データ通信方法、通信システム及び移動端末
【課題】上りAck/NackやCQIを送信する処理と、S−RACHを用いてSRAを送信する処理とを同時に実行すると、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまうという課題がある。
【解決手段】本発明は、下りアクセス方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いてデータの送信を行う基地局2と移動端末3とを含むLTEの通信システムにおいて、Ack/Nack専用チャネルを用いてCQI信号を送信しているときに、S−RACHを用いて上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、CQI信号の送信を停止するものである。2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネルのデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用しないので、PARR(ピーク対平均電力比)を低減できる。
【解決手段】本発明は、下りアクセス方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式を用いてデータの送信を行う基地局2と移動端末3とを含むLTEの通信システムにおいて、Ack/Nack専用チャネルを用いてCQI信号を送信しているときに、S−RACHを用いて上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、CQI信号の送信を停止するものである。2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネルのデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用しないので、PARR(ピーク対平均電力比)を低減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、“Long Term Evolution”(LTE)と呼ばれる通信システムと、この通信システムを構成する移動端末と、この移動端末が基地局に対して送信する上り制御信号の通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(HS−DSCH:High Speed−Downlink Shared Channel)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Down Link Packet Access)のサービス開始が予定されている。さらに、上り方向のデータ送信を高速化するためHSUPA(High Speed Up Link Packet Access)方式についても提案、検討されている。
W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、現在リリース6版の規格書がとりまとめられている。
【0003】
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間については“Long Term Evolution”(LTE)、コアネットワークを含めたシステム全体構成については“System Architecture Evolution”(SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.25/2.5/5/10/15/20MHzを適用し得る。また、LTEでは、W−CDMAのような回線交換ではなく、パケット通信方式のみになる。
【0004】
LTEはW−CDMAのコアネットワーク(General Packet Radio System GPRS)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。
したがって、W−CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末UE(User Equipment)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E−UTRAN NodeB、eNodeB、eNode−B)、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)はaGW(Access Gateway)と称される。
このLTEの通信システムでは、E-MBMS(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)と称されるマルチキャスト・放送型マルチメディアサービスのような1対多(Point to Multipoint)通信を実施するほか、複数の移動端末のうち個別の移動端末に対するユニキャスト(Unicast)サービスのような通信サービスも提供する。
LTEではW−CDMAと異なり、トランスポートチャネル、物理チャネルでは個別の移動端末に向けた個別のチャネル(Dedicated Channel、Dedicated Physical Channel)は存在しないので、個別の移動端末へのデータ送信は共通チャネル(Shared channel)で実施される。
【0005】
移動端末は、基地局より下りリンクを介してデータを受信すると、問題なくデータを受信できたか否かを示す信号や、受信データの品質、あるいは、下りの通信路品質を示す信号を上りリンクを介して基地局に伝達する。基地局から送信されたデータを受信できたか否かを示す応答信号をAck/Nack、受信データの品質、あるいは、下りの通信路品質を示す品質情報をCQI(Channel Quality Indicator)という。
Ack/Nackは、移動端末が下りデータを受信している場合に、そのデータを受信できたか否かを基地局へ送信するための信号であり、再送制御に用いられる。
CQIは、移動端末で測定した下りチャネル状態(通信路状態)を基地局へ送信するための信号であり、基地局での下りスケジューリングに用いられる。また、移動端末が基地局に対して送信するデータが発生したときには、移動端末は基地局に対して、上りリンクの無線リソースを割り当てるように要求する信号を送信する。このような要求信号をスケジューリングリクエスト、上りリソースリクエスト、または、上りスケジューリング要求信号(SR:Scheduling Request)という。上記のようなAck/Nack、CQI、SRを「上りL1/L2制御信号」(L1/L2 control signaling)と称する。
【0006】
図22は上りL1/L2制御信号を説明する説明図である。
図22に示すように、上りL1/L2制御信号には大きく分けて2種類ある。上りデータ付随L1/L2制御信号(data−associated L1/L2 control signaling)と、上りデータ非付随L1/L2制御信号(data−non−associated L1/L2 control signaling)である。
上りデータ付随L1/L2制御信号は、トランスポートフォーマット等の上りデータ送信(基地局側の受信)に必要な情報であり、上りデータと一緒に送信される。上りデータ非付随L1/L2制御信号には、下りリンクに関連したAck/Nack、CQI、上りデータ送信を始める前に送るスケジューリングリクエスト(SR、UL SR)等のランダムアクセス(Random Access)信号がある。
Ack/Nack、CQIは下りリンクに関連した信号であるため、上りデータ送信とは関係なく送信されるが、上りデータと同時に送信される場合がある。一方、ランダムアクセス信号には、同期ランダムアクセス(Synchronous Random Access 以下SRA)と非同期ランダムアクセス(Non−Synchronous Random Access 以下NSRA)がある。
SRAは上りリンクの時間同期が取れている状態の場合に送信され、NSRAは上りリンクの時間同期が取れていない状態の場合に送信される。
なお、上りデータ付随L1/L2制御信号もAck/Nack、CQIも、上りリンクの時間同期が取れている状態で送信される信号である。ここでは、上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIとSRAが同時に送信される状態があることを述べ、その課題と解決方法について述べる。
【0007】
上りのAck/Nack、CQIは下りリンクに関連した信号である。上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIの物理的なリソース割り当てについては、ある一つの時間-周波数領域を独占的に割り当てる方法、分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域を独占的に割り当てる方法がある(例えば、非特許文献1を参照)。
以下、これらの領域のことを、Ack/Nack専用チャネルと称する。
つまり上りデータ送信が行われていない状態においては、Ack/Nack及びCQIは、Ack/Nack専用チャネルで送信される。
更に詳しく説明すると、(1)Ack/NackとCQIの双方を送信する必要がある場合には、Ack/Nack専用チャネルにてAck/Nack且つCQIが送信され、(2)Ack/Nackを送信する必要があり、CQIを送信する必要がない場合には、Ack/Nack専用チャネルにてAck/Nackが送信され、(3)Ack/Nackを送信する必要がなく、CQIを送信する必要がある場合には、Ack/Nack専用チャネルにてCQIが送信される。(4)Ack/Nackを送信する必要がなく、CQIを送信する必要がない場合であっても、Ack/Nack専用チャネルが割当てられることも考えられる。その場合、当該チャネルにおいてAck/Nack及びCQIの双方が送信されない。
図23は上りデータ送信を行っているとき、あるいは、行っていないときにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。図23は、ある一つの時間-周波数領域を独占的に割り当てる方法を示している。
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIを、時間的にはサブフレーム単位もしくはそれ以上、周波数的には1リソースユニット単位もしくはそれ以上の領域に割り当てる。一方、上りデータと、上りデータ付随L1/L2制御信号もしくは上りデータ送信が行われている場合のAck/Nack、CQIはそれ以外の領域に割り当てられる。
【0008】
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQI、つまりAck/Nack、CQIのみの信号をその信号専用として独占的な領域に割り当てる事によって、Ack/Nack、CQI信号を送信する期間を大きくでき、従って広いカバレッジを得ることができる。
図24はAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。図24は、分離した狭帯域の複数の時間−周波数領域(図24 A、B)をAck/Nack、CQI用に独占的に割り当てる方法を示している。
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIを、時間的にはサブフレーム単位、周波数的にはサブキャリア単位でいくつかの分離した領域に割り当てる。周波数領域をいくつかに分離(例えば、図24A、B)することによって、周波数ダイバーシチゲインを得ることができる。
どちらの方法においても、ひとつの領域には、ひとつまたは複数の移動端末のAck/Nack、CQIを割り当てることができる。ひとつの領域に、ひとつまたは複数の移動端末のAck/Nack、CQIを多重する方法として、FDM(Frequency Division Multiplex)/TDM(Time Division Multiplex)/CDM(Code Division Multiplex)を用いて各移動端末毎の直交性を確保することが検討されている。また、基地局でのAck/Nack、CQIの受信品質を確保するために、Ack/Nack、CQIを繰り返し(repetition)送信して電力を増加させることが検討されている。具体的には、1送信時間区間(Transmission Time Interval TTI)内で同じサブフレームを2回繰り返したり、サブフレーム内の複数のLB(Long Block)にAck/Nack、CQIのビットを繰り返し埋め込んで送信する方法等がある。
【0009】
同期ランダムアクセス(Synchronous Random Access SRA)は上りリンクの時間同期が取れている状態(言い換えれば、移動端末がActiveモード)の場合に送信される、上りデータ送信を始める前に送るスケジューリングリクエスト(SR)のための信号である。SRAの物理的なリソース割り当てについては、ある一つの時間−周波数領域を独占的に割り当てる方法がある(非特許文献3:TR25。814V7。0。0)。図25は、S−RACHに上りスケジューリング要求信号を割り当てた無線リソースを示す説明図である。図25は、ある一つの時間−周波数領域を独占的に割り当てる方法を示している。
時間的にはサブフレーム単位、周波数的には1リソースユニット単位もしくはそれ以上の領域に割り当てる。以下、これらの領域のことをS―RACH(Synchronous Random Access CHannel)と称する。一方、上りデータはそれ以外の領域に割り当てられる。したがって、SRAとデータは時間と周波数のいずれか、あるいは両方で多重される。
移動端末がどの領域でSRAを送信するかは、あらかじめ決められているか、もしくは前もって基地局より通知される。一つの領域にはひとつまたは複数の移動端末のSRAが割り当てられる。複数の移動端末のSRAの送信が同じ領域で発生した場合、各移動端末からの信号が衝突してしまう。
各移動端末からのSRAが衝突して基地局で受信できなかった場合、通常は、それぞれの移動端末が異なる時間間隔と異なる領域のいずれか、あるいは両方で再度送信を繰り返す。また、衝突する確率を減らすため、FDM/TDM/CDMを用いて各移動端末の直交性を確保する方法が検討されている。
【0010】
同期ランダムアクセスSRAの物理的なリソース割当てとして、スケジュールドチャネルを用いることも検討されている(非特許文献4)。
スケジュールドチャネルとは、S−RACHのように複数の移動端末からの信号の衝突(または競合という)を許すチャネルとは異なり、対象となる一つ一つの移動端末への割当てがスケジュールドされたチャネルである。この場合、あらかじめ移動端末毎に割当てられた領域が決まっているため、複数の移動端末からの信号の競合が無いため、移動端末が送信したSR信号としてセル内での移動端末のID番号(UE−ID)を送る必要がない。それゆえ、上りSRAをスケジュールドチャネルで送った場合は、上りSR信号の情報量を少なくできる。
【0011】
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIと同期ランダムアクセス(SRなどの)の同時送信をする場合の処理について説明する。
上りAck/Nack、CQIは、移動端末が下りデータを受信している場合に、その受信状況に応じて基地局へ送信する信号である。一方SRAは、上りデータ送信を始める前に基地局へ送るSR等のための信号である。これらの信号の内容は独立であるため、同時に送信される場合が生じる。
図26は、上りデータ送信が行われていない場合のAck/NackとSRAが同時に送信される場合の一例を示している。
移動端末が下りデータを連続受信している時に、上りデータ送信が発生する場合である。移動端末は下りデータを連続で受信している。データはTTI単位毎に復調、デコードされる。移動端末は受信した下りデータの受信状況に応じて、受信判定結果の結果情報(Ack/Nack)を基地局に伝達する。移動端末は基地局からの送信データを正常に受信すると、基地局に対してAck信号を送信する。Ackを受信した基地局は、次に新しいデータを送信する。逆に、基地局から送信された送信データが正常に受信できなかったとき、基地局に対してNack信号を送信する。Nackを受信した基地局は移動端末にて正常に受信出来なかったデータを再送する。
【0012】
上りAck/Nackの物理的リソースへの割り当ては上記説明のように、分離した狭帯域の複数の時間−周波数領域を独占的に割り当てる。このため、上りAck/Nackも連続して送信されることになる。一方、移動端末に上りデータが発生した場合、その上りデータを送信する前に、基地局へスケジューリングリクエストSRを送信する。SRの物理的リソースの割り当ては上記説明のように、ある一つの時間−周波数領域を独占的に割り当てる。したがって、図に示すように、ある時間に上りデータが発生した場合、短い遅延時間の後にSRが発生する。
移動端末が送信したSR信号を基地局が受信できなかった場合、移動端末は再度SR信号を送信する。以上から分るように、例えば移動端末が下りデータを連続受信している時に、上りデータ送信が発生した場合、上りAck/Nackと上りSRAを同時に送信しなければならない状況が生じる。また、たとえ、移動端末が下りデータを連続受信ではなく不連続に受信している場合でも、その受信データに対する上りAck/Nackを送信している場合は、上りSR信号の送信が同時に行われてしまう場合が生じることがわかる。
【0013】
同様に、基地局へ送信するスケジューリングリクエストSRの物理的なリソース割当てとして、スケジュールドチャネルを割当てた場合も、上りAck/Nackと上りSRAを同時に送信しなければならない状況が生じることが考えられる。
非特許文献4ではスケジュールドチャネルとしてどのようなチャネルを用いるか、また、物理的リソースとして時間−周波数領域をどのように割当てるかについて、何も記載されていないため、例えば、スケジューリングリクエストSR専用の1bitの物理リソースを割当てたチャネルを考えたとしても、移動端末が下りデータを連続受信している時は上りAck/Nackを連続して送信せねばならず、この時に上りデータ送信が発生した場合、上りAck/Nackと上りSRAを同時に送信しなければならない状況が生じてしまうことがわかる。
【0014】
また、非特許文献4においては、本発明の明細書で示すような「発明の課題」及び「発明の効果」についての示唆はない。
非特許文献5には、上りスケジューリングリクエストを既に存在するCQI送信用のチャネル(CQICH)、あるいは、Ack/Nack送信用のチャネル(ACHCH)といった個別の上り制御チャネルにて送信することが記載されている。それにより、遅延(Delay)の少ない上りスケジューリングリクエストの送信手順を確立できるとしている。
しかし、非特許文献5においては、本発明の明細書で示すような「発明の課題」及び「発明の効果」についての示唆はない。
【0015】
非特許文献5では、上りスケジューリングリクエストをCQI送信用チャネル(CQICH)、あるいは、Ack/Nack送信用チャネル(ACHCH)にて送信することのみが記載されており、CQICHとACHCHを物理的リソースとして時間-周波数領域にどのように割当てるかについて、何も記載されていない。そのため、例えばCQI送信用のチャネル(CQICH)にて上りスケジューリングリクエストを送信した場合を考えたとしても、移動端末が下りデータを連続受信している時は、上りAck/Nackを連続して送信せねばならず、この時に上りデータ送信が発生した場合、上りAck/Nack(ACHCH)と上りスケジューリングリクエスト(CQICH)を同時に送信しなければならない状況が生じてしまうことがわかる。
よって非特許文献5においては、本発明の明細書で示す「発明の課題」が解決されないことがわかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP寄書R1―062741
【非特許文献2】3GPP寄書R1―062742
【非特許文献3】3GPP TR25.814V7.0.0
【非特許文献4】3GPP寄書R1―062719
【非特許文献5】3GPP寄書R1―062571
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来のLTEの通信システムは以上のように構成されているので、上りのアクセス方式にSC―FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access DFT−spread OFDMとも称される)が用いられる。SC―FDMAはシングルキャリア伝送であるため、OFDMのように各サブキャリア上にシンボルデータを乗せて送信するマルチキャリア伝送と比べて、PAPR(Peak to Average Power Ratio ピーク対平均電力比)を低く抑えることができるという特徴を有している。したがって、移動端末の送信時の消費電力を低くでき、また、規定された隣接チャネル漏洩電力を満たす送信電力を増大することができるため、セルカバレッジが広がるという利点を有する。しかし、移動端末は、状況によっては、Ack/Nack専用チャネルを用いて上りAck/NackやCQIを送信する処理と、S−RACHもしくはスケジュールドチャネル、あるいは、CQICH、ACHCHを用いて、上りスケジューリング要求信号(SR)を送信する処理とを同時に実行しなければならない場合が生じる。この場合、それぞれの信号は無相関であるため、時間的に同時に送信されると、シングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまう課題があった。さらには、PAPRが高くなることにより、他の移動端末や通信システムへの妨害波となってしまうという課題があった。
【0018】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、一時的な物理チャネルの増加による無線リソース負荷の増加を防止することができるとともに、PAPR(ピーク対平均電力比)を低減することができるデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明に係るデータ通信方法は、下りアクセス方式としてOFDM方式を用いてデータの送信を行う基地局と、下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末とを備えた通信システムで実行されるデータ通信方法において、前記移動端末は、前記品質通知信号を前記基地局に送信する品質通知処理と、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信するスケジューリング要求信号送信処理と、前記品質通知処理と前記スケジューリング要求信号送信処理の処理タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知処理を停止させる制御処理とを実行するようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
このことによって、2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネル(Ack/Nack専用チャネルとS−RACH)のデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用せずに済むため、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防止することができるとともに、PAPR(ピーク対平均電力比)を低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】LTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。
【図2】LTEの通信システムで使用されるチャネルの構成を示す説明図である。
【図3】移動端末の構成を示すブロック図である。
【図4】基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】Ack/Nack専用チャネルと上りスケジューリング要求信号SR送信用のS―RACHに割り当てる無線リソースを説明する説明図である。
【図6】上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
【図7】上りスケジューリング要求信号送信から上りデータ送信開始までの一連の処理を説明するフローチャートである。
【図8】上りスケジューリング要求信号送信から上りデータ送信開始までの一連の処理を説明するフローチャートである。
【図9】Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
【図10】Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
【図11】Ack/Nack専用チャネルと上りスケジューリング要求信号SR送信用のS―RACHに割り当てる無線リソースを説明する説明図である。
【図12】Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
【図13】上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
【図14】Ack/Nack専用チャネルで送信する上りスケジューリング要求信号のマッピング例を説明した説明図である。
【図15】上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。
【図16】上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。
【図17】UL−SCHとRACHの無線リソース割り当てを示す説明図である。
【図18】上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
【図19】S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQI、SRをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【図20】S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQI、SRをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【図21】S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQI、SRをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【図22】上りL1/L2制御信号を説明する説明図である。
【図23】上りデータ送信を行っているとき、あるいは行っていないときにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。
【図24】Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。
【図25】S−RACHに上りスケジューリング要求信号を割り当てた無線リソースを示す説明図である。
【図26】上りデータ送信が行われていない場合のAck/NackとSRAが同時に送信される場合の一例を示す説明図である。
【図27】Ack/Nack専用チャネルで送信する上りスケジューリング要求信号のマッピング例を説明した説明図である。
【図28】第一の設定例の場合のシーケンス図である。
【図29】第一の設定例の場合の移動端末内処理フロー図である。
【図30】第一の設定例の場合の基地局内の処理フロー図である。
【図31】第二の設定例の場合のシーケンス図である。
【図32】第二の設定例の場合の移動端末内処理フロー図である。
【図33】第二の設定例の場合の基地局内処理フロー図である。
【図34】上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末内の詳細構成図である。
【図35】実施の形態7における上りデータ送信中のSounding RSの無線リソース割当ての説明図である。
【図36】上り、下り共にデータ通信が行なわれていない状態で、上り送信要求が発生した場合の具体的なシーケンス図である。
【図37】移動局が基地局と同期していて、かつ、上りデータ送信がない状態から、送信要求が発生する場合のフローチャートを示したフロー図である。
【図38】基地局が通常のSounding RSのBWを複数設定していた場合における無線リソースの割当て方法、及び、移動端末UE1の無線リソース割当て経緯を示す説明図である。
【図39】基地局eNodeBによるSounding RSのBW設定を示すフローチャートである。
【図40】基地局eNodeB側がBWを選択する場合の判断方法を示すフローチャートである。
【図41】移動端末側でBWを選択する場合の判断方法を示すフローチャートである。
【図42】1つのUE群内の複数のUEにおける無線リソース割当ての説明図である。
【図43】UE群毎にSounding RS領域を設定する場合の説明図である。
【図44】上りスケジューリング要求信号の機能を兼ね備えたサウンディング用リファレンス信号の生成方法の説明図である。
【図45】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図46】移動端末がサウンディング用リファレンス信号を送る場合のサウンディング用パイロットの割当ておよび移動端末固有のコードの割当て方法の説明図である。
【図47】サウンディングパイロットの一部をスケジューリングリクエスト用のシンボルとしたパイロットパターンを示す説明図である。
【図48】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図49】サウンディング用リファレンス信号の生成例の説明図である。
【図50】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図51】サウンディング用リファレンス信号の生成例の説明図である。
【図52】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図53】ある間隔でサウンディング用のリファレンス信号を送信している場合の説明図である。
【図54】ある間隔で送信しているサウンディング用のリファレンス信号の中に上りスケジューリング要求信号を兼ねたものである場合の説明図である。
【図55】Ack/Nack専用チャネル領域のある場合の時間-周波数リソースの説明図である。
【図56】サウンディング用RSの領域をシステム全帯域に割当てた場合の時間-周波数リソースの説明図である。
【図57】時間-周波数リソースの説明図である。
【図58】時間-周波数リソースの説明図である。
【図59】サウンディングRS用領域において上りスケジューリング要求信号を送信する場合の移動端末での送信シンボルマッピングの説明図である。
【図60】スケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図61】スケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図62】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図63】上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図64】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図65】上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図66】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はLTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。図1において、aGW1は複数の基地局(eNodeB)2と制御データやユーザデータの送受信を行い、基地局2は複数の移動端末3に対してデータの送受信を行う。基地局2と移動端末3間においては、報知情報、着呼処理に用いられる情報、個別制御データ、個別ユーザデータ、E−MBMS用の制御データやユーザデータ等が送信される。また、基地局2同士がお互いに通信することも検討されている。
基地局2は上り及び下りのスケジューラを有する。スケジューラは、基地局2と各移動端末3のデータの送受信を可能にし、個々の移動端末3及び移動通信システム全体のスループット向上のためにスケジューリングを行う。
【0023】
E−MBMSはある基地局から複数の移動端末に向けてデータを一斉に送信する放送型の一対多(Point to Multipoint PtoM)型の通信サービスを提供するものである。具体的には、ニュースや天気予報等の情報サービスや、モバイルTVなどの大容量の放送サービスが検討されている。
aGW1はPDN4(Packet Data Network)を介してサービスセンタ5と通信を行う。
サービスセンタ5はユーザにサービスを提供するためのコンテンツを保管、配信するための装置である。コンテンツプロバイダは、サービスセンタ5に対してモバイルTV放送データ等のE−MBMSデータを送信する。サービスセンタ5ではE−MBMSデータを記憶するとともに、PDN4、aGW1を介して基地局2へE−MBMSデータを送信する。
【0024】
図2はチャネルの構成を示す説明図である。図2には、論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)のマッピングが示されている。論理チャネルは伝送信号の機能や論理的な特性によって分類される。トランスポートチャネルは伝送形態によって分類される。報知情報はBCCH(Broadcast Control Channel)上にのせられる。BCCHはBCH(Broadcast Channel)にマッピングされ基地局から移動端末へ送信される。
着呼処理に用いられる情報はPCCH(Paging Control Channel)上に乗せられる。PCCHはPCH(Paging Channel)にマッピングされ基地局からセル内の移動端末へ送信される。個別の移動端末宛ての個別制御データはDCCH(Dedicated Control Channel)上に乗せられる。
【0025】
また、個別の移動端末宛ての個別ユーザデータはDTCH(Dedicated Traffic Channel)上に乗せられる。DCCHとDTCHはDL−SCH(Downlink Shared Channel)にマッピングされて、基地局から個々の移動端末に宛てて個別に送信される。逆に、UL−SCH(Uplink Shared Channel)を用いて個々の移動端末から基地局へ個別に送信される。
DL−SCH及びUL-SCHは共有チャネル(Shared Channel)である。
E−MBMS用の制御データ及びユーザデータはそれぞれMCCH(Multicast Control Channel)とMTCH(Multicast Traffic Channel)上に乗せられ、DL−SCHもしくはMCH(Multicast Channel)にマッピングされて基地局から移動端末へ送信される。
移動端末からの接続要求信号、例えばスケジューリング要求信号SRはランダムアクセスチャネル(Random Access Channel RACH)により個々の移動端末から基地局へ送信される。S−RACHはRACHの一つである。
【0026】
図3は移動端末の構成を示すブロック図である。移動端末3の送信処理は以下のとおり実行される。
まず、プロトコル処理部6からの制御データ、アプリケーション部7からのユーザデータが送信データバッファ部8へ保存される。
送信データバッファ部8に保存されたデータはエンコーダ部9へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部8から変調部10へ直接出力されるデータが存在しても良い。
エンコーダ部9でエンコード処理されたデータは変調部10にて変調処理が行われる。変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部11へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ12から基地局2に送信信号が送信される。
【0027】
また、移動端末3の受信処理は以下のとおり実行される。基地局2からの無線信号がアンテナ12により受信される。受信信号は、周波数変換部11にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部13において復調処理が行われる。復調後のデータはデコーダ部14へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部6へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部7へ渡される。移動端末の一連の送受信処理は制御部15によって制御される。
【0028】
図4は基地局の構成を示すブロック図である。基地局2の送信処理は以下のとおり実行される。
aGW通信部16は、基地局2とaGW1間のデータの送受信を行う。他基地局通信部17は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。
aGW通信部16と他基地局通信部17はそれぞれプロトコル処理部18と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部18からの制御データ、またaGW通信部16と他基地局通信部17からのユーザデータが送信データバッファ部19へ保存される。
送信データバッファ部19に保存されたデータはエンコーダ部20へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部19から変調部21へ直接出力されるデータが存在しても良い。エンコードされたデータは変調部21にて変調処理が行われる。
【0029】
変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部22へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ23より一つもしくは複数の移動端末1に対して送信信号が送信される。
また、基地局2の受信処理は以下のとおり実行される。
一つもしくは複数の移動端末3からの無線信号がアンテナ23により受信される。受信信号は周波数変換部22にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部24で復調処理が行われる。復調されたデータはデコーダ部25へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部18へ渡され、ユーザデータはaGW通信部16、他基地局通信部17へ渡される。基地局2の一連の送受信処理は制御部26によって制御される。
【0030】
以下、本発明にかかる移動端末の動作について説明する。
移動端末が、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合、移動端末は下りデータの受信結果(正常に受信した/していない)を示すAck/Nack信号をAck/Nack専用チャネルを用いて基地局へ送信する。
また、移動端末は、下りデータの受信結果を示すAck/Nack信号と基地局の下りスケジューリングのために下り通信路品質(CQI)信号をAck/Nack専用チャネルを用いて基地局へ送信する。
また、下りデータ受信の有無に関わらず、基地局の下りスケジューリングのため、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つためにCQI信号をAck/Nack専用チャネルを用いて基地局へ送信する。
【0031】
上記のような、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信している状態において、上りデータの送信を開始する場合、移動端末は基地局に向けて、上記Ack/Nackかつ/またはCQIとは別に上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要がある。本実施の形態では、Ack/Nack専用チャネルと異なる物理チャネル(S−RACH)を用いて、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する場合に、より広いカバレッジと低いPAPRを実現するSC―FDMA方式で送信を行う方法について説明する。
【0032】
この実施の形態1では、移動端末が、上りデータ送信を行わずに、下りデータを受信しながら、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号を上りのAck/Nack専用チャネルにて送信している状態において、上りデータの送信を開始したい場合、上りデータ送信用チャネルを設定するための上りスケジューリング要求信号SRを、Ack/Nack専用チャネルと別の周波数帯域を割り当てた物理チャネル(本実施の形態1ではS―RACHを利用)にて送信する。
この時、二種類の帯域に割り当てた二つの物理チャネルのデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使わず、移動端末が上りデータ送信を開始した時に一時的に基地局とやりとりされるSR(preamble/message)を送信している間は、Ack/Nack専用チャネルでのAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信しない(DTX Discontinuous Transmission)ようにする。
これにより、一つの移動端末の一時的な物理チャネル増によるシステムの無線リソース負荷の増加を防ぐと共に、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0033】
図5はAck/Nack専用チャネルと上りスケジューリング要求信号SRを送信用のS―RACHに割り当てる無線リソースを説明する説明図である。図6は、上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
図7、図8は上りスケジューリング要求信号送信から上りデータ送信開始までの一連の処理を説明するフローチャートである。図5において、移動端末UE1は、ユーザデータなどの上りデータ送信を行わず、下りデータのみを受信すると同時に、この受信データに対するAck/Nackかつ/またはCQIをAck/Nack専用チャネルを用いて送信しているものとする。
図3に示す移動端末の変調部10はAck/Nack信号に対して移動端末毎のCDM多重処理(FDM多重処理、TDM多重処理でも良い)を行い、Ack/Nack専用チャネルを用いて送信している。このため、移動端末UE1は時間的に連続してAck/Nack専用チャネルでAck/Nack信号を送信する場合が考えられる。
【0034】
ここで、図6のST601における上りデータ送信要求が発生すると(ST601でYes)、ST602において、下りデータ(DLデータ)の受信状況を確認する。
この実施の形態1では、下りデータを受信しているため、ST604へ進み、S―RACHにて上りスケジューリング要求信号SR(preamble or/and message)を送信するタイミングを決定する。仮に、下りデータを受信しておらず、基地局と同期が取れてない場合は(ST602でNo)、ST603において、Non―S―RACHと呼ばれる物理チャネルを用いて、上りスケジューリング要求信号SRを送信するアルゴリズムを実行する。
ST604で上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングを決定すると、ST605において、移動端末UE1は、S―RACHを用いて上りスケジューリング要求信号SRを送信すると同時に、同じタイミングで送信する予定だった、上りAck/Nack専用チャネルの所定のAck/Nackシンボル(あるいはLB)、あるいは、CQIシンボル(あるいはLB)の送信を、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、停止する(シンボルDTX、あるいはLBのDTX)。このAck/Nackシンボルの送信停止(DTX)は、制御部15による制御の下、変調部10で行なわれる。
【0035】
図5は上りスケジューリング要求信号SRを送信する物理チャネルであるS―RACHと、Ack/Nack専用チャネルの無線リソースの割り当て例を示している。
図5において、無線リソースは、複数の時間−周波数領域に分割される。時間−周波数領域において、時間軸はサブフレーム(=0。5ms)単位で区切られ、周波数軸は、物理チャネルの送信データ量に応じて異なる帯域で区切られる。
【0036】
この実施の形態1での無線リソース割り当てでは、S―RACHと上りデータ送信用チャネルで同じ大きさの時間−周波数の単位領域を用い、Ack/Nack専用チャネルは、それよりも狭い周波数帯域(時間区分は同じ)の単位領域を用いている。Ack/Nack専用チャネルにおける1サブキャリアの、サブフレーム1は、6つのロングブロック(Long Block、LB1−LB6)と2つのショートブロック(Short Block、SB、スモールブロック)とから構成される。
ショートブロックSBには物理チャネル同期用シンボル(復調用のシンボル)が含められる。移動端末UE1は、図5のように割り当てられたS―RACHの時間-周波数領域を用いて、上りスケジューリング要求信号SRを1サブフレームの長さで送信している間、Ack/Nack専用チャネルに割り当てられていたロングブロックLB1〜LB6と2つのショートブロックSBのシンボルデータの変調及び送信を停止する(DTXする)。
【0037】
しかし、次のサブフレーム2においては、S―RACHによる上りスケジューリング要求信号SRの送信はなく、ユーザデータなどの上りデータの送信もないため、Ack/Nack専用チャネルにより、サブフレーム2用のシンボルデータ(LB2−1〜LB2−6)が送信される。さらに、その次のサブフレーム(TTI No。2のサブフレーム1)では、別の移動端末UEの上りスケジューリング要求信号SRが発生し、移動端末UE1とは別の周波数帯域に存在する時間-周波数領域に、このSR用のS―RACHが割り当てられる。
この場合、他の移動端末UEのS―RACHが送信され、このサブフレーム期間中の、Ack/Nack専用チャネルの移動端末UE1からのAck/Nackシンボルデータかつ/またはCQIシンボルデータは送信される。S―RACHを用いた上りスケジューリング要求信号SRの送信から上りデータ送信までのシーケンスを示したものが、図7、図8である。
【0038】
図7では、上りスケジューリング要求信号SR(preamble and message)を1回で送信する(ST701)場合のフローチャートを示している。
図8では、上りスケジューリング要求信号SRをプレアンブル(preamble)とメッセージ(message)を時系列に2回に分けて送信する(ST801、803)場合のフローチャートを示している。
図7においては、移動端末は、プレアンブルとメッセージで上りスケジューリング要求を基地局に通知した後、基地局から、下りL1/L2制御信号による、上りデータ送信用の無線リソース割り当てやタイミングに関する情報「上りデータリソース割当て(Uplink Data Resource Allocation)」を受信する。
図8においては、移動端末はプレアンブルの送信後に「スケジューリングリクエストリソース割当て(SR Resourece Allocation)」を受信し、それにより割当てられたリソースによりスケジューリングリクエストのメッセージ部分を基地局に通知した後、基地局から、下りL1/L2制御信号による、上りデータ送信用の無線リソース割り当てやタイミングに関する情報(Uplink Data Resource Allocation)を受信する。
【0039】
そして、移動端末は、UL―SCH(Uplink Shared channel)を用いて上りデータ送信を開始する。この実施の形態1では、上りスケジューリング要求信号SRの送信に1サブフレーム期間を割り当てる例を説明した。しかし、図7のように、長い送信期間でプレアンブルとメッセージを1度で送る場合と、図8のように短い送信期間で、2度に分けて送る場合があるため、上りスケジューリング要求信号SRの送信区間の長さや頻度により、Ack/Nackを送信できない区間の長さや、発生頻度が変わることはあり得る。
また、図5に示したサブフレーム内のロングブロックとショートブロックの構成は、あくまで1つの例であり、サブフレームの構成が変わっても、この発明の考え方を適用できる。
【0040】
ここで、上りスケジューリング要求信号SRのプレアンブルとメッセージについて説明する。プレアンブルとは、例えば、端末を識別するための固有の識別情報である「ランダムID(random ID(UE ID))」が割り当てられると考えられる。また、メッセージとは、先の「UE ID」のほか、上り送信データ量(UE内のバッファ状態)や上り送信データのQoS、端末の送信パワーマージンも考えられる。
【0041】
従来の通信方式(FDMA、TDMA、CDMA)においては、上りにおけるシンボルの送信停止(DTX)は、移動端末の消費電力の低減や、移動端末の最高送信電力を基地局から指定された電力範囲内に抑え、システム全体の送信電力を一定内に抑える効果があったのに対し、本発明におけるシンボル送信停止(DTX)方法を利用すれば、従来の通信方式でのDTXとは異なり、上りにおいて、移動端末内のPAPRを低く抑えることができるのみならず、シングルキャリア伝送が可能であるため、マルチキャリア伝送方式と比べ、移動端末と基地局の双方において、変復調処理の実装規模を小さく出来、システム全体の処理負荷を低減できるという効果を有している。
【0042】
以上のように、実施の形態1を用いることにより、上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合に、Ack/Nackとともに上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要が生じた移動端末が移動端末内のPAPRを増加させることなく、同時にそれらの送信を行うことが出来るという効果を得ることが出来る。
【0043】
一方、下りデータを受信していない場合にも、Ack/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。
具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においても、Ack/Nack専用チャネルを用いたCQIの送信と上りスケジューリング要求信号SRが同時に発生する場合が考えられる。そのような移動体通信システムにおいては、ST602の判断では、Ack/Nack専用チャネルの割当てがあるか否かで判断する方が良い。更に付け加えると、下りデータを受信していない場合にAck/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられないような移動体通信システムであっても、この判断を用いることが可能である。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、Ack/Nack専用チャネルを用いてAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信しているときに、S−RACHを用いて上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合、移動端末は、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号の送信を停止していた。
上りスケジューリング要求信号を送信している間、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号の送信を停止することにより、2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネル(Ack/Nack専用チャネルとS−RACH)のデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用せずに済むので、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現していた。
以下説明する実施の形態2では、Ack/Nackシンボル送信停止(DTX)を行った場合に、Ack/Nack専用チャネル上のシンボルの通信性能に悪影響を出にくくするための、Ack/Nack専用チャネルでのマッピング方法について説明する。
【0045】
実施の形態1においては、図52を用いて、S−RACHを用いた上りスケジューリング要求信号SRの送信から上りデータ送信までの処理を説明した。つまり、上りスケジューリング要求信号SR(preamble or/and message)の送信には、図7のようにプレアンブルとメッセージをまとめて1度に送るため、長い送信期間が必要となるものと、図8のように、プレアンブルとメッセージをそれぞれ分けて送るため、それぞれの送信期間が短くなるものがある。
上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が長くなる場合は、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信できない(ACK/NACKシンボルかつ/またはCQIシンボルのDTX)期間が長くなり、上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が短くなる場合は、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信できない期間は短くなる。それぞれの場合において、上りスケジューリング要求信号SRを送信している期間のAck/Nackシンボル情報かつ/またはCQIシンボル情報の送信誤りによる通信品質の低下を防ぐための方法について、以下に説明する。
【0046】
まず、図7の処理の場合について説明する。図7に示す上りスケジューリング要求信号SRの送信は、プレアンブルとメッセージをまとめて一度に送信するので、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信できない期間が長くなり、図5のように、1サブフレーム程度の期間になるとする。この期間中に発生し得るAck/Nackシンボル情報かつ/またはCQIシンボル情報の送信誤りによる通信品質の低下を防ぐため、この実施の形態2では、Ack/Nack専用チャネルで送るシンボルのパターンを、1サブフレーム長のパターンを2回繰り返し、1送信時間区間(TTI)単位で更新されるようにマッピングすることとした。
また、通信品質を確保するため、1サブフレーム長のシンボルパターンでは、重要な情報(上位ビット)を優先して繰り返し数を多くするようなシンボルの組み合わせにする。Ack/Nack専用チャネルで送信するシンボル情報の具体的なマッピング例を説明したものが、図9と図10である。
【0047】
図9はAck/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。図9はこれまでに、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で提案されてきたAck/Nack専用チャネルへのシンボルマッピング例を示したものである(例えば、非特許文献2を参照)。
Ack/Nackシンボルのみの場合(図9(a))、CQIシンボルのみの場合(図9(b))、CQIシンボルとAck/Nackシンボルをそれぞれ多重してロングブロックLBにマッピングした場合(図9(c))について、それぞれ、送信時間区間長(TTI)でシンボルマッピング構成が示されている。
【0048】
この実施の形態2で提案するシンボルパターンは、Ack/Nackかつ/またはCQIが長期間(=1サブフレーム)送信できない場合においても、1TTI内で、1サブフレーム長のシンボルパターンを2回繰り返すことにより、Ack/Nackかつ/またはCQIの送信誤りを防ぎ、通信品質を向上させることを目的としている。
図9に記載のシンボルパターンは、CQIシンボルの場合、1サブフレームAがCQI1、CQI2、CQI3、CQI4、CQI5、CQI1とマッピングされているのに対し、1サブフレームBでは、CQI2、CQI3、CQI4、CQI1、CQI2、CQI1とマッピングされており、同一のシンボルパターンで配列されていない。
よって、例えば1サブフレームAがDTXされた場合は、1TTI中でCQI5は一度(1つのLB)も送信されないことになる。CQIとAck/Nackが時系列に多重されるシンボルパターンもまた、1サブフレームAと1サブフレームBで同一のシンボルパターンで配列されていない。
【0049】
本発明で提案するCQIシンボルのマッピング案とCQIとAck/Nackの多重マッピング案をしめしたものが、図10である。
まず、図10(a)のCQIシンボルマッピング例では、1TTI内の1サブフレーム目(1 sub−frame A)と2サブフレーム目(1 sub−frame B)で同じシンボルマッピングパターンを繰り返す構成になっている。また、サブフレーム長のシンボルマッピングは、優先順位の高いシンボル(CQIの上位の桁を示すシンボル:本例ではCQI1)を数多く繰り返すようにしている。
さらに、図10(b)のCQIとAck/Nackの多重マッピング例でも、1TTI内の1サブフレーム目(1 sub−frame A)と2サブフレーム目(1 sub−frame B)で同じシンボルマッピングパターンを繰り返し、サブフレーム長のシンボルマッピングは、優先順位の高いシンボル(Ack/Nackなど)を、ショートブロックSBの周辺に配置するようにしている。
【0050】
この実施の形態2においては、優先順位の高いシンボルとして、Ack/NackとCQIの上位ビット(CQI1が最上位ビット)を考えている。Ack/Nackは下りデータの受信結果であり、このビットが基地局側でうまく受信できないと、該当するパケットデータの再送が発生してしまうという問題が起こるため、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、送信誤り等に対応できるよう、優先的に配置する必要がある。
【0051】
このように、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、Ack/Nack情報が送信されないリスクや、シンボルの重要度を考慮したシンボルマッピング方法でのマッピングパターンは、この実施の形態2に説明した図10のパターンに限る必要はない。
シンボルマッピングについては、図10に示す通りでなくても、この実施の形態2を実現することが出来る。よって、シンボルマッピングについての考え方について以下に述べる。
(1)優先順位の高いシンボルを数多く繰り返す。(2)優先順位の高いシンボルを、ショートブロックSBの周辺に配置するようにしている。
通常、Ack/NackやCQIの上位ビット(CQI1が最上位ビット)は優先順位が高いシンボルである。
【0052】
Ack/Nackは下りデータの受信結果であり、このシンボルが基地局側でうまく受信できないと、該当するパケットデータの再送が発生し、結果として下りデータのスループットが落ちてしまうという問題が起こるため、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、送信誤りが発生した場合、移動端末で測定した下り通信路品質と基地局が受信した下り通信路品質の誤差が大きくなり、基地局による適切なスケジューリンが不可能となり、結果として移動体通信システム全体の下りスループットの低下につながる。そのため、下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
