データ生成方法
【課題】エッチング処理により基板上に設計データ通りの配線パターンを形成できるようにする、レジストパターンのデータを生成するデータ生成方法を実現する。
【解決手段】レジストパターンのデータ生成方法は、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定形状を有し、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の基準エリアを設定する設定ステップS101と、レジストパターンの外郭の位置を、第1の基準エリアに占めるエッチング影響エリアの面積を表わすエリア面積パラメータに応じて決定する決定ステップS102と、設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定されるポイントに対して設定ステップS101および決定ステップS102を繰り返し実行することで、レジストパターンの外郭を画定する画定ステップS103と、を備える。
【解決手段】レジストパターンのデータ生成方法は、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定形状を有し、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の基準エリアを設定する設定ステップS101と、レジストパターンの外郭の位置を、第1の基準エリアに占めるエッチング影響エリアの面積を表わすエリア面積パラメータに応じて決定する決定ステップS102と、設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定されるポイントに対して設定ステップS101および決定ステップS102を繰り返し実行することで、レジストパターンの外郭を画定する画定ステップS103と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板の製造工程においては、基板上に感光性樹脂膜であるレジスト膜を形成し、このレジストを所望のパターンに露光し感光させ、エッチング処理することで所望のパターンを形成している。より具体的に言えば、まず基板上に銅箔を成膜し、その銅箔の上にレジストを塗布する。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像することで、設計データに規定された配線パターンに対応したレジストパターンを形成する。そして、エッチング処理によりレジストパターンで覆われた領域以外の領域にある銅箔を除去する。その後、レジストパターンを乖離すると、レジストパターンで覆われていた銅箔部分が現れる。この銅箔部分が、配線となる。
【0003】
エッチング処理により形成される配線パターンは、理想的には、レジストパターンに対し一致したものとなる。しかしながら、エッチング処理は化学反応に基づくものであることから、実際にエッチング処理を実行してみないと結果が分からないところがある。例えば、レジストに覆われた部分まで余分にエッチングされてしまったり、またあるいは、レジストに覆われていない部分がエッチングされなかったりすることもある。結果として、レジストパターンと、このレジストパターンの下でエッチング処理されることにより形成される配線パターンとの間にはズレが生じるのが通常である。
【0004】
そこで、配線基板の製造工程においては、設計データに規定された通りの(すなわち狙い通りの)配線パターンが形成されるよう、設計データに規定された配線パターンのデータに適宜補正を加えて、エッチングマスクとなるレジストパターンに関するデータを作成している。例えば、「レジストで覆われてエッチングされない領域」と、エッチングされる領域を挟んで向かい側に位置する別の「レジストで覆われてエッチングされない領域」と、の間の距離に応じて、これらレジストの形状を決定し、レジストパターンのデータを作成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図17は、従来技術によるレジストパターンの作成を説明する図である。通常、設計データに記載された配線パターン51−1および51−2をエッチング処理により形成するためには、レジストに覆われた部分まで余分にエッチングされたりあるいはされなかったりすることを見越して、レジストパターン52−1および52−2を、配線パターン51−1および51−2となるべき領域を覆うように若干大きめにしたりあるいは小さくしたりして作成する必要がある。従来は、レジストパターン52−1と、エッチングされる領域を挟んで向かい側に位置するレジストパターン52−2と、の間の距離に応じて、これらレジストパターン52−1および52−2の形状を決定している。このようにして生成されたレジストパターンのデータに基づき、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像することで基板上にレジストパターンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−302163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、レジストに覆われた部分まで余分にエッチングされてしまったり、レジストに覆われていない部分がエッチングされなかったりすることを見越して、レジストパターンを、配線パターンとなるべき領域を覆うように若干大きめにあるいは小さめにして作成したとしても、配線の形状が複雑であったり、配線間の間隔が短いようなところでは、設計データ通りの配線パターンを形成することができないことが多い。このため、製造される配線基板の歩留まりを落としている。
【0008】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、エッチング処理により基板上に設計データ通りの配線パターンを形成できるようにする、レジストパターンのデータを生成するデータ生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を実現するために、本発明においては、基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法は、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、この第1の基準エリアは、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の設定ステップと、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、第1の基準エリア内に占めるエッチング影響エリアの面積を表わすエリア面積パラメータに応じて、決定する決定ステップと、設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各ポイントに対して決定ステップにより決定された各レジストパターンの外郭の位置を用いて、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、を備える。
【0010】
また、本発明は、上述の決定ステップにおいてレジストパターンの外郭の位置の決定に用いられるパラメータとして、上述のエリア面積パラメータに加え、第2の基準エリア内に存在する配線の、第2の基準エリアの全体に占める割合を表す配線形状パラメータをさらに用いてもよい。すなわちこの場合、本発明によるデータ生成方法は、当該ポイントを基準点として所定の形状を有する第2の基準エリアを設定する第2の設定ステップをさらに備え、このとき決定ステップは、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、エリア面積パラメータおよび配線形状パラメータに応じて決定する。
【0011】
またさらに、本発明は、上述の決定ステップにおいてレジストパターンの外郭の位置の決定に用いられるパラメータとして、上述のエリア面積パラメータおよび配線形状パラメータに加え、エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータをさらに用いてもよい。すなわちこの場合、決定ステップは、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、エリア面積パラメータ,配線形状パラメータおよびエリア面積パラメータに応じて決定する。
【0012】
またあるいは、本発明によれば、上述のエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみを適宜設定して、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を決定するようにしてもよい。
【0013】
上述の各ステップは、コンピュータ等の演算処理装置が実行することができるコンピュータプログラムの形式で実現できる。以上の処理を実施する装置や、以上の処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを作成することは、以下の説明を理解した当業者には容易に実施できる事項である。また、以上の処理をコンピュータにより実行させるコンピュータプログラムを記録媒体に格納するという事項も当業者には自明である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、エッチング処理により基板上に配線パターンを形成する場合、設計データ通りの配線パターンを形成できるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。例えば、配線の形状が複雑であったり、配線間の間隔に長短のバラツキがあったとしても、設計データ通りの配線パターンを形成することができるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。したがって、本発明によるデータ生成方法を用いれば、製造される配線基板の歩留まりを上げることができる。
【0015】
また、本発明によれば、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定するだけで、生成されるレジストパターンを容易に変更することができる。例えば、あるレジストパターンを用いてエッチング処理を実行してはみたものの、形成された配線パターンについて所望の結果が得られなかった場合であっても、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定し直すだけで、生成されるレジストパターンを容易に修正することができる。したがって、本発明によるデータ生成方法を用いれば、生成されるレジストパターンの修正処理が容易であるので、製造される配線基板の歩留まりを上げるとともに、配線基板の製造工程を短縮することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例によるデータ生成方法の動作フローを示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例における第1の基準エリアおよびエッチング影響エリアを示す図である。
【図3】図2に示す第1の基準エリアの変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施例における第1の基準エリアのさらなる変形例を示す図(その1)である。
【図5】本発明の実施例における第1の基準エリアのさらなる変形例を示す図(その2)である。
【図6】本発明の実施例における第2の基準エリアおよび配線を示す図である。
【図7】本発明の実施例におけるエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータを説明する図である。
【図8】本発明の実施例における配線形状パラメータを説明する図である。
【図9】本発明の実施例によるデータ生成方法において、設計データに規定された配線の外郭の位置に対するパラメータを用いた補正方向を定義する図である。
【図10】本発明の実施例における、エリア面積パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。
【図11】本発明の実施例における、配線形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。
【図12】本発明の実施例における、エリア形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。
【図13】記録媒体に格納されたプログラムにより動作する本発明の実施例によるレジストパターンのデータの生成処理のための構成を示すブロック図である。
【図14】設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図(その1)であって、図14(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図14(b)本発明の実施例によるものを示す図である。
