説明

データ処理装置、印刷システム、データ処理方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】 出力先の印刷装置を入れ替えた場合であっても、自動振り分けを実施するデータ処理装置に登録し直すことなく、入れ替え後の装置を利用できるようにする。
【解決手段】 データ処理装置は、自動振り分けを実施するため、ジョブデータからイメージデータを生成し、印刷設定情報を抽出する仮想プリンタドライバ210と、対応付けデータを参照し、送信元識別情報および印刷設定情報が合致する出力条件を検索して出力先を選択するとともにイメージデータ等の内容を書き換える出力条件制御部242と、選択された出力先に対し印刷指示する印刷指示部244とを含む。また、入れ替え後の装置を利用可能にするため、出力先情報を受信する情報通信部260をさらに含み、出力条件制御部242は、この出力先情報にも合致する出力条件を検索する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力先を選択し、選択した出力先に対して印刷指示し、印刷を実行させるデータ処理装置、そのデータ処理装置を含む印刷システム、データ処理方法、その方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムおよびそのプログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータ(PC)では、UPnP(Universal Plug and Play)やBonjour等のプラグアンドプレイ技術により、同じネットワーク上に接続された複数のプリンタが選択可能に表示される。このため、ユーザは、この表示されたプリンタの中で使用したいプリンタをクリックする等して選択し、印刷指示を出すことにより、その選択したプリンタで印刷出力することができる。
【0003】
このようなプリンタを選択する方式では、プリンタを間違えて選択し、そのプリンタに印刷指示を出してしまう場合がある。近年では、PC、プリンタサーバおよびプリンタの印刷処理能力が向上し、プリンタが使用する形式への変換が高速化している。このため、一度印刷指示を出してしまうと、その後にキャンセル指示を出しても、プリンタキューに残されているデータを除き、誤ったプリンタから出力されてしまう。個人情報や高度な機密性を有する文書ファイルを扱うユーザにとっては、このように誤ったプリンタを選択し、印刷指示を出してしまうと、第三者に内容を見られる等の重大な問題が生じる。
【0004】
この問題に鑑み、出力先プリンタの自動振り分けを行う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術が適用されるデータ処理装置は、汎用オペレーティングシステムのプリンタドライバの形態を成した仮想プリンタドライバを実装し、発送処理部を備える。仮想プリンタドライバは、印刷指示を受領し、それを解析して、印刷ジョブ情報と印刷データとに分け、それをスプーラに保存する。その後、発送処理部が、印刷ジョブ情報を振り分け規則に適用して、複数のプリンタに紐付けられたプリンタドライバの1つを選択する。そして、発送処理部が、その選択したプリンタドライバに対して、印刷データの印刷指示を出す。
【0005】
振り分け規則は、出力先の選択および出力内容の変更を条件付ける規則で、定義可能な条件付け情報を用いて記述される。条件付け情報は、ユーザ名といったユーザ固有情報、IPアドレスといった端末固有情報、ページ数や用紙サイズといった印刷設定、文書名や特定用語の有無といったジョブ内容を含む。発送処理部は、印刷ジョブ情報から条件付け情報を取得し、振り分け規則と比較して、合致する条件を検索し、合致した条件に対応する設定を読み出す。そして、発送処理部は、その設定に従って、出力先を変更し、印刷設定データを書き換え、イメージデータの内容を変更する。このように、出力先や出力内容を変更し、または制限して、適切なプリンタから出力させることにより、上記の問題を解決するとともに出力業務ごとの管理を効率化し、さらには情報セキュリティの向上も実現している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の技術では、出力先プリンタの情報が、その振り分けを行うデータ処理装置に予め登録されており、その登録された情報に基づいて振り分けを実行している。選択されたプリンタは、故障した際、新しいプリンタに入れ替えられる場合がある。この場合、プリンタ情報が変更されることになるが、適切な振り分けを実現するためには、その新しいプリンタから情報提供を受け、データ処理装置に登録し直さなければならない。
【0007】
入れ替えられたプリンタがデータ処理装置の近くに設置され、そのプリンタ1台のみであれば、データ処理装置に登録し直すことに労力や時間をそれほど要しない。しかしながら、そのプリンタがデータ処理装置から遠く離れた遠隔地に設置されている場合や、入れ替えられるプリンタの台数が多い場合には、労力や時間を要し、管理コストも高くなる。
【0008】
プリンタは正常に動作していても、使用している通信回線が何らかの理由で利用することができなくなり、他の回線を利用しなければならなくなった場合や、他の回線も利用することができず、そのプリンタを利用することができない場合がある。この場合も、データ処理装置の登録内容を変更しなければならない。例えば、回線を変更して帯域が狭くなったのに、データサイズが大きいカラーイメージデータを送信すると、回線が渋滞し、効率的に印刷出力することができないからである。また、利用不可のプリンタへはデータを送信することができないからである。
【0009】
通常使用する通信回線が復旧すれば、再びそのプリンタを利用することができる。したがって、復旧後も、データ処理装置の登録内容を変更しなければならない。これらの登録内容の変更も、手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、登録し直すことなく、入れ替えたプリンタを利用できるようにするための、出力先を選択し、選択した出力先に印刷指示して印刷を実行させるデータ処理装置を提供する。このデータ処理装置は、ジョブデータの受信に応答して、該ジョブデータからイメージデータを生成するとともに、該ジョブデータから印刷設定情報を抽出する仮想プリンタドライバ手段と、出力先に関する情報として入力された出力先情報を受信する情報通信手段と、出力先および出力内容の変更情報を出力条件と対応付けた対応付けデータを参照して、前記ジョブデータに含まれる該ジョブデータの送信元を識別するための送信元識別情報、前記印刷設定情報および前記出力先情報が合致する前記出力条件を検索し、該出力条件に対応する1以上の前記出力先を選択するとともに、対応する1以上の前記変更情報を基に前記イメージデータおよび前記印刷設定情報の内容を書き換える出力条件制御手段と、書き換えられた前記イメージデータおよび前記印刷設定情報を用いて印刷を実行するように、選択された前記1以上の出力先に対し印刷指示する印刷指示手段とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の印刷システムの構成例を示した図。
【図2】本実施形態のデータ処理装置の構成例を示した機能ブロック図。
【図3】出力先および出力内容の変更情報を出力条件と対応付けた対応付けテーブルを例示した図。
【図4】出力先情報を入力するための入力画面を例示した図。
【図5】出力先情報に応じて出力先を変更するための出力先を出力条件と対応付けた対応付けテーブルを例示した図。
【図6】本実施形態のデータ処理装置が備える仮想プリンタドライバにより行われる処理の流れを示したフローチャート図。
【図7】本実施形態のデータ処理装置が備える発送処理部により行われる処理の流れを示したフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態の印刷システムの構成例を示した図である。印刷システム100は、データ処理装置110と、複数のコンピュータ端末112、114、116、118と、印刷装置としてのプリンタ120、122、124、126とがネットワーク128により互いに接続された構成とされている。また、このネットワーク128には、音声信号をデジタル信号へ変換し、デジタル信号を音声信号へ変換する変復調装置としてのモデム130が接続され、公衆回線網132を介してFAX装置134が接続されている。
