説明

データ記録システム、プログラム、記録媒体

【課題】TSの伝送路における複数の伝送ポイントにて取得した伝送データを少ない記録容量の記録装置で効率良く記録保存し、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを容易に判定可能なデータ記録システムを低コストに提供する。
【解決手段】各取得記録装置20A〜20Dは、TSの伝送路Laにおける各伝送ポイントPa〜Pd毎に設置され、TSから生成したパケット群およびチェックコードを内蔵されたHDDに記録する。双方向通信回線Lbを介して各取得記録装置と接続されている比較記録装置30は、各取得記録装置がTSから生成した全てのチェックコードについては内蔵されたHDDに記録するものの、各取得記録装置がTSから生成したパケット群については、リンク情報が生成不能なパケット群のみをHDDに記録し、リンク情報が生成可能なパケット群は記録せずリンク情報のみをHDDに記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ記録システム、プログラム、記録媒体に係り、詳しくは、データの伝送路における複数の伝送ポイントにて取得した伝送データを記録するデータ記録システム、そのデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラム、そのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、BS(Broadcasting Satellite )デジタル放送やCS(Communication Satellite)デジタル放送などの衛星デジタル放送、地上デジタル放送、CATV(CAble TeleVision)などの放送メディアや通信メディアにおいて、MPEG(Moving Picture Experts Group)2による圧縮符号化技術を用いたデジタル放送やデジタル通信のサービスが提供されている。
【0003】
MPEG2を用いた圧縮符号化システムであるMPEG2システムでは、オーディオデータ(音声情報)およびビデオデータ(映像情報)を圧縮符号化したデータのビットストリームであるES(Elementaly Stream)を生成し、オーディオデータのES(オーディオES)とビデオデータのES(ビデオES)とを多重化してTS(Transport Stream)を生成する。
【0004】
ここで、ESを、意味のある単位(ビデオデータならフレーム単位、オーディオデータならブロック単位)毎にパケット化したものはPES(Packetized Elementary Stream)と呼ばれる。PESには時刻情報が含まれており、この時刻情報を用いてビデオデータとオーディオデータの同期を取ることができる。
TSは、1つビットストリームの中に複数のプログラムを構成することができるため、放送メディアや通信メディアなどデータの伝送誤りが発生するメディアへの適用が想定されて規格化されている。
【0005】
1つのTSは、数種類〜数百種類のTSパケットが集まって構成される。TSパケットは188バイトまたは204バイトの固定長パケットであり、その長さはATM(Asynchronous Transfer Mode)セル長との整合性およびリードソロモン符号などの誤り訂正符号化を行なう場合の適用性を考慮して決定されている。
【0006】
TSパケットは、4バイト固定長のパケットヘッダと可変長のアダプテーションフィールド(adaptation field)およびペイロード(payload)から構成されている。アダプテーションフィールドとペイロードはどちらかだけが存在する場合と両方が存在する場合があり、その有無はパケットヘッダ内のフラグ(adaptation field control)により示される。
【0007】
パケットヘッダには、TSパケットの種類を識別するための識別子であるPID(Packet IDentification)、同期バイト、連続性指標(Continuity Counter)などの各種パケット制御データが含まれている。
アダプテーションフィールドには、送信側と受信側の間で同期を取るための基準時刻情報(PCR:Program Clock Reference)と、圧縮符号化されたビデオデータまたはオーディオデータとが含まれている。
【0008】
同期バイトはTSパケットの開始を示すデータである。
PIDは、TSパケットに含まれている情報の内容(チャンネル番号や、そのチャンネルのビデオデータおよびオーディオデータのうちいずれが含まれているか等)を示すデータである。
尚、同一のビデオデータ、同一のオーディオデータはそれぞれ同じPIDを持つため、TSの受信システムはPIDを用いて元のPESに戻すことが可能である。
【0009】
そして、放送局,中継局,CATV局などに設置されている送信システムは、このように生成した複数チャンネル分のTSパケットを時分割多重化することによりTSパケットのデータ列であるTSを生成し、そのTSを所定の変調方式で変調することにより送信信号を生成し、その送信信号を伝送手段へ送信するため、複数チャンネル分のテレビジョン番組を同時に放送することができる。
尚、送信信号の伝送手段は、例えば、衛星デジタル放送の場合は放送衛星、地上デジタル放送の場合は送受信装置のアンテナ、CATVの場合は専用通信回線などである。
【0010】
また、デジタル放送やデジタル通信を受信する受信システムは、放送局,中継局,CATV局などから送信されてくる送信信号を受信し、その受信した送信信号を所定の復調方式で復調することによりTSを生成する。
そして、受信システムは、TSに含まれる複数チャンネル分のTSパケットのうち視聴者(ユーザ)の所望するチャンネルのTSパケットを選択して復号化することによりビデオデータおよびオーディオデータを生成し、それらデータをテレビジョン受像機に出力して再生させる。
【0011】
このようなMPEG2によるデジタル放送やデジタル通信では、送信システムまたは受信システムにて生成した個々のTSパケットについて、複数種類のエラーの発生状況(発生状態)を監視する必要がある。
なぜなら、正常な放送や通信を実現するには、TSのエラーの発生状況に基づいてエラーの発生原因を調査し、次回からは当該エラーが発生しないよう防止策を講じなければならないからである。
【0012】
ちなみに、TSのエラー発生原因としては、例えば、送信システムまたは受信システムを構成する各種機器の不調、各種機器に供給される電源の不調、テレビジョン番組のスケジューリングの不備、放送の休止タイミングの不具合、天候による電波障害(降雨減衰や雷障害など)などがある。
【0013】
しかし、1つのTSは数種類〜数百種類のTSパケットによって構成されているため、個々のTSパケットについて複数種類のエラーの発生状況を監視するとなると、監視対象のエラーの種類は延べ数十〜数万種類にも上り、その監視を人間系で行うことは不可能である。
そこで、本出願人(株式会社トラフィック・シム)は、PIDで識別されるTSパケットの受信間隔時間や、連続性指標の途切れなどに基づいてエラー発生を監視するTSパケット監視装置を開発販売している(商品名「TS CaPID WA-1/TSW-1000」)。このTSパケット監視装置は、既に国内大手デジタル衛星放送局で実際に使用されて放送サービスの品質向上に貢献している。
【0014】
また、本出願人は、特許文献1に開示されるように、時系列で転送されるデータ中に含まれるエラーの発生状況を検出するエラー検出手段と、そのエラー検出手段が検出した所定期間のエラーの発生状況を時系列で一覧表示するエラー表示手段とを備えたデータ監視システムを提案している。
この特許文献1の技術によれば、データ転送(データ伝送)の運用管理者(オペレータ)は、エラー表示手段の一覧表示を一目するだけで所定期間のエラーの発生状況を確認可能であり、多量に発生するエラーについても確実に監視することができる。
【0015】
ところで、特許文献2の請求項1には、入力されたデジタル放送信号のTSから生成したTSファイルの断片を一時記憶する一時記憶手段に記憶した後、該記憶したTSファイルの断片を大容量の記録手段に間欠的に転送することにより、該大容量の記録手段において保存用の連続したTSファイルを得るように構成したことを特徴とするデジタル放送の放送番組記録装置が記載されている。
【0016】
また、特許文献2の請求項2には、入力されたデジタル放送信号のTSから該TSを複数フレーム単位にまとめてファイル化したTSファイルを生成する手段と、該手段により生成されたTSファイルにファイルヘッダを付加する手段と、該手段によりファイルヘッダが付加されたTSファイルを記憶する第1の記憶手段と、システム管理インターフェースと、CPUとを具えたTS処理部、前記CPUの制御により前記第1の記憶手段の記憶内容が転送され、現時点から所定時間前までのデータが常に記憶されているようになつている第2の記憶手段、前記TS処理部とLANで接続され、前記CPUの制御により前記第2の記憶手段の記憶内容が定期的に転送され、一定期間分のデータとして記憶されるようになっている第3の記憶手段、および前記TS処理部とLANで接続され、前記CPUの制御により、前記第2の記憶手段の記憶内容が前記システム管理インターフェースからの転送要求に応じて転送されるか、または、前記第3の記憶手段によって記憶されたデータが供給され、該転送されまたは供給されたデータから前記TS処理部において付加されたファイルヘッダが取り除かれて前記入力されたデジタル放送信号のTSに相当する信号を復元するTS再生部を具えて構成されていることを特徴とするデジタル放送の放送番組記録装置が記載されている。
【特許文献1】特開2006−13612号公報(第1〜29頁、図1〜図14)
【特許文献2】特開2003−61022号公報(第1〜7頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来より、MPEG2によるデジタル放送やデジタル通信におけるデータ伝送では、TSの伝送路における複数の伝送ポイントにそれぞれエラー発生を監視するエラー監視装置を設置しておき、各伝送ポイント毎にTSを取得してそのエラー検出を行うことにより、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを判定し、その判定結果に基づいてTSのエラー発生原因の調査が行われており、各伝送ポイントで同時に取得したTSを過去一定期間保持し、事後のエラーの検証用元データとして利用したり、各伝送ポイントにて取得したTSを伝送路と同等の高速な通信回線により送信ポイントまで戻して目視比較するなどの対策がとられている。
【0018】
尚、伝送ポイントには、送信ポイント、中継ポイント、受信ポイントなどがあり、中継ポイントおよび受信ポイントは複数設けられている場合もある。
例えば、デジタル放送では、送信ポイントは放送局に設置された送信機が伝送路を介してTSを出力する箇所であり、中継ポイントは中継局に設置された送受信機が伝送路を介してTSを入力する箇所であり、受信ポイントは視聴者が持つ受信機が伝送路を介してTSを入力する箇所である。
【0019】
ところで、前述のTSパケット監視装置では、監視機能の1つとしてTSパケットに記載されている0〜15の値でサイクリックにインクリメントされる連続性指標が不連続となったことを検出するが、例えば、特定の種類のパケットが16個連続して欠落した場合、連続性指標は連続したままとなってしまい、エラーを検出することが困難である。
このような場合、事後になって視聴者等から障害の問い合わせが寄せられることがあるが、前述のTSパケット監視装置ではエラーを検出・記録しておらず、監視装置におけるエラー検出にかかわらず、監視対象のTSを過去一定期間分記録しておくことは重要である。
【0020】
また、データ伝送の運用管理者がTSのエラー発生原因の調査を行う際には、長期間(例えば、数日間〜数ヶ月間)に渡るエラーの発生状況を検討することがある。
そのためには、エラー監視装置が長期間のエラー発生状況と同時に各伝送ポイントにおいて取得されたTSを記録しておく必要があり、高価な大容量の記録装置を内蔵したエラー監視装置を各伝送ポイントに設置しなければならない。
【0021】
そこで、TSの伝送路における複数の伝送ポイントにて取得したTSを少ない記録容量の記録装置で効率良く記録保存し、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを容易に判定可能なデータ記録システムを低コストに実現することが要求されている。
【0022】
