説明

データ移行システム、データ移行方法、プログラム

【課題】 異なる文書管理システムのデータ移行時に、正しくアクセス権を移行可能なデータ移行システムを提供する。
【解決手段】 文書管理アプリケーション間でデータの移行を行うシステムで、フォルダの継承設定を、アクセス権を該フォルダで独自に設定する継承設定に設定を変更するとともに、親フォルダのアクセス権と同様のアクセス権を前記移行対象フォルダに設定するアクセス権処理部303と、エクスポートされたフォルダの階層が、移行先の文書管理アプリケーションにおける階層の上限を超えている場合に、上限を超えた階層下のフォルダを上限よりも浅い階層にインポートするデータインポート部404と、インポートされたフォルダのアクセス権と、親フォルダのアクセス権とが等しい場合に、アクセス権の継承設定を、親フォルダのアクセス権を継承する継承設定に変更するアクセス権処理部403を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる文書管理システムのデータ移行時におけるアクセス権の移行を行うデータ移行システム、データ移行方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書管理システムでは通常フォルダや文書に「誰が」「何を実行可能か」というアクセス権を設定することが可能である。そこにおいて、すべてのフォルダや文書に個別にアクセス権を設定しようとすると膨大な手間がかかり、かつその後のメンテナンスも容易ではなくなってしまう。そこで文書管理システムでは、指定したフォルダや文書に対して「アクセス権は親の権限を継承する」といった設定が可能である。また或いは、最上位の階層にのみアクセス権を設定し、最上位以外にアクセス要求があった場合に、最上位のアクセス権を参照してアクセス可能か判断するというものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−193826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異なる文書管理システム間でデータの移行がある場合、従来の技術では正しくないアクセス権が設定される可能性がある。具体的には、移行後のシステムのほうがフォルダ階層の深さの上限が小さい場合、上限を超えた階層のフォルダは上位の階層へ移動させてデータを移行することがある。これにより上限を超えずにデータを移行することができるが、上位へ移動させたフォルダのアクセス権が「親の権限を継承」という設定になっている場合、移動させた箇所で正しくないアクセス権が設定される可能性がある。最上位の階層のアクセス権を参照している場合はそもそも柔軟なアクセス権が設定できないという課題もあるが、階層の上限を超えるフォルダの移動のさせ方によっては正しくないアクセス権が設定される可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑み、異なる文書管理システムのデータ移行時に、正しくアクセス権を移行することが可能なデータ移行システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のデータ移行システムは、移行元の文書管理アプリケーションから、前記移行元の文書管理アプリケーションとは階層の上限が異なる移行先の文書管理アプリケーションに対して、階層構造のフォルダにて管理されているデータの移行を行うデータ移行システムであって、前記移行元の文書管理アプリケーションにおける移行対象のフォルダに設定されているアクセス権の継承設定が親フォルダのアクセス権を継承する継承設定である場合に、前記移行対象フォルダの継承設定を、アクセス権を該フォルダで独自に設定する継承設定に設定を変更するとともに、該親フォルダのアクセス権と同様のアクセス権を前記移行対象フォルダに設定する設定手段と、前記移行対象のフォルダ、該フォルダが包含するデータ及び、該フォルダのアクセス権情報をエクスポートするエクスポート手段と、前記エクスポート手段によりエクスポートされた、前記移行対象フォルダの階層が、前記移行先の文書管理アプリケーションにおける階層の上限を超えている場合に、上限を超えた階層下のフォルダ及び、該フォルダに包含されるデータを前記移行先の文書管理アプリケーションにおける上限よりも浅い階層にインポートするインポート手段と、前記アクセス権情報に基づいて解析された、前記インポート手段によりインポートされたフォルダのアクセス権と、該フォルダの親フォルダのアクセス権とが等しい場合に、前記インポート手段によりインポートされたフォルダのアクセス権の継承設定を、親フォルダのアクセス権を継承する継承設定に変更する変更手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、異なる文書管理システムのデータ移行時に、正しくアクセス権を移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に適用されるシステム構成図
