説明

データ通信装置、データ通信方法、データ更新方法、データ通信プログラム、データ更新プログラムおよび記録媒体

【課題】車車間通信で転送効率よくデータ通信をおこなうこと。
【解決手段】データ通信装置は、記憶部101、通信部102および通信制御部103を備え、さらに更新部104を備える。記憶部101は、地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを記憶する。通信部102は、ナビゲーションデータを分割した複数の分割データを移動体の周囲に存する他の移動体との間で通信する。通信制御部103は、他の移動体からの送信要求に対応する分割データを当該他の移動体に対して送信するように通信部102を制御するとともに、移動体による受信要求に対応する分割データを他の移動体から受信するように通信部102を制御する。更新部104は、通信部102によって受信された分割データを用いて記憶部101に記憶されているナビゲーションデータを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両などの移動体に搭載されるデータ通信装置、データ通信方法、データ更新方法、データ通信プログラム、データ更新プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述したデータ通信装置、データ通信方法、データ更新方法、データ通信プログラム、データ更新プログラムおよび記録媒体には限られない。
【背景技術】
【0002】
近年、たとえば車両同士によって通信をおこなう、いわゆる車車間通信を用いて、ナビゲーションに利用される地図データなどを効率的に転送するナビゲーションシステムが提供されている。
【0003】
このようなナビゲーションシステムは、たとえばつぎのように構成されている。すなわち、地図データクライアントは、現在位置などに応じて更新対象区域を決定し、車車間通信装置を介して、地図データ記憶部に記憶されている更新対象区域内のメッシュデータよりも新しいバージョンのメッシュデータの所持の有無を他のナビゲーションシステムに問い合わせ、応答があった場合には、応答元の他のナビゲーションシステムより、メッシュデータをダウンロードし地図データ記憶部のメッシュデータを更新する。また、地図データサーバは、車車間通信装置を介して、前記問い合わせに対応する応答サービスと、地図データのダウンロードサービスを他のナビゲーションシステムに対して提供することで、効率的に地図データを更新することができる構成とされている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−212244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術のナビゲーションシステムでは、車車間通信装置によって通信されるメッシュデータのデータ転送中に通信処理が中断した場合、いわゆるレジューム機能によって中断箇所からデータ転送が再開されるが、メッシュデータのデータ容量が大きい場合などに頻繁にデータ転送が中断されると転送効率が著しく低下するという問題が一例として挙げられる。
【0006】
また、たとえば上記レジューム機能を備えない車車間通信装置においては、中断されたデータ転送が再開された場合、通信すべきメッシュデータの冒頭部分から再びデータ転送をおこなうため、完全なメッシュデータを得るためには安定した通信環境とある程度の通信時間とが必要になるという問題が一例として挙げられる。特に、対向車との間でのデータ転送では通信時間が限られてしまうため、完全なメッシュデータを得にくいという問題が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明にかかるデータ通信装置は、移動体に搭載されているデータ通信装置であって、地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを分割した複数の分割データを前記移動体の周囲に存する他の移動体との間で通信する通信手段と、前記他の移動体からの送信要求に対応する前記分割データを当該他の移動体に対して送信するように前記通信手段を制御するとともに、前記移動体による受信要求に対応する前記分割データを前記他の移動体から受信するように前記通信手段を制御する通信制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項11の発明にかかるデータ通信方法は、移動体に搭載されており、地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを前記移動体の周囲に存する他の移動体との間で通信するデータ通信装置におけるデータ通信方法であって、前記他の移動体からの送信要求に応じて、記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを分割して複数の分割データを生成する工程と、生成した前記複数の分割データを前記他の移動体に対して送信する工程と、を含んだことを特徴とする。
【0009】
また、請求項12の発明にかかるデータ更新方法は、地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを記憶する記憶手段を備え、当該ナビゲーションデータを用いてナビゲーション処理を実行する移動体に搭載されているナビゲーション装置におけるデータ更新方法であって、前記移動体の周囲に存する他の移動体に対し、前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを更新するための更新データを要求する工程と、前記要求に応じて前記他の移動体が送信した前記更新データが分割された分割データを受信する工程と、受信した前記分割データを用いて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを更新する工程と、を含んだことを特徴とする。
【0010】
