説明

データ処理装置

【課題】省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能なデータ処理装置を提供する。
【解決手段】MFP1は、複数種類のジョブを処理するデータ処理装置であり、省電力状態へ自機を移行させる電力制御部171と、処理する時間間隔がそれぞれ設定された複数の定期ジョブ、及び、要求が受けられた際に処理される不定期ジョブを含む複数種類のジョブを処理する処理部20とを備える。電力制御部は、省電力状態では処理部20に対する電力の供給を停止し、処理部20は、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際、省電力状態において処理するタイミングが経過した定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力制御を行うデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリントジョブ、ファクシミリの送信/受信等のジョブを処理するプリンタ、ファクシミリ装置等のデータ処理装置が広く知られている。これらのデータ処理装置には、利用されていない間、より消費電力が低い省電力状態へ移行する制御を行う装置がある。例えば、下記特許文献1には、夜間等の所定の時間帯に省電力状態へ移行するネットワークファクシミリ装置が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたネットワークファクシミリ装置は、画像データが添付された電子メールの送受信を行う機能を有している。このネットワークファクシミリ装置は、ファクシミリの送信/受信ジョブの他、電子メールを取得するために定期的に行うPOP(Post Office Protocol)受信ジョブを含む複数種類のジョブを処理する。通常状態では、電子メールを取得するために、定期的にPOP受信ジョブを行い、受信した電子メールに添付された画像データをプロッタによりプリントする。そして、省電力状態では、夜間等で電子メールを見る人がいないので、電力消費量の大きいプロッタの電源をオフし、POP受信動作を行わないように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−94691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、データ処理装置には、更なる省電力化を図るために、ジョブの要求が所定時間ない場合に、昼間であっても省電力状態へ移行し、更に、POP受信等の定期的に行われるジョブ(定期ジョブ)を処理する処理ユニットに対しても通電を停止する装置がある。このデータ処理装置が定期ジョブを定期的に実行するためには、省電力状態において定期ジョブを実行するタイミングが巡ってきた場合、通常状態へ復帰して実行する必要がある。しかしながら、定期ジョブを実行するために定期的に復帰した場合、省電力効果が低下するので問題がある。
【0006】
省電力効果の低下を防止するために、省電力状態では、定期ジョブを実行するタイミングが巡ってきても、通常状態へは復帰せず、定期ジョブを実行しないように制御することも考えられる。ところが、データ処理装置は、ジョブの要求で復帰し、ジョブの要求が所定時間ない場合に再び省電力状態へ移行するので、通常状態と省電力状態との間を繰り返し移行する。このため、データ処理装置が、何度か通常状態へ復帰したとしても、定期ジョブが実行するタイミングが巡ってくるたびに、省電力状態へ移行した状態となっている虞がある。この場合、定期ジョブの処理が複数回、連続して実行されない状況が起こる虞がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能なデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデータ処理装置は、複数種類のジョブを処理するデータ処理装置であって、ジョブの処理が可能な通常状態より消費電力量が小さい省電力状態へ自機を移行させる電力制御部と、前記通常状態において処理する時間間隔が設定された1種類以上の定期ジョブ、及び、要求が受けられた際に処理する不定期ジョブを含む複数種類のジョブを処理する処理部とを備え、電力制御部は、省電力状態では処理部に対する電力の供給を停止し、処理部は、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際、省電力状態において処理するタイミングが経過した定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るデータ処理装置によれば、通常状態では、1種類以上の定期ジョブが設定された時間間隔で処理され、不定期ジョブは要求が受け付けられた際に処理される。省電力状態では、ジョブの処理を行う処理部に対する電力の供給が停止されることにより、省電力化が実現される。そして、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際に、省電力状態において処理するタイミングが経過した定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブがまとめて処理される。これにより、定期ジョブについて、省電力状態において処理するタイミングが到来した場合であっても、通常状態へ復帰することなく、処理するタイミングを確保することができる。このため、定期ジョブについて、省電力状態において処理するタイミングが到来した場合に、復帰する必要がなくなるので、省電力効果の低下を抑制することができる。従って、省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能となる。
【0010】
本発明に係るデータ処理装置では、電力制御部が、省電力状態において不定期ジョブの要求が受け付けられた場合、自機を通常状態に復帰させ、処理部は、不定期ジョブの要求が受け付けられたことにより、自機が通常状態に復帰した際、処理するタイミングが経過した定期ジョブがある場合、当該定期ジョブ、及び要求された不定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、省電力状態において不定期ジョブの要求が受け付けられた場合、自機が通常状態に復帰し、要求された不定期ジョブと、処理するタイミングが経過した定期ジョブとが、まとめて処理される。このため、不定期ジョブを処理するために復帰した際に、定期ジョブが不定期ジョブとまとめて処理されるので、定期ジョブを処理するタイミングを確保することができる。
