説明

データ転送制御装置

【課題】連続的で高速なデータ転送に起因する、データ転送停止や回路の異常発熱を回避することが可能なデータ転送制御装置を実現する。
【解決手段】データ転送制御装置(20)は、ホスト装置とのデータのやりとりを行うことが可能なホストインターフェース部(24)と、周辺装置とのデータのやりとりを行うことが可能な周辺装置インターフェース部(21)と、ホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部の異常状態を検出する異常検出部(25)と、異常検出部が異常を検出した場合に、ホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部でのデータ転送を中断し、その後、異常検出部がホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部の正常状態への回復を検出した場合に、ホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部でのデータ転送動作を再開する転送制御部(25)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周辺装置とホスト装置との間のデータ転送を制御するデータ転送制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラセンサが撮像した映像をホスト装置上のディスプレイ等の画面に動画像として表示する場合、指定された画像サイズとフレームレート(静止画像を1秒間に転送する枚数)でカメラセンサが画像を撮像する。撮影された画像データは画像撮像装置を介してホスト装置に転送される。画像撮像装置を介してホスト装置に画像データがエラーなく1枚分のデータが伝達されると、ホスト装置上の画面が更新される。この一連の動作が継続されることで動画像を表示することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この様な画像撮像装置のホストインターフェース部は、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)やPCI‐Expressなどの汎用的なインターフェースでアイソクロナス転送方式が用いられることが多い。
【0004】
USBなどにおいてパケット単位で転送が行われる際のアイソクロナス転送方式は、音声や動画像などの一定時間内の一定データ量を確保するリアルタイム性を重視した転送方式である。USB2.0のハイスピードモードの場合は125マイクロ秒間隔をマイクロフレームとして、このマイクロフレーム毎に転送されるSOF(スタート・オブ・フレーム)パケットを基準に、ホスト装置からのデータ転送要求パケットが送信され、これに対してデータ転送パケットでデータを転送する。データ要求時に転送可能なデータが存在しない場合はデータ量ゼロのパケットを転送(ゼロ‐レングス応答)し、そのマイクロフレーム期間中にはデータ転送が行われない。
【0005】
ゼロ‐レングスパケット時はデータが存在しないためホスト装置で破棄される。よって、USBインターフェースによる転送データパケット2回分が1枚分の静止画像であると設定された画像撮像装置での場合、ゼロ‐レングスパケット時以外の転送データが合算されて1枚分の静止画像となり、ホスト装置上の画面が更新される。この動作が継続されることで動画像を表示することが可能となる。
【0006】
近年、撮像する画像サイズの拡大化に伴い、転送するデータ量が多くなる傾向があり、カメラセンサインターフェース部やホストインターフェース部においては、差動信号を使用する高速インターフェースが必要となっている。また、半導体回路素子の微細化技術の進展に伴い、単位面積当たりの電流量と発熱量が増加し、放熱量が減少する傾向にもある。
【0007】
高速インターフェースは数百MHzから数GHzという高速な動作クロックであるため、消費電流量と発熱量の増大化が顕著である。このような高速インターフェースでデータ転送が連続的に実行されて回路動作活性率の高い状態が維持されると、その回路部分が局所的に過熱になり、回路素子が正常な特性を保持できず、正常にデータを転送できなくなる。
【0008】
特に動画を扱う画像撮像回路の場合、異常データ転送による撮像画像の動画停止が発生する問題や、データ転送回路が異常発熱する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、周辺装置とホスト装置との間でデータを転送するデータ転送制御装置において、連続的で高速なデータ転送に起因する、データ転送停止や回路の異常発熱を回避することが可能なデータ転送制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデータ転送制御装置は、周辺装置とホスト装置との間のデータ転送を行うデータ転送制御装置であって、ホスト装置とのデータのやりとりを行うことが可能なホストインターフェース部と、周辺装置とデータのやりとりを行うことが可能な周辺装置インターフェース部と、ホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部の異常状態を検出する異常検出部と、異常検出部が異常を検出した場合に、ホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部でのデータ転送を中断し、その後、異常検出部がホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部の正常状態への回復を検出した場合に、ホストインターフェース部または周辺装置インターフェース部でのデータ転送動作を再開する転送制御部とを備える。
【0011】
本発明に係る画像撮像装置は、カメラセンサで撮影された画像データをホスト装置へ転送可能な画像撮像装置であって、ホスト装置との間でデータのやりとりを行うことが可能なホストインターフェース部と、カメラセンサとの間でデータのやりとりを行うことが可能なカメラセンサインターフェース部と、ホストインターフェース部またはカメラセンサインターフェース部の異常状態を検出する異常検出部と、異常検出部が異常を検出した場合に、ホストインターフェース部またはカメラセンサインターフェース部でのデータ転送を中断し、その後、異常検出部がホストインターフェース部またはカメラセンサインターフェース部の正常状態への回復を検出した場合に、ホストインターフェース部またはカメラセンサインターフェース部でのデータ転送動作を再開する転送制御部とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異常状態を検出したときはデータ転送を中断し、その後、異常状態がなくなればデータ転送を再開する。これにより、連続的で高速なデータ転送に起因するデータ転送の異常停止や回路の異常発熱を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1の画像撮像装置の構成を示すブロック図
