説明

データ処理装置

【課題】車載機器と携帯端末との通信手段に、アンテナの配置を工夫することにより、近距離型非接触通信が用いられることに起因する問題を回避することが可能なデータ処理装置を提供する。
【解決手段】所定の閉空間に設けられ、携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信し、データ処理を行うデータ処理装置1であって、前記データ処理装置1の本体となる筐体2と、前記筐体2の中に設けられ、前記データ処理を行い、ユーザに対して供給されるべき情報を制御する制御部6と、電磁波を介して前記携帯端末とデータを送受信するアンテナ部4と、を備え、前記アンテナ部4は、電磁波が前記筐体2に対して所定の非干渉状態となるように設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末もしくはICカードと近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信し、データ処理を行うデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション等に代表される車載機器と、携帯電話等に代表される携帯端末との通信手段には、IrDA方式、Bluetooth(登録商標)方式、シリアル通信等が用いられている。車載機器と携帯端末による楽曲購入等の展開が考えられることから、車載機器と携帯端末との通信手段には、高速通信及び高いセキュリティーを確保する必用がある。近年、高速通信及び高いセキュリティーを確保することが可能な、Felica(登録商標)等のNFC近距離型非接触通信機能(以下、近距離型非接触通信機能と略称する)が開発されており(特許文献1を参照)、今後、車載機器と携帯端末との通信手段に近距離型非接触通信が用いられることが考えられる。
【特許文献1】特開2005−45557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車の走行による振動等から車載機器を保護するため、車載機器の筐体は金属で形成されている。従って、車載機器が携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信する際、電磁波を介してデータの送受信を行うため、金属遮蔽により電磁波が減衰してしまうことが懸念される。また、車載機器の一例であるカーナビゲーションシステムの場合は、画像や映像等を表示するディスプレイ以外はインパネに組み込まれている。従って、車載機器が携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを良好に無線通信するためには、データを送受信するアンテナの配置が車載機器の構造上及びデザイン上困難である。更に、車載機器が携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信するということは、個人情報であるデータの送受信を行うことである。従って、近距離型非接触通信において、データを送受信するアンテナが、外部から分かりやすい位置に設置されると、個人情報をやりとりする装置であることが他人に容易に分かってしまい、セキュリティー上大きな問題となる。
【0004】
そこで、本発明では、上記した問題に鑑み、車載機器と携帯端末との通信手段に、アンテナの配置場所を工夫することにより、近距離型非接触通信が用いられることに起因する問題を回避することが可能なデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために、携帯端末との近距離型非接触通信において、筐体に対して電磁波が非干渉状態となるようにアンテナ部を配置する点を工夫した。
【0006】
詳細には、本発明のデータ処理装置は、所定の閉空間に設けられ、携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信し、ユーザに対して供給されるべき情報を制御する制御部によってデータ処理を行うデータ処理装置であって、前記データ処理装置の本体となる筐体と、電磁波を介して前記携帯端末とデータを送受信するアンテナ部と、を備え、前記アンテナ部は、電磁波が前記筐体に対して所定の非干渉状態となるように、電磁波が通過する通過領域を有する。
【0007】
本発明のデータ処理装置は、インパネ等の所定の閉空間に設けられ、携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信し、ユーザに対して供給されるべき情報を制御