【0013】
印刷システム100は、FAX装置134を備えていなくてもよく、コンピュータ端末は1台であってもよく、プリンタは選択可能なように2台以上を備えるものとされる。
【0014】
図1の破線で囲まれた領域は、同一のロケーションと見なされる拠点を表している。すなわち、データ処理装置110、コンピュータ端末112およびプリンタ120が同一拠点にあり、コンピュータ端末114およびプリンタ122が同一拠点にあり、コンピュータ端末116およびプリンタ124が同一拠点にあることを表している。また、コンピュータ端末118およびプリンタ126が同一拠点にあり、FAX装置134とネットワーク128に接続されたコンピュータ端末136とが同一拠点にあることを表している。
【0015】
コンピュータ端末112、114、116、118、136は、それぞれが、シングルコア、マルチコアのCPU、ROM、実行空間を提供するRAM、ハードディスク装置、ネットワーク128に接続するためのネットワークインタフェース(NIC)等を含み、Windows(登録商標)、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)といったオペレーティングシステム(OS)による制御の下、各種処理を実行する。コンピュータ端末112、114、116、118、136は、そのほか、入力装置としてキーボードやマウスを備えることができ、表示装置として液晶ディスプレイを備えることができる。また、コンピュータ端末112、114、116、118、136は、タッチパネル式のディスプレイのみを備えるものであってもよい。
【0016】
コンピュータ端末112、114、116、118、136は、それぞれがアプリケーションプログラムを実装し、各種処理を完結するパーソナルコンピュータやワークステーション等から構成することができる。コンピュータ端末112、114、116、118、136は、ハードディスク装置等にアプリケーションプログラムやデータを記憶しており、ハードディスク装置等からそのプログラム等をRAMに読み込み、CPUがそのプログラムを実行することにより、文書、イメージ、マルチメディア、これらが複合的に組み合わされた電子的データとして印刷対象とする文書ファイルを生成し、プリンタ120、122、124、126へと印刷処理を依頼することができる。
【0017】
ここでは、コンピュータ端末112、114、116、118、136がアプリケーションプログラムを実装し、文書ファイルを生成する、いわゆるファットクライアントとしてコンピュータ端末112、114、116、118、136を構成しているが、いわゆるシンクライアントとして構成することも可能である。シンクライアントとは、サービス要求を発行して、別途設けられるアプリケーションサーバ等に上記のアプリケーションプログラムを実行させ、処理結果を受領して印刷出力を依頼する機能のみを実装するものである。
【0018】
プリンタ120、122、124、126は、ネットワークインタフェース(NIC)を実装し、プリンタサーバが出力したコマンドを、ネットワーク128を介して受信し、印刷ジョブを実行する。プリンタ120、122、124、126としては、レーザプリンタ、インクジェットプリンタのほか、プリンタ機能を実装したMFP(Multi Function Peripheral)を用いることもできる。
【0019】
なお、プリンタ120を管理するコンピュータ端末112、プリンタ122を管理するコンピュータ端末114、プリンタ124を管理するコンピュータ端末116、プリンタ126を管理するコンピュータ端末118は、各プリンタに対応するプリンタサーバアプリケーションを実装し、このアプリケーションを実行することによりプリンタサーバとして機能するものとされている。プリンタサーバは、別途サーバ装置として設けることも可能であり、また、プリンタ120、122、124、126のそれぞれがプリンタサーバ機能を有していてもよい。
【0020】
ネットワーク128は、1000Base−TX等のイーサネット(登録商標)、光ネットワーク、IEEE802.11等の規格の無線ネットワークを含んで構成することができ、フレームまたはTCP/IPプロトコルに基づくパケット通信によって、相互通信を行うことができる。ネットワーク128は、LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)等によるセキュア環境下でインターネット等の広域ネットワークを含んで構成されてもよい。
【0021】
データ処理装置110は、コンピュータ端末112、114、116、118、136と同様のハードウェア構成とすることができ、コンピュータ端末112、114、116、118、136からジョブデータを受信し、各種条件に応じて、適切な出力先となるプリンタ120、122、124、126を選択し、ジョブデータを自動振り分けする処理を行う。
【0022】
その後、データ処理装置110は、選択したプリンタ120、122、124、126に対応するプリンタドライバで、プリンタ120、122、124、126が解釈可能なコマンドを生成し、そのコマンドを付加して対応するプリンタを管理するプリンタサーバへ出力し、印刷を実行させる。すなわち、選択したプリンタが、プリンタ122である場合、データ処理装置110は、プリンタ122を管理するコンピュータ端末114へコマンドを画像データ等とともに送信し、印刷処理を実行させる。
【0023】
コンピュータ端末112、114、116、118、136は、ポイントアンドプリント機能によりデータ処理装置110との間の接続を確立することができる。これらの間の接続は、RPC(Remote Procedure Call)接続やSMB(Server Message Block)接続により確立することができる。これらは、コンピュータ端末112、114、116、118、136からデータ処理装置110へ要求メッセージ等を送信し、データ処理装置110が応答を返すことにより確立することができる。
【0024】
例えば、コンピュータ端末112が、ファイル名を指定して実行することにより、また、同一のワーキンググループあるいは同一のドメインに含まれるコンピュータを一覧するNet Viewコマンドを使用して、接続を確立することができる。なお、コンピュータ端末112、114、116、118、136とデータ処理装置110との間は、RDP(Remote Desktop Protocol)等の適切な遠隔接続プロトコルを使用して通信を行うことができる。
【0025】
FAX装置134は、公衆通信網132を使用して画像を転送する装置で、原稿を読み取り、画像データを出力する原稿読み取り手段と、受信した画像データを印刷出力する印刷手段とを備えている。公衆通信網132が公衆交換電話網である場合は、アナログ回線で利用できるG3規格のものを採用することができ、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線である場合は、デジタル回線で利用できるG4規格のものを採用することができる。
【0026】
この印刷システム100を利用して文書を作成し、それを印刷する場合、ユーザは、まず、コンピュータ端末112、114、116、118、136の1つを利用し、それに実装されているアプリケーションプログラムを使用して文書を作成する。そして、ユーザは、印刷設定を行い、その設定した情報を印刷設定情報とし、文書データとともにジョブデータを作成する。ここで、印刷設定情報としては、例えば、用紙の種類、用紙のサイズ、用紙の向き、枚数、フォント、カラーまたはモノクロ印刷、印刷倍率、両面印刷の有無、集約印刷の有無、行数、列数、フォントサイズ等が挙げられる。
【0027】
コンピュータ端末112内では、アプリケーションプログラムを実行するCPUが、アプリケーション実行部として機能し、このアプリケーション実行部が、上記の文書データおよび印刷設定情報、さらには、コンピュータ端末112のIPアドレス、MACアドレス、そのコンピュータ端末112に付されたコンピュータ名、サービスを利用する際にユーザが入力するユーザ名等のジョブデータの送信元を識別するための送信元識別情報も含めてジョブデータを作成する。そして、CPUは、そのジョブデータをデータ処理装置110へ送信する。
