説明

データ管理システム

【課題】生データと複数の項目からなる付帯情報とからなる収集データをデータ管理装置において記憶、管理するとともに、画像再構成のために収集データを要求した医用画像診断装置に適合した収集データを送信することが可能なデータ管理システムを提供する。
【解決手段】被検体内部の情報を収集し、収集したデータを基に画像を再構成する前に自らが再構成可能な収集データであるかを判断した上で画像の再構成を行う医用画像診断装置2と、医用画像診断装置2から送信される収集データを保存、管理するとともに、収集データを要求する医用画像診断装置へ収集データを送信するデータ管理装置3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像診断装置が画像を再構成する際に必要な被検体内部の情報を収集して得られたデータを保存、検索することが可能なデータ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在医用画像診断装置としては例えば、X線診断装置やCT(computed tomography:コンピュータ断層撮影)装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、ガンマカメラやPET(positron-emission tomography:ポジトロン放出断層撮影)等、様々な医用画像診断装置が存在し、臨床の情報として医師等に有用な画像を提供している。特に近年では、各医用画像診断装置の進歩に加えて、画像処理技術の向上やコンピュータ動作の高速化、解像度の向上により、人体の内部構造をより正確に、種々の態様によって画像化することが可能となっている。
【0003】
但し、これに伴ってこの収集された画像情報そのもの(以下、「生データ」という。)の容量は膨大となる。さらに医用画像診断装置には、その他にも被検体の情報等の情報も記憶されていることも考え合わせると、医用画像診断装置が備える記憶手段ではその容量が足りなくなることも考えられる。そこで、例えば、以下の特許文献1に示すように、医用画像診断装置にこの生データを保存するのではなく、別途データ管理装置を設けて保存することが行われる。
【0004】
また、生データから画像を再構成するには画像処理を行う必要があるが、この画像処理には多くのプロセスが必要になる等、画像処理を行っている途中は医用画像診断装置の他の処理が滞ることも考えられ、その対策として、例えば、上述したデータ管理装置が予め画像の再構成を行い、その再構成された画像を医用画像診断装置に送信することも行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−180785号公報
【特許文献2】特開2006−110071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、特許文献1に挙げられているように、生データを医用画像診断装置とは別のデータ管理装置に記憶させる方法は、医用画像診断装置の記憶容量を他の機能に障害が出るまで一杯にしてしまうことがない点で優れる。
【0007】
しかしながら、医用画像診断装置が画像を再構成するにあたりデータ管理装置から生データを送信してもらう際に、本来その医用画像診断装置では再構成することのできない生データが送信されてくることも考えられる。このような再構成不可能な生データを受信し、この生データに基づいて再構成の処理を行った場合、例えばハングアップ等の状態となり、医療機関の業務に支障を来すだけではなく、その医用画像診断装置の故障の原因ともなりかねない。
【0008】
また、特許文献2に記載するように、データ管理装置において画像の再構成を行い、その画像を医用画像診断装置へ送信する場合には、医用画像診断装置を使用する医師等が意図しない画像が送信されてくる可能性がある。意図しない画像が送信されてきても検査、診察に役立たず、改めて適切な画像を要求しなければならない等、診療が滞ってしまう。これは画像を再構成する方法が複数あることに起因するもので、画像を再構成するにあたっては適切な再構成の指示を与える必要がある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、生データと複数の項目からなる付帯情報とからなる収集データをデータ管理装置において記憶、管理するとともに、画像再構成のために収集データを要求した医用画像診断装置に適合した収集データを送信することが可能なデータ管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、データ管理システムにおいて、被検体内部の情報を収集し、収集したデータを基に画像を再構成する前に自らが再構成可能な収集データであるかを判断した上で画像の再構成を行う医用画像診断装置と、医用画像診断装置から送信される収集データを保存、管理するとともに、収集データを要求する医用画像診断装置へ収集データを送信するデータ管理装置とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ管理システムの全体の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る医用画像診断装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るデータ管理装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における撮影から収集データの記憶までの流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る付帯情報の一例を示した表である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る医用画像診断装置とデータ管理装置とのデータのやりとりを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る医用画像診断装置とデータ管理装置とのデータのやりとりを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る医用画像診断装置とデータ管理装置とのデータのやりとりを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、データ管理システム1の全体の構成を示す構成図である。データ管理システム1では、医用画像診断装置2とデータ管理装置3とがネットワーク4に接続されている。
【0014】
医用画像診断装置2は、医療機関にあり患者である被検体を検査、治療する目的で被検体内部の情報を収集する装置である。この医用画像診断装置2としては、上述したように、例えば、X線診断装置やCT装置、超音波診断装置等を挙げることができる。図1では、3台の医用画像診断装置2がネットワーク4に接続されているが、医用画像診断装置2の数は単数でも複数でも良い。
【0015】
データ管理装置3は、医用画像診断装置2が収集した生データ及び付帯情報を含む収集データを記憶、管理する。このデータ管理装置3についてもネットワーク4に接続される数は単数でも複数でも良い。
【0016】
ネットワーク4は、医用画像診断装置2とデータ管理装置3との間で収集データをやり取りするために接続されるネットワークであり、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)等である。また、ネットワーク4を介して送受信される収集データの規格も、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)等、どのような規格でも構わない。
【0017】
図2は医用画像診断装置2の内部構成を示すブロック図である。医用画像診断装置2は、CPU(Central Processing Unit)2aと、ROM(Read Only Memory)2bと、RAM(Random Access Memory)2c及び入出力インターフェイス2dがバス2eを介して接続されている。入出力インターフェイス2dには、入力手段2fと、表示手段2gと、通信制御手段2hと、記憶手段2iと、リムーバブルディスク2jと、駆動部制御手段2kとが接続されており、駆動部制御手段2kによって医用画像診断装置2の各駆動部2lが制御される。
【0018】
CPU2aは、入力手段2fからの入力信号に基づいてROM2bから医用画像診断装置2を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶手段2iに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU2aは、入力手段2fや入出力インターフェイス2dを介して、図2おいて図示していない外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU2aは、RAM2cや記憶手段2i等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM2cにロードするとともに、RAM2cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、画像の再構成、データの計算または加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0019】
入力手段2fは、医用画像診断装置2の操作者が各種の操作を入力するキーボード、ダイヤル等の入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成しバス2eを介してCPU2aに送信される。表示手段2gは、例えば、液晶ディスプレイであり、例えばCPU2aからバス2eを介して出力信号を受信し、CPU2aの処理結果等を表示する手段である。
【0020】