【図2】本発明の一実施例におけるデータ移行の流れを示した図
【図3】本発明の一実施例に適用されるデータエクスポーターのソフトウェア構成図
【図4】本発明の一実施例に適用されるデータインポーターのソフトウェア構成図
【図5】本発明に適用されるアクセス権管理テーブルの一例を示す図
【図6】データエクスポーターのUIの一例を示す図
【図7】データインポーターのUIの一例を示す図
【図8】プリチェックの結果ログの一例を示す図
【図9】プリチェック処理のフローチャート
【図10】エクスポート処理のフローチャート
【図11】インポート処理のフローチャート
【図12】(a)データ移行とアクセス権の一例を示す図(移行前)、(b)データ移行とアクセス権の一例を示す図(エクスポート後)、(c)データ移行とアクセス権の一例を示す図(移行後)
【図13】エクスポート処理のフローチャート
【図14】インポート処理のフローチャート
【図15】インポート処理のフローチャート
【図16】データ移行とアクセス権の一例を示す図(移行後)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。尚、実施例ではアクセス権を設定する対象として「フォルダ」と記載するが、階層構造を実現できる概念であれば何でも良く、いわゆるMicrosoft Windows(登録商標)等のフォルダに限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
本発明に係る第一の実施例を図1乃至図12に基づき説明する。図1は本実施例に適用されるデータ移行システムの概略図である。データ移行システムには少なくとも移行元サーバ101、移行先サーバ102、クライアントPC103が存在する。
【0011】
移行元サーバ101は、データ移行における移行元の文書管理アプリケーションが稼働しているサーバである。移行先サーバ102は、データ移行における移行先の文書管理アプリケーションが稼働しているサーバである。クライアントPC103は、文書管理システムを使用するユーザのPCである。
【0012】
上記複数のPC(サーバ101、102、クライアントPC103)はイーサネット(登録商標)等のネットワークで接続されている。また上記述べたPCはすべてCPU、RAM、ROM、HDD、ネットワークインタフェースカード等のハードウェア構成物により構成される。便宜上、図1では3台のPCしか図示していないが、それ以上のPCが存在していて構わない。逆に移行元サーバ101と移行先サーバ102とが同一のPCでも構わない。またプリンターやネットワーク機器等は省略されているが、データ移行システムに含まれていてもかまわない。
【0013】
図2は、移行元サーバ101から移行先サーバ102へのデータ移行の流れを示した図である。移行元サーバ101には、データエクスポーター201、移行元文書管理アプリケーション202、蓄積部203が存在している。
【0014】
蓄積部203はフォルダや文書を始め、文書管理におけるさまざまな情報を蓄積している。移行元文書管理アプリケーション202は蓄積部203の情報に対し、文書の登録、削除、閲覧、取得、検索といった処理を行う。データエクスポーター201は蓄積部203に格納されているデータを抽出するアプリケーションであり、抽出したデータを一時置き場207に保存する。一時置き場207は移行元サーバ101内の記憶装置内でも良いし、移行先サーバ102内の記憶装置内でも良く、或いは別のPCやUSBメモリ、CD、DVD等のメディア上に配置されても良い。
【0015】
移行先サーバ102には、データインポーター204、移行先文書管理アプリケーション205、蓄積部206が存在している。移行先文書管理アプリケーション205と蓄積部206の役割は、それぞれ移行元文書管理アプリケーション202と蓄積部203と同じである。データインポーター204は、一時置き場207のデータを蓄積部206へ登録するためのアプリケーションである。
【0016】
尚、文書管理アプリケーション202、及び205と蓄積部203、及び206は、別のPCに存在していても構わない。同様にデータエクスポーター201とデータインポーター204も蓄積部203、及び206とは別のPCに存在していても構わない。
【0017】
図3は、データエクスポーター201のソフトウェア構成の一例を示した図である。尚、データエクスポーター201は、移行元サーバ101のCPU上で動作するプログラムである。
【0018】
