説明

データ送信装置及びデータ受信装置

【課題】超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号についてのシリアル伝送を、実用に供することができる形で効率良く実現することができるものとする。
【解決手段】特定4k×2k信号を8チャンネルのHD-SDI信号に変換し、それらに基づく8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8を得る手段11,12と、ワード列データDd1〜Dd8から、そのラインブランキング部における補助データ及び映像データ部における映像データを64ビットを単位として取り出して、ワード列データDoを形成する手段20,21と、ワード列データDoに64B/66Bエンコーディング変換処理を施してワード列データDpを得る手段22と、ワード列データDpに基づくデータレートを10Gb/s 以上とするビット列データDTGを形成する手段23〜25と、ビット列データを伝送すべく送出する手段26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、ワードビット数(量子化ビット数)を12ビットとするワード列データを形成するものとなる、フレームレートを30Hzあるいは30/1.001Hz(本願においてはこれらのいずれをも30Hzという。)とした、所謂、G,B,R形式の4k×2k信号と称されるパラレルディジタル映像信号についての伝送を行うに際して用いられる、ビット列データを送信するデータ送信装置、及び、そのデータ送信装置により送信されたビット列データを受信して、元のパラレルディジタル映像信号を再生するデータ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号の分野においては、伝達情報の多様化及び再生画像の高品質化を実現する観点等からのディジタル化が積極的に図られており、例えば、映像信号情報をあらわすディジタルデータにより形成されるディジタル映像信号を扱う高精細度テレビジョン(High Definition Television:HDTV)システム等が提案されている。HDTVシステムのもとにおけるディジタル映像信号(以下、HD信号という)は、規格化されたデータフォーマットに従う所定のワードビット数を有したワード列データ(パラレルディジタル映像信号)として形成され、Y,CB /CR 形式のものとG,B,R形式のものとがある。Y,CB /CR 形式のパラレルディジタル映像信号の場合、Yは輝度信号を意味し、CB /CR は色差信号を意味していて、輝度信号データ系列(Yデータ系列)及び色差信号データ系列(CB /CR データ系列)の並列配置構成をとる。また、G,B,R形式のパラレルディジタル映像信号の場合、G,B及びRは夫々緑色原色信号,青色原色信号及び赤色原色信号を意味していて、緑色原色信号データ系列(Gデータ系列),青色原色信号データ系列(Bデータ系列)及び赤色原色信号データ系列(Rデータ系列)の並列配置構成をとる。
【0003】
このようなHD信号が、同軸ケーブルあるいはオプティカル・ファイバーによって形成される光信号伝送ケーブル等で構成される信号伝送路を通じて伝送されるに際しては、信号伝送路の構造が簡略される等の利点が得られることからして、HD信号がワード列データからビット列データ(シリアルディジタル映像信号)に変換されて伝送されるシリアル伝送が望まれることになる。そして、HD信号のシリアル伝送については、米国のSMPTE (Society of Motion Picture and Television Engineers:動画及びテレビジョン技術者協会)による規格化がなされており、通常、HD信号のシリアル伝送は、SMPTEによって制定された規格である SMPTE 292M による HD SDI (High Definition Serial Digital Interface)に準拠して行われる(非特許文献1参照。)。
【0004】
HD SDI に準拠したデータ伝送にあっては、同軸ケーブル,光信号伝送ケーブル等で形成される信号伝送路を通じて伝送されるビット列データであるシリアルディジタル映像信号が、そのデータレート(ビットレート)を1.485Gb/s もしくは1.485/1.001Gb/s (本願においては、これらのビットレートのいずれをも1.485Gb/s という。)とするものとされることが、規格として定められている。即ち、 HD SDI に準拠したデータ伝送に供されるシリアルディジタル映像信号(以下、HD-SDI信号という。)の伝送にあたっては、HD-SDI信号は、ビットレートを1.485Gb/s とするものとされるのである。
【0005】
HD-SDI信号の元となるHD信号は、所定のデータフォーマット(以下、ソースフォーマットという。)を有したものに限定される。このような限定されたHD信号が有するソースフォーマットは、例えば、フレームレート:24Hzもしくは24/1.001Hz(本願においては、これらのいずれをも24Hzという。),25Hzあるいは30Hz,各フレームにおける有効ライン数:1080ライン,各ラインにおける有効ワード数:1920ワード,ワードビット数:10ビット,データ形式:Y,CB /CR 形式等々のパラメータによって規定されるものとされる。
【0006】
こうした状況のなかで、ディジタル映像信号について、それに基づいて再生される画像の解像度の一層の向上,画質改善の更なる追求等を目的として、そのデータフォーマットを規定するパラメータについて、フレームレートを60Hzもしくは60/1.001Hz(本願においては、これらのいずれをも60Hzという。)あるいは90Hzもしくは90/1.001Hz(本願においては、これらのいずれをも90Hzという。)とすること,各フレームにおける有効ライン数及び各ラインにおける有効ワード数を、上述の限定されたHD信号の場合のように1080ライン及び1920ワードに限るのではなく、それらより大、例えば、1080ライン及び1920ワードの2倍程度とすること,ワードビット数を10ビットを越えるビット数、例えば、12ビット,14ビット等とすること、さらには、これらのもとでデータ形式をG,B,R形式とすること等々が提案されている。このような提案に従ったディジタル映像信号の例として、そのデータフォーマットが、例えば、フレームレート:30Hz,各フレームにおける有効ライン数:2000ライン以上で2200ライン以下(例えば、2048ライン,2075ライン,2160ライン等),各ラインにおける有効ワード数:3400ワード以上で4100ワード以下(例えば、3400ワード,3640ワード,3840ワード,4096ワード等),ワードビット数:12ビット,データ形式:G,B,R形式、即ち、Gデータ系列,Bデータ系列及びRデータ系列の並列配置構成等々のパラメータによって規定される30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号(以下、特定4k×2k信号という。)と称されるものがある。
【0007】
このような特定4k×2k信号は、所謂、超広帯域映像信号に属するものであるが、その伝送にあたっては、前述のHD信号の場合と同様に、ワード列データを成すパラレルディジタル映像信号からビット列データを成すシリアルディジタル映像信号に変換されて伝送されるシリアル伝送が望まれることになる。
