説明

データ提供システム及びプログラム

【課題】PC用のコンテンツを、正当なアクセス権を持つユーザの携帯端末に、携帯端末に適した形で提供できるようにする。
【解決手段】ECMサーバ10は、ECMクライアント20からの認証情報によりユーザを認証し、そのユーザがアクセス権を持つPC用コンテンツについて携帯端末50への「持ち出し」の要求を受け付ける。その要求に応じ、変換サーバ30は、そのPC用コンテンツを携帯端末用に変換する。変換により得られた携帯用コンテンツは一時保管リポジトリ45に保管される。ECMサーバ10は、保管された携帯用コンテンツのURLを表す2次元コードを、持ち出し要求を行ったECMクライアント20に表示させる。ユーザは、携帯端末50のカメラでその2次元コードを撮影し、携帯端末用サーバ40経由で一時保管リポジトリ45からそのコンテンツを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ提供システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書、写真、又は動画等のコンテンツに対するユーザからのアクセスを管理するコンテンツ管理システムが広く普及している。例えば、企業等の組織内のコンテンツを管理するECM(Enterprise Contents Management)もその一例である。
【0003】
従来のコンテンツ管理システムの中には、PC(パーソナルコンピュータ)からの利用を前提としたものが多い。一方、携帯電話機やPDA(Personal Data Assistant)等の携帯端末の処理能力の向上により、携帯端末でもオフィス文書や動画も含む各種コンテンツを閲覧できるようになってきており、コンテンツ管理システムで管理されているコンテンツを携帯端末で持ち運びたいというニーズが高まっている。
【0004】
また、携帯端末用のWebサイトにユーザを誘導する手段として、QRコード(登録商標)などの2次元コードも普及してきた。
例えば特許文献1には、カタログ等に印刷された2次元コードを携帯端末のカメラで読み取ってデコードし、2次元コードに埋め込まれていたURL(Uniform Resource Locator)にアクセスする技術が示されている。
【0005】
また、特許文献2には、テレビショッピングにおいて、テレビ画面に表示された商品の画像を携帯端末で撮影し、サーバに送信すると、サーバ側でその画像を認識してその商品を特定する技術が示されている。
【0006】
また、特許文献3のシステムでは、コンテンツの識別情報が電子透かしの形で印刷物に埋め込まれており、携帯端末のカメラでその印刷物の画像を読み取ってサーバに送信する。サーバは、その画像中の電子透かしをデコードし、その結果得られた識別情報に対応するコンテンツを携帯端末に返す。
【0007】
【特許文献1】特開2003−244285号公報
【特許文献2】特開2005−122516号公報
【特許文献3】特開2004−086457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
携帯端末の能力が向上したとはいっても、画面サイズやメモリ容量等のリソースはPCに比べて遙かに貧弱であり、閲覧処理可能なデータ形式やデータサイズについての制限が厳しい。このため、PC用のコンテンツはサイズが大きすぎて表示又は出力できなかったり、表示ができたとしても画面が小さいために見やすい表示とならなかったりするなどの不便がある。
【0009】
また、コンテンツに対するアクセス権管理を行っているシステムでは、携帯端末に対してコンテンツを提供する場合にも同様のアクセス権管理が必要であるが、入力デバイスが貧弱な携帯端末で、パスワード入力等のアクセス認証のための操作を要求したのでは、ユーザの負担が大きい。
【0010】
特許文献1〜3に示された技術はいずれも、携帯端末用にあらかじめ準備されたコンテンツ(又はそのようなコンテンツを提供するWebサイト)にアクセスすることを前提としている。コンテンツ管理システムに登録されたPC用のコンテンツを携帯端末で実用的に利用できるようにする、という観点での解決策はそれら特許文献には何ら示されていない。また、コンテンツへのアクセス権管理についても、それら文献には特段の配慮は払われていない。
【0011】
