説明

データ処理装置およびデータ処理方法

【課題】表計算ソフトのように、情報を項目単位で処理するためのアプリケーションソフトウェアにおけるユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】授業評価装置は、生徒の所属や成績に関し、複数の項目について設定された属性値の集合をレコードデータとして処理する。各生徒のレコードデータは表形式のデータテーブルとして表示される。項目選択欄292において指定された項目に対応する属性値が集約処理の対象となる。集約条件設定欄294にて設定される集約条件にしたがって、指定された項目に対応する属性値の種類がより少ない種類の属性値に集約される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表形式にてデータを表示するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの普及とネットワーク技術の進展に伴い、ネットワークを介した電子情報の交換が盛んになっている。これにより、従来においては紙ベースで行われていた事務処理の多くが、ネットワークベースの処理に置き換えられつつある。デジタル化とネットワーク技術の進展は、情報取得コストを急激に低下させている。このような状況において、大量の情報の中から必要な情報を検索して解析するための技術が待望されている。
【特許文献1】特開2004−252632号公報
【特許文献2】特開2003−18324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
大量の情報を処理するための優れたユーザインタフェースとして、表計算ソフト(Spread Sheet Software)とよばれるアプリケーションソフトウェアが広く使われている。本発明者は、データを項目単位で処理する表計算ソフトのようなアプリケーションソフトウェアに対して簡単な機能を追加するだけで、ユーザの利便性をいっそう向上させることができると想到した。
【0004】
本発明の主たる目的は、データ表示のためのユーザインタフェースを向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、複数の項目のそれぞれに対して設定された属性値の集合であるレコードデータを処理するためのデータ処理装置である。
この装置は、複数種類のレコードデータを表形式のデータテーブルとして表示させ、ユーザが指定した項目に対応する各レコードデータの属性値のうち、集約対象となる複数の属性値を一つの統合属性値に集約させることによりデータテーブルの表示を更新させる。
【0006】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、データ表示におけるユーザインタフェースを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本実施例においては、授業評価システムを例とし、まず、授業評価システムの概要を述べてから、本発明の主たる特徴である「データの集約表示」について説明する。
【0009】
図1は、授業評価システムのハードウェア構成図である。
授業評価システム10は、大学のような教育機関への導入を想定した、生徒が授業内容を評価するためのシステムである。授業評価システム10は、教師と生徒によって利用されるシステムであり、授業に対する生徒の反応を授業内容にフィードバックさせるための仕組みを提供する。
【0010】
授業評価システム10は、授業評価装置100、メールサーバ202および複数のクライアント端末204を含む。これらは、インターネット200を介して互いに接続されている。授業評価装置100は、教師によって使用される(以下、授業評価装置100のユーザであることを明示する意味で、「教師」のことを「ユーザ」ともよぶことにする)。各クライアント端末204は、生徒によって使用される携帯電話やノートパソコンなど、メール送受信機能を搭載した一般的な通信端末である。
【0011】
まず、教師は講座の開設に際して、講座専用のメールアドレスを設定する(以下、「講座アドレス」とよぶ)。たとえば、「フランス語A」という計12回の授業からなる講座には、「fraA@xxx.co.jp」のように講座アドレスが設定される。フランス語Aの授業を受ける生徒は、その講座アドレスを介して授業評価装置100と電子メールを送受する。たとえば、生徒は授業に出席したときに、講座アドレスに対して出席を通知するための「出席メール」を送信する。メールサーバ202は、クライアント端末204から受信した出席メールを授業評価装置100に転送する。このメールサーバ202は、一般的な既知の装置でよい。授業評価装置100では、出席メールによって、どの講座にどの生徒が出席したかを自動的に集計する。