【非特許文献1】SMPTE STANDARD SMPTE 292M-1998, for Television −Bit-Serial Digital Interface for High-Definition Television Systems
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号は、それに望まれるシリアル伝送を、従来の伝送技術手法に従って試みようとすると、HD-SDI信号についてのシリアル伝送の場合に比して、極めて広い周波数帯域に亙る信号処理が要求されることになってしまう。それゆえ、従来にあっては、特定4k×2k信号を成すディジタルデータについての実用に供することができるシリアル伝送を、例えば、ディジタル映像信号を成すディジタルデータについての HD SDI に従ったシリアル伝送に用いられる既存の回路構成要素を利用して行うことができる、実際のシリアル伝送システムの具体例は見当たらない。また、このようなシリアル伝送システムに関する技術について記載された文献等も見出せない。
【0009】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号を成すディジタルデータについてのシリアル伝送を、実用に供することができる形で効率良く実現することができるデータ送信装置及びデータ受信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置は、特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号(フレームレートを30Hzとし、各フレームにおける有効ライン数が2000ライン以上で2200ライン以下に設定されるとともに、各ラインにおける有効データワード数が3400ワード以上で4100ワード以下に設定され、ワードビット数を12ビットとして、Gデータ系列、Bデータ系列及びRデータ系列の並列配置構成をとるワード列データを成すパラレルディジタル映像信号)を、各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号に変換する複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部と、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部から得られる8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号に夫々基づく、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルの第1のワード列データを得るパラレルデータ形成部と、パラレルデータ形成部から得られる8チャンネルの第1のワード列データが供給され、それらから、ラインブランキング部における補助データ及び映像データ部における映像データを64ビットを単位として取り出して、第2のワード列データを形成するワード列データ形成部と、ワード列データ形成部から得られる第2のワード列データに、その64ビットごとに、スクランブル処理を施すとともに2ビットを付加して66ビットのデータを得る変換処理を施して、第3のワード列データを形成する64ビット/66ビット(64B/66B)エンコーディング変換部と、64B/66Bエンコーディング変換部から得られる第3のワード列データから所定ビット数ずつを取り出して、各々が所定のビットレートを有した複数チャンネルのビット列データを形成する多チャンネルデータ形成部と、多チャンネルデータ形成部から得られる複数チャンネルのビット列データを多重するとともにパラレル/シリアル(P/S)変換処理を施して、データレートを10Gb/s 以上とするビット列データを、第2のシリアルディジタル映像信号として形成するデータ多重・P/S変換部と、データ多重・P/S変換部から得られるデータレートを10Gb/s 以上とするビット列データを伝送すべく送出するデータ送出部と、を備えて構成される。
【0011】
また、本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置は、ビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データを第1のシリアルディジタル映像信号として受けるデータ受取部と、データ受取部から得られるビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データにシリアル/パラレル(S/P)変換を施すとともに、各々が所定のビットレートを有した複数チャンネルのビット列データを形成するS/P変換・多チャンネルデータ形成部と、S/P変換・多チャンネルデータ形成部から得られる複数チャンネルのビット列データを多重して、多重ワード列データを形成するデータ多重部と、データ多重部から得られる多重ワード列データに、その66ビットごとに、2ビットの付加ビットを除去するとともにデスクランブル処理を施して64ビットのデータを復元する変換処理を施して、第1のワード列データを形成する64B/66Bデコーディング変換部と、64B/66Bデコーディング変換部から得られる第1のワード列データに基づき、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルの第2のワード列データを得る複数チャンネルワード列データ形成部と、複数チャンネルワード列データ形成部から得られる8チャンネの第2のワード列データが供給され、それらに基づく、各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号を得るシリアルデータ形成部と、シリアルデータ形成部から得られる各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号が供給され、それらを、特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号に変換して送出する特定パラレルディジタル映像信号形成部と、を備えて構成される。
【0012】
上述のような本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置にあっては、特定4k×2k信号が、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部によって、例えば、8チャンネルのHD-SDI信号とされる、各々が規格に定められたビットレート、例えば、1.485Gb/sを有したビット列データを成す8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号に変換され、それらが複数のパラレルデータ形成部に供給される。複数のパラレルデータ形成部においては、8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号が、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルの第1のワード列データに変換される。次に、8チャンネルの第1のワード列データから、ラインブランキング部における補助データ及び映像データ部における映像データが64ビットを単位として取り出されて、第2のワード列データが形成される。続いて、第2のワード列データに、その64ビットごとに、スクランブル処理を施すとともに2ビットを付加して66ビットのデータを形成する変換処理が施され、第3のワード列データが形成される。そして、第3のワード列データから所定ビット数ずつが取り出されて、各々が所定のビットレート、例えば、668.25Mb/sを有した複数チャンネル、例えば、16チャンネルのビット列データが形成され、さらに、これらの複数チャンネルのビット列データが多重されるとともにP/S変換されて、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データが、第2のシリアルディジタル映像信号として形成される。そして、このビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データが、伝送されるべく送出される。