また、請求項13の発明にかかるデータ通信プログラムは、請求項11に記載のデータ通信方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、請求項14の発明にかかるデータ更新プログラムは、請求項12に記載のデータ更新方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項15の発明にかかるコンピュータに読み取り可能な記録媒体は、請求項13に記載のデータ通信プログラムまたは請求項14に記載のデータ更新プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるデータ通信装置、データ通信方法、データ更新方法、データ通信プログラム、データ更新プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
(実施の形態)
(データ通信装置の機能的構成)
まず、この発明の実施の形態にかかるデータ通信装置の内容について説明する。図1は、この発明の実施の形態にかかるデータ通信装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1において、データ通信装置は、たとえば車両(四輪車、二輪車を含む)や携帯電話機などの移動体に搭載され、記憶部101と、通信部102と、通信制御部103とを備え、さらに更新部104を備えた構成となっている。
【0015】
記憶部101は、地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを記憶する。この記憶部101は、たとえば後述する通信部102によって通信された分割データにより構成されるナビゲーションデータや、外部の記憶媒体などから取得したナビゲーションデータを、一時的あるいは恒久的に記憶する。記憶部101は、具体的には、たとえば記憶装置によって構成される。
【0016】
通信部102は、ナビゲーションデータを分割した複数の分割データを移動体の周囲に存する他の移動体との間で通信する。この通信部102は、他の移動体との通信の際に、たとえば記憶部101に記憶されているナビゲーションデータを、このナビゲーションデータを構成する複数の分割データに分割したうえで、分割データを移動体の周囲に存する他の移動体や固定局などとの間で通信するようにしてもよい。ここで、ナビゲーションデータとは、具体的には、ナビゲーションの動作に用いられるプログラムデータや上記地図データを含むデータのことである。
【0017】
また、この通信部102は、他の移動体や固定局との間の通信状況によって、通信に用いる電波の周波数、帯域幅および変調方式などを変更しながら分割データの通信をおこなうようにしてもよい。この通信部102は、たとえば複数の他の移動体や固定局との間で同時進行的に通信をおこなってもよい。
【0018】
通信制御部103は、他の移動体からの送信要求に対応する分割データを当該他の移動体に対して送信するように通信部102を制御するとともに、移動体による受信要求に対応する分割データを他の移動体から受信するように通信部102を制御する。また、通信制御部103は、他の移動体からの送信要求に応じて記憶部101に記憶されているナビゲーションデータを分割した分割データを送信するように通信部102を制御するとともに、移動体による受信要求に応じて記憶部101に記憶されているナビゲーションデータに含まれていない分割データを受信するように通信部102を制御する。
【0019】
たとえば、通信制御部103は、複数の分割データ「a1」、「a2」、「a3」からなるナビゲーションデータ「A」のうち、他の移動体からの送信要求が「a1」という分割データに対応している場合、この「a1」という分割データを通信部102によって送信させる。また、移動体による受信要求が「a3」という分割データを要求している場合、この「a3」という分割データを他の移動体から受信させる。
【0020】
また、通信制御部103は、通信部102を制御して、通信部102によって通信される複数の分割データのうち、たとえば他の移動体からの送信要求に対応するとともにナビゲーションデータに含まれている分割データのみを送信させるようにしてもよい。すなわち、通信制御部103は、たとえば他の移動体からの送信要求が「a1」という分割データに対応している場合、この「a1」という分割データを移動体が有している場合にのみ通信部102によって送信をおこなわせるようにしてもよい。
【0021】
また、通信制御部103は、たとえば移動体による受信要求がナビゲーションデータに含まれていない「a3」という分割データを要求している場合、この「a3」という分割データを有している他の移動体からのみ通信部102によって受信をおこなわせる。なお、通信制御部103は、通信部102によって、これらの送信要求や受信要求に応じた一回の通信につき少なくとも一つの分割データを送信あるいは受信させるとよい。
【0022】
また、通信制御部103は、移動体と他の移動体あるいは固定局との間の距離が所定範囲内(たとえば、移動体を中心として半径50m以内など)である場合に、通信部102によって通信をおこなわせる。これにより、通信における電力消費などを抑えたり、良好な通信状況下における通信を実現したりすることができる。また、通信制御部103は、送信要求に応じて、記憶部101に記憶されているナビゲーションデータに含まれている地図データを構成する構成成分ごとに当該ナビゲーションデータを分割して分割データを生成し、通信部102に送信させるようにしてもよい。
【0023】
ここで、通信制御部103によるナビゲーションデータの分割は、たとえばつぎのようなイメージでおこなわれるとよい。すなわち、たとえば全体として「A」というナビゲーションデータを分割する場合は、一回の通信によって通信可能なデータ容量や構成成分ごとに「a1,a2,a3,…,an」という分割データに分割する。なお、これら分割された分割データは、これらの分割データをひとまとめにした場合に「A」というナビゲーションデータを復元できるように分割されるとよい。
【0024】
この場合、構成成分は、データ容量や地図データのレイヤ情報あるいは領域情報によって規定されたり、地図データの背景情報や道路形状情報によって規定されたりするとよい。一例として構成成分が領域情報によって規定される場合は、たとえば都道府県ごとに分割された分割データなどによって通信をおこなうことが可能となる。
【0025】