【0012】
このほかにも、生徒は、授業に対する感想を記述した感想メールを講座アドレスに送信する。授業評価装置100は、感想メールを自然言語解析して、生徒の授業に対する理解度や意欲を定量化する。たとえば、「やった」、「できた」、「してみたい」というあらかじめ定義された「意欲的な単語」を感想メールが多く含んでいる場合、生徒の理解度や学習意欲が高いと判定できる。このような自然言語解析の手法については、ベイジアンフィルタ法(Bayesian Filtering)など既知の方法が応用されればよい。
このように生徒の電子メールから得られるさまざまな情報は、授業内容の改善するための有用な情報として解析される。
【0013】
図2は、授業評価装置の機能ブロック図である。
ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0014】
授業評価装置100は、ユーザインタフェース処理部110、通信部120、データ処理部130およびデータ保持部150を含む。
ユーザインタフェース処理部110は、ユーザからの入力処理やユーザに対する情報表示のようなユーザインタフェース全般に関する処理を担当する。通信部120は、メールサーバ202を介してクライアント端末204との通信処理を担当する。データ処理部130は、ユーザインタフェース処理部110や通信部120から取得されたデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部130は、ユーザインタフェース処理部110および通信部120の間のインタフェースの役割も果たす。
データ保持部150は、予め用意された設定データや、データ処理部130から受け取った電子メールなど、さまざまなデータを格納する。通信部120は、メールの送受信を処理するメール送受信部122を含む。
【0015】
ユーザインタフェース処理部110は、表示部112と入力部118を含む。入力部118は、ユーザからの入力操作を受け付ける。表示部112は、ユーザに対して各種情報を表示する。表示部112は、更に、テーブル表示処理部114および集約表示処理部116を含む。テーブル表示処理部114は、後の図7等に示す表形式にて、各種データを表示する。集約表示処理部116は、後の図8等に示す画面にて、集約表示のための設定用ユーザインタフェースを提供し、テーブル表示処理部114が表示するデータの表示内容を更新させる。集約表示の詳細については、図7以降に関連して詳述する。
【0016】
データ保持部150は、メールデータ保持部152、生徒データ保持部154および授業データ保持部156を含む。
メールデータ保持部152は、生徒から受信した電子メールを保持する。生徒データ保持部154は、生徒データを保持する。生徒データとは、学部、年齢、性別、生徒番号など、生徒についてあらかじめ登録されているデータである。授業データ保持部156は、授業データを保持する。授業データとは、各講座ごとに、生徒の出席率、試験結果、授業に対する感想など、電子メールから得られた情報を元にして集計される授業に関連するデータである。
【0017】
データ処理部130は、メール処理部132と授業データ管理部138を含む。
メール処理部132は、電子メールを内容を解析する。メール処理部132は、分類部134および整合判定部136を含む。分類部134は、電子メールの内容に応じて分類する。すでに述べたように、生徒から受信する電子メールは、出席メールや感想メールなどさまざまである。分類部134は、電子メールを内容に応じて分類する。たとえば、「件名」に「出席」という単語が含まれている電子メールは出席メールであるという条件のように、所定の分類条件にしたがって分類する。
【0018】
整合判定部136は、受信された電子メールが処理対象として有効なメールであるかを判定する。たとえば、授業の開始前に受信された出席メールは有効ではないといえる。整合判定部136は、受信された電子メールの有効性を所定の整合条件にしたがって判定する。有効でない電子メールは解析対象外とされる。
【0019】
