データ記録媒体の廃棄処理方法および収容箱
【課題】 記録データの機密性を確保しつつデータ記録媒体を効率良く廃棄処理でき、しかも、リサイクルを行うことのできるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供する。
【解決手段】 廃棄しようとする情報の記録された光データ記録媒体または磁気データ記録媒体の少なくともいずれかを回収箱95に収容し、封緘手段97によって回収箱95を封緘する工程と、封緘された回収箱95を処理場8に移送する工程と、移送された回収箱95を封緘したままの状態で光データ破壊装置または磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけて記録されたデータの破壊および消去を行うデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【解決手段】 廃棄しようとする情報の記録された光データ記録媒体または磁気データ記録媒体の少なくともいずれかを回収箱95に収容し、封緘手段97によって回収箱95を封緘する工程と、封緘された回収箱95を処理場8に移送する工程と、移送された回収箱95を封緘したままの状態で光データ破壊装置または磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけて記録されたデータの破壊および消去を行うデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光データ記録媒体や磁気データ記録媒体あるいはデータ記録紙などのデータ記録媒体に記録されたデータの機密性を確保しつつ効率良く廃棄する処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログデータやデジタルデータを記録するデータ記録媒体は種々のものが実用化されている。デジタルデータを記録する光データ記録媒体としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などがあり、光および磁気の双方を用いて記録する光磁気ディスク(MO:Magneto Optical Disc) も実用化されている。また、デジタルデータを記録する磁気データ記録媒体としては、デジタルビデオテープや汎用コンピュータ用の磁気テープ(MT:Magnetic Tape)などがある。更に、アナログデータを記録する磁気データ記録媒体には、VHS(Video Home System )ビデオテープや8mmビデオテープなどがある。
【0003】
CDやDVDは、本来、原盤を用いてプレス記録された読取専用のデータ記録媒体である。しかし、記録装置によって一度だけデータ書込の可能なCD−R(CD Recordable) やDVD−R(DVD Recordable)、あるいは、繰り返しデータ書換可能なCD−RW(CD ReWritable) やDVD−RW(DVD ReWritable) などの仕様も実用化されている。
【0004】
光データ記録媒体のうち、読取専用のCDやDVD、CD−RやDVD−Rは記録されたデータを消去できないことから、記録データの機密性を確保するには廃棄に際して記録データまたは媒体自体を破壊する必要がある。また、書換可能なCD−RWやDVD−RW、MOでは、記録されたデータの消去操作を行っても、データの位置情報を示すインデックスが消去されるだけでデータ自体は残存する。このため、廃棄に際して無意味なデータを上書きして元データを消去しなければならず、データ消去処理に長時間を要する。
【0005】
また、磁気データ記録媒体においても、物理フォーマットや論理フォーマットしただけでは記録されたデータが消去されない。このため、廃棄に際して無意味なデータを上書きして元のデータを消去しなければならず、データの消去処理に長時間を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明者らは、先願(特願2003−372541号)において、磁界または電磁波の少なくともいずれか一方または双方を光データ記録媒体や磁気データ記録媒体に印加して、記録データの破壊や消去を行うデータ記録媒体処理装置を提案した。このデータ記録媒体処理装置を用いることにより、光データの破壊や磁気データの消去を短時間に効率良く行うことが可能である。
【0007】
ところが、官公庁や警察、病院など機密性の高いデータを大量に扱う組織では、記録データの機密性を確保するべく、不要となったデータ記録媒体の廃棄処理を全て組織内で行わなければならない。このため、先願(特願2003−372541号)に開示されたデータ記録媒体処理装置を採用した場合でも、大量のデータ記録媒体の廃棄処理に多大な手間と時間を要し、組織内で処理するには限界があった。
【0008】
また、このような光データ記録媒体や磁気データ記録媒体に加えて、オフィスなどでは大量のデータ記録紙が用いられる。ところが、機密事項の記録されたデータ記録紙はそのまま廃棄することができず、シュレッダなどによって細かく裁断した後に廃棄しなければならず、廃棄処理に手間が掛かるために改善が望まれていた。
【0009】
一方、このようなデータ記録媒体の廃棄処理に関連して、近時、廃棄物を素材毎に分別して再利用するリサイクルが提唱されている。ところが、前記した大量の機密データを扱う組織では、データ記録媒体に記録されたデータの破壊処理や消去処理に多大な手間が掛かるため、データ廃棄処理されたデータ記録媒体を、更に、素材毎に分別するような手間をかけることができず、系統立ったリサイクル処理を行うことができなかった。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、記録されたデータの機密性を確保しつつデータ記録媒体を効率良く廃棄処理することができ、しかも、リサイクルを行うことのできるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供することを目的とする。また、同時に提案される本発明は、その廃棄処理方法に好適に採用できる収容箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、廃棄しようとする光データ記録媒体または磁気データ記録媒体の少なくともいずれかのデータ記録媒体を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を封緘したままの状態でマイクロ波を輻射する光データ破壊装置または磁界を発生する磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけてデータを破壊または消去するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法である。
【0012】
ここに、本発明で言う光データ記録媒体とは、レーザー光などの反射レベルの異なるピットをディスク上に記録した媒体を言い、CDやDVDを指す。また、磁気データ記録媒体とは、データを磁極によって記録するフレキシブルディスク(FD)やビデオテープあるいは汎用の磁気テープなどを指す。尚、MO(光磁気ディスク)は、レーザー光を用いてディスクを昇温しつつ磁気データを記録する媒体であり、磁気データ記録媒体に属する記録方式を有するものとして述べる。
【0013】
また、本発明で言う封緘とは、回収箱を封止して開封の有無を判別可能なテープなどを貼付する構成や、回収箱を単に封止するだけの構成を指す。
【0014】
ここで、光データ記録媒体と磁気データ記録媒体とではデータ記録形態が異なるため、記録データの読み取りを不能にするための処理方法が異なる。
光データ記録媒体に属するCDやDVDは、ポリカーボネートなどの樹脂製の円板にピットと称する凹凸を形成してデータを記録する媒体であり、当該ピットにレーザー光を照射して反射光を読み取るための金属膜(アルミニウム蒸着膜)と保護層を備えている。
【0015】
従って、CDやDVDでは、加熱などの方法によってピットやアルミニウム蒸着膜を機械的に変形することにより記録データを読み取り不能にすることができる。
また、磁気データ記録媒体に属するFDやビデオテープあるいはMOでは、磁界を印加して記録データを消去または攪乱することにより記録データを読み取り不能にすることができる。
【0016】
本発明によれば、データ記録媒体を収容した回収箱は、封緘されたまま処理場に移送され、光データ破壊装置または磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけられる。回収箱を光データ破壊装置にかけることにより、輻射されるマイクロ波によって収容されているCDやDVDのピットやアルミニウム蒸着膜が加熱変形されて記録された光データが破壊される。また、回収箱を磁気データ消去装置にかけることにより、発生する磁界が収容されているFDやビデオテープに印加されて記録された磁気データが消去あるいは攪乱される。
【0017】
則ち、本発明によれば、封緘したままの回収箱を光データ破壊装置や磁気データ消去装置にかけることにより、収容されているデータ記録媒体の記録データを完全に破壊または消去することができる。
従って、データ記録媒体の記録データを破壊または消去するために回収箱を開封する必要がなく、廃棄処理に際して記録データが残存するデータ記録媒体が抜き取られる虞が低減する。これにより、記録データの機密性を確保することが可能となる。
尚、封緘した回収箱を光データ破壊装置や磁気データ消去装置にかけたときは、処理済みの捺印などを行うことにより、処理あるいは未処理の状態を明確に区別することができる。
【0018】
また、本発明によれば、回収箱に収容される収容袋は、データ記録媒体を収容してバンドで緊締される。従って、収容されるデータ記録媒体は収容袋と回収箱によって二重に保護される。これにより、仮に移送中に回収箱の一部が破損したような場合でも、収容されたデータ記録媒体が飛び出すような不具合を未然に防止することができ、データの機密性を確保することが可能となる。
【0019】
本発明において、収容袋および回収箱には、マイクロ波および磁力線を透過可能な素材で形成されたものを用いることができる。例えば、収容袋としてはビニール袋などを用いることができ、回収箱としては段ボール箱や木箱を用いることが可能である。
【0020】
また、封緘手段としては、例えば、開封判別シールを貼付する構成を採ることができる。ここに開封判別シールとは、シールの表面に開封厳禁などの文字が印刷され、シールの裏面に糊剤が予め塗布されたシールであり、通常のシールのように段ボール箱や木箱に貼付可能であるが、一端剥がすと、再度貼付できない上に糊剤が部分的に剥がれて開封済みなどの文字が浮き出るシールを指す。
【0021】
封緘手段としてこのような開封判別シールを採用することにより、回収箱の開封の有無が一目瞭然となる。これにより、移送過程における無断開封を効果的に抑止することが可能となる。
【0022】
また、封緘手段として開封判別シールを採用することにより、回収箱が移送元から処理場へ未開封のまま移送されてデータ廃棄工程が完了したことを容易に確認することができる。従って、回収箱が未開封の状態を維持しつつ廃棄処理が可能な処理形態を確立することができ、データ記録媒体の廃棄処理を第三者に依託することが可能となる。
【0023】
また、本発明において、収容袋に最大収容量の目安となるガイドラインを設けることができる。この構成によれば、ガイドラインを参照しつつ最大容量のデータ記録媒体を収容袋に収容することができ、収容作業を効率良く行うことが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、封緘された回収箱を開封し、収容された光データ記録媒体および磁気データ記録媒体を素材毎に分離する工程と、分離された素材毎に分別する工程と、分別された素材毎に、その一部または全部を粉砕または溶融または溶解してリサイクル原材を生成する工程とを備えた処理方法である。
【0025】
本発明によれば、光データ記録媒体や磁気データ記録媒体は、分解や破壊によって構成素材である合成樹脂材や金属材あるいは紙材に分離される、分離された各構成素材は素材毎に分別される。従って、分別された合成樹脂材を例えばペレット状に粉砕してリサイクル原材とすることができる。また、分別された金属を溶融し金属塊としてリサイクル原材とすることができる。また、分別された紙材を溶解し精製してリサイクル原材とすることが可能である。これにより、データ記録媒体を素材毎に分離分別してリサイクルすることができ、限りある資源を有効に活用することが可能となる。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を少なくともマイクロ波を輻射する金属部分離装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する金属部を加熱して樹脂材から分離して行う構成とされている。
【0027】
前記したように、光データ記録媒体であるCDやDVDあるいはMOは、ポリカーボネートなどの樹脂製の円板にレーザー光を反射する金属部(アルミニウム蒸着膜)を備えて形成される。従って、光データ記録媒体を素材毎に分離するには、ポリカーボネートなどの樹脂材からアルミニウム蒸着膜を分離させる必要がある。
【0028】
本願発明者らは、先願(特願2003−170145号)において、光データ記録媒体から金属部を分離する金属部分離装置を既に提案した。
従って、本発明によれば、光データ記録媒体を先願(特願2003−170145号)に開示された金属部分離装置にかけることにより、光データ記録媒体にマイクロ波を照射して短時間にアルミニウム蒸着膜を分離することができる。これにより、分離作業の効率を向上させることができ、しかも、分離した金属材および樹脂材をリサイクル原材とすることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を研削装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する金属部を研削によって除去して行う構成とされている。
【0030】
本発明によれば、光データ記録媒体の金属部を研削装置によって容易に研削して除去することができる。これにより、請求項3に記載した金属部分離装置を用いることなく、簡便に光データ記録媒体を素材毎に分離することが可能となる。また、研削装置によって研削した金属粉を収集してリサイクル原材とすることも可能である。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、光データ破壊装置および磁気データ消去装置が一体化されたデータ記録媒体処理装置で構成されている。
【0032】
本願発明者らは、先願(特願2003−372541号)において、光データ破壊装置および磁気データ消去装置を一体化したデータ記録媒体処理装置を既に提案した。
従って、本発明によれば、封緘された回収箱を先願(特願2003−372541号)に開示されたデータ記録媒体処理装置にかけるだけで、光データ記録媒体に記録された光データの破壊処理と磁気データ記録媒体に記録された磁気データの消去処理を連続して行うことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0033】
請求項6に記載の発明は、廃棄しようとするデータ記録媒体であるデータ記録紙を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を収容されたデータ記録紙と共に封緘したままの状態で溶解するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法である。
【0034】
ここに、本発明で言うデータ記録紙とは、手書きされた記録紙や伝票あるいはパーソナルコンピュータなどで印字された記録紙や伝票など、あらゆるデータ記録紙を指す。
また、本発明で言う封緘とは、回収箱を封止して開封の有無を判別するテープなどを貼付する構成や、回収箱を単に封止するだけの構成を指す。
【0035】
本発明によれば、封緘された回収箱を未開封のまま処理場に移送して溶解処理を行うので、廃棄処理に際して回収箱を開封する必要がない。これにより、回収箱に収容されたデータ記録紙が抜き取られるような虞がなく、記録データの機密性を確保することが可能となる。
【0036】
また、本発明によれば、回収箱に収容される収容袋は、データ記録媒紙を収容してバンドで緊締される。従って、収容されるデータ記録媒体は収容袋と回収箱によって二重に保護される。これにより、移送中に回収箱の一部が破損したような場合でも、収容されたデータ記録紙が飛び出すような不具合を未然に防止することができ、データの機密性を確保することが可能となる。
【0037】
本発明において、回収箱ごと溶解することを考慮して、回収箱としては段ボール箱などを用いるのが好適であり、収容袋としては柔軟性および耐久性を有する紙袋などを用いるのが好適である。
【0038】
また、封緘手段として開封判別シールを採用することにより、前記請求項1と同様に、回収箱が未開封のまま移送元から処理場へ移送されてデータ廃棄工程が完了したことを容易に確認することができる。従って、回収箱が未開封の状態を維持しつつ廃棄処理が可能な処理形態を確立することができ、データ記録媒体の廃棄処理を第三者に依託することが可能となる。
【0039】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、溶解したデータ記録紙および回収箱をリサイクル原材として精製する工程を備えた処理方法である。
【0040】
本発明によれば、データ記録紙および回収箱を溶解したものを精製してリサイクル原材として用いることができ、資源の再利用を有効に行うことが可能となる。
【0041】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、回収箱は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を備えた箱体であり、上蓋および底蓋を開いた状態でバンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳む予備加工が施される構成とされている。
【0042】
本発明によれば、予備加工された回収箱は折り畳まれているので、不使用時には嵩張らず搬送が極めて容易である。
また、使用時には、隣接する周壁部を押し広げて底蓋を閉じるだけで回収箱の内部にバンドを装嵌した収容袋が収容されて収容可能な状態となる。
従って、廃棄しようとするデータ記録媒体を直ちに回収箱内の収容袋に収容することができる。また、隣接する上蓋の隙間からバンドの端部が突出しているので、収容作業が完了した後に収容袋の開口端部を上蓋から取り外して束ねてバンドで容易にを緊締することができる。これにより、データ記録媒体の収容作業を効率良く行うことが可能となる。
【0043】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、バンドは締め付け方向へのみ可動である構成とされている。
【0044】
本発明によれば、バンドを緩めて収容袋を開封することができない。従って、収容袋の開口部を一旦バンドで緊締すると、バンドを切断するか収容袋を破袋しなければ収容されたデータ記録媒体を取り出すことができない。
言い換えれば、収容袋からデータ記録媒体を取り出すと、収容袋の波袋またはバンドの切断の痕跡が残ることとなる。
【0045】
従って、仮に回収箱が破損したような場合であっても、収容袋の波袋やバンドの切断が行われていないことを確認することによってデータ記録媒体が収容袋から取り出されていないことを確認することができる。これにより、データ記録媒体の記録データの機密性を一層向上させることが可能となる。
本発明において、収容袋を緊締するバンドとしては、汎用の結束バンドなどを用いることが可能である。
【0046】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、廃棄しようとするデータ記録媒体を収容袋に収容する工程および収容袋を回収箱に収容する工程および回収箱を封緘する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、封緘された回収箱を処理場に移送する工程およびデータ廃棄工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行う構成とされている。
【0047】
前記したように、収容袋の緊締および回収箱の封緘によってデータ記録媒体が取り出されることを抑止する効果を奏する。従って、回収箱を封緘した後の処理は、依頼人以外の第三者が行うことも可能である。
【0048】
本発明によれば、回収箱を封緘した後の処理、則ち、封緘された回収箱を処理場に移送する工程とデータ廃棄工程とを、依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者に依託することができる。これにより、依頼人側の負担を軽減しつつ記録データの機密性を確保した廃棄処理を行うことが可能となる。
【0049】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、封緘された回収箱を更に施錠可能な搬送ケースに収容して施錠する工程と、封緘された回収箱の移送に代えて、封緘された回収箱を収容した搬送ケースと鍵とを別々に処理場に移送する工程と、移送された搬送ケースを別に移送された鍵によって解錠し、封緘された回収箱を取り出す工程とを備えた処理方法である。
【0050】
前記したように、封緘手段として開封判別シールを採用する構成では、移送過程における開封の有無を容易に判別することができ、無断開封を抑止する効果は大きい。しかし、回収箱の無断開封を阻止することは困難である。
【0051】
本発明によれば、封緘された回収箱を更に搬送ケースに収容して施錠し、搬送ケースと鍵を別々に処理場に移送する。これにより、移送中における回収箱の無断開封を効果的に阻止することができ、記録データの機密性を確保した廃棄処理を行うことが可能となる。
【0052】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、封緘された回収箱を搬送ケースに収容して施錠する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、搬送ケースと鍵とを処理場に移送する工程および移送された搬送ケースを鍵で解錠して回収箱を取り出す工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行う構成とされている。
【0053】
本発明によれば、搬送ケースを施錠した後の処理、則ち、施錠された搬送ケースを処理場に移送する工程と移送された搬送ケースを鍵で解錠して回収箱を取り出す工程とを、依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者に依託することにより、依頼人側の負担を軽減しつつ記録データの機密性を確保した廃棄処理を行うことが可能となる。
【0054】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、データ記録媒体の処理の完了を証する処理証明書を、データ記録媒体の処理を行った移送先から移送元に対して発行する処理方法である。
【0055】
本発明によれば、移送元は処理証明書を受け取ることにより、回収箱が封緘されたまま処理場に移送され、封緘されたままデータ記録媒体のデータの破壊処理および消去処理が行われたことを確認することができる。これにより、移送元と移送先との相互信頼を維持しつつ確実なデータ記録媒体の廃棄処理を行うことが可能となる。
【0056】
請求項14に記載の発明は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を有する箱体と、物品を収容する収容袋と、当該収容袋の開口部を緊締するバンドとを備えた収容箱であって、箱体の上蓋および底蓋を開いた状態でバンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳む構成とされている。
【0057】
本発明によれば、収容箱は折り畳まれているので、不使用時には嵩張らず搬送が極めて容易である。
また、箱体の隣接する周壁部を押し広げて底蓋を閉じるだけで箱体の内部にバンドを装嵌した収容袋が収容された状態となる。
従って、収容しようとする物品を直ちに箱体内の収容袋に収容することができる。また、隣接する上蓋の隙間からバンドの端部が突出しているので、収容作業が完了した後に収容袋の開口端部を上蓋から取り外して束ねてバンドで容易にを緊締することができる。これにより、物品の収容作業を効率良く行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0058】
請求項1に記載の発明によれば、データ記録媒体に記録されたデータの機密性を確保しつつデータ記録媒体の廃棄処理を外部に依託して効率良く処理できるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、廃棄処理されたデータ記録媒体の構成素材をリサイクルすることができ、資源を有効に活用することが可能となる。
請求項3,4に記載の発明によれば、データ記録媒体を構成素材に容易に分離することができ、廃棄処理効率を向上させることが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、データ記録媒体に記録されたデータの破壊処理および消去処理を効率良く行うことができ、廃棄処理効率を向上させることが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、データ記録紙に記録されたデータの機密性を確保しつつデータ記録紙の廃棄処理を外部に依託して効率良く処理できるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供できる。
請求項7に記載の発明によれば、廃棄処理されたデータ記録紙をリサイクルすることができ、資源を有効に活用することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、不使用時には折り畳んで嵩張らず、廃棄処理に際しては容易に組み立ててデータ記録媒体を収容することができ、収容作業を効率良く行うことが可能となる。
請求項9に記載の発明によれば、回収箱が破損したような場合でもデータ記録媒体が収容袋から取り出されていないことを確認することができ、データの機密性を一層向上させることが可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、廃棄処理の依頼人が自ら記録媒体を回収箱に収容し封緘手段によって回収箱を封緘するので、依頼人は、データの機密性が確保されたことを確信でき、しかも、廃棄処理に伴う依頼人の負担を軽減できる。
請求項11に記載の発明によれば、回収箱を収容した搬送ケースを施錠するので、移送途中における回収箱の開封を阻止することが可能となる。
請求項12に記載の発明によれば、廃棄処理の依頼人が自ら回収箱を収容した搬送ケースを施錠するので、依頼人は、データの機密性が確保されたことを確信でき、しかも、廃棄処理に伴う依頼人の負担を軽減できる。
請求項13に記載の発明によれば、処理証明書を発行することにより、移送元と移送先との相互信頼を維持した廃棄処理を行うことが可能となる。
請求項14に記載の発明によれば、不使用時には折り畳んで嵩張らず、使用時には容易に組み立てて物品を収容することができ、収容作業を効率良く行うことができる収容箱を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する回収箱に施される予備加工の手順を示す説明図、図2は図1の予備加工に用いる結束バンド(バンド)を示す斜視図である。図3は図1の予備加工の施された回収箱にデータ記録媒体を収容して封緘する手順を示す説明図、図4は開封判別シールの説明図、図5は封緘された回収箱を移送元から移送先(処理場)へ移送する手順を示す説明図、図6は処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図、図7は処理場において回収箱から取り出したデータ記録媒体に対して行う処理手順を示す説明図である。
【0060】
本実施形態の廃棄処理方法では、予備加工を施した回収箱95を廃棄処理を行う業者側から廃棄処理の依頼人側へ提供する。
本実施形態で採用する回収箱95は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を備えた箱体であり、予備加工は次の手順で行われる。
【0061】
まず、図1(a),(b)の様に、収容袋57の外周部に環状に接続した結束バンド58を装嵌する。次いで、回収箱95の上蓋および底蓋を開き、結束バンド58を装嵌した収容袋57を回収箱95の内部に挿入する。このとき、結束バンド58の端部を回収箱95の隣接する上蓋同士の隙間から突出させる。
【0062】
結束バンド58は、図2(a)の様に、一面に係止刃58aを有する長尺のバンド本体58bの一端に、係止爪58cを備えたロック部58dを設けて一体化したものである。結束バンド58は、図2(b)の様に、係止刃58aが内方となるようにバンド本体58bを湾曲させて先端部58eをロック部58dに挿通すると、バンド本体58bをロック部58dに挿入する方向への移動は可能であり、引き抜き方向へはロック部58dの係止爪58cが係止刃58aに係合して阻止される。則ち、バンド本体58bを締め付ける方向へは可動であり、緩める方向への移動は阻止される構造を有する。
【0063】
収容袋57を結束バンドと共に回収箱95に挿入すると、続いて、図1(b)の様に、回収箱95の上蓋からはみ出た収容袋57の開口部分を上蓋に重ね合わせるように折り返す。そして、図1(c)の様に、回収箱95の隣接する周壁部を近接させて折り畳む。
以上の手順により、回収箱95の予備加工が完了する。
予備加工の施された回収箱95は、折り畳まれた回収箱95の内部に結束バンド58を宛がった収容袋57が収容された状態となり、不使用時において平板状であるので嵩張らない。
【0064】
本実施形態では、回収箱95は段ボールを使用している。また、収容袋57はビニールを使用しており、図1(a)の様に、最大収容量の目安となるガイドライン57aを予め外周面に沿って全周に渡って印刷している。
【0065】
業者側から予備加工を施した回収箱95を受け取った依頼人は、図3(a),(b)の様に、折り畳まれた回収箱95の周壁部を方形筒状に押し開いて底蓋を閉じる。そして閉じた底蓋の突き合わせ部分に沿って両側面にかけて梱包用テープ96を貼付し、更に、貼付した梱包用テープを跨ぐように底面から側面にかけて開封判別シール(封緘手段)97を貼付する。
これにより、予備加工された回収箱95を箱形状に組み立てるだけで、回収箱95に収容袋57と結束バンド58がセットされ、直ちにデータ記録媒体を挿入できる状態となる。
【0066】
開封判別シール97は、図4(a)の様に、シール材97aの表面に「開封厳禁」の文字97bが印刷され、裏面に銀色の糊剤97cを塗布したシールである。開封判別シール97は、図4(a)の様に、通常のシールと同様に回収箱95の表面に押圧して貼付可能である。しかし、貼付された開封判別シール97を剥がすと、図4(b)の様に、シール材97aの裏面に塗布された糊剤97cの一部が回収箱95側に付着したまま残り、付着した糊剤97cによって「開封済み」の文字が浮き出る。また、一旦、開封判別シール97を剥がすと、再度、回収箱95に押圧しても粘着しない。
【0067】
図3(b)の様に、底部に梱包用テープ96および開封判別シール97を貼付して回収箱95を箱形状にすると、続いて、廃棄しようとするデータ記録媒体2を回収箱95の収容袋57に順次収容する。
【0068】
収容するデータ記録媒体2は、廃棄しようとするDVD2aやCD2bなどの光データ記録媒体、あるいは、フレキシブルディスク2cや8mmビデオテープ2d、VHSビデオテープ2e、光磁気ディスク2fなどの磁気データ記録媒体であり、回収箱95の収容袋57に適宜に収容する。収容に際しては、各々のデータ記録媒体2がケースに入ったままであっても良く、ケースから取り出して別々に収容しても良い。
データ記録媒体2の収容に際しては、収容袋57に印刷されたガイドライン57aを目安にして当該ライン57aを超えない量を収容する。
【0069】
ここで、本実施形態に採用する回収箱95は、底面を除く他の全ての面に、「回収箱」と「(CD,DVD,FD,MO,磁気テープ)」の文字が記載されている。これは、当該回収箱95が、後述するデータ記録紙以外のデータ記録媒体2(2a〜2f)を収容する箱であることを明示するためのものである。
【0070】
本実施形態の回収箱95は、大小の2つのサイズが用意されている。「回収箱大」は、幅430mm,奥行き300mm,高さ280mmであり、収容可能な最大重量は略20kgである。「回収箱大」には、10mm厚のプラスチックケースに入れた12cm径のCDを略178枚収容可能である。「回収箱小」は、幅260mm,奥行き280mm,高さ190mmであり、収容可能な最大重量は略10kgである。
【0071】
図3(b)の様に、回収箱95に廃棄しようとするデータ記録媒体2を収容すると、続いて図3(c)の様に、回収箱95の上蓋に折り返されていた収容袋57の開口部を束ね、結束バンド58のバンド本体58bを締め付けて収容袋57の開口部を緊締する。そして結束バンド58の長尺のバンド本体58bを湾曲させて回収箱95に挿入し上蓋を閉じる。
【0072】
そして、図3(d)の様に、上蓋の突き合わせ部分に沿って両側面にかけて梱包用テープ96を貼付し、更に、貼付した梱包用テープを跨ぐように底面から側面にかけて開封判別シール97を貼付する。
以上の手順により、図3(d)の様に、廃棄しようとするデータ記録媒体2を収容した状態で回収箱95が封緘される。そして、回収箱95の上面に、移送先および移送元の名称や住所などの必要事項を記入した伝票3を貼付する。
【0073】
開封判別シール97を図3(d)の様に回収箱95に貼付することにより、痕跡を残さずに回収箱95を開封することは不可能となる。則ち、開封判別シール97を貼付することにより、回収箱95の開封の有無を直ちに判別可能である。
【0074】
続いて、図5(a)の様に、封緘された回収箱95を専用の搬送ケース98に収容する。搬送ケース98は、回収箱95がすっぽり収納可能な大きさであり、本実施形態では、アルミニウムまたはジュラルミンで製のものを用いている。尚、金属に代えて強化プラスチックなどで製したものを用いても良い。
【0075】
搬送ケース98は、両側の2つのロック部98a,98aと中央のロック部98bを備えている。ロック部98aは、蓋を閉じてレバー98cを蓋側に係合させ、鍵K1で施錠することにより、レバー98cの係合解除を禁止する構造とされている。また、ロック部98bは、係合環98dを蓋側の係止部98eに嵌入させ、係止部98eに設けた穴にシリンダー錠99を通して施錠する構造を有する。
【0076】
封緘された回収箱95は、図5(b)の様に、搬送ケース98に収容し、鍵K1でロック部98a,98aを施錠すると共に、シリンダー錠99を用いてロック部98bを施錠する。そして、搬送ケース98の上面に、図3(d)で回収箱95に貼付した伝票の複写伝票3を貼付する。また、鍵K1,K2を鍵搬送袋5に収納し、当該鍵搬送袋5に、移送元および移送先の名称や住所、搬送ケース98の番号などの必要事項を記載した伝票4を貼付する。
そして、図5(b),(c)の様に、搬送ケース98と鍵搬送袋5を処理場8へ向けて別々に発送する。以上の手順により、移送元(依頼人側)におけるデータ記録媒体2の発送処理が完了する。
【0077】
一方、移送先(処理場)8では、図6(a)の様に、別々に搬送されて来た搬送ケース98と鍵搬送袋5を受け取り、搬送ケース98に貼付された伝票3と鍵搬送袋5に貼付された伝票4を参照して、搬送ケース98に対応した鍵搬送袋5を抽出する。そして、鍵K1,K2で搬送ケース98のロック部98a,98bを解錠し、図6(b)の様に、搬送ケース98のから回収箱95を封緘したままの状態で取り出す。尚、搬送ケース98は、移送元の指示に応じて、移送元に返送するかまたは処理場8で保管される。
【0078】
搬送ケース98から取り出された回収箱95は、図6(c)の様に、封緘したままの状態で光データ破壊装置1aにセットされる。そして、光データ破壊装置1aを操作して、封緘した回収箱95へ向けてマイクロ波を輻射し、回収箱95に収容された光データ記録媒体(DVD2a,CD2b)に記録された光データの破壊処理を行う。
光データ破壊装置1aによる処理が終了すると、封緘された回収箱95を装置1aから取り出して「光データ破壊処理済み」の捺印を行う。
【0079】
次いで、取り出した回収箱95を、図6(d)の様に、封緘したままの状態で磁気データ消去装置1bにセットする。そして、磁気データ消去装置1bを操作して、封緘した回収箱95へ向けて磁界を印加し、回収箱95に収容された磁気データ記録媒体(FD2c,ビデオテープ2d,2e,MO2f)に記録された磁気データの消去処理を行う。磁気データ消去装置1bによる処理が終了すると、封緘された回収箱95を装置1bから取り出して「磁気データ消去処理済み」の捺印を行う。
以上の手順により、回収箱95に収容された全てのデータ記録媒体2に記録されたデータが破壊または消去されて読み取り不能な状態となる。
【0080】
「光データ破壊処理済み」および「磁気データ消去処理済み」の捺印がされてデータ廃棄工程が完了すると、図7(a)の様に、回収箱95を開封する。そして、結束バンド(図3c参照)58を切断して収容袋57を開き、収容されたデータ記録媒体2を収容袋57から取り出して種別毎に区分する。区分したデータ記録媒体2のうち、FD2c,8mmビデオテープ2d,VHSビデオテープ2eおよびMO2fは、図7(b),(c)の様に、各々分解してプラスチック材や金属材、紙材などに分別する。また、各データ記録媒体2を収納したケースもプラスチック材や紙材に分別する。
分別された素材のうちのプラスチック材は、リサイクルに適したペレット状に粉砕加工する。また、金属材は、溶融してリサイクルに適した金属塊に成形する。更に、紙材は、溶解および精製してリサイクル原材とされる。
【0081】
一方、区分したデータ記録媒体2のうち、DVD2aおよびCD2bは、図7(d)の様に、専用のディスク保持容器9に順次装着する。そして、DVD2a,CD2bを多数装着したディスク保持容器9を、図7(e)の様に、金属部分離装置7にセットする。
そして、金属部分離装置7を操作して、マイクロ波をDVD2a,CD2bへ向けて輻射し、各DVD2a,CD2bの金属膜を溶融させて樹脂材から分離させる処理を行う。
これにより、DVD2a,CD2bは、図7(f)の様に、ポリカーボネート材などの樹脂材Pと溶融した金属材Mとに分離され、分離された各素材は分別されてリサイクル原材として用いられる。
【0082】
尚、金属部分離装置7を用いる代わりに、DVD2aおよびCD2bのデータ記録媒体2を研削装置(不図示)にかけて、データ記録媒体2を構成する樹脂材から金属材を研削除去する構成とすることも可能である。
【0083】
以上説明したように、本実施形態のデータ記録媒体の廃棄処理方法によれば、移送元で封緘された回収箱95は、封緘されたまま移送先である処理場8に移送され、回収箱95に収容されたデータ記録媒体2のデータが完全に読み取り不能な状態となるまで開封されることがない。これにより、機密性の高いデータが記録されたデータ記録媒体2であっても、依頼人以外の第三者に依託してデータの機密性を確保しつつ廃棄処理することが可能となる。
【0084】
また、記録データの破壊処理または消去処理されたデータ記録媒体2は、素材毎に分離分別してリサイクルに適した形態に加工することができ、依頼人側でできなかったリサイクル処理を系統立てて行うことが可能となる。
【0085】
尚、本実施形態では、封緘された回収箱95を更に施錠された搬送ケース98に収容して移送する構成としたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
例えば、封緘された回収箱95をそのまま移送することも可能である。この構成によれば、回収箱95の無断開封を阻止することは困難であるが、開封判別シール97を貼付することにより開封の有無を容易に判別できるので、無断開封を抑止する効果を奏する。
【0086】
また、回収箱95を梱包用テープ96を用いて封止しただけの簡略化した状態で移送することも可能である。この構成では、開封の有無を判別することは困難であるが、機密性の低いデータ記録媒体を送付する場合に好適に採用することができる。
【0087】
また、本実施形態では、回収箱95に段ボール箱を用いたが、例えば、電磁波や磁力線を透過可能な木箱やプラスチックケースなどを用いることも可能である。また、これらの木箱やプラスチックケースを施錠可能な構成として、移送中における無断開封を阻止する構成を採ることも可能である。
【0088】
また、移送先(処理場)8は、回収箱95の廃棄処理が完了した時点で移送元に対して廃棄処理の完了を示す処理証明書を発行することもできる。処理証明書を発行することにより、移送元はデータの機密性を確保した廃棄処理およびリサイクル処理が確実に行われたことを確認することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、図1に示した予備加工の施された回収箱95を用いてデータ記録媒体2を収容する構成としたが、この回収箱95は、本実施形態のデータ記録媒体の廃棄処理に限らず、他の搬送用途に使用することもできる。
則ち、物品を配送する用途として前記した予備加工の施された回収箱95を収容箱として用いることにより、不使用時には嵩張らず、しかも容易に組み立てて物品を収容することができる。これにより、収容作業を効率良く行うことができる。
【0090】
ところで、前記実施形態では、光データ記録媒体2a,2bや磁気データ記録媒体2c〜2fを廃棄処理する際の手順を説明したが、本発明は、このようなデータ記録媒体2の廃棄に限らず、データの記録されたデータ記録紙(データ記録媒体)6を廃棄処理することも可能である。
【0091】
以下に、データ記録紙6を廃棄処理する際の手順を図8,図9を参照して説明する。
図8は本発明の別の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法において、移送元から移送先(処理場)へ回収箱を移送する手順を示す説明図、図9は処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図である。
【0092】
本実施形態においても、前記実施形態と同様に、廃棄処理を行う業者側から予備加工を施した回収箱93を廃棄処理の依頼人側へ提供する。回収箱93は、前記図1で示した回収箱95と同様の予備加工が施されている。
【0093】
但し、回収箱93に挿入される収容袋57は、柔軟性および耐久性を有する紙で製されている。また、回収箱93の底面を除く全ての面には、「回収箱」と「データ記録紙」の文字が印刷されている。これは、後述するように、回収箱93が処理場においてそのまま溶解処理されることから、前記データ記録媒体2を収容する回収箱95と区別するためである。
【0094】
本実施形態の回収箱93は、前記実施形態で示した回収箱95(図4参照)と同様に大小の2つのサイズが用意されている。回収箱大には、A4サイズの普通紙を最大で略900枚収容可能である。
【0095】
予備加工された回収箱93は、前記図3(a),(b)で示した同様の手順によって箱形状に組み立てられる。
そして、移送元である依頼人は、図8(a)の様に、廃棄しようとするデータ記録紙6aや伝票6bなどを回収箱93の収容袋57に順次収納する。
【0096】
回収箱93に廃棄しようとするデータ記録紙6を収容した後、前記図3(c),(d)と同様の手順により、図8(b),(c)の様に、収容袋57を結束バンド58で緊締し、上蓋を閉じて梱包用テープ96を貼付して封止すると共に、開封判別シール97,97を貼付する。以上の手順により、図8(c)の様に、廃棄しようとするデータ記録紙6を収容した状態で回収箱93が封緘される。
【0097】
