説明

データ通信方法、データ通信システム、データ送信局装置およびデータ受信端末装置

【課題】同じ送信電波を受信しても、受信したときの電波強度が異なった場合には、異なった情報を受信することを可能にする。
【解決手段】データ送信局装置1において、フレームデータ生成部は、送信制御データを含むプリアンブルデータと複数のデータセットとを連結してフレームデータを生成し、フレームデータ出力部16は、それぞれのデータセットがそれぞれ設定された送信データレートで出力されるようにフレームデータを出力し、伝送信号送出部17は、そのフレームデータを伝送信号として送出する。データ受信端末装置2において、伝送信号受信部21は、その伝送信号を受信し、プリアンブルデータ再生部22は、その受信信号から送信制御信号を再生し、データセット再生部24は、送信制御信号に含まれるデータセットそれぞれの送信データレートに基づき、前記受信信号からそれぞれのデータセットを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じデータによって変調された電波を受信しても、その受信電波の強度が異なった場合には、異なったデータを受信することが可能となるデータ通信方法、データ通信システム、データ送信局装置およびデータ受信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信することによって位置検出を行うGPS受信機は、カーナビゲーション装置や携帯電話機などに搭載され、車両や人などの所在位置を検出(以下、測位という)するのに広く利用されている。そのGPS受信機における測位は、地球を周回する24個のGPS衛星のうち、可視の天空にある少なくとも4個のGPS衛星からの電波を受信し、それらのGPS衛星までの距離を計測することによって行われる。このようなGPS衛星までの位置計測による測位は、次のような問題を含んでいる。
【0003】
まず、第1に、検出される位置に10数mオーダーの誤差があることである。これは、大気や電離層の状態がゆらぐために、電波の伝播速度を定数とすることができず、GPS衛星までの計測距離に誤差が生じるからである。
【0004】
また、第2に、GPS衛星からの電波を受信していなかったGPS受信機、または、受信できない状態にあったGPS受信機にあっては、GPS衛星からの電波を捕捉するのにかなりの時間(場合によっては、数分程度)を要することである。これは、GPS受信機がGPS衛星からの電波を受信しない間に、可視のGPS衛星の軌道情報を喪失するために、24個のGPS衛星のうち、どのGPS衛星の電波を受信すればよいか分からなくなってしまうからである。そのため、例えば、ビル内にあったGPS受信機は、突然ビルの外に持ち出されても、すぐにはその位置情報を測位することができない。
【0005】
また、第3に、GPS衛星が送信している情報の信頼性が保証されているとは限らないことである。例えば、GPS衛星の一部分が故障して誤った情報を送信した場合には、その情報をもとに検出される位置情報は誤ったものになる。また、GPS衛星は正しい情報を送信したとしても、例えば、電離層の異常や太陽風の影響などによってGPS受信機が正しい情報を受信できない場合もある。
【0006】
このような問題に対して、従来では、GPS衛星までの計測誤差を、位置が既知である地上の観測基地局で計測し、その誤差から得られる距離計算の補正情報を、その観測基地局のサーバなどから携帯電話回線などを介して、携帯電話機などGPS受信機を備えた装置へ送信している。また、同様に、GPS衛星からの電波を捕捉しやすくするための情報(以下、捕捉支援情報という)やGPS衛星が送信する情報の信頼性の保証に係る情報(以下、インテグリティ情報という)を同様のサーバからGPS受信機を備えた装置へ送信している。従って、この場合には、GPS受信機のユーザは、補正情報、捕捉支援情報、インテグリティ情報などを取得するために、携帯電話回線などの使用料金、つまり、金銭的な負担が求められる。
【0007】
一方で、例えば、特許文献1には、捕捉支援情報を放送衛星からGPS受信機を備えた装置へ送信する技術が開示されている。その特許文献1によれば、放送衛星からSバンドの電波によりGPS捕捉支援情報を送信するとしている。さらには、非特許文献1によれば、まだ打ち上げられていない衛星ではあるが、いわゆる準天頂衛星から補正情報、捕捉支援情報、インテグリティ情報などを送信することが検討されている。
【特許文献1】特開2005−55349号公報
【非特許文献1】衛星測位システム民間利用懇談会、“民間利用の立場から見たわが国の衛星測位システムのあり方への提言”、[online]、平成16年4月1日、特定非営利活動法人高度測位社会基盤研究フォーラム、[平成18年1月30日検索]、インターネット<URL:http://www.gnss.co.jp/forum/announce/teigen1-1.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
放送衛星や準天頂衛星から補正情報、捕捉支援情報、インテグリティ情報などを送信する場合には、政策的な判断にもよるが、その受信料金を無料にすることができる。その場合には、ユーザは、金銭的な負担は求められない。
【0009】
しかしながら、放送衛星や準天頂衛星から送信される電波は、程度の差こそあれ、GPS衛星から送信される電波と同様に、ビルの中、ビルの谷間、木陰などでは受信することが困難な場合が多い。従って、GPS受信機は、例えば、ビルの中からビルの外へ持ち出されても、すぐに測位が可能であるわけではなく、少なくとも放送衛星や準天頂衛星から送信される捕捉支援情報を受信し、その受信した捕捉支援情報に基づきGPS衛星からの電波を捕捉するまでは測位を行うことができない。
【0010】
ところで、放送衛星や準天頂衛星から送信される補正情報、捕捉支援情報、インテグリティ情報などは、いつでもどこででも等しく必要とされる情報ではない。例えば、ビル内にあっては、通常、衛星からの電波を受信することによる位置検出は困難であり、どのビルに入ったかが分かれば、その位置を補正する必要はない。従って、補正情報は必要とされない。一方、ビル外にあっては、補正情報は、GPS受信機が高精度の位置検出を行うために必須の情報である。
【0011】
また、捕捉支援情報は、GPS受信機が、例えば、ビルの中からビルの外へ持ち出されるときに必要となる情報であり、いったんGPS衛星の電波が捕捉されると、不必要な情報である。また、インテグリティ情報は、補正情報や捕捉支援情報を受信しているときには、その情報の信頼性を確保する上で必須の情報である。
【0012】
従来技術においては、このような補正情報、捕捉支援情報、インテグリティ情報などを異なる受信環境において、特に区別して受信することは、考慮されていない。
【0013】
本発明の目的は、前記の従来技術の問題点に鑑み、ビルの中とビルの外などのように受信する電波の受信環境(主として、受信電波の強度)が異なった場合には、同じ電波を受信しても、異なった情報を受信することを可能にするとともに、それによってGPS衛星の電波の捕捉が迅速に行われることを可能にしたデータ通信方法、データ通信システム、データ送信局装置およびデータ受信端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明においては、そのデータ通信システムを、複数のデータセットを含んだ一連のフレームデータを送信するデータ送信局装置と、そのデータ送信局装置が送信するフレームデータを受信するデータ受信端末装置とにより構成し、データ送信局装置が、複数のデータセットを連結してフレームデータを生成し、そのフレームデータを送信するときには、そのフレームデータをデータセットごとに異なる送信データレートで送信するようにし、また、データ受信端末装置が、そのデータ送信局装置から送信されたフレームデータを受信するときには、そのフレームデータをそれぞれのデータセットごとにそれぞれの送信レートに応じた受信データレートで受信するようにした。
