説明

データ受信装置、およびデータ受信プログラム

【課題】データ受信装置において、有意義に記録領域を利用しつつ分割データを確実に受信できるようにする。
【解決手段】DSRC車載器においては、路上機から送信された送信データを受信し(S110)、受信した送信データの各パケットに含まれる各データを、路上機の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数と同数以下の複数に設定された組立バッファを有する記憶部に対してデータの種別毎に振り分けて格納する(S130〜S260)。そして、データが記録された各組立バッファにおいて、分割データが揃ったか否かを復元情報に基づいて判定し(S270)、データが揃ったと判定された場合に、復元情報に基づいて分割データを結合して出力する(S280)。このようなDSRC車載器によれば、先に受信した分割データを破棄することなく新たに受信した分割データを受信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信装置から送信される送信データを受信可能なデータ受信装置、およびデータ受信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、専用狭域通信(DSRC)の手法が規格化されている(例えば、非特許文献1参照)。この規格では、データ送信装置が送信すべきデータを所定長の複数のパケットに分割して送信し、データ受信装置が所定の個数だけ準備された記録領域のそれぞれにデータの種別毎にパケット中のデータを振り分けて記録し、分割されたデータ(分割データ)が全て揃った時点でデータを復元して出力する。この際、該当のデータが記録されていた記録領域内のデータを削除する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】狭域通信(DSRC)アプリケーションサブレイヤ標準規格、ARIB STD-T88 1.1版、社団法人電波産業会(p.28:3.2.2.4.2 バルク転送制御の手順等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記規格では、データ受信装置がデータを受信できなかった状況を考慮して、データ送信装置が送信すべきデータを繰り返し送信するか、或いはデータ受信装置の要求に応じてデータ送信装置がデータ(分割データ)の再送を行うよう構成される。この構成では、同種の分割データの全てを受信するまでの間、分割データを一時的に記録しておく記録領域をデータの種別毎に必要とするが、備えておくべき記録領域の数については上記規格には規定されていない。
【0005】
ここで、この記録領域の数が少な過ぎる場合には、分割データの復元が完了する前に、次々と新たな種別のデータを受信してしまうことがあり、この場合、記録領域に記録されたデータを削除しなければ新たな種別のデータを記録できないため、受信できないデータが生じるという問題点があった。また、記録領域の数が多い場合には、受信できないデータが生じる可能性は低くなるが、利用されない記録領域が存在する可能性が高くなり、記録領域を有意義に利用できないという問題点があった。
【0006】
そこで、このような問題点を鑑み、データ送信装置から送信される送信データを受信可能なデータ受信装置、およびデータ受信プログラムにおいて、有意義に記録領域を利用しつつ分割データを確実に受信できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために成された第1の構成のデータ受信装置において、受信手段はデータ送信装置から送信された送信データを受信し、振分格納手段は、受信した送信データの各パケットに含まれる各データを、データ送信装置の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数以下の個数に設定された複数の記録領域を有する記録部に対してデータの種別毎に振り分けて格納する。そして、復元可否判定手段は、振分格納手段によってデータが記録された各記録領域において、分割データが揃ったか否かを復元情報に基づいて判定し、結合出力手段は、復元可否判定手段によってデータが揃ったと判定された場合に、復元情報に基づいて分割データを結合して出力する。
【0008】
ここで、データ送信装置からデータ受信装置に対して送信データを送る場合には、例えば、ある種別の分割データを連続して送信し、この種別の分割データの送信が終了すると、次の種別の分割データを連続して送信する構成にすることが考えられる。この構成の場合において、常に送信データを正常に受信できれば記録領域は1つあればよいが、送信データの送受信を無線で行う場合等、通信状態が不安定になり、送信データを正常に受信できない場合には、記録領域が1つであると正常に受信できないデータが生じる。
