説明

データ処理装置、そのコンピュータプログラムおよびデータ処理方法

【課題】目的地まで最短距離の移動体を選定することができるデータ処理装置を提供する。
【解決手段】各々が任意に移動している複数の移動体である車両CRの車両位置情報CPDを個々に車両情報取得部110が取得する。任意に発生する目的地である災害点DPの災害点位置情報DPDを災害点情報取得部120が取得する。災害点DPを内包する所定領域で車両CRの移動の障害となる障害物BRの障害物位置情報BPDを障害物DB6が記憶する。障害物位置情報BPDを回避して複数の車両位置情報CPDから災害点位置情報DPDまでの最短ルートSRを演算制御部5が生成する。このため、従来の最近車両計算のような直線近似計算や事前計算方式、デジタルデータ道路網を利用した最短経路探索方式などを採用せずに、災害点DPまで最短距離の車両CRを選定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意に移動している複数の移動体から任意に発生する目的地への最近の一つを選択できるようにするデータ処理装置、そのコンピュータプログラムおよびデータ処理方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消防指令業務の共同運用・広域化が実施されつつある。共同運用・広域化が実施されるにつれて、指令員は不慣れな土地であっても通報を受け付けなければならなくなる。このような状況の中でも、指令員は災害点までどの消防車両が一番速く到着できるか瞬時に選択しなければならない。
【0003】
上述のような目的を実現するため、消防指令システムにおける最近車両選択の技術が提案されている。その技術では、最近車両選択は、地域を複数の領域に分割し、各領域の代表点を定め、全ての代表点間の最短経路を事前に計算してリスト化しておく。これは障害物を考慮することができ、かつデジタルデータ道路網を整備するコストもかからない(特許文献1)。
【0004】
同様に、デジタルデータ道路網と直線直近を組み合わせて最短経路の計算コストを下げる提案もある(特許文献2)。
【0005】
また、簡単な構成によって、高速に最近移動体の抽出を行う提案がある。その技術では、対象地域を道路距離と直線距離の相関が比較的高い複数の領域に分割しておく。
【0006】
ネットワーク上でノードで規定されている所定点と移動体との距離として、同一領域内にある場合には、直線距離的なリンクの長さ情報を用い、異なる領域内にある場合には、境界上の定められた位置(境界ノード)を横切る折れ線の道のり(リンクの長さ情報の和)を用いる。
【0007】
そして、このような距離の比較によって、最短の移動体を抽出する。このため、ノードリンクデータを必要とせず、コストダウンと最近移動体の抽出を実現している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−106498号公報
【特許文献2】特開2007−018064号公報
【特許文献3】特開平08−096296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の直線による最近車両計算は、山や川などの障害物を考慮することができず、最適な最近車両を選択できないことがあった。また、事前計算方式では、データを事前に用意し、膨大な計算を行っておくことが必要であった。
【0010】
特に、データをメンテナンスするたびに、この計算を毎回行う必要があるため、メンテナンスに多大なコストが必要である。さらに、デジタルデータ道路網を利用するコストがかかり、道路網データを正確にメンテナンスする必要がある。
【0011】
また、特許文献1の技術では、事前に計算を行っておく必要がある。また、メンテナンスを行うたびに事前計算を行わなければならないため、メンテナンス性・保守性がよいとはいえない。
【0012】
さらに、特許文献2の技術では、デジタルデータ道路網を使用すること自体にコストがかかる。また、道路に変更があるたびにデジタルデータ道路網をメンテナンスしなければならない。
【0013】
また、特許文献3の技術では、領域分割が事前に必要であり、複雑な領域分割ができない(現実の地形を反映しきれない)。さらに、境界ノードが事前に必要であり、車両位置をノードとして常時作成し、基本ネットワークデータを作り上げなければならない。
【0014】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、事前に計算を行う必要なく、デジタルデータ道路網のようにコストをかけることなく、かつ障害物を考慮した最適な最近車両を選択することができるデータ処理装置、そのコンピュータプログラムおよびデータ処理方法、を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のデータ処理装置は、各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に取得する移動体情報取得手段と、任意に発生する移動体の目的地の位置情報を取得する目的地情報取得手段と、目的地を内包する所定領域で移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を記憶する障害物記憶手段と、障害物の位置情報を回避して複数の移動体の位置情報から目的地の位置情報までの最短ルートを生成するルート生成手段と、を有する。