【0015】
本発明によれば、データ送信局装置は、補正情報、捕捉支援情報、インテグリティ情報などをそれぞれ異なるデータセットのデータとし、それぞれのデータセットをそれぞれ異なる送信データレートで送信することができる。一般に、遅い送信データレートで送信されるデータの受信感度は、速い送信データレートで送信されるデータの受信感度よりも高くなることが知られている。そこで、本発明のデータ送信局装置から、例えば、インテグリティ情報や捕捉支援情報を補正情報よりも遅い送信データレートで送信するようにする。その場合には、データ受信端末装置によるインテグリティ情報や捕捉支援情報の受信感度は、補正情報の受信感度よりも高くなる。従って、データ受信端末装置は、ビルの内部など電波強度が低下するところでは、速い送信データレートの補正情報は受信できなくなっても、インテグリティ情報や捕捉支援情報など遅い送信データレートのデータは受信できる場合があり得る。すなわち、インテグリティ情報や捕捉支援情報などをビルの内部、少なくとも、その窓際や出入り口付近において受信できるようにすることができる。
【0016】
従って、本発明のデータ受信端末装置を用いたGPS測位装置は、それがビルの外に持ち出される前にGPS衛星の捕捉支援情報などを受信することができるので、ビルの外に持ち出されたときには、あらかじめ受信された捕捉支援情報によりGPS衛星の電波を速やかに捕捉することができるようになる。また、そのGPS測位装置は、ビルの外にあっては、電波強度が大きくなるので、補正情報も受信することができるようになるので位置情報の補正が可能となり、精度のよい位置情報を取得することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、同じ電波を受信しても、受信電波の強度が異なるなど受信する電波の受信環境が異なった場合には、その受信電波の受信強度と受信データレートとに応じて、異なった情報を受信することができるようになる。また、本発明を適用したGPS測位装置にあっては、GPS衛星の電波の捕捉を迅速に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0019】
<システムの全体構成>
最初に、図1を参照して、本発明が適用された測位補強データ提供用データ通信システムの全体構成の例について説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係る測位補強データ提供用データ通信システムの全体構成の例を示した図である。
【0020】
図1に示すように、測位補強データ提供用データ通信システム9は、測位補強データを送信するデータ送信局装置1と、その測位補強データを受信して再送信する準天頂衛星3と、準天頂衛星3から再送信される測位補強データを受信するデータ受信端末装置2とによって構成される。ここで、データ受信端末装置2は、1つであるとしても構わないが、通常の実施形態として複数であることを前提とする。そして、それら複数のデータ受信端末装置2は、準天頂衛星3から再送信される同じ測位補強データを受信する。なお、ここでいう測位補強データとは、前記従来技術の項において説明したインテグリティ情報、捕捉支援情報および補正情報を含む情報をいう。
【0021】
このようなインテグリティ情報、捕捉支援情報および補正情報などの測位補強データは、通常、図示しないデータ生成装置によって生成され、そのデータ生成装置からデータ送信局装置1に提供される。データ送信局装置1は、データ生成装置から提供を受けた測位補強データを所定のフレームデータにフォーマットし、所定の伝送信号により準天頂衛星3へ送信する。準天頂衛星3は、ミラー送信局として機能し、受信した伝送信号をそのままデータ受信端末装置2に向けて再送信する。なお、ここでは、伝送信号として、通常、Lバンドと呼ばれている電波を使用する。
【0022】
また、図1において、データ受信端末装置2は、図示しないGPS受信機とともにGPS測位装置5を構成する。GPS測位装置5は、GPS受信機によってGPS衛星4から送信される時刻や軌道データなどの測位データを受信するとともに、データ受信端末装置2によって準天頂衛星3から送信される測位補強データを受信する。そして、両者により受信されたデータに基づき、信頼性と精度とがより高められた位置データを算出する。このようなGPS測位装置5は、例えば、カーナビゲーション装置や携帯電話機などに組み込まれて用いられる。
【0023】
<フレームデータのフォーマット>
次に、図2および図3を参照して、測位補強データ提供用データ通信システム9においてデータ送信局装置1から送信されるフレームデータのフォーマットの例について説明する。ここで、図2は、データ送信局装置1からデータ受信端末装置2へ送信されるフレームデータのフォーマットの例を示した図である。
【0024】
図2に示すように、データ送信局装置1からデータ受信端末装置2へ送信されるフレームデータ6は、プリアンブルデータ61と複数のデータセット62とを含んで構成される。
【0025】
プリアンブルデータ61は、同期データと送信制御データ611とを含んで構成される。同期データは、それに後続するデータの先頭部を検出するための所定のビットパターンを有したデータである。また、送信制御データ611は、プリアンブルデータ61に後続するデータセット62の数、そのデータセット62それぞれのビット長、データセット62それぞれを送信するときの送信データレートなどを設定するためのデータフィールドと、誤りチェックビットとを含んで構成される。
【0026】
ここで、送信データレートとは、データ送信局装置1からデータセット62を送信するときの送信速度(単位はbps(bit per second)で表される)をいう。本実施形態に係るデータ送信局装置1においては、後記するように、データセット62ごとに異なる送信データレートを設定し、その設定した送信データレートの送信速度でそのデータセット62を送信する。
【0027】
誤りチェックビットは、送信制御データの通信誤りを検出するための付加ビットであり、例えば、巡回冗長符号などにより生成される。なお、この誤りチェックビットは、ファイア符号など誤り訂正可能な符号により生成してもよい。
【0028】
また、図2に示すように、プリアンブルデータ61に引き続き、複数(図2の例ではn個)のデータセット62が送信される。本実施形態においては、データセット62のそれぞれにインテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報など異なる種類のデータを割り当てる。すなわち、インテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報のそれぞれは、データ送信局装置1から、通常、異なる送信データレートで送信される。
【0029】
これらのデータセット62のそれぞれは、1以上(図2の例ではm個)のデータユニット621により構成され、さらに、そのデータユニット621は、データタイプ番号とデータビットと誤りチェックビットとを含んで構成される。
【0030】
