説明

データ変換装置

【課題】 データ伝送速度を変換して、伝送速度の違う回線を接続できるようにするとともに、データ伝送速度の変換によって生じる伝送時間の延長をも短縮させる。
【解決手段】 データ伝送速度が大きい第1回線1とデータ伝送速度が小さい第2回線2とを接続し、第1回線1から受信したデータを伝送速度を変換して第2回線2へと送信するデータ変換装置で、受信手段Rが第1回線1からデータを受信すると、記憶手段Mが受信したデータを格納する。この格納に際して、比較更新手段Cが受信した現データと、受信手段Rによって受信されて記憶手段Mに既に格納されている同種の前データとを比較して、両データの内容が重複する部分について前データ中の該当部分を現データの該当部分によって更新する。記憶手段Mに格納されているデータは送信手段Sによって第2回線2へと送信される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、データ伝送の際にデータの伝送速度を変換して伝送速度の違う回線を接続するデータ変換装置に関し、特にデータ伝送速度が大きい通信回線とデータ伝送速度の小さい通信回線とを接続するデータ変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より受信装置と送信装置とを通信回線を通じて接続して、データの伝送を行うことが知られている。前記データ伝送では、例えば、図5(a)及び(b)に示すように通信回線と装置とが接続されたものがある。図5(a)では、伝送速度9.6kbps(キロビット/秒)で伝送されるデータを受信可能な受信装置10と伝送速度4.8kbpsで伝送されるデータを受信可能な受信装置11とをそれぞれの伝送速度の通信回線12,13に接続した場合の回線構成を示している。この回線構成では、上記それぞれの受信装置10,11は予め設定された伝送速度のデータしか受信することができないため、設定された伝送速度でデータの伝送を行う通信回線にしか接続ができず、伝送速度9.6kbpsでデータ伝送する通信回線12と伝送速度4.8kbpsでデータ伝送する通信回線13との2種類の通信回線が使用されている。
【0003】図5(b)では、伝送速度9.6kbpsと伝送速度4.8kbpsでデータを伝送する場合の回線構成を示している。この回線構成では、伝送速度9.6kbpsでデータを伝送するための通信回線14と伝送速度4.8kbpsでデータを伝送するための通信回線15があり、送信装置が予め設定された伝送速度でしかデータを送信することができないために、伝送速度9.6kbps用と伝送速度4.8kbps用との2種類の送信装置16,17が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来のデータ伝送では、データ伝送速度の違う通信回線と受信機又は送信機とを接続することが不可能であった。そのため、複数種類の回線が必要となったり、複数の送信装置が必要となっていた。本発明では、上記従来の事情に鑑みなされたもので、データ伝送速度を変換するとともに、データ伝送速度の変換することによって生じる伝送時間をも短縮して、データ伝送速度の違う回線を接続することを可能とするデータ変換装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明に係るデータ変換装置は、データ伝送速度が大きい第1回線とデータ伝送速度が小さい第2回線とを接続し、第1回線から受信したデータを伝送速度を変換して第2回線へと送信するデータ変換装置であって、データを格納する記憶手段と、受信手段によって受信したデータ(現データ)と現データより先に受信されて記憶手段に既に格納されているデータ(前データ)中の同種のデータとを比較し、両データの内容が重複する部分について前データ中の該当部分を現データの該当部分によって更新する比較更新手段と、比較更新手段によって比較更新処理がなされて記憶手段に格納されたデータを第2回線へ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】上記データ変換装置によると、受信手段がデータ伝送速度の大きい第1回線からデータを受信すると、記憶手段が受信したデータを格納する。この格納に際して、比較更新手段が受信した現データと記憶手段に既に格納されている同種の前データとを比較して、両データの内容が重複する部分について前データ中の該当部分を現データの該当部分によって更新する。