【0053】
Ack/NackとCQIの優先順位は、それぞれの信号の所望の誤り率に従う。
繰り返し(repetition)数を多くすることは、基地局での受信電力を増加させることが出来るので、繰り返し(repetition)数が多いシンボル程誤りにくくなる。
ショートブロックは、受信復調の際に位相補償として用いることが考えられているので、ショートブロックと該当シンボルとの送信時間差が少ない程、正確に位相補償されるので、ショートブロックの周辺に配置されたシンボル程誤りにくくなる。
また、Ack/Nack情報(Ack/Nack、CQI)のシンボルマッピングは、あらかじめ決められたいくつかのパターンが存在し、その中から移動局が選択してもよいし、基地局からパターンを指定されてもよいし、また、動的に割り当てられてもよい。上記説明のように、S−RACHを用いた上りスケジューリング要求信号SRの送信により、一時的にAck/Nack専用チャネルによるAck/Nackシンボルかつ/またはCQIシンボルを長期間(=1サブフレーム)送信できない場合に、Ack/Nack専用チャネルの情報シンボルの送信誤りを防ぎ、高い通信品質を維持することができる。
【0054】
次に、図8のシーケンスのように、1回の上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が十分短い場合について説明する。
図6のST605において、図8で示すフローチャートのように、上りスケジューリング要求信号SRを送信する際に、プレアンブルとメッセージを分けて送信したり、プレアンブルと小サイズのメッセージを一緒に送信する場合、上りスケジューリング要求信号SRの送信に要する期間は短くなる。したがって、上りスケジューリング要求信号SRの送信中に送信が停止されるAck/Nack専用チャネルにおけるAck/Nackシンボルかつ/またはCQIシンボルの送信停止期間も短くなる。
このような場合において、上りスケジューリング要求信号SRの送信に用いるS−RACHと、Ack/Nack専用チャネルが、時間−周波数でどのように割り当てられているかの1例を示したものが、図11である。
【0055】
図8のシーケンス図における上りスケジューリング要求信号SRの情報量は十分に短いため、図11において、移動端末UE1のS−RACHが時間―周波数に割り当てられる領域は、1つの時間−周波数単位領域の中の、先頭のデータシンボルブロック分だけとなっている。これと同タイミングで送信されるAck/NackシンボルあるいはCQIシンボルは、Ack/Nack専用チャネルのロングブロックLB1のシンボルである。移動端末UE1のS−RACHによる上りスケジューリング要求信号SRが送信されている間、ロングブロックLB1のブロックのAck/Nack情報シンボルあるいはCQIシンボルは送信されない。
【0056】
図12は、Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボル、CQIシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
図10と異なり、図12では、1TTI内の1サブフレーム目(1 sub−frame A)と2サブフレーム目(1 sub−frame B)で異なるシンボルをマッピングし、TTI内で、優先順位の高いAck/Nackまたは上位のCQIビットを数多く配置するようにしている。
図12(a)に示すように、CQIシンボルのみの場合、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生した場合、送信されなくなる可能性のあるロングブロックLBの位置に(例えばLB1)、優先度の高いシンボルCQI1を割り当てるとともに、次のロングブロックLB2にも同じCQI1を割当てている。
これにより、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生した場合であっても、最も重要なシンボルCQI1を2つ目のロングブロックLB2で送信することができ、かつ、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生しない場合でも、最も重要なシンボルCQI1を4回送信することにより、通信誤り時の品質劣化を防ぐことができる。
【0057】
また、図12(b)に示すように、CQIシンボルとAck/Nackシンボルを多重してマッピングする場合、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生した場合、送信されなくなる可能性のあるLBの位置に(LB1)、優先順位の低いシンボルCQI5を割り当てることにより、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生して、CQI5シンボルが送信できなかった場合でも、他の優先順位の高いシンボルは繰り返し数を減ずることなく送ることが可能であるので、通信品質を維持することができる。
【0058】
なお、シンボルの重要度に応じたシンボルマッピング方法でのマッピングパターンは、この実施の形態2に説明したパターンに限る必要はない。シンボルマッピングの考え方は、既に説明したため省略する。また、Ack/Nack情報(Ack/Nack、CQI)のシンボルマッピングは、あらかじめ決められたいくつかのパターンから移動端末ないし基地局が選択してもよいし、動的に割り当てられてもよい。
【0059】
また、図11にあるように、移動端末UE1のS−RACHが時間−周波数に割り当てられる領域が、一部の時間のデータシンボルブロック分だけとなっている場合として、図8のフローチャートのようにS-RACHで送信する情報が十分小さい場合のみならず、図7のフローチャートのように、上りスケジューリング要求信号SRの情報量が多い場合も考えられる。
この場合は、S−RACHを周波数方向に帯域を広げた時間―周波数領域に割り当てて送信することにより、少ない時間で送ることができる。具体的には、図11の割り当て時と比べ、上りスケジューリング要求信号SRの送信に、周波数方向に広い時間―周波数領域を割り当てる、もしくは、周波数方向に連続した、複数の時間-周波数単位領域を割り当てることになる。
【0060】
実施の形態1及び実施の形態2では、Ack/Nack専用チャネルにおいて移動端末毎にAck/Nack情報がCDM多重されていることを前提としたが、複数の移動端末のAck/Nack情報をTDM多重やFDM多重する方法もあり、そのような場合においても、上記実施の形態1で説明した発明を適用することは可能である。
以上のようにすれば、S−RACHにて上り送信要求信号SRのシンボルを割り当てた時間―周波数領域と同じタイミングに割り当てた上りAck/Nackシンボルかつ/またはCQIシンボルが、上りスケジューリング要求信号SR送信期間中、変調・送信できない場合(DTX)においても、無線リソースを効果的に利用し、かつ、上りの通信品質を維持、あるいは、劣化を最小限に抑えることが出来るという効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、S−RACHを用いて上りスケジューリング要求信号を送信している間、Ack/Nack専用チャネルを用いたAck/Nack信号かつ/またはCQI信号の送信を停止することにより、2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネル(Ack/Nack専用チャネルとS−RACH)のデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用しないことにより、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現していた。
以下、この実施の形態3では、Ack/Nackかつ/またはCQIと上りスケジューリング要求信号SRを同じ物理チャネルを用いて送信することにより、より広いカバレッジと低いPAPR(ピーク対平均電力比)を実現するSC―FDMA方式で送信を実現する方法について説明する。
【0062】
この実施の形態3では、移動端末が、上りスケジューリング要求信号SRをS−RACHではなく、Ack/Nack専用チャネルにマッピングして、送信を行うものである。上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack専用チャネルで送信することにより、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。これにより、ある移動端末で一時的に送信すべき制御信号(L1/L2 control signaling)が増えた場合にも、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0063】
ここで、Ack/NacK専用チャネルはあらかじめ無線リソースがスケジュールされたスケジュールドチャネルである。前述したように、非特許文献4において、同期ランダムアクセスSRAをスケジュールドチャネルに割当てることが検討されていることは述べた。しかし、非特許文献4では、スケジュールドチャネルとして、どのようなチャネルを用いるか、また、物理的リソースとして時間−周波数領域をどのように割当てるかについて、何も記載されていないため、Ack/Nack専用チャネルとは別の時間−周波数領域にスケジューリングリクエストSR専用の1bitの物理リソースを割当てたチャネルを設けた場合は、上りAck/Nackかつ/またはCQIと上りSRを同時に送信しなければならない状況が生じてしまい、それぞれの信号が時間的に同時に送信されてしまう。この場合、シングルキャリア伝送とはならず、マルチキャリア伝送となってしまうためPAPRが高くなってしまうという問題が生じる。
【0064】
このような問題を解決するため、この実施の形態3では、移動端末が、上りスケジューリング要求信号SRを、Ack/Nack、CQIとともに、Ack/Nack専用チャネルにマッピングして、送信を行うものである。
移動端末のシングルキャリア伝送の要請を満たすために重要なことは、上りリンクの時間同期が取れている状態であって、上りデータの送信を行っていない移動端末において、同時に送信する必要が発生する可能性のある信号である「Ack/Nack」「CQI」「上りスケジューリング要求信号SR」の全てをAck/Nack専用チャネルを用いて送信する点にある。上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack、CQIとともに、Ack/Nack専用チャネルで送信することにより、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
これにより、ある移動端末で一時的に送信すべき制御信号(L1/L2 control signaling)が増えた場合にも、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0065】
図13は、上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。図14は、Ack/Nack専用チャネルで送信する上りスケジューリング要求信号のマッピング例を説明した説明図である。
以下、図13を用いて、この発明の実施の形態3に係る移動端末の動作を説明する。なお、図13において、図6と同一の符号は同一または相当部分を示すので説明は省略する。
【0066】
移動端末は、上り送信を行わず、下りデータを受信すると同時に、上りにて、受信データに対するAck/Nackかつ/またはCQIを専用物理チャネルで送信している。
Ack/Nack専用チャネルでは、移動端末をCDM、FDM、TDMのいずれかの方法で多重されている。移動端末において、上りデータ送信要求が発生する(ST601)と、ST602において、下りデータの受信状況が確認される。
この実施の形態3では、下りデータを受信しているため、ST1301へ進み、Ack/Nack専用チャネルを用いて、Ack/Nack情報とともに、上りスケジューリング要求信号SR(preamble相当のみ、あるいは、preambleとmessage相当部分)を送信する。
【0067】
ST1301における、上りスケジューリング要求信号SRの送信から上りデータ送信までのシーケンスを示したものが、図8である。1回の上りスケジューリング要求信号SRの情報サイズが小さく、送信期間が短い場合、上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack専用チャネルで送信することは、無線リソース利用の効率化、及びAck/Nackや上りスケジューリング要求信号SRのようなサイズの小さいL1/L2制御信号送信(L1/L2 control signaling)の通信品質を確保するという2つの側面において非常に有効である。
【0068】
Ack/Nack専用チャネルにおける1サブフレーム長の時間―周波数領域は、6つのロングブロックLBと言われるデータシンボルブロックと、ショートブロックSBといわれる物理チャネル同期用シンボルブロックから構成される。
この実施の形態3においては、上りスケジューリング要求信号SRとAck/Nack情報かつ/またはCQI情報とを1TTI(=2サブフレーム)分の時間―周波数領域内で、あらかじめ決めた位置関係で多重した際のシンボルマッピングの一例を示している。
【0069】
図14は、CQIとAck/Nack情報が多重されている場合において、これに上りスケジューリング要求信号SRを更に割り当てる時のシンボルマッピング例である。ここでは、Ack/Nack、CQI、上りスケジューリング要求信号SRを多重し、1TTI単位でマッピング、更新するものとする。
【0070】
まず、上りスケジューリング要求(UL scheduling request)は送信時間区間(TTI)長(=2サブフレーム長)の時間―周波数領域で、先頭のシンボルブロック(LB1)にマッピングされる。上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされて送信されるのは、最速で1回/2サブフレームである。SRシンボルの内容は1ビット長でリクエスト有/リクエスト無の情報となる。
シンボルマッピングについては、図14に示す通りでなくても、この実施の形態3を実現することが出来る。よって、シンボルマッピングについての考え方について以下に述べる。
【0071】
(1)優先順位の高いシンボルを数多く繰り返す。(2)優先順位の高いシンボルを、ショートブロックSBの周辺に配置するようにしている。
通常、Ack/NackやCQIの上位ビット(CQI1が最上位ビット)、上りスケジューリング要求信号SRは優先順位の高いシンボルである。
Ack/Nackは下りデータの受信結果であり、このシンボルが基地局側でうまく受信できないと、該当するパケットデータの再送が発生し、結果として下りデータのスループットが落ちてしまうという問題が起こるため、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、送信誤りが発生した場合、移動端末で測定した下り通信路品質と基地局が受信した下り通信路品質の誤差が大きくなり、基地局による適切なスケジューリンが不可能となり、結果として移動体通信システム全体の下りスループットの低下につながる。そのため、下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
【0072】
また、上りスケジューリング要求信号SRが基地局側で誤って受信された場合を考える。移動端末が上りスケジューリング要求SR「無し」であるにも関わらず、基地局側で「有り」と誤受信した場合、不要な上りリソースを移動端末に対して割当てることとなり、無線リソースの無駄となる。
一方、移動端末が上りスケジューリング要求SR「有り」であるにも関わらず、基地局側で「無し」と誤受信した場合、上りスケジューリング要求SRの再送が必要となり、結果として上りスループットが低下するという問題が発生する。
Ack/NackとCQIと上りスケジューリング要求信号SRの優先順位は、誤り率に従う。
【0073】
繰り返し(repetition)数を多くすることは、基地局での受信電力を増加させることが出来るので、繰り返し(repetition)数が多いシンボル程誤りにくくなる。
ショートブロックは、受信の復調の際に位相補償として用いることが考えられているので、ショートブロックと該当シンボルとの送信時間差が少ない程、正確に位相補償されるので、ショートブロックの周辺に配置されたシンボル程誤りにくくなる。
【0074】
ここまでのシンボルマッピングの考え方は、Ack/Nack専用チャネル内にてCQIとAck/NackがTDMにより多重されている場合を示しているが、別の方法で多重されている場合であっても、上りスケジューリング要求信号SRをマッピングする方法として、上記シンボルマッピングの考え方は適用可能である。
また、上りスケジューリング要求信号SRについては、「リクエスト有り=(‘1’)、「リクエスト無し=(‘0’)」として記しているが、この限りではなく、例えば「リクエスト有り=(‘0’)、「リクエスト無し=(‘1’)」と反対でも良い。更に言えば、リクエストの有無を示すことが出来れば良い。
このビットの値設定については、次のような2つの設定例が考えられる。
【0075】
第一の設定例は、上りスケジューリング要求信号SRがない場合は、常に0を送信する。一方、図8のフローチャートにおいて移動端末が上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合は、「リクエスト有り(=‘1’)」を送信し、次の送信時間区間(TTI)で0を送信するものである。
受信エラーがなければ、基地局から移動局に送信しているはずの“上りデータリソース割当て(Uplink Data Resource Allocation)”が届かない場合、移動端末は基地局側で受信エラーが発生したと判断し、再度上りスケジューリング要求信号SR「リクエスト有り=(‘1’)」を送信する。
【0076】
第一の設定例を図28、図29及び図30を用いて更に詳しく説明する。
図28はシーケンス図であり、図29は移動端末内の処理フロー図である。図30は基地局内の処理フロー図である。
図28において、時間Tは、基地局による上りリソース割当てを受けるまでの期限(上限値)を示し、移動端末において時間Tを実現するためにはタイマーなどが用いられる。
図29を中心に第一の設定例の動作について説明する。
【0077】
まず、基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生しない場合について説明する。シーケンス図としては、図28の(i)が受信エラーが発生しない場合を示している。
ST2901にて上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生した場合、ST2902へ進む。発生しなかった場合は、ST2901の判断へ戻る。
ST2902にてAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)とする。
ST2903にて上りスケジューリング「有」をAck/Nack専用チャネルにて送信する。図28ではST2801に相当する。
【0078】
上りスケジューリング「有」をAck/Nack専用チャネルにて送信後、ST2904にてAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト無し(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「0」)とする。
ST2905にて基地局からの上りデータリソース割当て「Uplink Data Resource Allocation」を受信したか否かを判断する。つまり基地局からの上り送信割当てがあったか否かを判断する。
ST2905にて受信有りの場合は、ST2906へ進む。図28ではST2804に相当する。ST2906では基地局からの割当てに応じて、上りデータを送信する。
一方、ST2905にて受信無しの場合は、ST2907へ進む。ST2907では、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受けるまでの期限を越えているか否かを判断する。つまり移動端末が上りスケジューリング要求信号SR「有り」を送信してからの時間が図28に示す時間Tを越えているか否かを判断する。
【0079】
ST2905にて時間Tを越えていない場合は、ST2908へ進む。ST2908では、上りスケジューリング「無」をAck/Nack専用チャネルにて送信する(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「0」)。
ST2908にて上りスケジューリング「無」をAck/Nack専用チャネルにて送信後、ST2905の判断に戻る。図28ではST2802、ST2803に相当する。
【0080】
次に基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生した場合について説明する。シーケンス図としては図28の(ii)が受信エラーが発生した場合を示している。
ST2901〜ST2906の説明は上記受信エラーが発生しない場合と同様であるため省略する。
ST2907では、上記受信エラーが発生していない場合と同様に、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受けるまでの期限を越えているか否かを判断する。つまり移動端末が上りスケジューリング要求信号SR「有り」を送信してからの時間が図28に示す時間Tを越えているか否かを判断する。
【0081】
ここで図28の(ii)で示すように、ST2807においてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について受信エラーが発生している。よって、本来、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受信するべきタイミング(図28の(ii)の時間「‘t’」)にて基地局からの上り送信割当ては行われない。よって、ST2907では図28のST2811において、上りスケジューリング要求信号SR「有り」を送信してからの時間が時間Tを越えると判断する。
その場合、ST2902に戻ることによって、Ack/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)とし、上りスケジューリング要求信号SRの再送を行う(ST2903)。図28ではST2811に相当する。
【0082】
次に、第一の設定例における基地局側の処理フローについて、図30を用いて説明する。
ST3001にてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報が「有り」を示すか否か判断する。「無し」を示す場合には、ST3001の判断に戻る。
ST3001にて「有り」と判断した場合には、ST3002にて当該Ack/Nack専用チャネルにて上りスケジューリングリクエストを送信してきた移動端末に対する上りスケジューリング処理を行う。図28ではST2801、あるいは、ST2811に相当する。
その結果をST3003にて該当移動端末に対して上り送信割当てを行うために「Uplink Data Resource Allocation」として送信する。図28ではST2804、あるいは、ST2814に相当する。
【0083】
また、第二の設定例は、上りスケジューリング要求信号SRがない場合は、第一の設定例と同様に、常に0を送信する。一方、図8のフローチャートにおいて、移動端末が上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合は、“Uplink Data Resource Allocation”が基地局から送信されるまで、「リクエスト有り(=‘1’)」の送信を続け、“Uplink Data Resource Allocation”受信後、「リクエストなし(=‘0’)を送信するものである。
【0084】
第二の設定例を図31、図32及び図33を用いて、更に詳しく説明する。
図31はシーケンス図であり、図32は移動端末内の処理フロー図である。図33は基地局内の処理フロー図である。
図32を中心に第二の設定例の動作について説明する。
まず、基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生しない場合について説明する。シーケンス図としては図31の(i)が受信エラーが発生しない場合を示している。
【0085】
ST3201にて上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生した場合、ST3202へ進む。発生しなかった場合は、ST3201の判断へ戻る。
ST3202にてAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)とする。
ST3203では、上りスケジューリングリクエストをAck/Nack専用チャネルにて送信を行う。図31ではST3101に相当する。
【0086】
ST3204にて基地局からの「上りデータリソース割当て(Uplink Data Resource Allocation)」を受信したか否かを判断する。つまり基地局からの上り送信割当てがあったか否かを判断する。
ST3204にて受信有りの場合は、ST3205へ進む。受信無しの場合は、ST3202へ戻る。図31ではST3104に相当する。
ST3205ではAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト無し(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「0」)とする。図31ではST3105に相当する。
ST3206では基地局からの割当てに応じて、上りデータを送信する。
【0087】
次に基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生した場合について説明する。シーケンス図としては、図31の(ii)が受信エラーが発生した場合を示している。
移動端末としての処理フローは、上記受信エラーが発生しない場合と同様であるため省略する。
図31の(ii)について説明する。
ST3107においてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について受信エラーが発生している。よって、本来、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受信するべきタイミング(図31の(ii)の時間「‘t’」)にて基地局からの上り送信割当ては行われない。
【0088】
しかし、第二の設定例においては、ST3107に引き続いてST3108でもAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)が送信されている。よって、ST3108で送信されたAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について正常に受信したことにより、ST3111にて基地局から「Uplink Data Resource Allocation」が送信される。つまり移動端末は、基地局からの上り送信割当てを受信する。
【0089】
次に、第二の設定例における基地局側の処理フローについて、図33を用いて説明する。
ST3301にてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報が「有り」を示すか否か判断する。「無し」を示す場合には、ST3301の判断に戻る。
ST3301にて「有り」と判断した場合には、ST3302にて当該移動端末への上りスケジューリング処理を実行しているか否かを判断する。
ST3302にて実行していると判断した場合は(図31ではST3102、ST3103、ST3109、ST3110に相当する)、ST3303へ進む。ST3303では現在実行中の上りスケジューリング処理を継続する。
【0090】
ST3302にて実行していないと判断した場合(図31ではST3101、ST3108に相当する)は、ST3304へ進む。ST3304では当該移動端末への上りスケジューリング処理を開始する。
ST3303、あるいは、ST3304にて当該移動端末への上りスケジューリング処理が終了した場合、ST3305にて当該移動端末に対して上り送信割当てを行うために「Uplink Data Resource Allocation」として送信する。図31ではST3104、あるいは、ST3111に相当する。
【0091】
第一の設定例、第二の設定例について利点を説明する。
第一の設定例のメリットとしては、第二の設定例と比較して、以下の点が挙げられる。
(1)Ack/Nack専用チャネルにて上りスケジューリングリクエストを基地局が受信した場合に、当該移動端末への上りスケジューリング処理中であるか否かを判断する(図33 ST3302)必要がないので、基地局内の処理が簡略化できる。
【0092】
第二の設定例のメリットとしては、第一の設定例と比較して、以下の点が挙げられる。
(1)Ack/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について受信エラーが発生した時は、本来、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受信するべきタイミングから実際に「Uplink Data Resource Allocation」を受信するまでの時間が短くなる。第一の設定例では、図28で示す通り、その時間は、「a」となる。一方、第二の設定例では、図31に示す通り、その時間は、「b」となる。
(2)移動端末内の処理において、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受ける期限を越えているか否かを判断する(図29 ST2907)必要がないので、移動端末内の処理が簡略化できる。
【0093】
上記にて説明したスケジューリング要求信号SRの第一の設定例、第二の設定例については、実施の形態1、実施の形態6、実施の形態7、実施の形態8、実施の形態9及び実施の形態10でも用いることが出来る。
また、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信する必要がなく、スケジューリング要求信号のみを送信する必要がある場合は、Ack/Nack専用チャネルにてAck/Nack、CQIの情報は送信せず、スケジューリングリクエストのみを送信してもよい。
【0094】
上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされる送信時間区間(TTI)の先頭LB(LB1)以外のロングブロック(LB2〜LB6)には、Ack/NackシンボルとCQIシンボルがマッピングされる。このマッピングでは、Ack/Nackシンボルと、CQIシンボルの中でも優先順位の高い上位の桁のCQIが優先して繰り返しマッピングされる。図14では、1TTI(=2サブフレーム)の中で、Ack/Nackシンボルが3回、優先順位の高いCQI1とCQI2が2回、繰り返しマッピングされている。
【0095】
上記説明のとおり、上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が、図8のシーケンスにあるように十分短い場合には、Ack/Nack専用チャネルに、上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack情報シンボル(Ack/Nack、CQI)とともにマッピングすることにより、一つの移動端末で同時に複数の送信すべき「データ付随なしのL1/L2制御信号」が発生した場合にも、これらの重要な制御信号の通信品質を確保しつつ、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐことができ、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0096】
さらに、Ack/Nack専用チャネルは、S−RACHのような複数の移動端末による通信競合を許すチャネル(contention based channel)ではないので、この方法であれば、S−RACHを用いる場合と比べ、上りスケジューリング要求信号SR送信で移動端末の識別番号(UE−ID)を送信する必要がないというメリットも得ることができる。
よって、SRの送信頻度が高い場合は、SRを送信するための必要ビット数が小さいために有効な手段であると言える。更に、Ack/Nack専用チャネルは図24に示すように分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域(図24 A、B)が割り当てられる。これによりAck/Nack専用チャネルにて送信するスケジューリング要求信号SRは周波数選択性フェージングに強くなる。言い換えれば、SRは周波数ダイバーシチゲインを得ることが可能となる。
更に、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のSRはS−RACHではなく、Ack/Nack専用チャネルを用いて、移動端末から基地局に対して送信するとした場合、S−RACHのためにあらかじめ割り当てられていた無線リソース(周波数-時間領域)をUL−SCHなどに開放することが可能となり、無線リソースの有効活用という意味においても効果的である。
【0097】
Ack/Nack専用チャネルは、移動端末が、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している状態において、既に使用しているチャネルである。従って、上りスケジューリング要求信号SRを、Ack/Nack、CQIとともに、Ack/Nack専用チャネルにマッピングすることで、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる効果に加えて、利用中の無線リソースを有効に利用できるという利点がある。
また、上述したように、Ack/Nack専用チャネルのようなスケジュールドチャネルでは、上りスケジューリング要求信号SR送信で移動端末の識別番号(UE−ID)を送信する必要がないというメリットも得ることができるため、基地局側での受信において、処理負荷を低減することができる。
加えて、Ack/Nack専用チャネルは通常より狭い周波数帯域を割当てて使用するため、単位時間で処理が必要な情報量が少ない。従って、送受信双方での処理時間も短くなるため、上りスケジューリング要求信号SRの送信から送信開始までのシーケンス(図7のST701〜ST703、図8のST801〜ST804)の処理遅延(Latency)が短くなり、通信システム全体の処理の効率化・高速化に貢献することができる。
【0098】
一方、下りデータを受信していない場合にも、Ack/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においても、Ack/Nack専用チャネルを用いたCQIの送信と上りスケジューリング要求信号SRが同時に発生する場合が考えられる。そのような移動体通信システムにおいては、ST602の判断では、Ack/Nack専用チャネルの割当てがあるか否かで判断する方が良い。更に付け加えると、下りデータを受信していない場合にAck/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられないような移動体通信システムであっても、この判断を用いることが可能である。
この実施の形態3では、図24に示すような分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域を独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネルについて説明した。しかし、この実施の形態3については、図23に示すような狭帯域ではないAck/Nack専用チャネルにおいても適応することが可能である。
【0099】
実施の形態4.
移動端末がユーザデータ等の上りデータ(Uplink data、UL data)送信を行っていない場合であって、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)を受信している場合、下りデータの受信結果であるAck/Nack信号及び下り通信路品質を示すCQIを基地局に送信する必要がある。
また、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する必要がある。
以下、Ack/Nackと上りスケジューリング要求信号SRを同時に送信する必要が生じた移動端末が、PAPRを増加させることなく、同時にそれらの送信を行う方法を説明する。
【0100】
上記実施の形態3では、スケジューリング要求信号SR、Ack/Nack、CQIをともにAck/Nack専用チャネルを用いて送信することで、低いPARRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現していたが、図14に示すように、Ack/Nack専用チャネル上にスケジューリング要求信号SRの有無を示すシンボルをマッピングする必要があった。そのため、上記実施の形態3を用いて、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIと上りスケジューリング要求信号SR(SR)をTDMにて多重した場合以下2つの課題が新たに発生する。
【0101】
第1の課題について説明する。
SRを送信する必要がない場合においても、SRがマッピングするためのLBをあらかじめ割り当てなければならない。そのため、送信する必要がない情報に対して常に無線リソースを割り当てなければならない。よって、無線リソースを有効に活用しているとは言えないという課題が発生する。
第2の課題について説明する。
Ack/Nack専用チャネルにSRをTDMにて多重しない場合と比較して、Ack/NackあるいはCQIの繰り返し回数が減少するというデメリットが発生する。Ack/Nack及びCQIは、データのように誤り訂正能力の高いエンコードが施されない場合がほとんどである。よって、基地局での受信エラーを防ぐために、同じ情報を繰り返して基地局での受信電力を稼ぐことは受信品質を高めるために重要である(repetition)。その繰り返しに用いることができるLBの数が減ることは基地局の受信品質を保つという意味において可能な限り避けるべきである課題が発生する。
【0102】
新たな第1の課題及び第2の課題について解決する方法について以下説明する。
図15は、上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。図15は、移動端末が上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合の処理を示している。
ST1500において移動端末は、上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生していない場合は(ST1500でNo)、ST1501へ進む。ST1501において移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方をマッピングする。
マッピングの一例としては図9を用いることができる。ST1503において移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方がマッピングされていることを示すコード(コードa)を乗算する。
【0103】
このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実施される。コード乗算後、ST1505の処理が実行される。
一方、ST1500において要求が発生している場合は、ST1502の処理が実行される。ST1502では、移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方がマッピングされているほか、上りスケジューリング要求信号SRをマッピングする。
マッピングの一例としては図14を用いることができる。ST1504において移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方と、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示すコードaとは異なるコード(コードb)を乗算する。このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実施される。コード乗算後、ST1505の処理が実行される。コードaとコードbは、基地局での判断の誤りを少なくするため、互いに直交したコードを用いても良い。
【0104】
移動体通信システムにおいて、Ack/Nack専用チャネル内の複数の移動端末の多重にコード多重を用いていた場合、ST1505において、移動端末を識別するためのコード(コードA)を乗算する。このコード乗算は、変調部10により実施される。コード乗算後、ST1506が実施される。
ST1505において移動端末を識別するためのコード(コードA)が乗算されることから、ST1503、ST1504で乗算されるコード(コードa、コードb)は、Ack/Nack専用チャネル内に多重される移動端末が共通して用いることが可能である。コードaとコードA、またコードbとコードAを乗算する順序は逆でも良い。ST1506において移動端末は基地局に対してAck/Nack専用チャネルを送信する。
【0105】
ST1507において、基地局は、Ack/Nack専用チャネルにより送信された信号を受信する。そして、基地局は、Ack/Nack専用チャネルにより伝達された信号に含まれる、複数の移動端末からの信号の分離を行うために、Ack/Nack専用チャネル内の移動端末多重用に用いたコードを乗算する処理を行う。
ST1508において、移動端末を示すコード(コードA)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は(ST1508でYes)、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルの受信とし、ST1509の処理を実行する。
【0106】
ST1508において行った相関演算の結果が規定された閾値未満である場合は(ST1508でNo)、当該移動端末からのACK/NACK専用チャネルの受信はないとして終了する。コードAを用いた相関演算は、復調部24により実施される。ST1509において、基地局は、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされているか否かを判断するため、コードaを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は(ST1509でYes)、当該移動端末からのACK/NACK専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされていると判断し(スケジューリング要求信号SRはマッピングされていないと判断し)、ST1510の処理が実行される。
コードaを用いた相関演算は、復調部24あるいはデコーダ部25により実施される。ST1510において基地局は、受信した当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにはAck/Nack、CQIのみがマッピングされているとして処理を行う。
【0107】
一方、ST1509においてコードaを用いて相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合(ST1509でNo)、ST1511が実行される。ST1511において基地局は、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされているか否かを判断するためにコードbを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合(ST1511でYes)、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断し、ST1512の処理が実行される。
コードbを用いた相関演算は、復調部24あるいはデコーダ部25により実施される。ST1512において基地局は、受信した当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにはAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされているとして処理を行う。一方、ST1511においてコードbを用いて相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合(ST1511でNo)、なんらかの受信エラーが発生したとして終了する。
【0108】
上述の通り、図15におけるコードaを乗算するST1503、コードbを乗算するST1504、コードAを乗算するST1505部分は移動端末内のエンコーダ部9、変調部10で実施される。コードa、コードb、コードAの乗算部分の詳細な構成図を図34に示している。
送信バッファ部8内、あるいは、エンコーダ部9内のAck/Nack専用チャネル用シンボルパターン3401に対して、Ack/Nack、CQIのいずれか一方または両方がマッピングされていることを示すコードであるコードa3402、あるいは、Ack/Nack、CQIのいずれか一方または両方と、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示すコードであるコードb3403を乗算する。
【0109】
コードa3402とコードb3403はスイッチ3404で切替えられる。スイッチ3404の切替え条件は図34に示す通りである。
上りデータ送信要求が発生している場合、つまり上りスケジューリングリクエストが有る場合は、Ack/Nack専用チャネル用シンボルパターン3401にコードbが乗算されるように切り替わる。また、上りデータ送信要求が発生していない場合、つまり上りスケジューリングリクエストが無い場合は、Ack/Nack専用チャネル用シンボルパターン3401にコードaが乗算されるように切り替わる。
コードa、あるいは、コードbが乗算された後、移動端末を識別するためのコードA3405を乗算する。その後、変調部10にて変調処理が行われる。
【0110】
上記説明のとおり、移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされている場合とされていない場合で異なるコードを乗算することにより、Ack/Nack専用チャネル内にてスケジューリング要求信号SR用のシンボルをリザーブする必要がなくなる。例えば、スケジューリング要求信号SRは、図14に示す一番最初のロングブロックLB1にマッピングされるが、スケジューリング要求信号SRが送信されていない場合には、LB1にAck/Nack、CQI等をマッピングすることが可能である。また、乗算されているコードによって、基地局は、所定の移動端末からの信号がスケジューリング要求信号SRを含んでいるか容易に識別できるので、スケジューリング要求信号SRがマッピングされている場合とされていない場合で、適切な処理を行うことが可能である。
【0111】
従来技術であるW−CDMAにおいては移動端末から同時に送信される複数のチャネルを分離するためにチャネル毎に異なるコード(チャネライゼーションコード)が乗算され、移動端末から基地局に対して複数のチャネルが同時に送信される。
一方、この実施の形態4においては、コードにより送信する情報(「Ack/Nack、CQI」あるいは「Ack/Nack、CQI、SR」)の種類を分離するためにコードを用いる。
この実施の形態4においては、移動端末から基地局に対して「Ack/Nack、CQI」あるいは「Ack/Nack、CQI、SR」のどちらかが送信され、コードにより分離された「Ack/Nack、CQI」「Ack/Nack、CQI、SR」が同時に送信されることはない。上記点において、同時に送信される複数のチャネルを分離するためにコードを用いる従来技術(W−CDMA)と、この実施の形態4は異なる。
【0112】
この実施の形態4を用いることにより、上記実施の形態3を用いる場合と同様に以下の効果を得ることが出来る。
上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合に、Ack/Nackとともに上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要が生じた移動端末が移動端末内のPAPRを増加させることなく、同時に、それらの送信を行うことが出来るという効果を得ることが出来る。
【0113】
また、Ack/Nack専用チャネルによりスケジューリング要求信号SRを送信することにより、SRにUE−IDを付加する必要がないという効果を得ることが出来る。よって、SRの送信頻度が高い場合は、SRを送信するための必要ビット数が小さいために有効な手段であるといえる。更に、Ack/Nack専用チャネルは図24に示すように分離した狭帯域の複数の時間−周波数領域(図24 A、B)が割り当てられる。これによりAck/Nack専用チャネルにて送信するスケジューリング要求信号SRは周波数選択性フェージングに強くなる。
言い換えれば、SRは周波数ダイバーシチゲインを得ることが可能となる。更に、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のSRはS−RACHではなく、Ack/Nack専用チャネルを用いて移動端末から基地局に対して送信するとした場合、S−RACHのためにあらかじめ割り当てられていた無線リソース(周波数-時間領域)をUL−SCHなどに開放することが可能となり、無線リソースの有効活用という意味においても効果的である。
【0114】
この実施の形態4を用いることにより、上記実施の形態3を用いる場合の効果に加えて、以下の効果を得ることが出来る。
移動端末内にてSRが発生していない場合において、Ack/Nack専用チャネル内のSRを送信するためのあらかじめ割り当てられたLBが不要となり、無線リソースを有効に活用することが可能となる。更に、SRをマッピングするための割り当てが不要になるために、移動端末内にてSRが発生していない場合は、従来のAck/Nack専用チャネル内のAck/NackあるいはCQIの繰り返し回数を減らす必要がなくなり、Ack/NackあるいはCQIの基地局での受信品質向上という効果を得ることが可能となる。
下りデータを受信していない場合にも、Ack/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においてもAck/Nack専用チャネルを用いたCQIの送信と上りスケジューリング要求信号SRが同時に発生する場合が考えられる。そのような移動体通信システムにおいても、この実施の形態4に用いることが可能である。
【0115】
以下、変形例を説明する。
第1の変形例としては、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされているか否かを判断するために、コードa、あるいは、上りスケジューリング要求信号SRがさらにマッピングされていることを示すコードbのいずれか一方のみを利用することが考えられる。
具体例としては、移動端末において、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされる場合はコードaを乗算し、Ack/Nack、CQIのほか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされている場合には、コードbを乗算せずに(ST1504を省略する)、ST1505の処理を実行する。
【0116】
基地局は、ST1509においてコードaを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、Ack/Nack、CQIのみがマッピングされていると判断してST1510へ進む。
一方、ST1509の相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合、Ack/Nack、CQIのほか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断し、ST1512が実行される。
この第1の変形例を用いると、コード数を削減することができ、移動端末内のコードを乗算する処理、基地局内のコードを用いて相関演算を行う処理を削減することが可能となる。更に、コード数が減ることにより、Ack/Nack専用チャネルに割当て可能な移動端末の数が増えるという利点がある。
【0117】
また、第2の変形例としては、Ack/Nack専用チャネルに多重される移動端末毎に、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみ、あるいは、Ack/Nack、CQIのほか上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示す二つのコード(コードA、コードB)を割り当てることが考えられる。
具体例としては、移動端末において、Ack/Nack専用チャネルにAck/NackとCQIのみがマッピングされる場合はコードAを乗算し(ST1503)、Ack/Nack、CQIのほか上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされる場合にはコードBを乗算し(ST1504)、ST1506へ進む。つまり移動端末毎に割り当てられたコードを用いるために、ST1505において移動端末を示すコードを更に乗算する必要はなくなる。
【0118】
基地局は、ST1508において、当該移動端末を示すコード(コードA)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、当該移動端末からAck/Nack、CQIのみがマッピングされていると判断し、ST1510へ進む。
その結果が閾値未満である場合、更にST1508において当該移動端末を示すコード(コードB)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、Ack/Nack、CQIのほか上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断し、ST1512へ進む。つまり、図15のステップのうち、ST1509とST1511を省略することが可能となる。
【0119】
また、この実施の形態4では、Ack/Nack専用チャネルに、Ack/Nack、CQIのみがマッピングされていることを示すコードaか、Ack/Nack、CQIのほか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示すコードbのどちらかがAck/Nack専用チャネル全体に乗算されている。
第3の変形例では、Ack/Nack専用チャネル上のAck/NackとCQIがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードaを乗算し、Ack/Nack専用チャネル上の上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードbを乗算する。
【0120】
具体的には、図15のステップのうち、ST1503、ST1504を省略し、その代わりに、Ack/Nack専用チャネル上のAck/NackとCQIがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードaを乗算し、Ack/Nack専用チャネル上の上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードbを乗算するステップを追加する。
また、基地局により実行されるステップのうち、ST1509、ST1510、ST1511、ST1512を省略し、その代わりに、Ack/NackとCQIがマッピングされているロングブロックであるか否かを判断するために、コードaを用いて相関演算を行う処理を追加する。
【0121】
相関演算の結果が規定された閾値以上である場合は、基地局は、Ack/NackとCQIがマッピングされたロングブロックであると判断し、その後の処理を行う。相関演算の結果が閾値未満である場合は、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているロングブロックであるかを判断するため、コードbを用いて相関演算を行う。
相関結果が閾値以上である場合は、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされたロングブロックであると判断し、その後の処理を行う。この場合、実施の形態4による効果に加えて、Ack/Nack専用チャネル上に上りスケジューリング要求信号SRをマッピングするロングブロックの場所が自由に選べるという効果を得ることが出来る。
【0122】
以下、第4の変形例を説明する。
Ack/Nack専用チャネルのマッピングはSRを含むか否かに関わらず1種類とする。そのマッピングは例えば図9を用いることが出来る。よって、ST1501、ST1502において、Ack/Nack専用チャネルに実際にマッピングされるのはAck/Nack、または/かつ、CQIのみとなる。
以降の移動端末内の処理は図15と同様であるために説明を省略する。
【0123】
Ack/Nack専用チャネルを受信した基地局においては、ST1510において当該移動端末からのSRは無しとして、Ack/Nack専用チャネルの処理はAck/Nack、または/かつ、CQIのみがマッピングされているとして処理を行う。
また、ST1512において当該移動端末からのSRは有りとして、Ack/Nack専用チャネルの処理はAck/Nack、または/かつ、CQIのみがマッピングされているとして処理を行う。
【0124】
図27は、実施の形態4の第4の変形例のAck/Nack専用チャネルのマッピング例を説明した説明図である。この実施の形態4の第4の変形例にてAck/Nack専用チャネル内のSRをマッピングする必要がなくなり、更なる無線リソースの有効活用が可能となる。また、移動端末から上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合であってもAck/Nack、または/かつ、CQIの繰り返し回数を維持することが出来るために、SR有りを送信する場合であっても、基地局でのAck/Nack、または/かつ、CQIの受信品質をSR無しの場合と同様の品質に維持することが出来るという効果を得ることが可能となる。つまり、この方法であれば、上りスケジューリング要求信号SRを送信したいときに、既に使用されている物理チャネル、無線リソースを利用できるだけでなく、その無線リソースを用いて送信している他のデータに対し、その情報量や品質にほとんど影響を与えないという効果を得ることができる。よって、基地局において例えば上りAck/Nack専用チャネルを無線リソースに割当てる際、その無線リソース条件(周波数帯域幅など)の選択に,上りスケジューリング要求信号SRの送信による影響を考慮する必要がない。
【0125】
この実施の形態4及びその変形例では、Ack/Nack専用チャネル内の複数の移動端末の多重方法がCDMで行われた場合について説明したが、多重方法にFDM、TDMが用いられた場合にも適用可能である。この実施の形態4及びその変形例については、図24に示すような分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域を独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネルについて説明した。しかし、この実施の形態4及びその変形例については、図23に示すような狭帯域ではないAck/Nack専用チャネルにおいても適応することが可能である。
【0126】
実施の形態5.