【0013】
また、本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置にあっては、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/sとするビット列データが第1のシリアルディジタル映像信号として受けられ、その、ビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データにS/P変換が施されて、各々が所定のビットレート、例えば、668.25Mb/sのビットレートを有した複数チャンネル、例えば、16チャンネルのビット列データが形成され、その後、16チャンネルのビット列データが多重されて、多重ワード列データが形成される。次に、多重ワード列データに、その66ビットごとに、2ビットの付加ビットを除去するとともにデスクランブル処理を施して64ビットのデータを復元する変換処理が施されて、第1のワード列データが形成される。続いて、第1のワード列データに基づき、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルの第2のワード列データが得られ、これらの8チャンネルの第2のワード列データの夫々にシリアルデータ形成部によるP/S変換が施されて、8チャンネルのHD-SDI信号とされる、各々が規格に定められたビットレート、例えば、1.485Gb/sのビットレートを有するものとされたビット列データを成す8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号が得られる。そして、シリアルデータ形成部から得られる8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号が、特定パラレルディジタル映像形成部によって、特定4k×2k信号に変換されて、導出される。
【発明の効果】
【0014】
上述の本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置によれば、超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号を、例えば、8チャンネルのHD-SDI信号とされる、各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号に変換し、それらからラインブランキング部における補助データ及び映像データ部における映像データを取り出して、64B/66Bエンコーディング変換処理を施した後、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データを成す第2のシリアルディジタル映像信号に変換し、それを伝送すべく送出することができる。従って、特定4k×2k信号についてのシリアル伝送を、実用に供することができる形で効率良く実現できることになる。
【0015】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置によれば、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/sとするビット列データを第1のシリアルディジタル映像信号として受け取り、そのビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データが特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号に基づいて形成されたものである場合には、受け取ったビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データから、所定のワードビット数を有した第1のワード列データ,8チャンネルの第2のワード列データ及び8チャンネルの第2のシリアルデータが得られる状態を経て、特定4k×2k信号を再生することができる。従って、超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号のシリアル伝送にあたり、その受信側装置を構成できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本願の特許請求の範囲に記載された発明を実施するための最良の形態は、以下に述べられる実施例をもって説明される。
【実施例1】
【0017】
図1は、本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置の一例(実施例1)を示す。
【0018】
図1に示される例、即ち、実施例1にあっては、特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号(フレームレートを30Hzとし、各フレームにおける有効ライン数が2000ライン以上で2200ライン以下に設定されるとともに、各ラインにおける有効データワード数が3400ワード以上で4100ワード以下に設定され、ワードビット数を12ビットとして、Gデータ系列、Bデータ系列及びRデータ系列の並列配置構成をとるワード列データを成すパラレルディジタル映像信号)DSVが、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11に供給される。
【0019】
図2は、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11に供給される特定4k×2k信号DSVの一例のデータフォーマットを示す。
【0020】
図2に示されるデータフォーマットを有する特定4k×2k信号DSVの一例にあっては、互いに同期して並列配置されるGデータ系列,Bデータ系列及びRデータ系列について、フレーム期間分が1/30秒毎に連なるものとして設定されているとともに、その各フレーム期間分がライン期間分L0001からライン期間分Ln3 までのn3 ライン期間分の連なりをもって形成されている。また、各フレーム期間分における有効ライン部がライン期間分Ln1+1 からライン期間分Ln2 までとされ、各フレーム期間分における有効ライン部におけるライン数、即ち、有効ライン数が2k=n2 −n1 ラインに設定されている。2kは、2000以上で2200以下の数値、例えば、2160とされる。さらに、各ライン期間分における映像データ部を構成する有効データワード数が4kワードに設定されている。4kは、3400以上で4100以下の数値、例えば、4096とされる。そして、ワードビット数は12ビットに選定されている。
【0021】