【0028】
データ処理装置110は、汎用OSのプリンタドライバの形態を成した仮想プリンタドライバやその他の必要な機能を有するように構成される。データ処理装置110は、仮想プリンタドライバを使用して、コンピュータ端末112から受信したジョブデータを用いてレンダリングを行い、イメージデータを生成する。また、データ処理装置110は、ジョブデータから抽出した印刷設定情報や送信元識別情報から出力先となるプリンタを選択し、その選択したプリンタに、イメージデータおよび印刷設定情報に基づき印刷を実行させるため、そのプリンタに対応するプリンタドライバを選択し、印刷指示する。プリンタドライバは、対応するプリンタが解釈可能なコマンドを生成し、そのコマンドをイメージデータ等に追加してそのプリンタを管理するプリンタサーバへ出力する。
【0029】
このデータ処理装置110は、プリンタを選択する際、出力先に関する情報として登録された登録情報に変更があり、その変更を出力先情報として受信した場合は、その出力先情報も参照して、いずれのプリンタで印刷を実行すべきか決定し、そのプリンタを選択する。この印刷システム100の管理者は、プリンタを取り替えた場合等にその出力先情報を入力し、データ処理装置110へ送信する際、コンピュータ端末112、114、116、118、136の1つを利用することができる。
【0030】
データ処理装置110は、どのプリンタを出力先として選択するかは、印刷枚数等の印刷設定情報、ユーザ名やIPアドレスといった送信元識別情報、出力先情報により選択することができる。また、イメージデータや印刷設定情報の変更も、これらの情報に応じて行うことができる。出力先や出力内容の変更は、予め定義された出力条件と対応付けられ、これらの情報がどの出力条件と合致するかを判断することにより、出力先を選択し、どのように内容を変更するかを決定することができる。
【0031】
図2は、データ処理装置110の構成例を示した機能ブロック図である。なお、図2には、理解しやすくするためにデータ処理装置110のほか、ユーザが使用し、ジョブデータの送信元となるコンピュータ端末112と、出力先となるプリンタ120、122、124、126と、それらのプリンタを管理するプリンタサーバとして機能するコンピュータ端末112、114、116、118、136と、その他の出力先としてFAX装置134とが示されている。
【0032】
ユーザが使用するコンピュータ端末112は、上述したファットクライアントとされ、文書等を作成し、印刷ジョブのジョブデータを出力するアプリケーション実行部200を備える。また、コンピュータ端末112は、アプリケーション実行部200が実行するアプリケーションに従属するプロセス等を特定する情報(プロセスID)を受け付け、データ処理装置110の表示部へそのプロセスIDを送付する印刷要求元管理部202とを備える。
【0033】
図2に示す実施形態では、アプリケーション実行部200および印刷要求元管理部202が、コンピュータ端末112に実装されているが、これらアプリケーション実行部200および印刷要求元管理部202は、データ処理装置110が備えていてもよいし、別途設けられるアプリケーションサーバ等に実装されていてもよい。この実施形態では、クライアントコンピュータとして機能するコンピュータ端末112がアプリケーション実行部200および印刷要求元管理部202を備えることから、コンピュータ端末112はファットクライアントである。なお、データ処理装置110またはアプリケーションサーバがアプリケーション実行部200および印刷要求元管理部202を備える場合には、コンピュータ端末112はシンクライアントとなる。
【0034】
アプリケーション実行部200は、アプリケーションを実行してユーザからの処理要求や印刷要求を受け付け、処理を実行してその実行結果を生成する。実行結果は、アプリケーションによるプリント指令イベントに応答して、GDI(Graphical Device Interface)等のAPI(Application Program Interface)コールを経てプリントジョブとした後、そのジョブのジョブデータをデータ処理装置110へ送付する。
【0035】
データ処理装置110は、仮想プリンタドライバ210と、ジョブ蓄積部220と、発送処理部240とを含んで構成される。仮想プリンタドライバ210は、仮想プリント管理部212と、データ抽出部214と、仮想描画部216とを含んで構成される。仮想プリント管理部212は、アプリケーション実行部200から送付されるジョブデータを受け付けてジョブを開始し、そのジョブを固有に識別するためのプロセスIDを生成し、アプリケーション実行部200へ送付する。このプロセスIDは、上述したようにアプリケーション実行部200が印刷要求元管理部202へ送付するものである。
【0036】
仮想プリント管理部212は、ジョブデータを一旦ジョブ蓄積部220に格納する。その後、仮想プリント管理部212は、仮想描画部216を呼び出し、ジョブデータに含まれるイメージデータをジョブに対応付けて処理するための記憶空間を、作業空間230a〜230cとして確保させる。作業空間230a〜230cは、データ処理装置110が管理するRAM等の記憶空間の適切な容量を割り当てることにより形成され、例えば、仮想スプーラとして参照することができる。
【0037】
また、仮想プリント管理部212は、データ抽出部214を呼び出し、ジョブ蓄積部220に一旦格納されたジョブデータから印刷設定情報を抽出し、送信元識別情報も抽出し、それらを含む印刷設定データ232として、確保した作業空間230a〜230cに格納する。
【0038】
現在処理中のジョブデータが作業空間230aで行われる場合、仮想描画部216は、ジョブ蓄積部220に格納されているイメージデータを作業空間230aへ移動し、高次イメージフォーマットのイメージデータを作業空間230a内に生成する。具体的には、データ処理装置110がWindows(登録商標)システムを採用する場合、スプーラが生成するEMF(Enhanced MetaFile)を、プリンタが備えるプロセッサが作業空間へコピーすることにより実現される。なお、EMFは、グラフィックモジュールによって生成することも可能である。
【0039】
ジョブデータは、低次イメージフォーマットのデータより容量が少ない高次イメージフォーマットのデータを利用するほうが好ましく、高次イメージフォーマットのデータを利用することで、データ抽出部214や仮想描画部216の処理を効率化することができ、RTAを削減することができる。
【0040】
仮想描画部216は、イメージデータを作業空間230a〜230cへ移動すると、ジョブ蓄積部220内を空にし、アプリケーション実行部200に対して仮想プリント管理部212を介してイメージ処理が終了した旨を通知する。アプリケーション実行部200は、これを受けて、ジョブ蓄積部220に対する排他管理を解除し、別の印刷要求の処理を実行することができる。この排他管理の一例としては、セマフォや同期クラスを挙げることができる。
【0041】
データ処理装置110は、別途イメージ処理部を備えることができる。作業領域230a〜230cへ移動されたイメージデータは、このイメージ処理部によって取得され、イメージ処理が実行される。このイメージ処理部は、画像処理モジュールとして実装することができる。イメージデータがEMF、PDF(Portable Document Format)、PostScript(登録商標)、XPS(XML Paper Specification)等の描画制御コードやベクトルイメージを含む高次イメージデータである場合、イメージ処理部は、描画プロセッサを呼び出し、処理を実行することができる。
【0042】
イメージデータがBMP、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、PNG(Portable Network Graphics)、GIF(Graphics Interchange Format)等の描画コードを含まない低次イメージデータである場合、イメージ処理部は、各プリンタに対応するプリンタドライバであるリモートドライバ250a〜250cを呼び出し、イメージ変換を行い、イメージデータからラスタイメージを作成するまで作業空間230a〜230cとの間で処理を反復し、RAW形式の出力データを生成することができる。この処理は、高次イメージデータと低次イメージデータとが混在する場合も同様である。このような処理を実現するために、データ処理装置110は、上記のリモートドライバ250a〜250cも備える。