通信制御手段2hは、LANカードやモデム等の手段であり、医用画像診断装置2をインターネットやLAN等の通信ネットワーク4に接続することを可能とする手段である。通信制御手段2hを介して通信ネットワーク4と送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス2d及びバス2eを介してCPU2aに送受信される。
【0021】
記憶手段2iは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU2aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。また、医用画像診断装置2固有の機器情報や被検体の患者情報、画像を再構成する場合の各種条件を示すソフト情報等も記憶されている。
【0022】
リムーバブルディスク2jは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス2d及びバス2eを介してCPU2aに送受信される。
【0023】
なお、本発明の実施の形態における医用画像診断装置2における画像の再構成処理については以下、特に説明を加えないが、医師等が設定した各種条件に基づき、記憶手段2iに記憶され、或いはリムーバブルディスク2jに格納されている画像再構成プログラムが医用画像診断装置2のCPU2aに読み込まれ実行されることにより行われる。
【0024】
データ管理装置3は、図3に示すように、医用画像診断装置2から送信された収集データ等を受信する受信手段3aと、医用画像診断装置2から送信された要求を選別する要求選別手段3bと、送信された収集データから付帯情報のみを抽出する付帯情報抽出手段3cと、抽出された付帯情報を記憶するデータベース3dと、収集データを記憶する記憶手段3eと、医用画像診断装置2からの要求を判断する要求判断手段3fと、その要求に基づいて適切な収集データを検索する検索手段3gと、検索された収集データのリストを作成するリスト作成手段3hと、医用画像診断装置2へデータを送信する送信手段3iとから構成される。
【0025】
以下、データ管理装置3内部の各手段の働きを医用画像診断装置2とのデータのやりとりを示すフローチャート等の図面(図4ないし図7)を使用しつつ説明する。
【0026】
医用画像診断装置2からデータ管理装置3へ送信される要求(データ)には、場面に分けて大きく2種類ある。一方は、医用画像診断装置2が被検体内部の情報収集を行い、それによって得られた収集データを記憶、管理させるためにデータ管理装置3へ送信する収集データ格納要求である。他方は、医用画像診断装置2が収集データを基に画像の再構成を行うために必要な収集データの送信をデータ管理装置3へ依頼する収集データ取得要求である。
【0027】
図4は、医用画像診断装置2が被検体の撮影を行い、その収集データの記憶、管理をデータ管理装置3に要求する流れを示すフローチャートである。
【0028】
まず、医用画像診断装置2は、被検体内部の情報収集を行う(ST1)。このフローチャートでは、被検体の内部情報の収集の一態様として「撮影」と記載している。この撮影を行うと生データが取得され(ST2)、この生データに例えば、患者情報等の付帯情報が付与される(ST3)。このようにすることで、生データにいわゆるインデックスが付くことになり、データ管理装置3内で記憶、管理した後、医用画像診断装置2からの要求に従って検索を行う際の目印となる。
【0029】
付帯情報の例としては、図5の表に示すような情報を挙げることができる。ここでは、付帯情報を例えば、「患者情報」、「機器情報」、「ソフト情報」の大きく3つのカテゴリーに分けている。「患者情報」は、例えば、被検体の氏名、患者ID、撮影した部位等である。また、「機器情報」としては、例えば、撮影を行った医用画像診断装置2のメーカー名称、機種名称、例えばCT装置であればガントリの口径等を挙げることができる。「ソフト情報」は、被検体の内部情報を収集する際の諸条件等を表わす情報であり、例えば、検出器の列数、スキャンの方法、撮影の条件、画像再構成の条件等である。なお、ここに挙げたカテゴリー、項目については、その取捨選択、或いは項目をどのカテゴリーに入れるか、等については任意に定めることができる。
【0030】
医用画像診断装置2では、被検体内部の情報収集によって得られた生データに付帯情報を添付して収集データとし、収集データを格納(保存、記憶)して欲しい旨の要求(収集データ格納要求)を付けて、データ管理装置3へ送信する(ST4)。
【0031】
医用画像診断装置2から送信された要求を受信した(ST5)データ管理装置3では、まず、要求選別手段3bにおいて、この要求が収集データ格納要求であるか、収集データ取得要求であるかを選別する(ST6)。ここでは、収集データ格納要求のついた収集データが送られてきていることから、この収集データは付帯情報抽出手段3cへ送られる。
【0032】