斯かるもとで、各フレーム期間分におけるライン期間分L0001からライン期間分Ln3 までの夫々は、ワードビット数を12ビットとするGデータ系列のライン期間分と、ワードビット数を12ビットとするBデータ系列のライン期間分と、ワードビット数を12ビットするRデータ系列のライン期間分とを含むことになるが、特に、有効ライン部を形成するライン期間分Ln1+1からライン期間分Ln2 までの夫々については、それらのうちの一つであるライン期間分Ln1+1における状態が図2に例示されている如くに、それを形成するワードビット数を12ビットとするGデータ系列のライン期間分,ワードビット数を12ビットとするBデータ系列のライン期間分及びワードビット数を12ビットとするRデータ系列のライン期間分の夫々が、ラインブランキング部と映像データ部とを含むものとして形成されている。
【0022】
そして、各ラインブランキング部が、その始端部分にタイミング基準コード:EAVが配されるとともに、その終端部分にタイミング基準コード:SAVが配され、EAVとSAVとの間に補助データが配されるものとして構成されている。一方、映像データ部については、Gデータ系列における映像データ部が、有効ワード数である4kワードの緑色原色信号情報をあらわすGデータGDが配されて構成され、Bデータ系列における映像データ部が、有効ワード数である4kワードの青色原色信号情報をあらわすBデータBDが配されて構成され、さらに、Rデータ系列における映像データ部が、有効ワード数である4kワードの赤色原色信号情報をあらわすRデータRDが配されて構成されている。
【0023】
複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11においては、それに供給される特定4k×2k信号DSVが、必要に応じてビット不足を補う補足ビットが付加されるもとで、各々が規格化された1.485Gb/sとされるビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルのシリアルディジタル映像信号であるHD-SDI信号DHS1〜DHS8に変換される。斯かる際には、例えば、SMPTEによって制定された規格である SMPTE STANDARD SMPTE 372M, for Television − Dual Link 292M Interface for 1920×1080 Picture Raster に準拠した Link A 及び Link B とされるワード列データ( Link A 及び Link B の各々はワードビット数を20ビットとするワード列データ)を形成する手法が用いられる。そして、特定4k×2k信号DSVに基づいて、各チャンネルが Link A と Link B との組で構成される4チャンネルのデータが形成され、これらの合計8チャンネルの Link A 及び Link B の夫々がビット列データに変換されて、8チャンネルのるHD-SDI信号DHS1〜DHS8が形成される。
【0024】
このようにして、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11から得られる8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8が、パラレルデータ形成部12に供給される。パラレルデータ形成部12は、図3に示されるように、HD-SDI信号DHS1に対するデータ処理部PD1,HD-SDI信号DHS2に対するデータ処理部PD2,・・・・・,HD-SDI信号DHS8に対するデータ処理部PD8を内蔵している。
【0025】
データ処理部PD1においては、それに供給されるHD-SDI信号DHS1が、S/P変換部13においてS/P変換を施され、例えば、図4に示されるような、ライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成すワード列データDh1に変換される。図4に示されるライン期間分データ構造は、ワードビット数を20ビットとしたラインブランキング部と映像データ部とを含んだものとされている。ラインブランキング部は、その始端部分に4ワードから成るタイミング基準コード:EAVが配されるとともに、その終端部分に4ワードから成るタイミング基準コード:SAVが配され、EAVとSAVとの間に補助データが配されて構成されており、ワード数は152ワードとされている。また、映像データ部には、映像データである、緑色原色信号情報をあらわすGデータ,青色原色信号情報をあらわすBデータ、及び、赤色原色信号情報をあらわすRデータが配されて構成されており、ワード数は2048ワードとされている。従って、1ライン期間分の総ワード数は2200ワードである。また、ワードレートは、74.25MB/s もしくは74.25/1.001MB/s (本願においては、これらのいずれをも74.25MB/s という。)とされる。
【0026】
S/P変換部13から得られるワードレートを74.25MB/s とし、ワードビット数を20ビットとするワード列データDh1は、ビット・ワード同期設定部14に供給される。ビット・ワード同期設定部14においては、ワード列データDh1に含まれるタイミング基準コードデータSAV及びEAVの検出が行われ、それらの検出結果に基づいてビット同期及びワード同期が確立される。
【0027】
ビット・ワード同期設定部14を経たワード列データDh1は、FIFOメモリ部15に、周波数を74.25MHzとする書込クロック信号QW1をもって20ビットずつ書き込まれる。そして、FIFOメモリ部15に書き込まれたワード列データDh1は、周波数を74.25MHzとする読出クロック信号QR1をもって20ビットずつ読み出され、ワード列データDd1として、データ処理部PD1から導出される。
【0028】
また、データ処理部PD2においては、それに供給されるHD-SDI信号DHS2が、S/P変換部16においてS/P変換が施され、例えば、前述の図4に示されるようなライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成すワード列データDh2に変換される。S/P変換部16から得られるワード列データDh2は、ビット・ワード同期設定部17に供給される。ビット・ワード同期設定部17においては、ワード列データDh2に含まれるタイミング基準コードデータSAV及びEAVの検出が行われ、それらの検出結果に基づいてビット同期及びワード同期が確立される。
【0029】
ビット・ワード同期設定部17を経たワード列データDh2は、FIFOメモリ部18に、周波数を74.25MHzとする書込クロック信号QW1をもって20ビットずつ書き込まれる。そして、FIFOメモリ部18に書き込まれたワード列データDh2は、周波数を74.25MHzとする読出クロック信号QR1をもって20ビットずつ読み出され、ワード列データDd2として、データ処理部PD2から導出される。
【0030】
データ処理部PD3〜PD8の夫々もデータ処理部PD2と同様であり、データ処理部PD3〜PD8においては、それらに夫々供給されるHD-SDI信号DHS3〜DHS8に対しての、データ処理部PD2におけるそれに供給されるHD-SDI信号DHS2に対して行われる処理と同様な処理が行われ、データ処理部PD3〜PD8から、ワード列データDd3〜Dd8が導出される。
【0031】