【0009】
つまり、送信データのうちの一部の分割データが正常に受信できない場合には、記録領域に結合が完了していない分割データが記録されたままとなり、このままでは新たに別の種別の分割データを受信したとしても記録する領域がない状態となる。この状態において新たな種別の分割データを受信するためには、記録領域を上書きする必要があり、先に受信していた分割データを破棄することになる。
【0010】
そこで、本発明では、記録領域を複数に設定しており、ある種別の分割データの一部が正常に受信できなかったときに新たに他の種別の分割データを受信したとしても、他の記録領域に新たに受信した分割データを記録することで、先に受信した分割データを破棄することなく新たに受信した分割データを受信することができるようにしている。この構成では、先に受信した分割データについては記録領域に保持しておき、受信できなかった分割データが再送されると、元のデータに結合(復元)することができる。
【0011】
ところで、ある種別の分割データを連続して送信し、この種別のデータが終了すると次の種別の分割データを連続して送信する構成でなく、複数種別のデータをそれぞれ分割し、各種別のデータを1つずつ送信データに含めて送信する構成も想定できる。例えば、種別Aの1番目の分割データおよび種別Bの1番目の分割データを1回目の送信データに含めて送信し、種別Aの2番目の分割データおよび種別Bの2番目の分割データを2回目の送信データに含めて送信するような場合である。
【0012】
この場合には、データの種別の数が1回の送信データに含めることができる最大のパケット数になるため、本発明では、記録領域の数の上限値を1回の送信データに含めることができる最大のパケット数としている。
【0013】
このようなデータ受信装置によれば、分割データを無駄な記録領域を設けることなく受信できる確率を向上させることができる。
ところで、上記データ受信装置においては、第2の構成のように、結合されたデータが記録されていた記録領域を初期化する初期化手段、を備え、振分格納手段は、新たな種別のデータを受信した場合、初期化されている記録領域に優先的にデータを振り分けるようにしてもよい。
【0014】
このようなデータ受信装置によれば、結合前のデータが削除されにくくすることができる。
さらに、上記データ受信装置においては、第3の構成のように、振分格納手段は、新たな種別のデータを受信した場合において初期化されている記録領域がない場合には、最も長時間、データの更新がされていない記録領域に、新たな種別のデータを上書きするようにしてもよい。
【0015】
このようなデータ受信装置によれば、長時間に渡ってデータの結合が完了しないデータを破棄することができる。この結果、記録領域が長時間更新されない状態を解消することができる。
【0016】
また、上記データ受信装置においては、第4の構成のように、振分格納手段は、データ送信装置の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数と同数に設定された複数の記録領域を有する記録部に対してデータの種別毎に振り分けて格納するようにしてもよい。
【0017】
このようなデータ受信装置によれば、結合されることなく破棄されるデータをより少なくすることができる。
或いは、上記データ受信装置においては、第5の構成のように、送信データにこの送信データに含まれるパケット数の情報が含まれている場合、このパケット数と同数に記録領域の数を設定する領域数設定手段、を備えていてもよい。
【0018】
このようなデータ受信装置によれば、1回の送信データで送信されうるデータ種別の数だけ記録領域の数を動的に設定することができる。よって、記録領域の数を少なく設定する際に、利用しない記録領域を他の用途に利用することができる。
【0019】
また、上記データ受信装置においては、第6の構成のように、DSRC無線通信装置として構成されていてもよい。
このようなデータ受信装置によれば、DSRC無線通信装置に対する通信を行う装置からの送信データを良好に受信することができる。
【0020】
次に、上記目的を達成するために成された第7の構成としてのデータ受信プログラムは、コンピュータを、上記の何れか1項に記載のデータ受信装置を構成する各手段として機能させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0021】
このようなデータ受信プログラムによれば、少なくとも請求項1に記載のデータ受信装置と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】通信システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】組立バッファ35aの概要を示す模式図である。