ここで、データタイプ番号とは、それに後続するデータビットが表す情報の意味を識別するための番号である。なお、本実施形態の場合、衛星軌道補正情報、時刻補正情報、電離層補正情報、大気補正情報などの補正情報、軌道予測情報、時刻予測情報などの捕捉支援情報、準天頂衛星3のミラー送信装置の稼動状態情報などのインテグリティ情報が、適宜、データユニット621のデータビットのフィールドに設定され、それらの情報を識別するための番号がデータタイプ番号のフィールドに設定される。
【0031】
誤りチェックビットは、プリアンブルデータ61に付加された誤りチェックビットと同様に、それぞれのデータユニット621の通信誤りを検出するための付加ビットであり、例えば、巡回冗長符号などにより生成される。なお、この誤りチェックビットは、ファイア符号など誤り訂正可能な符号により生成してもよい。
【0032】
なお、図2の例では、データセット62は可変長、データユニット621は固定長であるように記載しているが、必ずしもそれに限定される必要はない。データセット62が固定長、データユニット621が可変長であってもよく、両者ともに固定長、両者ともに可変長であってもよい。
【0033】
図3は、データ送信局装置1から送信されるフレームデータ6のタイミングチャートを模式的に表した図であり、(a)は、送信されるフレームデータ6をプリアンブルデータ61とデータセット62のレベルで表したタイミングチャート、(b)は、送信されるフレームデータ6をビットシリアル信号として表したタイミングチャートである。なお、図3(b)に示されているプリアンブルデータ61およびデータセット62のビット長は、作図の便宜上短くしているが、実際には、もっと長いビット長であることが多い。
【0034】
本実施形態の特徴は、データ送信局装置1が複数のデータセット62をそれぞれ異なった送信データレートで送信することにある。図3の例では、データセット#1は10bpsの送信データレートで、データセット#2は20bpsの送信データレートで、・・・、データセット#nは100bpsの送信データレートで送信されている。
【0035】
一般に、データ送信局装置1が送信したデータの送信データレートが遅ければ遅いほど、データ受信端末装置2においては、その送信データの伝送信号の受信強度は高くなる。また、逆に、データ送信局装置1が送信したデータの送信データレートが速ければ速いほど、データ受信端末装置2においては、その送信データの伝送信号の受信強度は低くなる。従って、同じフレームデータ6に速い送信データレートのデータと遅い送信データレートのデータとを混在させると、例えば、ビルの中では、速い送信データレートのデータについては受信できなくても、遅い送信データレートのデータについては受信できるようになる可能性がある。
【0036】
そこで、本実施形態においては、例えば、n=3とし、データセット#1をインテグリティ情報、データセット#2を捕捉支援情報、データセット#3を補正情報とすることができる。その場合には、これらのデータセット#1,#2,#3を受信するデータ受信端末装置2は、インテグリティ情報を捕捉支援情報よりも送信データレートが遅いだけ感度よく受信することができ、同様に、捕捉支援情報を補正情報よりも送信データレートが遅いだけ感度よく受信することができる。そのため、データ受信端末装置2は、補正情報についてはビルの内部では受信できなくなっても、インテグリティ情報や捕捉支援情報については、ビルの内部であっても、窓際や出入り口付近であれば受信することができる。
【0037】
従って、データ受信端末装置2は、ビル内にあっては、いつもではなくても、ある確率でインテグリティ情報や捕捉支援情報を取得することができ、また、ビルの外へ持ち出されようとするときには、出入り口付近において、それらの情報を取得する可能性が極めて大きくなる。そのため、データ受信端末装置2は、ビルの外へ持ち出されたときには、ほぼインテグリティ情報や捕捉支援情報を取得した状態にあるといってよい。
【0038】
そのため、このようなデータ受信端末装置2を含んで構成されたGPS測位装置5は、それがビルの外に持ち出されたときには、速やかにGPS衛星4の電波を捕捉することができ、すぐに位置測位を行うことができる。また、そのときには、データ受信端末装置2は、補正データをも受信することができるので、GPS測位装置5は、その補正データに基づきGPS受信機によって検出された位置情報を補正することができる。
【0039】
なお、図3において、プリアンブルデータ61は、そのなかで最も遅い送信データレートと同じ送信データレートで送信されるとしている。これは、最も遅い送信データレートのデータセット62を受信するためには、最も遅い送信データレートでも同期化が可能でなければならないからである。また、図3に示したように、先に位置するデータセット62であるほど遅い送信データレートで送信するようにするのが好ましい。先に速い送信データレートのデータセット62があると、それをデータ受信端末装置2が受信したときに、その速い送信データレートのデータセット62を受信できなかったときには、そのデータセット62のビット長のカウントができず、後続の遅い送信データレートのデータセット62をも受信できなくなる可能性があるからである。
【0040】
<ブロック構成および動作>
次に、図4を参照して、データ送信局装置1およびデータ受信端末装置2について、その機能ブロックの構成例とその機能ブロックの動作とについて説明する。ここで、図4は、データ送信局装置1およびデータ受信端末装置2の機能ブロックの構成例を示した図である。
【0041】
図4に示すように、データ送信局装置1は、送信データ入力部11、送信データ記憶部12、プリアンブルデータ生成部13、フレームデータ生成部14、送信データレート設定部15、フレームデータ出力部16、伝送信号送出部17を含んで構成される。また、データ受信端末装置2は、伝送信号受信部21、プリアンブルデータ再生部22、受信データレート設定部23、データセット再生部24、受信データ記憶部25、受信データ出力部26を含んで構成される。
【0042】
(データ送信局装置)
図4において、送信データ入力部11は、データ生成装置(図示せず)からそのデータ生成装置によって生成されたインテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報などの情報を入力し、その入力した情報を送信データ記憶部12に一時記憶する。また、送信データ入力部11は、同様にデータ生成装置から、インテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報などの情報のビット長および送信データレートなどを入力し、プリアンブルデータ生成部13に提供する。
【0043】
プリアンブルデータ生成部13は、送信データ入力部11から提供された送信データレート、ビット長などのデータに基づき送信制御データ611(図2参照)のデータ部分を生成し、さらに、図示しない誤りチェックビット生成部により生成した誤りチェックビットを付加して全体の送信制御データ611を生成する。次に、プリアンブルデータ生成部13は、その生成した送信制御データ611の前に、所定のビットパターンをした同期データなどを付してプリアンブルデータ61を生成する。
【0044】