【0043】
イメージ処理部は、作業空間230a〜230cのイメージデータおよび印刷設定データ232を取得し、ページ割り当てや、面付け等の処理を実行することができる。この処理を実行する機能は、リモートドライバ250a〜250cが備えることもできる。リモートドライバ250a〜250cが備える場合、イメージ処理部は、高次イメージフォーマットとして生成されたイメージデータをリモートドライバ250a〜250cの受信可能なフォーマットへイメージ変換し、印刷設定データ232をリモートドライバ250a〜250cの機能設定値として指定して、リモートドライバ250a〜250cに変換させることにより、RAW形式のデータを作成することができる。
【0044】
例えば、Windows(登録商標)のプリンタドライバでは、ほとんどのプリンタドライバがEMFを受信することができるので、イメージデータがEMFである場合、変換は不要である。このため、印刷設定データ232を印刷設定構造体DEVMODEに設定することで、リモートドライバ250a〜250cとしてのプリンタドライバが目的のRAW形式のデータを作成することができる。
【0045】
リモートドライバ250a〜250cがページ割り当てや面付けの機能を有する場合について説明してきたが、有さない場合には、例えば、EMFをページごとのEMFに分割し、ページ順の入れ替えや描画位置を指定することで、目的のRAW形式のデータを得ることができる。
【0046】
次に、発送処理部240a〜240cについて説明する。発送処理部240a〜240cは、ジョブごとにインスタンスとして生成される。発送処理部240a〜240cは、プライベートインスタンスと呼ばれ、データ抽出部214が抽出した印刷設定データ232を、プロセスIDおよびイメージデータと関連付け、ジョブ管理リスト234a〜234cとして生成し、各ジョブ管理リスト234a〜234cを各プライベートインスタンスの管理のために利用することができる。
【0047】
具体的には、発送処理部240a〜240cは、印刷設定データ232を識別するためのデータID(JID)、イメージデータを識別するためのイメージID(IMG)を生成し、それらをプロセスID(PID)と関連付け、ジョブ管理リスト234a〜234cとして生成する。データIDやイメージIDは、ファイル名等であってもよい。
【0048】
発送処理部240a〜240cの各々は、出力条件制御部242と、印刷指示部244と、対応付けテーブル246と、表示部248とを含んで構成される。
【0049】
印刷指示部244は、ジョブ管理リスト234a〜234cを参照し、プロセスIDから特定される印刷設定データ232を検出し、プロセスIDまたはデータIDで出力条件制御部242へどの出力先に印刷を指示するかの問い合わせを行う。印刷指示部244は、出力条件制御部242から出力先の通知を受け付けると、その出力先を設定し、設定された出力先のリモートドライバ250a〜250cに対し、作業空間230a〜230cの高次イメージフォーマットのイメージデータを、印刷設定データ232の内容通りに印刷を実行するように指示する。
【0050】
出力条件制御部242は、出力先および出力内容の変更情報を出力条件と対応付けた対応付けデータとしての対応付けテーブル246を参照し、出力先を選択し、出力内容の変更情報を特定する。出力条件制御部242は、印刷指示部244から取得したプロセスIDまたはデータIDから印刷設定データ232を特定し、特定した変更情報を基に印刷設定データ232およびイメージデータを書き換える。そして、出力条件制御部242は、選択した出力先の情報を印刷指示部244へ返し、書き換えた印刷設定データ232およびイメージデータにより印刷を実行するように指示させる。
【0051】
対応付けテーブル246は、特定の用途に応じてユーザ定義可能なファイルとして提供される。この対応付けテーブル246には、履歴データを含んでいてもよく、履歴データを、出力条件を決定するために用いることも可能である。履歴データは、ユーザが実行したジョブ実行履歴を管理するデータベースとして提供することができる。
【0052】
対応付けテーブル246の一例としては、図3に示すような、出力先および変更情報を設定とし、その設定を出力条件である条件と対応付けて記述されたテーブルを用いることができる。図3に示す対応付けテーブルには、条件と設定が紐付けられ、設定条件、設定、グループ設定が定義されている。条件と設定の紐付けでは、条件「Condition1」が設定「Setting1」と紐付けられ、条件「Condition2」が設定「Setting2」と紐付けられている。
【0053】
設定条件では、条件「Condition1」において、ユーザ名とジョブ名が定義され、条件「Condition2」において、ページサイズと文字列が定義されている。また、設定では、条件「Condition1」において、拠点と追加する文字列が定義され、条件「Condition2」において、拠点とポスター印刷することが定義されている。
【0054】
図3を参照してみると、出力条件制御部242が、送信元識別情報の中に、ユーザ名が「President」で、かつジョブ名が「ImportantNotice」というジョブを検出した場合、対応付けテーブルの中の設定条件を検索し、合致する条件として条件「Condition1」を検出する。出力条件制御部242は、条件「Condition1」に対応する設定「Setting1」を参照し、拠点「ImportantGroup」にあるプリンタを出力先として選択する。
【0055】
また、出力条件制御部242は、同じ設定の中の「Confidential」を変更情報として取得し、イメージデータにこの「Confidential」という文字を追加したデータに書き換える。ここでは、拠点「ImportantGroup」が、グループ設定で、拠点「xxxx」と拠点「yyyy」を含むように定義されているため、これら2つの拠点にあるプリンタが出力先として選択され、これらのプリンタに対し印刷指示が出される。
【0056】
一方、ページサイズが「A0」で、かつ特定用語として文字列「Poster」が印刷設定情報に含まれていることを検出した場合、出力条件制御部242は、対応付けテーブルの中の設定条件を検索し、合致する条件として条件「Condition2」を検出する。出力条件制御部242は、条件「Condition2」に対応する設定「Setting2」を参照し、すべての拠点の中でポスター印刷可能なプリンタを選択する。
【0057】
図3では、「Base1」、「Base2」といった形で列挙することによりグループを指定しているが、これに限られるものではなく、Active Directoryといったディレクトリサービスや、アドレス帳サービスを用いてグループ指定を行うことも可能である。このように複数の拠点を同時に指定することで、同じ内容を一斉送信することができる。
【0058】
ここでは、ユーザ名、ジョブ名、ページサイズ、文字列を例示したが、これに限られるものではなく、ユーザに付与されたグループや権限等の他のユーザ固有情報や、ユーザが使用するコンピュータ端末のMACアドレス、IPアドレス、IPアドレス範囲、端末名等の端末固有情報を含むこともできる。そのほかに、ページ数、機密キーワードの有無、カラーモード指定、片面印刷、両面印刷、ステープル、パンチ、スタンプの指定、用紙サイズ、メディアタイプの指定、給紙方向や給紙口・排紙口の指定、印刷品質の指定、文書名、ジョブ発行時間等のジョブ内容情報を含むことができる。
【0059】
これらの端末固有情報やユーザ固有情報等は、送信元識別情報として印刷設定データ232から容易に取得することができる。また、これらの情報は、発送処理部240a〜240cがアプリケーション実行部200と同一権限で起動される場合は、ログインユーザに紐付けられた情報としても得ることができる。
【0060】
ちなみに、図3に示した例では、ユーザ名が「President」で、かつジョブ名が「ImportantNotice」であることから、機密文書であることを示す「Confidential」という文字が追加されるように出力内容を変更し、出力先も重要拠点とされている。
