データ処理装置とその制御方法、及びプログラム
【課題】 装置内には複数のユーザによる多くのジョブが保持されている状態で、装置のパフォーマンスを落とさず、緊急時には、ジョブ中止ボタンを使って所望のジョブを即座に中止することが求められている。
【解決手段】 実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を保持し、ジョブの実行を中止する中止指示を受け付けた場合の、各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定する。そして中止指示を受け付けた場合、その設定された設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定する。
【解決手段】 実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を保持し、ジョブの実行を中止する中止指示を受け付けた場合の、各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定する。そして中止指示を受け付けた場合、その設定された設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置とそのデータ処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジョブ処理装置は、ユーザによって投入されたジョブをメモリに保存し、その保持されたジョブを装置の持つ動作仕様や、予め決められた優先順位に従って処理する。またタイマを使用して、そのタイマによる計時に従ってジョブを実行するものもある。このようなジョブ処理装置に投入したジョブをキャンセルする場合には、ユーザはジョブ処理装置の操作部を操作して、例えば、特許文献1に示されるような操作を行うことにより、投入したジョブのキャンセルを行っていた。具体的には、ユーザは、ジョブ処理装置に保持されているジョブの一覧を表示部に表示させ、その一覧表示されたジョブからキャンセルしたいジョブを選択して、キャンセルを指示するという操作を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−003004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のようなジョブのキャンセル方法は、ジョブ処理装置に保持されているジョブを一覧で確認してから、キャンセルしたいジョブだけを選択してキャンセルできるメリットがある。その一方で、特にジョブの数が多い場合に、例えばFAXの誤送信に代表されるような、情報セキュリティの観点から一刻も早く動作を中止したい場合、即座に該当するジョブを中止できないというデメリットがある。
【0005】
複合機に代表される画像入出力装置では、様々な機能を実現可能であるとともに、メモリやハードディスク等の記憶媒体の容量の増大に伴って、受け付け可能なジョブの数も増えている。更に、オフィスでは複数のユーザが装置を共有するため、装置内には複数のユーザによる多くのジョブが保持されることが多い。このような環境において、装置のパフォーマンスを落とさず、前述のような情報のセキュリティに対する関心の高まりからも、緊急時には、ジョブ中止ボタンを使って所望のジョブを即座に中止することが求められている。
【0006】
一方で、FAX受信ジョブを中止するとFAXの受信が中断されてしまい、送信者にデータの再送を依頼しなければならない事態が発生する。このように、ジョブの種類に応じて、すばやくジョブの実行を中断したい場合と、ジョブの実行が中断されては困る場合があるため、各種ジョブに応じた処理が必要となる。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決することである。
【0008】
本発明は、対象外のジョブのパフォーマンスを低下させずに、中止或いは一時停止させたいジョブを素早く一時停止或いは中止することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るデータ処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を保持する保持手段と、
ジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合の前記保持手段に保持された各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定して前記保持手段に保持させる設定手段と、
前記受付手段により前記中止指示を受け付けた場合、前記設定手段により設定された前記設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象外のジョブのパフォーマンスを低下させずに、中止或いは一時停止させたいジョブを素早く一時停止或いは中止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るジョブ処理装置である画像入出力装置と、この画像入出力装置に接続される外部装置を含むシステム構成図。
【図2】実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図。
【図3】画像入出力装置が受け付けたジョブを管理するジョブ管理テーブルの一例を示す図。
【図4】操作部7に表示されたジョブ管理テーブルの一例を示す図。
【図5】本実施形態に係る設定情報の一例を示す図。
【図6】本実施形態に係る画像入出力装置において、ジョブ中止ボタンが押下された場合の処理を説明するフローチャート。
【図7】図6のS601の処理を説明するフローチャート。
【図8】実施形態1に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャート。
【図9】実施形態に係るジョブリストの変更例を示す図。
【図10】実施形態2に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャート。
【図11】本発明の実施形態中で生成されるジョブ種毎の中止指示時のジョブの振る舞いとジョブリスト表示順の設定情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
図1は、実施形態に係るジョブ処理装置である画像入出力装置(データ処理装置)1と、この画像入出力装置1に接続される外部装置(PC)3,4を含むシステム構成図である。
【0014】
この画像入出力装置1は、イーサネット(登録商標)等のLAN(ローカルエリア・ネットワーク)107を介してホストコンピュータ(本実施形態では第1、第2のホストコンピュータPC3,PC4)に接続されている。画像入出力装置1は、画像データの読取り処理を行うリーダ部2と、画像データの出力処理を行うプリンタ部6と、画像データの入出力操作を行うキーボード、及び画像データや各種機能の表示などを行う液晶パネルを備えた操作部7を有している。更に、制御プログラムや画像データ等が予め書き込まれた記憶部であるハードディスク(HDD)8や、これら各構成要素に接続されて、これら構成要素を制御する制御部110を有している。操作部インタフェース106は、操作部7でユーザが入力した情報を制御部110に伝えると共に、操作部7の表示部に表示するデータを制御部110から受け取って操作部7に表示する。
【0015】
リーダ部2は、原稿を搬送する原稿給紙ユニット10と、原稿の画像を光学的に読み取って電気信号である画像データに変換するスキャナ部11とを有している。プリンタ部6は、用紙(シート)を収容する複数段の給紙カセットを備えた給紙ユニット12と画像データを用紙に転写、定着するマーキングユニット13とを有している。更に、印刷された用紙にソート処理やステイプル処理を施して、外部に排出する排紙ユニット14を有している。
【0016】
リーダ部2では、原稿給送ユニット10に積層された原稿がその積層順に従って、先頭から順次、原稿の片面或いは両面の読み取りを実行し、ビデオバス102を介して制御部110に画像データとして送信する。スキャナインタフェース101は、リーダ部2と制御部110との間のインタフェースを制御する。
【0017】
プリンタ部6では、マーキングユニット13にて制御部110からビデオバス104を介して供給された画像データに対応するレーザ光により静電潜像を形成し、給紙ユニット12から給紙される用紙に可視像を形成する。更に、排紙ユニット14は、排出された印刷済の用紙を束ねて用紙の仕分けを行い、また、仕分けされた用紙のステイプル処理等を行う。プリンタインタフェース105は、制御部とプリンタ部6との間のインタフェースを制御する。
【0018】
制御部110は、リーダ部2から供給される画像データをコードに変換し、LAN107を介してPC3或いはPC4に送信するスキャナ機能を実現している。またPC3或いはPC4からLAN107を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部6に出力するプリンタ機能、その他のFAX送受信機能等を実現するための機能ブロックを有している。
【0019】
図2は、実施形態に係る制御部110の構成を示すブロック図である。
