説明

データ記憶装置

不揮発性電気的記憶システムにおいて、カード型メモリ・ユニット10と読み取り/書き込みユニット11とは物理的に別個のユニットとして設けられる。メモリ・ユニット10は、メモリ材料の両端間に電界が印加されることによって少なくとも2つの別個の物理的状態に設定可能であるメモリ材料4を使用している。読み取り/書き込みユニット10は、最初の書き込み動作でメモリ・ユニット10内にメモリ・セルを画定することを可能にする所定の形状パターンで設けられた接触手段9を備え、メモリ・セルは接触手段9の形状パターンに対応する形状パターンで配置されている。メモリ・ユニット10と読み取り/書き込みユニット11との間に物理的接触が成立すると、アドレス指定されたメモリ・セル上の電気回路が閉じ、読み取り、書き込み又は消去動作を実行可能である。メモリ・ユニット10のメモリ材料4は識別可能な2つの分極状態へと分極可能な強誘電性又はエレクトレット材料であってよく、又は電界の印加によって材料のメモリ・セルを特定の安定抵抗値に設定可能であるように、抵抗性インピーダンスを有する材料であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ノルウエー特許出願第20052904明細書からの優先権を主張する本発明は、物理的に別個のユニットとして設けられたカード型メモリ・ユニットと読み取り/書き込みユニットとを備えるデータ記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体に関するデジタル情報をローカルに記憶する方法が必要な多くの状況がある。現在、それを達成するには3つの方法が主流である。第1の方法は、外部の読み取り/書き込みユニットを使用して読み取り及び書き込みがなされる磁性材料を使用し、第2の方法は、光学的方法によって読み取られるリードオンリー・メモリの形態のプリントされたバー・コードを使用し、また第3の方法は、フラッシュ・メモリのようなチップを使用するメモリを使用するものである。これらの異なる技術はすべて長所と弱点を有している。チップを使用するメモリ(例えばSIMカード)はメモリ・デバイスに駆動回路と制御論理とを含んでおり、そのため製造コストが高い。チップを使用するメモリは更に、メモリ・デバイスにトランジスタを備える必要があり、その結果、可能な製造方法の数が限定される。実際にはそれらはすべてシリコン・ウエーハ上に形成される。磁気ストライプは再書き込み可能であるが、バー・コードは再書き込み不能である。現在使用されている磁気ストライプは、メモリ・デバイスに対する相対速度を有する外部ユニットによって読み取られ、一方、バー・コードは通常は、読み取りユニットとメモリ・デバイスとが休止中に読み取られる。バー・コードは極めて低コストのプリントされたデバイスであり、一方、磁気ストライプは管理された環境で製造され、事後に目標アイテム内にラミネートされなければならない。バー・コードのデータ密度は極めて低く、磁気ストライプはメモリと読み取り/書き込みユニットとの一定の相対速度を利用して読み取られるので、磁気ストライプのデータ容量はストライプの長さによって限定される。実際に、磁気ストライプの記憶容量はわずか数100バイトに制約される。データ・コンテンツが制限され、製造コストが高く、メモリと読み取り/書き込み装置との相対速度が必要であるという磁気ストライプの欠点は固有のものであり、望ましくない。
【0003】
簡単なメモリ・カードの既存の技術及び解決策の欠点を考慮に入れ、また、それらが極めて広範且つ頻繁に使用されていることを考慮すると、従来の読み取り可能なメモリ・カードの形態で実装可能であり、加えて品質、記憶容量、簡便さ、特に読み取り/書き込み動作の信頼性に関して重要な利点をもたらし、更に量産及び低コストで製造可能な、データ記憶手段に基づく技術の向上が必要であることは明らかである。このことは更に、現在のカード読み取り器とコンセプトが異ならない再書き込み装置で再書き込み可能であり、使用可能である必要があることを意味している。例えば、いかなる移動部品も必要であってはならず、メモリ・カードと読み取り/書き込み装置との間の相対速度を保持せずに入力/出力操作が実行されるべきである。更にこの種のメモリ・カードは低コストで量産可能な製造方法で製造可能である必要がある。それらには本質的に、現在に至るまでエレクトロニクス及び集積回路産業における製造にわずかな程度しか応用されず、それにも関らず高性能部品を確実且つ高い歩留まりで製造可能であることが示されていた従来のプリント技術も含まれる。加えて、プリント技術は製造されるコンポーネントの構成要素として無機並びに有機の異なる材料を使用することが大幅に容易であり、同時に、このような材料を使用する際に従来の製造工程で生ずる不適合性の問題が回避されるという利点も備えている。