【図15】設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図(その2)であって、図15(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図15(b)本発明の実施例によるものを示す図である。
【図16】設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図(その1)であって、図16(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図16(b)本発明の実施例によるものを示す図である。
【図17】従来技術によるレジストパターンの作成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の実施例によるデータ生成方法の動作フローの概略について説明する。図1は、本発明の実施例によるデータ生成方法の動作フローを示すフローチャートである。本発明の実施例によるデータ生成方法におけるステップS101〜S104の各処理は、コンピュータによる演算処理により実行される。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、エッチング処理により基板上に形成すべき配線パターンに関する設計データを、当該コンピュータに入力する。
【0018】
まず、ステップS101では、コンピュータは、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として、所定の形状を有する第1の基準エリアおよび第2の基準エリアを設定する。第1の基準エリアは、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む。第2の基準エリアは、所定の大きさを有する円形のエリアであり、後述するように当該ポイントに近傍に置ける配線の形状を調べるためのものである。設計データに規定された配線の外郭上においてどのような間隔でポイントを選択していくか(すなわち分解能)については、コンピュータによる演算処理時間や、形成される配線パターンの精度などを考慮して適宜設定すればよい。選択するポイントの間隔が細かくなればなるほど、形成される配線パターンの精度は上がるが、コンピュータによる演算処理時間が増加する。
【0019】
次いで、ステップS102において、コンピュータは、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、パラメータに応じて決定する。このパラメータは、その詳細については後述するが、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、設計データに規定された配線の外郭の位置から導き出すための、いわゆる設計データに対する補正パラメータの役割を有するものである。本発明の実施例では、このパラメータとして、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータを設定するが、その変形例として、これらエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみの適宜設定としてもよい。ステップS102では、コンピュータは、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、上記パラメータを用いて、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。
【0020】
ステップS104では、コンピュータは、設計データに規定された配線の外郭上における全てのポイントについて、ステップS101およびS102における処理が完了したか否かを判定する。設計データに規定された配線の外郭上にまだステップS101およびS102における処理が完了していないポイントが存在する場合にはステップS101へ戻り、全てのポイントについて処理が完了した場合はステップS103へ進む。
【0021】
設計データに規定された配線の外郭上における全てのポイントについて、ステップS101およびS102における処理が完了した場合、ステップS103において、コンピュータは、各ポイントごとに決定された各レジストパターンの外郭の位置を用いて、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する。
【0022】
次に、上述のステップS101において設定される第1の基準エリアについて説明する。図2は、本発明の実施例における第1の基準エリアおよびエッチング影響エリアを示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。
【0023】
上述のように、ステップS101およびS102の各処理のために、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上に位置するポイントが選択されるが、ここでは一例として図2に示す位置にポイントPが選択されたものとする。このとき、ステップS101では、ポイントPを基準点として、所定の形状を有する第1の基準エリアKが設定される。図2に示す例では、第1の基準エリアKの形状として円形が設定される。第1の基準エリアKの大きさについては後述する。上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第1の基準エリアKが設定される。
【0024】
エッチング処理を用いた配線基板の製造においては、配線を形成すべき領域はレジストが覆われてエッチングされないようにし、レジストで覆われなかった領域についてはエッチングされる。設計データに規定された配線の外郭上の或るポイント上にエッチング液が位置すると仮定した場合、当該ポイントを基準点とする第1の基準エリア内には、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のある領域(レジストに覆われない領域)が存在する。本実施例ではこれをエッチング影響エリアと称する。したがって、第1の基準エリアは、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含むことになる。例えば、図2に示す例において、ポイントP上にエッチング液が位置すると仮定すると、第1の基準エリアK内には、ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のあるエッチング影響エリアE(図中、斜線が施された領域)が存在することになる。
【0025】
ここで、第1の基準エリアの大きさについて説明する。あるポイント上に位置するエッチング液によってエッチングされる領域は有限であり、当該ポイントから離れれば離れるほど、当該エッチング液の影響を受けにくくなる。そこで、本発明の実施例では、或るポイントからの距離と、当該ポイント上に位置するエッチング液によるエッチングの度合いとの関係を、予め実験により測定し、エッチングの影響が及ばないであろう当該ポイントからの距離を推定し、この距離を、エッチング影響エリアを含む第1の基準エリアの大きさの決定の際の判断材料とする。このように第1の基準エリアの大きさを決定することで、レジストパターンのデータの作成の際のコンピュータによる演算処理量を減らすことができる。
【0026】
なお、図2に示す第1の基準エリアK内には、エッチング影響エリアE以外にも、レジストに覆われない領域が存在するが、当該領域は、ポイントPに接するものではなく、すなわちポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされることはないので、エッチング影響エリアEには含めない。また、第1の基準エリアK内に「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」を含めないようにするために、図2に示す例では円形としていた第1の基準エリアKの形状を、次に説明するように扇形状としても良い。図3は、図2に示す第1の基準エリアの変形例を示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。図3においては、図2に示す場合と同じ位置にポイントPを設定したが、上述のように、図2において第1の基準エリアK内に含まれていた「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」は、ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされることはないので、当該「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」までも第1の基準エリアEに含まれてしまうのは、コンピュータの演算処理量をいたずらに増やしてしまうので好ましくない。そこで、図3に示す変形例では、当該「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」は含まれないような第1の基準エリアEの形状として、扇形状を設定する。なお、ポイントPの配線の外郭上の位置如何によって、図2に示すような円形の第1の基準エリアKを設定した場合における「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」の形状は変わるので、図3に示すような第1の基準エリアKの扇形状も変わることになる。
【0027】
図4および5は、本発明の実施例における第1の基準エリアのさらなる変形例を示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。本発明の実施例におけるステップS101で設定される第1の基準エリアKの形状は、図2に示すような円形に限定されるものではない。例えば、ポイントPを基準点としたときの第1の基準エリアKの形状は、図4に示すようなオーバル状であってもよく、あるいは図5に示すような第1の星型であってもよい。上述のように、第1の基準エリアKは、当該ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアEを含むものとなる。
【0028】
次に、上述のステップS101において設定される第2の基準エリアについて説明する。図6は、本発明の実施例における第2の基準エリアおよび配線を示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。
【0029】
上述のように、ステップS101およびS102の各処理のために、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上に位置するポイントが選択されるが、ここでは一例として図6に示す位置にポイントPが選択されたものとする。このとき、ステップS101では、ポイントPを基準点として、所定の形状を有する第2の基準エリアHが設定される。第2の基準エリアは、後述の配線形状パラメータを作成するために用いられるものであり、所定の大きさを有する円形である。図6に示す例において、ポイントP上にエッチング液が位置すると仮定すると、第2の基準エリアH内には、ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のあるエッチング影響エリアE’が存在することになる。上述したように、あるポイント上に位置するエッチング液によってエッチングされる領域は有限であり、当該ポイントから離れれば離れるほど、当該エッチング液の影響を受けにくくなる。そこで、本発明の実施例では、或るポイントからの距離と、当該ポイント上に位置するエッチング液によるエッチングの度合いとの関係を、予め実験により測定し、エッチングの影響が及ばないであろう当該ポイントからの距離を推定し、この距離を、第2の基準エリアHの形状である円形の半径とする。このように第2の基準エリアの大きさを決定することで、レジストパターンのデータの作成の際のコンピュータによる演算処理量を減らすことができる。このようにして設定された第2の基準エリアは、後述するように、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイント近傍における配線の外郭の形状(特に凹凸具合)を数値パラメータ化するのに用いられる。
【0030】
続いて、上述のステップS102において用いられるパラメータについて説明する。ステップS102において用いられるパラメータには、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータがある。図7は、本発明の実施例におけるエリア面積パラメータおよびエリア形状パラメータを説明する図である。太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。
【0031】