する制御部によってデータ処理を行うことが可能である。従って、本発明のデータ処理装置は、近距離型非接触通信を用いることにより、高速通信及び高いセキュリティーを確保することが可能である。尚、ユーザに対して供給されるべき情報とは、例えば、走行中の自動車の現在位置や進行方向、映画や音楽情報である。筐体は、データ処理装置の本体である。アンテナ部は、電磁波を介して携帯端末とデータを送受信する。また、アンテナ部は、該電磁波が筐体に対して所定の非干渉状態となるように、電磁波が通過する通過領域を有する。その結果、本発明のデータ処理装置は、電磁波の減衰を回避するため、アンテナ部が電磁波を介してデータを確実に送受信することが可能である。従って、本発明のデータ処理装置は、携帯端末と近距離通信型非接触通信を確実に行うことが可能である。
【0008】
ここで本発明のデータ処理装置において、前記筐体の外部に設けられ、前記制御部によって制御された画像データを表示する画像表示部を更に備え、前記アンテナ部は、前記画像表示部に設けられてもよい。本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が筐体の外部である画像表示部に設けられることにより、電磁波の減衰を回避するため、携帯端末と近距離通信型非接触通信を確実に行うことが可能である。
【0009】
更に、前記画像表示部は、前記アンテナ部が前記携帯端末とデータを送受信する際に、ユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態に至るように構成され、前記アンテナ部は、前記画像表示部が表示状態において画像をユーザへ表示する面と反対の面に設けられてもよい。
【0010】
本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が携帯端末とデータを送受信しない際は、画像表示部はユーザへの表示状態を維持している。一方、アンテナ部が携帯端末とデータを送受信する際は、画像表示部は表示状態から傾斜状態に至る。その結果、画像表示部が画像をユーザへ表示する面に対して反対の面は、画像表示部が表示状態から傾斜状態に至らない限りは、外部から見ることができない。従って、本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が、画像表示部が画像をユーザへ表示する面に対して反対の面に設けられることにより、個人情報をやりとりする装置であることが他人に分かり難く、セキュリティーを確保することが可能である。更に、本発明のデータ処理装置は、デザインが損なわれる事なく、且つ、筐体の構造に左右されることなく、アンテナ部を設けることが可能である。
【0011】
ここで本発明のデータ処理装置において、前記筐体は、電磁波が該筐体に対して所定の非干渉状態を形成する開口部を有し、前記アンテナ部は、前記開口部を囲むように設けられ、前記開口部は、前記通過領域となってもよい。本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が、電磁波が所定の非干渉状態となるように形成する開口部を囲むように設けられ、開口部が、電磁波が通過する通過領域となる。その結果、本発明のデータ処理装置は、電磁波の減衰を回避し、電磁波を介してデータを確実に送受信することによって、携帯端末と近距離通信型非接触通信を確実に行うことが可能である。
【0012】
また、前記開口部は、前記制御部によって制御される磁気ディスクを該筐体内に挿入する挿入部であって、前記アンテナ部は、前記挿入部を囲むように設けられ、前記挿入部は、前記通過領域となってもよい。本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が、磁気ディスクを筐体内に挿入する挿入部を囲むように設けられ、前記挿入部が、電磁波が通過する通過領域となる。その結果、本発明のデータ処理装置は、電磁波の減衰を回避し、電磁波を介してデータを確実に送受信することによって、携帯端末と近距離通信型非接触通信を確実に行うことが可能である。また、本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が必用とするループ形状を容易に確保し、デザインが損なわれる事なく、且つ、筐体の構造に左右されることなく、アンテナ部を設けることが可能である。
【0013】
ここで本発明のデータ処理装置は、前記制御部によって制御された画像データを表示す
る画像表示部と、前記筐体から前記画像表示部に向かってスライドするスライド部と、前記スライド部がスライドすると、前記画像表示部がユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態に至るように、該画像表示部に一自由度の移動を行わせる移動部と、を備え、前記アンテナ部は、前記スライド部に設けられてもよい。
【0014】