そして、回収箱93の上面に、移送元および移送先の名称や住所などの必要事項を記入した伝票3を貼付し、図8(d)の様に、封緘した回収箱93を処理場8へ向けて発送する。以上の手順により、移送元(依頼人側)におけるデータ記録紙6の発送処理が完了する。
【0098】
一方、回収箱93が搬送された移送先(処理場)8では、図9(a)の様に、回収箱93を封緘したままの状態で溶解液46の満たされた溶解槽45に投入し、回収箱93を収容袋57に収容されたデータ記録紙6と共に溶解する。そして、図9(b)の様に、溶解されたデータ記録紙6などの繊維素は、必要な精製処理を施してリサイクル原材に加工される。
尚、回収箱93を溶解槽45に投入する際は、溶解処理が行われたことを記録するために、予め、回収箱93に貼付された伝票3を取り外して保管する。
【0099】
このように、本実施形態のデータ記録媒体の廃棄処理方法によれば、移送元で封緘された回収箱93は、封緘されたまま移送先である処理場8に移送され、封緘されたままの状態で溶解処理される。これにより、機密性の高いデータが記録されたデータ記録紙6であっても、依頼人以外の第三者に依託してデータの機密性を確保しつつ廃棄処理することが可能である。
また、溶解処理されたデータ記録紙6は、精製されてリサイクルに適した形態に加工することができ、依頼人側では不可能であった系統立てたリサイクルを行うことが可能となる。
【0100】
尚、本実施形態では、封緘した回収箱93をそのまま処理場8へ移送する構成として述べたが、回収箱93を前記実施形態で示した施錠可能な搬送ケース98(図5参照)に収容して移送することも可能である。この構成によれば、移送中における無断開封を阻止することができ、機密性の高いデータ記録紙6を安全に移送して廃棄処理することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態において、開封判別シール(封緘手段)97をを用いずに汎用の梱包用テープで回収箱93を封止しただけの簡略化した構成を採ることも可能である。この構成によれば、回収箱の開封の有無の判別は困難であるが、手軽に梱包することができ、機密性の低いデータ記録紙を廃棄処理する際に好適である。
【0102】
また、本実施形態においても、移送先(処理場)8では、回収箱93の溶解処理が完了した時点で、移送元に対して廃棄処理の完了を示す処理証明書を発行することもできる。処理証明書を発行することにより、移送元はデータの機密性を確保しつつ廃棄処理およびリサイクル処理が確実に行われたことを確認することが可能となる。
【0103】
次に、前記実施形態で示した光データ破壊装置1a、磁気データ消去装置1b(図6c,d参照)および金属部分離装置7の具体的な実施例を説明する。
尚、前記図6(c)で示した光データ破壊装置1aと前記図6(d)で示した磁気データ消去装置1bは、各々別体の装置であったが、以下に示す実施例では、光データの破壊処理機能と磁気データの消去処理機能とを兼ね備えて一体化されたデータ記録媒体処理装置1として述べる。
【0104】
図10は本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用するデータ記録媒体処理装置の基本回路図、図11は図10のデータ記録媒体処理装置1で発生させる磁界の強度を示すグラフ、図12は図10のデータ記録媒体処理装置1の構造を示す分解斜視図である。
【0105】
データ記録媒体処理装置1は、図10の様に、大別して磁界発生部20、電磁波発生部30および制御部50と、これら各部に交流電源を供給する電源トランス11を備えて構成される。
電源トランス11は、図10の様に、商用電源(AC100V)を受けて、各部に必要な交流電圧を生成するもので、AC100V側に接続される一次巻線12、磁界発生部20に接続される二次巻線13、電磁波発生部30に接続される二次巻線14,15、および、制御部50へ接続される二次巻線16を備えている。電源トランス11の一次巻線12は、電源スイッチSWおよびヒューズFを介して電源プラグCに接続されている。
【0106】
磁界発生部20は、図10の様に、コンデンサ22に充電された電荷を励磁コイル23を通じて放電することにより減衰交番磁界を発生させる機能を有する。磁界発生部20は、電源トランス11の二次巻線13がブリッジダイオード21に接続され、ブリッジダイオード21の整流出力が充電接点25を介してコンデンサ22に接続されている。また、コンデンサ22の両端は、極性反転部27を介して、リアクトル26、励磁コイル23および励磁接点24の直列回路に接続されて構成される。
【0107】
本実施例では、コンデンサ22に有極性の電解コンデンサを用いている。励磁コイル23に直列に設けたリアクトル26は、励磁コイル23への通電電流の安定化を図る機能を有する。また、極性反転部27は連動切換される接点27a,27bを備え、接点27a,27bを切換接続することにより、コンデンサ22から励磁コイル23へ流れる電流の方向を反転する機能を有する。尚、磁界発生部20の充電接点25、励磁接点24、および、極性反転部27の接点27a,27bの各接点は、いずれも、後述する制御部50によって開閉制御される。
【0108】
磁界発生部20は、次の動作によって減衰交番磁界を発生する。まず、励磁接点24を開成した状態で、充電接点25を閉成してコンデンサ22への充電を行う。充電は、コンデンサ22の充電電圧がブリッジダイオード21で全波整流された電圧の波高値に至るまで行われる。充電に要する時間は、コンデンサ22の容量および電源トランス11の二次巻線13の巻線抵抗に応じて定まる。
【0109】
コンデンサ22への充電が完了すると、充電接点25を開成する。この時点ではコンデンサ22はフル充電され、端子電圧は、ブリッジダイオード21で全波整流された電圧の波高値と略等しい。次いで、励磁接点24を閉成すると、コンデンサ22に充電された電荷は励磁コイル23を介して急速に放電する。ここで、コンデンサ22と励磁コイル23は直列に接続されて直列共振回路を形成している。従って、励磁接点24を閉成すると、励磁コイル23には、図11の様に、時間の経過に連れて波高値が低下する減衰交番電流iが流れる。
【0110】
励磁コイル23に流れる減衰交番電流iの周期は、コンデンサ22の容量および励磁コイル23のインダクタンスによって概ね定まる。また、減衰交番電流iの減衰率は、コンデンサ22の内部抵抗や励磁コイル23の抵抗成分によって定まる。則ち、励磁接点24を閉成すると、図11の様に、コンデンサ22および励磁コイル23の直列共振回路によって定まる周期および減衰率の減衰交番電流iが励磁コイル23に通電され、通電電流は極性を反転しつつ減衰してゼロに至る。
【0111】
従って、励磁接点24を閉成すると、励磁コイル23の周囲には、時間の経過に伴って磁極を交互に反転させつつ磁束密度が次第に低下する減衰交番磁界が生成される。磁界発生部20は、このような原理に基づいて減衰交番磁界を発生させるものであり、発生した減衰交番磁界を用いて磁気データ記録媒体に記録された磁気データの消去を行う。則ち、本実施形態のデータ記録媒体処理装置1の磁界発生部20は、強磁界を長時間発生させるものではなく、時間の経過に連れて磁束密度が低下する減衰交番磁界を発生させる機能を備えた回路である。
【0112】
電磁波発生部30はマイクロ波帯の電磁波を発生させる機能を有する。電磁波発生部30は、図10の様に、マグネトロン31の陰極(ヒータ)31aがヒータ通電接点36を介して電源トランス11の二次巻線(ヒータ巻線)14に接続されている。また、電源トランス11の二次巻線15は、コンデンサ32とダイオード33で形成される倍電圧整流回路38に接続され、当該倍電圧整流回路38の正出力電圧は、電流制限抵抗34を介してマグネトロン31の陽極31bに接続され、倍電圧整流回路38の負出力電圧はマグネトロン31の陰極31aに接続された回路構成とされている。
【0113】
本実施例では、マグネトロン31の陽極31bを接地した陽極接地回路を採用している。また、倍電圧整流回路38のダイオード33には並列にサージアブソーバ35が接続され、回路に発生するサージ電圧を吸収してダイオード33を破壊から保護する構成としている。尚、電磁波発生部30に設けたヒータ通電接点36および陽極通電接点37は、いずれも、後述する制御部50によって開閉制御される。
【0114】
電磁波発生部30は、次の動作によって電磁波を発生する。まず、ヒータ通電接点36を閉成してマグネトロン31の陰極(ヒータ)31aを加熱する。これにより、マグネトロン31は陰極31aから熱電子を放出可能な状態となる。次いで、陽極通電接点37を閉成すると、倍電圧整流回路38の整流出力電圧がマグネトロン31の陽極31bに印加され、マグネトロン31は発振を開始してアンテナ31cから所定強度の電磁波を輻射する。本実施形態では、発振周波数が略4.3GHzのマグネトロン31を用いており、アンテナ31cから輻射される電磁波は周波数が略4.3GHz、波長が略7cmのマイクロ波である。
【0115】
電磁波発生部30は、このような回路構成によってマイクロ波を発生させるものであり、発生した電磁波を光データ記録媒体に印加して記録されたデータの破壊を行う機能を有する。尚、本実施例では、略4.3GHzの発振周波数のマグネトロン31を用いたが、略2.45GHzの発振周波数のマグネトロン31を用いることも可能である。これらの発振周波数のマグネトロン31を用いることにより、光データ記録媒体に記録された光データを効率良く破壊することが可能である。
【0116】
制御部50は、図10の様に、定電圧回路51と制御回路52を備え、磁界発生部20および電磁波発生部30に設けられた各接点の開閉制御を行う機能を有する。
定電圧回路51は、電源トランス11の二次巻線16の交流電圧を受けて、制御回路52へ安定化した直流電圧を供給する回路である。
【0117】
制御回路52は、CPUを備えたデジタル制御を行う回路であり、当該制御回路52には、磁界発生スイッチ54a、電磁波発生スイッチ54bおよび磁界・電磁波発生スイッチ54cを備えたモード設定部54と、作動スイッチ55が各々接続されている。
また、制御回路52は、プログラム処理に従って複数の接点を個別に開閉制御可能な構成を備え、これらの各接点は前記した磁界発生部20および電磁波発生部30の各接点に対応する構成とされている。
【0118】
尚、本実施例では、モード設定部54の各スイッチ54a〜54cはメカニカル連動型のオルタネートプッシュスイッチを用いて構成し、いずれか一つのスイッチを押し込んで閉成すると他の二つのスイッチが突出して開成する構成とされている。また、作動スイッチ55は、モーメンタリ型のプッシュスイッチを用いている。
【0119】
制御回路52は、モード設定部54の設定および作動スイッチ55の操作に応じてプログラム処理を行い、前記した磁界発生部20および電磁波発生部30の各接点を開閉制御して磁界または電磁波またはこれらの双方を発生させる制御機能を有する。
【0120】
本実施例のデータ記録媒体処理装置1は、以上の機能を有する磁界発生部20、電磁波発生部30および制御部50を備えており、図10に一点鎖線で示す回路ブロック10は、回路基板などに一体的に形成されている。
【0121】
次に、本実施形態のデータ記録媒体処理装置1の構造を、図12を参照して説明する。データ記録媒体処理装置1は、収容部60と、当該収容部60を外側から覆う外装ケース66の機構部材を備えている。
【0122】
収容部60は、図12の様に、内部に空間を有する非磁性体で製された方形状の箱体であり、前面は開放され、上下左右および後面は閉塞されている。本実施形態では、収容部60を非磁性体である銅板を用いて製している。収容部60の上面中央部には、マグネトロン31が固定され、そのアンテナ31c(図10参照)は、収容部60の内部空間へ突出している。マグネトロン31にはヒータ電圧および陽極電圧を印加する配線L1が接続され、当該配線L1の先端にはコネクタ68が接続されている。
【0123】
収容部60の外壁には、マグネトロン31を前後両側から挟むようにして励磁コイル23が前方から後方へ向けて巻装され、当該励磁コイル23の両端部は配線L2を介してコネクタ69に接続されている。本実施形態では、励磁コイル23にエナメル線を用いており、励磁コイル23と収容部60の外周面の間には、絶縁シート(不図示)を介在させている。
【0124】
収容部60の前面側端部には磁性体で製されたフランジ部61が形成されると共に、収容部60の前面を覆うように扉62がフランジ部に取り付けられている。則ち、扉62の左端がフランジ部61の左端部に枢支されて扉62は開閉自在である。
本実施形態では、フランジ部61および扉62を、いずれも磁性体である鉄板を用いて製している。扉62の前面右方には取っ手63が設けられ、当該取っ手63の近傍には、後面側へ向けて突出するフック64が設けられている。また、フック64に対応するフランジ部61には、係合孔65が設けられている。
【0125】
このように、収容部60は非磁性体である銅で製され、前面側が開放された箱体であり、当該開放部位には、磁性体である鉄板で製されたフランジ部61が設けられ、当該フランジ部61に磁性体である鉄板で製された扉62が開閉自在に取り付けられた構成とされている。また、フランジ部61の後面には、全面に渡って電磁波吸収材67が貼付されている。本実施形態では、電磁波吸収材67として、合成ゴムに電磁波吸収性を有する鉄素材を分散させたゴム系の電磁波吸収材を用いている。
【0126】
一方、外装ケース66は、収容部60よりも大きい磁性体で製された箱体であり、前面の一部は開放され、上下左右および後面は閉塞されて、収容部60を収納可能な形状を有する。外装ケース66の内壁面には、全面に渡って、前記フランジ部61に設けたものと同一の電磁波吸収材67が装着されている。則ち、外装ケース66は鉄で製された箱体であり、その内面に全面に渡って電磁波吸収材67が装着された構造である。
【0127】
外装ケース66の上部には、前記図10で示した回路ブロック10を収納した回路収納部17が設けられている。回路収納部17には、電源スイッチSW、作動スイッチ55およびモード設定部54の3つのスイッチ54a,54b,54cが配されると共に、後面からは電源プラグCを備えたACコードが引き出されている。
【0128】
データ記録媒体処理装置1を組み立てる際は、図12のように、マグネトロン31へ接続されたコネクタ68と、励磁コイル23へ接続されたコネクタ69を、外装ケース66の上面に設けた開口(不図示)を通して回路収納部17に設けたコネクタ(不図示)に接続する。そして、収容部60を外装ケース66の内部に挿入し、収容部60に設けたフランジ部61を外装ケース66の前面開放側端部に当接させて固定する。
【0129】
このようにしてデータ記録媒体処理装置1を組み立てると、前面の扉62は取っ手63を掴んで自由に開閉することができ、扉62を開成して収容部60に回収箱95を容易に出し入れすることができる。
【0130】
次に、本実施例のデータ記録媒体処理装置1の動作を、図4、図10〜図12を参照して説明する。最初に、磁気データの消去処理を行う場合の動作を説明する。
まず、電源スイッチSWをオンし、モード設定部54の磁界発生スイッチ54aを押し込んで磁界発生モードに設定する。次いで、扉62を開成して、データ記録媒体2を収納した回収箱95を収容部60に収納する。そして、扉62を閉成した後に作動スイッチ55をプッシュ操作する。
【0131】
作動スイッチ55を操作すると、制御回路52は、モード設定部54の磁界発生スイッチ54aの閉成状態を参照して、磁界発生部20の充電接点25、励磁接点24および極性反転部27の接点27a,27bの制御を行う。尚、磁界発生モードにおいては、電磁波発生部30のヒータ通電接点36および陽極通電接点37は開成されたままである。
【0132】
制御回路52は、まず、極性反転部27の接点27a,27bの双方をいずれか一方側に切換接続し、充電接点25を所定時間だけ閉成する。これにより、前記したように、コンデンサ22はブリッジダイオード21で全波整流された電圧の波高値に至るまで充電される。充電接点25が閉成されてから所定時間が経過すると、制御回路52は充電接点25を開成し、続いて、励磁接点24を閉成する。すると、コンデンサ22に充電された電荷が励磁コイル23を通じて放電し、前記図11で示した減衰交番電流iが励磁コイル23に通電されて減衰交番磁界が発生する。
【0133】
ここで、図12に示したように、励磁コイル23は非磁性体(銅板)で製された収容部60に巻装され、収容部60の外側は磁性体(鉄板)で製された外装ケース66で覆われると共に、収容部60の前面も磁性体(鉄板)で製された扉62で遮蔽されている。従って、励磁コイル23で発生した減衰交番磁界は、収容部60で減衰することなく収容部60の内部空間に誘起され、しかも、収容部60の外側に漏洩する磁力線は外装ケース66、フランジ部61および扉62で遮蔽される。
これにより、収容部60に減衰交番磁界が印加され、回収箱95に収納された磁気データ記録媒体2c〜2fが減衰交番磁界に晒されて記録された磁気データが消去される。
【0134】
制御回路52は、励磁接点24を閉成してから所定時間が経過すると、励磁接点24を開成して一連の磁気データ記録媒体の磁気データ消去処理を完了する。
則ち、本実施例のデータ記録媒体処理装置1によれば、回収箱95に収納された磁気データ記録媒体の磁気データを短時間に消去することが可能である。また、外部に漏洩する磁力線が最小限に抑えられるので、漏洩磁力線による弊害の発生を未然に防止することが可能である。
【0135】
尚、磁界発生部20の極性反転部27に設けた接点27a,27bは、磁界発生モードの動作が行われる毎に制御回路52によって反転接続される。則ち、磁界発生モードの動作毎にコンデンサ22から励磁コイル23への放電極性が反転される構成としている。
従って、励磁コイル23で発生する磁界によって磁性体で成る外装ケース66に磁場が誘起されて、励磁コイル23と外装ケース66との間に機械的な反発力や吸引力が生じても、前記極性反転部27の反転接続によって、発生する機械力を動作毎に反転される。これにより、励磁コイル23が収容部60に対して位置ずれを生じることを防止している。
【0136】
次に、光データ記録媒体に記録された光データの破壊処理を行う場合の動作を説明する。まず、電源スイッチSWをオンし、モード設定部54の電磁波発生スイッチ54bを押し込んで電磁波発生モードに設定する。そして、作動スイッチ55をプッシュ操作する。
【0137】
作動スイッチ55を操作すると、制御回路52は、モード設定部54の電磁波発生スイッチ54bの閉成状態を参照して、電磁波発生部30のヒータ通電接点36および陽極通電接点37の制御を行う。尚、電磁波発生モードにおいては、磁界発生部20の充電接点25および励磁接点24は開成されたままである。
【0138】
制御回路52は、まず、ヒータ通電接点36を閉成してマグネトロン31の陰極(ヒータ)31aを加熱する。これにより、陰極31aから熱電子放出が可能な状態となる。ヒータ通電接点36の閉成から所定時間が経過すると、制御回路52は陽極通電接点37を閉成する。これにより、倍電圧整流回路38からマグネトロン31の陽極31bに陽極電圧が印加されて、略4.3GHzのマイクロ波がアンテナ31cから収容部60の内部へ向けて輻射される。
【0139】
ここで、図12に示したように、収容部60は非磁性体(銅板)で製されているので、内部に輻射された略4.3GHzのマイクロ波は収容部60の内壁面で反射して外部へ漏洩しない。また、収容部60の前面は磁性体(鉄板)で製された扉62で覆われるので、収容部60の内部に輻射されたマイクロ波が外部に漏洩することが阻止される。更に、万一、収容部60の外部に電磁波が漏洩した場合でも、外装ケース66の内壁とフランジ部61の後面に設けた電磁波吸収材67によって吸収され、電磁波が外装ケース66の外部へ漏洩することが完全に阻止される。
【0140】
収容部60に輻射された電磁波は、回収箱95に収納された光データ記録媒体(DVD2a,CD2b)に印加され、媒体に形成されたアルミニウム蒸着膜やピットが電磁波で加熱されて変形することにより、光データを短時間に破壊することが可能である。また、前記したように、収容部60の外部に漏洩する電磁波は電磁波吸収材67で吸収されるので、データ記録媒体処理装置1の外部に漏洩する電磁波を極限まで低減される。
【0141】
制御回路52は、陽極通電接点37を閉成してから所定時間が経過すると、陽極通電接点37およびヒータ通電接点36を開成して一連の光データ記録媒体のデータ破壊処理を完了する。
【0142】
このように、本実施例のデータ記録媒体処理装置1によれば、回収箱95に収納された光データ記録媒体2a,2bの光データを短時間に破壊処理することが可能である。また、外部に漏洩する電磁波が最小限に抑えられるので、漏洩電磁波が人体に危険を及ぼすことがない。
【0143】
次に、光磁気ディスク2fに記録された磁気データの消去処理を行う場合の動作を説明する。
まず、電源スイッチSWをオンし、モード設定部54の磁界・電磁波発生スイッチ54cを押し込んで磁界・電磁波発生モードに設定する。そして、作動スイッチ55をプッシュ操作する。
【0144】
作動スイッチ55を操作すると、制御回路52は、モード設定部54の磁界・電磁波発生スイッチ54cの閉成状態を参照して、磁界発生部20の充電接点25および励磁接点24の制御を行うと共に、電磁波発生部30のヒータ通電接点36および陽極通電接点37の制御を行う。
【0145】
則ち、モード設定部54で磁界・電磁波発生モードに設定すると、制御回路52によって前記した磁界発生モードと電磁波発生モードが同時に実行され、収容部60の内部には、減衰交番磁界が印加されると同時に略4.3GHzの周波数のマイクロ波が輻射される。
【0146】
これにより、収容部60の回収箱95に収納された光磁気ディスク2fは、輻射されるマイクロ波によって加熱されつつ印加される減衰交番磁界によって短時間に消磁され、記録された磁気データが消去される。この磁界・電磁波モードにおいても、前記したように、磁力線や電磁波がデータ記録媒体処理装置1の外部に漏洩することが阻止されるので、安全性を向上させることが可能である。
【0147】