【0016】
本発明のコンピュータプログラムは、データ処理装置のコンピュータプログラムであって、各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に取得する移動体情報取得処理と、移動体の任意の目的地の位置情報を取得する目的地情報取得処理と、目的地を内包する所定領域で移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を記憶する障害物記憶処理と、障害物の位置情報を回避して複数の移動体の位置情報から目的地の位置情報までの最短ルートを生成するルート生成処理と、をデータ処理装置に実行させる。
【0017】
本発明のデータ処理方法は、データ処理装置のデータ処理方法であって、各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に取得する移動体情報取得動作と、移動体の任意の目的地の位置情報を取得する目的地情報取得動作と、目的地を内包する所定領域で移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を記憶する障害物記憶動作と、障害物の位置情報を回避して複数の移動体の位置情報から目的地の位置情報までの最短ルートを生成するルート生成動作と、を有する。
【0018】
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0019】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0020】
また、本発明のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法は、複数の処理および動作を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の処理および複数の動作を実行する順番を限定するものではない。
【0021】
このため、本発明のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法を実施するときには、その複数の処理および複数の動作の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0022】
さらに、本発明のコンピュータプログラムおよびデータ処理方法は、複数の処理および複数の動作が個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある処理および動作の実行中に他の処理および動作が発生すること、ある処理および動作の実行タイミングと他の処理および動作の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0023】
さらに、本発明で云う「データを記憶する」とは、本発明の装置が、少なくともデータを記憶する機能を有することを意味している。このため、本発明の装置がコンシューマにより新規に登録されるデータを記憶することの他、サプライヤにより製造時に登録されたデータを記憶して出荷後にはコンシューマにより新規のデータが登録されないことも許容する。
【0024】
また、本発明で云うデータ処理装置は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。
【0025】
なお、本発明でコンピュータプログラムに対応した各種動作をデータ処理装置に実行させることは、各種デバイスをデータ処理装置に動作制御させることなども意味している。
【0026】
例えば、データ処理装置に各種データを記憶させることは、データ処理装置に固定されているHDD(Hard Disc Drive)等の情報記憶媒体にCPUが各種データを格納すること、データ処理装置に交換自在に装填されているCD−R(Compact Disc-Recordable)等の情報記憶媒体にCPUがCDドライブで各種データを格納すること、等を許容する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のデータ処理装置では、各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に移動体情報取得手段が取得する。任意に発生する移動体の目的地の位置情報を目的地情報取得手段が取得する。目的地を内包する所定領域で移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を障害物記憶手段が記憶する。障害物の位置情報を回避して複数の移動体の位置情報から目的地の位置情報までの最短ルートをルート生成手段が生成する。このため、従来の最近車両計算のような直線近似計算や事前計算方式、デジタルデータ道路網を利用した最短経路探索方式などを採用せずに、目的地まで最短距離の移動体を選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態のデータ処理装置の論理構造を示す模式的なブロック図である。
【図2】データ処理装置の物理構造を示すブロック図である。
【図3】移動体である車両と災害点と障害物とを内包した表示画像を示す模式的な正面図である。