なお、ナビゲーションデータの分割は、上述したように通信制御部103が記憶部101からナビゲーションデータを読み出すときに分割データとして読み出すのが通常であるが、通信制御部103がナビゲーションデータを一括して読み出したのちに適宜分割するようにしてもよい。また、ナビゲーションデータの分割は、通信制御部103によっておこなわれる場合のみならず、記憶部101において分割した状態で記憶するようにおこなわれたり、通信部102によって分割してから通信するようにおこなわれたりしてもよい。
【0026】
更新部104は、通信部102によって受信された分割データを用いて記憶部101に記憶されているナビゲーションデータを更新する。また、更新部104は、分割データを複数用いて分割前のナビゲーションデータを生成し、生成した当該ナビゲーションデータに基づいて記憶部101に記憶されているナビゲーションデータを更新する。すなわち、更新部104は、分割前のナビゲーションデータを復元し、この復元したナビゲーションデータに基づいて記憶されているナビゲーションデータを更新することができる。
【0027】
この場合、更新部104は、具体的には、たとえば通信部102によって通信された分割データを、記憶部101に記憶されているナビゲーションデータにおける複数の分割データのうちの対応する分割データ相当部分と置き換えて格納するように更新すればよい。これにより、記憶部101の記憶領域を無駄に消費することを回避することができる。
【0028】
なお、更新部104による更新処理の際に通信部102によって送受信され、更新部104によって更新されたナビゲーションデータには、既に記憶部101に記憶されているナビゲーションデータをバージョンアップなどするためのデータのみならず、記憶部101に記憶されていなかったデータも含まれる。
【0029】
このように構成されたデータ通信装置では、ナビゲーションデータを複数の分割データに分割し、通信制御部103の制御によって、移動体や他の移動体などからの送信要求または受信要求に対応する分割データを通信部102により通信するため、ナビゲーションデータのデータ転送における転送効率を著しく向上させ確実にデータ転送をおこなうことができる。
【0030】
また、このように構成されたデータ通信装置では、他の移動体などからの送信要求に対応しつつ移動体が有している分割データのみを送信したり、移動体が有しておらずかつ受信要求に対応する分割データのみを他の移動体などから受信したりすることができるため、所望する分割データのみを確実に通信してデータ転送をおこない、データ転送の転送効率を向上させることができる。
【0031】
このため、このデータ通信装置によれば、移動体が有しているナビゲーションデータが完全な状態であっても、あるいは不完全な状態であっても、常に分割した分割データ単位で他の移動体や固定局との間で通信をおこない、短時間で確実にデータ転送をおこなうことができる。これにより、データ転送の転送効率を著しく向上させるとともに確実にデータ転送をおこなうことが可能となる。
【0032】
(データ通信装置のデータ通信処理手順)
つぎに、この発明の実施の形態にかかるデータ通信装置のデータ通信処理手順について説明する。図2は、この発明の実施の形態にかかるデータ通信装置のデータ通信処理手順の一例を説明するフローチャートである。なお、以降において、特に明示しない限りナビゲーションデータをナビデータと略記して説明する。
【0033】
図2のフローチャートにおいて、まず、通信制御部103によって、記憶部101に記憶されているナビデータを読み出して、このナビデータの状態を確認する(ステップS201)。つぎに、通信制御部103により読み出したナビデータを、たとえば上述したような構成成分ごとに分割することにより、ナビデータを複数の分割データに分割する(ステップS202)。
【0034】
そして、通信制御部103によって、各分割データのうち、たとえば古いものや不足しているものがあるか否かを判定し、受信したい分割データがあるか否かを判断する(ステップS203)。受信したい分割データがあると判断された場合(ステップS203:Yes)は、通信制御部103によって、通信部102を制御して、他の移動体や固定局に対して受信したい分割データの受信要求を送信する(ステップS204)。
【0035】
受信要求を送信したのち、他の移動体や固定局からの受信要求に対応する分割データの送信があった場合に、通信制御部103によって、通信部102を介して受信要求に対応する分割データを受信し(ステップS205)、上記ステップS203の判断処理に移行する。一方、上記ステップS203において、受信したい分割データがないと判断された場合(ステップS203:No)は、通信制御部103によって、通信部102を介して他の移動体や固定局から分割データの送信要求があるか否かを判断する(ステップS206)。
【0036】
送信要求があると判断された場合(ステップS206:Yes)は、通信制御部103によって、ナビデータを分割した複数の分割データのうち、送信要求に対応する分割データがあるか否かを判断する(ステップS207)。送信要求に対応する分割データがないと判断された場合(ステップS207:No)は、上記ステップS201に移行してナビデータの確認をおこなう。
【0037】
送信要求に対応する分割データがあると判断された場合(ステップS207:Yes)は、通信制御部103によって、通信部102を介して他の移動体や固定局に対して送信要求に対応する分割データを送信し(ステップS208)、本フローチャートによる一連のデータ通信処理を終了する。なお、上記ステップS206において、送信要求がないと判断された場合(ステップS206:No)も、一連の処理を終了する。
【0038】
このようにデータ通信処理をおこなうことによって、たとえば送信要求や受信要求に対応する分割データを他の移動体などとの間で確実に通信することができるとともに、移動体が有している分割データのみを送信したり、移動体が有していない分割データのみを受信したりするなどの効率的な通信をおこなうことができるため、記憶部101の記憶容量を圧迫せずに効率よく確実にデータ転送をおこなうことができる。
【0039】
なお、上述したフローチャートによるデータ通信処理においては、データ更新処理に伴う通信をおこなうこともできる。すなわち、たとえば上記ステップS204において、通信制御部103によって、受信したい更新データが分割された分割データの受信要求を送信し、上記ステップS205において、他の移動体や固定局からの受信要求に対応する更新データの分割データの送信があった場合に、送信された分割データを受信する。
【0040】