【0012】
本発明に係るデータ処理装置では、処理部が、プリントを伴う不定期ジョブ、及び、プリントを伴う定期ジョブを処理する機能を有し、プリントを伴う不定期ジョブの要求が受け付けられたことにより、自機が通常状態へ復帰した際、処理するタイミングが経過した定期ジョブにプリントを伴う定期ジョブが含まれている場合、プリントを伴う不定期ジョブとプリントを伴う定期ジョブとを連続して処理することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、プリントジョブを伴う不定期ジョブの要求が受け付けられたことにより、自機が通常状態へ復帰した際、処理するタイミングが経過した定期ジョブにプリントジョブを伴う定期ジョブが含まれている場合、プリントジョブを伴う不定期ジョブ及び定期ジョブが連続して処理される。このため、例えば、プリントジョブを行うために定着器を加熱する必要がある場合、不定期ジョブと定期ジョブのうち一方のプリントジョブを処理した後、定着器の温度が低下する前に他方のプリントジョブを処理することができる。従って、定着器を再加熱する必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0014】
本発明に係るデータ処理装置では、定期ジョブをまとめて処理するために自機を省電力状態から通常状態へ復帰させる復帰タイミングの指定を受け付ける復帰指定部を備え、電力制御部は、復帰指定部によって指定が受け付けられた復帰タイミングで、通常状態へ自機を復帰させ、処理部は、復帰タイミングで自機が通常状態へ復帰した際、処理するタイミングが経過した2種類以上の定期ジョブがある場合、当該2種類以上の定期ジョブをまとめて処理することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、定期ジョブをまとめて処理するために自機を通常状態へ復帰させる復帰タイミングの指定が受け付けられ、自機が指定された復帰タイミングで復帰する。そして、自機が指定された復帰タイミングで復帰した際、処理するタイミングが経過した2種類以上の定期ジョブがある場合、この2種類以上の定期ジョブがまとめて処理される。従って、通常状態へ復帰した際に、複数の定期ジョブがまとめて処理されるので、1度の復帰により、複数の定期ジョブを処理するタイミングを確保することができる。また、復帰するタイミングが設定されているので、確実に定期ジョブを処理することが可能となる。更に、ユーザが、定期ジョブをまとめて処理させるために、データ処理装置を復帰させるタイミングを指定することができる。
【0016】
本発明に係るデータ処理装置では、複数の定期ジョブの中から、処理部によってまとめて処理される定期ジョブの指定を受け付ける受付部を備え、処理部は、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際、受付部によって指定が受け付けられた定期ジョブを処理するタイミングが省電力状態において経過している場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、複数の定期ジョブの中から、まとめて処理される定期ジョブの指定が受け付けられ、指定された定期ジョブの処理するタイミングが省電力状態において経過している場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブがまとめて処理される。これにより、ユーザが、自機によってまとめて処理される定期ジョブを指定することができる。
【0018】
本発明に係るデータ処理装置では、複数の定期ジョブの中から選択された定期ジョブの指定を受け付けるジョブ指定部を備え、電力制御部は、ジョブ指定部によって指定が受け付けられた定期ジョブを当該定期ジョブについて設定されたタイミングで処理部が処理するために、自機を通常状態へ復帰させ、処理部は、ジョブ指定部によって指定が受け付けられた定期ジョブを当該定期ジョブについて設定されたタイミングで処理することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、複数の定期ジョブの中から選択された定期ジョブの指定が受け付けられ、指定された定期ジョブを設定された時間間隔で処理するために、自機が通常状態へ復帰する。そして、指定された定期ジョブが設定された時間間隔で処理される。このため、ユーザが指定した定期ジョブについては、定期的に処理することができる。
【0020】
本発明に係るデータ処理装置では、複数の定期ジョブについて優先順位の指定を受け付ける順位指定部を備え、処理部は、2種類以上の定期ジョブをまとめて処理する際に、順位指定部によって指定が受け付けられた優先順位に従って処理することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、2種類以上の定期ジョブがまとめて処理される際に、指定された優先順位に従って定期ジョブが処理される。これにより、ユーザから指定された定期ジョブをより早く処理させることができる。
【0022】
本発明に係るデータ処理装置は、複数種類のジョブを処理するデータ処理装置であって、ジョブの処理が可能な通常状態より消費電力量が小さい省電力状態へ自機を移行させる電力制御部と、通常状態において処理する時間間隔が設定された1種類以上の定期ジョブ、及び、要求が受けられた際に処理する不定期ジョブを含む複数種類のジョブを処理する処理部とを備え、電力制御部は、省電力状態では処理部に対する電力の供給を停止し、処理部は、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際、所定時間以内に処理するタイミングが到来する定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することを特徴とする。
【0023】