【図4】車両から災害点への最短ルートが表示画像に表示された状態を示す模式的な正面図である。
【図5】複数の車両ごとに災害点への時間と距離とが一覧表示された表示画像を示す模式的な正面図である。
【図6】データ処理装置によるデータ処理方法を示すフローチャートである。
【図7】障害物位置情報のメンテナンス画像を示す模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。図1を参照すると、本実施の形態のデータ処理装置100は、各々が任意に移動している複数の移動体である車両CRの位置情報である車両位置情報CPDを個々に取得する車両情報取得部110と、任意に発生する移動体である車両CRの目的地である災害点DPの位置情報である災害点位置情報DPDを取得する災害点情報取得部120と、災害点DPを内包する所定領域で車両CRの移動の障害となる障害物BRの位置情報である障害物位置情報BPDを記憶する障害物記憶手段である障害物DB6と、障害物位置情報BPDを回避して複数の車両位置情報CPDから災害点位置情報DPDまでの最短ルートSRを生成するルート生成手段である演算制御部5と、を有する。
【0030】
この演算制御部5は、障害物BRを回避して車両CRから災害点DPまで連続する複数の直線で最短ルートSRを生成する。また、データ処理装置100は、詳細には後述するが、複数の車両CRごとに生成された最短ルートSRの距離を一覧表示する結果表示手段である演算結果表示部7,8を、さらに有する。これらの演算結果表示部7,8は、複数の車両CRごとに最短ルートSRでの災害点DPへの到達予想の時間も一覧表示する。
【0031】
そして、本実施の形態のデータ処理装置100は、一覧表示された複数の最短ルートSRから入力操作により一つを選定するルート選定部(図示せず)を、さらに有する。演算結果表示部7,8は、詳細には後述するが、選定された最短ルートSRを車両CRと災害点DPと障害物BRとともに画像表示する。
【0032】
また、本実施の形態のデータ処理装置100は、入力操作により障害物位置情報BPDを更新する情報メンテナンス手段である障害物DBメンテナンス装置9を、さらに有する。
【0033】
より具体的には、本実施の形態のデータ処理装置100は、例えば、無線通信装置などの各種デバイスが接続され(図示せず)、適正なコンピュータプログラムが実装されたコンピュータ装置などからなる。
【0034】
そのコンピュータプログラムは、例えば、各々が任意に移動している複数の車両位置情報CPDを個々に取得する車両CR情報取得処理と、車両CRの任意の災害点位置情報DPDを取得する災害点DP情報取得処理と、災害点DPを内包する所定領域で車両CRの移動の障害となる障害物BRの障害物位置情報BPDを記憶する障害物記憶処理と、障害物位置情報BPDを回避して複数の車両位置情報CPDから災害点位置情報DPDまでの最短ルートSRを生成するルート生成処理と、をデータ処理装置100に実行させるように記述されている。
【0035】
また、車両CRには、例えば、GPSシステムの端末装置などが無線通信装置とともに搭載されており、車両位置情報CPDを生成してデータ処理装置100に無線送信する。
【0036】
さらに詳細な構成を図2に示す。車両位置情報送信装置1から連動部2に車両位置情報CPDを送信する。また、災害点位置情報送信装置3から連動部2に災害点位置情報DPDを送信する。
【0037】
車両位置情報送信装置1は、例えば、車両CRに搭載されているGPSシステムの端末装置と無線通信装置などからなる。災害点位置情報送信装置3は、例えば、各所に設置されている災害通報装置などからなる。
【0038】
連動部2は受信した車両位置情報CPDと災害点位置情報DPDを受信データ制御部4に送信する。受信データ制御部4は必要な全ての車両位置情報CPDをまとめ、災害点位置情報DPDと共に演算制御部5に伝達する。
【0039】
演算制御部5は障害物DB6から障害物位置情報BPDを抽出し、受信した全車両位置情報CPDと災害点位置情報DPD、抽出した障害物位置情報BPDを用いて、各車両CRごとに災害点DPまでの最短距離を演算する。演算の結果は演算結果表示部7および演算結果表示部8に表示され、それを基に最近車両選択を支援する。
【0040】
また、障害物DBメンテナンス装置9は、障害物位置情報BPDをメンテナンスすることを可能とし、メンテナンスされた障害物位置情報BPDは適時連動部10に送信される。連動部10は受信した障害物位置情報BPDを障害物データ制御部11に渡し、障害物データ制御部11は、渡された障害物位置情報BPDを障害物DB6に登録する。これにより演算に使用される障害物DBを適時更新することを可能とする。
【0041】
上述のような構成において、本実施の形態のデータ処理装置100では、図6に示すように、必要により登録されている障害物位置情報BPDが手動操作でメンテナンスされる(ステップS1−Y,S11)。これで災害点DPを内包する所定領域で車両CRの移動の障害となる最新の障害物位置情報BPDが記憶される。
【0042】
このように適切な障害物位置情報BPDが登録された状態で、データ処理装置100は、各々が任意に移動している複数の車両CRから、車両位置情報CPDを個々にリアルタイムに取得し(ステップS2−Y)、このように取得された車両位置情報CPDが複数の車両CRごとに随時更新される(ステップS3)。
