説明

データ自動更新システム及びデータ自動更新方法

【課題】データベースに格納した元データの有効期間の再設定を自動的に行うこと。
【解決手段】価格マスタデータベース101の任意レコードの価格が変更されたとき、変更されたレコードの情報をメモリ上に展開する第1工程と、この展開したレコードの有効期限開始年月日と価格マスタデータベース101のレコードの有効期限開始年月日とが一致するか否かを比較する第2工程と、この第2工程において有効期限開始年月日が一致すると判定したとき、メモリ上に展開したレコードを価格マスタデータベース101に更新登録する第3工程と、第2工程において有効期限開始年月日が一致しないと判定したとき、メモリ上に展開したレコードの開始年月日に所定の日数を加算し、この加算したレコードを価格マスタデータベース101に更新登録する第4工程とを実行するデータ自動更新システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内のデータベースにおいて更新されたデータをネットワークに接続しているクライアントコンピュータ側で閲覧可能にデータ更新を行うデータ自動更新システム及びデータ自動更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データベースとクライアントコンピュータとをネットワーク接続したコンピュータシステムにおいては、データベースにおいてデータ更新がされた場合、クライアントコンピュータ側においても更新されたデータを収集して更新するデータ自動更新システムが実現され、例えば、商品販売を行う店舗の商品価格データベースの価格情報が更新された場合、価格情報を収集する価格提供データベースのクライアントコンピュータが複数店舗の価格情報を収集して更新することが行われている。
【0003】
このような製品価格等の情報を提供する価格提供データベースの管理者は、データの収集項目(例えば、価格)に対して有効期間の開始日と終了日とを定義する必要があり、従来技術においては、前記データの有効期間の開始日と終了日の設定を手作業で修正する必要があった。
【0004】
前記データ自動更新システムに関する技術が記載された文献としては、下記の特許文献1が挙げられ、この特許文献1には、データファイルの更新を定期的にチェックし、更新データファイルを必要としているクライアントに更新データファイルに関する情報を自動的に転送し、クライアントによる更新データファイル取得を容易にするデータ自動更新システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−112803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記の特許文献1に記載された技術は、データファイル及びそれを必要とするクライアントを管理する管理手段と、データファイルの更新の有無を判断する更新判断手段と、更新されたデータファイルに関する所定の情報をクライアントに転送する更新情報配信手段とを設け、データファイルの更新が行われたとき、そのつど更新されたデータファイルを必要としているクライアントに更新されたデータファイルに関する所定の情報を転送することによって、クライアントの更新データファイル入手を支援し、常に最新のデータファイルの利用を可能とするものであるが、新有効期間を設定して追加処理を行うときに元データの有効期間の設定を手作業で修正する必要があるため、入力効率が悪いと共に、元データの有効期間の再設定漏れによる信頼性の低下が発生する可能性があるという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題を解決しようとするものであり、元データの有効期間の再設定を自動的に行うことができるデータ自動更新システム及びデータ自動更新方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、複数のレコードを格納する価格マスタデータベースと、前記レコードの各情報を展開するメモリと、前記価格マスタデータベース及びメモリを制御する制御部とを備え、前記価格マスタデータベースのレコードが、製品毎に一意に付与された識別子と、前記製品の価格設定を開始する有効期限開始年月日と、前記製品の価格設定を終了する有効期限終了年月日と、前記価格が改定されたことを示すメッセージ表示期限であるメッセージ有効期限と、前記価格が改定されたことを示すメッセージの表示期限年月日と、前記製品の価格の各情報とから成り、製品の価格情報提供者が操作する製品情報提供者パーソナルコンピュータと製品価格情報を検索する確認者パーソナルコンピュータとの間でネットワークを介して接続されるデータ自動更新システムであって、前記価格マスタデータベースの任意レコードの価格が前記製品情報提供者パーソナルコンピュータからの操作によって変更されたとき、前記制御部が、前記変更された製品のレコードの情報を前記メモリ上に展開する第1工程と、前記メモリ上に展開したレコードの有効期限開始年月日と前記価格マスタデータベースの前記レコードの有効期限開始年月日とが一致するか否かを比較する第2工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致すると判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