【0020】
メインコントローラ201は、CPU202とバスコントローラ203と後述する各種コントローラ回路を含む機能ブロックとを内蔵すると共に、ROM204と接続され、またDRAM205と接続される。ROM36は、メインコントローラ201のCPU202で実行される各種制御プログラムや演算データを格納している。DRAM205は、CPU202が動作するための作業領域や画像データを蓄積するための領域として使用される。DRAM205はDMAコントローラ(DMAC)206と接続され、DMAC206は、画像処理部207及びCODEC208、スキャナI/F101、プリンタI/F105と接続されている。これにより、DRAM205に蓄積されるデータは各モジュールとDMAにより、高速にデータ転送を行うことができる。
【0021】
画像処理部207は、LUT(ルックアップテーブル)による画像の階調変換、色変換、或いはスムージング処理、細線補正処理等に代表される様々な画像処理を実現する機能ブロックである。しかし本実施形態には直接関係しないので詳細な画像処理機能の説明は省略する。CODEC208は、DRAM205に蓄積されたラスターイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の周知の圧縮方式で圧縮し、また圧縮されたデータをラスターイメージに伸張する機能を持つ。スキャナI/F101は前述のビデオバス102と接続され、スキャナユニット11からの画像を受信する機能を有する。またプリンタI/F105は、ビデオバス104と接続されマーキングユニット13に対して画像を送信する機能を持つ。
【0022】
ネットワークコントローラ209は、LAN107との間で所定の制御動作を行う。FAX送受信部210は、公衆FAX回線と接続され、G3FAXに代表されるFAXの送受信プロトコルを用いて画像データの送受信を行う。I/O制御部211は、リーダ部2やプリンタ部6との間で制御コマンドを送受信するための調歩同期式のシリアル通信コントローラ212が2チャンネル装備されている。そしてシリアル通信コントローラ212は、スキャナ・コマンドI/F213及びプリンタ・コマンドI/F214に接続されている。
【0023】
CPU202は、ROM204から読み込まれた制御プログラムに基づいて動作し、例えば、PC3或いはPC4から受信したPDL(ページ記述言語)データを解釈し、ラスターイメージデータに展開処理を行うことが可能である。更に、メインコントローラ201は、機器内で管理する日付と時刻を更新/保存するリアルタイムクロックモジュール215を持つ。尚、リアルタイムクロックモジュール215は、バックアップ用電池216に接続され、制御部110の電源がオフ状態であってもバックアップされている。
【0024】
I/O制御部211は操作部7に接続されており、ROM204及びハードディスク8に保存されている画面情報を操作部7の表示部に表示させる、或いはCPU202の制御プログラムにより操作部7への表示データを作成することが可能である。
【0025】
画像入出力装置1は、前述の様な構成を用いて、操作部7或いはLAN107上のPC3,PC4からの入力データやFAX回線からの受信等をトリガに、様々な画像の送受信の処理の要求をジョブとして受付けることが可能である。こうして受け付けたジョブの要求は、DRAM205やハードディスク8に、その処理情報や画像データとともに保持されて管理される。LCDコントローラ217は、操作部7の液晶表示部への表示を制御する。
【0026】
画像入出力装置1で処理可能なジョブの種類(ジョブ種)は、例えば、以下のように分類して管理される。
【0027】
画像入力を行うジョブとして、スキャン入力、FAX受信、ネットワーク受信、PDL入力(PC等からのPDLデータの受信)の4種類、画像出力ジョブのジョブとしては、プリント出力、FAX送信、ネットワーク送信の3種類がある。
【0028】
これらのジョブは、CPU202により管理されることにより、複数種類のジョブを同時に受け付けることが可能である。例えばスキャンした画像をFAX送信しながら、PDL入力を行い、PDL入力されたものから遂次印刷するといったような形で、同時に複数のジョブを実行することが可能である。また、例えば2つの印刷ジョブが同時に要求された場合は、一度に2つのジョブの印刷は実行できない。しかし、いずれか一方のジョブをDRAM205やハードディスク8の記憶領域に、そのジョブの実行要求や、必要とされる画像データを蓄積することで、先行したジョブの終了後に、後続のジョブを実行することが可能である。
【0029】
[実施形態1]
図3は、画像入出力装置1が受け付けたジョブを管理するジョブ管理テーブルの一例を示す図である。このジョブ管理テーブルは、ハードディスク8に記憶されている。
【0030】
ここで管理されるジョブ情報としては、ユニークなジョブの受付番号である「ジョブID」、そのジョブの要求を受け付けた日時「ジョブ受付時刻」、そのジョブの実行を要求したユーザ名を表す「User」が含まれる。更に、ジョブの種類を表す「ジョブ種」、またそのジョブが入力ジョブか出力ジョブかを表す「入力/出力」、そのジョブの実行状態を表す「状態」がある。
【0031】
実施形態1に係る画像入出力装置1では、前述のように実行対象である複数のジョブを保持できる。このように複数のジョブを保持している状態で、要求を受け付けたジョブをキャンセルする際は、ユーザは画像入出力装置1の操作部7からジョブの中止ボタンを押下することでジョブの中止を要求する。
【0032】
図4は、操作部7に表示されたジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【0033】
図4では、この画像入出力装置1で保持しているジョブのリストを表示しており、その詳細は後述する。401はスタートボタン、402はジョブ中止ボタンであり、ユーザはジョブの中止或いは一時停止時にはこのボタン402を押下することで、ジョブのキャンセル或いはジョブの一時停止を指示できる。一時停止されたジョブは、後に、ユーザの指示によって再開できる。例えば、一時停止されたジョブがユーザによって選択され、スタートボタン401が押された場合に、選択された一時停止中のジョブは再開される。キャンセルボタン403は、ジョブのリストの中の選択されたジョブの実行をキャンセルするのに使用される。またクローズボタン404は、表示しているジョブのリストを閉じるのに使用される。
【0034】
次に、本実施形態1に係る、ジョブを中止するときの画像入出力装置1の動作を図6〜図8のフローチャートと、図3、図4のジョブリストの表示例、図9に示すジョブリストの変更例を用いて以下に具体的に本実施形態1を説明する。
【0035】
本実施形態1に係る画像入出力装置1は、前述のように複数種類のジョブを保持することが可能である。また画像入出力装置1では、ジョブの中止指示を受けた際に、ジョブの種類毎に、予め中止指示を受けた際のジョブの振る舞い(処理方法)を操作部7より設定あるいは変更することが可能である。こうして設定された情報は、ジョブの中止指示時の振る舞いを決める設定情報としてハードディスク8に保存される。図4では、この設定情報「設定」の一例として、「継続」、「停止」が示されている。
【0036】
図5は、本実施形態1に係る設定情報の一例を示す図である。ここでは、ジョブの中止ボタン402が押下された際の、ジョブ種毎の処理の振る舞いを設定している。
【0037】
図5の例では、スキャン入力、FAX受信、ネットワーク受信、PDL入力、プリント出力、FAX送信、ネットワーク送信のそれぞれのジョブ種に対して、「継続」、「停止」、「中止」を独立に設定している。
【0038】
「継続」は、ジョブ中止ボタン402が押下された場合でも、そのジョブを一時停止、或いは中止せずに動作し続けることを意味する。例えば、画像入出力装置1のスキャン入力やFAX受信、ネットワーク受信等のジョブは、セキュリティの観点からは即座に一時停止或いは中止する必要がないので、デフォルト設定は「継続」と設定される。
【0039】
「停止」は、ジョブ中止ボタン402が押下された場合に、ジョブを中止せずに一時停止することを意味しており、ここでは再開が可能な状態で一時停止することを意味する。例えばFAX送信やFAX受信等は、回線を接続したままジョブを一時停止状態とすることはできないので、ジョブの種類によっては一時停止を選択することはできない。
【0040】
「中止」は、ジョブ中止ボタン402が押下された場合に、できるだけ早くジョブの動作を中止するものであり、中止後の再開はできない。
【0041】
このように事前に、ジョブ種類に応じた中止ボタン402の押下時のジョブの振る舞いを設定した設定情報を定めておく。次に、実際に画像入出力装置1の操作部7においてジョブ中止ボタン402が押下された場合の動作を説明する。
【0042】
図6は、本実施形態1に係る画像入出力装置1において、ジョブ中止ボタン402が押下された場合の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM204に記憶されており、CPU202の制御の下に実行される。
【0043】