【図3】送信データの構成を示す模式図である。
【図4】受信処理を示すフローチャートである。
【図5】受信処理による具体的作動を示す説明図である。
【図6】バッファ設定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
図1は本発明が適用された通信システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
通信システム1は、DSRC(専用狭域通信)車載器30(データ受信装置)、ナビゲーション装置60、イグニッションスイッチ80等を備えた車両側の装置が、ETC(登録商標:Electronic Toll Collection)路上機10やDSRC路上機20等の路側の装置(データ送信装置)とデータのやりとりをするよう構成されている。なお、本実施形態においては、路上機10,20から車両に対して送信される情報をサービス情報とも呼ぶこととする。
【0025】
ETC路上機10は、有料道路や駐車場等における料金所に配置されており、ETC制御部11と、料金所アンテナ12とを備えている。ETC制御部11は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、料金所アンテナ12から料金所における所定の領域に電波を発信し、その電波を受信した車両(DSRC車載器30等)からの応答を受けると、通信相手を1台の車両に特定した通信を実施し、通信相手を特定して料金を徴収する等のデータのやりとり(個別情報のやりとり)を実施する。
【0026】
なお、ETC制御部11は、図示しないサーバと通信線を介して接続されており、サーバに対して料金の徴収履歴やその時刻等の情報をサーバにおけるデータベースに格納させる。
【0027】
DSRC路上機20は、DSRC制御部21とDSRCアンテナ22とを備えている。DSRC制御部21は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、予め通信線を介して接続されたデータセンタ(図示省略)から送られた交通情報等のデータを載せた電波を、道路を含む所定の領域に繰り返し送信する(同報情報のやりとり)。ここで、このように、DSRC路上機20が交通情報等のデータを載せた電波を繰り返し送信する際には、通信相手を不特定多数の車両とする(通信相手を1台の車両には特定しない)。
【0028】
なお、DSRC路上機20は、通信相手を1台の車両に特定した通信も実施し、この場合には、電波を受信した車両(DSRC車載器30等)からの応答を受けると、車両情報(走行履歴、車速、加速度等の車両の走行に関する情報)を要求し、車両から所望の情報が得られると、その情報をデータセンタやサーバ(図示省略)等に送信して送信先に記録させる(個別情報のやりとり)。なお、各路上機10,20は、個別情報のやりとり時において、通信エラー等が発生したときに、DSRC車載器30から特定のデータを再送する要求を受けると、この特定のデータを再送する機能を有する。
【0029】
DSRC車載器30は、路上機10,20からサービス情報を受信し、このサービス情報に対応する処理(例えば料金所における料金決裁処理)を実施するとともに、このサービス情報のうちのナビゲーション装置60等の外部装置にて利用されるものを、外部装置に転送する機能を有する。この場合、DSRC車載器30からナビゲーション装置60へは、例えば、文字、音声データ、図形に関する情報の少なくとも1つを含むサービス情報が転送され、ナビゲーション装置60では、そのサービス情報に基づいて画像を生成し表示させたり、音声を生成しスピーカ37に出力したりする処理が実施される。
【0030】
具体的にDSRC車載器30は、車載器制御部31と、無線部32と、車載器アンテナ33と、通信部34と、記憶部35(記録部)と、表示部36と、スピーカ37と、入力操作部38と、ICカード制御部39と、ICカードコネクタ40とを備えている。
【0031】
車載器制御部31は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されており、このDSRC車載器30全体の制御を司る。特に、車載器制御部31は、一部のデータを正常に受信できなかった場合に、受信できなかったデータの再送を依頼する機能を有する。
【0032】
無線部32は、車載器アンテナ33を介して電波を送受信することによってDSRC車載器30と路上機10,20との通信を実現する。つまり、無線部32は、車載器制御部31から路上機10,20に送信するよう指令を受けたデータに応じて所定周波数の搬送波を変調して送信し、車載器アンテナ33を介して電波を受信すると、受信した電波を復調し、得られたデータを車載器制御部31に送る。通信部34は、例えばCAN等の所定のプロトコルで通信が実施される車内LAN5(通信線)を介してナビゲーション装置60等の装置と通信可能に構成されている。