そして、記憶手段に格納されている更新データは送信手段によってデータ伝送速度の小さい第2回線へと送信される。したがって、第2回線へは記憶手段に格納されることによって伝送速度を変換されたデータが送信されるとともに、同種のデータがある場合にはいわゆる間引き処理がなされて一電文化され、送信データ量が減少される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例に係るデータ変換装置を図1を参照して説明する。このデータ変換装置は、伝送速度9.6kbpsの第1回線1と接続されてデータを受信する受信手段Rと、受信データが変換対象のデータであるかを判別する判別手段Jと、変換対象の受信データを第1回線1で使用されているデータ形式から第2回線2で使用されるデータ形式へと変換する変換手段Tと、変換手段Tで変換された受信データを格納するバッファメモリMと、バッファメモリMがデータを格納する際に、変換手段Tに変換された現データとバッファメモリMに格納されている前データとを比較し、現データによってバッファメモリMに格納されている前データを更新する比較更新手段Cと、伝送速度4.8kbpsの第2回線2と接続されてデータを送信する送信手段Sと、を備えている。
【0008】受信手段Rは、伝送速度9.6kbpsでデータを伝送する第1回線1と接続されていて、第1回線1で使用されている通信方式に従って伝送されるデータ(例えば、図2(1)に示してあるデータ形式)を受信する。前記データは、情報部、ヘッダ情報部、誤り制御符号等から構成されており、ヘッダ情報部には送信先の識別番号(ID)、送信元のID、情報部に含まれている内容の種別及び位置等の情報が格納されている。
【0009】判別手段Jは、受信手段Rによって受信されたデータが伝送速度を変換する対象であるかどうかを判別し、変換する対象であれば変換手段Tに受信データを転送し、変換する対象外であればデータを読み捨てる。すなわち、本実施例では、前記データ中のヘッダ情報に含まれている送信先IDに基づいて判別しており、送信先IDが第2回線2につながれている装置のIDである場合には変換対象として変換手段Tに転送し、それ以外の場合は変換対象外としてデータを読み捨てる。
【0010】変換手段Tは、第1回線1で使用されている通信方式でのデータ形式から第2回線2で使用されている通信方式でのデータ形式へと変換する。本実施例では、図2(1)に示されているデータ形式から図2(2)で示されているデータ形式へと変換する。すなわち、この変換では、第1回線1でのデータのヘッダ情報部より情報部の種別を取り出し、また、情報部の文字コードを第2回線2で使用されている文字コードへと変換して第2回線2で使用されるデータ形式にしている。なお、図では、例えば情報A1をコード変換したものを情報a1と表示している。
【0011】バッファメモリMは、第1回線1での伝送速度と第2回線2での伝送速度とが違うことから生じる受信データ量と送信データ量との差のデータを一時的に格納する。このため、データが受信されてから送信されるまでの間の一時的な時間を調整でき、第1回線1から受信されるデータを支障なく第2回線2へと送信させることができる。そして、バッファメモリMは、例えば、メモリ領域を予め或る固定長に領域を区切っておき、その領域に受け取ったデータを格納していき、一番初めに格納されたデータから送信手段の送信状態に基づいて順次送信手段Sに転送を行い、データ転送後は前記データが格納されていた領域を、再び後続のデータが格納できる空き領域とする。
【0012】上記バッファメモリMは、図2(3)に示すように、全体がバッファメモリMのメモり領域で、その中に区切られている実線で囲まれた1つ1つが固定長に区切られた領域となり、バッファメモリMがデータを格納する時には、1つの領域に1つのデータを図の下の領域から順次格納し、転送する時には、下の領域のデータから順次転送する。
【0013】比較更新手段Cは、バッファメモリMに格納されて送信手段Sへの転送を待っている状態の全ての前データと、変換手段TからバッファメモリMに格納しようとする現データとを比較する。そして、種別情報が同じデータを検出した場合には、前データの現データと内容が重複している部分を現データの内容へと更新することによって、前データと現データを1つのデータにする。