まずS601で、DRAM205或いはハードディスク8に保持されているジョブの情報を参照し、図5に示すようなジョブ中止指示時の振る舞い設定情報に応じて、ジョブの種類に応じた「継続」、「停止」、「中止」の制御を行う。このS601の具体的な動作については図7のフローチャートを使用して後述する。
【0044】
次にCPU202は、S601でジョブの一時停止或いは中止の制御を行った後にS602に進み、DRAM205或いはハードディスク8に保持されるジョブの情報を一覧として操作部7に表示するための表示用ジョブリストを作成する。ここでは、S601で中止されず、「停止」或いは「継続」となったジョブの一覧を表示する。これによりユーザは、画像入出力装置1に残っているジョブを確認し、更に中止、継続、一時停止の処理を素早く行うことが可能となる。このS602の処理の詳細は図8のフローチャートを参照して後述する。次にS603に進み、S602で作成したジョブのリストを操作部7の表示部に表示する。この詳細については後述する。
【0045】
次に図7のフローチャートと、図9のジョブリストの変更例を示す図を参照して、前述のS601で実施する実行中ジョブの一時停止或いは中止処理について説明する。
【0046】
図7は、図6のS601の処理を説明するフローチャートで、この処理を実行するプログラムはROM204に記憶されており、CPU202の制御の下に実行される。
【0047】
この処理は、CPU202が、操作部7のジョブ中止ボタン402が押下されたことをパネルI/F106を介して検知することにより開始される。まずS701で、CPU202は、ハードディスク8に保存されている図3に示すようなジョブリストの情報と、図5に示すような、ジョブの中止が指示された時の振る舞い設定情報とを参照する。そしてジョブリストで、ジョブの中止が指示された時の振る舞い設定情報で「中止」に設定されているジョブ種が存在するかを確認する。
【0048】
図5の例では、ジョブ種が「ネットワーク送信」であるジョブが「中止」に設定されているため、図3のジョブリストからジョブIDが「1」及び「8」である「ネットワーク送信」が中止の対象となる。「中止」に設定されているジョブ種がジョブリストに含まれている場合はS702に進み、ジョブIDが「1」及び「8」である「ネットワーク送信」のジョブを中止する。こうしてジョブの実行を中止した場合は、ジョブリストのジョブの状態を「中止」に書き換える(図9参照)。
【0049】
S701で、「中止」に設定されているジョブがないか、或いはS702でジョブの中止処理を終えるとS703に進む。S703でCPU202は、S701と同様に、ハードディスク8に保存管理されている図3に示されるようなジョブリストのジョブ種の情報と、図5の設定情報とを参照する。そしてジョブリストにジョブの中止指示時の振る舞い設定情報で「停止」に設定されているジョブ種が存在するかを確認する。
【0050】
図5の例では、ジョブ種が「プリント出力」のジョブが「停止」に設定されているためS704に進み、図3のジョブリストから、ジョブIDが「7」の「プリント出力」を一時停止に設定する。こうしてジョブを一時停止した際には、ジョブリストのジョブIDが「7」のジョブの状態を「停止」に書き換える(図9参照)。
【0051】
S703で一時停止対象のジョブがないか、或いはS704でジョブの一時停止処理を終えた後、CPU202はジョブの一時停止と中止の処理を終了する。こうしてCPU202は、図6のフローチャートでS601の処理を終えるとS602に処理を移行する。
【0052】
この図7の処理により、ジョブリストで、設定情報が「中止」に設定されているジョブ種は、その実行が中止され、設定情報が「停止」に設定されているジョブ種は、その実行が一時停止される。
【0053】
次に図8のフローチャートを参照して、S602の表示用ジョブリストの作成処理の詳細を説明する。
【0054】
図8は、実施形態1に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャートである。
【0055】
まずS801で、CPU202は図9に示されるジョブリストを確認する。図6のS601で中止或いは一時停止されたジョブは、その状態が書き換えられ図9に例示するジョブリストとなる。S801でCPU202は、ジョブリストの先頭から実行中或いは待機中のジョブがあるかを確認する。実行中或いは待機中のジョブがあればS802に進み、CPU202は、実行中或いは待機中のジョブと判定されたジョブが画像出力ジョブかどうかを判定する。画像出力ジョブであればS803に進んで、そのジョブをリストのグループ1に登録し、画像出力ジョブではないジョブの場合はS804に進み、そのジョブをグループ3に登録する。
【0056】
この登録処理は、ジョブリストの情報をコピーするもので図3に示すようなジョブリストと同等のジョブ情報を、グループ1から4までに分けて作成し、該当するジョブの情報のみをコピーする。こうしてS803或いはS804を実行するとCPU202は処理をS801に戻し、次のIDのジョブについて同様に処理を繰り返す。
【0057】
一方S801で、実行中或いは待機中のジョブでないときはS805に進み、該当ジョブが一時停止中のジョブか否かを判定する。一時停止中のジョブである場合は処理をS806に進み、そうでない場合には処理をS809に進める。S806では、一時停止中のジョブと判定されたジョブが画像出力ジョブかどうかを判定する。画像出力ジョブの場合はS807に進み、そのジョブをリストのグループ2に登録する。一方、画像出力ジョブではないジョブの場合はS808に進み、そのジョブをグループ4に登録する。こうしてS807或いはS808を実行するとCPU202は処理をS801に戻し、次のIDのジョブについて同様に処理を繰り返す。
【0058】
S809では、リストの最終ジョブまでグループの登録処理が完了したかを判定し、グループの登録処理が完了すると、この表示用ジョブリストの作成処理を終了し、そうでないときはS801に進んで、次のIDのジョブについて同様に処理を繰り返す。
【0059】
こうして図8のフローチャートで示す処理が終了すると、表示用ジョブリストとして、グループ1からグループ4までにグループ分けされたジョブのリストが作成される。
【0060】
CPU202は、図6のS603で、こうして作成された表示用ジョブリストをグループ1から順に操作部7に表示する。これによりユーザは、操作部7に表示された表示用ジョブリストから、所望のジョブを選択して、そのジョブの中止を指示することが可能である。
【0061】
このとき操作部7には、図4に示すように、グループ分けを反映させた状態で、グループ1から順にジョブのリストが表示される。即ち、図4では、FAX送信のような、ジョブを一時停止させたくても「停止」状態にできず、かつジョブを中止させたい優先度の高いジョブ種がグループ1として最上位に表示されている。その次に、ジョブを一時停止できる「ネットワーク送信」や「プリント出力」のようなジョブ種がグループ2として、グループ1に続いて表示されている。そしてジョブを迅速に中止する必要性の少ない「スキャン入力」「FAX受信」「PDL入力」等のジョブは、グループ3として最下位に表示されている。
【0062】
これにより、複数のジョブ種のジョブが1つのリストとして表示されるため、ユーザは、異なる種類のジョブの中から任意の種類のジョブを、別のリストの表示要求をせずとも、すばやく見つけることができる。また、異なるジョブ種のジョブは、設定された優先度に従って表示されるため、ユーザは、ジョブを中止或いは停止させたいとき、その中止或いは一時停止させたいジョブをすばやく見つけて、そのジョブを一時停止させることができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態1によれば、画像入出力装置1において、ユーザはジョブの中止ボタンの押下時のジョブの振る舞いを予めジョブ種毎に事前に設定できる。これにより、ジョブの中止や一時停止が必要になった場合、事前に設定されたユーザの使用形態に合わせて、所望のジョブの実行を即座に中止、或いは一時停止させることができる。この際、中止に設定されているジョブ以外のジョブの実行は中止されないため、ジョブの実行パフォーマンスを低下させることが無くなる。
【0064】
また、ユーザから中止もしくは一時停止の指示があった際に、出力ジョブから優先的に配列したジョブリストを表示するため、例えば情報の漏洩が発生すると思われるジョブ等を早急に特定し、そのジョブの実行を中止或いは一時停止することが可能となる。
【0065】
[実施形態2]
前述の実施形態1では、ジョブ種によって、ユーザからの中止要求時のジョブの振る舞いを予め設定するとともに、中止要求時にジョブ種と画像出力ジョブか画像入力ジョブかのグループにより、リスト上のジョブの表示順を決定する処理について説明した。
【0066】
これに対して本実施形態2では、ジョブの中止時に表示するジョブのリストの順番について更に、ユーザの指定によりジョブ種によりジョブリストに表示される順番を設定し、表示する方法について説明する。尚、実施形態2に係る画像入出力装置1のハードウェア構成は、前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