移動部は、スライド部が筐体から画像表示部に向かってスライドすると、画像表示部がユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態に至るように、画像表示部に一自由度の移動を行わせる。従って、本発明のデータ処理装置は、画像表示部が、ユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に安定して傾斜する傾斜状態に至ることが可能である。また、本発明のデータ処理装置は、スライド部が筐体から画像表示部に向かってスライドしない限りは、該スライド部に設けられたアンテナ部を筐体の外部から見ることができない。従って、本発明のデータ処理装置は、個人情報をやりとりする装置であることが他人に分かり難く、セキュリティーを確保することが可能である。更に、本発明のデータ処理装置は、デザインが損なわれる事なく、且つ筐体の構造に左右されることなく、アンテナ部を配置することが可能である。
【0015】
また、前記スライド部は、電磁波が該スライド部に対して所定の非干渉状態を形成する孔が設けられ、前記アンテナ部は、前記孔を囲むように設けられる、前記孔は、前記通過領域となってもよい。本発明のデータ処理装置は、アンテナ部が、電磁波がスライド部に対して所定の非干渉状態となるように形成する孔を囲むように設けられ、前記孔が、電磁波が通過する通過領域となる。その結果、本発明のデータ処理装置は、電磁波の減衰を回避し、電磁波を介してデータを確実に送受信することによって、携帯端末と近距離通信型非接触通信を確実に行うことが可能である。
【0016】
また、本発明のデータ処理装置は、前記制御部によって制御された画像データを表示する画像表示部を更に備え、前記制御部は、前記アンテナ部が前記携帯端末と前記データを送受信する際に、前記画像表示部に表示されている画像の表示を停止する画像表示停止部を有してもよい。アンテナ部が携帯端末と電磁波を介してデータを送受信する際、画像表示部に表示される画像に、該電磁波によりノイズが発生し、ユーザにとって見づらい場合がある。そこで、本発明のデータ処理装置は、画像表示停止部が、画像表示部に表示されている画像の表示を停止することにより、ノイズが発生した画像をユーザに見せなくすることが可能である。
【0017】
更に、本発明のデータ処理装置は、前記制御部によって制御された画像データを、バックライトを点灯することにより表示する画像表示部を更に備え、前記制御部は、前記アンテナ部が前記携帯端末と前記データを送受信する際に、前記バックライトの機能を停止させるバックライト機能停止部を有してもよい。本発明のデータ処理装置は、バックライト機能停止部が、バックライトの機能を停止させることにより、電磁波によりノイズが発生した画像をユーザに見せなくすることが可能である。
【0018】
また、本発明のデータ処理装置は、前記制御部によって制御された音声データを出力する音声出力部を更に備え、前記制御部は、前記アンテナ部が前記携帯端末と前記データを送受信する際に、前記音声出力部が出力する音声を停止する音声停止部を有してもよい。アンテナ部が携帯端末と電磁波を介してデータを送受信する際、音声出力部から出力する音声にノイズが発生し、ユーザにとって聞きづらい場合がある。そこで、本発明のデータ処理装置は、音声停止部が、音声出力部が出力する音声を停止することにより、ノイズが発生した音声をユーザに聞こえなくすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車載機器と携帯端末との通信手段に、アンテナの配置場所を工夫する
ことにより、近距離型非接触通信が用いられることに起因する問題を回避することが可能なデータ処理装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
ここで、本発明に係るデータ処理装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。以下に示す実施例は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1のデータ処理装置1における画像表示本体部3が表示状態であり、携帯電話100と近距離型非接触通信をする前の断面概略図である。図2は、本発明の実施例1のデータ処理装置1における画像表示本体部3が傾斜状態であり、携帯電話100と近距離型非接触通信をする様子を示す断面概略図である。図3は、本発明の実施例1のデータ処理装置1における画像表示本体部3の傾斜状態を示す正面図である。以下、具体的に本発明の実施例1のデータ処理装置1の各構成について図1から図3を基に説明する。尚、本発明の実施例1のデータ処理装置1は、車載機器の一部として設けられ、例えばカーナビゲーションシステムである。また、本発明の実施例1のデータ処理装置1と近距離型非接触通信を行う携帯電話100は、アンテナ部111とIC112を備える。
【0022】
<データ処理装置1の構成>
データ処理装置1の主要構成は、筐体2、画像表示本体部3、アンテナ部4、ファームウェア5、制御部6、音声出力部7である。
