データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法及びデバイス、その方法に係るコンピュータープログラム、並びにその方法に係るコンピュータープログラムを格納する情報記憶手段
【課題】データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法を提供することを目的とする。
【解決手段】データ収集デバイスが、経路ごとに、その経路の信頼性水準を表すメトリックを得て、得られたメトリックに従って上記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定し、第1のスケジューリングシーケンスに従って上記ノードに要求を送信し、送信条件の変動に従って上記メトリックのうちの少なくとも1つを更新し、更新後のメトリックに従って、第1のスケジューリングシーケンスを更新して第2のスケジューリングシーケンスを得て、第2のスケジューリングシーケンスに従ってノードに要求を送信し続けるようになっている。
【解決手段】データ収集デバイスが、経路ごとに、その経路の信頼性水準を表すメトリックを得て、得られたメトリックに従って上記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定し、第1のスケジューリングシーケンスに従って上記ノードに要求を送信し、送信条件の変動に従って上記メトリックのうちの少なくとも1つを更新し、更新後のメトリックに従って、第1のスケジューリングシーケンスを更新して第2のスケジューリングシーケンスを得て、第2のスケジューリングシーケンスに従ってノードに要求を送信し続けるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には無線メッシュ通信ネットワークにおいてデータを収集することに関し、より詳細には、伝送条件の変動を受ける無線メッシュ通信ネットワークにおいてそのようなデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮することに関する。
【背景技術】
【0002】
無線センサーネットワーク(WSN:Wireless Sensor Network)は、自己構成性があり、かなり安価であり、エネルギー制御、環境監視、産業オートメーション等の非常に広範囲に及ぶ可能な用途において有用であるために関心を集めており、支持を得ている。
【0003】
スマートメーターネットワーク(SMN:Smart Meter Network)は、そのような無線センサーネットワークの1つの応用例である。スマートメーターは通常、所与の時間間隔において電気エネルギーの消費量を記録し、その情報を監視及び課金のためにサーバーに通信する電気メーターである。スマートメーターは通常、中央システムからコマンドを受信することができる。また、スマートメーターは他のデータ取得分野においても用いられ、例えば、天然ガス又は水の消費量を測定するデバイスを意味することができる。
【0004】
データ収集デバイスは通常、そのようなSMN内でサーバーの形で実現される。データ収集デバイスは、スマートメーターによって与えられるデータを収集し、例えば、統計を得るため並びに/又は監視及び/若しくは課金のために、収集されたデータを処理する。
そのようなデータを収集するために、データ収集デバイスはスケジューリングシーケンスを規定し、データ収集デバイスに上記データを与えるように上記スマートメーターに要求するために、規定されたスケジューリングシーケンスに従って、SMNの各スマートメーターに要求を送信する。
SMN全体にわたってメッセージが伝搬する際に生じる衝突を回避するために、そのスケジューリングシーケンスは、別のスマートメーターに新たな要求を送信する前に、データ収集デバイスが、送信された要求に対する応答の受信を待機するようになっている。
その要求に応答して、各スマートメーターは、上記要求されたデータを含む応答を送信する。要求されるデータは、例えば、水、ガス又は電気エネルギーの測定中にスマートメーターによって得られた計量データである。
SMN内の要求及び応答の送信は通常、SMN内のルーティングを規定する全域木(spanning tree)に沿って実行される。
【0005】
しかしながら、SMN内の無線リンクが一時的に使用できない等の送信条件の変動に起因した送信問題が存在するとき、要求及び応答の送信に遅延が生じるおそれがある。
【0006】
一般的に、そのような送信問題が生じるとき、SMN内のルーティングは変更される。それは、新たな経路が規定され、それに応じて全域木が、変更されるとともに、無線メッシュ通信ネットワークの全てのノードが全域木変更を認識するようにSMN内に伝搬されることを意味する。このように経路を規定し直すのは時間がかかり、それゆえ、データを収集するのに必要とされる時間期間が増加する。
【0007】
上記の問題は、スマートメーターの展開に特に関係しない、他の種類の無線メッシュ通信ネットワークにおいても生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常の無線メッシュ通信ネットワークにおいて生じる上記の問題を克服することが望ましい。
【0009】
詳細には、送信条件の変動を受ける無線メッシュ通信ネットワーク内の収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間を短縮できるようにする解決策を提供することが望ましい。
【0010】
送信問題が検出されるときに、無線メッシュ通信ネットワーク内の、全域木に沿ったルーティングを再構成するのを回避できるようにする解決策を提供することが更に望ましい。
【0011】
実施するのが容易であり、コスト効率が高い解決策を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明は、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法であって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行される、方法に関する。
本方法は、前記データ収集デバイスが、
前記全域木の前記経路ごとのメトリックを得ることであって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得ることと、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定することと、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信することであって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信することと、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新することと、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続けることと、
を実行するようになっている。
【0013】
したがって、無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動にスケジューリングシーケンスを適応させることによって、第2のスケジューリングシーケンスに従って、送信に成功する見込みがより大きい要求が最初に送信される。その際、送信問題が一時的であるときには全域木の変更は不要であり、それゆえ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間は短縮される。
【0014】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
少なくとも1つのノードから、少なくとも1つの無線リンク上の送信条件についての情報又は送信条件の変動についての情報を受信することと、
前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定することと、
を実行し、
前記メトリックのうちの少なくとも1つの前記更新は、前記特定された経路(複数の場合もあり)に含まれる前記無線リンクに対して実行される。
【0015】
したがって、データ収集デバイスは、上記送信条件又は送信条件の変動に関係する全ての経路を特定することができ、スケジューリングシーケンスは更に効率的に適応することができる。
【0016】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
1つのノードによって生成される無線リンク障害報告を受信することを実行し、
該報告は、該報告を生成した前記ノードによって前記要求が中継されることを試みられた無線リンクのインジケーションを含み、
該報告は、該報告において指示された前記無線リンク上で、又は該報告において指示された前記無線リンクの子部分木に対応する前記全域木の部分内で、前記要求のうちの1つの送信中又は前記要求のうちの1つに対応する応答の送信中に生じた送信障害を表し、
前記経路は、前記子部分木のいずれかのノードを含む経路であると判断される。
【0017】
したがって、送信障害に関係する経路が容易に特定される。
【0018】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告は、中継されることを試みられた前記要求が応答において少なくとも1つの否定応答を生成することを示す通知を、ノードの或る層が該ノードの媒体アクセス制御層から受信するときに、該ノードによって生成される。
【0019】
したがって、上記要求のうちの1つの送信中に送信問題が生じるとき、その送信障害によって影響を受けると特定される全域木の部分は、送信問題が生じた無線リンク、及びこの無線リンクの子部分木に限定される。
【0020】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告は、或るノードが、前記要求のうちの1つが宛てられるノードから、タイムアウトが関連付けられた前記要求に対して、応答も別の無線リンク障害報告も受信することなく前記タイムアウトが満了するときに、該ノードによって生成される。
【0021】
したがって、上記要求のうちの1つに対する応答の送信中に送信障害が生じるとき、その送信問題によって影響を受けると特定される全域木の部分は、送信問題が生じた無線リンク、及びこの無線リンクの子部分木に限定される。
【0022】
特定の特徴によれば、前記タイムアウトは、前記タイムアウトを設定する前記ノードと、前記タイムアウトが関連付けられた前記要求が宛てられる前記ノードとの間の、前記全域木内のホップ数を少なくとも考慮に入れることによって設定される。
【0023】
したがって、データを収集するのに必要とされる時間期間を更に短縮するために、要求が宛てられるノードに至るまでの要求の残りの経路、及びその応答の残りの経路に従って、タイムアウト設定が適合される。
また、本方法は、送信問題を検出するための反応もより速く、それゆえ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間が更に短縮される。
【0024】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードは、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つに既に応答したか否かを調べることと、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つにまだ応答していないときに、前記デバイスによって収集されるべき自らのデータを前記無線リンク障害報告内に含めることと、
を実行する。
【0025】
したがって、収集されることになるデータの送信を予測することによって、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間が更に短縮される。
【0026】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、前記無線リンク障害報告のうちの1つを受信すると、
前記特定された経路(複数の場合もあり)内に含まれる前記無線リンクごとのメトリックをインクリメントすることと、
前記メトリックに従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記全域木の前記経路をソートすることと、
を実行し、
前記データ収集デバイスは、前記メトリックに従ってソートされた前記経路を考慮に入れることによって、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得る。
【0027】
したがって、本発明は実施するのが容易なメトリックを用いる。
【0028】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
前記ノードがその一端である少なくとも1つの無線リンク上の送信成功確率を表す情報を前記無線メッシュ通信ネットワークの前記ノードから受信することと、
前記受信された情報に従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記各経路について送信成功確率を計算することと、
を実行し、
前記データ収集デバイスは、前記計算された確率を考慮に入れて、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得る。
【0029】
したがって、送信問題を予測することができ、データ収集デバイスは、送信問題を生じることなくデータを収集するのに成功する見込みが高くなるように要求をスケジューリングすることができる時刻、又は時間フレームをあらかじめ推定することができる。
【0030】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、経路の無線リンクごとに、
検討対象の前記無線リンクにメッセージが達するホップ数を求めることと、
伝搬遅延又は時間フレームを得るために、前記求められたホップ数に1ホップあたりの基準時間期間を乗算することと、
前記要求のうちの1つ又は前記要求のうちの1つに対する応答のいずれかを送信するために前記無線リンクが使用されることになる時刻又は時間フレームを、前記要求の送信がスケジューリングされた時刻と前記得られた伝搬遅延又は時間フレームとに基づいて求めることと、
前記無線リンクが使用されると判断されるときの送信成功確率を、送信成功確率を表す前記受信された情報から求めることと、
を実行することによって、前記送信成功確率を計算することを実行する。
【0031】
したがって、データ収集デバイスは、上記経路を作成する無線リンクを経由する送信の成功確率から導出された経路を経由する送信の成功確率を用いることによって、スケジューリングシーケンスを最適に変更することができる。
【0032】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
チャネル推定値又はチャネル品質インジケータを経路の各ノードから周期的に受信することと、
前記受信されたチャネル推定値と該受信されたチャネル推定値の経時変化(aging)とに基づいて、チャネル予測を実行することと、
を実行する。
【0033】
特定の特徴によれば、少なくとも1つの無線リンクについて送信成功確率を表す情報を与えるために、各ノードは、所与のメッセージを送信した後に、
前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第1のパラメーターを更新することと、
前回送信するのに失敗したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第2のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信に成功するときに、前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第3のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信が成功するときに、前回送信するのに失敗したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第4のパラメーターを更新することと、
を実行する。
【0034】
本発明は、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するためのデバイスであって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行される、デバイスにも関する。
本デバイスは、
前記全域木の経路ごとのメトリックを得る手段であって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得る手段と、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定する手段と、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信する手段であって、該各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信する手段と、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新する手段と、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更する手段と、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続ける手段と、
を備える。
【0035】
また、本発明は、少なくとも1つの実施の形態において、通信ネットワークからダウンロードすることができ、かつ/又はコンピューターによって読み取られてプロセッサによって実行されることができる媒体上に格納することができるコンピュータープログラムにも関する。このコンピュータープログラムは、該プログラムがプロセッサによって実行されるときに、種々の実施の形態のうちのいずれか1つにおいて上述の方法を実施するための命令を含む。
【0036】
また、本発明は、格納された情報がコンピューターによって読み取られてプロセッサによって実行されるときに、種々の実施の形態のうちのいずれか1つにおいて上述の方法を実施するための、プロセッサによって実行することができる1組の命令を含むコンピュータープログラムを格納する情報記憶手段にも関する。
【0037】
デバイス及びコンピュータープログラムに関する特徴及び利点は、対応する上述の方法に関して既に言及されたのと同一であるので、ここでは繰り返されない。
【0038】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。該説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワークの第1のアーキテクチャを表す概略図である。
【図2】本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワークの第2のアーキテクチャを表す概略図である。
【図3】図1の無線メッシュ通信ネットワークにおいて規定される全域木を表す概略図である。
【図4A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのコンセントレーターデバイスのアーキテクチャを表す概略図である。
【図4B】図2の無線メッシュ通信ネットワークのサーバーデバイスのアーキテクチャを表す概略図である。
【図4C】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターのアーキテクチャを表す概略図である。
【図5A】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第1のアルゴリズムを表す概略図である。
【図5B】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第2のアルゴリズムを表す概略図である。
【図5C】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第3のアルゴリズムを表す概略図である。
【図6】図1若しくは図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターによって、又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのコンセントレーターデバイスによって実行されるアルゴリズムを表す概略図である。
【図7A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図7B】スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするめの変更されたシーケンスを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明は、スマートメーターの無線メッシュ通信ネットワークの展開の範囲において本発明を詳述するが、以下に詳述される原理は、他の種類の無線メッシュ通信ネットワークの展開においても同じように適用することができる。例えば、以下に詳述される原理は、フェムトセルの展開、すなわち、通常、家又は小規模の事務所において用いるために設計され、屋内、特に拡張しなければアクセスが制限されるか又は利用不可能である場所にサービスプロバイダーがサービスエリアを拡張できるようにするセルラー基地局の展開においても同じように適用することができる。
【0041】
図1は、本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワーク100の第1のアーキテクチャを概略的に表す。
【0042】
無線メッシュ通信ネットワーク100は、コンセントレーターデバイス110(concentrator device)と、スマート計量デバイスとも呼ばれる1組のスマートメーターとを備える。図1には、7つのスマートメーター120iが示される。ただし、i=a,b,...,gである。無線メッシュ通信ネットワーク100内には、異なる複数のスマートメーターが存在する場合もある。通信ネットワーク100は、クラスターとも呼ばれる。
【0043】
コンセントレーターデバイス110及びスマートメーターは、ノード、通信ノード、又はネットワークノードとも呼ばれる場合がある。
【0044】
無線メッシュ通信ネットワーク100のデバイスは、半二重無線通信を用いることが好ましい。しかしながら、無線メッシュ通信ネットワーク100のデバイスは、全二重無線通信を用いることもできる。
【0045】
そのような無線メッシュ通信ネットワークは、スマートメーターをアドホックに展開するのに特に適応している。
【0046】