【図2】アイソクロナス転送方式を説明するタイミングチャート図
【図3】実施形態2の画像撮像装置の構成を示すブロック図
【図4】実施形態2の画像撮像装置の動作を示すフローチャート
【図5】実施形態2の画像撮像装置の動作を示すタイミングチャート
【図6】実施形態3の画像撮像装置の構成を示すブロック図
【図7】実施形態3の画像撮像装置の動作を示すフローチャート
【図8】実施形態3の画像撮像装置の動作を示すタイミングチャート
【図9】実施形態4の画像撮像装置の構成を示すブロック図
【図10】実施形態4の画像撮像装置の動作を示すフローチャート
【図11】実施形態4の画像撮像装置の動作を示すタイミングチャート
【図12】本発明の他の実施形態であるカードリーダ/ライタの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0015】
1.実施形態1
1−1.概要
以下に説明する画像撮像装置(データ転送制御装置)は、異常検出部がホストインターフェース部の異常状態を検出すると、画像撮像装置からホスト装置へのデータ転送を停止する。ホストインターフェース部が正常動作できる状態になるまで、画像撮像装置はそのまま待機する。ホストインターフェース部が正常動作できる状態になれば、画像撮像装置はホスト装置へのデータ転送を再開する。
【0016】
このように、画像撮像装置は、ホストインターフェース部の異常状態を検出することで、意図しないデータ転送エラーを回避することを可能とする。
【0017】
1−2.構成
本発明の第1の実施形態である画像撮像装置について説明する。図1は、第一の実施形態の画像撮像装置を示すブロック図である。
【0018】
画像撮像装置20はホスト装置10と、カメラセンサ30に接続される。
【0019】
画像撮像装置20は、カメラセンサインターフェース部21とカメラセンサ制御部22、画像処理部23、ホストインターフェース部24、異常検出部25を有する。
【0020】
カメラセンサインターフェース部21は、画像を撮像するカメラセンサ30と画像撮像装置20との間のデータ通信を制御する。カメラセンサ制御部22は、カメラセンサ30によって撮像される画像のサイズ、フレームレートなどの撮像条件を制御する。画像処理部23は、カメラセンサインターフェース部21から入力された画像データの色調補正や圧縮などの処理を行う。
【0021】
ホストインターフェース回路24は、ホスト装置10と画像撮像装置20との間のデータ通信を制御する。
【0022】
ホスト装置10は、指定された動画像のフレームレートを実現すべく画像撮像装置20に画像データを要求し、受け取る。ホスト装置10は、1枚分の画像データにエラーがなければ、ホスト装置10上の画面に画像データを描画し、これを繰り返すことで動画像表示を実現する。もし、1枚分の画像データにエラーがあれば、その画像データは破棄されホスト装置10上の画面は更新されない。また、画像撮像装置20から画像データが転送されない時も、ホスト装置10上の画面は更新されない。
【0023】
異常検出部25は、ホストインターフェース部24の異常状態を検出する異常検出機能と、ホストインターフェース部24の異常状態に応じてデータ転送を制御する転送制御機能とを有する。異常検出部25は、ホストインターフェース部24の状態を監視し、その異常状態を検出したときは画像処理部23の出力を停止する。ホストインターフェース部24が異常状態になると、ホスト装置10へのデータ転送にエラーが生じやすくなる。
【0024】
なお、本実施形態においては、画像撮像装置20とホスト装置10との間でのデータ転送は、アイソクロナス転送方式によってデータ転送を行う。
【0025】
アイソクロナス転送方式について、図2を用いて説明する。USBなどのインターフェースにおいてパケット単位で転送が行われる際のアイソクロナス転送方式とは、音声や動画像などの一定時間内の一定データ量を確保するリアルタイム性を重視した転送方式である。
【0026】
例えばUSB2.0のハイスピードモードの場合は、図2(a)に示すように、マイクロフレームは125マイクロ秒間隔となる。マイクロフレーム毎にホスト装置から送信されるSOF(スタート・オブ・フレーム)パケットが基準となる。そのあと図2(b)に示すタイミングで、ホスト装置10からデータ転送要求パケットが送信される。これに応答して、図2(c)に示すタイミングで、画像撮像装置20からホスト装置10へ、データがデータ転送パケットとして転送される。
【0027】
ホスト装置10がデータ要求したときに転送可能なデータが存在しない場合、画像撮像装置20はデータ量ゼロのパケットを転送し、そのマイクロフレーム期間中にはデータ転送がなされない。このことを「ゼロ‐レングス応答」という。
【0028】
以上のようなSOFパケットとデータ転送要求パケット、データ転送パケットは同一伝送線路上で行われる。図2(d)はこの伝送線路(USBインターフェース)の活性状態を示している。活性状態とは、パケットが流れている状態のことである。
【0029】
図2の例では、第2回目のマイクロフレームにおいて、データ転送要求パケットに対してデータ量ゼロのパケットが転送されている(ゼロ‐レングス応答)。
【0030】
USBインターフェースでの転送データ2回分が1枚分の静止画像に相当する場合、図2の例では、第2回目の転送ではゼロ‐レングス応答をしているため、ホスト装置で第1回目と第3回目の転送データが合算されて1枚分の静止画像を構成し、これを用いてホスト装置10上の画面が更新される。この動作が継続されることで動画像の表示が可能となる。
【0031】
なお、図1のカメラセンサ30は一般的なCMOSを利用する画像センサであればよい。
また、CMOSセンサに限らずCCD等の画像センサでもよい。
【0032】
1−3.動作
本実施形態において画像撮像装置20は、ホストインターフェース部24の異常を検出すると、ホスト装置10へのデータ転送を停止し、一定の時間だけ待機する。その後、画像撮像装置20が、ホストインターフェース部24の状態が正常であると判断すると、ホスト装置10へのデータ転送を再開する。以下にこの動作の詳細を説明する。
【0033】