パラレルデータ形成部12に内蔵されたデータ処理部PD1〜PD8から夫々導出されるワード列データDd1〜Dd8は、パラレルデータ形成部12から、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルのワード列データとして送出される。このようにしてパラレルデータ形成部12から送出される8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8は、前述のように複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11において形成される、各チャンネルが Link A と Link B との組で構成される4チャンネルのデータに相当するものとされる。
【0032】
このようにして、パラレルデータ形成部12は、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11から得られる8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8に夫々基づく、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8を得る。
【0033】
そして、パラレルデータ形成部12から得られる8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8は、データ多重部20に供給される。データ多重部20においては、ワード列データDd1〜Dd8を、各々の間における同期をとったもとで、ワード多重の手法をもって多重することによって多重ワード列データDmを形成する。
【0034】
データ多重部20から得られる多重ワード列データDmは、メモリ部21に、周波数を74.25MHzとする書込クロック信号QW2をもって、20ビット×8=160ビットずつ書き込まれる。そして、メモリ部21に書き込まれた多重ワード列データDmは、その各ライン期間分ごとに、それを構成するラインブランキング部における、前述の4チャンネルの Link A に相当する部分中の補助データ(20ビット×4チャンネル=80ビット)と、映像データ部における、4チャンネルの Link A と Link B との組に相当する部分中の映像データ(12ビット×3(G,B,R)×4チャンネル=144ビット)とが、周波数を162MHzとする読出クロック信号QR2をもって、64ビットを単位としてメモリ部21から読み出される。メモリ部21から読み出される補助データ及び映像データは、さらに、必要な付加データの付加が行われて、読み出された補助データが配される新たなラインブランキング部,読み出された映像データが配される新たな映像データ部、及び、付加データが配される付加データ部が順次連なって成る新たなライン期間分データ構造を有したワード列データDoを形成するものとして、64B/66Bエンコーディング変換部22に供給される。
【0035】
このようなもとで、データ多重部20とメモリ部21とは、パラレルデータ形成部12から得られる8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8が供給され、それらの8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8から、ラインブランキング部における補助データ及び映像データ部における映像データを64ビットを単位として取り出し、ワード列データDoを形成するワード列データ形成部を形成している。
【0036】
64B/66Bエンコーディング変換部22においては、ワード列データDoに対して、その64ビットごとに、スクランブル処理を施すとともに2ビットを付加して66ビットのデータを得る変換処理を施し、それによりワード列データDpを形成する。斯かる際に64ビットのデータに付加される2ビットは、その64ビットのデータに対するヘッダービットとされ、例えば、64ビットのデータが信号情報をあらわすものである場合に「0,1」とされ、また、64ビットのデータが制御データを含むものである場合に「1,0」とされる。
【0037】
このようなワード列データDpは、例えば、図5に示されるライン期間分データ構造を有したものとされる。図5に示されるライン期間分データ構造にあっては、1ライン期間分が、316800ビットをもって形成され、順次連なるラインブランキング部,映像データ部及び付加データ部を含むものとされる。ラインブランキング部は、12540ビットをもって形成されて、その始端部分にタイミング基準コード:EAVが配されるとともに、その終端部分にタイミング基準コード:SAVが配される。映像データ部は、304128ビットをもって形成され、さらに、付加データ部は132ビットをもって形成される。
【0038】
64B/66Bエンコーディング変換部22から得られるワード列データDpは、メモリ部23に、周波数を162MHzとする書込クロック信号QW3をもって66ビットずつ書き込まれる。そして、メモリ部23に書き込まれたワード列データDpは、メモリ部23から、周波数を167.0625MHzとする読出クロック信号QR3をもって、64ビットずつ読み出され、ワード列データDqとして、多チャンネルデータ形成部24に供給される。
【0039】
多チャンネルデータ形成部24にあっては、1/167.0625MHzの周期をもって64ビットずつ供給されるワード列データDqに基づき、各々がビットレートを668.25Mb/s とする複数チャンネル、例えば、16チャンネルのビット列データDSXを形成する。それにより多チャンネルデータ形成部24から得られる16チャンネルのビット列データDSXは、データ多重・P/S変換部25に供給される。
【0040】
データ多重・P/S変換部25にあっては、16チャンネルのビット列データDSXを多重するとともに、それにより得られるパラレルデータにP/S変換を施して、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、668.25Mb/s ×16=10.692Gb/s とするビット列データDTGを形成する。このようにしてデータ多重・P/S変換部25から得られるビット列データDTGは、複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11に供給された特定4k×2k信号に基づいて形成され、パラレルデータ形成部12に供給された8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8に応じて得られたものであるので、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データを形成するシリアルディジタル映像信号であることになる。
【0041】
そして、データ多重・P/S変換部25から得られるビット列データDTGは、データ送出部を形成する電光変換部26に供給される。電光変換部26は、ビット列データDTGを光信号DLに変換し、その光信号DLを、オプティカル・ファイバー等によって形成される光信号伝送ケーブル27を通じて伝送すべく送出する。
【0042】
上述のようにして、図1に示される本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置の一例である実施例1にあっては、特定4k×2k信号DSVを、8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8に変換した後、さらに、8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8に変換し、それらからラインブランキング部における補助データ及び映像データ部における映像データを取り出して、64B/66Bエンコーディング変換処理を施した後、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データDTGに変換し、それを伝送すべく送出することができる。従って、特定4k×2k信号についてのシリアル伝送を、実用に供することができる形で効率良く実現できることになる。