ところで、特許文献2の放送番組記録装置をTSの伝送路における複数の伝送ポイントに設置しておき、各伝送ポイントにて取得されたTSをそれぞれの放送番組記録装置に記録した後に、各放送番組記録装置で記録されたTSを解析することにより、どの伝送ポイント間でTSのエラーが発生したかを判定することが考えられる。
しかし、このようにした場合でも、多数の伝送ポイントに前記放送番組記録装置を設置するとなると、放送番組記録装置の台数が多くなる分だけ設置コストが増大するという問題がある。
【0023】
一般的に大容量のデジタルデータを記憶したり記録したりするシステムの場合、取得したデジタルデータを適当なサイズに分割し、これを一次記憶し、その後二次記憶に伝送する手段が取られる。
例えば、現在一般的なパーソナルコンピュータに搭載されているCPUでは、プログラム中からのメモリアクセスに対して、CPU内等に搭載されたランダムアクセスに優れた一次用メモリに蓄積後、二次用メモリが扱いやすいブロック単位に分割して二次用メモリに転送する手段がとられており、この仕組みは1980年代に市販されたCPUに組み込まれている。
また、現在一般的なパーソナルコンピュータに搭載されているハードディスク装置とその制御プログラムでは、ハードディスクに記録すべきデータを、一旦パーソナルコンピュータのメインメモリ上に一次記憶し、その後ハードディスクが扱いやすいブロック単位に分割し、ハードディスクとのインターフェイス回路を通じてハードディスク上の一次記憶メモリに蓄積した後、ハードディスク本体の記録部分に書き込まれる。
【0024】
特許文献2の請求項1に記載の技術では、TSから生成したTSファイルの断片を一時記憶する一時記憶手段と、その断片を連続したTSファイルを記録する大容量の記録手段とを備える。そのため、特許文献2の請求項1に記載の技術は、上記一次記録と二次記録の一例と考えることができる。
【0025】
本発明は上記要求を満足させるためになされたものであって、以下の目的を有するものである。
(1)データの伝送路における複数の伝送ポイントにて取得した伝送データを少ない記録容量の記録装置で効率良く記録保存可能なデータ記録システムを低コストに提供する。
(2)前記(1)のデータ記録システムが記録保存したデータに基づいて、どの伝送ポイント間でデータのエラーが発生したかを容易に判定可能なデータ記録システムを提供する。
(3)前記(1)(2)のデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供する。
(4)前記(1)(2)のデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
請求項1に記載の発明は、
データ(TS)が時系列で伝送される伝送路(La)と、
その伝送路における複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)にそれぞれ設置された取得記録装置(20A〜20D)と、
その複数の取得記録装置(20A〜20D)にそれぞれ設けられた第1記録装置(45)と、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)と双方向通信回線(Lb)を介して接続された比較記録装置(30)と、
その比較記録装置(30)に設けられた第2記録装置(55)と
を備えたデータ記録システムであって、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)はそれぞれ、前記伝送ポイント(Pa〜Pd)にてデータ(TS)を取得し、予め決めておいた規則に従ってデータを分割し、その分割されたデータから成るデータ列を生成すると共に、そのデータ列の内容を特定するためのチェックコードを生成し、そのデータ列およびチェックコードを第1記録装置(45)に記録保存することと、
前記チェックコードには、そのチェックコードに対応するデータ列が分割前のデータ(TS)中のどの位置にあるのかを特定して識別するための位置識別情報と、そのチェックコードを生成した前記取得記録装置(20A〜20D)を識別するための装置識別情報とが含まれていることと、
前記チェックコードの値が同じということは、そのチェックコードに対応するデータ列も同じであるということと、
前記比較記録装置(30)は、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)に対して前記チェックコードを送信するように前記双方向通信回線(Lb)を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体(45)から読み出されたチェックコードが前記双方向通信回線(Lb)を介して受信されると、そのチェックコードを第2記録装置(55)に記録保存し、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置(55)に既に記録保存されていた場合には、受信したチェックコードに対応するデータ列が、そのチェックコードと同じ位置識別情報で同じ値のチェックコードに対応するデータ列と同じであることを示すリンク情報を生成し、そのリンク情報を第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置(55)に記録保存されていない場合には、そのチェックコードを送信した取得記録装置に対して、そのチェックコードに対応するデータ列を送信するように前記双方向通信回線(Lb)を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体(45)から読み出された前記データ列が前記双方向通信回線(Lb)を介して受信されると、そのデータ列を第2記録装置(55)に記録保存することを技術的特徴とする。
【0027】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置(30)は、第2記録装置(55)に記録保存されている前記データ列から、前記複数の取得記録装置(20A〜20D)から受信したデータ列を読み出すと共に、前記複数の取得記録装置が生成したのと同じデータ列を前記リンク情報に基づいて読み出し、その読み出した各データ列を時系列に従って結合し、連続したデータ列を生成することにより、前記複数の取得記録装置がそれぞれ取得した分割前の前記データ(TS)を復元することを特徴とするデータ記録システム。
【0028】
請求項3に記載の発明は、
データ(TS)が時系列で伝送される伝送路(La)と、
その伝送路における複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)にそれぞれ設置された取得記録装置(20A〜20D)と、
その複数の取得記録装置(20A〜20D)にそれぞれ設けられた第1記録装置(45)と、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)と双方向通信回線(Lb)を介して接続された比較記録装置(30)と、
その比較記録装置(30)に設けられた第2記録装置(55)と
を備えたデータ記録システムであって、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)はそれぞれ、前記伝送ポイント(Pa〜Pd)にてデータ(TS)を取得し、予め決めておいた規則に従ってデータを分割し、その分割されたデータから成るデータ列を生成すると共に、そのデータ列の内容を特定するためのチェックコードを生成し、そのデータ列およびチェックコードを第1記録装置(45)に記録保存することと、
前記チェックコードには、そのチェックコードに対応するデータ列が分割前のデータ(TS)中のどの位置にあるのかを特定して識別するための位置識別情報と、そのチェックコードを生成した前記取得記録装置(20A〜20D)を識別するための装置識別情報とが含まれていることと、
前記チェックコードの値が同じということは、そのチェックコードに対応するデータ列も同じであるということと、
前記比較記録装置(30)は、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)に対して前記チェックコードを送信するように前記双方向通信回線(Lb)を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体(45)から読み出されたチェックコードが前記双方向通信回線(Lb)を介して受信されると、そのチェックコードを第2記録装置(55)に記録保存し、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置(55)に既に記録保存されていた場合には、受信したチェックコードに対応するデータ列が、そのチェックコードと同じ位置識別情報で同じ値のチェックコードに対応するデータ列と同じであることを示すリンク情報を生成し、そのリンク情報を第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置(55)に記録保存されていない場合には、そのことを示すブランク情報を生成し、そのブランク情報を第2記録装置(55)に記録保存し、
前記複数の取得記録装置(20A〜20D)がそれぞれ取得した分割前の前記データ(TS)を復元するときに、第2記録装置(55)に記録保存しておいた前記ブランク情報に基づき、そのブランク情報に対応するチェックコードを送信した取得記録装置に対して、そのチェックコードに対応するデータ列を送信するように前記双方向通信回線(Lb)を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体(45)から読み出された前記データ列が前記双方向通信回線(Lb)を介して受信されると、そのデータ列を第2記録装置(55)に記録保存し、
第2記録装置(55)に記録保存されている前記データ列から、前記複数の取得記録装置(20A〜20D)から受信したデータ列を読み出すと共に、前記複数の取得記録装置が生成したのと同じデータ列を前記リンク情報に基づいて読み出し、その読み出した各データ列を時系列に従って結合し、連続したデータ列を生成することにより、前記複数の取得記録装置がそれぞれ取得した分割前の前記データ(TS)を復元することを特徴とするデータ記録システム。
【0029】
請求項4に記載の発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置(30)は、第2記録装置(55)に記録保存されている前記チェックコードから、同じ位置識別情報を含むチェックコードの値の相違を調べ、そのチェックコードの値の相違に基づいて、前記複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)における前記データ(TS)のエラー発生を判定することを特徴とするデータ記録システム。
【0030】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置(30)が判定した前記複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)における前記データ(TS)のエラー発生状況について、前記複数の伝送ポイント毎に時系列で所定期間分だけ一覧表示する表示装置(61)を備えたことを特徴とするデータ記録システム。
【0031】
請求項6に記載の発明は、
請求項4に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置(30)が判定した前記複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)の少なくともいずれか1つにおける前記データ(TS)のエラー発生状況について、時系列で所定期間分だけ一覧表示する表示装置(61)を備えたことを特徴とするデータ記録システム。
【0032】
請求項7に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記伝送路(La)は片方向通信の伝送路であり、
前記比較記録装置(30)は、前記複数の伝送ポイント(Pa,Pc)の内の受信ポイント(Pc)の近傍に配置されていることを特徴とするデータ記録システム。
【0033】
請求項8に記載の発明は、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記伝送路(La)は片方向通信の伝送路であり、
前記比較記録装置(30)は、前記複数の伝送ポイント(Pa,Pc)の内の送信ポイント(Pa)の近傍に配置されていることを特徴とするデータ記録システム。
【0034】
請求項9に記載の発明は、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記データは、MPEG2におけるTSであることを特徴とするデータ記録システム。