【0023】
先ず、筐体2について説明する。筐体2は、データ処理装置1の本体であり、金属によって形成されている。筐体2は、該筐体2の中に設けられる制御部6等を振動等の外部影響から保護することが可能である。また、筐体2は、画像表示本体部3と対向する面25、上面26及び下面27に、開口部21を有する。開口部21は、筐体2に設けられた略長方形の貫通孔である。尚、開口部21は、アンテナ部4が携帯電話100側のアンテナ部111とデータを送受信する際に、電磁波の減衰を回避する形状であればよい。また、画像表示本体部3と対向する面に設けられた開口部21は、制御部6によって制御される磁気ディスク8を筐体2内に挿入する挿入部23でもよい(図3参照)。
【0024】
画像表示本体部3について説明する。画像表示本体部3は、該画像表示本体部3の表面32に、制御部6によって制御された画像データを表示する画像表示部33をユーザと対向する面に有する(図1参照)。一方、画像表示本体部3の裏面31は、筐体2が挿入部23を有する面25と対向している。画像表示部33は、例えば、走行中の自動車の現在位置や進行方向、映画や音楽情報等の画像を表示することが可能である。
【0025】
データ処理装置1側のアンテナ部4が携帯電話100側のアンテナ部111とデータを送受信する前は、画像表示部33が表示状態を形成する(図1参照)。一方、データ処理装置1側のアンテナ部4が携帯電話100側のアンテナ部111とデータを送受信する際は、画像表示部33が表示状態から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態に至るように構成される(図2参照)。その結果、画像表示本体部3の裏面31と、該裏面31と対向する筐体2の面25は、画像表示部33が表示状態から傾斜状態に至らない限りは、外部から見られることはない。
【0026】
アンテナ部4について説明する。アンテナ部4は、携帯電話100側のアンテナ部111と電磁波を介してデータを送受信する際は、Felica(登録商標)等の非接触型通信に用いられる13.56MHzの周波数帯を利用する。また、アンテナ部4は、筐体2に設けられた挿入部23を囲むように設けられる(図3参照)。その結果、画像表示部3
3が表示状態から傾斜状態に至らない限りは、アンテナ部4が外部から見られることがないため、個人情報をやりとりする装置であることが他人に分かり難く、セキュリティーを確保することが可能である。また、アンテナ部4が電磁波を介して携帯電話100側のアンテナ部111とデータを送受信する際は、開口部21である挿入部23と、筐体2の上下面に設けられた開口部21が、電磁波が通過する通過領域となる。その結果、電磁波が筐体2に対して所定の非干渉状態となり、電磁波の減衰を回避し、アンテナ部4は電磁波を介してデータを確実に送受信することが可能である。従って、本発明の実施例1のデータ処理装置1は、携帯電話100と近距離通信型非接触通信を確実に行うことが可能である。尚、アンテナ部4は、挿入部23を囲むように設けることにより、アンテナ部4が必用とするループ形状を容易に確保することが可能である。また、アンテナ部4は、挿入部23だけではなく、画像表示本体部3と対向する面25に設けられた、挿入部23以外の開口部21を囲むように設け、該開口部21が、電磁波が通過する通過領域となってもよい(不図示)。
【0027】
更に、アンテナ部4は、筐体2側に設けられるだけではなく、画像表示本体部3の裏面に設けてもよい。図4は、本発明の実施例1のデータ処理装置1におけるアンテナ部4が画像表示本体部3の裏面31に設けられ、携帯電話100と近距離型非接触通信をする様子を示す断面概略図である。アンテナ部4が画像表示本体部3の裏面31に設けられた場合は、アンテナ部4が挿入部23に設けられた場合と同様に、画像表示部33が表示状態から傾斜状態に至らない限りは、アンテナ部4が外部から見られることがないため、個人情報をやりとりする装置であることが他人に分かり難く、セキュリティーを確保することが可能である。また、画像表示本体部3の裏面31に設けられたアンテナ部4は、開口部21を有しなくても、電磁波の減衰を回避し、携帯電話100と電磁波を介してデータの送受信を確実に行うことができる。更に、本発明の実施例1のデータ処理装置1は、ディスプレイ等のデザインが損なわれる事なく、且つ、筐体2の構造に左右されることなく、アンテナ部4を設けることが可能である。
【0028】
ファームウェア5、及び音声出力部7について説明する。ファームウェア5は、筐体2の内部に設けられ(図1及び図2参照)、アンテナ部4が携帯電話100側のアンテナ部111と電磁波を介して送受信するデータを読み取ることが可能である。音声出力部7は、走行中の自動車の現在位置や進行方向、映画や音楽情報等の音声をスピーカ9から出力することが可能である。音声出力部7は、例えば、予め車載に取り付けられているオーディオ機器である。