電力消費及び放射を制限するために、無線メッシュ通信ネットワーク100内のデバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク100内の任意の他のデバイスと直接通信することはできない。無線メッシュ通信ネットワーク100内の各デバイスは通常、無線メッシュ通信ネットワーク100内の幾つかの他のデバイスだけと直接通信することができる。それは、これらの幾つかの他のデバイスに関して、同期信号、メッセージ、そして更に一般的にはデータを交換するための無線リンクを設定するのに、送信信号強度が十分に高い(例えば、所定のしきい値より高い)とみなされることを意味する。
【0047】
それゆえ、無線メッシュ通信ネットワーク100の各デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク100の少なくとも1つの他のデバイスと直接通信することができる。
【0048】
互いに直接通信する無線メッシュ通信ネットワーク100の2つのデバイスは、隣接するデバイスである。
【0049】
無線メッシュ通信ネットワーク100の任意の1組のデバイス(any couple of devices)は、直接又は間接的に(すなわち、無線メッシュ通信ネットワーク100の少なくとも1つの他のデバイスを介して)互いに通信することができる。より詳細には、各スマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)は、直接又は間接的にコンセントレーターデバイス110と通信することができる。
【0050】
図1では、可能な直接通信(以下、無線リンクと呼ぶ)は、関係するデバイス間のそれぞれの直線によって例示的に表されている。
例えば、コンセントレーターデバイス110は2つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスはスマートメーター120a、120bである。スマートメーター120aは2つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスはスマートメーター120c及びコンセントレーター110である。スマートメーター120bは3つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスは、スマートメーター120c、120d及びコンセントレーターデバイス110である。
図1は、無線メッシュ通信ネットワーク100内の他の実現可能な直接通信も例示的に示すが、ここではそれらの直接通信は更には詳述されない。
【0051】
無線メッシュ通信ネットワーク100内の通信は、CSMA(キャリアセンス多元接続(Carrier sense multiple access))を用いて実行されることが好ましい。無線メッシュ通信ネットワーク100内の通信は、TDMA、FDMA又はCDMA(符号分割多元接続(Code Division Multiple Access))を用いて実行することもできる。
隣接するノード間の通信プロトコルは、2つの隣接するノード間に通信障害があると判断する前に何度か送信を試みることができるようにするために、肯定応答(ACK)及び否定応答(NACK)を含むことができる。通常、そのような肯定応答に基づくプロトコルは、MAC(媒体アクセス制御(Medium Access Control))層において実行される。
【0052】
無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内で、コンセントレーターデバイス110はデータ収集デバイスとしての役割を果たす。
コンセントレーターデバイス110は、例えば、統計を得るために並びに/又は監視及び/若しくは課金のために、スマートメーターによって与えられるデータを収集し、収集されたデータを処理する。
そのようなデータを収集するために、コンセントレーターデバイス110は、上記データをコンセントレーターデバイス110に与えるように上記スマートメーター120iに要求するために、各スマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)に要求を送信する。その要求に応答して、各スマートメーター120iは、上記要求されたデータを含む応答を送信する。要求されたデータは、例えば、水、ガス又は電気エネルギーの測定中にスマートメーター120iによって得られた計量データである。
コンセントレーターデバイス110は、状態情報、測定履歴又はエラー報告のような他の種類のデータをスマートメーターに要求することもできる。
【0053】
図2は、本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワーク200の第2のアーキテクチャを概略的に表す。
【0054】
無線メッシュ通信ネットワーク200は、サーバーデバイス230と、1組のコンセントレーターデバイスとを備える。図2には、3つのコンセントレーターデバイス110m(ただし、m=a、b又はc)が示される。無線メッシュ通信ネットワーク200内に異なる複数のコンセントレーターデバイスが存在する場合もある。
【0055】
各コンセントレーターデバイス110mはサーバーデバイス230と直接通信する。コンセントレーターデバイス110mとサーバーデバイス230との間の通信は、RFC791仕様書によって詳述されているようなインターネットプロトコル(IP)を用いて実行されることが好ましく、有線又は無線のいずれかとすることができる。
【0056】
各コンセントレーターデバイス110mはクラスター100m(ただし、m=a、b又はc)の一部であり、クラスターは図1に示される無線メッシュ通信ネットワーク100に対応する。コンセントレーターデバイス110mは、サーバーデバイス230と、上記コンセントレーターデバイス110mがそれぞれ属する個々のクラスター100mのスマートメーターとの間のゲートウエイとしての役割を果たす。
【0057】
図2に示されるアーキテクチャにおいて、各スマートメーターはただ1つのクラスターに属し、単一のコンセントレーターデバイス110mを介してサーバーデバイス230と通信する。
【0058】
図2に示されるアーキテクチャでは、クラスター100mは、スタートポロジーネットワークを用いて、それぞれのコンセントレーターデバイス110mを介してサーバーデバイス230に接続されている。
【0059】
サーバーデバイス230は、コンセントレーターデバイス110mを介して、任意のスマートメーターにコマンドを送信することができる。そのようなコマンドは、例えば、スマートメーターに或る報告を要求するためのコマンド、スマートメーターによって監視されるシステムのシャットダウンを指示するためのコマンド、スマートメーターのソフトウェアを更新するためのコマンド等である。
【0060】
メッシュ通信ネットワーク200の範囲内で、サーバーデバイス230はデータ収集デバイスとしての役割を果たす。それゆえ、サーバーデバイス230は、各スマートメーターに要求を送信して、収集されるべきデータを集める。
【0061】
データ収集デバイスは、それが無線メッシュ通信ネットワーク100のコンセントレーターデバイス110に対応するにしても、又は無線メッシュ通信ネットワーク200のサーバーデバイス230に対応するにしても、収集されるべきデータを収集段階のシーケンスに従って集める。これらの収集段階中に交換されるメッセージは、全域木(spanning tree)に沿って、無線メッシュ通信ネットワーク100又は200内を伝搬される。
【0062】
そのシーケンスは、図5に関して以下に詳述されるように、動的調整(dynamic adjustments)を受ける。
そのような調整は、全域木のいかなる変更も回避して、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮することを目的とする。
しかしながら、データを収集するためにスマートメーターと通信するのに失敗した試みが所定の回数に達した場合には、データ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワークにわたるデータルーティングを変更すること、すなわち、全域木を変更することを決定することができる。
【0063】
図3は、無線メッシュ通信ネットワーク100において規定される全域木を概略的に表す。無線メッシュ通信ネットワーク200のクラスター100a、100b、100cの場合にも同じように全域木を規定することができる。無線メッシュ通信ネットワーク200全体に対して、1つの全域木を規定することもできる。
【0064】
スマートメーターによって与えられるデータを収集するために、データ収集デバイスはそのような全域木を用いる。言い換えると、データ収集デバイスによってスマートメーターに送信される要求、及びスマートメーターによってデータ収集デバイスにそれぞれ送信される応答は、その全域木に沿って伝搬する。
【0065】
図3に示される全域木は、無線メッシュ通信ネットワーク100の無線リンクのサブセット(a subset)からなる。各全域木は根ノード(root node)を含む。全域木の根ノードはデータ収集デバイス、すなわち、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内のコンセントレーターデバイス110である。全域木は、無線メッシュ通信ネットワーク100の全てのノードがその全域木内に存在するが、ループが形成されないように規定される。
【0066】
図3に示される全域木によれば、コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120bを介してスマートメーター120dと通信する。
コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120aを介してスマートメーター120cと通信する。
コンセントレーターデバイス110はスマートメーター120a及び120cを介してスマートメーター120gと通信する。
コンセントレーターデバイス110は同じくスマートメーター120a及び120cを介してスマートメーター120eと通信する。
コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120a、120c及び120eを介してスマートメーター120fと通信する。
【0067】
全域木内の各無線リンクは、親ノードと子ノードとの間に設定される。親ノードは、全域木の根に達するのに必要とするホップ数がより少ないノードである。例えば、スマートメーター120aと120cとの間の無線リンクについて考えると、スマートメーター120aは親ノードであり、スマートメーター120cは子ノードである。
【0068】
無線メッシュ通信ネットワーク100の各ノードは使用中の全域木を認識している。各ノードは、全域木において、自らと、自らの子部分木と、自らの親とを含む全域木部分のみを認識している場合もある。
1つのノードに関連する子部分木は、全域木のうち、検討対象のノードの全ての子ノードと、存在する場合にはそれぞれの子部分木とを含む部分を指している。例えば、図3に示される全域木では、ノード120cの子部分木は2つの枝を含み、第1の枝はノード120gを含み、第2の枝はノード120e及びその子ノード120fを含む。
親ノードと子ノードとの間の1つの無線リンクに関連する子部分木は、全域木のうち、上記子ノードと、存在する場合には上記子ノードの子部分木とを含む部分を指している。例えば、図3に示される全域木では、ノード120aと120cとの間の無線リンクの子部分木は、ノード120cと、2つの枝とを含み、第1の枝はノード120gを含み、第2の枝はノード120e及びその子ノード120fを含む。
【0069】
全域木は、その全域木の根ノードであるデータ収集デバイスと、無線メッシュ通信ネットワークの任意の他のノードとの間の経路を規定する。各経路は、各無線リンクがチャネル条件に関して双方向的であるときに、データ収集デバイスから検討対象のスマートメーターまでの連続的な無線リンクのみからなることができる。無線リンクがチャネル条件に関して双方向的でないときに、経路は、サーバーデバイス230から関係するスマートメーターまで、及び関係するスマートメーターからサーバーデバイス230までの連続的な無線リンクからなることができる。
【0070】
無線メッシュ通信ネットワークから全域木を構築するために、当業者によって数多くのアルゴリズム及びプロトコルが知られている。本発明は動的に変化する全域木との関連で実施することができるが、それは、無線メッシュ通信ネットワークのノード間のルーティングを制限し、更にはそのルーティングの変更を回避することを目的としており、それゆえ、全域木はあらかじめ設定することができる。それゆえ、全域木の構築は本明細書において更に詳述されることはない。
【0071】
図4Aは、コンセントレーターデバイス110のアーキテクチャを概略的に表す。コンセントレーターデバイス110は、図2に関連する任意のコンセントレーターデバイス110m(ただし、m=a、b又はc)に対応することができる。
【0072】
図示されるアーキテクチャによれば、コンセントレーターデバイス110は、通信バス306によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU(中央処理装置)300と、RAM(ランダムアクセスメモリ)301と、ROM(読出し専用メモリ)302と、SD(セキュアデジタル)カードリーダー303、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように構成される任意の他のデバイスと、第1の通信インターフェース304及び第2の通信インターフェース305とを備える。
【0073】
第1の通信インターフェース304によって、コンセントレーターデバイス110は、無線メッシュ通信ネットワーク100内の隣接するスマートメーターと無線通信できるようになる。
【0074】
第2の通信インターフェース305によって、コンセントレーターデバイス110は、サーバー230と通信できるようになる。
【0075】
CPU300は、ROM302又はSDカードのような外部メモリからRAM301の中にロードされた命令を実行することができる。コンセントレーターデバイス110の電源投入後に、CPU300は、RAM301から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、コンセントレーターデバイス110がデータ収集デバイスとしての役割を果たすときに、図6又は図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップをCPU300に実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0076】
図6又は図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、コンセントレーターデバイス110がデータ収集デバイスとしての役割を果たすときに、PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)のような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0077】
図4Bは、サーバーデバイス230のアーキテクチャを概略的に表す。
【0078】
図示されるアーキテクチャによれば、サーバーデバイス230は、通信バス316によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU310と、RAM311と、ROM312と、HDD(ハードディスクドライブ)313、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように構成される任意の他のデバイスと、通信インターフェース314と、を備える。
【0079】
通信インターフェース314によって、サーバーデバイス230は、コンセントレーターデバイス110a、110b、110cと通信できるようになる。
【0080】
CPU310は、ROM312、又はHDD313のような外部メモリからRAM311の中にロードされた命令を実行することができる。サーバーデバイス230の電源投入後に、CPU310は、RAM311から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、CPU310に、図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップを実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0081】
図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC、DSP又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA又はASICのような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0082】
図4Cは、スマートメーター120のアーキテクチャを概略的に表す。スマートメーター120は、図1に関連する任意のスマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)に対応する。
【0083】
図示されるアーキテクチャによれば、スマートメーター120は、通信バス406によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU400と、RAM401と、ROM402と、SDカードリーダー403、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように構成される任意の他のデバイスと、通信インターフェース404と、計量インターフェース405とを備える。
【0084】
第1の通信インターフェース404によって、スマートメーター120は無線メッシュ通信ネットワーク100又は200内の任意の隣接するデバイスと無線通信できるようになり、上記隣接するデバイスは別のスマートメーター又はコンセントレーターデバイスのいずれかである。
【0085】
計量インターフェース405によって、スマートメーター120は、監視、測定、及び電気消費量データ又は水消費量データのようなデータ収集を実行できるようになる。計量インターフェース405によって、スマートメーター120は、監視されるシステムにコマンドを送信できるようになる。
【0086】
CPU400は、ROM402、又はSDカードのような外部メモリからRAM401の中にロードされた命令を実行することができる。スマートメーターデバイス120の電源投入後に、CPU400は、RAM401から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、CPU400に、図6に関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップを実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0087】
図6に関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC、DSP又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA又はASICのような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0088】
図5Aは、データ収集デバイスによって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。データ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下において、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。
【0089】
ステップS500において、サーバーデバイス230は、全域木の経路ごとのメトリックを入手する。メトリックは上記経路の信頼性水準を表す。ステップS500の最初の発生時に、メトリックはデフォルト値に設定することもできるし、該メトリックのそれぞれの経路上の送信条件に基づいて求めることもできる。そのようなメトリックの種々の例が、図5B、図5C及び図6に関して以下に説明される。
【0090】
次のステップS501において、サーバーデバイス230は、ステップS500において得られたメトリックに従って、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。全てのメトリックが同じ値に初期化される場合には、サーバーデバイス230は、そのシーケンスを任意に規定することもできるし、デフォルトシーケンスを適用することもできる。
【0091】
サーバーデバイス230は、一度に1つのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することが好ましい。それは、サーバーデバイス230が、別の要求を開始する前に、1つの要求に対する応答又は送信障害通知を受信するのを待つことが好ましいことを意味する。
【0092】
しかしながら、サーバーデバイス230は、一度に全てではないが、一度の幾つかのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することもできる。
第1の例によれば、図3に示される全域木において、サーバーデバイス230は、スマートメーター120c、120e、120f及び120gに対して、収集されるべきデータを同時に要求することができ、それらのスマートメーターはスマートメーター120aの子部分木内にある。
これを果たすために、サーバーデバイス230は、上記データの収集要求を送信することができ、該要求は、その要求が全域木の或る部分に関するデータの収集に関係していること示す要求識別子と、スマートメーター120cの識別子とを含む。
スマートメーター120cがそのような要求を受信すると、スマートメーター120cは、その要求をスマートメーター120gに、及びスマートメーター120eに転送し、サーバーデバイス230に向かって、自らのデータを含む応答を送信する。
それゆえ、サーバーデバイス230は、全域木の一部に対して、収集されるべきデータを要求することができ、その部分は所与のノードの子部分木内、又は所与のリンクの子部分木内にある全てのノードに対応する。
第2の例によれば、図3に示される全域木において、サーバーデバイス230は、スマートメーター120dに対して、収集されるべきデータを要求することができ、その後、スマートメーター120dからのいかなる応答も待つことなく、スマートメーター120fに対して、収集されるべきデータを要求することができる。
それゆえ、サーバーデバイス230は、重なり合うデータ収集段階において、全域木の異なる分岐内のスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することができる。
全域木の異なる分岐内のスマートメーターに宛てることは、それぞれの経路が共通の無線リンクを共有するスマートメーターに対してデータを要求することに比べて、データ送信中に起こり得る送信衝突を制限する。
【0093】
以下に、サーバーデバイス230が、一度に1つのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求する場合について考える。