授業データ管理部138は、講座に関するデータを授業ごとに授業データとして管理する。たとえば、試験の平均点や、感想メールから解析される生徒の理解度、授業計画などのようなさまざまなデータが授業データとして管理対象となる。授業データ管理部138は、生徒管理部140と設定部142を含む。生徒管理部140は、生徒の授業に対する理解度や出席率など生徒の学習状態を管理する。設定部142は、整合判定部136や分類部134の条件のような電子メールの解析に関する各種条件を設定する。
【0020】
図3は、授業評価装置のメニュー画面の画面図である。
教師であるユーザが授業評価装置100にログインしたときには、まず、このメニュー画面210が表示される。講座選択領域212は、現在開設されている講座を一覧表示する。ここでは、「フランス語A2005」、「フランス語B2005」および「フランス語C2005」という3つの講座が開設されている。同図においては、「フランス語A2005」が選択されている。
【0021】
メニューボタン群214に含まれるいずれかのボタンが選択されると、講座選択領域212で選択された講座についての各種授業データにアクセスする画面が表示される。出席簿ボタン216は、生徒の出席状況を表示させるためのボタンである。提出物管理ボタン220は、宿題などの提出状況を表示させるためのボタンである。試験結果ボタン222は、試験結果を一覧表示させるためのボタンである。整合性チェックボタン224は、整合条件を設定するための画面を表示させるボタンである。カルテボタン226は、生徒の授業態度や成績に関する情報を「カルテ」として表示させるためのボタンである。通知ボタン228は、休講通知などのように授業に関する連絡事項を通知するための画面を表示させるボタンである。投票ボタン230は、生徒の意見を募るための画面を表示させるためのボタンである。
【0022】
ここでは、授業評価装置100の基本的な機能の説明にとどめるため、メニューボタン群214のボタン群のうちの出席簿ボタン216、感想受付ボタン218および試験結果ボタン222が選択されたときにそれぞれ表示される出席簿画面240、感想受付画面250および試験結果画面260について説明する。そして、生徒の試験結果をデータテーブルとして表示する後述の試験結果表示画面270を対象として、「データの集約表示」について詳述することにする。
【0023】
図4は、出席簿画面の画面図である。
出席簿画面240は、図3のメニュー画面210において、出席簿ボタン216がクリックされたときに表示される。教師は、授業開始時に、その授業の合い言葉を生徒に示す。合い言葉は、教室で口頭で示されてもよい。授業に出席した生徒はこの合い言葉を入力して出席メールを講座アドレスに送信する。分類部134が出席メールを分類し、整合判定部136がその出席メールに正しい合い言葉が記述されているかを判定する。有効な出席メールであれば、授業データ管理部138は出席メールの送信元である生徒を正規の出席者として認定する。表示部112は、授業に出席している生徒名を出席簿画面240に表示する。
【0024】
合い言葉は、実際には出席していない生徒を出席扱いしないための仕組みである。出席管理のための変形例としては、クライアント端末204の位置に基づく出席管理方法が考えられる。たとえば、クライアント端末204がGPS(Global Positioning System)機能を搭載する場合、出席メールは、その送信時におけるクライアント端末204の位置情報を含んでもよい。整合判定部136は、この位置情報に基づいて、実際に教室にいる生徒からの出席メールであるかを判定する。クライアント端末204は、GPSのほかにも、接続した最寄りの基地局IDを位置情報として送信してもよい。
【0025】
授業選択領域242は、「フランス語A2005」講座の各授業に関する出席状況を表示する。同図によれば、この講座の授業は4回目であり、4回分の授業の出席率が一覧表示されている。授業選択領域242では、4回目の「Rの発音」というテーマの授業が選択されている。出欠状況表示領域244は、授業選択領域242で選択された4回目の授業に出席している生徒名を一覧表示させている。ここでは、講座に登録されている6人の生徒のうち、「竹治義克」を除く5名が授業に出席している。
授業評価装置100が出席メールを受け付けると、表示部112は自動的に出席簿画面240の内容が更新するため、出席簿画面240によって、教師は各生徒の出席状況をリアルタイムかつ正確に把握できる。
【0026】
図5は、感想受付画面の画面図である。
