説明

データ転送可能な自動縫製システム

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動縫製ミシンと、コンピュータ等の外部装置との間で、縫目データ等のデータ転送可能な自動縫製システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、加工布上に文字や図形などの種々の縫目模様を形成する自動縫製ミシンと複数種類の縫目模様を形成する為の複数の縫目データを格納したコンピュータとを通信用のインターフェースを介して接続したデータ転送可憶な自動縫製装置が知られている。
【0003】例えば、特公平1−45393号公報には、加工布を保持したXYテーブルを移動させる移動手段とこの加工布上に縫目を形成する縫目形成装置とを備えた自動縫いミシンと、キーボードやCRTディスプレイ及びフロッピィーディスクドライブ装置を備えたパーソナルコンピュータとをインターフェースを介して接続し、キーボードから入力したタイトル名の縫目データをフロッピィーディスクドライブ装置に装着したフロッピィーディスクから読み出して自動縫いミシンのメモリに転送して格納し、このメモリに格納された縫目データに基いて縫目形成装置及び移動手段を駆動することにより、加工布上に種々の縫目模様を形成するようにした自動縫いミシン装置が記載されている。
【0004】ところで、本願出願人は、加工布を直交する2方向に夫々移動させる加工布移動手段とこの加工布上に縫目を形成する縫目形成装置とアルファベットキーや数字キーや指令キーなどを有する操作パネルとを備えた自動縫製ミシンと、キーボードやCRTディスプレイ及びフロッピィーディスクドライブ装置を備えたパーソナルコンピュータとをインターフェースにより接続し、操作パネルでタイトル名を入力するだけで、そのタイトル名に対応する縫目データがフロッピィーディスクドライブ装置に装着したフロッピィーディスクから読み出されてインターフェースを介してミシンのメモリに転送により格納され、このメモリに格納した縫目データに基いて縫目形成装置及び加工布移動手段を駆動することにより加工布に種々の縫目模様を形成するようにしたデータ転送可能な自動縫製装置を実用化した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記特公平1−45393号公報に記載の自動縫いミシン装置においては、タイトル名の選択操作とその縫目データの転送指令操作とをパーソナルコンピュータ側で行なう一方、ミシン側に移動して縫製作業に携わるので、縫製作業の操作性に劣ること、自動縫いミシン1台に対して専用のパーソナルコンピュータを接続しているので、ミシン装置が大型化且つ高価になること、この自動縫いミシン装置が複数設けられている場合には、縫目データの変更や追加を全てのフロッピィーディスクに対して行なわなければならず、縫目データを統一化させる為のデータ管理が煩雑化すること、などの問題がある。
【0006】本願出願人が実用化した自動縫製装置においては、操作パネルで入力操作する所望のタイトル名を、パーソナルコンピュータのディスプレイに表示した複数のタイトル名からメモ書きしたり、或いはタイトル名リストを予めプリントアウトしなければならず、縫製作業の操作性に劣ること、更にタイトル名の入力時にタイトル名の誤入力の可能性があること、自動縫製ミシン1台に対して専用のパーソナルコンピュータを接続しているので、自動縫製装置が大型化且つ高価になること、などの問題がある。
【0007】本発明の目的は、自動縫製ミシン側でタイトル名の選択操作及びコンピュータに対する縫目データ転送指令操作に関する全ての操作を行なえるとともに、自動縫製ミシンをコンピュータに対して端末機と同様の扱いができるようなデータ転送可能な自動縫製システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るデータ転送可能な自動縫製システムは、加工布上に縫目を形成する為の縫目形成装置と、この加工布を平面内の直交する2方向に夫々独立に移動させる為の加工布移動手段と、縫目データを格納する為の縫目データ記憶手段と、この縫目データ記憶手段に格納された縫目データを順次読み出して縫目形成装置及び加工布移動手段を駆動制御する縫製制御手段とを有する自動縫製ミシンと、その自動縫製ミシンの縫目データ記憶手段に対して縫目データを転送するための装置であって、文字や図形を縫製する為の複数の縫目データとその縫目データのタイトル名データとを対応づけて格納した格納手段と、前記自動縫製ミシン側からの指令に応動して、縫目データを前記格納手段から読