図16は、上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。
ST1601において移動端末は、上りデータ送信中であるか否かを判断する。上りデータ送信中である場合、ST1602へ進む。上りデータ送信中、つまり基地局より上りリソースをスケジューリングされている移動端末においては、上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要はないため、ST1601にて上りデータ送信中である場合には、ST1604の判断を経由せずにST1602へ進むという処理が可能である。言い換えれば、1つの移動端末においては、UL―SCHにて上りデータと上りスケジューリング要求信号SRが並存することはなく、SC―FDMAの関係を満たし、移動端末内のPAPRの増加をもたらすことはないと考えられる。
【0127】
ST1602において、移動端末は、UL―SCHへマッピングされているシンボルが上りデータであることを示すコード(コードc)を乗算する。このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実施される。コードcの乗算後にST1603へ進む。
ST1603において、上りデータを基地局よりスケジューリングされたUL―SCH中のリソースに対してマッピングし、ST1607へ進む。一方、ST1601において上りデータ送信中でない場合、ST1604へ進む。
ST1604において上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生していない場合は、ST1601へ戻る。要求が発生している場合は、ST1605へ進む。
【0128】
ST1605においてUL―SCHにマッピングされているシンボルが上りスケジューリング要求信号SRであることを示すコード(コードd)を乗算する。このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実現される。コードdの乗算後にST1613へ進む。ST1613において、移動端末を識別するためのコード(コードA)を乗算する。このコード乗算は、変調部10により実施される。コードの乗算後にST1606が実施される。ST1606において、上りスケジューリング要求信号SR(resource request、preamble、messageなど)をUL―SCH中のリソースに対してマッピングし、ST1607へ進む。ST1613とST1606の処理の順序は逆でも構わない。コードcとコードdは、基地局での判断の誤りを少なくするために、直交したコードを用いても良い。
【0129】
ST1607において移動端末は基地局に対してUL−SCHの送信を行う。ST1608において、基地局は移動端末から送信されたUL―SCHの受信を行う。ST1609において基地局は、UL−SCHに上りデータがマッピングされているか否かを判断するためにコードcを用いて相関演算を行う。
その結果が規定された閾値以上である場合は、UL−SCHに上りデータがマッピングされていると判断してST1610へ進む。コードcを用いた相関演算は、復調部あるいはデコーダ部により実現される。ST1610において基地局は、UL−SCHに上りデータがマッピングされているとして処理を行う。
【0130】
移動端末は、あらかじめ基地局が割当てて通知したUL−SCH用の所定の無線リソースを用いて上りデータを送信しているため、基地局は、当該移動端末からのUL−SCHチャネル受信を他の移動端末からのものと区別することができる。一方ST1609において、コードcを用いて相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合は、ST1614へ進む。
ST1614において、基地局はUL−SCH内の移動端末多重用に用いたコード(コードA)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は(ST1614でYes)、当該移動端末からのUL−SCHの受信とし、ST1611の処理を実行する。ST1614において行った相関演算の結果が規定された閾値未満である場合は(ST1614でNo)、当該移動端末からのUL−SCHチャネルの受信はないとして終了する。コードAを用いた相関演算は、復調部24により実施される。
【0131】
ST1611において基地局は、UL―SCHに上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているか否かを判断するため、コードdを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、UL―SCHに上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断してST1612へ進む。コードdを用いた相関演算は、復調部24あるいはデコーダ部25により実現される。ST1612において基地局は、UL―SCHに上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているとして処理を行う。
【0132】
上記説明のとおり、コードcとコードdによりUL-SCH内に上りデータがマッピングされているか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているかを判断可能であるため、RACH(Non−S−RACH、S−RACH)送信用に無線リソースをリザーブしておく必要がなくなるという効果を奏する(図17)。よって、上り無線リソースを効率的に使用できるという効果を得る。また、移動端末が上りスケジューリング要求信号SRの送信要求が発生した場合、従来の方法ではRACH(Non−S−RACH、S−RACH)用にリザーブされていた上りリソースタイミングまで基地局に対してSRを送信することが出来なかったが、いつでも移動端末から基地局に対して上りスケジューリング要求信号SRを送信することが可能となる。
よって移動体通信システムとしての制御遅延を削減できるという効果を得る。更に、上りスケジューリング要求信号がUL−SCHにマッピングされている場合、移動端末の識別用のコード(コードA)で多重をしているため、複数の移動端末から同時にスケジューリング要求信号SRが基地局に送信された場合も、基地局側でこれらの端末からのそれぞれのスケジューリング要求信号を判別して受信することができるため、S−RACHを使った場合に起こり得る移動端末間のスケジューリング要求信号の衝突を防ぐことができる。
【0133】
また、この実施の形態5は、移動端末が、上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合、上りにて下りデータ用のAck/Nack、CQI送信と上りデータ(UL−SCH)の多重方法にも適用可能である。移動体通信システムとしての動作は、図16のフローチャートで示す処理と同様であるために省略する。
実施の形態5と同様、1つの移動端末においては、UL―SCH内にて上りデータと上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合のACK/NACK、CQI送信が並存することはなく、SC―FDMAの関係を満たし、移動端末内のPAPRの増加をもたらすことはないと考えられる。
効果としては、上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合、上りにて下りデータ用のAck/Nack送信用にAck/Nack専用チャネル(図23、図24)を設ける必要がなくなることである。さらに、Ack/Nack専用チャネルのために割り当てられていた無線リソースをUL−SCHなどに開放することが可能となる。よって上り無線リソースを効率的に使用できるという効果を得る。
【0134】
実施の形態6.
移動端末がユーザデータ等の上りデータ(Uplink data、UL data)送信を行っていない場合であって、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)を受信している場合、下りデータの受信結果であるAck/Nack、CQI信号を基地局に送信する必要がある。
また、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する必要がある。Ack/Nack、CQIと上りSRを同時に送信する必要が生じた移動端末が移動端末内のPAPRを増加させることなく、同時にそれらの送信を行う方法を説明する。
【0135】
非特許文献1にて上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のAck/Nack、または/かつ、CQIは図23に示すような広帯域のAck/Nack専用チャネルで送信されることが開示されている。
非特許文献4にて上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のSRをS−RACHにて送信することが開示されている。
しかし、上記2つの非特許文献1及び非特許文献4には、本発明の課題についての示唆はない。本発明の課題について繰り返しになるが以下に説明する。
【0136】
Ack/Nack専用チャネルを用いて上りAck/NackやCQIを送信する処理と、S−RACHを用いてSRを送信する処理とを同時に実行しなければならない場合が生じる。この場合、それぞれの信号は無相関であるため、時間的に同時に送信されるとシングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまうという問題が生じる。さらには、PAPRが高くなることにより、ほかの移動端末やシステムへの妨害波となってしまうという問題も生じる。
【0137】
上りAck/Nack、CQIとSRを同時に送信しなければならない場合、移動端末内のPAPRの増加を抑えるためにはシングルキャリア伝送にすべきである。
従来技術に開示されている広帯域のAck/Nack専用チャネルにて送信されるAck/Nack、または/かつ、CQIとS−RACHにて送信されるSRをそのまま用いた場合は、移動端末がそれぞれの情報を同時に送信する必要が発生する場合が考えられる。
そのため、この本実施の形態6では、Ack/Nack、または/かつ、CQIとSRを、ある一つの時間―周波数領域が独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネル、もしくはS−RACHのどちらか一つのチャネルで多重することを提示する。
【0138】
その多重方法について以下に説明する。上りスケジューリング要求信号SR、Ack/Nack、CQIをともに、図23に示すようなある一つの時間―周波数領域が独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネル、もしくは図25に示すようなS−RACHのどちらか一方で送信する方法を説明する。
Ack/Nack専用チャネルとS−RACHは、どちらも、時間的にはサブフレーム単位、周波数的には1リソースユニット単位もしくはそれ以上の領域が割り当てられているため、どちらのチャネルでも本発明が適用可能となる。
【0139】
この実施の形態6では、Ack/Nack、または/かつ、CQIと上りスケジューリング要求信号SRを同時に送信する必要が生じた場合、Ack/Nack、または/かつ、CQIと上りスケジューリング要求信号SRをともにS−RACHで送信する場合について示す。言い換えれば、下りデータを受信しAck/Nack、または/かつ、CQIを送信する必要がある移動端末であっても、上りスケジューリング要求信号SR送信を行っている期間は、Ack/Nack専用チャネルを用いないことを意味する。さらに、上りスケジューリング要求信号SRの送信を行っている期間は、CQIの送信、あるいはAck/Nack送信及びCQIをS−RACHを用いて送信し、Ack/Nack専用チャネルを用いないようにしても良い。
【0140】
図18は、上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。以下、図18を用いて移動端末の動作を説明する。なお、図18において、図6と同一のステップは同一または相当のステップを示すので説明は省略する。
ST601からST603は図6と同様のステップである。ST602において下りデータ受信中であった場合、ST1801が実行される。ST1801において、移動端末は上りスケジューリング要求信号SRとAck/Nack、CQIをS−RACH上にマッピングして基地局に対して送信する。移動体通信システムとしての処理は、図52と同様であるため、説明を省略する。
【0141】
次にS−RACH上のマッピング方法について以下に説明する。
第一のマッピング方法としては、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングする。図19は、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
第二のマッピング方法としては、S−RACH上にプレアンブル、Ack/Nack、CQIをマッピングする。上りスケジューリング要求信号SRに必要なメッセージ情報は、次のS−RACH送信タイミングにて送信するか、あるいは、基地局により割り当てられた上りリソースにより送信する。
【0142】
図20は、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
第三のマッピング方法としては、従来通り、S−RACH上にプレアンブル、メッセージをマッピングするものである。上りリンクの時間同期が取れている状態で送信されるS−RACH上のメッセージ内にAck/Nack、CQIを新たに追加する。図21は、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【0143】
上記説明のとおり、Ack/Nack専用チャネルではなくS−RACHに上りスケジューリング要求信号SRとAck/Nack情報シンボル(Ack/Nack、CQI)を時間的に分離してマッピングすることにより、時間的に分離して送信するために同時に送信することにはならない。よって、一つの移動端末で同時に複数の送信すべき「データ付随なしのL1/L2制御信号」が発生した場合にも、これらの重要な制御信号の通信品質を確保しつつ、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐことができ、低いPARRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0144】
更に分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域にてAck/Nack、CQIを送信する場合と比較して、図23に示すようなある一つの時間―周波数領域が独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネル、もしくは図25に示すようなS−RACHのどちらか一方でAck/Nack、CQIを送信する本実施の形態の方法の場合、帯域幅が大きくなる。
よって、独占的に割り当てた無線リソースにより送信可能な情報量が増えることになる。よって、通信路の環境に応じて、Ack/Nack、CQIの繰り返しパターン(回数など)を変更できるという効果を得ることが出来る。繰り返しパターンを通信路の環境に応じて基地局からの指示により変更することで、Ack/Nack、CQIの受信品質を通信路の環境によらず一定に保つことが可能となる。
【0145】
実施の形態7.
移動端末が基地局と同期しており、かつ上りデータ(Uplink data、UL data)送信も、下りデータ(Downlink data、DL data)受信も行なっていない場合、下りデータに対するAck/Nackを上りで送信する必要もないため、Ack/Nack専用チャネルが存在しない。このような場合において、上り送信要求が発生した場合、上りスケジューリング要求信号SRを、S−RACH用の無線リソースを使うことなく、「サウンディングリファレンスシグナル」(サウンディング リファレンス シグナル、Sounding Reference Signal(RS))と呼ばれる上りの通信品質測定用の信号を利用して送信する方法について説明する。
この方法であれば、S−RACH用にリザーブされた無線リソースを開放できるだけでなく、Sounding RSの送信では、他の移動端末と共通の無線リソース領域を使うため、リソースの効果的な利用ができる。更に、1つのサウンディングリファレンス信号(Sounding RS)という信号に、送信開始するチャネルの通信品質測定用と上りスケジュール要求信号SRという2つの機能を持たせることができる。
【0146】
Sounding RSは、基地局が上りの通信品質を測定するために移動端末UEから基地局eNBに送信される信号である。3GPPでは現在、上りにおけるリファレンス信号(Reference signal)として、復調目的のリファレンス信号(Demoduration RS)と、上りチャネルの品質測定目的のリファレンス信号(Sounding RS)の2種類の信号仕様について、議論されている。
非特許文献3では現在複数の提案が併記されている状態であり、まだ仕様決定されていない。
この実施の形態7では、上りデータの送信中のみサウンディングリファレンス信号(Sounding RS)を送信する場合について考える。
【0147】
この実施の形態7における、上りデータ送信中のSounding RSの無線リソース割当ての一部を示したものが、図35の(a)、(b)である。
まず、図35(a)は、サウンディングRSを1つの時間-周波数領域の全帯域幅で2TTI内の2つのショートブロック(SB)に割当てた例を示している。図35(a)では、1つの時間−周波数領域の一部を2つの移動端末(UE1、UE2)が利用した場合の無線リソース割当て方法が示されている。
図において、501は移動端末UE1のデータシンボル、502は移動端末UE1、UE2、及び、この時間-周波数領域を利用する全ての移動端末共通で利用するSounding RS、503は移動端末UE1の復調(Demoduration)用reference signal、504は、移動端末UE2のデータシンボル、505は移動端末UE2の復調(Demoduration)用reference signalである。これらの中で、Sounding RS502領域として、1つの時間−周波数領域の全帯域幅でのSBが、2TTI内で2つ割当てられている。
【0148】
同様に、Sounding RSを1つの時間−周波数領域の全帯域幅で、2TTI内の2つのロングブロック(LB)に割当てた例を示したものが図35(b)である。図35(b)では、1つの時間−周波数領域の一部を、3つの移動端末(UE1、UE2、UE3)が利用する場合の無線リソース割当て方法が示されている。図において、506は移動端末UE1のデータシンボル、507は移動端末UE1の復調用reference signal、508はUE2のデータシンボル、509は移動端末UE2の復調用reference signal、511は移動端末UE3のデータシンボル、512は移動端末UE3の復調用reference signalである。そして、510は、移動端末UE1〜3及び、この時間−周波数領域を利用する全ての移動端末共通で利用するSounding RSであり、前述したように、Sounding RS用の無線リソースには、1つの時間-周波数領域の全帯域幅でのLBが2TTI内に2つ用意されている。
【0149】
図35(a)、(b)のいずれの場合においても、Sounding RSは、UE毎にコード多重される。Sounding RSは広い帯域の無線リソースを複数の端末で共有して使えるので、基地局が周波数フェージングの状況を測定でき、適切な上りスケジューリングが可能となる。また、それぞれの移動端末での信号をコード多重しているため、基地局側では、各移動端末別に精度のよい品質測定が可能となる。
【0150】
移動局が基地局と同期していて、かつ、上りデータ送信がない状態から、送信要求が発生する場合として、実施の形態3で記述したように、下りデータを受信し、その下り受信データに対するAck/Nack、CQIを上りで送信するためにACK/Nack専用チャネルが割当てられている場合と割当てられていない場合が考えられる。それぞれの場合における、上りスケジューリング要求信号SRの送信方法を示したものが、図37のフローチャートである。
【0151】
まず、上りデータ送信要求の発生が確認されたら(ST5201)、下り受信データに対するAck/Nackを送信するAck/Nack専用チャネルが上りで割当てられているかどうかを確認する(ST5202)。Ack/Nack専用チャネルが上りで割当てられている場合は、Ack/Nack専用チャネルにて、Ack/Nack、CQIと共に上りスケジューリング要求信号SRを送信する(ST5204)。この場合の処理は、実施の形態3で説明したものと同じである。一方、ST5202にて、Ack/Nack専用チャネルが上りで割当てられていなかった場合は、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた上り品質測定用のSounding RS(Sounding Reference signal)を基地局に送信する(ST5203)。
【0152】
下りデータを受信していない場合にもAck/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においては、上記の通りST5202の判断が適していると考える。
一方、下りデータが存在する時のみACK/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。そのような場合においては、ST5202の判断において、下りデータの受信をしているか否かを判断しても良い。
【0153】
図37のST5202の分岐で「No」となる条件、即ち、ACK/Nack専用チャネルの割当てがない状態で、上り送信要求が発生した場合の具体的なシーケンス例について説明したものが図36である。
本実施の形態としては移動端末と基地局間が同期していることを前提としている。よって本実施の形態の前に何らかの方法で同期がとられる必要がある。その方法の一例として図36では、移動端末から基地局に対して非同期ランダムアクセス信号(Non−Synchronous Rrandom Access)を送信した場合を示している。
【0154】
基地局eNodeBは、ST5101で、移動端末UEから同期要求を受信し、要求をしてきた移動端末を特定すると共に、この移動端末との同期を取り、移動端末がActive状態になったことを確認する。更に、次のST5102において、基地局は、同期確立を移動端末に通知すると共に、上り、下りの通信路の設定に必要な制御情報で、かつ、他のUEと共通に設定されるなどの理由で設定値がほぼ固定(semi−static)となるL1/L2制御情報を、併せて移動局に通知する。
上りスケジューリング要求信号SRを上りの通信品質測定用のサウンディングRSを利用して送信する場合は,上りデータの送信がない場合に「上りスケジューリングリクエストを兼ねたSounding RS」を送信する必要があるために,同期確立の通知と共に,Sounding RS関連の制御情報を通知する。上りの品質測定用のSounding RSも、他UEと共有した無線リソースを利用するものであるため、Sounding RSを制御するL1/L2制御情報の中でも、この移動端末に割当てられ、コード多重に利用される移動端末識別情報(シーケンス番号、UE−ID)や、Sounding RS送信用に割当てられる予定の無線リソースの周波数帯域幅(BW)などは、ST5102において、基地局eNodeBから移動端末UEに通知することで上りデータが送信されていない場合にもSounding RSの送信が可能となる。
Sounding RSを上りスケジューリング要求信号SRの通知に利用せずに、上りデータの送信中にのみSounding RSを送信する場合には、同期確立の通知と共にではなく、例えば上りデータのリソース割当て時(ST5104)にSounding RS関連の制御情報(シーケンス番号、BWなど)を通知すれば足りる点において異なる。また、上記にて同期確立の通知と共にというのは、時間的に同時である必要なない。
【0155】
移動端末において、上り送信データ要求が発生した場合、移動端末UEはST5102にて基地局より受信した上りのSounding RS用のUEのシーケンス番号やSounding RS送信用に割当てられる予定の周波数帯域などの制御情報に従って、Sounding RSを送信することにより、特定の移動端末UEで上りのスケジューリングリクエストが有ることを基地局に通知する(ST5103)。このようなSounding RSを「上りスケジューリングリクエストを兼ねたSounding RS」と呼ぶ。各移動端末のSounding RSは、ST5102で受信した移動端末UE用のシーケンス番号で発生したCAZACシーケンスコードで多重され、基地局から通知された周波数帯域、タイミングで送信される。
【0156】
基地局側は、この移動端末が使用した無線リソースの時間−周波数領域にあるSounding RSを受信して相関を取ることにより、該移動端末のSounding RSの受信を検出することができる。受信検出によって、基地局は、上りデータを送信していない移動端末からSounding RSを検出した場合、これを上りスケジューリング要求信号SRであると判断することができる(ST5103)。なぜならば、この実施の形態7では、上りデータ送信中のみSounding RSが送信されることが前提だからである。
上記ではSounding RS内の移動端末の識別方法についてはCAZACシーケンスコードを用いることについて示したが別の方法でも良い。
【0157】
基地局は、移動端末から受信したSounding RSをスケジューリング要求信号SRであると判断すると、「Uplink Data Resource Allocation」メッセージで上りデータ送信に必要な無線リソース割当てなどの制御情報を通知する(ST5104)。移動端末は、基地局から受信した無線リソースを用いて、上りデータの送信を開始する(ST5105)。
ST5102にて基地局eNodeB側からBWを通知される際の基地局内フローチャートを示したものが図39である。
まず、基地局eNodeB側から通知される時の指示フローを、図39に沿って説明する。
【0158】
ST5401において、基地局は移動端末UEと同期が取れているかをチェックし、同期が取れていなければ、Non−Sync RACHで同期要求があるまで、待つ(ST5402)。同期要求を受信すると、基地局は、図36のST5102で説明したように、移動端末との同期を確立し(ST5403)し、semi−staticにSounding RS用のL1/L2制御情報を移動端末UEに送信する(ST5404)。このL1/L2制御情報の中には、上りSounding RS用にUEの識別情報(シーケンス番号、UE−ID)や、上りSounding RSのBWなどが含まれている。
ST5401でのUEとの同期チェックにおいて、同期が取れている場合は、ST5405で下りデータを受信中かどうかを確認し、下りデータを受信しているのであれば、dynamicにSounding RS用のL1/L2制御情報を移動端末UEに通知し、周波数帯域幅(BW)を動的に変更する(ST5406)。
【0159】
図39のフローチャートでは、semi−static、dynamic双方のL1/L2制御情報により、上りSounding RSのBWを基地局から通知するようにしているが、実際は、semi−static L1/L2制御情報とdynamic L1/L2制御情報のどちらか1種類だけで通知される場合もあり得る。
【0160】
移動端末における上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた上りSounding RSの再送方法であるが、この実施の形態7では、移動端末側で所定の時間のタイマーを設定し、タイマー時間内に基地局からST5104で「Uplink Data Resource Allocation」メッセージを受信できなかった場合、上りSounding RSを再送するという方法と、ST5104で「Uplink Data Resource Allocation」メッセージを受信するまで、連続して上りSounding RSを送信し続けるという2つの方法がある。これについては、実施の形態3の説明図28〜30と図31〜33で既に詳細の説明をしているため、ここでの説明を省略する。
【0161】
ST5103で上りスケジューリング要求信号SRを兼ねたSounding RSを送信する際、当然ながら、それは、上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSで使用する筈のSBもしくはLBを使用し、その周波数帯と帯域幅(BW:Band Width)は、通常のSounding RSと同じに合わせる必要がある。なぜなら、Sounding RSは、同じ時間-周波数領域を使用するよう割当てられた複数の移動端末で同じSB(又はLB)領域を、コード多重して利用しているので、1つの移動端末が、Sounding RS用に他の移動端末と共有で使っている周波数帯域の区切れ目を変えたり、他のブロック(LB、SB)を使用したりすれば、他の移動端末のデータやReference signalをつぶすことになるからである。よって、例えば、上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSが基地局の帯域幅全部であった場合は、上りスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RSも、同じ帯域幅となり、基地局が上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSのBW(周波数帯域)を複数設定していた場合は、自移動端末と同じ時間-周波数領域を無線リソースとして割当てられた他の移動端末と同じBWを使用する。
【0162】
移動端末に使用する上りスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RS用のBWは、基地局eNodeB側が判断して選択する場合と、移動端末UEが自分で判断して選択する場合とがある。
基地局eNodeB側がBWを選択する場合の判断方法を示したフローチャートが図40、移動端末側でBWを選択する場合の判断方法のフローを示したものが図41である。
【0163】
次に、基地局eNodeB側で上りSounding RSのBWを選択する場合の処理フローについて説明する。この選択フローは、図39に示すフローチャートのST5404にて、UEに通知されるセミ・スタティック(semi−static)のL1/L2制御情報や、ST5406にてUEに通知されるダイナミック(dynamic)のL1/L2制御情報の中にあるBWを決定する方法である。
図40は、基地局eNodeB側で上りSounding RSの周波数帯域幅(Band Width:BW)を選択する場合の処理フローを示したものである。
【0164】
まず、図中のST5501において、上りSounding RSを送信するBWが複数存在するかどうかを確認し、1つだけであれば、他の全ての移動端末UEの上りSounding RSのBWと同じBWとする(ST5502)。一方、上りSounding RSを送信するBWが複数である場合は、同じBWで上りスケジューリング要求信号SRを兼ねたSounding RSを送信するUEの数が適切であるか(ST5504)、そのBWがセルエッジでUEに割当て可能な周波数であるか(ST5505)、下りCQI(チャネル品質、下り通信路品質)の報告結果が良好なBWであるか(ST5506)をチェックし、これらの条件に適合するまで、BWを変えながら探す(ST5507)。そして、ST5504〜ST5506の条件に適合したBWを上りSounding RS用のBWとして決定する(ST5508)。
【0165】
上記のBW選択をUE側で行なった場合の処理フローを示したものが図41である。UEによる上りSounding RSのBW選択は、図39のフローチャートで言えば、ST5405の下りデータを受信している時に、下りのdynamic L1/L2制御情報で通知されるBWに反映される。まず、BCHなどのチャネルで、上りSounding RSのBW数を基地局から受信する(ST5601)。上りSounding RSのBWが複数あるかどうかを確認し(ST5602)、BWが1つであれば、他のすべてのUEの上りSounding RSのBWと同じBWを選択する(ST5603)。もし、BWが複数であれば、ST5605の「下りのCQIの品質が良好である」条件をクリアできるBWを順番に選択しながら探して、BWを決定し(ST5607)、その結果を基地局に通知する。
【0166】
このような選択方法を用いることにより、同じBWで送信するUEの数をコントロールして、基地局の総受信電力の増加を防ぐことができる。また、上りの周波数としてセルエッジのUEが割当て可能な周波数をあらかじめ設定することが出来、実際に知りたい周波数帯域の上り通信路品質を得ることが出来る。更に、下りCQIから、上りの良好なBWを予想して選択することにより、その移動端末UEにとって最も安定した無線リソースで上り通信路品質を得ることができる。
上記で説明した、移動端末が使用する上りスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RS用のBWの決定方法(上りスケジューリング要求SRをSounding RSを用いて通知する場合のSounding RS用のBWの決定方法)については、実施の形態8、実施の形態9、実施の形態10でも用いることが出来る。
【0167】
図36のシーケンス内のST5103における、基地局及び移動端末による無線リソースの具体的な割当て方法について説明する。
図38は、基地局が上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSのBWを複数設定していた場合における無線リソースの割当て方法、及び、送信要求が発生した後の移動端末UE1の無線リソース割当て経緯を示した図である。図38では基地局の管理する無線リソースはそれぞれの帯域幅がBW#1、BW#2、BW#3となる3つの時間-周波数領域に分けられている。BW#1の時間−周波数領域には、移動端末UE1を含むUE群Aが割当てられ、同様にBW#2の領域にはUE群B、BW#3の領域にはUE群Cが割当てられる。図において、531はUE群Aのデータ領域、532はUE群Aのサウンディング(Sounding RS)領域、533はUE群Aの復調(Demoduration)用RS領域、534はUE群Bのデータ領域、535はUE群Bのサウンディング(Sounding) RS領域、536はUE群Bの復調(Demoduration)用RS領域である。この図では、Sounding RS領域は、図35(a)の例と同様に2TTI内で二つのSBに配置されており、その帯域幅は、それぞれのUE群用に設定された時間-周波数領域の帯域幅(BW#1、BW#2、BW#3)と同じとなっている。また、それぞれのUE群領域内のデータ領域やDemoduration用RS領域は、それぞれのUE群内の複数のUE用に分割されている。
【0168】
例えば、図38の無線リソース割当て条件下で、UE群Aに含まれるUE1がTTI#1のサブフレーム(1)で上りスケジューリング要求信号SRを送信したい場合を図38(b)に示す。537はUE1のスケジューリング要求信号SRを兼ねるサウンディング(Sounding)RS領域、538はUE1のデータ送信開始後の送信データ領域、539はUE1の復調(Demoduration)用RS領域、540はUE1の上りの通信品質測定用(通常)のサウンディング(Sounding)RS領域である。UE1は、UE群AのSounding RSとして割当てられるSB1(537)でスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RSを送信する。UE1のスケジューリング要求信号SRを兼ねたSounding RSに使用するSB537のBWは、UE群AのSounding RSのBW#1と同じである。サブフレーム(1)では、UE1で上りデータ送信を行なっていないため、この時点でUE1が使用する領域は、SB1のみとなる。つまり、サブフレーム(1)のSB1以外のLB(LB1、LB2、LB3、LB4、LB5)、SB(SB2)でのUE1からの送信はない。その後、基地局にて上りスケジューリング処理が行われる。
【0169】
ここでは、3TTIを経過する間に、基地局からUE1に、上りデータ送信用の無線リソース割当てが通知され、UE1が、サブフレーム(7)より上りデータ送信を開始する。ここからは、LB1〜6にUE1用のデータ538、TTI#4のSB1及び、TTI#5のSB2にはUE1の上りの通信品質測定用(通常)の上りSounding RS540、残りのSBには復調用のRSが割当てられる。図にあるように、UE1のスケジューリングリクエストSRを兼ねた上りSounding RS及び、上りの通信品質測定用(通常)の上りSounding RSの領域のBWはUE群Aの帯域幅BW#1と同じであり、この領域と全く同一のタイミングの同一の領域を、UE群A内のデータ送信状態にある全ての移動端末UEが、上りSounding RSの送信用に割当てている。一方、UE1のデータ領域やDemoduration RS用に割当てられた領域の帯域幅はBW#1より小さく、他のUEとは区別された領域を使用している。
【0170】
このように、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた上りSounding RSの送信は、同じBWを割当てられた送信中の他のUE(複数あり)の上りSounding RSの送信タイミングと合わせる必要がある。
【0171】
図42は、更に詳しくUE群Aに割当てられた時間-周波数領域内で、複数のUEが、同タイミングにおいて、どのようにそれぞれに割当てられた無線リソースを使用しているかを示したものである。図42では、図38と異なり、上りSounding RS用の領域は、図35(b)と同じく、2TTI内に2つのLB(1サブフレーム目のLB1と2サブフレーム目のLB6)に配置している。図において、571はUE群AのSounding RS領域、572はUE群AのDemoduration用RS領域、573はUE群Aのデータ領域、574はUE群BのSounding RS領域、575はUE群BのDemoduration用RS領域、576はUE群Bのデータ領域、577は送信開始時におけるUE1のスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RS領域であり、かつ、送信中におけるUE2のSounding RS領域、578はUE2のDemoduration RS領域、579はUE2のデータ領域、580はUE1とUE2の通常のSounding RS領域、581はUE1のDemoduration用RS領域、582は送信中におけるUE1のデータ領域である。
【0172】
同じUE群A内の二つの移動端末UE1とUE2は、あるタイミングで、それぞれUE1は上り送信をこれから開始しようとし、UE2は既に上りデータを送信中であったとする。UE群Aの全ての移動端末が、上り送信時に使用する上りSounding RS領域に割当てられた577のLB1は、UE1では、上り送信開始時に移動端末から基地局に通知される上りスケジューリング要求信号SRの意味を兼ねた、上りSounding RSの送信に使用され、UE2では、通常の基地局での品質測定に使われる、上りSounding RSの送信に使用される。図の通り、これらの二つのUEは、全く同タイミングで全く同じ帯域幅(=BW#1)の同じブロック(LB)で異なる意味合いを持つ上りSounding RSを送信している。
【0173】
基地局では、このLB1を受信した際、それぞれのUEのシーケンス番号にて発生されたコードで復調を行い、UE1、UE2からの上りSounding RSを受信する。そして、これまで上りデータ信号を受信しなかったUE1のSounding RS信号については、基地局側でのUE1の上り品質測定に利用すると共に、これをUE1の送信開始通知(上りスケジューリング要求信号SR)と判定する。一方、これまで、定期的に上りデータ信号を受信してきたUE2のSounding RS信号は、基地局におけるUE2の上り品質測定に利用される。
【0174】
UE1、UE2の送信中に割当てられるデータ用領域やDemoduration RS用の領域は、上りSounding RS用と異なり、図42にあるように、それぞれ分離した領域に割当てられる。
【0175】
更に、上りSounding RSを送信できる時間-周波数領域の設定を、図38や図42で説明したように、どのUE群も同じに設定せず、UE群毎に別の時間-周波数領域に設定する方法もある。図43(a)(b)は、UE群毎に、上りSounding RSを割当てられる領域を、リソースユニット(RU)単位で時間・周波数をずらして設定する例を示したものである。図43(a)はSounding RSのBWが基地局の帯域幅全部であった場合、その時間-周波数領域内で、UE群別に上りSounding RSを送信できる領域が異なるよう割当てられた例を示したものである。図では、2TTI区間の長さで、1TTIずつずらしながら、4つのUE群に対しSounding RSを送信できる区間を割当てる例を示している。具体的に言うと、4つのUE群のうち、チーム1のUEはTTI(1)(2)の区間A、チーム2のUEはTTI(2)(3)の区間B、チーム3のUEはTTI(3)(4)の区間C、チーム4のUEはTTI(4)(5)の区間Dにおいて、上りSounding RSを送信する。この割当ては、この例に限らない。
【0176】
また、上りSounding RSの領域割当てが、この実施の形態7で説明したように2TTI内で2つのブロックに割当てられるようにするとは限らず、毎TTIかもしれないし、3サブフレーム以上に渡って所定の固定数割当てられることもあり得る。また、UE群毎の上りSounding RSを送信できる区間設定も、1TTI単位でずらす必要は無く、ネットワークの負荷を低くし、上り品質測定の精度を維持できるのに十分な頻度に合わせた設定であればよい。この方法であれば、それぞれのUEチームにより上りサウンディングRSを送信できる区間が異なってくるので、基地局側で同時に受信するUEの数を減らすことができる。
さらには、基地局の総送信電力配分の最適化が行なえる。
【0177】
図43(b)は上りSounding RSのBWが複数設定されている場合において、それぞれの時間-周波数領域内で、UE群別に上りSounding RSを送信できる区間が異なるよう割当てられた例を示したものである。この方法であれば、図43(a)と比べ、それぞれのUEチームにより、上り送信を行なう周波数帯域も、上りSounding RSを送信できる区間も異なってくるので、基地局側で受信時に同じ帯域で同時に受信するUEの数を減らすことができ、基地局無線部の受信負荷を下げることが出来る。更には、基地局の総送信電力配分の最適化が行なえる。
【0178】
この実施の形態7で説明した上りSounding RSのBW設定や無線リソースの割当て方法は、上りデータ送信データがない時に、Sounding RSを上りスケジューリング要求信号SR以外の目的で送る場合にも適用できる。また、この実施の形態7で説明した上りSounding RSのBW設定や無線リソースの割当て方法は、実施の形態8、実施の形態9、実施の形態10にも適用できる。
【0179】
上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSを送信する時の送信電力は、その信号の重要性から考えて、通常の上りSounding RSを送信する時と同程度以上にする必要がある。例えば、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSの送信電力を、下記のような所定の式で求める方法もある。
【数1】
上記のように、送信電力をそれぞれの所望の電力対雑音比に応じて設定する等、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSを送信する時の送信電力を、通常の上りSounding RSを送信する時と同程度以上にすることで、基地局での上りスケジューリング要求信号の誤受信を減らすことが可能となる。
上記のように、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSの送信電力の設定方法は、実施の形態8、実施の形態9、実施の形態10でも適用できる。
【0180】
以上のように、基地局と同期が取れていて、かつ、上りにてデータ送信がなく、Ack/Nack専用チャネルの割当てがない場合において、上り送信要求が発生した時、上りスケジューリング要求信号SRを上りの品質測定用のSounding RSを利用して送信することにより、S−RACHを用いる時よりも広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現できる。「上りスケジューリング要求信号SRを兼ねたサウンディングRS」にて、上りスケジューリング要求信号SRの送信と、基地局での上り通信路品質測定を兼ねることができるため、スケジューリング要求信号SRと別に上り品質測定用のサウンディングRSを送信する必要がなくなる。また、広い周波数帯域を用いるので、その後の上りスケジューリングにおいて、上りの通信品質を反映しやすい。更に、S−RACHの無線リソースを解放することが出来、移動端末と基地局間の上りスケジューリングシーケンスにおける複雑さを軽減することができる。
【0181】
実施の形態8.