第3工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致しないと判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードの開始年月日に所定の日数を加算し、前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程とを実行することを第1の特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記第1の特徴のデータ自動更新システムにおいて、前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程を実行したとき、前記制御部が、前記確認者パーソナルコンピュータに対するメッセージの表示期限年月日に所定の日数を加算する第5工程を実行することを第2の特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、複数のレコードを格納する価格マスタデータベースと、前記レコードの各情報を展開するメモリと、前記価格マスタデータベース及びメモリを制御する制御部とを備え、前記価格マスタデータベースのレコードが、製品毎に一意に付与された識別子と、前記製品の価格設定を開始する有効期限開始年月日と、前記製品の価格設定を終了する有効期限終了年月日と、前記価格が改定されたことを示すメッセージ表示期限であるメッセージ有効期限と、前記価格が改定されたことを示すメッセージの表示期限年月日と、前記製品の価格の各情報とから成り、製品の価格情報提供者が操作する製品情報提供者パーソナルコンピュータと製品価格情報を検索する確認者パーソナルコンピュータとの間でネットワークを介して接続されるコンピュータシステムのデータ自動更新方法であって、前記価格マスタデータベースの任意レコードの価格が前記製品情報提供者パーソナルコンピュータからの操作によって変更されたとき、前記制御部に、前記変更された製品のレコードの情報を前記メモリ上に展開する第1工程と、前記メモリ上に展開したレコードの有効期限開始年月日と前記価格マスタデータベースの前記レコードの有効期限開始年月日とが一致するか否かを比較する第2工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致すると判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第3工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致しないと判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードの開始年月日に所定の日数を加算し、前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程とを実行させることを第3の特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記第3の特徴のデータ自動更新方法において、前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程を実行したとき、前記制御部が、前記確認者パーソナルコンピュータに対するメッセージの表示期限年月日に所定の日数を加算する第5工程を実行することを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるデータ自動更新システム及びデータ自動更新方法は、価格マスタデータベースの任意レコードの価格が変更されたとき、前記変更された製品レコードの情報をメモリ上に展開する第1工程と、この展開したレコードの有効期限開始年月日と価格マスタデータベースのレコードの有効期限開始年月日とが一致するか否かを比較する第2工程と、この第2工程において有効期限開始年月日が一致すると判定したとき、メモリ上に展開したレコードを価格マスタデータベースに更新登録する第3工程と、第2工程において有効期限開始年月日が一致しないと判定したとき、メモリ上に展開したレコードの開始年月日に所定の日数を加算し、この加算したレコードを価格マスタデータベースに更新登録する第4工程とを実行させることによって、元データの有効期間の再設定を自動的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態によるデータ自動更新システムの全体構成を示す図
【図2】本発明の実施形態によるデータ自動更新システムの動作フローを示す図