【実施例2】
【0043】
図6は、本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置の一例(実施例2)を示す。
【0044】
図6に示される例、即ち、実施例2にあっては、オプティカル・ファイバー等によって形成される光信号伝送ケーブル31を通じて到来する光信号DLが、データ受取部を形成する光電変換部32によって受けられる。光信号DLは、図1に示される実施例1により伝送されるべく送出される、ビットレートを、10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データDTGが変換されて得られる光信号DLに相当するものとされる。
【0045】
光電変換部32は、光信号DLを、ビットレートを、10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/s とするビット列データDTGに変換し、そのビット列データDTGをS/P変換・多チャンネルデータ形成部33に供給する。S/P変換・多チャンネルデータ形成部33にあっては、ビット列データDTGにS/P変換を施すとともに、それにより得られるパラレルデータに基づく、各々がビットレートを、例えば、668.25Mb/s とするものとされる複数チャンネル、例えば、16チャンネルのビット列データDSXを形成する。それにより、S/P変換・多チャンネルデータ形成部33から得られる16チャンネルのビット列データDSXは、データ多重部34に供給される。
【0046】
データ多重部34にあっては、16チャンネルのビット列データDSXを多重して、多重ワード列データとされるワード列データDrを形成する。それにより、データ多重部34から得られるワード列データDrは、その128ビットずつが、メモリ部35に、周波数を83.53125MHz(167.0625/2MHz)とする書込クロック信号QW4をもって書き込まれる。そして、メモリ部35に書き込まれたワード列データDrは、メモリ部35から、周波数を81MHzとする読出クロック信号QR4をもって132ビットずつ読み出され、ワード列データDsとして64B/66Bデコーディング変換部36に供給される。このようにして64B/66Bデコーディング変換部36に供給されるワード列データDsは、例えば、図5に示されるようなライン期間分データ構造をとるものとされる。
【0047】
64B/66Bデコーディング変換部36においては、ワード列データDsに含まれる、例えば、「0,1」もしくは「1,0」とされた2ビットを検知して、当該2ビットをヘッダービットとする66ビットのデータを検出する。そして、ワード列データDsに対して、検出される66ビットごとに、ヘッダービットの2ビットを除去するとともに、残りの64ビットのデータについてのデスクランブル処理を施して、元の64ビットのデータを復元する変換処理を施し、ワード列データDtを形成する。
【0048】
64B/66Bデコーディング変換部36から得られるワード列データDtは、その64ビットずつが、メモリ部37に、周波数を162MHzとする書込クロック信号QW5をもって書き込まれる。そして、メモリ部37に書き込まれたワード列データDtは、その各ライン期間分ごとに、それを構成するラインブランキング部における補助データと映像データ部における映像データとが、周波数を74.25MHzとする読出クロック信号QR5をもってメモリ部37から読み出される。メモリ部37から読み出される補助データ及び映像データは、さらに、必要な付加データの付加が行われて、読み出された補助データが配される新たなラインブランキング部及び読み出された映像データが配される新たな映像データ部が順次連なって成る新たなライン期間分データ構造を有したワード列データDuを形成するものとして、160ビットずつデータ分離部38に供給される。
【0049】
データ分離部38においては、ワード列データDuにワード分離処理が施されて、ワード列データDuから8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8が分離されて取り出される。これらのデータ分離部38において分離される8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8は、それらの夫々が、ワードビット数を20ビットとし、ワードレートを74.25MB/sとする、例えば、図4に示されるような規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成すものとされて、シリアルデータ形成部39に供給される。
【0050】
このようなもとで、メモリ37とデータ分離部38とは、64B/66Bデコーディング変換部36から得られるワード列データDtに基づき、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8を得る複数チャンネルワード列データ形成部を形成している。
【0051】
シリアルデータ形成部39は、図7に示されるように、ワード列データDd1に対するデータ処理部PR1,ワード列データDd2に対するデータ処理部PR2,・・・・・,ワード列データDd8に対するデータ処理部PR8を内蔵している。
【0052】
データ処理部PR1においては、それに供給されるワード列データDd1が、FIFOメモリ部40に、20ビットずつ、周波数を74.25MHzとする書込クロック信号QW6をもって書き込まれる。続いて、FIFOメモリ部40に書き込まれたワード列データDd1は、FIFOメモリ部40から、周波数を74.25MHzとする読出クロック信号QR6をもって20ビットずつ読み出されて、ワードビット数を20ビットとするパラレルディジタル映像信号を成すワード列データDh1が形成され、そのワード列データDh1がP/S変換部41に供給される。このワード列データDh1は、ワード列データDd1と実質的に同じであって、例えば、図4に示されるようなライン期間分データ構造を有したものとされる。
【0053】
P/S変換部41においては、ワード列データDh1にP/S変換が施されて、ワード列データDh1に基づく、ビットレートを規格化された1.485Gb/s とするシリアルディジタル映像信号であるHD-SDI信号DHS1が形成される。そして、このP/S変換部41において形成されるHD-SDI信号DHS1が、データ処理部PR1から導出される。
【0054】
また、データ処理部PR2においては、それに供給されるワード列データDd2が、FIFOメモリ部42に、20ビットずつ、周波数を74.25MHzとする書込クロック信号QW6をもって書き込まれる。続いて、FIFOメモリ部42に書き込まれたワード列データDd2は、FIFOメモリ部42から、周波数を74.25MHzとする読出クロック信号QR6をもって20ビットずつ読み出されて、20ビットワード構成のパラレルディジタル映像信号を成すワード列データDh2が形成され、そのワード列データDh2がP/S変換部43に供給される。このワード列データDh2も、ワード列データDd1と実質的に同じであって、例えば、図4に示されるようなライン期間分データ構造を有したものとされる。