本発明は、情報処理装置用のコンテンツを、正当なアクセス権を持つユーザの携帯端末に、携帯端末に適した形で提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、情報処理装置用のデータを記憶するデータベースと、情報処理装置を操作するユーザから、前記情報処理装置を介して、前記データベースに記憶されたデータに対するアクセス要求を受けた場合に、前記データに対する前記ユーザのアクセス権を判定し、判定されたアクセス権に応じて前記ユーザに対して前記データへのアクセスを許可するアクセス制御手段と、前記ユーザがアクセス権を持つと判定されたデータについて、前記情報処理装置を介して、前記ユーザから当該データの携帯端末への持ち出し要求を受け付ける受付手段と、前記持ち出し要求に応じて、当該要求の対象であるデータを前記携帯端末用のデータ形式に変換する変換手段と、前記変換手段で変換された変換結果データを一時的に記憶する一時記憶手段と、前記一時記憶手段に記憶された前記変換結果データにアクセスするためのアクセス情報を表すコード情報を生成し、前記情報処理装置に提供するアクセス情報提供手段と、前記情報処理装置が表示した前記コード情報を読み取った前記携帯端末から、前記アクセス情報を用いたデータ要求を受け取った場合に、前記一時記憶手段に記憶された前記アクセス情報に対応する前記変換結果データを前記携帯端末に提供するデータ提供手段と、を備えるデータ提供システムである。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記一時記憶手段に記憶された前記変換結果データについての、前記データ提供手段による前記携帯端末への提供が所定の条件を満足した場合に、前記変換結果データを前記一時記憶手段から削除する削除手段、を更に備える。
【0014】
請求項3に係る発明は、コンピュータを、情報処理装置用のデータを記憶するデータベース、情報処理装置を操作するユーザから、前記情報処理装置を介して、前記データベースに記憶されたデータに対するアクセス要求を受けた場合に、前記データに対する前記ユーザのアクセス権を判定し、判定されたアクセス権に応じて前記ユーザに対して前記データへのアクセスを許可するアクセス制御手段、前記ユーザがアクセス権を持つと判定されたデータについて、前記情報処理装置を介して、前記ユーザから当該データの携帯端末への持ち出し要求を受け付ける受付手段と、前記持ち出し要求に応じて、当該要求の対象であるデータを前記携帯端末用のデータ形式に変換する変換手段、前記変換手段で変換された変換結果データを一時的に記憶する一時記憶手段と、前記一時記憶手段に記憶された前記変換結果データにアクセスするためのアクセス情報を表すコード情報を生成し、前記情報処理装置に提供するアクセス情報提供手段と、前記情報処理装置が表示した前記コード情報を読み取った前記携帯端末から、前記アクセス情報を用いたデータ要求を受け取った場合に、前記一時記憶手段に記憶された前記アクセス情報に対応する前記変換結果データを前記携帯端末に提供するデータ提供手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1又は3に記載の発明によれば、情報処理装置用のデータを、そのデータに対して正当なアクセス権を持つユーザの携帯端末に、その携帯端末に適した形で提供できる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、変換結果データの漏洩の可能性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1に例示するように、本実施形態のコンテンツ提供システムは、ECM(Enterprise Contents Management)サーバ10,変換サーバ30,携帯端末用サーバ40及び一時保管リポジトリ45を含んでいる。
【0018】
ECMサーバ10は、企業等の組織の中で利用されるコンテンツ(オフィス文書、画像、又は動画など)を管理する。ECMサーバ10が保存しているコンテンツは、PCやワークステーションなどでの利用を前提としたデータ形式及びサイズのものである。ECMサーバ10は、ユーザからコンテンツの登録を受け付けたり、管理しているコンテンツをユーザの要求に応じて提供したりする。
【0019】
ただし、コンテンツの提供に関しては、ECMサーバ10は、ユーザには、そのユーザがアクセス権を持つコンテンツしか提供しない。コンテンツに対する各ユーザのアクセス権の情報は、例えば、システム管理者又はそのコンテンツを登録したユーザが設定し、ECMサーバ10はそのアクセス権情報を参照して、ユーザからのコンテンツに対するアクセスを許可するか否かを判定する。このようなアクセス制御のために、ECMサーバ10は、ユーザ認証機能を備えている。ユーザ認証機能は、例えばユーザIDとパスワード、指紋などの生体認証情報、ユーザ認証情報を記憶したICカードなどを用いて、ECMサーバ10にアクセスしてきたユーザを認証する。なお、上述のようなアクセス制御やユーザ認証のための機構としては、従来周知のものを用いることができるので、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0020】