【0033】
記憶部35は、周知の書込可能なメモリとして構成されており、車載器制御部31がこの記憶部35への書き込み、および読み出しを行う。特に、記憶部35は、図2に示すように、複数個(n個)の組立バッファ35aを備えており、各組立バッファ31aには、複数のデータを格納することができるよう構成されている。ここで、組立バッファ35aの数は、ETC路上機10,DSRC路上機20の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数と同数に設定されている。
【0034】
また、表示部36は周知のディスプレイとして構成されており、車載器制御部31からの画像信号に応じた画像を表示させる。入力操作部38は、例えばスイッチやキーボード等、当該システムのユーザによる操作を受け付けるためのインタフェースとして構成されている。なお、入力操作部38を介して入力された操作は、車載器制御部31にて検出される。
【0035】
ICカード制御部39は、ICカードコネクタ40にセットされたICカード90の読み書きを行う。具体的には、ICカード制御部39は、車載器制御部31による指令に応じてICカード90の処理部91に対して所定のデータを読み書きする指令を送信し、この指令を受けた処理部91が、ICカード90の記憶部92に記憶されたデータの読み書きを実施する。
【0036】
このような処理によって、ICカード90に対して、利用した有料道路のインターチェンジや駐車場を特定するための情報の読み書きが実施される。また、ICカード90からは、ICカード90の所有者(ユーザ)を特定するための情報や、カードの有効期限等の情報が読み出されることになる。
【0037】
なお、車載器制御部31は、車両におけるイグニッションスイッチ80とも接続されており、イグニッションスイッチ80の状態(ON/OFF)を検出できるように構成されている。また、イグニッションスイッチ80の状態は、ナビゲーション装置60でも検出できるように構成されている。さらに、車載器制御部31は、ナビゲーション装置60からプローブ情報(走行履歴や車速、加速度等の情報)を送信するよう指令を受けると、ナビゲーション装置60からプローブ情報を受信し、そのプローブ情報を路上機10,20に対して送信する。
【0038】
なお、ナビゲーション装置60は、DSRC車載器30からデータを受信完了すると、受信完了した旨をDSRC車載器30に対して返す機能、および周知のナビゲーション装置としての機能を備えている。
【0039】
ここで、路上機10,20とDSRC車載器30との間では、例えば図3に示すような構成のデータが送受信される。すなわち、図3には1フレームのデータを示し、このデータには、いわゆるヘッダ部分としての情報を含むFCMC(フレームコントロールメッセージチャネル)、実データ(LID部分)を含む複数のSCI(分割データ:パケット)、およびデータ誤り検査用のデータであるCRCが含まれている。
【0040】
また、1フレームのデータにおいてFCMC部分には、情報の優先順位を表す区別情報がSCI部分の個数の情報が含まれている。ここで、区別情報は、例えば5段階で記録されており、このレベルが3以上であれば高優先度であるものとして処理される。
【0041】
また、区別情報のレベルが2以下であれば低優先度として処理される。また、LID部分には、データの種別情報(同報情報であるか個別情報であるか、および外部装置に対して転送の必要があるか否かを表す情報)が含まれている。
【0042】
そして、SCI部分の個数の情報は、FCMC部分のFSI部分に記録されている。つまり、1フレームに含まれるSCI部分の個数は、通信の仕様によって変更可能に構成されている。また、実データは、複数の各SCIのうちのLID部分に分割され、必要に応じて複数のフレームに分割される。
【0043】
実データを分割した場合には、分割された各分割データを結合するための情報(復元情報:データ種別、分割数、データの何れの部分かを特定する情報)がFCMC部分に含まれるよう設定されており、データの受信時にFCMC部分を参照すれば、分割データを元の実データに復元できるようになっている。
【0044】
[本実施形態の処理]
このようなDSRC車載器30が路上機10,20から送信される送信データを受信する際の処理について図4を用いて説明する。図4は、車載器制御部31が実行する受信処理を示すフローチャートである。なお、S130〜S260の処理は、本発明でいう振分格納手段に相当する。
【0045】