本発明に係るデータ処理装置によれば、通常状態では、1種類以上の定期ジョブが設定された時間間隔で処理され、不定期ジョブは要求が受け付けられた際に処理される。省電力状態では、ジョブの処理を行う処理部に対する電力の供給が停止されることにより、省電力化が実現される。そして、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際に、所定時間以内に処理するタイミングが到来する定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブがまとめて処理される。これにより、自機が省電力状態へ移行した後に定期ジョブについて設定された処理するタイミングが到来した場合に、復帰する必要がなくなるので、省電力効果の低下を抑制することができる。従って、省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態に係るMFPの構成を示すブロック図である。
【図2】復帰設定画面の一例を示す図である。
【図3】省電力状態へ移行する際に行われる復帰時刻の設定処理を示すフローチャートである。
【図4】通常状態に復帰した際に行われるジョブの処理を示すフローチャートである。
【図5】変形例に係るMFPの構成を示すブロック図である。
【図6】優先順位の設定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係るデータ処理装置として、複合機(MFP)1を例にして説明する。図1は、MFP1の構成を示すブロック図である。
【0027】
MFP1は、ネットワーク複合機であり、プリント、スキャン、コピー、FAX(ファクシミリ)、及び、IFAX(インターネットFAX)を含む画像処理を、ユーザの要求に応じて処理する機能を有している。このMFP1は、POP受信、画像データのパックアップ等、定期的に処理することが必要な各種の定期ジョブを処理する機能も有している。ここでは、定期的に処理される定期ジョブに対して、要求が受け付けられた際に処理されるプリントジョブ、スキャンジョブ、コピージョブ、FAXジョブ、及び、IFAXジョブを不定期ジョブという。
【0028】
また、MFP1は、省電力化のため、定期ジョブ及び不定期ジョブを処理する処理部20に対する通電を停止し、省電力状態をとることができる。MFP1は、省電力状態において、ジョブの要求があった場合等に、処理部20に対する通電を開始して、通常状態へ復帰する。MFP1は、要求されたジョブを処理した後、所定時間の利用がなかった場合等に、通常状態から省電力状態へ再び移行する。
【0029】
続いて、MFP1を構成する各構成要素について説明する。MFP1は、上記の画像処理を行うために、処理部20を備える。処理部20は、プリンタ10、スキャナ11、NCU(Network Control Unit)12、モデム13、及びネットワークI/F(インターフェース)14を含んで構成されている。
【0030】
プリンタ10は、本実施形態では、電子写真方式により印刷を行うプリンタである。このプリンタ10は、プリントジョブを処理する。スキャナ11は、CCD等によって構成され、原稿を光学的に読み取って画像データを生成する。このスキャナ11は、スキャンジョブを処理する。また、スキャナ11によって読み取られた原稿の画像データが、プリンタ10によってプリントされることにより、コピージョブが処理される。
【0031】
NCU12は、モデム13と接続され、モデム13と公衆電話回線(PSTN)91との接続を制御する。MFP1では、このNCU12及びモデム13によって、FAXジョブが処理される。なお、FAXジョブには、FAXの送信ジョブ及び受信ジョブが含まれる。
【0032】
ネットワークI/F14は、LAN(ローカルエリアネットワーク)90を介して行われるデータの送受信を制御する。また、ネットワークI/F14は、LAN90に接続されたインターネット経由で画像データが添付された電子メールを送信する。これにより、I−FAXの送信ジョブが処理される。I−FAXの受信ジョブは、ネットワークI/F14が受信した電子メールから画像データを取得することにより処理される。取得された画像データは、プリンタ10により印刷してもよいし、LAN90を介して接続されたパーソナルコンピュータ(PC)3等のディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0033】
上記の各構成要素がジョブを処理するために、MFP1は、コーディック15及び画像記憶部16を有している。コーディック15は、スキャナ11によって生成された画像データを符号化圧縮し、符号化圧縮されている画像データを復号化する。画像記憶部16は、コーディック15によって符号化圧縮された画像データ、FAXデータ、I−FAXデータ、PC3から送信されたプリントデータ等を記憶する。
【0034】
また、MFP1は、各構成要素を統合的に制御するための制御部17を備える。制御部17は、物理的には、演算を行うCPU、CPUに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果などの各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。この制御部17は、機能的な構成要素として、電力制御部171と、不定期ジョブ制御部172と、定期ジョブ制御部173とを備える。
【0035】
電力制御部171は、MFP1の構成要素に対する通電を制御する。この電力制御部171が、NCU12の一部及びネットワークI/F14の一部を除く各構成要素に対する通電を停止することにより、MFP1は通常状態から省電力状態へ移行する。MFP1は、利用が所定時間なされなかった場合に通常状態から省電力状態へ移行する。
【0036】
省電力状態において、NCU12の一部及びネットワークI/F14の一部に電力を供給するのは、ネットワーク90から送信されたパケットや、FAXの発呼を検出するためである。省電力状態において、FAXの発呼が検出された場合、MFP1は通常状態へ復帰する。また、ユーザにより省電力状態の解除ボタンが押下された場合も、MFP1は通常状態へ復帰する。
【0037】
また、省電力状態においてパケットが検出された場合、通電されたネットワークI/F14の一部によって応答が可能な場合は、応答が行われ、応答が不可能な場合は、MFP1は通常状態へ復帰する。応答が不可能な場合は、例えば、ジョブ要求等のパケットが受信された場合である。MFP1は、電力制御部171によって各構成要素に対する通電が開始されることにより、省電力状態から通常状態へ復帰する。なお、電力制御部171は、特許請求の範囲に記載の電力制御部として機能する。