【0055】
P/S変換部43においては、ワード列データDh2にP/S変換が施されて、ワード列データDh2に基づく、ビットレートを規格化された1.485Gb/s とするシリアルディジタル映像信号であるHD-SDI信号DHS2が形成される。そして、このP/S変換部43において形成されるHD-SDI信号DHS2が、データ処理部PR2から導出される。
【0056】
データ処理部PR3〜PR8の夫々もデータ処理部PR2と同様であり、データ処理部PR3〜PR8においては、それらに夫々供給されるワード列データDd3〜Dd8に対しての、データ処理部PR2におけるそれに供給されるワード列データDd2に対して行われる処理と同様な処理が行われ、データ処理部PR3〜PR8から、各々がビットレートを規格化された1.485Gb/s とするシリアルディジタル映像信号であるHD-SDI信号DHS3〜DHS8が導出される。
【0057】
そして、データ処理部PR1〜PR8の夫々から導出される8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8が、シリアルデータ形成部39から、再生されたHD-SDI信号として、特定パラレルディジタル映像信号形成部50へと送出される。このようにして、シリアルデータ形成部39は、メモリ37とデータ分離部38とが形成する複数チャンネルワード列データ形成部から得られる8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8が供給され、それらに基づく、各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルのシリアルディジタル映像信号を得る。
【0058】
特定パラレルディジタル映像信号形成部50においては、8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8に対し、図1に示される複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部11において、特定4k×2k信号DSVに、それに基づく8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8を得るべ施される変換処理とは逆の変換処理が施されて、8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8が特定4k×2k信号DSVに変換される。それにより、特定パラレルディジタル映像信号形成部50からは、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/sとするビット列データDTGに基づいて再生された特定4k×2k信号DSVが送出される。
【0059】
このような、図6に示される本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置の一例である実施例2にあっては、ビットレートを10Gb/s 以上、例えば、10.692Gb/sとするビット列データDTGを受け取り、そのビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データDTGが特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号に基づいて形成されたものである場合には、受け取ったビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データDTGから、ワード列データDuが形成され、さらに、8チャンネルのワード列データDd1〜Dd8及び8チャンネルのHD-SDI信号DHS1〜DHS8が得られる状態を経て、特定4k×2k信号を再生することができる。従って、超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号のシリアル伝送にあたり、その受信側装置を構成できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
上述のような本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置、及び、本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置は、超広帯域映像信号に属する特定4k×2k信号、即ち、30P/12ビット/G,B,R形式の4k×2k信号のシリアル伝送を実現できるデータ伝送システムを構築できるものとして、ディジタル映像信号を扱う分野において広範に適用され得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項4までのいずれかに記載された発明に係るデータ送信装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示される例によるシリアル伝送が行われる特定4k×2k信号の一例のデータフォーマットを示す概念図である。
【図3】図1に示される例におけるパラレルデータ形成部の具体構成例を示すブロック構成図である。
【図4】図1に示される例の動作説明に供されるデータフォーマットを示す概念図である。
【図5】図1に示される例の動作説明に供されるデータフォーマットを示す概念図である。
【図6】本願の特許請求の範囲における請求項5から請求項8までのいずれかに記載された発明に係るデータ受信装置の一例を示すブロック構成図である。
【図7】図6に示される例におけるシリアルデータ形成部の具体構成例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
【0062】
11・・・複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部, 12・・・パラレルデータ形成部, 13,16・・・S/P変換部, 14,17・・・ビット・ワード同期設定部, 15,18,40,42・・・FIFOメモリ部, 20,34・・・データ多重部, 21,23,35,37・・・メモリ部, 22・・・64B/66Bエンコーディング変換部, 24・・・多チャンネルデータ形成部, 25・・・データ多重・P/S変換部, 26・・・電光変換部, 27,31・・・光信号伝送ケーブル, 32・・・光電変換部, 33・・・S/P変換・多チャンネルデータ形成部, 36・・・64B/66Bデコーディング変換部, 38・・・データ分離部, 39・・・シリアルデータ形成部, 41,43・・・P/S変換部, 50・・・特定パラレルディジタル映像信号形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームレートを30Hzとし、各フレームにおける有効ライン数が2000ライン以上で2200ライン以下に設定されるとともに、各ラインにおける有効データワード数が3400ワード以上で4100ワード以下に設定され、ワードビット数を12ビットとして、緑色原色信号データ系列,青色原色信号データ系列及び赤色原色信号データ系列の並列配置構成をとるワード列データを成すパラレルディジタル映像信号を、各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号に変換する複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部と、