UI部301は、ユーザへ必要な情報を表示するとともに、ユーザからの入力を受け付ける。ログ出力部302は、データエクスポーター201の動作結果、或いは動作状況のログを出力する。アクセス権処理部303は、蓄積部203に存在するアクセス権情報を取得する。このとき、あるフォルダのアクセス権の継承設定が「親の権限を継承」に設定されている場合、「独自の権限を設定」に変更した上、親フォルダに設定されているアクセス権を該フォルダに設定する。尚、アクセス権情報の詳細については、図5を用いて後述する。
【0019】
データエクスポート部304は、蓄積部203に存在する移行対象のデータを一時置き場207にすべて抽出する。また必要に応じて文書の形式を変換するなどの処理も行うが、本実施例では説明は省略する。プリチェック部305は、実際にデータをエクスポートする前に、データが移行先文書管理アプリケーション205へ移行可能かどうかを判定する。例えば、文書数や文書サイズ、フォルダの階層数などが、移行先文書管理アプリケーション205の上限を超えないかどうか判定する。DBアクセス部306は、蓄積部203へのアクセスを行い、データの読み書きを行う。
【0020】
図4は、データインポーター204のソフトウェア構成の一例を示した図である。尚、データインポーター204は、移行先サーバ102のCPU上で動作するプログラムである。
【0021】
UI部401は、ユーザへ必要な情報を表示するとともに、ユーザからの入力を受け付ける。ログ出力部402は、データインポーター204の動作結果、或いは動作状況ログを出力する。アクセス権処理部403は、一時置き場207にあるアクセス権情報を蓄積部206へ登録する。このとき、あるフォルダのアクセス権が、親フォルダのアクセス権と同じである場合、アクセス権の継承設定を「親のアクセス権を継承」に変更する。
【0022】
データインポート部404は、一時置き場207にある移行対象のデータを蓄積部206へ登録する。制限チェック部405は、一時置き場207にある移行対象のデータが、移行先文書管理アプリケーション205の制限に該当していないかチェックする。例えば文書数や文書サイズ、フォルダの階層数などが例として挙げられる。本実施例では特に、フォルダの階層数についてチェックする。すなわち制限チェック部405は、移行先文書管理アプリケーション205のフォルダ階層の上限を超える階層が、一時置き場207に含まれているかどうか判断する。含まれている場合は、データインポート部404は階層の上限を超える箇所のフォルダを上位階層へ移動する。そして、元々つながった階層であることが分かるようにリンク情報を設定する。
【0023】
DBアクセス部406は、蓄積部206へのアクセスを行い、データの読み書きを行う。尚、図示はしていないが、データインポーター204内にもプリチェック部が存在していても良い。データインポーター204内にプリチェック部が存在した場合、その役割はプリチェック部305と同等であり、インポートする前に動作が実行される。
【0024】
図5は、アクセス権情報を管理するテーブルの一例を示した図である。501はアクセス権管理テーブルであり、蓄積部203、206に保存されている。502の列は、アクセス権が設定される対象のフォルダに関する情報を保持する。本実施例ではパス形式で記録しているが、階層構造が分かれば何でも良い。
【0025】
503の列は継承設定であり、親のアクセス権を継承するか否かに関する情報を保持する。アクセス権を継承する場合は親フォルダと同じアクセス権が該フォルダに設定される。親とは基本的に自分を包含する一つ上の階層を指す。504の列はアクセス権であり、ユーザ、或いはグループが、フォルダに対して有する権限に関する情報を保持する。権限は例えば削除権や編集権、閲覧権といった種類が考えられる。503で「親の権限を継承」が設定されている場合、504は設定されない。
【0026】
図6は、データエクスポーター201のUIの一例を示した図であり、601はデータエクスポーター201のUIである。UI601はスタンドアロンアプリケーションとしてOS上で実行されても良いし、Webブラウザ上で実行されても良く、実行形態は問わない。
【0027】
602は、移行元文書管理アプリケーション202におけるエクスポート対象のデータや、エクスポート先を表示するエリアである。エクスポート対象のデータの単位は任意であるが、フォルダよりも上位の階層(例えばライブラリーとか、キャビネットなどと呼ばれる)が登録されても良い。エクスポート先は一時置き場207のパスである。また上記以外にエクスポート対象のデータにおける文書数やフォルダ数を表示しても良いし、処理済み文書数や実行時間など処理中の情報を表示しても良い。また上記エクスポート対象のデータとエクスポート先は複数登録されても良い。
【0028】