【0038】
不定期ジョブ制御部172は、不定期ジョブの実行を制御する。不定期ジョブ制御部172は、ユーザからジョブの要求があった場合に、プリンタ10、スキャナ11、NCU12、モデム13、又はネットワークI/F14を制御して要求された不定期ジョブを処理させる。本実施形態のMFP1によって処理される不定期ジョブは、プリントジョブ、スキャンジョブ、コピージョブ、FAXジョブ、及びIFAXジョブを含む5種類である。
【0039】
定期ジョブ制御部173は、定期ジョブの処理を行う。定期ジョブは、処理する時間間隔が設定されたジョブであり、通常状態では、それぞれの定期ジョブについて設定された時間間隔で定期的に処理される。定期ジョブは、例えば、処理する時間間隔が15分間に設定され、通常状態においては15分間隔で実行される。また、定期ジョブは、処理する時刻を設定することにより、処理する時間間隔を24時間に設定してもよい。本実施形態のMFP1によって処理される定期ジョブは、NTP(Network Time Protocol)による時刻値の取得、画像データのバックアップ、MDNプリント、POP受信を含む4種類である。
【0040】
なお、MDNプリントは、MIME(Multipurpose Internet Mail Extension)準拠の規格「MDN(Message disposition notifications)」に従ってステータス情報を取得し、用紙にプリントする定期ジョブである。ステータス情報は、MFP1によって送信された電子メールが受信された後のステータス「既読」「未読削除」「転送」を示す情報である。
【0041】
定期ジョブ制御部173は、通常状態では、定期的にメール受信者のステータス情報を取得し、プリンタ10にMDNプリントを処理させる。また、定期ジョブ制御部173は、通常状態では、定期的にNTPサーバへアクセスして正しい時刻値を取得し、自機が有するRTC(Real Time Clock)の時刻を取得した時刻値に合わせる。また、定期ジョブ制御部173は、通常状態では、定期的に画像データのバックアップを行う。更に、定期ジョブ制御部173は、通常状態では、定期的にPOPサーバへアクセスし、POP受信を行うことにより、自動的に電子メールを受信する。
【0042】
以上説明したMFP1の構成要素であるプリンタ10、スキャナ11、NCU12、モデム13、及びネットワークI/F14、及び、制御部17の不定期ジョブ制御部171と定期ジョブ制御部とを含んで処理部20が、構成される。この処理部20は、上述した不定期ジョブと定期ジョブとを含む複数種類のジョブを処理する。
【0043】
また、MFP1は、ユーザから操作を受け付けるための操作部18と、ユーザがPC3を利用してMFP1の操作を行うためのWebサーバ19とを備えている。操作部18は、MFP1の本体に設けられ、各種のキーと、各種の情報を表示するディスプレイとを含んで構成されている。Webサーバ19は、PC3にインストールされたWebブラウザの要求に応じてタスクを実行する。これにより、各種の操作を行うためのWebページをPC3のディスプレイに表示することができ、MFP1がPC3を介してユーザから操作を受け付けることができる。
【0044】
ユーザは、操作部18又はPC3を操作することにより、ジョブ要求、各種の設定及び指定を行うことができる。本実施形態のMFP1では、定期ジョブに関連して、省電力状態から通常状態へ復帰する際の復帰条件を設定することができる。図2は、復帰設定画面の一例を示す図である。図2に示される復帰設定画面30は、PC3のディスプレイに表示される場合の一例である。
【0045】
図2に示される復帰設定画面30では、ユーザがラジオボタン31を用いて、「定期処理のタイミングでは復帰しない」「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」「定期的に復帰して処理を行う」のいずれかを選択することができる。
【0046】
復帰設定画面30において、「定期処理のタイミングでは復帰しない」が選択された場合、省電力状態において、いずれの定期ジョブについて設定されたタイミングとなっても、通常状態へ復帰しないように設定される。この場合、不定期ジョブ制御部173は、定期ジョブ以外の他の要因でMFP1が通常状態に復帰した際に、定期ジョブを処理する。他の要因には、不定期ジョブのジョブ要求が含まれる。本実施形態では、不定期ジョブ制御部173は、MFP1が復帰した際に、処理するタイミングが経過した定期ジョブを処理する。なお、処理するタイミングとは、該当する定期ジョブについて、設定された時間間隔に基づいて決定されるタイミングであり、最後に処理されてから、通常状態であれば、次に処理される予定のタイミングである。
【0047】
具体的には、定期ジョブ制御部173は、要求された不定期ジョブが処理された後、続いて、処理するタイミングが経過した定期ジョブを処理する。例えば、MFP1が、省電力状態であるときに、PC3からFAXの送信ジョブを要求するパケットが受信された場合、MFP1は通常状態に復帰する。そして、処理するタイミングが経過した定期ジョブがある場合、FAXの送信処理が処理された後に、続けて、定期ジョブ制御部173が、処理するタイミングが経過した定期ジョブを処理する。
【0048】
すなわち、不定期ジョブのジョブ要求によりMFP1が復帰した際、処理するタイミングが経過した定期ジョブが1種類以上ある場合、処理部20が、要求された不定期ジョブと処理するタイミングが経過した1種類以上の定期ジョブとをまとめて処理する。ここで、まとめて処理するとは、定期ジョブをそれぞれに設定されたタイミングで処理するのではなく、他のジョブを処理する前又は後に連続して処理することである。
【0049】
また、プリントを伴う不定期ジョブが要求されてMFP1が通常状態に復帰した際、定期ジョブ制御部173は、処理するタイミングが経過した定期ジョブにプリントジョブを伴う定期ジョブが含まれているか否か判断する。本実施形態では、プリントを伴う不定期ジョブは、プリントジョブであり、プリントを伴う定期ジョブは、MDNプリントである。プリントジョブを伴う定期ジョブが含まれていない場合は、要求された不定期ジョブが処理された後、定期ジョブ制御部173は、処理するタイミングが経過した定期ジョブを任意の順序で処理する。