【0061】
このようにして、出力条件制御部242は、対応付けテーブル246を参照して出力先を選択し、それを印刷指示部244に通知するとともに、作業空間230a〜230c内の印刷設定データ232およびイメージデータの内容を変更する。そして、印刷指示部244は、その通知を受けて、選択された出力先のプリンタに対応するリモートドライバ250a〜250cへ印刷指示する。
【0062】
リモートドライバ250a〜250cは、印刷指示部244から印刷指示を受けて、ポートモニタ等へとRAW形式の出力データを送付し、決定された出力先であるいずれかのプリンタからの印刷出力を可能にする。その後、ジョブごとに起動された発送処理部240a〜240cのインスタンスは、プリンタが印刷を終了し、そのプリンタを管理するプリンタサーバから印刷終了の通知を受けて終了する。
【0063】
データ処理装置110は、この印刷終了した旨の通知を、表示部248を介して、ジョブデータを出力したコンピュータ端末112へ送付し、そのコンピュータ端末112が備える表示装置に表示させる。また、表示部248は、印刷要求元管理部202からプロセスIDを受信し、出力先の情報等を通知するために表示装置に表示させる。このため、表示部248は通知手段としても機能する。表示部248は、プロセスIDに関連付けられたコンピュータ端末112に、印刷情報を表示するユーザインタフェースである印刷情報ダイアログを表示させ、コンピュータ端末112から印刷続行の可否を示す印刷続行指示や印刷取り消し指示を待つこともできる。
【0064】
表示部248がコンピュータ端末112から印刷続行指示を受信した場合、印刷指示部244がプリンタ120〜126に出力データを送付し、その後、印刷取り消し指示を受信した場合、印刷指示部244は作業空間230a〜230cからイメージデータ等を消去して印刷処理を取り消すことができる。表示部248は、コンピュータ端末112に対し、印刷処理を取り消したことを通知する印刷処理取り消しダイアログ等も表示させることができる。
【0065】
印刷情報ダイアログには、実行される印刷ジョブがカラー印刷であることをユーザに通知して、モノクロ印刷に変更することを促すためのダイアログ、両面印刷を促すためのダイアログ、ページレイアウトの変更を促すためのダイアログ、印刷物が出力される発送先や印刷枚数等の印刷情報を単に通知するためのダイアログ等が含まれる。
【0066】
これらのダイアログは、印刷指示部244が、ユーザの役職等を判断できるように予め設定されたユーザ情報を用いて、ダイアログを表示すべきユーザを判断し、ユーザに応じて表示させることも可能である。
【0067】
図1に示す実施形態では、コンピュータ端末112、114、116、118が各プリンタを管理するためのプリンタサーバとして機能する。例えば、プリンタ120が何らかの原因で故障したとする。このとき、プリンタ120を修理するため、使われていないプリンタを一時的に代用する場合や、新しいプリンタへ交換することが行われる。そうすると、プリンタの情報を新しく設定し直さなければならない。
【0068】
そこで、データ処理装置110は、さらに、情報通信部260と、情報格納部262とを備える構成とされる。コンピュータ端末112、114、116、118、136の1つを利用し、入れ替えたプリンタの情報を出力先情報として入力し、情報通信部260へ送信するのみで、その出力先情報を反映して出力先を変更し、出力内容も変更することができる。このため、データ処理装置110に登録されているプリンタ120の情報を、入れ替えたプリンタの情報に登録し直さなくても、その入れ替えたプリンタを利用することができるようになる。
【0069】
情報通信部260は、1つのコンピュータ端末112からのアクセスに応答して、ユーザ名やパスワードといったログイン情報を入力させるためのログイン画面を提供する。出力先情報を入力しようとするユーザが当該ログイン情報を入力したことを受けて、情報通信部260は、予め登録されているログイン情報と照合し、一致する場合に認証する。一方、一致しない場合は認証せず、ログイン画面の状態のままで、出力先情報を入力することができないものとされる。
【0070】
情報格納部262は、情報通信部260にて受信した出力先情報を記憶し、出力条件制御部242によって参照可能にされる。このため、出力条件制御部242は、対応付けテーブル246の参照に加えて、この情報格納部262に格納された出力先情報も参照し、この出力先情報も含めて出力先を選択し、その選択した出力先で印刷を実行させることになる。
【0071】
図4に、出力先情報の入力画面を例示する。データ処理装置110に登録された出力先情報を変更する必要があるユーザは、データ処理装置110に対し入力画面を要求し、自己が使用するコンピュータ端末112の画面上に表示する。入力画面を要求すると、まず、画面には、ログイン情報の入力を促すダイアログが表示される。ユーザがログイン情報を入力し、送信すると、データ処理装置110が認証するかどうかを判断する。ログイン情報は、ユーザIDおよびパスワード等である。データ処理装置110が認証すると、入力画面を提供し、コンピュータ端末110の画面上には、図4に示すような入力画面が表示される。
【0072】
入力画面は、データ処理装置110に登録されているプリンタ名が含まれる。そのプリンタ名の下には、コンボボックスが設けられ、「正常」、「機器入れ替え」、「帯域狭し」、「利用不可」を選択することができるようになっている。
【0073】
「正常」は、データ処理装置110に共有プリンタとして参照されている登録済みプリンタを入れ替えたりしていない状態を示すものである。「機器入れ替え」は、データ処理装置110に共有プリンタとして参照されているプリンタを変更するもので、例えば、登録済みのプリンタが故障し、他のプリンタへ入れ替えたことを示すものである。プリンタを入れ替える場合は、新たに設置するプリンタのプリンタドライバを標準使用するプリンタとして共有した上で、この「機器入れ替え」を選択して設定することで、データ処理装置110は一度プリンタの共有を停止し、改めて出力先の標準使用するプリンタを共有することができる。
【0074】
データ処理装置110は、印刷指示部244が印刷指示するために選択される入れ替え前のプリンタに対応するプリンタドライバを、この「機器入れ替え」が設定されたことを受けて、入れ替え後のプリンタに対応するプリンタドライバへ入れ替える。これにより、上記の標準使用するプリンタとして共有される。また、この設定を設けることで、出力先の拠点の都合によりプリンタを入れ替えた場合に、印刷システム100の管理者が関与することなく、入れ替えたプリンタに対応した印刷配信が可能になる。
【0075】
「帯域狭し」は、例えば、ブロードバンドが何らかの理由で使えなくなり、衛星回線、携帯電話で使用される3G回線、大容量モバイルブロードバンド通信方式の1つであるWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等を使用しなければならなくなった場合にその旨を通知するものである。一般に日本国内で、同一建物内にデータ処理装置が設置されている場合には、このような状況は生じないと考えられるが、世界全体に拠点が存在する場合、ブロードバンド基盤が安定していない場所もありうることから、この選択項目が設けられている。
【0076】
この設定を設けることで、印刷ジョブ設定を変更して正常に印刷することができ、多少の機能や品質劣化が生じた場合でも、そのプリンタで印刷を実行したいというニーズに応えることができる。
【0077】
「利用不可」は、プリンタが壊れたり、ネットワークが不通になったり、停電で動作しなくなったような場合にその旨を通知するものである。このコンボボックスの下には、FAX番号を入力することができる入力フィールドが設けられている。したがって、「利用不可」が選択され、FAX番号が入力されている場合には、プリンタで印刷することに代えて、FAX通信を行い、FAX装置に印刷出力できる。
【0078】