付帯情報抽出手段3cでは、送られてきた収集データから付帯情報のみを抽出する(ST7)。医用画像診断装置2からのデータ取得要求に基づいて検索をする際に、データ容量の大きな生データを含んだまま検索手段3gが検索を行うと時間が掛かる等を考慮して、付帯情報のみを抽出してデータベース3dに記憶する(ST8)。但し、データ管理装置3ではそもそも医用画像診断装置2から送信されてきた収集データを保存するための装置であることから、付帯情報抽出手段3cで付帯情報のみを抽出するものの、生データと付帯情報からなる収集データは記憶手段3eに記憶される(ST8)。
【0033】
このようにすることで、医用画像診断装置2で収集された収集データは、データ管理装置3に記憶され、管理される。
【0034】
次に、医用画像診断装置2が収集データを基に診断、治療のために画像を再構成する際のデータ管理装置3内部の各手段の働きと医用画像診断装置2とのデータのやりとりを説明する。
【0035】
図6は、医用画像診断装置2において、既に再構成を行う画像が特定されている場合の医用画像診断装置2とデータ管理装置3とのデータのやりとりを示すフローチャートである。
【0036】
まず、医用画像診断装置2側で、医師等が入力手段2fを用いて再構成したい画像のデータ(取得データ)の条件を入力する(ST21)。ここにいう条件とは、例えば、図5に示す患者氏名、撮影部位等の患者情報である。もちろん機器情報やソフト情報等も細かく設定することは可能である。取得データの条件が入力されたらデータ取得要求を付した取得データの条件を通信制御手段2h、ネットワーク4を介してデータ管理装置3へ送信する(ST22)。
【0037】
データ管理装置3では医用画像診断装置2から送信された取得データの条件を受信手段3aで受信し(ST23)、要求選別手段3bにおいて医用画像診断装置2からどのような要求が送信されたか選別する(ST24)。ここでは上述したように、画像を再構成するために必要となる収集データの取得を目的とした情報の送信を求める要求であることから、要求選別手段3bはデータ取得要求であると判断して、さらに要求判断手段3fに要求を送る。
【0038】
この要求判断手段3fにおいては、医用画像診断装置2から送信されたデータ取得要求が、既に特定された収集データを要求するデータ取得要求であるか、医師等が入力した条件に合致する収集データの有無を問い合わせるデータ問い合わせ要求であるかを判断する。ここでは、既に再構成を行う画像が特定されている場合であるので、要求判断手段3fはデータ取得要求であると判断する。
【0039】
この判断結果を検索手段3gに送り、検索手段3gでは記憶手段3eにアクセスして取得データの条件に合致した収集データを検索する(ST25)。検索手段3gでは、取得データの条件が収集データ内の付帯情報として記憶されている各項目に合致するか否かを判断して該当する収集データを抽出、取得する(ST26)。抽出された収集データを送信手段3iを介して医用画像診断装置2へ送信する(ST27)。
【0040】
医用画像診断装置2では、画像の再構成を行うために必要な収集データを受信し(ST28)、この収集データの生データから画像再構成エンジンを用いて医用画像を再構成する(ST29)。
【0041】
図7は、医用画像診断装置2において再構成する画像を特定せずにデータ管理装置3へ収集データの送信を要求する場合の流れを示したフローチャートである。この場合は、データ管理装置3への収集データの要求を行う際の条件もあまり詳細には入力されないことが多いことからデータ管理装置3にて検索されて抽出される収集データは多くの場合複数となる。
【0042】
医師等は、医用画像診断装置2において再構成を望む収集データ(取得データ)の条件を入力する(ST41)。取得データの条件が入力されたら、医用画像診断装置2はデータ取得要求を付した取得データの条件を通信制御手段2h、ネットワーク4を介してデータ管理装置3へ送信する(ST42)。
【0043】
データ管理装置3では、医用画像診断装置2から送信された取得データの条件を受信し(ST43)、要求選別手段3bにおいて送信されてきた要求を選別する(ST44)。ここでは、データ取得要求であると判断され、さらに要求判断手段3fにこの要求が送られる。要求判断手段3fでは、取得データの条件のみが送信されていることから、データ管理装置3内に指定した取得データの条件に合致する収集データとしてどのような収集データが記憶されているかを問い合わせする要求(データ問い合わせ要求)であると判断して、その判断結果を検索手段3gに送る。
【0044】
検索手段3gでは、取得データの条件に合致する収集データの有無をデータベース3dに問い合わせて検索し(ST45)、該当する収集データを全て抽出する(ST46)。但し上述したように、ここで説明している状況においては、データ管理装置3への収集データの要求を行う際の条件もあまり詳細には入力されず、例えば、患者情報のみが入力されることが多いと考えられる。特に、例えば、撮影部位のみが条件として入力された場合は、その収集データは膨大な数に上る。
【0045】