【0050】
一方、プリントジョブを伴う定期ジョブが含まれている場合は、定期ジョブ制御部173は、不定期プリントジョブと連続して定期プリントジョブを処理させる。具体的には、定期ジョブ制御部173は、要求されたプリントジョブが処理された後、続いて、処理するタイミングが経過したMDNプリントを処理する。その後、定期ジョブ制御部173は、その他のタイミングが経過した定期ジョブがあればその定期ジョブを処理する。
【0051】
復帰設定画面30において、「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」が選択された場合、更に、チェックボックス32を用いて、定期ジョブの指定が受け付けられる。定期ジョブの指定は、Webサーバ19が備える定期ジョブ指定部191によって受け付けられる。この定期ジョブ指定部191は、特許請求の範囲に記載のジョブ指定部として機能する。
【0052】
定期ジョブの指定が受け付けられた場合、電力制御部171は、指定された定期ジョブを当該定期ジョブについて設定された時間間隔で処理するために、処理するタイミングが巡ってきたときに、自機が省電力状態である場合、通常状態へ復帰させる。このため、定期ジョブ制御部173は、指定された定期ジョブを当該定期ジョブについて設定された時間間隔で処理することができる。例えば、15分間隔で定期的に処理する定期ジョブの場合、14時00分に処理が実行された後、次の処理を行うタイミングは14時15分となる。14時00分に処理が実行された後、MFP1が省電力状態へ移行した場合、14時15分に定期ジョブの処理を開始できるように、自機の復帰時刻が設定される。
【0053】
例えば、定期ジョブのうち、NTP及び画像バックアップが指定された場合、電力制御部171は、NTP及び画像バックアップについてそれぞれ設定された時間間隔でNTP及び画像バックアップを処理するために、自機を通常状態へ復帰させる。そして、定期ジョブ制御部173が、NTPについては、NTPについて設定された間隔で処理し、画像バックアップについては、画像バックアップについて設定された間隔で処理を行う。
【0054】
復帰設定画面30において「定期的に復帰して処理を行う」が選択された場合、更に、定期ジョブをまとめて処理するために自機を通常状態へ復帰させる復帰タイミングの指定が受け付けられる。この復帰タイミングの指定として、復帰する時間間隔の指定が受け付けられる。この復帰する時間間隔の指定は、Webサーバ19が備える復帰タイミング指定部192によって受け付けられる。この復帰タイミング指定部192は、特許請求の範囲に記載の復帰指定部として機能する。
【0055】
復帰タイミングの指定が受け付けられた場合、電力制御部171は、指定された復帰タイミングで自機を通常状態へ復帰させる。例えば、「1時間毎」という復帰タイミングの指定が受け付けられた場合、1時間毎にMFP1は復帰する。なお、復帰タイミングの指定として、時刻を指定できるように構成してもよい。
【0056】
定期ジョブ制御部173は、指定された復帰タイミングで自機が通常状態へ復帰した際、省電力状態において処理するタイミングが経過した定期ジョブを処理する。定期ジョブ制御部173は、指定された復帰タイミングで自機が通常状態へ復帰した際、処理するタイミングが経過した定期ジョブが2種類以上ある場合、2種類以上の定期ジョブをまとめて処理する。
【0057】
引き続いて、MFP1の動作について説明する。MFP1は、ジョブ要求等が所定時間ないと、省電力状態へ移行するが、制御部17の通電を停止する前に、復帰する時刻を設定する。この復帰時刻の設定手順について、図3を参照して説明する。図3は、省電力状態へ移行する際に行われる復帰時刻の設定処理を示すフローチャートである。
【0058】
まず、処理対象となる定期ジョブが、あるか否かが判断される(ステップS101)。本実施形態では、NTP、画像バックアップ、MDNプリント、POP受信が、処理対象となる定期ジョブである。定期ジョブを処理する機能を有していない場合等、処理対象となる定期ジョブがない場合、復帰時刻が設定されずに、MFP1が省電力状態へ移行する(ステップS107)。
【0059】
処理対象となる定期ジョブがある場合、次に、復帰設定が「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されているか否かが判断される(ステップS102)。「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されている場合、定期ジョブを処理するために復帰しないので、この場合は、復帰時刻が設定されずに、MFP1が省電力状態へ移行する(ステップS107)。
【0060】
「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されていない場合、次に、復帰設定が「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されているか否かが判断される(ステップS103)。「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されている場合、指定された定期ジョブの処理時刻のうち、最も早い時刻が復帰時刻に設定される(ステップS104)。復帰時刻が設定された後、MFP1は、省電力状態へ移行する(ステップS107)。
【0061】
例えば、画像バックアップとMDNプリントが指定され、画像バックアップを次に行う時刻が10分後であり、MDNプリントを次に行う時刻が15分後である場合、10分後の時刻が復帰時刻として設定され、その後、MFP1が省電力状態へ移行する。復帰時刻の設定は、例えば、RTCを利用して行われ、設定された復帰時刻にRTCから起動信号が出力されることにより、MFP1が設定された時刻に通常状態へ復帰することができる。
【0062】
一方、ステップS103で、「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されていないと判断された場合、続いて、復帰設定が「定期的に復帰して処理を行う」に設定されているか否かが判断される(ステップS105)。「定期的に復帰して処理を行う」に設定されていない場合は、復帰時刻が設定されずに、MFP1が省電力状態へ移行する(ステップS107)。