移動端末が、基地局と同期しており、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)を受信していない、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされておらず、移動端末がユーザデータ等の上りデータ(Uplink data、UL data)送信を行っていない場合であっても、移動端末は基地局との上り同期を維持するため、ある時間間隔でサウンディング用のリファレンス信号(上り通信路品質測定用リファレンス信号)を基地局に送信している場合がある。図53に移動端末がある時間間隔(nTTI)にてサウンディング用のリファレンス信号7901を送信している場合を示している。一方、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には上りスケジューリング要求信号SRを別途基地局に送信する必要がある。
【0182】
よって、上りスケジューリング要求信号SRとサウンディング用のリファレンス信号を同時に送信する場合が生じてしまう。時間的に同時に送信されるとシングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまうという問題が生じる。さらには、PAPRが高くなることにより、ほかの移動端末やシステムへの妨害波となってしまうという問題も生じる。このような問題を避けるために、サウンディング用のリファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングをずらすなどの方策が考えられるが、基地局かつ/または移動端末でのスケジューリング制御が複雑になってしまう。
この実施の形態8では、前記課題を解決するため、サウンディング用のリファレンス信号を、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた信号にする方法について説明する。
【0183】
上記実施の形態7においては、移動端末は、上りデータの送信を行っていない場合、サウンディング用のリファレンス信号を送信していない状態におけるスケジューリングリクエストの送信方法について開示している。その場合、基地局は、サウンディング用のリファレンス信号を受信したらスケジューリングリクエストが有るとして判断する。従って、基地局は、サウンディング用リファレンス信号が上りスケジューリング要求機能を備えるのか、かつ/または、スケジューリングが有りか無しかを判別する必要は無かった。
しかし、サウンディング用のリファレンス信号をある時間間隔で送信している場合に、サウンディング用のリファレンス信号を上りスケジューリング要求信号SRと兼ねた信号にする場合、基地局は、受信した該信号が、サウンディング用か上りスケジューリング用かを判別する必要が生じる、かつ/または、スケジューリングの有無を判別する必要が生じるという新たな課題が生じる。この課題を解決するため、この実施の形態8では、サウンディング用のパイロットパターンを2種類用意しておき、該パイロットパターン2種類を上りスケジューリング要求の有無に対応させ、上りスケジューリング要求の有無に応じて該パイロットパターンのどちらか一方を送信するという方法を開示する(図80を参照)。
【0184】
図46に移動端末がサウンディング用リファレンス信号を送る場合のサウンディング用パイロットの割当ておよび移動端末固有のコードの割り当て方を示している。7201はサウンディング用パイロット、7202は移動端末固有のコードである。移動端末がサウンディング用リファレンス信号を送信する場合、移動端末のエンコーダ部もしくは変調部において、サウンディング用パイロットに移動端末固有のコードを乗算して、サウンディング用リファレンス信号を生成する。
サウンディング用リファレンス信号は変調処理が行われ、ベースバンド信号に変換された後、無線周波数に変換される。その後、アンテナから基地局にサウンディング用リファレンス信号が送信される。該移動端末固有のコードは、基地局において、複数の移動端末からのサウンディング用リファレンス信号を受信した場合に、どの移動端末からのサウンディング用リファレンス信号かを特定可能とするために用いる。
該コードは直交性を有するコード、もしくは、パイロットパターンに該コードを乗じた結果が直交性を有するようなコードであった方がよい。
【0185】
また、該コードは、拡散符号であってもよいし、スクランブル符号であっても良い。サウンディングリファレンス信号がアロケーションされる時間-周波数領域は、あらかじめ決められているか、または、基地局によって通知される。周波数領域はいろいろな帯域を取りうる。また、時間領域は、毎TTIに1回でも良いし、複数のTTIに1回でも良い。基地局で受信したサウンディング用リファレンス信号は移動端末固有のコードにより相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になったコードで、移動端末が特定される。基地局はサウンディング用リファレンス信号を用いて特定された該移動端末との上りチャネルの同期をとりなおす。また、該信号を用いて、上り通信路品質を測定する場合もある。
【0186】
サウンディング用のリファレンス信号に、上りスケジューリング要求信号SRの機能を併せ持たせるための一つの実施例を開示する。図44に上りスケジューリング要求信号SRの機能を兼ね備えたサウンディング用リファレンス信号の生成方法を示している。7001はサウンディング用パイロットパターン1、7002はサウンディング用パイロットパターン2、7003は2種類のパターンを切替えるスイッチ、7004はスイッチを制御する制御部、7005は移動端末固有のコードである。該サウンディング用パイロット1および2は1シンボルであっても良いし、複数シンボルであっても良い。
該コードは直交性を有するコード、もしくは、パイロットパターンに該コードを乗じた結果が直交性を有するようなコードであった方がよい。また、該コードは、拡散符号であってもよいし、スクランブル符号であっても良い。ただし、スクランブル符号とする場合は、該サウンディング用パイロット1および2は複数シンボルが好ましい。
サウンディング用パイロットパターンとして、上りスケジューリングリクエストの有無に対応して2種類のパターンを用意しておく。図の表中に示すように、上りスケジューリングリクエストが無い場合はパターン1を、上りスケジューリングリクエストがある場合にはパターン2をあらかじめ割り当てておく。
【0187】
図45は移動端末と基地局間のシーケンス図を示している。移動端末はある時間間隔でサウンディング用のリファレンス信号を送信している。サウンディングリファレンス信号がアロケーションされる時間-周波数領域は、あらかじめ決められているか、または、基地局によって通知される。移動端末はST7101で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST7102が実行される。ST7102では、制御部7004はスイッチ7003をサウンディング用パイロットパターン1が選択されるように切替える。
【0188】
上りデータ送信要求発生が有る場合は、上りスケジューリングリクエストを送信するので、ST7103が実行される。ST7103では、制御部7004はスイッチ7003をサウンディング用パイロットパターン2が選択されるように切替える。ST7104において、それぞれの場合のサウンディング用パイロットパターンに、移動端末固有のコード7005を乗算してサウンディング用リファレンス信号を生成する。ST7105において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7106において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7107において、該サウンディング用リファレンス信号と移動端末固有のコードによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定される。
【0189】
次に、ST7108において基地局はサウンディング用パイロットがパターン1かパターン2かを判定する。判定結果がパターン1の場合、ST7109で上りスケジューリングは無いものとして処理を行う。判定結果がパターン2の場合、ST7110で上りスケジューリングが有る場合の処理を行うこととなる。
ST7107にて相関演算結果がある閾値未満の場合、該移動端末以外の移動端末からのサウンディング用リファレンス信号として処理を終了する。
基地局でサウンディング用パイロットがパターン1かパターン2かを判定可能とする2種類のサウンディング用パイロットパターンの1例として、パイロットパターン1とパイロットパターン2に逆の符号(あるシンボルが“1”の場合は“0”)を割り当てる。こうすることで、ST7108において基地局はサウンディング用パイロットがパイロット1かパイロット2かを判定する場合に、相関演算において正か負かで判断できるようにすることが可能となる。
なお、基地局はサウンディング用パイロットパターン1または2を用いて、特定された該移動端末との上りチャネルの同期をとりなおすことも可能である。
【0190】
以上のような構成にすることによって、移動端末で、上りスケジューリング要求信号SRとサウンディング用のリファレンス信号を同時に送信する場合に生じるPAPRの増大を解決することができる。
さらには、スケジューリングリクエスト用にS−RACHの領域を確保する必要がなくなるため、時間−周波数リソースの無駄を無くす事ができる。
さらには、サウンディング用のリファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングをずらすなどを行わずに済むため、基地局かつ/または移動端末でのスケジューリング制御が複雑になることを回避する事が可能となる。
さらには、以上のような上りサウンディング用リファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた構成の信号にすることによって、基地局で該信号を受信した場合、該信号が、上りスケジューリングリクエストの有無を判別可能となる。
さらには、割当てる移動端末固有のコードが1種類で済むため、多くのコードリソースが確保でき、基地局で同時に受信可能な移動端末の数を増やすことが可能となる。
さらには、S−RACHあるいはAck/Nack専用チャネルを用いる時より広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現することができる。
【0191】
以下、変形例を説明する。
第1の変形例としては、サウンディング用パイロットの一部のシンボルをスケジューリングリクエスト用のシンボルとする。図47にサウンディング用パイロットの一部をスケジューリングリクエスト用のシンボルにしたパイロットパターンを示している。
スケジューリングリクエストが無い場合はスケジューリング要求用のシンボルに1を割り当て、スケジューリングリクエストがある場合はスケジューリング要求用のシンボルに0を割り当てる。
【0192】
図48のシーケンス図に沿って説明する。移動端末はST7401で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST7402が実行される。ST7402では、スケジューリングリクエスト用シンボルに1を入れる。上りデータ送信要求発生が有る場合は、上りスケジューリングリクエストを送信するので、ST7403が実行される。ST7403では、スケジューリングリクエスト用シンボルに0を入れる。ST7404において、それぞれの場合のサウンディング用パイロットパターンに、移動端末固有のコードAを乗算してサウンディング用リファレンス信号を生成する。
【0193】
ST7405において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7406において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7407において、該サウンディング用リファレンス信号と移動端末固有のコードAによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定される。次に、ST7408において基地局はスケジューリングリクエスト用シンボルが1か0かを判定する。判定結果が1の場合、ST7409において上りスケジューリングは無いものとして処理を行う。判定結果が0の場合、ST7410において上りスケジューリングが有る場合の処理を行うこととなる。
【0194】
なお、スケジューリングリクエスト用とするシンボルは1シンボルであっても良いし、複数シンボルであってもよい。複数シンボルにすることで、基地局での合成電力が増加し誤り率が低減するという効果が生じる。
【0195】
また、サウンディング用シンボル数に応じた移動端末固有のコードを乗算し、スケジューリングリクエスト用シンボル数に応じた他の移動端末固有コードを乗算し、それらを時間的に多重してもよい。これにより、移動端末固有のコードとしてスクランブリングコードを用いる事ができる。さらには、基地局においてサウンディング用リファレンス信号の部分のみで相関演算を行う事が可能となるため同期精度、またはチャネルコンディション(上り通信路品質)評価精度が向上する効果がある。また、サウンディング用シンボル数とスケジューリングリクエスト用シンボル数が同じ場合は、両者に同じ移動端末固有のコードを乗算する事ができる。これにより、コードリソースの有効活用がはかれるという効果がある。
【0196】
第2の変形例としては、移動端末固有のコードを2種類用意して、上りスケジューリングリクエストの有無に応じた移動端末固有のコードをサウンディング用パイロットに乗じる。
図49にサウンディング用リファレンス信号の生成例を示している。7501はサウンディング用パイロット、7503は一つの移動端末固有のコードA、7504は別の一つの移動端末固有のコードB、7502はサウンディング用パイロットに乗じるコードを選択するためのスイッチ、7505はスイッチ7502でスケジューリングリクエストの有無に応じたコード(7503、7504)を選択するための信号を送信する制御部である。図中の表に示すように、移動端末固有のコードは、上りスケジューリングリクエストが無い場合はコードA、上りスケジューリングリクエストが有る場合はコードBが割当てられる。
【0197】
次に動作について図50のシーケンス図に沿って説明する。移動端末はST7601で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST7602が実行される。ST7602では、制御部7505からの制御信号によりスイッチ7502でコードAを乗算するように選択される。これによって、サウンディング用パイロットにコードA7503が乗算される。上りデータ送信要求発生が有る場合は、スケジューリングリクエストを送信するので、ST7603が実行される。ST7603では、制御部7505からの制御信号によりスイッチ7502でコードB7504を乗算するように選択される。これによって、サウンディング用パイロットにコードBが乗算される。
【0198】
ST7604において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7605において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7606において、該サウンディング用リファレンス信号とまずはコードAによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合は移動端末が特定されるが、スケジューリングリクエスト無しとして処理される。演算結果がある閾値未満の場合は、ST7608において、該サウンディング用リファレンス信号とコードBによる相関演算が行われる。相関演算結果がある閾値以上になった場合は移動端末が特定され、さらにスケジューリングリクエスト有りとして処理される。
ST7606にてコードAとの相関演算結果がある閾値未満、かつ、ST7608にてコードBとの相関演算結果がある閾値未満であった場合は、該移動端末以外のサウンディング用リファレンス信号として終了する。
【0199】
上記のように構成することで、サウンディング用のパイロットパターンを2通り持つ必要が無くなる利点や、さらには、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事になるので、相関演算において正負の判断を行う必要が無くなるという効果が得られる。さらには、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事になるので、判定精度、さらには同期精度、さらにはチャネルコンディション評価精度が向上するという効果がある。
【0200】
第3の変形例としては、スケジューリングリクエストの有無識別用コードを1種類用意して、上りスケジューリングリクエストの有無に応じて該コードを乗ずるか否かの制御を行う方法である。
図51にサウンディング用リファレンス信号の生成例を示している。7701はサウンディング用パイロット、7703はスケジューリングリクエストの有無識別用コードa、7702はサウンディングパイロットにコードaを乗じるか否かを選択するスイッチ、7705はスイッチ7702でコードaを乗じるか否かの信号を送信する制御部、7704は移動端末固有のコードである。図中の表に示すように、上りスケジューリングリクエストが無い場合、スケジューリングリクエスト有無識別コードは割当てられず、上りスケジューリングリクエストが有る場合はコードaが割当てられる。
【0201】
次に動作について図52のシーケンス図に沿って説明する。移動端末はST7801で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、制御部7705からの制御信号によりスイッチ7702がコードaを乗算しない方に選択され、ST7803が行われる。上りデータ送信要求発生が有る場合は、スケジューリングリクエストを送信するので、ST7802が実行される。ST7802では、制御部7705からの制御信号によりスイッチ7702でコードa7703を乗算するように選択される。これによって、スケジューリングリクエスト有無識別用コードaが乗算される。ST7803では、移動端末固有のコードAが乗算される。
【0202】
ST7804において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7805において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7806において、該サウンディング用リファレンス信号と移動端末固有のコードAによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定される。
次に、ST7807において、該サウンディング用リファレンス信号とコードaによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、スケジューリングリクエストが有りとして処理される。演算結果がある閾値未満の場合は、スケジューリングリクエストが無しとして処理される。
スケジューリングリクエスト有無識別コードaと移動端末固有のコードAはスクランブル符号でもよいし、拡散符号でもよい。
【0203】
上記のように構成することで、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事が可能になるので、相関演算において正負の判断を行う必要が無くなるという効果が得られる。さらには、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事になるので、判定精度が向上するという効果がある。さらには、第2の変形例のように移動端末固有のコードが2倍必要となる事は無くなる効果が有る。
【0204】
以上のように、この実施の形態8のような構成とすることによって、移動端末で、上りスケジューリング要求信号SRとサウンディング用のリファレンス信号を同時に送信する場合に生じるPAPRの増大を防ぐことができる。
さらには、スケジューリングリクエスト用にS−RACHの領域をあらかじめ確保する必要がなくなるため、時間−周波数リソースの無駄を無くす事ができる。
さらには、サウンディング用のリファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングをずらすなどを行わずに済むため、基地局かつ/または移動端末でのスケジューリング制御が複雑になることを回避する事が可能となる。
さらには、以上のような上りサウンディング用リファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた構成の信号にすることによって、基地局で該信号を受信した場合、該信号が、上りスケジューリングリクエストの有無を判別可能となる。
さらには、S−RACHあるいはAck/Nack専用チャネルを用いる時より広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現することができる。
【0205】
実施の形態9.
移動端末が、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)受信中、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている状態で、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する必要がある。この場合、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号と上りスケジューリング要求信号SRを同時に送信する場合が生じてしまう。時間的に同時に送信されるとシングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまうという問題が生じる。
さらには、PAPRが高くなることにより、ほかの移動端末やシステムへの妨害波となってしまうという問題も生じる。
【0206】
このような問題を避けるために、実施の形態1、2では上りスケジューリング要求信号をS−RACHを用いて送信し、同じタイミングのAck/Nackかつ/またはCQI信号をDTXする方法を開示している。また、実施の形態3、4では上りスケジューリング要求信号をAck/Nack専用チャネルに入れて送信する方法を開示している。
この実施の形態9では、上りスケジューリング要求信号をサウンディングRS用の領域で送信する方法について開示する。なお、この実施の形態9では、上りタイミング同期用に送信するある時間間隔のサウンディングRSがない場合について開示する。
【0207】
サウンディングRS用の領域に関しては実施の形態7にて既に説明している。実施の形態7ではAck/Nack専用チャネルの割当てがなされていない場合について開示したが、ここではAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている場合について開示する。
図55にAck/Nack専用チャネル領域のある場合の時間-周波数リソース図を示している。領域AおよびBはAck/Nack専用チャネル領域である。該専用チャネル領域外の領域において、ここでは2TTIに1回、1番目のLBにサウンディングRS用の領域を割当てる。
このサウンディングRS用領域で、基地局傘下の移動端末は、サウンディング用のリファレンス信号を送信する。移動端末は一つまたは複数の群に分割されても良い。また、サウンディングリファレンスシンボル用の領域も一つまたは複数の領域に分割されてもよい。ある移動端末群のサウンディング用RSの送信をある分割された領域で行ってもよい。
【0208】
図60にスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。移動端末が基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)受信中、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている状態で、移動端末に上りデータ送信の必要が生じ、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する時に、該移動端末に割当てられたサウンディングRS用領域において、上りスケジューリング要求信号を送信し、その他のLBもしくはSBではAck/Nack専用チャネルにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号もしくは復調用リファレンス信号を送信する。上りスケジューリング要求が無い場合は、上りスケジューリング要求信号を送信せず、Ack/Nack専用チャネルにおいてAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信する。
【0209】
図59にサウンディングRS用領域において上りスケジューリング要求信号を送信する場合の移動端末での送信シンボルマッピングを示している。2TTIの先頭のLBにサウンディング用のパイロットシンボルを挿入する。その他のLBにはAck/NackもしくはCQIシンボルを挿入する。サウンディング用のパイロットには、サウンディング用領域にて用いられる移動端末固有のコードaが乗算される。該コードaは、サウンディング用領域が複数の移動端末に共用されるため、基地局がどの移動端末からの送信があったかを特定するためのものである。サウンディング用領域にて用いられる移動端末固有のコードaが乗算されたサウンディング用シンボルはサウンディングRS用の領域にマッピングされる。
【0210】
Ack/NackもしくはCQIシンボルには移動端末固有のコードAが乗算され、Ack/Nack専用チャネルにマッピングされる。該コードAは実施の形態3でも述べたように、Ack/Nack専用チャネルでの移動端末を特定するためのものである。これら2種類の移動端末固有のコードはあらかじめ決められているか、もしくは基地局から通知される。
図62はシーケンス図である。移動端末はST8901で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST8904が実行される。ST8904では、2TTI全てのLBにAck/NackもしくはCQIシンボルが入れられ、コードAが乗算される。上りデータ送信要求の発生が有る場合は、上りスケジューリングリクエストを送信するので、ST8902、ST8903が実行される。
【0211】
ST8902では2TTIの1番目のLBにサウンディング用パイロットを入れてコードaを乗算する。ST8903では、2番目以後のLBにAck/Nackかつ/またはCQIを入れてコードAを乗算する。ST8905で、コードaが乗算されたサウンディング用パイロットはサウンディングRS用領域へアロケーションされ、コードAが乗算されたAck/NackもしくはCQIはAck/Nack専用チャネルへアロケーションされて、基地局に送信される。ST8906で信号を受信した基地局は、ST8907において、サウンディング用領域の信号をコードaを用いて相関演算を行い、その結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定され、さらに特定された該移動端末から上りスケジューリングリクエストが有ったと判定できる。
【0212】
上りスケジューリングリクエストが有ると判断した基地局は、ST8910においてその処理が行われる。また、ST8911において2番目以後のLB、SBのAck/Nack専用チャネルの信号をコードAで相関演算を行い、ST8912において、Ack/NackもしくはCQIの判定が行われる。ST8907においてコードaとの相関演算結果がある閾値より小さい場合はまだ移動端末の特定はできず、上りスケジューリングリクエストが無いとしての処理が行われる。その場合、ST8909において全てのLB、SBのAck/Nack専用チャネルの信号をコードAで相関演算が行われ、相関演算結果がある閾値以上の場合、移動端末が特定される。移動端末が特定された後、ST8912においてAck/NackもしくはCQIの判定が行われる。
【0213】
以上のように構成することによって、移動端末で、Ack/Nack信号またはCQI信号と上りスケジューリング要求信号SRが同時に送信する場合が生じてしまうとき、PAPRの増大を防ぐことができる。
さらには、スケジューリングリクエスト用にS−RACHの領域をあらかじめ確保する必要がなくなるため、時間-周波数リソースの無駄を無くす事ができる。
さらには、上りスケジューリング要求信号SRをサウンディング用リファレンス信号を用いて送信することによって、基地局で該信号を受信した場合、該信号が、上りスケジューリングリクエストの有無を判別可能となる。
さらには、上りスケジューリング要求信号SRをサウンディング用リファレンス信号を用いて送信するので、基地局において上りスケジューリングするための上りチャネル状況の評価が可能となる。
【0214】
さらには、S−RACHあるいはAck/Nack専用チャネルを用いる時より広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現することができる。
さらには、基地局が周波数フェージングの状況を測定可能となり、適切な上りスケジューリングが可能となる。
上記の実施の形態において、上りスケジューリング要求が無い場合に1番目のLBにAck/NackもしくはCQIシンボルを入れた。そのマッピング方法は、実施の形態2において開示した方法を適用してもよい。こうすることで、Ack/NackもしくはCQIの受信品質が向上する効果が得られる。
なお、上記実施の形態1のように、上りスケジューリング要求がある場合にも無い場合と同様に全てのLB、SBにAck/NackもしくはCQIシンボルを入れておき、上りスケジューリング要求がある場合のみ1番目のLBだけDTXして、該LBではサウンディングパイロットをサウンディング用RS領域で送信するようにしてもよい。これにより、シンボルの多重処理の複雑さを軽減することができる。
【0215】
なお、上記の実施の形態ではAck/Nack専用チャネルでAck/Nackかつ/またはCQI信号を送信する場合について開示したが、本実施の形態の方法は、たとえAck/Nack専用チャネルでAck/NackもしくはCQI信号を送信しない場合にも適用可能である。例えば、スケジューリングリクエスト発生時には、サウンディング用領域で1番目のLBでサウンディング用RSを送信し、その他は何も送信しないようにすればよい。
なお、上記の実施の形態では、上りスケジューリング要求がある場合にサウンディング用パイロットシンボルを1番目のLBに入れたが、サウンディング用RSに割当てた領域に従って入れるLBもしくはSBを変更しても同様の効果が得られる。
【0216】
以下、変形例を説明する。第1の変形例においては、サウンディングRS用の領域を全帯域に割当てる。図56にサウンディングRS用の領域をシステム全帯域に割当てた場合の時間-周波数リソース図を示している。領域AおよびBはAck/Nack専用チャネル領域である。ここでは2TTIに1回、1番目のLBはサウンディングRS用の領域として割当てる。このサウンディングRS用領域で、基地局傘下の移動端末は、サウンディング用のリファレンス信号を送信する。移動端末は一つまたは複数の群に分割されても良い。また、サウンディングリファレンスシグナル用の領域も一つまたは複数の領域に分割されてもよい。ある移動端末群のサウンディング用RSの送信をある分割された領域で行ってもよい。
【0217】
図61にスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。移動端末が基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)受信中、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている状態で、移動端末に上りデータ送信の必要が生じ、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する時に、該移動端末に割当てられたサウンディングRS用領域において、上りスケジューリング要求信号を送信し、その他のLBもしくはSBではAck/Nack専用チャネルにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号もしくは復調用リファレンス信号を送信する。上りスケジューリング要求が無い場合は、上りスケジューリング要求信号を送信せず、さらにはAck/Nack専用チャネルにおいても2TTIに1回、1番目のLBにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号を送信しない。これは、システム全帯域をサウンディングRS用の領域に割当てているため、基地局傘下の他のいくつかの移動端末がAck/Nack専用チャネルの該LBでサウンディングRSを送信するため、該LBにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号を送信してしまうと、基地局で判別が不可能となるためである。
移動端末での送信シンボルマッピングは、上りスケジューリング要求が有る場合は、図59に示すマッピングのようにサウンディング用パイロットを挿入するが、上りスケジューリング要求が無い場合は、1番目のLBには何も入れない、もしくはダミーを入れておき、そのLBで送信をしないようにしておくとよい。
【0218】
以上のような構成にすることによって、実施の形態9と同様の効果が得られるし、さらには、基地局においてさらに広帯域な上りチャネルコンディションの評価が可能となる。
さらには、基地局がAck/Nack専用チャネルのチャネルコンディションも評価可能となるため、Ack/Nack専用チャネルへの移動端末のAck/Nack信号もしくはCQI信号のスケジューリングを精度よく行えるという効果がある。
さらに、移動端末を一つまたは複数の群に分割し、かつ/または、サウンディングリファレンスシグナル用の領域も一つまたは複数の領域に分割することによって、移動端末固有に割当てられるコード資源の利用において効率化がはかれるという効果がある。
【0219】
第2の変形例としては、サウンディングRS用の領域を、Ack/Nack専用チャネルと同じ周波数帯域幅に分割し、分割した領域をある移動端末群に割当てる。
図57は時間-周波数リソース図を示している。領域A及びBはAck/Nack専用チャネル領域である。ここでは2TTIに1回、1番目のLBはサウンディングRS用の領域として割当てる。サウンディングRS用の領域は、Ack/Nack専用チャネルと同じ周波数帯域幅に分割され、分割された領域をある移動端末群に割当てる。この分割されたサウンディングRS用領域で、基地局傘下のある移動端末群は、サウンディング用のリファレンス信号を送信する。
【0220】
ある移動端末が送信するサウンディングRS用の領域をAck/Nack専用チャネルと同じ周波数帯域幅としているため、サウンディングパイロットシンボル用とAck/Nackかつ/またはCQIシンボル用とでコード長を同じにできる。そのため、移動端末固有のコードを、サウンディングパイロットシンボル用とAck/NackもしくはCQIシンボル用とで分ける必要が無くなる。つまり、拡散コードを一種類にできる。
従って、このような構成をとることにより、移動端末固有のコード量を削減でき、基地局から割当てられる移動端末数を増大させられる効果がある。
【0221】
第3の変形例としては、Ack/Nack専用チャネルにもサウンディングRS用の領域を設ける構成とする。
図58は時間-周波数リソース図を示している。領域A及びBはAck/Nack専用チャネル領域である。Ack/Nack専用チャネル領域においても、ここでは2TTIに1回、1番目のLBはサウンディングRS用の領域として割当てる。
Ack/Nack専用チャネル領域にサウンディングRS用の領域を設けているので、移動端末固有のコードを、サウンディングパイロットシンボル用とAck/NackもしくはCQIシンボル用とで分ける必要が無くなる。つまり、拡散コードを乗じた後の周波数帯域が等しくなる。従って、このような構成をとることにより、移動端末固有のコード量を削減でき、基地局から割当てられる移動端末数を増大させられる効果がある。
さらには、信号送信時、時間−周波数リソースへの割当てもサウンディングパイロットシンボル用とAck/Nackかつ/またはCQIシンボル用とで分ける必要が無く、移動端末の制御が簡略化できる効果がある。
【0222】
なお、実施の形態9はスケジューリングリクエスト信号を送信するのに、サウンディングリファレンス信号を利用するので、上記実施の形態7と組み合わせる事によって、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられているか否かにかかわらず、どちらの移動端末にも適用可能とすることができる。すなわち、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられていない場合は実施の形態7を適用し、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられた場合は実施の形態9を適用すればよい。
【0223】
この実施の形態9では、移動端末が上りタイミング同期用に送信するある時間間隔のサウンディングRSがない場合について開示した。さらに、移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している場合にも、実施の形態9に実施の形態8を組み合わせることによって適用可能とすることができる。すなわち、実施の形態9では、サウンディングRSの送信が有った場合にスケジューリングリクエストが有ると基地局は認識するが、移動端末が上りタイミング同期用のサウンディングRSをもともと送信している場合には、もともとの上りタイミング同期用のサウンディングRSとスケジューリングリクエストとの判別ができなくなってしまう。この課題を解決するために、実施の形態8で開示した方法を用いればよい。
さらに、移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している場合にも、実施の形態7で開示した方法を組み合わせる事によって、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられているか否かにかかわらず、どちらの移動端末にも適用可能とすることができる。
【0224】
実施の形態10.
