説明

データ処理装置

【課題】未走行の道路に係る風景が表示されなかった。
【解決手段】HDD12には、撮影時における前進方向に対応するジャイロデータを撮影時における後進方向に係る風景に対応する画像データに対応付けてHDD12に記憶させる記憶処理と、撮影時における前進方向と表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、HDD12に記憶された前記画像データを用いて車両2の前進方向に係る風景をディスプレイ32に表示させる表示処理とをCPU14を実行させるためのプログラムが記憶されている。また、HDD12には、経路探索に用いられる道路種別データ(「車線数データ」に相当する)、速度などの変数と優先値との対応を示す優先値テーブルおよび速度などの変数と影響度との対応を示す影響度テーブルが記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データを処理するデータ処理装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション端末やマルチメディア端末などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、自動車の前面、右側面、左側面および後面に係る風景に対応する画像データを出力する魚眼レンズと、位置データおよび時刻データを受信するGPSレシーバと、魚眼レンズで得られた画像データとGPSレシーバで受信された位置データおよび時刻データとを対応付けてDVDに記憶させるシステム本体部とを備える車両用監視システムが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
他方、GPSからの緯度経度情報に対応する複数の実写情報を表示部に表示させるシステム制御部を備えた情報端末装置が知られている(特許文献2を参照)。
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載のものによれば、自動車の前面、右側面、左側面および後面に係る風景に対応する画像データをGPSレシーバで受信された位置データおよび時刻データとを対応付けて記憶部に記憶させ、GPSレシーバで受信された位置データおよび時刻データにそれぞれ対応する風景画像であって自動車の前面、右側面、左側面および後面に係る風景画像を表示部に表示させる装置が得られる。
【特許文献1】特開2000−172982号公報(第8−13頁、第1−4図)
【特許文献2】特開2004−226140号公報(第10−12頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術において、自動車が往路を過去に走行していても、当該自動車が復路を過去に走行していなければ、往路を走行する自動車の前面、右側面、左側面および後面に係る風景画像が表示されるにすぎず、復路を走行する自動車の前面、右側面、左側面および後面に係る風景画像が表示されなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデータ処理装置は、撮影装置で撮影され車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させるデータ処理装置であって、撮影時における前進方向に対応する方向データを撮影時における後進方向に係る風景に対応する画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と第2の方向データに対応する表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させる制御部を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0007】
「撮影装置」の一例として、いわゆるビデオカメラやデジタルスチルカメラなどがある(以下、同じ)。
【0008】
「前進方向」とは、車両の後輪側を基点として車両の前輪側を指す方向である(以下、同じ)。
【0009】
「表示装置」の一例として、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイや映写幕などがある(以下、同じ)。
【0010】
「撮影時」の一例として、撮影装置が画像データを出力した時点や記憶媒体が画像データを記憶した時点などがある(以下、同じ)。
【0011】
「方向データ」として、ジャイロセンサなどの方向センサで出力されたデータ、GPS受信機などの位置センサで出力された少なくとも2つの位置データ、経路探索結果に対応する探索データなどがある(以下、同じ)。
【0012】
「後進方向」とは、前進方向とは逆の方向であって、車両の前輪側を基点として車両の後輪側を指す方向である(以下、同じ)。
【0013】
「記憶媒体」の一例として、光ディスク、ハードディスクドライブ(以下、HDDという)や半導体メモリなどがある(以下、同じ)。
【0014】
「第2の方向データ」として、ジャイロセンサなどで出力されたデータ、GPS受信機などで受信された少なくとも2つの位置データ、経路探索の結果に対応する探索データなどがある(以下、同じ)。
【0015】
「表示時」の一例として、現在位置に係る案内が表示されている時点や特定地点までの案内が案内経路に沿って自動的に表示される(いわゆるオンルートスクロール)時点などがある(以下、同じ)。
【0016】
「逆の方向である場合」の一例として、同一道路における往路と復路との関係などがある(以下、同じ)。
【0017】
「記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させる」とは、撮影時における車両の後進方向に係る風景を表示時における車両の前進方向に係る風景に擬制することである。
【0018】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、前記方向データを撮影時における前進方向に係る風景に対応する第2の画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と前記表示時における前進方向とが同一方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記第2の画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0019】
「記憶媒体に記憶された前記第2の画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させる」とは、撮影時における車両の前進方向に係る風景を表示時における車両の前進方向に係る風景とすることである。
【0020】
本発明に係るデータ処理装置は、撮影装置で撮影され車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させるデータ処理装置であって、撮影時における前進方向に対応する方向データを撮影時における右方向に係る風景に対応する画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と第2の方向データに対応する表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させる制御部を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0021】