感想受付画面250は、図3のメニュー画面210において、感想受付ボタン218がクリックされたときに表示される。生徒は、授業がおわると、講座アドレス宛に感想メールを送信する。この感想メールによって、教師は、授業に対する生徒の反応を即座に知ることができる。授業選択領域252は、「フランス語A2005」講座の各授業に関する感想メールの受け付け状態を表示する。授業選択領域252では、4回目の授業が選択されている。感想一覧領域256は、授業選択領域252で選択された4回目の授業に対する生徒の感想を一覧表示させている。更に、感想表示領域254は、感想一覧領域256で選択された生徒「新井真由美」の感想が表示されている。
【0027】
ここで、教師が「質問」というキーワードを設定すると、感想メールの中に「質問」という単語が含まれている生徒には星印が付記されている。この機能によって、教師は、質問事項が含まれている感想メールを簡単に見つけることができる。
【0028】
図6は、試験結果画面の画面図である。
試験結果画面260は、図3のメニュー画面210において、試験結果ボタン222がクリックされたときに表示される。授業中に試験を行ったときには、ユーザはその採点結果をユーザインタフェース処理部110を介して入力する。生徒は、試験に対する解答を記載した解答メールを講座アドレス宛に送信してもよい。また、授業評価装置100が採点機能を備えてもよい。採点結果は、各生徒の試験の結果として試験結果画面260に表示される。
【0029】
試験選択領域262は、「フランス語A2005」講座に関する各試験の結果を表示する。同図によれば、過去5回試験が実施されている。試験選択領域262では、そのうち4回目の6月22日の試験結果が選択されている。試験結果一覧領域264は、試験選択領域262にて選択された4回目の試験に対する生徒の試験結果を一覧表示している。試験結果としては、得点、順位、前回の試験と比べた点数の変化などが表示対象となる。
【0030】
試験結果は、CSV(Comma Separated Values)形式のファイルとして保存することもできる。たとえば、生徒「石田英行」の場合、「得点」や「順位」などの各項目に対して、それぞれ「80(点)」、「2(位)」といったデータが属性値として設定される。授業データ管理部138は、あらかじめ定められたフォーマットにしたがって、生徒データや授業データからCSV形式の試験結果ファイルを生成する。テーブル表示処理部114は、この試験結果ファイルを表形式にて表示させる。
【0031】
図7は、試験結果表示画面の画面図である。
試験結果表示画面270は、テーブル表示処理部114が試験結果ファイルを表示させるときの画面である。同図は、「フランス語A2005」講座の2005年6月22日に実施された試験についての試験結果ファイルを表示されている。授業データ保持部156は、たとえば、生徒「新井真由美」のレコードデータとして、名前、学部、順位、・・・等の複数の項目に対する属性値の集合を保持している。試験結果ファイルは、複数の生徒についてのレコードデータを表形式に並べたCSVファイルである。テーブル表示処理部114は、各生徒のレコードデータについて、項目ごとに属性値を並べる形で試験結果ファイルを試験結果表示画面270に表示させる。
【0032】
氏名欄272は生徒の名前を示す。学部欄274は生徒の所属する学部を示す。得点欄276は生徒の得点、順位欄278は試験の順位、前回得点欄280は前回の得点をそれぞれ示す。出席率欄282は授業に対する出席率を示す。試験結果ファイルには、出席率のように試験に直接的には関連しない情報も、項目の一つとして設定されている。ここでは、生徒の成績と出席率の関係を確認するために、このような項目設定がなされている。返信文字数欄284は、「フランス語A2005」講座に対する感想メールの合計文字数を示す。文字数という情報も試験に直接的に関連する情報ではないが、文字数と試験結果との相関関係を見るために項目設定されている。ユーザは、入力部118を介して、試験結果ファイルの項目を自由に設定できる。試験結果ファイルは、ユーザの設定入力にしたがって授業データ管理部138によって生成される。
【0033】
試験結果表示画面270の得点欄276には1点単位で生徒の得点が表示されているが、必ずしも、そこまで細かい情報が必要であるとは限らない。実際、生徒の試験の出来を概観したいだけの場合、1点単位の得点表示はかえって可読性が悪くなる。このようなとき、ユーザは、各生徒の得点を、10点未満、10点〜19点、20点〜29点、・・・、90点〜99点、100点という具合に情報量を集約させてもよい。
【0034】
図8は、第1集約画面の画面図である。