そこで、抽出した収集データをデータ問い合わせ要求を送信してきた医用画像診断装置2において再構成することができる収集データであるか否かが検索手段3gにおいて付帯情報を基に判断される(ST47)。この判断を基にリスト作成の要否がさらに判断される。このように医用画像診断装置2において再構成することができるか否かを判断した上で送信しないと、上述したように、医用画像診断装置2が例えば、ハングアップ等の状態となり医療機関の業務に支障を来すだけではなく、その医用画像診断装置2の故障の原因ともなりかねないからである。
【0046】
抽出された収集データがいずれも付帯情報に合致しない場合には(ST47のN)、これらの収集データはデータ問い合わせ要求を送信してきた医用画像診断装置2において再構成することができないデータであるので、抽出された収集データのリストは作成されない(ST48)。なお、ここでリスト不作成の後については、フローチャートに記載していないが、この後は、例えば、医用画像診断装置2へはリストを送信しない、或いは、リストは送信しないもののリストが作成されなかった旨、医用画像診断装置2に対して報知する等の対応を取ることができる。
【0047】
抽出された収集データの中にデータ問い合わせ要求を送信してきた医用画像診断装置2において再構成することができる収集データが含まれていた場合は、それらの収集データのリストを作成し、医用画像診断装置2へ送信する(ST49、ST50)。検索手段3gで既に問い合わせをした医用画像診断装置2が該当する収集データを再構成可能か否かを判断しているので、これらの収集データを医用画像診断装置2に送信してもハングアップ等の状態は起きない。また、収集データをいきなり送信するのではなく、作成したリストを予め送信することで送信するデータ容量が少なくて済むとともに、医用画像診断装置2側にさらに画像再構成に必要な収集データを選択させることができる。
【0048】
医用画像診断装置2は、データ管理装置3が送信されたデータ問い合わせ要求に従って作成したリストを受信し(ST51)、そのリストの中から必要な収集データを選択する(ST52)。この選択は、例えば、該当する収集データにチェックを付ける、表示を反転させる等によって行うことができる。選択が行われた後、選択された収集データのデータ取得要求をデータ管理装置3へ送信する(ST53)。
【0049】
データ管理装置3では医用画像診断装置2から送信されたデータ取得要求を受信手段3aで受信し(ST54)、要求選別手段3bにおいて選別する(ST55)。ここでは画像を再構成するために必要となるある特定の収集データの取得を目的とした要求であることから、要求選別手段3bはデータ取得要求であると判断して、さらに要求判断手段3fに要求を送る。
【0050】
要求判断手段3fにおいては、送信されたデータ取得要求をさらに検索手段3gに送り、検索手段3gでは記憶手段3eにアクセスして収集データを検索する(ST56)。検索手段3gでは、指定された収集データの付帯情報が記憶手段3eに記憶されている収集データ内の付帯情報と合致する収集データ抽出、取得する(ST57)。リストは付帯情報のみが記憶されているデータベース3dを基にして作成されているため、ここではこの付帯情報を目印にして記憶手段3eから収集データを検索する。そして抽出された収集データを送信手段3iを介して医用画像診断装置2へ送信する(ST58)。
【0051】
医用画像診断装置2では、画像の再構成を行うために必要な収集データを受信し(ST59)、この収集データの生データから医用画像を再構成する(ST60)。
【0052】
このようにデータ管理装置において収集データを管理するとともに、記憶手段内に記憶されている収集データの中から収集データの取得を求める医用画像診断装置が画像再構成可能な収集データのみを選択して送信することにより、医用画像診断装置を使用した業務に支障が出ることを防止できるデータ管理システムを提供することができる。
【0053】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0054】
第2の実施の形態におけるデータ管理システムにおいては、医用画像診断装置において画像再構成可能な収集データを選択する作業をデータ管理装置ではなく、その画像再構成を行う医用画像診断装置が行う点に特徴がある。
【0055】
すなわち、第2の実施の形態では、医用画像診断装置2が再構成する画像を選択し再構成を行うまでの流れは、図8のフローチャートに示すようになされる。
【0056】
図8のフローチャートにおいて、医用画像診断装置2において取得データの条件を入力してからデータ管理装置3の検索手段3gにおいて取得データの条件に合致する収集データを全て抽出するまでは第1の実施の形態において説明した場合と同じである(ST41ないしST46)。
【0057】
ここでは、抽出された収集データの付帯情報に基づいてリストを作成する(ST71)。但し、リストを作成する前にデータ問い合わせ要求を送信してきた医用画像診断装置2において画像再構成を行うことができるか否かのチェックは行われず(図7のステップ47参照)、抽出された収集データの全てをリストに表示する。そして、このように作成されたリストを医用画像診断装置2へ送信する(ST72)。
【0058】