このように、本実施例のデータ記録媒体処理装置1によれば、回収箱95に収納された光磁気ディスク2fの磁気データを短時間に消去することが可能である。また、外部に漏洩する電磁波が最小限に抑えられるので、漏洩電磁波が人体に危険を及ぼすことがない。
【0148】
以上、本実施例のデータ記録媒体処理装置1を説明したが、安全面や操作面において追加した構成を採ることができる。
例えば、前記実施形態では、扉62のフック64をフランジ部61の係合孔65に係合させて扉62を閉成するだけの構成とした。しかし、係合孔65に検知スイッチを設け、扉62の開成中は、制御回路52によって磁界および電磁波の発生を強制的に停止させる構成とすることも可能である。この構成によれば、データ記録媒体の処理中に誤って扉62を開成しても、磁界や電磁波が外部に漏れることが未然に防止され、安全性を一層向上させることが可能である。
【0149】
また、例えば、作動スイッチ55を操作してから、磁界または電磁波のいずれかが出力されている期間はパイロットランプを表示させる構成とすることにより、使い勝手を向上させることも可能である。
【0150】
次に、光データ記録媒体2a,2bの金属部分離装置7の具体的な実施例を説明する。
図13は本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する光データ記録媒体の金属部分離装置7の概略構成図、図14は図13の金属部分離装置7の要部を示す斜視図、図15は図13の金属部分離装置7に採用するディスク保持容器の斜視図である。
【0151】
本実施例の金属部分離装置7は、光データ記録媒体を収容することのできる処理室85と、当該処理室85内の光データ記録媒体にマイクロ波を照射する第1のマイクロ波照射手段73及び第2のマイクロ波照射手段74と、処理室85の内部を低酸素状態に維持する低酸素維持手段78と、処理室85全体を取り囲むように巻き付けられたコイルからなる磁場発生手段70とにより構成される。
【0152】
処理室85は内部に照射されるマイクロ波が漏れ出さず、かつ、処理室85の外部に巻き付けられた磁場発生手段70による磁場が被処理物である光データ記録媒体2a,2bに到達しうる非磁性体の金属であるステンレスで構成されている。
【0153】
また、処理室85は前後(図面左右方向)にディスク保持容器9により保持された光データ記録媒体2a,2bを通過させうるように筒状とされており、その前後の開口端には当該処理室85を閉窒可能なステンレス製の前後扉71,72が備えられている。
【0154】
当該前後扉71,72は光データ記録媒体2a,2bにマイクロ波を照射する際には処理室85を閉塞してマイクロ波の漏洩を防止するとともに、後述する処理室85内部を低酸素に維持する場合にも寄与するものである。
【0155】
第1及び第2のマイクロ波照射手段73,74はマグネトロンを用いたマイクロ波発生装置75、及び、当該マイクロ波発生装置75によって発生したマイクロ波を分波する分波機(図示せず)を共有し、処理室85の左右方向(図面奥行き方向)の周壁中央部にそれぞれ誘導するための導波管76,77とにより構成されている。そして、これらの導波管76,77の長さを違えることで、被処理物である光データ記録媒体2a,2bに到達するマイクロ波の位相を異なるものにしている。
【0156】
前記マイクロ波発生装置75には発生するマイクロ波の強度を制御することのできるマイクロ波強度制御手段84が備えられている。当該制御手段84はマイクロ波発生装置75に印加する電圧を変化させることにより、発生するマイクロ波の強度、ひいては光データ記録媒体に照射されるマイクロ波の強度を変化させるものである。
【0157】
低酸素維持手段78は、二酸化炭素ガスが蓄えられたボンベ(図示省略)から二酸化炭素ガスを処理室85に導入するためのガス配管79と処理室85内の空気を排出するためのガス配管81と、それぞれの配管に接続され配管を開閉しガス(空気)の流れを制御するガスバルブ80,82で構成されている。
【0158】
本実施形態に使用するガスは二酸化炭素であり空気よりも重いので、処理室85の下部に接続されたガス配管81から処理室85内に導入される一方、処理室85内にあった空気は処理室85の上部に接続されたガス配管79から排出されるものとなされている。
【0159】
磁場発生手段70は処理室85の外側全体に光データ記録媒体の流通方向に対して導線が多数回巻き付けられたコイルからなるものである。
【0160】
前記磁場発生手段70には発生する磁場の強度を制御することのできる磁場強度制御手段83が備えられている。当該磁場強度制御手段83は磁場発生手段70であるコイルに印加する電圧を変化させることにより、発生する磁場の強度を変化させるものである。なお、コイルへの通電時のサージを吸収するため、コイルの両端部にはコイルと並列にコンデンサ(図示せず)が取り付けられている。
【0161】
ディスク保持容器9は、図15に示すように、櫛歯状の溝が刻まれた保持部材90と、当該保持部材90の下部に配置され、光データ記録媒体2a,2bから溶融流出した金属を受け止める受け皿91と、当該保持部材90を受け皿91上に支持する支持部材92で構成されている。前記保持部材90は受け皿91の上部に支持部材92により支持されており、受け皿91の上部に平行に4本配置されている。
【0162】
保持部材90相互の間隔は、隣り合う保持部材90の溝に光データ記録媒体2a,2bを差し入れた際、光データ記録媒体が落下しない程度、つまり、溝の底から対向する溝の底までの距離が光データ記録媒体の直径よりも短く設定されている。
また、保持部材90に設けられた溝はほぼ鉛直方向に刻まれており、溝の幅は光データ記録媒体2a,2bの厚さよりも若干広く設定されている。
【0163】
ディスク保持容器9を構成する保持部材90、受け皿91、支持部材92は、いずれも、マイクロ波の影響を受けないセラミックで製されている。
【0164】
当該ディスク保持容器9に光データ記録媒体2a,2bを保持させるには、隣り合う保持部材90の対向する溝に光データ記録媒体2a,2bを差し入れるだけでよい。保持部材90に刻まれた溝によって光データ記録媒体2a,2bの傾動は規制され、対向する溝の底部同士の間隔によって光データ記録媒体2a,2bの落下が規制される。従って、本実施例の場合、光データ記録媒体2a,2bはディスク保持容器9によってその面がほぼ鉛直と平行となるように起立状態で保持される。
【0165】
なお、図15においてディスク保持容器9は光データ記録媒体2a,2bを厚さ方向に等間隔で複数枚重ねた状態で保持しているが、光データ記録媒体2a,2bの保持状態は当該状態ばかりでなく、光データ記録媒体2a,2bを厚さ方向に重なりあわないように保持するものでも構わない。この場合、ディスク保持容器9に搭載できる量は減少する可能性があるが、マイクロ波を効率よく照射できる効果が得られる。
【0166】
本実施例にかかる光データ記録媒体の金属部分離装置は、図13の様に、処理室85の前部にディスク保持容器9に保持された光データ記録媒体2a,2bを処理室85に撒入するためのベルトコンベアからなるローダ86を備えている。また、処理室85の後部にディスク保持容器9に保持された光データ記録媒体2a,2bを処理室85から雑出するためのベルトコンベアからなるアンローダ88を備えている。また、前記ローダ86から光データ記録媒体2a,2bが受け渡され、光データ記録媒体2a,2bの処理室85内の位置決めを行い、アンローダ88に光データ記録媒体2a,2bを受け渡すことのできるベルトコンベアからなるコンベア87を処理室85の内部に備えている。
【0167】
次に、本実施例の金属部分離装置7の使用方法を説明する。
まず、光データ記録媒体2a,2bを所定の間隔でディスク保持容器9に起立状態で配置し、ディスク保持容器9ごとローダ86上に載置する。
ローダ86を駆動し、前扉71が上方に移動して前部が開放した処理室85内に光データ記録媒体2a,2bをディスク保持容器9とともに搬入する。
【0168】
ローダ86から光データ記録媒体2a,2bが受け渡されたコンベア87を駆動しつつ、光データ記録媒体2a,2bを処理室85内の所定の位置に配置する。そして、前扉71及び後扉72を閉じ、処理室85を閉塞状態とする。
【0169】
ガスバルブ80,82の両方を開状態とし、二酸化炭素ガスを処理室85内に導入し、当該導入されるガスの圧力によって既に処理室85内にあった空気を排気するいわゆるパージ処理を行う。処理室85内が一定の酸素濃度以下になったところでガスバルブ80,82を閉じる。この状態で、処理室内は低酸素状態を維持することができる。
【0170】
次に、マイクロ波発生装置75に電力を供給する。マイクロ波発生装置75で発生したマイクロ波は分波機を経ることにより2つに分波され、それぞれの導波管76,77を通過して処理室85内に照射される。この状態で処理室85内に照射される2つのマイクロ波は相互に位相が異なったものとなされている。
また、同時に磁場発生手段70に電力を供給し磁場を処理室内に発生させる。
【0171】
これらのマイクロ波と磁場の強度はそれぞれの強度制御手段84,83によって連続的にまたは段階的に制御される。これらの強度の制御はマイクロ波発生装置75及び磁場発生手段に供給する電源の電圧を連続的または段階的に変化させることにより行う。このように、電圧を連続的または段階的に変化させることによってマイクロ波の偏在する照射部分を略連続的に変化させることができ、処理室85内に存在する全ての光データ記録媒体2a,2bに対し略均一にマイクロ波を作用させることが可能となる。
尚、電源電圧を連続的または段階的に変化させる場合には電力を供給しない状態も含まれる。
【0172】
マイクロ波を光データ記録媒体に照射すると火花が発生する場合があるが、処理室内が低酸素状態に維持されているため発火のおそれがなく、樹脂の劣化を可及的に抑止することができる。
【0173】
本実施例で使用したマイクロ波発生装置は最大出力が5kWで発信周波数は2.45GHzである。また、実際に光データ記録媒体2a,2bを処理するには、マイクロ波の出力を0から5kWまでのこぎり歯状に変化させながら5分間照射した。また、2つの導波管76,77の長さの違いは略60mmである。
【0174】
光データ記録媒体2a,2bの金属部を溶融し樹脂基板と分離するには、マイクロ波の最大出力は0.1kW以上であることが望ましい。マイクロ波の最大出力が0.1kW未満であれば光データ記録媒体2a,2bに存在する金属を溶融することが困難となる可能性が高いからである。一方最大出力の上限値には特に制限を設ける必要はないが、最大出力を5kWより上にすると装置が大型化しすぎる。また、瞬間的に光データ記録媒体2a,2bの金属部の一部が高温化してしまい、樹脂部分に悪影響を及ぼす可能性があるため照射時間などの調整に厳密さが要求されるようになる。なお、当該記載は最大出力が5kWより大きい装置の採用を妨げるものではない。
【0175】
次に、光データ記録媒体2a,2bの処理が終了した段階で、マイクロ波の照射及び磁場の発生を終了し、しばらく低酸素状態を維持させる。これは、昇温した状態の光データ記録媒体2a,2bを急に空気にさらしたことによる樹脂部分の劣化抑止するとともに、蒸発した金属を空気中に放出することを抑止するためである。
【0176】
所定の時間経過後、処理室85後部の後扉72を上方に移動させ処理室85を開放する。コンベア87及びアンローダ88を連動させて処理室85内の処理済み光データ記録媒体2a,2bを処理室85内から搬出する。
その後、ディスク保持容器9に残存する処理済み光データ記録媒体2a,2bの樹脂部分、および、受け皿91に流出した金属部をリサイクルに供することができる。
【0177】
以上、金属部分離装置7の実施例を説明したが、各部の構成は本実施例に限定されるものではない。
例えば、本実施例では光データ記録媒体2a,2bをほぼ鉛直に起立した状態でディスク保持容器9に保持するものとしたが、光データ記録媒体2a,2bの保持状態はその面が水平面と平行ではなく、水平面に対し所定の角度を有した起立状態で保持されればよい。
【0178】
また、マイクロ波照射手段73,74は、マイクロ波を分波せずに一つのマイクロ波を照射するものでも良い、またこの場合、導波管用いることなく処理室85内にマグネトロンなどのマイクロ波発生装置75を直接配置してもかまわない。
【0179】
磁場発生手段70としては、端面が処理室85内部を臨むようにソレノイドコイルなどの電磁石を複数個配置するものでもかまわない。この場合、複数の電磁石をそれぞれ制御することにより、より複雑な磁場の状況を任意に発生させることができ、マイクロ波や磁場の偏在箇所を自在に変化させることができる。
【0180】
低酸素維持手段78は、二酸化炭素の他に窒素ガスなど不活性ガスも利用することができ、処理室85内を開放状態として常に不活性ガスを処理室85内に導入し続けることで、処理室85内を低酸素状態に維持するものでもかまわない。また、ガスを利用するのではなく、処理室85内を真空状態またはそれに近い状態とするものでもかまわない。
【0181】
マイクロ波強度制御手段84、磁場強度制御手段83は、それぞれマイクロ波発生装置75や磁場発生手段70に供給する電流を制御しうるものでも良い。また、これらをコンピュータによる自動制御とすることも任意である。
【0182】
また、光データ記録媒体の金属部分離装置として、ローダ86、アンローダ88、コンベア87を備えたインライン式の装置を例示したが、扉が一つの処理室85内にディスク保持容器9に保持された光データ記録媒体2a,2bを手で載置し、扉を閉めて処理を行い、その後扉を開けて処理済みの光データ記録媒体2a,2bを取り出す、家庭で使用される電子レンジのようなバッチ式の装置でもかまわない。
【0183】
また、本実施例では処理中のコンベア87は駆動させない状態を説明したが、消去処理中にコンベア87を駆動させ、被処理物である光データ記録媒体2a,2bを機械的に移動させることを妨げるものではない。処理室85の形状との関係など光データ記録媒体2a,2bのより完全な処理のためには機械的移動が必要な場合もあるからである。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する回収箱に施される予備加工の手順を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は、図1の予備加工に用いる結束バンド(バンド)を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、図1の予備加工の施された回収箱にデータ記録媒体を収容して封緘する手順を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は、開封判別シールの説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、図3の封緘された回収箱を移送元から移送先(処理場)へ移送する手順を示す説明図である。
【図6】(a)〜(d)は、処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図である。
【図7】(a)〜(g)は、処理場において回収箱から取り出したデータ記録媒体に対して行う処理手順を示す説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の別の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法において、移送元から移送先(処理場)へ回収箱を移送する手順を示す説明図である。
【図9】(a),(b)は、処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用するデータ記録媒体処理装置の基本回路図である。
【図11】図10のデータ記録処理装置で発生させる磁界の強度を示すグラフである。
【図12】図10のデータ記録媒体処理装置の構造を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する光データ記録媒体の金属部分離装置の概略構成図である。
【図14】図13の金属部分離装置の要部構成を示す斜視図である。
【図15】図13の金属部分離装置に採用するディスク保持容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0185】
1 データ記録媒体処理装置
1a 光データ破壊装置
1b 磁気データ消去装置
2 データ記録媒体
2a 光データ記録媒体(DVD)
2b 光データ記録媒体(CD)
2c 磁気データ記録媒体(FD)
2d 磁気データ記録媒体(8mmビデオテープ)
2e 磁気データ記録媒体(VHSビデオテープ)
2f 磁気データ記録媒体(MO)
6 データ記録媒体
6a データ記録媒体(データ記録紙)
6b データ記録媒体(伝票)
7 金属部分離装置
57 収容袋
58 バンド(結束バンド)
93,95 回収箱
97 封緘手段(開封判別シール)
98 搬送ケース
K1,K2 鍵
【技術分野】
【0001】
本発明は、光データ記録媒体や磁気データ記録媒体あるいはデータ記録紙などのデータ記録媒体に記録されたデータの機密性を確保しつつ効率良く廃棄する処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログデータやデジタルデータを記録するデータ記録媒体は種々のものが実用化されている。デジタルデータを記録する光データ記録媒体としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などがあり、光および磁気の双方を用いて記録する光磁気ディスク(MO:Magneto Optical Disc) も実用化されている。また、デジタルデータを記録する磁気データ記録媒体としては、デジタルビデオテープや汎用コンピュータ用の磁気テープ(MT:Magnetic Tape)などがある。更に、アナログデータを記録する磁気データ記録媒体には、VHS(Video Home System )ビデオテープや8mmビデオテープなどがある。
【0003】
CDやDVDは、本来、原盤を用いてプレス記録された読取専用のデータ記録媒体である。しかし、記録装置によって一度だけデータ書込の可能なCD−R(CD Recordable) やDVD−R(DVD Recordable)、あるいは、繰り返しデータ書換可能なCD−RW(CD ReWritable) やDVD−RW(DVD ReWritable) などの仕様も実用化されている。
【0004】
光データ記録媒体のうち、読取専用のCDやDVD、CD−RやDVD−Rは記録されたデータを消去できないことから、記録データの機密性を確保するには廃棄に際して記録データまたは媒体自体を破壊する必要がある。また、書換可能なCD−RWやDVD−RW、MOでは、記録されたデータの消去操作を行っても、データの位置情報を示すインデックスが消去されるだけでデータ自体は残存する。このため、廃棄に際して無意味なデータを上書きして元データを消去しなければならず、データ消去処理に長時間を要する。
【0005】
また、磁気データ記録媒体においても、物理フォーマットや論理フォーマットしただけでは記録されたデータが消去されない。このため、廃棄に際して無意味なデータを上書きして元のデータを消去しなければならず、データの消去処理に長時間を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明者らは、先願(特願2003−372541号)において、磁界または電磁波の少なくともいずれか一方または双方を光データ記録媒体や磁気データ記録媒体に印加して、記録データの破壊や消去を行うデータ記録媒体処理装置を提案した。このデータ記録媒体処理装置を用いることにより、光データの破壊や磁気データの消去を短時間に効率良く行うことが可能である。
【0007】
ところが、官公庁や警察、病院など機密性の高いデータを大量に扱う組織では、記録データの機密性を確保するべく、不要となったデータ記録媒体の廃棄処理を全て組織内で行わなければならない。このため、先願(特願2003−372541号)に開示されたデータ記録媒体処理装置を採用した場合でも、大量のデータ記録媒体の廃棄処理に多大な手間と時間を要し、組織内で処理するには限界があった。
【0008】
また、このような光データ記録媒体や磁気データ記録媒体に加えて、オフィスなどでは大量のデータ記録紙が用いられる。ところが、機密事項の記録されたデータ記録紙はそのまま廃棄することができず、シュレッダなどによって細かく裁断した後に廃棄しなければならず、廃棄処理に手間が掛かるために改善が望まれていた。
【0009】
一方、このようなデータ記録媒体の廃棄処理に関連して、近時、廃棄物を素材毎に分別して再利用するリサイクルが提唱されている。ところが、前記した大量の機密データを扱う組織では、データ記録媒体に記録されたデータの破壊処理や消去処理に多大な手間が掛かるため、データ廃棄処理されたデータ記録媒体を、更に、素材毎に分別するような手間をかけることができず、系統立ったリサイクル処理を行うことができなかった。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、記録されたデータの機密性を確保しつつデータ記録媒体を効率良く廃棄処理することができ、しかも、リサイクルを行うことのできるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供することを目的とする。また、同時に提案される本発明は、その廃棄処理方法に好適に採用できる収容箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、廃棄しようとする光データ記録媒体または磁気データ記録媒体の少なくともいずれかのデータ記録媒体を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を封緘したままの状態でマイクロ波を輻射する光データ破壊装置または磁界を発生する磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけてデータを破壊または消去するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法である。