移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している、送信していないにかかわらず、サウンディングRSを利用して、上りスケジューリングリクエストを送信する方法を開示する。
サウンディングRS用の時間−周波数領域を図42もしくは図55のように割当てる。図42はAck/Nack専用チャネルのリソース割当てが無い場合、図55はAck/Nack専用チャネルのリソース割当てが有る場合である。どちらの場合も移動端末からのサウンディングRSは、割当てられたサウンディングRS用の領域で送信される。上りタイミング同期用サウンディングRSの送信間隔は、nTTI時間間隔(n≧2)とする。
【0225】
図63は上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。ここでは、上りタイミング同期用サウンディングRSの送信間隔は、10TTI時間間隔とする。移動端末に上りデータ送信の必要が発生した場合、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、ちょうど上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと同じになった場合、該同期用のサウンディングRSにスケジューリングリクエストの機能を兼ね備えた構成として送信する。
同期用のサウンディングRSにスケジューリングリクエストの機能を兼ね備えた構成とする方法は、上記実施の形態8で開示している方法とする。例えば、上りスケジューリングリクエストの有無に対応した2種類のサウンディングパイロットパターンを備える方法をとっても良い。移動端末に上りデータ送信の必要が発生した場合、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと異なる場合は、上りスケジューリングリクエストとしてサウンディングRSを送信する。
【0226】
図64は移動端末と基地局間のシーケンス図を示している。移動端末はST9101で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生がない場合は、ST9104が実行される。上りデータ送信要求発生がある場合は、ST9102で、上りスケジューリングリクエスト送信タイミングが上りタイミング同期用サウンディングRS送信タイミングと同じかどうか判断する。もし同じである場合、ST9103が実行される。ST9103では、サウンディング用パイロットとしてパターン2が選択される。そしてST9105が実行される。ST9102で、上りスケジューリングリクエスト送信タイミングが上りタイミング同期用サウンディングRS送信タイミングと違うと判断した場合、ST9104が実行される。ST9104ではサウンディングパイロットとしてパターン1が選択される。そしてST9105が実行される。ST9105では移動端末固有のコードAが乗算される。ST9106でサウンディング用領域(RB)において送信信号が基地局に送信される。ST9107でサウンディング用領域(RB)で受信した基地局は、ST9108で受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングかどうかを判断する。
【0227】
上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングは基地局がスケジューリングしてあらかじめ移動端末に通知しているので、もしくは、あらかじめ決められているので、基地局は判断可能である。ST9108でタイミングが同じであればST9110が実行される。ST9110では受信信号にコードAを用いて相関演算が行われる。その結果がある閾値以上であれば移動端末が特定される。そしてST9111が実行される。ST9111では、サウンディング用のパイロットがパターン1かパターン2かを判定する。判定方法は、実施の形態8に開示した方法としても良い。パターン1と判断した場合は、上りスケジューリングリクエストが無いとして処理される。ST9111でパターン2と判定した場合は、ST9112が実行される。ST9108で受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングと異なると判断された場合は、ST9109が実行される。ST9109ではコードAを用いて相関演算が行われ、ある閾値以上であれば、移動端末が特定され、ST9112で上りスケジューリングリクエストがあるとして処理されることになる。
【0228】
以上のような構成にすることによって、実施の形態8と同様の効果が得られるし、さらには、移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している、送信していないにかかわらずに、上りスケジューリングリクエストが送信可能となる効果が得られる。
【0229】
以下、変形例を説明する。
第1の変形例においては、上りスケジューリングリクエストの送信タイミングが上りタイミング同期用のサウンディングRS送信タイミングと重なった時、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングを2TTIだけ遅らせる。
図65は上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。ここでは、上りタイミング同期用サウンディングRSの送信間隔は、10TTI時間間隔とする。移動端末に上りデータ送信の要求が発生した場合、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、ちょうど上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと同じになった場合、スケジューリングリクエストの送信タイミングを2TTI遅らせて送信する。上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、ちょうど上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと異なる場合は、2TTI遅らせることなく送信する。
【0230】
図66は移動端末と基地局間のシーケンス図を示している。移動端末はST9301で上りデータ送信要求が発生したかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生がない場合は、ST9304が実行される。上りデータ送信要求発生が有る場合は、ST9302で、上りスケジューリングリクエスト送信タイミングが上りタイミング同期用サウンディングRS送信タイミングと同じかどうか判断する。もし同じである場合、ST9303が実行される。ST9303では、スケジューリングリクエストの送信タイミングを2TTI遅延させる処理が行われる。なお、この場合、上りタイミング同期用のサウンディングRS信号については遅延させずに、送信する処理が行われる。ST9304では移動端末固有のコードAが乗算される。ST9305で、送信信号がサウンディング用領域(RB)にて基地局に送信される。ST9306においてサウンディング用RBで信号を受信した基地局は、ST9307を実行する。
【0231】
ST9307では、受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングかどうか判断する。上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングと判断した場合、ST9308において、コードAを用いて相関演算が行われ、その結果がある閾値以上の場合、移動端末が特定され、ST9309が行われる。ST9309では、スケジューリングリクエストが無いとして処理される。すなわち、この場合は、通常どおりの上りタイミング同期用サウンディングRSとして処理される。ST9307で受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングと異なると判断した場合、ST9310でコードAを用いて相関演算が行われ。相関演算の結果がある閾値以上で有る場合、移動端末が特定され、ST9311が実行される。ST9311では上りスケジューリングリクエストが有るとして処理されることになる。
【0232】
以上のような構成にすることによって、実施の形態10と同様の効果が得られるし、さらには、サウンディングパイロットパターンが1種類ですむという効果も得られる。それにより、基地局及び移動端末での処理が軽減されるという効果も得られる。例えば、実施の形態10で、上りタイミング同期用サウンディングRSと上りスケジューリングリクエストを判別するために実施の形態8で開示した、2種類のコード(コードA、コードB)を用いる方法をとった場合と比べても、コード数が半分ですみ、移動端末固有のコードを割当てることができる移動端末の数が増大するという効果がある。
また、上記変形例では上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングを2TTI遅らせて送信することとしたが、上りタイミング同期用のサウンディングRSを送信していないタイミングであれば良い。これによって、移動端末の処理能力に応じた遅延時間でスケジューリングリクエストを送信することが可能となる。
【0233】
なお、実施の形態10および第1の変形例に、実施の形態9を組み合わせる事によって、Ack/Nack専用チャネルのリソース割当ての有無にかかわらず適用可能とすることができる。
【技術分野】
【0001】
この発明は、“Long Term Evolution”(LTE)と呼ばれる通信システムと、この通信システムを構成する移動端末と、この移動端末が基地局に対して送信する上り制御信号の通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(HS−DSCH:High Speed−Downlink Shared Channel)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Down Link Packet Access)のサービス開始が予定されている。さらに、上り方向のデータ送信を高速化するためHSUPA(High Speed Up Link Packet Access)方式についても提案、検討されている。
W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、現在リリース6版の規格書がとりまとめられている。
【0003】
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間については“Long Term Evolution”(LTE)、コアネットワークを含めたシステム全体構成については“System Architecture Evolution”(SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.25/2.5/5/10/15/20MHzを適用し得る。また、LTEでは、W−CDMAのような回線交換ではなく、パケット通信方式のみになる。
【0004】
LTEはW−CDMAのコアネットワーク(General Packet Radio System GPRS)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。
したがって、W−CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末UE(User Equipment)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E−UTRAN NodeB、eNodeB、eNode−B)、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)はaGW(Access Gateway)と称される。
このLTEの通信システムでは、E-MBMS(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)と称されるマルチキャスト・放送型マルチメディアサービスのような1対多(Point to Multipoint)通信を実施するほか、複数の移動端末のうち個別の移動端末に対するユニキャスト(Unicast)サービスのような通信サービスも提供する。
LTEではW−CDMAと異なり、トランスポートチャネル、物理チャネルでは個別の移動端末に向けた個別のチャネル(Dedicated Channel、Dedicated Physical Channel)は存在しないので、個別の移動端末へのデータ送信は共通チャネル(Shared channel)で実施される。
【0005】
移動端末は、基地局より下りリンクを介してデータを受信すると、問題なくデータを受信できたか否かを示す信号や、受信データの品質、あるいは、下りの通信路品質を示す信号を上りリンクを介して基地局に伝達する。基地局から送信されたデータを受信できたか否かを示す応答信号をAck/Nack、受信データの品質、あるいは、下りの通信路品質を示す品質情報をCQI(Channel Quality Indicator)という。
Ack/Nackは、移動端末が下りデータを受信している場合に、そのデータを受信できたか否かを基地局へ送信するための信号であり、再送制御に用いられる。
CQIは、移動端末で測定した下りチャネル状態(通信路状態)を基地局へ送信するための信号であり、基地局での下りスケジューリングに用いられる。また、移動端末が基地局に対して送信するデータが発生したときには、移動端末は基地局に対して、上りリンクの無線リソースを割り当てるように要求する信号を送信する。このような要求信号をスケジューリングリクエスト、上りリソースリクエスト、または、上りスケジューリング要求信号(SR:Scheduling Request)という。上記のようなAck/Nack、CQI、SRを「上りL1/L2制御信号」(L1/L2 control signaling)と称する。
【0006】
図22は上りL1/L2制御信号を説明する説明図である。
図22に示すように、上りL1/L2制御信号には大きく分けて2種類ある。上りデータ付随L1/L2制御信号(data−associated L1/L2 control signaling)と、上りデータ非付随L1/L2制御信号(data−non−associated L1/L2 control signaling)である。
上りデータ付随L1/L2制御信号は、トランスポートフォーマット等の上りデータ送信(基地局側の受信)に必要な情報であり、上りデータと一緒に送信される。上りデータ非付随L1/L2制御信号には、下りリンクに関連したAck/Nack、CQI、上りデータ送信を始める前に送るスケジューリングリクエスト(SR、UL SR)等のランダムアクセス(Random Access)信号がある。
Ack/Nack、CQIは下りリンクに関連した信号であるため、上りデータ送信とは関係なく送信されるが、上りデータと同時に送信される場合がある。一方、ランダムアクセス信号には、同期ランダムアクセス(Synchronous Random Access 以下SRA)と非同期ランダムアクセス(Non−Synchronous Random Access 以下NSRA)がある。
SRAは上りリンクの時間同期が取れている状態の場合に送信され、NSRAは上りリンクの時間同期が取れていない状態の場合に送信される。
なお、上りデータ付随L1/L2制御信号もAck/Nack、CQIも、上りリンクの時間同期が取れている状態で送信される信号である。ここでは、上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIとSRAが同時に送信される状態があることを述べ、その課題と解決方法について述べる。
【0007】
上りのAck/Nack、CQIは下りリンクに関連した信号である。上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIの物理的なリソース割り当てについては、ある一つの時間-周波数領域を独占的に割り当てる方法、分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域を独占的に割り当てる方法がある(例えば、非特許文献1を参照)。
以下、これらの領域のことを、Ack/Nack専用チャネルと称する。
つまり上りデータ送信が行われていない状態においては、Ack/Nack及びCQIは、Ack/Nack専用チャネルで送信される。
更に詳しく説明すると、(1)Ack/NackとCQIの双方を送信する必要がある場合には、Ack/Nack専用チャネルにてAck/Nack且つCQIが送信され、(2)Ack/Nackを送信する必要があり、CQIを送信する必要がない場合には、Ack/Nack専用チャネルにてAck/Nackが送信され、(3)Ack/Nackを送信する必要がなく、CQIを送信する必要がある場合には、Ack/Nack専用チャネルにてCQIが送信される。(4)Ack/Nackを送信する必要がなく、CQIを送信する必要がない場合であっても、Ack/Nack専用チャネルが割当てられることも考えられる。その場合、当該チャネルにおいてAck/Nack及びCQIの双方が送信されない。
図23は上りデータ送信を行っているとき、あるいは、行っていないときにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。図23は、ある一つの時間-周波数領域を独占的に割り当てる方法を示している。
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIを、時間的にはサブフレーム単位もしくはそれ以上、周波数的には1リソースユニット単位もしくはそれ以上の領域に割り当てる。一方、上りデータと、上りデータ付随L1/L2制御信号もしくは上りデータ送信が行われている場合のAck/Nack、CQIはそれ以外の領域に割り当てられる。
【0008】
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQI、つまりAck/Nack、CQIのみの信号をその信号専用として独占的な領域に割り当てる事によって、Ack/Nack、CQI信号を送信する期間を大きくでき、従って広いカバレッジを得ることができる。
図24はAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。図24は、分離した狭帯域の複数の時間−周波数領域(図24 A、B)をAck/Nack、CQI用に独占的に割り当てる方法を示している。
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIを、時間的にはサブフレーム単位、周波数的にはサブキャリア単位でいくつかの分離した領域に割り当てる。周波数領域をいくつかに分離(例えば、図24A、B)することによって、周波数ダイバーシチゲインを得ることができる。
どちらの方法においても、ひとつの領域には、ひとつまたは複数の移動端末のAck/Nack、CQIを割り当てることができる。ひとつの領域に、ひとつまたは複数の移動端末のAck/Nack、CQIを多重する方法として、FDM(Frequency Division Multiplex)/TDM(Time Division Multiplex)/CDM(Code Division Multiplex)を用いて各移動端末毎の直交性を確保することが検討されている。また、基地局でのAck/Nack、CQIの受信品質を確保するために、Ack/Nack、CQIを繰り返し(repetition)送信して電力を増加させることが検討されている。具体的には、1送信時間区間(Transmission Time Interval TTI)内で同じサブフレームを2回繰り返したり、サブフレーム内の複数のLB(Long Block)にAck/Nack、CQIのビットを繰り返し埋め込んで送信する方法等がある。
【0009】
同期ランダムアクセス(Synchronous Random Access SRA)は上りリンクの時間同期が取れている状態(言い換えれば、移動端末がActiveモード)の場合に送信される、上りデータ送信を始める前に送るスケジューリングリクエスト(SR)のための信号である。SRAの物理的なリソース割り当てについては、ある一つの時間−周波数領域を独占的に割り当てる方法がある(非特許文献3:TR25。814V7。0。0)。図25は、S−RACHに上りスケジューリング要求信号を割り当てた無線リソースを示す説明図である。図25は、ある一つの時間−周波数領域を独占的に割り当てる方法を示している。
時間的にはサブフレーム単位、周波数的には1リソースユニット単位もしくはそれ以上の領域に割り当てる。以下、これらの領域のことをS―RACH(Synchronous Random Access CHannel)と称する。一方、上りデータはそれ以外の領域に割り当てられる。したがって、SRAとデータは時間と周波数のいずれか、あるいは両方で多重される。
移動端末がどの領域でSRAを送信するかは、あらかじめ決められているか、もしくは前もって基地局より通知される。一つの領域にはひとつまたは複数の移動端末のSRAが割り当てられる。複数の移動端末のSRAの送信が同じ領域で発生した場合、各移動端末からの信号が衝突してしまう。
各移動端末からのSRAが衝突して基地局で受信できなかった場合、通常は、それぞれの移動端末が異なる時間間隔と異なる領域のいずれか、あるいは両方で再度送信を繰り返す。また、衝突する確率を減らすため、FDM/TDM/CDMを用いて各移動端末の直交性を確保する方法が検討されている。
【0010】
同期ランダムアクセスSRAの物理的なリソース割当てとして、スケジュールドチャネルを用いることも検討されている(非特許文献4)。
スケジュールドチャネルとは、S−RACHのように複数の移動端末からの信号の衝突(または競合という)を許すチャネルとは異なり、対象となる一つ一つの移動端末への割当てがスケジュールドされたチャネルである。この場合、あらかじめ移動端末毎に割当てられた領域が決まっているため、複数の移動端末からの信号の競合が無いため、移動端末が送信したSR信号としてセル内での移動端末のID番号(UE−ID)を送る必要がない。それゆえ、上りSRAをスケジュールドチャネルで送った場合は、上りSR信号の情報量を少なくできる。
【0011】
上りデータ送信が行われていない場合のAck/Nack、CQIと同期ランダムアクセス(SRなどの)の同時送信をする場合の処理について説明する。
上りAck/Nack、CQIは、移動端末が下りデータを受信している場合に、その受信状況に応じて基地局へ送信する信号である。一方SRAは、上りデータ送信を始める前に基地局へ送るSR等のための信号である。これらの信号の内容は独立であるため、同時に送信される場合が生じる。
図26は、上りデータ送信が行われていない場合のAck/NackとSRAが同時に送信される場合の一例を示している。
移動端末が下りデータを連続受信している時に、上りデータ送信が発生する場合である。移動端末は下りデータを連続で受信している。データはTTI単位毎に復調、デコードされる。移動端末は受信した下りデータの受信状況に応じて、受信判定結果の結果情報(Ack/Nack)を基地局に伝達する。移動端末は基地局からの送信データを正常に受信すると、基地局に対してAck信号を送信する。Ackを受信した基地局は、次に新しいデータを送信する。逆に、基地局から送信された送信データが正常に受信できなかったとき、基地局に対してNack信号を送信する。Nackを受信した基地局は移動端末にて正常に受信出来なかったデータを再送する。
【0012】
上りAck/Nackの物理的リソースへの割り当ては上記説明のように、分離した狭帯域の複数の時間−周波数領域を独占的に割り当てる。このため、上りAck/Nackも連続して送信されることになる。一方、移動端末に上りデータが発生した場合、その上りデータを送信する前に、基地局へスケジューリングリクエストSRを送信する。SRの物理的リソースの割り当ては上記説明のように、ある一つの時間−周波数領域を独占的に割り当てる。したがって、図に示すように、ある時間に上りデータが発生した場合、短い遅延時間の後にSRが発生する。
移動端末が送信したSR信号を基地局が受信できなかった場合、移動端末は再度SR信号を送信する。以上から分るように、例えば移動端末が下りデータを連続受信している時に、上りデータ送信が発生した場合、上りAck/Nackと上りSRAを同時に送信しなければならない状況が生じる。また、たとえ、移動端末が下りデータを連続受信ではなく不連続に受信している場合でも、その受信データに対する上りAck/Nackを送信している場合は、上りSR信号の送信が同時に行われてしまう場合が生じることがわかる。
【0013】
同様に、基地局へ送信するスケジューリングリクエストSRの物理的なリソース割当てとして、スケジュールドチャネルを割当てた場合も、上りAck/Nackと上りSRAを同時に送信しなければならない状況が生じることが考えられる。
非特許文献4ではスケジュールドチャネルとしてどのようなチャネルを用いるか、また、物理的リソースとして時間−周波数領域をどのように割当てるかについて、何も記載されていないため、例えば、スケジューリングリクエストSR専用の1bitの物理リソースを割当てたチャネルを考えたとしても、移動端末が下りデータを連続受信している時は上りAck/Nackを連続して送信せねばならず、この時に上りデータ送信が発生した場合、上りAck/Nackと上りSRAを同時に送信しなければならない状況が生じてしまうことがわかる。
【0014】
また、非特許文献4においては、本発明の明細書で示すような「発明の課題」及び「発明の効果」についての示唆はない。
非特許文献5には、上りスケジューリングリクエストを既に存在するCQI送信用のチャネル(CQICH)、あるいは、Ack/Nack送信用のチャネル(ACHCH)といった個別の上り制御チャネルにて送信することが記載されている。それにより、遅延(Delay)の少ない上りスケジューリングリクエストの送信手順を確立できるとしている。
しかし、非特許文献5においては、本発明の明細書で示すような「発明の課題」及び「発明の効果」についての示唆はない。
【0015】
非特許文献5では、上りスケジューリングリクエストをCQI送信用チャネル(CQICH)、あるいは、Ack/Nack送信用チャネル(ACHCH)にて送信することのみが記載されており、CQICHとACHCHを物理的リソースとして時間-周波数領域にどのように割当てるかについて、何も記載されていない。そのため、例えばCQI送信用のチャネル(CQICH)にて上りスケジューリングリクエストを送信した場合を考えたとしても、移動端末が下りデータを連続受信している時は、上りAck/Nackを連続して送信せねばならず、この時に上りデータ送信が発生した場合、上りAck/Nack(ACHCH)と上りスケジューリングリクエスト(CQICH)を同時に送信しなければならない状況が生じてしまうことがわかる。
よって非特許文献5においては、本発明の明細書で示す「発明の課題」が解決されないことがわかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】3GPP寄書R1―062741
【非特許文献2】3GPP寄書R1―062742
【非特許文献3】3GPP TR25.814V7.0.0
【非特許文献4】3GPP寄書R1―062719
【非特許文献5】3GPP寄書R1―062571
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来のLTEの通信システムは以上のように構成されているので、上りのアクセス方式にSC―FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access DFT−spread OFDMとも称される)が用いられる。SC―FDMAはシングルキャリア伝送であるため、OFDMのように各サブキャリア上にシンボルデータを乗せて送信するマルチキャリア伝送と比べて、PAPR(Peak to Average Power Ratio ピーク対平均電力比)を低く抑えることができるという特徴を有している。したがって、移動端末の送信時の消費電力を低くでき、また、規定された隣接チャネル漏洩電力を満たす送信電力を増大することができるため、セルカバレッジが広がるという利点を有する。しかし、移動端末は、状況によっては、Ack/Nack専用チャネルを用いて上りAck/NackやCQIを送信する処理と、S−RACHもしくはスケジュールドチャネル、あるいは、CQICH、ACHCHを用いて、上りスケジューリング要求信号(SR)を送信する処理とを同時に実行しなければならない場合が生じる。この場合、それぞれの信号は無相関であるため、時間的に同時に送信されると、シングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまう課題があった。さらには、PAPRが高くなることにより、他の移動端末や通信システムへの妨害波となってしまうという課題があった。
【0018】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、一時的な物理チャネルの増加による無線リソース負荷の増加を防止することができるとともに、PAPR(ピーク対平均電力比)を低減することができるデータ通信方法、通信システム及び移動端末を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明に係るデータ通信方法は、下りアクセス方式としてOFDM方式を用いてデータの送信を行う基地局と、下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末とを備えた通信システムで実行されるデータ通信方法において、前記移動端末は、前記品質通知信号を前記基地局に送信する品質通知処理と、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信するスケジューリング要求信号送信処理と、前記品質通知処理と前記スケジューリング要求信号送信処理の処理タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知処理を停止させる制御処理とを実行するようにしたものである。
【発明の効果】
【0020】
このことによって、2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネル(Ack/Nack専用チャネルとS−RACH)のデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用せずに済むため、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防止することができるとともに、PAPR(ピーク対平均電力比)を低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】LTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。
【図2】LTEの通信システムで使用されるチャネルの構成を示す説明図である。
【図3】移動端末の構成を示すブロック図である。
【図4】基地局の構成を示すブロック図である。
【図5】Ack/Nack専用チャネルと上りスケジューリング要求信号SR送信用のS―RACHに割り当てる無線リソースを説明する説明図である。
【図6】上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
【図7】上りスケジューリング要求信号送信から上りデータ送信開始までの一連の処理を説明するフローチャートである。
【図8】上りスケジューリング要求信号送信から上りデータ送信開始までの一連の処理を説明するフローチャートである。
【図9】Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
【図10】Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
【図11】Ack/Nack専用チャネルと上りスケジューリング要求信号SR送信用のS―RACHに割り当てる無線リソースを説明する説明図である。
【図12】Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
【図13】上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
【図14】Ack/Nack専用チャネルで送信する上りスケジューリング要求信号のマッピング例を説明した説明図である。
【図15】上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。
【図16】上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。
【図17】UL−SCHとRACHの無線リソース割り当てを示す説明図である。
【図18】上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
【図19】S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQI、SRをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【図20】S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQI、SRをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【図21】S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQI、SRをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【図22】上りL1/L2制御信号を説明する説明図である。
【図23】上りデータ送信を行っているとき、あるいは行っていないときにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。
【図24】Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIを割り当てた無線リソースを示す説明図である。
【図25】S−RACHに上りスケジューリング要求信号を割り当てた無線リソースを示す説明図である。
【図26】上りデータ送信が行われていない場合のAck/NackとSRAが同時に送信される場合の一例を示す説明図である。
【図27】Ack/Nack専用チャネルで送信する上りスケジューリング要求信号のマッピング例を説明した説明図である。
【図28】第一の設定例の場合のシーケンス図である。
【図29】第一の設定例の場合の移動端末内処理フロー図である。
【図30】第一の設定例の場合の基地局内の処理フロー図である。
【図31】第二の設定例の場合のシーケンス図である。
【図32】第二の設定例の場合の移動端末内処理フロー図である。
【図33】第二の設定例の場合の基地局内処理フロー図である。
【図34】上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末内の詳細構成図である。
【図35】実施の形態7における上りデータ送信中のSounding RSの無線リソース割当ての説明図である。
【図36】上り、下り共にデータ通信が行なわれていない状態で、上り送信要求が発生した場合の具体的なシーケンス図である。
【図37】移動局が基地局と同期していて、かつ、上りデータ送信がない状態から、送信要求が発生する場合のフローチャートを示したフロー図である。
【図38】基地局が通常のSounding RSのBWを複数設定していた場合における無線リソースの割当て方法、及び、移動端末UE1の無線リソース割当て経緯を示す説明図である。
【図39】基地局eNodeBによるSounding RSのBW設定を示すフローチャートである。
【図40】基地局eNodeB側がBWを選択する場合の判断方法を示すフローチャートである。
【図41】移動端末側でBWを選択する場合の判断方法を示すフローチャートである。
【図42】1つのUE群内の複数のUEにおける無線リソース割当ての説明図である。
【図43】UE群毎にSounding RS領域を設定する場合の説明図である。
【図44】上りスケジューリング要求信号の機能を兼ね備えたサウンディング用リファレンス信号の生成方法の説明図である。
【図45】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図46】移動端末がサウンディング用リファレンス信号を送る場合のサウンディング用パイロットの割当ておよび移動端末固有のコードの割当て方法の説明図である。
【図47】サウンディングパイロットの一部をスケジューリングリクエスト用のシンボルとしたパイロットパターンを示す説明図である。
【図48】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図49】サウンディング用リファレンス信号の生成例の説明図である。
【図50】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図51】サウンディング用リファレンス信号の生成例の説明図である。
【図52】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図53】ある間隔でサウンディング用のリファレンス信号を送信している場合の説明図である。
【図54】ある間隔で送信しているサウンディング用のリファレンス信号の中に上りスケジューリング要求信号を兼ねたものである場合の説明図である。
【図55】Ack/Nack専用チャネル領域のある場合の時間-周波数リソースの説明図である。
【図56】サウンディング用RSの領域をシステム全帯域に割当てた場合の時間-周波数リソースの説明図である。
【図57】時間-周波数リソースの説明図である。
【図58】時間-周波数リソースの説明図である。
【図59】サウンディングRS用領域において上りスケジューリング要求信号を送信する場合の移動端末での送信シンボルマッピングの説明図である。
【図60】スケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図61】スケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図62】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図63】上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図64】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【図65】上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号の説明図である。
【図66】移動端末と基地局間のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はLTEにおける移動通信システムの構成を示す説明図である。図1において、aGW1は複数の基地局(eNodeB)2と制御データやユーザデータの送受信を行い、基地局2は複数の移動端末3に対してデータの送受信を行う。基地局2と移動端末3間においては、報知情報、着呼処理に用いられる情報、個別制御データ、個別ユーザデータ、E−MBMS用の制御データやユーザデータ等が送信される。また、基地局2同士がお互いに通信することも検討されている。
基地局2は上り及び下りのスケジューラを有する。スケジューラは、基地局2と各移動端末3のデータの送受信を可能にし、個々の移動端末3及び移動通信システム全体のスループット向上のためにスケジューリングを行う。
【0023】
E−MBMSはある基地局から複数の移動端末に向けてデータを一斉に送信する放送型の一対多(Point to Multipoint PtoM)型の通信サービスを提供するものである。具体的には、ニュースや天気予報等の情報サービスや、モバイルTVなどの大容量の放送サービスが検討されている。
aGW1はPDN4(Packet Data Network)を介してサービスセンタ5と通信を行う。
サービスセンタ5はユーザにサービスを提供するためのコンテンツを保管、配信するための装置である。コンテンツプロバイダは、サービスセンタ5に対してモバイルTV放送データ等のE−MBMSデータを送信する。サービスセンタ5ではE−MBMSデータを記憶するとともに、PDN4、aGW1を介して基地局2へE−MBMSデータを送信する。
【0024】
図2はチャネルの構成を示す説明図である。図2には、論理チャネル(Logical channel)とトランスポートチャネル(Transport channel)のマッピングが示されている。論理チャネルは伝送信号の機能や論理的な特性によって分類される。トランスポートチャネルは伝送形態によって分類される。報知情報はBCCH(Broadcast Control Channel)上にのせられる。BCCHはBCH(Broadcast Channel)にマッピングされ基地局から移動端末へ送信される。
着呼処理に用いられる情報はPCCH(Paging Control Channel)上に乗せられる。PCCHはPCH(Paging Channel)にマッピングされ基地局からセル内の移動端末へ送信される。個別の移動端末宛ての個別制御データはDCCH(Dedicated Control Channel)上に乗せられる。
【0025】
また、個別の移動端末宛ての個別ユーザデータはDTCH(Dedicated Traffic Channel)上に乗せられる。DCCHとDTCHはDL−SCH(Downlink Shared Channel)にマッピングされて、基地局から個々の移動端末に宛てて個別に送信される。逆に、UL−SCH(Uplink Shared Channel)を用いて個々の移動端末から基地局へ個別に送信される。
DL−SCH及びUL-SCHは共有チャネル(Shared Channel)である。
E−MBMS用の制御データ及びユーザデータはそれぞれMCCH(Multicast Control Channel)とMTCH(Multicast Traffic Channel)上に乗せられ、DL−SCHもしくはMCH(Multicast Channel)にマッピングされて基地局から移動端末へ送信される。
移動端末からの接続要求信号、例えばスケジューリング要求信号SRはランダムアクセスチャネル(Random Access Channel RACH)により個々の移動端末から基地局へ送信される。S−RACHはRACHの一つである。
【0026】
図3は移動端末の構成を示すブロック図である。移動端末3の送信処理は以下のとおり実行される。
まず、プロトコル処理部6からの制御データ、アプリケーション部7からのユーザデータが送信データバッファ部8へ保存される。
送信データバッファ部8に保存されたデータはエンコーダ部9へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部8から変調部10へ直接出力されるデータが存在しても良い。
エンコーダ部9でエンコード処理されたデータは変調部10にて変調処理が行われる。変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部11へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ12から基地局2に送信信号が送信される。
【0027】
また、移動端末3の受信処理は以下のとおり実行される。基地局2からの無線信号がアンテナ12により受信される。受信信号は、周波数変換部11にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部13において復調処理が行われる。復調後のデータはデコーダ部14へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部6へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部7へ渡される。移動端末の一連の送受信処理は制御部15によって制御される。
【0028】
図4は基地局の構成を示すブロック図である。基地局2の送信処理は以下のとおり実行される。
aGW通信部16は、基地局2とaGW1間のデータの送受信を行う。他基地局通信部17は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。
aGW通信部16と他基地局通信部17はそれぞれプロトコル処理部18と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部18からの制御データ、またaGW通信部16と他基地局通信部17からのユーザデータが送信データバッファ部19へ保存される。
送信データバッファ部19に保存されたデータはエンコーダ部20へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに送信データバッファ部19から変調部21へ直接出力されるデータが存在しても良い。エンコードされたデータは変調部21にて変調処理が行われる。
【0029】
変調されたデータはベースバンド信号に変換された後、周波数変換部22へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ23より一つもしくは複数の移動端末1に対して送信信号が送信される。
また、基地局2の受信処理は以下のとおり実行される。
一つもしくは複数の移動端末3からの無線信号がアンテナ23により受信される。受信信号は周波数変換部22にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部24で復調処理が行われる。復調されたデータはデコーダ部25へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部18へ渡され、ユーザデータはaGW通信部16、他基地局通信部17へ渡される。基地局2の一連の送受信処理は制御部26によって制御される。
【0030】
以下、本発明にかかる移動端末の動作について説明する。
移動端末が、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合、移動端末は下りデータの受信結果(正常に受信した/していない)を示すAck/Nack信号をAck/Nack専用チャネルを用いて基地局へ送信する。
また、移動端末は、下りデータの受信結果を示すAck/Nack信号と基地局の下りスケジューリングのために下り通信路品質(CQI)信号をAck/Nack専用チャネルを用いて基地局へ送信する。
また、下りデータ受信の有無に関わらず、基地局の下りスケジューリングのため、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つためにCQI信号をAck/Nack専用チャネルを用いて基地局へ送信する。
【0031】
上記のような、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信している状態において、上りデータの送信を開始する場合、移動端末は基地局に向けて、上記Ack/Nackかつ/またはCQIとは別に上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要がある。本実施の形態では、Ack/Nack専用チャネルと異なる物理チャネル(S−RACH)を用いて、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する場合に、より広いカバレッジと低いPAPRを実現するSC―FDMA方式で送信を行う方法について説明する。
【0032】
この実施の形態1では、移動端末が、上りデータ送信を行わずに、下りデータを受信しながら、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号を上りのAck/Nack専用チャネルにて送信している状態において、上りデータの送信を開始したい場合、上りデータ送信用チャネルを設定するための上りスケジューリング要求信号SRを、Ack/Nack専用チャネルと別の周波数帯域を割り当てた物理チャネル(本実施の形態1ではS―RACHを利用)にて送信する。
この時、二種類の帯域に割り当てた二つの物理チャネルのデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使わず、移動端末が上りデータ送信を開始した時に一時的に基地局とやりとりされるSR(preamble/message)を送信している間は、Ack/Nack専用チャネルでのAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信しない(DTX Discontinuous Transmission)ようにする。
これにより、一つの移動端末の一時的な物理チャネル増によるシステムの無線リソース負荷の増加を防ぐと共に、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0033】
図5はAck/Nack専用チャネルと上りスケジューリング要求信号SRを送信用のS―RACHに割り当てる無線リソースを説明する説明図である。図6は、上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。
図7、図8は上りスケジューリング要求信号送信から上りデータ送信開始までの一連の処理を説明するフローチャートである。図5において、移動端末UE1は、ユーザデータなどの上りデータ送信を行わず、下りデータのみを受信すると同時に、この受信データに対するAck/Nackかつ/またはCQIをAck/Nack専用チャネルを用いて送信しているものとする。
図3に示す移動端末の変調部10はAck/Nack信号に対して移動端末毎のCDM多重処理(FDM多重処理、TDM多重処理でも良い)を行い、Ack/Nack専用チャネルを用いて送信している。このため、移動端末UE1は時間的に連続してAck/Nack専用チャネルでAck/Nack信号を送信する場合が考えられる。
【0034】
ここで、図6のST601における上りデータ送信要求が発生すると(ST601でYes)、ST602において、下りデータ(DLデータ)の受信状況を確認する。
この実施の形態1では、下りデータを受信しているため、ST604へ進み、S―RACHにて上りスケジューリング要求信号SR(preamble or/and message)を送信するタイミングを決定する。仮に、下りデータを受信しておらず、基地局と同期が取れてない場合は(ST602でNo)、ST603において、Non―S―RACHと呼ばれる物理チャネルを用いて、上りスケジューリング要求信号SRを送信するアルゴリズムを実行する。
ST604で上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングを決定すると、ST605において、移動端末UE1は、S―RACHを用いて上りスケジューリング要求信号SRを送信すると同時に、同じタイミングで送信する予定だった、上りAck/Nack専用チャネルの所定のAck/Nackシンボル(あるいはLB)、あるいは、CQIシンボル(あるいはLB)の送信を、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、停止する(シンボルDTX、あるいはLBのDTX)。このAck/Nackシンボルの送信停止(DTX)は、制御部15による制御の下、変調部10で行なわれる。
【0035】
図5は上りスケジューリング要求信号SRを送信する物理チャネルであるS―RACHと、Ack/Nack専用チャネルの無線リソースの割り当て例を示している。
図5において、無線リソースは、複数の時間−周波数領域に分割される。時間−周波数領域において、時間軸はサブフレーム(=0。5ms)単位で区切られ、周波数軸は、物理チャネルの送信データ量に応じて異なる帯域で区切られる。
【0036】
この実施の形態1での無線リソース割り当てでは、S―RACHと上りデータ送信用チャネルで同じ大きさの時間−周波数の単位領域を用い、Ack/Nack専用チャネルは、それよりも狭い周波数帯域(時間区分は同じ)の単位領域を用いている。Ack/Nack専用チャネルにおける1サブキャリアの、サブフレーム1は、6つのロングブロック(Long Block、LB1−LB6)と2つのショートブロック(Short Block、SB、スモールブロック)とから構成される。
ショートブロックSBには物理チャネル同期用シンボル(復調用のシンボル)が含められる。移動端末UE1は、図5のように割り当てられたS―RACHの時間-周波数領域を用いて、上りスケジューリング要求信号SRを1サブフレームの長さで送信している間、Ack/Nack専用チャネルに割り当てられていたロングブロックLB1〜LB6と2つのショートブロックSBのシンボルデータの変調及び送信を停止する(DTXする)。
【0037】
しかし、次のサブフレーム2においては、S―RACHによる上りスケジューリング要求信号SRの送信はなく、ユーザデータなどの上りデータの送信もないため、Ack/Nack専用チャネルにより、サブフレーム2用のシンボルデータ(LB2−1〜LB2−6)が送信される。さらに、その次のサブフレーム(TTI No。2のサブフレーム1)では、別の移動端末UEの上りスケジューリング要求信号SRが発生し、移動端末UE1とは別の周波数帯域に存在する時間-周波数領域に、このSR用のS―RACHが割り当てられる。
この場合、他の移動端末UEのS―RACHが送信され、このサブフレーム期間中の、Ack/Nack専用チャネルの移動端末UE1からのAck/Nackシンボルデータかつ/またはCQIシンボルデータは送信される。S―RACHを用いた上りスケジューリング要求信号SRの送信から上りデータ送信までのシーケンスを示したものが、図7、図8である。
【0038】
図7では、上りスケジューリング要求信号SR(preamble and message)を1回で送信する(ST701)場合のフローチャートを示している。
図8では、上りスケジューリング要求信号SRをプレアンブル(preamble)とメッセージ(message)を時系列に2回に分けて送信する(ST801、803)場合のフローチャートを示している。
図7においては、移動端末は、プレアンブルとメッセージで上りスケジューリング要求を基地局に通知した後、基地局から、下りL1/L2制御信号による、上りデータ送信用の無線リソース割り当てやタイミングに関する情報「上りデータリソース割当て(Uplink Data Resource Allocation)」を受信する。
図8においては、移動端末はプレアンブルの送信後に「スケジューリングリクエストリソース割当て(SR Resourece Allocation)」を受信し、それにより割当てられたリソースによりスケジューリングリクエストのメッセージ部分を基地局に通知した後、基地局から、下りL1/L2制御信号による、上りデータ送信用の無線リソース割り当てやタイミングに関する情報(Uplink Data Resource Allocation)を受信する。
【0039】
そして、移動端末は、UL―SCH(Uplink Shared channel)を用いて上りデータ送信を開始する。この実施の形態1では、上りスケジューリング要求信号SRの送信に1サブフレーム期間を割り当てる例を説明した。しかし、図7のように、長い送信期間でプレアンブルとメッセージを1度で送る場合と、図8のように短い送信期間で、2度に分けて送る場合があるため、上りスケジューリング要求信号SRの送信区間の長さや頻度により、Ack/Nackを送信できない区間の長さや、発生頻度が変わることはあり得る。
また、図5に示したサブフレーム内のロングブロックとショートブロックの構成は、あくまで1つの例であり、サブフレームの構成が変わっても、この発明の考え方を適用できる。
【0040】
ここで、上りスケジューリング要求信号SRのプレアンブルとメッセージについて説明する。プレアンブルとは、例えば、端末を識別するための固有の識別情報である「ランダムID(random ID(UE ID))」が割り当てられると考えられる。また、メッセージとは、先の「UE ID」のほか、上り送信データ量(UE内のバッファ状態)や上り送信データのQoS、端末の送信パワーマージンも考えられる。
【0041】
従来の通信方式(FDMA、TDMA、CDMA)においては、上りにおけるシンボルの送信停止(DTX)は、移動端末の消費電力の低減や、移動端末の最高送信電力を基地局から指定された電力範囲内に抑え、システム全体の送信電力を一定内に抑える効果があったのに対し、本発明におけるシンボル送信停止(DTX)方法を利用すれば、従来の通信方式でのDTXとは異なり、上りにおいて、移動端末内のPAPRを低く抑えることができるのみならず、シングルキャリア伝送が可能であるため、マルチキャリア伝送方式と比べ、移動端末と基地局の双方において、変復調処理の実装規模を小さく出来、システム全体の処理負荷を低減できるという効果を有している。
【0042】
以上のように、実施の形態1を用いることにより、上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合に、Ack/Nackとともに上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要が生じた移動端末が移動端末内のPAPRを増加させることなく、同時にそれらの送信を行うことが出来るという効果を得ることが出来る。
【0043】
一方、下りデータを受信していない場合にも、Ack/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。
具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においても、Ack/Nack専用チャネルを用いたCQIの送信と上りスケジューリング要求信号SRが同時に発生する場合が考えられる。そのような移動体通信システムにおいては、ST602の判断では、Ack/Nack専用チャネルの割当てがあるか否かで判断する方が良い。更に付け加えると、下りデータを受信していない場合にAck/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられないような移動体通信システムであっても、この判断を用いることが可能である。
【0044】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、Ack/Nack専用チャネルを用いてAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信しているときに、S−RACHを用いて上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合、移動端末は、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号の送信を停止していた。
上りスケジューリング要求信号を送信している間、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号の送信を停止することにより、2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネル(Ack/Nack専用チャネルとS−RACH)のデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用せずに済むので、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現していた。
以下説明する実施の形態2では、Ack/Nackシンボル送信停止(DTX)を行った場合に、Ack/Nack専用チャネル上のシンボルの通信性能に悪影響を出にくくするための、Ack/Nack専用チャネルでのマッピング方法について説明する。
【0045】
実施の形態1においては、図52を用いて、S−RACHを用いた上りスケジューリング要求信号SRの送信から上りデータ送信までの処理を説明した。つまり、上りスケジューリング要求信号SR(preamble or/and message)の送信には、図7のようにプレアンブルとメッセージをまとめて1度に送るため、長い送信期間が必要となるものと、図8のように、プレアンブルとメッセージをそれぞれ分けて送るため、それぞれの送信期間が短くなるものがある。
上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が長くなる場合は、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信できない(ACK/NACKシンボルかつ/またはCQIシンボルのDTX)期間が長くなり、上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が短くなる場合は、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信できない期間は短くなる。それぞれの場合において、上りスケジューリング要求信号SRを送信している期間のAck/Nackシンボル情報かつ/またはCQIシンボル情報の送信誤りによる通信品質の低下を防ぐための方法について、以下に説明する。
【0046】
まず、図7の処理の場合について説明する。図7に示す上りスケジューリング要求信号SRの送信は、プレアンブルとメッセージをまとめて一度に送信するので、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信できない期間が長くなり、図5のように、1サブフレーム程度の期間になるとする。この期間中に発生し得るAck/Nackシンボル情報かつ/またはCQIシンボル情報の送信誤りによる通信品質の低下を防ぐため、この実施の形態2では、Ack/Nack専用チャネルで送るシンボルのパターンを、1サブフレーム長のパターンを2回繰り返し、1送信時間区間(TTI)単位で更新されるようにマッピングすることとした。
また、通信品質を確保するため、1サブフレーム長のシンボルパターンでは、重要な情報(上位ビット)を優先して繰り返し数を多くするようなシンボルの組み合わせにする。Ack/Nack専用チャネルで送信するシンボル情報の具体的なマッピング例を説明したものが、図9と図10である。
【0047】
図9はAck/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボルのマッピング例を説明した説明図である。図9はこれまでに、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で提案されてきたAck/Nack専用チャネルへのシンボルマッピング例を示したものである(例えば、非特許文献2を参照)。
Ack/Nackシンボルのみの場合(図9(a))、CQIシンボルのみの場合(図9(b))、CQIシンボルとAck/Nackシンボルをそれぞれ多重してロングブロックLBにマッピングした場合(図9(c))について、それぞれ、送信時間区間長(TTI)でシンボルマッピング構成が示されている。
【0048】
この実施の形態2で提案するシンボルパターンは、Ack/Nackかつ/またはCQIが長期間(=1サブフレーム)送信できない場合においても、1TTI内で、1サブフレーム長のシンボルパターンを2回繰り返すことにより、Ack/Nackかつ/またはCQIの送信誤りを防ぎ、通信品質を向上させることを目的としている。
図9に記載のシンボルパターンは、CQIシンボルの場合、1サブフレームAがCQI1、CQI2、CQI3、CQI4、CQI5、CQI1とマッピングされているのに対し、1サブフレームBでは、CQI2、CQI3、CQI4、CQI1、CQI2、CQI1とマッピングされており、同一のシンボルパターンで配列されていない。
よって、例えば1サブフレームAがDTXされた場合は、1TTI中でCQI5は一度(1つのLB)も送信されないことになる。CQIとAck/Nackが時系列に多重されるシンボルパターンもまた、1サブフレームAと1サブフレームBで同一のシンボルパターンで配列されていない。
【0049】
本発明で提案するCQIシンボルのマッピング案とCQIとAck/Nackの多重マッピング案をしめしたものが、図10である。
まず、図10(a)のCQIシンボルマッピング例では、1TTI内の1サブフレーム目(1 sub−frame A)と2サブフレーム目(1 sub−frame B)で同じシンボルマッピングパターンを繰り返す構成になっている。また、サブフレーム長のシンボルマッピングは、優先順位の高いシンボル(CQIの上位の桁を示すシンボル:本例ではCQI1)を数多く繰り返すようにしている。
さらに、図10(b)のCQIとAck/Nackの多重マッピング例でも、1TTI内の1サブフレーム目(1 sub−frame A)と2サブフレーム目(1 sub−frame B)で同じシンボルマッピングパターンを繰り返し、サブフレーム長のシンボルマッピングは、優先順位の高いシンボル(Ack/Nackなど)を、ショートブロックSBの周辺に配置するようにしている。
【0050】
この実施の形態2においては、優先順位の高いシンボルとして、Ack/NackとCQIの上位ビット(CQI1が最上位ビット)を考えている。Ack/Nackは下りデータの受信結果であり、このビットが基地局側でうまく受信できないと、該当するパケットデータの再送が発生してしまうという問題が起こるため、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、送信誤り等に対応できるよう、優先的に配置する必要がある。
【0051】
このように、上りスケジューリング要求信号SRを送信している間、Ack/Nack情報が送信されないリスクや、シンボルの重要度を考慮したシンボルマッピング方法でのマッピングパターンは、この実施の形態2に説明した図10のパターンに限る必要はない。
シンボルマッピングについては、図10に示す通りでなくても、この実施の形態2を実現することが出来る。よって、シンボルマッピングについての考え方について以下に述べる。
(1)優先順位の高いシンボルを数多く繰り返す。(2)優先順位の高いシンボルを、ショートブロックSBの周辺に配置するようにしている。
通常、Ack/NackやCQIの上位ビット(CQI1が最上位ビット)は優先順位が高いシンボルである。
【0052】
Ack/Nackは下りデータの受信結果であり、このシンボルが基地局側でうまく受信できないと、該当するパケットデータの再送が発生し、結果として下りデータのスループットが落ちてしまうという問題が起こるため、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、送信誤りが発生した場合、移動端末で測定した下り通信路品質と基地局が受信した下り通信路品質の誤差が大きくなり、基地局による適切なスケジューリンが不可能となり、結果として移動体通信システム全体の下りスループットの低下につながる。そのため、下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
【0053】
Ack/NackとCQIの優先順位は、それぞれの信号の所望の誤り率に従う。
繰り返し(repetition)数を多くすることは、基地局での受信電力を増加させることが出来るので、繰り返し(repetition)数が多いシンボル程誤りにくくなる。
ショートブロックは、受信復調の際に位相補償として用いることが考えられているので、ショートブロックと該当シンボルとの送信時間差が少ない程、正確に位相補償されるので、ショートブロックの周辺に配置されたシンボル程誤りにくくなる。
また、Ack/Nack情報(Ack/Nack、CQI)のシンボルマッピングは、あらかじめ決められたいくつかのパターンが存在し、その中から移動局が選択してもよいし、基地局からパターンを指定されてもよいし、また、動的に割り当てられてもよい。上記説明のように、S−RACHを用いた上りスケジューリング要求信号SRの送信により、一時的にAck/Nack専用チャネルによるAck/Nackシンボルかつ/またはCQIシンボルを長期間(=1サブフレーム)送信できない場合に、Ack/Nack専用チャネルの情報シンボルの送信誤りを防ぎ、高い通信品質を維持することができる。
【0054】
次に、図8のシーケンスのように、1回の上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が十分短い場合について説明する。
図6のST605において、図8で示すフローチャートのように、上りスケジューリング要求信号SRを送信する際に、プレアンブルとメッセージを分けて送信したり、プレアンブルと小サイズのメッセージを一緒に送信する場合、上りスケジューリング要求信号SRの送信に要する期間は短くなる。したがって、上りスケジューリング要求信号SRの送信中に送信が停止されるAck/Nack専用チャネルにおけるAck/Nackシンボルかつ/またはCQIシンボルの送信停止期間も短くなる。
このような場合において、上りスケジューリング要求信号SRの送信に用いるS−RACHと、Ack/Nack専用チャネルが、時間−周波数でどのように割り当てられているかの1例を示したものが、図11である。
【0055】
図8のシーケンス図における上りスケジューリング要求信号SRの情報量は十分に短いため、図11において、移動端末UE1のS−RACHが時間―周波数に割り当てられる領域は、1つの時間−周波数単位領域の中の、先頭のデータシンボルブロック分だけとなっている。これと同タイミングで送信されるAck/NackシンボルあるいはCQIシンボルは、Ack/Nack専用チャネルのロングブロックLB1のシンボルである。移動端末UE1のS−RACHによる上りスケジューリング要求信号SRが送信されている間、ロングブロックLB1のブロックのAck/Nack情報シンボルあるいはCQIシンボルは送信されない。
【0056】
図12は、Ack/Nack専用チャネルで送信するAck/Nackシンボル、CQIシンボルのマッピング例を説明した説明図である。
図10と異なり、図12では、1TTI内の1サブフレーム目(1 sub−frame A)と2サブフレーム目(1 sub−frame B)で異なるシンボルをマッピングし、TTI内で、優先順位の高いAck/Nackまたは上位のCQIビットを数多く配置するようにしている。
図12(a)に示すように、CQIシンボルのみの場合、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生した場合、送信されなくなる可能性のあるロングブロックLBの位置に(例えばLB1)、優先度の高いシンボルCQI1を割り当てるとともに、次のロングブロックLB2にも同じCQI1を割当てている。
これにより、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生した場合であっても、最も重要なシンボルCQI1を2つ目のロングブロックLB2で送信することができ、かつ、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生しない場合でも、最も重要なシンボルCQI1を4回送信することにより、通信誤り時の品質劣化を防ぐことができる。
【0057】
また、図12(b)に示すように、CQIシンボルとAck/Nackシンボルを多重してマッピングする場合、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生した場合、送信されなくなる可能性のあるLBの位置に(LB1)、優先順位の低いシンボルCQI5を割り当てることにより、上りスケジューリング要求信号SRの送信が発生して、CQI5シンボルが送信できなかった場合でも、他の優先順位の高いシンボルは繰り返し数を減ずることなく送ることが可能であるので、通信品質を維持することができる。
【0058】
なお、シンボルの重要度に応じたシンボルマッピング方法でのマッピングパターンは、この実施の形態2に説明したパターンに限る必要はない。シンボルマッピングの考え方は、既に説明したため省略する。また、Ack/Nack情報(Ack/Nack、CQI)のシンボルマッピングは、あらかじめ決められたいくつかのパターンから移動端末ないし基地局が選択してもよいし、動的に割り当てられてもよい。
【0059】
また、図11にあるように、移動端末UE1のS−RACHが時間−周波数に割り当てられる領域が、一部の時間のデータシンボルブロック分だけとなっている場合として、図8のフローチャートのようにS-RACHで送信する情報が十分小さい場合のみならず、図7のフローチャートのように、上りスケジューリング要求信号SRの情報量が多い場合も考えられる。
この場合は、S−RACHを周波数方向に帯域を広げた時間―周波数領域に割り当てて送信することにより、少ない時間で送ることができる。具体的には、図11の割り当て時と比べ、上りスケジューリング要求信号SRの送信に、周波数方向に広い時間―周波数領域を割り当てる、もしくは、周波数方向に連続した、複数の時間-周波数単位領域を割り当てることになる。
【0060】
実施の形態1及び実施の形態2では、Ack/Nack専用チャネルにおいて移動端末毎にAck/Nack情報がCDM多重されていることを前提としたが、複数の移動端末のAck/Nack情報をTDM多重やFDM多重する方法もあり、そのような場合においても、上記実施の形態1で説明した発明を適用することは可能である。
以上のようにすれば、S−RACHにて上り送信要求信号SRのシンボルを割り当てた時間―周波数領域と同じタイミングに割り当てた上りAck/Nackシンボルかつ/またはCQIシンボルが、上りスケジューリング要求信号SR送信期間中、変調・送信できない場合(DTX)においても、無線リソースを効果的に利用し、かつ、上りの通信品質を維持、あるいは、劣化を最小限に抑えることが出来るという効果を得ることができる。
【0061】
実施の形態3.