このうち、エリア面積パラメータは、仮想平面上における第1の基準エリア内に占めるエッチング影響エリアの面積を表わす。したがって、例えば、図7に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第1の基準エリアKについて言えば、コンピュータが、図中斜線が施された領域として示されたエッチング影響エリアEの面積を算出して、これをエリア面積パラメータとする。上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第1の基準エリアKが設定されるので、第1の基準エリアK内に含まれるエッチング影響エリアEの面積を表わすエリア面積パラメータも、ポイントPごとに異なるものとなる。
【0032】
また、配線形状パラメータは、第2の基準エリア内に存在する設計データで規定された配線の、当該ポイント近傍における配線の外郭の形状、特に凹凸具合を数値パラメータ化したものである。図8は、本発明の実施例における配線形状パラメータを説明する図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。配線形状パラメータは、仮想平面上における、第2の基準エリア内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアの全体に占める割合で表わされる。例えば、図8に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第2の基準エリアHについて言えば、第2の基準エリアH内の、エッチング影響エリアE’以外の領域が、設計データで規定された配線に相当する。コンピュータは、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合を算出して、これを配線形状パラメータとする。
【0033】
上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第2の基準エリアHが設定されるので、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合である配線形状パラメータも、ポイントPごとに異なるものとなる。ポイントPが位置する配線の当該ポイント近傍における外郭の形状は、配線形状パラメータが50%のときは直線形状、50%より小さいときは凸形状、50%より大きいときは凹形状、である。例えば、図8(a)に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第2の基準エリアHについて言えば、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合である配線形状パラメータは「25%」となる。また例えば、図8(b)に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第2の基準エリアHについて言えば、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合である配線形状パラメータは「62.5%」となる。このように、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、当該ポイントP近傍における配線の外郭の凹凸具合を、配線形状パラメータで数値化して表わすことができる。
【0034】
また、エリア形状パラメータは、第1の基準エリアK内に含まれるエッチング影響エリアの形状を数値パラメータ化したものである。このエリア形状パラメータは、例えば、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭上に設定されるポイントと、当該ポイントを基準点としたときのエッチング影響エリアの図心との間の距離である。したがって、例えば、図7に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の基準エリアKについて言えば、コンピュータが、図中斜線が施された領域として示されたエッチング影響エリアEについての図心Zをまず算出し、そしてこの図心ZとポイントPとの間の距離を算出して、これをエリア形状パラメータとする。上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第1の基準エリアKが設定されるので、第1の基準エリアK内に含まれるエッチング影響エリアEの図心Zも、ポイントPごとに異なるものとなり、したがって、エリア形状パラメータも、ポイントPごとに異なるものとなる。
【0035】
上述の3つのパラメータは、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、設計データに規定された配線の外郭の位置から導き出すための、いわゆる設計データに対する補正パラメータの役割を有する。本発明の実施例によれば、上述の3つのパラメータすなわちエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータを用いて、コンピュータは、図1のステップS102における処理として、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。なお、この変形例として、これらエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみを設定し、当該パラメータを用いて設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出すようにしてもよい。
【0036】
図9は、本発明の実施例によるデータ生成方法において、設計データに規定された配線の外郭の位置に対するパラメータを用いた補正方向を定義する図である。例えば、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、図9に示す矢印の方向を正方向とする各パラメータに基づく補正量を加算することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。また例えば、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、図9に示す矢印の方向を正方向とする各パラメータに基づく補正率を乗算することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。
【0037】
図10は、本発明の実施例における、エリア面積パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。エリア面積パラメータの値が大きいほど、エッチング影響エリアが大きくなるので、レジストに覆われた部分も余分にエッチングされやすくなる。したがって、図10に例示するように、エリア面積パラメータの値が大きいほど、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントからエッチング影響エリア側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。具体的には、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、エリア面積パラメータに基づく補正量を加算することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。
【0038】
なお、図10に示すグラフにおける数値は、あくまでも一例であって、製造する配線基板の設計形状、材厚、材質、エッチング環境など種々の条件によって、また、設計データに対する補正を、エリア面積パラメータに基づく補正量とするのか補正率にするのかによって、異なるものである。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、製造する配線基板に関して、エッチング影響エリアが或る面積であるときにレジストに覆われた部分がどの程度余分にエッチングされてしまうかを予め実験により測定し、この測定結果に基づき、設計データ通りの配線を確保するためにレジストをどの程度余分に広げる必要があるかを示す図10に示すようなグラフを作成しておく。
【0039】
図11は、本発明の実施例における、配線形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。一般に、外郭が直線形状のレジストパターンについてのエッチング処理の結果は比較的容易に予測できる。したがって、上述の配線形状パラメータを用いれば、外郭が直線形状である配線を設計データ通りに形成することができる。しかしながら、外郭が凹凸形状のレジストパターンについてはエッチングムラが生じやすい。例えば、或るポイント近傍における配線の外郭が凸形状である場合には、当該ポイントに位置するエッチング液によって、レジストに覆われた当該ポイント付近は余分にエッチングされやすくなる。逆に、或るポイント近傍における配線の外郭が凹形状である場合には、当該ポイントに位置するエッチング液によって、レジストに覆われた当該ポイント付近はエッチングされにくく、また、当該ポイント付近においてレジストに覆われていない部分さえもエッチングできないこともある。上述の配線形状パラメータは、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、当該ポイント近傍における配線の外郭の形状、特に凹凸具合を数値パラメータ化したものであるが、本発明の実施例では、エリア形状パラメータに加え、配線形状パラメータをさらに用いることによって、外郭が凹凸形状のレジストパターンについてはエッチングムラをなくし、外郭が凹凸形状である配線についても、設計データ通りに形成できるようにする。
【0040】
具体的には、図11に例示するように、配線形状パラメータの値が50%よりも小さい(すなわちポイント近傍における配線の外郭が凸形状である)ときは、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントからエッチング影響エリア側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。一方、配線形状パラメータの値が50%よりも大きい(すなわちポイント近傍における配線の外郭が凹形状である)ときは、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントから配線の内側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。なお、配線形状パラメータの値が50%(すなわちポイント近傍における配線の外郭が直線形状である)ときは、上述の配線形状パラメータを用いれば、外郭が直線形状である配線を設計データ通りに形成することができるので、補正量はゼロとする。このように、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、エリア面積パラメータおよび配線形状パラメータに基づく補正量を加算すれば、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を、より正確に導き出すことができる。
【0041】
なお、図11に示すグラフにおける数値は、図10に示すグラフ同様、あくまでも一例であって、製造する配線基板の設計形状、材厚、材質、エッチング環境など種々の条件によって、また、設計データに対する補正を、配線形状パラメータに基づく補正量とするのか補正率にするのかによって、異なるものである。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、製造する配線基板に関して、レジストの外郭の形状によってどの程度のエッチングがなされるかを予め実験により測定し、この測定結果に基づき、設計データ通りの配線を確保するためにレジストをどの程度余分に広げる必要があるかを示す図11に示すようなグラフを作成しておく。
【0042】
図12は、本発明の実施例における、エリア形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。上述のように、本発明の実施例では、設計データに規定された配線の外郭上にあるポイントを設定し、このポイントを基準点として、所定の形状を有する第1の基準エリアを設定している。この第1の基準エリアには、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のある領域としてエッチング影響エリアが存在する。エリア形状パラメータは、このエッチング影響エリアの形状を数値パラメータ化したものであり、例えば、設計データに規定された配線の外郭上に設定されるポイントと、当該ポイントを基準点としたときのエッチング影響エリアの図心との間の距離である。当該ポイントとエッチング影響エリアの図心との間の距離が離れれば離れるほど、当該ポイント上に位置するエッチング液の影響を受けにくくなる。したがって、本発明の実施例では、当該ポイントとエッチング影響エリアの図心との間の距離の長さについても考慮することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を、より正確に導き出すようにする。
【0043】