フレームデータ生成部14は、送信データ記憶部12に一時記憶されているインテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報などに基づき、データユニット621(図2参照)のデータ部分(データタイプ番号およびデータビット)を生成し、さらに、図示しない誤りチェックビット生成部により生成した誤りチェックビットを付加して全体のデータユニット621を生成する。次に、フレームデータ生成部14は、生成したデータユニット621を、適宜、連結して、データセット62(データセット#1〜データセット#n)を生成し、送信データ記憶部12に一時記憶する。さらに、フレームデータ生成部14は、プリアンブルデータ生成部13により生成されたプリアンブルデータ61とデータセット62(データセット#1〜データセット#n)とを連結してフレームデータ6を生成する。
【0045】
フレームデータ出力部16は、フレームデータ生成部14によって生成されたフレームデータ6を、図3(b)に示したようなビットシリアル信号として出力する。なお、フレームデータ出力部16は、フレームデータ6をビットシリアル信号として出力するときには、プリアンブルデータ61およびデータセット62ごとに送信データレート設定部15が指示する送信データレートでそのビットシリアル信号を出力する。
【0046】
なお、送信データレート設定部15は、プリアンブルデータ61およびデータセット62ごとの送信データレートを指示するときには、プリアンブルデータ生成部13によって生成された送信制御データを参照し、その参照した送信制御データから各々のデータセット62に対する送信データレートを取得する。ただし、プリアンブルデータ61部分の送信データレートは、あらかじめ定められた所定の値であるとする(通常、その値は、プリアンブルに後続する最初のデータセット62(データセット#1)に対する送信データレートと同じにする)。
【0047】
伝送信号送出部17は、フレームデータ出力部16から出力されるフレームデータ6のビットシリアル信号に基づき、所定の伝送信号を変調し、変調した伝送信号を図示しないアンテナを介して送出する。なお、伝送信号の変調方式は、振幅変調方式、周波数変調方式、位相変調方式またはこれらを組み合わせた変調方式のいずれであってもよい。
【0048】
(データ受信端末装置)
図4において、伝送信号受信部21は、データ送信局装置1から送信された伝送信号、すなわち、準天頂衛星3(図1参照)によって再送信された伝送信号を受信し、受信した伝送信号を復調して、ビットシリアル信号のフレームデータ6を出力する。
【0049】
プリアンブルデータ再生部22は、伝送信号受信部21から出力されるビットシリアル信号を所定の受信データレートでサンプリングし、そのサンプリングした受信データから所定のビットパターンの同期データを検出し、プリアンブルデータ61に含まれる送信制御データを再生する。
【0050】
データセット再生部24は、伝送信号受信部21から出力されるビットシリアル信号のうち、プリアンブルデータ61に後続する部分のビットシリアル信号を、受信データレート設定部23が指示する受信データレートでサンプリングする。次に、データセット再生部24は、そのサンプリングした受信データからデータセット62(データセット#1〜データセット#n)を再生し、再生したデータセット62(データセット#1〜データセット#n)を受信データ記憶部25に一時記憶する。
【0051】
なお、受信データレート設定部23は、データセット62ごとの受信データレートを指示するときには、プリアンブルデータ再生部22によって再生された送信制御データを参照し、その参照した送信制御データから各々のデータセット62に対する送信データレートを取得する。
【0052】
受信データ出力部26は、受信データ記憶部25に一時記憶されたデータセット62(データセット#1〜データセット#n)をデータユニット621に分解し、分解したそれぞれのデータユニット621を図示しない誤りチェック部によってチェックし、データユニット621に含まれるデータ(インテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報など)のうち誤りのないデータを、データ受信端末装置2の外に出力する。
【0053】
なお、受信データ出力部26によって出力されたインテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報などのデータは、データ受信端末装置2を含んで構成されたGPS測位装置5などで、適宜、利用される。すなわち、GPS測位装置5は、データ受信端末装置2によって、データ送信局装置1から遅い送信データレートで送信されたインテグリティ情報、捕捉支援情報については、ビルの窓際や出入り口においても、誤りなく受信することができる。また、ビルの外にあっては、GPS測位装置5は、データ受信端末装置2によって、速い送信データレートで送信された補正情報も誤りなく受信することができる。
【0054】
<具体的な構成例>
続いて、図5〜図10を参照して、データ送信局装置1およびデータ受信端末装置2について、その機能および動作を実現するための具体的な構成の例について説明する。
【0055】
(データ送信局装置)
図5は、本実施形態に係るデータ送信局装置1を送信データプロセッサ100によって構成した例を示した図である。図5に示すように、送信データプロセッサ100は、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102を含んだ情報処理装置であり、さらに、送信データ出力レジスタ103、送信クロック生成回路104、送信クロックレート設定レジスタ105、入力レジスタ106などを含む。
【0056】
データ送信局装置1を構成する各機能ブロック(図4参照)の機能は、伝送信号送出部17など一部の機能ブロックの機能を除き、この送信データプロセッサ100によって実現される。すなわち、データ送信局装置1の各機能ブロック(送信データ入力部11、送信データ記憶部12、プリアンブルデータ生成部13、フレームデータ生成部14、送信データレート設定部15、フレームデータ出力部16)の動作を実現するためのプログラムをメモリ102に格納しておき、CPU101がそのプログラムを、適宜、実行するようにする。つまり、CPU101がプログラムを実行することにより、データ送信局装置1の各機能ブロックの動作が実現される。
【0057】
また、メモリ102は、送信データ記憶部12として機能し、CPU101がプログラムを実行する際に使用する種々のデータを一時記憶する。そのデータとしては、例えば、送信するデータセット62(データセット#1〜データセット#n)、そのデータセット62の数(n)、データセット#1〜データセット#nそれぞれのビット長(ビット長#1〜ビット長#n)および送信データレート(送信レート#1〜送信レート#n)などがある。
【0058】
図5において、入力レジスタ106は、データ生成装置10から入力されるインテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報などのデータを一時記憶する所定のビット長のレジスタである。入力レジスタ106に一時記憶されたデータは、CPU101によって読み取られ、メモリ102の所定の領域に格納される。
【0059】
送信クロックレート設定レジスタ105は、プリアンブルデータ61およびデータセット62の送信データレートを設定するためのレジスタである。また、送信クロック生成回路104は、その送信データレートに相当する周期のクロックを生成する回路であり、例えば、高周波の基本クロックを分周する分周回路などで構成され、送信クロックレート設定レジスタ105に設定された送信データレートを参照して、その送信データレートに相当する周期のクロックを出力する。