そして、更新データの分割データを受信したのち、更新部104によって、受信した分割データを用いて記憶部101に記憶されているナビデータを更新する。このとき、更新部104は、上述したように分割データを複数用いて分割前のナビデータを生成して更新するようにしてもよい。
【0041】
以上説明したように、この発明の実施の形態にかかるデータ通信装置によれば、ナビゲーションデータを複数の分割データに分割した状態で他の移動体などとの間で通信をおこなうことができる。このため、データ転送の転送効率を著しく向上させ、確実にデータ転送をおこなうことができる。
【0042】
つぎに、この発明の実施の形態にかかる実施例について説明する。ここでは、この実施の形態にかかるデータ通信装置を、たとえば移動体としての自動車などの車両に搭載されるナビゲーション装置に適用した場合を例示して説明する。
【実施例】
【0043】
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
まず、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置のハードウェア構成について説明する。図3は、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を附して説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、ナビゲーション装置300は、ナビゲーション制御部301と、ユーザ操作部302と、表示部303と、位置取得部304と、記録媒体305と、記録媒体デコード部306と、音声出力部307と、通信部308と、通信制御部309と、経路探索部310と、経路誘導部311と、音声生成部312と、スピーカ313とから構成されている。
【0045】
ナビゲーション制御部301は、ナビゲーション装置300全体を制御する。ナビゲーション制御部301は、たとえば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)や各種制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)およびCPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)などによって構成されるマイクロコンピュータなどによって実現することができる。
【0046】
また、ナビゲーション制御部301は、経路誘導に際し、経路探索部310、経路誘導部311および音声生成部312との間で経路誘導に関する情報の入出力をおこない、その結果得られる情報を表示部303および音声出力部307へ出力する。
【0047】
ユーザ操作部302は、文字、数値、各種指示など、ユーザによって入力操作された情報をナビゲーション制御部301に対して出力する。このユーザ操作部302は、たとえば押しボタン式スイッチ、タッチパネル、リモコンなどである。また、ユーザ操作部302は、外部からの音声を入力するマイクを用いて、音声によって入力操作をおこなう形態としてもよい。
【0048】
表示部303は、たとえばCRT(Cathode Ray Tube)、TFT(Thin Film Transistor)液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを含む。表示部303は、具体的には、たとえば映像I/Fや映像I/Fに接続された映像表示用のディスプレイ装置によって構成することができる。
【0049】
映像I/Fは、具体的には、たとえばディスプレイ装置全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するVRAM(Vide RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像情報に基づいて、ディスプレイ装置を表示制御する制御ICなどによって構成される。この表示部303には、地図データや経路誘導に関する情報、その他各情報が表示される。
【0050】
位置取得部304は、GPSレシーバおよび各種センサから構成され、移動体の位置(ナビゲーション装置300の位置)の情報を取得する。そして、取得した位置情報をナビゲーション制御部301に出力する。GPSレシーバは、GPS衛星からの電波を受信し、GPS衛星との幾何学的位置を求める。
【0051】
なお、GPSとは、Global Positioning Systemの略称であり、4つ以上の衛星からの電波を受信することによって地上での位置を正確に求めるシステムである。GPSレシーバは、GPS衛星からの電波を受信するためのアンテナ、受信した電波を復調するチューナおよび復調した情報に基づいて現在位置を算出する演算回路などによって構成される。
【0052】
各種センサは、速度センサや角速度センサ、加速度センサなど移動体またはナビゲーション装置300に搭載されたセンサであり、これらのセンサから出力される情報から、移動体などの移動変位、移動速度、移動方向、傾斜角などを算出する。このように、GPSレシーバの受信電波から得られた情報と合わせて、上記各種センサの出力情報を用いることによって、より高い精度で移動体の位置の認識をおこなうことができる。
【0053】
記録媒体305には、各種制御プログラムや各種情報がコンピュータに読み取り可能な状態で記録されている。この記録媒体305は、たとえばHD(Hard Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disk)、メモリカードなどによって実現することができる。なお、記録媒体305は、記録媒体デコード部306による情報の書き込みを受け付けるとともに、書き込まれた情報を不揮発に記録するようにしてもよい。
【0054】
また、記録媒体305には、経路探索および経路誘導に用いられる地図データが記録されている。記録媒体305に記録されている地図データは、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データと、道路の形状をあらわす道路形状データとを有しており、表示部303の表示画面上において2次元または3次元に描画される。
【0055】