すなわち、図12に例示するように、エリア形状パラメータの値が大きいほど、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントからエッチング影響エリア側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。このように、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータに基づく補正量を加算すれば、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を、より正確に導き出すことができる。
【0044】
なお、図12に示すグラフにおける数値は、図10および10に示すグラフ同様、あくまでも一例であって、製造する配線基板の設計形状、材厚、材質、エッチング環境など種々の条件によって、また、設計データに対する補正を、配線形状パラメータに基づく補正量とするのか補正率にするのかによって、異なるものである。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、製造する配線基板に関して、或るポイントからの距離と、当該ポイント上に位置するエッチング液によるエッチングの度合いとの関係を予め実験により測定し、この測定結果に基づき、設計データ通りの配線を確保するためにレジストをどの程度余分に広げる必要があるかを示す図12に示すようなグラフを作成しておく。
【0045】
図1に示すステップS103では、コンピュータは、上述のようにして各ポイントごとに決定された当該ポイントに対応するレジストパターンの外郭の位置の配列を用いて、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する。なお、本発明の実施例の変形例として、これらエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみを設定し、当該パラメータを用いて設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出すようにし、これにより、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定するようにしてもよい。
【0046】
このように、本発明の実施例によれば、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定するだけで、生成されるレジストパターンを容易に変更することができる。例えば、あるレジストパターンを用いてエッチング処理を実行してはみたものの、形成された配線パターンについて所望の結果が得られなかった場合であっても、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定し直すだけで、生成されるレジストパターンを容易に修正することができる。
【0047】
上述した本発明の実施例によるデータ生成方法におけるステップS101〜S104の各処理は、コンピュータによる演算処理により実行される。図13は、記録媒体に格納されたプログラムにより動作する本発明の実施例によるレジストパターンのデータの生成処理のための構成を示すブロック図である。
【0048】
本発明によるデータ生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムは、図13に示すように、記憶媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM等の外部記憶媒体)110に格納されており、例えば、次に説明するような構成によるコンピュータにインストールされてデータ生成装置として動作する。
【0049】
CPU111は、データ生成装置全体を制御する。このCPU111に、バス112を介してROM113、RAM114、HD(ハードディスク装置)115、マウスやキーボード等の入力装置116、外部記憶媒体ドライブ装置117およびLCD、CRT、プラズマディスプレイ、有機EL等の表示装置118が接続されている。CPU111の制御プログラムはROM113に格納されている。
【0050】
本発明によるデータ生成を実行するコンピュータプログラム(データ生成プログラム)は、記憶媒体110からHD115にインストール(記憶)される。また、RAM114には、データ生成をCPU111が実行する際の作業領域や、データ生成を実行するコンピュータプログラムの一部が記憶される領域が確保されている。また、HD115には、入力データ、最終データ、さらにOS(オペレーティングシステム)等が予め記憶される。
【0051】
まず、コンピュータの電源を投入すると、CPU111がROM110から制御プログラムを読み出し、さらにHD115からOSを読み込み、OSを起動させる。これによりコンピュータはデータ生成プログラムを記憶媒体110からインストール可能な状態となる。
【0052】
次に、記憶媒体110を外部記憶媒体ドライブ装置117に装着し、入力装置116から制御コマンドをCPU111に入力し、記憶媒体110に格納されたデータ生成プログラムを読み取ってHD115等に記憶する。つまりデータ生成プログラムがコンピュータにインストールされる。
【0053】
その後は、データ生成プログラムを起動させると、コンピュータはデータ生成装置として動作する。オペレータは、表示装置118に表示される対話形式による作業内容と手順に従って、入力装置116を操作することで、上述したデータ生成を実行することができる。処理の結果得られた「レジストパターンの」は、例えば、HD115に記憶しておいて後日利用できるようにしたり、あるいは、処理結果を表示装置118に視覚的に表示するのに用いてもよい。
【0054】
なお、図13のコンピュータでは、記憶媒体110に記憶されたコンピュータプログラムをHD115にインストールするようにしたが、これに限らず、LAN等の情報伝送媒体を介して、コンピュータにインストールされてもよいし、コンピュータに内蔵のHD115に予めインストールされておいてもよい。
【0055】
図14〜16は、設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図である。図中、太線の実線は、設計データに規定された配線の外郭を表わし、細線の実線は、レジストパターンの外郭を表わし、ハッチングが施された領域は、エッチング処理により形成された実際の配線パターンを表わす。ここで、図14(a)、15(a)および16(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図14(b)、15(b)および16(b)は、図14(a)、15(a)および16(a)においてそれぞれ用いられた設計データを用いて、本発明の実施例によるデータ生成方法をそれぞれ適用したものを示す。これらの図からわかるように、本発明の実施例によるデータ生成方法に基づき生成されたレジストパターンを用いることにより、エッチング処理により形成された実際の配線パターン(図中、ハッチングが施された領域)は、従来技術による場合と比べて、設計データに規定された配線の外郭(図中、太線の実線)によりよく一致していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを、設計データに基づき生成する処理に適用することができる。本発明によれば、設計データ通りの配線パターンを形成できるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。例えば、配線の形状が複雑であったり、配線間の間隔に長短のバラツキがあったとしても、設計データ通りの配線パターンを形成することができるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。また、本発明によれば、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定するだけで、生成されるレジストパターンを容易に変更することができる。例えば、あるレジストパターンを用いてエッチング処理を実行してはみたものの、形成された配線パターンについて所望の結果が得られなかった場合であっても、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定し直すだけで、生成されるレジストパターンを容易に修正することができる。
【符号の説明】
【0057】
110 記録媒体
111 CPU
112 バス
113 ROM
114 RAM
115 ハードディスク装置
116 入力装置
117 外部記憶媒体ドライブ装置
118 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板の製造工程においては、基板上に感光性樹脂膜であるレジスト膜を形成し、このレジストを所望のパターンに露光し感光させ、エッチング処理することで所望のパターンを形成している。より具体的に言えば、まず基板上に銅箔を成膜し、その銅箔の上にレジストを塗布する。次いで、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像することで、設計データに規定された配線パターンに対応したレジストパターンを形成する。そして、エッチング処理によりレジストパターンで覆われた領域以外の領域にある銅箔を除去する。その後、レジストパターンを乖離すると、レジストパターンで覆われていた銅箔部分が現れる。この銅箔部分が、配線となる。
【0003】
エッチング処理により形成される配線パターンは、理想的には、レジストパターンに対し一致したものとなる。しかしながら、エッチング処理は化学反応に基づくものであることから、実際にエッチング処理を実行してみないと結果が分からないところがある。例えば、レジストに覆われた部分まで余分にエッチングされてしまったり、またあるいは、レジストに覆われていない部分がエッチングされなかったりすることもある。結果として、レジストパターンと、このレジストパターンの下でエッチング処理されることにより形成される配線パターンとの間にはズレが生じるのが通常である。
【0004】
そこで、配線基板の製造工程においては、設計データに規定された通りの(すなわち狙い通りの)配線パターンが形成されるよう、設計データに規定された配線パターンのデータに適宜補正を加えて、エッチングマスクとなるレジストパターンに関するデータを作成している。例えば、「レジストで覆われてエッチングされない領域」と、エッチングされる領域を挟んで向かい側に位置する別の「レジストで覆われてエッチングされない領域」と、の間の距離に応じて、これらレジストの形状を決定し、レジストパターンのデータを作成している(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
図17は、従来技術によるレジストパターンの作成を説明する図である。通常、設計データに記載された配線パターン51−1および51−2をエッチング処理により形成するためには、レジストに覆われた部分まで余分にエッチングされたりあるいはされなかったりすることを見越して、レジストパターン52−1および52−2を、配線パターン51−1および51−2となるべき領域を覆うように若干大きめにしたりあるいは小さくしたりして作成する必要がある。従来は、レジストパターン52−1と、エッチングされる領域を挟んで向かい側に位置するレジストパターン52−2と、の間の距離に応じて、これらレジストパターン52−1および52−2の形状を決定している。このようにして生成されたレジストパターンのデータに基づき、フォトリソグラフィ技術を用いて露光および現像することで基板上にレジストパターンを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−302163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、レジストに覆われた部分まで余分にエッチングされてしまったり、レジストに覆われていない部分がエッチングされなかったりすることを見越して、レジストパターンを、配線パターンとなるべき領域を覆うように若干大きめにあるいは小さめにして作成したとしても、配線の形状が複雑であったり、配線間の間隔が短いようなところでは、設計データ通りの配線パターンを形成することができないことが多い。このため、製造される配線基板の歩留まりを落としている。
【0008】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、エッチング処理により基板上に設計データ通りの配線パターンを形成できるようにする、レジストパターンのデータを生成するデータ生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を実現するために、本発明においては、基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法は、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、この第1の基準エリアは、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の設定ステップと、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、第1の基準エリア内に占めるエッチング影響エリアの面積を表わすエリア面積パラメータに応じて、決定する決定ステップと、設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各ポイントに対して決定ステップにより決定された各レジストパターンの外郭の位置を用いて、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、を備える。