み出して前記自動縫製ミシンの縫目データ記憶手段に出力する転送制御手段とを少なくとも備えた外部装置と、前記自動縫製ミシンと外部装置との間でデータ転送を行うためのインターフェース手段とを備えたデータ転送可能な自動縫製システムにおいて、前記自動縫製ミシンは、前記外部装置に対して、その格納手段に格納されている縫目データに対応づけられたタイトル名データの転送を指令する指令信号を出力する為のタイトル名データ転送指令手段と、前記外部装置側より転送されたタイトル名データを格納するタイトル記憶手段と、そのタイトル記憶手段に格納されたタイトル名データに基づき、前記外部装置の格納手段に格納された縫目データに対応するタイトル名を少なくとも1つ表示する表示手段と、その表示手段に表示されたタイトル名に基づいて選択操作することにより、所望の縫目データに対応するタイトル名データの選択を行うための選択手段と、その選択手段により選択されたタイトル名データを前記外部装置の転送制御手段に出力し、当該転送制御手段に対して、その選択されたタイトル名データに対応する縫目データの送信を指令する為のタイトル名選択信号出力手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】尚、上記構成において、前記インターフェース手段は、前記外部装置と、少なくとも一の前記自動縫製ミシンとを、信号の送受信及びデータ転送が可能に接続できるように構成されていてもよい。
【0010】また、上記構成において、前記外部装置は、縫目データやタイトル名のデータを入力或いは編集するための入力手段を備え、前記格納手段は、前記入力手段により入力され或いは編集されたデータを格納する為の記憶媒体を備えていてもよい。
【0011】
【作用】本発明に係るデータ転送可能な自動縫製システムにおいては、自動縫製ミシンのタイトル名データ転送指令手段より外部装置対して、タイトル名のデータの転送を指令する指令信号が出力されると、外部装置、その指令信号に応動して、当該外部装置に備えられた格納手段から、タイトル名データを読み出して自動縫製ミシン側に出力する。その結果、このタイトル名データはインターフェース手段を介して転送されてタイトル記憶手段に格納され、表示手段は、このタイトル記憶手段に格納されたタイトル名のうち少なくとも1つを表示する。一方、その表示手段に表示されたものから、所望の縫目データに対応するタイトル名を選択することにより、その選択されたタイトル名に相当するタイトル名選択信号がタイトル名選択信号出力手段により外部装置の転送制御手段に出力される。ここで、外部装置に備えられた格納手段には文字や図形を縫製する為の複数の縫目データをタイトル名に対応づけて格納されているので、転送制御手段は、自動縫製ミシン側からのタイトル名選択信号に応動して、この選択されたタイトル名の縫目データを格納手段から読み出して順次縫製制御手段に出力する。その結果、この縫目データはインターフェース手段及び縫製制御手段を経て縫目データ記憶手段に転送・格納されるので、縫製制御手段はこの縫目データ記憶手段に格納された縫目データを順次読み出して縫目形成装置及び加工布移動手段を駆動制御する。これにより、加工布は、加工布移動手段により平面内の直交する2方向に夫々独立に移動されながら縫目形成装置により縫目形成される。
【0012】
【発明の効果】本発明に係るデータ転送可能な自動縫製システムによれば、自動縫製ミシン本体側に、縫目データに対応するタイトルを表示するための表示手段と、この表示手段に表示すべきタイトルを当該自動縫製ミシン本体側に転送するよう指令する指令手段と、その表示手段に表示されたものから所望の縫目データに対応するタイトル名の選択を行うタイトル選択手段とを設ける一方、外部装置側では、自動縫製ミシン本体側からのタイトル名データの転送指令に応動して、格納手段からタイトル名のデータを読み出して自動縫製ミシン側に転送し、また、自動縫製ミシン本体側からのタイトル名選択信号に応動して、そのタイトル名選択信号に係るタイトル名に対応する縫目データを格納手段から読み出して自動縫製ミシン側に転送するように構成されているので、タイトル名表示のための操作及び縫製作業開始の為のタイトル名の選択操作をすべて自動縫製ミシン本体側で行なうことができるとともに、入力するタイトル名を予めメモ書きするなどの準備作業を一切必要とせず、縫製作業の操作性を大幅に向上できることができ、また表示手段におけるタイトル名の表示に基づいてタイトル名の選択を行うだけで所望の縫目データを正確に指定することができるという効果がある。