該複数チャンネルシリアルディジタル映像信号形成部から得られる8チャンネルの第1のシリアルディジタル映像信号に夫々基づく、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルの第1のワード列データを得るパラレルデータ形成部と、
該パラレルデータ形成部から得られる8チャンネルの第1のワード列データが供給され、該8チャンネルの第1のワード列データから、ラインブランキング部データ及び映像データを64ビットを単位として取り出し、第2のワード列データを形成するワード列データ形成部と、
該ワード列データ形成部から得られる第2のワード列データに、該第2のワード列データの64ビットごとに、スクランブル処理を施すとともに2ビットを付加して66ビットのデータを得る変換処理を施して、第3のワード列データを形成する64ビット/66ビットエンコーディング変換部と、
該64ビット/66ビットエンコーディング部から得られる第3のワード列データから所定ビット数ずつを取り出して、各々が所定のビットレートを有した複数チャンネルのビット列データを形成する多チャンネルデータ形成部と、
該多チャンネルデータ形成部から得られる複数チャンネルのビット列データを多重するとともにパラレル/シリアル変換処理を施して、データレートを10Gb/s 以上とするビット列データを、第2のシリアルディジタル映像信号として形成するデータ多重・パラレル/シリアル変換部と、
該データ多重・パラレル/シリアル変換部から得られるデータレートを10Gb/s 以上とするビット列データを伝送すべく送出するデータ送出部と、
を備えて構成されるデータ送信装置。
【請求項2】
上記ワード列データ形成部が、上記パラレルデータ形成部から得られる8チャンネルの第1のワード列データを多重して多重ワード列データを形成するデータ多重部と、該データ多重部から得られる多重ワード列データが、第1の周波数を有した書込クロック信号をもって書き込まれるとともに、書き込まれた多重ワード列データから、上記ラインブランキング部における補助データ及び上記映像データ部における映像データが、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有した読出クロック信号をもって64ビットを単位として読み出され、上記第2のワード列データを形成するものとして上記64ビット/66ビットエンコーディング変換部へと送られる第1のメモリ部と、を含んで構成されることを特徴とする請求項2記載のデータ送信装置。
【請求項3】
上記64ビット/66ビットエンコーディング変換部から得られる第3のワード列データが、第3の周波数を有した書込クロック信号をもって書き込まれるとともに、上記第3の周波数とは異なる第4の周波数を有した読出クロック信号をもって読み出されて上記多チャンネルデータ形成部へと送られる第2のメモリ部が備えられることを特徴とする請求項1記載のデータ送信装置。
【請求項4】
上記データ送出部が、上記データ多重・パラレル/シリアル変換部から得られるデータレートを10Gb/s 以上とするビット列データを、光信号に変換して、光信号伝送ケーブルへと送出することを特徴とする請求項1記載のデータ送信装置。
【請求項5】
ビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データを第1のシリアルディジタル映像信号として受けるデータ受取部と、
該データ受取部から得られるビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データにシリアル/パラレル変換を施すとともに、各々が所定のビットレートを有した複数チャンネルのビット列データを形成するシリアル/パラレル変換・多チャンネルデータ形成部と、
該シリアル/パラレル変換・多チャンネルデータ形成部から得られる複数チャンネルのビット列データを多重して、多重ワード列データを形成するデータ多重部と、
該データ多重部から得られる多重ワード列データに、該多重ワード列データの66ビットごとに、2ビットの付加ビットを除去するとともにデスクランブル処理を施して64ビットのデータを復元する変換処理を施して第1のワード列データを形成する64ビット/66ビットデコーディング変換部と、
該64ビット/66ビットデコーディング変換部から得られる第1のワード列データに基づき、各々が規格に定められたライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す8チャンネルの第2のワード列データを得る複数チャンネルワード列データ形成部と、
該複数チャンネルワード列データ形成部から得られる8チャンネの第2のワード列データが供給され、該8チャンネの第2のワード列データに基づく、各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号を得るシリアルデータ形成部と、
該シリアルデータ形成部から得られる各々が規格に定められたビットレートを有したビット列データを成す8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号が供給され、該8チャンネルの第2のシリアルディジタル映像信号を、フレームレートを30Hzとし、各フレームにおける有効ライン数が2000ライン以上で2200ライン以下に設定されるとともに、各ラインにおける有効データワード数が3400ワード以上で4100ワード以下に設定され、ワードビット数を12ビットとして、緑色原色信号データ,青色原色信号データ及び赤色原色信号データ系列の並列配置構成をとるワード列データを成すパラレルディジタル映像信号に変換して送出する特定パラレルディジタル映像信号形成部と、
を備えて構成されるデータ受信装置。
【請求項6】
上記データ受取部が、光信号伝送ケーブルを通じて受け取った光信号を、ビットレートを10Gb/s 以上とするビット列データに変換して、第1のシリアルディジタル映像信号を得ることを特徴とする請求項5記載のデータ受信装置。
【請求項7】
上記データ多重部から得られる多重ワード列データが、第1の周波数を有した書込クロック信号をもって書き込まれるとともに、上記第1の周波数とは異なる第2の周波数を有した読出クロック信号をもって132ビットを単位として読み出され、上記64ビット/66ビットデコーディング変換部へと送られる第1のメモリ部が備えられることを特徴とする請求項5記載のデータ受信装置。
【請求項8】
上記複数チャンネルワード列データ形成部が、上記64ビット/66ビットデコーディング変換部から得られる第1のワード列データが、第3の周波数を有した書込クロック信号をもって書き込まれるとともに、上記第3の周波数とは異なる第4の周波数を有した読出クロック信号をもって、所定のライン期間分データ構造を有したパラレルディジタル映像信号を成す第3のワード列データとして読み出される第2のメモリ部と、該第2のメモリ部から得られる上記第3のワード列データから上記8チャンネルの第2のワード列データを分離して取り出すデータ分離部と、を含んで構成されることを特徴とする請求項5記載のデータ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−13829(P2006−13829A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187232(P2004−187232)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】