603は、処理中の状況を表示するエリアである。602に複数のエクスポート対象のデータとエクスポート先が登録されている場合は、その合計の値が表示される。604は、エクスポート対象のデータの場所を設定するためのボタンである。605は、エクスポートデータの保存先を設定するためのボタンである。606は、実際にデータをエクスポートする前のプリチェックを実行するためのボタンである。607は、データエクスポートを実行するためのボタンである。尚、ここで説明したUI601は一例であり、必ずしもすべての要素が必要というわけではないし、逆にユーザが便利に使用するための要素が追加されていても構わない。
【0029】
図7は、データインポーター204のUIの一例を示した図であり、701はデータインポーター204のUIである。UI701は、スタンドアロンアプリケーションとしてOS上で実行されても良いし、Webブラウザ上で実行されても良く、実行形態は問わない。
【0030】
702は、移行先文書管理アプリケーション205におけるインポート先の場所や、インポートするデータの保存場所を表示するエリアである。インポートするデータの保存場所とはすなわち、一時置き場207のパスである。データエクスポーターのUI601と同様、上記以外に文書数やフォルダ数を表示しても良いし、処理済み文書数や実行時間など処理中の情報を表示しても良い。また上記インポート先の場所とインポートするデータの保存場所は複数登録されても良い。
【0031】
703は処理中の状況を表示するエリアである。702に複数のインポート先の場所とインポートするデータの保存場所が登録されている場合は、その合計の値が表示される。704はインポート先の場所を設定するためのボタンである。705はインポートデータの保存場所を設定するためのボタンである。706は実際にデータをインポートする前のプリチェックを実行するためのボタンである。707はデータインポートを実行するためのボタンである。尚、データエクスポーターのUI601と同様、UI701は図7の構成に限定されるものっではない。
【0032】
図8はプリチェック部305の処理の結果ログのうち、フォルダ階層の上限に引っ掛かった場合に出力されるログの一例を示した図である。図8にしめされるログは、ログ出力部302により出力される。
【0033】
ログには、蓄積部203のフォルダ階層において、移行先文書管理アプリケーション205のフォルダ階層の上限を超える階層が存在する場合、階層を分割した結果が出力される。図8の例では、分割後に上位に位置するフォルダのパスと、その直下のフォルダ一覧を表示されている。上限を超える階層が複数存在する場合はすべてのパスが出力される。また分割後の下位のパスが再度上限を超える場合は、下位のパスを対象に再帰的にログが出力される。尚、図示はしていないが、データインポーター204のプリチェック結果ログも基本的に同様となる。また実際にインポートした後の結果ログも内容はほぼ同様となる。
【0034】
図9はデータエクスポーター201のプリチェック部305によるプリチェック処理の流れを示したフローチャートである。尚、本実施例ではプリチェックのうち、フォルダ階層の上限に関する処理に限定して説明する。また、ここで説明するプリチェック処理は、UI601のボタン606が押されることに応じて行われる。そして、プリチェック処理の対象となるのは、エリア602にエクスポート対象として登録されているデータである。
【0035】
プリチェック部305は、まず移行先文書管理アプリケーション205の制限値を取得する(S901)。この制限値は、データエクスポーター201に予め登録されていても良いし、移行先文書管理アプリケーション205へ問い合わせるようにしても良い。次にプリチェック部305は、DBアクセス部306を介して蓄積部203から移行対象のフォルダ(移行対象フォルダ)を取得する(S902)。取得するフォルダは移行対象範囲内において、最下層のフォルダに限定しても良い。
【0036】
次にプリチェック部305は、S902で取得したフォルダのパスが、S901で取得したフォルダ階層の上限値を超えていないかどうかチェックする(S903)。S903で上限を超えている場合(S904)、プリチェック部305は、S902のフォルダパスを一時記憶装置に記録する(S905)。このときフォルダパスのうち、上限を超えない範囲の上位階層と、その階層下のサブフォルダについて記録しても良い。次にプリチェック部305は、すべてのフォルダをチェックしたと判断したら(S906)、S905で記録した内容を出力する(S907)。出力は図8に示したようなログでも良いし、UI601上で表示しても良い。
【0037】
図10は、データエクスポーター201におけるデータエクスポート時の処理の流れを示したフローチャートである。本実施例ではフォルダのエクスポートとアクセス権の抽出処理について記載し、それ以外の処理については省略する。また、ここで説明するエクスポート処理は、UI601のボタン607が押されることに応じて行われる。
