説明

データ送信装置およびデータ受信装置

【課題】クロストラフィックの帯域を推定し、その帯域に応じて送信レートを制御することが可能なデータ送信装置を提供する。
【解決手段】データ送信装置1は、送信レートを計測し、新たに送信するパケットの仮送信レートとする送信レート計測手段10と、仮送信レートが最大送信レート以下の場合に、パケットをデータ受信装置2に送信するパケット送信手段11と、データ受信装置2から、パケットに含まれている識別子と対応付けて、当該パケットを受信した際の受信レートを受信情報として取得する受信情報取得手段12と、パケット送信手段11が送信したパケットに対応する仮送信レートと、当該パケットと識別子が対応する受信レートとに基づいて、最大送信レートを計算して更新する最大送信レート計算手段13aと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット通信によってデータを送受信するデータ送信装置およびデータ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VoD(Video on Demand)やライブストリーミングといったパケット通信を用いた動画配信サービスが提供されている。
この動画配信サービスを、品質の保証がされていないベストエフォートタイプのIPネットワークで行う場合、ネットワークの利用可能帯域が一時的に伝送するデータの送信レートを下回ると、これらのデータは、伝送路上の通信機器にバッファリングされてから伝送されため、一時的に遅延が大きく増加してしまう。
また、動画を再生する場合には、連続的にデータを受信しなければ再生が止まってしまうため、このような大きな遅延変動を抑える必要がある。
【0003】
そこで、利用可能帯域が変動するネットワーク上で大きなデータ遅延を発生させない手法として、種々の技術が開発されている。
例えば、TCP(Transmission Control Protocol)の種類の1つであるTCP Renoは、パケットロスの発生を輻輳のシグナルとみなして、送信レートを半分に落とすことで、輻輳を回避する(非特許文献1参照)。
【0004】
また、例えば、RAP(Rate Adaptive Protocol)は、TCP Renoと同様、輻輳のシグナルを検出し送信レートを半分に落とすことで輻輳を回避するが、さらに、RTT(Round Trip Time)の変化を計測し、送信レートにフィードバックをかけることで、レート制御の精度を向上させている(非特許文献2参照)。
【0005】
また、他の手法として、VTP(Video Transport Protocol)がある(非特許文献3参照)。このVTPは、ビデオ伝送をターゲットとし、TCPと帯域を公平に分け合うことを目的としたプロトコルである。TCPが輻輳を検知した際に、急激に送信レートを減少させるのに対し、VTPは、送信レートの減少量をTCPに比べて小さくし、その分、減少したレートでデータ送信の時間を長くすることで、最終的にTCPと同様の送信量としている。このとき、VTPは、送信レートの減少量として、事前に設定された固定値と、計測された受信レートによって計算した値を用いている。
【0006】
また、他に開示された手法として、クロストラフック(他の通信端末によるトラフィック)が存在するか否かによって、送信レートを制御する手法がある(特許文献1参照)。
この手法は、RTTによって、クロストラフィックの存在を推定し、クロストラフィックが存在しない場合には、ボトルネックリンク帯域を送信レートとし、クロストラフィックが存在する場合には、送信するデータに合わせて予め設定した下限送信レートを送信レートとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−198111号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】RFC2581 - TCP Congestion Control
【非特許文献2】"RAP:An End-to-end Rate-based Congestion Control Mechanism for Realtime Streams in the Internet" Reza Rejaie, Mark Handley, Deborah Estrin (18th Annual Joint Conference of the IEEE Computer and Communications Societies, Mar. 1999)
【非特許文献3】"Adaptive Video Streaming in Presence of Wireless Errors," Guang Yang, Mario Gerla and M.Y.Sanadidi (The 7th IFIP/IEEE International Conference on Management of Multimedia Networks and Services, Oct. 2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記したTCPやRAPは、輻輳検出時に送信レートを半分にするが、これらは輻輳の原因となるクロストラフィックを考慮していないため、大きなクロストラフィックが流入した場合、送信レートの減少量が十分ではないため、大きな伝送遅延が発生してしまうという問題がある。
【0010】
また、前記したVTPは、輻輳時の送信レートの減少量が、クロストラフィックを考慮せずに事前に設定された固定値と、計測された受信レートによって計算された値であるため、TCPやRAPと同様に、大きなクロストラフィックの流入によって、大きな伝送遅延が発生してしまうという問題がある。
【0011】
また、前記した特許文献1に記載の手法は、クロストラフィックを考慮しているが、単にクロストラフィックの有無に応じて送信レートを変えるだけであるため、大きなクロストラフィックの流入によって、大きな伝送遅延が発生してしまうという問題は残ったままである。
【0012】
このように、従来の手法では、クロストラフィックによる伝送遅延の増大が、受信側のバッファアンダーフローによる映像や音声の乱れ、フリーズといった品質低下を招いてしまうという問題がある。
【0013】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、クロストラフィックの帯域を推定し、その帯域に応じて送信レートを制御することが可能なデータ送信装置およびデータ受信装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載のデータ送信装置は、パケット通信ネットワークを介して、パケット識別子を含んだパケットを、データ受信装置に送信するデータ送信装置であって、送信レート計測手段と、パケット送信手段と、受信情報取得手段と、最大送信レート計算手段と、を備える構成とした。
【0015】
かかる構成において、データ送信装置は、送信レート計測手段によって、順次送信するパケットの送信レートを計測する。この送信レートは、次にパケットを送信する際の仮送信レートとみなすことができる。
また、データ送信装置は、パケット送信手段によって、その仮送信レートが、最大送信レート以下の場合に、パケットを送信可能であると判定して、次に送信するパケットをデータ受信装置に送信する。これによって、データ送信装置は、最大送信レートの範囲内で、パケットを送信する。
【0016】
また、データ送信装置は、受信情報取得手段によって、データ受信装置から、パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて、当該パケットを受信した際の受信レートを受信情報として取得する。これによって、データ送信装置は、パケットがデータ受信装置において、どのような受信レートで受信されたのかを認識することができる。
【0017】
そして、データ送信装置は、最大送信レート計算手段によって、パケット識別子で対応する仮送信レートと受信レートとに基づいて、最大送信レートを計算して更新する。
すなわち、最大送信レート計算手段は、仮送信レートが受信レートを超過する場合に、予め既知、あるいは、測定で求めたボトルネックリンクの帯域から、クロストラフィックの使用帯域を減じた値を最大送信レートとして計算する。なお、このクロストラフィックの使用帯域は、仮送信レートと受信レートとの比率から、ボトルネックリンクの帯域に付加されたトラフィックの量として求めることができる。
また、最大送信レート計算手段は、仮送信レートが受信レート以下の場合に、予め定めたレート増加量を最大送信レートに加算して新たな最大送信レートとする。
【0018】
また、請求項2に記載のデータ送信装置は、請求項1に記載のデータ送信装置において、遅延限界判定手段をさらに備える構成とした。
【0019】
かかる構成において、データ送信装置は、遅延限界判定手段によって、送信レートが増加するか減少するかの傾向を判定し、そのまま送信レートが増加した場合に、予め定めた最大往復遅延時間に到達する限界時間を算出する。この増減の判定は、パケットの送信時刻と、当該パケットとパケット識別子が対応する受信情報の受信時刻との差である往復遅延時間に基づいて判定することができる。
そして、データ送信装置は、最大送信レート計算手段によって、仮送信レートが受信レートを超過し、かつ、遅延時間判定手段で送信レートが増加すると判定された場合に限界時間内で最大送信レートを更新する。
【0020】
また、請求項3に記載のデータ送信装置は、請求項1に記載のデータ送信装置において、更新判定手段をさらに備える構成とした。
【0021】
かかる構成において、データ送信装置は、更新判定手段によって、最大送信レートを更新するか否かを判定する。この更新判定手段は、最大更新レートを更新した時刻を保持し、パケットの送信時刻と、当該パケットとパケット識別子が対応する受信情報の受信時刻との差である往復遅延時間が予め定めた上限値に達しているか、または、最大更新レートを更新した時刻から予め定めた時間経過したかによって、更新が必要か否かを判定する。
そして、データ送信装置は、最大送信レート計算手段によって、更新判定手段で最大送信レートを更新すると判定された場合に最大送信レートを更新する。これによって、必要以上に最大送信レートが更新されなくなる。
【0022】
さらに、請求項4に記載のデータ送信装置は、請求項1に記載のデータ送信装置において、片方向遅延限界判定手段をさらに備える構成とした。
【0023】
かかる構成において、データ送信装置は、受信情報取得手段によって、データ受信装置から、パケットを受信した時刻である受信側受信時刻を当該パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて取得する。
そして、データ送信装置は、片方向遅延限界判定手段によって、送信レートが増加するか減少するかの傾向を判定し、そのまま送信レートが増加した場合に、予め定めた最大片方向遅延時間に到達する限界時間を算出する。この増減の判定は、パケットの送信時刻と、当該パケットがデータ受信装置において受信された受信側受信時刻との差である片方向遅延時間に基づいて判定することができる。
そして、データ送信装置は、最大送信レート計算手段によって、仮送信レートが受信レートを超過し、かつ、片方向遅延時間判定手段で送信レートが増加すると判定された場合に限界時間内で最大送信レートを更新する。
【0024】