「右方向」とは、車両の前輪側を正面とする右方向である(以下、同じ)。
【0022】
「左方向」とは、車両の前輪側を正面とする左方向である(以下、同じ)。
【0023】
「記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させる」とは、撮影時における車両の右方向に係る風景を表示時における車両の左方向に係る風景に擬制することである。
【0024】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、前記方向データを撮影時における左方向に係る風景に対応する第2の画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と前記表示時における前進方向とが同一方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記第2の画像データを用いて車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0025】
「記憶媒体に記憶された前記第2の画像データを用いて車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させる」とは、撮影時における車両の右方向に係る風景を表示時における車両の右方向に係る風景とすることである。
【0026】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時刻に対応する時刻データに応じて制御するものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0027】
「時刻データ」の一例として、GPS受信機などで受信されたデータや内蔵された時計で出力されるデータなどがある(以下、同じ)。
【0028】
「制御する」の一例として、1つの地点において撮影時刻を夕方とする画像データと撮影時刻を昼間とする画像データとがある場合、撮影時刻を昼間とする画像データを撮影時刻を夕方とする画像データよりも優先して表示する制御が挙げられる(以下、同じ)。
【0029】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における気象に対応する気象データに応じて制御するものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0030】
「気象データ」の一例として、VICS受信機などで受信されたデータやFM放送に多重されたデータなどがある(以下、同じ)。
【0031】
「制御する」の一例として、1つの地点において撮影時における気象を晴れとする画像データと撮影時における気象を曇りとする画像データとがある場合、撮影時における気象を晴れとする画像データを撮影時における気象を曇りとする画像データよりも優先して表示する制御が挙げられる(以下、同じ)。
【0032】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における車両の速度に対応する速度データに応じて制御するものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0033】
「速度データ」の一例として、速度センサなどで出力されたデータや地図データに含まれる交通規制データなどがある(以下、同じ)。
【0034】
「制御する」の一例として、1つの地点において撮影時における速度を異にする2つの画像データがある場合、撮影時における速度が相対的に小さな画像データを撮影時における速度が相対的に大きな画像データよりも優先して表示する制御が挙げられる(以下、同じ)。
【0035】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における車両の加速度に対応する加速度データに応じて制御するものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0036】
「加速度データ」の一例として、加速度センサなどで出力されたデータなどがある(以下、同じ)。
【0037】
「制御する」の一例として、1つの地点において撮影時における加速度を異にする2つの画像データがある場合、撮影時における加速度が相対的に小さな画像データを撮影時における加速度が相対的に大きな画像データよりも優先して表示する制御が挙げられる(以下、同じ)。
【0038】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における交通量に対応する交通量データに応じて制御するものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0039】
「交通量データ」の一例として、VICS受信機などで受信されたデータやFM放送に多重されたデータなどがある(以下、同じ)。
【0040】
「制御する」の一例として、1つの地点において渋滞時に出力された画像データと渋滞していない時に出力された画像データとがある場合、渋滞していない時に出力された画像データを渋滞時に出力された画像データよりも優先して表示する制御が挙げられる(以下、同じ)。
【0041】
本発明に係るデータ処理装置において、「制御部」は、好ましくは、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における走行車線の車線数に対応する車線数データに応じて制御するものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0042】
「車線数データ」の一例として、地図データに含まれる道路種別データなどがある(以下、同じ)。
【0043】
「制御する」の一例として、1つの地点において撮影時における車線数を異にする2つの画像データがある場合、撮影時における車線数が相対的に多い画像データを撮影時における車線数が相対的に少ない画像データよりも優先して表示する制御が挙げられる(以下、同じ)。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、撮影時における前進方向に対応する方向データを撮影時における後進方向に係る風景に対応する画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と第2の方向データに対応する表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させることによって、未走行の道路に係る風景を表示させることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1ないし図10を参照しながら説明する。