まず、ユーザは、集約対象となる項目(以下、「集約項目」とよぶ)を選択する。集約とは、集約項目に対応する各レコードデータの属性値の種類をそれ以下の種類にまとめることである。たとえば、70点、71点、・・・、79点の10種類の得点を、70点台として1種類にまとめる場合が該当する。項目選択欄292は、集約項目を選択するための欄である。ここでは、得点欄276が集約項目として選択されている。集約条件設定欄294は、集約方法を設定するための領域である。ここでは、生徒の得点を、10点刻みで集約するという条件(以下、単に「集約条件」とよぶ)が設定されている。集約列設定欄296は、集約の結果として生成される列(以下、「集約列」とよぶ)が試験結果表示画面270において挿入されるべき位置を指定するための領域である。ここでは、得点欄276の列の前に挿入するよう指定されている。同図の設定によれば、得点欄276の属性値は10点刻みで集約されることになる。すなわち、0点〜100点までの101種類の属性値が、0点台、10点台、・・・、90点台、100点という、11種類の属性値に集約されることになる。
【0035】
図9は、図8の第1集約画面における設定に基づいて更新される試験結果表示画面の画面図である。
同図の試験結果表示画面270は、図7の試験結果表示画面270に集約項目欄300が追加されている。すなわち、集約項目欄300は、図8の第1集約画面290において設定された集約条件にしたがって新たに生成される集約列である。集約表示処理部116は、99点の「新井真由美」と90点の「佐藤春行」の2人の得点を、共に、「90点台」であるとして集約している。この「90点台」のように、集約条件にしたがって、集約された後の属性値のことを「統合属性値」とよぶ。これに対して、「90点」や「91点」のような元の属性値のことを「原属性値」とよぶことにする。
【0036】
こうして、集約表示処理部116は、各生徒の得点という多種類の原属性値をそれよりも少ない種類の統合属性値に集約し、新たに集約項目欄300を生成し、試験結果表示画面270を更新している。集約表示処理部116が、試験を受けていない「井ノ上夕紀」を除く7人の生徒の7種類の得点という原属性値を、4種類の統合属性値に集約させることにより、必要精度に応じた情報の集約が可能となる。そのため、試験結果表示画面270の可読性、いいかえれば、情報伝達力を高めることができる。加えて、集約表示処理部116は、同じ「90点台」に属する「新井真由美」と「佐藤春行」のそれぞれのレコードデータが表示上、隣り合わせになるように、レコードデータの並び順を変更している。このような処理により、情報の可読性をいっそう向上させている。
【0037】
なお、ここでは、集約項目欄300が新たな集約列として生成され、試験結果表示画面270に挿入されるとして説明したが、得点欄276が集約項目欄300に置換されてもよい。この場合、得点欄276の代わりに集約項目欄300が表示されることになる。
また、ユーザは表示対象となる項目と表示対象としない項目を適宜選択できる。たとえば、ユーザが返信文字数欄284を表示対象外として指定すると、試験結果ファイルには返信文字数欄284についての属性値が含まれているにもかかわらず、集約表示処理部116は、表示上は返信文字数欄284を表示させない。このような処理によれば、多数の項目を含むレコードデータであっても、所望の項目だけを表示対象とすることができる。これにより、試験結果表示画面270において、適宜必要な情報だけを簡易に表示対象として選択できる。
【0038】
本実施例における「集約」とは、得点のような数値型の原属性値を「70点台」のような範囲に応じた統合属性値に集約するだけではない。たとえば、属性値が日付型であれば、「2005年6月10日」から「3日ごと」のような集約条件によって日時範囲を指定することにより、原属性値を統合属性値に集約してもよい。
【0039】
集約条件は、そのほかにもさまざまな観点からいろいろな設定方法が考えられる。たとえば、「全生徒の平均点よりも高い」、「今回の得点が過去の自己平均点と比べて高い」などのように、他のデータとの関係から求められる統計情報を基準として集約条件が設定されてもよい。
更には、学部欄274のように数値ではなくテキスト情報を属性値とする項目であっても、集約条件を設定できる。これについて、次に説明する。
【0040】
図10は、第2集約画面の画面図である。