【0060】
送信データ出力レジスタ103は、所定のビット長の並列データを一時記憶するバッファレジスタとそのバッファレジスタに記憶されたデータを直列データに変換する並直列変換回路と、直列データに変換されたデータをシフトして出力するシフトレジスタによって構成される。CPU101がこのバッファレジスタに送信データを書き込むと、その送信データは、所定のタイミングでシフトレジスタへ移された後、そのシフトレジスタから直列データとして出力される。そして、そのシフトレジスタから出力された信号は、ビットシリアル信号として伝送信号送出部17へ入力される。なお、このシフトレジスタは、前記送信クロック生成回路104から出力されるクロックによって動作する。
【0061】
図6は、送信データプロセッサ100におけるフレームデータ出力プログラムのフローチャートの例を示した図である。このフレームデータ出力プログラムは、フレームデータ出力部16および送信データレート設定部15(図4参照)の動作を実現するためのプログラムである。なお、このプログラムを実行するときには、プリアンブルデータ生成部13およびフレームデータ生成部14に相当するプログラム(フローチャートでの図示を省略)によって、プリアンブルデータ61およびデータセット62を構成するデータは、すでに、メモリ102に格納されているものとする。また、説明を分かりやすくするため、プリアンブルデータ61は、同期データと送信制御データ611とだけで構成されているものとする。
【0062】
図6において、CPU101は、まず、送信クロックレート設定レジスタ105を初期化する(ステップS01)。すなわち、CPU101は、送信クロックレート設定レジスタ105にプリアンブルデータ61に対してあらかじめ定められた所定の送信クロックレートを設定する。続いて、CPU101は、所定のビットパターンの同期データを送信データ出力レジスタ103に書き込み(ステップS02)、フレームデータ6の出力を開始する。
【0063】
次に、CPU101は、データセット数(n)、データセット62(データセット#1〜データセット#n)それぞれのビット長(ビット長#1〜ビット長#n)および送信データレート(送信レート#1〜送信レート#n)を含んで構成された送信制御データ611を送信データ出力レジスタ103に書き込む(ステップS03)。なお、送信制御データ611のビット長は、通常、送信データ出力レジスタ103のビット長よりも長い場合が多く、その場合には、送信制御データ611を分割し、その分割した送信制御データ611を複数回に分けて送信データ出力レジスタ103に書き込む(この事情は、後記するデータセット62のデータユニット621の場合も同じであるが、同様の「なお書き」の記載は、以下省略する)。
【0064】
次に、CPU101は、データセット62を出力するために、データセット数をカウントするためのカウンタNを初期化、つまり、N=1とする(ステップS04)。なお、ここでは、フレームデータ6に含まれるデータセット62の数をnとする。そして、CPU101は、送信クロックレート設定レジスタ105に当該データセット62(データセット#N)に対応する送信データレート(送信レート#N)をセットする(ステップS05)。
【0065】
次に、データセット62に含まれるデータユニット621を出力するために、データユニット数をカウントするためのカウンタMを初期化、つまり、M=1とする(ステップS06)。なお、ここでは、データセット62に含まれるデータユニット621の数をmとする。そして、CPU101は、データセット#Nに含まれるデータユニット#Mのデータを送信データ出力レジスタ103に書き込む(ステップS07)。なお、このとき、データユニット#Mの誤りチェックビットは、図示しない誤りチェックビット生成回路などによって生成され、データユニット#Mに組み入れられているものとする。
【0066】
次に、CPU101は、データセット#Nのすべてのデータユニット#Mを出力したか否か、つまり、M=mであるか否かを判定し(ステップS08)、M=mでなかったときには(ステップS08でNo)、カウンタMをカウントアップ、つまり、M=M+1とし(ステップS09)、再度、ステップS07を実行する。
【0067】
一方、ステップS08においてM=mであったときには(ステップS08でYes)、さらに、すべてのデータセット#Nを出力したか否か、つまり、N=nであるか否かを判定する(ステップS10)。そして、その判定の結果、N=nでなかったときには(ステップS10でNo)、カウンタNをカウントアップ、つまり、N=N+1とし(ステップS11)、再度、ステップS05以下の処理を実行する。また、ステップS10の判定においてN=nであったときには(ステップS10でYes)、すべてのデータセット62を出力し終えたことになるので、このプログラムの実行を終了する。
【0068】
(データ受信端末装置)
図7は、本実施形態に係るデータ受信端末装置2を受信データプロセッサ200によって構成した例を示した図である。図7に示すように、受信データプロセッサ200は、CPU201、メモリ202を含んだ情報処理装置であり、さらに、受信データ入力レジスタ203、受信クロック生成回路204、受信クロックレート設定レジスタ205、出力レジスタ206、同期データ検出回路207などを含む。
【0069】
データ受信端末装置2を構成する各機能ブロック(図4参照)の機能は、伝送信号受信部21など一部の機能ブロックの機能を除き、この受信データプロセッサ200によって実現される。すなわち、データ受信端末装置2の各機能ブロック(プリアンブルデータ再生部22、受信データレート設定部23、データセット再生部24、受信データ出力部26)の動作を実現するためのプログラムをメモリ202に格納しておき、CPU201がそのプログラムを、適宜、実行するようにする。つまり、CPU201がプログラムを実行することにより、データ受信端末装置2の各機能ブロックの動作が実現される。
【0070】
また、メモリ202は、受信データ記憶部25として機能し、CPU201がプログラムを実行する際に使用する種々のデータを一時記憶する。そのデータとしては、例えば、受信したデータセット62(データセット#1〜データセット#n)、そのデータセット62の数(n)、データセット#1〜データセット#nそれぞれのビット長(ビット長#1〜ビット長#n)および送信データレート(送信レート#1〜送信レート#n)などがある。
【0071】
図7において、受信データ入力レジスタ203は、所定のビット長のシフトレジスタと、そのシフトレジスタの直列データを並列データに変換する直並列変換回路と、並列データに変換されたデータを一時記憶するバッファレジスタとによって構成される。ここで、そのシフトレジスタには伝送信号受信部21によって復調されたビットシリアル信号が入力され、そのビットシリアル信号レベルを、受信クロック生成回路204によって生成された受信クロックによってサンプリングし、そのサンプリングしたデータを前記シフトレジスタにシフト入力する。前記シフトレジスタにシフト入力された受信データ(ビットシリアル信号)は、所定のビットごとに並列データに変換され、前記バッファレジスタに一時記憶される。
【0072】
なお、受信データ入力レジスタ203は、同期データ検出回路207から出力される同期データ検出信号により初期化される。そして、その後、シフトレジスタに所定のビット数のデータが入力されるたびに直並列変換が行われ、シフトレジスタのデータがバッファレジスタへ転送される。このとき、受信データ入力レジスタ203は、その旨をCPU201に通知し、CPU201に対し、バッファレジスタに一時記憶されたデータの読み取りを求める。