ナビゲーション装置300が経路誘導中の場合は、記録媒体デコード部306によって記録媒体305から読み取られた地図データと、位置取得部304によって取得された移動体の位置を示すマークとが、ナビゲーション制御部301によって表示部303の表示画面に重ねて表示されることとなる。
【0056】
背景データは、背景の形状をあらわす背景形状データと、背景の種別をあらわす背景種別データとを有する。背景形状データは、たとえば地物の代表点・ポリライン・ポリゴン・地物の座標などを含んでいる。また、背景種別データは、たとえば地物の名称や住所・電話番号をあらわすテキストデータ、建物・河川・地表面などの地物の種別データを含んでいる。
【0057】
道路形状データは、複数のノードおよびリンクを有する道路ネットワークに関するデータである。ノードは、三叉路・十字路・五叉路など複数の道路が交差する交差点を示している。リンクは、ノード間を連結する道路を示している。リンクには、形状補間点を有するものもあり、この形状補間点によって曲線道路の表現が可能となる。
【0058】
なお、道路形状データは、さらに交通条件データを有する。交通条件データには、たとえば各ノードについて、信号や横断歩道などの有無、高速道路の出入口やジャンクションの有無、各リンクの長さ(距離)、車幅、進行方向、通行禁止、道路種別(高速道路、有料道路、一般道路など)などの情報が含まれている。この交通条件データは、過去の渋滞情報を季節・曜日・大型連休・時刻などを基準に統計処理した過去渋滞情報を記憶している。
【0059】
なお、本実施例では地図データを記録媒体305に記録するようにしたが、これに限るものではない。地図データは、ナビゲーション装置300のハードウェアと一体に設けられているものに限って記録されているものではなく、ナビゲーション装置300外部に設けられていてもよい。その場合、ナビゲーション装置300は、たとえば通信部308を通じて、ネットワークを介して地図データを取得する。取得された地図データはRAMなどに記憶される。
【0060】
記録媒体デコード部306は、記録媒体305に対する情報のリード/ライトの制御をおこなう。なお、記録媒体305は、本実施例ではナビゲーション装置300と一体的に設けられているが、この記録媒体305は、ナビゲーション装置300の外部に設けられていても、ナビゲーション装置300に搭載されたデータ通信装置自体に直接設けられていてもよい。
【0061】
音声出力部307は、接続された後述するスピーカ313への出力を制御することによって、案内音などの音声を再生する。スピーカ313は、一つであってもよいし、複数であってもよい。具体的には、音声出力部307は、たとえば音声ディジタル情報のD/A変換をおこなうD/Aコンバータと、D/Aコンバータから出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器と、音声アナログ情報のA/D変換をおこなうA/Dコンバータとから構成することができる。
【0062】
通信部308は、たとえばFM多重チューナ、VICS(登録商標)/ビーコンレシーバ、無線通信機器およびその他の通信機器によって構成され、他の通信機器との通信をおこなう。また、通信部308は、携帯電話機、PHS、通信カードおよび無線LANなどの通信媒体を介して通信をおこなう構成としてもよい。
【0063】
本実施例において、通信部308によって取得される情報として、たとえばVICS(Vehicle Information and Communication System)センターから配信される渋滞や交通規制などの道路交通情報が挙げられる。また、全国の道路交通情報を蓄積しているサーバに対しネットワークを介して所望の地域の道路交通情報を要求し、要求した道路交通情報を取得するようにしてもよい。
【0064】
また、通信部308は、たとえばナビゲーション制御部301によって、記録媒体デコード部306を介して記録媒体305から読み出されたナビデータなどを、通信制御部309の制御により、データ容量や上述した構成成分などの単位で分割した複数の分割データとして通信をおこなってもよい。
【0065】
通信制御部309は、通信部308全体を統括的に制御するとともに、通信部308によっておこなわれるすべての通信を制御する。この通信制御部309は、たとえばナビゲーション制御部301の制御を受けて、ナビデータや各種情報の送受信を通信部308におこなわせる。なお、ナビデータの分割は、この通信制御部309によっておこなうようにしてもよい。
【0066】
経路探索部310は、記録媒体305から記録媒体デコード部306を介して取得される地図データや、通信部308を介して取得するVICS情報などを利用して、出発地から目的地までの最適な経路を算出する。ここで、最適な経路とは、ユーザが指定した条件にもっとも合致する経路である。一般に、出発地から目的地までの経路は無数存在する。このため、経路探索に当たって考慮される事項を設定し、条件に合致する経路を探索するようにしている。
【0067】
たとえば、経路探索部310が探索する経路の出発地には、位置取得部304によって取得される移動体の現在位置(ナビゲーション装置300の現在位置)、またはユーザ操作部302からユーザによって指定される出発地などが設定される。また、目的地には、ユーザによって入力された目的地の他、ジャンル検索などに基づいて、地図データから検索された施設などを目的地として設定してもよい。
【0068】
経路誘導部311は、経路探索部310によって探索された最適経路情報、位置取得部304によって取得された移動体の位置情報および記録媒体305から記録媒体デコード部306を経由して得られた地図データに基づいて、ユーザを目的地まで誘導するための経路誘導情報の生成をおこなう。
【0069】
このとき、経路誘導部311によって生成される経路誘導情報は、通信部308によって受信した渋滞情報を考慮したものであってもよい。経路誘導部311で生成された経路誘導情報は、ナビゲーション制御部301を介して表示部303へ出力される。
【0070】
音声生成部312は、案内音などの各種音声の情報を生成する。すなわち、経路誘導部311で生成された経路誘導情報に基づいて、案内ポイントに対応した仮想音源の設定と音声ガイダンス情報の生成をおこない、これをナビゲーション制御部301を介して音声出力部307へ出力する。
【0071】