【0038】
データエクスポート部304は、DBアクセス部306を介して蓄積部203からフォルダを取得する(S1001)。アクセス権処理部303は、S1001で取得したフォルダに設定されているアクセス権の継承設定を調べる(S1002)。継承設定が「親の権限を継承」である場合は(S1003)、アクセス権処理部303はS1001で取得したフォルダの親フォルダのアクセス権を解析する(S1004)。
【0039】
そしてアクセス権処理部303は、S1001で取得したフォルダに対して、その継承設定を「独自の権限を設定」に変更し、S1004で取得した親フォルダと同じアクセス権を設定する(S1005)。このとき実際に蓄積部203のアクセス権情報を書きかえるわけではなく、移行情報として抽出するアクセス権情報を変更する点に注意する。そしてアクセス権処理部303は、S1005で書き変えたアクセス権を一時記憶領域に記録する(S1006)。S1003でアクセス権の継承設定が「独自の権限を設定」の場合、アクセス権処理部303は、そのままアクセス権を一時記憶領域に記録する(S1006)。
【0040】
データエクスポート部304は、S1001で取得したフォルダを一時置き場207へ保存する(S1007)。データエクスポート部304は、移行対象のすべてのフォルダをチェックしたら(S1008)、ログ出力部302は一時記憶領域に保存したすべてのフォルダのアクセス権情報をファイルに出力する(S1009)。このときの形式はCSV形式やXML形式などが考えられるが、データインポーター204が理解できれば形式は問わない。ファイルは一時置き場207に保存される。
【0041】
尚、アクセス権情報はフォルダごとにファイルに書き出されても良い。またアクセス権処理はフォルダや文書のエクスポート処理とは別に実行される構成であっても良い。
【0042】
図11は、データインポーター204におけるデータインポートの流れを示したフローチャートである。本実施例ではフォルダのインポートとアクセス権の設定に関する処理について記載し、それ以外の処理については省略する。また制限チェック部405の処理はフォルダ階層数のチェックのみ説明する。また、ここで説明するインポート処理は、UI701のボタン707が押されることに応じて行われる。
【0043】
データインポート部404は、一時置き場207からフォルダを取得する(S1101)。そして制限チェック部405は、インポートするフォルダが、階層数の上限を超えないかどうかチェックし(S1102)、超える場合はフォルダを、階層数の上限を超えない階層へインポートするためのリンク情報を作成する(S1103)。リンク情報は本来フォルダをインポートするはずだったフォルダへ格納される。リンク情報の中身は、移行前とは異なる階層へインポートされる下位のフォルダの格納場所である。
【0044】
そしてデータインポート部404は、DBアクセス部406を介してフォルダをインポートする(S1104)。インポート先は、階層数の上限をクリアするために有効な場所であればどこでも良いがなるべく浅い階層が望ましい。S1102で上限を超えないと判断した場合、データインポート部404は、フォルダをそのまま、移行前の階層と同じになるようにインポートする(S1105)。
【0045】
次にアクセス権処理部403は、一時置き場207にあるアクセス権情報ファイルにアクセスし、S1101で取得したフォルダに関するアクセス権情報を取得する(S1106)。アクセス権処理部403は、S1104、またはS1105でインポートしたフォルダの、親フォルダのアクセス権を解析する(S1107)。このとき親フォルダとは、蓄積部206における親フォルダであり、すなわち移行後のフォルダ階層が対象となる点に注意する。
【0046】
そしてアクセス権処理部403は、S1106で取得したアクセス権と、S1107で取得したアクセス権を比較し(S1108)、等しければS1106で取得したアクセス権の継承設定を「親の権限を継承」に変更する(S1109)。そしてアクセス権処理部は、DBアクセス部406を介して、フォルダにアクセス権を設定する(S1110)。一時置き場207に存在するすべてのフォルダに対して処理が完了したら(S1111)、処理を終了する。尚、アクセス権処理は、フォルダや文書のインポート処理がすべて行われた後に、実行されてもよい。
【0047】
図12は、データの移行とアクセス権の設定のされ方の一例を示した図である。図12(a)は移行前の蓄積部203に格納されているフォルダ階層とアクセス権の例である。1201はフォルダであり、フォルダAからフォルダGまで存在する。フォルダBの親はフォルダAである。1202はアクセス権の継承設定であり、「独自」は「独自の権限を設定」、「継承」は「親の権限を継承」を表す。1203はアクセス権である。