【0073】
同期データ検出回路207は、受信データ入力レジスタ203のシフトレジスタのデータを所定のビットパターンの同期データとビットごとに比較する比較回路によって構成され、その比較回路により、シフトレジスタのデータが同期データのビットパターンと一致したときには、同期データを検出したことを示す同期データ検出信号を出力する。
【0074】
受信クロックレート設定レジスタ205は、プリアンブルデータ61およびデータセット62の受信データレートを設定するためのレジスタである。また、受信クロック生成回路204は、その受信データレートに相当する周期のクロックを生成する回路であり、例えば、高周波の基本クロックを分周する分周回路などで構成され、受信クロックレート設定レジスタ205に設定された受信データレートを参照して、その受信データレートに相当する周期のクロックを出力する。
【0075】
出力レジスタ206は、受信したデータセット62のデータユニット621に含まれるインテグリティ情報、捕捉支援情報、補正情報などのデータを、CPU201が外部のデータ応用装置20に出力するときに、一時記憶するためのレジスタである。なお、データ応用装置20は、本実施形態では、GPS測位装置5に相当する。
【0076】
図8は、受信データプロセッサ200におけるフレームデータ再生プログラムのフローチャートの例を示した図である。なお、このフレームデータ再生プログラムは、プリアンブルデータ再生部22、受信データレート設定部23およびデータセット再生部24(図4参照)の動作を実現するためのプログラムである。
【0077】
図8において、CPU201は、まず、プリアンブルデータ61を受信するために、受信クロックレート設定レジスタ205およびデータセット受信中フラグを初期化する(ステップS01)。すなわち、CPU201は、受信クロックレート設定レジスタ205にあらかじめ定められた所定の受信クロックレートを設定し、データセット受信中フラグに0をセットする。ここで、データセット受信中フラグは、メモリ202の所定の領域に記憶されるフラグである。
【0078】
次に、CPU201は、同期データ検出回路207が出力する同期データ検出信号を監視し、同期データ検出回路207が同期データを検出したか否かを判定する(ステップS22)。その判定の結果、同期データ検出回路207が同期データを検出していないときには(ステップS22でNo)、再度、同期データを検出したか否かを判定する(ステップS22)。一方、同期データ検出回路207が同期データを検出したときには(ステップS22でYes)、受信エラーフラグを初期化する(ステップS23)。ここで、受信エラーフラグは、メモリ202の所定の領域に記憶されるフラグである。
【0079】
続いて、ステップS22の判定において、同期データを検出したときには、CPU201は、さらに、データセット受信中フラグが1であるか否かを判定する(ステップS24)。そして、CPU201は、データセット受信中フラグが1でなかったときには(ステップS24でNo)、送信制御データ受信処理を実行し(ステップS25)、データセット受信中フラグが1であったときには(ステップS24でYes)、データセット受信処理を実行する(ステップS30)。なお、送信制御データ受信処理(ステップS25)の詳細については図9を参照し、また、データセット受信処理の詳細(ステップS30)については図10を参照して、別途、説明する。
【0080】
CPU201は、送信制御データ受信処理(ステップS25)を終了すると、受信エラーフラグが1であるか否かを判定し(ステップS26)、受信エラーフラグが1であったときには(ステップS26でYes)、送信制御データ611を正常に受信できなかったことになるので、図8のフレームデータ再生プログラムの実行を終了する。
【0081】
一方、受信エラーフラグが1でなかったときには(ステップS26でNo)、送信制御データ611を正常に受信したことになるので、CPU201は、後続するデータセット62を受信できるようにするために、データセット受信中フラグに1をセットし(ステップS27)、データセットカウンタNを初期化、つまり、N=1とする(ステップS28)。さらに、CPU201は、送信制御データ受信処理において得られたデータセット#Nに対する送信データ転送レート(送信レート#N)を、受信クロックレート設定レジスタ205にセットする(ステップS29)。
【0082】
また、CPU201は、データセット受信処理(ステップS30)を終了すると、受信エラーフラグが1であるか否かを判定し、受信エラーフラグが1であったときには(ステップS31でYes)、データセット#Nの大部分のデータユニットを正常に受信できなかったことになるので、図8のフレームデータ再生プログラムの実行を終了する。
【0083】
一方、受信エラーフラグが1でなかったときには(ステップS31でNo)、データセット#Nの大部分のデータユニットを正常に受信したことになるので、CPU201は、N=nであるか否か、つまり、フレームデータ6のデータセット62をすべて受信したか否かを判定する。なお、nは、フレームデータ6に含まれるデータセット62の数であり、これ以前に送信制御データ受信処理(ステップS25)を実行したときに取得される値である。
【0084】
その判定の結果、N=nでないときには(ステップS32でNo)、後続のデータセット62が存在することを意味するので、CPU201は、そのデータセット62を受信するために、データセットカウンタNを1つカウントアップ、つまり、N=N+1とする(ステップS33)。さらに、CPU201は、送信制御データ受信処理において得られたデータセット#Nに対する送信データ転送レート(送信レート#N)を、受信クロックレート設定レジスタ205にセットする(ステップS34)。
【0085】
一方、N=nであったときには(ステップS32でYes)、フレームデータ6のデータセット62をすべて受信したことになるので、CPU201は、図8のフレームデータ再生プログラムの実行を終了する。
【0086】
図9は、図8のフレームデータ再生プログラムのうち、送信制御データ受信処理の部分の詳細なフローチャートの例を示した図である。
【0087】
図9において、CPU201は、受信データ入力レジスタ203から受信データを読み取り(ステップS41)、その読み出した受信データを、メモリ202の所定の受信バッファ領域に一時記憶する(ステップS42)。そして、CPU201は、送信制御データ611をすべて受信したか否かを判定し(ステップS43)、送信制御データ611を、まだ、すべて受信していなかったときには(ステップS43でNo)、ステップS41へ戻って、受信データ入力レジスタ203から次の受信データを読み取る(ステップS41)。
【0088】
なお、このとき、CPU201は、ステップS41とステップS42とを繰り返して実行しながら、所定の受信バッファ領域に受信データを順次連結するように記憶していくことによって送信制御データ611を再生する。
【0089】
また、ステップS43の判定で送信制御データ611をすべて受信したときには(ステップS43でYes)、CPU201は、受信した送信制御データ611に含まれる誤りチェックビットを参照して、受信エラーがあったか否かを判定する(ステップS44)。このとき、受信データの誤りチェックは、図示しない専用の誤り検査回路(巡回符号検査回路、ファイア符号検査・復号回路など)を用いて行ってもよい。また、誤りチェックビットが訂正可能な符号であったときには、受信データの誤りが訂正不可能だったときに受信エラーがあったと判定する。