これらの不適合性の問題は熱、機械及び化学的なものであり、1つ又は複数の機能的材料の機能性を著しく損なうことがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の主要な目的は、既存のメモリ・カードの上記の欠点を回避し、しかしその利点を保持し、加えて記憶容量を高め、高い信頼性とより低い製造コストをもたらす改良型のメモリ・カードを提供することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、従来はより高度なデータ記憶システムにのみ応用されてきたデータ記憶技術に基づく上記のようなメモリ・カードを提供することにある。
【0006】
更なる目的は、公知の先行技術のメモリ・カードと同様に簡単な構造で、データが電気的手段によって記憶及び入出力される上記のようなメモリ・カードを提供することにある。
【0007】
最後ではあるが重要な本発明の目的は、記憶媒体用に有機材料を含む新規の材料を使用可能であり、その上、性能を損なわない製造方法で加工可能であることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的並びにその他の特徴及び利点は、物理的に別個のユニットとして設けられたカード型メモリ・ユニットと読み取り/書き込みユニットとを備えるデータ記憶装置であって、該メモリ・ユニットは、少なくとも2つの別個の物理的状態に達し、且つ/又はそのいずれかに設定され、又はメモリ材料の両端間に電界が印加されると双方の間で切り換えることができるメモリ材料の層を備え、少なくとも2つの別個の物理的状態はインピーダンス値又は分極値によって特徴付けされ、電界は、印加された電界によってメモリ・セルに設定された別個の物理的状態に割り当てられる論理値によって与えられるデータを記憶するために、特定の位置でメモリ材料の体積の所定の拡張がなされたメモリ・セルを画定するように特定の位置に、また特定の方向で印加され、論理値はメモリ・セルの両端間に電位差を印加することによって検出及び読み取りが可能であり、メモリ・ユニットはメモリ材料のグローバル層を備え、且つ読み取り/書き込みユニットは、未使用メモリ層への最初の書き込み動作でメモリ・ユニットに適用したとき、ビット・スポットを形成するメモリ・セルが読み取り/書き込みユニット内の接触手段と正確に対応する形状又はパターンでそこに形成されるような形状又はパターンで設けられた一組の接触手段を備える、本発明によるデータ記憶装置によって実現される。
【0009】
本発明によるデータ記憶システムの付加的な特徴及び利点は添付の従属請求項に開示されている好ましい実施例から明らかにされる。
【実施例】
【0010】
ここで本発明の例示的実施例の記載、及び添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0011】
本発明は本発明の様々な好ましい実施例、特にメモリ・ユニット自体の下記の説明からより明解に理解されよう。
【0012】
本発明は、使用されるメモリ材料、並びにメモリ・セル、接触手段及び電極などの配置用に選択された基本パターンに関して基本的に、親出願の対応する特徴と同類であることに留意されたい。したがって、本出願は同じメモリ材料、すなわち強誘電性又はエレクトレット・メモリ材料、又は線形又は非線形のインピーダンス特性を呈し、特定の強さの電界が印加されると特定の抵抗値に設定可能であるメモリ材料に基づくものである。しかし、本発明は根本的にその最も基本的な実施例で、グローバル・メモリ層のみを備えたメモリ・ユニットを提供する点が異なっている。電極も接点も存在しないが、その機能と動作は、図1に示されている本発明のデータ記憶装置の第1の好ましい実施例の以下の説明から理解されよう。
【0013】
図1は任意選択の防護層3aと3bとの間に挿入されたグローバル・メモリ材料4を有するメモリ・ユニット10が断面図で示されている。実際には、メモリ・カードをメモリ材料のみで、特にこれもメモリ材料である適宜のポリマー材料から構成されるように製造することができる。その場合は当然、通常のプラスチック製メモリ・カードと同類であろう。メモリ・ユニットは読み取りユニット11内のレセプタブル12内に挿入可能である。読み取りユニット11はメモリ・ユニット10の記憶域と同じ延長を有する共通の電極2と、1つ又は複数の線形アレイ、又は共通電極2に面するこのような線形アレイによって形成された正方形又は長方形のマトリクス内に設けられた接触手段9とから構成されている。