【0010】
また、本発明は、上述の決定ステップにおいてレジストパターンの外郭の位置の決定に用いられるパラメータとして、上述のエリア面積パラメータに加え、第2の基準エリア内に存在する配線の、第2の基準エリアの全体に占める割合を表す配線形状パラメータをさらに用いてもよい。すなわちこの場合、本発明によるデータ生成方法は、当該ポイントを基準点として所定の形状を有する第2の基準エリアを設定する第2の設定ステップをさらに備え、このとき決定ステップは、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、エリア面積パラメータおよび配線形状パラメータに応じて決定する。
【0011】
またさらに、本発明は、上述の決定ステップにおいてレジストパターンの外郭の位置の決定に用いられるパラメータとして、上述のエリア面積パラメータおよび配線形状パラメータに加え、エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータをさらに用いてもよい。すなわちこの場合、決定ステップは、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、エリア面積パラメータ,配線形状パラメータおよびエリア面積パラメータに応じて決定する。
【0012】
またあるいは、本発明によれば、上述のエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみを適宜設定して、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を決定するようにしてもよい。
【0013】
上述の各ステップは、コンピュータ等の演算処理装置が実行することができるコンピュータプログラムの形式で実現できる。以上の処理を実施する装置や、以上の処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを作成することは、以下の説明を理解した当業者には容易に実施できる事項である。また、以上の処理をコンピュータにより実行させるコンピュータプログラムを記録媒体に格納するという事項も当業者には自明である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、エッチング処理により基板上に配線パターンを形成する場合、設計データ通りの配線パターンを形成できるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。例えば、配線の形状が複雑であったり、配線間の間隔に長短のバラツキがあったとしても、設計データ通りの配線パターンを形成することができるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。したがって、本発明によるデータ生成方法を用いれば、製造される配線基板の歩留まりを上げることができる。
【0015】
また、本発明によれば、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定するだけで、生成されるレジストパターンを容易に変更することができる。例えば、あるレジストパターンを用いてエッチング処理を実行してはみたものの、形成された配線パターンについて所望の結果が得られなかった場合であっても、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定し直すだけで、生成されるレジストパターンを容易に修正することができる。したがって、本発明によるデータ生成方法を用いれば、生成されるレジストパターンの修正処理が容易であるので、製造される配線基板の歩留まりを上げるとともに、配線基板の製造工程を短縮することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例によるデータ生成方法の動作フローを示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例における第1の基準エリアおよびエッチング影響エリアを示す図である。
【図3】図2に示す第1の基準エリアの変形例を示す図である。
【図4】本発明の実施例における第1の基準エリアのさらなる変形例を示す図(その1)である。
【図5】本発明の実施例における第1の基準エリアのさらなる変形例を示す図(その2)である。
【図6】本発明の実施例における第2の基準エリアおよび配線を示す図である。
【図7】本発明の実施例におけるエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータを説明する図である。
【図8】本発明の実施例における配線形状パラメータを説明する図である。
【図9】本発明の実施例によるデータ生成方法において、設計データに規定された配線の外郭の位置に対するパラメータを用いた補正方向を定義する図である。
【図10】本発明の実施例における、エリア面積パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。
【図11】本発明の実施例における、配線形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。
【図12】本発明の実施例における、エリア形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。
【図13】記録媒体に格納されたプログラムにより動作する本発明の実施例によるレジストパターンのデータの生成処理のための構成を示すブロック図である。
【図14】設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図(その1)であって、図14(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図14(b)本発明の実施例によるものを示す図である。
【図15】設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図(その2)であって、図15(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図15(b)本発明の実施例によるものを示す図である。
【図16】設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図(その1)であって、図16(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図16(b)本発明の実施例によるものを示す図である。
【図17】従来技術によるレジストパターンの作成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の実施例によるデータ生成方法の動作フローの概略について説明する。図1は、本発明の実施例によるデータ生成方法の動作フローを示すフローチャートである。本発明の実施例によるデータ生成方法におけるステップS101〜S104の各処理は、コンピュータによる演算処理により実行される。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、エッチング処理により基板上に形成すべき配線パターンに関する設計データを、当該コンピュータに入力する。
【0018】
まず、ステップS101では、コンピュータは、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として、所定の形状を有する第1の基準エリアおよび第2の基準エリアを設定する。第1の基準エリアは、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む。第2の基準エリアは、所定の大きさを有する円形のエリアであり、後述するように当該ポイントに近傍に置ける配線の形状を調べるためのものである。設計データに規定された配線の外郭上においてどのような間隔でポイントを選択していくか(すなわち分解能)については、コンピュータによる演算処理時間や、形成される配線パターンの精度などを考慮して適宜設定すればよい。選択するポイントの間隔が細かくなればなるほど、形成される配線パターンの精度は上がるが、コンピュータによる演算処理時間が増加する。
【0019】
次いで、ステップS102において、コンピュータは、設計データに規定された配線の外郭の形状を当該ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、パラメータに応じて決定する。このパラメータは、その詳細については後述するが、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、設計データに規定された配線の外郭の位置から導き出すための、いわゆる設計データに対する補正パラメータの役割を有するものである。本発明の実施例では、このパラメータとして、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータを設定するが、その変形例として、これらエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみの適宜設定としてもよい。ステップS102では、コンピュータは、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、上記パラメータを用いて、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。
【0020】
ステップS104では、コンピュータは、設計データに規定された配線の外郭上における全てのポイントについて、ステップS101およびS102における処理が完了したか否かを判定する。設計データに規定された配線の外郭上にまだステップS101およびS102における処理が完了していないポイントが存在する場合にはステップS101へ戻り、全てのポイントについて処理が完了した場合はステップS103へ進む。
【0021】
設計データに規定された配線の外郭上における全てのポイントについて、ステップS101およびS102における処理が完了した場合、ステップS103において、コンピュータは、各ポイントごとに決定された各レジストパターンの外郭の位置を用いて、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する。
【0022】
次に、上述のステップS101において設定される第1の基準エリアについて説明する。図2は、本発明の実施例における第1の基準エリアおよびエッチング影響エリアを示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。
【0023】
上述のように、ステップS101およびS102の各処理のために、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上に位置するポイントが選択されるが、ここでは一例として図2に示す位置にポイントPが選択されたものとする。このとき、ステップS101では、ポイントPを基準点として、所定の形状を有する第1の基準エリアKが設定される。図2に示す例では、第1の基準エリアKの形状として円形が設定される。第1の基準エリアKの大きさについては後述する。上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第1の基準エリアKが設定される。
【0024】
エッチング処理を用いた配線基板の製造においては、配線を形成すべき領域はレジストが覆われてエッチングされないようにし、レジストで覆われなかった領域についてはエッチングされる。設計データに規定された配線の外郭上の或るポイント上にエッチング液が位置すると仮定した場合、当該ポイントを基準点とする第1の基準エリア内には、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のある領域(レジストに覆われない領域)が存在する。本実施例ではこれをエッチング影響エリアと称する。したがって、第1の基準エリアは、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含むことになる。例えば、図2に示す例において、ポイントP上にエッチング液が位置すると仮定すると、第1の基準エリアK内には、ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のあるエッチング影響エリアE(図中、斜線が施された領域)が存在することになる。