ECMサーバ10は、管理しているコンテンツ群のリストの表示欄120を含んだユーザインタフェース(UI)画面100をユーザに提供し、そのリスト内のコンテンツに対してユーザから選択を受け付けるとともに、選択されたコンテンツに対する操作指示を受け付ける。なお、図1の例では、ECMサーバ10内のコンテンツデータベースはツリー状のディレクトリ構造を有しており、UI画面100にはそのディレクトリ構造の表示欄110が含まれる。ディレクトリ構造表示欄110の中で選択されたディレクトリ(フォルダとも呼ばれる)に含まれるコンテンツ及びディレクトリのリストが、リスト表示欄120に表示される。ECMサーバ10が受け付けるコンテンツに対する操作指示には、例えば、そのコンテンツのダウンロード、そのコンテンツに対するアクセス権情報の変更等といった従来知られているものの他に、そのコンテンツの携帯端末50への「持ち出し」がある。「持ち出し」は、当該コンテンツを携帯端末50にて閲覧できるようにする操作である。
【0021】
ECMクライアント20は、ECMサーバ10からコンテンツ管理のサービスを受けるクライアントプログラムである。図ではECMクライアント20を1つしか示さなかったが、ECMサーバ10は複数のECMクライアント20に対してサービスを提供することができる。
【0022】
ECMクライアント20は、ECMサーバ10に対してLAN(ローカルエリアネットワーク)又はインターネット等のデータ通信ネットワークを介して接続されたPCやワークステーションなどのコンピュータにインストールされている。ECMクライアント20は、ECMサーバ10から提供される情報に基づき図1に例示したようなUI画面100を生成したり、そのUI画面100に対するユーザの指示を検出し、ECMサーバ10に送信したりする機能を備える。
【0023】
変換サーバ30は、ECMサーバ10が保存しているコンテンツ(以下「PC用コンテンツ」と呼ぶ)を、携帯端末50用のデータ(以下「携帯用コンテンツ」と呼ぶ)に変換する。PC用コンテンツは、携帯端末50では取り扱えないデータ形式であったり、携帯端末50のメモリ容量では取り扱えないほど大きいサイズであったりする場合が多いので、変換サーバ30は、PC用コンテンツを携帯端末50で取り扱えるデータ形式及びデータサイズへと変換するのである。例えば、PCコンテンツがワードプロセッサやスプレッドシートなどの各種オフィスアプリケーションのファイルである場合、変換サーバ30はそれをPDF(Portable Document File)形式など、携帯端末50で取扱可能なデータ形式に変換する。なお、PDFはあくまで一例であり、変換先のデータ形式は、想定している携帯端末で広く利用可能なデータ形式であればなんでもよい。また、PC用コンテンツがプリントやPC画面での閲覧を想定したデータサイズの大きい写真画像データである場合、変換サーバ30は、間引きなどのデータ量削減のための処理を行うことで、そのPC用コンテンツを、携帯端末50のメモリ容量又は画面サイズに適したサイズの画像データに変換する。またPC用コンテンツが携帯端末50でサポートされていないデータ形式(例えばMPEG)の動画コンテンツである場合、変換サーバ30は、それを携帯端末50がサポートしている動画データ形式(例えば3GPP形式)に変換する。
【0024】
携帯端末用サーバ40は、携帯端末50に対して携帯用コンテンツを提供するサーバである。携帯端末用サーバ40は、例えば、Webサーバの機能を備えおり、HTTP(HyperText Transfer Protocol)により携帯端末50からコンテンツ要求を受け付け、その要求に応じた携帯用コンテンツを返信する。また携帯端末用サーバ40は、変換サーバ30が生成した携帯用コンテンツを受け取って、後の携帯端末50からの要求に備えてその携帯用コンテンツを一時保管リポジトリ45に格納する。
【0025】
変換サーバ30及び携帯端末用サーバ40は、ECMサーバ10と同じ組織の管理下にあり、これらの間での通信は外部からはわからないように保護されている。例えば、これらサーバ10,30及び40は、同一のコンピュータ装置上に実装されていてもよいし、同一組織のネットワーク上に配置されていてもよい。後者の場合、例えば、ECMサーバ10は当該組織のイントラネット上に設けられるのに対し、携帯端末用サーバ40はDMZ(DeMilitarized Zone)に設けられ、その一方のネットワークインタフェースはイントラネットに、別のネットワークインタフェースはインターネットに、それぞれ接続されている。また、各サーバ10、30,及び40の間の通信を暗号化などにより保護すれば、それらサーバはインターネット上に分散配置されてもよい。
【0026】
携帯端末50は、携帯電話機やPDAなどのような携帯可能な端末装置であり、Webクライアント機能を備える。また、携帯端末50は、カメラと2次元コード(例えばQRコード(登録商標))のデコード機能を内蔵しており、印刷物やPC画面に表示された2次元コードをカメラで読み取り、そのコードが表すデータ内容を求めることができる。
【0027】
次にECMサーバ10が実行する処理手順の一例を、図2を参照して説明する。この例では、ECMサーバ10は、ECMクライアント20からのログイン要求を受け取ると(S1)、ユーザ認証用の認証情報の入力をECMクライアント20に求め、その求めに応じてECMクライアント20から送られてきた認証情報に基づきユーザ認証を実行し(S2)、認証が成功したか否かを判定する(S3)。
【0028】