【0090】
ステップS44の判定で、受信エラーがあったときには(ステップS44でYes)、受信エラーフラグに1をセットし(ステップS45)、図9の送信制御データ受信処理を終了する。また、受信エラーがなかったときには(ステップS44でNo)、受信バッファ領域に一時記憶された送信制御データ611をデコードし(ステップS46)、そのデコードした送信制御データ611、つまり、データセット数(n)、各データセットのビット長(ビット長#1〜ビット長#n)および送信データレート(送信レート#1〜送信レー#n)をメモリ202の所定の領域に格納する(ステップS47)。そして、図9の送信制御データ受信処理を終了する。なお、デコードとは、ここでは、送信制御データ611を構成するデータをフィールドごとに分離し、メモリ202の記憶単位(バイトやワードなど)のデータに変換することをいう。
【0091】
図10は、図8のフレームデータ再生プログラムのうち、第N番目のデータセット62を受信するデータセット受信処理の詳細なフローチャートの例を示した図である。
【0092】
図10において、CPU201は、当該データセット62(データセット#N)を受信するに当たって、まず、エラーカウンタEおよびユニットカウンタMを初期化、すなわち、E=0,M=1とする(ステップS50)。ここで、エラーカウンタEは、データセット#Nを構成するデータユニット621のうち、通信エラーを生じたデータユニット621の数をカウントするカウンタである。また、ユニットカウンタMは、現在受信中のデータユニットを示すカウンタである。これらのカウンタEおよびMの値は、メモリ202の所定の領域に記憶される。
【0093】
次に、CPU201は、受信データ入力レジスタ203から受信データを読み取り(ステップS51)、その読み出した受信データを、メモリ202の所定の受信バッファ領域に一時記憶する(ステップS52)。そして、CPU201は、当該データセット(データセット#N)の当該データユニット(データユニット#M)について、そのデータユニット#Mのデータをすべて受信したか否かを判定し(ステップS53)、データユニット#Mのデータを、まだ、すべて受信していなかったときには(ステップS53でNo)、ステップS51へ戻って、受信データ入力レジスタ203から次の受信データを読み取る(ステップS51)。
【0094】
なお、このとき、CPU201は、ステップS51とステップS52とを繰り返して実行しながら、所定の受信バッファ領域に受信データを順次連結するように記憶していくことによってデータユニット#Mを再生する。
【0095】
また、ステップS53の判定でデータユニット#Mのデータをすべて受信したときには(ステップS53でYes)、CPU201は、受信したデータユニット#Mに含まれる誤りチェックビットを参照して、受信エラーがあったか否かを判定する(ステップS54)。このとき、受信データの誤りチェックは、図示しない専用の誤り検査回路(巡回符号検査回路、ファイア符号検査・復号回路など)を用いて行ってもよい。また、誤りチェックビットが訂正可能な符号であったときには、受信データの誤りが訂正不可能だったときに受信エラーがあったと判定する。
【0096】
ステップS54の判定で、受信エラーがなかったときには(ステップS54でNo)、CPU201は、受信バッファ領域に一時記憶されたデータユニット#Mをデコードし(ステップS59)、デコードしたデータユニット#Mのデータをメモリ202の所定の領域に格納する(ステップS60)。なお、デコードとは、ここでは、データユニット621を構成するデータをフィールドごとまたは有意のデータごとに分離し、メモリ202の記憶単位(バイトやワードなど)のデータに変換することをいう。
【0097】
次に、CPU201は、データセット#Nのすべてのデータユニット621を受信したか否か、つまり、M=mであるか否かを判定する(ステップS61)。ここで、mは、データセット#Nに含まれるデータユニット621の数であるとする。そこで、M=mであったときには(ステップS61でYes)、すべてのデータユニット621を受信したことになるので、CPU201は、図10のデータセット受信処理を終了する。また、ステップS61の判定で、M=mでなかったときには(ステップS61でNo)、後続するデータユニット621があることを意味するので、CPU201は、ユニットカウンタMをカウントアップ、つまり、M=M+1とし(ステップS62)、ステップS51からの処理を再度実行する。
【0098】
次に、ステップS54の判定で、受信エラーがあったときには(ステップS54でYes)、CPU201は、エラーカウンタEをカウントアップ、つまり、E=E+1とし(ステップS55)、さらに、そのエラーカウンタEがあらかじめ設定された所定の値eに達したか否か、つまり、E=eであるか否かを判定する(ステップS56)。すなわち、ここでは、データセット#Nに含まれるデータユニット621のうち通信エラーが生じたデータユニットの数をカウントし、その数が所定の数eに達したか否かを判定する。
【0099】
そして、その判定の結果、E=eであったときには(ステップS56でYes)、データセット#Nに含まれるデータユニット621の多くに通信エラーが生じたことになる。そこで、CPU201は、データセット#N全体の受信データを破棄し(ステップS57)、エラーフラグに1をセットし(ステップS58)、図10のデータセット受信処理を終了する。
【0100】
また、ステップS56の判定で、E=eでなかったときには(ステップS56でNo)、データセット#Nに含まれるデータユニット621の一部にしか通信エラーが生じていないことを意味する。この場合には、通信エラーが生じなかったデータユニット621のデータは、使用することができるので、後続のデータユニット621を受信するために、ステップS61へ飛んで、ステップS61以降の処理を実行する。
【0101】
以上、本実施形態によれば、データ送信局装置1は、送信するデータフレーム6を、そのデータフレーム6を構成するデータセット62ごとにそれぞれ異なる送信データレートで送信することができる。また、データ受信端末装置2は、受信電波の強度と受信データレートとに応じて受信可能なデータセット62を変えることができる。すなわち、データ受信端末装置2は、受信する電波の受信環境が異なった場合には、異なった情報を受信することができるようになる。さらには、本発明を適用したGPS測位装置5にあっては、GPS衛星の電波の捕捉を迅速に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の実施形態に係る測位補強データ提供用データ通信システムの全体構成の例を示した図である。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ送信局装置からデータ受信端末装置へ送信されるフレームデータのフォーマットの例を示した図である。
【図3】本発明の実施形態におけるデータ送信局装置から送信されるフレームデータのタイミングチャートを模式的に表した図である。
【図4】本発明の実施形態におけるデータ送信局装置およびデータ受信端末装置の機能ブロックの構成例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るデータ送信局装置を送信データプロセッサによって構成した例を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る送信データプロセッサにおけるフレームデータ出力プログラムのフローチャートの例を示した図である。