【0013】また、上記構成において、前記インターフェース手段は、前記外部装置と、少なくとも一の前記自動縫製ミシンとを、信号の送受信及びデータ転送が可能に接続できるように構成すれば、自動縫製ミシンをコンピュータに対して端末機と同様に扱うことができ、これにより複数台の自動縫製ミシンを1台のコンピュータに接続可能となり、自動縫製システムを小型化且つ抵コスト化することができる上、コンピュータの記憶手段に格納した縫目データをデータベースとして汎用化することができるという効果がある。
【0014】さらに、上記構成において、前記外部装置は、縫目データやタイトル名のデータを入力或いは編集するための入力手段を備え、前記格納手段は、前記入力手段により入力され或いは編集されたデータを格納する為の記憶媒体を備えるように構成すれば、縫目データの変更や追加等のデータ管理が容易に行えるという効果がある。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて説明する。
【0016】本実施例は、基本的に自動縫製ミシンとバーソナルコンピュータとを通信用のインターフェースで接続したデータ転送可能な自動縫製システムに本発明を適用した場合のものである。
【0017】自動縫製システム1の自動縫製ミシンとしての刺繍縫ミシン2について、図1に基いて説明すると、ミシンテーブル3上にミシンアーム4が配置され、その前端部には5本の針棒6を上下動可能に支持した針棒支持ケース5が左右方向移動可能に装着されている。これら針棒6の下端には縫針7が夫々取付けられ、糸供給源(図示略)から供給される上糸は各糸調子器8及び天秤9を経て縫針7に夫々供給される。
【0018】この針棒支持ケース5は針棒変更モータ30の駆動により左右方向に移動され、駆動位置に移動して選択された何れかの針棒6がミシンモータ27の駆動により上下に往復駆動される。前記ミシンテーブル3の前端部にはミシンベッド10が前方に延設され、このミシンベッド10の内部には、縫針7の上下動と協働して加工布Wに縫目を形成する為の糸輪捕捉器(図示略)が設けられている。
【0019】前記ミシンテーブル3の内部において、1対のY方向移動アーム11がY方向送りモータ(図3参照)29によりXY平面内のY方向(前後方向)に移動可能に設けられ、これらY方向移動アーム11の上端部はミシンテーブル3の左右両端部の上面に夫々臨むように上方に突出している。
【0020】Y方向移動アーム11の1対の上端部間には左右に延びる支持部材12が固着され、この支持部材12にはX方向移動アーム13がX方向送りモータ(図3R>3参照)28によりXY平面内のX方向(左右方向)に移動可能に設けられている。更に、X方向移動アーム13の前端部には加工布Wを着脱可能に装着する為の刺繍枠14が取付けられている。従って、この刺繍枠14に装着された加工布Wは、Y方向送りモータ29で駆動されるY方向移動アーム11によりY方向に移動されるとともに、X方向送りモータ28で駆動されるX方向移動アーム13によりX方向に移動され、加工布W上に文字や図形などの種々の縫目模様が形成される。
【0021】前記ミシンテーブル3の後端部の上側に臨むように操作パネル15が設けられ、この操作パネル15には図2に示すように、縫目模様のタイトル名を1つ分表示可能な液晶ディスプレイ25、このディスプレイ25にタイトル名を表示するようにパーソナルコンピュータ50に指令する為のタイトル名表示キー16、複数のタイトル名を順方向に順次ディスプレイ25に表示する為の順方向表示キー17及び逆方向に順次ディスプレイ25に表示する為の逆方向表示キー18、ディスプレイ25に表示されたタイトル名を選択する為のタイトル名選択キー19、縫製作業を開始する為の縫製開始キー20及び終了する為の終了キー21などが設けられている。
【0022】次に、加工布W上に文字や図形などの縫目模様を形成する為の縫目データを作成及び編集可能なパーソナルコンピュータ50は基本的には、図1に示すように、図形や各種のデータを表示する為のCRTディスプレイ52、アルファベットキーや数字キー及びリターンキーなどの複数の機能キーを有するキーボード51、フロッピィーディスクドライブ装置FMや制御装置C2(図4参照)などを内蔵した制御ボックスCSからなっている。
【0023】次に、刺繍縫ミシン2の制御系は図3のブロック図に示すように構成されている。液晶ディスプレイ(LCD)25はディスプレイコントローラ(D.C)26で表示制御され、各モータ27〜30は夫々対応する駆動回路31〜34により駆動される。操作パネル15、ディスプレイコントローラ26、駆動回路31〜34は夫々縫製制御装置C1の入出力インターフェース(I/Oインターフェース)35に接続されている。