ここでは、例えば、ECMサーバ10がユーザIDとパスワードを入力するための画面をECMクライアント20に提供し、ユーザがその画面に自分のユーザIDとパスワードを入力して送信を指示すると、ユーザIDとパスワードがECMサーバ10に送信される。ECMサーバ10は、そのユーザIDとパスワードが、あらかじめ登録されている正しい組合せであれば、正しいユーザからのログインと判定する(認証成功)。なお、ユーザ認証には、パスワード認証に限らず、従来知られているいずれの認証方式を用いてもよい。
【0029】
ユーザ認証が失敗した場合、ECMサーバ10は、認証失敗の旨をECMクライアント20に通知するなどのエラー処理を実行する(S4)。
【0030】
ユーザ認証が成功した場合、ECMサーバ10は、当該ユーザのログインを許可する。ログインを許可した場合、ECMサーバ10は、一例として、当該サーバ10が管理しているコンテンツデータベースのディレクトリ構造のうち当該ユーザがアクセス権を持つディレクトリを表示した欄110を含むユーザインタフェース画面100の情報を生成し、ECMクライアント20に提供する。提供された画面100の欄110内でユーザが所望のディレクトリを選択すると、ECMサーバ10は、その選択されたディレクトリ内のコンテンツのうち当該ユーザがアクセス権を持つものを検索し、検索結果の各コンテンツのアイコンを列挙した欄120の情報を生成し、その情報をECMクライアント20に提供して表示させる(S5)。ECMクライアント20は、その情報に基づき、欄120を含んだUI画面100を表示する。ユーザは、その欄120に表示された、当該ユーザがアクセス権を持つコンテンツのリストから、ポインティングデバイス等の入力装置を用いて操作対象のコンテンツを選択し、更に選択したコンテンツに対する操作を指示する。コンテンツに対する操作には、例えば、当該コンテンツの閲覧や印刷、編集結果の登録、アクセス権設定の変更などがある。例えば、欄120のリスト上で1つのコンテンツを選択すると、そのコンテンツについて選択可能な操作項目を列挙したメニューが表示され、ユーザがそのメニューの中から所望の操作を選択する。また、ユーザがリスト上のコンテンツを1つ選んで開いたあと、そのコンテンツの内容を表示した画面上でそのコンテンツに対して選択可能な操作項目を提示し、ユーザに選択させてもよい。以上のようにしてコンテンツに対する操作が指示されると、ECMクライアント20は、その指示に従ってそのコンテンツに対する処理を実行する(S7)。
【0031】
ここで、この例のシステムでは、ECMサーバ10は、コンテンツに対する操作として「携帯用コンテンツの持ち出し」操作の指示を受け付け、その指示に応じた処理を実行することができる。この指示も、ユーザは、前述の各操作項目と同様、ECMクライアント20のリスト表示上で選択したコンテンツについての操作メニューから、又はリストから選択して開いたコンテンツの表示画面における操作メニューから、選択すればよい。
【0032】
ECMクライアント20が、UI画面100に表示されたPC用コンテンツに対し、「携帯用コンテンツの持ち出し」を指示すると(図1の(1))、ECMサーバ10は図2のステップS11〜S14の処理を実行する。この処理では、ECMサーバ10は、持ち出しの対象として指定されたPC用コンテンツを変換サーバ30に渡し、携帯用コンテンツへと変換するように依頼する(S11、図1の(2))。世の中にある携帯端末が備えるハードウエアの性能や標準的なソフトウエアはある程度共通なので、そのような共通なハードウエア性能及びソフトウエアに応じた携帯用コンテンツのデータ形式要件をあらかじめ定めておき、変換サーバ30はその要件に従ってコンテンツの変換を行えばよい。データ形式要件は、例えば、オフィス文書ファイルはPDFファイルに変換する、画像は画像データサイズがQVGAのJPEGデータに変換する、等といったものでよい。また、個々のユーザの携帯端末の性能に応じたきめ細かいデータ変換をするには、例えば、当該ユーザの持つ携帯端末が対応するデータ形式の情報をECMサーバ10に登録しておき、ECMサーバ10がその情報を変換サーバ30に渡し、そのデータ形式に従った変換を行わせるようにしてもよい。
【0033】
一方、図3に示すように、この依頼を受けた変換サーバ30は(S21)、その依頼に従って、対象のPC用コンテンツを携帯端末用のデータ形式へと変換する(S22)。そして、その変換の結果得られた携帯用コンテンツを一時保管リポジトリ45に登録するよう、携帯端末用サーバ40に依頼する(S23、図1の(3))。
【0034】