【0014】本実施例では、例えば、バッファメモリMが図2(3)に示す状態の時に、図3(2)に示す現データを格納しようとする場合には、比較更新手段CがバッファメモリMに格納されている前データの種別情報部分と、現データの種別情報部分を比較し、前データの中に種別情報部分が同一なデータ(例えば、種別情報部分が種別aのデータ)を検出し、同種のデータとして扱う。このように、同種の前データを検出すると、当該前データと現データに含まれている同内容を意味する内容情報部分(情報a1'と情報a1のようにデータ内部で同様な位置に格納されているもの)のうち、重複した部分(情報a1'と情報a1、情報a2'と情報a2、情報a4'と情報a4)を、現データに含まれている情報で更新する。その結果、同種の前データ及び現データは図3(3)に示すように種別aの1つのデータへと統合される。
【0015】上記の統合化処理を、例えば、データ伝送で株価情報データを扱っている場合に当てはめてみると、上記種別情報部分は或る会社の銘柄を表し、上記情報部分は前記銘柄の現在の株価を表していて、データの更新によって、或る銘柄の最新の株価情報にするといった処理を行っている。また、上記株価情報のデータの他には、天気及び気温情報のデータ等にも上記統合化処理を利用することができる。
【0016】送信手段Sは、伝送速度4.8bpsでデータを伝送する第2回線2と接続されており、バッファメモリMから順次受け取るデータを第2回線2で使用されている通信方式に従って送信する。
【0017】次に、上記データ変換装置の動作を図1、図2及び図3を参照して説明する。第1回線1から受信手段Rがデータを受信すると、判別手段Jが受信したデータが変換対象かどうかを判別し、変換対象のデータは変換手段Tに転送される。変換対象のデータは変換手段Tによって、第1回線1で使用されているデータ形式から第2回線2で使用するデータ形式へと変換され、バッファメモリMに格納される。
【0018】例えば、図2(1)に示すデータが受信手段Rに受信されて、判別手段Jに変換対象であると判別されると、変換手段Tによって図2(2)に示すデータ形式へと変換され、バッファメモリMには、図2(3)に示すように格納される。
【0019】また、受信した現データを変換手段TからバッファメモリMに格納するときに、比較更新手段CがバッファメモリMに格納されている前データの中に現データと同種の前データを検出した場合には、前データの現データと同内容の重複している部分を現データの内容へと更新する。これよって、前データと現データの情報内容を1つのデータにするために、送信するデータ量は縮小する。例えば、バッファメモリMが図2(3)に示すような状態の時に、変換手段Tが図3(1)に示す現データを図3(2)に示すような現データに変換して、バッファメモリMが現データを格納するときには、比較更新手段CによってバッファメモリMに格納されているデータ中に同種の前データが検出され、同種の前データは現データ基づいて更新されて、両データは図3(3)に示すバッファメモリMに含まれている種別aのデータとなる。
【0020】上記の処理が行われていると同時に、バッファメモリMは、格納されているデータのうち、転送される順番となったデータを送信手段Sへと転送する。送信手段Sは受け取ったデータを第2回線2へ送信する。送信手段Sによって1つのデータが送信されると、バッファメモリMは送信を終えたデータの格納されていた領域をクリアして、後続するデータを格納できる領域とするとともに、次に転送することになっているデータを送信手段Sに転送する。このように、バッファメモリMから送信手段Sへとデータが順次転送され、送信手段Sはデータを順次第2回線2へと送信する。
【0021】このように、伝送速度の違う第1回線1から第2回線2へとデータを伝送することができ、また、バッファメモリMに格納されているデータと同種のデータを受信したときにはデータを一つに統合するために、送信するデータの量を縮小することができ、データの伝送時間を短縮することができる。また、第1回線1と第2回線2とで使用されるデータの形式が違っていても支障なく伝送することができる。
【0022】次に、本実施例に係るデータ変換装置を使用した通信回線の例を図4及び図5を参照して説明する。図4(a)は、従来例の図5(a)に、データ変換装置を適用した場合であり、データ変換装置5によって4.8kbps用の受信装置11が9.6kbps用の通信回線12と接続することが可能となり、その結果、9.6kbps用の通信回線1種類だけで回線を構成することができる。