【図7】本発明の実施形態に係るデータ受信端末装置を受信データプロセッサによって構成した例を示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係る受信データプロセッサにおけるフレームデータ再生プログラムのフローチャートの例を示した図である。
【図9】図8のフレームデータ再生プログラムのうち、送信制御データ受信処理の部分の詳細なフローチャートの例を示した図である。
【図10】図8のフレームデータ再生プログラムのうち、第N番目のデータセット62を受信するデータセット受信処理の詳細なフローチャートの例を示した図である。
【符号の説明】
【0103】
1 データ送信局装置
2 データ受信端末装置
3 準天頂衛星
4 GPS衛星
5 GPS測位装置
6 フレームデータ
9 測位補強データ提供用データ通信システム
10 データ生成装置
11 送信データ入力部
12 送信データ記憶部
13 プリアンブルデータ生成部
14 フレームデータ生成部
15 送信データレート設定部
16 フレームデータ出力部
17 伝送信号送出部
20 データ応用装置
21 伝送信号受信部
22 プリアンブルデータ再生部
23 受信データレート設定部
24 データセット再生部
25 受信データ記憶部
26 受信データ出力部
61 プリアンブルデータ
62 データセット
100 送信データプロセッサ
101 CPU
102 メモリ
103 送信データ出力レジスタ
104 送信クロック生成回路
105 送信クロックレート設定レジスタ
106 入力レジスタ
200 受信データプロセッサ
201 CPU
202 メモリ
203 受信データ入力レジスタ
204 受信クロック生成回路
205 受信クロックレート設定レジスタ
206 出力レジスタ
207 同期データ検出回路
611 送信制御データ
621 データユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータセットを含んだ一連のフレームデータを送信するデータ送信局装置と、前記データ送信局装置が送信する前記フレームデータを受信するデータ受信端末装置との間で行われるデータ通信方法であって、
前記データ送信局装置が、
前記フレームデータの同期データに、前記複数のデータセットそれぞれに対応付けられた送信データレートを含んだ送信制御データを連結してプリアンブルデータを生成し、
前記生成したプリアンブルデータに前記複数のデータセットを連結してフレームデータを生成し、
前記複数のデータセットそれぞれをビットシリアル信号として出力するときには、そのデータセットの出力データレートが、前記送信制御データによりそのデータセットに対応付けられた送信データレートになるようにして、前記生成したフレームデータをビットシリアル信号として出力し、
前記出力されたビットシリアル信号に基づき、所定の伝送信号を変調して送出し、
前記データ受信端末装置が、
前記データ送信局装置が送出した伝送信号を受信し、その受信した伝送信号から受信フレーム信号を復調し、
前記受信フレーム信号から前記同期データを検出することによりプリアンブルデータを再生し、
前記再生されたプリアンブルデータの送信制御データに含まれる前記複数のデータセットそれぞれに対応付けられた送信データレートに応じて、前記受信フレーム信号から前記複数のデータセットを再生すること
を特徴とするデータ通信方法。
【請求項2】
複数のデータセットを含んだ一連のフレームデータを送信するデータ送信局装置と、前記データ送信局装置が送信する前記フレームデータを受信するデータ受信端末装置とを含んで構成されたデータ通信システムであって、
前記データ送信局装置が、
前記フレームデータの同期データに、前記複数のデータセットそれぞれに対応付けられた送信データレートを含んだ送信制御データを連結してプリアンブルデータを生成するプリアンブルデータ生成手段と、
前記生成したプリアンブルデータに前記複数のデータセットを連結してフレームデータを生成するフレームデータ生成手段と、
前記複数のデータセットそれぞれをビットシリアル信号として出力するときには、そのデータセットの出力データレートが、前記送信制御データによりそのデータセットに対応付けられた送信データレートになるようにして、前記生成したフレームデータをビットシリアル信号として出力するフレームデータ出力手段と、
前記出力されたビットシリアル信号に基づき、所定の伝送信号を変調して送出する伝送信号送出手段と
を備え、
前記データ受信端末装置が、
前記データ送信局装置が送出した伝送信号を受信し、その受信した伝送信号から受信フレーム信号を復調する伝送信号受信手段と、
前記受信フレーム信号から前記同期データを検出することによりプリアンブルデータを再生するプリアンブルデータ再生手段と、
前記再生されたプリアンブルデータの送信制御データに含まれる前記複数のデータセットそれぞれに対応付けられた送信データレートに応じて、前記受信フレーム信号から前記複数のデータセットを再生するデータセット再生手段と、
を備えたこと
を特徴とするデータ通信システム。
【請求項3】
複数のデータセットを含んだ一連のフレームデータを送信するデータ送信局装置であって、
前記フレームデータの同期データに、前記複数のデータセットそれぞれに対応付けられた送信データレートを含んだ送信制御データを連結してプリアンブルデータを生成するプリアンブルデータ生成手段と、
前記生成したプリアンブルデータに前記複数のデータセットを連結してフレームデータを生成するフレームデータ生成手段と、
前記複数のデータセットそれぞれをビットシリアル信号として出力するときには、そのデータセットの出力データレートが、前記送信制御データによりそのデータセットに対応付けられた送信データレートになるようにして、前記生成したフレームデータをビットシリアル信号として出力するフレームデータ出力手段と、
前記出力されたビットシリアル信号に基づき、所定の伝送信号を変調して送出する伝送信号送出手段と
を備えたことを特徴とするデータ送信局装置。
【請求項4】
複数のデータセットを含んだ一連のフレームデータを生成するデータ送信局装置がそのフレームデータにより変調して送出した伝送信号を受信するデータ受信端末装置であって、
前記データ送信局が送出した伝送信号を受信し、その受信した伝送信号から受信フレーム信号を復調する伝送信号受信手段と、
前記受信フレーム信号から所定の同期データを検出することにより所定のプリアンブルデータを再生するプリアンブルデータ再生手段と、
前記再生されたプリアンブルデータに含まれる前記複数のデータセットそれぞれに対応付けられた送信データレートに応じて、前記複数のデータセットを前記受信フレーム信号から前記複数のデータセットを再生するデータセット再生手段と
を備えたことを特徴とするデータ受信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−248094(P2007−248094A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68533(P2006−68533)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000233295)日立情報通信エンジニアリング株式会社 (195)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】