【0012】
ここに、本発明で言う光データ記録媒体とは、レーザー光などの反射レベルの異なるピットをディスク上に記録した媒体を言い、CDやDVDを指す。また、磁気データ記録媒体とは、データを磁極によって記録するフレキシブルディスク(FD)やビデオテープあるいは汎用の磁気テープなどを指す。尚、MO(光磁気ディスク)は、レーザー光を用いてディスクを昇温しつつ磁気データを記録する媒体であり、磁気データ記録媒体に属する記録方式を有するものとして述べる。
【0013】
また、本発明で言う封緘とは、回収箱を封止して開封の有無を判別可能なテープなどを貼付する構成や、回収箱を単に封止するだけの構成を指す。
【0014】
ここで、光データ記録媒体と磁気データ記録媒体とではデータ記録形態が異なるため、記録データの読み取りを不能にするための処理方法が異なる。
光データ記録媒体に属するCDやDVDは、ポリカーボネートなどの樹脂製の円板にピットと称する凹凸を形成してデータを記録する媒体であり、当該ピットにレーザー光を照射して反射光を読み取るための金属膜(アルミニウム蒸着膜)と保護層を備えている。
【0015】
従って、CDやDVDでは、加熱などの方法によってピットやアルミニウム蒸着膜を機械的に変形することにより記録データを読み取り不能にすることができる。
また、磁気データ記録媒体に属するFDやビデオテープあるいはMOでは、磁界を印加して記録データを消去または攪乱することにより記録データを読み取り不能にすることができる。
【0016】
本発明によれば、データ記録媒体を収容した回収箱は、封緘されたまま処理場に移送され、光データ破壊装置または磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけられる。回収箱を光データ破壊装置にかけることにより、輻射されるマイクロ波によって収容されているCDやDVDのピットやアルミニウム蒸着膜が加熱変形されて記録された光データが破壊される。また、回収箱を磁気データ消去装置にかけることにより、発生する磁界が収容されているFDやビデオテープに印加されて記録された磁気データが消去あるいは攪乱される。
【0017】
則ち、本発明によれば、封緘したままの回収箱を光データ破壊装置や磁気データ消去装置にかけることにより、収容されているデータ記録媒体の記録データを完全に破壊または消去することができる。
従って、データ記録媒体の記録データを破壊または消去するために回収箱を開封する必要がなく、廃棄処理に際して記録データが残存するデータ記録媒体が抜き取られる虞が低減する。これにより、記録データの機密性を確保することが可能となる。
尚、封緘した回収箱を光データ破壊装置や磁気データ消去装置にかけたときは、処理済みの捺印などを行うことにより、処理あるいは未処理の状態を明確に区別することができる。
【0018】
また、本発明によれば、回収箱に収容される収容袋は、データ記録媒体を収容してバンドで緊締される。従って、収容されるデータ記録媒体は収容袋と回収箱によって二重に保護される。これにより、仮に移送中に回収箱の一部が破損したような場合でも、収容されたデータ記録媒体が飛び出すような不具合を未然に防止することができ、データの機密性を確保することが可能となる。
【0019】
本発明において、収容袋および回収箱には、マイクロ波および磁力線を透過可能な素材で形成されたものを用いることができる。例えば、収容袋としてはビニール袋などを用いることができ、回収箱としては段ボール箱や木箱を用いることが可能である。
【0020】
また、封緘手段としては、例えば、開封判別シールを貼付する構成を採ることができる。ここに開封判別シールとは、シールの表面に開封厳禁などの文字が印刷され、シールの裏面に糊剤が予め塗布されたシールであり、通常のシールのように段ボール箱や木箱に貼付可能であるが、一端剥がすと、再度貼付できない上に糊剤が部分的に剥がれて開封済みなどの文字が浮き出るシールを指す。
【0021】
封緘手段としてこのような開封判別シールを採用することにより、回収箱の開封の有無が一目瞭然となる。これにより、移送過程における無断開封を効果的に抑止することが可能となる。
【0022】
また、封緘手段として開封判別シールを採用することにより、回収箱が移送元から処理場へ未開封のまま移送されてデータ廃棄工程が完了したことを容易に確認することができる。従って、回収箱が未開封の状態を維持しつつ廃棄処理が可能な処理形態を確立することができ、データ記録媒体の廃棄処理を第三者に依託することが可能となる。
【0023】
また、本発明において、収容袋に最大収容量の目安となるガイドラインを設けることができる。この構成によれば、ガイドラインを参照しつつ最大容量のデータ記録媒体を収容袋に収容することができ、収容作業を効率良く行うことが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、封緘された回収箱を開封し、収容された光データ記録媒体および磁気データ記録媒体を素材毎に分離する工程と、分離された素材毎に分別する工程と、分別された素材毎に、その一部または全部を粉砕または溶融または溶解してリサイクル原材を生成する工程とを備えた処理方法である。
【0025】
本発明によれば、光データ記録媒体や磁気データ記録媒体は、分解や破壊によって構成素材である合成樹脂材や金属材あるいは紙材に分離される、分離された各構成素材は素材毎に分別される。従って、分別された合成樹脂材を例えばペレット状に粉砕してリサイクル原材とすることができる。また、分別された金属を溶融し金属塊としてリサイクル原材とすることができる。また、分別された紙材を溶解し精製してリサイクル原材とすることが可能である。これにより、データ記録媒体を素材毎に分離分別してリサイクルすることができ、限りある資源を有効に活用することが可能となる。
【0026】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を少なくともマイクロ波を輻射する金属部分離装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する金属部を加熱して樹脂材から分離して行う構成とされている。
【0027】
前記したように、光データ記録媒体であるCDやDVDあるいはMOは、ポリカーボネートなどの樹脂製の円板にレーザー光を反射する金属部(アルミニウム蒸着膜)を備えて形成される。従って、光データ記録媒体を素材毎に分離するには、ポリカーボネートなどの樹脂材からアルミニウム蒸着膜を分離させる必要がある。
【0028】
本願発明者らは、先願(特願2003−170145号)において、光データ記録媒体から金属部を分離する金属部分離装置を既に提案した。
従って、本発明によれば、光データ記録媒体を先願(特願2003−170145号)に開示された金属部分離装置にかけることにより、光データ記録媒体にマイクロ波を照射して短時間にアルミニウム蒸着膜を分離することができる。これにより、分離作業の効率を向上させることができ、しかも、分離した金属材および樹脂材をリサイクル原材とすることができる。
【0029】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を研削装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する金属部を研削によって除去して行う構成とされている。
【0030】
本発明によれば、光データ記録媒体の金属部を研削装置によって容易に研削して除去することができる。これにより、請求項3に記載した金属部分離装置を用いることなく、簡便に光データ記録媒体を素材毎に分離することが可能となる。また、研削装置によって研削した金属粉を収集してリサイクル原材とすることも可能である。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、光データ破壊装置および磁気データ消去装置が一体化されたデータ記録媒体処理装置で構成されている。
【0032】
本願発明者らは、先願(特願2003−372541号)において、光データ破壊装置および磁気データ消去装置を一体化したデータ記録媒体処理装置を既に提案した。
従って、本発明によれば、封緘された回収箱を先願(特願2003−372541号)に開示されたデータ記録媒体処理装置にかけるだけで、光データ記録媒体に記録された光データの破壊処理と磁気データ記録媒体に記録された磁気データの消去処理を連続して行うことができ、作業効率を向上させることが可能となる。
【0033】
請求項6に記載の発明は、廃棄しようとするデータ記録媒体であるデータ記録紙を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を収容されたデータ記録紙と共に封緘したままの状態で溶解するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法である。
【0034】
ここに、本発明で言うデータ記録紙とは、手書きされた記録紙や伝票あるいはパーソナルコンピュータなどで印字された記録紙や伝票など、あらゆるデータ記録紙を指す。
また、本発明で言う封緘とは、回収箱を封止して開封の有無を判別するテープなどを貼付する構成や、回収箱を単に封止するだけの構成を指す。
【0035】
本発明によれば、封緘された回収箱を未開封のまま処理場に移送して溶解処理を行うので、廃棄処理に際して回収箱を開封する必要がない。これにより、回収箱に収容されたデータ記録紙が抜き取られるような虞がなく、記録データの機密性を確保することが可能となる。
【0036】
また、本発明によれば、回収箱に収容される収容袋は、データ記録媒紙を収容してバンドで緊締される。従って、収容されるデータ記録媒体は収容袋と回収箱によって二重に保護される。これにより、移送中に回収箱の一部が破損したような場合でも、収容されたデータ記録紙が飛び出すような不具合を未然に防止することができ、データの機密性を確保することが可能となる。
【0037】
本発明において、回収箱ごと溶解することを考慮して、回収箱としては段ボール箱などを用いるのが好適であり、収容袋としては柔軟性および耐久性を有する紙袋などを用いるのが好適である。
【0038】
また、封緘手段として開封判別シールを採用することにより、前記請求項1と同様に、回収箱が未開封のまま移送元から処理場へ移送されてデータ廃棄工程が完了したことを容易に確認することができる。従って、回収箱が未開封の状態を維持しつつ廃棄処理が可能な処理形態を確立することができ、データ記録媒体の廃棄処理を第三者に依託することが可能となる。
【0039】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、溶解したデータ記録紙および回収箱をリサイクル原材として精製する工程を備えた処理方法である。
【0040】
本発明によれば、データ記録紙および回収箱を溶解したものを精製してリサイクル原材として用いることができ、資源の再利用を有効に行うことが可能となる。
【0041】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、回収箱は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を備えた箱体であり、上蓋および底蓋を開いた状態でバンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳む予備加工が施される構成とされている。
【0042】
本発明によれば、予備加工された回収箱は折り畳まれているので、不使用時には嵩張らず搬送が極めて容易である。
また、使用時には、隣接する周壁部を押し広げて底蓋を閉じるだけで回収箱の内部にバンドを装嵌した収容袋が収容されて収容可能な状態となる。
従って、廃棄しようとするデータ記録媒体を直ちに回収箱内の収容袋に収容することができる。また、隣接する上蓋の隙間からバンドの端部が突出しているので、収容作業が完了した後に収容袋の開口端部を上蓋から取り外して束ねてバンドで容易にを緊締することができる。これにより、データ記録媒体の収容作業を効率良く行うことが可能となる。
【0043】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、バンドは締め付け方向へのみ可動である構成とされている。
【0044】
本発明によれば、バンドを緩めて収容袋を開封することができない。従って、収容袋の開口部を一旦バンドで緊締すると、バンドを切断するか収容袋を破袋しなければ収容されたデータ記録媒体を取り出すことができない。
言い換えれば、収容袋からデータ記録媒体を取り出すと、収容袋の波袋またはバンドの切断の痕跡が残ることとなる。
【0045】
従って、仮に回収箱が破損したような場合であっても、収容袋の波袋やバンドの切断が行われていないことを確認することによってデータ記録媒体が収容袋から取り出されていないことを確認することができる。これにより、データ記録媒体の記録データの機密性を一層向上させることが可能となる。
本発明において、収容袋を緊締するバンドとしては、汎用の結束バンドなどを用いることが可能である。
【0046】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、廃棄しようとするデータ記録媒体を収容袋に収容する工程および収容袋を回収箱に収容する工程および回収箱を封緘する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、封緘された回収箱を処理場に移送する工程およびデータ廃棄工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行う構成とされている。
【0047】
前記したように、収容袋の緊締および回収箱の封緘によってデータ記録媒体が取り出されることを抑止する効果を奏する。従って、回収箱を封緘した後の処理は、依頼人以外の第三者が行うことも可能である。
【0048】
本発明によれば、回収箱を封緘した後の処理、則ち、封緘された回収箱を処理場に移送する工程とデータ廃棄工程とを、依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者に依託することができる。これにより、依頼人側の負担を軽減しつつ記録データの機密性を確保した廃棄処理を行うことが可能となる。
【0049】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、封緘された回収箱を更に施錠可能な搬送ケースに収容して施錠する工程と、封緘された回収箱の移送に代えて、封緘された回収箱を収容した搬送ケースと鍵とを別々に処理場に移送する工程と、移送された搬送ケースを別に移送された鍵によって解錠し、封緘された回収箱を取り出す工程とを備えた処理方法である。
【0050】
前記したように、封緘手段として開封判別シールを採用する構成では、移送過程における開封の有無を容易に判別することができ、無断開封を抑止する効果は大きい。しかし、回収箱の無断開封を阻止することは困難である。
【0051】
本発明によれば、封緘された回収箱を更に搬送ケースに収容して施錠し、搬送ケースと鍵を別々に処理場に移送する。これにより、移送中における回収箱の無断開封を効果的に阻止することができ、記録データの機密性を確保した廃棄処理を行うことが可能となる。
【0052】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、封緘された回収箱を搬送ケースに収容して施錠する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、搬送ケースと鍵とを処理場に移送する工程および移送された搬送ケースを鍵で解錠して回収箱を取り出す工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行う構成とされている。
【0053】
本発明によれば、搬送ケースを施錠した後の処理、則ち、施錠された搬送ケースを処理場に移送する工程と移送された搬送ケースを鍵で解錠して回収箱を取り出す工程とを、依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者に依託することにより、依頼人側の負担を軽減しつつ記録データの機密性を確保した廃棄処理を行うことが可能となる。
【0054】
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法において、データ記録媒体の処理の完了を証する処理証明書を、データ記録媒体の処理を行った移送先から移送元に対して発行する処理方法である。
【0055】
本発明によれば、移送元は処理証明書を受け取ることにより、回収箱が封緘されたまま処理場に移送され、封緘されたままデータ記録媒体のデータの破壊処理および消去処理が行われたことを確認することができる。これにより、移送元と移送先との相互信頼を維持しつつ確実なデータ記録媒体の廃棄処理を行うことが可能となる。
【0056】
請求項14に記載の発明は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を有する箱体と、物品を収容する収容袋と、当該収容袋の開口部を緊締するバンドとを備えた収容箱であって、箱体の上蓋および底蓋を開いた状態でバンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳む構成とされている。
【0057】
本発明によれば、収容箱は折り畳まれているので、不使用時には嵩張らず搬送が極めて容易である。
また、箱体の隣接する周壁部を押し広げて底蓋を閉じるだけで箱体の内部にバンドを装嵌した収容袋が収容された状態となる。
従って、収容しようとする物品を直ちに箱体内の収容袋に収容することができる。また、隣接する上蓋の隙間からバンドの端部が突出しているので、収容作業が完了した後に収容袋の開口端部を上蓋から取り外して束ねてバンドで容易にを緊締することができる。これにより、物品の収容作業を効率良く行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0058】
請求項1に記載の発明によれば、データ記録媒体に記録されたデータの機密性を確保しつつデータ記録媒体の廃棄処理を外部に依託して効率良く処理できるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供できる。
請求項2に記載の発明によれば、廃棄処理されたデータ記録媒体の構成素材をリサイクルすることができ、資源を有効に活用することが可能となる。
請求項3,4に記載の発明によれば、データ記録媒体を構成素材に容易に分離することができ、廃棄処理効率を向上させることが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、データ記録媒体に記録されたデータの破壊処理および消去処理を効率良く行うことができ、廃棄処理効率を向上させることが可能となる。
請求項6に記載の発明によれば、データ記録紙に記録されたデータの機密性を確保しつつデータ記録紙の廃棄処理を外部に依託して効率良く処理できるデータ記録媒体の廃棄処理方法を提供できる。
請求項7に記載の発明によれば、廃棄処理されたデータ記録紙をリサイクルすることができ、資源を有効に活用することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、不使用時には折り畳んで嵩張らず、廃棄処理に際しては容易に組み立ててデータ記録媒体を収容することができ、収容作業を効率良く行うことが可能となる。
請求項9に記載の発明によれば、回収箱が破損したような場合でもデータ記録媒体が収容袋から取り出されていないことを確認することができ、データの機密性を一層向上させることが可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、廃棄処理の依頼人が自ら記録媒体を回収箱に収容し封緘手段によって回収箱を封緘するので、依頼人は、データの機密性が確保されたことを確信でき、しかも、廃棄処理に伴う依頼人の負担を軽減できる。
請求項11に記載の発明によれば、回収箱を収容した搬送ケースを施錠するので、移送途中における回収箱の開封を阻止することが可能となる。
請求項12に記載の発明によれば、廃棄処理の依頼人が自ら回収箱を収容した搬送ケースを施錠するので、依頼人は、データの機密性が確保されたことを確信でき、しかも、廃棄処理に伴う依頼人の負担を軽減できる。
請求項13に記載の発明によれば、処理証明書を発行することにより、移送元と移送先との相互信頼を維持した廃棄処理を行うことが可能となる。
請求項14に記載の発明によれば、不使用時には折り畳んで嵩張らず、使用時には容易に組み立てて物品を収容することができ、収容作業を効率良く行うことができる収容箱を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する回収箱に施される予備加工の手順を示す説明図、図2は図1の予備加工に用いる結束バンド(バンド)を示す斜視図である。図3は図1の予備加工の施された回収箱にデータ記録媒体を収容して封緘する手順を示す説明図、図4は開封判別シールの説明図、図5は封緘された回収箱を移送元から移送先(処理場)へ移送する手順を示す説明図、図6は処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図、図7は処理場において回収箱から取り出したデータ記録媒体に対して行う処理手順を示す説明図である。
【0060】
本実施形態の廃棄処理方法では、予備加工を施した回収箱95を廃棄処理を行う業者側から廃棄処理の依頼人側へ提供する。
本実施形態で採用する回収箱95は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を備えた箱体であり、予備加工は次の手順で行われる。
【0061】
まず、図1(a),(b)の様に、収容袋57の外周部に環状に接続した結束バンド58を装嵌する。次いで、回収箱95の上蓋および底蓋を開き、結束バンド58を装嵌した収容袋57を回収箱95の内部に挿入する。このとき、結束バンド58の端部を回収箱95の隣接する上蓋同士の隙間から突出させる。