【0029】
制御部6について説明する。制御部6は、CPU、メモリ等を含むコンピュータと、コンピュータ上で実行されるプログラムによって実現することができる。図5は、本発明の実施例1のデータ処理装置1における制御部6の機能ブロック図である。制御部6は、アンテナ部4で送受信したデータを処理し、ユーザに対して供給されるべき情報を制御する。ユーザに対して供給されるべき情報とは、例えば、走行中の自動車の現在位置や進行方向、映画や音楽情報である。制御部6は、バックライト機能停止部61、画像表示停止部62、及び音声停止部63を有する。更に、制御部6は、画像表示部傾斜確認部68、VDP(Video Display Processor)71、75Ωドライバ70、スイッチ69、媒体検出部65、相互認証部66、データ読み書き部67を有する。以下、制御部6の各構成について説明する。
【0030】
バックライト機能停止部61は、バックライト(不図示)の機能を停止させることが可能である。バックライトの機能の停止方法は、パルス波のデューティー比を変化させて変調するPWM制御(不図示)によりクロックを制御して行う。画像表示停止部62は、画像表示部33が表示する画像を、スイッチ69を切ることにより停止させることが可能である。従って、バックライト機能停止部61と画像表示停止部62は、電磁波によってノ
イズが発生した画像をユーザに見せなくすることが可能である。尚、本発明の実施例1のデータ処理装置1において、バックライト機能停止部61と画像表示停止部62はどちらか一方を有していればよい。音声停止部63は、スイッチ69を切ることにより、音声出力部7から出力する音声を停止することが可能である。
【0031】
画像表示部傾斜確認部68は、画像表示部33が傾斜状態に至ったことを確認する。本発明の実施例1のデータ処理装置1は、画像表示部傾斜確認部68が、画像表示部33が傾斜状態に至ったことを確認すると、ファームウェア5がアンテナ部4からのデータを読み取るモードに移行する。VDP71は、映像・音楽ソース14を受け取り、映像出力全般の命令を解読・実行する装置である。尚、VDP71は、DPS(Display Post Script)でもよい。75Ωドライバ70は、VDP71で解読・実行した映像・音楽ソース14を、民生用の映像信号系の一般的な出力インピーダンスである75Ωになるように、インピーダンス整合を図る。尚、75Ωドライバ70は、バッファアンプでもよい。スイッチ69は、画像表示停止部62や音声停止部63からの指示により、情報の出力を停止する。
【0032】
媒体検出部65は、携帯電話100側のアンテナ部111を検出する。相互認証部66は、携帯電話100側のIC112と相互認証する。データ読み書き部67は、アンテナ部4が携帯電話100側のアンテナ部111と送受信したデータを読み書きする。
【0033】
図6は、実施例1のデータ処理装置1における制御フロー図である。図5に示す機能ブロック図を参照しながら、以下具体的にデータ処理装置1について説明する。尚、図6の制御フロー図は、制御部6が、バックライト機能停止部61を有さずに、画像表示停止部62を有する場合を一例とするが、この場合に限定されない。
【0034】
ステップS01では、画像表示部傾斜確認部68が、画像表示部33が傾斜状態に至ったたかどうかを判断する。画像表示部33が傾斜状態に至った際は、ファームウェア5がアンテナ部4からのデータを読み取るモードに移行する。画像表示部33が傾斜状態に至ったかどうかの判断が完了するとステップS02へ進む。
【0035】
ステップS02では、画像表示停止部62が、画像表示部33が表示する画像を停止する。画像表示停止部62は、VDP71が映像・音楽ソース14を受け取り、映像出力全般の命令を解読・実行し、75Ωドライバ70がインピーダンスの整合を図り、画像表示部33が出力していた情報の流れを、スイッチ69を切ることにより停止する。その結果、画像表示停止部62は、電磁波によってノイズが発生した画像をユーザに見せなくすることが可能である。画像表示停止部62による画像表示停止が完了するとステップS03へ進む。
【0036】
ステップS03では、音声停止部63が、音声出力部7が出力する音声を停止する。音声停止部63は、VDP71が映像・音楽ソース14を受け取り、音声出力全般の命令を解読・実行し、75Ωドライバ70がインピーダンスの整合を図り、音声出力部7が出力していた情報の流れを、スイッチ69を切ることによって停止する。その結果、音声停止部63は、電磁波によってノイズが発生した音声をユーザに聞かせなくすることが可能である。音声停止部63による音声の停止が完了するとステップS04へ進む。
【0037】
ステップS04では、媒体検出部65によって媒体を検出する。媒体検出部65は、近距離型非接触通信をする携帯電話100側のアンテナ111を検出する。媒体検出部65による媒体の検出が完了するとステップS05へ進む。