<全体構成について>図1を参照しながら本実施の形態に係るデータ処理装置1を含むシステムの全体構成を説明する。データ処理装置1は、車両2に搭載されており、車両2に設けられた複数のカメラ3(「撮影装置」に相当する)に接続されている。本実施の形態において、前カメラ3a、後カメラ3b、右カメラ3cおよび左カメラ3dは、それぞれ、車両2の前進方向の風景、車両2の後進方向の風景、車両2の右方向の風景および車両2の左方向の風景を撮影している。
<装置構成について>図2を参照しながら本実施の形態に係るデータ処理装置1の構成を説明する。データ処理装置1は、データの入出力を行うI/O11と、各種データやプログラムなどを記憶するHDD12(「記憶媒体」に相当する)と、BIOSなどの基本プログラムを記憶するROM13と、HDD12やROM13などに記憶されたプログラムを実行するCPU14(「制御部」に相当する)と、各種データを保持するRAM15と、音声データを処理する音声LSI16と、画像データを処理する描画LSI17と、画像データを保持するVRAM18とを備える。これらの部品は、バスで接続されている。
【0046】
I/O11には、前述の前カメラ3a、後カメラ3b、右カメラ3cおよび左カメラ3dが接続されている。また、I/O11には、GPSデータ(「位置データ」および「時刻データ」に相当する)を受信するGPS受信機21、VICSデータ(「交通量データ」および「気象データ」に相当する)を受信するVICS受信機22、速度データを出力する速度センサ23およびジャイロデータ(「方向データ」および「第2の方向データ」に相当する)を出力するジャイロセンサ24が接続されている。さらに、I/O11には、音声データに対応する音声を出力するスピーカ31および画像データに対応する画像を表示するディスプレイ32(「表示装置」に相当する)が接続されている。
【0047】
HDD12には、撮影時における前進方向に対応するジャイロデータを撮影時における後進方向に係る風景に対応する画像データに対応付けてHDD12に記憶させる記憶処理と、撮影時における前進方向と他のジャイロデータに対応する表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、HDD12に記憶された前記画像データを用いて車両2の前進方向に係る風景をディスプレイ32に表示させる表示処理とをCPU14を実行させるためのプログラムが記憶されている。また、HDD12には、経路探索に用いられる道路種別データ(「車線数データ」に相当する)、速度などの変数と優先値との対応を示す優先値テーブルおよび速度などの変数と影響度との対応を示す影響度テーブルが記憶されている。
<記憶処理について>以上のように構成されたデータ処理装置1について、図3ないし図6を参照しながらその記憶処理を説明する。図3に示すように、CPU14は、HDD12に記憶されたプログラムを解釈して、以下の処理を実行する。
【0048】
CPU14は、HDD12に記憶された優先値テーブルおよび影響度テーブルならびに各種データを用いてカメラ3で出力された画像データに係る表示優先度(以下、優先度という)を演算する(ステップS1)。具体的には、優先度Pは、撮影時における各変数値に係る優先値pと各変数値に係る影響度Eとを乗じた値の総和で定義される(すなわち、P=ΣpEである)。
【0049】
図4に示すように、撮影時における車両の速度が相対的に大きな値である場合、撮影時における車両2の加速度(本実施の形態では、速度を微分した値である)が相対的に大きな値である場合、撮影時における気象が相対的に不良である場合、撮影時における時刻が日の光量が相対的に少ない時刻に属する場合、撮影時における交通量が相対的に多い場合および車線数が相対的に多い場合、優先値は相対的に小さな値になる。これらの場合、カメラ3で得られる画像の明瞭さが相対的に劣るからである。また、後カメラ3bで出力された画像データに係る優先度は前カメラ3aで出力された画像データに係る優先度よりも低い。後カメラ3bで出力された画像データは、遠ざかる風景に対応するものであるからである。
【0050】
図5に示すように、時刻に対応する影響度および交通量に対応する影響度は、ともに「10」である。時刻が日入後から日入前までに属する場合および交通が渋滞している場合、視認性が全くないからである。また、気象に対応する影響度およびカメラ3に対応する影響度は、ともに「5」である。気象が雨である場合およびカメラ3が後カメラ3bである場合、視認性が良好ではないからである。また、速度に対応する影響度および加速度に対応する影響度は、ともに「3」である。加速度および加速度による影響は、他の変数に影響されやすいからである。さらに、車線数に対応する影響度は、「1」である。車線数による影響は、他の変数による影響よりも遥かに小さいからである。
【0051】
ステップS1で画像データに係る優先度が演算されると、CPU14は、GPSデータを用いて現在位置に係る画像データが既にHDD12に記憶されているか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、現在位置に対応するGPSデータおよび撮影位置に対応する位置データが一致するか否かが判定されている。
【0052】
図6に示すように、前カメラ3aで出力された画像データ、後カメラ3bで出力された画像データ、右カメラ3cで出力された画像データおよび左カメラ3dで出力された画像データは、それぞれ、撮影位置に対応する位置データおよび撮影時における車両2の前進方向に対応する方向データにHDD12上で対応付けられている。
【0053】
ステップS2で現在位置に係る画像データが既にHDD12に記憶されているとの判定がなされると(S2のYes)、CPU14は、ジャイロデータを用いて現在の前進方向に係る画像データが既にHDD12に記憶されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0054】
ステップS3で現在の前進方向に係る画像データが既にHDD12に記憶されているとの判定がなされると(S3のYes)、CPU14は、ステップS1での画像データおよびHDD12に記憶された画像データを優先度順に並び換える(ステップS4)。
【0055】
ステップS2で現在位置に係る画像データがHDD12に記憶されていないとの判定がなされ(S2のNo)、ステップS3で現在の前進方向に係る画像データがHDD12に記憶されていないとの判定がなされ(S3のNo)、またはステップS3で画像データが優先度順に並び換えられると、CPU14は、ステップS1での画像データを撮影時におけるジャイロデータに対応付けてHDD12に記憶させる(ステップS5)。すなわち、カメラ3で撮影された風景と撮影時における車両2の前進方向とが対応付けられる。
<表示処理について>以上のように構成されたデータ処理装置1について、図7ないし図10を参照しながらその表示処理を説明する。図7に示すように、CPU14は、HDD12に記憶されたプログラムを解釈して、以下の処理を実行する。
【0056】
CPU14は、GPSデータを用いて現在位置に係る画像データがHDD12に記憶されているか否かを判定する(ステップS11)。本実施の形態において、現在位置に係る画像データとは、現在位置またはその近傍を撮影位置(図8を参照)とする画像データである。