上記実施の形態1では、S−RACHを用いて上りスケジューリング要求信号を送信している間、Ack/Nack専用チャネルを用いたAck/Nack信号かつ/またはCQI信号の送信を停止することにより、2種類の帯域に割り当てた2つの物理チャネル(Ack/Nack専用チャネルとS−RACH)のデータを同時に送信するマルチキャリア方式を使用しないことにより、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現していた。
以下、この実施の形態3では、Ack/Nackかつ/またはCQIと上りスケジューリング要求信号SRを同じ物理チャネルを用いて送信することにより、より広いカバレッジと低いPAPR(ピーク対平均電力比)を実現するSC―FDMA方式で送信を実現する方法について説明する。
【0062】
この実施の形態3では、移動端末が、上りスケジューリング要求信号SRをS−RACHではなく、Ack/Nack専用チャネルにマッピングして、送信を行うものである。上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack専用チャネルで送信することにより、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。これにより、ある移動端末で一時的に送信すべき制御信号(L1/L2 control signaling)が増えた場合にも、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0063】
ここで、Ack/NacK専用チャネルはあらかじめ無線リソースがスケジュールされたスケジュールドチャネルである。前述したように、非特許文献4において、同期ランダムアクセスSRAをスケジュールドチャネルに割当てることが検討されていることは述べた。しかし、非特許文献4では、スケジュールドチャネルとして、どのようなチャネルを用いるか、また、物理的リソースとして時間−周波数領域をどのように割当てるかについて、何も記載されていないため、Ack/Nack専用チャネルとは別の時間−周波数領域にスケジューリングリクエストSR専用の1bitの物理リソースを割当てたチャネルを設けた場合は、上りAck/Nackかつ/またはCQIと上りSRを同時に送信しなければならない状況が生じてしまい、それぞれの信号が時間的に同時に送信されてしまう。この場合、シングルキャリア伝送とはならず、マルチキャリア伝送となってしまうためPAPRが高くなってしまうという問題が生じる。
【0064】
このような問題を解決するため、この実施の形態3では、移動端末が、上りスケジューリング要求信号SRを、Ack/Nack、CQIとともに、Ack/Nack専用チャネルにマッピングして、送信を行うものである。
移動端末のシングルキャリア伝送の要請を満たすために重要なことは、上りリンクの時間同期が取れている状態であって、上りデータの送信を行っていない移動端末において、同時に送信する必要が発生する可能性のある信号である「Ack/Nack」「CQI」「上りスケジューリング要求信号SR」の全てをAck/Nack専用チャネルを用いて送信する点にある。上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack、CQIとともに、Ack/Nack専用チャネルで送信することにより、一時的な物理チャネルの増加による通信システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRを保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
これにより、ある移動端末で一時的に送信すべき制御信号(L1/L2 control signaling)が増えた場合にも、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐとともに、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0065】
図13は、上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。図14は、Ack/Nack専用チャネルで送信する上りスケジューリング要求信号のマッピング例を説明した説明図である。
以下、図13を用いて、この発明の実施の形態3に係る移動端末の動作を説明する。なお、図13において、図6と同一の符号は同一または相当部分を示すので説明は省略する。
【0066】
移動端末は、上り送信を行わず、下りデータを受信すると同時に、上りにて、受信データに対するAck/Nackかつ/またはCQIを専用物理チャネルで送信している。
Ack/Nack専用チャネルでは、移動端末をCDM、FDM、TDMのいずれかの方法で多重されている。移動端末において、上りデータ送信要求が発生する(ST601)と、ST602において、下りデータの受信状況が確認される。
この実施の形態3では、下りデータを受信しているため、ST1301へ進み、Ack/Nack専用チャネルを用いて、Ack/Nack情報とともに、上りスケジューリング要求信号SR(preamble相当のみ、あるいは、preambleとmessage相当部分)を送信する。
【0067】
ST1301における、上りスケジューリング要求信号SRの送信から上りデータ送信までのシーケンスを示したものが、図8である。1回の上りスケジューリング要求信号SRの情報サイズが小さく、送信期間が短い場合、上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack専用チャネルで送信することは、無線リソース利用の効率化、及びAck/Nackや上りスケジューリング要求信号SRのようなサイズの小さいL1/L2制御信号送信(L1/L2 control signaling)の通信品質を確保するという2つの側面において非常に有効である。
【0068】
Ack/Nack専用チャネルにおける1サブフレーム長の時間―周波数領域は、6つのロングブロックLBと言われるデータシンボルブロックと、ショートブロックSBといわれる物理チャネル同期用シンボルブロックから構成される。
この実施の形態3においては、上りスケジューリング要求信号SRとAck/Nack情報かつ/またはCQI情報とを1TTI(=2サブフレーム)分の時間―周波数領域内で、あらかじめ決めた位置関係で多重した際のシンボルマッピングの一例を示している。
【0069】
図14は、CQIとAck/Nack情報が多重されている場合において、これに上りスケジューリング要求信号SRを更に割り当てる時のシンボルマッピング例である。ここでは、Ack/Nack、CQI、上りスケジューリング要求信号SRを多重し、1TTI単位でマッピング、更新するものとする。
【0070】
まず、上りスケジューリング要求(UL scheduling request)は送信時間区間(TTI)長(=2サブフレーム長)の時間―周波数領域で、先頭のシンボルブロック(LB1)にマッピングされる。上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされて送信されるのは、最速で1回/2サブフレームである。SRシンボルの内容は1ビット長でリクエスト有/リクエスト無の情報となる。
シンボルマッピングについては、図14に示す通りでなくても、この実施の形態3を実現することが出来る。よって、シンボルマッピングについての考え方について以下に述べる。
【0071】
(1)優先順位の高いシンボルを数多く繰り返す。(2)優先順位の高いシンボルを、ショートブロックSBの周辺に配置するようにしている。
通常、Ack/NackやCQIの上位ビット(CQI1が最上位ビット)、上りスケジューリング要求信号SRは優先順位の高いシンボルである。
Ack/Nackは下りデータの受信結果であり、このシンボルが基地局側でうまく受信できないと、該当するパケットデータの再送が発生し、結果として下りデータのスループットが落ちてしまうという問題が起こるため、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、送信誤りが発生した場合、移動端末で測定した下り通信路品質と基地局が受信した下り通信路品質の誤差が大きくなり、基地局による適切なスケジューリンが不可能となり、結果として移動体通信システム全体の下りスループットの低下につながる。そのため、下りデータの受信状態を示すCQIビットも、上位のビットは、シンボル配置において優先順位を高くする必要がある。
【0072】
また、上りスケジューリング要求信号SRが基地局側で誤って受信された場合を考える。移動端末が上りスケジューリング要求SR「無し」であるにも関わらず、基地局側で「有り」と誤受信した場合、不要な上りリソースを移動端末に対して割当てることとなり、無線リソースの無駄となる。
一方、移動端末が上りスケジューリング要求SR「有り」であるにも関わらず、基地局側で「無し」と誤受信した場合、上りスケジューリング要求SRの再送が必要となり、結果として上りスループットが低下するという問題が発生する。
Ack/NackとCQIと上りスケジューリング要求信号SRの優先順位は、誤り率に従う。
【0073】
繰り返し(repetition)数を多くすることは、基地局での受信電力を増加させることが出来るので、繰り返し(repetition)数が多いシンボル程誤りにくくなる。
ショートブロックは、受信の復調の際に位相補償として用いることが考えられているので、ショートブロックと該当シンボルとの送信時間差が少ない程、正確に位相補償されるので、ショートブロックの周辺に配置されたシンボル程誤りにくくなる。
【0074】
ここまでのシンボルマッピングの考え方は、Ack/Nack専用チャネル内にてCQIとAck/NackがTDMにより多重されている場合を示しているが、別の方法で多重されている場合であっても、上りスケジューリング要求信号SRをマッピングする方法として、上記シンボルマッピングの考え方は適用可能である。
また、上りスケジューリング要求信号SRについては、「リクエスト有り=(‘1’)、「リクエスト無し=(‘0’)」として記しているが、この限りではなく、例えば「リクエスト有り=(‘0’)、「リクエスト無し=(‘1’)」と反対でも良い。更に言えば、リクエストの有無を示すことが出来れば良い。
このビットの値設定については、次のような2つの設定例が考えられる。
【0075】
第一の設定例は、上りスケジューリング要求信号SRがない場合は、常に0を送信する。一方、図8のフローチャートにおいて移動端末が上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合は、「リクエスト有り(=‘1’)」を送信し、次の送信時間区間(TTI)で0を送信するものである。
受信エラーがなければ、基地局から移動局に送信しているはずの“上りデータリソース割当て(Uplink Data Resource Allocation)”が届かない場合、移動端末は基地局側で受信エラーが発生したと判断し、再度上りスケジューリング要求信号SR「リクエスト有り=(‘1’)」を送信する。
【0076】
第一の設定例を図28、図29及び図30を用いて更に詳しく説明する。
図28はシーケンス図であり、図29は移動端末内の処理フロー図である。図30は基地局内の処理フロー図である。
図28において、時間Tは、基地局による上りリソース割当てを受けるまでの期限(上限値)を示し、移動端末において時間Tを実現するためにはタイマーなどが用いられる。
図29を中心に第一の設定例の動作について説明する。
【0077】
まず、基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生しない場合について説明する。シーケンス図としては、図28の(i)が受信エラーが発生しない場合を示している。
ST2901にて上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生した場合、ST2902へ進む。発生しなかった場合は、ST2901の判断へ戻る。
ST2902にてAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)とする。
ST2903にて上りスケジューリング「有」をAck/Nack専用チャネルにて送信する。図28ではST2801に相当する。
【0078】
上りスケジューリング「有」をAck/Nack専用チャネルにて送信後、ST2904にてAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト無し(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「0」)とする。
ST2905にて基地局からの上りデータリソース割当て「Uplink Data Resource Allocation」を受信したか否かを判断する。つまり基地局からの上り送信割当てがあったか否かを判断する。
ST2905にて受信有りの場合は、ST2906へ進む。図28ではST2804に相当する。ST2906では基地局からの割当てに応じて、上りデータを送信する。
一方、ST2905にて受信無しの場合は、ST2907へ進む。ST2907では、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受けるまでの期限を越えているか否かを判断する。つまり移動端末が上りスケジューリング要求信号SR「有り」を送信してからの時間が図28に示す時間Tを越えているか否かを判断する。
【0079】
ST2905にて時間Tを越えていない場合は、ST2908へ進む。ST2908では、上りスケジューリング「無」をAck/Nack専用チャネルにて送信する(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「0」)。
ST2908にて上りスケジューリング「無」をAck/Nack専用チャネルにて送信後、ST2905の判断に戻る。図28ではST2802、ST2803に相当する。
【0080】
次に基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生した場合について説明する。シーケンス図としては図28の(ii)が受信エラーが発生した場合を示している。
ST2901〜ST2906の説明は上記受信エラーが発生しない場合と同様であるため省略する。
ST2907では、上記受信エラーが発生していない場合と同様に、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受けるまでの期限を越えているか否かを判断する。つまり移動端末が上りスケジューリング要求信号SR「有り」を送信してからの時間が図28に示す時間Tを越えているか否かを判断する。
【0081】
ここで図28の(ii)で示すように、ST2807においてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について受信エラーが発生している。よって、本来、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受信するべきタイミング(図28の(ii)の時間「‘t’」)にて基地局からの上り送信割当ては行われない。よって、ST2907では図28のST2811において、上りスケジューリング要求信号SR「有り」を送信してからの時間が時間Tを越えると判断する。
その場合、ST2902に戻ることによって、Ack/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)とし、上りスケジューリング要求信号SRの再送を行う(ST2903)。図28ではST2811に相当する。
【0082】
次に、第一の設定例における基地局側の処理フローについて、図30を用いて説明する。
ST3001にてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報が「有り」を示すか否か判断する。「無し」を示す場合には、ST3001の判断に戻る。
ST3001にて「有り」と判断した場合には、ST3002にて当該Ack/Nack専用チャネルにて上りスケジューリングリクエストを送信してきた移動端末に対する上りスケジューリング処理を行う。図28ではST2801、あるいは、ST2811に相当する。
その結果をST3003にて該当移動端末に対して上り送信割当てを行うために「Uplink Data Resource Allocation」として送信する。図28ではST2804、あるいは、ST2814に相当する。
【0083】
また、第二の設定例は、上りスケジューリング要求信号SRがない場合は、第一の設定例と同様に、常に0を送信する。一方、図8のフローチャートにおいて、移動端末が上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合は、“Uplink Data Resource Allocation”が基地局から送信されるまで、「リクエスト有り(=‘1’)」の送信を続け、“Uplink Data Resource Allocation”受信後、「リクエストなし(=‘0’)を送信するものである。
【0084】
第二の設定例を図31、図32及び図33を用いて、更に詳しく説明する。
図31はシーケンス図であり、図32は移動端末内の処理フロー図である。図33は基地局内の処理フロー図である。
図32を中心に第二の設定例の動作について説明する。
まず、基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生しない場合について説明する。シーケンス図としては図31の(i)が受信エラーが発生しない場合を示している。
【0085】
ST3201にて上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生した場合、ST3202へ進む。発生しなかった場合は、ST3201の判断へ戻る。
ST3202にてAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)とする。
ST3203では、上りスケジューリングリクエストをAck/Nack専用チャネルにて送信を行う。図31ではST3101に相当する。
【0086】
ST3204にて基地局からの「上りデータリソース割当て(Uplink Data Resource Allocation)」を受信したか否かを判断する。つまり基地局からの上り送信割当てがあったか否かを判断する。
ST3204にて受信有りの場合は、ST3205へ進む。受信無しの場合は、ST3202へ戻る。図31ではST3104に相当する。
ST3205ではAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト無し(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「0」)とする。図31ではST3105に相当する。
ST3206では基地局からの割当てに応じて、上りデータを送信する。
【0087】
次に基地局における上りスケジューリング要求信号SRの受信エラーが発生した場合について説明する。シーケンス図としては、図31の(ii)が受信エラーが発生した場合を示している。
移動端末としての処理フローは、上記受信エラーが発生しない場合と同様であるため省略する。
図31の(ii)について説明する。
ST3107においてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について受信エラーが発生している。よって、本来、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受信するべきタイミング(図31の(ii)の時間「‘t’」)にて基地局からの上り送信割当ては行われない。
【0088】
しかし、第二の設定例においては、ST3107に引き続いてST3108でもAck/Nack専用チャネルにおいて上りスケジューリングリクエスト有り(図14においては、LB1に割当てられているUL Scheduling request=「1」)が送信されている。よって、ST3108で送信されたAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について正常に受信したことにより、ST3111にて基地局から「Uplink Data Resource Allocation」が送信される。つまり移動端末は、基地局からの上り送信割当てを受信する。
【0089】
次に、第二の設定例における基地局側の処理フローについて、図33を用いて説明する。
ST3301にてAck/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報が「有り」を示すか否か判断する。「無し」を示す場合には、ST3301の判断に戻る。
ST3301にて「有り」と判断した場合には、ST3302にて当該移動端末への上りスケジューリング処理を実行しているか否かを判断する。
ST3302にて実行していると判断した場合は(図31ではST3102、ST3103、ST3109、ST3110に相当する)、ST3303へ進む。ST3303では現在実行中の上りスケジューリング処理を継続する。
【0090】
ST3302にて実行していないと判断した場合(図31ではST3101、ST3108に相当する)は、ST3304へ進む。ST3304では当該移動端末への上りスケジューリング処理を開始する。
ST3303、あるいは、ST3304にて当該移動端末への上りスケジューリング処理が終了した場合、ST3305にて当該移動端末に対して上り送信割当てを行うために「Uplink Data Resource Allocation」として送信する。図31ではST3104、あるいは、ST3111に相当する。
【0091】
第一の設定例、第二の設定例について利点を説明する。
第一の設定例のメリットとしては、第二の設定例と比較して、以下の点が挙げられる。
(1)Ack/Nack専用チャネルにて上りスケジューリングリクエストを基地局が受信した場合に、当該移動端末への上りスケジューリング処理中であるか否かを判断する(図33 ST3302)必要がないので、基地局内の処理が簡略化できる。
【0092】
第二の設定例のメリットとしては、第一の設定例と比較して、以下の点が挙げられる。
(1)Ack/Nack専用チャネルに割当てられている上りスケジューリングリクエストの有無を示す情報について受信エラーが発生した時は、本来、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受信するべきタイミングから実際に「Uplink Data Resource Allocation」を受信するまでの時間が短くなる。第一の設定例では、図28で示す通り、その時間は、「a」となる。一方、第二の設定例では、図31に示す通り、その時間は、「b」となる。
(2)移動端末内の処理において、基地局からの「Uplink Data Resource Allocation」を受ける期限を越えているか否かを判断する(図29 ST2907)必要がないので、移動端末内の処理が簡略化できる。
【0093】
上記にて説明したスケジューリング要求信号SRの第一の設定例、第二の設定例については、実施の形態1、実施の形態6、実施の形態7、実施の形態8、実施の形態9及び実施の形態10でも用いることが出来る。
また、Ack/Nackかつ/またはCQIを送信する必要がなく、スケジューリング要求信号のみを送信する必要がある場合は、Ack/Nack専用チャネルにてAck/Nack、CQIの情報は送信せず、スケジューリングリクエストのみを送信してもよい。
【0094】
上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされる送信時間区間(TTI)の先頭LB(LB1)以外のロングブロック(LB2〜LB6)には、Ack/NackシンボルとCQIシンボルがマッピングされる。このマッピングでは、Ack/Nackシンボルと、CQIシンボルの中でも優先順位の高い上位の桁のCQIが優先して繰り返しマッピングされる。図14では、1TTI(=2サブフレーム)の中で、Ack/Nackシンボルが3回、優先順位の高いCQI1とCQI2が2回、繰り返しマッピングされている。
【0095】
上記説明のとおり、上りスケジューリング要求信号SRの送信期間が、図8のシーケンスにあるように十分短い場合には、Ack/Nack専用チャネルに、上りスケジューリング要求信号SRをAck/Nack情報シンボル(Ack/Nack、CQI)とともにマッピングすることにより、一つの移動端末で同時に複数の送信すべき「データ付随なしのL1/L2制御信号」が発生した場合にも、これらの重要な制御信号の通信品質を確保しつつ、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐことができ、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0096】
さらに、Ack/Nack専用チャネルは、S−RACHのような複数の移動端末による通信競合を許すチャネル(contention based channel)ではないので、この方法であれば、S−RACHを用いる場合と比べ、上りスケジューリング要求信号SR送信で移動端末の識別番号(UE−ID)を送信する必要がないというメリットも得ることができる。
よって、SRの送信頻度が高い場合は、SRを送信するための必要ビット数が小さいために有効な手段であると言える。更に、Ack/Nack専用チャネルは図24に示すように分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域(図24 A、B)が割り当てられる。これによりAck/Nack専用チャネルにて送信するスケジューリング要求信号SRは周波数選択性フェージングに強くなる。言い換えれば、SRは周波数ダイバーシチゲインを得ることが可能となる。
更に、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のSRはS−RACHではなく、Ack/Nack専用チャネルを用いて、移動端末から基地局に対して送信するとした場合、S−RACHのためにあらかじめ割り当てられていた無線リソース(周波数-時間領域)をUL−SCHなどに開放することが可能となり、無線リソースの有効活用という意味においても効果的である。
【0097】
Ack/Nack専用チャネルは、移動端末が、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している状態において、既に使用しているチャネルである。従って、上りスケジューリング要求信号SRを、Ack/Nack、CQIとともに、Ack/Nack専用チャネルにマッピングすることで、低いPAPRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる効果に加えて、利用中の無線リソースを有効に利用できるという利点がある。
また、上述したように、Ack/Nack専用チャネルのようなスケジュールドチャネルでは、上りスケジューリング要求信号SR送信で移動端末の識別番号(UE−ID)を送信する必要がないというメリットも得ることができるため、基地局側での受信において、処理負荷を低減することができる。
加えて、Ack/Nack専用チャネルは通常より狭い周波数帯域を割当てて使用するため、単位時間で処理が必要な情報量が少ない。従って、送受信双方での処理時間も短くなるため、上りスケジューリング要求信号SRの送信から送信開始までのシーケンス(図7のST701〜ST703、図8のST801〜ST804)の処理遅延(Latency)が短くなり、通信システム全体の処理の効率化・高速化に貢献することができる。
【0098】
一方、下りデータを受信していない場合にも、Ack/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においても、Ack/Nack専用チャネルを用いたCQIの送信と上りスケジューリング要求信号SRが同時に発生する場合が考えられる。そのような移動体通信システムにおいては、ST602の判断では、Ack/Nack専用チャネルの割当てがあるか否かで判断する方が良い。更に付け加えると、下りデータを受信していない場合にAck/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられないような移動体通信システムであっても、この判断を用いることが可能である。
この実施の形態3では、図24に示すような分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域を独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネルについて説明した。しかし、この実施の形態3については、図23に示すような狭帯域ではないAck/Nack専用チャネルにおいても適応することが可能である。
【0099】
実施の形態4.
移動端末がユーザデータ等の上りデータ(Uplink data、UL data)送信を行っていない場合であって、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)を受信している場合、下りデータの受信結果であるAck/Nack信号及び下り通信路品質を示すCQIを基地局に送信する必要がある。
また、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する必要がある。
以下、Ack/Nackと上りスケジューリング要求信号SRを同時に送信する必要が生じた移動端末が、PAPRを増加させることなく、同時にそれらの送信を行う方法を説明する。
【0100】
上記実施の形態3では、スケジューリング要求信号SR、Ack/Nack、CQIをともにAck/Nack専用チャネルを用いて送信することで、低いPARRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現していたが、図14に示すように、Ack/Nack専用チャネル上にスケジューリング要求信号SRの有無を示すシンボルをマッピングする必要があった。そのため、上記実施の形態3を用いて、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIと上りスケジューリング要求信号SR(SR)をTDMにて多重した場合以下2つの課題が新たに発生する。
【0101】
第1の課題について説明する。
SRを送信する必要がない場合においても、SRがマッピングするためのLBをあらかじめ割り当てなければならない。そのため、送信する必要がない情報に対して常に無線リソースを割り当てなければならない。よって、無線リソースを有効に活用しているとは言えないという課題が発生する。
第2の課題について説明する。
Ack/Nack専用チャネルにSRをTDMにて多重しない場合と比較して、Ack/NackあるいはCQIの繰り返し回数が減少するというデメリットが発生する。Ack/Nack及びCQIは、データのように誤り訂正能力の高いエンコードが施されない場合がほとんどである。よって、基地局での受信エラーを防ぐために、同じ情報を繰り返して基地局での受信電力を稼ぐことは受信品質を高めるために重要である(repetition)。その繰り返しに用いることができるLBの数が減ることは基地局の受信品質を保つという意味において可能な限り避けるべきである課題が発生する。
【0102】
新たな第1の課題及び第2の課題について解決する方法について以下説明する。
図15は、上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。図15は、移動端末が上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合の処理を示している。
ST1500において移動端末は、上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生していない場合は(ST1500でNo)、ST1501へ進む。ST1501において移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方をマッピングする。
マッピングの一例としては図9を用いることができる。ST1503において移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方がマッピングされていることを示すコード(コードa)を乗算する。
【0103】
このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実施される。コード乗算後、ST1505の処理が実行される。
一方、ST1500において要求が発生している場合は、ST1502の処理が実行される。ST1502では、移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方がマッピングされているほか、上りスケジューリング要求信号SRをマッピングする。
マッピングの一例としては図14を用いることができる。ST1504において移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのいずれか一方または両方と、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示すコードaとは異なるコード(コードb)を乗算する。このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実施される。コード乗算後、ST1505の処理が実行される。コードaとコードbは、基地局での判断の誤りを少なくするため、互いに直交したコードを用いても良い。
【0104】
移動体通信システムにおいて、Ack/Nack専用チャネル内の複数の移動端末の多重にコード多重を用いていた場合、ST1505において、移動端末を識別するためのコード(コードA)を乗算する。このコード乗算は、変調部10により実施される。コード乗算後、ST1506が実施される。
ST1505において移動端末を識別するためのコード(コードA)が乗算されることから、ST1503、ST1504で乗算されるコード(コードa、コードb)は、Ack/Nack専用チャネル内に多重される移動端末が共通して用いることが可能である。コードaとコードA、またコードbとコードAを乗算する順序は逆でも良い。ST1506において移動端末は基地局に対してAck/Nack専用チャネルを送信する。
【0105】
ST1507において、基地局は、Ack/Nack専用チャネルにより送信された信号を受信する。そして、基地局は、Ack/Nack専用チャネルにより伝達された信号に含まれる、複数の移動端末からの信号の分離を行うために、Ack/Nack専用チャネル内の移動端末多重用に用いたコードを乗算する処理を行う。
ST1508において、移動端末を示すコード(コードA)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は(ST1508でYes)、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルの受信とし、ST1509の処理を実行する。
【0106】
ST1508において行った相関演算の結果が規定された閾値未満である場合は(ST1508でNo)、当該移動端末からのACK/NACK専用チャネルの受信はないとして終了する。コードAを用いた相関演算は、復調部24により実施される。ST1509において、基地局は、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされているか否かを判断するため、コードaを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は(ST1509でYes)、当該移動端末からのACK/NACK専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされていると判断し(スケジューリング要求信号SRはマッピングされていないと判断し)、ST1510の処理が実行される。
コードaを用いた相関演算は、復調部24あるいはデコーダ部25により実施される。ST1510において基地局は、受信した当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにはAck/Nack、CQIのみがマッピングされているとして処理を行う。
【0107】
一方、ST1509においてコードaを用いて相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合(ST1509でNo)、ST1511が実行される。ST1511において基地局は、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされているか否かを判断するためにコードbを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合(ST1511でYes)、当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断し、ST1512の処理が実行される。
コードbを用いた相関演算は、復調部24あるいはデコーダ部25により実施される。ST1512において基地局は、受信した当該移動端末からのAck/Nack専用チャネルにはAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされているとして処理を行う。一方、ST1511においてコードbを用いて相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合(ST1511でNo)、なんらかの受信エラーが発生したとして終了する。
【0108】
上述の通り、図15におけるコードaを乗算するST1503、コードbを乗算するST1504、コードAを乗算するST1505部分は移動端末内のエンコーダ部9、変調部10で実施される。コードa、コードb、コードAの乗算部分の詳細な構成図を図34に示している。
送信バッファ部8内、あるいは、エンコーダ部9内のAck/Nack専用チャネル用シンボルパターン3401に対して、Ack/Nack、CQIのいずれか一方または両方がマッピングされていることを示すコードであるコードa3402、あるいは、Ack/Nack、CQIのいずれか一方または両方と、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示すコードであるコードb3403を乗算する。
【0109】
コードa3402とコードb3403はスイッチ3404で切替えられる。スイッチ3404の切替え条件は図34に示す通りである。
上りデータ送信要求が発生している場合、つまり上りスケジューリングリクエストが有る場合は、Ack/Nack専用チャネル用シンボルパターン3401にコードbが乗算されるように切り替わる。また、上りデータ送信要求が発生していない場合、つまり上りスケジューリングリクエストが無い場合は、Ack/Nack専用チャネル用シンボルパターン3401にコードaが乗算されるように切り替わる。
コードa、あるいは、コードbが乗算された後、移動端末を識別するためのコードA3405を乗算する。その後、変調部10にて変調処理が行われる。
【0110】
上記説明のとおり、移動端末は、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのほか、スケジューリング要求信号SRがマッピングされている場合とされていない場合で異なるコードを乗算することにより、Ack/Nack専用チャネル内にてスケジューリング要求信号SR用のシンボルをリザーブする必要がなくなる。例えば、スケジューリング要求信号SRは、図14に示す一番最初のロングブロックLB1にマッピングされるが、スケジューリング要求信号SRが送信されていない場合には、LB1にAck/Nack、CQI等をマッピングすることが可能である。また、乗算されているコードによって、基地局は、所定の移動端末からの信号がスケジューリング要求信号SRを含んでいるか容易に識別できるので、スケジューリング要求信号SRがマッピングされている場合とされていない場合で、適切な処理を行うことが可能である。
【0111】
従来技術であるW−CDMAにおいては移動端末から同時に送信される複数のチャネルを分離するためにチャネル毎に異なるコード(チャネライゼーションコード)が乗算され、移動端末から基地局に対して複数のチャネルが同時に送信される。
一方、この実施の形態4においては、コードにより送信する情報(「Ack/Nack、CQI」あるいは「Ack/Nack、CQI、SR」)の種類を分離するためにコードを用いる。
この実施の形態4においては、移動端末から基地局に対して「Ack/Nack、CQI」あるいは「Ack/Nack、CQI、SR」のどちらかが送信され、コードにより分離された「Ack/Nack、CQI」「Ack/Nack、CQI、SR」が同時に送信されることはない。上記点において、同時に送信される複数のチャネルを分離するためにコードを用いる従来技術(W−CDMA)と、この実施の形態4は異なる。
【0112】
この実施の形態4を用いることにより、上記実施の形態3を用いる場合と同様に以下の効果を得ることが出来る。
上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合に、Ack/Nackとともに上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要が生じた移動端末が移動端末内のPAPRを増加させることなく、同時に、それらの送信を行うことが出来るという効果を得ることが出来る。
【0113】
また、Ack/Nack専用チャネルによりスケジューリング要求信号SRを送信することにより、SRにUE−IDを付加する必要がないという効果を得ることが出来る。よって、SRの送信頻度が高い場合は、SRを送信するための必要ビット数が小さいために有効な手段であるといえる。更に、Ack/Nack専用チャネルは図24に示すように分離した狭帯域の複数の時間−周波数領域(図24 A、B)が割り当てられる。これによりAck/Nack専用チャネルにて送信するスケジューリング要求信号SRは周波数選択性フェージングに強くなる。
言い換えれば、SRは周波数ダイバーシチゲインを得ることが可能となる。更に、上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のSRはS−RACHではなく、Ack/Nack専用チャネルを用いて移動端末から基地局に対して送信するとした場合、S−RACHのためにあらかじめ割り当てられていた無線リソース(周波数-時間領域)をUL−SCHなどに開放することが可能となり、無線リソースの有効活用という意味においても効果的である。
【0114】
この実施の形態4を用いることにより、上記実施の形態3を用いる場合の効果に加えて、以下の効果を得ることが出来る。
移動端末内にてSRが発生していない場合において、Ack/Nack専用チャネル内のSRを送信するためのあらかじめ割り当てられたLBが不要となり、無線リソースを有効に活用することが可能となる。更に、SRをマッピングするための割り当てが不要になるために、移動端末内にてSRが発生していない場合は、従来のAck/Nack専用チャネル内のAck/NackあるいはCQIの繰り返し回数を減らす必要がなくなり、Ack/NackあるいはCQIの基地局での受信品質向上という効果を得ることが可能となる。
下りデータを受信していない場合にも、Ack/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは、基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においてもAck/Nack専用チャネルを用いたCQIの送信と上りスケジューリング要求信号SRが同時に発生する場合が考えられる。そのような移動体通信システムにおいても、この実施の形態4に用いることが可能である。
【0115】
以下、変形例を説明する。
第1の変形例としては、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされているか否かを判断するために、コードa、あるいは、上りスケジューリング要求信号SRがさらにマッピングされていることを示すコードbのいずれか一方のみを利用することが考えられる。
具体例としては、移動端末において、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみがマッピングされる場合はコードaを乗算し、Ack/Nack、CQIのほか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされている場合には、コードbを乗算せずに(ST1504を省略する)、ST1505の処理を実行する。
【0116】
基地局は、ST1509においてコードaを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、Ack/Nack、CQIのみがマッピングされていると判断してST1510へ進む。
一方、ST1509の相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合、Ack/Nack、CQIのほか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断し、ST1512が実行される。
この第1の変形例を用いると、コード数を削減することができ、移動端末内のコードを乗算する処理、基地局内のコードを用いて相関演算を行う処理を削減することが可能となる。更に、コード数が減ることにより、Ack/Nack専用チャネルに割当て可能な移動端末の数が増えるという利点がある。
【0117】
また、第2の変形例としては、Ack/Nack専用チャネルに多重される移動端末毎に、Ack/Nack専用チャネルにAck/Nack、CQIのみ、あるいは、Ack/Nack、CQIのほか上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示す二つのコード(コードA、コードB)を割り当てることが考えられる。
具体例としては、移動端末において、Ack/Nack専用チャネルにAck/NackとCQIのみがマッピングされる場合はコードAを乗算し(ST1503)、Ack/Nack、CQIのほか上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされる場合にはコードBを乗算し(ST1504)、ST1506へ進む。つまり移動端末毎に割り当てられたコードを用いるために、ST1505において移動端末を示すコードを更に乗算する必要はなくなる。
【0118】
基地局は、ST1508において、当該移動端末を示すコード(コードA)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、当該移動端末からAck/Nack、CQIのみがマッピングされていると判断し、ST1510へ進む。
その結果が閾値未満である場合、更にST1508において当該移動端末を示すコード(コードB)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、Ack/Nack、CQIのほか上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断し、ST1512へ進む。つまり、図15のステップのうち、ST1509とST1511を省略することが可能となる。
【0119】
また、この実施の形態4では、Ack/Nack専用チャネルに、Ack/Nack、CQIのみがマッピングされていることを示すコードaか、Ack/Nack、CQIのほか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていることを示すコードbのどちらかがAck/Nack専用チャネル全体に乗算されている。
第3の変形例では、Ack/Nack専用チャネル上のAck/NackとCQIがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードaを乗算し、Ack/Nack専用チャネル上の上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードbを乗算する。
【0120】
具体的には、図15のステップのうち、ST1503、ST1504を省略し、その代わりに、Ack/Nack専用チャネル上のAck/NackとCQIがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードaを乗算し、Ack/Nack専用チャネル上の上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているロングブロックには、それを示すコードbを乗算するステップを追加する。
また、基地局により実行されるステップのうち、ST1509、ST1510、ST1511、ST1512を省略し、その代わりに、Ack/NackとCQIがマッピングされているロングブロックであるか否かを判断するために、コードaを用いて相関演算を行う処理を追加する。
【0121】
相関演算の結果が規定された閾値以上である場合は、基地局は、Ack/NackとCQIがマッピングされたロングブロックであると判断し、その後の処理を行う。相関演算の結果が閾値未満である場合は、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているロングブロックであるかを判断するため、コードbを用いて相関演算を行う。
相関結果が閾値以上である場合は、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされたロングブロックであると判断し、その後の処理を行う。この場合、実施の形態4による効果に加えて、Ack/Nack専用チャネル上に上りスケジューリング要求信号SRをマッピングするロングブロックの場所が自由に選べるという効果を得ることが出来る。
【0122】
以下、第4の変形例を説明する。
Ack/Nack専用チャネルのマッピングはSRを含むか否かに関わらず1種類とする。そのマッピングは例えば図9を用いることが出来る。よって、ST1501、ST1502において、Ack/Nack専用チャネルに実際にマッピングされるのはAck/Nack、または/かつ、CQIのみとなる。
以降の移動端末内の処理は図15と同様であるために説明を省略する。
【0123】
Ack/Nack専用チャネルを受信した基地局においては、ST1510において当該移動端末からのSRは無しとして、Ack/Nack専用チャネルの処理はAck/Nack、または/かつ、CQIのみがマッピングされているとして処理を行う。
また、ST1512において当該移動端末からのSRは有りとして、Ack/Nack専用チャネルの処理はAck/Nack、または/かつ、CQIのみがマッピングされているとして処理を行う。
【0124】
図27は、実施の形態4の第4の変形例のAck/Nack専用チャネルのマッピング例を説明した説明図である。この実施の形態4の第4の変形例にてAck/Nack専用チャネル内のSRをマッピングする必要がなくなり、更なる無線リソースの有効活用が可能となる。また、移動端末から上りスケジューリング要求信号SRを送信する場合であってもAck/Nack、または/かつ、CQIの繰り返し回数を維持することが出来るために、SR有りを送信する場合であっても、基地局でのAck/Nack、または/かつ、CQIの受信品質をSR無しの場合と同様の品質に維持することが出来るという効果を得ることが可能となる。つまり、この方法であれば、上りスケジューリング要求信号SRを送信したいときに、既に使用されている物理チャネル、無線リソースを利用できるだけでなく、その無線リソースを用いて送信している他のデータに対し、その情報量や品質にほとんど影響を与えないという効果を得ることができる。よって、基地局において例えば上りAck/Nack専用チャネルを無線リソースに割当てる際、その無線リソース条件(周波数帯域幅など)の選択に,上りスケジューリング要求信号SRの送信による影響を考慮する必要がない。
【0125】
この実施の形態4及びその変形例では、Ack/Nack専用チャネル内の複数の移動端末の多重方法がCDMで行われた場合について説明したが、多重方法にFDM、TDMが用いられた場合にも適用可能である。この実施の形態4及びその変形例については、図24に示すような分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域を独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネルについて説明した。しかし、この実施の形態4及びその変形例については、図23に示すような狭帯域ではないAck/Nack専用チャネルにおいても適応することが可能である。
【0126】
実施の形態5.