【0025】
ここで、第1の基準エリアの大きさについて説明する。あるポイント上に位置するエッチング液によってエッチングされる領域は有限であり、当該ポイントから離れれば離れるほど、当該エッチング液の影響を受けにくくなる。そこで、本発明の実施例では、或るポイントからの距離と、当該ポイント上に位置するエッチング液によるエッチングの度合いとの関係を、予め実験により測定し、エッチングの影響が及ばないであろう当該ポイントからの距離を推定し、この距離を、エッチング影響エリアを含む第1の基準エリアの大きさの決定の際の判断材料とする。このように第1の基準エリアの大きさを決定することで、レジストパターンのデータの作成の際のコンピュータによる演算処理量を減らすことができる。
【0026】
なお、図2に示す第1の基準エリアK内には、エッチング影響エリアE以外にも、レジストに覆われない領域が存在するが、当該領域は、ポイントPに接するものではなく、すなわちポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされることはないので、エッチング影響エリアEには含めない。また、第1の基準エリアK内に「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」を含めないようにするために、図2に示す例では円形としていた第1の基準エリアKの形状を、次に説明するように扇形状としても良い。図3は、図2に示す第1の基準エリアの変形例を示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。図3においては、図2に示す場合と同じ位置にポイントPを設定したが、上述のように、図2において第1の基準エリアK内に含まれていた「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」は、ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされることはないので、当該「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」までも第1の基準エリアEに含まれてしまうのは、コンピュータの演算処理量をいたずらに増やしてしまうので好ましくない。そこで、図3に示す変形例では、当該「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」は含まれないような第1の基準エリアEの形状として、扇形状を設定する。なお、ポイントPの配線の外郭上の位置如何によって、図2に示すような円形の第1の基準エリアKを設定した場合における「エッチング影響エリアE以外のレジストに覆われない領域」の形状は変わるので、図3に示すような第1の基準エリアKの扇形状も変わることになる。
【0027】
図4および5は、本発明の実施例における第1の基準エリアのさらなる変形例を示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。本発明の実施例におけるステップS101で設定される第1の基準エリアKの形状は、図2に示すような円形に限定されるものではない。例えば、ポイントPを基準点としたときの第1の基準エリアKの形状は、図4に示すようなオーバル状であってもよく、あるいは図5に示すような第1の星型であってもよい。上述のように、第1の基準エリアKは、当該ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアEを含むものとなる。
【0028】
次に、上述のステップS101において設定される第2の基準エリアについて説明する。図6は、本発明の実施例における第2の基準エリアおよび配線を示す図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。
【0029】
上述のように、ステップS101およびS102の各処理のために、基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上に位置するポイントが選択されるが、ここでは一例として図6に示す位置にポイントPが選択されたものとする。このとき、ステップS101では、ポイントPを基準点として、所定の形状を有する第2の基準エリアHが設定される。第2の基準エリアは、後述の配線形状パラメータを作成するために用いられるものであり、所定の大きさを有する円形である。図6に示す例において、ポイントP上にエッチング液が位置すると仮定すると、第2の基準エリアH内には、ポイントP上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のあるエッチング影響エリアE’が存在することになる。上述したように、あるポイント上に位置するエッチング液によってエッチングされる領域は有限であり、当該ポイントから離れれば離れるほど、当該エッチング液の影響を受けにくくなる。そこで、本発明の実施例では、或るポイントからの距離と、当該ポイント上に位置するエッチング液によるエッチングの度合いとの関係を、予め実験により測定し、エッチングの影響が及ばないであろう当該ポイントからの距離を推定し、この距離を、第2の基準エリアHの形状である円形の半径とする。このように第2の基準エリアの大きさを決定することで、レジストパターンのデータの作成の際のコンピュータによる演算処理量を減らすことができる。このようにして設定された第2の基準エリアは、後述するように、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイント近傍における配線の外郭の形状(特に凹凸具合)を数値パラメータ化するのに用いられる。
【0030】
続いて、上述のステップS102において用いられるパラメータについて説明する。ステップS102において用いられるパラメータには、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータがある。図7は、本発明の実施例におけるエリア面積パラメータおよびエリア形状パラメータを説明する図である。太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。
【0031】
このうち、エリア面積パラメータは、仮想平面上における第1の基準エリア内に占めるエッチング影響エリアの面積を表わす。したがって、例えば、図7に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第1の基準エリアKについて言えば、コンピュータが、図中斜線が施された領域として示されたエッチング影響エリアEの面積を算出して、これをエリア面積パラメータとする。上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第1の基準エリアKが設定されるので、第1の基準エリアK内に含まれるエッチング影響エリアEの面積を表わすエリア面積パラメータも、ポイントPごとに異なるものとなる。
【0032】
また、配線形状パラメータは、第2の基準エリア内に存在する設計データで規定された配線の、当該ポイント近傍における配線の外郭の形状、特に凹凸具合を数値パラメータ化したものである。図8は、本発明の実施例における配線形状パラメータを説明する図である。図中、太線の実線は、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭を表わす。配線形状パラメータは、仮想平面上における、第2の基準エリア内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアの全体に占める割合で表わされる。例えば、図8に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第2の基準エリアHについて言えば、第2の基準エリアH内の、エッチング影響エリアE’以外の領域が、設計データで規定された配線に相当する。コンピュータは、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合を算出して、これを配線形状パラメータとする。
【0033】
上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第2の基準エリアHが設定されるので、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合である配線形状パラメータも、ポイントPごとに異なるものとなる。ポイントPが位置する配線の当該ポイント近傍における外郭の形状は、配線形状パラメータが50%のときは直線形状、50%より小さいときは凸形状、50%より大きいときは凹形状、である。例えば、図8(a)に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第2の基準エリアHについて言えば、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合である配線形状パラメータは「25%」となる。また例えば、図8(b)に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の第2の基準エリアHについて言えば、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、第2の基準エリアHの全体に対して占める割合である配線形状パラメータは「62.5%」となる。このように、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、当該ポイントP近傍における配線の外郭の凹凸具合を、配線形状パラメータで数値化して表わすことができる。
【0034】
また、エリア形状パラメータは、第1の基準エリアK内に含まれるエッチング影響エリアの形状を数値パラメータ化したものである。このエリア形状パラメータは、例えば、仮想平面上における、設計データに規定された配線の外郭上に設定されるポイントと、当該ポイントを基準点としたときのエッチング影響エリアの図心との間の距離である。したがって、例えば、図7に示すようなポイントPを基準点に設定された円形の基準エリアKについて言えば、コンピュータが、図中斜線が施された領域として示されたエッチング影響エリアEについての図心Zをまず算出し、そしてこの図心ZとポイントPとの間の距離を算出して、これをエリア形状パラメータとする。上述のように、設計データに規定された配線の外郭上の位置にはポイントPが順次設定されることになるが、そのポイントPごとに、第1の基準エリアKが設定されるので、第1の基準エリアK内に含まれるエッチング影響エリアEの図心Zも、ポイントPごとに異なるものとなり、したがって、エリア形状パラメータも、ポイントPごとに異なるものとなる。
【0035】
上述の3つのパラメータは、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、設計データに規定された配線の外郭の位置から導き出すための、いわゆる設計データに対する補正パラメータの役割を有する。本発明の実施例によれば、上述の3つのパラメータすなわちエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータを用いて、コンピュータは、図1のステップS102における処理として、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。なお、この変形例として、これらエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみを設定し、当該パラメータを用いて設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出すようにしてもよい。
【0036】
図9は、本発明の実施例によるデータ生成方法において、設計データに規定された配線の外郭の位置に対するパラメータを用いた補正方向を定義する図である。例えば、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、図9に示す矢印の方向を正方向とする各パラメータに基づく補正量を加算することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。また例えば、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、図9に示す矢印の方向を正方向とする各パラメータに基づく補正率を乗算することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。
【0037】