【0023】図4(b)は、従来例の図5(b)に、データ変換装置を適用した場合であり、データ変換装置5によって9.6kbps用の送信装置16と4.8kbps用の通信回線15と接続することが可能となり、その結果、9.6kbps用の送信装置だけで2種類の通信回線14,15へデータを送信することが可能となる。このように、データ変換装置5を使用することによって、回線種類の数を減らすことや、使用する送信装置を減らすこと等が可能となる。
【0024】なお、本実施例では、比較更新手段Cは、受信した現データをバッファメモリMに格納する前に比較更新処理を行っているが、受信した現データを一旦バッファメモリMに格納した後に、同様な比較更新処理を行うようにすることもできる。また、本実施例では、比較更新手段Cは、バッファメモリMの前データと受信した現データとが同種の場合に、重複内容部分を後から受信される現データの内容へと更新する処理をしていたが、データが含んでいる情報によっては、例えば、前データと現データとの重複内容部分のうち数値が大きい方が必要なデータである場合には、数値の大きい方を選ぶといったように、前データと現データの同内容部分のどちらか必要な方を選ぶようにして、データをその必要な内容に更新するようにしてもよい。
【0025】また、本実施例では、変換手段Tがデータの形式を変換した後にバッファメモリMに格納し、バッファメモリMのデータを送信手段Sがそのまま送信するといった装置構成となっていたが、まず、バッファメモリMに格納して、バッファメモリMより変換手段Tに転送してデータの形式を変換し、送信手段Sが送信するといった装置構成にすることもできる。
【0026】また、第1回線1と第2回線2とで使用されているデータの形式が同一の場合には変換手段Tは省略することができる。また、受信手段Rが受信する全てのデータを第2回線2へと送信するといった回線構成であれば、判別手段Jは省略することができる。また、本実施例では、データ変換装置が伝送速度が9.6kbpsの回線と4.8kbpsの回線とを接続していたが、前記伝送速度の回線に関わらず伝送速度が大きい回線と小さい回線とを接続することが可能である。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るデータ変換装置では、第1回線から受信装置がデータを受信し、受信したデータを記憶手段が格納し、格納されたデータを送信手段が第2回線に送信させるとともに、比較更新手段が、受信手段が受信した現データと、バッファメモリに格納された前データが同種である場合には両データの重複内容部分について、前データ中の該当部分を現データの該当部分によって更新して、現データと前データを必要な内容を含む一つのデータとすることによって、送信するデータ量を縮小させる。そのため、データ伝送速度を変換して伝送速度の違う回線を接続できるとともに、伝送すべきデータ量を減少させて伝送にかかる時間を短縮することができる。さらに、このデータ変換装置を使用することによって、回線の構成によっては、使用している回線種類の数を減らすことや、送信装置の使用数を減らすこと等ができ、回線及び装置に掛かる費用を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るデータ変換装置の構成図である。
【図2】 本発明の一実施例に係るデータ形式及びメモリバッファの状況を示す概念図である。
【図3】 本発明の一実施例に係るデータ形式及びメモリバッファの状況を示す概念図である。
【図4】 本発明のデータ変換装置を利用した回線を示す構成図である。
【図5】 従来例の回線を示す構成図である。
【符号の説明】
1・・第1回線、 2・・第2回線、R・・受信手段、 M・・バッファメモリ、C・・比較更新手段、 S・・送信手段、

【特許請求の範囲】
【請求項1】 データ伝送速度が大きい第1回線とデータ伝送速度が小さい第2回線とを接続し、第1回線から受信したデータを伝送速度を変換して第2回線へと送信するデータ変換装置であって、第1回線からデータを受信する受信手段と、データを格納する記憶手段と、受信手段によって受信した現データと、現データと同種の受信手段により受信されて記憶手段に既に格納されている前データと、を比較し、両データの内容が重複する部分について前データ中の該当部分を現データの該当部分によって更新する比較更新手段と、比較更新手段によって比較更新処理がなされて記憶手段に格納されたデータを第2回線へ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とするデータ変換装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate