットワークに接続されたときに、前記カードと当該一のリーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記一のリーダライタから前記ネットワークに接続された他のリーダライタに送信し、前記ネットワークに接続された他のリーダライタが、前記一のリーダライタから前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶部に記憶し、前記他のリーダライタが、カードを検出したときに、前記記憶部に記憶された前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信し、前記カードが、前記他のリーダライタから送信された前記一のリーダライタの通信情報を記憶する構成を有する。
【0020】
この構成により、本発明のデータ処理システムと同様に、新しく設置されたリーダライタの通信情報が他のリーダライタを通じて自動的にカードに追加されるので便利である。また、本発明のデータ処理システムの各種の構成を、本発明のカードの通信情報の更新方法に適用することも可能である。
【0021】
本発明のプログラムは、ネットワークによって複数の他のリーダライタと接続して用いられるリーダライタにインストールされるプログラムであって、前記リーダライタに、前記ネットワークに接続されたときに、前記カードと当該リーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記ネットワークに送出するステップと、前記ネットワークを通じて前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶部に記憶するステップと、カードを検出したときに、前記記憶部に記憶された通信情報を前記カードに書き込むステップとを実行させる構成を有する。
【0022】
この構成により、本発明のデータ処理システムと同様に、新しく設置されたリーダライタの通信情報が他のリーダライタを通じて自動的にカードに追加されるので便利である。また、本発明のデータ処理システムの各種の構成を、本発明のプログラムに適用することも可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、新しく設置された一のリーダライタと通信するための通信情報を他のリーダライタを通じてカードに記憶させることにより、新しく設置されたリーダライタの通信情報が自動的にカードに追加されるというすぐれた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態のデータ処理システムについて図面を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態のデータ処理システムが適用される環境について説明する。本実施の形態のデータ処理システムは、例えば、ICカードやクレジットカードを用いて決済を行うシステムに適用される。店舗等ではカウンタごとにICカード等の内容を読み取るためのリーダライタが設置される。各リーダライタは、売上金等を集計するデータ処理装置に接続される。以下では、このようなシステムにおけるリーダライタのメンテナンスを行なうメンテナンス用のICカードに、新しく設置されたリーダライタの通信情報を追加する例を取り上げて説明する。ただし、本発明は、メンテナンス用ICカードに通信情報を追加する構成に限定されるものではない。
【0025】
図1は、本実施の形態のデータ処理システム1の構成を示す図である。本実施の形態のデータ処理システム1は、複数台のリーダライタ20と、リーダライタ20に接続されたデータ処理装置10と、リーダライタ20によって読み取られるICカード30とを備えている。データ処理装置10と複数のリーダライタ20は接続されており、ネットワークを形成している。各リーダライタ20は、それぞれ異なるIDおよび鍵を有している。リーダライタ20とICカード30とは、それぞれが有するIDおよび鍵を用いて相互認証を行い、認証成功後にリーダライタ20とICカード30との通信が許可される。
【0026】
図2は、データ処理装置10の構成を示す図である。データ処理装置10は、CPU11と、メモリ12と、ネットワーク通信部13と、データベース14とを備えている。ネットワーク通信部14は、リーダライタ20との通信を行う機能を有する。データベース14は、データ処理システム1のサービスの提供に必要なデータ等を記憶する。電子マネーの例では、リーダライタ20で処理した売上金額や各ユーザの購入履歴等の情報を、各リーダライタ20から取得して記憶する。
【0027】
図3は、リーダライタ20の構成を示す図である。リーダライタ20は、CPU21と、メモリ22と、ネットワーク通信部23と、コマンド生成部24と、カード通信部25とを備えている。ネットワーク通信部23は、データ処理装置10あるいは他のリーダライタ20と通信を行う機能を有する。コマンド生成部24は、ICカード30に対して送信するコマンドを生成する機能を有する。カード通信部25は、ICカード30と通信する機能を有する。非接触ICカード30に対応したリーダライタ20では、カード通信部25より常時ポーリング信号を送信し、カードの接近を検出する。
【0028】
ここでメモリ22は、外部からの攻撃(内部に記憶してある秘密情報を暴露するための攻撃)に対して耐性を有する高セキュリティ機能を持つ。リーダライタ20のメモリ12に他のリーダライタ20の秘密情報であるID情報35を格納しても、該セキュリティ機能により(秘密情報の)安全性を確保することができる。
【0029】
図4は、ICカード30の構成を示す図である。ICカード30は、接触型のICカード30でもよいし、非接触型のICカード30でもよいが、本実施の形態では非接触ICカード30を例として説明する。ICカード30は、CPU31と、メモリ32と、リーダライタ通信部33と、電力発生部34とを備えている。リーダライタ通信部33は、リーダライタ20と通信を行う機能を有する。電力発生部34はアンテナコイルで構成され、電磁誘導によって電力を発生させる機能を有する。メモリ32には、ID情報35とカードOS36と各種アプリケーションとが格納されている。
【0030】
図5(a)は、メモリ32に格納されるデータを示す図、図5(b)は、ICカード30のメモリ32に格納されたID情報35の例を示す図である。図5(a)に示すように、ICカード30のメモリ32には、ID情報35、カードOS36と、該カードOS36上で動作するログ取得アプリケーション37、設定更新アプリケーション38、および鍵共有アプリケーション39が格納されている。ログ取得アプリケーション37は、リーダライタ20に蓄えられたログを取得してICカード30に記憶する機能を有する。設定更新アプリケーション38は、ICカード30に記憶された設定更新情報によってリーダライタ20の設定を更新する機能を有する。鍵共有アプリケーション39は、ICカード30が持っていない新しいIDおよび鍵を取得する機能を有する。
【0031】
ID情報35は、ICカード30が通信可能なリーダライタ20のIDと認証用の鍵の情報である。ID情報35を基にしてICカード30とリーダライタ20との間で相互認証を行い、成功したときのみ、リーダライタ20とICカード30との通信が可能となる。すなわち、ICカード30は、ID情報35を持っているリーダライタ20とのみ通信を行うことができ、ID情報35を持っていないリーダライタ20とは通信できない。図5(b)に示す例では、ID:1、ID:2のリーダライタ20とのみ通信可能である。リーダライタ20は、ID情報35によってICカード30を認証することにより、権限のないICカード30によるアクセスを禁止している。
【0032】
なお、本実施の形態のメモリ32に格納された情報について説明したが、図5(a)に示す情報は一例であり、メモリ32には、図5(a)に示す以外の情報を記憶してもよい。
【0033】
次に、本実施の形態のデータ処理システム1による鍵の更新動作について説明する。
図6は、鍵の更新動作の概要を示す図である。図6に示す例では、リーダライタ20a、リーダライタ20bがあらかじめ設置されている。ICカード30には、ID:1、ID:2のID情報35を記憶しており、既設置のリーダライタ20a、20bと通信を行うことができる。この状態で、新たにリーダライタ20cを設置する。ICカード30には、リーダライタ20cのID情報35が記憶されていないので、リーダライタ20cとは通信できない。本実施の形態のデータ処理システム1では、リーダライタ20cが設置されてネットワークに接続されると、その接続時に、リーダライタ20cのID情報35をリーダライタ20a、20bに送信する。これにより、リーダライタ20a、20bにリーダライタ20cのID情報35が格納される。
【0034】
メンテナンス員が、リーダライタ20aあるいはリーダライタ20bのメンテナンスのために、リーダライタ20aあるいはリーダライタ20bと通信を開始しようとすると、リーダライタ20aあるいはリーダライタ20bは、リーダライタ20cの通信情報をICカード30に送信する。これにより、ICカード30は、リーダライタ20cの通信情報を取得し、新たに追加することができる。以下、図7〜図9を参照して、本実施の形態のデータ処理システム1の動作について詳しく説明する。
【0035】
図7は、新しく設置されたリーダライタ20cのID情報35をリーダライタ20a、20bに格納する動作を示す図である。なお、以下では、説明の便宜上、既設置のリーダライタ20a、20bを代表してリーダライタ20aの動作を例に説明するが、リーダライタ20bもリーダライタ20aと同じ動作を行なう。
【0036】
リーダライタ20cは、ネットワークに接続されると、新規設置であるか否かを判定する(S10)。リーダライタ20cは、例えば、新規設置か否かをチェックするフラグを用意しておき、ネットワークに最初に接続されたときにフラグを立てる。ネットワークへの接続時にこのフラグをチェックすることにより、リーダライタ20cは、新規設置であるか否かを判定できる。新規設置でない場合には(S10でNO)、設置に伴う処理を行わない。なお、新規設置でない場合とは、リーダライタ20cがすでにネットワークに接続されていたが、一時的な故障等により、ネットワークに再接続したような場合である。
【0037】
リーダライタ20cが新規設置である場合には(S10でYES)、リーダライタ20cは、自身のIDおよび鍵(ID情報35)をリーダライタ20aに送信する(S12)。リーダライタ20aは、リーダライタ20cのIDおよび鍵を受信し(S14)、受信したIDおよび鍵をメモリ22に記憶する(S16)。なお、鍵およびIDの送信は、リーダライタ20cからリーダライタ20aへ鍵およびIDを直接送信してもよいし、リーダライタ20cからデータ処理装置10へいったん鍵およびIDを送信し、データ処理装置10がリーダライタ20aに送信してもよい。
【0038】
図8は、ICカード30が新しく設置されたリーダライタ20cのID情報35を取得する動作を示す図である。図8に示すように、リーダライタ20aは、ICカード30が接近すると、ICカード30を検出する(S20)。なお、ICカード30を検出しない場合には(S20でNO)、リーダライタ20aは、ICカード30を検出するまでICカード30の検出処理を繰り返し行なう。
【0039】
リーダライタ20aは、ICカード30を検出すると、メモリ22に新規IDが記憶されているか否かを判定する(S22)。本実施の形態の例では、リーダライタ20cが新たに設置され、図7で説明したように、リーダライタ20aはリーダライタ20cのID情報35を記憶している。なお、リーダライタ20aが新規IDを記憶していない場合には(S22でNO)、他のアプリケーション起動コマンドを送信し(S46)、他のアプリケーションを実行する。
【0040】
新規IDが記憶されている場合には(S22でYES)、鍵共有アプリケーションを起動するためのコマンドをICカード30へ送信する(S24)。ICカード30は、鍵共有起動コマンドを受信すると(S26)、鍵共有アプリケーション39を起動する(S28)。リーダライタ20aは、ICカード30に対し、ICカード30が保有しているIDを問い合わせる問合せ信号を送信する(S30)。なお、図8には示していないが、リーダライタ20aとICカード30との通信を開始する前に、ID情報35を基にしてICカード30とリーダライタ20との間で相互認証を行い、認証後に初めてリーダライタ20aとICカード30との通信が可能となる。
【0041】
図10は、リーダライタ20とICカード30との間で送受信されるデータのフォーマット40を示す図である。データフォーマット40に示すように、ヘッダは、クラスCLA、命令バイトINS、パラメータバイトP1、P2で構成されている。ヘッダに続く本体は、データData、データDataの前後に付されたLcフィールド、Leフィールドで構成されている。Lcフィールドは、命令パートとしてICカード30に送るバイト長を表す。Leフィールドは、ICカード30から送り返されるレスポンスのバイト長を表す。IDおよび鍵の情報は、本体のデータDataに入れて送信される。
【0042】
ICカード30は、問合せ信号を受信すると(S32)、ICカード30に記憶しているID情報35の一部であるIDをリーダライタ20aに送信する(S34)。この例では、ICカード30からリーダライタ20aにID:1、ID:2が送信される。リーダライタ20aは、ICカード30の保有するID情報35の一部であるIDを受信すると(S36)、ICカード30が新規IDを保有しているか否かを判定する(S38)。ICカード30がすでに新規IDを保有している場合には(S38でYES)、他のアプリケーション起動コマンドを送信し(S46)、他のアプリケーションを実行する。ここでは、新たに設置されたリーダライタ20cのIDはID:3であるので、リーダライタ20aは、ICカード30が新規IDを有していないと判定する。
【0043】
新規IDを保有していない場合には(S38でNO)、リーダライタ20aは、リーダライタ20cのIDおよび鍵を送信する(S40)。ICカード30は、リーダライタ20aからIDおよび鍵を受信すると(S42)、受信したIDおよび鍵を記憶する(S44)。ここまでの動作により、ICカード30に、新しく設置されたリーダライタ20cのID情報35が追加され、ICカード30は、リーダライタ20cと通信可能となる。
【0044】
リーダライタ20aは、ICカード30に、リーダライタ20cのID情報35を送信した後、他のアプリケーション起動コマンドをICカード30に送信する(S46)。ICカード30は、他のアプリケーションを起動後、コマンドを受信し、該コマンドに基づいて他のアプリケーションを実行する(S48)。
【0045】
図9は、コマンド受信時のICカード30の動作を示す図である。ICカード30は、リーダライタ20からコマンドを受信すると(S50)、受信したコマンドを解析し、コマンドが鍵共有コマンドであるか否かを判定する(S52)。受信したコマンドが鍵共有コマンドである場合には(S52でYES)、ICカード30は、鍵共有アプリケーション39を起動する(S54)。続いて、ICカード30はIDおよび鍵を受信し(S56)、受信したIDおよび鍵をメモリに記憶する(S58)。受信したコマンドが鍵共有コマンドでない場合には(S52でNO)、ICカード30は、コマンドで指定されたアプリケーションを起動し(S60)、アプリケーション処理を行う(S62)。以上、本実施の形態のデータ処理システム1の構成および動作について説明した。