スピーカ313は、音声出力部307から出力されるナビゲーションの案内音やナビゲーション制御部301から音声出力部307を介して出力される音声を再生(出力)する。また、たとえばこのスピーカ313にヘッドフォンなどを設け、車両内部全体が出力される案内音や音声の音場とならないように、案内音や音声の出力形態を適宜変更するように構成してもよい。
【0072】
なお、図1における記憶部101は、具体的には、たとえば記録媒体305および記録媒体デコード部306などによってその機能を実現し、通信部102は、たとえば位置取得部304および通信部308などによってその機能を実現する。
【0073】
また、図1における通信制御部103は、具体的には、たとえばナビゲーション制御部301および通信制御部309などによってその機能を実現し、更新部104は、具体的には、たとえばナビゲーション制御部301、記録媒体305および記録媒体デコード部306などによってその機能を実現する。
【0074】
(ナビゲーション装置を有する車両間におけるデータ通信の概要)
つぎに、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置300を有する車両間におけるデータ通信の概要について説明する。図4−1および図4−2は、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置を有する車両間におけるデータ通信の概要を示す説明図である。
【0075】
図4−1に示すように、車両(移動体)401〜404は、それぞれ本実施例のデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置300を備えており、それぞれのナビゲーション装置300には、上述した通信部308(図示せず)が備えられている。また、これらの車両401〜404は、互いに通信部308によって通信可能な範囲内にあり、車両401は、たとえばデータa1、データa2およびデータa3に分割された分割データからなる完全な状態のナビデータ410を有している。
【0076】
ここで、たとえば車両402からの送信要求(または、車両402による受信要求)に対応する分割データがデータa1であり、車両403からの送信要求(または、車両403によるに受信要求)に対応する分割データがデータa2であり、車両404からの送信要求(または、車両404による受信要求)に対応する分割データがデータa3である場合、これらの分割データは、通信経路421〜423を介して車両401から各車両402〜404に対して個々にあるいは同時に送信され、各車両402〜404の通信部308によって受信される。
【0077】
このとき、車両401に対して各車両402〜404が離れてしまうなどの状況になって、車両401との通信が断たれた場合は、完全な状態のナビデータ410を有する車両401との通信経路421〜423が断絶され、車両401からその他の分割データを受信することができなくなってしまう。
【0078】
しかし、図4−2に示すように、それぞれデータa1、a2およびa3を有する各車両402〜404間で通信可能な状態となったときに、各車両402〜404同士で不足しているデータa1〜a3を分割データとして通信経路424〜426を介して通信することにより、各車両402〜404において完全な状態のナビデータ410を復元することが可能となる。
【0079】
なお、各通信部308は、互いの通信速度を変化させながら通信できるように構成されており、効率よくデータ転送をおこなうことができる構成となっている。また、各車両401〜404の通信可能な範囲内に図示しないナビデータ配信元通信基地局(固定局)がある場合も、上記と同様の通信をおこなってデータ転送をすることができる。
【0080】
(ナビゲーション装置のデータ通信処理手順)
つぎに、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置300のデータ通信処理手順について説明する。図5−1および図5−2は、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置のデータ通信処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、図5−1はナビデータを送信する際の通信処理を示し、図5−2はナビデータを受信する際の通信処理を示している。
【0081】
具体的に、図5−1および図5−2に示す処理は、たとえば図3に示したナビゲーション制御部301のRAM、ROM、あるいは記録媒体305などに記憶(記録)されたプログラムを、ナビゲーション制御部301のCPUが実行し、通信制御部309によって通信部308を制御することによって実現する。
【0082】
なお、以降において、主に図3および図4−1(または図4−2)を参照しながら説明をおこなうが、既に説明した部分と重複する箇所は同一の符号を附して説明を省略する。まず、図5−1では、たとえば上記車両401に搭載されたナビゲーション装置300によるデータ送信の際の通信処理を中心に説明する。
【0083】
図5−1のフローチャートにおいて、まず、図示は省略するが、車両401は完全な状態のナビデータ410(図示せず)を有しているため、処理の前提として車両401のナビゲーション装置300のナビゲーション制御部301によって、記録媒体デコード部306を介して記録媒体305からナビデータ410が読み出され、その内容が確認される。
【0084】
そして、通信制御部309により制御された通信部308によって、読み出したナビデータ410を、たとえば上記構成成分ごとに分割することにより、ナビデータ410を複数の分割データに分割する(ステップS501)。つぎに、通信制御部309によって、通信部308を介して車両401の周辺車両の検索をおこなう(ステップS502)。ここでは、たとえば車両402が検索されたこととする。
【0085】
周辺車両を検索したのち、ナビゲーション制御部301は、たとえば車両402について、通信制御部309によって、通信部308を介して車両402から分割データの送信要求があるか否かを判断する(ステップS503)。送信要求がないと判断された場合(ステップS503:No)は、上記ステップS502に移行し、周辺車両の検索を再開する。
【0086】