また、請求項5に記載のデータ送信装置は、請求項1に記載のデータ送信装置において、パケット送信手段が、パケットにさらに送信時刻を付加してデータ受信装置に送信し、最大送信レート計算手段が、受信情報取得手段が、データ受信装置から、パケットに付加されている送信時刻と当該パケットのデータ受信装置における受信側受信時刻との差である片方向遅延時間の変化に基づいて、前記最大送信レートを更新する旨の通知として、受信情報を取得した段階で最大送信レートを更新することを特徴とする。
【0025】
かかる構成において、データ送信装置は、データ受信装置において計測された片方向遅延時間に基づいて、最大送信レートを更新する必要があると判定されたタイミングで、データ受信装置から受信情報を通知されることで、最大送信レート計算手段が最大送信レートを更新する。これによって、データ受信装置からデータ送信装置への受信情報の通知を少なくすることができる。
【0026】
また、請求項6に記載のデータ受信装置は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、パケット受信手段と、受信レート計測手段と、受信情報通知手段と、を備える構成とした。
【0027】
かかる構成において、データ受信装置は、パケット受信手段によって、データ送信装置からパケットを受信する。この受信したパケットは、順次外部に出力される。
また、データ受信装置は、受信レート計測手段によって、パケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する。そして、データ受信装置は、受信情報通知手段によって、受信レート計測手段で計測した受信レートを、パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報としてデータ送信装置に送信する。
これによって、データ送信装置では、往復遅延時間を計測することが可能になり、最大送信レートの更新の有無を判定することが可能になる。
【0028】
また、請求項7に記載のデータ受信装置は、請求項4に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、パケット受信手段と、受信レート計測手段と、受信情報通知手段と、を備える構成とした。
【0029】
かかる構成において、データ受信装置は、パケット受信手段によって、データ送信装置からパケットを受信し、受信した時刻を受信側受信時刻として計時する。この受信したパケットは、順次外部に出力される。
また、データ受信装置は、受信レート計測手段によって、パケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する。そして、データ受信装置は、受信情報通知手段によって、受信レート計測手段で計測した受信レートと、パケット受信手段で計時した受信側受信時刻とを、パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報としてデータ送信装置に送信する。
これによって、データ送信装置では、パケットの送信方向における片方向遅延時間を計測することが可能になり、最大送信レートの更新の有無を判定することが可能になる。
【0030】
さらに、請求項8に記載のデータ受信装置は、請求項5に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、パケット受信手段と、受信レート計測手段と、往復遅延計測手段と、通知判定手段と、受信情報通知手段と、を備える構成とした。
【0031】
かかる構成において、データ受信装置は、パケット受信手段によって、データ送信装置からパケットをその送信時刻とともに受信し、受信した時刻を受信側受信時刻として計時する。この受信したパケットは、順次外部に出力される。
また、データ受信装置は、受信レート計測手段によって、パケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する。
さらに、データ受信装置は、往復遅延計測手段によって、データ送信装置にエコー要求を送信し、当該エコー要求に対応するエコー応答を受信して往復遅延時間を計測する。
【0032】
そして、データ受信装置は、通知判定手段によって、送信時刻と受信側受信時刻との差である片方向遅延時間の変化量に基づいて、往復遅延時間経過後に、片方向遅延時間が予め定めた上限値に到達するか否かにより、データ送信装置に送信レートを変更する旨の通知が必要であるか否かを判定する。
そして、データ受信装置は、受信情報通知手段によって、通知判定手段で送信レートを変更する必要があると判定された場合、受信レート計測手段で計測した受信レートを、パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報としてデータ送信装置に送信する。これによって、データ受信装置は、データ送信装置が最大送信レートを更新するタイミングを通知することができる。
【0033】
また、請求項9に記載のデータ送信装置は、パケット通信ネットワークを介して、ストリームデータを、パケット識別子を含んだパケットとして、データ受信装置に送信するデータ送信装置であって、データエンコード手段と、送信レート計測手段と、パケット送信手段と、受信情報取得手段と、最大送信レート計算手段と、を備える構成とした。
【0034】
かかる構成において、データ送信装置は、データエンコード手段によって、ストリームデータを、最大送信レート以下でエンコードしパケット化する。
そして、データ送信装置は、送信レート計測手段によって、順次送信するパケットの送信レートを計測する。この送信レートは、次に送信するパケットの仮送信レートとみなすことができる。
【0035】
また、データ送信装置は、パケット送信手段によって、データエンコード手段で生成されたパケットをデータ受信装置に送信する。
また、データ送信装置は、受信情報取得手段によって、データ受信装置から、パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて、当該パケットを受信した際の受信レートを受信情報として取得する。これによって、データ送信装置は、パケットがデータ受信装置において、どのような受信レートで受信されたのかを認識することができる。
【0036】
そして、データ送信装置は、最大送信レート計算手段によって、パケット識別子で対応する仮送信レートと受信レートとに基づいて、最大送信レートを計算して更新する。
すなわち、最大送信レート計算手段は、仮送信レートが受信レートを超過する場合に、ボトルネックリンクの帯域から、クロストラフィックの使用帯域を減じた値を最大送信レートとして計算する。なお、このクロストラフィックの使用帯域は、仮送信レートと受信レートとの比率から、ボトルネックリンクの帯域に付加されたトラフィックの量として求めることができる。
また、最大送信レート計算手段は、仮送信レートが受信レート以下の場合に、予め定めたレート増加量を最大送信レートに加算して新たな最大送信レートとする。
【0037】
さらに、請求項10に記載のデータ受信装置は、請求項9に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、パケット受信手段と、データデコード手段と、受信レート計測手段と、受信情報通知手段と、を備える構成とした。
【0038】
かかる構成において、データ受信装置は、パケット受信手段によって、データ送信装置からパケットを受信する。そして、データ受信装置は、データデコード手段によって、パケット受信手段で受信したパケットをストリームデータにデコードする。このデコードされたストリームデータは、順次外部に出力される。
また、データ受信装置は、受信レート計測手段によって、パケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する。そして、データ受信装置は、受信情報通知手段によって、受信レート計測手段で計測した受信レートを、パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報としてデータ送信装置に送信する。
これによって、データ送信装置では、往復遅延時間を計測することが可能になり、最大送信レートの更新の有無を判定することが可能になる。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
請求項1,5〜10に記載の発明によれば、ネットワーク上にクロストラフィックが流入した場合であっても、その帯域を推定し、その帯域に応じて送信レートを制御することができる。これによって、ネットワーク上に大きなクロストラフィックが流入した場合であっても、パケットの送信レートが確実に確保され、例えば、映像や音声を伝送する場合であっても、映像や音声の乱れ、フリーズといった品質低下を抑えることができる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、パケットの往復遅延時間を最大往復遅延時間内に抑えることができるとともに、その遅延時間に応じて最大送信レートを段階的に変化させることができる。これによって、ネットワークの伝送効率を高めることができる。
【0041】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、パケットの往復遅延時間を最大往復遅延時間内に抑えることができるとともに、最大送信レートの更新を必要最小限の回数に抑えることができる。これによって、データ送信装置の負荷を軽減させることができる。
【0042】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に係る発明の効果に加え、パケットの片方向遅延時間を最大片方向遅延時間内に抑えることができるとともに、その遅延時間に応じて最大送信レートを段階的に変化させることができる。これによって、ネットワークの伝送効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデータ送信装置およびデータ受信装置を含むデータ送受信システムの構成を示すブロック構成図である。
【図2】クロストラフィックを説明するための説明図である。
【図3】クロストラフィックを考慮した最大送信レートを説明するための説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るデータ送受信システムのパケット送信動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係るデータ送受信システムのパケット受信動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係るデータ送受信システムの最大送信レート更新動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るデータ送信装置およびデータ受信装置を含むデータ送受信システムの構成を示すブロック構成図である。