【0024】縫製制御装置C1は、CPU37とCPU37にデータバスなどのバス36を介して接続された入出力インターフェース35とROM38とRAM40とから構成されている。ROM38には、各モータ27〜30を駆動する為の駆動制御プログラム、パーソナルコンピュータ50の制御装置C2に対してデータ転送を行なう為の通信制御のプログラム、後述の縫製制御の制御プログラムなどが格納されている。RAM40のタイトル名メモリ41には、パーソナルコンピュータ50から転送された複数のタイトル名のデータが格納される。縫目データメモリ42には、パーソナルコンピュータ50から転送された縫目データが格納される。更に、RAM40には、刺繍縫ミシン2の駆動制御に必要な各種のポインタやカウンタやバッファなどが設けられている。更に、CPU37には、パーソナルコンピュータ50側の通信用のインターフェースIF2に接続ケーブルCBを介して接続された通信用のインターフェ−スIF1が接続されている。
【0025】次に、パーソナルコンピュータ50の制御系は図4のブロック図に示すように構成されている。CRTディスプレイ(CRTD)52はCRTコントローラ(CRT.C)53で表示制御され、フロッピィーディスクドライブ装置FMはフロッピィーディスクドライブ(FDD)54とフロッピィーディスクコントローラ(FD.C)56とから構成されている。前記キーボード51、CRTコントローラ53、フロッピィーディスクコントローラ55は制御装置C2の入出力インターフェース(I/Oインターフェース)56に夫々接続されている。このフロッピィーディスクドライブ54に着脱可能に装着されたフロッピィーディスク(図示略)には、キーボード51から入力され或いは編集された文字や図形を縫製する為の複数種類の縫目データがディレクトリ毎に格納されるとともに、これら縫目データの夫々に付与されたタイトル名のデータが縫目データに対応づけて専用のディレクトリに一括して格納されている。
【0026】制御装置C2は、CPU58とCPU58にデータバスなどのバス57を介して接続された入出力インターフェース56とROM59とRAM60とから構成されている。ROM59には、パーソナルコンピュータ50を制御する種々の制御プログラム、縫製制御装置C1に対してデータ転送を行なう為の通信制御のプログラム、割り込み処理により実行される後述のタイトル名データ出力制御プログラム及び縫目データ出力制御プログラムなどが格納されている。RAM60には、パーソナルコンピュータ50の制御上必要な各種メモリなどが設けられている。更に、CPU58には、インターフェースIF1に接続ケーブルCBを介して接続された通信用のインターフェースIF2が接続されている。尚、インターフェースIF1・IF2は夫々RS−232−C対応のものである。
【0027】次に、縫製制御装置C1で実行される縫製制御のルーチンについて、図5のフローチャートに基いて説明するが、この縫製制御と平行して制御装置C2で実行されるタイトル名データ出力制御のルーチンについて図6のフローチャートに基いて、また縫目データ出力制御のルーチンについて図7のフローチャートに基いて説明する。尚、図中符号Si(i=1、2、3・・・)は各ステップである。また、パーソナルコンピュータ50の制御装置C2においては、電源投入後ROM59に格納された制御プログラムのメインルーチンや種々のサブルーチンが実行されている。刺繍縫ミシン2に電額が投入されるとこの制御が開始され、先ず各種メモリ41〜42などをクリアするなどの初期設定が実行され(S1)、タイトル名表示キー16が操作されたときには(S2・S3:Yes)、タイトル名メモリ41と縫目データメモリ42とが夫々クリアされ(S4)、タイトル名データの転送を指令する指令信号が制御装置C2に対して出力される(S5)。その結果、この指令信号はインターフェースIF1、接続ケーブルCB及びインターフェースIF2を介して制御装置C2のCPU58に対して割り込み要求され、この割り込みが受け付けられると指令信号に基いてタイトル名データ出力制御が実行される。
【0028】この制御が開始されると、先ずフロッピィーディスク内の専用のディレクトリに一括して格納されている複数のタイトル名のデータが読み出されてバッファに一時的に格納され(S30)、これら複数のタイトル名データが両インターフェースIF2・IF1を介して縫製制御装置C1にプロトコルで規定された所定バイト長毎に分割して転送される(S31)。