【0048】
図12(b)は蓄積部203のデータがエクスポートされ、一時置き場207に格納された状態を示した例である。図12(a)で「継承」に設定されたアクセス権はすべて「独自」に変換される。尚、実際にフォルダに対してアクセス権が設定されているわけではなく、アクセス権はアクセス権情報として別途管理されている。
【0049】
図12(c)は移行後の蓄積部206に格納されているフォルダ階層とアクセス権の例である。この例では、フォルダE以降は階層の上限を超えたと仮定し、フォルダE以下をフォルダA下へ移動している。アクセス権に関しては、親フォルダと同じアクセス権のフォルダの継承設定は「継承」に変更される。図12(a)でフォルダEの継承設定は「継承」だが、フォルダEがフォルダAの下へ移動されたことで、図12(c)のフォルダEの継承設定は「独自」となっている。
【実施例2】
【0050】
本発明に係る第二の実施例について図13及び図14に基づき説明する。実施例2では、実施例1と比較し、エクスポート時、及びインポート時の処理が異なるため、その部分についてのみ説明し、同一な箇所については説明を省略する。
【0051】
図13はデータエクスポーター201におけるデータエクスポート時の処理の流れを示したフローチャートである。S1301からS1303が追加になった以外は図10と同一であるため、S1301からS1303について説明する。
【0052】
アクセス権処理部303はS1001で取得したフォルダの親フォルダのアクセス権を調べる(S1301)。次にアクセス権処理部303は、S1001で取得したフォルダのアクセス権と、S1301で取得したアクセス権が同一である場合(S1302)、S1001で取得したフォルダに対して印を付ける(S1303)。印とは例えば、S1009でエクスポートするアクセス権情報において列を1つ追加し、フォルダ各々に対してブール型の値を付与するなどが考えられる。
【0053】
図14はデータインポーター204におけるデータインポートの流れを示したフローチャートである。S1401が追加になった以外は図11と同一であるため、S1401についてのみ説明する。
【0054】
S1108においてアクセス権が等しい場合、アクセス権処理部403は、S1101で取得したフォルダのアクセス権情報に印がないかチェックする(S1401)。チェックがある場合はS1109の処理はスキップする。
【0055】
前記記載した処理により、移行前のアクセス権で、親フォルダと同じアクセス権だが継承設定が「独自の権限を設定」になっていたフォルダは、移行後に継承設定が「親の権限を継承」に変更されず、「独自の権限を設定」のままとなる。
【実施例3】
【0056】
本発明における第三の実施例について、図15から図16に基づき説明する。第三実施の形態では、第一実施の形態と比較し、インポート時の処理、及び移行先文書管理アプリケーション205におけるアクセス権の継承設定の種類が異なるため、その部分についてのみ説明する。
【0057】
第三実施の形態では、移行先文書管理アプリケーション205におけるアクセス権の継承設定の種類として、アクセス権の継承先が選択可能な継承設定を用意する。すなわち「独自の権限を設定」、「親の権限を継承」に加え、「●●のアクセス権を継承」という継承設定が加わる。●●には例えばフォルダのパスが入る。この継承設定が付与されたフォルダにユーザからアクセス要求があった場合、移行先文書管理アプリケーション205は、継承設定で指定されたフォルダへアクセス権を確認しにいく。
【0058】
図15はデータインポーター204におけるデータインポートの流れを示したフローチャートである。S1501が追加になった以外は図11と同一であるため、S1501についてのみ説明する。
【0059】
S1104でフォルダをインポート後、アクセス権処理部403はインポートしたフォルダのアクセス権の継承設定を、移行前に親だったフォルダのアクセス権を継承するように設定する。また図11とは異なりその後の処理はスキップして、次のフォルダへ処理を進める。
【0060】
図16はデータ移行後におけるアクセス権の設定のされ方を示した図であり、移行後の蓄積部206に格納されているフォルダ階層とアクセス権の例である。1601はアクセス権の継承設定である。1601では、移行前に親フォルダであったフォルダDのアクセス権を継承する、となっている。
【0061】
前記記載した処理により、例えば図16におけるフォルダDのアクセス権が変更された場合でも、別の階層へ移動してしまったフォルダEは、フォルダDのアクセス権を継承することができる。
【0062】
以上、本発明の実施例について具体例を挙げて説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0063】