【0063】
「定期的に復帰して処理を行う」に設定されている場合、定期ジョブを処理するために最後に復帰した時刻に、ユーザに指定された時間を加算した時刻を復帰時刻として設定する。例えば、復帰する時間間隔として1時間が指定されており、定期ジョブを処理するために最後に復帰した時刻が14:00である場合、15:00が復帰時刻として設定される。このようにして復帰時刻が設定された後、MFP1が省電力状態へ移行する(ステップS107)。以上の処理により、MFP1が省電力状態へ移行する際には、復帰設定に従って復帰するために、復帰時刻が設定される。
【0064】
引き続いて、図4を参照して、通常状態に復帰した際に行われるジョブの処理手順について説明する。図4は、通常状態に復帰した際に行われるジョブの処理を示すフローチャートである。MFP1が通常状態に復帰する要因には、ジョブ要求が受け付けられた場合、設定された復帰時刻になった場合、省電力状態の解除ボタンが押下された場合等がある。MFP1は、通常状態に復帰した際、図4に示されるように、復帰要因に応じて処理すべき不定期ジョブ及び/又は定期ジョブを特定し、該当するジョブの処理を行う。
【0065】
MFP1が通常状態に復帰した後、まず、復帰設定が「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されているか否かが判断される(ステップS201)。制御部17は、省電力状態においても通電されたSRAMを有し、このSRAMに記憶された設定情報を参照することにより、設定内容を判断する。「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されている場合、復帰要因は、不定期ジョブの要求があった場合又は省電力状態の解除ボタンが押下された場合である。この場合、復帰要因がプリントを伴う不定期ジョブのジョブ要求か否かが判断される(ステップS202)。
【0066】
復帰要因がプリントを伴う不定期ジョブのジョブ要求でない場合、処理タイミングが経過した定期ジョブが処理される(ステップS203)。処理タイミングが経過した定期ジョブが複数ある場合、複数の定期ジョブがまとめて処理される。なお、復帰要因が、スキャン要求等の不定期ジョブの要求である場合、スキャンジョブを行った後、定期ジョブを処理する。この場合、要求があった不定期ジョブと、処理タイミングが経過した定期ジョブとが、まとめて処理される。
【0067】
一方、ステップS202において、復帰要因がプリントを伴う不定期ジョブのジョブ要求であると判断された場合、要求のあったプリントを伴う不定期ジョブが処理される(ステップS204)。その後、プリントを伴う定期ジョブを優先して、処理タイミングが経過した定期ジョブが処理される(ステップS205)。すなわち、処理するタイミングが経過した定期ジョブにプリントを伴う定期ジョブが含まれている場合、プリントを伴う定期ジョブを処理した後に、処理タイミングが経過した他の定期ジョブを処理する。これにより、プリントを伴う不定期ジョブと定期ジョブとが連続して処理される。
【0068】
また、ステップS201において、復帰設定が「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されていないと判断された場合、次に、復帰設定が「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されているか否かが判断される(ステップS206)。「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されていない場合、処理タイミングが経過した定期ジョブが処理される(ステップS207)。ここで、処理タイミングが経過した定期ジョブが2種類以上有る場合、この2種類以上の定期ジョブがまとめて処理される。
【0069】
一方、「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されている場合、処理する定期ジョブが特定される(ステップS208)。例えば、制御部17が、ユーザに指定された定期ジョブ毎に次に処理する時刻を管理し、復帰した時刻と一致する時刻が、次に処理する時刻として設定された定期ジョブを特定する。定期ジョブが特定された後、当該特定された定期ジョブが処理される(ステップS209)。これにより、ユーザに指定された定期ジョブが、当該定期ジョブについて設定された間隔で処理される。
【0070】
以上説明した本実施形態に係るMFP1によれば、省電力状態から通常状態へ復帰した際に、省電力状態において処理するタイミングが経過した定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブがまとめて処理される。これにより、定期ジョブについて、省電力状態において処理するタイミングが到来した場合であっても、通常状態へ復帰することなく、処理するタイミングを確保することができる。このため、定期ジョブについて、省電力状態において処理するタイミングが到来した場合に、復帰する必要がなくなるので、省電力効果の低下を抑制することができる。従って、省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能となる。
【0071】
また、MFP1では、「定期処理のタイミングでは復帰しない」に設定されている場合、省電力状態において不定期ジョブの要求が受け付けられた際、自機が通常状態に復帰し、要求された不定期ジョブと、処理するタイミングが経過した1種類以上の定期ジョブとが、まとめて処理される。このため、不定期ジョブを処理するために復帰した際に、定期ジョブがまとめて処理されるので、定期ジョブを処理するタイミングを確保することができる。
【0072】
更に、MFP1では、プリントジョブの要求が受け付けられたことにより復帰した際、MDNプリントを処理するタイミングが経過している場合は、要求されたプリントジョブが処理された後、続けてMDNプリントが処理される。そして、処理するタイミングが経過した他の定期ジョブがある場合は、MDNプリントの後に処理される。プリントを伴うジョブを行うためには、プリンタ10の定着器を加熱する必要があるが、要求されたプリントジョブを処理した後、定着器の温度が低下する前にMDNプリントを処理することができる。従って、プリンタ10の定着器を再加熱する必要がなく、省電力化を図ることができる。