【0029】従って、転送された所定バイト長毎のタイトル名データが順次RAM40のタイトル名メモリ41に格納され(S6)、転送柊了でなければ(S7:No)、S6・S7が繰り返される。そして、タイトル名データの転送が終了したとき(S7:Yes)、タイトル名メモリ41に格納された複数のタイトル名データのうち先頭のタイトル名データが読み出されてそのタイトル名がディスプレイ25に表示され(S8)、S2に戻る。
【0030】次に、順方向表示キー17が操作されたときには(S2:Yes、S3:No、S9:Yes)、タイトル名メモリ41に表示中のタイトル名の次に格納されているタイトル名が表示される(S10)。しかし、逆方向表示キー18が操作されたときには(S2:Yes、S3・S9:No、S11:Yes)、タイトル名メモリ41に表示中のタイトル名より1つ前に格納されているタイトル名が表示される(S12)。
【0031】そして、所望のタイトル名がディスプレイ25に表示されているときに、タイトル名選択キー19が操作されたときには(S2:Yes、S3・S9・S11:No、S13:Yes)、ディスプレイ25に表示中のタイトル名データが制御装置C2に対して出力される(S14)。その結果、前述と同様にインターフェースIF1、接続ケーブルCB及びインターフェースIF2を介して制御装置C2のCPU58に対して割り込みが要求され、この割り込みが受付られると縫目データ出力制御が実行される。
【0032】この制御が実行されると、先ず転送されたタイトル名データに基いて、フロッピィーディスク内のディレクトリに格納されているこのタイトル名に対応する縫目データが読み出されてバッファに一時的に格納され(S50)、この縫目データが両インターフェースIF2・IF1を介して縫製制御装置C1に所定バイト長毎に分割して転送される(S61)。
【0033】従って、転送された所定バイト長毎の縫目データが順次RAM40の縫目データメモリ41に格納され(S15)、転送終了でなければ(S16:No)、転送終了になるまでS15・S16が繰り返される。
【0034】そして、縫製開始キー20が操作されたとき(S2:Yes、S3・S9・S11・S13:No、S17:Yes)、この縫目データに基いてミシンモータ27が駆動されるとともに、各モータ28〜30が駆動されて縫製処理が実行され(S18)、選択したタイトル名の縫目模様が加工布W上に形成される。尚、これら説明したキー16〜20以外のキーが操作されたときには(S2:Yes、S3・S9・S11・S13・S17:No)、操作されたキーに対応する処理が実行される(S19)。
【0035】以上説明したように、刺繍縫ミシン2に液晶ディスプレイ25やタイトル名表示キー16や順方向表示キー17や逆方向表示キー18及びタイトル名選択キー19を有する操作パネル15を設け、ディスプレイ25に複数のタイトル名が表示できるとともに、この表示を介して選択した所望のタイトル名の縫目データが縫目データメモリ42に格納され、この縫目データに基づいて加工布Wに縫目模様が形成されるので、タイトル名の選択操作及びパーソナルコンピュ一夕50に対するタイトル名の縫目データ転送指令操作を刺繍縫ミシン2側で行なうことができるので、入力するタイトル名を予めメモ書きするなどの準備作業を一切必要とせず、縫製作業の操作性を大幅に向上できる。更に、ディスプレイ25に表示されたタイトル名をタイトル名選択キー19の操作で選択するだけなので、所望のタイトル名をコンピュータに対して正確に指令することができる。
【0036】加えて、パーソナルコンピュータ50のROM59にタイトル名データ出力制御プログラムを格納する一方、刺繍縫ミシン2に操作パネル15を設けるとともにRAM40にタイトル名メモリ41を設けたので、刺繍縫ミシン2をパーソナルコンピュータ50に対して端末機と同様に扱うことができ、これにより複数台の刺繍縫ミシン2を1台のパーソナルコンピュータ50に接続可能となり、自動縫製システム1を小型化且つ低コスト化することができる上、フロッピィーディスクドライブ54に着脱可能に装着されたフロッピィーディスクに格納した縫目データをデータベースとして汎用化することができる。
【0037】尚、縫目データを格納する為の記憶媒体として、ハードディスクやROMカードなど種々のものを用いてもよい。
【0038】尚、ディスプレイ25を複数のタイトル名が一度に表示可能な大型のもので構成し、カーソル移動キーで所望のタイトル名を指示することも可能である。
【0039】尚、パーソナルコンピュータ50を大型のホストコンピュータで構成することも可能であり、また自動縫製ミシン2とパーソナルコンピュータ50とを電話回線や専用回線を介して種々のデータ転送方式を用いてデータ転送可能に構成することも可能である。