送信要求があると判断された場合(ステップS503:Yes)は、通信制御部309によって、送信要求に対応する分割データは何であるか、すなわち送信要求によって車両402から求められている分割データは何であるか、送信要求の内容を確認し(ステップS504)、送信すべき分割データを選択して(ステップS505)、通信部308を制御して分割データを送信する(ステップS506)。たとえば、車両402から上述したデータa1が求められている場合、車両401はデータa1を分割データとして送信する。
【0087】
そして、たとえば他の周辺車両に対して別々の分割データを送信する必要があるため、通信制御部309によって、送信に関する優先度を下げるなどして、今回送信した分割データの優先度を変更し(ステップS507)、通信部308を制御して分割したすべての分割データの送信が完了したか否かを判断する(ステップS508)。
【0088】
すなわち、このステップS508においては、たとえば上述したように車両401がデータa1〜データa3により構成される完全な状態のナビデータ410を有している場合、各データa1〜a3を分割データとしてすべて送信したか否かを判断している。これにより、分割データの送信漏れなどの防止を図っている。
【0089】
分割したすべての分割データの送信が完了していないと判断された場合(ステップS508:No)は、上記ステップS502に移行し、周辺車両の検索を再開する。分割したすべての分割データの送信が完了したと判断された場合(ステップS508:Yes)は、本フローチャートによる一連の通信処理を終了する。
【0090】
なお、図示および説明は省略するが、上記ステップS508における判断処理は、たとえばあらかじめ通信制御部309によって、通信部308による分割データの送信回数を設定しておき、規定送信回数に達したか否かを判断することによりおこなってもよい。
【0091】
一方、図5−2では、たとえば上記車両402に搭載されたナビゲーション装置300によるデータ受信の際の通信処理を中心に説明する。図5−2のフローチャートにおいて、図示は省略するが、車両402は不完全な状態のナビデータを有している状態であるため、処理の前提として車両402のナビゲーション装置300のナビゲーション制御部301によって、記録媒体デコード部306を介して記録媒体305からナビデータが読み出され、その内容が確認される。
【0092】
まず、車両402のナビゲーション装置300の通信制御部309によって、通信部308を介して車両402の周辺車両の検索をおこなう(ステップS511)。ここでは、たとえば車両401が検索されたこととする。
【0093】
周辺車両を検索したのち、ナビゲーション制御部301は、たとえば車両401について、通信制御部309によって、通信部308を介して車両401に受信したい分割データがあるか否かを判断する(ステップS512)。受信したい分割データがないと判断された場合(ステップS512:No)は、上記ステップS511に移行し、周辺車両の検索を再開する。
【0094】
受信したい分割データがあると判断された場合(ステップS512:Yes)は、通信制御部309によって、通信部308を介して分割データの受信要求を送信し(ステップS513)、受信要求に対応する分割データを受信する(ステップS514)。ここでは、たとえば、車両402により上述したデータa1を求める場合、車両401に対してデータa1の受信要求を送信し、車両401からこの受信要求に対応したデータa1を受信する。
【0095】
そして、ナビゲーション制御部301によって、たとえば少なくとも部分的に、車両402が有する不完全な状態のナビデータに対して、受信した分割データを用いてデータ更新をおこなう(ステップS515)。つぎに、通信制御部309によって、車両402において受信したい分割データの受信がすべて完了したか否かを判断する(ステップS516)。
【0096】
受信したい分割データの受信がすべて完了していないと判断された場合(ステップS516:No)は、通信制御部309によって、通信部308を介して車両401は、すなわち現在通信中の車両は受信したい分割データの残りのデータを有しているか否かを判断する(ステップS517)。
【0097】
受信したい分割データの残りのデータを有していると判断された場合(ステップS517:Yes)は、上記ステップS514に移行し、分割データを受信する。受信したい分割データの残りのデータを有していないと判断された場合(ステップS517:No)は、上記ステップS511に移行し、周辺車両の検索を再開する。
【0098】
一方、受信したい分割データの受信がすべて完了したと判断された場合(ステップS516:Yes)は、車両402における不完全な状態のナビデータが完全な状態のナビデータ410(図示せず)に復元されたことを示すため、通信制御部309によって、通信部308を介して上述したデータ送信処理を実行し(ステップS518)、本フローチャートによる一連の通信処理を終了する。
【0099】
なお、図5−1および図5−2で示した処理は、本実施例のナビゲーション装置300によって、同時並行的におこなうことが可能である。また、上記データ通信処理は、たとえばナビゲーション装置300によってリアルタイムに利用されているナビデータを除くデータを優先的に通信するようにおこなえば、ナビゲーション処理に及ぼす影響を最小限に止めることができる。
【0100】
また、図5−1および図5−2で示した処理と同時並行的に、通信制御部309によって、通信部308を介して受信したい更新データが分割された分割データを受信し、ナビゲーション制御部301によって、受信した分割データを用いて記録媒体305に記憶されているナビデータを更新するようにしてもよい。
【0101】
ここで、上記データ通信処理を搭載したナビゲーション装置300による車両間におけるデータ通信の概要について、さらに説明する。図6は、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置を有する車両間におけるデータ通信の概要を示す説明図である。図6に示すように、たとえばデータ配布車両601は、図中白抜き矢印の進行方向691に向けて走行している。
【0102】
また、データ収集車両602は、データ配布車両601の後続車両として、同様に図中白抜き矢印の進行方向691に向けて走行している。また、データ配布車両601およびデータ収集車両602の対向車611〜613は、図中白抜き矢印の進行方向692に向けて走行している。なお、データ配布車両601およびデータ収集車両602の間には、停車車両603が存在している。