【図3】本発明の実施形態による価格マスタを示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明によるデータ自動更新システム及びデータ自動更新方法の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態によるデータ自動更新システムは、図1に示す如く、製品価格の情報提供者が操作する製品情報提供者パーソナルコンピュータ(PC)11と、製品価格情報を検索して確認する確認者が操作する確認者パーソナルコンピュータ(PC)10との間にネットワークを介して接続される価格情報提供システム200とから構成され、前記製品情報提供者PC11は、新しい製品価格を追加するための価格データ追加部102と新価格を更新するための価格データ更新部103と前記価格を更新した旨を通知するための価格データ改訂通知部104とをソフトウェアによって搭載し、前記確認者PC10は、価格情報を検索するための価格データ検索部105をソフトウェアによって構築し、検索結果を価格改定情報表示部106を用いてディスプレイに表示する様に構成され、前記価格情報提供システム200は、多数の製品の価格情報をレコードとして記憶する価格マスタデータベース101と前記レコードの各情報を展開するメモリと制御部を含むように構成されている。この価格情報提供システム200は、一般のコンピュータ同様に、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、磁気ディスク装置等の記憶手段、表示部、キーボード等の入出力機器、各種インタフェース機器、基本ソフトウェア(OS:オペレーティングシステム)及び各種ソフトウェアを含むものである。
【0015】
前記価格情報提供システム200の価格マスタデータベース101は、図3に示す如く、製品毎に一意に付与された識別子である製品番号等のID又はIndex Codeに対するデータ部として、製品の価格設定を開始する年月日である有効期限開始年月日と、製品の価格設定を終了する年月日である有効期限終了年月日と、価格が改定されたことを示すメッセージ表示期限であるメッセージ有効期限と、価格が改定されたことを示すメッセージの表示期限年月日と、前記IDに対応する製品名称を示す製品名と、製品の前記有効期限内における価格を示す価格の各欄の情報とからレコードを構成している。
【0016】
この価格マスタデータベース101は、データ部の変更が発生した場合、例えばパッケージA商品の値段が「2010/10/1」以降に価格「11,500円」を「13,000円」へ改定する場合、前記IDをキーとして最新のレコードを呼び出し、開始年月日「2010/10/1」と価格「13,000円」を変更することによって、価格改定後のレコードを追加することができ、更に、元となったレコードの終了年月日を登録したレコードの開始年月日の前日「2010/09/30」に設定することによって価格改定後のレコード追加時と同時に自動更新を行う。また、価格の誤入力等によって価格のみを変更し、有効期間を示す開始年月日の変更がない場合、通常のレコードの更新登録のみを行うように動作し、さらに、メッセージ表示期限のエリアに指定年月日をセットする場合、該当レコードを検索した日付が開始年月日からメッセージ表示期限内であれば「本価格は、yyyy年mm月dd日で改訂されています。」のメッセージを情報検索者の画面へ表示するように動作する。前記yyyy、mm及びddは、開始年月日の年(yyyy)、月(mm)及び日(dd)を示す。
【0017】
さて、このように構成された価格情報提供システム200は、製品の価格変更が生じた場合、主に図2に示す如く、価格提供者が製品情報提供者PC11を用いて価格マスタデータベース101に登録されている製品のIDをキーとして元レコードを検索するステップS01と、この検索した元レコードの各項目情報をメモリ上に展開するステップS02と、この展開した項目情報中の価格及び有効期間の開始年月日を修正するステップS03と、新価格データの有効期間の開始年月日と元データの有効期間の開始年月日を比較するステップS04と、このステップS04において日付が一致したか否か(前記誤入力の訂正か否か)を判定するステップS05と、このステップS05において日付が一致しないと判定(通常の価格変更処理と判定)したとき、メッセージ表示期限の有効期限の開始年月日に30日を加算してセットするステップS06と、このステップS06において日付をセットしたレコードを価格マスタデータベース101に追加するステップS07と、元レコードの有効期間の終了年月日を新価格データの有効期間の開始年月日よりマイナス1日した年月日をセットするステップS09と、価格マスタデータベース101の元レコードを更新するステップS10と、前記ステップS05において日付が一致すると判定(誤入力の訂正処理と判定)したとき、メモリ上のレコードを価格マスタデータベース101へ更新して処理を終了するステップS08とを実行することによって、価格マスタデータベース10上の元データの有効期間の再設定を自動的に行うことができる。
【0018】
前記ステップS03によるメッセージ表示期限の有効期限の開始年月日の再設定を行った場合、本実施形態による価格情報提供システム200は、価格情報が変更となった通知を情報検索者へ行う必要があるため、前記ステップS08及びステップS10において、情報検索者の確認者PC10の価格データ検索部105が新価格データを検索したときにメッセージ表示期限内であれば価格改定があったことを知らせるメッセージを価格改定情報表示部106に表示させるように動作する。
【0019】
このように本実施形態による価格情報提供システム200は、有効期間の変更をトリガーとして、レコード更新だけなのか、追加・更新処理なのかを自動判定することによって、入力効率の向上と元データの有効期間の再設定漏れによる信頼性を確保することができる。また、情報検索者も、過去に価格を検索し、今回の検索で価格が違った場合に、価格改定情報表示部106に前記価格変更を表示するため変更内容のチェックを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0020】