この第2集約画面310は、数値範囲による集約ではなく、ユーザが統合属性値を直接指定するときに表示される。項目選択欄314は集約項目を選択するための領域であり、同図においては、学部欄274が集約項目として選択されている。集約条件設定欄316は、集約条件を設定するための領域である。ここでは、「工学部」は「第2キャンパス」、「理学部、文学部、法学部、経済学部」は「本部キャンパス」に所在しているという前提をもとに、学部に対応する各原属性値を、キャンパス名という統合属性値に集約している。集約列設定欄312は、集約列の挿入位置を指定するための領域である。ここでは、新規作成ではなく学部欄274の列を集約列で置換するように設定されている。
【0041】
図11は、図10の第2集約画面における設定に基づいて更新される試験結果表示画面の画面図である。
同図の試験結果表示画面270は、図7の試験結果表示画面270の学部欄274が集約項目欄320に置き換えられている。すなわち、集約項目欄320は、図10の第2集約画面310において設定された集約条件にしたがって新たに生成される集約列である。同図に示すように、各生徒の所属する学部についての属性値が、各生徒が所属するキャンパス名という統合属性値に集約されている。
【0042】
このような学部とキャンパスの関係は、あらかじめ既定の集約条件として用意されてもよい。その場合、ユーザは学部欄274の属性値を原属性値として集約するよう指示するだけで、学部からキャンパスへの集約がなされることになる。もちろん、原属性値に対する統合属性値をユーザが任意に設定できてもよい。たとえば、「工学部」と「理学部」は「理系」として集約し、それ以外は「文系」として集約してもよい。このような集約機能によれば、さまざまなタイプの属性値をユーザが求める観点から集約することができる。
【0043】
更に付言すると、「新井真由美」は「工学部」でも「情報工学科」に属し、「佐藤春行」は「工学部」の「航空工学科」に属するかもしれない。第2集約画面310で「新井真由美」は「工学部・情報工学科」、「佐藤春行」は、「工学部・航空工学科」として変換の規則を設定することにより、集約とは反対に、情報を精緻化してもよい。また、「石田英行」と「佐藤春行」の出身地は、共に「大坂」であるかもしれない。この2人は、試験結果表示画面270に現れていない「出身地」という隠れた属性値について共通することから、出身地という新たな項目を設定できてもよい。
【0044】
以上、実施例に基づいて本発明を説明した。
本実施例に示した授業評価装置100によれば、授業評価システム10を運用する上で得られるさまざまなデータを、ユーザが求める精度で表示させることができる。本実施例においては、授業評価システム10を題材として集約機能を説明したが、本実施例で説明した集約機能は、授業評価システム10に限らず広く応用可能であることはいうまでもない。たとえば、製品名の場合、「シリーズ名+型名」として名付けられることが多いが、これを「シリーズ名」として集約することができる。また、「徳島」という情報は、「四国」という情報に集約できるし、あるいは、「西日本」、「日本」、「人口80万人以上の県」のようにさまざまな観点から集約できる。そのため、多種多様な情報の概要をユーザが掴みやすくなる。本実施例において特徴的な集約機能は、既存の表計算ソフトに対するプラグイン(Plug-In)として提供されてもよい。
【0045】
なお、請求項に記載のテーブル表示部の機能は、本実施例においては主として表示部112、特に、テーブル表示処理部114によって実現される。請求項に記載の集約設定部と統合属性値設定部や表示変換部の機能は、本実施例においては主として集約表示処理部116と入力部118の連係によって実現される。
これら請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、本実施例において示された各機能ブロックの単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0046】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】授業評価システムのハードウェア構成図である。
【図2】授業評価装置の機能ブロック図である。
【図3】授業評価装置のメニュー画面の画面図である。
【図4】出席簿画面の画面図である。
【図5】感想受付画面の画面図である。
【図6】試験結果画面の画面図である。
【図7】試験結果表示画面の画面図である。
【図8】第1集約画面の画面図である。
【図9】図8の第1集約画面における設定に基づいて更新される試験結果表示画面の画面図である。
【図10】第2集約画面の画面図である。