【0062】
結束バンド58は、図2(a)の様に、一面に係止刃58aを有する長尺のバンド本体58bの一端に、係止爪58cを備えたロック部58dを設けて一体化したものである。結束バンド58は、図2(b)の様に、係止刃58aが内方となるようにバンド本体58bを湾曲させて先端部58eをロック部58dに挿通すると、バンド本体58bをロック部58dに挿入する方向への移動は可能であり、引き抜き方向へはロック部58dの係止爪58cが係止刃58aに係合して阻止される。則ち、バンド本体58bを締め付ける方向へは可動であり、緩める方向への移動は阻止される構造を有する。
【0063】
収容袋57を結束バンドと共に回収箱95に挿入すると、続いて、図1(b)の様に、回収箱95の上蓋からはみ出た収容袋57の開口部分を上蓋に重ね合わせるように折り返す。そして、図1(c)の様に、回収箱95の隣接する周壁部を近接させて折り畳む。
以上の手順により、回収箱95の予備加工が完了する。
予備加工の施された回収箱95は、折り畳まれた回収箱95の内部に結束バンド58を宛がった収容袋57が収容された状態となり、不使用時において平板状であるので嵩張らない。
【0064】
本実施形態では、回収箱95は段ボールを使用している。また、収容袋57はビニールを使用しており、図1(a)の様に、最大収容量の目安となるガイドライン57aを予め外周面に沿って全周に渡って印刷している。
【0065】
業者側から予備加工を施した回収箱95を受け取った依頼人は、図3(a),(b)の様に、折り畳まれた回収箱95の周壁部を方形筒状に押し開いて底蓋を閉じる。そして閉じた底蓋の突き合わせ部分に沿って両側面にかけて梱包用テープ96を貼付し、更に、貼付した梱包用テープを跨ぐように底面から側面にかけて開封判別シール(封緘手段)97を貼付する。
これにより、予備加工された回収箱95を箱形状に組み立てるだけで、回収箱95に収容袋57と結束バンド58がセットされ、直ちにデータ記録媒体を挿入できる状態となる。
【0066】
開封判別シール97は、図4(a)の様に、シール材97aの表面に「開封厳禁」の文字97bが印刷され、裏面に銀色の糊剤97cを塗布したシールである。開封判別シール97は、図4(a)の様に、通常のシールと同様に回収箱95の表面に押圧して貼付可能である。しかし、貼付された開封判別シール97を剥がすと、図4(b)の様に、シール材97aの裏面に塗布された糊剤97cの一部が回収箱95側に付着したまま残り、付着した糊剤97cによって「開封済み」の文字が浮き出る。また、一旦、開封判別シール97を剥がすと、再度、回収箱95に押圧しても粘着しない。
【0067】
図3(b)の様に、底部に梱包用テープ96および開封判別シール97を貼付して回収箱95を箱形状にすると、続いて、廃棄しようとするデータ記録媒体2を回収箱95の収容袋57に順次収容する。
【0068】
収容するデータ記録媒体2は、廃棄しようとするDVD2aやCD2bなどの光データ記録媒体、あるいは、フレキシブルディスク2cや8mmビデオテープ2d、VHSビデオテープ2e、光磁気ディスク2fなどの磁気データ記録媒体であり、回収箱95の収容袋57に適宜に収容する。収容に際しては、各々のデータ記録媒体2がケースに入ったままであっても良く、ケースから取り出して別々に収容しても良い。
データ記録媒体2の収容に際しては、収容袋57に印刷されたガイドライン57aを目安にして当該ライン57aを超えない量を収容する。
【0069】
ここで、本実施形態に採用する回収箱95は、底面を除く他の全ての面に、「回収箱」と「(CD,DVD,FD,MO,磁気テープ)」の文字が記載されている。これは、当該回収箱95が、後述するデータ記録紙以外のデータ記録媒体2(2a〜2f)を収容する箱であることを明示するためのものである。
【0070】
本実施形態の回収箱95は、大小の2つのサイズが用意されている。「回収箱大」は、幅430mm,奥行き300mm,高さ280mmであり、収容可能な最大重量は略20kgである。「回収箱大」には、10mm厚のプラスチックケースに入れた12cm径のCDを略178枚収容可能である。「回収箱小」は、幅260mm,奥行き280mm,高さ190mmであり、収容可能な最大重量は略10kgである。
【0071】
図3(b)の様に、回収箱95に廃棄しようとするデータ記録媒体2を収容すると、続いて図3(c)の様に、回収箱95の上蓋に折り返されていた収容袋57の開口部を束ね、結束バンド58のバンド本体58bを締め付けて収容袋57の開口部を緊締する。そして結束バンド58の長尺のバンド本体58bを湾曲させて回収箱95に挿入し上蓋を閉じる。
【0072】
そして、図3(d)の様に、上蓋の突き合わせ部分に沿って両側面にかけて梱包用テープ96を貼付し、更に、貼付した梱包用テープを跨ぐように底面から側面にかけて開封判別シール97を貼付する。
以上の手順により、図3(d)の様に、廃棄しようとするデータ記録媒体2を収容した状態で回収箱95が封緘される。そして、回収箱95の上面に、移送先および移送元の名称や住所などの必要事項を記入した伝票3を貼付する。
【0073】
開封判別シール97を図3(d)の様に回収箱95に貼付することにより、痕跡を残さずに回収箱95を開封することは不可能となる。則ち、開封判別シール97を貼付することにより、回収箱95の開封の有無を直ちに判別可能である。
【0074】
続いて、図5(a)の様に、封緘された回収箱95を専用の搬送ケース98に収容する。搬送ケース98は、回収箱95がすっぽり収納可能な大きさであり、本実施形態では、アルミニウムまたはジュラルミンで製のものを用いている。尚、金属に代えて強化プラスチックなどで製したものを用いても良い。
【0075】
搬送ケース98は、両側の2つのロック部98a,98aと中央のロック部98bを備えている。ロック部98aは、蓋を閉じてレバー98cを蓋側に係合させ、鍵K1で施錠することにより、レバー98cの係合解除を禁止する構造とされている。また、ロック部98bは、係合環98dを蓋側の係止部98eに嵌入させ、係止部98eに設けた穴にシリンダー錠99を通して施錠する構造を有する。
【0076】
封緘された回収箱95は、図5(b)の様に、搬送ケース98に収容し、鍵K1でロック部98a,98aを施錠すると共に、シリンダー錠99を用いてロック部98bを施錠する。そして、搬送ケース98の上面に、図3(d)で回収箱95に貼付した伝票の複写伝票3を貼付する。また、鍵K1,K2を鍵搬送袋5に収納し、当該鍵搬送袋5に、移送元および移送先の名称や住所、搬送ケース98の番号などの必要事項を記載した伝票4を貼付する。
そして、図5(b),(c)の様に、搬送ケース98と鍵搬送袋5を処理場8へ向けて別々に発送する。以上の手順により、移送元(依頼人側)におけるデータ記録媒体2の発送処理が完了する。
【0077】
一方、移送先(処理場)8では、図6(a)の様に、別々に搬送されて来た搬送ケース98と鍵搬送袋5を受け取り、搬送ケース98に貼付された伝票3と鍵搬送袋5に貼付された伝票4を参照して、搬送ケース98に対応した鍵搬送袋5を抽出する。そして、鍵K1,K2で搬送ケース98のロック部98a,98bを解錠し、図6(b)の様に、搬送ケース98のから回収箱95を封緘したままの状態で取り出す。尚、搬送ケース98は、移送元の指示に応じて、移送元に返送するかまたは処理場8で保管される。
【0078】
搬送ケース98から取り出された回収箱95は、図6(c)の様に、封緘したままの状態で光データ破壊装置1aにセットされる。そして、光データ破壊装置1aを操作して、封緘した回収箱95へ向けてマイクロ波を輻射し、回収箱95に収容された光データ記録媒体(DVD2a,CD2b)に記録された光データの破壊処理を行う。
光データ破壊装置1aによる処理が終了すると、封緘された回収箱95を装置1aから取り出して「光データ破壊処理済み」の捺印を行う。
【0079】
次いで、取り出した回収箱95を、図6(d)の様に、封緘したままの状態で磁気データ消去装置1bにセットする。そして、磁気データ消去装置1bを操作して、封緘した回収箱95へ向けて磁界を印加し、回収箱95に収容された磁気データ記録媒体(FD2c,ビデオテープ2d,2e,MO2f)に記録された磁気データの消去処理を行う。磁気データ消去装置1bによる処理が終了すると、封緘された回収箱95を装置1bから取り出して「磁気データ消去処理済み」の捺印を行う。
以上の手順により、回収箱95に収容された全てのデータ記録媒体2に記録されたデータが破壊または消去されて読み取り不能な状態となる。
【0080】
「光データ破壊処理済み」および「磁気データ消去処理済み」の捺印がされてデータ廃棄工程が完了すると、図7(a)の様に、回収箱95を開封する。そして、結束バンド(図3c参照)58を切断して収容袋57を開き、収容されたデータ記録媒体2を収容袋57から取り出して種別毎に区分する。区分したデータ記録媒体2のうち、FD2c,8mmビデオテープ2d,VHSビデオテープ2eおよびMO2fは、図7(b),(c)の様に、各々分解してプラスチック材や金属材、紙材などに分別する。また、各データ記録媒体2を収納したケースもプラスチック材や紙材に分別する。
分別された素材のうちのプラスチック材は、リサイクルに適したペレット状に粉砕加工する。また、金属材は、溶融してリサイクルに適した金属塊に成形する。更に、紙材は、溶解および精製してリサイクル原材とされる。
【0081】
一方、区分したデータ記録媒体2のうち、DVD2aおよびCD2bは、図7(d)の様に、専用のディスク保持容器9に順次装着する。そして、DVD2a,CD2bを多数装着したディスク保持容器9を、図7(e)の様に、金属部分離装置7にセットする。
そして、金属部分離装置7を操作して、マイクロ波をDVD2a,CD2bへ向けて輻射し、各DVD2a,CD2bの金属膜を溶融させて樹脂材から分離させる処理を行う。
これにより、DVD2a,CD2bは、図7(f)の様に、ポリカーボネート材などの樹脂材Pと溶融した金属材Mとに分離され、分離された各素材は分別されてリサイクル原材として用いられる。
【0082】
尚、金属部分離装置7を用いる代わりに、DVD2aおよびCD2bのデータ記録媒体2を研削装置(不図示)にかけて、データ記録媒体2を構成する樹脂材から金属材を研削除去する構成とすることも可能である。
【0083】
以上説明したように、本実施形態のデータ記録媒体の廃棄処理方法によれば、移送元で封緘された回収箱95は、封緘されたまま移送先である処理場8に移送され、回収箱95に収容されたデータ記録媒体2のデータが完全に読み取り不能な状態となるまで開封されることがない。これにより、機密性の高いデータが記録されたデータ記録媒体2であっても、依頼人以外の第三者に依託してデータの機密性を確保しつつ廃棄処理することが可能となる。
【0084】
また、記録データの破壊処理または消去処理されたデータ記録媒体2は、素材毎に分離分別してリサイクルに適した形態に加工することができ、依頼人側でできなかったリサイクル処理を系統立てて行うことが可能となる。
【0085】
尚、本実施形態では、封緘された回収箱95を更に施錠された搬送ケース98に収容して移送する構成としたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
例えば、封緘された回収箱95をそのまま移送することも可能である。この構成によれば、回収箱95の無断開封を阻止することは困難であるが、開封判別シール97を貼付することにより開封の有無を容易に判別できるので、無断開封を抑止する効果を奏する。
【0086】
また、回収箱95を梱包用テープ96を用いて封止しただけの簡略化した状態で移送することも可能である。この構成では、開封の有無を判別することは困難であるが、機密性の低いデータ記録媒体を送付する場合に好適に採用することができる。
【0087】
また、本実施形態では、回収箱95に段ボール箱を用いたが、例えば、電磁波や磁力線を透過可能な木箱やプラスチックケースなどを用いることも可能である。また、これらの木箱やプラスチックケースを施錠可能な構成として、移送中における無断開封を阻止する構成を採ることも可能である。
【0088】
また、移送先(処理場)8は、回収箱95の廃棄処理が完了した時点で移送元に対して廃棄処理の完了を示す処理証明書を発行することもできる。処理証明書を発行することにより、移送元はデータの機密性を確保した廃棄処理およびリサイクル処理が確実に行われたことを確認することが可能となる。
【0089】
また、本実施形態では、図1に示した予備加工の施された回収箱95を用いてデータ記録媒体2を収容する構成としたが、この回収箱95は、本実施形態のデータ記録媒体の廃棄処理に限らず、他の搬送用途に使用することもできる。
則ち、物品を配送する用途として前記した予備加工の施された回収箱95を収容箱として用いることにより、不使用時には嵩張らず、しかも容易に組み立てて物品を収容することができる。これにより、収容作業を効率良く行うことができる。
【0090】
ところで、前記実施形態では、光データ記録媒体2a,2bや磁気データ記録媒体2c〜2fを廃棄処理する際の手順を説明したが、本発明は、このようなデータ記録媒体2の廃棄に限らず、データの記録されたデータ記録紙(データ記録媒体)6を廃棄処理することも可能である。
【0091】
以下に、データ記録紙6を廃棄処理する際の手順を図8,図9を参照して説明する。
図8は本発明の別の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法において、移送元から移送先(処理場)へ回収箱を移送する手順を示す説明図、図9は処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図である。
【0092】
本実施形態においても、前記実施形態と同様に、廃棄処理を行う業者側から予備加工を施した回収箱93を廃棄処理の依頼人側へ提供する。回収箱93は、前記図1で示した回収箱95と同様の予備加工が施されている。
【0093】
但し、回収箱93に挿入される収容袋57は、柔軟性および耐久性を有する紙で製されている。また、回収箱93の底面を除く全ての面には、「回収箱」と「データ記録紙」の文字が印刷されている。これは、後述するように、回収箱93が処理場においてそのまま溶解処理されることから、前記データ記録媒体2を収容する回収箱95と区別するためである。
【0094】
本実施形態の回収箱93は、前記実施形態で示した回収箱95(図4参照)と同様に大小の2つのサイズが用意されている。回収箱大には、A4サイズの普通紙を最大で略900枚収容可能である。
【0095】
予備加工された回収箱93は、前記図3(a),(b)で示した同様の手順によって箱形状に組み立てられる。
そして、移送元である依頼人は、図8(a)の様に、廃棄しようとするデータ記録紙6aや伝票6bなどを回収箱93の収容袋57に順次収納する。
【0096】
回収箱93に廃棄しようとするデータ記録紙6を収容した後、前記図3(c),(d)と同様の手順により、図8(b),(c)の様に、収容袋57を結束バンド58で緊締し、上蓋を閉じて梱包用テープ96を貼付して封止すると共に、開封判別シール97,97を貼付する。以上の手順により、図8(c)の様に、廃棄しようとするデータ記録紙6を収容した状態で回収箱93が封緘される。
【0097】
そして、回収箱93の上面に、移送元および移送先の名称や住所などの必要事項を記入した伝票3を貼付し、図8(d)の様に、封緘した回収箱93を処理場8へ向けて発送する。以上の手順により、移送元(依頼人側)におけるデータ記録紙6の発送処理が完了する。
【0098】
一方、回収箱93が搬送された移送先(処理場)8では、図9(a)の様に、回収箱93を封緘したままの状態で溶解液46の満たされた溶解槽45に投入し、回収箱93を収容袋57に収容されたデータ記録紙6と共に溶解する。そして、図9(b)の様に、溶解されたデータ記録紙6などの繊維素は、必要な精製処理を施してリサイクル原材に加工される。
尚、回収箱93を溶解槽45に投入する際は、溶解処理が行われたことを記録するために、予め、回収箱93に貼付された伝票3を取り外して保管する。
【0099】
このように、本実施形態のデータ記録媒体の廃棄処理方法によれば、移送元で封緘された回収箱93は、封緘されたまま移送先である処理場8に移送され、封緘されたままの状態で溶解処理される。これにより、機密性の高いデータが記録されたデータ記録紙6であっても、依頼人以外の第三者に依託してデータの機密性を確保しつつ廃棄処理することが可能である。
また、溶解処理されたデータ記録紙6は、精製されてリサイクルに適した形態に加工することができ、依頼人側では不可能であった系統立てたリサイクルを行うことが可能となる。
【0100】
尚、本実施形態では、封緘した回収箱93をそのまま処理場8へ移送する構成として述べたが、回収箱93を前記実施形態で示した施錠可能な搬送ケース98(図5参照)に収容して移送することも可能である。この構成によれば、移送中における無断開封を阻止することができ、機密性の高いデータ記録紙6を安全に移送して廃棄処理することが可能となる。
【0101】
また、本実施形態において、開封判別シール(封緘手段)97をを用いずに汎用の梱包用テープで回収箱93を封止しただけの簡略化した構成を採ることも可能である。この構成によれば、回収箱の開封の有無の判別は困難であるが、手軽に梱包することができ、機密性の低いデータ記録紙を廃棄処理する際に好適である。
【0102】
また、本実施形態においても、移送先(処理場)8では、回収箱93の溶解処理が完了した時点で、移送元に対して廃棄処理の完了を示す処理証明書を発行することもできる。処理証明書を発行することにより、移送元はデータの機密性を確保しつつ廃棄処理およびリサイクル処理が確実に行われたことを確認することが可能となる。
【0103】
次に、前記実施形態で示した光データ破壊装置1a、磁気データ消去装置1b(図6c,d参照)および金属部分離装置7の具体的な実施例を説明する。
尚、前記図6(c)で示した光データ破壊装置1aと前記図6(d)で示した磁気データ消去装置1bは、各々別体の装置であったが、以下に示す実施例では、光データの破壊処理機能と磁気データの消去処理機能とを兼ね備えて一体化されたデータ記録媒体処理装置1として述べる。
【0104】
図10は本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用するデータ記録媒体処理装置の基本回路図、図11は図10のデータ記録媒体処理装置1で発生させる磁界の強度を示すグラフ、図12は図10のデータ記録媒体処理装置1の構造を示す分解斜視図である。
【0105】
データ記録媒体処理装置1は、図10の様に、大別して磁界発生部20、電磁波発生部30および制御部50と、これら各部に交流電源を供給する電源トランス11を備えて構成される。
電源トランス11は、図10の様に、商用電源(AC100V)を受けて、各部に必要な交流電圧を生成するもので、AC100V側に接続される一次巻線12、磁界発生部20に接続される二次巻線13、電磁波発生部30に接続される二次巻線14,15、および、制御部50へ接続される二次巻線16を備えている。電源トランス11の一次巻線12は、電源スイッチSWおよびヒューズFを介して電源プラグCに接続されている。
【0106】
磁界発生部20は、図10の様に、コンデンサ22に充電された電荷を励磁コイル23を通じて放電することにより減衰交番磁界を発生させる機能を有する。磁界発生部20は、電源トランス11の二次巻線13がブリッジダイオード21に接続され、ブリッジダイオード21の整流出力が充電接点25を介してコンデンサ22に接続されている。また、コンデンサ22の両端は、極性反転部27を介して、リアクトル26、励磁コイル23および励磁接点24の直列回路に接続されて構成される。
【0107】
本実施例では、コンデンサ22に有極性の電解コンデンサを用いている。励磁コイル23に直列に設けたリアクトル26は、励磁コイル23への通電電流の安定化を図る機能を有する。また、極性反転部27は連動切換される接点27a,27bを備え、接点27a,27bを切換接続することにより、コンデンサ22から励磁コイル23へ流れる電流の方向を反転する機能を有する。尚、磁界発生部20の充電接点25、励磁接点24、および、極性反転部27の接点27a,27bの各接点は、いずれも、後述する制御部50によって開閉制御される。
【0108】
磁界発生部20は、次の動作によって減衰交番磁界を発生する。まず、励磁接点24を開成した状態で、充電接点25を閉成してコンデンサ22への充電を行う。充電は、コンデンサ22の充電電圧がブリッジダイオード21で全波整流された電圧の波高値に至るまで行われる。充電に要する時間は、コンデンサ22の容量および電源トランス11の二次巻線13の巻線抵抗に応じて定まる。
【0109】
コンデンサ22への充電が完了すると、充電接点25を開成する。この時点ではコンデンサ22はフル充電され、端子電圧は、ブリッジダイオード21で全波整流された電圧の波高値と略等しい。次いで、励磁接点24を閉成すると、コンデンサ22に充電された電荷は励磁コイル23を介して急速に放電する。ここで、コンデンサ22と励磁コイル23は直列に接続されて直列共振回路を形成している。従って、励磁接点24を閉成すると、励磁コイル23には、図11の様に、時間の経過に連れて波高値が低下する減衰交番電流iが流れる。
【0110】
励磁コイル23に流れる減衰交番電流iの周期は、コンデンサ22の容量および励磁コイル23のインダクタンスによって概ね定まる。また、減衰交番電流iの減衰率は、コンデンサ22の内部抵抗や励磁コイル23の抵抗成分によって定まる。則ち、励磁接点24を閉成すると、図11の様に、コンデンサ22および励磁コイル23の直列共振回路によって定まる周期および減衰率の減衰交番電流iが励磁コイル23に通電され、通電電流は極性を反転しつつ減衰してゼロに至る。
【0111】
従って、励磁接点24を閉成すると、励磁コイル23の周囲には、時間の経過に伴って磁極を交互に反転させつつ磁束密度が次第に低下する減衰交番磁界が生成される。磁界発生部20は、このような原理に基づいて減衰交番磁界を発生させるものであり、発生した減衰交番磁界を用いて磁気データ記録媒体に記録された磁気データの消去を行う。則ち、本実施形態のデータ記録媒体処理装置1の磁界発生部20は、強磁界を長時間発生させるものではなく、時間の経過に連れて磁束密度が低下する減衰交番磁界を発生させる機能を備えた回路である。