【0035】
請求項10に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【0036】
請求項11に記載の発明は、
請求項1〜9のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0037】
<用語の説明>
上術した[課題を解決するための手段]と後述する[発明の効果]に記載した( )内の符号等は、後述する[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材・構成要素の符号に対応したものである。
そして、[課題を解決するための手段][発明の効果]に記載した構成部材・構成要素と、[発明を実施するための最良の形態]に記載した構成部材・構成要素との対応関係は以下のようになっている。
【0038】
[データ]は、MPEG2におけるTSに該当する。
「第1記録装置」は、HDD45に該当する。
「第2記録装置」は、HDD55に該当する。
「データ列」は、パケット群に該当する。
「位置識別情報」は、時系列を表す情報である符号t1〜t4に該当する。
「装置識別情報」は、符号A〜Dに該当する。
【0039】
<請求項1:第1実施形態に該当>
請求項1では、後述する[第1実施形態の作用・効果]に記載した[1−2]と同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項1によれば、データ(TS)の伝送路(La)における複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)にて取得したデータを少ない記録容量の第1記録装置(45)および第2記録装置(55)で効率良く記録保存可能なデータ記録システム(10)を低コストに実現できる。
【0040】
<請求項2:第1実施形態に該当>
請求項2では、[第1実施形態の作用・効果]に記載した[1−4]と同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項2によれば、複数の取得記録装置(20A〜20D)がそれぞれ取得した分割前のデータ(TS)を、比較記録装置(30)によって復元することができる。
【0041】
<請求項3:第4実施形態に該当>
請求項3では、後述する[第4実施形態の作用・効果]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項3によれば、双方向通信回線(Lb)を介して各取得記録装置(20A〜20D)から比較記録装置(30)へ送信されるデータ列の数を減らすことが可能になるため、双方向通信回線(Lb)にかかる負荷を低減することができる。
【0042】
<請求項4:第1実施形態に該当>
請求項4では、[第1実施形態の作用・効果]に記載した[1−5]と同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項4によれば、比較記録装置(30)は複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)におけるデータ(TS)のエラー発生を判定することが可能になるため、どの伝送ポイント間でデータのエラーが発生したかを容易に判定できる。
【0043】
<請求項5:第1実施形態に該当>
請求項5では、[第1実施形態の作用・効果]に記載した[1−5]の[第1表示方法]と同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項5によれば、複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)におけるデータ(TS)のエラー発生状況について、各伝送ポイント毎に時系列で所定期間分だけ表示装置(61)に一覧表示されるため、データ記録システム(10)の運用管理者は、表示装置の表示画面(61a)を一目するだけで前記エラー発生状況を確認可能であり、多量に発生するエラーを確実に監視することができる。
【0044】
<請求項6:第1実施形態に該当>
請求項6では、[第1実施形態の作用・効果]に記載した[1−5]の[第2表示方法]と同じ作用・効果を得ることができる。
従って、請求項6によれば、複数の伝送ポイント(Pa〜Pd)の少なくともいずれか1つにおけるデータ(TS)のエラー発生状況について、時系列で所定期間分だけ表示装置(61)に一覧表示されるため、データ記録システム(10)の運用管理者は、表示装置の表示画面(61a)を一目するだけで前記エラー発生状況を確認可能であり、多量に発生するエラーを確実に監視することができる。
【0045】
<請求項7:第2実施形態に該当>
請求項7では、後述する[第2実施形態の作用・効果]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0046】
<請求項8:第3実施形態に該当>
請求項8では、後述する[第3実施形態の作用・効果]に記載したのと同じ作用・効果を得ることができる。
【0047】
<請求項9>
請求項9では、MPEG2におけるTSを記録するシステムに適用することにより、TSに関して請求項1〜8の前記作用・効果を得ることができる。
【0048】
<請求項10、請求項11>
請求項10によれば、請求項1〜9のいずれか1項に記載のデータ記録システムを実現するようにコンピュータシステムを機能させるためのプログラムを提供できる。
また、請求項11によれば、請求項10のプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供できる。
【0049】
このプログラムは、例えば、ROMやバックアップRAMをコンピュータで読み取り可能な記録媒体として前記プログラムを記録しておき、このROMまたはバックアップRAMをコンピュータシステムに組み込んで用いることができる。
この他、前記プログラムを、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を備えた外部記録装置(外部記憶装置)に記録(記憶)しておき、当該プログラムを必要に応じて外部記録装置からコンピュータシステムにロードして用いるようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略してある。
【0051】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のデータ記録システム10の全体概略構成を示すブロック図である。
データ記録システム10は、MPEG2によるデジタル放送に適用した例であり、取得記録装置20A〜20Dおよび比較記録装置30から構成されている。
【0052】
各取得記録装置20A〜20Dは、TSの伝送路Laにおける各伝送ポイントPa〜Pdにそれぞれ設置されており、その伝送ポイントPa〜PdにてTSを取得する。
送信ポイント(送信箇所)としての伝送ポイントPaは、放送局に設置された送信機11が伝送路Laを介してTSを出力する箇所である。
中継ポイント(中継箇所)としての伝送ポイントPbは、中継局に設置された送受信機12が伝送路Laを介してTSを入力する箇所である。
受信ポイント(受信箇所)としての伝送ポイントPc,Pdは、視聴者が持つ受信機13a,13bが伝送路Laを介してTSを入力する箇所である。
尚、各取得記録装置20A〜20Dには、伝送路La中に接続された分配器(図示略)によって分配されたTSが入力される。そのため、各取得記録装置20A〜20Dを設けることにより、伝送路Laを伝送されるTSが何らかの影響を受けることはない。
【0053】
比較記録装置30は、各伝送ポイントPa〜Pdとは関係なく、各取得記録装置20A〜20Dとは別個に設置されており、双方向通信回線Lbを介して各取得記録装置20A〜20Dと接続されている。
尚、双方向通信回線Lbは、例えば、ISDN(Integrated Services Digital Network)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)などを含む公衆電話回線を利用したインターネット、CATVやLAN(Local Area Network)などの専用通信回線、光通信回線、無線回線などから構成される。
また、伝送路Laは、片方向通信のエラーフリーではない伝送路であり、例えば、放送電波、専用通信回線、光通信回線などから構成される。
【0054】
図2は、取得記録装置20A〜20Dおよび比較記録装置30の概略構成を示すブロック図である。
【0055】
各取得記録装置20A〜20Dはそれぞれ、CPU(Central Processing Unit)41,ROM(Read Only Memory)42,RAM(Random Access Memory)43,入出力装置(I/O)44,HDD(Hard Disk Drive)45などを備えた周知のマイクロコンピュータシステム(以下、「マイコン」と略称する)46を含んで構成されている。
各取得記録装置20A〜20Dは、ROM42に記憶(記録)されているソフトウェアのコンピュータプログラムをCPU41にロードし、そのコンピュータプログラムに従って各種演算処理を実行することにより、後述する動作を行う。
【0056】
比較記録装置30は、コンピュータ本体50、入力装置60、表示装置61などから構成されている。
コンピュータ本体50は、CPU51,ROM52,RAM53,入出力装置54,HDD55などを備えた周知のマイコンによって構成されている。
比較記録装置30は、ROM52に記憶されているソフトウェアのコンピュータプログラムをCPU51にロードし、そのコンピュータプログラムに従って各種演算処理を実行することにより、後述する動作を行う。
【0057】
ところで、前記コンピュータプログラムを、マイコン46やコンピュータ本体50に内蔵したROM42,52ではなく、マイコン46やコンピュータ本体50に内蔵した図示しないバックアップRAMや、コンピュータで読み取り可能な記録媒体を備えた図示しない外部記録装置(外部記憶装置)に記録(記憶)しておき、当該コンピュータプログラムを必要に応じてバックアップRAMや外部記録装置からCPU41,51にロードして用いるようにしてもよい。
ちなみに、コンピュータで読み取り可能な記録媒体には、例えば、半導体メモリ、HD(Hard Disk)、光ディスク(CD−ROM,DVDなど)、光磁気ディスク(MOなど)、相変化ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどがある。
【0058】
入力装置60は、例えば、キーボードやポインティングデバイスなどから構成されており、データ記録システム10の運用管理者からの指示命令をデータ信号に変換し、そのデータ信号をコンピュータ本体50の入出力装置54を介してCPU51へ転送する。
表示装置61は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などの各種方式のディスプレイから構成されており、コンピュータ本体50の入出力装置54を介して転送されてくるCPU51の処理結果(比較記録装置30の判定結果)を表示画面(モニタ画面)61aに表示して運用管理者に通知する。
【0059】
各取得記録装置20A〜20Dのマイコン46の入出力装置44と、比較記録装置30のコンピュータ本体50の入出力装置54とは双方向通信回線Lbを介して接続されている。
尚、各装置20A〜20D,30には、市販のパーソナルコンピュータを使用してもよい。
【0060】
[取得記録装置20A〜20Dの動作]
各取得記録装置20A〜20Dは、伝送路Laにおける各伝送ポイントPa〜Pd毎にTSを取得する。
そして、各取得記録装置20A〜20Dは、TSに含まれるTOT(Time Offset Table)パケット毎にTSを分割し、その分割されたTSから成るパケット群(データ列パケット)を生成し、そのパケット群をHDD45に記録保存する。
尚、TOTパケットは1秒〜数秒間隔でTSに挿入されていることが多い。
【0061】
図3は、取得記録装置20Aの動作を説明するための説明図である。
この例では、時刻14:10:05、14:10:06、14:10:07、14:10:08、14:10:09という具合に、TSにTOTパケットが1秒間隔で挿入されている。
そして、取得記録装置20Aは、14:10:05の時刻情報が含まれるTOTパケットからTSの分割を開始している。
【0062】
取得記録装置20Aは、TSに含まれる複数のTSパケットを、TOTパケットが現れる度にまとめてパケット群を生成する。