【0094】
例えば、サーバーデバイス230は、図7Aに示されるようなスケジューリングシーケンスを決定する。
【0095】
図7Aは、
−スマートメーター120aに対してデータを要求するためのデータ収集段階700aと、その後に、
−スマートメーター120bに対してデータを要求するためのデータ収集段階700bと、その後に、
−スマートメーター120cに対してデータを要求するためのデータ収集段階700cと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、その後に、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、を含むスケジューリングシーケンスを示す。
【0096】
各データ収集段階700i(ただし、i=a,b,...,g)は、収集デバイスからスマートメーター120iへのデータ収集要求のダウンリンク送信と、スマートメーター120iから収集デバイスへの、上記データ収集要求に対する応答のアップリンク送信とを含む。メッセージの「ダウンリンク」送信及び「アップリンク」送信という用語は、全域木の根ノードの位置に対する全域木に沿ったメッセージの伝搬に関連して用いられ、すなわち、根ノードに向かって伝搬するメッセージは「アップリンク」送信であるとみなされ、逆方向に伝搬するときに、「ダウンリンク」送信であるとみなされる。
【0097】
次のステップS502において、サーバーデバイス230は、ステップS501において決定されたスケジューリングシーケンスに従って、要求を順次に送信し始める。例えば、データ収集段階700aに対応する応答がサーバーデバイス230によって受信されたときに、図7Aのスケジューリングシーケンスに従って、シーケンス内の次の要求がスマートメーター120bに宛てられる。
【0098】
全域木に沿ってサーバーデバイス230によって送信される各データ収集要求は、少なくとも1つの識別子と、その要求が宛てられる単数又は複数のスマートメーターの識別子とを含むメッセージである。前者の少なくとも1つの識別子は、そのメッセージがそのようなデータ収集要求であることを示すとともに、応答においてどのタイプのデータを収集することが期待されているかを示している。
【0099】
次のステップS503において、サーバーデバイス230は、全域木の少なくとも1つの無線リンクの信頼性についての情報を入手する。そのような情報は、例えば、図5Bに関して以下に詳述されるような、無線リンク障害の指示(インジケーション)である。そのような情報は、例えば、図5Cに関して以下に説明されるような、無線リンク障害の確率、又は無線リンク障害時間フレームの推定値、又は無線リンク成功時間フレームの推定値、又はそれらの値を求められるようにするパラメーターである。
【0100】
信頼性について得られた情報によって、サーバーデバイス230は、無線メッシュ通信ネットワーク200内の、より詳細には全域木内に含まれる無線リンクについての送信条件の変動を特定できるようになる。
【0101】
次のステップS504において、サーバーデバイス230は、ステップS503において信頼性についての情報が得られた無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。
【0102】
次のステップS505において、サーバーデバイス230は、ステップS503において受信された信頼性についての情報を考慮に入れることによって、ステップS504において特定された経路ごとのメトリックを更新する。
【0103】
次のステップS506において、サーバーデバイス230は、ステップS505において実行された更新を考慮に入れて、メトリックに基づいてスケジューリングシーケンスを変更する。変更されたスケジューリングシーケンスを決定するために、サーバーデバイス230は、データ収集段階ごとの経路信頼性を表すメトリックに従って、残りのデータ収集段階をソートする。
【0104】
例えば、サーバーデバイス230は、図7Aに示されるスケジューリングシーケンスを変更して、図7Bに示されるスケジューリングシーケンスを得る。そのスケジューリングシーケンスでは、データ収集段階700a、700b及び700cが実行に成功したものと考えられる。
【0105】
図7Bは、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、その後に、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、を含む、変更されたスケジューリングシーケンスを示す。
【0106】
変更されたスケジューリングシーケンスは、スマートメーター120cと120eとの間の無線リンク上で送信問題が検出されたことに起因する場合がある。それゆえ、最初に、スマートメーター120aと120cとの間の無線リンク上の送信問題に関係していないノードから、収集されるべきデータを要求するために、データ収集段階700e及び700fを延期し、その結果としてデータ収集段階700d及び700gを進めることによってスケジューリングシーケンスを変更し、それによりデータ収集段階が並べ替えられる。それゆえ、データを収集するのに必要な時間期間が短縮され、全てのスマートメーターからデータを収集するために必要な最小時間期間に比べて送信問題の持続時間が短いときに、全域木の変更は不要である。
【0107】
図5Aに戻ると、サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスを変更すると、ステップS502を繰り返し、それゆえ、変更されたスケジューリングシーケンスに従って要求を送信し続ける。
【0108】
図5Bは、データ収集デバイスによって実行され、図5Aに示されるアルゴリズムの第1の実施形態を概略的に表す。そのデータ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下では、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。
【0109】
ステップS510においてそのアルゴリズムは開始する。ステップS510において、サーバーデバイス230は初期化を実行し、より詳細には、ステップS500に関して既に説明されたように、全域木の経路ごとにメトリックを入手する。
【0110】
次のステップS511において、サーバーデバイス230は、ステップS501に関して既に説明されたように、ステップS510において得られたメトリックに従って、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。ステップS511において決定されるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Aに示される、既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0111】
次のステップS512において、サーバーデバイス230は、少なくとも1つの要求がまだ送信されていないか否かを調べる。少なくとも1つの要求がまだ送信されていないとき、サーバーデバイス230はステップS514を実行し、そうでない場合には、そのアルゴリズムはステップS513において終了する。
【0112】
ステップS514において、サーバーデバイス230は、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、要求を順次に送信する。
【0113】
次のステップS515において、サーバーデバイス230は、ステップS514において送信された要求に対する応答が受信されたか否かを調べる。そのような応答が受信されると、サーバーデバイス230は、関係するスマートメーターから収集されたデータを格納し、使用中のスケジューリングシーケンスに従ってシーケンス内の次の要求を送信することによって、ステップS514を繰り返す。それゆえ、その応答が受信されたスマートメーターに関係するデータ収集段階は、スケジューリングシーケンスから削除される。応答が受信されないとき、サーバーデバイス230は、ステップS516を実行する。
【0114】
ステップS516において、サーバーデバイス230は、送信問題があるか否かを調べる。そのような送信問題は、図6に関して以下に詳述されるような、無線通信ネットワークの1つのノードからサーバーデバイス230によって受信される、以下にWLFM(無線リンク障害メッセージ(Wireless Link Failure Message))と呼ばれる報告を受けて、検出することができる。そのようなWLFMは、図6に関して以下に説明されるように、ステップS613においてスマートメーター120によって送信される。そのような送信問題は、無線通信ネットワークの1つのノードからサーバーデバイス230によって受信される報告を受けて、検出される場合もあり、上記報告は、所与の無線リンクを介してデータを送信することが難しいこと、例えば、何度も再送が必要とされることを示す。
【0115】
送信問題が生じているときに、サーバーデバイス230はステップS517を実行し、そうでない場合には、サーバーデバイス230はステップS515を繰り返す。
【0116】
ステップS517において、サーバーデバイス230は、送信問題が検出された無線リンクを特定する。
【0117】
次のステップS518において、サーバーデバイス230は、ステップS516において送信問題が検出された無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。
【0118】
次のステップS519において、サーバーデバイス230は、ステップS518において特定された経路ごとのメトリックを更新する。この更新を果たすために、サーバーデバイス230は、ステップS518において特定された経路ごとのメトリックを1単位だけインクリメントする。言い換えると、メトリックは、その経路の任意の無線リンク上の障害の発生をカウントするカウンターである。それゆえ、これらのメトリックは、そのアルゴリズムがサーバーデバイス230によって開始された最初の時点で、0に設定されることが好ましい。
【0119】
その後、サーバーデバイス230は、メトリックに従って、好ましくは昇順(increasing order)で経路をソートする。その後、サーバーデバイス230は、スマートメーターからデータを収集するための残りのデータ収集段階をソートすることができ、それに応じて、次のステップS520においてスケジューリングシーケンスを変更する。その際、サーバーデバイス230は、メトリックの最も小さな値を有する経路に従う要求を最初にスケジューリングし、以下同様にスケジューリングすることによって、スケジューリングシーケンスを変更することができる。それゆえ、サーバーデバイス230は、それぞれの経路上で発生した無線リンク障害がより少ないため、最初に、成功する見込みが最も高い要求に応えることができる。
【0120】
データがまだ収集されていない各ノードに達するための全域木内の経路のみをソートすればよいことに注目することができる。
【0121】
一実施形態では、サーバーデバイス230は、所与の期間中に無線リンク障害が検出されない経路ごとにメトリックをデクリメントする。
【0122】
ステップS520において、サーバーデバイス230は、ステップS506に関して既に説明されたように、ステップS519において実行された更新を考慮に入れて、メトリックに基づいてスケジューリングシーケンスを変更する。ステップS520から生じるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Bに示される既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0123】
サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスを変更すると、ステップS512を繰り返し、それゆえ、変更されたスケジューリングシーケンスに従って要求を送信し続ける。
【0124】
図5Bのアルゴリズムは例示であり、本発明から逸脱することなく変更できることに留意されたい。より詳細には、サーバーデバイス230は、送信問題が生じたこと、又は送信問題が生じていること、又は送信問題が生じることが予想されることを調べることができる。それゆえ、前回の要求の送信時又はそれぞれの応答の送信時に送信が行なわれないが、ノード間で別のメッセージの送信中に送信問題が検出された場合に、又は無線リンク品質の低下が検出された場合に、サーバーデバイス230は使用中のスケジューリングシーケンスを変更することができる。その後、そのような送信問題、又は無線リンク品質の低下は、進行中のデータ収集段階700i(ただし、i=a,b,...,g)とは無関係に、ノードによってサーバーデバイス230に報告することができる。
【0125】
図5Cは、データ収集デバイスによって実行され、図5Aに示されるアルゴリズムの第2の実施形態を概略的に表す。そのデータ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下では、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。
【0126】
ステップS530においてそのアルゴリズムは開始する。ステップS510において、サーバーデバイス230は初期化を実行し、より詳細には、ステップS500に関して既に説明されたように、全域木の経路ごとにメトリックを入手する。
【0127】
次のステップS531において、サーバーデバイス230は、ステップS501に関して既に説明されたように、ステップS530において得られたメトリックに従って、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。ステップS531において決定されるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Aに示される、既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0128】
次のステップS532において、サーバーデバイス230は、少なくとも1つの要求がまだ送信されていないか否かを調べる。少なくとも1つの要求がまだ送信されていないとき、サーバーデバイス230はステップS534を実行し、そうでない場合には、そのアルゴリズムはステップS533において終了する。
【0129】
ステップS534において、サーバーデバイス230は、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、要求を順次に送信する。
【0130】
次のステップS535において、サーバーデバイス230は或るイベントを検出するのを待ち、そのイベントは、ステップS534の前回の発生時に要求が送信されたスマートメーター120からの応答(RESP)の受信とすることができるか、又は無線リンクの信頼性についての情報(INFO)の受信とすることができる。そのような情報は時間に依存する。
【0131】
無線リンクの信頼性についての情報(INFO)が受信されるとき、サーバーデバイスは、該情報が実効的に入手されるステップS536を実行し、その後、サーバーデバイス230はステップS537を実行する。無線リンクの信頼性についての情報は、その無線リンクを介して送信するのに成功する確率、又はそのような確率を計算できるようにするデータを表す。この確率は、時間に依存し、以下にPLiで表される。
【0132】
その要求が宛てられたスマートメーターから、その要求に対する応答(RESP)が受信されると、サーバーデバイス230は、関係するスマートメーターから収集されたデータを格納し、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、シーケンス内の次の要求を送信することによってステップS532を繰り返す。それゆえ、その応答が受信されたスマートメーターに関係するデータ収集段階は、スケジューリングシーケンスから削除される。
【0133】
ステップS537において、サーバーデバイス230は、ステップS536において信頼性についての情報が得られた無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。
【0134】
次のステップS538において、サーバーデバイス230は、ステップS537において特定された経路ごとのメトリックを更新する。この実施形態では、メトリックは、それらの経路を介して送信するのに成功するそれぞれの確率を表す。送信成功は、サーバーデバイス230から関係するスマートメーターへの要求の伝搬、及び関係するスマートメーターからサーバーデバイス230への応答の伝搬に関係していることは理解されたい。それゆえ、これらのメトリックは、そのアルゴリズムがサーバーデバイス230によって開始された最初の時点において1に設定されることが好ましい。
【0135】
サーバーデバイス230は、無線リンクが、予定通りに用いられるときに、使用できると予想されるか、使用できないと予想されるかを判断することによって、所与のスマートメーターのためのデータ収集段階が成功するはずであるか否かを判断することができる。無線リンクが、予定通りに用いられるときに使用できると予想されるか否かを判断するために、サーバーデバイス230は、
−メッセージが検討対象の無線リンクに達するホップ数を求め、
−伝搬遅延又は時間フレームを得るために、この求められたホップ数に、1ホップあたりの基準時間期間を乗算し、
−要求の送信が予定される時刻、及び得られた伝搬遅延又は時間フレームに基づいて、要求又は応答のいずれかを送信するのに無線リンクが使用されるべき時刻又は時間フレームを求め、
−ステップS536において得られた無線リンク信頼性についての情報から、その無線リンクが使用されると判断されたときの送信の成功確率を求める。
【0136】
1ホップあたりの基準時間期間値は、1つのノードによってメッセージを処理し、かつそのメッセージを上記ノードから隣接するノードに伝達するのに許される最大時間期間に対応する。1ホップあたりの基準時間期間値は、サーバーデバイス230によって与えることもできるし、スマートメーター120の隣接するノードとの送信の長期的な統計値に基づいて、スマートメーター120自体によって推定することもできる。
【0137】
それゆえ、サーバーデバイス230は、送信性能予測に基づいて、データ収集段階のための成功確率を求めることができる。
サーバーデバイス230から第jのノードまでの経路Rjが、無線リンクL1、L2、...、LNの連鎖であり、無線リンクL1、L2、...、LNの一連のインデックスによって表すことができると考え、そして、Tが、計算が実行される時刻と、サーバーからデータ収集コマンドが送信される場合がある時刻又は時間フレームとの間の相対的な時間差であると考え、そして、PLi(x)が、無線リンクLiが時刻xにおいて使用できる確率を定義すると考えると、データ収集段階を成功させるための経路Rjの確率P(Rj,T)は以下の通りである。
【数1】
ただし、dLiは、任意のメッセージを処理するのに許される最大時間期間、及び無線リンクを介してメッセージを伝達するのに許される最大時間を含む、無線リンクLiの既知の送信レイテンシ(latency)を表す。
【0138】
将来の時刻又は時間フレームにおけるノードjのデータ収集の成功確率P(Rj,T)は、少なくとも1つのノード及び少なくとも1つの将来の時刻に対して計算される。
【0139】
その後、サーバーデバイス230は、Tによって表される将来の送信時刻又は時間フレームごとに、メトリックに従って、好ましくは降順で経路をソートする。その後、サーバーデバイス230は、スマートメーターからデータを収集するための残りのデータ収集段階をソートすることができ、それに応じて、スケジューリングシーケンスを変更する。その後、サーバーデバイス230は、メトリックの最も小さな値を有する経路に従う要求を最初にスケジューリングし、以下同様にスケジューリングすることによって、スケジューリングシーケンスを変更することができる。それゆえ、サーバーデバイス230は、それぞれの経路上での無線リンク障害の確率がより低いので、成功する見込みが最も高い要求に最初に応えることができる。
【0140】
次のステップS539において、サーバーデバイス230は、ステップS506に関して既に説明されたように、ステップS538において実行された更新を考慮に入れて、メトリックに基づいてスケジューリングシーケンスを変更する。ステップS539から生じるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Bに示される既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0141】
図5Cには示されないが、所定の時間期間後に、ステップS534の前回の発生時に要求が送信されたスマートメーター120から応答(RESP)が受信されていないときにも、スケジューリングシーケンスを変更することができる。その際、データがまだ収集されていないスマートメーターのための経路をソートし、新たなスケジューリングシーケンスを規定するために、最新のメトリックが用いられる。
【0142】
さらに、図5Cには示されないが、応答(RESP)の受信は、サーバーデバイス230と、関係する要求が宛てられたスマートメーターとの間の経路の無線リンクの信頼性についての情報と解釈することができる。その際、メトリックはそれに応じて更新することができ、それゆえ、上記無線リンクの使用可能レベルが上昇したこと、又はデフォルトレベルに戻されたことを表すことができる。
【0143】
本明細書において上記で言及された確率PLi(x)を求めることに関して、以下に2つの実施形態が提示される。
【0144】
PLi(x)を求めるための第1の実施形態によれば、Pe(SNRdB)を、無線メッシュ通信ネットワーク100又は200において適用される変調及び符号化方式のデジベル単位の信号対雑音比の関数としての性能を表すものとする。また、付加白色ガウス雑音(AWGN(Additive White Gaussian Noise))チャネルモデルについて考えるものとする。
チャネルが、例えば、低速のフェージングチャネル上でシングルキャリア変調を用いるときに当てはまる、シングルパス相当のフェージングチャネルである場合には、送信障害の平均確率はPe(SNRdB+adB)と表すことができる。ただし、adBはチャネル減衰である。チャネル減衰が、チャネルを追跡できるほど十分に低速で変化する場合には、誤りの確率を予測することができる。
【0145】
サーバーデバイス230がチャネル予測を実行するとき、サーバーデバイス230は、
−各ノードからチャネル推定値、又はチャネル品質インジケータ(CQI(Channel Quality Indicators))を周期的に入手し、
−受信されたチャネル推定値及びその経時変化に基づいてチャネル予測を実行する。
【0146】
そのようなチャネル予測の一例が以下に示される。
【0147】
チャネル推定値、又はチャネル品質インジケータ(CQI)は、サーバーデバイス230によって明確に要求されることなく、スマートメーターによって定期的に与えることができる。
【0148】