【0073】
また、MFP1では、「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」に設定されている場合、設定されたタイミングで処理される定期ジョブの指定が受け付けられる。そして、指定された定期ジョブについて設定されたタイミングで当該定期ジョブを処理するために、自機が通常状態へ復帰し、指定された定期ジョブが、当該定期ジョブについて設定されたタイミングで処理される。このため、ユーザが指定した定期ジョブについては、設定された時間間隔で確実に処理することができる。
【0074】
また、MFP1では、「定期的に復帰して処理を行う」に設定されている場合、定期ジョブのために自機を通常状態へ復帰させる復帰タイミングの指定が受け付けられる。そして、MFP1が指定された復帰タイミングで復帰し、省電力状態において処理するタイミングが経過した2種類以上の定期ジョブがある場合、当該2種類以上の定期ジョブがまとめて処理される。このため、通常状態へ復帰した際に、複数の定期ジョブがまとめて処理されるので、1度の復帰により、複数の定期ジョブを処理するタイミングを確保することができる。また、復帰するタイミングが設定されているので、確実に定期ジョブを処理することが可能となる。更に、ユーザが、定期ジョブをまとめて処理させるために、MFP1を復帰させるタイミングを指定することができる。
【0075】
引き続いて、図5及び図6を参照して、本実施形態の変形例に係るMFP1Aについて説明する。図5は、変形例に係るMFP1Aの構成を示すブロック図である。MFP1Aは、上述したMFP1のWebサーバ19が、上述の構成要素に加えて、順位指定部193を備える。順位指定部193は、複数の定期ジョブがまとめて処理される際に、処理される優先順位の指定をユーザから受け付ける。図6は、優先順位の設定画面の一例を示す図である。
【0076】
順位指定部193は、図6に示される順位設定画面40をPC3のディスプレイに表示させ、ユーザから優先順位の指定を受け付ける。そして、定期ジョブ制御部173は、2種類以上の定期ジョブをまとめて処理する際に、順位指定部193によって受け付けられた優先順位に従って定期ジョブを処理する。順位指定画面40のボックス41内に、ユーザから優先順位を指定する数字が入力されることにより、定期ジョブの優先順位の指定が受け付けられる。
【0077】
図6に示す例では、POP受信、MDNプリント、NTP、画像バックアップの順に優先して処理が行われるように設定される。この場合、MFP1Aが復帰した際に、POP受信を処理するタイミングと画像バックアップを処理するタイミングが経過していた場合、POP受信が処理された後、画像バックアップが処理される。
【0078】
例えば、ユーザが、自分宛の電子メールについてより早く確認したい場合、POP受信の優先順位を上げることにより、他の定期ジョブより優先してより早くPOP受信の処理を行うことができる。各定期ジョブの処理にかかる時間が数秒以下であれば、定期ジョブを処理する順序によって影響は少ないが、定期ジョブによっては、処理に数分程度かかる場合がある。例えば、MFP1に蓄積されている画像データのサイズによっては、画像バックアップの処理に数分かかる場合がある。このような場合、POP受信を画像バックアップより先に処理することにより、ユーザがPOP受信の処理を待つ時間を大幅に短縮することができる。
【0079】
このように、変形例に係るMFP1Aによれば、2種類以上の定期ジョブがまとめて処理される際に、指定された優先順位に従って定期ジョブが処理される。従って、ユーザから指定された定期ジョブをより早く処理させることができる。
【0080】
以上、本発明の実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものではなく更なる種々の変形が可能である。例えば、定期ジョブは、通常状態において定期的に処理されるジョブであればよく、上述した定期ジョブに限られない。不定期ジョブは、要求に応じて行われる処理であればよく、上述した不定期ジョブに限られない。例えば、不定期ジョブは、MFP1,1Aの操作を行うためにPC3からWebページの表示要求があった場合に、この表示要求に応じて、Webページの情報を提供する処理であってもよい。また、不定期ジョブは、要求に応じて行われるPOP受信であってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、「定期処理のタイミングでは復帰しない」「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」「定期的に復帰して処理を行う」のいずれかの設定を行うこととしたが、これに限られない。例えば、「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」ように指定された定期ジョブ以外の定期ジョブについては、処理するタイミングが経過した後に、不定期ジョブの要求によりMFP1が復帰した際に、要求された不定期ジョブの処理とまとめて処理するように制御してもよい。また、各定期ジョブについて、それぞれ、「定期処理のタイミングでは復帰しない」「定期処理のタイミングで復帰して処理を行う」「定期的に復帰して処理を行う」のいずれかの設定を行えるように構成してもよい。
【0082】
例えば、まとめて処理される定期ジョブをユーザが指定できるように構成してもよい。この場合、Webサーバ19が、複数の定期ジョブの中から、処理部20によってまとめて処理される定期ジョブの指定をユーザからPC3を介して受け付ける。そして、処理部20は、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際、指定が受け付けられた定期ジョブを処理するタイミングが省電力状態において経過している場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理する。これにより、ユーザが、MFP1によってまとめて処理される定期ジョブを指定することができる。なお、Webサーバ19が特許請求の範囲に記載の受付部として機能する。
【0083】