接触手段には例えば図示のような板ばねを備えたばね仕掛け13を備えてもよく、メモリ・ユニット10が読み取り/書き込みユニット10内のレセプタブル12内に挿入されると、接触手段は例えば、接触手段9とメモリ・ユニット10と共通電極2との間の固定グリップ及び接触を保持するばね力に抗して上方に変位して、図示のような接触手段9の1つと共通電極2との間でメモリ・ユニット10内のメモリ材料4の両端間に電位を印加することにより、メモリ・ユニットの適切な電気的アドレス指定を可能にし、それによって、メモリ材料が強誘電性材料である場合のように最初の書き込み動作で層4のメモリ材料が最初の未使用状態にある場合には、メモリ・ユニット10のメモリ層4内にメモリ・セルを画定することができる。未分極の強誘電性材料が分極した場合、すなわち書き込まれた場合、電気的手段によってその未使用、又は未分極状態には容易には復帰できないことに留意されたい。それが抵抗性材料である場合は、適用された該当する接触手段によって与えられた位置で特定の抵抗値を設定することによってメモリ・セルが画定された後で単に電界の方向を反転させることにより未使用状態に設定、すなわち消去、又は「非書き込み」状態にすることができる。いずれにせよ、この時点でグローバル・メモリ層4内にビット・スポットのアレイ又はマトリクス、又はメモリ・セルを画定することが可能であり、この場合は、メモリ・ユニット10は理想的に図2の平面図に示されるように見え、メモリ・セルの記憶域8又はビット・スポットが8・8メモリ・セル・アレイを形成する。読み取り/書き込みユニット10の接触手段9は勿論、整合アレイ内に配置される。メモリ・セルのマトリクス外の領域7はグリップ/取扱い目的のために反転可能であり、バンキング及び支払い目的のために使用される従来のメモリ・カードの場合と同様に、目視できる文字又は所有者識別マークを含んでいてもよいであろう。
【0014】
本発明によるデータ記憶装置の別の実施例が図3に示されている。本明細書では底部電極2が基板1上に設けられているが、基板は厳密には必要ではない。底部電極の上には、共通の底部電極2とメモリ層4とが同延であるようにメモリ材料のグローバル層4が設けられている。これは図示のように読み取り/書き込みユニット11に適したメモリ・ユニットの実施例である。携帯式又はその他の移動可能なユニットであることができるこの読み取り/書き込みユニット11はデータ記憶装置に使用されるものと同様の読み取り/書き込みユニットと類似しており、このメモリ・ユニットは適宜にパターン形成された底部及び上部の電極セットによってピクセル化又はパターン形成されたメモリ層を備えており、各電極セットは例えば平行なストライプ状電極の形態であり、メモリ・セルが電極間の交差部分でメモリ材料内に画定されるように互いに垂直に向き合っている。図3の実施例では、メモリ・セルはメモリ材料が未使用状態、すなわちデータの設定又は書き込みがなされていない最初の書き込み動作で、読み取り/書き込みユニットのヘッド内の読み取り/書き込みユニット10の接触手段9の位置によって決定されるメモリ材料内で画定される。接触手段9の配置又はパターンは例えば線形アレイ、又はこのようなアレイから構成された正方形又は長方形のマトリクスと類似したものでよいが、読み取り/書き込みユニット10内で接触手段9向けに選択される実際のパターンには実際には制限はない。
【0015】
各メモリ・セルの空間及び位置を画定するのは読み取り/書き込みユニットとメモリ層との間の領域であるので、複数の読み取り及び書き込み動作で読み取り/書き込みユニットの位置決めが反復可能であることが重要である。これはメモリ上の視覚的マーキングによって、又はストッパのような機械的な位置決め装置によって、又はオーバーサンプリングによって達成可能である。オーバーサンプリングは例えば接触ピン又はパッドの形態の接触手段9を、実際のメモリ・セル及びメモリ・セル自体の間隔よりはるかに密に詰め込んで読み取り/書き込みユニット内に設けることによって実現可能である。そこで前記ピン又はパッドの形態の隣接する複数の接触手段9が同一のメモリ・セルを検知し、読み取られたパターンを解析することによって、アレイ内のメモリ・セルの実際の分布をそれらのデータ内容とともに判定可能である。この実施例でメモリ・セルに書き込む際には、メモリ・ユニット内に単一のメモリ・セルを作成するために読み取り/書き込みユニット10内の隣接する複数の接触手段9が利用される。この特定の実施例では、読み取り/書き込みユニット10の接触手段9とメモリ層4との間に良好な機械的接触が得られることが不可欠であるが、その理由はそうではないと高い電圧対距離比により空隙にスパークが誘発されることがあり、それが場合によっては、通常はメモリ層を極めて薄いフィルムとして形成するように被着されるメモリ材料の劣化原因になる可能性があるからである。
【0016】