【0038】
ステップS05では、相互認証部66によって、携帯電話100側のIC112と相互
認証する。相互認証部66による相互認証が完了するとステップS06へ進む。
【0039】
ステップS06では、データ読み書き部67によって、アンテナ部4が携帯電話100側のアンテナ部111と送受信したデータを読み書きする。
【0040】
以上、本発明の実施例1におけるデータ処理装置1について説明したが、アンテナ部4は、筐体2や画像表示部33以外に設けられてもよい。以下に、その他のアンテナ部4の配置について説明する。
【実施例2】
【0041】
図7は、本発明の実施例2のデータ処理装置1における画像表示本体部3が表示状態であり、携帯電話100と近距離型非接触通信をする前の断面概略図である。図8は、本発明の実施例2のデータ処理装置1における画像表示本体部3が傾斜状態であり、携帯電話100と近距離型非接触通信をする様子を示す断面概略図である。図9は、本発明の実施例2のデータ処理装置1におけるスライド部11がスライドした際の上面図である。本発明の実施例2のデータ処理装置1は、スライド部11と移動部とを備える。スライド部11は、モータ(不図示)によって筐体2から画像表示部33に向かってスライドする構造である。また、スライド部11は、略長方形を形成し、略長方形の辺と辺の間に補助スライド部12が2本設けられ、井桁構造を形成する(図9を参照)。移動部は、スライド部11がスライドすると、画像表示本体部3がユーザへの表示状態(図7を参照)から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態(図8を参照)に至るように、画像表示本体部3に一自由度の移動を行わせる。具体的に説明すると、移動部は、画像表示本体部3の裏面の上方に設けられたローラー13が、画像表示本体部3の裏面31と対向する筐体2の面25に設けられた鉛直方向のレール上(不図示)を移動することにより、画像表示本体部3に一自由度の移動を行わせることが可能である。従って、画像表示本体部3は、スライド部11と移動部によってユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に安定して傾斜する傾斜状態に至ることが可能である。
【0042】
アンテナ部4は、スライド部11の井桁構造の中央の孔15を囲むように設けられ、該孔15が、電磁波が通過する通過領域となる(図9参照)。その結果、本発明の実施例2のデータ処理装置は、アンテナ部4が電磁波を介して携帯電話100側のアンテナ部111とデータを送受信する際に、スライド部11による電磁波の減衰を回避することが可能である。また、スライド部11が筐体2から画像表示本体部3に向かってスライドすることにより、画像表示本体部3が表示状態から傾斜状態に至らない限りは、スライド部11を外部から見ることができない。従って、アンテナ部4はスライド部11を囲むように設けられることにより、個人情報をやりとりする装置であることが他人に分かり難く、セキュリティーを確保することが可能である。また、本発明の実施例2のデータ処理装置1のデザインが損なわれる事なく、且つ、筐体2の構造に左右されることなく、アンテナ部4を設けることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1のデータ処理装置における画像表示本体部が表示状態であり、携帯電話と近距離型非接触通信をする前の断面概略図である。
【図2】本発明の実施例1のデータ処理装置における画像表示本体部が傾斜状態であり、携帯電話と近距離型非接触通信をする様子を示す断面概略図である。
【図3】本発明の実施例1のデータ処理装置におけるアンテナ部が、挿入部を囲むように設けられた正面概略図である。
【図4】本発明の実施例1のデータ処理装置におけるアンテナ部が、画像表示部が表示状態において画像をユーザへ表示する面と反対の面の縁に設けられた断面概略図である。
【図5】本発明の実施例1のデータ処理装置における制御ブロック図である。
【図6】本発明の実施例1のデータ処理装置における制御フロー図である。
【図7】本発明の実施例2のデータ処理装置における画像表示本体部が表示状態であり、携帯電話と近距離型非接触通信をする前の断面概略図である。
【図8】本発明の実施例2のデータ処理装置における画像表示本体部が傾斜状態であり、携帯電話と近距離型非接触通信をする様子を示す断面概略図である。
【図9】本発明の実施例2のデータ処理装置におけるスライド部がスライドした際の上面図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・データ処理装置
100・・・携帯電話
111・・・アンテナ部
112・・・IC
2・・・筐体
21・・・開口部
23・・・挿入部