【0112】
電磁波発生部30はマイクロ波帯の電磁波を発生させる機能を有する。電磁波発生部30は、図10の様に、マグネトロン31の陰極(ヒータ)31aがヒータ通電接点36を介して電源トランス11の二次巻線(ヒータ巻線)14に接続されている。また、電源トランス11の二次巻線15は、コンデンサ32とダイオード33で形成される倍電圧整流回路38に接続され、当該倍電圧整流回路38の正出力電圧は、電流制限抵抗34を介してマグネトロン31の陽極31bに接続され、倍電圧整流回路38の負出力電圧はマグネトロン31の陰極31aに接続された回路構成とされている。
【0113】
本実施例では、マグネトロン31の陽極31bを接地した陽極接地回路を採用している。また、倍電圧整流回路38のダイオード33には並列にサージアブソーバ35が接続され、回路に発生するサージ電圧を吸収してダイオード33を破壊から保護する構成としている。尚、電磁波発生部30に設けたヒータ通電接点36および陽極通電接点37は、いずれも、後述する制御部50によって開閉制御される。
【0114】
電磁波発生部30は、次の動作によって電磁波を発生する。まず、ヒータ通電接点36を閉成してマグネトロン31の陰極(ヒータ)31aを加熱する。これにより、マグネトロン31は陰極31aから熱電子を放出可能な状態となる。次いで、陽極通電接点37を閉成すると、倍電圧整流回路38の整流出力電圧がマグネトロン31の陽極31bに印加され、マグネトロン31は発振を開始してアンテナ31cから所定強度の電磁波を輻射する。本実施形態では、発振周波数が略4.3GHzのマグネトロン31を用いており、アンテナ31cから輻射される電磁波は周波数が略4.3GHz、波長が略7cmのマイクロ波である。
【0115】
電磁波発生部30は、このような回路構成によってマイクロ波を発生させるものであり、発生した電磁波を光データ記録媒体に印加して記録されたデータの破壊を行う機能を有する。尚、本実施例では、略4.3GHzの発振周波数のマグネトロン31を用いたが、略2.45GHzの発振周波数のマグネトロン31を用いることも可能である。これらの発振周波数のマグネトロン31を用いることにより、光データ記録媒体に記録された光データを効率良く破壊することが可能である。
【0116】
制御部50は、図10の様に、定電圧回路51と制御回路52を備え、磁界発生部20および電磁波発生部30に設けられた各接点の開閉制御を行う機能を有する。
定電圧回路51は、電源トランス11の二次巻線16の交流電圧を受けて、制御回路52へ安定化した直流電圧を供給する回路である。
【0117】
制御回路52は、CPUを備えたデジタル制御を行う回路であり、当該制御回路52には、磁界発生スイッチ54a、電磁波発生スイッチ54bおよび磁界・電磁波発生スイッチ54cを備えたモード設定部54と、作動スイッチ55が各々接続されている。
また、制御回路52は、プログラム処理に従って複数の接点を個別に開閉制御可能な構成を備え、これらの各接点は前記した磁界発生部20および電磁波発生部30の各接点に対応する構成とされている。
【0118】
尚、本実施例では、モード設定部54の各スイッチ54a〜54cはメカニカル連動型のオルタネートプッシュスイッチを用いて構成し、いずれか一つのスイッチを押し込んで閉成すると他の二つのスイッチが突出して開成する構成とされている。また、作動スイッチ55は、モーメンタリ型のプッシュスイッチを用いている。
【0119】
制御回路52は、モード設定部54の設定および作動スイッチ55の操作に応じてプログラム処理を行い、前記した磁界発生部20および電磁波発生部30の各接点を開閉制御して磁界または電磁波またはこれらの双方を発生させる制御機能を有する。
【0120】
本実施例のデータ記録媒体処理装置1は、以上の機能を有する磁界発生部20、電磁波発生部30および制御部50を備えており、図10に一点鎖線で示す回路ブロック10は、回路基板などに一体的に形成されている。
【0121】
次に、本実施形態のデータ記録媒体処理装置1の構造を、図12を参照して説明する。データ記録媒体処理装置1は、収容部60と、当該収容部60を外側から覆う外装ケース66の機構部材を備えている。
【0122】
収容部60は、図12の様に、内部に空間を有する非磁性体で製された方形状の箱体であり、前面は開放され、上下左右および後面は閉塞されている。本実施形態では、収容部60を非磁性体である銅板を用いて製している。収容部60の上面中央部には、マグネトロン31が固定され、そのアンテナ31c(図10参照)は、収容部60の内部空間へ突出している。マグネトロン31にはヒータ電圧および陽極電圧を印加する配線L1が接続され、当該配線L1の先端にはコネクタ68が接続されている。
【0123】
収容部60の外壁には、マグネトロン31を前後両側から挟むようにして励磁コイル23が前方から後方へ向けて巻装され、当該励磁コイル23の両端部は配線L2を介してコネクタ69に接続されている。本実施形態では、励磁コイル23にエナメル線を用いており、励磁コイル23と収容部60の外周面の間には、絶縁シート(不図示)を介在させている。
【0124】
収容部60の前面側端部には磁性体で製されたフランジ部61が形成されると共に、収容部60の前面を覆うように扉62がフランジ部に取り付けられている。則ち、扉62の左端がフランジ部61の左端部に枢支されて扉62は開閉自在である。
本実施形態では、フランジ部61および扉62を、いずれも磁性体である鉄板を用いて製している。扉62の前面右方には取っ手63が設けられ、当該取っ手63の近傍には、後面側へ向けて突出するフック64が設けられている。また、フック64に対応するフランジ部61には、係合孔65が設けられている。
【0125】
このように、収容部60は非磁性体である銅で製され、前面側が開放された箱体であり、当該開放部位には、磁性体である鉄板で製されたフランジ部61が設けられ、当該フランジ部61に磁性体である鉄板で製された扉62が開閉自在に取り付けられた構成とされている。また、フランジ部61の後面には、全面に渡って電磁波吸収材67が貼付されている。本実施形態では、電磁波吸収材67として、合成ゴムに電磁波吸収性を有する鉄素材を分散させたゴム系の電磁波吸収材を用いている。
【0126】
一方、外装ケース66は、収容部60よりも大きい磁性体で製された箱体であり、前面の一部は開放され、上下左右および後面は閉塞されて、収容部60を収納可能な形状を有する。外装ケース66の内壁面には、全面に渡って、前記フランジ部61に設けたものと同一の電磁波吸収材67が装着されている。則ち、外装ケース66は鉄で製された箱体であり、その内面に全面に渡って電磁波吸収材67が装着された構造である。
【0127】
外装ケース66の上部には、前記図10で示した回路ブロック10を収納した回路収納部17が設けられている。回路収納部17には、電源スイッチSW、作動スイッチ55およびモード設定部54の3つのスイッチ54a,54b,54cが配されると共に、後面からは電源プラグCを備えたACコードが引き出されている。
【0128】
データ記録媒体処理装置1を組み立てる際は、図12のように、マグネトロン31へ接続されたコネクタ68と、励磁コイル23へ接続されたコネクタ69を、外装ケース66の上面に設けた開口(不図示)を通して回路収納部17に設けたコネクタ(不図示)に接続する。そして、収容部60を外装ケース66の内部に挿入し、収容部60に設けたフランジ部61を外装ケース66の前面開放側端部に当接させて固定する。
【0129】
このようにしてデータ記録媒体処理装置1を組み立てると、前面の扉62は取っ手63を掴んで自由に開閉することができ、扉62を開成して収容部60に回収箱95を容易に出し入れすることができる。
【0130】
次に、本実施例のデータ記録媒体処理装置1の動作を、図4、図10〜図12を参照して説明する。最初に、磁気データの消去処理を行う場合の動作を説明する。
まず、電源スイッチSWをオンし、モード設定部54の磁界発生スイッチ54aを押し込んで磁界発生モードに設定する。次いで、扉62を開成して、データ記録媒体2を収納した回収箱95を収容部60に収納する。そして、扉62を閉成した後に作動スイッチ55をプッシュ操作する。
【0131】
作動スイッチ55を操作すると、制御回路52は、モード設定部54の磁界発生スイッチ54aの閉成状態を参照して、磁界発生部20の充電接点25、励磁接点24および極性反転部27の接点27a,27bの制御を行う。尚、磁界発生モードにおいては、電磁波発生部30のヒータ通電接点36および陽極通電接点37は開成されたままである。
【0132】
制御回路52は、まず、極性反転部27の接点27a,27bの双方をいずれか一方側に切換接続し、充電接点25を所定時間だけ閉成する。これにより、前記したように、コンデンサ22はブリッジダイオード21で全波整流された電圧の波高値に至るまで充電される。充電接点25が閉成されてから所定時間が経過すると、制御回路52は充電接点25を開成し、続いて、励磁接点24を閉成する。すると、コンデンサ22に充電された電荷が励磁コイル23を通じて放電し、前記図11で示した減衰交番電流iが励磁コイル23に通電されて減衰交番磁界が発生する。
【0133】
ここで、図12に示したように、励磁コイル23は非磁性体(銅板)で製された収容部60に巻装され、収容部60の外側は磁性体(鉄板)で製された外装ケース66で覆われると共に、収容部60の前面も磁性体(鉄板)で製された扉62で遮蔽されている。従って、励磁コイル23で発生した減衰交番磁界は、収容部60で減衰することなく収容部60の内部空間に誘起され、しかも、収容部60の外側に漏洩する磁力線は外装ケース66、フランジ部61および扉62で遮蔽される。
これにより、収容部60に減衰交番磁界が印加され、回収箱95に収納された磁気データ記録媒体2c〜2fが減衰交番磁界に晒されて記録された磁気データが消去される。
【0134】
制御回路52は、励磁接点24を閉成してから所定時間が経過すると、励磁接点24を開成して一連の磁気データ記録媒体の磁気データ消去処理を完了する。
則ち、本実施例のデータ記録媒体処理装置1によれば、回収箱95に収納された磁気データ記録媒体の磁気データを短時間に消去することが可能である。また、外部に漏洩する磁力線が最小限に抑えられるので、漏洩磁力線による弊害の発生を未然に防止することが可能である。
【0135】
尚、磁界発生部20の極性反転部27に設けた接点27a,27bは、磁界発生モードの動作が行われる毎に制御回路52によって反転接続される。則ち、磁界発生モードの動作毎にコンデンサ22から励磁コイル23への放電極性が反転される構成としている。
従って、励磁コイル23で発生する磁界によって磁性体で成る外装ケース66に磁場が誘起されて、励磁コイル23と外装ケース66との間に機械的な反発力や吸引力が生じても、前記極性反転部27の反転接続によって、発生する機械力を動作毎に反転される。これにより、励磁コイル23が収容部60に対して位置ずれを生じることを防止している。
【0136】
次に、光データ記録媒体に記録された光データの破壊処理を行う場合の動作を説明する。まず、電源スイッチSWをオンし、モード設定部54の電磁波発生スイッチ54bを押し込んで電磁波発生モードに設定する。そして、作動スイッチ55をプッシュ操作する。
【0137】
作動スイッチ55を操作すると、制御回路52は、モード設定部54の電磁波発生スイッチ54bの閉成状態を参照して、電磁波発生部30のヒータ通電接点36および陽極通電接点37の制御を行う。尚、電磁波発生モードにおいては、磁界発生部20の充電接点25および励磁接点24は開成されたままである。
【0138】
制御回路52は、まず、ヒータ通電接点36を閉成してマグネトロン31の陰極(ヒータ)31aを加熱する。これにより、陰極31aから熱電子放出が可能な状態となる。ヒータ通電接点36の閉成から所定時間が経過すると、制御回路52は陽極通電接点37を閉成する。これにより、倍電圧整流回路38からマグネトロン31の陽極31bに陽極電圧が印加されて、略4.3GHzのマイクロ波がアンテナ31cから収容部60の内部へ向けて輻射される。
【0139】
ここで、図12に示したように、収容部60は非磁性体(銅板)で製されているので、内部に輻射された略4.3GHzのマイクロ波は収容部60の内壁面で反射して外部へ漏洩しない。また、収容部60の前面は磁性体(鉄板)で製された扉62で覆われるので、収容部60の内部に輻射されたマイクロ波が外部に漏洩することが阻止される。更に、万一、収容部60の外部に電磁波が漏洩した場合でも、外装ケース66の内壁とフランジ部61の後面に設けた電磁波吸収材67によって吸収され、電磁波が外装ケース66の外部へ漏洩することが完全に阻止される。
【0140】
収容部60に輻射された電磁波は、回収箱95に収納された光データ記録媒体(DVD2a,CD2b)に印加され、媒体に形成されたアルミニウム蒸着膜やピットが電磁波で加熱されて変形することにより、光データを短時間に破壊することが可能である。また、前記したように、収容部60の外部に漏洩する電磁波は電磁波吸収材67で吸収されるので、データ記録媒体処理装置1の外部に漏洩する電磁波を極限まで低減される。
【0141】
制御回路52は、陽極通電接点37を閉成してから所定時間が経過すると、陽極通電接点37およびヒータ通電接点36を開成して一連の光データ記録媒体のデータ破壊処理を完了する。
【0142】
このように、本実施例のデータ記録媒体処理装置1によれば、回収箱95に収納された光データ記録媒体2a,2bの光データを短時間に破壊処理することが可能である。また、外部に漏洩する電磁波が最小限に抑えられるので、漏洩電磁波が人体に危険を及ぼすことがない。
【0143】
次に、光磁気ディスク2fに記録された磁気データの消去処理を行う場合の動作を説明する。
まず、電源スイッチSWをオンし、モード設定部54の磁界・電磁波発生スイッチ54cを押し込んで磁界・電磁波発生モードに設定する。そして、作動スイッチ55をプッシュ操作する。
【0144】
作動スイッチ55を操作すると、制御回路52は、モード設定部54の磁界・電磁波発生スイッチ54cの閉成状態を参照して、磁界発生部20の充電接点25および励磁接点24の制御を行うと共に、電磁波発生部30のヒータ通電接点36および陽極通電接点37の制御を行う。
【0145】
則ち、モード設定部54で磁界・電磁波発生モードに設定すると、制御回路52によって前記した磁界発生モードと電磁波発生モードが同時に実行され、収容部60の内部には、減衰交番磁界が印加されると同時に略4.3GHzの周波数のマイクロ波が輻射される。
【0146】
これにより、収容部60の回収箱95に収納された光磁気ディスク2fは、輻射されるマイクロ波によって加熱されつつ印加される減衰交番磁界によって短時間に消磁され、記録された磁気データが消去される。この磁界・電磁波モードにおいても、前記したように、磁力線や電磁波がデータ記録媒体処理装置1の外部に漏洩することが阻止されるので、安全性を向上させることが可能である。
【0147】
このように、本実施例のデータ記録媒体処理装置1によれば、回収箱95に収納された光磁気ディスク2fの磁気データを短時間に消去することが可能である。また、外部に漏洩する電磁波が最小限に抑えられるので、漏洩電磁波が人体に危険を及ぼすことがない。
【0148】
以上、本実施例のデータ記録媒体処理装置1を説明したが、安全面や操作面において追加した構成を採ることができる。
例えば、前記実施形態では、扉62のフック64をフランジ部61の係合孔65に係合させて扉62を閉成するだけの構成とした。しかし、係合孔65に検知スイッチを設け、扉62の開成中は、制御回路52によって磁界および電磁波の発生を強制的に停止させる構成とすることも可能である。この構成によれば、データ記録媒体の処理中に誤って扉62を開成しても、磁界や電磁波が外部に漏れることが未然に防止され、安全性を一層向上させることが可能である。
【0149】
また、例えば、作動スイッチ55を操作してから、磁界または電磁波のいずれかが出力されている期間はパイロットランプを表示させる構成とすることにより、使い勝手を向上させることも可能である。
【0150】
次に、光データ記録媒体2a,2bの金属部分離装置7の具体的な実施例を説明する。
図13は本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する光データ記録媒体の金属部分離装置7の概略構成図、図14は図13の金属部分離装置7の要部を示す斜視図、図15は図13の金属部分離装置7に採用するディスク保持容器の斜視図である。
【0151】
本実施例の金属部分離装置7は、光データ記録媒体を収容することのできる処理室85と、当該処理室85内の光データ記録媒体にマイクロ波を照射する第1のマイクロ波照射手段73及び第2のマイクロ波照射手段74と、処理室85の内部を低酸素状態に維持する低酸素維持手段78と、処理室85全体を取り囲むように巻き付けられたコイルからなる磁場発生手段70とにより構成される。
【0152】
処理室85は内部に照射されるマイクロ波が漏れ出さず、かつ、処理室85の外部に巻き付けられた磁場発生手段70による磁場が被処理物である光データ記録媒体2a,2bに到達しうる非磁性体の金属であるステンレスで構成されている。
【0153】
また、処理室85は前後(図面左右方向)にディスク保持容器9により保持された光データ記録媒体2a,2bを通過させうるように筒状とされており、その前後の開口端には当該処理室85を閉窒可能なステンレス製の前後扉71,72が備えられている。
【0154】
当該前後扉71,72は光データ記録媒体2a,2bにマイクロ波を照射する際には処理室85を閉塞してマイクロ波の漏洩を防止するとともに、後述する処理室85内部を低酸素に維持する場合にも寄与するものである。
【0155】
第1及び第2のマイクロ波照射手段73,74はマグネトロンを用いたマイクロ波発生装置75、及び、当該マイクロ波発生装置75によって発生したマイクロ波を分波する分波機(図示せず)を共有し、処理室85の左右方向(図面奥行き方向)の周壁中央部にそれぞれ誘導するための導波管76,77とにより構成されている。そして、これらの導波管76,77の長さを違えることで、被処理物である光データ記録媒体2a,2bに到達するマイクロ波の位相を異なるものにしている。
【0156】
前記マイクロ波発生装置75には発生するマイクロ波の強度を制御することのできるマイクロ波強度制御手段84が備えられている。当該制御手段84はマイクロ波発生装置75に印加する電圧を変化させることにより、発生するマイクロ波の強度、ひいては光データ記録媒体に照射されるマイクロ波の強度を変化させるものである。
【0157】
低酸素維持手段78は、二酸化炭素ガスが蓄えられたボンベ(図示省略)から二酸化炭素ガスを処理室85に導入するためのガス配管79と処理室85内の空気を排出するためのガス配管81と、それぞれの配管に接続され配管を開閉しガス(空気)の流れを制御するガスバルブ80,82で構成されている。
【0158】
本実施形態に使用するガスは二酸化炭素であり空気よりも重いので、処理室85の下部に接続されたガス配管81から処理室85内に導入される一方、処理室85内にあった空気は処理室85の上部に接続されたガス配管79から排出されるものとなされている。
【0159】
磁場発生手段70は処理室85の外側全体に光データ記録媒体の流通方向に対して導線が多数回巻き付けられたコイルからなるものである。
【0160】
前記磁場発生手段70には発生する磁場の強度を制御することのできる磁場強度制御手段83が備えられている。当該磁場強度制御手段83は磁場発生手段70であるコイルに印加する電圧を変化させることにより、発生する磁場の強度を変化させるものである。なお、コイルへの通電時のサージを吸収するため、コイルの両端部にはコイルと並列にコンデンサ(図示せず)が取り付けられている。
【0161】
ディスク保持容器9は、図15に示すように、櫛歯状の溝が刻まれた保持部材90と、当該保持部材90の下部に配置され、光データ記録媒体2a,2bから溶融流出した金属を受け止める受け皿91と、当該保持部材90を受け皿91上に支持する支持部材92で構成されている。前記保持部材90は受け皿91の上部に支持部材92により支持されており、受け皿91の上部に平行に4本配置されている。
【0162】
保持部材90相互の間隔は、隣り合う保持部材90の溝に光データ記録媒体2a,2bを差し入れた際、光データ記録媒体が落下しない程度、つまり、溝の底から対向する溝の底までの距離が光データ記録媒体の直径よりも短く設定されている。
また、保持部材90に設けられた溝はほぼ鉛直方向に刻まれており、溝の幅は光データ記録媒体2a,2bの厚さよりも若干広く設定されている。
【0163】
ディスク保持容器9を構成する保持部材90、受け皿91、支持部材92は、いずれも、マイクロ波の影響を受けないセラミックで製されている。
【0164】
当該ディスク保持容器9に光データ記録媒体2a,2bを保持させるには、隣り合う保持部材90の対向する溝に光データ記録媒体2a,2bを差し入れるだけでよい。保持部材90に刻まれた溝によって光データ記録媒体2a,2bの傾動は規制され、対向する溝の底部同士の間隔によって光データ記録媒体2a,2bの落下が規制される。従って、本実施例の場合、光データ記録媒体2a,2bはディスク保持容器9によってその面がほぼ鉛直と平行となるように起立状態で保持される。
【0165】
なお、図15においてディスク保持容器9は光データ記録媒体2a,2bを厚さ方向に等間隔で複数枚重ねた状態で保持しているが、光データ記録媒体2a,2bの保持状態は当該状態ばかりでなく、光データ記録媒体2a,2bを厚さ方向に重なりあわないように保持するものでも構わない。この場合、ディスク保持容器9に搭載できる量は減少する可能性があるが、マイクロ波を効率よく照射できる効果が得られる。
【0166】