画像撮像装置20がホストコンピュータ10から画像撮像開始命令を受け取ると、カメラセンサ制御部22とカメラセンサインターフェース部21を経由して、指定された画像サイズとフレームレート等の設定をカメラセンサ30に伝達し、カメラセンサ30が撮像と画像撮像装置20への画像データ送信を開始する。カメラセンサ30から画像撮像装置20に入力された画像データは、画像処理部23で色調補正や圧縮などの処理を行う。
【0034】
異常検出部25は、ホストインターフェース部24の状態を監視している。
【0035】
ホストインターフェース部24の状態が正常である間は、画像処理部23で処理された画像データは、ホストインターフェース部24からホスト装置10へ転送される。ホスト装置10から撮像終了を要求されない限り、画像撮像装置20は上記の画像処理とデータ転送を繰り返す。このことによってホスト装置10への動画像データ転送を実現する。
【0036】
一方、異常検出部25がホストインターフェース部24の異常を検出したときは、異常検出部25は画像処理部23の動作を停止させる。また、異常検出部25は、ホストインターフェース部24の動作を停止させる。これにより、画像撮像装置20からホスト装置10への画像データ転送が中断する。
【0037】
異常検出部25がホストインターフェース部24の状態が正常に戻ったと判断するまで、画像撮像装置20はホスト装置10への画像データの転送を停止する。この間、画像処理部23からホストインターフェース部24へデータが送られないので、画像撮像装置20からホスト装置10へのデータ転送はゼロ‐レングス応答となる。
【0038】
異常検出部25は、ホストインターフェース部24の状態が正常に戻ったと判断すると、画像処理部23の動作を再開させる。
【0039】
以上における異常/正常の判断は、画像データの1フレーム毎に判断しても良いし、データパケット毎に判断しても良い。
【0040】
また、画像撮像装置20がデータ転送を停止しているあいだに、ホスト装置10が撮影終了を要求した場合は、撮像を終了しても良い。
【0041】
1−4.本実施の形態のまとめ
本実施形態において、画像撮像装置20は、異常検出部25がホストインターフェース部24の異常状態を検出すると、画像撮像装置20からホスト装置10へのデータ転送を停止する。ホストインターフェース部24が正常動作できる状態になるまで、画像撮像装置20は画像データの転送を中断する。ホストインターフェース部24が正常動作できる状態になれば、画像撮像装置20はホスト装置10へのデータ転送を再開する。
【0042】
このように、画像撮像装置20は、ホストインターフェース部24の異常状態を検出することで、連続的で高速なデータ転送に起因する、データ転送の異常停止や回路の異常発熱を、回避することができる。
【0043】
2.実施形態2
本実施形態では、実施形態1で示した画像撮像装置の、より具体的な例を示す。ここでは、ホストコンピュータ(ホスト装置)と画像撮像装置との間のインターフェースとしてUSBを使用し、カメラセンサとしてCMOSセンサを使用し、インターフェースの異常状態をインターフェースの温度により判断する例を説明する。
【0044】
2−1.構成
本実施形態の画像撮像装置の構成を説明する。図3は本実施形態の画像撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0045】
第2の実施形態の画像撮像装置20bは、ホストコンピュータ10bとCMOSセンサ30bに接続される。画像撮像装置20bはUSB接続によりホストコンピュータ10bに接続される。
【0046】
画像撮像装置20bに含まれる各ブロックは、実施形態1の画像撮像装置20に含まれる各ブロックの、より具体的な例である。
【0047】
実施形態1の異常検出部25に対応するものが、実施形態2では異常検出部25bである。異常検出部25bは、USBインターフェース温度検出回路26bとクロック生成回路27bで構成される。USBインターフェース温度検出回路26bはUSBインターフェース回路24bの異常状態を検出する異常検出機能を有し、クロック生成回路27bはUSBインターフェース回路24bの異常状態に応じてデータ転送を制御する転送制御機能を有している。
【0048】
USBインターフェース温度検出回路26bは、USBインターフェース回路24bの温度を監視する。USBインターフェース温度検出回路26bは、USBインターフェース回路24bの温度と、予め設定された閾値と比較して、クロック生成回路27bにクロック停止信号もしくはクロック許可信号を送る。ここで設定する閾値は、内部レジスタ等で変更可能にしておいても良い。
【0049】
クロック生成回路27bは、画像撮像装置20bの各ブロックの動作に必要なクロックを生成し、USBインターフェース温度検出回路26bからのクロック停止信号/許可信号に応じて、画像処理回路23bへのクロック供給を切り替える。
【0050】
USBインターフェース温度検出回路26bからクロック停止信号が出力されてから、クロック許可信号が出力されるまでの、画像撮像装置20bの状態を「放熱モード」という。それ以外の、撮像とデータ転送が行われている状態を「通常モード」という。
【0051】
USBインターフェース回路24bとホストコンピュータ10bとの間のデータ転送は、実施形態1と同様に、アイソクロナス転送方式を使用する。
【0052】
アイソクロナス転送においてUSBバス活性化率の高い状態が長時間続くと、インターフェース回路の温度が上がる。特にUSBインターフェース回路24bが局所的に過熱になる。
【0053】
USBインターフェース回路24bが過熱になると、USBインターフェース回路24bからホストコンピュータ10bへのデータ転送でエラーが起こりやすくなる。
【0054】
なお、CMOSセンサ30bは一般的なCMOSを利用する画像センサであればよい。
【0055】
2−2.動作
本実施形態の動作について、図4と図5を参照しつつ説明する。図4は、本発明の第2の実施形態にかかる、画像撮像転送処理のフローチャートを示す。
【0056】
画像撮像装置20bはホストコンピュータ10bから画像撮像開始命令を受け取ると、CMOSセンサ制御回路22bとCMOSセンサインターフェース回路21bを経由して、指定された画像サイズとフレームレート等の設定をCMOSセンサ30bに伝達する。すると、CMOSセンサ30bは撮像と、画像撮像装置20bへの画像データ送信を開始する(S102)。画像データの転送が開始されると、CMOSセンサ30bから画像撮像装置20bに入力された画像データは、画像処理回路23bで色調補正や圧縮などの処理が行われる(S103)。
【0057】
その後、USBインターフェース温度検出回路26bは、USBインターフェース回路24bの温度を検出し、検出した温度と、予め設定された閾値1とを比較する(S104)。