3・・・画像表示本体部
33・・・画像表示部
4・・・アンテナ部
5・・・ファームウェア
6・・・制御部
61・・・バックライト機能停止部
62・・・画像表示停止部
63・・・音声停止部
65・・・媒体検出部
66・・・相互認証部
67・・・データ読み書き部
68・・・画像表示部傾斜確認部
69・・・スイッチ
70・・・75Ωドライバ
71・・・VDP
7・・・音声出力部
8・・・磁気ディスク
9・・・スピーカ
11・・・スライド部
12・・・補助スライド部
13・・・ローラー
14・・・映像・音楽ソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の閉空間に設けられ、携帯端末と近距離型非接触通信を利用してデータを無線通信し、ユーザに対して供給されるべき情報を制御する制御部によってデータ処理を行うデータ処理装置であって、
前記データ処理装置の本体となる筐体と、
電磁波を介して前記携帯端末とデータを送受信するアンテナ部と、を備え、
前記アンテナ部は、電磁波が前記筐体に対して所定の非干渉状態となるように、電磁波が通過する通過領域を有する、データ処理装置。
【請求項2】
前記筐体の外部に設けられ、前記制御部によって制御された画像データを表示する画像表示部を更に備え、
前記アンテナ部は、前記画像表示部に設けられる、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記画像表示部は、前記アンテナ部が前記携帯端末とデータを送受信する際に、ユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態に至るように構成され、
前記アンテナ部は、前記画像表示部が表示状態において画像をユーザへ表示する面と反対の面に設けられる、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記筐体は、電磁波が該筐体に対して所定の非干渉状態を形成する開口部を有し、
前記アンテナ部は、前記開口部を囲むように設けられ、
前記開口部は、前記通過領域となる、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記制御部によって制御される磁気ディスクを該筐体内に挿入する挿入部であって、
前記アンテナ部は、前記挿入部を囲むように設けられ、
前記挿入部は、前記通過領域となる、
請求項4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記制御部によって制御された画像データを表示する画像表示部と、
前記筐体から前記画像表示部に向かってスライドするスライド部と、
前記スライド部がスライドすると、前記画像表示部がユーザへの表示状態から、ユーザに向かう方向に傾斜する傾斜状態に至るように、該画像表示部に一自由度の移動を行わせる移動部と、を備え、
前記アンテナ部は、前記スライド部に設けられる、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記スライド部は、電磁波が該スライド部に対して所定の非干渉状態を形成する孔が設けられ、
前記アンテナ部は、前記孔を囲むように設けられ、
前記孔は、前記通過領域となる、
請求項6に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記制御部によって制御された画像データを表示する画像表示部を更に備え、
前記制御部は、前記アンテナ部が前記携帯端末と前記データを送受信する際に、前記画像表示部に表示されている画像の表示を停止する画像表示停止部を有する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記制御部によって制御された画像データを、バックライトを点灯することにより表示する画像表示部を更に備え、
前記制御部は、前記アンテナ部が前記携帯端末と前記データを送受信する際に、前記バックライトの機能を停止させるバックライト機能停止部を有する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記制御部によって制御された音声データを出力する音声出力部を更に備え、
前記制御部は、前記アンテナ部が前記携帯端末と前記データを送受信する際に、前記音声出力部が出力する音声を停止する音声停止部を有する、
請求項1から9の何れか一項に記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−148041(P2010−148041A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326191(P2008−326191)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】