具体的には、出力条件制御部242が出力先情報を参照し、この「利用不可」が設定され、FAX番号が入力されている場合には、そのFAX番号が登録されたFAX装置を選択し、印刷指示部244は、そのFAX装置に対し印刷出力させるように指示する。これにより、プリンタやネットワーク網が破損した場合であっても、FAX装置という代替手段を利用して目的の印刷物を取得することが可能となる。
【0079】
コンボボックスおよびFAX番号の入力フィールドの向かって右隣には、更新ボタンと設定ボタンとが設けられている。更新ボタンは、選択された内容で確定するために押下されるボタンで、設定ボタンは、入力フィールドに入力されたFAX番号で確定するために押下されるボタンである。これらのボタンが押下された場合、これらの内容で出力先情報が記憶され、同じプリンタ名につき、既に記憶されている情報がある場合は上書きされる。
【0080】
FAX番号の入力フィールドの下には、最大用紙サイズを選択することができるコンボボックスが表示され、ここではA4サイズが選択されている。また、プリンタ機能として、パンチ機能が利用可能であるか否か、ステープル機能が利用可能であるか否か、週刊誌綴じが利用可能であるか否か、ポスター印刷が可能であるか否かをラジオボタンにより選択することができるようになっている。ここではすべての機能が利用可能とされている。
【0081】
これらの機能情報は、印刷物を配信する際、それが望み通りの印刷結果になるかどうかを知ることができる情報となるものである。ここでは、4つの機能のみが示されているが、両面印刷、カラー印刷等の機能も含めることができる。また、これらの情報は、入力画面に入力して設定することも可能であるが、プリンタドライバからOS標準のインタフェースで取得し、自動設定することも可能である。
【0082】
プリンタ機能の下には、近くの拠点を選択することができるコンボボックスが複数設けられている。近くの拠点は、出力条件制御部242で選択された出力先がある拠点では印刷することができない場合、その選択された出力先がある拠点の近くに印刷可能な拠点が存在していれば、その印刷可能な拠点で印刷を実行させることを可能にするものである。したがって、近くの拠点で印刷できる拠点があれば、その拠点で印刷してもらい、ハンドキャリーによって印刷物を持ち帰ることができる。
【0083】
このように近くの拠点で印刷してもらうようにすることで、ハンドキャリーの手間がかかっても、機能や品質の劣化がない印刷物を得たいというニーズに応えることができる。
【0084】
ここでは近くの拠点の選択が3つ可能とされているが、4つ以上であっても、2つ以下であってもよい。近くの拠点で印刷された場合、近くの拠点で印刷されたことを何らかの方法で知ることができなければ、ハンドキャリーによって印刷物を持ち帰ることはできない。
【0085】
そこで、配信物転送時の通知という項目が設けられている。通知は、上記の点から必要と考えられるが、近くの拠点が、決定された拠点に非常に近く、通知する必要がないような場合も考えられるので、チェックボックスにより選択可能とされている。
【0086】
通知を受ける場合は、いずれの方法により通知を受けるかを選択するために、電子メール、FAX、電話がラジオボタンにより選択可能とされ、電子メールであれば、メールアドレスを、FAXであれば、FAX番号を、電話であれば、電話番号を入力するための入力フィールドが設けられている。この入力フィールドの向かって右隣に、設定ボタンが設けられ、その入力した内容で確定させたい場合に設定ボタンを押下することができるようにされている。
【0087】
このように、連絡先に関する情報と、その連絡方法とを入力し、設定しておくことで、上述した通知手段としての表示部248がユーザにその連絡先に関する情報を用い、その連絡方法により、その近くの拠点にある出力先に対し印刷指示した旨を通知するので、どこに出力されたかが分かり、間違えることなく印刷物を持ち帰ることができる。
【0088】
図4に示す出力先情報設定画面は、一例を示したものであり、これ以外の設定情報を追加することも当然にして可能であり、すべてをコンボボックスにする等、これ以外の構成も可能である。
【0089】
ユーザによって入力された出力先情報は、情報通信部260によって受信され、情報格納部262に格納される。出力条件制御部242は、この情報格納部262に格納された出力先情報を参照し、出力先の変更や出力内容の変更を行うが、この処理を行うにあたって、図3に示した対応付けテーブルに加えて別途設けられる図5に示すような対応付けテーブルを参照する。ここで、図3に示した対応付けテーブルを第1対応付けテーブルとすると、図5に示す対応付けテーブルは第2対応付けテーブルである。
【0090】
図5に第2対応付けテーブルを例示し、その詳細について説明する。図5に示す対応付けテーブルは、出力先の状況によって出力先を決定するために用いられるデータである。
【0091】
図5に示すデータは、非手続型のプログラミング言語であるPrologにより記述されているが、出力先を決定するためのデータを記述することができる言語であれば、どのような形式のプログラミング言語を使用してもよい。
【0092】
図5では、最初の行において、「もし拠点BASEが、使用不可能な状態で、拠点BASEに有効なFAX番号が登録されているのであれば、FAX送信を行う」ことが記述されている。次の行は、「FAXも使用不可能な状態である場合、近くの拠点ALTBASEを探し、ALTBASEで印刷出力する」ことが記述されている。
【0093】
その次の行は、「通信回線の帯域が狭い場合、カラーデータの送信をやめ、モノクロデータへ変更して送信する」ことが記述されている。このようにして、状況によって出力先を変更することができる。
【0094】
それ以降の行は、ジョブデータの内容と拠点にあるプリンタの情報とに応じて、印刷を実行する出力先がある拠点を変更する場合について記述している。例えば、A0サイズのポスター印刷を行いたい場合、図3に示す対応付けテーブルで「Poster=yes」となっていることから、この図5では、[poster,yes]という項目が設けられている。
【0095】
この条件が満たされている場合は、拠点BASEにあるプリンタが給紙可能な最大用紙サイズが広幅長尺であれば、そのまま印刷し、拠点BASEにあるプリンタにポスター印刷機能があればそれを用いて印刷し、どちらも満たさなければ、近くの拠点ALTBASEを探し、その拠点ALTBASEにあるプリンタで、最大用紙サイズおよびポスター印刷機能の有無を判断し、いずれも成功しない場合に印刷失敗にする、という出力先と出力条件と対応付けたデータについて記述している。
【0096】
これはあくまで一例であるので、これ以外の出力先と出力条件とを対応付けたデータや出力内容の変更情報と出力条件とを対応付けたデータを記述してもよい。したがって、例えば、異なる拠点ALTBASEにあるプリンタで出力した場合、「これは拠点BASEに配信するものであったから、連絡をとって受け渡すべし」という内容のカバーページを付与することも可能である。
【0097】
この場合、印刷指示部244は、出力条件制御部242が選択した出力先がある拠点とそれに近隣する拠点の情報を取得し、その出力先がある拠点へ送付する旨を記述したカバーページを印刷するように、その近隣する拠点にあるプリンタに対応するプリンタドライバに対し指示する。これにより、その近隣する拠点では、拠点変更により印刷出力した印刷物と、選択された拠点として印刷出力した印刷物の両方が出力される場合があるが、カバーページを同時に印刷することで両者を区別し、混乱を防止することが可能となる。
【0098】
図6および図7を参照して、実際に情報通信部260および情報格納部262を備えるデータ処理装置110において実行される処理について詳細に説明する。印刷要求を出力するコンピュータ端末が1つで、受信したジョブデータを印刷出力するために2以上のプリンタとFAX装置がネットワーク接続されており、そのコンピュータ端末はファットクライアントとする。
【0099】
ユーザは、コンピュータ端末に実装されるアプリケーションを実行してアプリケーション実行部200として機能させ、出力先として仮想プリンタドライバを選択し、各種設定を登録し、印刷実行ボタンを押下することによりデータ処理装置110に対し、ジョブデータを送付する。この登録は、データ処理装置110の管理者やユーザ等が専用のGUI(Graphical User Interface)により行うことができる。アプリケーション実行部200は、ユーザの要求に対応して実行結果を作成し、それを上記のジョブデータとしてデータ処理装置110へ送付する。データ処理装置110は、それを受けてステップ600から処理を開始し、ステップ605において、仮想プリンタドライバ210がジョブデータを受信する。