この実施形態2でも実施形態1と同様に、ユーザは予め、中止指示を受けた際に、ジョブの種類毎に、中止指示を受けた際のジョブの振る舞いを、予め操作部7より設定することが可能である。この設定された情報は、ジョブの中止が指示された時の振る舞い設定情報としてハードディスク8に保存される。本実施形態2では、ジョブ種毎の振る舞いの設定に加えて、中止指示を受けた際に操作部7に表示するジョブの表示順序をジョブ種に応じて設定可能とする。この設定は、例えば図5の「ジョブリスト表示順」に示されるような形で、各ジョブ種に対して、ジョブの表示順序を設定するものである。
【0068】
図6のS601及び図7のフローチャートで説明されるジョブの中止及び一時停止の処理については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0069】
図6のS602における表示用ジョブリスト作成の処理を、本実施形態2では図10のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
図10は、実施形態2に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャートである。
【0071】
まずCPU202は、S1001において、図5に示されるようなジョブの中止が指示された時のジョブの振る舞い設定情報と、図3に示されるようなジョブリストの内容を確認する。ジョブリストの先頭からジョブ種を確認し、該当するジョブ種がジョブ中止指示時のジョブの振る舞い設定情報でジョブリストでの表示順として設定されている整数値(n)を確認し、その整数値のジョブリストのグループ、即ちグループnに登録する。次にS1002に進み、リストの最終ジョブかどうかを判定し、ジョブリストの全てのジョブについてS1001でグループnに登録されると処理を終了する。
【0072】
こうしてCPU202は、図6のS603で、S602で作成されたジョブのリストをグループ1から順に操作部7に表示する。これによりユーザは、操作部7に表示された表示用ジョブリストからジョブを選択してジョブの中止を指示することができる。このとき操作部7には、予めユーザがジョブ種によって設定している表示順に従って、グループ1を先頭にジョブのリストが表示される。
【0073】
以上説明したように本実施形態2によれば、画像入出力装置1においてユーザはジョブの中止ボタンが押下された時のジョブの振る舞いを、予めジョブ種毎に設定できる。これにより、ジョブの中止や一時停止が必要になった場合であっても、事前の設定により、中止するジョブ以外のジョブの実行パフォーマンスを低下させることなく、所望のジョブの実行を中止或いは一時停止させることができる。
【0074】
また、ユーザから中止もしくは一時停止の指示があった際に、ジョブの実行が継続中の出力ジョブから順番に操作部7にジョブリストを表示できる。これにより、例えば情報の漏洩が発生すると思われる出力ジョブを早急に特定し、そのジョブの実行を中止或いは一時停止することが可能となる。
【0075】
[実施形態3]
前述の実施形態1,2では、ジョブ種によって、ユーザからの中止要求時のジョブの振る舞いを予め設定し、ジョブ種によって表示順を決定し、中止ボタンの押下時にジョブの中止、一時停止を行うとともにジョブの状況を示すジョブリストを表示した。本実施形態3では、ジョブの中止時にジョブリストを表示した後にジョブを再開する手順について説明する。尚、実施形態3に係る画像入出力装置1のハードウェア構成は、前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0076】
実施形態1及び実施形態2で、画像入出力装置1は図4に示されるようなジョブリストを表示した状態となる。この際、中止設定がされていたジョブ種のジョブは既に中止されており、停止設定されたジョブは、一時停止されたままの状態にある。ここでユーザは、ジョブリストが表示されている状態でジョブを選択し、ジョブを中止した場合に他の一時停止ジョブを再開するか否かについて、予め操作部7上から設定することが可能である。この設定はハードディスク8に保存される。
【0077】
この後の動作は図11のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
図11は、実施形態3に係るジョブの再開処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM204に記憶されており、CPU202の制御の下に実行される。
【0079】
CPU202はまずS1101で、前述のように表示用のジョブリストを表示している状態でジョブを選択し、あるジョブの実行を中止した場合に、他の一時停止中のジョブを再開するか否かの設定がされているかをハードディスク8の情報を基に判定する。設定がされている場合は処理をS1102へ進み、設定がされていない場合には処理をS1104に進める。例えば、図4の状態で、ユーザは表示されているジョブリストからジョブを選択し、キャンセルボタン403を押すことで、その選択したジョブを中止させることができる。S1102では、CPU202は、キャンセルボタン403によりジョブの実行を中止するように指示されたかどうかを判定し、中止するように指示された場合には処理をS1103に進む。S1103では、一時停止中のジョブを全て再開し、表示用ジョブリストの表示も終了する。
【0080】
一方、S1102でキャンセルボタン403が押下されないとき或いはS1101の判定がNOの場合はS1104に進み、CPU202は表示用のジョブリストの表示が閉じられたかどうかを判定する。ユーザは図4のクローズボタン404を押下することで表示用のジョブリストを閉じることができる。ジョブリストの表示が閉じられた場合は処理をS1103に進み、一時停止中のジョブを全て再開し、表示用ジョブリストの表示も終了する。一方、S1104で、クローズボタン404が押下されないときは処理をS1101に戻して、ジョブの再開指示が行われるか否かを引き続き判定する。
【0081】
このように本実施形態3によれば、実施形態1或いは2で一時停止されたジョブの再開を、ユーザの手を大きく煩わすことなく実行できる。
【0082】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置とそのデータ処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジョブ処理装置は、ユーザによって投入されたジョブをメモリに保存し、その保持されたジョブを装置の持つ動作仕様や、予め決められた優先順位に従って処理する。またタイマを使用して、そのタイマによる計時に従ってジョブを実行するものもある。このようなジョブ処理装置に投入したジョブをキャンセルする場合には、ユーザはジョブ処理装置の操作部を操作して、例えば、特許文献1に示されるような操作を行うことにより、投入したジョブのキャンセルを行っていた。具体的には、ユーザは、ジョブ処理装置に保持されているジョブの一覧を表示部に表示させ、その一覧表示されたジョブからキャンセルしたいジョブを選択して、キャンセルを指示するという操作を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−003004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のようなジョブのキャンセル方法は、ジョブ処理装置に保持されているジョブを一覧で確認してから、キャンセルしたいジョブだけを選択してキャンセルできるメリットがある。その一方で、特にジョブの数が多い場合に、例えばFAXの誤送信に代表されるような、情報セキュリティの観点から一刻も早く動作を中止したい場合、即座に該当するジョブを中止できないというデメリットがある。
【0005】
複合機に代表される画像入出力装置では、様々な機能を実現可能であるとともに、メモリやハードディスク等の記憶媒体の容量の増大に伴って、受け付け可能なジョブの数も増えている。更に、オフィスでは複数のユーザが装置を共有するため、装置内には複数のユーザによる多くのジョブが保持されることが多い。このような環境において、装置のパフォーマンスを落とさず、前述のような情報のセキュリティに対する関心の高まりからも、緊急時には、ジョブ中止ボタンを使って所望のジョブを即座に中止することが求められている。
【0006】
一方で、FAX受信ジョブを中止するとFAXの受信が中断されてしまい、送信者にデータの再送を依頼しなければならない事態が発生する。このように、ジョブの種類に応じて、すばやくジョブの実行を中断したい場合と、ジョブの実行が中断されては困る場合があるため、各種ジョブに応じた処理が必要となる。
【0007】
本発明の目的は、上記課題を解決することである。
【0008】
本発明は、対象外のジョブのパフォーマンスを低下させずに、中止或いは一時停止させたいジョブを素早く一時停止或いは中止することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るデータ処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を保持する保持手段と、
ジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合の前記保持手段に保持された各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定して前記保持手段に保持させる設定手段と、
前記受付手段により前記中止指示を受け付けた場合、前記設定手段により設定された前記設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定するように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、対象外のジョブのパフォーマンスを低下させずに、中止或いは一時停止させたいジョブを素早く一時停止或いは中止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るジョブ処理装置である画像入出力装置と、この画像入出力装置に接続される外部装置を含むシステム構成図。
【図2】実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図。
【図3】画像入出力装置が受け付けたジョブを管理するジョブ管理テーブルの一例を示す図。
【図4】操作部7に表示されたジョブ管理テーブルの一例を示す図。
【図5】本実施形態に係る設定情報の一例を示す図。
【図6】本実施形態に係る画像入出力装置において、ジョブ中止ボタンが押下された場合の処理を説明するフローチャート。
【図7】図6のS601の処理を説明するフローチャート。
【図8】実施形態1に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャート。
【図9】実施形態に係るジョブリストの変更例を示す図。
【図10】実施形態2に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャート。
【図11】本発明の実施形態中で生成されるジョブ種毎の中止指示時のジョブの振る舞いとジョブリスト表示順の設定情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
図1は、実施形態に係るジョブ処理装置である画像入出力装置(データ処理装置)1と、この画像入出力装置1に接続される外部装置(PC)3,4を含むシステム構成図である。
【0014】
この画像入出力装置1は、イーサネット(登録商標)等のLAN(ローカルエリア・ネットワーク)107を介してホストコンピュータ(本実施形態では第1、第2のホストコンピュータPC3,PC4)に接続されている。画像入出力装置1は、画像データの読取り処理を行うリーダ部2と、画像データの出力処理を行うプリンタ部6と、画像データの入出力操作を行うキーボード、及び画像データや各種機能の表示などを行う液晶パネルを備えた操作部7を有している。更に、制御プログラムや画像データ等が予め書き込まれた記憶部であるハードディスク(HDD)8や、これら各構成要素に接続されて、これら構成要素を制御する制御部110を有している。操作部インタフェース106は、操作部7でユーザが入力した情報を制御部110に伝えると共に、操作部7の表示部に表示するデータを制御部110から受け取って操作部7に表示する。
【0015】
リーダ部2は、原稿を搬送する原稿給紙ユニット10と、原稿の画像を光学的に読み取って電気信号である画像データに変換するスキャナ部11とを有している。プリンタ部6は、用紙(シート)を収容する複数段の給紙カセットを備えた給紙ユニット12と画像データを用紙に転写、定着するマーキングユニット13とを有している。更に、印刷された用紙にソート処理やステイプル処理を施して、外部に排出する排紙ユニット14を有している。
【0016】
リーダ部2では、原稿給送ユニット10に積層された原稿がその積層順に従って、先頭から順次、原稿の片面或いは両面の読み取りを実行し、ビデオバス102を介して制御部110に画像データとして送信する。スキャナインタフェース101は、リーダ部2と制御部110との間のインタフェースを制御する。
【0017】
プリンタ部6では、マーキングユニット13にて制御部110からビデオバス104を介して供給された画像データに対応するレーザ光により静電潜像を形成し、給紙ユニット12から給紙される用紙に可視像を形成する。更に、排紙ユニット14は、排出された印刷済の用紙を束ねて用紙の仕分けを行い、また、仕分けされた用紙のステイプル処理等を行う。プリンタインタフェース105は、制御部とプリンタ部6との間のインタフェースを制御する。
【0018】
制御部110は、リーダ部2から供給される画像データをコードに変換し、LAN107を介してPC3或いはPC4に送信するスキャナ機能を実現している。またPC3或いはPC4からLAN107を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部6に出力するプリンタ機能、その他のFAX送受信機能等を実現するための機能ブロックを有している。
【0019】
図2は、実施形態に係る制御部110の構成を示すブロック図である。
【0020】
メインコントローラ201は、CPU202とバスコントローラ203と後述する各種コントローラ回路を含む機能ブロックとを内蔵すると共に、ROM204と接続され、またDRAM205と接続される。ROM36は、メインコントローラ201のCPU202で実行される各種制御プログラムや演算データを格納している。DRAM205は、CPU202が動作するための作業領域や画像データを蓄積するための領域として使用される。DRAM205はDMAコントローラ(DMAC)206と接続され、DMAC206は、画像処理部207及びCODEC208、スキャナI/F101、プリンタI/F105と接続されている。これにより、DRAM205に蓄積されるデータは各モジュールとDMAにより、高速にデータ転送を行うことができる。
【0021】
画像処理部207は、LUT(ルックアップテーブル)による画像の階調変換、色変換、或いはスムージング処理、細線補正処理等に代表される様々な画像処理を実現する機能ブロックである。しかし本実施形態には直接関係しないので詳細な画像処理機能の説明は省略する。CODEC208は、DRAM205に蓄積されたラスターイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の周知の圧縮方式で圧縮し、また圧縮されたデータをラスターイメージに伸張する機能を持つ。スキャナI/F101は前述のビデオバス102と接続され、スキャナユニット11からの画像を受信する機能を有する。またプリンタI/F105は、ビデオバス104と接続されマーキングユニット13に対して画像を送信する機能を持つ。
【0022】
ネットワークコントローラ209は、LAN107との間で所定の制御動作を行う。FAX送受信部210は、公衆FAX回線と接続され、G3FAXに代表されるFAXの送受信プロトコルを用いて画像データの送受信を行う。I/O制御部211は、リーダ部2やプリンタ部6との間で制御コマンドを送受信するための調歩同期式のシリアル通信コントローラ212が2チャンネル装備されている。そしてシリアル通信コントローラ212は、スキャナ・コマンドI/F213及びプリンタ・コマンドI/F214に接続されている。
【0023】
CPU202は、ROM204から読み込まれた制御プログラムに基づいて動作し、例えば、PC3或いはPC4から受信したPDL(ページ記述言語)データを解釈し、ラスターイメージデータに展開処理を行うことが可能である。更に、メインコントローラ201は、機器内で管理する日付と時刻を更新/保存するリアルタイムクロックモジュール215を持つ。尚、リアルタイムクロックモジュール215は、バックアップ用電池216に接続され、制御部110の電源がオフ状態であってもバックアップされている。
【0024】
I/O制御部211は操作部7に接続されており、ROM204及びハードディスク8に保存されている画面情報を操作部7の表示部に表示させる、或いはCPU202の制御プログラムにより操作部7への表示データを作成することが可能である。
【0025】
画像入出力装置1は、前述の様な構成を用いて、操作部7或いはLAN107上のPC3,PC4からの入力データやFAX回線からの受信等をトリガに、様々な画像の送受信の処理の要求をジョブとして受付けることが可能である。こうして受け付けたジョブの要求は、DRAM205やハードディスク8に、その処理情報や画像データとともに保持されて管理される。LCDコントローラ217は、操作部7の液晶表示部への表示を制御する。
【0026】
画像入出力装置1で処理可能なジョブの種類(ジョブ種)は、例えば、以下のように分類して管理される。
【0027】
画像入力を行うジョブとして、スキャン入力、FAX受信、ネットワーク受信、PDL入力(PC等からのPDLデータの受信)の4種類、画像出力ジョブのジョブとしては、プリント出力、FAX送信、ネットワーク送信の3種類がある。
【0028】