図10は、本発明の実施例における、エリア面積パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。エリア面積パラメータの値が大きいほど、エッチング影響エリアが大きくなるので、レジストに覆われた部分も余分にエッチングされやすくなる。したがって、図10に例示するように、エリア面積パラメータの値が大きいほど、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントからエッチング影響エリア側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。具体的には、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、エリア面積パラメータに基づく補正量を加算することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出す。
【0038】
なお、図10に示すグラフにおける数値は、あくまでも一例であって、製造する配線基板の設計形状、材厚、材質、エッチング環境など種々の条件によって、また、設計データに対する補正を、エリア面積パラメータに基づく補正量とするのか補正率にするのかによって、異なるものである。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、製造する配線基板に関して、エッチング影響エリアが或る面積であるときにレジストに覆われた部分がどの程度余分にエッチングされてしまうかを予め実験により測定し、この測定結果に基づき、設計データ通りの配線を確保するためにレジストをどの程度余分に広げる必要があるかを示す図10に示すようなグラフを作成しておく。
【0039】
図11は、本発明の実施例における、配線形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。一般に、外郭が直線形状のレジストパターンについてのエッチング処理の結果は比較的容易に予測できる。したがって、上述の配線形状パラメータを用いれば、外郭が直線形状である配線を設計データ通りに形成することができる。しかしながら、外郭が凹凸形状のレジストパターンについてはエッチングムラが生じやすい。例えば、或るポイント近傍における配線の外郭が凸形状である場合には、当該ポイントに位置するエッチング液によって、レジストに覆われた当該ポイント付近は余分にエッチングされやすくなる。逆に、或るポイント近傍における配線の外郭が凹形状である場合には、当該ポイントに位置するエッチング液によって、レジストに覆われた当該ポイント付近はエッチングされにくく、また、当該ポイント付近においてレジストに覆われていない部分さえもエッチングできないこともある。上述の配線形状パラメータは、第2の基準エリアH内に存在する設計データで規定された配線の、当該ポイント近傍における配線の外郭の形状、特に凹凸具合を数値パラメータ化したものであるが、本発明の実施例では、エリア形状パラメータに加え、配線形状パラメータをさらに用いることによって、外郭が凹凸形状のレジストパターンについてはエッチングムラをなくし、外郭が凹凸形状である配線についても、設計データ通りに形成できるようにする。
【0040】
具体的には、図11に例示するように、配線形状パラメータの値が50%よりも小さい(すなわちポイント近傍における配線の外郭が凸形状である)ときは、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントからエッチング影響エリア側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。一方、配線形状パラメータの値が50%よりも大きい(すなわちポイント近傍における配線の外郭が凹形状である)ときは、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントから配線の内側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。なお、配線形状パラメータの値が50%(すなわちポイント近傍における配線の外郭が直線形状である)ときは、上述の配線形状パラメータを用いれば、外郭が直線形状である配線を設計データ通りに形成することができるので、補正量はゼロとする。このように、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、エリア面積パラメータおよび配線形状パラメータに基づく補正量を加算すれば、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を、より正確に導き出すことができる。
【0041】
なお、図11に示すグラフにおける数値は、図10に示すグラフ同様、あくまでも一例であって、製造する配線基板の設計形状、材厚、材質、エッチング環境など種々の条件によって、また、設計データに対する補正を、配線形状パラメータに基づく補正量とするのか補正率にするのかによって、異なるものである。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、製造する配線基板に関して、レジストの外郭の形状によってどの程度のエッチングがなされるかを予め実験により測定し、この測定結果に基づき、設計データ通りの配線を確保するためにレジストをどの程度余分に広げる必要があるかを示す図11に示すようなグラフを作成しておく。
【0042】
図12は、本発明の実施例における、エリア形状パラメータと設計データに対する補正量との関係を例示する図である。上述のように、本発明の実施例では、設計データに規定された配線の外郭上にあるポイントを設定し、このポイントを基準点として、所定の形状を有する第1の基準エリアを設定している。この第1の基準エリアには、当該ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされる可能性のある領域としてエッチング影響エリアが存在する。エリア形状パラメータは、このエッチング影響エリアの形状を数値パラメータ化したものであり、例えば、設計データに規定された配線の外郭上に設定されるポイントと、当該ポイントを基準点としたときのエッチング影響エリアの図心との間の距離である。当該ポイントとエッチング影響エリアの図心との間の距離が離れれば離れるほど、当該ポイント上に位置するエッチング液の影響を受けにくくなる。したがって、本発明の実施例では、当該ポイントとエッチング影響エリアの図心との間の距離の長さについても考慮することで、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を、より正確に導き出すようにする。
【0043】
すなわち、図12に例示するように、エリア形状パラメータの値が大きいほど、当該ポイントにおける配線をエッチング処理により形成するために必要なレジストの位置を、当該ポイントからエッチング影響エリア側方向にずらすようにして設定することで、エッチング処理後にも設計データに規定された配線の位置を確保できるようにする。このように、仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置の座標に、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータに基づく補正量を加算すれば、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を、より正確に導き出すことができる。
【0044】
なお、図12に示すグラフにおける数値は、図10および10に示すグラフ同様、あくまでも一例であって、製造する配線基板の設計形状、材厚、材質、エッチング環境など種々の条件によって、また、設計データに対する補正を、配線形状パラメータに基づく補正量とするのか補正率にするのかによって、異なるものである。本発明の実施例によるデータ生成方法を実行する前に、製造する配線基板に関して、或るポイントからの距離と、当該ポイント上に位置するエッチング液によるエッチングの度合いとの関係を予め実験により測定し、この測定結果に基づき、設計データ通りの配線を確保するためにレジストをどの程度余分に広げる必要があるかを示す図12に示すようなグラフを作成しておく。
【0045】
図1に示すステップS103では、コンピュータは、上述のようにして各ポイントごとに決定された当該ポイントに対応するレジストパターンの外郭の位置の配列を用いて、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する。なお、本発明の実施例の変形例として、これらエリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの1つあるいは2つのパラメータのみを設定し、当該パラメータを用いて設計データに規定された配線の外郭上のポイントの位置から、当該ポイントにおける配線の形成のためのレジストパターンの外郭の位置を導き出すようにし、これにより、基板上に配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定するようにしてもよい。
【0046】
このように、本発明の実施例によれば、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定するだけで、生成されるレジストパターンを容易に変更することができる。例えば、あるレジストパターンを用いてエッチング処理を実行してはみたものの、形成された配線パターンについて所望の結果が得られなかった場合であっても、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定し直すだけで、生成されるレジストパターンを容易に修正することができる。
【0047】
上述した本発明の実施例によるデータ生成方法におけるステップS101〜S104の各処理は、コンピュータによる演算処理により実行される。図13は、記録媒体に格納されたプログラムにより動作する本発明の実施例によるレジストパターンのデータの生成処理のための構成を示すブロック図である。
【0048】
本発明によるデータ生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムは、図13に示すように、記憶媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM等の外部記憶媒体)110に格納されており、例えば、次に説明するような構成によるコンピュータにインストールされてデータ生成装置として動作する。
【0049】
CPU111は、データ生成装置全体を制御する。このCPU111に、バス112を介してROM113、RAM114、HD(ハードディスク装置)115、マウスやキーボード等の入力装置116、外部記憶媒体ドライブ装置117およびLCD、CRT、プラズマディスプレイ、有機EL等の表示装置118が接続されている。CPU111の制御プログラムはROM113に格納されている。
【0050】
本発明によるデータ生成を実行するコンピュータプログラム(データ生成プログラム)は、記憶媒体110からHD115にインストール(記憶)される。また、RAM114には、データ生成をCPU111が実行する際の作業領域や、データ生成を実行するコンピュータプログラムの一部が記憶される領域が確保されている。また、HD115には、入力データ、最終データ、さらにOS(オペレーティングシステム)等が予め記憶される。
【0051】
まず、コンピュータの電源を投入すると、CPU111がROM110から制御プログラムを読み出し、さらにHD115からOSを読み込み、OSを起動させる。これによりコンピュータはデータ生成プログラムを記憶媒体110からインストール可能な状態となる。
【0052】
次に、記憶媒体110を外部記憶媒体ドライブ装置117に装着し、入力装置116から制御コマンドをCPU111に入力し、記憶媒体110に格納されたデータ生成プログラムを読み取ってHD115等に記憶する。つまりデータ生成プログラムがコンピュータにインストールされる。
【0053】
その後は、データ生成プログラムを起動させると、コンピュータはデータ生成装置として動作する。オペレータは、表示装置118に表示される対話形式による作業内容と手順に従って、入力装置116を操作することで、上述したデータ生成を実行することができる。処理の結果得られた「レジストパターンの」は、例えば、HD115に記憶しておいて後日利用できるようにしたり、あるいは、処理結果を表示装置118に視覚的に表示するのに用いてもよい。
【0054】
なお、図13のコンピュータでは、記憶媒体110に記憶されたコンピュータプログラムをHD115にインストールするようにしたが、これに限らず、LAN等の情報伝送媒体を介して、コンピュータにインストールされてもよいし、コンピュータに内蔵のHD115に予めインストールされておいてもよい。
【0055】