すなわち、取得記録装置20Aは、14:10:05の時刻情報が含まれるTOTパケットから次のTOTパケットまでの4つのTSパケットをまとめてパケット群PKT[t1,A]を生成し、14:10:06の時刻情報が含まれるTOTパケットから次のTOTパケットまでの4つのTSパケットをまとめてパケット群PKT[t2,A]を生成し、14:10:07の時刻情報が含まれるTOTパケットから次のTOTパケットまでの3つのTSパケットをまとめてパケット群PKT[t3,A]を生成し、14:10:08の時刻情報が含まれるTOTパケットから次のTOTパケットまでの5つのTSパケットをまとめてパケット群PKT[t4,A]を生成する。
尚、各パケット群PKT[t1,A],PKT[t2,A],PKT[t3,A],PKT[t4,A]はそれぞれ、1個の大きなパケットと見なすことができる。
【0063】
他の取得記録装置20B〜20Dも、取得記録装置20Aと同様に、TSを分割してパケット群を生成し、そのパケット群をHDD45に記録保存する。
すなわち、取得記録装置20Bはパケット群PKT[t1,B],PKT[t2,B],PKT[t3,B],PKT[t4,B]を生成し、取得記録装置20Cはパケット群PKT[t1,C],PKT[t2,C],PKT[t3,C],PKT[t4,C]を生成し、取得記録装置20Dはパケット群PKT[t1,D],PKT[t2,D],PKT[t3,D],PKT[t4,D]を生成する。
【0064】
次に、取得記録装置20Aは、各パケット群PKT[t1,A],PKT[t2,A],PKT[t3,A],PKT[t4,A]について、CRC(Cyclic Redundancy Check)符号を作成し、そのCRC符号とパケット群のデータサイズとを組にして各チェックコードCC[t1,A],CC[t2,A],CC[t3,A],CC[t4,A]を生成し、各チェックコードをHDD45に記録保存する。
【0065】
他の取得記録装置20B〜20Dも、取得記録装置20Aと同様に、各パケット群からそれぞれチェックコードを生成し、そのチェックコードをHDD45に記録保存する。
すなわち、取得記録装置20BはチェックコードCC[t1,B],CC[t2,B],CC[t3,B],CC[t4,B]を生成し、取得記録装置20CはチェックコードCC[t1,C],CC[t2,C],CC[t3,C],CC[t4,C]を生成し、取得記録装置20DはチェックコードCC[t1,D],CC[t2,D],CC[t3,D],CC[t4,D]を生成する。
【0066】
ここで、パケット群およびチェックコードに付加されている符号t1〜t4は、分割前のTSにおけるパケット群およびチェックコードの時系列を表す情報である。
すなわち、符号t1〜t4は、そのチェックコードに対応するパケット群が分割前のTS中のどの位置にあるのかを特定して識別するための位置識別情報として機能する。
【0067】
また、パケット群およびチェックコードに付加されている符号A〜Dはそれぞれ、各取得記録装置20A〜20Dが生成したパケット群およびチェックコードであるということを表す情報である。
すなわち、符号A〜Dは、そのパケット群およびチェックコードを生成した取得記録装置20A〜20Dを識別するための装置識別情報として機能する。
【0068】
尚、各取得記録装置20A〜20Dが生成した同じ時系列のパケット群は、エラーが発生していない場合には同じになる筈である。
すなわち、エラーが発生していない場合には、時系列t1の各パケット群PKT[t1,A],PKT[t1,B],PKT[t1,C],PKT[t1,D]は同じであり、時系列t2の各パケット群PKT[t2,A],PKT[t2,B],PKT[t2,C],PKT[t2,D]は同じであり、時系列t3の各パケット群PKT[t3,A],PKT[t3,B],PKT[t3,C],PKT[t3,D]は同じであり、時系列t4の各パケット群PKT[t4,A],PKT[t4,B],PKT[t4,C],PKT[t4,D]は同じである。
【0069】
[比較記録装置30の動作]
図4〜図13は、比較記録装置30の動作を説明するための説明図である。
まず、図4に示すように、比較記録装置30は、各取得記録装置20A〜20Dに対して一斉に、時系列t1のチェックコードを送信するように双方向通信回線Lb(図4〜図13では図示略)を介して要求命令を出す。
このとき、初期状態では、比較記録装置30のHDD55には何も記録保存されていない。
【0070】
すると、図5に示すように、各取得記録装置20A〜20Dはそれぞれ、HDD45に記録保存しておいたチェックコードから時系列t1のチェックコードCC[t1,A],CC[t1,B],CC[t1,C],CC[t1,D]を読み出し、そのチェックコードを双方向通信回線Lbを介して比較記録装置30へ送信する。
【0071】
このとき、双方向通信回線Lbの回線速度は各取得記録装置20A〜20D毎に異なるため、比較記録装置30がチェックコードを受信するタイミングも各取得記録装置20A〜20D毎に異なる。
この例では、双方向通信回線Lbの回線速度は、取得記録装置20Cが最も速く、取得記録装置20Bが2番目に速く、取得記録装置20Aが3番目に速く、取得記録装置20Dが最も遅くなっている。
【0072】
そのため、比較記録装置30は、最初に取得記録装置20CからのチェックコードCC[t1,C]を受信し、次に取得記録装置20BからのチェックコードCC[t1,B]を受信し、続いて取得記録装置20AからのチェックコードCC[t1,A]を受信し、最後に取得記録装置20DからのチェックコードCC[t1,D]を受信する。
尚、双方向通信回線Lbの回線速度は日時によって変化するため、各取得記録装置20A〜20Dの回線速度の速さも日時によって入れ替わることがある。
【0073】
そして、図6に示すように、比較記録装置30は、取得記録装置20CからのチェックコードCC[t1,C]を受信すると、そのチェックコードCC[t1,C]をHDD55に記録保存すると共に、そのチェックコードCC[t1,C]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されているかどうかを調べる。
ここで、チェックコードの値とは、CRC符号とパケット群のデータサイズの情報である。そして、チェックコードの値が同じとは、CRC符号とパケット群のデータサイズとの両方が同じということである。
【0074】
初期状態ではHDD55には何も記録保存されていないため、チェックコードCC[t1,C]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードはHDD55に記録保存されていない。
そこで、比較記録装置30は、取得記録装置20Cに対して、チェックコードCC[t1,C]に対応するパケット群PKT[t1,C]を送信するように双方向通信回線Lbを介して要求命令を出す。
【0075】
すると、図7に示すように、取得記録装置20Cは、HDD45に記録保存しておいたパケット群PKT[t1,C]を読み出し、そのパケット群PKT[t1,C]を双方向通信回線Lbを介して比較記録装置30へ送信する。
そして、比較記録装置30は、取得記録装置20Cからのパケット群PKT[t1,C]を受信すると、そのパケット群PKT[t1,C]をHDD55に記録保存する。
【0076】
次に、図8に示すように、比較記録装置30は、取得記録装置20BからのチェックコードCC[t1,B]を受信すると、そのチェックコードCC[t1,B]をHDD55に記録保存すると共に、そのチェックコードCC[t1,B]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されているかどうかを調べる。
【0077】
このとき、既にHDD55に記録保存されている取得記録装置20CからのチェックコードCC[t1,C]の値が、チェックコードCC[t1,B]の値と同じであったとする。
ここで、チェックコードの値が同じということは、そのチェックコードに対応するパケット群も同じであるということに他ならない。
【0078】
そこで、比較記録装置30は、チェックコードCC[t1,B]に対応するパケット群PKT[t1,B]が、チェックコードCC[t1,C]に対応するパケット群PKT[t1,C]と同じであることを示すリンク情報LK[t1,B]→Cを生成し、そのリンク情報LK[t1,B]→CをHDD55に記録保存する。
【0079】
ここで、リンク情報に付加されている符号t1〜t4は、そのリンク情報に対応するパケット群の分割前のTSにおける時系列を表す情報である。
また、リンク情報に付加されている符号A〜Dはそれぞれ、そのリンク情報に対応するパケット群を生成した取得記録装置20A〜20Dを識別するための情報である。
【0080】
続いて、図9に示すように、比較記録装置30は、取得記録装置20AからのチェックコードCC[t1,A]を受信すると、そのチェックコードCC[t1,A]をHDD55に記録保存すると共に、そのチェックコードCC[t1,A]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されているかどうかを調べる。
【0081】
このとき、チェックコードCC[t1,A]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードはHDD55に記録保存されていないとする。
そこで、比較記録装置30は、取得記録装置20Aに対して、チェックコードCC[t1,A]に対応するパケット群PKT[t1,A]を送信するように双方向通信回線Lbを介して要求命令を出す。
【0082】
すると、図10に示すように、取得記録装置20Aは、HDD45に記録保存しておいたパケット群PKT[t1,A]を読み出し、そのパケット群PKT[t1,A]を双方向通信回線Lbを介して比較記録装置30へ送信する。
そして、比較記録装置30は、取得記録装置20Aからのパケット群PKT[t1,A]を受信すると、そのパケット群PKT[t1,A]をHDD55に記録保存する。
【0083】
最後に、図11に示すように、比較記録装置30は、取得記録装置20DからのチェックコードCC[t1,D]を受信すると、そのチェックコードCC[t1,D]をHDD55に記録保存すると共に、そのチェックコードCC[t1,D]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されているかどうかを調べる。
【0084】
このとき、既にHDD55に記録保存されている取得記録装置20CからのチェックコードCC[t1,C]の値が、チェックコードCC[t1,D]の値と同じであったとする。
すると、比較記録装置30は、チェックコードCC[t1,D]に対応するパケット群PKT[t1,D]が、チェックコードCC[t1,C]に対応するパケット群PKT[t1,C]と同じであることを示すリンク情報LK[t1,D]→Cを生成し、そのリンク情報LK[t1,D]→CをHDD55に記録保存する。
【0085】
尚、この例では、各取得記録装置20A〜20Dからのチェックコードおよびパケット群が比較記録装置30にて1つずつ受信されているが、複数のチェックコードおよびパケット群が比較記録装置30にて同時に受信された場合には、図4〜図11に示す動作を同時に並行して行う。
【0086】
図12に示すように、比較記録装置30は、時系列t2〜t4についても、時系列t1と同様にして、チェックコード,パケット群,リンク情報をHDD55に記録保存する。
この例では、時系列t2について、各チェックコードCC[t2,A],CC[t2,B],CC[t2,C],CC[t2,D]、パケット群PKT[t2,A]、各リンク情報LK[t2,B]→A,LK[t2,C]→A,LK[t2,D]→Aが記録保存されている。
また、時系列t3について、各チェックコードCC[t3,A],CC[t3,B],CC[t3,C],CC[t3,D]、各パケット群PKT[t3,C],PKT[t3,D]、各リンク情報LK[t3,A]→C,LK[t3,B]→Cが記録保存されている。
また、時系列t4について、各チェックコードCC[t4,A],CC[t4,B],CC[t4,C],CC[t4,D]、パケット群PKT[t4,D]、各リンク情報LK[t4,A]→D,LK[t4,B]→D,LK[t4,C]→Dが記録保存されている。
【0087】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0088】
[1−1]TSの伝送路Laにおける各伝送ポイントPa〜Pdにそれぞれ設置されている各取得記録装置20A〜20Dは、各伝送ポイントPa〜PdにてTSを取得し、TSに含まれるTOTパケット毎にTSを分割し、その分割されたTSから成るパケット群を生成すると共に、そのパケット群のCRC符号とパケット群のデータサイズとを組にしてチェックコードを生成し、そのパケット群およびチェックコードをHDD45に記録保存する。