受信処理は、DSRC車載器30が路上機10,20から送信される送信データを受信する度に開始される処理であって、受信した実データの1つ1つ(LID部分)に対して実行される処理である。受信処理では、まず、受信したデータを取得する(S110:受信手段)。
【0046】
そして、このデータが分割データであるか否かを、このデータのFCMC部分を参照して判定する(S120)。分割データでなければ(S120:NO)、このデータを利用可能なデータとして出力し(記録部15等のメモリに出力(記録)する場合を含む)(S300)、データ受信処理を終了する。
【0047】
また、分割データであれば(S120:YES)、このデータの種別について、記録済みのグループ番号を有するか否かを判定する(S130)。つまり、同じ種別の分割データが何れかの組立バッファ35aに記録されているか否かを判定する。
【0048】
受信したデータが記録済みのグループ番号を有するものでなければ(S130:NO)、組立バッファ35aがフルであるか(つまり、初期化されている組立バッファ35aがない状態であるか)否かを判定する(S140)。組立バッファ35aがフルでなければ(S140:NO)、新規のグループ番号でデータの組立を行う(S150)。
【0049】
つまり、このデータの種別が対応するグループ番号と組立バッファ35aとを対応付けて、この組立バッファ35aにデータを記録させる。このような処理が終了するとデータ受信処理を終了する。
【0050】
また、S140の処理にて組立バッファ35aがフルであれば(S140)、最も古いグループ番号の組立バッファ35a(最新の更新時刻が最も過去である組立バッファ35a)内のデータを破棄(初期化)し(S210)、この組立バッファ35aに対して、新規のグループ番号でデータの組立を行う(S220)。この処理が終了するとデータ受信処理を終了する。
【0051】
また、S130の処理にて、受信したデータが記録済みのグループ番号を有するものであれば(S130:YES)、受信したデータのグループ番号が対応付けられた組立バッファ35aにデータを記録させ(S260)、この組立バッファ35aにおいて全ての分割データが揃ったか否かをFCMC部分を参照して判定する(S270:復元可否判定手段)。
【0052】
全ての分割データが揃っていれば(S270:YES)、これらの分割データを結合し、結合後のデータを、S300の処理と同様に利用可能なデータとして出力する(S280:結合出力手段)。そして、結合済みの分割データを記録していた組立バッファ35aを初期化し(S290:初期化手段)、データ受信処理を終了する。
【0053】
次に、このようなデータ受信処理の具体例について図5を用いて説明する。図5に示す例では、3分割された種別Aの分割データ、2分割された種別B,Cの分割データを送信データに含めて送信する。特に、ある種別の分割データを連続して送信し、この種別のデータが終了すると次の種別の分割データを連続して送信する。このようなデータの送信方法は、個別情報のやりとりの際に主として利用される。
【0054】
具体的には、複数種別のデータをそれぞれ分割し、各種別のデータを1つずつ送信データに含めて送信する。例えば、図5に示すように、3分割された種別Aの分割データ、2分割された種別B,Cの分割データを送信データに含めて送信する場合において、1フレームに4つの分割データを格納する領域(MDC:前述のSCIに相当)を有する場合には、図5(a)に示すように、1フレーム目で、種別Aの1番目の分割データ(A−1/3)、種別Aの2番目の分割データ(A−2/3)、種別Aの3番目の分割データ(A−3/3)、および種別Bの1番目の分割データ(B−1/2)を送信する。
【0055】
そして、2フレーム目で、種別Bの2番目の分割データ(B−2/2)、種別Cの1番目の分割データ(C−1/3)を送信し、および種別Cの2番目の分割データ(C−2/3)を送信する。このとき、組立バッファ35aには、図5(c)に示すように、データの種別毎に、分割データが記録される。
【0056】
なお、一部の分割データがDCRC車載器30において正常に受信されない場合において、個別情報のやりとりを実施している際には、DSRC車載器30の車載器制御部31は、路上機10,20に対して受信できなかった分割データの再送を要求し、路上機10,20は、次回のフレームに要求されたデータを含めて送信する。具体的には、図5(b)に示すように、例えば、種別Aの2番目の分割データ(A−2/3)が正常に受信できなかった場合には、次のフレームにおいて種別Aの2番目の分割データ(A−2/3)が再送される。このとき、組立バッファ35aにおいては、図5(c)上段に示すように、種別Aの2番目の分割データ(A−2/3)が受信されるまで、種別Aの1番目の分割データ(A−1/3)および3番目の分割データ(A−3/3)を保持した状態となる。
【0057】