図14〜16は、設計データに基づきレジストパターンのデータを生成した結果に関して、従来のデータ生成方法と本発明の実施例による方法とを比較説明する図である。図中、太線の実線は、設計データに規定された配線の外郭を表わし、細線の実線は、レジストパターンの外郭を表わし、ハッチングが施された領域は、エッチング処理により形成された実際の配線パターンを表わす。ここで、図14(a)、15(a)および16(a)は、従来のデータ生成方法によるものを示し、図14(b)、15(b)および16(b)は、図14(a)、15(a)および16(a)においてそれぞれ用いられた設計データを用いて、本発明の実施例によるデータ生成方法をそれぞれ適用したものを示す。これらの図からわかるように、本発明の実施例によるデータ生成方法に基づき生成されたレジストパターンを用いることにより、エッチング処理により形成された実際の配線パターン(図中、ハッチングが施された領域)は、従来技術による場合と比べて、設計データに規定された配線の外郭(図中、太線の実線)によりよく一致していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを、設計データに基づき生成する処理に適用することができる。本発明によれば、設計データ通りの配線パターンを形成できるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。例えば、配線の形状が複雑であったり、配線間の間隔に長短のバラツキがあったとしても、設計データ通りの配線パターンを形成することができるレジストパターンのデータを容易に生成することができる。また、本発明によれば、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定するだけで、生成されるレジストパターンを容易に変更することができる。例えば、あるレジストパターンを用いてエッチング処理を実行してはみたものの、形成された配線パターンについて所望の結果が得られなかった場合であっても、エリア面積パラメータ、配線形状パラメータおよびエリア形状パラメータのうちの少なくとも1つを適宜設定し直すだけで、生成されるレジストパターンを容易に修正することができる。
【符号の説明】
【0057】
110 記録媒体
111 CPU
112 バス
113 ROM
114 RAM
115 ハードディスク装置
116 入力装置
117 外部記憶媒体ドライブ装置
118 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法であって、
基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、前記第1の基準エリアは、前記ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の設定ステップと、
前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記基準エリア内に占める前記エッチング影響エリアの面積を表わすエリア面積パラメータに応じて、決定する決定ステップと、
前記設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各前記ポイントに対して前記決定ステップにより決定された各前記レジストパターンの外郭の位置を用いて、前記基板上に前記配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、
を備えることを特徴とするデータ生成方法。
【請求項2】
前記ポイントを基準点として所定の形状を有する第2の基準エリアを設定する第2の設定ステップをさらに備え、
前記決定ステップは、前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記第2の基準エリア内に存在する配線の、前記第2の基準エリアの全体に対して占める割合を表す配線形状パラメータに応じて決定するステップをさらに有する請求項1に記載のデータ生成方法。
【請求項3】
前記決定ステップは、前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータに応じて決定するステップをさらに有する請求項1または2に記載のデータ生成方法。
【請求項4】
基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法であって、
基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第2の基準エリアを設定する第2の設定ステップと、
前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記第2の基準エリア内に存在する配線の、前記第2の基準エリアの全体に対して占める割合を表す配線形状パラメータに応じて、決定する決定ステップと、
前記設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各前記ポイントに対して前記決定ステップにより決定された各前記レジストパターンの外郭の位置を用いて、前記基板上に前記配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、
を備えることを特徴とするデータ生成方法。
【請求項5】
前記ポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、前記第1の基準エリアは、前記ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の設定ステップをさらに備え、
前記決定ステップは、前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記配線形状パラメータと、前記エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータと、に応じて決定する請求項4に記載のデータ生成方法。
【請求項6】
基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法であって、
基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、前記第1の基準エリアは、前記ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含むエリア設定ステップと、
前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータに応じて、決定する決定ステップと、
前記設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各前記ポイントに対して前記決定ステップにより決定された各前記レジストパターンの外郭の位置を用いて、前記基板上に前記配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、
を備えることを特徴とするデータ生成方法。
【請求項7】
前記ポイントが位置する前記配線の当該ポイント近傍における外郭の形状は、前記配線形状パラメータが50%のときは直線形状、50%より小さいときは凸形状、50%より大きいときは凹形状、である請求項2〜5のいずれか一項に記載のデータ生成方法。
【請求項8】
前記エリア形状パラメータは、前記ポイントと、前記ポイントを基準点としたときの前記エッチング影響エリアの図心との間の距離である請求項3、5または6のいずれか一項に記載のデータ生成方法。
【請求項1】
基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法であって、
基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、前記第1の基準エリアは、前記ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の設定ステップと、
前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記基準エリア内に占める前記エッチング影響エリアの面積を表わすエリア面積パラメータに応じて、決定する決定ステップと、
前記設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各前記ポイントに対して前記決定ステップにより決定された各前記レジストパターンの外郭の位置を用いて、前記基板上に前記配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、
を備えることを特徴とするデータ生成方法。
【請求項2】
前記ポイントを基準点として所定の形状を有する第2の基準エリアを設定する第2の設定ステップをさらに備え、
前記決定ステップは、前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記第2の基準エリア内に存在する配線の、前記第2の基準エリアの全体に対して占める割合を表す配線形状パラメータに応じて決定するステップをさらに有する請求項1に記載のデータ生成方法。
【請求項3】
前記決定ステップは、前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータに応じて決定するステップをさらに有する請求項1または2に記載のデータ生成方法。
【請求項4】
基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法であって、
基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第2の基準エリアを設定する第2の設定ステップと、
前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記第2の基準エリア内に存在する配線の、前記第2の基準エリアの全体に対して占める割合を表す配線形状パラメータに応じて、決定する決定ステップと、
前記設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各前記ポイントに対して前記決定ステップにより決定された各前記レジストパターンの外郭の位置を用いて、前記基板上に前記配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、
を備えることを特徴とするデータ生成方法。
【請求項5】
前記ポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、前記第1の基準エリアは、前記ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含む第1の設定ステップをさらに備え、
前記決定ステップは、前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記配線形状パラメータと、前記エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータと、に応じて決定する請求項4に記載のデータ生成方法。
【請求項6】
基板上に配線パターンをエッチング処理により形成する際のエッチングマスクとなるレジストパターンのデータを生成するデータ生成方法であって、
基板面に相当する仮想平面上において、設計データに規定された配線の外郭上の或るポイントを基準点として所定の形状を有する第1の基準エリアを設定する第1の設定ステップであって、前記第1の基準エリアは、前記ポイント上に位置するエッチング液によって銅箔がエッチングされ得るエッチング影響エリアを含むエリア設定ステップと、
前記設計データに規定された前記配線の外郭の形状を前記ポイントにおいて得るために必要なレジストパターンの外郭の位置を、前記エッチング影響エリアの形状を表わすエリア形状パラメータに応じて、決定する決定ステップと、
前記設計データに規定された配線の外郭上の任意の位置に順次設定される各前記ポイントに対して前記決定ステップにより決定された各前記レジストパターンの外郭の位置を用いて、前記基板上に前記配線パターンを形成するためのレジストパターンの外郭を画定する画定ステップと、
を備えることを特徴とするデータ生成方法。
【請求項7】
前記ポイントが位置する前記配線の当該ポイント近傍における外郭の形状は、前記配線形状パラメータが50%のときは直線形状、50%より小さいときは凸形状、50%より大きいときは凹形状、である請求項2〜5のいずれか一項に記載のデータ生成方法。
【請求項8】
前記エリア形状パラメータは、前記ポイントと、前記ポイントを基準点としたときの前記エッチング影響エリアの図心との間の距離である請求項3、5または6のいずれか一項に記載のデータ生成方法。
【図1】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
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【図5】
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【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−258690(P2011−258690A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130884(P2010−130884)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
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