そして、各取得記録装置20A〜20Dは、双方向通信回線Lbを介して接続されている比較記録装置30から要求命令が出されると、その要求命令に従ってパケット群またはチェックコードをHDD45から読み出し、そのパケット群またはチェックコードを比較記録装置30へ送信する。
【0089】
各取得記録装置20A〜20Dと双方向通信回線Lbを介して接続されている比較記録装置30は、各取得記録装置20A〜20Dに対してチェックコードを送信するように要求命令を出し、各取得記録装置20A〜20Dから受信したチェックコードをHDD55に記録保存する。
そして、比較記録装置30は、各取得記録装置20A〜20Dから受信したチェックコードについて、そのチェックコードと同じ時系列で同じ値のチェックコードがHDD55に既に記録保存されているかどうかを調べる。
【0090】
その結果、各取得記録装置20A〜20Dから受信したチェックコードと同じ時系列で同じ値のチェックコードがHDD55に既に記録保存されていた場合、比較記録装置30は、受信したチェックコードに対応するパケット群が、そのチェックコードと同じ時系列で同じ値のチェックコードに対応するパケット群と同じであることを示すリンク情報を生成し、そのリンク情報をHDD55に記録保存する。
つまり、パケット群のリンク情報を生成可能な場合には、そのパケット群はHDD55に記録保存されず、リンク情報のみがHDD55に記録保存される。
【0091】
また、各取得記録装置20A〜20Dから受信したチェックコードと同じ時系列で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されていない場合、比較記録装置30は、そのチェックコードを送信した取得記録装置20A〜20Dに対して、そのチェックコードに対応するパケット群を送信するように要求命令を出し、その取得記録装置20A〜20Dから受信したパケット群をHDD55に記録保存する。
つまり、パケット群のリンク情報を生成不能な場合には、そのパケット群がHDD55に記録保存される。
【0092】
[1−2]各取得記録装置20A〜20Dは、TSの伝送路Laにおける各伝送ポイントPa〜Pd毎に設置されている。
そして、比較記録装置30は、各取得記録装置20A〜20DがTSから生成した全てのチェックコードについてはHDD55に記録保存するものの、各取得記録装置20A〜20DがTSから生成したパケット群については、リンク情報が生成不能なパケット群のみをHDD55に記録保存し、リンク情報が生成可能なパケット群はHDD55に記録保存せずリンク情報のみをHDD55に記録保存する。
【0093】
ここで、パケット群のデータサイズに比べ、チェックコードおよびリンク情報のデータサイズは遙かに小さい。
また、各伝送ポイントPa〜Pd間でエラーが発生していない場合にはリンク情報が生成可能であり、通常の状況ではエラー発生が頻発することはないことからほぼ確実にリンク情報を生成できる。
【0094】
そのため、各取得記録装置20A〜20DがTSから生成した全てのパケット群を比較記録装置30のHDD55に記録保存する方法に比べ、第1実施形態では、HDD55の記録容量を非常に小さくすることができる。
【0095】
また、各取得記録装置20A〜20DがTSから生成した全てのパケット群を比較記録装置30へ送信する方法に比べ、第1実施形態では双方向通信回線Lbにかかる負荷を低減できる。
【0096】
従って、第1実施形態によれば、伝送ポイントにエラー監視装置を設置する従来技術に比べ、取得記録装置を設置する伝送ポイントの数が多くなるほど、システム全体の設置コストを低く抑えることができる。
【0097】
また、各取得記録装置20A〜20Dが生成したチェックコードおよびパケット群は、比較記録装置30のHDD55にチェックコードおよびパケット群またはリンク情報として記録保存される。
そのため、各取得記録装置20A〜20Dは、比較記録装置30へチェックコードを送信してから所定期間経過後に、HDD45に記録保存したチェックコードおよびパケット群を自動的に削除(消去)すればよい。
【0098】
尚、前記所定期間は、各取得記録装置20A〜20Dから送信されたチェックコードを比較記録装置30が受信するのに要する時間と、比較記録装置30がチェックコードを受信してからパケット群の要求命令を生成するのに要する時間と、比較記録装置30から送信された要求命令を各取得記録装置20A〜20Dが受信するのに要する時間と、各取得記録装置20A〜20Dから送信されたパケット群を比較記録装置30が受信するのに要する時間と、実際の双方向通信回線Lbの回線速度と、比較記録装置30の故障時や双方向通信回線Lbの障害発生時における復旧までに要する時間などとを勘案し、カット・アンド・トライで実験的に最適値を見つけて設定すればよく、例えば、30秒間〜数日間に設定すればよい。
【0099】
従って、データ伝送の運用管理者がTSのエラー発生原因の調査を行う際に、長期間(例えば、数日間〜数週間)に渡るエラーの発生状況を検討する場合でも、第1実施形態では、各取得記録装置20A〜20DのHDD45に当該長期間のチェックコードおよびパケット群を記録保存しておく必要がないため、記録容量が小さい安価なHDD45を使用できる。
【0100】
その結果、第1実施形態によれば、長期間に渡るエラーの発生状況を検討する場合に高価な大容量の記録媒体をエラー監視装置内に設けなければならない従来技術に比べ、システム全体の設置コストを低く抑えることができる。
【0101】
ところで、特許文献2の放送番組記録装置を各伝送ポイントPa〜Pd毎に設置しておき、各伝送ポイントPa〜Pdにて取得されたTSをそれぞれの放送番組記録装置に記録することが考えられる。
ここで、特許文献2の請求項1に記載の技術では、一時記憶手段と大容量の記憶手段とを備える。
また、特許文献2の請求項2に記載の技術では、第1の記憶手段,第2の記憶手段,第3の記憶手段を備え、特許文献2の第1の実施形態には、第1の記憶手段としての一次記憶装置はRAMによって具体化され、第2の記憶手段としての二次記憶装置はHDによって具体化され、第3の記憶手段としての三次記憶装置は磁気テープによって具体化され、その磁気テープを交換するためのオートチェンジャを備えることが記載されている。
【0102】
そのため、特許文献2の放送番組記録装置は、1個のHDD45を備えるだけの各取得記録装置20A〜20Dに比べて非常に高価になる。
従って、第1実施形態によれば、伝送ポイントに特許文献2の放送番組記録装置を設置する技術に比べ、取得記録装置を設置する伝送ポイントの数が多くなるほど、システム全体の設置コストを低く抑えることができる。
【0103】
このように、第1実施形態によれば、TSの伝送路における複数の伝送ポイントにて取得したTSを少ない記録容量のHDD45,55で効率良く記録保存可能なデータ記録システム10を低コストに実現できる。
【0104】
[1−3]比較記録装置30は、チェックコード,パケット群,リンク情報をHDD55に記録保存する際に、時系列および対応する取得記録装置20A〜20Dに基づいて、チェックコード,パケット群,リンク情報をHDD55から容易に検索して読み出せるような方法で記録保存する必要があり、その方法には例えば以下のようなものがある。
【0105】
[3−a]チェックコードには保存ファイル名として「時系列を表す符号 取得記録装置を表す符号.chk」を付け、パケット群には保存ファイル名として「時系列を表す符号 取得記録装置を表す符号.ts」を付け、リンク情報には保存ファイル名として「時系列を表す符号 取得記録装置を表す符号.lnk」を付けることにより、ファイルとして管理する方法。
例えば、時系列t1で取得記録装置20Aの場合には、チェックコードには保存ファイル名として「t1 A.chk」を付け、パケット群には保存ファイル名として「t1 A.ts」を付け、リンク情報には保存ファイル名として「t1 A.lnk」を付ける。
この場合には、保存ファイル名における「時系列を表す符号」「取得記録装置を表す符号」「lnk」を特定することにより、チェックコード,パケット群,リンク情報をHDD55から検索する。
【0106】
[3−b]チェックコード,パケット群,リンク情報のそれぞれについて、保存ファイル名としてシーケンス番号を付与すると共に、そのシーケンス番号を管理するためのデータベースをHDD55内に設けておく方法。
この場合には、データベースを検索してシーケンス番号を特定することにより、そのシーケンス番号が付与されたチェックコード,パケット群,リンク情報をHDD55から検索する。
【0107】
[3−c]チェックコードおよびリンク情報は、データサイズが小さいもののデータ数は多い。逆に、パケット群は、データサイズが大きいもののデータ数は少ない。
前記[3−a]のようにファイルとして管理する方法は、データサイズが大きくデータ数が少ない場合に特に有効であるため、パケット群については前記[3−a]と同様の方法をとる。
また、前記[3−b]のようにシーケンス番号およびデータベースを用いて管理する方法は、データサイズが小さくデータ数が多い場合に特に有効であるため、チェックコードおよびリンク情報については前記[3−b]と同様の方法をとる。
このようにすれば、HDD55に大量のチェックコード,パケット群,リンク情報を記録保存した場合でも、検索を容易にできる。
【0108】
[1−4]図3に示すように、取得記録装置20Aは、各パケット群PKT[t1,A],PKT[t2,A],PKT[t3,A],PKT[t4,A]を生成する。
それに対して、図11に示すように、比較記録装置30のHDD55には、取得記録装置20Aから送信されてきた各パケット群PKT[t1,A],PKT[t2,A]と、各パケット群PKT[t3,A],PKT[t4,A]に対応する各リンク情報LK[t3,A]→C,LK[t4,A]→Dとが記録保存されている。
【0109】
ここで、リンク情報LK[t3,A]→Cは、チェックコードCC[t3,A]に対応するパケット群PKT[t3,A]が、チェックコードCC[t3,C]に対応するパケット群PKT[t3,C]と同じであることを示すものである。
また、リンク情報LK[t4,A]→Dは、チェックコードCC[t4,A]に対応するパケット群PKT[t4,A]が、チェックコードCC[t4,D]に対応するパケット群PKT[t4,D]と同じであることを示すものである。
【0110】
そこで、図13に示すように、比較記録装置30は、HDD55に記録保存されている複数のパケット群から、取得記録装置20Aから送信されてきたパケット群PKT[t1,A],PKT[t2,A]を読み出すと共に、取得記録装置20Aが生成したパケット群PKT[t3,A],PKT[t4,A]と同じパケット群PKT[t3,C],PKT[t4,D]を各リンク情報LK[t3,A]→C,LK[t4,A]→Dに基づいて読み出す。
そして、比較記録装置30は、読み出した各パケット群を時系列に従って結合し、連続したパケット群PKT[t1,A],PKT[t2,A],PKT[t3,C],PKT[t4,D]を生成することにより、取得記録装置20Aが取得した分割前のTSを復元(再現)する。
【0111】
このように、比較記録装置30は、HDD55に記録保存されているパケット群から、各取得記録装置20A〜20Dから受信したパケット群を読み出すと共に、各取得記録装置20A〜20Dが生成したのと同じパケット群をリンク情報に基づいて読み出す。
そして、比較記録装置30は、読み出した各パケット群を時系列に従って結合し、連続したパケット群を生成することにより、各取得記録装置20A〜20Dがそれぞれ取得した分割前のTSを復元することができる。
【0112】
尚、復元するTSの時間範囲は、データ記録システム10の運用管理者が比較記録装置30の入力装置60を用いて適宜指示すればよい。
すなわち、図13に示す例では、各パケット群PKT[t1,A]〜PKT[t4,A]のうち、パケット群PKT[t2,A],PKT[t3,A]のみを結合させたり、パケット群PKT[t1,A]〜PKT[t3,A]のみを結合させるようにしてもよい。
【0113】
[1−5]図4〜図11に示す例において、各取得記録装置20A〜20Dが生成した時系列t1の各パケット群PKT[t1,A],PKT[t1,B],PKT[t1,C],PKT[t1,D]は、エラーが発生していない場合には同じになる筈である。
ここで、各チェックコードCC[t1,B],CC[t1,C],CC[t1,D]の値は同じであり、各チェックコードCC[t1,B],CC[t1,D]に対応する各パケット群PKT[t1,B],PKT[t1,D]は、チェックコードCC[t1,C]に対応するパケット群PKT[t1,C]と同じである。