【図8】本発明の第2実施形態において、往復遅延時間(RTT)と限界時間を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第2実施形態において、現在の最大送信レートと目標の最大送信レートとの関係を説明するための説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るデータ送受信システムの最大送信レート更新動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態に係るデータ送信装置およびデータ受信装置を含むデータ送受信システムの構成を示すブロック構成図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係るデータ送受信システムの最大送信レート更新動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第4実施形態に係るデータ送信装置およびデータ受信装置を含むデータ送受信システムの構成を示すブロック構成図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係るデータ送受信システムの最大送信レート更新動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第5実施形態に係るデータ送信装置およびデータ受信装置を含むデータ送受信システムの構成を示すブロック構成図である。
【図16】本発明の第5実施形態において、片方向遅延時間の上限値に達するまでの時間を説明するための説明図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係るデータ送受信システムのパケット送信動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第5実施形態に係るデータ送受信システムのパケット受信動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第6実施形態に係るデータ送信装置およびデータ受信装置を含むデータ送受信システムの構成を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
≪第1実施形態≫
最初に、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るデータ送受信システムSについて説明する。
【0045】
<データ送受信システムの概要>
図1に示したデータ送受信システムSは、パケット通信ネットワークにおいて、データ入力装置Aからデータ出力装置Bに、データ送信装置1とデータ受信装置2とを介してデータ(パケット)を伝送するものである。
【0046】
データ入力装置Aは、データストリームをパケット化したデータ(パケット)をデータ送信装置1に入力するものである。このデータ入力装置Aは、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)、動画エンコード等である。
データ出力装置Bは、パケット化されたデータをデータ受信装置2から取得するものである。このデータ出力装置Bは、例えば、PC、動画デコーダ等である。
【0047】
データ送信装置1は、データ入力装置Aから入力されたデータ(パケット)を、回線L1を介してデータ受信装置2に送信するものである。このデータ送信装置1は、クロストラフィックを推定し、データ受信装置2に送信する伝送データの送信レートを制御する機能を有する。
【0048】
データ受信装置2は、回線L1を介して、データ送信装置1から伝送データを受信し、データ出力装置Bに出力するものである。このデータ受信装置2は、データ送信装置1が、クロストラフィックを推定する際に必要となる受信側の情報(受信情報)を、回線L2を介してデータ送信装置1に送信する機能を有する。
【0049】
なお、回線L1は、データ送信装置1からデータ受信装置2の方向にデータを伝送するパケット通信回線である。また、回線L2は、データ受信装置2からデータ送信装置1の方向にデータを伝送するパケット通信回線である。この回線L1および回線L2は、有線、無線を問わない。また、回線L1および回線L2は、物理的に分離している必要はなく、物理回線上で論理的に分離した回線でよい。
以下、図1を参照して、本発明に係るデータ送信装置1およびデータ受信装置2について詳細に説明する。
【0050】
〔データ送信装置の構成〕
図1に示すように、データ送信装置1は、送信レート計測手段10と、パケット送信手段11と、受信情報取得手段12と、最大送信レート決定手段13と、を備えている。
【0051】
送信レート計測手段10は、データ送信装置1から送信したパケットの伝送レートである送信レートを計測するものである。ここでは、送信レート計測手段10は、パケット送信手段11が送信するパケットのパケット長を逐次入力し、直近の一定時間内に送信したパケット長を一定時間で割った値を送信レートとして計算する。
この送信レート計測手段10が計測する送信レートは、パケット送信手段11が、パケットを送信する際の仮の送信レートとなる。この送信レートは、パケット送信手段11に出力される。
【0052】
パケット送信手段11は、データ入力装置Aから入力されたデータ(パケット)を、回線L1を介して、データ受信装置2に送信するものである。
ここでは、パケット送信手段11は、入力したパケットをデータ受信装置2に送信した際に、パケット長を送信レート計測手段10に出力するとともに、送信したパケットの識別子(パケット識別子)と送信レート(仮の送信レート)とを最大送信レート決定手段13に出力する。
【0053】
このパケット識別子は、例えば、パケットがIPパケットであれば、IPヘッダ内の識別子(Identification)の値を用いることができる。また、パケットがRFC3550で規定されているRTP(Real-time Transport Protocol)パケットであれば、RTPヘッダ内のシーケンス番号を用いることができる。
【0054】
なお、パケット送信手段11は、送信レート計測手段10で計測された送信レートが、最大送信レート決定手段13から出力される最大送信レートを超える場合、入力されたパケットを送信せずに破棄する。
そして、パケット送信手段11は、入力したパケットをデータ受信装置2に送信したか否かの成否を、送信結果として、データ入力装置Aに通知する。
【0055】
受信情報取得手段12は、データ受信装置2がパケットを受信した際の受信情報として、受信したパケットの識別子(パケット識別子)と、当該パケットをデータ受信装置2が受信した際の伝送レートである受信レートとを、回線L2を介して取得するものである。なお、この受信情報は、例えば、RTPでパケットを送受信する場合、RTCP(RTP Control Protocol)パケット内に情報を記述して、データ受信装置2から取得することができる。
この受信情報取得手段12は、取得した受信情報(パケット識別子、受信レート)を最大送信レート決定手段13に出力する。
【0056】
最大送信レート決定手段13は、送信レートと受信レートとに基づいて、最大送信レートを決定するものである。なお、送信レートおよび受信レートが特定されていない初期段階においては、最大送信レートは、予め定めた値とする。ここでは、最大送信レート決定手段13は、最大送信レート計算手段13aを備えている。
【0057】
最大送信レート計算手段13aは、パケット送信手段11でパケットを送信した際の仮の送信レートと、受信情報取得手段12で取得した実際の受信レートとに基づいて、ボトルネックリンクの帯域(ボトルネック物理帯域)からクロストラフィックの帯域を減じた送信可能な最大送信レートを計算するものである。
ここで、ボトルネックリンクとは、データ送信装置1とデータ受信装置2との間の送信側の回線L1上における最も帯域が狭いノード間の回線である。
ここでは、最大送信レート計算手段13aは、パケット送信手段11から、パケット識別子と送信レート(仮の送信レート)とを取得し、図示を省略した記憶手段に記憶しておく。そして、最大送信レート計算手段13aは、受信情報取得手段12から、パケット識別子と受信レートとを取得し、同じパケット識別子に対応して記憶されている送信レートと、それに対応する受信レートとの比率に基づいて、最大送信レートを計算する。
【0058】
具体的には、最大送信レート計算手段13aは、現在の最大送信レートをSmax(bps)、パケット識別子で対応する仮の送信レートをS(bps)、受信レートをR(bps)、回線L1のボトルネック物理帯域をB(bps)としたとき、以下の(1)式に示すように、最大送信レートを計算し、更新する。
【0059】
【数1】

【0060】
すなわち、最大送信レート計算手段13aは、受信レートRが送信レートSを下回っている場合(R<S)、ボトルネックリンクの帯域(ボトルネック物理帯域B)からクロストラフィックの帯域を減じた値を新たな最大送信レートSmaxとする。また、受信レートRが送信レートS以上である場合(S≦R)、予め定めたレート分(レート増加量)、最大送信レートを増加させる。このレート増加量は、特に限定する必要はないが、例えば、予め規定されている最大パケット長を単位時間で割ったレートに一定の増加割合(>0)を乗算した値である。
【0061】
また、最大送信レートの更新は、前記(1)式のように、仮の送信レートSと受信レートRとに基づいて厳密に条件を分ける必要はなく、ある程度の誤差を許容することとしてもよい。
例えば、誤差の許容量を定めるパラメータ(誤差許容割合)をα(0≦α)、レートの増加量を定めるパラメータ(増加割合)をβ(0<β)、予め規定されている最大のパケット長をMTU、レートを計算するための単位時間をTとしたとき、最大送信レート計算手段13aは、以下の(2)式によって、最大送信レートを計算し、更新することとしてもよい。
【0062】
【数2】

【0063】
なお、ボトルネック物理帯域Bは、回線L1が既知の回線であれば、予めボトルネックリンクとなる帯域を設定することとしてもよいし、未知の回線であれば、パケットの伝送開始前あるいは伝送中に推定し、その値を用いることとしてもよい。このボトルネック物理帯域の推定は、一般的な手法、例えば、PacketPair法("A Control-Theoretic Approach to Flow Control," S.Keshav (ACM SIGCOMM, pp.3-15, 1991)を用いることができる。このPacke tPair法は、連続したパケットペアを送信し、それぞれのパケットの到着時間の差から、ボトルネック物理帯域を推定するものである。
この最大送信レート計算手段13aは、計算した最大送信レートを、図示を省略した記憶手段に記憶し、パケット送信手段11がパケットを送信する際に、逐次参照する。
【0064】
ここで、図2および図3を参照して、最大送信レート計算手段13aが、前記(1)式により、最大送信レートを計算することができることについて説明を加えておく。
図2は、データ送信装置1からデータ受信装置2にパケットPを送信し、データ送信装置1からデータ受信装置2にパケットPを送信する様子を示している。ここで、あるノードN,N間では、同一リンク上でパケットが送信されるものとする。
【0065】
このとき、データ送信装置1からデータ受信装置2への経路において、データ送信装置1からデータ受信装置2に流れるパケットPがクロストラフィックとなる。なお、データ送信装置1からデータ受信装置2への経路を主体とした場合は、データ送信装置1からデータ受信装置2に流れるパケットPがクロストラフィックとなる。
【0066】
ここで、図3に示すように、データ送信装置1からの送信レートをS、ボトルネックリンクとなるノードN,N間での帯域(ボトルネック物理帯域)をB、クロストラフィックをX、データ受信装置2の受信レートをRとすると、以下の(3)式の関係が成り立つ。
【0067】
【数3】

【0068】
すなわち、クロストラフィックXは、以下の(4)式で求めることができる。
【0069】
【数4】

【0070】