【0040】尚、パーソナルコンピュータ50にインターフェースを介して複数台の刺繍縫ミシン(自動縫製ミシン)2を接続した自動縫製システムを構成できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】刺繍縫ミシン及びパーソナルコンピュータの斜視図である。
【図2】操作パネルの拡大平面図である。
【図3】刺繍縫ミシンの制御系のブロック図である。
【図4】パーソナルコンピュータの制御系のブロック図である。
【図5】刺繍縫ミシンの由製制御装置で行なわれる縫製制御のルーチンの概略フローチャートである。
【図6】パーソナルコンピュータの制御装置で割り込み処理により行なわれるタイトル名データ出力制御のルーチンの概略フローチャートである。
【図7】パーソナルコンピュータの制御装置で割り込み処理により行なわれる縫目データ出力制御のルーチンの概略フローチャートである。
【符号の説明】
1 自動縫製システム
2 刺繍縫ミシン
6 針棒
7 縫針
11 Y方向移動アーム
13 X方向移動アーム
15 操作パネル
16 タイトル名表示キー
17 順方向表示キー
18 逆方向表示キー
19 タイトル名選択キー
25 液晶ディスプレイ
27 ミシンモータ
28 X方向送りモータ
29 Y方向送りモータ
37 CPU
38 ROM
40 RAM
41 タイトル名メモリ
42 縫目データメモリ
50 パーソナルコンピュータ
51 キーボード
58 CPU
59 ROM
60 RAM
C1 縫製制御装置
C2 制御装置
FM フロッピィーディスクドライブ装置
IF1・IF2 インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】 加工布上に縫目を形成する為の縫目形成装置と、この加工布を平面内の直交する2方向に夫々独立に移動させる為の加工布移動手段と、縫目データを格納する為の縫目データ記憶手段と、この縫目データ記憶手段に格納された縫目データを順次読み出して縫目形成装置及び加工布移動手段を駆動制御する縫製制御手段とを有する自動縫製ミシンと、その自動縫製ミシンの縫目データ記憶手段に対して縫目データを転送するための装置であって、文字や図形を縫製する為の複数の縫目データとその縫目データのタイトル名データとを対応づけて格納した格納手段と、前記自動縫製ミシン側からの指令に応動して、縫目データを前記格納手段から読み出して前記自動縫製ミシンの縫目データ記憶手段に出力する転送制御手段とを少なくとも備えた外部装置と、前記自動縫製ミシンと外部装置との間でデータ転送を行うためのインターフェース手段とを備えたデータ転送可能な自動縫製システムにおいて前記自動縫製ミシンは、前記外部装置に対して、その格納手段に格納されている縫目データに対応づけられたタイトル名データの転送を指令する指令信号を出力する為のタイトル名データ転送指令手段と、前記外部装置側より転送されたタイトル名データを格納するタイトル記憶手段と、そのタイトル記憶手段に格納されたタイトル名データに基づき、前記外部装置の格納手段に格納された縫目データに対応するタイトル名を少なくとも1つ表示する表示手段と、その表示手段に表示されたタイトル名に基づいて選択操作することにより、所望の縫目データに対応するタイトル名データの選択を行うための選択手段と、その選択手段により選択されたタイトル名データを前記外部装置の転送制御手段に出力し、当該転送制御手段に対して、その選択されたタイトル名データに対応する縫目データの送信を指令する為のタイトル名選択信号出力手段と、を備えたことを特徴とするデータ転送可能な自動縫製システム。

【図2】
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【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【特許番号】特許第3061148号(P3061148)
【登録日】平成12年4月28日(2000.4.28)
【発行日】平成12年7月10日(2000.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−135824
【出願日】平成3年5月9日(1991.5.9)
【公開番号】特開平4−332592
【公開日】平成4年11月19日(1992.11.19)
【審査請求日】平成9年1月13日(1997.1.13)
【審判番号】平11−5073
【審判請求日】平成11年3月31日(1999.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【合議体】