【0114】
しかし、図9に示すように、チェックコードCC[t1,A]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されていないということは、チェックコードCC[t1,A]の値と各チェックコードCC[t1,B],CC[t1,C],CC[t1,D]の値とが異なるということである。
これは、チェックコードCC[t1,A]に対応するパケット群PKT[t1,A]と、各チェックコードCC[t1,B],CC[t1,C],CC[t1,D]に対応するパケット群PKT[t1,C]とが異なるということに他ならない。
【0115】
つまり、時系列t1について、各取得記録装置20B〜20DがTSを取得した伝送ポイントPb〜Pd間ではエラーが発生していないことが分かる。
そして、時系列t1について、取得記録装置20AがTSを取得した伝送ポイントPaと、取得記録装置20BがTSを取得した伝送ポイントPbとの間でエラーが発生していることが分かる。
同様にして、図12に示す例において、各時系列t2,t4については各伝送ポイントPb〜Pd間でエラーが発生していないことが分かり、時系列t3については各伝送ポイントPc,Pd間でエラーが発生していることが分かる。
【0116】
このように、比較記録装置30は、HDD55に記録保存されているチェックコードから、同じ時系列のチェックコードの値の相違を調べ、そのチェックコードの値の相違に基づいて、各伝送ポイントPb〜Pdにおけるどの伝送ポイント間でどの時刻にTSのエラーが発生したかを容易に判定(検出)することができる。
そして、比較記録装置30は、TSのエラー発生の判定結果(検出結果)を表示装置61の表示画面61aに表示させるが、その表示方法には例えば以下のようなものがある。
【0117】
[第1表示方法]
図14は、表示装置61の表示画面61aに表示されたTSのエラー発生の判定結果の第1表示方法を示す正面図である。
表示画面61aには、縦方向に4個、横方向に24個のセルがマトリックスに配置された表が表示され、縦方向の見出しには取得記録装置20A〜20Dを示す符号が表示され、横方向の見出しには1日を1時間毎に分けた時間が表示されている。
そして、TSのエラー発生を表すセルについては、その表示色を他のセルと変えたり、表示を点滅させることにより、他のセルと区別して視認できるようにする。
【0118】
図3〜図11に示す例では、時系列t1について、取得記録装置20AがTSを取得した伝送ポイントPaと、取得記録装置20BがTSを取得した伝送ポイントPbとの間でエラーが発生している。
ここで、時系列t1は時刻14:10:05に該当する。そして、時系列t1において、取得記録装置20Aが生成したパケット群PKT[t1,A]と、各取得記録装置20B〜20Dが生成した各パケット群PKT[t1,B],PKT[t1,C],PKT[t1,D]とが異なる。
そのため、図14に示すように、表示画面61aでは、14時における各取得記録装置20B〜20Dを示す3つのセルの表示色が変えられている。
【0119】
ところで、図14に示す例では、特定の年月日(2007年3月7日)の24時間分が表示されているが、「前日を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより前日(2007年3月6日)の24時間分が表示され、「翌日を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより翌日(2007年3月8日)の24時間分が表示される。
【0120】
尚、図14に示す例に限らず、横方向に60個のセルを配置すると共に、横方向の見出しに特定の1時間を1分毎に分けた時間を表示するようにしてもよい。
また、横方向に7個のセルを配置すると共に、横方向の見出しに特定の1週間を1日毎に分けた日付(曜日)を表示するようにしてもよい。
また、横方向に31個のセルを配置すると共に、横方向の見出しに特定の1ヶ月間を1日毎に分けた日付を表示するようにしてもよい。
そして、表示画面61aに表示されている任意のセルを入力装置60を用いて指定することにより、これらの表示を切り替えるようにしてもよい。
【0121】
ところで、TSのエラーの判定方法には、同じ時系列のチェックコードの値の相違を調べる以外に、例えば以下のようなものがある。
【0122】
[5−a]比較記録装置30から各取得記録装置20A〜20Dに対してチェックコードの要求命令を出したときに、各取得記録装置20A〜20Dからチェックコードが送信されたかどうかを判定することにより、各取得記録装置20A〜20Dがパケット群を正常に生成できたかどうかを調べる方法。
【0123】
[5−b]各取得記録装置20A〜20Dが各伝送ポイントPa〜Pdにて取得したTSを構成する各TSパケットにフォーマット異常があるかどうかを調べる方法。
ちなみに、TSパケットのフォーマット異常には、例えば、データ化けによりTSパケットとして認識できない場合や、TOTパケットに含まれる時刻情報の値が異常な場合などがある。
【0124】
[第2表示方法]
図15は、表示装置61の表示画面61aに表示されたTSのエラー発生の判定結果の第2表示方法を示す正面図である。
表示画面61aには、縦方向に24個、横方向に31個のセルがマトリックスに配置された表が表示され、縦方向の見出しには1日を1時間毎に分けた時間が表示され、横方向の見出しには1ヶ月間を1日毎に分けた日付が表示されている。
そして、TSのエラー発生を表すセルについては、その表示色を他のセルと変えたり、表示を点滅させることにより、他のセルと区別して視認できるようにする。
【0125】
この第2表示方法では、各取得記録装置20A〜20Dの内のどれか1台の装置でも、前記判定方法によってエラー発生を判定した場合には、そのエラーの発生した日時に対応するセルの表示色が変えられるようになっている。
【0126】
ところで、図15に示す例では、特定の年月(2007年3月7日)の1ヶ月分が表示されているが、「前月を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより前月(2007年2月)の1ヶ月分が表示され、「翌月を表示」と記されている設定選択ボタンを入力装置60を用いて操作することにより翌月(2007年4月)の1ヶ月分が表示される。
【0127】
尚、図15に示す例に限らず、縦横方向にそれぞれ60個のセルをマトリックスに配置すると共に、縦方向の見出しに1分間を1秒毎に分けた時間を表示し、横方向の見出しに特定の1時間を1分毎に分けた時間を表示するようにしてもよい。
また、縦方向に24個、横方向に7個のセルをマトリックスに配置すると共に、縦方向の見出しに1日を1時間毎に分けた時間を表示し、横方向の見出しに特定の1週間を1日毎に分けた日付(曜日)を表示するようにしてもよい。
そして、表示画面61aに表示されている任意のセルを入力装置60を用いて指定することにより、これらの表示を切り替えるようにしてもよい。
【0128】
ところで、第1表示方法および第2表示方法において、表示画面61aに表示されているセルを入力装置60を用いて指定することにより、その指定したセルに該当する取得記録装置20A〜20Dが取得した分割前のTSを比較記録装置30から出力させるようにしてもよい。
すなわち、復元対象の時刻範囲や取得記録装置を指定するために、表示画面61aに表示されているセルを入力装置60を用いて指定するようにしてもよい。
例えば、図14において、表示画面61aに表示されているセルCLを指定した場合には、取得記録装置20Dにおける2007年3月7日14時台のTSを復元する指定となる。
また、特定のエラーの有無のみを表示画面61aに表示させるようにしてもよい。
そして、比較記録装置30は、TSのエラーの判定結果をHDD55に記録保存するようにしてもよい。
【0129】
このように、第1表示方法および第2表示方法を用いることにより、データ記録システム10の運用管理者は、比較記録装置30の表示装置61の表示画面61aを一目するだけで所定期間におけるTSのエラーの発生状況を確認可能であり、多量に発生するTSのエラーを確実に監視することができる。
【0130】
<第2実施形態>
図16は、第2実施形態のデータ記録システム70の全体概略構成を示すブロック図である。
データ記録システム70は、MPEG2によるデジタル放送に適用した例であり、取得記録装置20A,20Cおよび比較記録装置30から構成されている。
第2実施形態のデータ記録システム70において、第1実施形態のデータ記録システム10と異なるのは以下の点だけである。
【0131】
[2−1]各取得記録装置20B,20Dが省かれている。
[2−2]送信ポイントとしての伝送ポイントPaは、テレビジョンの撮影地点に設置された送信機11が伝送路Laを介してTSを出力する箇所である。
[2−3]受信ポイントとしての伝送ポイントPcは、放送局に設置された受信機13aが伝送路Laを介してTSを入力する箇所である。
[2−4]比較記録装置30は伝送ポイントPcの近傍に配置されている。
第2実施形態における各取得記録装置20A,20Cおよび比較記録装置30の動作は、第1実施形態と同じである。
【0132】
[第2実施形態の作用・効果]
一般的に高速伝送路は高価である。1方向の伝送路に対して、双方向の伝送路を利用するには、利用すべき光ファイバ等の数が2倍に増えることもあったり、放送のように1箇所から複数箇所に対して伝送する場合は、必然的に片方向伝送になることが多い。
【0133】
一般的にこのような伝送路では、TS自体にエラー補正用のデータを含めて伝送することが多いが、何時如何なる時でもエラーを補正しようとすると、補正用のデータサイズが大きくなり伝送帯域が増えてしまうばかりか、送信ポイントでエラー補正コードを計算して付加する処理や受信ポイントでエラー補正コードを用いて補正する処理の負荷が増し、その処理を行うために高価な演算処理装置が必要になる。
【0134】
これに対し第2実施形態では、双方向通信回線Lbに安価な低速回線を用い、データ化けの検出のみを目的とした小サイズかつ演算処理の容易なチェックコードを伝送し、データ化けが発生した場合のみにその部分の元データであるパケット群のみを双方向通信回線Lbを介して伝送すればよく、高価な演算処理装置や高速回線が不要である。
【0135】
また、テレビジョンの撮影地点で撮影された映像を、撮影地点に設置された送信機11から放送局に設置された受信機13aまで送信し、その映像を放送局にてすぐさま編集して放送しなければならないような緊急性が要求される場面がある。
このような場合において、これまでは、エラーが混入したTSを元にして、放送用の「完パケ」と呼ばれる映像データを作成する形が多かった。
【0136】
しかし、第2実施形態では、高速回線である伝送路Laを介して受信機13aが受信したTSに多少のエラーが混入していたとしても、そのTSを元に編集用のIN点/OUT点などのデータ作成に代表される編集作業を行っている内に、その編集作業に並行して、取得記録装置20Aから送信機11から双方向通信回線Lbを介して比較記録装置30へエラー混入がないパケット群が送信されてくる。
【0137】
そのため、第2実施形態によれば、エラー混入がない正常なパケット群をエラーが混入している異常なパケット群に置き換えることにより、編集後の「完パケ」の映像データを生成する段階では、TSを構成する全てのパケット群がエラー混入のない正常なものとなっている状態を作ることが可能になり、伝送路Laの信頼性を向上させることができる。
【0138】
尚、第2実施形態において、取得記録装置20Cのマイコン46の機能を、比較記録装置30のコンピュータ本体50の機能に包含させ、コンピュータ本体50に取得記録装置20Cの前記動作を実行させることにより、取得記録装置20Cと比較記録装置30を一体化させるようにしてもよい。
このようにすれば、取得記録装置20Cのハードウェアを省くことが可能になるため、第2実施形態のデータ記録システム70を更に低コストに実現できる。
【0139】
<第3実施形態>
図17は、第3実施形態のデータ記録システム80の全体概略構成を示すブロック図である。
データ記録システム80は、MPEG2によるデジタル放送に適用した例であり、取得記録装置20A,20Cおよび比較記録装置30から構成されている。
第3実施形態のデータ記録システム80において、第1実施形態のデータ記録システム10と異なるのは以下の点だけである。
【0140】
[3−1]各取得記録装置20B,20Dが省かれている。
[3−2]比較記録装置30は、送信ポイントとしての伝送ポイントPaの近傍に配置されている。