この依頼を受けた携帯端末用サーバ40は、その携帯用コンテンツを一時保管リポジトリ45に格納し(S31)、格納した携帯用コンテンツのURLを生成する(S32)。このURLは、携帯端末50から一時保管リポジトリ45内のそのコンテンツにアクセスするために用いられる情報であり、リポジトリ45内の携帯用コンテンツに対応づけられている。ここで、"http://mobile.example.co.jp/EA3Xz4ro0Z"のように、生成するURLのうちのリポジトリ45内部の情報(例えばリポジトリ45内での当該コンテンツのファイル名)に該当する部分をランダムな文字列とすることで、第三者がコンテンツのURLを予測しにくくしてもよい。この場合、携帯端末用サーバ40は、ランダムな文字列として示されたファイル名と、リポジトリ45内の実際のコンテンツファイルとの対応関係を記憶しておけばよい。そして、ユーザからそのURLを用いたアクセス要求が到来した場合は、その要求の対象であるファイルをその対応関係を用いて特定すればよい。
【0035】
次に携帯端末用サーバ40は、格納した携帯用コンテンツに対して生成したURLを、直接又は変換サーバ30経由で、ECMサーバ10に通知する(S33、図1の(4))。
【0036】
図2の説明に戻ると、ステップS33の通知を受けたECMサーバ10は、その通知に含まれる携帯用コンテンツのURLを取得し(S12)、そのURLを表す2次元コード(例えばQRコード(登録商標))を生成する(S13)。ここでは2次元コードを例示したが、2次元コードに限らず、機械読取により認識可能な他の形式の画像コード(例えば1次元のバーコード)を用いてもよい。この生成は従来の技術を用いて行えばよい。そして、ECMサーバ10は、生成した2次元コードを、「持ち出し」要求を行ったECMクライアント20に送る(S14、図1の(5))。
【0037】
ECMクライアント20は、その情報に基づき、UI画面100のコード表示欄130に2次元コードを表示する。ECMクライアント20を操作しているユーザが、自分の携帯端末50のカメラでコード表示欄130の2次元コードを撮影する(図1の(6))と、携帯端末50内のデコード機能がその2次元コードをデコードし、そのコードが表すURLの文字列を求める。携帯端末50のWebクライアントプログラムは、そのURLが表すコンテンツを要求するHTTP要求を生成し、インターネット経由で携帯端末用サーバ40に送信する(図1の(7))。
【0038】
携帯端末用サーバ40は、図3に示したように、携帯端末50からのHTTP要求を待っている(S41)。そして、HTTP要求を受け取ると、その要求の中の対象コンテンツを特定する情報(例えばファイルパス名やそれを暗号化したもの)に基づき、その要求の対象である携帯用コンテンツをリポジトリ45から取り出し、携帯端末50に送信する(S42)。以上のような流れにより、ユーザは、ECMクライアント20で選択した(自分がアクセス権を持っている)コンテンツを、携帯端末50にダウンロードして閲覧することができる。
【0039】
なお、携帯端末用サーバ40は、携帯端末50に対して携帯用コンテンツを提供した後、そのコンテンツをリポジトリ45から削除する。この削除は、当該携帯用コンテンツの提供が完了した後即座に実行してもよいし、余裕を見て、その提供の後所定時間の経過後に実行してもよい。いずれにしても、一時保管リポジトリ45内の携帯用コンテンツは、インターネットに向けて公開されている状態なので、正当なユーザにダウンロードされたらそれを削除することで、第三者への情報漏洩のリスクが低減される。また、ユーザが、自分自身がアクセス可能なコンテンツを一時的に携帯端末50でも閲覧したい、という要望に対しては、上述のような削除制御でも問題は少ない。なお、情報漏洩防止のために、一時保管リポジトリ45におけるコンテンツの保存期間についての上限期間を定めておき、コンテンツを保存してからダウンロードされないままその上限期間を経過すると、そのコンテンツを削除するようにしてもよい。
【0040】
以上に説明したシステムでは、ECMサーバ10は、ECMクライアント20からの認証情報によりユーザを認証し、そのユーザがアクセス権を持つPC用コンテンツについて携帯端末への「持ち出し」の要求を受け付ける。そして、その要求に応じて、PC用コンテンツを携帯端末用に変換し、その変換により得られた携帯用コンテンツへのアクセス情報(例えばURL)を表す2次元コードを、持ち出し要求を行ったECMクライアント20に表示させる。したがって、その2次元コードは、当該携帯用コンテンツの元となったPC用コンテンツを持つユーザに対し提供されることとなり、第三者への漏洩のリスクは少ない。また、上述の例では、携帯端末50にダウンロードされた携帯用コンテンツは、一時保管リポジトリ45から削除されるので、情報漏洩のリスクを低減することができる。
【0041】