【0058】
このとき、USBインターフェース回路24bの温度が閾値1より小さい場合は、画像処理回路23bは処理した画像データを、USBインターフェース回路24bを介してホストコンピュータ10bへ転送する(S105)。
【0059】
画像撮像装置20bは、ホストコンピュータ10bから撮像終了の要求を受け取るまで、上記画像処理(S103)と転送処理(S105)を繰り返し、ホストコンピュータ10b上への動画像データ転送を実現する。
【0060】
一方、ステップS104においてUSBインターフェース回路24bの温度が閾値1以上の場合は、画像撮像装置20bは放熱モードに移行する(S111)。
【0061】
放熱モードにおいて、USBインターフェース温度検出回路26bがクロック停止信号をクロック生成回路27bに送信すると、クロック生成回路27bは画像処理回路23bへのクロックを停止する(S112)。クロックが停止されると、USBインターフェース回路24bからホストコンピュータ10bへのデータ転送が停止されるので、USBインターフェース回路24bでの発熱が抑制され、USBインターフェース回路24bの温度が低下していく。
【0062】
この後も、USBインターフェース温度検出回路26bはUSBインターフェース回路24bの温度を検出している。温度が、予め設定された閾値2より大きい間は、クロック生成回路27bは画像処理回路23bへのクロックを停止しつづける(S113)。USBインターフェース回路24bの温度が閾値2以下になると、USBインターフェース温度検出回路26bはクロック許可信号をクロック生成回路27bへ送信する。するとクロック生成回路27bは画像処理回路23bへのクロック送信を再開する(S114)。すると、画像撮像装置20bは通常モードに移行し、画像処理と転送処理を再開する(S115)。
【0063】
ステップS104とS113における温度異常判定は、画像データの1フレーム毎に判断しても良いし、USBのパケット毎に判断しても良い。
【0064】
また、放熱モード時にホストコンピュータ10bから撮像終了を要求された場合は、撮像を終了するようにしても良い。
【0065】
次に、USBインターフェース回路24bの温度変化に即して、画像撮像装置20bの動作を説明する。図5は、本実施形態の画像撮像装置20bの画像転送処理時におけるタイミングチャートである。
【0066】
図5(a)〜(e)の各チャートの横軸は時間の経過を示す。図5(a)の縦軸は、USBインターフェース回路24bの温度を示す。図5(b)は、CMOSセンサ30bから画像撮像装置20bへ転送されるデータを示す。A〜Xはそれぞれ、画像一枚分のデータを示す。図5(c)は、画像撮像装置20bからホストコンピュータ10bへ転送されるデータを示す。a〜xはそれぞれ、画像一枚分のデータを示す。図5(d)の縦軸は、USBバスの活性化率を示す。活性化率とは、マイクロフレームの時間に対して、USBバスが活性状態になっている時間の割合である。なお、USB2.0のハイスピードモードのアイソクロナス転送での場合、各マイクロフレームでの最大バス活性化率は約41%、ゼロ‐レングス応答の場合は約1%である。図5(e)は、クロック生成回路27bから画像処理回路23bに送信されるクロック信号を示す。
【0067】
被写体の撮像が開始され、CMOSセンサ30bから入力された画像データAの処理が開始される(図5(b)、タイミングT1)。すると、CMOSセンサ30bから入力された画像データAを画像処理回路23bが処理し、USBインターフェース回路24bを介してホストコンピュータ10bへ、データaの転送が開始される(図2(c)、タイミングT2)。
【0068】
なお、CMOSセンサ30cからデータAが送信されてから、ホストコンピュータ10cへデータaが送信されるまでには、タイム・ラグ(T2−T1)がある。また、図8(d)で示すとおり、画像撮像装置20cからホストコンピュータ10cへデータaが送信されるまでは、ゼロ‐レングスのデータが送られるが、転送されるデータ量は全くのゼロにはならない。そのためUSBバス活性化率もゼロにはならない。
【0069】
その後、画像処理と転送処理が繰り返されることで、USBバス活性化率の高い状態が維持されるため、USBインターフェース回路24bの温度が上昇していく(図5(a)、タイミングT3)。
【0070】
USBインターフェース回路24bの温度が閾値1以上になると、USBインターフェース温度検出回路26bは放熱モード移行命令を出し、クロック生成回路27bに画像処理回路23bへのクロック送信を停止させる(図5(e)、タイミングT4)。クロックが停止されている期間は、図5(e)のCで示されている。
【0071】
放熱モードでは、CMOSセンサ30bからの画像データは入力され続けるが、画像処理回路23bの動作が停止しているためにUSBインターフェース回路24bにデータが入力されない。そのため画像撮像装置20bは、ホストコンピュータ10bからのデータ要求に対して常にゼロ‐レングス応答をする(図5(d)、タイミングT5)。図5(d)のt1は、ゼロ‐レングス応答をしている期間を示す。
【0072】
また、ホストコンピュータ10bへのデータmは、全てのデータを送信完了されていないため、ホストコンピュータ10b上の表示は、最後に全てのデータを送った画像データlを表示したままとなる。
【0073】
放熱モード中は、ホストコンピュータ10bへの画像データ転送が停止されるため、USBバス活性化率の低い状態が維持される。それによりUSBインターフェース回路24bの発熱が抑制され、USBインターフェース回路24bの温度が下がっていく(図5(a)、タイミングT5)。
【0074】
USBインターフェース回路24bの温度が閾値2以下になると、USBインターフェース温度検出回路26bは通常モード移行命令を出し、クロック生成回路27bに画像処理回路23bへのクロック送信を再開させる(図5(e)、タイミングT6)。それにより、画像撮像装置20bは画像処理とデータ転送を再開する(図5(d)、タイミングT6)。
【0075】
ここで、通常モードに移行してからUSBバス活性化率の上昇に時間的なずれがある。これは、通常モードに移行して画像処理回路23bへのクロック送信が再開されてから、実際にホストコンピュータへのデータ転送が再開されるまでにタイム・ラグがあるからである。
【0076】
データ転送が再開されると、USBバス活性化率が再び高くなり、それに伴ってUSBインターフェース回路24bの温度が再び上昇していく。以降、同様に、画像撮像装置20bは通常モードと放熱モードが繰り返す。
【0077】
2−4.本実施の形態のまとめ