これらのジョブは、CPU202により管理されることにより、複数種類のジョブを同時に受け付けることが可能である。例えばスキャンした画像をFAX送信しながら、PDL入力を行い、PDL入力されたものから遂次印刷するといったような形で、同時に複数のジョブを実行することが可能である。また、例えば2つの印刷ジョブが同時に要求された場合は、一度に2つのジョブの印刷は実行できない。しかし、いずれか一方のジョブをDRAM205やハードディスク8の記憶領域に、そのジョブの実行要求や、必要とされる画像データを蓄積することで、先行したジョブの終了後に、後続のジョブを実行することが可能である。
【0029】
[実施形態1]
図3は、画像入出力装置1が受け付けたジョブを管理するジョブ管理テーブルの一例を示す図である。このジョブ管理テーブルは、ハードディスク8に記憶されている。
【0030】
ここで管理されるジョブ情報としては、ユニークなジョブの受付番号である「ジョブID」、そのジョブの要求を受け付けた日時「ジョブ受付時刻」、そのジョブの実行を要求したユーザ名を表す「User」が含まれる。更に、ジョブの種類を表す「ジョブ種」、またそのジョブが入力ジョブか出力ジョブかを表す「入力/出力」、そのジョブの実行状態を表す「状態」がある。
【0031】
実施形態1に係る画像入出力装置1では、前述のように実行対象である複数のジョブを保持できる。このように複数のジョブを保持している状態で、要求を受け付けたジョブをキャンセルする際は、ユーザは画像入出力装置1の操作部7からジョブの中止ボタンを押下することでジョブの中止を要求する。
【0032】
図4は、操作部7に表示されたジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
【0033】
図4では、この画像入出力装置1で保持しているジョブのリストを表示しており、その詳細は後述する。401はスタートボタン、402はジョブ中止ボタンであり、ユーザはジョブの中止或いは一時停止時にはこのボタン402を押下することで、ジョブのキャンセル或いはジョブの一時停止を指示できる。一時停止されたジョブは、後に、ユーザの指示によって再開できる。例えば、一時停止されたジョブがユーザによって選択され、スタートボタン401が押された場合に、選択された一時停止中のジョブは再開される。キャンセルボタン403は、ジョブのリストの中の選択されたジョブの実行をキャンセルするのに使用される。またクローズボタン404は、表示しているジョブのリストを閉じるのに使用される。
【0034】
次に、本実施形態1に係る、ジョブを中止するときの画像入出力装置1の動作を図6〜図8のフローチャートと、図3、図4のジョブリストの表示例、図9に示すジョブリストの変更例を用いて以下に具体的に本実施形態1を説明する。
【0035】
本実施形態1に係る画像入出力装置1は、前述のように複数種類のジョブを保持することが可能である。また画像入出力装置1では、ジョブの中止指示を受けた際に、ジョブの種類毎に、予め中止指示を受けた際のジョブの振る舞い(処理方法)を操作部7より設定あるいは変更することが可能である。こうして設定された情報は、ジョブの中止指示時の振る舞いを決める設定情報としてハードディスク8に保存される。図4では、この設定情報「設定」の一例として、「継続」、「停止」が示されている。
【0036】
図5は、本実施形態1に係る設定情報の一例を示す図である。ここでは、ジョブの中止ボタン402が押下された際の、ジョブ種毎の処理の振る舞いを設定している。
【0037】
図5の例では、スキャン入力、FAX受信、ネットワーク受信、PDL入力、プリント出力、FAX送信、ネットワーク送信のそれぞれのジョブ種に対して、「継続」、「停止」、「中止」を独立に設定している。
【0038】
「継続」は、ジョブ中止ボタン402が押下された場合でも、そのジョブを一時停止、或いは中止せずに動作し続けることを意味する。例えば、画像入出力装置1のスキャン入力やFAX受信、ネットワーク受信等のジョブは、セキュリティの観点からは即座に一時停止或いは中止する必要がないので、デフォルト設定は「継続」と設定される。
【0039】
「停止」は、ジョブ中止ボタン402が押下された場合に、ジョブを中止せずに一時停止することを意味しており、ここでは再開が可能な状態で一時停止することを意味する。例えばFAX送信やFAX受信等は、回線を接続したままジョブを一時停止状態とすることはできないので、ジョブの種類によっては一時停止を選択することはできない。
【0040】
「中止」は、ジョブ中止ボタン402が押下された場合に、できるだけ早くジョブの動作を中止するものであり、中止後の再開はできない。
【0041】
このように事前に、ジョブ種類に応じた中止ボタン402の押下時のジョブの振る舞いを設定した設定情報を定めておく。次に、実際に画像入出力装置1の操作部7においてジョブ中止ボタン402が押下された場合の動作を説明する。
【0042】
図6は、本実施形態1に係る画像入出力装置1において、ジョブ中止ボタン402が押下された場合の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM204に記憶されており、CPU202の制御の下に実行される。
【0043】
まずS601で、DRAM205或いはハードディスク8に保持されているジョブの情報を参照し、図5に示すようなジョブ中止指示時の振る舞い設定情報に応じて、ジョブの種類に応じた「継続」、「停止」、「中止」の制御を行う。このS601の具体的な動作については図7のフローチャートを使用して後述する。
【0044】
次にCPU202は、S601でジョブの一時停止或いは中止の制御を行った後にS602に進み、DRAM205或いはハードディスク8に保持されるジョブの情報を一覧として操作部7に表示するための表示用ジョブリストを作成する。ここでは、S601で中止されず、「停止」或いは「継続」となったジョブの一覧を表示する。これによりユーザは、画像入出力装置1に残っているジョブを確認し、更に中止、継続、一時停止の処理を素早く行うことが可能となる。このS602の処理の詳細は図8のフローチャートを参照して後述する。次にS603に進み、S602で作成したジョブのリストを操作部7の表示部に表示する。この詳細については後述する。
【0045】
次に図7のフローチャートと、図9のジョブリストの変更例を示す図を参照して、前述のS601で実施する実行中ジョブの一時停止或いは中止処理について説明する。
【0046】
図7は、図6のS601の処理を説明するフローチャートで、この処理を実行するプログラムはROM204に記憶されており、CPU202の制御の下に実行される。
【0047】
この処理は、CPU202が、操作部7のジョブ中止ボタン402が押下されたことをパネルI/F106を介して検知することにより開始される。まずS701で、CPU202は、ハードディスク8に保存されている図3に示すようなジョブリストの情報と、図5に示すような、ジョブの中止が指示された時の振る舞い設定情報とを参照する。そしてジョブリストで、ジョブの中止が指示された時の振る舞い設定情報で「中止」に設定されているジョブ種が存在するかを確認する。
【0048】
図5の例では、ジョブ種が「ネットワーク送信」であるジョブが「中止」に設定されているため、図3のジョブリストからジョブIDが「1」及び「8」である「ネットワーク送信」が中止の対象となる。「中止」に設定されているジョブ種がジョブリストに含まれている場合はS702に進み、ジョブIDが「1」及び「8」である「ネットワーク送信」のジョブを中止する。こうしてジョブの実行を中止した場合は、ジョブリストのジョブの状態を「中止」に書き換える(図9参照)。
【0049】
S701で、「中止」に設定されているジョブがないか、或いはS702でジョブの中止処理を終えるとS703に進む。S703でCPU202は、S701と同様に、ハードディスク8に保存管理されている図3に示されるようなジョブリストのジョブ種の情報と、図5の設定情報とを参照する。そしてジョブリストにジョブの中止指示時の振る舞い設定情報で「停止」に設定されているジョブ種が存在するかを確認する。
【0050】
図5の例では、ジョブ種が「プリント出力」のジョブが「停止」に設定されているためS704に進み、図3のジョブリストから、ジョブIDが「7」の「プリント出力」を一時停止に設定する。こうしてジョブを一時停止した際には、ジョブリストのジョブIDが「7」のジョブの状態を「停止」に書き換える(図9参照)。
【0051】
S703で一時停止対象のジョブがないか、或いはS704でジョブの一時停止処理を終えた後、CPU202はジョブの一時停止と中止の処理を終了する。こうしてCPU202は、図6のフローチャートでS601の処理を終えるとS602に処理を移行する。
【0052】
この図7の処理により、ジョブリストで、設定情報が「中止」に設定されているジョブ種は、その実行が中止され、設定情報が「停止」に設定されているジョブ種は、その実行が一時停止される。
【0053】
次に図8のフローチャートを参照して、S602の表示用ジョブリストの作成処理の詳細を説明する。
【0054】
図8は、実施形態1に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャートである。
【0055】