【0046】
本実施の形態のデータ処理システム1では、リーダライタ20cが新しく設置されたときに、リーダライタ20cのID情報35を、ネットワークに接続された他のリーダライタ20aあるいはリーダライタ20bから取得できる。従って、メンテナンス員が、リーダライタ20aあるいはリーダライタ20bのメンテナンスを行なうためにリーダライタ20aあるいはリーダライタ20bにカードをかざして通信すると、ICカード30に自動的にリーダライタ20cのID情報35が追加される。これにより、新たなリーダライタ20cとの通信を行うことが可能となる。
【0047】
なお、ID情報35を取得するICカード30は、リーダライタ20aあるいはリーダライタ20bによって認証されたICカード30であるので、リーダライタ20cのID情報35が不特定のICカード30に送信されることはない。
【0048】
また、本実施の形態のデータ処理システム1では、ログ取得アプリケーション37や設定更新アプリケーション38等の他のアプリケーションに先立って、鍵共有アプリケーション39が実行される構成としているので、メンテナンス員が鍵情報更新であることを特に意識することなく自動的に鍵情報を更新できる。
【0049】
また、本実施の形態のデータ処理システム1では、リーダライタ20a、20bは、ICカード30にID情報35を送信する前に、ICカード30が保有しているID情報35を取得し、ICカード30に新たなID情報35が含まれていない場合にのみICカード30にID情報35を送信するので、すでにICカード30にID情報35が記憶されている場合にまでID情報35を送信することがなく、速やかに他のアプリケーションの処理に移行することができる。
【0050】
以上、本発明のデータ処理システムについて実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。例えば、以下のような変形例に係るデータ処理システムも本発明の範囲に含まれる。
【0051】
図11は、本実施の形態の変形例に係るデータ処理システムの動作を示す図である。リーダライタ20cがネットワークに接続され、リーダライタ20cのID情報35をリーダライタ20aに記憶するまでの動作(S70〜S76)は、上記した実施の形態と同じである。変形例に係るデータ処理システムでは、リーダライタ20aは、リーダライタ20cのID情報35をメモリ22に記憶した後、自身のIDおよび鍵をリーダライタ20cに送信する(S78)。リーダライタ20cは、リーダライタ20aから送信されたIDおよび鍵を受信し(S80)、受信したIDおよび鍵を記憶する(S82)。これにより、例えば、メンテナンスの作業順序の違いや他の場所でのメンテナンスによって、リーダライタ20cのID情報35が記憶されリーダライタ20aのID情報が記憶されていないICカード30が存在する場合にも、そのICカード30にリーダライタ20aのID情報35を追加することが可能となる。
【0052】
また、上記した実施の形態では、ID情報35を追加する機能を有するリーダライタ20およびICカード30の構成および動作を中心に説明したが、上記したリーダライタ20およびICカード30を実現するためのプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、新しく設置されたリーダライタの通信情報が自動的にカードに追加されるというすぐれた効果を有し、例えば、カードとの間の認証を行うリーダライタを備えたデータ処理システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態のデータ処理システムの構成を示す図
【図2】データ処理装置の構成を示す図
【図3】リーダライタの構成を示す図
【図4】ICカードの構成を示す図
【図5】(a)ICカードのメモリの構成を示す図(b)メモリに記憶されたID情報の例を示す図
【図6】データ処理システムの動作の概要を示す図
【図7】新しく設置されたリーダライタのID情報を他のリーダライタに格納する動作を示す図
【図8】ICカードが新しく設置されたリーダライタのID情報を取得する動作を示す図
【図9】ICカードの動作を示す図
【図10】リーダライタとICカードとの間で送受信されるデータのフォーマットを示す図
【図11】変形例に係るデータ処理システムの動作を示す図
【符号の説明】
【0055】
1 データ処理システム
10 データ処理装置
11 CPU
12 メモリ
13 ネットワーク通信部
14 データベース
20 リーダライタ
21 CPU
22 メモリ
23 ネットワーク通信部
24 コマンド生成部
25 カード通信部
30 ICカード
31 CPU
32 メモリ
33 リーダライタ通信部
34 電力発生部
35 ID情報
36 カードOS
37 ログ取得アプリケーション
38 設定更新アプリケーション
39 鍵共有アプリケーション