そこで、ノードN,N間でボトルネック物理帯域Bを超過してパケットを送信しない最大送信レートSmaxは、以下の(5)式に示すように、ボトルネック物理帯域Bから、クロストラフィックXを減じた値とすればよい。
【0071】
【数5】

【0072】
前記(4)式のXを、この(5)式に代入することで、前記(1)式に示した最大送信レートSmaxを求めることができる。
図1に戻って説明を続ける。
【0073】
このように、最大送信レート決定手段13では、クロストラフィックを推定し、ボトルネック物理帯域を超過しない範囲で送信レートを決定することができる。これによって、パケット送信手段11は、クロストラフィックの量に影響を受けることなく、ボトルネック物理帯域を超過しない範囲でパケットを送信することができる。
【0074】
なお、ここでは、パケット送信手段11から、データ受信装置2にパケットを送信することとしたが、データ入力装置Aから、データ受信装置2にパケットを送信することとしてもよい。この場合、データ入力装置Aから、パケット識別子とパケット長とをデータ送信装置1のパケット送信手段11に通知し、パケット送信手段11において、回線L1に送信可能か否かの判定結果をデータ入力装置Aに通知する。この判定結果に基づいて、データ入力装置Aが、回線L1へのパケットの送信を行う。
【0075】
〔データ受信装置の構成〕
次に、図1を参照して、データ受信装置2の構成について説明する。図1に示すように、データ受信装置2は、パケット受信手段20と、受信レート計測手段21と、受信情報通知手段22と、を備えている。
【0076】
パケット受信手段20は、回線L1を介して、データ送信装置1から、伝送データ(パケット)を受信し、データ出力装置Bに出力するものである。
ここでは、パケット受信手段20は、受信したパケットの識別子(パケット識別子)と、当該パケットのデータ長(パケット長)とを受信レート計測手段21に出力する。さらに、パケット受信手段20は、図示を省略した計時手段によって、当該パケットを受信した時刻(受信側受信時刻)を計測し、受信レート計測手段21に出力する。
【0077】
受信レート計測手段21は、パケット受信手段20で受信したパケットの伝送レートである受信レートを計測するものである。
ここでは、受信レート計測手段21は、パケット受信手段20から入力したパケット長と受信側受信時刻とに基づいて、受信レートを計算する。例えば、受信レート計測手段21は、パケット長を、前に受信したパケットの受信側受信時刻と今回の受信側受信時刻との差で割った値を受信レートとする。あるいは、受信レート計測手段21は、ある時間長で受信したパケット長の総数を、その時間長で割ることで受信レートを求めることとしてもよい。
この受信レート計測手段21は、パケット受信手段20から入力したパケット識別子とともに、計測した受信レートを受信情報通知手段22に出力する。
【0078】
受信情報通知手段22は、受信レート計測手段21から、パケット識別子と受信レートとを入力し、受信情報として、回線L2を介して、データ送信装置1に送信(通知)するものである。このパケット識別子および受信レートの通知には、例えば、RTCPパケットを用いることができる。
このように、受信情報通知手段22が、パケット識別子とともに受信レートをデータ送信装置1に通知することで、データ送信装置1において、クロストラフィックを推定することが可能になる。
【0079】
以上説明したように、データ送受信システムSは、クロストラフィックの大きさに応じて、送信レートを変えることができるため、回線上に大きなクロストラフィックが流入した場合であっても、ボトルネックリンクの帯域内でデータ伝送を行うことができる。
このため、データ受信装置2では、連続的にデータを受信することができ、例えば、データ出力装置Bが動画を再生する場合であっても、動画再生が停止することがない。
【0080】
<データ送受信システムの動作>
次に、図4〜図6を参照して、本発明の第1実施形態に係るデータ送受信システムSの動作について説明する。
【0081】
〔パケット送信動作〕
最初に、図4を参照(適宜図1参照)して、データ送信装置1におけるパケット送信動作について説明する。
まず、データ送信装置1は、パケット送信手段11によって、データ入力装置Aから、パケットを入力する(ステップS1)。
そして、データ送信装置1は、送信レート計測手段10によって、今回送信するパケットのパケット長を含む直近の一定時間内における送信データのデータ長から、当該パケットを送信する際の仮の送信レートを計算する(ステップS2)。
このステップS2で計算された仮の送信レートが、最大送信レート決定手段13で決定される最大送信レート未満である場合(ステップS3でYes)、パケット送信手段11は、ステップS1で入力したパケットを、回線L1を介して、データ受信装置2に送信する(ステップS4)。
【0082】
そして、パケット送信手段11は、ステップS4で送信したパケットのパケット識別子と、ステップS2で計算した仮の送信レートとを、最大送信レート決定手段13に出力する(ステップS5)。このパケット識別子および送信レートは、最大送信レート決定手段13において、最大送信レートを計算する際の送信側の情報となる。
一方、仮の送信レートが、最大送信レート以上である場合(ステップS3でNo)、パケット送信手段11は、ステップS1で入力したパケットを破棄する(ステップS6)。
そして、パケット送信手段11は、パケットを送信したか否かの送信結果を、データ入力装置Aに通知する(ステップS7)。
【0083】
〔パケット受信動作〕
次に、図5を参照(適宜図1参照)して、データ受信装置2におけるパケット受信動作について説明する。
まず、データ受信装置2は、パケット受信手段20によって、回線L1を介して、データ送信装置1から、パケットを受信する(ステップS10)。
そして、パケット受信手段20は、受信したパケットを、データ出力装置Bに出力する(ステップS11)。
さらに、データ受信装置2は、受信レート計測手段21によって、ステップS10で受信したパケットのパケット長と、当該パケットを受信した時刻(受信側受信時刻)とに基づいて、受信レートを計算する(ステップS12)。
【0084】
そして、データ受信装置2は、受信情報通知手段22によって、ステップS10で受信したパケットのパケット識別子と、ステップS12で計算した受信レートとを、受信情報として、回線L2を介して、データ送信装置1に送信(通知)する(ステップS13)。
この受信情報であるパケット識別子および受信レートは、データ送信装置1の最大送信レート決定手段13において、最大送信レートを計算する際の受信側の情報となる。
【0085】
〔最大送信レート更新動作〕
次に、図6を参照(適宜図1参照)して、データ送信装置1における最大送信レート更新動作について説明する。
まず、データ送信装置1は、受信情報取得手段12によって、データ受信装置2から、回線L2を介して、受信情報であるパケット識別子および受信レートを取得する(ステップS20)。
【0086】
そして、データ送信装置1は、最大送信レート決定手段13の最大送信レート計算手段13aによって、図4のステップS5においてパケット送信手段11から入力したパケット識別子および仮の送信レートと、ステップS20で取得したパケット識別子および受信レートとに基づいて、同じパケット識別子に対応する送信レートおよび受信レートを用いて、前記(1)式により最大送信レートを計算し、更新する(ステップS21)。
このステップS21で計算された最大送信レートに基づいて、データ送信装置1は、図4のステップS3におけるパケットの送信可否の判定を行うことになる。
【0087】
≪第2実施形態≫
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態に係るデータ送受信システムSについて説明する。
【0088】
<データ送受信システムの概要>
図7に示したデータ送受信システムSは、パケット通信ネットワークにおいて、データ入力装置Aからデータ出力装置Bに、データ送信装置1Bとデータ受信装置2とを介してデータ(パケット)を伝送するものであって、基本的には、図1で説明したデータ送受信システムSと同じ機能を有する。
さらに、データ送受信システムSは、データ送信装置1Bにおいて、パケットの往復遅延時間(Round Trip Time:以下、RTTという)を計測し、RTTが予め定めた時間を超過しないように、パケットの遅延を制御する機能を有する。
なお、データ送受信システムSにおけるデータ受信装置2は、図1で説明したデータ送受信システムSと同一のものであるため、ここでは、データ送信装置1Bについてのみ説明を行う。
【0089】
〔データ送信装置の構成〕
図7に示すように、データ送信装置1Bは、送信レート計測手段10と、パケット送信手段11Bと、受信情報取得手段12Bと、最大送信レート決定手段13Bと、を備えている。送信レート計測手段10は、図1で説明したデータ送信装置1の構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0090】
パケット送信手段11Bは、基本的に図1で説明したパケット送信手段11と同じ機能を有するが、さらに、パケットを送信した時刻(送信時刻)を計時し、最大送信レート決定手段13Bに出力する機能を付加している。
【0091】
受信情報取得手段12Bは、基本的に図1で説明した受信情報取得手段12と同じ機能を有するが、さらに、受信情報(パケット識別子、受信レート)を受信した時刻(受信時刻)を計時し、最大送信レート決定手段13Bに出力する機能を付加している。
このパケット送信手段11Bや受信情報取得手段12Bは、図示を省略した計時手段によって、パケットを送信した時刻や、受信情報を受信した時刻を計時する。
【0092】
最大送信レート決定手段13Bは、送信レートと受信レートとパケットの往復遅延時間とに基づいて、最大送信レートを決定するものである。ここでは、最大送信レート決定手段13Bは、最大送信レート計算手段13Baと、遅延限界判定手段13bと、を備えている。
【0093】
まず、遅延限界判定手段13bについて説明する。
遅延限界判定手段13bは、パケットの送信時刻と、それに対応する受信情報の受信時刻との差であるパケットの往復遅延時間(RTT)の増減、すなわち、当該遅延時間が増加する方向にある(増加傾向)にあるのか、または、減少する方向(減少傾向)にあるのかを判定するものである。さらに、遅延限界判定手段13bは、RTTが増加傾向にある場合、RTTが予め定めたRTTの上限値に達するまでの時間(限界時間)を算出する。
【0094】
この遅延限界判定手段13bは、最大送信レート計算手段13Baからパケットの送信時刻および受信時刻を取得し、RTTの増加または減少の判定結果、ならびに、増加傾向にある場合にはさらに限界時間を、最大送信レート計算手段13Baに出力する。
すなわち、遅延限界判定手段13bは、図8に示すように、逐次RTTをメモリ等に記録し、現在時刻において、RTTが増加傾向である場合に、その割合でRTTが増加しRTTが上限値に達するまでの時間を、限界時間として、最大送信レート計算手段13Baに通知する。
【0095】
なお、遅延限界判定手段13bが、RTTの変化(増加または減少)傾向を判定するには、単位時間あたりのRTTの変化量に基づいて判定すればよい。例えば、遅延限界判定手段13bは、RTTを逐次、指数加重移動平均によって平滑化して送信時刻と対応させて記憶し、新たな送信時刻に算出したRTTから直前の送信時刻に対応するRTTを減算し、送信時刻の差で割ることでRTTの単位時間あたりの変化量として算出する。そして、遅延限界判定手段13bは、この変化量がプラスであれば増加傾向、マイナスであれば減少傾向であると判定する。