PLi(x)を計算するために、サーバーデバイス230は、K個の先行する推定時刻tLi,1、...、tLi,kにおける推定値CLi,kを考慮し、関数f(x,tLi,1,CLi,1,...,tLi,K,CLi,K)の結果として予測を計算する。
その関数は、例えば、カルマンフィルタの1つの実現態様とすることができる(例えば、Mikael Sternad及びDaniel Aronssonによる「Channel estimation and prediction for adaptive OFDM downlinks」(Vehicular Technology Conference, 2003. VTC 2003-Fall. 2003 IEEE 58th)又はTao Jiang、Nicholas D.Sidiropoulos、及びGeorgios B. Giannakisによる「Kalman Filtering for Power Estimation in Mobile Communications」(IEEE Trans. Wireless Commun.)を参照されたい)。
【0149】
その後、サーバーデバイス230は、チャネル推定値から等価減衰adB(Li,x)を推定する。減衰adB(Li,x)自体は追跡し、予測することができる。
【0150】
その後、サーバーデバイス230は、Pe(SNRdB+adB)を計算し、これは予測される誤り率である。
【0151】
チャネル予測は、xとti,Kとの間の差がチャネルコヒーレント時間に対して長いとき、性能が良くない場合がある。それゆえ、サーバーデバイス230は、チャネル予測の尤度を考慮に入れるように、重み関数W(z)を適用することができる。
【0152】
例えば、重み関数W(z)は以下のように定義することができる。
【数2】
ただし、μ(Li)は、以下となるように、リンクLiのチャネルコヒーレンス時間に適応することができる忘却因子である。
【数3】
【0153】
PLi(x)を求めるための第2の実施形態は、無線リンクLi上でMAC層によって検出された送信障害/成功に基づくメトリックに注目する。これにより、PLi(x)を求める場合に、第1の実施形態に比べて、交換される情報量を削減できるようになる。
【0154】
無線リンクLi上でノードがメッセージを送信するたびに、そのノードはパラメーターgs(xs,Li)を更新し、無線リンクLi上でノードがメッセージの送信に成功するたびに、そのノードはパラメーターfs(xs,Li)を更新する。ただし、xsは、無線リンクLi上で前回送信するのに成功したパケットからの持続時間である。それゆえ、パラメーターgs(xs,Li)は、前回送信するのに成功したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表し、パラメーターfs(xs,Li)は、2つの成功したメッセージ送信間に経過した時間期間の分布を表す。
【0155】
無線リンクLi上でノードがメッセージを送信するたびに、そのノードはパラメーターgf(xf,Li)を更新し、無線リンクLi上でノードがメッセージを送信するのに成功するたびに、そのノードはパラメーターff(xf,Li)を更新する。ただし、xfは無線リンクLi上で前回送信するのに失敗したパケットからの持続時間である。それゆえ、パラメーターgf(xf,Li)は、前回送信するのに失敗したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表し、パラメーターff(xf,Li)は、或るメッセージの送信失敗と、次のメッセージの送信成功との間に経過した時間の分布を表す。
【0156】
その際、前回成功した送信又は前回失敗した送信からの時間期間に基づいて、確率PLi(x)を以下のように定義することができる。
【数4】
【数5】
である。ただし、xは、確率PLi(x)が求められた時刻を表し、xlastはメッセージの前回の送信が実行された時刻を表す。
【0157】
送信されたメッセージの代わりに、受信されたメッセージに関しても同じ手法を用いることができる。
【0158】
図6は、無線メッシュ通信ネットワーク100若しくは200のスマートメーター120によって、又は無線メッシュ通信ネットワーク200のコンセントレーターデバイス110によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。以下では、そのアルゴリズムがスマートメーター120によって実行される場合について考える。そのアルゴリズムはステップS600において開始する。
【0159】
次のステップS601において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230から要求を受信する。その要求は、サーバーデバイス230から直接受信することもできるし、スマートメーター120の親ノードを介して間接的に受信することもできる。
【0160】
次のステップS602において、スマートメーター120は、その要求が正しく受信されたか否かを調べる。例えば、スマートメーター120は、その要求内に含まれるCRC(巡回冗長検査)フィールドを用いてその要求の整合性を調べる。その要求が正しく受信される場合には、スマートメーター120はステップS605を実行する。そうでない場合には、スマートメーター120はステップS603を実行する。
【0161】
ステップS603において、スマートメーター120は、全域木内の親ノードを介して、サーバーデバイス230に無線リンク障害メッセージ(WLFM)を送信する。送信されたWLFMは、その要求がスマートメーター120によって正しく受信されなかったことを示す。それゆえ、WLFMは、送信障害が検出された無線リンクを特定する。その後、アルゴリズムはステップS615において終了する。
【0162】
WLFMメッセージはサーバーデバイス230と無線メッシュ通信ネットワークのノードとの間のシグナリングメッセージであり、既に説明されたような、MAC層において2つの隣接するノード間で送信される場合があるACK/NACKとは異なることに留意されたい。
【0163】
ステップS605において、スマートメーター120は受信された要求が自らに宛てられたか、又はスマートメーター120の子部分木内に位置するスマートメーターに宛てられたかを調べる。スマートメーター120は、この情報をスマートメーターの識別子から、又はステップS502においてサーバーデバイス230によって送信された要求に含まれる、その要求が宛てられたスマートメーターから入手する。全域木、又は少なくとも自らと、自らの親ノードと、自らの子部分木とを含む全域木の部分を認識しているスマートメーター120は、その要求が、自らに宛てられたか、別のスマートメーターに宛てられたかを、かつその別のスマートメーターが自らの子部分木内に位置するか否かを特定することができる。受信されたメッセージが自らに宛てられたとき、スマートメーター120は、ステップS606を実行する。そうでない場合には、スマートメーター120はステップS607を実行する。
【0164】
ステップS606において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230によって要求されたデータを検索し、検索されたデータを含む応答を構成し、その応答を自らの親ノードに送信する。その後、そのアルゴリズムはステップS615において終了する。
【0165】
ステップS607において、スマートメーター120は、要求が宛てられたスマートメーターに達するためのホップ数を求める。スマートメーター120が全域木を、それゆえ、全域木内の各ノードの位置を認識しているとき、スマートメーター120は上記ホップ数を求めることができる。
【0166】
次のステップS608において、スマートメーター120は、タイムアウトを設定する。このタイムアウトはステップS601において受信された要求に関連付けられる。このタイムアウトの持続時間は、少なくともステップS607において求められたホップ数に従って計算される。スマートメーター120は、タイムアウトの持続時間を計算するために、1つのノードから隣接するノードまでの最大送信時間、1つのノードから隣接するノードまでの許される最大再送回数、及び1つのノードにおいて許される最大メッセージ処理時間期間を考慮に入れることができる。
【0167】
好ましい実施形態では、スマートメーター120は、求められたホップ数に、既に言及された1ホップあたりの基準時間期間値を掛けることによってタイムアウト持続時間を得る。
【0168】
次のステップS609において、スマートメーター120は、受信された要求を、受け手、すなわち、ステップS502においてサーバーデバイス230によって送信された要求において特定されるスマートメーターに向かって転送する。それゆえ、スマートメーター120は、受信された要求を、全域木に従って受け手に向かう途中にある次のスマートメーターに転送する。ただし、次のスマートメーター自体が受け手である場合もある。
【0169】
次のステップS610において、スマートメーター120は或るイベントを検出するのを待ち、そのイベントは、ステップS609において実行された送信が失敗したというMAC層からの指示(MAC_ERR)の受信、WLFMの受信、要求に対する受け手からの応答(RESP)の受信、又はステップS608において設定されたタイムアウト(TO)の満了とすることができる。
【0170】
図6のアルゴリズムが実施されたスマートメーター120の層が、スマートメーター120のMAC層から、中継しようと試みられた要求がその応答において少なくとも1つの否定応答を生成したことを示す通知(MAC_ERR)を受信するとき、ステップS613が実行される。
【0171】
ステップS609において転送された要求が、スマートメーター120からその要求の受け手までの途中にある1つのスマートメーターによって正しく受信されないとき、又はその要求に対する応答が、その要求の受け手からスマートメーター120までの途中にある1つのスマートメーターによって正しく受信されないとき、又は所定の時間期間内に、その要求の受け手からスマートメーター120までの途中にある1つのスマートメーターによって応答もWLFMも受信されなかったときに、スマートメーター120によってWLFMが受信される。WLFMが受信されると、スマートメーター120はステップS612を実行する。
【0172】
ステップS608において設定されたタイムアウトは、ステップS609において転送された要求の受け手に向かう途中にある次のスマートメーターから、又は次のスマートメーターを介して、RESPもWLFMも受信されないときに満了する。タイムアウトが満了するとき、それは、その要求が中継された無線リンク上で、又はこの無線リンクの子部分木内で送信障害が検出されることを意味する。ステップS608において設定されたタイムアウトは、送信障害が生じた無線リンクを特定する精度を高めるために、タイムアウトが満了する前に、受け手に向かう経路上にある子部分木のいずれかのノードからそのようなWLFMを受信することを可能にするように適合されることが好ましい。その結果として、スマートメーター120は、ステップS613を実行する。
【0173】
受け手から要求に対する応答(RESP)が受信されると、スマートメーター120はステップS614を実行する。
【0174】
ステップS612において、スマートメーター120は、受信されたWLFMを、スマートメーター120の親ノードを介してサーバーデバイス230に向かって転送し、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0175】
ステップS613において、スマートメーター120は、WLFMを生成し、そのWLFMを、スマートメーター120の親ノードを介してサーバーデバイス230に向かって送信し、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0176】
スマートメーター120によって生成されたWLFMは、1つの要求、又は該要求に対する応答の送信中に、スマートメーター120の子部分木に対応する全域木の部分において生じた送信障害を表す。その際、WLFMは、スマートメーター120が上記要求の中継を試みた無線リンクのインジケーションを含む。検出されたリンク障害によって影響を受ける全域木の経路は、特定された無線リンクの子部分木のいずれかのノードを含む経路である。
【0177】
それゆえ、WLFMは、送信障害が検出された無線リンクを特定するが、WLFMは特定された無線リンクの子部分木の別の無線リンク上で生じた場合もある。
【0178】
スマートメーター120がサーバーデバイス230に向かってWLFMを送信すると、ステップS615においてそのアルゴリズムは終了する。
【0179】
好ましい実施形態では、サーバーデバイス230によって収集されることになり、かつスマートメーター120によって与えられることになるデータが、スマートメーター120によってサーバーデバイス230にまだ与えられていない場合には、スマートメーター120によって生成又は転送されるWLFMは、そのデータも含む。これにより、サーバーデバイス230によってスマートメーター120に明確に宛てられた要求を受信するのを待つことに比べて、プロトコルオーバーヘッドを制限できるようになり、サーバーデバイス230によってデータを収集するための全レイテンシが短縮される。
【0180】
ステップS614において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230に向かって応答(RESP)を転送する。その結果として、ステップS608において設定されたタイムアウトは無効にされる。その後、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には無線メッシュ通信ネットワークにおいてデータを収集することに関し、より詳細には、伝送条件の変動を受ける無線メッシュ通信ネットワークにおいてそのようなデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮することに関する。
【背景技術】
【0002】
無線センサーネットワーク(WSN:Wireless Sensor Network)は、自己構成性があり、かなり安価であり、エネルギー制御、環境監視、産業オートメーション等の非常に広範囲に及ぶ可能な用途において有用であるために関心を集めており、支持を得ている。
【0003】
スマートメーターネットワーク(SMN:Smart Meter Network)は、そのような無線センサーネットワークの1つの応用例である。スマートメーターは通常、所与の時間間隔において電気エネルギーの消費量を記録し、その情報を監視及び課金のためにサーバーに通信する電気メーターである。スマートメーターは通常、中央システムからコマンドを受信することができる。また、スマートメーターは他のデータ取得分野においても用いられ、例えば、天然ガス又は水の消費量を測定するデバイスを意味することができる。
【0004】
データ収集デバイスは通常、そのようなSMN内でサーバーの形で実現される。データ収集デバイスは、スマートメーターによって与えられるデータを収集し、例えば、統計を得るため並びに/又は監視及び/若しくは課金のために、収集されたデータを処理する。
そのようなデータを収集するために、データ収集デバイスはスケジューリングシーケンスを規定し、データ収集デバイスに上記データを与えるように上記スマートメーターに要求するために、規定されたスケジューリングシーケンスに従って、SMNの各スマートメーターに要求を送信する。
SMN全体にわたってメッセージが伝搬する際に生じる衝突を回避するために、そのスケジューリングシーケンスは、別のスマートメーターに新たな要求を送信する前に、データ収集デバイスが、送信された要求に対する応答の受信を待機するようになっている。
その要求に応答して、各スマートメーターは、上記要求されたデータを含む応答を送信する。要求されるデータは、例えば、水、ガス又は電気エネルギーの測定中にスマートメーターによって得られた計量データである。
SMN内の要求及び応答の送信は通常、SMN内のルーティングを規定する全域木(spanning tree)に沿って実行される。
【0005】
しかしながら、SMN内の無線リンクが一時的に使用できない等の送信条件の変動に起因した送信問題が存在するとき、要求及び応答の送信に遅延が生じるおそれがある。
【0006】
一般的に、そのような送信問題が生じるとき、SMN内のルーティングは変更される。それは、新たな経路が規定され、それに応じて全域木が、変更されるとともに、無線メッシュ通信ネットワークの全てのノードが全域木変更を認識するようにSMN内に伝搬されることを意味する。このように経路を規定し直すのは時間がかかり、それゆえ、データを収集するのに必要とされる時間期間が増加する。
【0007】
上記の問題は、スマートメーターの展開に特に関係しない、他の種類の無線メッシュ通信ネットワークにおいても生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常の無線メッシュ通信ネットワークにおいて生じる上記の問題を克服することが望ましい。
【0009】
詳細には、送信条件の変動を受ける無線メッシュ通信ネットワーク内の収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間を短縮できるようにする解決策を提供することが望ましい。
【0010】
送信問題が検出されるときに、無線メッシュ通信ネットワーク内の、全域木に沿ったルーティングを再構成するのを回避できるようにする解決策を提供することが更に望ましい。
【0011】
実施するのが容易であり、コスト効率が高い解決策を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明は、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法であって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行される、方法に関する。
本方法は、前記データ収集デバイスが、
前記全域木の前記経路ごとのメトリックを得ることであって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得ることと、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定することと、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信することであって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信することと、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新することと、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続けることと、
を実行するようになっている。
【0013】
したがって、無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動にスケジューリングシーケンスを適応させることによって、第2のスケジューリングシーケンスに従って、送信に成功する見込みがより大きい要求が最初に送信される。その際、送信問題が一時的であるときには全域木の変更は不要であり、それゆえ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間は短縮される。
【0014】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
少なくとも1つのノードから、少なくとも1つの無線リンク上の送信条件についての情報又は送信条件の変動についての情報を受信することと、
前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定することと、
を実行し、
前記メトリックのうちの少なくとも1つの前記更新は、前記特定された経路(複数の場合もあり)に含まれる前記無線リンクに対して実行される。
【0015】
したがって、データ収集デバイスは、上記送信条件又は送信条件の変動に関係する全ての経路を特定することができ、スケジューリングシーケンスは更に効率的に適応することができる。
【0016】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
1つのノードによって生成される無線リンク障害報告を受信することを実行し、
該報告は、該報告を生成した前記ノードによって前記要求が中継されることを試みられた無線リンクのインジケーションを含み、
該報告は、該報告において指示された前記無線リンク上で、又は該報告において指示された前記無線リンクの子部分木に対応する前記全域木の部分内で、前記要求のうちの1つの送信中又は前記要求のうちの1つに対応する応答の送信中に生じた送信障害を表し、
前記経路は、前記子部分木のいずれかのノードを含む経路であると判断される。
【0017】
したがって、送信障害に関係する経路が容易に特定される。
【0018】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告は、中継されることを試みられた前記要求が応答において少なくとも1つの否定応答を生成することを示す通知を、ノードの或る層が該ノードの媒体アクセス制御層から受信するときに、該ノードによって生成される。
【0019】
したがって、上記要求のうちの1つの送信中に送信問題が生じるとき、その送信障害によって影響を受けると特定される全域木の部分は、送信問題が生じた無線リンク、及びこの無線リンクの子部分木に限定される。
【0020】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告は、或るノードが、前記要求のうちの1つが宛てられるノードから、タイムアウトが関連付けられた前記要求に対して、応答も別の無線リンク障害報告も受信することなく前記タイムアウトが満了するときに、該ノードによって生成される。
【0021】
したがって、上記要求のうちの1つに対する応答の送信中に送信障害が生じるとき、その送信問題によって影響を受けると特定される全域木の部分は、送信問題が生じた無線リンク、及びこの無線リンクの子部分木に限定される。
【0022】
特定の特徴によれば、前記タイムアウトは、前記タイムアウトを設定する前記ノードと、前記タイムアウトが関連付けられた前記要求が宛てられる前記ノードとの間の、前記全域木内のホップ数を少なくとも考慮に入れることによって設定される。
【0023】
したがって、データを収集するのに必要とされる時間期間を更に短縮するために、要求が宛てられるノードに至るまでの要求の残りの経路、及びその応答の残りの経路に従って、タイムアウト設定が適合される。
また、本方法は、送信問題を検出するための反応もより速く、それゆえ、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間が更に短縮される。
【0024】
特定の特徴によれば、前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードは、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つに既に応答したか否かを調べることと、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つにまだ応答していないときに、前記デバイスによって収集されるべき自らのデータを前記無線リンク障害報告内に含めることと、