第3実施形態における各取得記録装置20A,20Cおよび比較記録装置30の動作は、第1実施形態と同じである。
【0141】
[第3実施形態の作用・効果]
デジタル放送の信頼性を高めるには、送信機11から伝送路Laを介して受信機13aへTSを伝送する際に、受信機13aが受信したTSにエラーが混入されているかどうかを送信機11が設置されている放送局側で確認する必要がある。
【0142】
これまでは、送信用の伝送路Laと同等以上の回線速度をもった受信用の伝送路を設置すると共に、送信機11が設置されている放送局に確認用の受信機を設置しておき、受信ポイントしての伝送ポイントPcと放送局の確認用受信機とを受信用の伝送路を介して接続し、視聴者の受信機13aが受信したTSを伝送ポイントPcから受信用の伝送路を介して放送局の確認用受信機へ伝送するようにしていた。
【0143】
しかし、第3実施形態では、放送局に設置した比較記録装置30において、第1実施形態の前記[4]により、取得記録装置20Cが伝送ポイントPcにて取得したTS(受信機13aが受信したTS)を復元することが可能であり、放送局側では比較記録装置30が復元したTSを確認すればよいため、受信用の伝送路および放送局の確認用受信機を設置する必要がなく、コストを削減することができる。
【0144】
尚、第3実施形態において、取得記録装置20Aのマイコン46の機能を、比較記録装置30のコンピュータ本体50の機能に包含させ、コンピュータ本体50に取得記録装置20Aの前記動作を実行させることにより、取得記録装置20Aと比較記録装置30を一体化させるようにしてもよい。
このようにすれば、取得記録装置20Aのハードウェアを省くことが可能になるため、第3実施形態のデータ記録システム80を更に低コストに実現できる。
【0145】
<第4実施形態>
図18は、第4実施形態のデータ記録システム90の全体概略構成を示すブロック図である。
データ記録システム90は、MPEG2によるデジタル放送に適用した例であり、各取得記録装置20A〜20Dおよび比較記録装置30から構成されている。
第4実施形態のデータ記録システム90において、第1実施形態のデータ記録システム10と異なるのは、比較記録装置30が受信ポイントとしての伝送ポイントPcの近傍に配置されている点だけである。
第4実施形態における各取得記録装置20A,20Cの動作は、第1実施形態と同じである。
【0146】
図4〜図8,図19,図11,図20は、第4実施形態の比較記録装置30の動作を説明するための説明図である。
第4実施形態の比較記録装置30は、第1実施形態の比較記録装置30における図4〜図8に示したのと同じ動作を行う。
【0147】
第1実施形態の比較記録装置30は、チェックコードCC[t1,A]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されていない場合には、図9に示すように、取得記録装置20Aに対して、チェックコードCC[t1,A]に対応するパケット群PKT[t1,A]を送信するように双方向通信回線Lbを介して要求命令を出す。
【0148】
それに対して、第4実施形態の比較記録装置30は、チェックコードCC[t1,A]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されていない場合には、図19に示すように、チェックコードCC[t1,A]と同じ時系列t1で同じ値のチェックコードがHDD55に記録保存されていないことを示すブランク情報BLK[t1,A]を生成し、そのブランク情報BLK[t1,A]をHDD55に記録保存する。
【0149】
ここで、ブランク情報に付加されている符号t1〜t4は、そのブランク情報に対応するパケット群の分割前のTSにおける時系列を表す情報である。
また、ブランク情報に付加されている符号A〜Dはそれぞれ、そのブランク情報に対応するパケット群を生成した取得記録装置20A〜20Dを識別するための情報である。
【0150】
次に、第4実施形態の比較記録装置30は、第1実施形態の比較記録装置30における図11に示したのと同じ動作を行う。
その結果、図20に示すように、第4実施形態の比較記録装置30のHDD55には、時系列t1について、各チェックコードCC[t1,A],CC[t1,B],CC[t1,C],CC[t1,D]、パケット群PKT[t1,C]、各リンク情報LK[t1,B]→C,LK[t1,D]→C、ブランク情報BLK[t1,A]が記録保存される。
【0151】
[第4実施形態の作用・効果]
第4実施形態の比較記録装置30は、図6に示すように、比較記録装置30と同じ伝送ポイントPcに配置されている取得記録装置20Cに対しては、チェックコードCC[t1,C]に対応するパケット群PKT[t1,C]を送信するように双方向通信回線Lbを介して要求命令を出す。
【0152】
しかし、第4実施形態の比較記録装置30は、図19に示すように、比較記録装置30とは別の伝送ポイントPaに配置されている取得記録装置20Aに対しては、チェックコードCC[t1,A]に対応するパケット群PKT[t1,A]の要求命令を出さず、その代わりに、ブランク情報BLK[t1,A]を生成してHDD55に記録保存する。
【0153】
そして、第4実施形態の比較記録装置30は、図13に示すように、取得記録装置20Aが取得した分割前のTSを復元するときに初めて、HDD55に記録保存しておいたブランク情報BLK[t1,A]に基づき、そのブランク情報BLK[t1,A]に対応するチェックコードCC[t1,A]を送信した取得記録装置20Aに対して、チェックコードCC[t1,A]に対応するパケット群PKT[t1,A]を送信するように双方向通信回線Lbを介して要求命令を出す。
すると、取得記録装置20Aは、HDD45に記録保存しておいたパケット群PKT[t1,A]を読み出し、そのパケット群PKT[t1,A]を双方向通信回線Lbを介して比較記録装置30へ送信する。
【0154】
そこで、第4実施形態の比較記録装置30は、取得記録装置20Aからのパケット群PKT[t1,A]を受信すると、そのパケット群PKT[t1,A]をHDD55に記録保存すると共に、HDD55に記録保存しておいたブランク情報BLK[t1,A]を削除する。
そして、第4実施形態の比較記録装置30は、第1実施形態の前記[4]と同じく、取得記録装置20Aが取得した分割前のTSを復元する。
【0155】
従って、第4実施形態によれば、双方向通信回線Lbを介して取得記録装置20Aから比較記録装置30へ送信されるパケット群の数を減らすことが可能になるため、双方向通信回線Lbにかかる負荷を低減することができる。
【0156】
ここで、第4実施形態において、比較記録装置30と同じ伝送ポイントPcに配置されている取得記録装置20Cに対してのみパケット群の要求命令を出す理由は、同じ伝送ポイントPcに配置されている各装置20C,30間では、異なる伝送ポイントPa,Pb,Pdに配置されている取得記録装置20A,20C,20Dと比較記録装置30との間に比べて、パケット群を送信する際に双方向通信回線Lbにかかる負荷が小さいためである。
つまり、比較記録装置30と同じ伝送ポイントPcに配置されている取得記録装置20Cに対して、パケット群の要求命令を出さないようにしても、双方向通信回線Lbにかかる負荷はほとんど低減されず特別な効果は得られない。
【0157】
ところで、第4実施形態の比較記録装置30は、各取得記録装置20A〜20Dが取得した分割前のTSを復元するときに初めて、各取得記録装置20A〜20Dに対してパケット群の要求命令を出す。
そのため、各取得記録装置20A〜20Dに対してパケット群の要求命令が出されるより前に、各取得記録装置20A〜20DのHDD45に記録保存しておいたチェックコードおよびパケット群が自動的に削除されてしまうと、比較記録装置30がTSを復元できなくなってしまう。
そこで、第4実施形態では、比較記録装置30から各取得記録装置20A〜20Dに対してパケット群の要求命令が出された後に、そのパケット群を各取得記録装置20A〜20DのHDD45から削除する必要がある。
【0158】
尚、第4実施形態においても、第1実施形態と同様に、比較記録装置30が各伝送ポイントPa〜Pdとは関係なく各取得記録装置20A〜20Cとは別個に配置されている場合には、比較記録装置30は、全ての取得記録装置20A〜20Cに対してパケット群の要求命令を出さず、その代わりにブランク情報を生成してHDD55に記録すればよい。
このようにすれば、双方向通信回線Lbを介して各取得記録装置20A〜20Dから比較記録装置30へ送信されるパケット群の数を減らすことが可能になるため、双方向通信回線Lbにかかる負荷を低減することができる。
【0159】
<別の実施形態>
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0160】
[1]上記各実施形態において、各取得記録装置20A〜20Dは、TSに含まれるTOTパケット毎にTSを分割し、その分割されたTSから成るパケット群を生成している。
しかし、TSの分割方法(分割規則)には、TOTパケットを利用する方法以外に、例えば以下のようなものがある。
尚、TSを分割する際には、TSに多重化されているオーディオESおよびビデオESのいずれか一方のみを抜き出し、その抜き出したESを分割してもよい。
【0161】
[a]PCRやPES内のDTS(Decoding. Time Stamp)またはPTS(Presentation Time Stamp)に基づいてTSを分割する方法。
[b]TSに特定の周期で挿入されることが分かっているPAT(Program Association Table)などのTSパケットにおける連続性指標に基づいてTSを分割する方法。
ここで、PATの周期は100ms前後、連続性指標は0〜15の範囲のため、例えば、連続性指標=0のTSパケットのみを拾えば、約1.6秒単位でTSを分割可能なため、各伝送ポイントPa〜Pd間の時間誤差が前記1.6秒に対して十分に小さければ分割方法として利用できる。
[c]TS中に含まれる雑多なデータからハッシュ関数で生成した識別コードとおおよその時刻の組とに基づいてTSを分割する方法。
[d]所定個数のTSパケットをまとめて1個のパケット群とすることにより、TSを前記所定個数ずつのTSパケットから成るパケット群に分割する方法。
【0162】
[2]上記各実施形態において、比較記録装置30は各取得記録装置20A〜20Dにチェックコードの要求命令を出す際に、時系列t1〜t4の古いものから新しいものへと順番に昇順で要求命令を出している。
しかし、時系列t1〜t4の新しいものから古いものへと順番に降順でチェックコードの要求命令を出すようにしてもよい。
また、時系列t1〜t4の昇順および降順に関係なく、適宜な順番でチェックコードの要求命令を出すようにしてもよい。
【0163】
[3]第1実施形態または第4実施形態において、各取得記録装置20A〜20Dのいずれか1台のマイコン46の機能を、比較記録装置30のコンピュータ本体50の機能に包含させ、コンピュータ本体50に各取得記録装置20A〜20Dのいずれか1台の前記動作を実行させることにより、各取得記録装置20A〜20Dのいずれか1台と比較記録装置30を一体化させるようにしてもよい。
このようにすれば、各取得記録装置20A〜20Dのいずれか1台のハードウェアを省くことが可能になるため、第1実施形態または第4実施形態のデータ記録システム10,90を更に低コストに実現できる。
【0164】
[4]第1実施形態において、各取得記録装置20A,20Bを省いた場合には、1つの伝送路Laを2つに分岐した結果を受信する各取得記録装置20C,Dと比較記録装置30のみでデータ記録システムが構成されることになる。
この場合には、受信ポイントに設置された取得記録装置を冗長化し、最終的な記録装置の記録容量を抑えたデータ記録システムとして運用可能である。
【0165】
[5]上記各実施形態では、マイコン46によるソフトウェア的な処理によって各取得記録装置20A〜20Dの前記動作を実現すると共に、コンピュータ本体50によるソフトウェア的な処理によって比較記録装置30の前記動作を実現している。
しかし、各取得記録装置20A〜20Dの前記動作を実現する機能を備えた専用の回路をハードウェアとして設けることにより、その専用回路にマイコン46を置き換えてもよい。
また、比較記録装置30の前記動作を実現する機能を備えた専用の回路をハードウェアとして設けることにより、その専用回路にコンピュータ本体50を置き換えてもよい。
【0166】
[6]上記各実施形態は記録媒体としてHDD45,55を用いているが、各取得記録装置20A〜20Dおよび比較記録装置30の前記動作を確実に行うことが可能であれば、HDD45,55をどのような記録媒体に置き換えてもよい。