【0043】
このような状態で、災害が任意に発生すると、その災害点DPの災害点位置情報DPDがリアルタイムに取得される(ステップS4−Y)。すると、データ処理装置100は障害物位置情報BPDを読み出し(ステップS5)、災害点位置情報DPDと、複数の車両位置情報CPDと、例えば、これらを直線で結んだときに干渉する障害物位置情報BPDとから、障害物位置情報BPDを回避して複数の車両位置情報CPDから災害点位置情報DPDまでの最短ルートSRを生成する(ステップS6)。
【0044】
この最短ルートSRの生成は、例えば、車両CRと災害点DPとの位置を直線で結び、この直線上に障害物BRが存在しなければ、その直線が最短ルートSRとされる。直線上に障害物BRが存在する場合には、その車両CRの位置から障害物BRを左右に回避する二つの直線を形成し、これら二つの直線から災害点DPの位置まで直線を各々形成する。
【0045】
これら二つの直線上に障害物BRが存在しない場合には、二つのルートの距離を比較し、短い一方を最短ルートSRとする。一方、障害物BRが存在した場合には、さらに障害物BRを回避するように直線を左右に分割してから、災害点DPの位置まで二つの直線を形成する。以下同様に、車両CRから災害点DPの位置まで複数の連続する直線を形成し、そこから最短の一つを選択することにより、最短ルートSRが生成される。
【0046】
このように複数の車両CRごとに最短ルートSRが生成されると、その最短ルートSRの距離と、最短ルートSRでの災害点DPへの到達予想の時間も算出され(ステップS7)、複数の車両CRごとに演算結果表示部7,8の一方などに一覧表示される(ステップS8)。
【0047】
ここで、演算結果表示部7,8の他方などに画像表示される、障害物BRを考慮した車両CRからの災害点DPまでの最短距離演算前の画面イメージを図3、障害物BRを考慮した車両CRから災害点DPまでの最短距離を演算後に結果表示する画面イメージを図4および図5にて示す。
【0048】
車両CRの位置から災害点DPの位置まで結んだ直線上に障害物BR(縦線のハッチングで表記しているエリア)がある場合、直線で距離を演算してしまうと実際の距離とは乖離してしまう。
【0049】
しかし、図4に示すように、障害物BRを迂回して災害点DPまで到達するように直線を折り曲げていくと、より現実に近い演算結果が得られる。これを各車両CRごとに行い、どの車両CRが災害点DPまで最短距離か判断することを支援する。
【0050】
図5に示すように、例えば、デュアルディスプレイからなる二個の演算結果表示部7,8の一方に、複数の車両CRごとに災害点DPまでの最短の距離と時間とが一覧表示される。
【0051】
そこで、例えば、時間が最短の一つの車両CRを作業者が選択すると(ステップS9−Y)、二個の演算結果表示部7,8の他方に、図4に示すように、最短ルートSRが画像表示される(ステップS10)。
【0052】
そして、作業者がデータ処理装置100に所定操作を実行すると、上述の最短ルートSRが対応する車両CRにデータ送信される。そこで、この車両CRは、データ受信した最短ルートSRで障害物BRを回避しながら災害点DPに急行する。
【0053】
なお、本実施の形態のデータ処理装置100は、図6に示すように、必要により所定操作で障害物位置情報BPDをメンテナンスすることもできる(ステップS1−Y,S11)。
【0054】
この障害物DBメンテナンス装置9の画面イメージを図7に示す。障害物DBメンテナンス装置9の画面上には背景となる地図が表示され、障害物位置情報BPDをメンテナンスする操作部が表示される。
【0055】
操作部は、データを追加・編集・削除するボタンと操作方法を表示する操作ガイド部、作業を確定する操作ボタン部から構成される。また、障害物位置情報BPDをメンテナンス中は、地図上にメンテナンスしている障害物位置情報BPDの形状が表示される。
【0056】
本実施の形態のデータ処理装置100では、上述のように各々が任意に移動している複数の車両位置情報CPDを個々に車両情報取得部110が取得する。任意に発生する災害点DPの災害点位置情報DPDを災害点情報取得部120が取得する。
【0057】
災害点DPを内包する所定領域で車両CRの移動の障害となる障害物BRの障害物位置情報BPDを障害物DB6が記憶する。障害物位置情報BPDを回避して複数の車両位置情報CPDから災害点位置情報DPDまでの最短ルートSRを演算制御部5が生成する。
【0058】
このため、従来の最近車両計算のような直線近似計算や事前計算方式、デジタルデータ道路網を利用した最短経路探索方式などを採用せずに、災害点DPまで最短距離の車両CRを選定することができ、その車両CRに最短ルートSRを連絡することもできる。
【0059】
また、本実施の形態のデータ処理装置100をシミュレーション機能として利用することもできる。その場合、車両CRが配置されている各署所の位置から任意の災害点DPまで到達する距離・時間を得ることによって、署所位置や車両CRの配備の再配置・統廃合などを行うための参考資料とすることができる。
【0060】
さらに、本実施の形態のデータ処理装置100では、デジタルデータ道路網を使用しない手法であることから、デジタルデータ道路網が整備されていない地域・国においても利用することができるため、洋上での簡易ナビゲーションとしても利用できる。