303 アクセス権処理部
404 データインポート部
403 アクセス権処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移行元の文書管理アプリケーションから、前記移行元の文書管理アプリケーションとは階層の上限が異なる移行先の文書管理アプリケーションに対して、階層構造のフォルダにて管理されているデータの移行を行うデータ移行システムであって、
前記移行元の文書管理アプリケーションにおける移行対象のフォルダに設定されているアクセス権の継承設定が親フォルダのアクセス権を継承する継承設定である場合に、前記移行対象フォルダの継承設定を、アクセス権を該フォルダで独自に設定する継承設定に設定を変更するとともに、該親フォルダのアクセス権と同様のアクセス権を前記移行対象フォルダに設定する設定手段と、
前記移行対象のフォルダ、該フォルダが包含するデータ及び、該フォルダのアクセス権情報をエクスポートするエクスポート手段と、
前記エクスポート手段によりエクスポートされた、前記移行対象フォルダの階層が、前記移行先の文書管理アプリケーションにおける階層の上限を超えている場合に、上限を超えた階層下のフォルダ及び、該フォルダに包含されるデータを前記移行先の文書管理アプリケーションにおける上限よりも浅い階層にインポートするインポート手段と、
前記アクセス権情報に基づいて解析された、前記インポート手段によりインポートされたフォルダのアクセス権と、該フォルダの親フォルダのアクセス権とが等しい場合に、前記インポート手段によりインポートされたフォルダのアクセス権の継承設定を、親フォルダのアクセス権を継承する継承設定に変更する変更手段とを有することを特徴とするデータ移行システム。
【請求項2】
前記変更手段は、前記インポートされたフォルダが、前記移行元の文書管理アプリケーションにおいて、親フォルダとアクセス権が等しく、かつアクセス権をフォルダで独自に設定する継承設定が設定されていたフォルダである場合には、フォルダのアクセス権と、該フォルダの親フォルダのアクセス権とが等しい場合であっても該フォルダの継承設定を変更しないことを特徴とする請求項1に記載のデータ移行システム。
【請求項3】
移行元の文書管理アプリケーションから、前記移行元の文書管理アプリケーションとは階層の上限が異なる移行先の文書管理アプリケーションに対して、階層構造のフォルダにて管理されているデータの移行を行うデータ移行方法であって、
前記移行元の文書管理アプリケーションにおける移行対象のフォルダに設定されているアクセス権の継承設定が親フォルダのアクセス権を継承する継承設定である場合に、前記移行対象フォルダの継承設定を、アクセス権を該フォルダで独自に設定する継承設定に設定を変更するとともに、該親フォルダのアクセス権と同様のアクセス権を前記移行対象フォルダに設定する設定工程と、
前記移行対象のフォルダ、該フォルダが包含するデータ及び、該フォルダのアクセス権情報をエクスポートするエクスポート工程と、
前記エクスポート工程においてエクスポートされた、前記移行対象フォルダの階層が、前記移行先の文書管理アプリケーションにおける階層の上限を超えている場合に、上限を超えた階層下のフォルダ及び、該フォルダに包含されるデータを前記移行先の文書管理アプリケーションにおける上限よりも浅い階層にインポートするインポート工程と、
前記アクセス権情報に基づいて解析された、前記インポート工程においてインポートされたフォルダのアクセス権と、該フォルダの親フォルダのアクセス権とが等しい場合に、前記インポート工程においてインポートされたフォルダのアクセス権の継承設定を、親フォルダのアクセス権を継承する継承設定に変更する変更工程とを有することを特徴とするデータ移行方法。
【請求項4】
前記変更工程では、前記インポートされたフォルダが、前記移行元の文書管理アプリケーションにおいて、親フォルダとアクセス権が等しく、かつアクセス権をフォルダで独自に設定する継承設定が設定されていたフォルダである場合には、フォルダのアクセス権と、該フォルダの親フォルダのアクセス権とが等しい場合であっても該フォルダの継承設定を変更しないことを特徴とする請求項3に記載のデータ移行方法。
【請求項5】
請求項3または4いずれかに記載のデータ移行方法の各工程をコンピュータが実行するためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−93911(P2012−93911A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239982(P2010−239982)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】