図4に示されている本発明によるデータ記憶装置の第3の実施例では、上部電極5が異方性導電材料から製造されている最初の無パターン型メモリ・ユニットが設けられている。上部電極5は別として、この実施例は勿論、図3に示し、上に記載した実施例と類似している。これまでの実施例と同様に、共通底部電極2がメモリ層4の反対側に設けられており、この実施例でも勿論、電極をパターン形成する必要はない。上部電極5が異方性導電材料であることによって、上部電極5は縦方向にしか電流を導通せず、横方向、すなわちメモリ層4と平行な方向は上部電極5の抵抗率が極めて高いので電流がその方向に流れることは決してない。更に、上部電極5は弾性であり、図示のように読み取り/書き込みユニット10の接触手段9にある一定の圧力を加えると変形可能である。ピン又はパッドの形態の接触手段9が異方性の電極材料内に押圧されると、それによって接触手段9とメモリ材料4との間の抵抗量が低くなる。
【0017】
これまでに記載の実施例に関連する読み取り/書き込みユニットの位置決めの記載は図4に示した実施例にも当てはまる。
【0018】
電極は蒸着、スパッタリング、及びフォトリソグラフィ技術のような標準的ないずれかの方法によって堆積及びパターン形成された金属を用いて、又は例えばインクジェット、フレキソ印刷又はその他のいずれかの適宜の技術によって堆積された例えばポリマーを使用した導電性インクを用いて製造可能であろう。2つの電極層の間に電気フィルム層をスピン・コーティングすることによってメモリ・フィルムを堆積させることも可能であろう。電気メモリ層を堆積するためにインクジェット、フレキソ印刷、蒸着のような他の技術を使用することも可能である。
【0019】
どの実施例でも、メモリ・ユニット10を構成するすべての層が同延であるべきであることを理解されたい。したがって、メモリ・ユニットのどの電極もメモリ・ユニットのメモリ層4と同じ面積を占める。この文脈において、読み取り/書き込みユニット10は接触手段9及び電極2に接続された駆動、検知及び制御回路を備えていてもよいが、この回路を読み取り/書き込みユニットと接続可能な外部ユニット(図示せず)内に備えてもよいことを理解されたい。
【0020】
図1に示した実施例では、特にメモリ材料が極めて薄い強誘電性、又はエレクトレット・フィルムである場合には基板が必要である場合がある。その場合は、読み取り/書き込みユニット10の共通電極2がメモリ層4と接触手段9とを介して容量結合を行う。図3又は4に示された実施例では、場合によっては基板の代わりに、極めて厚くすることができる共通の底部電極2を使用することができる。
【0021】
読み取り/書き込みユニット10には2つの主要な任務がある。第1の任務はメモリ・セルの読み取りと書き込みとを制御するために必要な電圧波形を生成することである。第2の任務は読み取り中にメモリ・セルの状態を検知することである。
【0022】
メモリの動作には時間と大きさの双方が良好に制御された電圧波形が電極に印加されることが必要である。これは標準的なディスクリート電子部品又は専用の集積回路で達成可能である。メモリ材料が充分に大きい強誘電性材料である場合は、印加電圧によって強誘電性メモリ・フィルム内のダイポールは強制的に電極間の電界の方向に整列され、ひいては材料の分極方向に情報を記憶する。強誘電性メモリ・セルの動作に関する基本情報は文献から得ることができる。同様に、抵抗性インピーダンス特性を有する材料はその抵抗を印加された外部電界によって設定されることができ、ひいては安定抵抗値によって表わされるデータを記憶することができる。マルチビット・メモリ・セルを実現するためにこの種のメモリ材料、例えばM(TCNQ)のような金属有機塩を使用可能であろう。
【0023】
検知回路は、読み取り電圧パルス期間中の強誘電性材料の変位によりセルから移動する電荷量に基づいてメモリ・セルの状態を決定する必要がある。これは例えば、簡単なソーワータワー構造で、又は電流積分器によって行うことができ、双方ともディスクリート回路で実現可能である。しかし大容量メモリ向けにそれを行うには専用の集積回路を構成することが有意義であろう。
【0024】
本発明のデータ記憶装置のメモリ材料が、2つの残留分極状態のいずれかに分極され、ヒステリシスを示すことができる強誘電性又はエレクトレット材料である場合は、論理値を残留分極状態のいずれか、すなわち負又は正の分極状態に割り当てることによってデータがメモリ・セル内に記憶される。読み取り及び書き込み動作は、メモリ・セルに適宜の強度の電界を印加することによってヒステリシス曲線上で実行され、それによってメモリ・セルの保磁力以上の保磁力を有し、メモリ・セルの分極ベクトルとは反対方向の電界を印加することによって分極状態の切り換えを行うことができる。強誘電性材料は正確にはエレクトレット材料の亜種であることに留意されたい。当業者には公知である多くの強誘電性材料の候補には、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のような無機セラミック材料、又はより好ましくは有機で容易にプリント可能な強誘電性オリゴマー、ポリマー、又は、現在最も広範に使用されている有機強誘電性材料である公知のポリ(フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン)が含まれる。一般に、これらの有機強誘電性材料は性来、接触する金属電極とダイオード接合部を形成することはあり得ない。