本実施例にかかる光データ記録媒体の金属部分離装置は、図13の様に、処理室85の前部にディスク保持容器9に保持された光データ記録媒体2a,2bを処理室85に撒入するためのベルトコンベアからなるローダ86を備えている。また、処理室85の後部にディスク保持容器9に保持された光データ記録媒体2a,2bを処理室85から雑出するためのベルトコンベアからなるアンローダ88を備えている。また、前記ローダ86から光データ記録媒体2a,2bが受け渡され、光データ記録媒体2a,2bの処理室85内の位置決めを行い、アンローダ88に光データ記録媒体2a,2bを受け渡すことのできるベルトコンベアからなるコンベア87を処理室85の内部に備えている。
【0167】
次に、本実施例の金属部分離装置7の使用方法を説明する。
まず、光データ記録媒体2a,2bを所定の間隔でディスク保持容器9に起立状態で配置し、ディスク保持容器9ごとローダ86上に載置する。
ローダ86を駆動し、前扉71が上方に移動して前部が開放した処理室85内に光データ記録媒体2a,2bをディスク保持容器9とともに搬入する。
【0168】
ローダ86から光データ記録媒体2a,2bが受け渡されたコンベア87を駆動しつつ、光データ記録媒体2a,2bを処理室85内の所定の位置に配置する。そして、前扉71及び後扉72を閉じ、処理室85を閉塞状態とする。
【0169】
ガスバルブ80,82の両方を開状態とし、二酸化炭素ガスを処理室85内に導入し、当該導入されるガスの圧力によって既に処理室85内にあった空気を排気するいわゆるパージ処理を行う。処理室85内が一定の酸素濃度以下になったところでガスバルブ80,82を閉じる。この状態で、処理室内は低酸素状態を維持することができる。
【0170】
次に、マイクロ波発生装置75に電力を供給する。マイクロ波発生装置75で発生したマイクロ波は分波機を経ることにより2つに分波され、それぞれの導波管76,77を通過して処理室85内に照射される。この状態で処理室85内に照射される2つのマイクロ波は相互に位相が異なったものとなされている。
また、同時に磁場発生手段70に電力を供給し磁場を処理室内に発生させる。
【0171】
これらのマイクロ波と磁場の強度はそれぞれの強度制御手段84,83によって連続的にまたは段階的に制御される。これらの強度の制御はマイクロ波発生装置75及び磁場発生手段に供給する電源の電圧を連続的または段階的に変化させることにより行う。このように、電圧を連続的または段階的に変化させることによってマイクロ波の偏在する照射部分を略連続的に変化させることができ、処理室85内に存在する全ての光データ記録媒体2a,2bに対し略均一にマイクロ波を作用させることが可能となる。
尚、電源電圧を連続的または段階的に変化させる場合には電力を供給しない状態も含まれる。
【0172】
マイクロ波を光データ記録媒体に照射すると火花が発生する場合があるが、処理室内が低酸素状態に維持されているため発火のおそれがなく、樹脂の劣化を可及的に抑止することができる。
【0173】
本実施例で使用したマイクロ波発生装置は最大出力が5kWで発信周波数は2.45GHzである。また、実際に光データ記録媒体2a,2bを処理するには、マイクロ波の出力を0から5kWまでのこぎり歯状に変化させながら5分間照射した。また、2つの導波管76,77の長さの違いは略60mmである。
【0174】
光データ記録媒体2a,2bの金属部を溶融し樹脂基板と分離するには、マイクロ波の最大出力は0.1kW以上であることが望ましい。マイクロ波の最大出力が0.1kW未満であれば光データ記録媒体2a,2bに存在する金属を溶融することが困難となる可能性が高いからである。一方最大出力の上限値には特に制限を設ける必要はないが、最大出力を5kWより上にすると装置が大型化しすぎる。また、瞬間的に光データ記録媒体2a,2bの金属部の一部が高温化してしまい、樹脂部分に悪影響を及ぼす可能性があるため照射時間などの調整に厳密さが要求されるようになる。なお、当該記載は最大出力が5kWより大きい装置の採用を妨げるものではない。
【0175】
次に、光データ記録媒体2a,2bの処理が終了した段階で、マイクロ波の照射及び磁場の発生を終了し、しばらく低酸素状態を維持させる。これは、昇温した状態の光データ記録媒体2a,2bを急に空気にさらしたことによる樹脂部分の劣化抑止するとともに、蒸発した金属を空気中に放出することを抑止するためである。
【0176】
所定の時間経過後、処理室85後部の後扉72を上方に移動させ処理室85を開放する。コンベア87及びアンローダ88を連動させて処理室85内の処理済み光データ記録媒体2a,2bを処理室85内から搬出する。
その後、ディスク保持容器9に残存する処理済み光データ記録媒体2a,2bの樹脂部分、および、受け皿91に流出した金属部をリサイクルに供することができる。
【0177】
以上、金属部分離装置7の実施例を説明したが、各部の構成は本実施例に限定されるものではない。
例えば、本実施例では光データ記録媒体2a,2bをほぼ鉛直に起立した状態でディスク保持容器9に保持するものとしたが、光データ記録媒体2a,2bの保持状態はその面が水平面と平行ではなく、水平面に対し所定の角度を有した起立状態で保持されればよい。
【0178】
また、マイクロ波照射手段73,74は、マイクロ波を分波せずに一つのマイクロ波を照射するものでも良い、またこの場合、導波管用いることなく処理室85内にマグネトロンなどのマイクロ波発生装置75を直接配置してもかまわない。
【0179】
磁場発生手段70としては、端面が処理室85内部を臨むようにソレノイドコイルなどの電磁石を複数個配置するものでもかまわない。この場合、複数の電磁石をそれぞれ制御することにより、より複雑な磁場の状況を任意に発生させることができ、マイクロ波や磁場の偏在箇所を自在に変化させることができる。
【0180】
低酸素維持手段78は、二酸化炭素の他に窒素ガスなど不活性ガスも利用することができ、処理室85内を開放状態として常に不活性ガスを処理室85内に導入し続けることで、処理室85内を低酸素状態に維持するものでもかまわない。また、ガスを利用するのではなく、処理室85内を真空状態またはそれに近い状態とするものでもかまわない。
【0181】
マイクロ波強度制御手段84、磁場強度制御手段83は、それぞれマイクロ波発生装置75や磁場発生手段70に供給する電流を制御しうるものでも良い。また、これらをコンピュータによる自動制御とすることも任意である。
【0182】
また、光データ記録媒体の金属部分離装置として、ローダ86、アンローダ88、コンベア87を備えたインライン式の装置を例示したが、扉が一つの処理室85内にディスク保持容器9に保持された光データ記録媒体2a,2bを手で載置し、扉を閉めて処理を行い、その後扉を開けて処理済みの光データ記録媒体2a,2bを取り出す、家庭で使用される電子レンジのようなバッチ式の装置でもかまわない。
【0183】
また、本実施例では処理中のコンベア87は駆動させない状態を説明したが、消去処理中にコンベア87を駆動させ、被処理物である光データ記録媒体2a,2bを機械的に移動させることを妨げるものではない。処理室85の形状との関係など光データ記録媒体2a,2bのより完全な処理のためには機械的移動が必要な場合もあるからである。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する回収箱に施される予備加工の手順を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は、図1の予備加工に用いる結束バンド(バンド)を示す斜視図である。
【図3】(a)〜(d)は、図1の予備加工の施された回収箱にデータ記録媒体を収容して封緘する手順を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は、開封判別シールの説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、図3の封緘された回収箱を移送元から移送先(処理場)へ移送する手順を示す説明図である。
【図6】(a)〜(d)は、処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図である。
【図7】(a)〜(g)は、処理場において回収箱から取り出したデータ記録媒体に対して行う処理手順を示す説明図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の別の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法において、移送元から移送先(処理場)へ回収箱を移送する手順を示す説明図である。
【図9】(a),(b)は、処理場に移送された回収箱に対して封緘したままの状態で行う処理手順を示す説明図である。
【図10】本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用するデータ記録媒体処理装置の基本回路図である。
【図11】図10のデータ記録処理装置で発生させる磁界の強度を示すグラフである。
【図12】図10のデータ記録媒体処理装置の構造を示す分解斜視図である。
【図13】本発明の実施形態に係るデータ記録媒体の廃棄処理方法に採用する光データ記録媒体の金属部分離装置の概略構成図である。
【図14】図13の金属部分離装置の要部構成を示す斜視図である。
【図15】図13の金属部分離装置に採用するディスク保持容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0185】
1 データ記録媒体処理装置
1a 光データ破壊装置
1b 磁気データ消去装置
2 データ記録媒体
2a 光データ記録媒体(DVD)
2b 光データ記録媒体(CD)
2c 磁気データ記録媒体(FD)
2d 磁気データ記録媒体(8mmビデオテープ)
2e 磁気データ記録媒体(VHSビデオテープ)
2f 磁気データ記録媒体(MO)
6 データ記録媒体
6a データ記録媒体(データ記録紙)
6b データ記録媒体(伝票)
7 金属部分離装置
57 収容袋
58 バンド(結束バンド)
93,95 回収箱
97 封緘手段(開封判別シール)
98 搬送ケース
K1,K2 鍵
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄しようとする光データ記録媒体または磁気データ記録媒体の少なくともいずれかのデータ記録媒体を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を封緘したままの状態でマイクロ波を輻射する光データ破壊装置または磁界を発生する磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけてデータを破壊または消去するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項2】
前記封緘された回収箱を開封し、収容された光データ記録媒体および磁気データ記録媒体を素材毎に分離する工程と、分離された素材毎に分別する工程と、分別された素材毎に、その一部または全部を粉砕または溶融または溶解してリサイクル原材を生成する工程とを備えた請求項1に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項3】
前記光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を少なくともマイクロ波を輻射する金属部分離装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する金属部を加熱して樹脂材から分離して行うことを特徴とする請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項4】
前記光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を研削装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する樹脂材から研削によって金属部を除去して行うことを特徴とする請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項5】
前記光データ破壊装置および磁気データ消去装置が一体化されたデータ記録媒体処理装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項6】
廃棄しようとするデータ記録媒体であるデータ記録紙を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を収容されたデータ記録紙と共に封緘したままの状態で溶解するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒媒体の廃棄処理方法。
【請求項7】
溶解した前記データ記録紙および回収箱をリサイクル原材として精製する工程を備えた請求項6に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項8】
前記回収箱は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を備えた箱体であり、上蓋および底蓋を開いた状態で前記バンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳む予備加工が施されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項9】
前記バンドは締め付け方向へのみ可動であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項10】
廃棄しようとするデータ記録媒体を収容袋に収容する工程および収容袋を回収箱に収容する工程および回収箱を封緘する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、
封緘された回収箱を処理場に移送する工程およびデータ廃棄工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項11】
前記封緘された回収箱を更に施錠可能な搬送ケースに収容して施錠する工程と、封緘された回収箱の移送に代えて、回収箱を収容した搬送ケースと鍵とを別々に処理場に移送する工程と、移送された搬送ケースを別に移送された鍵によって解錠し封緘された回収箱を取り出す工程とを備えた請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項12】
封緘された回収箱を搬送ケースに収容して施錠する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、搬送ケースと鍵とを処理場に移送する工程および移送された搬送ケースを鍵で解錠して回収箱を取り出す工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行うことを特徴とする請求項11に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項13】
前記データ記録媒体の処理の完了を証する処理証明書を、データ記録媒体の処理を行った移送先から移送元に対して発行することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項14】
隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を有する箱体と、物品を収容する収容袋と、当該収容袋の開口部を緊締するバンドとを備えた収容箱であって、箱体の上蓋および底蓋を開いた状態でバンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳むことを特徴とする収容箱。
【請求項1】
廃棄しようとする光データ記録媒体または磁気データ記録媒体の少なくともいずれかのデータ記録媒体を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を封緘したままの状態でマイクロ波を輻射する光データ破壊装置または磁界を発生する磁気データ消去装置の少なくともいずれかの装置にかけてデータを破壊または消去するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項2】
前記封緘された回収箱を開封し、収容された光データ記録媒体および磁気データ記録媒体を素材毎に分離する工程と、分離された素材毎に分別する工程と、分別された素材毎に、その一部または全部を粉砕または溶融または溶解してリサイクル原材を生成する工程とを備えた請求項1に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項3】
前記光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を少なくともマイクロ波を輻射する金属部分離装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する金属部を加熱して樹脂材から分離して行うことを特徴とする請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項4】
前記光データ記録媒体を素材毎に分離する工程は、光データ記録媒体を研削装置にかけて、当該光データ記録媒体を構成する樹脂材から研削によって金属部を除去して行うことを特徴とする請求項2に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項5】
前記光データ破壊装置および磁気データ消去装置が一体化されたデータ記録媒体処理装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項6】
廃棄しようとするデータ記録媒体であるデータ記録紙を収容袋に収容しバンドによって収容袋の開口部を緊締する工程と、収容袋を回収箱に収容する工程と、収容袋を収容した回収箱を封緘手段によって封緘する工程と、封緘された回収箱を処理場に移送する工程と、処理場に移送された回収箱を収容されたデータ記録紙と共に封緘したままの状態で溶解するデータ廃棄工程とを備えたデータ記録媒媒体の廃棄処理方法。
【請求項7】
溶解した前記データ記録紙および回収箱をリサイクル原材として精製する工程を備えた請求項6に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項8】
前記回収箱は、隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を備えた箱体であり、上蓋および底蓋を開いた状態で前記バンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳む予備加工が施されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項9】
前記バンドは締め付け方向へのみ可動であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項10】
廃棄しようとするデータ記録媒体を収容袋に収容する工程および収容袋を回収箱に収容する工程および回収箱を封緘する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、
封緘された回収箱を処理場に移送する工程およびデータ廃棄工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行うことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項11】
前記封緘された回収箱を更に施錠可能な搬送ケースに収容して施錠する工程と、封緘された回収箱の移送に代えて、回収箱を収容した搬送ケースと鍵とを別々に処理場に移送する工程と、移送された搬送ケースを別に移送された鍵によって解錠し封緘された回収箱を取り出す工程とを備えた請求項1乃至10のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項12】
封緘された回収箱を搬送ケースに収容して施錠する工程は廃棄処理の依頼人自身が行い、搬送ケースと鍵とを処理場に移送する工程および移送された搬送ケースを鍵で解錠して回収箱を取り出す工程は、廃棄処理の依頼人自身または依頼人から依頼を受けた依頼先人あるいはこれらの者から依頼を受けた第三者が行うことを特徴とする請求項11に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項13】
前記データ記録媒体の処理の完了を証する処理証明書を、データ記録媒体の処理を行った移送先から移送元に対して発行することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のデータ記録媒体の廃棄処理方法。
【請求項14】
隣接して繋がる4面の周壁部と、各周壁部に繋がる4面の上蓋および4面の底蓋を有する箱体と、物品を収容する収容袋と、当該収容袋の開口部を緊締するバンドとを備えた収容箱であって、箱体の上蓋および底蓋を開いた状態でバンドを外周部に装嵌した収容袋を内部に収容し、バンドの端部を隣接する上蓋の隙間から突出させると共に、収容袋の開口側端部を上蓋に沿って折り返し、隣接する周壁部を近接させて折り畳むことを特徴とする収容箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−202439(P2006−202439A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14432(P2005−14432)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(597120972)オリエント測器コンピュータ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(597120972)オリエント測器コンピュータ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】
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