連続的で高速なデータ転送によるUSBインターフェース回路24bの異常発熱をUSBインターフェース温度検出回路26bが検出すると、画像撮像装置20bからホストコンピュータ10bへのデータ転送を停止する。データ転送が停止されることで発熱が抑制されるため、温度を下げることができる。USBインターフェース回路24bが正常動作できる温度になれば、画像撮像装置20bはコンピュータ10bへのデータ転送を再開する。
【0078】
このように、画像撮像装置20bは、ホストインターフェース回路24bの異常発熱を検出して対処することで、連続的で高速なデータ転送に起因するデータ転送の異常停止や回路の異常発熱を回避することができる。
【0079】
3.実施形態3
3−1.概要
実施形態2では、画像撮像装置はUSBインターフェース回路の温度を監視して異常を検出することで、データ転送停止のタイミングを判断していた。しかし温度以外の検出方法を用いても良い。
【0080】
例えばアイソクロナス転送方式によるホストコンピュータへのデータ転送において、USBバス活性化率の高い状態が長時間続くと、インターフェース回路の温度が上がる。特にUSBインターフェース回路が局所的に過熱になる。USBインターフェース回路が過熱になると、USBインターフェース回路24cからホストコンピュータへのデータ転送でエラーが起こりやすくなる。
【0081】
また、温度以外の要因によっても転送エラーは起こる。例えば画像処理回路内部のバッファがフル状態となった場合でも、転送エラーが起こりやすくなる。
【0082】
そこで本実施形態は、画像撮像装置は、USBインターフェース回路からホストコンピュータへのデータ転送のエラー数を確認することで異常を検出し、データ転送を停止する。そして画像撮像装置は、設定された一定時間だけ待機した後に、データ転送を再開する。
【0083】
3−2.構成
図6は本実施形態の画像撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0084】
本実施形態の異常検出部25cは、USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28とクロック生成回路27cとで構成される。その他の構成は実施形態2の構成と同じである。
【0085】
USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28は、USBインターフェース回路24cからホストコンピュータ10cへの転送エラーを検出して、連続転送エラー数をカウントする。USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28は、USBインターフェース回路24cからホストコンピュータ10cへの連続データ転送エラー回数を、予め設定された閾値と比較して、比較結果に応じてクロック生成回路27cにクロック停止信号もしくはクロック許可信号を送信する。ここで設定する閾値は、内部レジスタ等で変更可能にしておいても良い。
【0086】
クロック生成回路27cは、画像撮像装置20cの各ブロックの動作に必要なクロックを生成する。またクロック生成回路27cは、USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28からのクロック停止信号/許可信号に応じて、画像処理回路23cへのクロックの供給/停止を切り替える。
【0087】
3−3.動作
本実施形態の画像撮像装置20cの動作について、図7と図8を参照しつつ説明する。図7は、本発明の第3の実施形態における、画像撮像転送処理のフローチャートを示す。
【0088】
画像撮像装置20cはホストコンピュータ10cから画像撮像開始命令を受け取ると、CMOSセンサ制御回路22cとCMOSセンサインターフェース回路21cを経由して、指定された画像サイズとフレームレート等の設定をCMOSセンサ30cに伝達する。すると、CMOSセンサ30cは撮像動作と、画像撮像装置20cへの画像データ転送動作を開始する(S202)。
【0089】
CMOSセンサ30cから画像撮像装置20cに入力された画像データは、画像処理回路23cで色調補正や圧縮などの処理が行われる(S203)。
【0090】
USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28は、USBインターフェース回路24bからホストコンピュータ10cへの連続エラー転送数を検出し、そして連続エラー転送数を、予め設定された閾値と比較する(S204)。
【0091】
このとき、USBインターフェース回路24cの連続エラー転送数が、予め設定した閾値より小さい場合、画像処理回路23cは処理した画像データを、USBインターフェース回路24cを介してホストコンピュータ10cへ転送する(S205)。
【0092】
その後、USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28は、USBインターフェース回路24cからホストコンピュータ10cへのデータ転送にエラーがあったか確認する(S206)。このとき、転送エラーがなければ、USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28は連続エラー転送数をゼロにする(S207)。転送エラーがあれば、USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28は連続エラー転送数をインクリメントする(S211)。
【0093】
ホストコンピュータ10cから撮像終了の要求を受けるまで、上記画像処理(S203)と転送処理(S205)を繰り返し、ホストコンピュータ10c上への動画像データ転送を実現する。
【0094】
一方、ステップS04においてUSBインターフェース回路24cの連続エラー転送数が閾値以上の場合は、画像撮像装置20cは放熱モードに移行する(S221)。
【0095】
放熱モードにおいて、USBインターフェースエラー転送カウンタ回路28はクロック停止信号をクロック生成回路27cに送信する。これにより、クロック生成回路27cは画像処理回路23cへのクロックを停止する(S222)。クロック停止後、画像撮像装置20cは、予め設定された時間だけ待機する(S223)。クロック生成回路27cは一定時間後、内部でクロック再開信号を生成し、画像処理回路23cへのクロックの送信を再開する。
【0096】
これ以降の動作は、実施形態2と同様である。
【0097】
次に、USBインターフェース回路24cの温度変化に即して、画像撮像装置20bの動作を説明する。図8は、本実施形態の画像撮像装置20bの画像転送処理時におけるタイミングチャートである。