また、遅延限界判定手段13bは、このRTTの単位時間あたりの変化量を用いて、図8に示した限界時間を求めることができる。
【0096】
最大送信レート計算手段13Baは、パケット送信手段11Bでパケットを送信した際の仮の送信レートと、受信情報取得手段12Bで取得した実際の受信レートと、遅延限界判定手段13bの判定結果(限界時間を含む場合あり)とに基づいて、最大送信レートを計算するものである。
ここでは、最大送信レート計算手段13Baは、パケット送信手段11Bから、パケット識別子、送信レートおよび送信時刻を入力し、受信情報取得手段12Bから、パケット識別子、受信レートおよび受信時刻を入力する。
そして、最大送信レート計算手段13Baは同じパケット識別子に対応する送信時刻および受信時刻を遅延限界判定手段13bに出力し、遅延限界判定手段13bから、RTTの変化の判定結果(限界時間を含む場合あり)を入力して、最大送信レートを計算する。
【0097】
具体的には、最大送信レート計算手段13Baは、RTTが増加傾向、かつ、パケット識別子で対応する送信レートが受信レートを上回っている場合、前記(1)式の上段の式によって、目標最大送信レートを計算し、現在の最大送信レートとの差分を限界時間で割った値を単位時間あたりの減少速度として、最大送信レートを目標最大送信レートまで更新する。すなわち、図9に示すように、現在の最大送信レートを、限界時間で目標最大送信レートとなるように、最大送信レートを連続的に減少させていく。
【0098】
なお、最大送信レート計算手段13Baは、最大送信レートを連続的に減少させている途中で、受信情報取得手段12Bから、他の受信情報を通知された場合、その時点における目標最大送信レート、減少速度、限界時間等の情報を無効とし、遅延限界判定手段13bにおいて新たに判定される判定結果(限界時間を含む場合あり)に基づいて、最大送信レートを計算する。
【0099】
また、最大送信レート計算手段13Baは、RTTが増加傾向、かつ、送信レートが受信レート以下の場合、または、RTTが増加傾向でなく、かつ、送信レートが受信レートを上回っている場合、最大送信レートを維持する。
また、最大送信レート計算手段13Baは、RTTが増加傾向でなく、かつ、送信レートが受信レート以下の場合、前記(1)式の下段の式によって、最大送信レートを予め定めたレート増加量だけ増加させる。
【0100】
このように、最大送信レート決定手段13Bでは、クロストラフィックを推定し、ボトルネック物理帯域を超過しない範囲で送信レートを決定することができるとともに、パケットの遅延が予め定めた遅延時間を超過しないように、送信レートを決定することができる。
以上説明したように、データ送受信システムSは、図1で説明したデータ送受信システムSの特徴に加え、パケットの伝送時間が予め定めた遅延時間以上超過しないように制御することができる。
【0101】
<データ送受信システムの動作>
次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態に係るデータ送受信システムSの動作について説明する。
なお、パケット送信動作は、図4で説明したパケット送信動作のステップS4において、パケットを送信した時刻(送信時刻)を計時する動作が付加され、ステップS5において、パケット識別子と送信レートに加え、送信時刻を最大送信レート決定手段13に出力する点が異なるだけである。
また、パケット送信動作は、図5で説明した動作と同じである。
そこで、ここでは、最大送信レート更新動作についてのみ説明する。
【0102】
〔最大送信レート更新動作〕
以下、図10を参照(適宜図7参照)して、データ送信装置1Bにおける最大送信レート更新動作について説明する。
まず、データ送信装置1Bは、受信情報取得手段12Bによって、データ受信装置2から、回線L2を介して、受信情報であるパケット識別子および受信レートを取得する(ステップS30)。このとき、受信情報取得手段12Bは、受信情報を取得した時刻をパケット識別子に対応した受信時刻として計時する。
そして、データ送信装置1Bは、遅延限界判定手段13bによって、パケットの送信時刻と、それに対応する受信情報の受信時刻との差であるパケットの往復遅延時間(RTT)が増加傾向にあるのか、または、減少傾向にあるのかを判定する(ステップS31)。
【0103】
ここで、RTTが増加傾向であると判定した場合(ステップS31でYes)、遅延限界判定手段13bは、さらに、RTTが増加傾向の割合で増加したときに、予め定めた上限値に達するまでの時間を、限界時間として算出する(ステップS32)。
さらに、ここで、送信レートが受信レートを上回っている場合(ステップS33でYes)、データ送信装置1Bは、最大送信レート計算手段13Baによって、前記(1)式の上段の式によって、目標最大送信レートを計算し、現在の最大送信レートとの差分を限界時間で割った値を単位時間あたりの減少速度として、最大送信レートを目標最大送信レートまで連続的に減少させる(ステップS34)。また、送信レートが受信レート以下の場合(ステップS33でNo)、最大送信レート計算手段13Baは、最大送信レートを維持する(ステップS35)。
【0104】
一方、RTTが増加傾向ではないと判定した場合(ステップS31でNo)、さらに、送信レートが受信レートを上回っていれば(ステップS36でYes)、最大送信レート計算手段13Baは、最大送信レートを維持する(ステップS35)。また、送信レートが受信レート以下であれば(ステップS36でNo)、最大送信レート計算手段13Baは、前記(1)式の下段の式によって、最大送信レートを予め定めたレート増加量だけ増加させる(ステップS37)。
【0105】
≪第3実施形態≫
次に、図11を参照して、本発明の第3実施形態に係るデータ送受信システムSについて説明する。
【0106】
<データ送受信システムの概要>
図11に示したデータ送受信システムSは、パケット通信ネットワークにおいて、データ入力装置Aからデータ出力装置Bに、データ送信装置1Cとデータ受信装置2とを介してデータ(パケット)を伝送するものであって、基本的には、図1で説明したデータ送受信システムSと同じ機能を有する。
さらに、データ送受信システムSは、RTTが予め定めた時間を超過しないように、パケットの遅延を制御する機能を有するとともに、最大送信レートの更新を最小限に抑える機能を有する。
なお、データ送受信システムSにおけるデータ受信装置2は、図1で説明したデータ送受信システムSと同一のものであるため、ここでは、データ送信装置1Cについてのみ説明を行う。
【0107】
〔データ送信装置の構成〕
図11に示すように、データ送信装置1Cは、送信レート計測手段10と、パケット送信手段11Bと、受信情報取得手段12Bと、最大送信レート決定手段13Cと、を備えている。最大送信レート決定手段13C以外の構成は、図2で説明したデータ送信装置1Bの構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0108】
最大送信レート決定手段13Cは、送信レートと受信レートとに基づいて、最大送信レートを決定するものである。また、最大送信レート決定手段13Cは、最大送信レートを更新する際に、RTTの値と、最後に更新した最大送信レートの更新時刻からの経過時間とに基づいて、最大更新レートを更新するか否かを制御する機能を有する。
ここでは、最大送信レート決定手段13Cは、最大送信レート計算手段13Caと、更新判定手段13cと、を備えている。
【0109】
最大送信レート計算手段13Caは、パケット送信手段11Bでパケットを送信した際の仮の送信レートと、受信情報取得手段12Bで取得した実際の受信レートとに基づいて、最大送信レートを計算するものである。なお、最大送信レート計算手段13Caは、更新判定手段13cにおいて、最大送信レートの更新が必要か否かの判定結果を入力し、更新が必要と判定された場合にのみ、最大送信レートを更新する。
ここでは、最大送信レート計算手段13Caは、パケット送信手段11Bから、パケット識別子、送信レートおよび送信時刻を取得し、受信情報取得手段12Bから、パケット識別子、受信レートおよび受信時刻を取得する。
そして、最大送信レート計算手段13Caは同じパケット識別子に対応する送信時刻および受信時刻を更新判定手段13cに出力し、更新判定手段13cから、最大送信レートの更新が必要であるとする判定結果を取得した場合に、前記(1)式で示した計算式によって、最大送信レートを計算し、更新する。
【0110】
更新判定手段13cは、パケットの送信時刻と、それに対応する受信情報の受信時刻との差であるパケットの往復遅延時間(RTT)と、最後に最大送信レートの更新を判定した時刻からの経過時間とに基づいて、最大送信レートの更新が必要であるか否かを判定するものである。この判定結果は、最大送信レート計算手段13Caに出力される。
ここでは、更新判定手段13cは、RTTがRTT上限値に達しているか、または、最後に最大送信レートを更新した時刻からの経過時間がレート更新最大間隔時間を経過しているかの少なくともいずれか一方を満たす場合に、最大送信レートの更新が必要であると判定する。
【0111】
ここで、RTTは、受信情報の受信時刻から、同じパケット識別子のパケットの送信時刻を減算することで計算することができる。また、RTT上限値やレート更新最大間隔時間は、予め定めた値を用いることができる。なお、レート更新最大間隔時間は、RTTの値が大きいほど短く、RTTの値が小さいほど長くなるように、予め定めた割合で変化する可変時間としてもよい。
このように、最大送信レート決定手段13Cは、RTTが上限値に達しない範囲で、最大送信レートの更新頻度を抑えることができる。
【0112】
以上説明したように、データ送受信システムSは、図1で説明したデータ送受信システムSの特徴に加え、最大送信レートの更新頻度を抑えることで、装置内の負荷を軽減させることができる。
【0113】
<データ送受信システムの動作>
次に、図12を参照して、本発明の第3実施形態に係るデータ送受信システムSの動作について説明する。なお、パケット送信動作およびパケット受信動作は、データ送受信システムS(図7)と同じ動作であるため、説明を省略する。
【0114】
〔最大送信レート更新動作〕
以下、図12を参照(適宜図11参照)して、データ送信装置1Cにおける最大送信レート更新動作について説明する。
まず、データ送信装置1Cは、受信情報取得手段12Bによって、データ受信装置2から、回線L2を介して、受信情報であるパケット識別子および受信レートを取得する(ステップS40)。このとき、受信情報取得手段12Bは、受信情報を取得した時刻をパケット識別子に対応した受信時刻として計時する。
【0115】
そして、データ送信装置1Cは、更新判定手段13cによって、パケットの送信時刻と、それに対応する受信情報の受信時刻との差であるパケットの往復遅延時間(RTT)が予め定めた上限値に達しているか、または、最後に最大送信レートを更新した時刻からの経過時間が予め定めたレート更新最大間隔時間を経過しているかを判定する(ステップS41)。
このステップS41において、2つの条件の少なくとも一方を満たす場合(ステップS41でYes)、更新判定手段13cは、最大送信レートの更新が必要である旨の判定結果を最大送信レート計算手段13Caに通知し、最大送信レート計算手段13Caが、前記(1)式により最大送信レートを計算し、更新する(ステップS42)。
【0116】