データ管理装置3から送信されたリストを受信した医用画像診断装置2は(ST73)、送信されたリストに挙げられている収集データの中から画像再構成に必要な収集データを選択する(ST74)。ただ、ここで収集データを選択するにあたっては、収集データの付帯情報に含まれている機器情報等の項目を基準としてその医用画像診断装置2において画像の再構成を行うことができるか否かが判断される。収集データを選択する際には、例えば、リスト受信時に予めこの判断がなされて該当する収集データを選択することができない旨表示しても良く、或いは、医師等が収集データを選択した時にその選択はできないことを報知するようにしても良い。このようにして選択された収集データのデータ取得要求をデータ管理装置3へ送信する(ST75)。
【0059】
この後、送信されたデータ取得要求に基づいてデータ管理装置3が該当する収集データを検索、抽出し、医用画像診断装置2へ送信し、医用画像診断装置2がこの送信された収集データを基に画像を再構成する流れは上述の通りである(ST54ないしST60)。
【0060】
このようにデータ管理装置において収集データを管理するとともに、医用画像診断装置からの要求に基づいて検索された収集データのリストを基に、医用画像診断装置が予め画像再構成を行う前に画像再構成可能な収集データを選択することができるようにすることで、画像再構成できない収集データを基に画像再構成を行い、医用画像診断装置2に障害が生ずることを防止することのできるデータ管理システムを提供することができる。
【0061】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 データ管理システム
2 医用画像診断装置
3 データ管理装置
4 ネットワーク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内部の情報を収集し、収集したデータを基に画像を再構成する前に自らが再構成可能な収集データであるかを判断した上で画像の再構成を行う医用画像診断装置と、
前記医用画像診断装置から送信される前記収集データを保存、管理するとともに、前記収集データを要求する医用画像診断装置へ前記収集データを送信するデータ管理装置と、
を備えることを特徴とするデータ管理システム。
【請求項2】
前記医用画像診断装置から送信される前記収集データは、被検体内部から収集したデータである生データと前記生データに付帯する付帯情報から構成されることを特徴とする請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記データ管理装置は、前記収集データから前記付帯情報のみを抽出する付帯情報抽出手段と、前記付帯情報抽出手段によって抽出された前記付帯情報を記憶するデータベースと、前記収集データを保存する記憶手段と、前記医用画像診断装置からの収集データ取得要求に基づいて前記データベースまたは前記記憶手段から該当する収集データを検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された収集データをリストにするリスト作成手段と、から構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記検索手段が、前記付帯情報のうち、検出器の列数、スキャンの方法、撮影の条件、画像再構成の条件の少なくともいずれか1つの情報に基づいて前記収集データ取得要求を出した前記医用画像診断装置が画像を再構成することが可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記医用画像診断装置は、前記データ管理装置において収集された前記収集データのリストに基づいて画像再構成に必要な収集データを選択するとともに、前記データ管理装置に対して選択した前記収集データのデータ取得要求を送信することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のデータ管理システム。
【請求項6】
前記医用画像診断装置が前記収集データのリストに基づいて画像再構成に必要な収集データを選択する際に、前記医用画像診断装置において画像再構成が不可能な前記収集データについてはその旨表示することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のデータ管理システム。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−179367(P2012−179367A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87329(P2012−87329)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【分割の表示】特願2007−96435(P2007−96435)の分割
【原出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】