【0167】
[7]上記各実施形態はMPEG2によるデジタル放送に適用しているが、MPEG2によるデータ通信に適用してもよく、その場合には伝送路Laを双方向通信回線としてもよい。
【0168】
[8]本発明は、MPEG2におけるTS(MPEG2 TS)に限らず、時系列で伝送されるデータであれば、どのようなデータに適用してもよい。
この場合、各取得記録装置20A〜20Dによるデータの分割方法は、そのデータの特性に合わせて適宜設定すればよく、例えば、データ抜けが生じないデータであれば、所定のデータ量毎にデータを区切ることによりデータを分割すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明を具体化した第1実施形態のデータ記録システム10の全体概略構成を示すブロック図。
【図2】取得記録装置20A〜20Dおよび比較記録装置30の概略構成を示すブロック図。
【図3】取得記録装置20Aの動作を説明するための説明図。
【図4】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図5】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図6】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図7】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図8】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図9】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図10】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図11】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図12】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図13】比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図14】表示装置61の表示画面61aに表示されたTSのエラー発生の判定結果の第1表示方法を示す正面図。
【図15】表示装置61の表示画面61aに表示されたTSのエラー発生の判定結果の第2表示方法を示す正面図。
【図16】本発明を具体化した第2実施形態のデータ記録システム70の全体概略構成を示すブロック図。
【図17】本発明を具体化した第3実施形態のデータ記録システム80の全体概略構成を示すブロック図。
【図18】本発明を具体化した第4実施形態のデータ記録システム90の全体概略構成を示すブロック図。
【図19】第4実施形態の比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【図20】第4実施形態の比較記録装置30の動作を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0170】
10,70,80,90…データ記録システム
11…送信機
12…送受信機
13a,13b…受信機
20A〜20D…取得記録装置
30…比較記録装置
45,55…HDD
46…マイクロコンピュータシステム
50…コンピュータ本体
60…入力装置
61…表示装置
61a…表示画面
Pa〜Pd…伝送ポイント
La…伝送路
Lb…双方向通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データが時系列で伝送される伝送路と、
その伝送路における複数の伝送ポイントにそれぞれ設置された取得記録装置と、
その複数の取得記録装置にそれぞれ設けられた第1記録装置と、
前記複数の取得記録装置と双方向通信回線を介して接続された比較記録装置と、
その比較記録装置に設けられた第2記録装置と
を備えたデータ記録システムであって、
前記複数の取得記録装置はそれぞれ、前記伝送ポイントにてデータを取得し、予め決めておいた規則に従ってデータを分割し、その分割されたデータから成るデータ列を生成すると共に、そのデータ列の内容を特定するためのチェックコードを生成し、そのデータ列およびチェックコードを第1記録装置に記録保存することと、
前記チェックコードには、そのチェックコードに対応するデータ列が分割前のデータ中のどの位置にあるのかを特定して識別するための位置識別情報と、そのチェックコードを生成した前記取得記録装置を識別するための装置識別情報とが含まれていることと、
前記チェックコードの値が同じということは、そのチェックコードに対応するデータ列も同じであるということと、
前記比較記録装置は、
前記複数の取得記録装置に対して前記チェックコードを送信するように前記双方向通信回線を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体から読み出されたチェックコードが前記双方向通信回線を介して受信されると、そのチェックコードを第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置に既に記録保存されていた場合には、受信したチェックコードに対応するデータ列が、そのチェックコードと同じ位置識別情報で同じ値のチェックコードに対応するデータ列と同じであることを示すリンク情報を生成し、そのリンク情報を第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置に記録保存されていない場合には、そのチェックコードを送信した取得記録装置に対して、そのチェックコードに対応するデータ列を送信するように前記双方向通信回線を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体から読み出された前記データ列が前記双方向通信回線を介して受信されると、そのデータ列を第2記録装置に記録保存する
ことを特徴とするデータ記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置は、第2記録装置に記録保存されている前記データ列から、前記複数の取得記録装置から受信したデータ列を読み出すと共に、前記複数の取得記録装置が生成したのと同じデータ列を前記リンク情報に基づいて読み出し、その読み出した各データ列を時系列に従って結合し、連続したデータ列を生成することにより、前記複数の取得記録装置がそれぞれ取得した分割前の前記データを復元することを特徴とするデータ記録システム。
【請求項3】
データが時系列で伝送される伝送路と、
その伝送路における複数の伝送ポイントにそれぞれ設置された取得記録装置と、
その複数の取得記録装置にそれぞれ設けられた第1記録装置と、
前記複数の取得記録装置と双方向通信回線を介して接続された比較記録装置と、
その比較記録装置に設けられた第2記録装置と
を備えたデータ記録システムであって、
前記複数の取得記録装置はそれぞれ、前記伝送ポイントにてデータを取得し、予め決めておいた規則に従ってデータを分割し、その分割されたデータから成るデータ列を生成すると共に、そのデータ列の内容を特定するためのチェックコードを生成し、そのデータ列およびチェックコードを第1記録装置に記録保存することと、
前記チェックコードには、そのチェックコードに対応するデータ列が分割前のデータ中のどの位置にあるのかを特定して識別するための位置識別情報と、そのチェックコードを生成した前記取得記録装置を識別するための装置識別情報とが含まれていることと、
前記チェックコードの値が同じということは、そのチェックコードに対応するデータ列も同じであるということと、
前記比較記録装置は、
前記複数の取得記録装置に対して前記チェックコードを送信するように前記双方向通信回線を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体から読み出されたチェックコードが前記双方向通信回線を介して受信されると、そのチェックコードを第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置に既に記録保存されていた場合には、受信したチェックコードに対応するデータ列が、そのチェックコードと同じ位置識別情報で同じ値のチェックコードに対応するデータ列と同じであることを示すリンク情報を生成し、そのリンク情報を第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置から受信したチェックコードと同じ位置識別情報を含む同じ値のチェックコードが第2記録装置に記録保存されていない場合には、そのことを示すブランク情報を生成し、そのブランク情報を第2記録装置に記録保存し、
前記複数の取得記録装置がそれぞれ取得した分割前の前記データを復元するときに、第2記録装置に記録保存しておいた前記ブランク情報に基づき、そのブランク情報に対応するチェックコードを送信した取得記録装置に対して、そのチェックコードに対応するデータ列を送信するように前記双方向通信回線を介して要求命令を出し、前記取得記録装置の第1記録媒体から読み出された前記データ列が前記双方向通信回線を介して受信されると、そのデータ列を第2記録装置に記録保存し、
第2記録装置に記録保存されている前記データ列から、前記複数の取得記録装置から受信したデータ列を読み出すと共に、前記複数の取得記録装置が生成したのと同じデータ列を前記リンク情報に基づいて読み出し、その読み出した各データ列を時系列に従って結合し、連続したデータ列を生成することにより、前記複数の取得記録装置がそれぞれ取得した分割前の前記データを復元する
ことを特徴とするデータ記録システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置は、第2記録装置に記録保存されている前記チェックコードから、同じ位置識別情報を含むチェックコードの値の相違を調べ、そのチェックコードの値の相違に基づいて、前記複数の伝送ポイントにおける前記データのエラー発生を判定することを特徴とするデータ記録システム。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置が判定した前記複数の伝送ポイントにおける前記データのエラー発生状況について、前記複数の伝送ポイント毎に時系列で所定期間分だけ一覧表示する表示装置を備えたことを特徴とするデータ記録システム。
【請求項6】
請求項4に記載のデータ記録システムにおいて、
前記比較記録装置が判定した前記複数の伝送ポイントの少なくともいずれか1つにおける前記データのエラー発生状況について、時系列で所定期間分だけ一覧表示する表示装置を備えたことを特徴とするデータ記録システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記伝送路は片方向通信の伝送路であり、
前記比較記録装置は、前記複数の伝送ポイントの内の受信ポイントの近傍に配置されていることを特徴とするデータ記録システム。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記伝送路は片方向通信の伝送路であり、
前記比較記録装置は、前記複数の伝送ポイントの内の送信ポイントの近傍に配置されていることを特徴とするデータ記録システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおいて、
前記データは、MPEG(Moving Picture Experts Group)2におけるTS(Transport Stream)であることを特徴とするデータ記録システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のデータ記録システムにおける前記各手段としてコンピュータシステムを機能させるためのプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−283603(P2008−283603A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127721(P2007−127721)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年11月15日〜17日 社団法人 電子情報技術産業協会主催の「2006国際放送機器展」に出品
【出願人】(398035604)株式会社トラフィック・シム (8)
【Fターム(参考)】