図16は、上りスケジューリング要求信号を送信する移動端末の処理と、受信した基地局の処理とを説明するフローチャートである。
ST1601において移動端末は、上りデータ送信中であるか否かを判断する。上りデータ送信中である場合、ST1602へ進む。上りデータ送信中、つまり基地局より上りリソースをスケジューリングされている移動端末においては、上りスケジューリング要求信号SRを送信する必要はないため、ST1601にて上りデータ送信中である場合には、ST1604の判断を経由せずにST1602へ進むという処理が可能である。言い換えれば、1つの移動端末においては、UL―SCHにて上りデータと上りスケジューリング要求信号SRが並存することはなく、SC―FDMAの関係を満たし、移動端末内のPAPRの増加をもたらすことはないと考えられる。
【0127】
ST1602において、移動端末は、UL―SCHへマッピングされているシンボルが上りデータであることを示すコード(コードc)を乗算する。このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実施される。コードcの乗算後にST1603へ進む。
ST1603において、上りデータを基地局よりスケジューリングされたUL―SCH中のリソースに対してマッピングし、ST1607へ進む。一方、ST1601において上りデータ送信中でない場合、ST1604へ進む。
ST1604において上りデータ送信の要求が発生したか否かを判断する。要求が発生していない場合は、ST1601へ戻る。要求が発生している場合は、ST1605へ進む。
【0128】
ST1605においてUL―SCHにマッピングされているシンボルが上りスケジューリング要求信号SRであることを示すコード(コードd)を乗算する。このコード乗算は、変調部10あるいはエンコーダ部9により実現される。コードdの乗算後にST1613へ進む。ST1613において、移動端末を識別するためのコード(コードA)を乗算する。このコード乗算は、変調部10により実施される。コードの乗算後にST1606が実施される。ST1606において、上りスケジューリング要求信号SR(resource request、preamble、messageなど)をUL―SCH中のリソースに対してマッピングし、ST1607へ進む。ST1613とST1606の処理の順序は逆でも構わない。コードcとコードdは、基地局での判断の誤りを少なくするために、直交したコードを用いても良い。
【0129】
ST1607において移動端末は基地局に対してUL−SCHの送信を行う。ST1608において、基地局は移動端末から送信されたUL―SCHの受信を行う。ST1609において基地局は、UL−SCHに上りデータがマッピングされているか否かを判断するためにコードcを用いて相関演算を行う。
その結果が規定された閾値以上である場合は、UL−SCHに上りデータがマッピングされていると判断してST1610へ進む。コードcを用いた相関演算は、復調部あるいはデコーダ部により実現される。ST1610において基地局は、UL−SCHに上りデータがマッピングされているとして処理を行う。
【0130】
移動端末は、あらかじめ基地局が割当てて通知したUL−SCH用の所定の無線リソースを用いて上りデータを送信しているため、基地局は、当該移動端末からのUL−SCHチャネル受信を他の移動端末からのものと区別することができる。一方ST1609において、コードcを用いて相関演算を行った結果が規定された閾値未満である場合は、ST1614へ進む。
ST1614において、基地局はUL−SCH内の移動端末多重用に用いたコード(コードA)を用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は(ST1614でYes)、当該移動端末からのUL−SCHの受信とし、ST1611の処理を実行する。ST1614において行った相関演算の結果が規定された閾値未満である場合は(ST1614でNo)、当該移動端末からのUL−SCHチャネルの受信はないとして終了する。コードAを用いた相関演算は、復調部24により実施される。
【0131】
ST1611において基地局は、UL―SCHに上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているか否かを判断するため、コードdを用いて相関演算を行う。その結果が規定された閾値以上である場合は、UL―SCHに上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされていると判断してST1612へ進む。コードdを用いた相関演算は、復調部24あるいはデコーダ部25により実現される。ST1612において基地局は、UL―SCHに上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているとして処理を行う。
【0132】
上記説明のとおり、コードcとコードdによりUL-SCH内に上りデータがマッピングされているか、上りスケジューリング要求信号SRがマッピングされているかを判断可能であるため、RACH(Non−S−RACH、S−RACH)送信用に無線リソースをリザーブしておく必要がなくなるという効果を奏する(図17)。よって、上り無線リソースを効率的に使用できるという効果を得る。また、移動端末が上りスケジューリング要求信号SRの送信要求が発生した場合、従来の方法ではRACH(Non−S−RACH、S−RACH)用にリザーブされていた上りリソースタイミングまで基地局に対してSRを送信することが出来なかったが、いつでも移動端末から基地局に対して上りスケジューリング要求信号SRを送信することが可能となる。
よって移動体通信システムとしての制御遅延を削減できるという効果を得る。更に、上りスケジューリング要求信号がUL−SCHにマッピングされている場合、移動端末の識別用のコード(コードA)で多重をしているため、複数の移動端末から同時にスケジューリング要求信号SRが基地局に送信された場合も、基地局側でこれらの端末からのそれぞれのスケジューリング要求信号を判別して受信することができるため、S−RACHを使った場合に起こり得る移動端末間のスケジューリング要求信号の衝突を防ぐことができる。
【0133】
また、この実施の形態5は、移動端末が、上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合、上りにて下りデータ用のAck/Nack、CQI送信と上りデータ(UL−SCH)の多重方法にも適用可能である。移動体通信システムとしての動作は、図16のフローチャートで示す処理と同様であるために省略する。
実施の形態5と同様、1つの移動端末においては、UL―SCH内にて上りデータと上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合のACK/NACK、CQI送信が並存することはなく、SC―FDMAの関係を満たし、移動端末内のPAPRの増加をもたらすことはないと考えられる。
効果としては、上りデータ送信を行っていない場合であって、下りデータを受信している場合、上りにて下りデータ用のAck/Nack送信用にAck/Nack専用チャネル(図23、図24)を設ける必要がなくなることである。さらに、Ack/Nack専用チャネルのために割り当てられていた無線リソースをUL−SCHなどに開放することが可能となる。よって上り無線リソースを効率的に使用できるという効果を得る。
【0134】
実施の形態6.
移動端末がユーザデータ等の上りデータ(Uplink data、UL data)送信を行っていない場合であって、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)を受信している場合、下りデータの受信結果であるAck/Nack、CQI信号を基地局に送信する必要がある。
また、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する必要がある。Ack/Nack、CQIと上りSRを同時に送信する必要が生じた移動端末が移動端末内のPAPRを増加させることなく、同時にそれらの送信を行う方法を説明する。
【0135】
非特許文献1にて上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のAck/Nack、または/かつ、CQIは図23に示すような広帯域のAck/Nack専用チャネルで送信されることが開示されている。
非特許文献4にて上りデータ送信を行なっておらず、かつ、下りデータを受信している場合のSRをS−RACHにて送信することが開示されている。
しかし、上記2つの非特許文献1及び非特許文献4には、本発明の課題についての示唆はない。本発明の課題について繰り返しになるが以下に説明する。
【0136】
Ack/Nack専用チャネルを用いて上りAck/NackやCQIを送信する処理と、S−RACHを用いてSRを送信する処理とを同時に実行しなければならない場合が生じる。この場合、それぞれの信号は無相関であるため、時間的に同時に送信されるとシングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまうという問題が生じる。さらには、PAPRが高くなることにより、ほかの移動端末やシステムへの妨害波となってしまうという問題も生じる。
【0137】
上りAck/Nack、CQIとSRを同時に送信しなければならない場合、移動端末内のPAPRの増加を抑えるためにはシングルキャリア伝送にすべきである。
従来技術に開示されている広帯域のAck/Nack専用チャネルにて送信されるAck/Nack、または/かつ、CQIとS−RACHにて送信されるSRをそのまま用いた場合は、移動端末がそれぞれの情報を同時に送信する必要が発生する場合が考えられる。
そのため、この本実施の形態6では、Ack/Nack、または/かつ、CQIとSRを、ある一つの時間―周波数領域が独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネル、もしくはS−RACHのどちらか一つのチャネルで多重することを提示する。
【0138】
その多重方法について以下に説明する。上りスケジューリング要求信号SR、Ack/Nack、CQIをともに、図23に示すようなある一つの時間―周波数領域が独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネル、もしくは図25に示すようなS−RACHのどちらか一方で送信する方法を説明する。
Ack/Nack専用チャネルとS−RACHは、どちらも、時間的にはサブフレーム単位、周波数的には1リソースユニット単位もしくはそれ以上の領域が割り当てられているため、どちらのチャネルでも本発明が適用可能となる。
【0139】
この実施の形態6では、Ack/Nack、または/かつ、CQIと上りスケジューリング要求信号SRを同時に送信する必要が生じた場合、Ack/Nack、または/かつ、CQIと上りスケジューリング要求信号SRをともにS−RACHで送信する場合について示す。言い換えれば、下りデータを受信しAck/Nack、または/かつ、CQIを送信する必要がある移動端末であっても、上りスケジューリング要求信号SR送信を行っている期間は、Ack/Nack専用チャネルを用いないことを意味する。さらに、上りスケジューリング要求信号SRの送信を行っている期間は、CQIの送信、あるいはAck/Nack送信及びCQIをS−RACHを用いて送信し、Ack/Nack専用チャネルを用いないようにしても良い。
【0140】
図18は、上りスケジューリング要求信号を送信するまでの移動端末における処理を説明するフローチャートである。以下、図18を用いて移動端末の動作を説明する。なお、図18において、図6と同一のステップは同一または相当のステップを示すので説明は省略する。
ST601からST603は図6と同様のステップである。ST602において下りデータ受信中であった場合、ST1801が実行される。ST1801において、移動端末は上りスケジューリング要求信号SRとAck/Nack、CQIをS−RACH上にマッピングして基地局に対して送信する。移動体通信システムとしての処理は、図52と同様であるため、説明を省略する。
【0141】
次にS−RACH上のマッピング方法について以下に説明する。
第一のマッピング方法としては、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングする。図19は、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
第二のマッピング方法としては、S−RACH上にプレアンブル、Ack/Nack、CQIをマッピングする。上りスケジューリング要求信号SRに必要なメッセージ情報は、次のS−RACH送信タイミングにて送信するか、あるいは、基地局により割り当てられた上りリソースにより送信する。
【0142】
図20は、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
第三のマッピング方法としては、従来通り、S−RACH上にプレアンブル、メッセージをマッピングするものである。上りリンクの時間同期が取れている状態で送信されるS−RACH上のメッセージ内にAck/Nack、CQIを新たに追加する。図21は、S−RACH上にプレアンブルとメッセージ、Ack/Nack、CQIをマッピングした無線リソースを示す説明図である。
【0143】
上記説明のとおり、Ack/Nack専用チャネルではなくS−RACHに上りスケジューリング要求信号SRとAck/Nack情報シンボル(Ack/Nack、CQI)を時間的に分離してマッピングすることにより、時間的に分離して送信するために同時に送信することにはならない。よって、一つの移動端末で同時に複数の送信すべき「データ付随なしのL1/L2制御信号」が発生した場合にも、これらの重要な制御信号の通信品質を確保しつつ、システムの無線リソース負荷の増加を防ぐことができ、低いPARRと、高い通信品質を保証するシングルキャリア方式での送信を実現できる。
【0144】
更に分離した狭帯域の複数の時間-周波数領域にてAck/Nack、CQIを送信する場合と比較して、図23に示すようなある一つの時間―周波数領域が独占的に割り当てられたAck/Nack専用チャネル、もしくは図25に示すようなS−RACHのどちらか一方でAck/Nack、CQIを送信する本実施の形態の方法の場合、帯域幅が大きくなる。
よって、独占的に割り当てた無線リソースにより送信可能な情報量が増えることになる。よって、通信路の環境に応じて、Ack/Nack、CQIの繰り返しパターン(回数など)を変更できるという効果を得ることが出来る。繰り返しパターンを通信路の環境に応じて基地局からの指示により変更することで、Ack/Nack、CQIの受信品質を通信路の環境によらず一定に保つことが可能となる。
【0145】
実施の形態7.
移動端末が基地局と同期しており、かつ上りデータ(Uplink data、UL data)送信も、下りデータ(Downlink data、DL data)受信も行なっていない場合、下りデータに対するAck/Nackを上りで送信する必要もないため、Ack/Nack専用チャネルが存在しない。このような場合において、上り送信要求が発生した場合、上りスケジューリング要求信号SRを、S−RACH用の無線リソースを使うことなく、「サウンディングリファレンスシグナル」(サウンディング リファレンス シグナル、Sounding Reference Signal(RS))と呼ばれる上りの通信品質測定用の信号を利用して送信する方法について説明する。
この方法であれば、S−RACH用にリザーブされた無線リソースを開放できるだけでなく、Sounding RSの送信では、他の移動端末と共通の無線リソース領域を使うため、リソースの効果的な利用ができる。更に、1つのサウンディングリファレンス信号(Sounding RS)という信号に、送信開始するチャネルの通信品質測定用と上りスケジュール要求信号SRという2つの機能を持たせることができる。
【0146】
Sounding RSは、基地局が上りの通信品質を測定するために移動端末UEから基地局eNBに送信される信号である。3GPPでは現在、上りにおけるリファレンス信号(Reference signal)として、復調目的のリファレンス信号(Demoduration RS)と、上りチャネルの品質測定目的のリファレンス信号(Sounding RS)の2種類の信号仕様について、議論されている。
非特許文献3では現在複数の提案が併記されている状態であり、まだ仕様決定されていない。
この実施の形態7では、上りデータの送信中のみサウンディングリファレンス信号(Sounding RS)を送信する場合について考える。
【0147】
この実施の形態7における、上りデータ送信中のSounding RSの無線リソース割当ての一部を示したものが、図35の(a)、(b)である。
まず、図35(a)は、サウンディングRSを1つの時間-周波数領域の全帯域幅で2TTI内の2つのショートブロック(SB)に割当てた例を示している。図35(a)では、1つの時間−周波数領域の一部を2つの移動端末(UE1、UE2)が利用した場合の無線リソース割当て方法が示されている。
図において、501は移動端末UE1のデータシンボル、502は移動端末UE1、UE2、及び、この時間-周波数領域を利用する全ての移動端末共通で利用するSounding RS、503は移動端末UE1の復調(Demoduration)用reference signal、504は、移動端末UE2のデータシンボル、505は移動端末UE2の復調(Demoduration)用reference signalである。これらの中で、Sounding RS502領域として、1つの時間−周波数領域の全帯域幅でのSBが、2TTI内で2つ割当てられている。
【0148】
同様に、Sounding RSを1つの時間−周波数領域の全帯域幅で、2TTI内の2つのロングブロック(LB)に割当てた例を示したものが図35(b)である。図35(b)では、1つの時間−周波数領域の一部を、3つの移動端末(UE1、UE2、UE3)が利用する場合の無線リソース割当て方法が示されている。図において、506は移動端末UE1のデータシンボル、507は移動端末UE1の復調用reference signal、508はUE2のデータシンボル、509は移動端末UE2の復調用reference signal、511は移動端末UE3のデータシンボル、512は移動端末UE3の復調用reference signalである。そして、510は、移動端末UE1〜3及び、この時間−周波数領域を利用する全ての移動端末共通で利用するSounding RSであり、前述したように、Sounding RS用の無線リソースには、1つの時間-周波数領域の全帯域幅でのLBが2TTI内に2つ用意されている。
【0149】
図35(a)、(b)のいずれの場合においても、Sounding RSは、UE毎にコード多重される。Sounding RSは広い帯域の無線リソースを複数の端末で共有して使えるので、基地局が周波数フェージングの状況を測定でき、適切な上りスケジューリングが可能となる。また、それぞれの移動端末での信号をコード多重しているため、基地局側では、各移動端末別に精度のよい品質測定が可能となる。
【0150】
移動局が基地局と同期していて、かつ、上りデータ送信がない状態から、送信要求が発生する場合として、実施の形態3で記述したように、下りデータを受信し、その下り受信データに対するAck/Nack、CQIを上りで送信するためにACK/Nack専用チャネルが割当てられている場合と割当てられていない場合が考えられる。それぞれの場合における、上りスケジューリング要求信号SRの送信方法を示したものが、図37のフローチャートである。
【0151】
まず、上りデータ送信要求の発生が確認されたら(ST5201)、下り受信データに対するAck/Nackを送信するAck/Nack専用チャネルが上りで割当てられているかどうかを確認する(ST5202)。Ack/Nack専用チャネルが上りで割当てられている場合は、Ack/Nack専用チャネルにて、Ack/Nack、CQIと共に上りスケジューリング要求信号SRを送信する(ST5204)。この場合の処理は、実施の形態3で説明したものと同じである。一方、ST5202にて、Ack/Nack専用チャネルが上りで割当てられていなかった場合は、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた上り品質測定用のSounding RS(Sounding Reference signal)を基地局に送信する(ST5203)。
【0152】
下りデータを受信していない場合にもAck/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。具体的には、下りデータが存在しない場合にも将来の下りスケジューリングのために、あるいは基地局と移動端末間の同期を保つために、移動端末から下り通信路の品質の測定結果(CQI)を通知する場合が考えられる。そのような場合においては、上記の通りST5202の判断が適していると考える。
一方、下りデータが存在する時のみACK/Nack専用チャネルが移動端末に割当てられるような移動体通信システムの場合が考えられる。そのような場合においては、ST5202の判断において、下りデータの受信をしているか否かを判断しても良い。
【0153】
図37のST5202の分岐で「No」となる条件、即ち、ACK/Nack専用チャネルの割当てがない状態で、上り送信要求が発生した場合の具体的なシーケンス例について説明したものが図36である。
本実施の形態としては移動端末と基地局間が同期していることを前提としている。よって本実施の形態の前に何らかの方法で同期がとられる必要がある。その方法の一例として図36では、移動端末から基地局に対して非同期ランダムアクセス信号(Non−Synchronous Rrandom Access)を送信した場合を示している。
【0154】
基地局eNodeBは、ST5101で、移動端末UEから同期要求を受信し、要求をしてきた移動端末を特定すると共に、この移動端末との同期を取り、移動端末がActive状態になったことを確認する。更に、次のST5102において、基地局は、同期確立を移動端末に通知すると共に、上り、下りの通信路の設定に必要な制御情報で、かつ、他のUEと共通に設定されるなどの理由で設定値がほぼ固定(semi−static)となるL1/L2制御情報を、併せて移動局に通知する。
上りスケジューリング要求信号SRを上りの通信品質測定用のサウンディングRSを利用して送信する場合は,上りデータの送信がない場合に「上りスケジューリングリクエストを兼ねたSounding RS」を送信する必要があるために,同期確立の通知と共に,Sounding RS関連の制御情報を通知する。上りの品質測定用のSounding RSも、他UEと共有した無線リソースを利用するものであるため、Sounding RSを制御するL1/L2制御情報の中でも、この移動端末に割当てられ、コード多重に利用される移動端末識別情報(シーケンス番号、UE−ID)や、Sounding RS送信用に割当てられる予定の無線リソースの周波数帯域幅(BW)などは、ST5102において、基地局eNodeBから移動端末UEに通知することで上りデータが送信されていない場合にもSounding RSの送信が可能となる。
Sounding RSを上りスケジューリング要求信号SRの通知に利用せずに、上りデータの送信中にのみSounding RSを送信する場合には、同期確立の通知と共にではなく、例えば上りデータのリソース割当て時(ST5104)にSounding RS関連の制御情報(シーケンス番号、BWなど)を通知すれば足りる点において異なる。また、上記にて同期確立の通知と共にというのは、時間的に同時である必要なない。
【0155】
移動端末において、上り送信データ要求が発生した場合、移動端末UEはST5102にて基地局より受信した上りのSounding RS用のUEのシーケンス番号やSounding RS送信用に割当てられる予定の周波数帯域などの制御情報に従って、Sounding RSを送信することにより、特定の移動端末UEで上りのスケジューリングリクエストが有ることを基地局に通知する(ST5103)。このようなSounding RSを「上りスケジューリングリクエストを兼ねたSounding RS」と呼ぶ。各移動端末のSounding RSは、ST5102で受信した移動端末UE用のシーケンス番号で発生したCAZACシーケンスコードで多重され、基地局から通知された周波数帯域、タイミングで送信される。
【0156】
基地局側は、この移動端末が使用した無線リソースの時間−周波数領域にあるSounding RSを受信して相関を取ることにより、該移動端末のSounding RSの受信を検出することができる。受信検出によって、基地局は、上りデータを送信していない移動端末からSounding RSを検出した場合、これを上りスケジューリング要求信号SRであると判断することができる(ST5103)。なぜならば、この実施の形態7では、上りデータ送信中のみSounding RSが送信されることが前提だからである。
上記ではSounding RS内の移動端末の識別方法についてはCAZACシーケンスコードを用いることについて示したが別の方法でも良い。
【0157】
基地局は、移動端末から受信したSounding RSをスケジューリング要求信号SRであると判断すると、「Uplink Data Resource Allocation」メッセージで上りデータ送信に必要な無線リソース割当てなどの制御情報を通知する(ST5104)。移動端末は、基地局から受信した無線リソースを用いて、上りデータの送信を開始する(ST5105)。
ST5102にて基地局eNodeB側からBWを通知される際の基地局内フローチャートを示したものが図39である。
まず、基地局eNodeB側から通知される時の指示フローを、図39に沿って説明する。
【0158】
ST5401において、基地局は移動端末UEと同期が取れているかをチェックし、同期が取れていなければ、Non−Sync RACHで同期要求があるまで、待つ(ST5402)。同期要求を受信すると、基地局は、図36のST5102で説明したように、移動端末との同期を確立し(ST5403)し、semi−staticにSounding RS用のL1/L2制御情報を移動端末UEに送信する(ST5404)。このL1/L2制御情報の中には、上りSounding RS用にUEの識別情報(シーケンス番号、UE−ID)や、上りSounding RSのBWなどが含まれている。
ST5401でのUEとの同期チェックにおいて、同期が取れている場合は、ST5405で下りデータを受信中かどうかを確認し、下りデータを受信しているのであれば、dynamicにSounding RS用のL1/L2制御情報を移動端末UEに通知し、周波数帯域幅(BW)を動的に変更する(ST5406)。
【0159】
図39のフローチャートでは、semi−static、dynamic双方のL1/L2制御情報により、上りSounding RSのBWを基地局から通知するようにしているが、実際は、semi−static L1/L2制御情報とdynamic L1/L2制御情報のどちらか1種類だけで通知される場合もあり得る。
【0160】
移動端末における上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた上りSounding RSの再送方法であるが、この実施の形態7では、移動端末側で所定の時間のタイマーを設定し、タイマー時間内に基地局からST5104で「Uplink Data Resource Allocation」メッセージを受信できなかった場合、上りSounding RSを再送するという方法と、ST5104で「Uplink Data Resource Allocation」メッセージを受信するまで、連続して上りSounding RSを送信し続けるという2つの方法がある。これについては、実施の形態3の説明図28〜30と図31〜33で既に詳細の説明をしているため、ここでの説明を省略する。
【0161】
ST5103で上りスケジューリング要求信号SRを兼ねたSounding RSを送信する際、当然ながら、それは、上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSで使用する筈のSBもしくはLBを使用し、その周波数帯と帯域幅(BW:Band Width)は、通常のSounding RSと同じに合わせる必要がある。なぜなら、Sounding RSは、同じ時間-周波数領域を使用するよう割当てられた複数の移動端末で同じSB(又はLB)領域を、コード多重して利用しているので、1つの移動端末が、Sounding RS用に他の移動端末と共有で使っている周波数帯域の区切れ目を変えたり、他のブロック(LB、SB)を使用したりすれば、他の移動端末のデータやReference signalをつぶすことになるからである。よって、例えば、上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSが基地局の帯域幅全部であった場合は、上りスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RSも、同じ帯域幅となり、基地局が上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSのBW(周波数帯域)を複数設定していた場合は、自移動端末と同じ時間-周波数領域を無線リソースとして割当てられた他の移動端末と同じBWを使用する。
【0162】
移動端末に使用する上りスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RS用のBWは、基地局eNodeB側が判断して選択する場合と、移動端末UEが自分で判断して選択する場合とがある。
基地局eNodeB側がBWを選択する場合の判断方法を示したフローチャートが図40、移動端末側でBWを選択する場合の判断方法のフローを示したものが図41である。
【0163】
次に、基地局eNodeB側で上りSounding RSのBWを選択する場合の処理フローについて説明する。この選択フローは、図39に示すフローチャートのST5404にて、UEに通知されるセミ・スタティック(semi−static)のL1/L2制御情報や、ST5406にてUEに通知されるダイナミック(dynamic)のL1/L2制御情報の中にあるBWを決定する方法である。
図40は、基地局eNodeB側で上りSounding RSの周波数帯域幅(Band Width:BW)を選択する場合の処理フローを示したものである。
【0164】
まず、図中のST5501において、上りSounding RSを送信するBWが複数存在するかどうかを確認し、1つだけであれば、他の全ての移動端末UEの上りSounding RSのBWと同じBWとする(ST5502)。一方、上りSounding RSを送信するBWが複数である場合は、同じBWで上りスケジューリング要求信号SRを兼ねたSounding RSを送信するUEの数が適切であるか(ST5504)、そのBWがセルエッジでUEに割当て可能な周波数であるか(ST5505)、下りCQI(チャネル品質、下り通信路品質)の報告結果が良好なBWであるか(ST5506)をチェックし、これらの条件に適合するまで、BWを変えながら探す(ST5507)。そして、ST5504〜ST5506の条件に適合したBWを上りSounding RS用のBWとして決定する(ST5508)。
【0165】
上記のBW選択をUE側で行なった場合の処理フローを示したものが図41である。UEによる上りSounding RSのBW選択は、図39のフローチャートで言えば、ST5405の下りデータを受信している時に、下りのdynamic L1/L2制御情報で通知されるBWに反映される。まず、BCHなどのチャネルで、上りSounding RSのBW数を基地局から受信する(ST5601)。上りSounding RSのBWが複数あるかどうかを確認し(ST5602)、BWが1つであれば、他のすべてのUEの上りSounding RSのBWと同じBWを選択する(ST5603)。もし、BWが複数であれば、ST5605の「下りのCQIの品質が良好である」条件をクリアできるBWを順番に選択しながら探して、BWを決定し(ST5607)、その結果を基地局に通知する。
【0166】
このような選択方法を用いることにより、同じBWで送信するUEの数をコントロールして、基地局の総受信電力の増加を防ぐことができる。また、上りの周波数としてセルエッジのUEが割当て可能な周波数をあらかじめ設定することが出来、実際に知りたい周波数帯域の上り通信路品質を得ることが出来る。更に、下りCQIから、上りの良好なBWを予想して選択することにより、その移動端末UEにとって最も安定した無線リソースで上り通信路品質を得ることができる。
上記で説明した、移動端末が使用する上りスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RS用のBWの決定方法(上りスケジューリング要求SRをSounding RSを用いて通知する場合のSounding RS用のBWの決定方法)については、実施の形態8、実施の形態9、実施の形態10でも用いることが出来る。
【0167】
図36のシーケンス内のST5103における、基地局及び移動端末による無線リソースの具体的な割当て方法について説明する。
図38は、基地局が上りの通信品質測定用(通常)のSounding RSのBWを複数設定していた場合における無線リソースの割当て方法、及び、送信要求が発生した後の移動端末UE1の無線リソース割当て経緯を示した図である。図38では基地局の管理する無線リソースはそれぞれの帯域幅がBW#1、BW#2、BW#3となる3つの時間-周波数領域に分けられている。BW#1の時間−周波数領域には、移動端末UE1を含むUE群Aが割当てられ、同様にBW#2の領域にはUE群B、BW#3の領域にはUE群Cが割当てられる。図において、531はUE群Aのデータ領域、532はUE群Aのサウンディング(Sounding RS)領域、533はUE群Aの復調(Demoduration)用RS領域、534はUE群Bのデータ領域、535はUE群Bのサウンディング(Sounding) RS領域、536はUE群Bの復調(Demoduration)用RS領域である。この図では、Sounding RS領域は、図35(a)の例と同様に2TTI内で二つのSBに配置されており、その帯域幅は、それぞれのUE群用に設定された時間-周波数領域の帯域幅(BW#1、BW#2、BW#3)と同じとなっている。また、それぞれのUE群領域内のデータ領域やDemoduration用RS領域は、それぞれのUE群内の複数のUE用に分割されている。
【0168】
例えば、図38の無線リソース割当て条件下で、UE群Aに含まれるUE1がTTI#1のサブフレーム(1)で上りスケジューリング要求信号SRを送信したい場合を図38(b)に示す。537はUE1のスケジューリング要求信号SRを兼ねるサウンディング(Sounding)RS領域、538はUE1のデータ送信開始後の送信データ領域、539はUE1の復調(Demoduration)用RS領域、540はUE1の上りの通信品質測定用(通常)のサウンディング(Sounding)RS領域である。UE1は、UE群AのSounding RSとして割当てられるSB1(537)でスケジューリング要求SRを兼ねたSounding RSを送信する。UE1のスケジューリング要求信号SRを兼ねたSounding RSに使用するSB537のBWは、UE群AのSounding RSのBW#1と同じである。サブフレーム(1)では、UE1で上りデータ送信を行なっていないため、この時点でUE1が使用する領域は、SB1のみとなる。つまり、サブフレーム(1)のSB1以外のLB(LB1、LB2、LB3、LB4、LB5)、SB(SB2)でのUE1からの送信はない。その後、基地局にて上りスケジューリング処理が行われる。
【0169】
ここでは、3TTIを経過する間に、基地局からUE1に、上りデータ送信用の無線リソース割当てが通知され、UE1が、サブフレーム(7)より上りデータ送信を開始する。ここからは、LB1〜6にUE1用のデータ538、TTI#4のSB1及び、TTI#5のSB2にはUE1の上りの通信品質測定用(通常)の上りSounding RS540、残りのSBには復調用のRSが割当てられる。図にあるように、UE1のスケジューリングリクエストSRを兼ねた上りSounding RS及び、上りの通信品質測定用(通常)の上りSounding RSの領域のBWはUE群Aの帯域幅BW#1と同じであり、この領域と全く同一のタイミングの同一の領域を、UE群A内のデータ送信状態にある全ての移動端末UEが、上りSounding RSの送信用に割当てている。一方、UE1のデータ領域やDemoduration RS用に割当てられた領域の帯域幅はBW#1より小さく、他のUEとは区別された領域を使用している。
【0170】
このように、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた上りSounding RSの送信は、同じBWを割当てられた送信中の他のUE(複数あり)の上りSounding RSの送信タイミングと合わせる必要がある。
【0171】
図42は、更に詳しくUE群Aに割当てられた時間-周波数領域内で、複数のUEが、同タイミングにおいて、どのようにそれぞれに割当てられた無線リソースを使用しているかを示したものである。図42では、図38と異なり、上りSounding RS用の領域は、図35(b)と同じく、2TTI内に2つのLB(1サブフレーム目のLB1と2サブフレーム目のLB6)に配置している。図において、571はUE群AのSounding RS領域、572はUE群AのDemoduration用RS領域、573はUE群Aのデータ領域、574はUE群BのSounding RS領域、575はUE群BのDemoduration用RS領域、576はUE群Bのデータ領域、577は送信開始時におけるUE1のスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RS領域であり、かつ、送信中におけるUE2のSounding RS領域、578はUE2のDemoduration RS領域、579はUE2のデータ領域、580はUE1とUE2の通常のSounding RS領域、581はUE1のDemoduration用RS領域、582は送信中におけるUE1のデータ領域である。
【0172】
同じUE群A内の二つの移動端末UE1とUE2は、あるタイミングで、それぞれUE1は上り送信をこれから開始しようとし、UE2は既に上りデータを送信中であったとする。UE群Aの全ての移動端末が、上り送信時に使用する上りSounding RS領域に割当てられた577のLB1は、UE1では、上り送信開始時に移動端末から基地局に通知される上りスケジューリング要求信号SRの意味を兼ねた、上りSounding RSの送信に使用され、UE2では、通常の基地局での品質測定に使われる、上りSounding RSの送信に使用される。図の通り、これらの二つのUEは、全く同タイミングで全く同じ帯域幅(=BW#1)の同じブロック(LB)で異なる意味合いを持つ上りSounding RSを送信している。
【0173】
基地局では、このLB1を受信した際、それぞれのUEのシーケンス番号にて発生されたコードで復調を行い、UE1、UE2からの上りSounding RSを受信する。そして、これまで上りデータ信号を受信しなかったUE1のSounding RS信号については、基地局側でのUE1の上り品質測定に利用すると共に、これをUE1の送信開始通知(上りスケジューリング要求信号SR)と判定する。一方、これまで、定期的に上りデータ信号を受信してきたUE2のSounding RS信号は、基地局におけるUE2の上り品質測定に利用される。
【0174】
UE1、UE2の送信中に割当てられるデータ用領域やDemoduration RS用の領域は、上りSounding RS用と異なり、図42にあるように、それぞれ分離した領域に割当てられる。
【0175】
更に、上りSounding RSを送信できる時間-周波数領域の設定を、図38や図42で説明したように、どのUE群も同じに設定せず、UE群毎に別の時間-周波数領域に設定する方法もある。図43(a)(b)は、UE群毎に、上りSounding RSを割当てられる領域を、リソースユニット(RU)単位で時間・周波数をずらして設定する例を示したものである。図43(a)はSounding RSのBWが基地局の帯域幅全部であった場合、その時間-周波数領域内で、UE群別に上りSounding RSを送信できる領域が異なるよう割当てられた例を示したものである。図では、2TTI区間の長さで、1TTIずつずらしながら、4つのUE群に対しSounding RSを送信できる区間を割当てる例を示している。具体的に言うと、4つのUE群のうち、チーム1のUEはTTI(1)(2)の区間A、チーム2のUEはTTI(2)(3)の区間B、チーム3のUEはTTI(3)(4)の区間C、チーム4のUEはTTI(4)(5)の区間Dにおいて、上りSounding RSを送信する。この割当ては、この例に限らない。
【0176】
また、上りSounding RSの領域割当てが、この実施の形態7で説明したように2TTI内で2つのブロックに割当てられるようにするとは限らず、毎TTIかもしれないし、3サブフレーム以上に渡って所定の固定数割当てられることもあり得る。また、UE群毎の上りSounding RSを送信できる区間設定も、1TTI単位でずらす必要は無く、ネットワークの負荷を低くし、上り品質測定の精度を維持できるのに十分な頻度に合わせた設定であればよい。この方法であれば、それぞれのUEチームにより上りサウンディングRSを送信できる区間が異なってくるので、基地局側で同時に受信するUEの数を減らすことができる。
さらには、基地局の総送信電力配分の最適化が行なえる。
【0177】
図43(b)は上りSounding RSのBWが複数設定されている場合において、それぞれの時間-周波数領域内で、UE群別に上りSounding RSを送信できる区間が異なるよう割当てられた例を示したものである。この方法であれば、図43(a)と比べ、それぞれのUEチームにより、上り送信を行なう周波数帯域も、上りSounding RSを送信できる区間も異なってくるので、基地局側で受信時に同じ帯域で同時に受信するUEの数を減らすことができ、基地局無線部の受信負荷を下げることが出来る。更には、基地局の総送信電力配分の最適化が行なえる。
【0178】
この実施の形態7で説明した上りSounding RSのBW設定や無線リソースの割当て方法は、上りデータ送信データがない時に、Sounding RSを上りスケジューリング要求信号SR以外の目的で送る場合にも適用できる。また、この実施の形態7で説明した上りSounding RSのBW設定や無線リソースの割当て方法は、実施の形態8、実施の形態9、実施の形態10にも適用できる。
【0179】
上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSを送信する時の送信電力は、その信号の重要性から考えて、通常の上りSounding RSを送信する時と同程度以上にする必要がある。例えば、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSの送信電力を、下記のような所定の式で求める方法もある。
【数1】
上記のように、送信電力をそれぞれの所望の電力対雑音比に応じて設定する等、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSを送信する時の送信電力を、通常の上りSounding RSを送信する時と同程度以上にすることで、基地局での上りスケジューリング要求信号の誤受信を減らすことが可能となる。
上記のように、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねるSounding RSの送信電力の設定方法は、実施の形態8、実施の形態9、実施の形態10でも適用できる。
【0180】
以上のように、基地局と同期が取れていて、かつ、上りにてデータ送信がなく、Ack/Nack専用チャネルの割当てがない場合において、上り送信要求が発生した時、上りスケジューリング要求信号SRを上りの品質測定用のSounding RSを利用して送信することにより、S−RACHを用いる時よりも広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現できる。「上りスケジューリング要求信号SRを兼ねたサウンディングRS」にて、上りスケジューリング要求信号SRの送信と、基地局での上り通信路品質測定を兼ねることができるため、スケジューリング要求信号SRと別に上り品質測定用のサウンディングRSを送信する必要がなくなる。また、広い周波数帯域を用いるので、その後の上りスケジューリングにおいて、上りの通信品質を反映しやすい。更に、S−RACHの無線リソースを解放することが出来、移動端末と基地局間の上りスケジューリングシーケンスにおける複雑さを軽減することができる。
【0181】
実施の形態8.