【0098】
図8(d)の斜線部は、エラーが含まれるデータ転送を示す。図8(e)は、USBインターフェースエラー転送回数の変化を示す。その他のチャートは、図5と同様の意味である。
【0099】
被写体の撮像が開始され、CMOSセンサ30cから入力された画像データAの処理が開始される(タイミングT1)。CMOSセンサ30cにより撮像された画像データAが、USBインターフェース回路24cを介してホストコンピュータ10cへ、画像データaとして転送される(タイミングT2)。
【0100】
画像処理と転送処理が繰り返されることで、USBバス活性化率の高い状態が維持されるため、USBインターフェース回路24cの温度が上昇していく(タイミングT3)。USBインターフェース回路24cの温度が上昇したことによって、ホストコンピュータ10cへのデータ転送にエラーが起こりやすくなる。図8(d)の斜線部はエラーが含まれるデータを示す。エラーが含まれているデータc、k、……は、ホストコンピュータ10cで破棄される。
【0101】
タイミングT4、T5ではそれぞれ一度だけエラーが起こったが、連続してエラーは起こらなかった。よってUSBインターフェースエラー転送回数は1までしか上昇しない(図8(e)の三角波形)。
【0102】
USBインターフェース回路24cの温度が高いほど、ホストコンピュータ10cへのデータ転送にエラーが起こりやすくなる。
【0103】
画像処理と転送処理が継続されることでUSBインターフェース回路24cの温度がさらに上昇し、これにより転送エラーが多発する。そのため図8(e)に示すように、温度上昇に伴いUSBインターフェース回路24cの連続エラー転送数が上昇する。そして連続エラー転送数が閾値以上になると、画像撮像装置20cは放熱モードに移行する(タイミングT7)。
【0104】
放熱モードになると、クロック生成回路27cは画像処理回路23cへのクロック信号を停止し(図8(f)の期間C)、これによりホストコンピュータ10cへのデータ転送を所定の期間だけ(図8(d)の期間t1)停止する。
【0105】
放熱モードではCMOSセンサ30cからの画像データは入力されるが、ホストコンピュータ10cからのデータ要求に対して、画像撮像装置20cは常にゼロ‐レングス応答する。途中まで転送されていたデータrは破棄される(タイミングT7)。また、ホストコンピュータ10cへ転送されたデータrは、全てのデータ送信を完了されていないため、ホストコンピュータ10c上の表示は、最後に全てのデータを送った画像データqを表示したままとなる。
【0106】
放熱モードでは、ホストコンピュータ10cへのデータ転送が起こらないので、USBバス活性化率の低い状態が維持される(図8(d)の期間t1)。これにより、USBインターフェース回路24cの温度を下げることができる(タイミングT8)。
【0107】
クロック生成回路27cが画像処理回路23cへのクロックを停止してから、予め設定された時間(図8(f)の期間C)を経過すると、画像撮像装置20cは通常モードに移行する(T9)。通常モードになると、クロック生成回路27cは画像処理回路23cへのクロックの送信を再開する。これにより画像撮像装置20cからホストコンピュータ10cへの画像データの転送が再開される。
【0108】
3−4.本実施の形態のまとめ
本実施形態では、連続的で高速なデータ転送によるUSBインターフェース回路24cのエラー転送の異常な連続を検出することにより、画像撮像装置20cの異常状態を検出し、ホストコンピュータ10cへのデータ転送を停止する。データ転送の停止によりUSBインターフェース回路24cの発熱が抑制され、温度を下げることができる。その後、一定時間経過したあと、画像撮像装置20cはホストコンピュータ10cへのデータ転送を再開する。
【0109】
このように、ホストインターフェース回路のエラー転送の異常な連続を検出して対処することでも、連続的で高速なデータ転送に起因するデータ転送の異常停止や回路の異常発熱を回避することができる。
【0110】
4.実施形態4
4−1.概要
本発明の実施形態4では、USBインターフェース回路の温度が所定の温度範囲内であれば、ホストコンピュータへのデータ転送を停止せずに間引きすることで、USBインターフェース回路の発熱を抑制する。また、USBインターフェース回路の温度が所定の温度範囲以上に達すれば、ホストコンピュータへのデータ転送を停止することで、USBインターフェース回路の発熱をより抑制し、USBインターフェース回路の温度を下げる。USBインターフェース回路が正常に動作できる温度になれば、ホストコンピュータへのデータ転送を再開する。
【0111】
4−2.構成
図9は本実施形態の画像撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0112】
本実施形態の画像撮像装置20dは、実施形態2で示した画像撮像装置の構成に加えて、さらにUSB転送制御回路29を備えている。
【0113】
本実施形態のUSBインターフェース温度検出回路26dは、クロック生成回路27dにクロック停止信号又はクロック許可信号を送信するとともに、USB転送制御回路29に間引き許可信号又は間引き禁止信号を送信する。
【0114】
USB転送制御回路29は、USBインターフェース温度検出回路26dから間引き許可信号を受け取ると、予め設定された間引き数に応じて画像処理回路23dからの画像データを内部で破棄し、USBインターフェース回路24dにはデータを送信しない。一方、間引き禁止信号を受け取ると、USB転送制御回路29は、画像処理回路23dからの画像データ全てをUSBインターフェース回路24dに送信する。このように画像データの一部を内部で間引きして、全てのデータを転送しない状態を、「間引きモード」という。
【0115】
ここで設定する間引き数は、内部レジスタ等で変更可能にしておいても良い。
【0116】
4−3.動作
本実施形態の画像撮像装置20dの動作について、図10と図11を参照しつつ説明する。図10は、本発明の第4の実施形態にかかる、画像撮像転送処理のフローチャートを示している。ただしここで、閾値3>閾値1>閾値2の関係である。
【0117】
画像撮像装置20dはホストコンピュータ10dから画像撮像開始命令を受け取ると、CMOSセンサインターフェース回路21dとCMOSセンサ制御回路22dとを経由して、指定された画像サイズとフレームレート等の設定をCMOSセンサ30dに伝達する。すると、CMOSセンサ30dは撮像と、画像撮像装置20dへの画像データ送信を開始する(S02)。
【0118】
CMOSセンサ30dから画像撮像装置20dに入力された画像データは、画像処理回路23dで色調補正や圧縮などの処理が行われる。