一方、RTTが上限値未満であり、かつ、最後に最大送信レートを更新した時刻から、レート更新最大間隔時間を経過していない場合(ステップS41でNo)、更新判定手段13cは、更新する必要がない旨の判定結果を最大送信レート計算手段13Caに通知することで、最大送信レートを維持する(ステップS43)。
【0117】
≪第4実施形態≫
次に、図13を参照して、本発明の第4実施形態に係るデータ送受信システムSについて説明する。
【0118】
<データ送受信システムの概要>
図13に示したデータ送受信システムSは、パケット通信ネットワークにおいて、データ入力装置Aからデータ出力装置Bに、データ送信装置1Dとデータ受信装置2Dとを介してデータ(パケット)を伝送するものであって、基本的には、図1で説明したデータ送受信システムSと同じ機能を有する。
さらに、データ送受信システムSは、パケットの遅延を制御する機能を有する。
【0119】
なお、図7で説明したデータ送受信システムSでは、パケットの遅延時間として、パケットを送信してから、当該パケットに対応する受信情報を取得するまでの時間、すなわち回線L1,L2の両方向の往復遅延時間(RTT)を用いた。しかし、データ送受信システムSでは、遅延時間として、パケットが送信され、受信されるまでの時間、すなわち、回線L1のみの片方向(送信方向)の遅延時間を用いる。
以下、図13を参照して、本発明に係るデータ送信装置1Dおよびデータ受信装置2Dについて詳細に説明する。
【0120】
〔データ送信装置の構成〕
図13に示すように、データ送信装置1Dは、送信レート計測手段10と、パケット送信手段11Bと、受信情報取得手段12Dと、最大送信レート決定手段13Dと、を備えている。送信レート計測手段10は、図1で説明したデータ送信装置1の構成と同じものであり、パケット送信手段11Bは、図7で説明したデータ送信装置1Bの構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0121】
受信情報取得手段12Dは、基本的に図1で説明した受信情報取得手段12と同じ機能を有するが、さらに、パケット識別子および受信レート以外にも受信情報として取得した受信側受信時刻を、最大送信レート決定手段13Dに出力する機能を付加している。
【0122】
最大送信レート決定手段13Dは、送信レートと受信レートとパケットの片方向(送信方向)遅延時間とに基づいて、最大送信レートを決定するものである。ここでは、最大送信レート決定手段13Dは、最大送信レート計算手段13Daと、遅延限界判定手段13Dbと、を備えている。
【0123】
まず、遅延限界判定手段13Dbについて説明する。
遅延限界判定手段(片方向遅延限界判定手段)13Dbは、パケットの送信時刻と、そのパケットの受信側の受信時刻(受信側受信時刻)との差であるパケットの片方向(送信方向)遅延時間が増加する方向にある(増加傾向)にあるのか、または、減少する方向(減少傾向)にあるのかを判定するものである。さらに、遅延限界判定手段13Dbは、片方向遅延時間が増加傾向にある場合、片方向遅延時間が予め定めた上限値に達するまでの時間(限界時間)を算出する。
【0124】
この遅延限界判定手段13Dbは、最大送信レート計算手段13Daからパケットの送信時刻および受信側受信時刻を入力し、片方向遅延時間の増加または減少の判定結果、ならびに、増加傾向にある場合にはさらに限界時間を、最大送信レート計算手段13Daに出力する。
すなわち、図7で説明した遅延限界判定手段13bが、往復遅延時間(RTT)の変化を判定したのに対し、遅延限界判定手段13Bbは、RTTを片方向遅延時間に替えている点が異なっているだけで、遅延時間の判定手法や限界時間の算出方法は同一である。
【0125】
最大送信レート計算手段13Daは、パケット送信手段11Bでパケットを送信した際の仮の送信レートと、受信情報取得手段12Dで取得した実際の受信レートと、遅延限界判定手段13Dbの判定結果(限界時間を含む場合あり)とに基づいて、最大送信レートを計算するものである。
ここでは、最大送信レート計算手段13Daは、パケット送信手段11Bから、パケット識別子、送信レートおよび送信時刻を取得し、受信情報取得手段12Dから、パケット識別子、受信レート、および、データ受信装置2Dで計時されたパケットの受信時刻である受信側受信時刻を取得する。
【0126】
そして、最大送信レート計算手段13Daは同じパケット識別子に対応する送信時刻および受信側受信時刻を遅延限界判定手段13Dbに出力し、遅延限界判定手段13Bbから、片方向遅延時間の変化の判定結果(限界時間を含む場合あり)を取得して、最大送信レートを計算する。
【0127】
すなわち、図7で説明した最大送信レート計算手段13Baが、RTTが増加傾向か否かの判定結果に応じて最大送信レートを計算したのに対し、最大送信レート計算手段13Daは、片方向遅延時間が増加傾向か否かの判定結果に応じて最大送信レートを計算する点が異なるだけである。
【0128】
このように、最大送信レート決定手段13Dでは、クロストラフィックを推定し、ボトルネック物理帯域を超過しない範囲で送信レートを決定することができるとともに、パケットの送信における遅延(片方向遅延)が予め定めた遅延時間を超過しないように、送信レートを決定することができる。
【0129】
〔データ受信装置の構成〕
次に、図13を参照して、データ受信装置2Dの構成について説明する。図13に示すように、データ受信装置2Dは、パケット受信手段20と、受信レート計測手段21Dと、受信情報通知手段22Dと、を備えている。パケット受信手段20は、図1で説明したデータ受信装置2の構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0130】
受信レート計測手段21Dは、基本的に図1で説明した受信レート計測手段21と同じ機能を有するが、さらに、パケット受信手段20から入力した受信側受信時刻を受信情報通知手段22Dに出力する機能を付加している。
【0131】
受信情報通知手段22Dは、基本的に図1で説明した受信情報通知手段22と同じ機能を有するが、さらに、受信レート計測手段21Dから入力した受信側受信時刻を、パケット識別子および受信レートとともにデータ送信装置1Dに送信(通知)する機能を付加している。
これによって、データ送信装置1Dにおいて、データ送信装置1Dが送信したパケットの遅延時間(片方向遅延時間)を計測することが可能になる。
【0132】
以上説明したように、データ送受信システムSは、図1で説明したデータ送受信システムSの特徴に加え、パケットの送信方向の伝送時間が予め定めた遅延時間以上超過しないように制御することができる。
【0133】
<データ送受信システムの動作>
次に、図14を参照して、本発明の第4実施形態に係るデータ送受信システムSの動作について説明する。
なお、パケット送信動作は、データ送受信システムS(図7)と同じ動作であるため、説明を省略する。
また、パケット送信動作は、図5で説明したパケット受信動作のステップS10において、パケットを受信した時刻(受信側受信時刻)を計時する動作が付加され、ステップS13において、パケット識別子と送信レートに加え、受信側受信時刻を受信情報として通知する点が異なるだけである。
そこで、ここでは、最大送信レート更新動作についてのみ説明する。
【0134】
〔最大送信レート更新動作〕
以下、図14を参照(適宜図13参照)して、データ送信装置1Dにおける最大送信レート更新動作について説明する。
まず、データ送信装置1Dは、受信情報取得手段12Dによって、データ受信装置2Dから、回線L2を介して、受信情報であるパケット識別子、受信レートおよび受信側受信時刻を取得する(ステップS50)。
【0135】
そして、データ送信装置1Dは、遅延限界判定手段13Dbによって、パケットの送信時刻と、それに対応する受信情報の受信側受信時刻との差であるパケットの片方向遅延時間が増加傾向にあるのか、または、減少傾向にあるのかを判定する(ステップS51)。
ここで、片方向遅延時間が増加傾向であると判定した場合(ステップS51でYes)、遅延限界判定手段13Dbは、さらに、片方向遅延時間が増加傾向の割合で増加したときに、予め定めた上限値に達するまでの時間を、限界時間として算出する(ステップS52)。
【0136】
さらに、ここで、送信レートが受信レートを上回っている場合(ステップS53でYes)、データ送信装置1Dは、最大送信レート計算手段13Daによって、前記(1)式の上段の式によって、目標最大送信レートを計算し、現在の最大送信レートとの差分を限界時間で割った値を単位時間あたりの減少速度として、最大送信レートを目標最大送信レートまで連続的に減少させる(ステップS54)。また、送信レートが受信レート以下の場合(ステップS53でNo)、最大送信レート計算手段13Daは、最大送信レートを維持する(ステップS55)。
【0137】
一方、片方向遅延時間が増加傾向ではないと判定した場合(ステップS51でNo)、さらに、送信レートが受信レートを上回っていれば(ステップS56でYes)、最大送信レート計算手段13Daは、最大送信レートを維持する(ステップS55)。また、送信レートが受信レート以下であれば(ステップS56でNo)、最大送信レート計算手段13Daは、前記(1)式の下段の式によって、最大送信レートを予め定めたレート増加量だけ増加させる(ステップS57)。
【0138】
≪第5実施形態≫
次に、図15を参照して、本発明の第5実施形態に係るデータ送受信システムSについて説明する。
【0139】
<データ送受信システムの概要>
図15に示したデータ送受信システムSは、パケット通信ネットワークにおいて、データ入力装置Aからデータ出力装置Bに、データ送信装置1Eとデータ受信装置2Eとを介してデータ(パケット)を伝送するものであって、基本的には、図1で説明したデータ送受信システムSと同じ機能を有する。
さらに、データ送受信システムSは、データ受信装置2Eにおいて、パケットの遅延時間を計測し、その遅延時間が予め定めた時間を超過しないように、パケットの遅延を制御する機能を有する。
以下、図15を参照して、本発明に係るデータ送信装置1Eおよびデータ受信装置2Eについて詳細に説明する。
【0140】
〔データ送信装置の構成〕
図15に示すように、データ送信装置1Eは、送信レート計測手段10と、パケット送信手段11Eと、受信情報取得手段12と、最大送信レート決定手段13と、往復遅延応答手段14と、を備えている。送信レート計測手段10、受信情報取得手段12および最大送信レート決定手段13は、図1で説明したデータ送信装置1の構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0141】
パケット送信手段11Eは、基本的に図1で説明したパケット送信手段11と同じ機能を有するが、さらに、パケットを送信した時刻(送信時刻)を、伝送データに付与して送信する機能を付加している。
この送信時刻が、データ受信装置2Eにおいて、パケットの遅延時間を計測する際に利用される。
【0142】
往復遅延応答手段14は、データ受信装置2Eから送信されてくる要求(エコー要求)を受信し、それに対する応答(エコー応答)をデータ受信装置2Eに送信するものである。このエコー要求およびエコー応答は、データ受信装置2Eが、パケットの往復遅延時間(RTT)を計測するために用いるものである。
このエコー要求およびエコー応答は、例えば、RFC792で規定されているICMP(Internet Control Message Protocol)のメッセージであるエコー要求通知およびエコー応答通知を用いることができる。
【0143】
〔データ受信装置の構成〕