【0025】
本発明によるデータ記憶装置では、メモリ材料を線形又は非線形の抵抗性インピーダンスを有する誘電性材料として選択することも可能であろう。この種の材料は電界の印加によって特定の抵抗値に設定可能であり、また、電界強度を変更することによって複数の特定の抵抗状態をメモリ材料内で設定可能である。換言すると例えば、例えば4つ、又は8つ等の抵抗値レベルの1つとして設定値を選択し、ひいてはそれぞれ2、3、又はそれ以上のビットを記憶できることによって、マルチビット・コード化によりデータを記憶することが可能である。印加される特定の電界強度が抵抗値の設定を決定する。電界を反転させることによって、設定された抵抗値を消去することも可能である。更に、抵抗性メモリ材料の幾つかの(又はほとんどの)候補は、接触する金属電極と自発的にダイオード接合部を形成できないが、このようなダイオード接合部を形成するためにメモリ層と電極との間に半導体材料層を備えることができ、そこでショットキ接合部が形成される。その場合は半導体層は図1又は図3に示されるように任意選択の層3a、3b又は層6として特定することができよう。当業者は抵抗性メモリ材料の候補には精通しているが、それらは例えばフタロシアニン化合物、有機低分子化合物、公知のM(TCNQ)のような金属有機塩、オリゴマー、ポリマー、又はコポリマーとして選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるデータ記憶装置の第1の実施例を示す図である。
【図2】図1の実施例で使用されるメモリ・ユニットの平面図である。
【図3】本発明によるデータ記憶装置の第2の実施例を示す図である。
【図4】本発明によるデータ記憶装置の第3の実施例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的に別個のユニットとして設けられたカード型メモリ・ユニットと読み取り/書き込みユニットとを備える不揮発性電気的データ記憶装置であって、前記メモリ・ユニットは、少なくとも2つの別個の物理的状態に達し、且つ/又はそのいずれかに設定され、又はメモリ材料の両端間に電界が印加されると双方の間で切り換えることができるメモリ材料の層を備え、前記少なくとも2つの別個の物理的状態はインピーダンス値又は分極値によって特徴付けされ、前記電界は、印加された電界によってメモリ・セルに設定された前記別個の物理的状態に割り当てられる論理値によって与えられるデータを記憶するために、特定の位置で前記メモリ材料の体積の所定の拡張がなされた前記メモリ・セルを画定するように前記特定の位置に、また特定の方向で印加され、前記論理値は前記メモリ・セルの両端間に電位差を印加することによって検出及び読み取りが可能であり、前記メモリ・ユニットはメモリ材料のグローバル層を備え、且つ前記読み取り/書き込みユニットは、未使用メモリ層への最初の書き込み動作で前記メモリ・ユニットに適用したとき、ビット・スポットを形成するメモリ・セルが前記読み取り/書き込みユニット内の接触手段と正確に対応する形状又はパターンでそこに形成されるような形状又はパターンで設けられた一組の接触手段を備えるデータ記憶装置。
【請求項2】
前記メモリ・ユニットは前記メモリ層とインターフェースし、接触する共通の底部電極を備えることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項3】
前記メモリ・ユニットは、前記メモリ層とインターフェースし接触する共通の上部電極を備え、前記上部電極は異方性導電材料からなり、それによって、双方の間に確立された固定的接触と、前記読み取り/書き込みユニットの前記一組の接触手段とは、前記メモリ・ユニット内の未使用のメモリ層への最初の書き込み動作でメモリ・セルが前記読み取り/書き込みユニット内の前記接触手段と同じ形状又はパターンでそこに配置されるように、前記接触手段が前記メモリ層に接触するスポット位置で前記メモリ・ユニット内に前記メモリ・セルを形成することを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項4】