更に、上記実施形態では、まとめて処理される定期ジョブは、処理するタイミングが経過した定期ジョブであることとしたが、これに限られない。例えば、処理部20は、自機が省電力状態から通常状態へ復帰した際、所定時間以内に処理するタイミングが到来する定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理してもよい。例えば、MFP1が、PC3からプリントジョブを受け付けたことが要因で、通常状態に復帰した際、処理部20は、所定時間以内に処理するタイミングが到来する定期ジョブがある場合、当該定期ジョブとPCプリントジョブとをまとめて処理してもよい。
【0084】
これにより、MFP1が省電力状態へ移行した後に定期ジョブについて設定された処理するタイミングが到来した場合に、復帰する必要がなくなるので、省電力効果の低下を抑制することができる。従って、省電力効果の低下を抑制すると共に、定期ジョブを処理するタイミングを確保することが可能となる。なお、MFP1が通常状態に復帰した際に、処理するタイミングが経過した定期ジョブと、所定時間以内に処理するタイミングが到来する定期ジョブとをまとめて処理してもよい。
【符号の説明】
【0085】
1,1A MFP
10 プリンタ
11 スキャナ
12 NCU
13 モデム
14 ネットワークI/F
17 制御部
171 電力制御部
172 不定期ジョブ制御部
173 定期ジョブ制御部
19,19A Webサーバ
191 定期ジョブ指定部
192 復帰タイミング指定部
193 順位指定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のジョブを処理するデータ処理装置であって、
前記ジョブの処理が可能な通常状態より消費電力量が小さい省電力状態へ自機を移行させる電力制御部と、
前記通常状態において処理する時間間隔が設定された1種類以上の定期ジョブ、及び、要求が受けられた際に処理する不定期ジョブを含む前記複数種類のジョブを処理する処理部と、
を備え、
前記電力制御部は、前記省電力状態では前記処理部に対する電力の供給を停止し、
前記処理部は、自機が前記省電力状態から前記通常状態へ復帰した際、前記省電力状態において処理するタイミングが経過した前記定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記省電力状態において前記不定期ジョブの要求が受け付けられた場合、自機を前記通常状態に復帰させ、
前記処理部は、前記不定期ジョブの要求が受け付けられたことにより、自機が前記通常状態に復帰した際、処理するタイミングが経過した前記定期ジョブがある場合、当該定期ジョブ、及び要求された前記不定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
プリントを伴う前記不定期ジョブ、及び、プリントを伴う前記定期ジョブを処理する機能を有し、
前記プリントを伴う不定期ジョブの要求が受け付けられたことにより、自機が前記通常状態へ復帰した際、処理するタイミングが経過した前記定期ジョブに前記プリントを伴う定期ジョブが含まれている場合、前記プリントを伴う不定期ジョブと前記プリントを伴う定期ジョブとを連続して処理することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記定期ジョブをまとめて処理するために自機を前記省電力状態から前記通常状態へ復帰させる復帰タイミングの指定を受け付ける復帰指定部を備え、
前記電力制御部は、前記復帰指定部によって指定が受け付けられた復帰タイミングで、前記通常状態へ自機を復帰させ、
前記処理部は、前記復帰タイミングで自機が前記通常状態へ復帰した際、処理するタイミングが経過した2種類以上の前記定期ジョブがある場合、当該2種類以上の定期ジョブをまとめて処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
複数の前記定期ジョブの中から、前記処理部によってまとめて処理される定期ジョブの指定を受け付ける受付部を備え、
前記処理部は、自機が前記省電力状態から前記通常状態へ復帰した際、前記受付部によって指定が受け付けられた定期ジョブを処理するタイミングが前記省電力状態において経過している場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
複数の前記定期ジョブの中から選択された定期ジョブの指定を受け付けるジョブ指定部を備え、
前記電力制御部は、前記ジョブ指定部によって指定が受け付けられた定期ジョブを当該定期ジョブについて設定された前記時間間隔で前記処理部が処理するために、自機を前記通常状態へ復帰させ、
前記処理部は、前記ジョブ指定部によって指定が受け付けられた前記定期ジョブを当該定期ジョブについて設定された前記時間間隔で処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
複数の前記定期ジョブについて優先順位の指定を受け付ける順位指定部を備え、
前記処理部は、2種類以上の前記定期ジョブをまとめて処理する際に、前記順位指定部によって指定が受け付けられた優先順位に従って処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
複数種類のジョブを処理するデータ処理装置であって、
前記ジョブの処理が可能な通常状態より消費電力量が小さい省電力状態へ自機を移行させる電力制御部と、
前記通常状態において処理する時間間隔が設定された1種類以上の定期ジョブ、及び、要求が受けられた際に処理する不定期ジョブを含む前記複数種類のジョブを処理する処理部と、
を備え、
前記電力制御部は、前記省電力状態では前記処理部に対する電力の供給を停止し、
前記処理部は、自機が前記省電力状態から前記通常状態へ復帰した際、所定時間以内に処理するタイミングが到来する前記定期ジョブがある場合、当該定期ジョブを含む2種類以上のジョブをまとめて処理することを特徴とするデータ処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−159961(P2012−159961A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18336(P2011−18336)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】