次に、図15を参照して、データ受信装置2Eの構成について説明する。図15に示すように、データ受信装置2Eは、パケット受信手段20Eと、受信レート計測手段21Eと、受信情報通知手段22と、往復遅延計測手段23と、通知判定手段24と、を備えている。受信情報通知手段22は、図1で説明したデータ受信装置2の構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0144】
パケット受信手段20Eは、基本的に図1で説明したパケット受信手段20と同じ機能を有するが、さらに、パケットに付与して送信されてくる送信時間を、受信レート計測手段21Eに出力する機能を付加している。
【0145】
受信レート計測手段21Eは、基本的に図1で説明した受信レート計測手段21と同じ機能を有するが、パケット識別子、受信レートおよび受信側受信時刻を通知判定手段24に出力する点が異なっている。さらに、受信レート計測手段21Eは、パケット受信手段20Eから入力した送信時刻を通知判定手段24に出力する機能も有している。
【0146】
往復遅延計測手段23は、データ送信装置1Eとデータ受信装置2Eとの間のパケットの往復遅延時間(RTT)を計測するものである。
ここでは、往復遅延計測手段23は、回線L2を介して、応答を返信する旨の要求(エコー要求)をデータ送信装置1Eに送信し、回線L1を介して返信される応答(エコー応答)を受信し、エコー要求を送信した時刻と、エコー応答を受信した時刻の差によって、RTTを計測する。
この往復遅延計測手段23は、伝送データのパケットとは独立して、定期的にエコー要求を行い、計測した往復遅延時間(RTT)を通知判定手段24に出力する。
なお、往復遅延計測手段23は、図示を省略した計時手段によって、エコー要求を送信した時刻や、エコー応答を受信した時刻を計時する。
【0147】
通知判定手段24は、受信レート計測手段21Eから入力される送信時刻と受信側受信時刻とに基づいて、データ送信装置1Eから送信されたパケットが、データ受信装置2Eで受信されるまでのパケットの片方向遅延時間を計測し、その片方向遅延時間の変化に基づいて、データ送信装置1Eに、受信情報を通知するか否かを判定するものである。
この通知判定手段24は、片方向遅延時間が増加し、このままの推移では、予め定めた上限値(限界値)を超えると判断した場合に、受信情報をデータ送信装置1Eに通知すると判定し、受信レート計測手段21Eから取得したパケット識別子および受信レートを、受信情報として受信情報通知手段22に出力する。
さらに、通知判定手段24は、最後に受信情報を通知した時刻からの経過時間がレート更新最大間隔時間を経過している場合にも、受信情報の通知が必要であると判定し、受信情報を受信情報通知手段22に出力する。
【0148】
なお、受信情報は、片方向遅延時間が上限値を越える前に通知する必要がある。そこで、通知判定手段24は、片方向遅延時間が上限値を越えると判断した場合、データ送信装置1Eがパケットを送信した時刻である送信時刻に、往復遅延計測手段23で計測した往復遅延時間(RTT)だけ経過した時刻における片方向遅延時間を推定し、受信情報を受信情報通知手段22に出力する。
【0149】
すなわち、通知判定手段24は、逐次、片方向遅延時間をメモリ等に記録し、図16に示すように、片方向遅延時間が増加傾向にある場合に、送信時刻からその割合で遅延時間が増加し、往復遅延計測手段23で計測したRTTの時間経過後に、上限値に達すると判断したときに、受信情報を通知する必要があると判定する。
このように、通知判定手段24は、片方向遅延時間が上限値に達する前に、受信情報通知手段22を介して、データ送信装置1Eに受信情報を通知することができる。
【0150】
以上説明したように、データ送受信システムSは、データ受信装置2Eにおいて、送信データの遅延時間を考慮して、データ送信装置1Eに最大送信レートの更新のタイミングを通知することができる。
【0151】
<データ送受信システムの動作>
次に、図17,図18を参照して、本発明の第5実施形態に係るデータ送受信システムSの動作について説明する。なお、最大送信レート更新動作は、データ送受信システムS(図1)と同じ動作であるため、説明を省略する。
また、往復遅延計測手段23が行う往復遅延時間(RTT)の測定は、伝送パケットとは独立して動作するものであるため、ここでは説明を省略する。
【0152】
〔パケット送信動作〕
まず、図17を参照(適宜図15参照)して、データ送信装置1Eにおけるパケット送信動作について説明する。
図17に示したステップS1〜S3の動作は、図4で説明したデータ送信装置1の動作と同じであるため、同一の符号を付している。
そして、データ送信装置1Eは、ステップS2で計算された仮の送信レートが、最大送信レート決定手段13で決定される最大送信レート未満である場合(ステップS3でYes)、パケット送信手段11Eは、ステップS1で入力したパケットに送信時刻を付与し、回線L1を介して、データ受信装置2Eに送信する(ステップS4B)。
以降の動作は、図4で説明したデータ送信装置1の動作と同じであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0153】
〔パケット受信動作〕
次に、図18を参照(適宜図15参照)して、データ受信装置2Eにおけるパケット受信動作について説明する。
まず、データ受信装置2Eは、パケット受信手段20Eによって、回線L1を介して、データ送信装置1から、送信時刻が付与されたパケットを受信する(ステップS60)。
そして、パケット受信手段20Eは、受信したパケットを、データ出力装置Bに出力する(ステップS61)。
さらに、データ受信装置2Eは、受信レート計測手段21Eによって、ステップS60で受信したパケットのパケット長と、当該パケットを受信した時刻(受信側受信時刻)とに基づいて、受信レートを計算する(ステップS62)。
【0154】
そして、データ受信装置2Eは、通知判定手段24によって、受信側受信時刻と送信時刻との差である片方向遅延時間が、このままの推移では上限値に達する、または、最後に受信情報を通知した時刻からの経過時間がレート更新最大間隔時間を経過しているかを判定する(ステップS63)。
このステップS63において、2つの条件の少なくとも一方を満たす場合(ステップS63でYes)、通知判定手段24は受信情報の通知が必要であると判定し、受信情報通知手段22が、受信情報(パケット識別子、受信レート)を、データ送信装置1Eに送信(通知)する(ステップ64)。
この受信情報を通知されたタイミングで、データ送信装置1Eは、最大送信レートの更新を行う。
【0155】
≪第6実施形態≫
次に、図19を参照して、本発明の第6実施形態に係るデータ送受信システムSについて説明する。
【0156】
<データ送受信システムの概要>
図19に示したデータ送受信システムSは、パケット通信ネットワークにおいて、データ送信装置1Fが映像音声データをパケット化してデータ受信装置2Fに送信し、データ受信装置2Fがそのパケットを受信して映像音声データに復号するものである。
図1に示したデータ送受信システムSでは、データ送信装置1がデータ入力装置Aからデータ(パケット)を入力し、データ受信装置2が、受信したパケットをデータ出力装置Bに出力したが、図19に示したデータ送受信システムSでは、データをエンコードしてパケット化する機能をデータ送信装置1Fに備え、そのパケットを元のデータに復号する機能をデータ受信装置2Fに備えている。
以下、図19を参照して、本発明に係るデータ送信装置1Fおよびデータ受信装置2Fについて詳細に説明する。
【0157】
〔データ送信装置の構成〕
図19に示すように、データ送信装置1Fは、送信レート計測手段10と、パケット送信手段11Fと、受信情報取得手段12と、最大送信レート決定手段13Fと、データエンコード手段15と、を備えている。送信レート計測手段10および受信情報取得手段12、図1で説明したデータ送信装置1の構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0158】
パケット送信手段11Fは、基本的に図1で説明したパケット送信手段11と同じ機能を有する。ただし、パケット送信手段11Fは、最大送信レート決定手段13Fで決定される最大送信レートを考慮せず、データエンコード手段15から入力されるパケットをそのまま、回線L1を介して、データ受信装置2に送信する点が異なっている。
【0159】
最大送信レート決定手段13Fは、基本的に図1で説明した最大送信レート決定手段13と同じ機能を有する。ただし、最大送信レート決定手段13Fは、最大送信レート計算手段13aで計算した最大送信レートをデータエンコード手段15に出力する点が異なっている。
【0160】
データエンコード手段15は、最大送信レート決定手段13Fで決定される最大送信レートに基づいて、外部から入力される映像音声データを、最大送信レート以下となるようにエンコードおよびパケット化するものである。
このデータエンコード手段15は、最大送信レートから、パケット化に必要なオーバーヘッド(アドレス等のヘッダ情報)を減算したレートを最大エンコードレートとし、当該最大エンコードレート以下となるように、映像音声データをエンコードし、ヘッダ情報等を付加してパケット化し、パケット送信手段11Fに出力する。
すなわち、データエンコード手段15は、最大エンコードレートが低ければ圧縮率を高めてエンコードを行い、最大エンコードレートが高ければ圧縮率を低くしてエンコードを行う。なお、このエンコードは、MPEG等の一般的な圧縮符号化方式を用いることができる。
【0161】
〔データ受信装置の構成〕
次に、図19を参照して、データ受信装置2Fの構成について説明する。図19に示すように、データ受信装置2Fは、パケット受信手段20と、受信レート計測手段21と、受信情報通知手段22と、データデコード手段25と、を備えている。データデコード手段25以外の構成は、図1で説明したデータ受信装置2の構成と同じものであるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0162】
データデコード手段25は、パケット受信手段20で受信したデータ(パケット)を、元の映像音声データに復号(デコード)するものである。なお、このデータデコード手段25におけるデコードは、データエンコード手段15のエンコードに対応した復号方式を用いることができる。
【0163】
以上説明したように、データ送受信システムSは、クロストラフィックの大きさに応じて、エンコードレート、すなわち、送信レートを変えることができるため、大きなクロストラフィックが流入した場合であっても、ボトルネックリンクの帯域内でデータ伝送を行うことができる。
なお、データ送受信システムSにおけるレート制御を行う動作は、図1で説明したデータ送受信システムSと同じであるため、説明を省略する。
【0164】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これらの装置は、一般的なコンピュータを、前記した手段として機能させるプログラムで動作させることができる。
また、本発明は、ここで説明した実施形態に限定されるものではない。
例えば、図11に示したデータ送受信システムSでは、更新判定手段13cが、往復遅延時間(RTT)が上限値を超過するか否かで最大送信レートを更新するか否か判定したが、図13に示したデータ送受信システムSと同様に、片方向遅延時間によって更新するか否かを判定することとしてもよい。
【0165】