移動端末が、基地局と同期しており、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)を受信していない、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされておらず、移動端末がユーザデータ等の上りデータ(Uplink data、UL data)送信を行っていない場合であっても、移動端末は基地局との上り同期を維持するため、ある時間間隔でサウンディング用のリファレンス信号(上り通信路品質測定用リファレンス信号)を基地局に送信している場合がある。図53に移動端末がある時間間隔(nTTI)にてサウンディング用のリファレンス信号7901を送信している場合を示している。一方、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には上りスケジューリング要求信号SRを別途基地局に送信する必要がある。
【0182】
よって、上りスケジューリング要求信号SRとサウンディング用のリファレンス信号を同時に送信する場合が生じてしまう。時間的に同時に送信されるとシングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまうという問題が生じる。さらには、PAPRが高くなることにより、ほかの移動端末やシステムへの妨害波となってしまうという問題も生じる。このような問題を避けるために、サウンディング用のリファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングをずらすなどの方策が考えられるが、基地局かつ/または移動端末でのスケジューリング制御が複雑になってしまう。
この実施の形態8では、前記課題を解決するため、サウンディング用のリファレンス信号を、上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた信号にする方法について説明する。
【0183】
上記実施の形態7においては、移動端末は、上りデータの送信を行っていない場合、サウンディング用のリファレンス信号を送信していない状態におけるスケジューリングリクエストの送信方法について開示している。その場合、基地局は、サウンディング用のリファレンス信号を受信したらスケジューリングリクエストが有るとして判断する。従って、基地局は、サウンディング用リファレンス信号が上りスケジューリング要求機能を備えるのか、かつ/または、スケジューリングが有りか無しかを判別する必要は無かった。
しかし、サウンディング用のリファレンス信号をある時間間隔で送信している場合に、サウンディング用のリファレンス信号を上りスケジューリング要求信号SRと兼ねた信号にする場合、基地局は、受信した該信号が、サウンディング用か上りスケジューリング用かを判別する必要が生じる、かつ/または、スケジューリングの有無を判別する必要が生じるという新たな課題が生じる。この課題を解決するため、この実施の形態8では、サウンディング用のパイロットパターンを2種類用意しておき、該パイロットパターン2種類を上りスケジューリング要求の有無に対応させ、上りスケジューリング要求の有無に応じて該パイロットパターンのどちらか一方を送信するという方法を開示する(図80を参照)。
【0184】
図46に移動端末がサウンディング用リファレンス信号を送る場合のサウンディング用パイロットの割当ておよび移動端末固有のコードの割り当て方を示している。7201はサウンディング用パイロット、7202は移動端末固有のコードである。移動端末がサウンディング用リファレンス信号を送信する場合、移動端末のエンコーダ部もしくは変調部において、サウンディング用パイロットに移動端末固有のコードを乗算して、サウンディング用リファレンス信号を生成する。
サウンディング用リファレンス信号は変調処理が行われ、ベースバンド信号に変換された後、無線周波数に変換される。その後、アンテナから基地局にサウンディング用リファレンス信号が送信される。該移動端末固有のコードは、基地局において、複数の移動端末からのサウンディング用リファレンス信号を受信した場合に、どの移動端末からのサウンディング用リファレンス信号かを特定可能とするために用いる。
該コードは直交性を有するコード、もしくは、パイロットパターンに該コードを乗じた結果が直交性を有するようなコードであった方がよい。
【0185】
また、該コードは、拡散符号であってもよいし、スクランブル符号であっても良い。サウンディングリファレンス信号がアロケーションされる時間-周波数領域は、あらかじめ決められているか、または、基地局によって通知される。周波数領域はいろいろな帯域を取りうる。また、時間領域は、毎TTIに1回でも良いし、複数のTTIに1回でも良い。基地局で受信したサウンディング用リファレンス信号は移動端末固有のコードにより相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になったコードで、移動端末が特定される。基地局はサウンディング用リファレンス信号を用いて特定された該移動端末との上りチャネルの同期をとりなおす。また、該信号を用いて、上り通信路品質を測定する場合もある。
【0186】
サウンディング用のリファレンス信号に、上りスケジューリング要求信号SRの機能を併せ持たせるための一つの実施例を開示する。図44に上りスケジューリング要求信号SRの機能を兼ね備えたサウンディング用リファレンス信号の生成方法を示している。7001はサウンディング用パイロットパターン1、7002はサウンディング用パイロットパターン2、7003は2種類のパターンを切替えるスイッチ、7004はスイッチを制御する制御部、7005は移動端末固有のコードである。該サウンディング用パイロット1および2は1シンボルであっても良いし、複数シンボルであっても良い。
該コードは直交性を有するコード、もしくは、パイロットパターンに該コードを乗じた結果が直交性を有するようなコードであった方がよい。また、該コードは、拡散符号であってもよいし、スクランブル符号であっても良い。ただし、スクランブル符号とする場合は、該サウンディング用パイロット1および2は複数シンボルが好ましい。
サウンディング用パイロットパターンとして、上りスケジューリングリクエストの有無に対応して2種類のパターンを用意しておく。図の表中に示すように、上りスケジューリングリクエストが無い場合はパターン1を、上りスケジューリングリクエストがある場合にはパターン2をあらかじめ割り当てておく。
【0187】
図45は移動端末と基地局間のシーケンス図を示している。移動端末はある時間間隔でサウンディング用のリファレンス信号を送信している。サウンディングリファレンス信号がアロケーションされる時間-周波数領域は、あらかじめ決められているか、または、基地局によって通知される。移動端末はST7101で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST7102が実行される。ST7102では、制御部7004はスイッチ7003をサウンディング用パイロットパターン1が選択されるように切替える。
【0188】
上りデータ送信要求発生が有る場合は、上りスケジューリングリクエストを送信するので、ST7103が実行される。ST7103では、制御部7004はスイッチ7003をサウンディング用パイロットパターン2が選択されるように切替える。ST7104において、それぞれの場合のサウンディング用パイロットパターンに、移動端末固有のコード7005を乗算してサウンディング用リファレンス信号を生成する。ST7105において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7106において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7107において、該サウンディング用リファレンス信号と移動端末固有のコードによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定される。
【0189】
次に、ST7108において基地局はサウンディング用パイロットがパターン1かパターン2かを判定する。判定結果がパターン1の場合、ST7109で上りスケジューリングは無いものとして処理を行う。判定結果がパターン2の場合、ST7110で上りスケジューリングが有る場合の処理を行うこととなる。
ST7107にて相関演算結果がある閾値未満の場合、該移動端末以外の移動端末からのサウンディング用リファレンス信号として処理を終了する。
基地局でサウンディング用パイロットがパターン1かパターン2かを判定可能とする2種類のサウンディング用パイロットパターンの1例として、パイロットパターン1とパイロットパターン2に逆の符号(あるシンボルが“1”の場合は“0”)を割り当てる。こうすることで、ST7108において基地局はサウンディング用パイロットがパイロット1かパイロット2かを判定する場合に、相関演算において正か負かで判断できるようにすることが可能となる。
なお、基地局はサウンディング用パイロットパターン1または2を用いて、特定された該移動端末との上りチャネルの同期をとりなおすことも可能である。
【0190】
以上のような構成にすることによって、移動端末で、上りスケジューリング要求信号SRとサウンディング用のリファレンス信号を同時に送信する場合に生じるPAPRの増大を解決することができる。
さらには、スケジューリングリクエスト用にS−RACHの領域を確保する必要がなくなるため、時間−周波数リソースの無駄を無くす事ができる。
さらには、サウンディング用のリファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングをずらすなどを行わずに済むため、基地局かつ/または移動端末でのスケジューリング制御が複雑になることを回避する事が可能となる。
さらには、以上のような上りサウンディング用リファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた構成の信号にすることによって、基地局で該信号を受信した場合、該信号が、上りスケジューリングリクエストの有無を判別可能となる。
さらには、割当てる移動端末固有のコードが1種類で済むため、多くのコードリソースが確保でき、基地局で同時に受信可能な移動端末の数を増やすことが可能となる。
さらには、S−RACHあるいはAck/Nack専用チャネルを用いる時より広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現することができる。
【0191】
以下、変形例を説明する。
第1の変形例としては、サウンディング用パイロットの一部のシンボルをスケジューリングリクエスト用のシンボルとする。図47にサウンディング用パイロットの一部をスケジューリングリクエスト用のシンボルにしたパイロットパターンを示している。
スケジューリングリクエストが無い場合はスケジューリング要求用のシンボルに1を割り当て、スケジューリングリクエストがある場合はスケジューリング要求用のシンボルに0を割り当てる。
【0192】
図48のシーケンス図に沿って説明する。移動端末はST7401で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST7402が実行される。ST7402では、スケジューリングリクエスト用シンボルに1を入れる。上りデータ送信要求発生が有る場合は、上りスケジューリングリクエストを送信するので、ST7403が実行される。ST7403では、スケジューリングリクエスト用シンボルに0を入れる。ST7404において、それぞれの場合のサウンディング用パイロットパターンに、移動端末固有のコードAを乗算してサウンディング用リファレンス信号を生成する。
【0193】
ST7405において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7406において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7407において、該サウンディング用リファレンス信号と移動端末固有のコードAによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定される。次に、ST7408において基地局はスケジューリングリクエスト用シンボルが1か0かを判定する。判定結果が1の場合、ST7409において上りスケジューリングは無いものとして処理を行う。判定結果が0の場合、ST7410において上りスケジューリングが有る場合の処理を行うこととなる。
【0194】
なお、スケジューリングリクエスト用とするシンボルは1シンボルであっても良いし、複数シンボルであってもよい。複数シンボルにすることで、基地局での合成電力が増加し誤り率が低減するという効果が生じる。
【0195】
また、サウンディング用シンボル数に応じた移動端末固有のコードを乗算し、スケジューリングリクエスト用シンボル数に応じた他の移動端末固有コードを乗算し、それらを時間的に多重してもよい。これにより、移動端末固有のコードとしてスクランブリングコードを用いる事ができる。さらには、基地局においてサウンディング用リファレンス信号の部分のみで相関演算を行う事が可能となるため同期精度、またはチャネルコンディション(上り通信路品質)評価精度が向上する効果がある。また、サウンディング用シンボル数とスケジューリングリクエスト用シンボル数が同じ場合は、両者に同じ移動端末固有のコードを乗算する事ができる。これにより、コードリソースの有効活用がはかれるという効果がある。
【0196】
第2の変形例としては、移動端末固有のコードを2種類用意して、上りスケジューリングリクエストの有無に応じた移動端末固有のコードをサウンディング用パイロットに乗じる。
図49にサウンディング用リファレンス信号の生成例を示している。7501はサウンディング用パイロット、7503は一つの移動端末固有のコードA、7504は別の一つの移動端末固有のコードB、7502はサウンディング用パイロットに乗じるコードを選択するためのスイッチ、7505はスイッチ7502でスケジューリングリクエストの有無に応じたコード(7503、7504)を選択するための信号を送信する制御部である。図中の表に示すように、移動端末固有のコードは、上りスケジューリングリクエストが無い場合はコードA、上りスケジューリングリクエストが有る場合はコードBが割当てられる。
【0197】
次に動作について図50のシーケンス図に沿って説明する。移動端末はST7601で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST7602が実行される。ST7602では、制御部7505からの制御信号によりスイッチ7502でコードAを乗算するように選択される。これによって、サウンディング用パイロットにコードA7503が乗算される。上りデータ送信要求発生が有る場合は、スケジューリングリクエストを送信するので、ST7603が実行される。ST7603では、制御部7505からの制御信号によりスイッチ7502でコードB7504を乗算するように選択される。これによって、サウンディング用パイロットにコードBが乗算される。
【0198】
ST7604において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7605において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7606において、該サウンディング用リファレンス信号とまずはコードAによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合は移動端末が特定されるが、スケジューリングリクエスト無しとして処理される。演算結果がある閾値未満の場合は、ST7608において、該サウンディング用リファレンス信号とコードBによる相関演算が行われる。相関演算結果がある閾値以上になった場合は移動端末が特定され、さらにスケジューリングリクエスト有りとして処理される。
ST7606にてコードAとの相関演算結果がある閾値未満、かつ、ST7608にてコードBとの相関演算結果がある閾値未満であった場合は、該移動端末以外のサウンディング用リファレンス信号として終了する。
【0199】
上記のように構成することで、サウンディング用のパイロットパターンを2通り持つ必要が無くなる利点や、さらには、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事になるので、相関演算において正負の判断を行う必要が無くなるという効果が得られる。さらには、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事になるので、判定精度、さらには同期精度、さらにはチャネルコンディション評価精度が向上するという効果がある。
【0200】
第3の変形例としては、スケジューリングリクエストの有無識別用コードを1種類用意して、上りスケジューリングリクエストの有無に応じて該コードを乗ずるか否かの制御を行う方法である。
図51にサウンディング用リファレンス信号の生成例を示している。7701はサウンディング用パイロット、7703はスケジューリングリクエストの有無識別用コードa、7702はサウンディングパイロットにコードaを乗じるか否かを選択するスイッチ、7705はスイッチ7702でコードaを乗じるか否かの信号を送信する制御部、7704は移動端末固有のコードである。図中の表に示すように、上りスケジューリングリクエストが無い場合、スケジューリングリクエスト有無識別コードは割当てられず、上りスケジューリングリクエストが有る場合はコードaが割当てられる。
【0201】
次に動作について図52のシーケンス図に沿って説明する。移動端末はST7801で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、制御部7705からの制御信号によりスイッチ7702がコードaを乗算しない方に選択され、ST7803が行われる。上りデータ送信要求発生が有る場合は、スケジューリングリクエストを送信するので、ST7802が実行される。ST7802では、制御部7705からの制御信号によりスイッチ7702でコードa7703を乗算するように選択される。これによって、スケジューリングリクエスト有無識別用コードaが乗算される。ST7803では、移動端末固有のコードAが乗算される。
【0202】
ST7804において、サウンディング用リファレンス信号は、変調処理、ベースバンド信号変換、無線周波数変換が行われ、サウンディング用リファレンス信号に割り当てられた時間-周波数領域でアンテナから基地局に送信される。ST7805において、基地局でサウンディング用リファレンス信号を受信する。ST7806において、該サウンディング用リファレンス信号と移動端末固有のコードAによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定される。
次に、ST7807において、該サウンディング用リファレンス信号とコードaによる相関演算が行われ、演算結果がある閾値以上になった場合、スケジューリングリクエストが有りとして処理される。演算結果がある閾値未満の場合は、スケジューリングリクエストが無しとして処理される。
スケジューリングリクエスト有無識別コードaと移動端末固有のコードAはスクランブル符号でもよいし、拡散符号でもよい。
【0203】
上記のように構成することで、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事が可能になるので、相関演算において正負の判断を行う必要が無くなるという効果が得られる。さらには、スケジューリングリクエストの有無の判断にも直交コードを用いる事になるので、判定精度が向上するという効果がある。さらには、第2の変形例のように移動端末固有のコードが2倍必要となる事は無くなる効果が有る。
【0204】
以上のように、この実施の形態8のような構成とすることによって、移動端末で、上りスケジューリング要求信号SRとサウンディング用のリファレンス信号を同時に送信する場合に生じるPAPRの増大を防ぐことができる。
さらには、スケジューリングリクエスト用にS−RACHの領域をあらかじめ確保する必要がなくなるため、時間−周波数リソースの無駄を無くす事ができる。
さらには、サウンディング用のリファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRの送信タイミングをずらすなどを行わずに済むため、基地局かつ/または移動端末でのスケジューリング制御が複雑になることを回避する事が可能となる。
さらには、以上のような上りサウンディング用リファレンス信号と上りスケジューリング要求信号SRを兼ねた構成の信号にすることによって、基地局で該信号を受信した場合、該信号が、上りスケジューリングリクエストの有無を判別可能となる。
さらには、S−RACHあるいはAck/Nack専用チャネルを用いる時より広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現することができる。
【0205】
実施の形態9.
移動端末が、基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)受信中、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている状態で、移動端末に上りデータ送信の必要が生じた場合には上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する必要がある。この場合、Ack/Nack信号かつ/またはCQI信号と上りスケジューリング要求信号SRを同時に送信する場合が生じてしまう。時間的に同時に送信されるとシングルキャリア伝送とはならずマルチキャリア伝送となってしまう。無相関の信号が時間的に同時に送信される場合、送信信号の時間波形のピークが高くなるため、PAPRが高くなってしまう。PAPRが高くなると、移動端末の消費電力が増大し、さらにはセルカバレッジが狭くなってしまうという問題が生じる。
さらには、PAPRが高くなることにより、ほかの移動端末やシステムへの妨害波となってしまうという問題も生じる。
【0206】
このような問題を避けるために、実施の形態1、2では上りスケジューリング要求信号をS−RACHを用いて送信し、同じタイミングのAck/Nackかつ/またはCQI信号をDTXする方法を開示している。また、実施の形態3、4では上りスケジューリング要求信号をAck/Nack専用チャネルに入れて送信する方法を開示している。
この実施の形態9では、上りスケジューリング要求信号をサウンディングRS用の領域で送信する方法について開示する。なお、この実施の形態9では、上りタイミング同期用に送信するある時間間隔のサウンディングRSがない場合について開示する。
【0207】
サウンディングRS用の領域に関しては実施の形態7にて既に説明している。実施の形態7ではAck/Nack専用チャネルの割当てがなされていない場合について開示したが、ここではAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている場合について開示する。
図55にAck/Nack専用チャネル領域のある場合の時間-周波数リソース図を示している。領域AおよびBはAck/Nack専用チャネル領域である。該専用チャネル領域外の領域において、ここでは2TTIに1回、1番目のLBにサウンディングRS用の領域を割当てる。
このサウンディングRS用領域で、基地局傘下の移動端末は、サウンディング用のリファレンス信号を送信する。移動端末は一つまたは複数の群に分割されても良い。また、サウンディングリファレンスシンボル用の領域も一つまたは複数の領域に分割されてもよい。ある移動端末群のサウンディング用RSの送信をある分割された領域で行ってもよい。
【0208】
図60にスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。移動端末が基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)受信中、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている状態で、移動端末に上りデータ送信の必要が生じ、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する時に、該移動端末に割当てられたサウンディングRS用領域において、上りスケジューリング要求信号を送信し、その他のLBもしくはSBではAck/Nack専用チャネルにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号もしくは復調用リファレンス信号を送信する。上りスケジューリング要求が無い場合は、上りスケジューリング要求信号を送信せず、Ack/Nack専用チャネルにおいてAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を送信する。
【0209】
図59にサウンディングRS用領域において上りスケジューリング要求信号を送信する場合の移動端末での送信シンボルマッピングを示している。2TTIの先頭のLBにサウンディング用のパイロットシンボルを挿入する。その他のLBにはAck/NackもしくはCQIシンボルを挿入する。サウンディング用のパイロットには、サウンディング用領域にて用いられる移動端末固有のコードaが乗算される。該コードaは、サウンディング用領域が複数の移動端末に共用されるため、基地局がどの移動端末からの送信があったかを特定するためのものである。サウンディング用領域にて用いられる移動端末固有のコードaが乗算されたサウンディング用シンボルはサウンディングRS用の領域にマッピングされる。
【0210】
Ack/NackもしくはCQIシンボルには移動端末固有のコードAが乗算され、Ack/Nack専用チャネルにマッピングされる。該コードAは実施の形態3でも述べたように、Ack/Nack専用チャネルでの移動端末を特定するためのものである。これら2種類の移動端末固有のコードはあらかじめ決められているか、もしくは基地局から通知される。
図62はシーケンス図である。移動端末はST8901で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生が無い場合は、スケジューリングリクエストを送信しないので、ST8904が実行される。ST8904では、2TTI全てのLBにAck/NackもしくはCQIシンボルが入れられ、コードAが乗算される。上りデータ送信要求の発生が有る場合は、上りスケジューリングリクエストを送信するので、ST8902、ST8903が実行される。
【0211】
ST8902では2TTIの1番目のLBにサウンディング用パイロットを入れてコードaを乗算する。ST8903では、2番目以後のLBにAck/Nackかつ/またはCQIを入れてコードAを乗算する。ST8905で、コードaが乗算されたサウンディング用パイロットはサウンディングRS用領域へアロケーションされ、コードAが乗算されたAck/NackもしくはCQIはAck/Nack専用チャネルへアロケーションされて、基地局に送信される。ST8906で信号を受信した基地局は、ST8907において、サウンディング用領域の信号をコードaを用いて相関演算を行い、その結果がある閾値以上になった場合、移動端末が特定され、さらに特定された該移動端末から上りスケジューリングリクエストが有ったと判定できる。
【0212】
上りスケジューリングリクエストが有ると判断した基地局は、ST8910においてその処理が行われる。また、ST8911において2番目以後のLB、SBのAck/Nack専用チャネルの信号をコードAで相関演算を行い、ST8912において、Ack/NackもしくはCQIの判定が行われる。ST8907においてコードaとの相関演算結果がある閾値より小さい場合はまだ移動端末の特定はできず、上りスケジューリングリクエストが無いとしての処理が行われる。その場合、ST8909において全てのLB、SBのAck/Nack専用チャネルの信号をコードAで相関演算が行われ、相関演算結果がある閾値以上の場合、移動端末が特定される。移動端末が特定された後、ST8912においてAck/NackもしくはCQIの判定が行われる。
【0213】
以上のように構成することによって、移動端末で、Ack/Nack信号またはCQI信号と上りスケジューリング要求信号SRが同時に送信する場合が生じてしまうとき、PAPRの増大を防ぐことができる。
さらには、スケジューリングリクエスト用にS−RACHの領域をあらかじめ確保する必要がなくなるため、時間-周波数リソースの無駄を無くす事ができる。
さらには、上りスケジューリング要求信号SRをサウンディング用リファレンス信号を用いて送信することによって、基地局で該信号を受信した場合、該信号が、上りスケジューリングリクエストの有無を判別可能となる。
さらには、上りスケジューリング要求信号SRをサウンディング用リファレンス信号を用いて送信するので、基地局において上りスケジューリングするための上りチャネル状況の評価が可能となる。
【0214】
さらには、S−RACHあるいはAck/Nack専用チャネルを用いる時より広い周波数帯域を利用できるので、周波数フェージングに強い送信を実現することができる。
さらには、基地局が周波数フェージングの状況を測定可能となり、適切な上りスケジューリングが可能となる。
上記の実施の形態において、上りスケジューリング要求が無い場合に1番目のLBにAck/NackもしくはCQIシンボルを入れた。そのマッピング方法は、実施の形態2において開示した方法を適用してもよい。こうすることで、Ack/NackもしくはCQIの受信品質が向上する効果が得られる。
なお、上記実施の形態1のように、上りスケジューリング要求がある場合にも無い場合と同様に全てのLB、SBにAck/NackもしくはCQIシンボルを入れておき、上りスケジューリング要求がある場合のみ1番目のLBだけDTXして、該LBではサウンディングパイロットをサウンディング用RS領域で送信するようにしてもよい。これにより、シンボルの多重処理の複雑さを軽減することができる。
【0215】
なお、上記の実施の形態ではAck/Nack専用チャネルでAck/Nackかつ/またはCQI信号を送信する場合について開示したが、本実施の形態の方法は、たとえAck/Nack専用チャネルでAck/NackもしくはCQI信号を送信しない場合にも適用可能である。例えば、スケジューリングリクエスト発生時には、サウンディング用領域で1番目のLBでサウンディング用RSを送信し、その他は何も送信しないようにすればよい。
なお、上記の実施の形態では、上りスケジューリング要求がある場合にサウンディング用パイロットシンボルを1番目のLBに入れたが、サウンディング用RSに割当てた領域に従って入れるLBもしくはSBを変更しても同様の効果が得られる。
【0216】
以下、変形例を説明する。第1の変形例においては、サウンディングRS用の領域を全帯域に割当てる。図56にサウンディングRS用の領域をシステム全帯域に割当てた場合の時間-周波数リソース図を示している。領域AおよびBはAck/Nack専用チャネル領域である。ここでは2TTIに1回、1番目のLBはサウンディングRS用の領域として割当てる。このサウンディングRS用領域で、基地局傘下の移動端末は、サウンディング用のリファレンス信号を送信する。移動端末は一つまたは複数の群に分割されても良い。また、サウンディングリファレンスシグナル用の領域も一つまたは複数の領域に分割されてもよい。ある移動端末群のサウンディング用RSの送信をある分割された領域で行ってもよい。
【0217】
図61にスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。移動端末が基地局から送信された下りデータ(Downlink data、DL data)受信中、もしくは下りデータの受信結果であるAck/Nack信号かつ/またはCQI信号を基地局に送信するためのAck/Nack専用チャネルの割当てがなされている状態で、移動端末に上りデータ送信の必要が生じ、上りスケジューリング要求信号SRを基地局に送信する時に、該移動端末に割当てられたサウンディングRS用領域において、上りスケジューリング要求信号を送信し、その他のLBもしくはSBではAck/Nack専用チャネルにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号もしくは復調用リファレンス信号を送信する。上りスケジューリング要求が無い場合は、上りスケジューリング要求信号を送信せず、さらにはAck/Nack専用チャネルにおいても2TTIに1回、1番目のLBにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号を送信しない。これは、システム全帯域をサウンディングRS用の領域に割当てているため、基地局傘下の他のいくつかの移動端末がAck/Nack専用チャネルの該LBでサウンディングRSを送信するため、該LBにおいてAck/Nack信号もしくはCQI信号を送信してしまうと、基地局で判別が不可能となるためである。
移動端末での送信シンボルマッピングは、上りスケジューリング要求が有る場合は、図59に示すマッピングのようにサウンディング用パイロットを挿入するが、上りスケジューリング要求が無い場合は、1番目のLBには何も入れない、もしくはダミーを入れておき、そのLBで送信をしないようにしておくとよい。
【0218】
以上のような構成にすることによって、実施の形態9と同様の効果が得られるし、さらには、基地局においてさらに広帯域な上りチャネルコンディションの評価が可能となる。
さらには、基地局がAck/Nack専用チャネルのチャネルコンディションも評価可能となるため、Ack/Nack専用チャネルへの移動端末のAck/Nack信号もしくはCQI信号のスケジューリングを精度よく行えるという効果がある。
さらに、移動端末を一つまたは複数の群に分割し、かつ/または、サウンディングリファレンスシグナル用の領域も一つまたは複数の領域に分割することによって、移動端末固有に割当てられるコード資源の利用において効率化がはかれるという効果がある。
【0219】
第2の変形例としては、サウンディングRS用の領域を、Ack/Nack専用チャネルと同じ周波数帯域幅に分割し、分割した領域をある移動端末群に割当てる。
図57は時間-周波数リソース図を示している。領域A及びBはAck/Nack専用チャネル領域である。ここでは2TTIに1回、1番目のLBはサウンディングRS用の領域として割当てる。サウンディングRS用の領域は、Ack/Nack専用チャネルと同じ周波数帯域幅に分割され、分割された領域をある移動端末群に割当てる。この分割されたサウンディングRS用領域で、基地局傘下のある移動端末群は、サウンディング用のリファレンス信号を送信する。
【0220】
ある移動端末が送信するサウンディングRS用の領域をAck/Nack専用チャネルと同じ周波数帯域幅としているため、サウンディングパイロットシンボル用とAck/Nackかつ/またはCQIシンボル用とでコード長を同じにできる。そのため、移動端末固有のコードを、サウンディングパイロットシンボル用とAck/NackもしくはCQIシンボル用とで分ける必要が無くなる。つまり、拡散コードを一種類にできる。
従って、このような構成をとることにより、移動端末固有のコード量を削減でき、基地局から割当てられる移動端末数を増大させられる効果がある。
【0221】
第3の変形例としては、Ack/Nack専用チャネルにもサウンディングRS用の領域を設ける構成とする。
図58は時間-周波数リソース図を示している。領域A及びBはAck/Nack専用チャネル領域である。Ack/Nack専用チャネル領域においても、ここでは2TTIに1回、1番目のLBはサウンディングRS用の領域として割当てる。
Ack/Nack専用チャネル領域にサウンディングRS用の領域を設けているので、移動端末固有のコードを、サウンディングパイロットシンボル用とAck/NackもしくはCQIシンボル用とで分ける必要が無くなる。つまり、拡散コードを乗じた後の周波数帯域が等しくなる。従って、このような構成をとることにより、移動端末固有のコード量を削減でき、基地局から割当てられる移動端末数を増大させられる効果がある。
さらには、信号送信時、時間−周波数リソースへの割当てもサウンディングパイロットシンボル用とAck/Nackかつ/またはCQIシンボル用とで分ける必要が無く、移動端末の制御が簡略化できる効果がある。
【0222】
なお、実施の形態9はスケジューリングリクエスト信号を送信するのに、サウンディングリファレンス信号を利用するので、上記実施の形態7と組み合わせる事によって、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられているか否かにかかわらず、どちらの移動端末にも適用可能とすることができる。すなわち、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられていない場合は実施の形態7を適用し、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられた場合は実施の形態9を適用すればよい。
【0223】
この実施の形態9では、移動端末が上りタイミング同期用に送信するある時間間隔のサウンディングRSがない場合について開示した。さらに、移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している場合にも、実施の形態9に実施の形態8を組み合わせることによって適用可能とすることができる。すなわち、実施の形態9では、サウンディングRSの送信が有った場合にスケジューリングリクエストが有ると基地局は認識するが、移動端末が上りタイミング同期用のサウンディングRSをもともと送信している場合には、もともとの上りタイミング同期用のサウンディングRSとスケジューリングリクエストとの判別ができなくなってしまう。この課題を解決するために、実施の形態8で開示した方法を用いればよい。
さらに、移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している場合にも、実施の形態7で開示した方法を組み合わせる事によって、移動端末にAck/Nack専用チャネルが割当てられているか否かにかかわらず、どちらの移動端末にも適用可能とすることができる。
【0224】
実施の形態10.
移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している、送信していないにかかわらず、サウンディングRSを利用して、上りスケジューリングリクエストを送信する方法を開示する。
サウンディングRS用の時間−周波数領域を図42もしくは図55のように割当てる。図42はAck/Nack専用チャネルのリソース割当てが無い場合、図55はAck/Nack専用チャネルのリソース割当てが有る場合である。どちらの場合も移動端末からのサウンディングRSは、割当てられたサウンディングRS用の領域で送信される。上りタイミング同期用サウンディングRSの送信間隔は、nTTI時間間隔(n≧2)とする。
【0225】
図63は上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。ここでは、上りタイミング同期用サウンディングRSの送信間隔は、10TTI時間間隔とする。移動端末に上りデータ送信の必要が発生した場合、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、ちょうど上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと同じになった場合、該同期用のサウンディングRSにスケジューリングリクエストの機能を兼ね備えた構成として送信する。
同期用のサウンディングRSにスケジューリングリクエストの機能を兼ね備えた構成とする方法は、上記実施の形態8で開示している方法とする。例えば、上りスケジューリングリクエストの有無に対応した2種類のサウンディングパイロットパターンを備える方法をとっても良い。移動端末に上りデータ送信の必要が発生した場合、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと異なる場合は、上りスケジューリングリクエストとしてサウンディングRSを送信する。
【0226】
図64は移動端末と基地局間のシーケンス図を示している。移動端末はST9101で上りデータ送信要求が発生するかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生がない場合は、ST9104が実行される。上りデータ送信要求発生がある場合は、ST9102で、上りスケジューリングリクエスト送信タイミングが上りタイミング同期用サウンディングRS送信タイミングと同じかどうか判断する。もし同じである場合、ST9103が実行される。ST9103では、サウンディング用パイロットとしてパターン2が選択される。そしてST9105が実行される。ST9102で、上りスケジューリングリクエスト送信タイミングが上りタイミング同期用サウンディングRS送信タイミングと違うと判断した場合、ST9104が実行される。ST9104ではサウンディングパイロットとしてパターン1が選択される。そしてST9105が実行される。ST9105では移動端末固有のコードAが乗算される。ST9106でサウンディング用領域(RB)において送信信号が基地局に送信される。ST9107でサウンディング用領域(RB)で受信した基地局は、ST9108で受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングかどうかを判断する。
【0227】
上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングは基地局がスケジューリングしてあらかじめ移動端末に通知しているので、もしくは、あらかじめ決められているので、基地局は判断可能である。ST9108でタイミングが同じであればST9110が実行される。ST9110では受信信号にコードAを用いて相関演算が行われる。その結果がある閾値以上であれば移動端末が特定される。そしてST9111が実行される。ST9111では、サウンディング用のパイロットがパターン1かパターン2かを判定する。判定方法は、実施の形態8に開示した方法としても良い。パターン1と判断した場合は、上りスケジューリングリクエストが無いとして処理される。ST9111でパターン2と判定した場合は、ST9112が実行される。ST9108で受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングと異なると判断された場合は、ST9109が実行される。ST9109ではコードAを用いて相関演算が行われ、ある閾値以上であれば、移動端末が特定され、ST9112で上りスケジューリングリクエストがあるとして処理されることになる。
【0228】
以上のような構成にすることによって、実施の形態8と同様の効果が得られるし、さらには、移動端末が上りタイミング同期用にある時間間隔のサウンディングRSを送信している、送信していないにかかわらずに、上りスケジューリングリクエストが送信可能となる効果が得られる。
【0229】
以下、変形例を説明する。
第1の変形例においては、上りスケジューリングリクエストの送信タイミングが上りタイミング同期用のサウンディングRS送信タイミングと重なった時、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングを2TTIだけ遅らせる。
図65は上りスケジューリング要求が発生した場合の移動端末の送信信号を示している。ここでは、上りタイミング同期用サウンディングRSの送信間隔は、10TTI時間間隔とする。移動端末に上りデータ送信の要求が発生した場合、上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、ちょうど上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと同じになった場合、スケジューリングリクエストの送信タイミングを2TTI遅らせて送信する。上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングが、ちょうど上りタイミング同期用のサウンディングRSの送信タイミングと異なる場合は、2TTI遅らせることなく送信する。
【0230】
図66は移動端末と基地局間のシーケンス図を示している。移動端末はST9301で上りデータ送信要求が発生したかどうかを判断する。上りデータ送信要求発生がない場合は、ST9304が実行される。上りデータ送信要求発生が有る場合は、ST9302で、上りスケジューリングリクエスト送信タイミングが上りタイミング同期用サウンディングRS送信タイミングと同じかどうか判断する。もし同じである場合、ST9303が実行される。ST9303では、スケジューリングリクエストの送信タイミングを2TTI遅延させる処理が行われる。なお、この場合、上りタイミング同期用のサウンディングRS信号については遅延させずに、送信する処理が行われる。ST9304では移動端末固有のコードAが乗算される。ST9305で、送信信号がサウンディング用領域(RB)にて基地局に送信される。ST9306においてサウンディング用RBで信号を受信した基地局は、ST9307を実行する。
【0231】
ST9307では、受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングかどうか判断する。上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングと判断した場合、ST9308において、コードAを用いて相関演算が行われ、その結果がある閾値以上の場合、移動端末が特定され、ST9309が行われる。ST9309では、スケジューリングリクエストが無いとして処理される。すなわち、この場合は、通常どおりの上りタイミング同期用サウンディングRSとして処理される。ST9307で受信信号が上りタイミング同期用のサウンディングRSのタイミングと異なると判断した場合、ST9310でコードAを用いて相関演算が行われ。相関演算の結果がある閾値以上で有る場合、移動端末が特定され、ST9311が実行される。ST9311では上りスケジューリングリクエストが有るとして処理されることになる。
【0232】
以上のような構成にすることによって、実施の形態10と同様の効果が得られるし、さらには、サウンディングパイロットパターンが1種類ですむという効果も得られる。それにより、基地局及び移動端末での処理が軽減されるという効果も得られる。例えば、実施の形態10で、上りタイミング同期用サウンディングRSと上りスケジューリングリクエストを判別するために実施の形態8で開示した、2種類のコード(コードA、コードB)を用いる方法をとった場合と比べても、コード数が半分ですみ、移動端末固有のコードを割当てることができる移動端末の数が増大するという効果がある。
また、上記変形例では上りスケジューリングリクエストを送信するタイミングを2TTI遅らせて送信することとしたが、上りタイミング同期用のサウンディングRSを送信していないタイミングであれば良い。これによって、移動端末の処理能力に応じた遅延時間でスケジューリングリクエストを送信することが可能となる。
【0233】
なお、実施の形態10および第1の変形例に、実施の形態9を組み合わせる事によって、Ack/Nack専用チャネルのリソース割当ての有無にかかわらず適用可能とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下りアクセス方式としてOFDM方式を用いてデータの送信を行う基地局と、下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末とを備えた通信システムで実行されるデータ通信方法において、前記移動端末は、前記品質通知信号を前記基地局に送信する品質通知処理と、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信するスケジューリング要求信号送信処理と、前記品質通知処理と前記スケジューリング要求信号送信処理の処理タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知処理を停止させる制御処理とを実行することを特徴とするデータ通信方法。
【請求項2】
下りアクセス方式としてOFDM方式を用いてデータの送信を行う基地局と、下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末とを備えた通信システムにおいて、前記移動端末は、前記品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信する送信部と、前記送信部における前記品質通知信号の送信タイミングと前記スケジューリング要求信号の送信タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知信号の送信処理を停止させる制御部とを実装していることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末であって、前記品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信する送信部と、前記送信部における前記品質通知信号の送信タイミングと前記スケジューリング要求信号の送信タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知信号の送信処理を停止させる制御部とを備えたことを特徴とする移動端末。
【請求項4】
下りの通信品質を通知するための品質通知信号を含む制御信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末であって、前記基地局に対する上り方向の上り制御チャネルを用いて、前記品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、前記基地局に対する送信データが発生すると、前記上り制御チャネルと異なる物理チャネルを用いて、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信する送信部と、前記送信部における前記品質通知信号の送信タイミングと前記スケジューリング要求信号の送信タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知信号の送信処理を停止させる制御部とを備えたことを特徴とする移動端末。
【請求項1】
下りアクセス方式としてOFDM方式を用いてデータの送信を行う基地局と、下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末とを備えた通信システムで実行されるデータ通信方法において、前記移動端末は、前記品質通知信号を前記基地局に送信する品質通知処理と、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信するスケジューリング要求信号送信処理と、前記品質通知処理と前記スケジューリング要求信号送信処理の処理タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知処理を停止させる制御処理とを実行することを特徴とするデータ通信方法。
【請求項2】
下りアクセス方式としてOFDM方式を用いてデータの送信を行う基地局と、下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末とを備えた通信システムにおいて、前記移動端末は、前記品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信する送信部と、前記送信部における前記品質通知信号の送信タイミングと前記スケジューリング要求信号の送信タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知信号の送信処理を停止させる制御部とを実装していることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
下りの通信品質を通知するための品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末であって、前記品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信する送信部と、前記送信部における前記品質通知信号の送信タイミングと前記スケジューリング要求信号の送信タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知信号の送信処理を停止させる制御部とを備えたことを特徴とする移動端末。
【請求項4】
下りの通信品質を通知するための品質通知信号を含む制御信号を前記基地局に送信するとともに、送信データを前記基地局に送信する前に、無線リソースの割り当てを要求するスケジューリング要求信号を前記基地局に送信する移動端末であって、前記基地局に対する上り方向の上り制御チャネルを用いて、前記品質通知信号を前記基地局に送信するとともに、前記基地局に対する送信データが発生すると、前記上り制御チャネルと異なる物理チャネルを用いて、前記スケジューリング要求信号を前記基地局に送信する送信部と、前記送信部における前記品質通知信号の送信タイミングと前記スケジューリング要求信号の送信タイミングが重なる場合、前記スケジューリング要求信号を送信している期間、前記品質通知信号の送信処理を停止させる制御部とを備えたことを特徴とする移動端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【公開番号】特開2011−166843(P2011−166843A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124291(P2011−124291)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2008−540882(P2008−540882)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【分割の表示】特願2008−540882(P2008−540882)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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