まずS801で、CPU202は図9に示されるジョブリストを確認する。図6のS601で中止或いは一時停止されたジョブは、その状態が書き換えられ図9に例示するジョブリストとなる。S801でCPU202は、ジョブリストの先頭から実行中或いは待機中のジョブがあるかを確認する。実行中或いは待機中のジョブがあればS802に進み、CPU202は、実行中或いは待機中のジョブと判定されたジョブが画像出力ジョブかどうかを判定する。画像出力ジョブであればS803に進んで、そのジョブをリストのグループ1に登録し、画像出力ジョブではないジョブの場合はS804に進み、そのジョブをグループ3に登録する。
【0056】
この登録処理は、ジョブリストの情報をコピーするもので図3に示すようなジョブリストと同等のジョブ情報を、グループ1から4までに分けて作成し、該当するジョブの情報のみをコピーする。こうしてS803或いはS804を実行するとCPU202は処理をS801に戻し、次のIDのジョブについて同様に処理を繰り返す。
【0057】
一方S801で、実行中或いは待機中のジョブでないときはS805に進み、該当ジョブが一時停止中のジョブか否かを判定する。一時停止中のジョブである場合は処理をS806に進み、そうでない場合には処理をS809に進める。S806では、一時停止中のジョブと判定されたジョブが画像出力ジョブかどうかを判定する。画像出力ジョブの場合はS807に進み、そのジョブをリストのグループ2に登録する。一方、画像出力ジョブではないジョブの場合はS808に進み、そのジョブをグループ4に登録する。こうしてS807或いはS808を実行するとCPU202は処理をS801に戻し、次のIDのジョブについて同様に処理を繰り返す。
【0058】
S809では、リストの最終ジョブまでグループの登録処理が完了したかを判定し、グループの登録処理が完了すると、この表示用ジョブリストの作成処理を終了し、そうでないときはS801に進んで、次のIDのジョブについて同様に処理を繰り返す。
【0059】
こうして図8のフローチャートで示す処理が終了すると、表示用ジョブリストとして、グループ1からグループ4までにグループ分けされたジョブのリストが作成される。
【0060】
CPU202は、図6のS603で、こうして作成された表示用ジョブリストをグループ1から順に操作部7に表示する。これによりユーザは、操作部7に表示された表示用ジョブリストから、所望のジョブを選択して、そのジョブの中止を指示することが可能である。
【0061】
このとき操作部7には、図4に示すように、グループ分けを反映させた状態で、グループ1から順にジョブのリストが表示される。即ち、図4では、FAX送信のような、ジョブを一時停止させたくても「停止」状態にできず、かつジョブを中止させたい優先度の高いジョブ種がグループ1として最上位に表示されている。その次に、ジョブを一時停止できる「ネットワーク送信」や「プリント出力」のようなジョブ種がグループ2として、グループ1に続いて表示されている。そしてジョブを迅速に中止する必要性の少ない「スキャン入力」「FAX受信」「PDL入力」等のジョブは、グループ3として最下位に表示されている。
【0062】
これにより、複数のジョブ種のジョブが1つのリストとして表示されるため、ユーザは、異なる種類のジョブの中から任意の種類のジョブを、別のリストの表示要求をせずとも、すばやく見つけることができる。また、異なるジョブ種のジョブは、設定された優先度に従って表示されるため、ユーザは、ジョブを中止或いは停止させたいとき、その中止或いは一時停止させたいジョブをすばやく見つけて、そのジョブを一時停止させることができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態1によれば、画像入出力装置1において、ユーザはジョブの中止ボタンの押下時のジョブの振る舞いを予めジョブ種毎に事前に設定できる。これにより、ジョブの中止や一時停止が必要になった場合、事前に設定されたユーザの使用形態に合わせて、所望のジョブの実行を即座に中止、或いは一時停止させることができる。この際、中止に設定されているジョブ以外のジョブの実行は中止されないため、ジョブの実行パフォーマンスを低下させることが無くなる。
【0064】
また、ユーザから中止もしくは一時停止の指示があった際に、出力ジョブから優先的に配列したジョブリストを表示するため、例えば情報の漏洩が発生すると思われるジョブ等を早急に特定し、そのジョブの実行を中止或いは一時停止することが可能となる。
【0065】
[実施形態2]
前述の実施形態1では、ジョブ種によって、ユーザからの中止要求時のジョブの振る舞いを予め設定するとともに、中止要求時にジョブ種と画像出力ジョブか画像入力ジョブかのグループにより、リスト上のジョブの表示順を決定する処理について説明した。
【0066】
これに対して本実施形態2では、ジョブの中止時に表示するジョブのリストの順番について更に、ユーザの指定によりジョブ種によりジョブリストに表示される順番を設定し、表示する方法について説明する。尚、実施形態2に係る画像入出力装置1のハードウェア構成は、前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0067】
この実施形態2でも実施形態1と同様に、ユーザは予め、中止指示を受けた際に、ジョブの種類毎に、中止指示を受けた際のジョブの振る舞いを、予め操作部7より設定することが可能である。この設定された情報は、ジョブの中止が指示された時の振る舞い設定情報としてハードディスク8に保存される。本実施形態2では、ジョブ種毎の振る舞いの設定に加えて、中止指示を受けた際に操作部7に表示するジョブの表示順序をジョブ種に応じて設定可能とする。この設定は、例えば図5の「ジョブリスト表示順」に示されるような形で、各ジョブ種に対して、ジョブの表示順序を設定するものである。
【0068】
図6のS601及び図7のフローチャートで説明されるジョブの中止及び一時停止の処理については実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0069】
図6のS602における表示用ジョブリスト作成の処理を、本実施形態2では図10のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
図10は、実施形態2に係る図6のS602の表示用ジョブリストの作成処理を説明するフローチャートである。
【0071】
まずCPU202は、S1001において、図5に示されるようなジョブの中止が指示された時のジョブの振る舞い設定情報と、図3に示されるようなジョブリストの内容を確認する。ジョブリストの先頭からジョブ種を確認し、該当するジョブ種がジョブ中止指示時のジョブの振る舞い設定情報でジョブリストでの表示順として設定されている整数値(n)を確認し、その整数値のジョブリストのグループ、即ちグループnに登録する。次にS1002に進み、リストの最終ジョブかどうかを判定し、ジョブリストの全てのジョブについてS1001でグループnに登録されると処理を終了する。
【0072】
こうしてCPU202は、図6のS603で、S602で作成されたジョブのリストをグループ1から順に操作部7に表示する。これによりユーザは、操作部7に表示された表示用ジョブリストからジョブを選択してジョブの中止を指示することができる。このとき操作部7には、予めユーザがジョブ種によって設定している表示順に従って、グループ1を先頭にジョブのリストが表示される。
【0073】
以上説明したように本実施形態2によれば、画像入出力装置1においてユーザはジョブの中止ボタンが押下された時のジョブの振る舞いを、予めジョブ種毎に設定できる。これにより、ジョブの中止や一時停止が必要になった場合であっても、事前の設定により、中止するジョブ以外のジョブの実行パフォーマンスを低下させることなく、所望のジョブの実行を中止或いは一時停止させることができる。
【0074】
また、ユーザから中止もしくは一時停止の指示があった際に、ジョブの実行が継続中の出力ジョブから順番に操作部7にジョブリストを表示できる。これにより、例えば情報の漏洩が発生すると思われる出力ジョブを早急に特定し、そのジョブの実行を中止或いは一時停止することが可能となる。
【0075】
[実施形態3]
前述の実施形態1,2では、ジョブ種によって、ユーザからの中止要求時のジョブの振る舞いを予め設定し、ジョブ種によって表示順を決定し、中止ボタンの押下時にジョブの中止、一時停止を行うとともにジョブの状況を示すジョブリストを表示した。本実施形態3では、ジョブの中止時にジョブリストを表示した後にジョブを再開する手順について説明する。尚、実施形態3に係る画像入出力装置1のハードウェア構成は、前述の実施形態1と同様であるため、その説明を省略する。
【0076】
実施形態1及び実施形態2で、画像入出力装置1は図4に示されるようなジョブリストを表示した状態となる。この際、中止設定がされていたジョブ種のジョブは既に中止されており、停止設定されたジョブは、一時停止されたままの状態にある。ここでユーザは、ジョブリストが表示されている状態でジョブを選択し、ジョブを中止した場合に他の一時停止ジョブを再開するか否かについて、予め操作部7上から設定することが可能である。この設定はハードディスク8に保存される。
【0077】
この後の動作は図11のフローチャートを参照して説明する。
【0078】
図11は、実施形態3に係るジョブの再開処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはROM204に記憶されており、CPU202の制御の下に実行される。