[本実施形態の効果]
以上のように詳述したDSRC車載器30において、車載器制御部31はETC路上機10,DSRC路上機20から送信された送信データを受信し、受信した送信データの各パケットに含まれる各データを、ETC路上機10,DSRC路上機20の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数と同数に設定された複数の組立バッファ35aを有する記憶部35に対してデータの種別毎に振り分けて格納する。そして、車載器制御部31は、データが記録された各組立バッファ35aにおいて、分割データが揃ったか否かを復元情報に基づいて判定し、データが揃ったと判定された場合に、復元情報に基づいて分割データを結合して出力する。
【0058】
このようなDSRC車載器30によれば、組立バッファ35aを複数に設定しており、ある種別の分割データの一部が正常に受信できなかったときに新たに他の種別の分割データを受信したとしても、他の組立バッファ35aに新たに受信した分割データを記録することができるので、先に受信した分割データを破棄することなく新たに受信した分割データを受信することができる。また、先に受信した分割データについては組立バッファ35aに保持しておき、受信できなかった分割データが再送されると、元のデータに結合(復元)することができる。
【0059】
さらにDSRC車載器30によれば、組立バッファ35aの数の上限値を1回の送信データに含めることができる最大のパケット数としているので、分割データを無駄な組立バッファ35aを設けることなく受信できる確率を向上させることができる。
【0060】
また、DSRC車載器30において車載器制御部31は、結合されたデータが記録されていた組立バッファ35aを初期化し、新たな種別のデータを受信した場合、初期化されている組立バッファ35aに優先的にデータを振り分ける。
【0061】
このようなDSRC車載器30によれば、結合前のデータが削除されにくくすることができる。
さらに、DSRC車載器30において車載器制御部31は、新たな種別のデータを受信した場合において初期化されている組立バッファ35aがない場合には、最も長時間、データの更新がされていない組立バッファ35aに、新たな種別のデータを上書きする。
【0062】
このようなDSRC車載器30によれば、長時間に渡ってデータの結合が完了しないデータを破棄することができる。
また、DSRC車載器30においては、DSRC無線通信装置として構成されているので、電波状態が一時的に不安定になるような場合であっても、ETC路上機10,DSRC路上機20からの送信データを良好に受信することができる。
【0063】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0064】
例えば、図6に示すバッファ設定処理を実施することで、組立バッファ31aの数を動的に変更してもよい。なお、図6は、車載器制御部31が実行するバッファ設定処理を示すフローチャートである。
【0065】
バッファ設定処理は、DSRC車載器30が路上機10,20から送信される送信データを受信する度に開始される処理であって、前述の受信処理とは並行して実施される処理である。バッファ設定処理では、図6に示すように、FCMC部分のうちのFSIの値を取得する(S410)。そして、この値と同数に組立バッファ35aの数(図2でのnの数)を設定し(S420:領域数設定手段)、バッファ設定処理を終了する。
【0066】
このようなDSRC車載器30によれば、1回の送信データで送信されうるデータ種別の数だけ組立バッファ35aの数を動的に設定することができる。よって、組立バッファ35aの数を少なく設定する際に、利用しない組立バッファ35aを他の用途に利用することができる。
【0067】
上記実施形態において、組立バッファ35aの数は、ETC路上機10,DSRC路上機20の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数以下の個数かつ複数に設定されていればよい。
【0068】
このように構成されていれば、ある種別の分割データの一部が正常に受信できなかったときに新たに他の種別の分割データを受信したとしても、他の組立バッファ35aに新たに受信した分割データを記録することができるので、先に受信した分割データを破棄することなく新たに受信した分割データを受信することができる。
【0069】