前記上部電極は、前記メモリ層に電位差を印加することによって、最初の書き込み動作で、このようにして画定されたメモリ・セルの前記形状の拡張が前記個々の接触手段の拡張によって制限されるように異方導電性であることを特徴とする請求項3に記載のデータ記憶装置。
【請求項5】
前記読み取り/書き込みユニットはメモリ・ユニットを挿入するように構成された固定ユニットであり、前記一組の接触手段の反対側に設けられた電極を備え、それによって、前記一組の接触手段と電極とがその両端で前記メモリ・ユニットとそれぞれ接触し、前記電極は前記メモリ・ユニット用の共通の電極として機能することを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項6】
前記読み取り/書き込みユニットの前記接触手段は、1つ又は複数の線形アレイとして、又は列と行とが前記線形アレイによって形成される正方形又は長方形のマトリクスとして設けられることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項7】
前記メモリ・ユニット内で形成される前記メモリ・セルは1つ又は複数の線形アレイとして、又は正方形又は長方形のマトリクスとして設けられ、前記線形アレイは前記マトリクスの行と列のいずれかを形成することを特徴とする請求項6に記載のデータ記憶装置。
【請求項8】
前記読み取り/書き込みユニットの前記接触手段は、前記読み取り/書き込みユニット内に、又はこれと接続された周辺ユニット内に位置する駆動、検知及び制御手段と接続可能であることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項9】
前記読み取り/書き込みユニットは、固定ユニット、例えば端末装置内のカード読み取り器であることを特徴とする請求項12に記載のデータ記憶装置。
【請求項10】
前記読み取り/書き込みユニットは、移動ユニット、例えば携帯装置であることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項11】
前記メモリ材料は、2つの反対方向のいずれかに分極され、ヒステリシスを示すことができる強誘電性又はエレクトレット材料であり、データは論理値をその残留分極状態のいずれかに割り当てることによって、前記強誘電性又はエレクトレット・メモリ材料内に画定されるメモリ・セル内に記憶されることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項12】
前記強誘電性又はエレクトレット材料はペルボスカイト構造の無機セラミック材料、オリゴマー、ポリマー又はポリ(フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン)[P(VDF−TrFE)]などのコポリマーであることを特徴とする請求項11に記載のデータ記憶装置。
【請求項13】
前記メモリ材料は、線形又は非線形の抵抗性インピーダンス特性を有し、適宜の電位差又は電界を両端間に印加すると特定の抵抗値に設定可能な誘電性材料であり、データは前記メモリ・セル内に特定の抵抗値として記憶され、前記特定の抵抗値に論理値が割り当てられ、前記論理値は前記メモリ材料の両端間に適宜の検知用電位差を印加することによって読み取られ、且つ検知され、前記検知用電位差は前記メモリ・セルの前記設定された抵抗値を変更しない値を有することを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。
【請求項14】
前記抵抗性メモリ材料はフタロシアニン化合物、有機低分子化合物、M(TCNQ)のような金属有機塩、オリゴマー、ポリマー、又はコポリマーであることを特徴とする請求項13に記載のデータ記憶装置。
【請求項15】
半導体材料層が電極材料と接触するとダイオード接合部が形成されるように、無機又は有機半導体材料層が抵抗性メモリ材料を含む前記メモリ層の近傍に設けられたことを特徴とする請求項13に記載のデータ記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−544363(P2008−544363A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516770(P2008−516770)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際出願番号】PCT/NO2006/000214
【国際公開番号】WO2006/135245
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(508077274)シン フイルム エレクトロニクス エイエスエイ (10)
【Fターム(参考)】