40 データフォーマット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークで接続された複数のリーダライタと、
前記リーダライタとの通信を可能にするための通信情報であって前記リーダライタごとに異なる通信情報を記憶したカードと、
を備え、
前記ネットワークに新たに接続された一のリーダライタは、その接続時に、前記カードと当該一のリーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記ネットワークに接続された他のリーダライタに送信し、
前記ネットワークに接続された他のリーダライタは、前記一のリーダライタから前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶部に記憶し、
前記他のリーダライタは、カードを検出したときに、前記記憶部に記憶された前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信し、
前記カードは、前記他のリーダライタから送信された前記一のリーダライタの通信情報を記憶するデータ処理システム。
【請求項2】
前記他のリーダライタは、カードを検出したときに、他のアプリケーションの実行コマンドより先に、前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信する請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記他のリーダライタは、前記カードを検出したときに、
前記カードに記憶された通信情報を問い合わせる問合せ信号を前記カードに送信し、
前記問合せ信号に応じて受信した通信情報の中に、前記一のリーダライタの通信情報が含まれていない場合に、前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信する請求項1または2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記他のリーダライタは、前記一のリーダライタから前記通信情報を受信したときに、当該他のリーダライタとの通信を可能にするための通信情報を前記一のリーダライタに送信する請求項1〜3のいずれかに記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記通信情報は、リーダライタのIDおよび鍵情報である請求項1〜4のいずれかに記載のデータ処理システム。
【請求項6】
ネットワークによって複数の他のリーダライタと接続して用いられるリーダライタであって、
前記ネットワークに接続されたときに、当該リーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記ネットワークに送出する通信情報送信部と、
前記ネットワークを通じて前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶する通信情報記憶部と、
カードを検出したときに、前記通信情報記憶部に記憶された通信情報を前記カードに書き込む通信情報書込部と、
を備えたリーダライタ。
【請求項7】
ネットワークで接続された複数のリーダライタと、前記リーダライタとの通信を可能にするための通信情報であって前記リーダライタごとに異なる通信情報を記憶したカードとを備えたデータ処理システムにおけるカードの通信情報の更新方法であって、
一のリーダライタが前記ネットワークに接続されたときに、前記カードと当該一のリーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記一のリーダライタから前記ネットワークに接続された他のリーダライタに送信し、
前記ネットワークに接続された他のリーダライタが、前記一のリーダライタから前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶部に記憶し、
前記他のリーダライタが、カードを検出したときに、前記記憶部に記憶された前記一のリーダライタの通信情報を前記カードに送信し、
前記カードが、前記他のリーダライタから送信された前記一のリーダライタの通信情報を記憶するカードの通信情報の更新方法。
【請求項8】
ネットワークによって複数の他のリーダライタと接続して用いられるリーダライタにインストールされるプログラムであって、前記リーダライタに、
前記ネットワークに接続されたときに、前記カードと当該リーダライタとの通信を可能にするための通信情報を、前記ネットワークに送出するステップと、
前記ネットワークを通じて前記通信情報を受信したときに前記通信情報を記憶部に記憶するステップと、
カードを検出したときに、前記記憶部に記憶された通信情報を前記カードに書き込むステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−245215(P2008−245215A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86878(P2007−86878)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】