【0057】
ステップS11で現在位置に係る画像データがHDD12に記憶されているとの判定がなされると(S11のYes)、CPU14は、ジャイロデータを用いて現在の前進方向に係る画像データがHDD12に記憶されているか否かを判定する(ステップS12)。つまり、撮影時における車両2の前進方向と現在(「表示時」に相当する)における車両2の前進方向とが同一であるか否かが判定される(図8を参照)。
【0058】
ステップS12で現在の前進方向に係る画像データがHDD12に記憶されているとの判定がなされると(S12のYes)、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域1(図9を参照)で画像データImf_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS13)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データImf_1を保持させる。つまり、前カメラ3aで撮影された風景は、現在の前進方向に係る風景として表示される(図10(a)を参照)。
【0059】
ステップS13で画像データImf_1に対応する風景が表示されると、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域2(図9を参照)で画像データImb_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS14)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データImb_1を保持させる。つまり、後カメラ3bで撮影された風景は、現在の後進方向に係る風景として表示される(図10(a)を参照)。
【0060】
ステップS14で画像データImb_1に対応する風景が表示されると、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域3(図9を参照)で画像データImr_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS15)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データImr_1を保持させる。つまり、右カメラ3cで撮影された風景は、現在の右方向に係る風景として表示される(図10(a)を参照)。
【0061】
ステップS15で画像データImr_1に対応する風景が表示されると、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域4(図9を参照)で画像データIml_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS16)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データIml_1を保持させる。つまり、左カメラ3dで撮影された風景は、現在の左方向に係る風景として表示される(図10(a)を参照)。
【0062】
ステップS12で現在の前進方向に係る画像データがHDD12に記憶されていないとの判定がなされる(S12のNo)、すなわち、撮影時における車両2の前進方向と現在における車両2の前進方向とが逆である場合、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域1(図9を参照)で画像データImb_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS17)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データImb_1を保持させる。つまり、後カメラ3bで撮影された風景は、現在の前進方向に係る風景として表示される(図10(b)を参照)。
【0063】
ステップS17で画像データImb_1に対応する風景が表示されると、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域2(図9を参照)で画像データImf_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS18)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データImf_1を保持させる。つまり、前カメラ3aで撮影された風景は、現在の後進方向に係る風景として表示される(図10(b)を参照)。
【0064】
ステップS18で画像データImf_1に対応する風景が表示されると、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域3(図9を参照)で画像データIml_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS19)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データIml_1を保持させる。つまり、左カメラ3dで撮影された風景は、現在の右方向に係る風景として表示される(図10(b)を参照)。
【0065】
ステップS19で画像データIml_1に対応する風景が表示されると、CPU14は、ディスプレイ32に対してその領域4(図9を参照)で画像データImr_1に対応する風景を表示させるための制御データを出力する(ステップS20)。このとき、描画LSI17は、CPU14からの制御データを受けて、VRAM18に対して画像データImr_1を保持させる。つまり、右カメラ3cで撮影された風景は、現在の左方向に係る風景として表示される(図10(b)を参照)。
<本実施の形態における効果>以上本実施の形態によれば、風景と撮影時の前進方向とが対応付けられ、現在の前進方向と撮影時の前進方向とが逆であれば、撮影時における後進方向の風景が現在の前進方向の風景として表示される。したがって、往路について風景が撮影されれば、往路についてもフロントガラス越しに見える風景と同じ風景がディスプレイ32に表示される。
【0066】
本実施の形態によれば、風景と撮影時の前進方向とが対応付けられ、現在の前進方向と撮影時の前進方向とが逆であれば、撮影時における右方向の風景が現在の左方向の風景として表示される。したがって、往路について風景が撮影されれば、往路についても左ドア越しに見える風景と同じ風景がディスプレイ32に表示される。
【0067】
本実施の形態によれば、撮影時における車両の速度が相対的に大きな値である場合、撮影時における車両2の加速度が相対的に大きな値である場合、撮影時における気象が相対的に不良である場合、撮影時における時刻が日の光量が相対的に少ない時刻に属する場合、撮影時における交通量が相対的に多い場合および車線数が相対的に多い場合、優先値は相対的に小さな値になる。したがって、画像の明瞭さが相対的に優れた画像が表示されやすく、視認性を向上させることができる。