また、上記実施形態では、図5で示したように、ある種別の分割データを連続して送信し、この種別のデータが終了すると次の種別の分割データを連続して送信する構成として説明したが、複数種別のデータをそれぞれ分割し、各種別のデータを1つずつ送信データに含めて送信する構成としてもよい。例えば、図5に示すように、3分割された種別Aの分割データ、2分割された種別B,Cの分割データを送信データに含めて送信する場合には、1フレーム目で、種別Aの1番目の分割データ(A−1/3)、種別Bの1番目の分割データ(B−1/2)、および種別Cの1番目の分割データ(C−1/3)を送信し、2フレーム目で、種別Aの2番目の分割データ(A−2/3)、種別Bの2番目の分割データ(B−2/2)、および種別Cの2番目の分割データ(C−2/3)を送信し、3フレーム目で残りのフレームを順次送信するようにすればよい。
【0070】
このような送信方法は、送信されるデータの種別が限られる同報情報のやりとりにおいて有効であると考えられる。
【符号の説明】
【0071】
1…通信システム、5…車内LAN、10…ETC路上機、11…ETC制御部、12…料金所アンテナ、20…DSRC路上機、21…DSRC制御部、22…DSRCアンテナ、30…DSRC車載器、30…DSRC車載器、31…車載器制御部、31a…組立バッファ、32…無線部、33…車載器アンテナ、34…通信部、35…記憶部、35a…組立バッファ、36…表示部、37…スピーカ、38…入力操作部、39…ICカード制御部、40…ICカードコネクタ、60…ナビゲーション装置、80…イグニッションスイッチ、90…ICカード、91…処理部、92…記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべきデータを所定長の複数のパケットに分割し、データ送信タイミングになると分割されたデータ(以下、「分割データ」という。)を復元するための復元情報および所定数のパケットを含む送信データを生成して送信し、少なくとも前記送信データの一部を再送可能なデータ送信装置、から送信される送信データを受信可能なデータ受信装置であって、
前記データ送信装置から送信された送信データを受信する受信手段と、
前記受信した送信データの各パケットに含まれる各データを、前記データ送信装置の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数以下の個数に設定された複数の記録領域を有する記録部に対してデータの種別毎に振り分けて格納する振分格納手段と、
前記振分格納手段によってデータが記録された各記録領域において、分割データが揃ったか否かを前記復元情報に基づいて判定する復元可否判定手段と、
前記復元可否判定手段によってデータが揃ったと判定された場合に、前記復元情報に基づいて分割データを結合して出力する結合出力手段と、
を備えたことを特徴とするデータ受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ受信装置において、
結合されたデータが記録されていた記録領域を初期化する初期化手段、を備え、
前記振分格納手段は、新たな種別のデータを受信した場合、初期化されている記録領域に優先的にデータを振り分けること
を特徴とするデータ受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ受信装置において、
前記振分格納手段は、新たな種別のデータを受信した場合において初期化されている記録領域がない場合には、最も長時間、データの更新がされていない記録領域に、新たな種別のデータを上書きすること
を特徴とするデータ受信装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のデータ受信装置において、
前記振分格納手段は、前記データ送信装置の規格上、1回の送信データに含めることができる最大のパケット数と同数に設定された複数の記録領域を有する記録部に対してデータの種別毎に振り分けて格納すること
を特徴とするデータ受信装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のデータ受信装置において、
前記送信データに当該送信データに含まれるパケット数の情報が含まれている場合、該パケット数と同数に前記記録領域の数を設定する領域数設定手段、
を備えたことを特徴とするデータ受信装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のデータ受信装置において、
当該データ受信装置は、DSRC無線通信装置として構成されていること
を特徴とするデータ受信装置。
【請求項7】
コンピュータを、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のデータ受信装置を構成する各手段として機能させるためのデータ受信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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