を実行する。
【0025】
したがって、収集されることになるデータの送信を予測することによって、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間が更に短縮される。
【0026】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、前記無線リンク障害報告のうちの1つを受信すると、
前記特定された経路(複数の場合もあり)内に含まれる前記無線リンクごとのメトリックをインクリメントすることと、
前記メトリックに従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記全域木の前記経路をソートすることと、
を実行し、
前記データ収集デバイスは、前記メトリックに従ってソートされた前記経路を考慮に入れることによって、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得る。
【0027】
したがって、本発明は実施するのが容易なメトリックを用いる。
【0028】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
前記ノードがその一端である少なくとも1つの無線リンク上の送信成功確率を表す情報を前記無線メッシュ通信ネットワークの前記ノードから受信することと、
前記受信された情報に従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記各経路について送信成功確率を計算することと、
を実行し、
前記データ収集デバイスは、前記計算された確率を考慮に入れて、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得る。
【0029】
したがって、送信問題を予測することができ、データ収集デバイスは、送信問題を生じることなくデータを収集するのに成功する見込みが高くなるように要求をスケジューリングすることができる時刻、又は時間フレームをあらかじめ推定することができる。
【0030】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、経路の無線リンクごとに、
検討対象の前記無線リンクにメッセージが達するホップ数を求めることと、
伝搬遅延又は時間フレームを得るために、前記求められたホップ数に1ホップあたりの基準時間期間を乗算することと、
前記要求のうちの1つ又は前記要求のうちの1つに対する応答のいずれかを送信するために前記無線リンクが使用されることになる時刻又は時間フレームを、前記要求の送信がスケジューリングされた時刻と前記得られた伝搬遅延又は時間フレームとに基づいて求めることと、
前記無線リンクが使用されると判断されるときの送信成功確率を、送信成功確率を表す前記受信された情報から求めることと、
を実行することによって、前記送信成功確率を計算することを実行する。
【0031】
したがって、データ収集デバイスは、上記経路を作成する無線リンクを経由する送信の成功確率から導出された経路を経由する送信の成功確率を用いることによって、スケジューリングシーケンスを最適に変更することができる。
【0032】
特定の特徴によれば、前記データ収集デバイスは、
チャネル推定値又はチャネル品質インジケータを経路の各ノードから周期的に受信することと、
前記受信されたチャネル推定値と該受信されたチャネル推定値の経時変化(aging)とに基づいて、チャネル予測を実行することと、
を実行する。
【0033】
特定の特徴によれば、少なくとも1つの無線リンクについて送信成功確率を表す情報を与えるために、各ノードは、所与のメッセージを送信した後に、
前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第1のパラメーターを更新することと、
前回送信するのに失敗したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第2のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信に成功するときに、前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第3のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信が成功するときに、前回送信するのに失敗したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第4のパラメーターを更新することと、
を実行する。
【0034】
本発明は、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するためのデバイスであって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行される、デバイスにも関する。
本デバイスは、
前記全域木の経路ごとのメトリックを得る手段であって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得る手段と、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定する手段と、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信する手段であって、該各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信する手段と、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新する手段と、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更する手段と、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続ける手段と、
を備える。
【0035】
また、本発明は、少なくとも1つの実施の形態において、通信ネットワークからダウンロードすることができ、かつ/又はコンピューターによって読み取られてプロセッサによって実行されることができる媒体上に格納することができるコンピュータープログラムにも関する。このコンピュータープログラムは、該プログラムがプロセッサによって実行されるときに、種々の実施の形態のうちのいずれか1つにおいて上述の方法を実施するための命令を含む。
【0036】
また、本発明は、格納された情報がコンピューターによって読み取られてプロセッサによって実行されるときに、種々の実施の形態のうちのいずれか1つにおいて上述の方法を実施するための、プロセッサによって実行することができる1組の命令を含むコンピュータープログラムを格納する情報記憶手段にも関する。
【0037】
デバイス及びコンピュータープログラムに関する特徴及び利点は、対応する上述の方法に関して既に言及されたのと同一であるので、ここでは繰り返されない。
【0038】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。該説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワークの第1のアーキテクチャを表す概略図である。
【図2】本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワークの第2のアーキテクチャを表す概略図である。
【図3】図1の無線メッシュ通信ネットワークにおいて規定される全域木を表す概略図である。
【図4A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのコンセントレーターデバイスのアーキテクチャを表す概略図である。
【図4B】図2の無線メッシュ通信ネットワークのサーバーデバイスのアーキテクチャを表す概略図である。
【図4C】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターのアーキテクチャを表す概略図である。
【図5A】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第1のアルゴリズムを表す概略図である。
【図5B】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第2のアルゴリズムを表す概略図である。
【図5C】スマートメーターからデータを収集するための、図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのデータ収集デバイスによって実行される第3のアルゴリズムを表す概略図である。
【図6】図1若しくは図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターによって、又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのコンセントレーターデバイスによって実行されるアルゴリズムを表す概略図である。
【図7A】図1又は図2の無線メッシュ通信ネットワークのスマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするためのシーケンスを表す概略図である。
【図7B】スマートメーターからデータを収集するためのデータ収集段階をスケジューリングするめの変更されたシーケンスを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明は、スマートメーターの無線メッシュ通信ネットワークの展開の範囲において本発明を詳述するが、以下に詳述される原理は、他の種類の無線メッシュ通信ネットワークの展開においても同じように適用することができる。例えば、以下に詳述される原理は、フェムトセルの展開、すなわち、通常、家又は小規模の事務所において用いるために設計され、屋内、特に拡張しなければアクセスが制限されるか又は利用不可能である場所にサービスプロバイダーがサービスエリアを拡張できるようにするセルラー基地局の展開においても同じように適用することができる。
【0041】
図1は、本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワーク100の第1のアーキテクチャを概略的に表す。
【0042】
無線メッシュ通信ネットワーク100は、コンセントレーターデバイス110(concentrator device)と、スマート計量デバイスとも呼ばれる1組のスマートメーターとを備える。図1には、7つのスマートメーター120iが示される。ただし、i=a,b,...,gである。無線メッシュ通信ネットワーク100内には、異なる複数のスマートメーターが存在する場合もある。通信ネットワーク100は、クラスターとも呼ばれる。
【0043】
コンセントレーターデバイス110及びスマートメーターは、ノード、通信ノード、又はネットワークノードとも呼ばれる場合がある。
【0044】
無線メッシュ通信ネットワーク100のデバイスは、半二重無線通信を用いることが好ましい。しかしながら、無線メッシュ通信ネットワーク100のデバイスは、全二重無線通信を用いることもできる。
【0045】
そのような無線メッシュ通信ネットワークは、スマートメーターをアドホックに展開するのに特に適応している。
【0046】
電力消費及び放射を制限するために、無線メッシュ通信ネットワーク100内のデバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク100内の任意の他のデバイスと直接通信することはできない。無線メッシュ通信ネットワーク100内の各デバイスは通常、無線メッシュ通信ネットワーク100内の幾つかの他のデバイスだけと直接通信することができる。それは、これらの幾つかの他のデバイスに関して、同期信号、メッセージ、そして更に一般的にはデータを交換するための無線リンクを設定するのに、送信信号強度が十分に高い(例えば、所定のしきい値より高い)とみなされることを意味する。
【0047】
それゆえ、無線メッシュ通信ネットワーク100の各デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク100の少なくとも1つの他のデバイスと直接通信することができる。
【0048】
互いに直接通信する無線メッシュ通信ネットワーク100の2つのデバイスは、隣接するデバイスである。
【0049】
無線メッシュ通信ネットワーク100の任意の1組のデバイス(any couple of devices)は、直接又は間接的に(すなわち、無線メッシュ通信ネットワーク100の少なくとも1つの他のデバイスを介して)互いに通信することができる。より詳細には、各スマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)は、直接又は間接的にコンセントレーターデバイス110と通信することができる。
【0050】
図1では、可能な直接通信(以下、無線リンクと呼ぶ)は、関係するデバイス間のそれぞれの直線によって例示的に表されている。
例えば、コンセントレーターデバイス110は2つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスはスマートメーター120a、120bである。スマートメーター120aは2つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスはスマートメーター120c及びコンセントレーター110である。スマートメーター120bは3つの隣接するデバイスを有し、それらのデバイスは、スマートメーター120c、120d及びコンセントレーターデバイス110である。
図1は、無線メッシュ通信ネットワーク100内の他の実現可能な直接通信も例示的に示すが、ここではそれらの直接通信は更には詳述されない。
【0051】
無線メッシュ通信ネットワーク100内の通信は、CSMA(キャリアセンス多元接続(Carrier sense multiple access))を用いて実行されることが好ましい。無線メッシュ通信ネットワーク100内の通信は、TDMA、FDMA又はCDMA(符号分割多元接続(Code Division Multiple Access))を用いて実行することもできる。
隣接するノード間の通信プロトコルは、2つの隣接するノード間に通信障害があると判断する前に何度か送信を試みることができるようにするために、肯定応答(ACK)及び否定応答(NACK)を含むことができる。通常、そのような肯定応答に基づくプロトコルは、MAC(媒体アクセス制御(Medium Access Control))層において実行される。
【0052】
無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内で、コンセントレーターデバイス110はデータ収集デバイスとしての役割を果たす。
コンセントレーターデバイス110は、例えば、統計を得るために並びに/又は監視及び/若しくは課金のために、スマートメーターによって与えられるデータを収集し、収集されたデータを処理する。
そのようなデータを収集するために、コンセントレーターデバイス110は、上記データをコンセントレーターデバイス110に与えるように上記スマートメーター120iに要求するために、各スマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)に要求を送信する。その要求に応答して、各スマートメーター120iは、上記要求されたデータを含む応答を送信する。要求されたデータは、例えば、水、ガス又は電気エネルギーの測定中にスマートメーター120iによって得られた計量データである。
コンセントレーターデバイス110は、状態情報、測定履歴又はエラー報告のような他の種類のデータをスマートメーターに要求することもできる。
【0053】
図2は、本発明を実施することができる無線メッシュ通信ネットワーク200の第2のアーキテクチャを概略的に表す。
【0054】
無線メッシュ通信ネットワーク200は、サーバーデバイス230と、1組のコンセントレーターデバイスとを備える。図2には、3つのコンセントレーターデバイス110m(ただし、m=a、b又はc)が示される。無線メッシュ通信ネットワーク200内に異なる複数のコンセントレーターデバイスが存在する場合もある。
【0055】
各コンセントレーターデバイス110mはサーバーデバイス230と直接通信する。コンセントレーターデバイス110mとサーバーデバイス230との間の通信は、RFC791仕様書によって詳述されているようなインターネットプロトコル(IP)を用いて実行されることが好ましく、有線又は無線のいずれかとすることができる。
【0056】
各コンセントレーターデバイス110mはクラスター100m(ただし、m=a、b又はc)の一部であり、クラスターは図1に示される無線メッシュ通信ネットワーク100に対応する。コンセントレーターデバイス110mは、サーバーデバイス230と、上記コンセントレーターデバイス110mがそれぞれ属する個々のクラスター100mのスマートメーターとの間のゲートウエイとしての役割を果たす。
【0057】
図2に示されるアーキテクチャにおいて、各スマートメーターはただ1つのクラスターに属し、単一のコンセントレーターデバイス110mを介してサーバーデバイス230と通信する。
【0058】
図2に示されるアーキテクチャでは、クラスター100mは、スタートポロジーネットワークを用いて、それぞれのコンセントレーターデバイス110mを介してサーバーデバイス230に接続されている。
【0059】
サーバーデバイス230は、コンセントレーターデバイス110mを介して、任意のスマートメーターにコマンドを送信することができる。そのようなコマンドは、例えば、スマートメーターに或る報告を要求するためのコマンド、スマートメーターによって監視されるシステムのシャットダウンを指示するためのコマンド、スマートメーターのソフトウェアを更新するためのコマンド等である。
【0060】
メッシュ通信ネットワーク200の範囲内で、サーバーデバイス230はデータ収集デバイスとしての役割を果たす。それゆえ、サーバーデバイス230は、各スマートメーターに要求を送信して、収集されるべきデータを集める。
【0061】
データ収集デバイスは、それが無線メッシュ通信ネットワーク100のコンセントレーターデバイス110に対応するにしても、又は無線メッシュ通信ネットワーク200のサーバーデバイス230に対応するにしても、収集されるべきデータを収集段階のシーケンスに従って集める。これらの収集段階中に交換されるメッセージは、全域木(spanning tree)に沿って、無線メッシュ通信ネットワーク100又は200内を伝搬される。
【0062】
そのシーケンスは、図5に関して以下に詳述されるように、動的調整(dynamic adjustments)を受ける。
そのような調整は、全域木のいかなる変更も回避して、データ収集デバイスによってデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮することを目的とする。
しかしながら、データを収集するためにスマートメーターと通信するのに失敗した試みが所定の回数に達した場合には、データ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワークにわたるデータルーティングを変更すること、すなわち、全域木を変更することを決定することができる。
【0063】
図3は、無線メッシュ通信ネットワーク100において規定される全域木を概略的に表す。無線メッシュ通信ネットワーク200のクラスター100a、100b、100cの場合にも同じように全域木を規定することができる。無線メッシュ通信ネットワーク200全体に対して、1つの全域木を規定することもできる。
【0064】
スマートメーターによって与えられるデータを収集するために、データ収集デバイスはそのような全域木を用いる。言い換えると、データ収集デバイスによってスマートメーターに送信される要求、及びスマートメーターによってデータ収集デバイスにそれぞれ送信される応答は、その全域木に沿って伝搬する。
【0065】
図3に示される全域木は、無線メッシュ通信ネットワーク100の無線リンクのサブセット(a subset)からなる。各全域木は根ノード(root node)を含む。全域木の根ノードはデータ収集デバイス、すなわち、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内のコンセントレーターデバイス110である。全域木は、無線メッシュ通信ネットワーク100の全てのノードがその全域木内に存在するが、ループが形成されないように規定される。
【0066】
図3に示される全域木によれば、コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120bを介してスマートメーター120dと通信する。
コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120aを介してスマートメーター120cと通信する。
コンセントレーターデバイス110はスマートメーター120a及び120cを介してスマートメーター120gと通信する。
コンセントレーターデバイス110は同じくスマートメーター120a及び120cを介してスマートメーター120eと通信する。
コンセントレーターデバイス110は、スマートメーター120a、120c及び120eを介してスマートメーター120fと通信する。
【0067】
全域木内の各無線リンクは、親ノードと子ノードとの間に設定される。親ノードは、全域木の根に達するのに必要とするホップ数がより少ないノードである。例えば、スマートメーター120aと120cとの間の無線リンクについて考えると、スマートメーター120aは親ノードであり、スマートメーター120cは子ノードである。
【0068】
無線メッシュ通信ネットワーク100の各ノードは使用中の全域木を認識している。各ノードは、全域木において、自らと、自らの子部分木と、自らの親とを含む全域木部分のみを認識している場合もある。
1つのノードに関連する子部分木は、全域木のうち、検討対象のノードの全ての子ノードと、存在する場合にはそれぞれの子部分木とを含む部分を指している。例えば、図3に示される全域木では、ノード120cの子部分木は2つの枝を含み、第1の枝はノード120gを含み、第2の枝はノード120e及びその子ノード120fを含む。
親ノードと子ノードとの間の1つの無線リンクに関連する子部分木は、全域木のうち、上記子ノードと、存在する場合には上記子ノードの子部分木とを含む部分を指している。例えば、図3に示される全域木では、ノード120aと120cとの間の無線リンクの子部分木は、ノード120cと、2つの枝とを含み、第1の枝はノード120gを含み、第2の枝はノード120e及びその子ノード120fを含む。
【0069】