【0100】
仮想プリンタドライバ210は、ジョブデータを受信したことに応答して、ジョブを開始するが、ステップ610で、その開始したジョブを固有に識別するためのプロセスIDを生成し、アプリケーション実行部200へ返す。アプリケーション実行部200は、受信したプロセスIDを印刷要求元管理部202へ送り、印刷要求元管理部202が、受け取ったプロセスIDを引数として、ジョブごとの発送処理部240a〜240cのインスタンスを生成する。
【0101】
ステップ615では、仮想プリンタドライバ210は、受け取ったジョブデータをジョブ蓄積部220に格納し、そのジョブデータから印刷設定情報を抽出し、また、イメージデータを生成し、確保した作業空間230a〜230cに移動する。仮想プリンタドライバ210の仮想描画部216は、ジョブデータから分離され、ジョブ蓄積部220に格納されたイメージデータをページ単位等の所定のユニット単位で、作業空間230a〜230cへ移動し、同時に印刷設定ファイルを生成し、ユニット単位毎のイメージデータのファイル名等のイメージデータを識別するための情報(IMG)を書き込む。仮想プリンタドライバ210のデータ抽出部214は、ジョブデータから分割、抽出されたジョブ情報データの印刷設定等に従って印刷設定データ232を生成し、作業空間230a〜230cに生成した印刷設定ファイルに書き込む。
【0102】
ステップ615の処理が終了した後、ポイントAを介して、図7に示すステップ705へ処理が進められる。図7に示すステップ705では、ステップ610で生成された、例えば発送処理部240aの印刷指示部244が、引数として渡されたプロセスIDから特定される印刷設定データ232が作業空間230aに生成されたことを検出し、発送処理を開始させる。
【0103】
ステップ710では、印刷指示部244は、出力条件制御部242に出力先の問い合わせを行う。この問い合わせは、プロセスIDまたはこのプロセスIDから求められる印刷設定データ232のファイル名等で行うことができる。ステップ715では、出力条件制御部242が、印刷設定データ232から種々の情報を取得し、対応付けテーブル246を参照して、合致する条件を検索する。
【0104】
ステップ720では、出力条件制御部242が、合致した条件に対応する設定を対応付けテーブル246から読み出し、印刷設定データ232を書き換える。また、合致した条件に対応する設定において、イメージデータの内容変更が指定されている場合は、イメージデータに対しても内容変更を行う。
【0105】
ステップ725では、出力条件制御部242が、合致した条件に対応する設定中に指定された拠点にあるプリンタを出力先として選択し、その後、対応付けテーブル246を参照し、情報格納部262に格納された出力先情報に合致する条件を検索する。
【0106】
ステップ730では、出力条件制御部242は、検索された条件に対応する出力先および出力内容の変更情報を、対応付けテーブル246から選択し、取得する。そして、出力条件制御部242は、取得した変更情報を基に印刷設定データ232およびイメージデータを書き換える。このように再度検索を行い、出力先を選択するのは、プリンタが入れ替えられているので、当初の出力先の選択では条件に合致していたが、入れ替えられたプリンタがその条件に合致しない場合もあり得るからである。
【0107】
出力先が選択された後、ステップ735へ進み、ステップ725で選択した出力先と、ステップ725で出力先情報に合致する条件を検索し、ステップ730で検索された条件を基に選択した出力先とを比較し、出力先が変更されたかどうかを判定する。変更されたと判定した場合、その出力先が変更されないようになり、出力先が確定されるまで、ステップ725〜ステップ735の処理を繰り返す。
【0108】
ステップ735で変更されないと判定した場合、ステップ740へ進み、出力条件制御部242は、選択した出力先を確定し、その確定した出力先を、印刷指示部244からの問い合わせに対する応答として、印刷指示部244へ通知する。このとき、出力先情報により出力先を変更した場合にあってはその旨も同時に通知される。イメージ処理部を備える構成では、イメージ処理部が、書き換え後の印刷設定データ232に従って、イメージデータの面付け、印刷サイズやマージン等の処理を適宜行う。
【0109】
次に、ステップ745で、印刷指示部244は、書き換え後の印刷設定データ232およびイメージデータの内容に従って印刷指令を生成し、通知された出力先となるプリンタに対応するリモートドライバ250aに対して送付する。リモートドライバ250aは、印刷指令を受けて、ポートモニタ等へと出力データを送付し、確定した出力先となるプリンタで印刷出力させる。
【0110】
ステップ750では、印刷指示部244は、出力先と同時に受け付けた出力先を変更した旨の通知に応答し、予め設定された内容に従って処理を実行するように指示する。例えば、カバーページを付与するように設定されている場合、当該リモートドライバ250aにカバーページの印刷指令を送付し、カバーページを続けて印刷出力させることができる。また、出力先情報に転送通知に関する情報が含まれ、転送通知を行うように設定されている場合は、印刷指示部244は、出力条件制御部242から転送通知に関する情報も取得し、出力先およびその転送通知に関する情報を表示部248へ送り、表示部248がそれらの情報を用いてどのプリンタで印刷出力したかという情報を通知する。
【0111】
ステップ750における指示およびその処理は、転送通知に関しては、ステップ745の出力先で印刷出力させている際に行うことができる。カバーページの印刷に関してはそのジョブの最後に行うことができる。このため、プリンタが印刷出力を終了すると、リモートドライバ250aがジョブの完了通知を印刷指示部244に対して行い、発送処理部240aのインスタンスは、この通知を受けて、ステップ755で処理を終了させる。
【0112】
以上に説明してきたように、本発明によれば、複数のベンダからのプリンタが混在している環境においてもベンダの異同に関係なく、ユーザ、コンピュータ端末、印刷設定情報、イメージデータの内容等に対して定義される条件に従って、出力先および出力内容を変更し、その変更した出力先へ配信して印刷出力させることができる装置、システム、方法およびその方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラムを提供することができる。
【0113】
また、本発明によれば、ネットワークに接続された1つのコンピュータ端末でプリンタを入れ替えた場合やプリンタにADF(Auto Document Feeder)等の機能付加した場合等、出力先情報を容易に変更し、その変更した情報を反映して、容易に上記出力先の決定や出力内容の変更を行うことができる。このため、データ処理装置において各出力先の出力先情報を設定し直す必要がなくなり、その設定に要する時間や労力を軽減することができる。
【0114】
本実施形態の上記機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等のオブジェクト指向プログラミング言語等で記述されたコンピュータ可読なプログラムにより実現することができ、このプログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROM、SDカード等のコンピュータ可読な記録媒体に格納して提供することができる。また、このプログラムは、他の装置がダウンロード可能な形式でネットワークを介して伝送することにより提供することも可能である。
【0115】
これまで本発明を、データ処理装置、印刷システム、データ処理方法およびプログラムとして上述した実施の形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、他の実施の形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