101 価格マスタデータベース、102 価格データ追加部、
103 価格データ更新部、104 価格データ改訂通知部、
105 価格データ検索部、106 価格改定情報表示部、
200 価格情報提供システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレコードを格納する価格マスタデータベースと、前記レコードの各情報を展開するメモリと、前記価格マスタデータベース及びメモリを制御する制御部とを備え、前記価格マスタデータベースのレコードが、製品毎に一意に付与された識別子と、前記製品の価格設定を開始する有効期限開始年月日と、前記製品の価格設定を終了する有効期限終了年月日と、前記価格が改定されたことを示すメッセージ表示期限であるメッセージ有効期限と、前記価格が改定されたことを示すメッセージの表示期限年月日と、前記製品の価格の各情報とから成り、製品の価格情報提供者が操作する製品情報提供者パーソナルコンピュータと製品価格情報を検索する確認者パーソナルコンピュータとの間でネットワークを介して接続されるデータ自動更新システムであって、前記価格マスタデータベースの任意レコードの価格が前記製品情報提供者パーソナルコンピュータからの操作によって変更されたとき、前記制御部が、前記変更された製品のレコードの情報を前記メモリ上に展開する第1工程と、前記メモリ上に展開したレコードの有効期限開始年月日と前記価格マスタデータベースの前記レコードの有効期限開始年月日とが一致するか否かを比較する第2工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致すると判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第3工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致しないと判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードの開始年月日に所定の日数を加算し、前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程とを実行するデータ自動更新システム。
【請求項2】
前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程を実行したとき、前記制御部が、前記確認者パーソナルコンピュータに対するメッセージの表示期限年月日に所定の日数を加算する第5工程を実行する請求項1記載のデータ自動更新システム。
【請求項3】
複数のレコードを格納する価格マスタデータベースと、前記レコードの各情報を展開するメモリと、前記価格マスタデータベース及びメモリを制御する制御部とを備え、前記価格マスタデータベースのレコードが、製品毎に一意に付与された識別子と、前記製品の価格設定を開始する有効期限開始年月日と、前記製品の価格設定を終了する有効期限終了年月日と、前記価格が改定されたことを示すメッセージ表示期限であるメッセージ有効期限と、前記価格が改定されたことを示すメッセージの表示期限年月日と、前記製品の価格の各情報とから成り、製品の価格情報提供者が操作する製品情報提供者パーソナルコンピュータと製品価格情報を検索する確認者パーソナルコンピュータとの間でネットワークを介して接続されるコンピュータシステムのデータ自動更新方法であって、前記価格マスタデータベースの任意レコードの価格が前記製品情報提供者パーソナルコンピュータからの操作によって変更されたとき、前記制御部に、前記変更された製品のレコードの情報を前記メモリ上に展開する第1工程と、前記メモリ上に展開したレコードの有効期限開始年月日と前記価格マスタデータベースの前記レコードの有効期限開始年月日とが一致するか否かを比較する第2工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致すると判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第3工程と、前記第2工程において有効期限開始年月日が一致しないと判定したとき、前記メモリ上に展開したレコードの開始年月日に所定の日数を加算し、前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程とを実行させるデータ自動更新方法。
【請求項4】
前記所定日数を加算したレコードを前記価格マスタデータベースに更新登録する第4工程を実行したとき、前記制御部が、前記確認者パーソナルコンピュータに対するメッセージの表示期限年月日に所定の日数を加算する第5工程を実行する請求項3記載のデータ自動更新方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−113517(P2012−113517A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262046(P2010−262046)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】