全域木は、その全域木の根ノードであるデータ収集デバイスと、無線メッシュ通信ネットワークの任意の他のノードとの間の経路を規定する。各経路は、各無線リンクがチャネル条件に関して双方向的であるときに、データ収集デバイスから検討対象のスマートメーターまでの連続的な無線リンクのみからなることができる。無線リンクがチャネル条件に関して双方向的でないときに、経路は、サーバーデバイス230から関係するスマートメーターまで、及び関係するスマートメーターからサーバーデバイス230までの連続的な無線リンクからなることができる。
【0070】
無線メッシュ通信ネットワークから全域木を構築するために、当業者によって数多くのアルゴリズム及びプロトコルが知られている。本発明は動的に変化する全域木との関連で実施することができるが、それは、無線メッシュ通信ネットワークのノード間のルーティングを制限し、更にはそのルーティングの変更を回避することを目的としており、それゆえ、全域木はあらかじめ設定することができる。それゆえ、全域木の構築は本明細書において更に詳述されることはない。
【0071】
図4Aは、コンセントレーターデバイス110のアーキテクチャを概略的に表す。コンセントレーターデバイス110は、図2に関連する任意のコンセントレーターデバイス110m(ただし、m=a、b又はc)に対応することができる。
【0072】
図示されるアーキテクチャによれば、コンセントレーターデバイス110は、通信バス306によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU(中央処理装置)300と、RAM(ランダムアクセスメモリ)301と、ROM(読出し専用メモリ)302と、SD(セキュアデジタル)カードリーダー303、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように構成される任意の他のデバイスと、第1の通信インターフェース304及び第2の通信インターフェース305とを備える。
【0073】
第1の通信インターフェース304によって、コンセントレーターデバイス110は、無線メッシュ通信ネットワーク100内の隣接するスマートメーターと無線通信できるようになる。
【0074】
第2の通信インターフェース305によって、コンセントレーターデバイス110は、サーバー230と通信できるようになる。
【0075】
CPU300は、ROM302又はSDカードのような外部メモリからRAM301の中にロードされた命令を実行することができる。コンセントレーターデバイス110の電源投入後に、CPU300は、RAM301から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、コンセントレーターデバイス110がデータ収集デバイスとしての役割を果たすときに、図6又は図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップをCPU300に実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0076】
図6又は図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、コンセントレーターデバイス110がデータ収集デバイスとしての役割を果たすときに、PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)のような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0077】
図4Bは、サーバーデバイス230のアーキテクチャを概略的に表す。
【0078】
図示されるアーキテクチャによれば、サーバーデバイス230は、通信バス316によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU310と、RAM311と、ROM312と、HDD(ハードディスクドライブ)313、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように構成される任意の他のデバイスと、通信インターフェース314と、を備える。
【0079】
通信インターフェース314によって、サーバーデバイス230は、コンセントレーターデバイス110a、110b、110cと通信できるようになる。
【0080】
CPU310は、ROM312、又はHDD313のような外部メモリからRAM311の中にロードされた命令を実行することができる。サーバーデバイス230の電源投入後に、CPU310は、RAM311から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、CPU310に、図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップを実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0081】
図5A、図5B、図5Cに関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC、DSP又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA又はASICのような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0082】
図4Cは、スマートメーター120のアーキテクチャを概略的に表す。スマートメーター120は、図1に関連する任意のスマートメーター120i(ただし、i=a,b,...,g)に対応する。
【0083】
図示されるアーキテクチャによれば、スマートメーター120は、通信バス406によって相互接続される以下の構成要素、すなわち、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラー又はCPU400と、RAM401と、ROM402と、SDカードリーダー403、又は記憶手段上に格納された情報を読み取るように構成される任意の他のデバイスと、通信インターフェース404と、計量インターフェース405とを備える。
【0084】
第1の通信インターフェース404によって、スマートメーター120は無線メッシュ通信ネットワーク100又は200内の任意の隣接するデバイスと無線通信できるようになり、上記隣接するデバイスは別のスマートメーター又はコンセントレーターデバイスのいずれかである。
【0085】
計量インターフェース405によって、スマートメーター120は、監視、測定、及び電気消費量データ又は水消費量データのようなデータ収集を実行できるようになる。計量インターフェース405によって、スマートメーター120は、監視されるシステムにコマンドを送信できるようになる。
【0086】
CPU400は、ROM402、又はSDカードのような外部メモリからRAM401の中にロードされた命令を実行することができる。スマートメーターデバイス120の電源投入後に、CPU400は、RAM401から命令を読み取り、これらの命令を実行することができる。それらの命令は、CPU400に、図6に関して以下に説明されるアルゴリズムの幾つか又は全てのステップを実行させる1つのコンピュータープログラムを形成する。
【0087】
図6に関して以下に説明されるアルゴリズムのありとあらゆるステップは、PC、DSP又はマイクロコントローラーのようなプログラム可能な計算機によって1組の命令又はプログラムを実行することにより、ソフトウェアにおいて実施することもできるし、そうでなければ、FPGA又はASICのような機械又は専用部品により、ハードウェアにおいて実施することもできる。
【0088】
図5Aは、データ収集デバイスによって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。データ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下において、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。
【0089】
ステップS500において、サーバーデバイス230は、全域木の経路ごとのメトリックを入手する。メトリックは上記経路の信頼性水準を表す。ステップS500の最初の発生時に、メトリックはデフォルト値に設定することもできるし、該メトリックのそれぞれの経路上の送信条件に基づいて求めることもできる。そのようなメトリックの種々の例が、図5B、図5C及び図6に関して以下に説明される。
【0090】
次のステップS501において、サーバーデバイス230は、ステップS500において得られたメトリックに従って、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。全てのメトリックが同じ値に初期化される場合には、サーバーデバイス230は、そのシーケンスを任意に規定することもできるし、デフォルトシーケンスを適用することもできる。
【0091】
サーバーデバイス230は、一度に1つのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することが好ましい。それは、サーバーデバイス230が、別の要求を開始する前に、1つの要求に対する応答又は送信障害通知を受信するのを待つことが好ましいことを意味する。
【0092】
しかしながら、サーバーデバイス230は、一度に全てではないが、一度の幾つかのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することもできる。
第1の例によれば、図3に示される全域木において、サーバーデバイス230は、スマートメーター120c、120e、120f及び120gに対して、収集されるべきデータを同時に要求することができ、それらのスマートメーターはスマートメーター120aの子部分木内にある。
これを果たすために、サーバーデバイス230は、上記データの収集要求を送信することができ、該要求は、その要求が全域木の或る部分に関するデータの収集に関係していること示す要求識別子と、スマートメーター120cの識別子とを含む。
スマートメーター120cがそのような要求を受信すると、スマートメーター120cは、その要求をスマートメーター120gに、及びスマートメーター120eに転送し、サーバーデバイス230に向かって、自らのデータを含む応答を送信する。
それゆえ、サーバーデバイス230は、全域木の一部に対して、収集されるべきデータを要求することができ、その部分は所与のノードの子部分木内、又は所与のリンクの子部分木内にある全てのノードに対応する。
第2の例によれば、図3に示される全域木において、サーバーデバイス230は、スマートメーター120dに対して、収集されるべきデータを要求することができ、その後、スマートメーター120dからのいかなる応答も待つことなく、スマートメーター120fに対して、収集されるべきデータを要求することができる。
それゆえ、サーバーデバイス230は、重なり合うデータ収集段階において、全域木の異なる分岐内のスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求することができる。
全域木の異なる分岐内のスマートメーターに宛てることは、それぞれの経路が共通の無線リンクを共有するスマートメーターに対してデータを要求することに比べて、データ送信中に起こり得る送信衝突を制限する。
【0093】
以下に、サーバーデバイス230が、一度に1つのスマートメーターに対して、収集されるべきデータを要求する場合について考える。
【0094】
例えば、サーバーデバイス230は、図7Aに示されるようなスケジューリングシーケンスを決定する。
【0095】
図7Aは、
−スマートメーター120aに対してデータを要求するためのデータ収集段階700aと、その後に、
−スマートメーター120bに対してデータを要求するためのデータ収集段階700bと、その後に、
−スマートメーター120cに対してデータを要求するためのデータ収集段階700cと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、その後に、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、を含むスケジューリングシーケンスを示す。
【0096】
各データ収集段階700i(ただし、i=a,b,...,g)は、収集デバイスからスマートメーター120iへのデータ収集要求のダウンリンク送信と、スマートメーター120iから収集デバイスへの、上記データ収集要求に対する応答のアップリンク送信とを含む。メッセージの「ダウンリンク」送信及び「アップリンク」送信という用語は、全域木の根ノードの位置に対する全域木に沿ったメッセージの伝搬に関連して用いられ、すなわち、根ノードに向かって伝搬するメッセージは「アップリンク」送信であるとみなされ、逆方向に伝搬するときに、「ダウンリンク」送信であるとみなされる。
【0097】
次のステップS502において、サーバーデバイス230は、ステップS501において決定されたスケジューリングシーケンスに従って、要求を順次に送信し始める。例えば、データ収集段階700aに対応する応答がサーバーデバイス230によって受信されたときに、図7Aのスケジューリングシーケンスに従って、シーケンス内の次の要求がスマートメーター120bに宛てられる。
【0098】
全域木に沿ってサーバーデバイス230によって送信される各データ収集要求は、少なくとも1つの識別子と、その要求が宛てられる単数又は複数のスマートメーターの識別子とを含むメッセージである。前者の少なくとも1つの識別子は、そのメッセージがそのようなデータ収集要求であることを示すとともに、応答においてどのタイプのデータを収集することが期待されているかを示している。
【0099】
次のステップS503において、サーバーデバイス230は、全域木の少なくとも1つの無線リンクの信頼性についての情報を入手する。そのような情報は、例えば、図5Bに関して以下に詳述されるような、無線リンク障害の指示(インジケーション)である。そのような情報は、例えば、図5Cに関して以下に説明されるような、無線リンク障害の確率、又は無線リンク障害時間フレームの推定値、又は無線リンク成功時間フレームの推定値、又はそれらの値を求められるようにするパラメーターである。
【0100】
信頼性について得られた情報によって、サーバーデバイス230は、無線メッシュ通信ネットワーク200内の、より詳細には全域木内に含まれる無線リンクについての送信条件の変動を特定できるようになる。
【0101】
次のステップS504において、サーバーデバイス230は、ステップS503において信頼性についての情報が得られた無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。
【0102】
次のステップS505において、サーバーデバイス230は、ステップS503において受信された信頼性についての情報を考慮に入れることによって、ステップS504において特定された経路ごとのメトリックを更新する。
【0103】
次のステップS506において、サーバーデバイス230は、ステップS505において実行された更新を考慮に入れて、メトリックに基づいてスケジューリングシーケンスを変更する。変更されたスケジューリングシーケンスを決定するために、サーバーデバイス230は、データ収集段階ごとの経路信頼性を表すメトリックに従って、残りのデータ収集段階をソートする。
【0104】
例えば、サーバーデバイス230は、図7Aに示されるスケジューリングシーケンスを変更して、図7Bに示されるスケジューリングシーケンスを得る。そのスケジューリングシーケンスでは、データ収集段階700a、700b及び700cが実行に成功したものと考えられる。
【0105】
図7Bは、
−スマートメーター120dに対してデータを要求するためのデータ収集段階700dと、その後に、
−スマートメーター120gに対してデータを要求するためのデータ収集段階700gと、その後に、
−スマートメーター120eに対してデータを要求するためのデータ収集段階700eと、その後に、
−スマートメーター120fに対してデータを要求するためのデータ収集段階700fと、を含む、変更されたスケジューリングシーケンスを示す。
【0106】
変更されたスケジューリングシーケンスは、スマートメーター120cと120eとの間の無線リンク上で送信問題が検出されたことに起因する場合がある。それゆえ、最初に、スマートメーター120aと120cとの間の無線リンク上の送信問題に関係していないノードから、収集されるべきデータを要求するために、データ収集段階700e及び700fを延期し、その結果としてデータ収集段階700d及び700gを進めることによってスケジューリングシーケンスを変更し、それによりデータ収集段階が並べ替えられる。それゆえ、データを収集するのに必要な時間期間が短縮され、全てのスマートメーターからデータを収集するために必要な最小時間期間に比べて送信問題の持続時間が短いときに、全域木の変更は不要である。
【0107】
図5Aに戻ると、サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスを変更すると、ステップS502を繰り返し、それゆえ、変更されたスケジューリングシーケンスに従って要求を送信し続ける。
【0108】
図5Bは、データ収集デバイスによって実行され、図5Aに示されるアルゴリズムの第1の実施形態を概略的に表す。そのデータ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下では、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。
【0109】
ステップS510においてそのアルゴリズムは開始する。ステップS510において、サーバーデバイス230は初期化を実行し、より詳細には、ステップS500に関して既に説明されたように、全域木の経路ごとにメトリックを入手する。
【0110】
次のステップS511において、サーバーデバイス230は、ステップS501に関して既に説明されたように、ステップS510において得られたメトリックに従って、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。ステップS511において決定されるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Aに示される、既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0111】
次のステップS512において、サーバーデバイス230は、少なくとも1つの要求がまだ送信されていないか否かを調べる。少なくとも1つの要求がまだ送信されていないとき、サーバーデバイス230はステップS514を実行し、そうでない場合には、そのアルゴリズムはステップS513において終了する。
【0112】
ステップS514において、サーバーデバイス230は、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、要求を順次に送信する。
【0113】
次のステップS515において、サーバーデバイス230は、ステップS514において送信された要求に対する応答が受信されたか否かを調べる。そのような応答が受信されると、サーバーデバイス230は、関係するスマートメーターから収集されたデータを格納し、使用中のスケジューリングシーケンスに従ってシーケンス内の次の要求を送信することによって、ステップS514を繰り返す。それゆえ、その応答が受信されたスマートメーターに関係するデータ収集段階は、スケジューリングシーケンスから削除される。応答が受信されないとき、サーバーデバイス230は、ステップS516を実行する。
【0114】
ステップS516において、サーバーデバイス230は、送信問題があるか否かを調べる。そのような送信問題は、図6に関して以下に詳述されるような、無線通信ネットワークの1つのノードからサーバーデバイス230によって受信される、以下にWLFM(無線リンク障害メッセージ(Wireless Link Failure Message))と呼ばれる報告を受けて、検出することができる。そのようなWLFMは、図6に関して以下に説明されるように、ステップS613においてスマートメーター120によって送信される。そのような送信問題は、無線通信ネットワークの1つのノードからサーバーデバイス230によって受信される報告を受けて、検出される場合もあり、上記報告は、所与の無線リンクを介してデータを送信することが難しいこと、例えば、何度も再送が必要とされることを示す。
【0115】
送信問題が生じているときに、サーバーデバイス230はステップS517を実行し、そうでない場合には、サーバーデバイス230はステップS515を繰り返す。
【0116】
ステップS517において、サーバーデバイス230は、送信問題が検出された無線リンクを特定する。
【0117】
次のステップS518において、サーバーデバイス230は、ステップS516において送信問題が検出された無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。
【0118】
次のステップS519において、サーバーデバイス230は、ステップS518において特定された経路ごとのメトリックを更新する。この更新を果たすために、サーバーデバイス230は、ステップS518において特定された経路ごとのメトリックを1単位だけインクリメントする。言い換えると、メトリックは、その経路の任意の無線リンク上の障害の発生をカウントするカウンターである。それゆえ、これらのメトリックは、そのアルゴリズムがサーバーデバイス230によって開始された最初の時点で、0に設定されることが好ましい。
【0119】
その後、サーバーデバイス230は、メトリックに従って、好ましくは昇順(increasing order)で経路をソートする。その後、サーバーデバイス230は、スマートメーターからデータを収集するための残りのデータ収集段階をソートすることができ、それに応じて、次のステップS520においてスケジューリングシーケンスを変更する。その際、サーバーデバイス230は、メトリックの最も小さな値を有する経路に従う要求を最初にスケジューリングし、以下同様にスケジューリングすることによって、スケジューリングシーケンスを変更することができる。それゆえ、サーバーデバイス230は、それぞれの経路上で発生した無線リンク障害がより少ないため、最初に、成功する見込みが最も高い要求に応えることができる。
【0120】
データがまだ収集されていない各ノードに達するための全域木内の経路のみをソートすればよいことに注目することができる。
【0121】
一実施形態では、サーバーデバイス230は、所与の期間中に無線リンク障害が検出されない経路ごとにメトリックをデクリメントする。
【0122】
ステップS520において、サーバーデバイス230は、ステップS506に関して既に説明されたように、ステップS519において実行された更新を考慮に入れて、メトリックに基づいてスケジューリングシーケンスを変更する。ステップS520から生じるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Bに示される既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0123】