【0079】
CPU202はまずS1101で、前述のように表示用のジョブリストを表示している状態でジョブを選択し、あるジョブの実行を中止した場合に、他の一時停止中のジョブを再開するか否かの設定がされているかをハードディスク8の情報を基に判定する。設定がされている場合は処理をS1102へ進み、設定がされていない場合には処理をS1104に進める。例えば、図4の状態で、ユーザは表示されているジョブリストからジョブを選択し、キャンセルボタン403を押すことで、その選択したジョブを中止させることができる。S1102では、CPU202は、キャンセルボタン403によりジョブの実行を中止するように指示されたかどうかを判定し、中止するように指示された場合には処理をS1103に進む。S1103では、一時停止中のジョブを全て再開し、表示用ジョブリストの表示も終了する。
【0080】
一方、S1102でキャンセルボタン403が押下されないとき或いはS1101の判定がNOの場合はS1104に進み、CPU202は表示用のジョブリストの表示が閉じられたかどうかを判定する。ユーザは図4のクローズボタン404を押下することで表示用のジョブリストを閉じることができる。ジョブリストの表示が閉じられた場合は処理をS1103に進み、一時停止中のジョブを全て再開し、表示用ジョブリストの表示も終了する。一方、S1104で、クローズボタン404が押下されないときは処理をS1101に戻して、ジョブの再開指示が行われるか否かを引き続き判定する。
【0081】
このように本実施形態3によれば、実施形態1或いは2で一時停止されたジョブの再開を、ユーザの手を大きく煩わすことなく実行できる。
【0082】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を保持する保持手段と、
ジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合の前記保持手段に保持された各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定して前記保持手段に保持させる設定手段と、
前記受付手段により前記中止指示を受け付けた場合、前記設定手段により設定された前記設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記保持手段に保持されている複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧を表示するジョブリスト表示手段を更に有し、
前記ジョブリスト表示手段は、前記制御手段により決定された前記ジョブの処理方法を反映した状態で前記ジョブ情報の一覧を表示することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段により決定された前記ジョブの処理方法と前記ジョブ種に応じて、ジョブの実行を中止或いは一時停止させる優先度が高い順に前記複数のジョブを複数のグループに分けるグループ分け手段を更に有し、
前記ジョブリスト表示手段は、前記複数のグループを前記優先度の高い順に表示して前記複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧を表示することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧における表示順をジョブ種に応じて指定する指定手段を更に有し、前記ジョブリスト表示手段は、前記表示順に従って前記複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧を表示することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記ジョブリスト表示手段により表示された前記ジョブ情報の一覧から選択されたジョブの実行を中止させるキャンセル手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
いずれかのジョブの実行が中止されると、一時停止中のジョブの実行を再開する再開手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
データ処理装置を制御する制御方法であって、
実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を記憶部に保持する保持工程と、
ジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記中止指示を受け付けた場合の前記記憶部に保持された各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定して前記記憶部に保持させる設定工程と、
前記受付工程で前記中止指示を受け付けた場合、前記設定工程で設定された前記設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載されたデータ処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を保持する保持手段と、
ジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって前記中止指示を受け付けた場合の前記保持手段に保持された各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定して前記保持手段に保持させる設定手段と、
前記受付手段により前記中止指示を受け付けた場合、前記設定手段により設定された前記設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定するように制御する制御手段と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記保持手段に保持されている複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧を表示するジョブリスト表示手段を更に有し、
前記ジョブリスト表示手段は、前記制御手段により決定された前記ジョブの処理方法を反映した状態で前記ジョブ情報の一覧を表示することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段により決定された前記ジョブの処理方法と前記ジョブ種に応じて、ジョブの実行を中止或いは一時停止させる優先度が高い順に前記複数のジョブを複数のグループに分けるグループ分け手段を更に有し、
前記ジョブリスト表示手段は、前記複数のグループを前記優先度の高い順に表示して前記複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧を表示することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧における表示順をジョブ種に応じて指定する指定手段を更に有し、前記ジョブリスト表示手段は、前記表示順に従って前記複数のジョブの前記ジョブ情報の一覧を表示することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記ジョブリスト表示手段により表示された前記ジョブ情報の一覧から選択されたジョブの実行を中止させるキャンセル手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
いずれかのジョブの実行が中止されると、一時停止中のジョブの実行を再開する再開手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
データ処理装置を制御する制御方法であって、
実行対象の複数のジョブの、少なくともジョブID、ジョブ種及びジョブの状態を示す情報を含むジョブ情報を記憶部に保持する保持工程と、
ジョブの実行を中止する中止指示を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で前記中止指示を受け付けた場合の前記記憶部に保持された各ジョブの、少なくとも中止、一時停止を含む処理方法を決める設定情報を設定して前記記憶部に保持させる設定工程と、
前記受付工程で前記中止指示を受け付けた場合、前記設定工程で設定された前記設定情報に従って、実行中のジョブの処理方法を決定するように制御する制御工程と、
を有することを特徴とするデータ処理装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載されたデータ処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−115519(P2013−115519A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258219(P2011−258219)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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