【0119】
USBインターフェース温度検出回路26dは、USBインターフェース回路24dの温度を検出し、検出した温度を、予め設定した閾値1と比較する(S304)。
【0120】
このとき、USBインターフェース回路24dの温度が閾値1より小さい場合、画像処理回路23dは処理した画像データを、USBインターフェース回路24dを介してホストコンピュータ10dへ転送する(S305)。
【0121】
画像撮像装置20dは、ホストコンピュータ10dから撮像終了の要求を受け取るまで、上記画像処理(S303)と転送処理(S305)を繰り返し、ホストコンピュータ10d上への動画像データ転送を実現する。
【0122】
一方、ステップS304においてUSBインターフェース回路24dの温度が閾値1以上の場合、USBインターフェース温度検出回路26dは次にUSBインターフェース回路24dの温度を閾値3と比較する(S311)。
【0123】
このとき、USBインターフェース回路24dの温度が閾値3より小さいとき場合、画像撮像装置20dは間引きモードに移行する(S312)。
【0124】
間引きモードにおいて、USB転送制御回路29は、予め設定された間引き数に応じて、USBインターフェース回路24dにデータ転送するか否かを判断する。USB転送制御回路29がデータ転送すると判断した場合、USB転送制御回路29はUSBインターフェース回路24dを介してホストコンピュータ10dに転送する(S305)。
【0125】
USB転送制御回路29がデータ転送しないと判断した場合、USB転送制御回路29はUSBインターフェース回路24dに何も送信しないので、その結果、ゼロ‐レングス応答となる。こうすることで画像撮像装置20dはUSBバス活性化率を低く維持し、USBインターフェース回路24dの発熱を抑制する。
【0126】
一方、ステップS11においてUSBインターフェース回路24dの温度が閾値3以上の場合は、画像撮像装置20dは放熱モードに移行する(S321)。放熱モードに移行してからの動作(S321〜S325)は、実施形態2での動作(図4のS111〜S115)と同様である。
【0127】
なお、間引きモード時および放熱モード時にホストコンピュータ10dから撮像終了を要求された場合は、撮像を終了するようにしても良い。
【0128】
次に、USBインターフェース回路24dの温度変化に即して、画像撮像装置20dの動作を説明する。図11は、本実施形態の画像撮像装置20dの画像転送処理時におけるタイミングチャートである。各チャートの意味は図5と同様である。
【0129】
被写体の撮像を開始され、CMOSセンサ30dから入力された画像データAの処理が開始される(タイミングT1)。CMOSセンサ30dにより撮像された画像データAが、USBインターフェース回路24dを介してホストコンピュータ10dへ、画像データaとして転送される(タイミングT2)。
【0130】
画像処理と転送処理が繰り返されることで、USBバス活性化率の高い状態が維持されるため、USBインターフェース回路24dの温度が上昇していく(タイミングT3)。USBインターフェース回路24dの温度が閾値1以上になると、画像撮像装置20dは間引きモードに移行する(タイミングT4)。
【0131】
間引きモードになると、図11(d)の期間t1と期間t2のように、データの間引きが行われる。ここではホストコンピュータ10dへ転送されるデータkとmが間引きされている。これらのデータの代わりにゼロ‐レングス応答が行われるためにUSBバス活性化率が下がり、USBインターフェース回路24dの発熱が抑制される。そのため温度上昇が、通常モードでの温度上昇(図11(a)の一点長鎖線)より、緩やかになる(タイミングT5)。
【0132】
USBインターフェース回路24dの温度が閾値2以上になると、画像撮像装置20dは放熱モードに移行する(タイミングT6)。
【0133】
これ以降の動作は、実施形態2と同様である。
【0134】
4−4.本実施の形態のまとめ
以上のように本発明の実施形態4では、画像撮像装置20dはクロックを停止させるまでの温度に複数の閾値を設け、USBインターフェース回路24dの温度が所定の温度範囲内であれば、ホストコンピュータ10dへのデータ転送を間引きする。そうすることで、画像撮像装置20dはデータ転送を停止することなく、USBインターフェース回路の発熱を抑制することができる。また、USBインターフェース回路24dの温度が所定の温度範囲以上に達すれば、画像撮像装置20dはホストコンピュータ10dへのデータ転送を停止することで、USBインターフェース回路24dの発熱をさらに抑制し、USBインターフェース回路24dの温度を下げる。そして、USBインターフェース回路24dが正常に動作できる温度になれば、画像撮像装置20dはホストコンピュータ10dへのデータ転送を再開する。
【0135】
このように画像撮像装置20dは、USBインターフェース回路24dの温度に応じてデータ転送を間引きまたは停止することで、連続的で高速なデータ転送に起因するデータ転送の異常停止や回路の異常発熱を回避することができる。
【0136】
5.その他の実施形態
実施形態1〜4ではUSBインターフェース回路を使用した例で説明したが、本発明はこれに限定するものではない。画像撮像装置とホストコンピュータとのインターフェースとしてPCI‐Expressバス等を使用した周辺装置制御回路に適用しても良い。
【0137】
実施形態2〜4では画像センサとしてCMOSセンサを使用した例で説明したが、CCD等の他の画像センサを使用してもよい。
【0138】
実施形態1〜4では、異常検出部25、25b、…は、ホストインターフェース部24(USBインターフェース回路24b、…)の異常状態の有無を検出したが、カメラインターフェース部21(CMOSセンサインターフェース回路21b、…)の異常状態の有無を検出してもよい。この場合において異常検出時は、カメラインターフェース部21(CMOSセンサインターフェース回路21b、…)でのデータ転送を制御する。インターフェース回路の異常判定及び異常検出時のデータ転送の制御については、上記の各実施形態で説明した制御と同様に行う。
【0139】