サーバーデバイス230は、スケジューリングシーケンスを変更すると、ステップS512を繰り返し、それゆえ、変更されたスケジューリングシーケンスに従って要求を送信し続ける。
【0124】
図5Bのアルゴリズムは例示であり、本発明から逸脱することなく変更できることに留意されたい。より詳細には、サーバーデバイス230は、送信問題が生じたこと、又は送信問題が生じていること、又は送信問題が生じることが予想されることを調べることができる。それゆえ、前回の要求の送信時又はそれぞれの応答の送信時に送信が行なわれないが、ノード間で別のメッセージの送信中に送信問題が検出された場合に、又は無線リンク品質の低下が検出された場合に、サーバーデバイス230は使用中のスケジューリングシーケンスを変更することができる。その後、そのような送信問題、又は無線リンク品質の低下は、進行中のデータ収集段階700i(ただし、i=a,b,...,g)とは無関係に、ノードによってサーバーデバイス230に報告することができる。
【0125】
図5Cは、データ収集デバイスによって実行され、図5Aに示されるアルゴリズムの第2の実施形態を概略的に表す。そのデータ収集デバイスは、無線メッシュ通信ネットワーク200の範囲内ではサーバーデバイス230であり、無線メッシュ通信ネットワーク100の範囲内ではコンセントレーターデバイス110である。以下では、データ収集デバイスがサーバーデバイス230である場合について考える。
【0126】
ステップS530においてそのアルゴリズムは開始する。ステップS510において、サーバーデバイス230は初期化を実行し、より詳細には、ステップS500に関して既に説明されたように、全域木の経路ごとにメトリックを入手する。
【0127】
次のステップS531において、サーバーデバイス230は、ステップS501に関して既に説明されたように、ステップS530において得られたメトリックに従って、データを収集するための収集段階のスケジューリングシーケンスを決定する。ステップS531において決定されるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Aに示される、既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0128】
次のステップS532において、サーバーデバイス230は、少なくとも1つの要求がまだ送信されていないか否かを調べる。少なくとも1つの要求がまだ送信されていないとき、サーバーデバイス230はステップS534を実行し、そうでない場合には、そのアルゴリズムはステップS533において終了する。
【0129】
ステップS534において、サーバーデバイス230は、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、要求を順次に送信する。
【0130】
次のステップS535において、サーバーデバイス230は或るイベントを検出するのを待ち、そのイベントは、ステップS534の前回の発生時に要求が送信されたスマートメーター120からの応答(RESP)の受信とすることができるか、又は無線リンクの信頼性についての情報(INFO)の受信とすることができる。そのような情報は時間に依存する。
【0131】
無線リンクの信頼性についての情報(INFO)が受信されるとき、サーバーデバイスは、該情報が実効的に入手されるステップS536を実行し、その後、サーバーデバイス230はステップS537を実行する。無線リンクの信頼性についての情報は、その無線リンクを介して送信するのに成功する確率、又はそのような確率を計算できるようにするデータを表す。この確率は、時間に依存し、以下にPLiで表される。
【0132】
その要求が宛てられたスマートメーターから、その要求に対する応答(RESP)が受信されると、サーバーデバイス230は、関係するスマートメーターから収集されたデータを格納し、使用中のスケジューリングシーケンスに従って、シーケンス内の次の要求を送信することによってステップS532を繰り返す。それゆえ、その応答が受信されたスマートメーターに関係するデータ収集段階は、スケジューリングシーケンスから削除される。
【0133】
ステップS537において、サーバーデバイス230は、ステップS536において信頼性についての情報が得られた無線リンクを含む、全域木内の各経路を特定する。
【0134】
次のステップS538において、サーバーデバイス230は、ステップS537において特定された経路ごとのメトリックを更新する。この実施形態では、メトリックは、それらの経路を介して送信するのに成功するそれぞれの確率を表す。送信成功は、サーバーデバイス230から関係するスマートメーターへの要求の伝搬、及び関係するスマートメーターからサーバーデバイス230への応答の伝搬に関係していることは理解されたい。それゆえ、これらのメトリックは、そのアルゴリズムがサーバーデバイス230によって開始された最初の時点において1に設定されることが好ましい。
【0135】
サーバーデバイス230は、無線リンクが、予定通りに用いられるときに、使用できると予想されるか、使用できないと予想されるかを判断することによって、所与のスマートメーターのためのデータ収集段階が成功するはずであるか否かを判断することができる。無線リンクが、予定通りに用いられるときに使用できると予想されるか否かを判断するために、サーバーデバイス230は、
−メッセージが検討対象の無線リンクに達するホップ数を求め、
−伝搬遅延又は時間フレームを得るために、この求められたホップ数に、1ホップあたりの基準時間期間を乗算し、
−要求の送信が予定される時刻、及び得られた伝搬遅延又は時間フレームに基づいて、要求又は応答のいずれかを送信するのに無線リンクが使用されるべき時刻又は時間フレームを求め、
−ステップS536において得られた無線リンク信頼性についての情報から、その無線リンクが使用されると判断されたときの送信の成功確率を求める。
【0136】
1ホップあたりの基準時間期間値は、1つのノードによってメッセージを処理し、かつそのメッセージを上記ノードから隣接するノードに伝達するのに許される最大時間期間に対応する。1ホップあたりの基準時間期間値は、サーバーデバイス230によって与えることもできるし、スマートメーター120の隣接するノードとの送信の長期的な統計値に基づいて、スマートメーター120自体によって推定することもできる。
【0137】
それゆえ、サーバーデバイス230は、送信性能予測に基づいて、データ収集段階のための成功確率を求めることができる。
サーバーデバイス230から第jのノードまでの経路Rjが、無線リンクL1、L2、...、LNの連鎖であり、無線リンクL1、L2、...、LNの一連のインデックスによって表すことができると考え、そして、Tが、計算が実行される時刻と、サーバーからデータ収集コマンドが送信される場合がある時刻又は時間フレームとの間の相対的な時間差であると考え、そして、PLi(x)が、無線リンクLiが時刻xにおいて使用できる確率を定義すると考えると、データ収集段階を成功させるための経路Rjの確率P(Rj,T)は以下の通りである。
【数1】
ただし、dLiは、任意のメッセージを処理するのに許される最大時間期間、及び無線リンクを介してメッセージを伝達するのに許される最大時間を含む、無線リンクLiの既知の送信レイテンシ(latency)を表す。
【0138】
将来の時刻又は時間フレームにおけるノードjのデータ収集の成功確率P(Rj,T)は、少なくとも1つのノード及び少なくとも1つの将来の時刻に対して計算される。
【0139】
その後、サーバーデバイス230は、Tによって表される将来の送信時刻又は時間フレームごとに、メトリックに従って、好ましくは降順で経路をソートする。その後、サーバーデバイス230は、スマートメーターからデータを収集するための残りのデータ収集段階をソートすることができ、それに応じて、スケジューリングシーケンスを変更する。その後、サーバーデバイス230は、メトリックの最も小さな値を有する経路に従う要求を最初にスケジューリングし、以下同様にスケジューリングすることによって、スケジューリングシーケンスを変更することができる。それゆえ、サーバーデバイス230は、それぞれの経路上での無線リンク障害の確率がより低いので、成功する見込みが最も高い要求に最初に応えることができる。
【0140】
次のステップS539において、サーバーデバイス230は、ステップS506に関して既に説明されたように、ステップS538において実行された更新を考慮に入れて、メトリックに基づいてスケジューリングシーケンスを変更する。ステップS539から生じるスケジューリングシーケンスは、例えば、図7Bに示される既に説明されたスケジューリングシーケンスに対応する。
【0141】
図5Cには示されないが、所定の時間期間後に、ステップS534の前回の発生時に要求が送信されたスマートメーター120から応答(RESP)が受信されていないときにも、スケジューリングシーケンスを変更することができる。その際、データがまだ収集されていないスマートメーターのための経路をソートし、新たなスケジューリングシーケンスを規定するために、最新のメトリックが用いられる。
【0142】
さらに、図5Cには示されないが、応答(RESP)の受信は、サーバーデバイス230と、関係する要求が宛てられたスマートメーターとの間の経路の無線リンクの信頼性についての情報と解釈することができる。その際、メトリックはそれに応じて更新することができ、それゆえ、上記無線リンクの使用可能レベルが上昇したこと、又はデフォルトレベルに戻されたことを表すことができる。
【0143】
本明細書において上記で言及された確率PLi(x)を求めることに関して、以下に2つの実施形態が提示される。
【0144】
PLi(x)を求めるための第1の実施形態によれば、Pe(SNRdB)を、無線メッシュ通信ネットワーク100又は200において適用される変調及び符号化方式のデジベル単位の信号対雑音比の関数としての性能を表すものとする。また、付加白色ガウス雑音(AWGN(Additive White Gaussian Noise))チャネルモデルについて考えるものとする。
チャネルが、例えば、低速のフェージングチャネル上でシングルキャリア変調を用いるときに当てはまる、シングルパス相当のフェージングチャネルである場合には、送信障害の平均確率はPe(SNRdB+adB)と表すことができる。ただし、adBはチャネル減衰である。チャネル減衰が、チャネルを追跡できるほど十分に低速で変化する場合には、誤りの確率を予測することができる。
【0145】
サーバーデバイス230がチャネル予測を実行するとき、サーバーデバイス230は、
−各ノードからチャネル推定値、又はチャネル品質インジケータ(CQI(Channel Quality Indicators))を周期的に入手し、
−受信されたチャネル推定値及びその経時変化に基づいてチャネル予測を実行する。
【0146】
そのようなチャネル予測の一例が以下に示される。
【0147】
チャネル推定値、又はチャネル品質インジケータ(CQI)は、サーバーデバイス230によって明確に要求されることなく、スマートメーターによって定期的に与えることができる。
【0148】
PLi(x)を計算するために、サーバーデバイス230は、K個の先行する推定時刻tLi,1、...、tLi,kにおける推定値CLi,kを考慮し、関数f(x,tLi,1,CLi,1,...,tLi,K,CLi,K)の結果として予測を計算する。
その関数は、例えば、カルマンフィルタの1つの実現態様とすることができる(例えば、Mikael Sternad及びDaniel Aronssonによる「Channel estimation and prediction for adaptive OFDM downlinks」(Vehicular Technology Conference, 2003. VTC 2003-Fall. 2003 IEEE 58th)又はTao Jiang、Nicholas D.Sidiropoulos、及びGeorgios B. Giannakisによる「Kalman Filtering for Power Estimation in Mobile Communications」(IEEE Trans. Wireless Commun.)を参照されたい)。
【0149】
その後、サーバーデバイス230は、チャネル推定値から等価減衰adB(Li,x)を推定する。減衰adB(Li,x)自体は追跡し、予測することができる。
【0150】
その後、サーバーデバイス230は、Pe(SNRdB+adB)を計算し、これは予測される誤り率である。
【0151】
チャネル予測は、xとti,Kとの間の差がチャネルコヒーレント時間に対して長いとき、性能が良くない場合がある。それゆえ、サーバーデバイス230は、チャネル予測の尤度を考慮に入れるように、重み関数W(z)を適用することができる。
【0152】
例えば、重み関数W(z)は以下のように定義することができる。
【数2】
ただし、μ(Li)は、以下となるように、リンクLiのチャネルコヒーレンス時間に適応することができる忘却因子である。
【数3】
【0153】
PLi(x)を求めるための第2の実施形態は、無線リンクLi上でMAC層によって検出された送信障害/成功に基づくメトリックに注目する。これにより、PLi(x)を求める場合に、第1の実施形態に比べて、交換される情報量を削減できるようになる。
【0154】
無線リンクLi上でノードがメッセージを送信するたびに、そのノードはパラメーターgs(xs,Li)を更新し、無線リンクLi上でノードがメッセージの送信に成功するたびに、そのノードはパラメーターfs(xs,Li)を更新する。ただし、xsは、無線リンクLi上で前回送信するのに成功したパケットからの持続時間である。それゆえ、パラメーターgs(xs,Li)は、前回送信するのに成功したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表し、パラメーターfs(xs,Li)は、2つの成功したメッセージ送信間に経過した時間期間の分布を表す。
【0155】
無線リンクLi上でノードがメッセージを送信するたびに、そのノードはパラメーターgf(xf,Li)を更新し、無線リンクLi上でノードがメッセージを送信するのに成功するたびに、そのノードはパラメーターff(xf,Li)を更新する。ただし、xfは無線リンクLi上で前回送信するのに失敗したパケットからの持続時間である。それゆえ、パラメーターgf(xf,Li)は、前回送信するのに失敗したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表し、パラメーターff(xf,Li)は、或るメッセージの送信失敗と、次のメッセージの送信成功との間に経過した時間の分布を表す。
【0156】
その際、前回成功した送信又は前回失敗した送信からの時間期間に基づいて、確率PLi(x)を以下のように定義することができる。
【数4】
【数5】
である。ただし、xは、確率PLi(x)が求められた時刻を表し、xlastはメッセージの前回の送信が実行された時刻を表す。
【0157】
送信されたメッセージの代わりに、受信されたメッセージに関しても同じ手法を用いることができる。
【0158】
図6は、無線メッシュ通信ネットワーク100若しくは200のスマートメーター120によって、又は無線メッシュ通信ネットワーク200のコンセントレーターデバイス110によって実行されるアルゴリズムを概略的に表す。以下では、そのアルゴリズムがスマートメーター120によって実行される場合について考える。そのアルゴリズムはステップS600において開始する。
【0159】
次のステップS601において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230から要求を受信する。その要求は、サーバーデバイス230から直接受信することもできるし、スマートメーター120の親ノードを介して間接的に受信することもできる。
【0160】
次のステップS602において、スマートメーター120は、その要求が正しく受信されたか否かを調べる。例えば、スマートメーター120は、その要求内に含まれるCRC(巡回冗長検査)フィールドを用いてその要求の整合性を調べる。その要求が正しく受信される場合には、スマートメーター120はステップS605を実行する。そうでない場合には、スマートメーター120はステップS603を実行する。
【0161】
ステップS603において、スマートメーター120は、全域木内の親ノードを介して、サーバーデバイス230に無線リンク障害メッセージ(WLFM)を送信する。送信されたWLFMは、その要求がスマートメーター120によって正しく受信されなかったことを示す。それゆえ、WLFMは、送信障害が検出された無線リンクを特定する。その後、アルゴリズムはステップS615において終了する。
【0162】
WLFMメッセージはサーバーデバイス230と無線メッシュ通信ネットワークのノードとの間のシグナリングメッセージであり、既に説明されたような、MAC層において2つの隣接するノード間で送信される場合があるACK/NACKとは異なることに留意されたい。
【0163】
ステップS605において、スマートメーター120は受信された要求が自らに宛てられたか、又はスマートメーター120の子部分木内に位置するスマートメーターに宛てられたかを調べる。スマートメーター120は、この情報をスマートメーターの識別子から、又はステップS502においてサーバーデバイス230によって送信された要求に含まれる、その要求が宛てられたスマートメーターから入手する。全域木、又は少なくとも自らと、自らの親ノードと、自らの子部分木とを含む全域木の部分を認識しているスマートメーター120は、その要求が、自らに宛てられたか、別のスマートメーターに宛てられたかを、かつその別のスマートメーターが自らの子部分木内に位置するか否かを特定することができる。受信されたメッセージが自らに宛てられたとき、スマートメーター120は、ステップS606を実行する。そうでない場合には、スマートメーター120はステップS607を実行する。
【0164】
ステップS606において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230によって要求されたデータを検索し、検索されたデータを含む応答を構成し、その応答を自らの親ノードに送信する。その後、そのアルゴリズムはステップS615において終了する。
【0165】
ステップS607において、スマートメーター120は、要求が宛てられたスマートメーターに達するためのホップ数を求める。スマートメーター120が全域木を、それゆえ、全域木内の各ノードの位置を認識しているとき、スマートメーター120は上記ホップ数を求めることができる。
【0166】
次のステップS608において、スマートメーター120は、タイムアウトを設定する。このタイムアウトはステップS601において受信された要求に関連付けられる。このタイムアウトの持続時間は、少なくともステップS607において求められたホップ数に従って計算される。スマートメーター120は、タイムアウトの持続時間を計算するために、1つのノードから隣接するノードまでの最大送信時間、1つのノードから隣接するノードまでの許される最大再送回数、及び1つのノードにおいて許される最大メッセージ処理時間期間を考慮に入れることができる。
【0167】
好ましい実施形態では、スマートメーター120は、求められたホップ数に、既に言及された1ホップあたりの基準時間期間値を掛けることによってタイムアウト持続時間を得る。
【0168】
次のステップS609において、スマートメーター120は、受信された要求を、受け手、すなわち、ステップS502においてサーバーデバイス230によって送信された要求において特定されるスマートメーターに向かって転送する。それゆえ、スマートメーター120は、受信された要求を、全域木に従って受け手に向かう途中にある次のスマートメーターに転送する。ただし、次のスマートメーター自体が受け手である場合もある。
【0169】
次のステップS610において、スマートメーター120は或るイベントを検出するのを待ち、そのイベントは、ステップS609において実行された送信が失敗したというMAC層からの指示(MAC_ERR)の受信、WLFMの受信、要求に対する受け手からの応答(RESP)の受信、又はステップS608において設定されたタイムアウト(TO)の満了とすることができる。
【0170】
図6のアルゴリズムが実施されたスマートメーター120の層が、スマートメーター120のMAC層から、中継しようと試みられた要求がその応答において少なくとも1つの否定応答を生成したことを示す通知(MAC_ERR)を受信するとき、ステップS613が実行される。
【0171】
ステップS609において転送された要求が、スマートメーター120からその要求の受け手までの途中にある1つのスマートメーターによって正しく受信されないとき、又はその要求に対する応答が、その要求の受け手からスマートメーター120までの途中にある1つのスマートメーターによって正しく受信されないとき、又は所定の時間期間内に、その要求の受け手からスマートメーター120までの途中にある1つのスマートメーターによって応答もWLFMも受信されなかったときに、スマートメーター120によってWLFMが受信される。WLFMが受信されると、スマートメーター120はステップS612を実行する。
【0172】
ステップS608において設定されたタイムアウトは、ステップS609において転送された要求の受け手に向かう途中にある次のスマートメーターから、又は次のスマートメーターを介して、RESPもWLFMも受信されないときに満了する。タイムアウトが満了するとき、それは、その要求が中継された無線リンク上で、又はこの無線リンクの子部分木内で送信障害が検出されることを意味する。ステップS608において設定されたタイムアウトは、送信障害が生じた無線リンクを特定する精度を高めるために、タイムアウトが満了する前に、受け手に向かう経路上にある子部分木のいずれかのノードからそのようなWLFMを受信することを可能にするように適合されることが好ましい。その結果として、スマートメーター120は、ステップS613を実行する。
【0173】
受け手から要求に対する応答(RESP)が受信されると、スマートメーター120はステップS614を実行する。
【0174】
ステップS612において、スマートメーター120は、受信されたWLFMを、スマートメーター120の親ノードを介してサーバーデバイス230に向かって転送し、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0175】
ステップS613において、スマートメーター120は、WLFMを生成し、そのWLFMを、スマートメーター120の親ノードを介してサーバーデバイス230に向かって送信し、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【0176】
スマートメーター120によって生成されたWLFMは、1つの要求、又は該要求に対する応答の送信中に、スマートメーター120の子部分木に対応する全域木の部分において生じた送信障害を表す。その際、WLFMは、スマートメーター120が上記要求の中継を試みた無線リンクのインジケーションを含む。検出されたリンク障害によって影響を受ける全域木の経路は、特定された無線リンクの子部分木のいずれかのノードを含む経路である。