【0061】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では障害物位置情報BPDが二次元上に登録されており、車両CRから災害点DPへの最短ルートSRも二次元状に生成されることを想定した。
【0062】
しかし、障害物位置情報BPDを三次元化し、GPSなどにより位置情報に高度情報まで加味することによって、ヘリコプターや小型セスナなどの三次元の移動体の簡易ナビゲーションとしても利用できる。
【0063】
また、上記形態ではデータ処理装置100の各部がコンピュータプログラムにより各種機能として論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各部の各々を固有のハードウェアとして形成することもでき、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実現することもできる。
【符号の説明】
【0064】
1 車両位置情報送信装置
2 連動部
3 災害点位置情報送信装置
4 受信データ制御部
5 演算制御部
6 障害物DB
7 演算結果表示部
8 演算結果表示部
9 メンテナンス装置
10 連動部
11 障害物データ制御部
100 データ処理装置
110 車両情報取得部
120 災害点情報取得部
BPD 障害物位置情報
BR 障害物
CPD 車両位置情報
CR 車両
DP 災害点
DPD 災害点位置情報
SR 最短ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に取得する移動体情報取得手段と、
任意に発生する前記移動体の目的地の位置情報を取得する目的地情報取得手段と、
前記目的地を内包する所定領域で前記移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を記憶する障害物記憶手段と、
前記障害物の位置情報を回避して複数の前記移動体の位置情報から前記目的地の位置情報までの最短ルートを生成するルート生成手段と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記ルート生成手段は、前記障害物を回避して前記移動体から前記目的地まで連続する複数の直線で前記最短ルートを生成する請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
複数の前記移動体ごとに生成された前記最短ルートの距離を一覧表示する結果表示手段を、さらに有する請求項1または2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記結果表示手段は、複数の前記移動体ごとに前記最短ルートでの前記目的地への到達予想の時間を一覧表示する請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
一覧表示された複数の前記最短ルートから入力操作により一つを選定するルート選定手段を、さらに有する請求項3または4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記結果表示手段は、選定された前記最短ルートを前記移動体と前記目的地と前記障害物とともに画像表示する請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
入力操作により前記障害物の位置情報を更新する情報メンテナンス手段を、さらに有する請求項1ないし6の何れか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のデータ処理装置のコンピュータプログラムであって、
各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に取得する移動体情報取得処理と、
前記移動体の任意の目的地の位置情報を取得する目的地情報取得処理と、
前記目的地を内包する所定領域で前記移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を記憶する障害物記憶処理と、
前記障害物の位置情報を回避して複数の前記移動体の位置情報から前記目的地の位置情報までの最短ルートを生成するルート生成処理と、
を前記データ処理装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のデータ処理装置のデータ処理方法であって、
各々が任意に移動している複数の移動体の位置情報を個々に取得する移動体情報取得動作と、
前記移動体の任意の目的地の位置情報を取得する目的地情報取得動作と、
前記目的地を内包する所定領域で前記移動体の移動の障害となる障害物の位置情報を記憶する障害物記憶動作と、
前記障害物の位置情報を回避して複数の前記移動体の位置情報から前記目的地の位置情報までの最短ルートを生成するルート生成動作と、
を有するデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−145920(P2011−145920A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6755(P2010−6755)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】