<変形例>以上の説明では、現在位置が撮影位置またはその近傍にある場合に風景が表示されているが、現在位置が撮影位置またはその近傍にない場合であっても、いわゆるオンルートスクロールが要求された場合に、風景が表示されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明は、未走行の道路に係る風景を表示させることができるという効果を有し、ナビゲーション端末やマルチメディア端末などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るデータ処理装置を含むシステム全体の構成を示す全体構成図
【図2】本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態の構成を示すハードウエア構成図
【図3】本実施の形態における記憶処理の流れを示すフロー図
【図4】本実施の形態における変数と優先値pとの対応関係を示すテーブル図
【図5】本実施の形態における変数と影響度Eとの対応関係を示すテーブル図
【図6】本実施の形態における撮影位置、撮影時の前進方向および画像データの対応関係を示すデータ構成図
【図7】本実施の形態における表示処理の流れを示すフロー図
【図8】本実施の形態における撮影位置、撮影時の前進方向および現在の前進方向の関係を示す概念図
【図9】本実施の形態における表示領域の区分を示す図
【図10】(a)撮影時の前進方向と現在の前進方向とが同一である場合における表示例を示す図(b)撮影時の前進方向と現在の前進方向とが逆である場合における表示例を示す図
【符号の説明】
【0070】
1 データ処理装置
2 車両
3 カメラ(撮影装置)
12 HDD(記憶媒体)
14 CPU(制御部)
32 ディスプレイ(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置で撮影され車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させるデータ処理装置であって、
撮影時における前進方向に対応する方向データを撮影時における後進方向に係る風景に対応する画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と第2の方向データに対応する表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させる制御部を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記方向データを撮影時における前進方向に係る風景に対応する第2の画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と前記表示時における前進方向とが同一方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記第2の画像データを用いて車両の前進方向に係る風景を表示装置に表示させることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、撮像装置で出力された画像データを記憶媒体に記憶させるか否かを撮影時刻に対応する時刻データに応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、撮像装置で出力された画像データを記憶媒体に記憶させるか否かを撮影時における気象に対応する気象データに応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における車両の速度に対応する速度データに応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における車両の加速度に対応する加速度データに応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における交通量に対応する交通量データに応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における走行車線の車線数に対応する車線数データに応じて制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
撮影装置で撮影され車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させるデータ処理装置であって、
撮影時における前進方向に対応する方向データを撮影時における右方向に係る風景に対応する画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と第2の方向データに対応する表示時における前進方向とが逆の方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記画像データを用いて車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させる制御部を備えるデータ処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記方向データを撮影時における左方向に係る風景に対応する第2の画像データに対応付けて記憶媒体に記憶させ、前記撮影時における前進方向と前記表示時における前進方向とが同一方向である場合に、記憶媒体に記憶された前記第2の画像データを用いて車両の左方向に係る風景を表示装置に表示させることを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時刻に対応する時刻データに応じて制御することを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における気象に対応する気象データに応じて制御することを特徴とする請求項8に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における車両の速度に対応する速度データに応じて制御することを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における車両の加速度に対応する加速度データに応じて制御することを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における交通量に対応する交通量データに応じて制御することを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、撮像装置で撮影された風景を表示装置に表示させるか否かを撮影時における走行車線の車線数に対応する車線数データに応じて制御することを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−349438(P2006−349438A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−174604(P2005−174604)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】