【0177】
それゆえ、WLFMは、送信障害が検出された無線リンクを特定するが、WLFMは特定された無線リンクの子部分木の別の無線リンク上で生じた場合もある。
【0178】
スマートメーター120がサーバーデバイス230に向かってWLFMを送信すると、ステップS615においてそのアルゴリズムは終了する。
【0179】
好ましい実施形態では、サーバーデバイス230によって収集されることになり、かつスマートメーター120によって与えられることになるデータが、スマートメーター120によってサーバーデバイス230にまだ与えられていない場合には、スマートメーター120によって生成又は転送されるWLFMは、そのデータも含む。これにより、サーバーデバイス230によってスマートメーター120に明確に宛てられた要求を受信するのを待つことに比べて、プロトコルオーバーヘッドを制限できるようになり、サーバーデバイス230によってデータを収集するための全レイテンシが短縮される。
【0180】
ステップS614において、スマートメーター120は、サーバーデバイス230に向かって応答(RESP)を転送する。その結果として、ステップS608において設定されたタイムアウトは無効にされる。その後、ステップS615においてアルゴリズムは終了する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法であって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行され、
前記データ収集デバイスは、
前記全域木の前記経路ごとのメトリックを得ることであって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得ることと、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定することと、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信することであって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信することと、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新することと、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続けることと、
を実行することを特徴とする、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法。
【請求項2】
前記データ収集デバイスは、
少なくとも1つのノードから、少なくとも1つの無線リンク上の送信条件についての情報、又は送信条件の変動についての情報を受信することと、
前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定することと、
を実行することを特徴とし、
前記メトリックのうちの少なくとも1つの前記更新は、前記特定された経路(複数の場合もあり)に含まれる前記無線リンクに対して実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ収集デバイスは、
1つのノードによって生成される無線リンク障害報告を受信することを実行し、
該報告は、該報告を生成した前記ノードによって前記要求が中継されることを試みられた無線リンクのインジケーションを含み、
該報告は、該報告において示された前記無線リンク上で、又は該報告において示された前記無線リンクの子部分木に対応する前記全域木の部分内で、前記要求のうちの1つの送信中又は前記要求のうちの1つに対応する応答の送信中に生じた送信障害を表すことを特徴とし、
前記経路は、前記子部分木のいずれかのノードを含む経路であると判断されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線リンク障害報告は、中継されることを試みられた前記要求が応答において少なくとも1つの否定応答を生成することを示す通知を、ノードの或る層が該ノードの媒体アクセス制御層から受信するときに、該ノードによって生成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記無線リンク障害報告は、或るノードが、前記要求のうちの1つが宛てられるノードから、タイムアウトが関連付けられた前記要求に対して、応答も別の無線リンク障害報告も受信することなく前記タイムアウトが満了するときに、該ノードによって生成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記タイムアウトは、前記タイムアウトを設定する前記ノードと、前記タイムアウトが関連付けられた前記要求が宛てられる前記ノードとの間の、前記全域木内のホップ数を少なくとも考慮に入れることによって設定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードは、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つに既に応答したか否かを調べることと、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つにまだ応答していないときに、前記デバイスによって収集されるべき自らのデータを前記無線リンク障害報告内に含めることと、
を実行することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記データ収集デバイスは、前記無線リンク障害報告のうちの1つを受信すると、
前記特定された経路(複数の場合もあり)内に含まれる前記無線リンクごとのメトリックをインクリメントすることと、
前記メトリックに従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記全域木の前記経路をソートすることと、
を実行することを特徴とし、
前記データ収集デバイスは、前記メトリックに従ってソートされた前記経路を考慮に入れることによって、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得ることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記データ収集デバイスは、
前記ノードがその一端である少なくとも1つの無線リンク上の送信成功確率を表す情報を前記無線メッシュ通信ネットワークの前記ノードから受信することと、
前記受信された情報に従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記各経路について送信成功確率を計算することと、
を実行することを特徴とし、
前記データ収集デバイスは、前記計算された確率を考慮に入れることによって、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得ることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記データ収集デバイスは、経路の無線リンクごとに、
検討対象の前記無線リンクにメッセージが達するホップ数を求めることと、
伝搬遅延又は時間フレームを得るために、前記求められたホップ数に1ホップあたりの基準時間期間を乗算することと、
前記要求のうちの1つ又は前記要求のうちの1つに対する応答のいずれかを送信するために前記無線リンクが使用されることになる時刻又は時間フレームを、前記要求の送信がスケジューリングされた時刻と前記得られた伝搬遅延又は時間フレームとに基づいて求めることと、
前記無線リンクが使用されると判断されるときの送信成功確率を、送信成功確率を表す前記受信された情報から求めることと、
を実行することによって、前記送信成功確率を計算することを実行することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データ収集デバイスは、
チャネル推定値又はチャネル品質インジケータを経路の各ノードから周期的に受信することと、
前記受信されたチャネル推定値と該受信されたチャネル推定値の経時変化とに基づいて、チャネル予測を実行することと、
を実行することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの無線リンクについて送信成功確率を表す情報を与えるために、各ノードは、所与のメッセージを送信した後に、
前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第1のパラメーターを更新することと、
前回送信するのに失敗したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第2のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信に成功するときに、前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第3のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信が成功するときに、前回送信するのに失敗したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第4のパラメーターを更新することと、
を実行することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するためのデバイスであって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行され、
該デバイスは、
前記全域木の経路ごとのメトリックを得る手段であって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得る手段と、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定する手段と、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信する手段であって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信する手段と、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新する手段と、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更する手段と、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続ける手段と、
を備えることを特徴とする、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するためのデバイス。
【請求項14】
コンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、プログラムコード命令であって、該プログラムコード命令が請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラマブルデバイスによって実行されるときに、該プログラマブルデバイス内にロードすることができる、プログラムコード命令を含むことを特徴とする、コンピュータープログラム。
【請求項15】
情報記憶手段であって、該情報記憶手段はプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムであって、該プログラムコード命令が請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラマブルデバイスによって実行されるときに、該プログラムコード命令を該プログラマブルデバイス内にロードすることができる、コンピュータープログラムを格納することを特徴とする、情報記憶手段。
【請求項1】
データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法であって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行され、
前記データ収集デバイスは、
前記全域木の前記経路ごとのメトリックを得ることであって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得ることと、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定することと、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信することであって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信することと、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新することと、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って前記第1のスケジューリングシーケンスを変更することと、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続けることと、
を実行することを特徴とする、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するための方法。
【請求項2】
前記データ収集デバイスは、
少なくとも1つのノードから、少なくとも1つの無線リンク上の送信条件についての情報、又は送信条件の変動についての情報を受信することと、
前記無線リンクを含む前記全域木の少なくとも1つの経路を特定することと、
を実行することを特徴とし、
前記メトリックのうちの少なくとも1つの前記更新は、前記特定された経路(複数の場合もあり)に含まれる前記無線リンクに対して実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ収集デバイスは、
1つのノードによって生成される無線リンク障害報告を受信することを実行し、
該報告は、該報告を生成した前記ノードによって前記要求が中継されることを試みられた無線リンクのインジケーションを含み、
該報告は、該報告において示された前記無線リンク上で、又は該報告において示された前記無線リンクの子部分木に対応する前記全域木の部分内で、前記要求のうちの1つの送信中又は前記要求のうちの1つに対応する応答の送信中に生じた送信障害を表すことを特徴とし、
前記経路は、前記子部分木のいずれかのノードを含む経路であると判断されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線リンク障害報告は、中継されることを試みられた前記要求が応答において少なくとも1つの否定応答を生成することを示す通知を、ノードの或る層が該ノードの媒体アクセス制御層から受信するときに、該ノードによって生成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記無線リンク障害報告は、或るノードが、前記要求のうちの1つが宛てられるノードから、タイムアウトが関連付けられた前記要求に対して、応答も別の無線リンク障害報告も受信することなく前記タイムアウトが満了するときに、該ノードによって生成されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記タイムアウトは、前記タイムアウトを設定する前記ノードと、前記タイムアウトが関連付けられた前記要求が宛てられる前記ノードとの間の、前記全域木内のホップ数を少なくとも考慮に入れることによって設定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードは、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つに既に応答したか否かを調べることと、
前記無線リンク障害報告を生成する前記ノードが前記要求のうちの1つにまだ応答していないときに、前記デバイスによって収集されるべき自らのデータを前記無線リンク障害報告内に含めることと、
を実行することを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記データ収集デバイスは、前記無線リンク障害報告のうちの1つを受信すると、
前記特定された経路(複数の場合もあり)内に含まれる前記無線リンクごとのメトリックをインクリメントすることと、
前記メトリックに従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記全域木の前記経路をソートすることと、
を実行することを特徴とし、
前記データ収集デバイスは、前記メトリックに従ってソートされた前記経路を考慮に入れることによって、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得ることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記データ収集デバイスは、
前記ノードがその一端である少なくとも1つの無線リンク上の送信成功確率を表す情報を前記無線メッシュ通信ネットワークの前記ノードから受信することと、
前記受信された情報に従って、データがまだ収集されていない各ノードに達するための前記各経路について送信成功確率を計算することと、
を実行することを特徴とし、
前記データ収集デバイスは、前記計算された確率を考慮に入れることによって、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更して、前記第2のスケジューリングシーケンスを得ることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記データ収集デバイスは、経路の無線リンクごとに、
検討対象の前記無線リンクにメッセージが達するホップ数を求めることと、
伝搬遅延又は時間フレームを得るために、前記求められたホップ数に1ホップあたりの基準時間期間を乗算することと、
前記要求のうちの1つ又は前記要求のうちの1つに対する応答のいずれかを送信するために前記無線リンクが使用されることになる時刻又は時間フレームを、前記要求の送信がスケジューリングされた時刻と前記得られた伝搬遅延又は時間フレームとに基づいて求めることと、
前記無線リンクが使用されると判断されるときの送信成功確率を、送信成功確率を表す前記受信された情報から求めることと、
を実行することによって、前記送信成功確率を計算することを実行することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記データ収集デバイスは、
チャネル推定値又はチャネル品質インジケータを経路の各ノードから周期的に受信することと、
前記受信されたチャネル推定値と該受信されたチャネル推定値の経時変化とに基づいて、チャネル予測を実行することと、
を実行することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの無線リンクについて送信成功確率を表す情報を与えるために、各ノードは、所与のメッセージを送信した後に、
前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第1のパラメーターを更新することと、
前回送信するのに失敗したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第2のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信に成功するときに、前回送信するのに成功したメッセージを送信してからそれぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第3のパラメーターを更新することと、
前記所与のメッセージの送信が成功するときに、前回送信するのに失敗したメッセージを送信してから、それぞれのメッセージを送信するときに経過した時間期間の分布を表す第4のパラメーターを更新することと、
を実行することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するためのデバイスであって、前記ノードは無線リンクによって相互接続され、前記データ収集デバイスと前記ノードとの間の通信は前記無線メッシュ通信ネットワーク内の全域木の経路に従って実行され、
該デバイスは、
前記全域木の経路ごとのメトリックを得る手段であって、該メトリックは該経路の信頼性水準を表す、得る手段と、
前記得られたメトリックに従って前記データを収集するための第1のスケジューリングシーケンスを決定する手段と、
前記データを収集するために、前記第1のスケジューリングシーケンスに従って、前記ノードに要求を送信する手段であって、各要求は少なくとも1つの前記ノードに宛てられる、送信する手段と、
前記無線メッシュ通信ネットワーク内の送信条件の変動に従って前記メトリックのうちの少なくとも1つを更新する手段と、
第2のスケジューリングシーケンスを得るために、更新後の前記メトリックに従って、前記第1のスケジューリングシーケンスを変更する手段と、
前記第2のスケジューリングシーケンスに従って前記ノードに要求を送信し続ける手段と、
を備えることを特徴とする、データ収集デバイスが無線メッシュ通信ネットワークのノードからデータを収集するのに必要とされる時間期間を短縮するためのデバイス。
【請求項14】
コンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムは、プログラムコード命令であって、該プログラムコード命令が請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラマブルデバイスによって実行されるときに、該プログラマブルデバイス内にロードすることができる、プログラムコード命令を含むことを特徴とする、コンピュータープログラム。
【請求項15】
情報記憶手段であって、該情報記憶手段はプログラムコード命令を含むコンピュータープログラムであって、該プログラムコード命令が請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法を実施するためのプログラマブルデバイスによって実行されるときに、該プログラムコード命令を該プログラマブルデバイス内にロードすることができる、コンピュータープログラムを格納することを特徴とする、情報記憶手段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【公開番号】特開2013−90332(P2013−90332A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221824(P2012−221824)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】
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