【図11】図10の第2集約画面における設定に基づいて更新される試験結果表示画面の画面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 授業評価システム、 100 授業評価装置、 110 ユーザインタフェース処理部、 112 表示部、 114 テーブル表示処理部、 116 集約表示処理部、 118 入力部、 120 通信部、 122 メール送受信部、 130 データ処理部、 132 メール処理部、 134 分類部、 136 整合判定部、 138 授業データ管理部、 140 生徒管理部、 142 設定部、 150 データ保持部、 152 メールデータ保持部、 154 生徒データ保持部、 156 授業データ保持部、 200 インターネット、 202 メールサーバ、 204 クライアント端末、 210 メニュー画面、 240 出席簿画面、 250 感想受付画面、 260 試験結果画面、 270 試験結果表示画面、 290 第1集約画面、 310 第2集約画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の項目のそれぞれに対して設定された属性値の集合であるレコードデータを複数種類保持するデータ保持部と、
保持されている複数種類のレコードデータを表形式のデータテーブルとして表示させるテーブル表示部と、
ユーザが指定した項目に対応する各レコードデータの属性値のうち、集約対象となる複数の属性値をユーザによる入力操作にしたがって指定する集約設定部と、
指定された前記複数の属性値を一つに集約した値としての統合属性値をユーザによる入力操作にしたがって設定する統合属性値設定部と、
集約対象として指定された前記複数の属性値を前記統合属性値に集約させることにより、前記データテーブルを更新表示させる表示変換部と、
を備えることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記表示変換部は、前記データテーブルを更新表示させるときに、前記統合属性値へ集約される属性値を含むレコードデータが隣り合うように、前記データテーブルにおけるレコードデータの並び順を変更することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記集約設定部は、集約対象となる属性値に共通する集約条件を設定するためのユーザによる入力操作を検出し、設定された集約条件により集約対象となる前記複数の属性値を特定することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
複数の項目のそれぞれに対して設定された属性値の集合であるレコードデータを処理するための方法であって、
複数種類のレコードデータを表形式のデータテーブルとして表示させるステップと、
ユーザが指定した項目に対応する各レコードデータの属性値のうち、集約対象となる複数の属性値をユーザによる入力操作にしたがって指定するステップと、
指定された前記複数の属性値を一つに集約した値としての統合属性値をユーザによる入力操作にしたがって設定するステップと、
集約対象として指定された前記複数の属性値を前記統合属性値に集約させることにより、前記データテーブルを更新表示させるステップと、
を備えることを特徴とするデータ処理方法。
【請求項5】
複数の項目のそれぞれに対して設定された属性値の集合であるレコードデータを処理するためのプログラムであって、複数種類のレコードデータが表形式のデータテーブルとして表示されたあとに、
ユーザが指定した項目に対応する各レコードデータの属性値のうち、集約対象となる複数の属性値をユーザによる入力操作にしたがって指定する機能と、
指定された前記複数の属性値を一つに集約した値としての統合属性値をユーザによる入力操作にしたがって設定する機能と、
集約対象として指定された前記複数の属性値を前記統合属性値に集約させることにより前記データテーブルを更新表示させる機能と、
をコンピュータに発揮させることを特徴とするデータ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−149014(P2007−149014A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345964(P2005−345964)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(390024350)株式会社ジャストシステム (123)