また、図19に示したデータ送受信システムSでは、基本的には、図1に示した第1実施形態のデータ送信装置1にデータエンコード手段15を付加し、データ受信装置2にデータデコード手段25を付加して構成したが、他の実施形態(図7、図11、図13、図15)においても、同様に、データエンコード手段15およびデータデコード手段25を付加して構成してもよい。
その場合、データ送信装置1では、最大送信レート決定手段13が、最大送信レートをデータエンコード手段15に出力するようにし、パケット送信手段は11が、最大送信レートを考慮せずに、パケットの送信を行うようにすればよい。
【符号の説明】
【0166】
S データ送受信システム
1 データ送信装置
10 送信レート計測手段
11 パケット送信手段
12 受信情報取得手段
13 最大送信レート決定手段
13a 最大送信レート計算手段
13b 遅延限界判定手段(片方向遅延限界判定手段)
13c 更新判定手段
14 往復遅延応答手段
15 データエンコード手段
2 データ受信装置
20 パケット受信手段
21 受信レート計測手段
22 受信情報通知手段
23 往復遅延計測手段
24 通知判定手段
25 データデコード手段
A データ入力装置
B データ出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケット通信ネットワークを介して、パケット識別子を含んだパケットを、データ受信装置に送信するデータ送信装置であって、
前記パケットの送信レートを計測し、現在の送信レートを、次に送信するパケットの仮送信レートとする送信レート計測手段と、
前記仮送信レートが最大送信レート以下の場合に、次に送信するパケットを前記データ受信装置に送信するパケット送信手段と、
前記データ受信装置から、前記パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて、当該パケットを受信した際の受信レートを受信情報として取得する受信情報取得手段と、
前記パケット送信手段が送信したパケットに対応する仮送信レートと、当該パケットとパケット識別子が対応する前記受信レートとに基づいて、前記最大送信レートを計算して更新する最大送信レート計算手段と、を備え、
前記最大送信レート計算手段は、
前記仮送信レートが前記受信レートを超過する場合に、前記仮送信レートと前記パケット識別子が対応する前記受信レートとの比率に基づいて、前記パケット通信ネットワークにおけるボトルネックリンクの帯域から、当該ボトルネックリンクにおける当該データ送信装置が送信したパケット以外のトラフィックであるクロストラフィックの使用帯域を減じた値を前記最大送信レートとして計算し、
前記仮送信レートが前記受信レート以下の場合に、予め定めたレート増加量を前記最大送信レートに加算して新たな最大送信レートとすることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
前記パケットの送信時刻と、当該パケットとパケット識別子が対応する前記受信情報の受信時刻との差である往復遅延時間に基づいて、前記送信レートの増減を判定するとともに、前記送信レートが増加した場合に、前記往復遅延時間の変化量から予め定めた最大往復遅延時間に到達する限界時間を算出する遅延限界判定手段を、さらに備え、
前記最大送信レート計算手段は、
前記仮送信レートが前記受信レートを超過し、かつ、前記遅延時間判定手段で前記送信レートが増加したと判定された場合に、前記限界時間内で、前記ボトルネックリンクの帯域から前記クロストラフィックの使用帯域を減じた値となるように、前記最大送信レートを減少させることを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項3】
前記最大更新レートを更新した時刻を保持し、前記パケットの送信時刻と、当該パケットとパケット識別子が対応する前記受信情報の受信時刻との差である往復遅延時間が予め定めた上限値に達しているか、または、前記最大更新レートを更新した時刻から予め定めた経過時間超過したかによって、前記最大送信レートを更新するか否かを判定する更新判定手段を、さらに備え、
前記最大送信レート計算手段は、
前記更新判定手段で前記最大送信レートを更新すると判定された場合に前記最大送信レートを更新することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
前記受信情報取得手段は、前記データ受信装置から、前記パケットを受信した時刻である受信側受信時刻を当該パケットに含まれているパケット識別子と対応付けてさらに取得するものであって、
前記パケットの送信時刻と、当該パケットとパケット識別子が対応する前記受信側受信時刻との差である片方向遅延時間に基づいて、前記送信レートの増減を判定するとともに、前記送信レートが増加した場合に、前記片方向遅延時間の変化量から予め定めた最大片方向遅延時間に到達する限界時間を算出する片方向遅延限界判定手段を、さらに備え、
前記最大送信レート計算手段は、
前記仮送信レートが前記受信レートを超過し、かつ、前記片方向遅延時間判定手段で前記送信レートが増加したと判定された場合に、前記限界時間内で、前記ボトルネックリンクの帯域から前記クロストラフィックの使用帯域を減じた値となるように、前記最大送信レートを減少させることを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項5】
前記パケット送信手段は、前記パケットにさらに送信時刻を付加して前記データ受信装置に送信し、
前記最大送信レート計算手段は、前記受信情報取得手段において、前記データ受信装置から、前記パケットに付加されている送信時刻と当該パケットの前記データ受信装置における受信側受信時刻との差である片方向遅延時間の変化に基づいて、前記最大送信レートを更新する旨の通知として、前記受信情報を取得した段階で、前記最大送信レートを更新することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、
前記データ送信装置から前記パケットを受信するパケット受信手段と、
このパケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する受信レート計測手段と、
この受信レート計測手段で計測した受信レートを、前記パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報として前記データ送信装置に送信する受信情報通知手段と、
を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項7】
請求項4に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、
前記データ送信装置から前記パケットを受信し、受信した時刻を受信側受信時刻として計時するパケット受信手段と、
このパケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する受信レート計測手段と、
この受信レート計測手段で計測した受信レートと、前記パケット受信手段で計時した受信側受信時刻とを、前記パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報として前記データ送信装置に送信する受信情報通知手段と、
を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項8】
請求項5に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、
前記データ送信装置から前記パケットをその送信時刻とともに受信し、受信した時刻を受信側受信時刻として計時するパケット受信手段と、
このパケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する受信レート計測手段と、
前記データ送信装置にエコー要求を送信し、当該エコー要求に対応するエコー応答を受信して往復遅延時間を計測する往復遅延計測手段と、
前記送信時刻と前記受信側受信時刻との差である片方向遅延時間の変化量に基づいて、前記往復遅延時間経過後に、前記片方向遅延時間が予め定めた上限値に到達するか否かにより、前記データ送信装置に送信レートを変更する旨の通知が必要であるか否かを判定する通知判定手段と、
この通知判定手段で前記送信レートを変更する必要があると判定された場合、前記受信レート計測手段で計測した受信レートを、前記パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報として前記データ送信装置に送信する受信情報通知手段と、
を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項9】
パケット通信ネットワークを介して、ストリームデータを、パケット識別子を含んだパケットとして、データ受信装置に送信するデータ送信装置であって、
前記ストリームデータを、最大送信レート以下でエンコードしパケット化するデータエンコード手段と、
前記パケットの送信レートを計測し、現在の送信レートを、次に送信するパケットの仮送信レートとする送信レート計測手段と、
前記データエンコード手段で生成されたパケットを前記データ受信装置に送信するパケット送信手段と、
前記データ受信装置から、前記パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて、当該パケットを受信した際の受信レートを受信情報として取得する受信情報取得手段と、
前記パケット送信手段が送信したパケットに対応する仮送信レートと、当該パケットとパケット識別子が対応する前記受信レートとに基づいて、前記最大送信レートを計算して更新する最大送信レート計算手段と、を備え、
前記最大送信レート計算手段は、
前記仮送信レートが前記受信レートを超過する場合に、前記仮送信レートと前記パケット識別子が対応する前記受信レートとの比率に基づいて、前記パケット通信ネットワークにおけるボトルネックリンクの帯域から、当該ボトルネックリンクにおける当該データ送信装置が送信したパケット以外のトラフィックであるクロストラフィックの使用帯域を減じた値を前記最大送信レートとして計算し、
前記仮送信レートが前記受信レート以下の場合に、予め定めたレート増加量を前記最大送信レートに加算して新たな最大送信レートとすることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項10】
請求項9に記載のデータ送信装置から、パケットを受信するデータ受信装置であって、
前記データ送信装置から前記パケットを受信するパケット受信手段と、
このパケット受信手段で受信したパケットをストリームデータにデコードするデータデコード手段と、
前記パケット受信手段で受信したパケットの受信レートを計測する受信レート計測手段と、
この受信レート計測手段で計測した受信レートを、前記パケットに含まれているパケット識別子と対応付けて受信情報として前記データ送信装置に送信する受信情報通知手段と、
を備えることを特徴とするデータ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−98759(P2013−98759A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239970(P2011−239970)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】