100…印刷システム、110…データ処理装置、112、114、116、118、136…コンピュータ端末、120、122、124、126…プリンタ、128…ネットワーク、130…モデム、132…公衆通信網、134…FAX装置、200…アプリケーション実行部、202…印刷要求元管理部、210…仮想プリンタドライバ、212…仮想プリント管理部、214…データ抽出部、216…仮想描画部、220…ジョブ蓄積部、230a〜230c…作業空間、232…印刷設定データ、234a〜234c…ジョブ管理リスト、240a〜240c…発送処理部、242…出力条件制御部、244…印刷指示部、246…対応付けテーブル、248…表示部、250a〜250c…リモートドライバ、260…情報通信部、262…情報格納部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0117】
【特許文献1】特開2011−002881号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力先を選択し、選択した出力先に印刷指示して印刷を実行させるデータ処理装置であって、
ジョブデータの受信に応答して、前記ジョブデータからイメージデータを生成するとともに、該ジョブデータから印刷設定情報を抽出する仮想プリンタドライバ手段と、
出力先に関する情報として入力された出力先情報を受信する情報通信手段と、
出力先および出力内容の変更情報を出力条件と対応付けた対応付けデータを参照して、前記ジョブデータに含まれる該ジョブデータの送信元を識別するための送信元識別情報、前記印刷設定情報および前記出力先情報が合致する前記出力条件を検索し、該出力条件に対応する1以上の前記出力先を選択するとともに、対応する1以上の前記変更情報を基に前記イメージデータおよび前記印刷設定情報の内容を書き換える出力条件制御手段と、
書き換えられた前記イメージデータおよび前記印刷設定情報を用いて印刷を実行するように、選択された前記1以上の出力先に対し印刷指示する印刷指示手段とを含む、データ処理装置。
【請求項2】
前記対応付けデータは、第1対応付けデータと、第2対応付けデータとから構成され、
前記出力条件制御手段は、前記第1対応付けデータを参照して、前記送信元識別情報および前記印刷設定情報が合致する第1出力条件を検索し、前記第1出力条件に対応する1以上の出力先を第1出力先として選択し、前記第2対応付けデータを参照して、前記出力先情報が合致する第2出力条件を検索し、前記第2出力条件に対応する1以上の出力先を第2出力先として選択し、前記第1出力先と前記第2出力先とが異なる場合、前記第2出力先を印刷指示すべき出力先として選択する、請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記出力先情報は、出力先の印刷装置が給紙可能な最大用紙サイズおよび機能に関する情報を含む、請求項1または2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記出力先情報は、前記出力先の印刷装置を入れ替えた旨の情報を含み、
前記データ処理装置は、前記印刷指示手段が印刷指示するために選択される入れ替え前の印刷装置に対応するプリンタドライバを、前記出力先情報の受信に応答して、入れ替え後の印刷装置に対応するプリンタドライバへ入れ替える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記出力先情報は、出力先の印刷装置が利用できない旨の情報と、FAX装置のFAX番号とを含み、
前記出力条件制御手段は、前記出力先情報に対応した前記出力先の印刷装置が利用不可であっても、前記FAX番号が入力されている場合、前記FAX装置を選択し、前記印刷指示手段は、選択した前記FAX装置に対し印刷出力させるように指示する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記出力先情報は、出力先の印刷装置が利用できない旨の情報と、前記印刷装置が設置されている拠点に近隣する1以上の拠点の情報とを含み、
前記出力条件制御手段は、前記出力先情報に対応した前記出力先の印刷装置が利用不可であっても、近隣する前記1以上の拠点から少なくとも1つの拠点を選択し、前記印刷指示手段は、選択された前記拠点にある出力先に対し印刷指示する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記出力先情報は、通信回線の帯域に関する情報を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記出力先情報は、通信回線の帯域に関する情報と、出力先の印刷装置が設置されている拠点に近隣する1以上の拠点の情報とを含み、
前記出力条件制御手段は、前記出力先情報に対応した前記出力先の印刷装置と通信を行う通信回線の帯域が狭くなった場合であっても、近隣する前記1以上の拠点から少なくとも1つの拠点を選択し、前記印刷指示手段は、選択された前記拠点にある出力先に対し印刷指示する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記印刷指示手段は、前記出力条件制御手段が選択した前記出力先に近隣する拠点にある出力先に対し印刷指示した場合、該出力条件制御手段が選択した前記出力先がある拠点へ送付する旨を記述したカバーページを印刷するように指示する、請求項6または8に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記出力先情報は、連絡先に関する情報と、連絡方法とをさらに含み、
前記データ処理装置は、前記出力条件制御手段が選択した前記出力先に近隣する拠点にある出力先に対し印刷指示した場合、該出力先に近隣する拠点にある出力先に対し印刷指示した旨を通知する通知手段をさらに含む、請求項6または8に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のデータ処理装置と、前記データ処理装置とネットワークを介して接続され、ジョブデータを送信する送信元となる1以上のコンピュータ端末および出力先となる1以上の印刷装置とを含む、印刷システム。
【請求項12】
前記コンピュータ端末は、前記データ処理装置の情報通信手段から出力先情報を入力するための入力画面を取得して提示し、前記入力画面に入力された前記出力先情報を前記情報通信手段へ送信する、請求項11に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記コンピュータ端末は、同じ拠点にある前記印刷装置のプリンタサーバとして機能し、該印刷装置の状態および該印刷装置との通信状態を監視する、請求項11または12に記載の印刷システム。
【請求項14】
データ処理装置により出力先を選択し、選択した出力先に印刷指示して印刷を実行させるデータ処理方法であって、
ジョブデータの受信に応答して、前記ジョブデータからイメージデータを生成するとともに、該ジョブデータから印刷設定情報を抽出するステップと、
出力先に関する情報として入力された出力先情報を受信するステップと、
出力先および出力内容の変更情報を出力条件と対応付けた対応付けデータを参照して、前記ジョブデータに含まれる該ジョブデータの送信元を識別するための送信元識別情報、前記印刷設定情報および前記出力先情報が合致する前記出力条件を検索し、該出力条件に対応する1以上の前記出力先を選択するとともに、対応する1以上の前記変更情報を基に前記イメージデータおよび前記印刷設定情報の内容を書き換えるステップと、
書き換えられた前記イメージデータおよび前記印刷設定情報を用いて印刷を実行するように、選択された前記1以上の出力先に対し印刷指示するステップとを含む、データ処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載のデータ処理方法を実行するためのコンピュータ可読なプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−54638(P2013−54638A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193702(P2011−193702)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】