また、実施形態1〜4では周辺装置として動画像撮像回路を例示したが、本発明はこれに限定するものではない。本発明を、メモリカードに対するリーダ/ライタ回路といった周辺装置とのインターフェースを行うデータ転送制御装置に適用しても良い。図12に、メモリカードに対するリーダ/ライタ回路の構成を示す。図12に示すリーダ/ライタ回路20eはホスト装置10eから転送されたデータをメモリカード30eに書き込むとともに、メモリカード30eからデータを読み出し、ホスト装置10eに転送する機能を有する。リーダ/ライタ回路20eは、ホストインターフェース部24eを介してホスト10eとデータのやりとりを行う。リーダ/ライタ回路20eは、カードインターフェース部21eを介してメモリカード30eとデータのやりとりを行う。カード制御部22eはメモリカード30eに対するデータの書き込み/読み出しを制御する。異常検出部25eは、ホストインターフェース部24eまたはカードインターフェース部21eの異常の有無を検出し、異常が検出されたときにインターフェース部24e、21eでのデータの転送を停止させる。異常の判定及び異常検出時のデータ転送の制御については、上記の各実施形態で説明したとおりである。
【0140】
また、本発明は、周辺装置のインターフェース回路がMIPI(モバイル・インダストリー・プロセッサー・インターフェース)回路である場合においても適用することができる。
【符号の説明】
【0141】
10 ホスト装置
10b、10c、10d ホストコンピュータ
20、20b、20c、20d 画像撮像装置
21 カメラセンサインターフェース部
21b、21c、21d CMOSセンサインターフェース回路
22 カメラセンサ制御部
22b、22c、22d CMOSセンサ制御回路
23 画像処理部
23b、23c、23d 画像処理回路
24 ホストインターフェース部
24b、24c、24d USBインターフェース回路
25、25b、25c、25d 異常検出部
26b、26d USBインターフェース温度検出回路
27b、27c、27d クロック生成回路
28 USBインターフェースエラー転送カウンタ回路
29 USB転送制御回路
30 カメラセンサ
30b、30c、30d CMOSセンサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【特許文献1】特許第3539264号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺装置とホスト装置との間のデータ転送を行うデータ転送制御装置であって、
前記ホスト装置とのデータのやりとりを行うことが可能なホストインターフェース部と、
前記周辺装置とデータのやりとりを行うことが可能な周辺装置インターフェース部と、
前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部の異常状態を検出する異常検出部と、
前記異常検出部が異常を検出した場合に、前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部でのデータ転送を中断し、その後、前記異常検出部が前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部の正常状態への回復を検出した場合に、前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部でのデータ転送動作を再開する転送制御部と
を備えることを特徴とするデータ転送制御装置。
【請求項2】
前記周辺装置から入力されたデータを処理するデータ処理部をさらに備え、
前記異常検出部が異常を検出した場合に、前記データ処理部の処理を中断することを特徴とする請求項1記載のデータ転送制御装置。
【請求項3】
前記データ処理部の処理を中断させる場合に、前記データ処理部へのクロック供給を停止することを特徴とする請求項2記載のデータ転送制御装置。
【請求項4】
前記異常検出部は、前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部の温度を検出して、異常状態の判定を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のデータ転送制御装置。
【請求項5】
前記異常検出部は、前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部のデータ転送エラー回数を計測して、異常状態の判定を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のデータ転送制御装置。
【請求項6】
前記異常検出部が前記ホストインターフェース部または前記周辺装置インターフェース部の異常状態を判定するために複数の閾値を持ち、各々の閾値に基づく異常状態に応じて各インターフェース部の回路活性率を制御する、ことを特徴とする請求項4または請求項5記載のデータ転送制御装置。
【請求項7】
異常検出部が異常状態の判定をするための閾値を変更できることを特徴とする請求項1記載のデータ転送制御装置。
【請求項8】
前記ホストインターフェース部がUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)インターフェース回路またはPCI‐Expressインターフェース回路であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のデータ転送制御装置。
【請求項9】
前記周辺装置インターフェース部がMIPI(モバイル・インダストリー・プロセッサー・インターフェース)回路であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載のデータ転送制御装置。
【請求項10】
カメラセンサで撮影された画像データをホスト装置へ転送可能な画像撮像装置であって、
前記ホスト装置との間でデータのやりとりを行うことが可能なホストインターフェース部と、
前記カメラセンサとの間でデータのやりとりを行うことが可能なカメラセンサインターフェース部と、
前記ホストインターフェース部または前記カメラセンサインターフェース部の異常状態を検出する異常検出部と、
前記異常検出部が異常を検出した場合に、前記ホストインターフェース部または前記カメラセンサインターフェース部でのデータ転送を中断し、その後、前記異常検出部が前記ホストインターフェース部または前記カメラセンサインターフェース部の正常状態への回復を検出した場合に、前記ホストインターフェース部または前記カメラセンサインターフェース部でのデータ転送動作を再開する転送制御部と
を備える
ことを特徴とする画像撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−98643(P2013−98643A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237711(P2011−237711)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】