以上に例示したECMサーバ10,変換サーバ30,及び携帯端末用サーバ40は、例えば、汎用のコンピュータに上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、図4に示すように、CPU1000等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)1002およびリードオンリメモリ(ROM)1004等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)1006を制御するHDDコントローラ1008、各種I/O(入出力)インタフェース1010、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース1012等が、たとえばバス1014を介して接続された回路構成を有する。また、そのバス1014に対し、例えばI/Oインタフェース1010経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ1016、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダ・ライタ1018、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAM1002に読み出されCPU1000等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。なお、それら機能モジュール群のうちの一部又は全部を、専用LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア回路として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態のコンテンツ提供システムの概略構成を示す図である。
【図2】ECMサーバが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】変換サーバ及び携帯端末用サーバが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】コンピュータのハードウエア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
10 ECMサーバ、20 ECMクライアント、30 変換サーバ、40 携帯端末用サーバ、45 一時保管リポジトリ、50 携帯端末。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置用のデータを記憶するデータベースと、
情報処理装置を操作するユーザから、前記情報処理装置を介して、前記データベースに記憶されたデータに対するアクセス要求を受けた場合に、前記データに対する前記ユーザのアクセス権を判定し、判定されたアクセス権に応じて前記ユーザに対して前記データへのアクセスを許可するアクセス制御手段と、
前記ユーザがアクセス権を持つと判定されたデータについて、前記情報処理装置を介して、前記ユーザから当該データの携帯端末への持ち出し要求を受け付ける受付手段と、
前記持ち出し要求に応じて、当該要求の対象であるデータを前記携帯端末用のデータ形式に変換する変換手段と、
前記変換手段で変換された変換結果データを一時的に記憶する一時記憶手段と、
前記一時記憶手段に記憶された前記変換結果データにアクセスするためのアクセス情報を表すコード情報を生成し、前記情報処理装置に提供するアクセス情報提供手段と、
前記情報処理装置が表示した前記コード情報を読み取った前記携帯端末から、前記アクセス情報を用いたデータ要求を受け取った場合に、前記一時記憶手段に記憶された前記アクセス情報に対応する前記変換結果データを前記携帯端末に提供するデータ提供手段と、
を備えるデータ提供システム。
【請求項2】
前記一時記憶手段に記憶された前記変換結果データについての、前記データ提供手段による前記携帯端末への提供が所定の条件を満足した場合に、前記変換結果データを前記一時記憶手段から削除する削除手段、
を更に備える請求項1記載のデータ提供システム。
【請求項3】
コンピュータを、
情報処理装置用のデータを記憶するデータベース、
情報処理装置を操作するユーザから、前記情報処理装置を介して、前記データベースに記憶されたデータに対するアクセス要求を受けた場合に、前記データに対する前記ユーザのアクセス権を判定し、判定されたアクセス権に応じて前記ユーザに対して前記データへのアクセスを許可するアクセス制御手段、
前記ユーザがアクセス権を持つと判定されたデータについて、前記情報処理装置を介して、前記ユーザから当該データの携帯端末への持ち出し要求を受け付ける受付手段と、
前記持ち出し要求に応じて、当該要求の対象であるデータを前記携帯端末用のデータ形式に変換する変換手段、
前記変換手段で変換された変換結果データを一時的に記憶する一時記憶手段と、
前記一時記憶手段に記憶された前記変換結果データにアクセスするためのアクセス情報を表すコード情報を生成し、前記情報処理装置に提供するアクセス情報提供手段と、
前記情報処理装置が表示した前記コード情報を読み取った前記携帯端末から、前記アクセス情報を用いたデータ要求を受け取った場合に、前記一時記憶手段に記憶された前記アクセス情報に対応する前記変換結果データを前記携帯端末に提供するデータ提供手段、
として機能させるためのプログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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