【0103】
データ配布車両601は、たとえばデータa1〜a3からなる完全な状態のナビデータ410を有しており、対向車611〜613に対して通信可能な範囲内であるデータ配布車両601の近傍をすれ違うたびに通信経路621〜623を介してそれぞれ分割データとしてデータa1〜a3を送信し、各対向車611〜613は、それぞれ分割データとしてデータa1〜a3をデータ配布車両601から受信する。
【0104】
これらデータ配布車両601と各対向車611〜613とは、通信部308(図示せず)によって通信可能な範囲外にある状態となったときは、通信することができなくなる。また、データ配布車両601は、たとえば通信可能な範囲内にある停車車両603に対して通信経路624を介して分割データとしてデータa3を送信し、停車車両603は、分割データとしてデータa3をデータ配布車両601から受信する。
【0105】
一方、データ収集車両602は、当初データa1〜a3を備えておらず、不完全な状態のナビデータを有しており、たとえば対向車611および612との通信可能な範囲内であるデータ収集車両602の近傍をすれ違うたびに、これら対向車611および612から通信経路631および632を介してそれぞれ分割データとして送信されたデータa1およびa2を受信する。
【0106】
このとき、何らかの通信障害などによって、データ収集車両602が、対向車613から分割データとして送信されたデータa3の受信に失敗したとしても、データ収集車両602は図中白抜き矢印の進行方向691に向けて走行しているため、停車車両603と通信可能な状態となったときに、停車車両603から通信経路633を介して分割データとして送信されたデータa3を受信することができる。
【0107】
このように、当初不完全な状態のナビデータを有していたデータ収集車両602においても、たとえば路上を走行するだけで自動的に完全な状態のナビデータ410を復元することができるようになる。これにより、車両間におけるデータ転送の転送効率を格段に向上させかつ確実にデータ転送をおこなうことが可能となる。
【0108】
なお、上述したように何らかの通信障害などによって、データ通信が失敗した分割データは、たとえば一時的にナビゲーション装置300の記憶手段などに蓄積されるが、たとえばタイムスタンプやバージョン情報などの属性情報に基づいて、ナビゲーション装置300のナビゲーション制御部301や通信制御部309によって適宜削除される。このため、たとえば断片化してしまった分割データが恒久的にナビゲーション装置300に残ってしまい、記憶手段を圧迫するなどの不具合を効果的に回避することができる。
【0109】
また、ここでは完全な状態のナビデータ410としてデータa1〜a3によって構成されたデータを用いて説明したが、たとえばそれよりも新しいデータb1〜b3(図示せず)などにより構成されるナビデータの提供が開始された場合は、同様に通信処理をおこなってデータ転送をおこなう。
【0110】
さらにここで、上記ナビゲーション装置300において、ナビデータを複数の分割データに分割する際の地図データの構成成分について簡単に説明する。図7は、この発明の実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置における地図データの構成成分の一例を示す説明図である。図7に示すように、ナビデータに含まれる地図データ700は、たとえば関東や関西などの領域(エリア)ごとの領域情報701〜703と、背景情報707と、道路形状情報708とを有している。
【0111】
領域情報701〜703は、たとえばA領域、B領域およびC領域にそれぞれ関するものである。各領域情報701〜703には、地形情報704、地名情報705および建物情報706を有する背景情報707と、道路形状情報708とが含まれている。本実施例のナビゲーション装置300は、ナビデータを複数の分割データに分割するに際して、構成成分としてたとえば地図データ700の領域情報701〜703ごとに分割するようにしてもよい。
【0112】
また、ナビゲーション装置300は、ナビデータを複数の分割データに分割するに際して、構成成分としてたとえば地図データ700の領域情報701〜703および背景情報707ごとに、あるいはさらに道路形状情報708を加味した構成成分ごとに分割するようにしてもよい。また、図示は省略するが、地図データ700がレイヤ構造を備えている場合は、そのレイヤ情報ごとに分割するようにしてもよい。
【0113】
このように構成成分ごとにナビデータを分割して分割データとして通信をおこなうことによって、様々な形態でデータ転送をおこなうことが可能となる。なお、分割する構成成分は、たとえばユーザ操作部302(図3参照)からの入力情報によってユーザが任意に指定するようにしてもよい。
【0114】
このように、この発明の実施例にかかるナビゲーション装置300によれば、車両や携帯電話機などの移動体が有しているナビゲーションデータがデータとして完全な状態であっても、データとして不完全な状態であっても、データ容量や構成成分などに着目して分割した分割データとして他の移動体や固定局との間で通信をおこなう。このため、短時間で確実にデータ転送をおこなうことができ、データ転送の転送効率を著しく向上させるとともに確実にデータ転送をおこなうことが可能となる。
【0115】
以上のように、この発明にかかるデータ通信装置、データ通信方法、データ更新方法、データ通信プログラム、データ更新プログラムおよび記録媒体によれば、移動体が有しているナビゲーションデータを分割した分割データとして他の移動体や固定局との間で通信をおこない、データ転送の転送効率を著しく向上させるとともに確実にデータ転送をおこなうことができるという効果を奏する。
【0116】
また、この発明にかかるデータ通信装置においては、車両や携帯電話機などの移動体のみならず、ガソリンスタンドや店舗などに設置された固定局としての通信基地局との間でデータ通信をおこなうことができる。このため、たとえば新しいナビデータ、すなわち更新されたナビデータを通信基地局から配信したり、移動体に搭載して街中を走行したりするだけで、ナビデータの通信を自動的におこない完全な状態のナビデータを再現(復元)することができる。これにより、新しいナビデータを配布する側にとっても効率よくナビデータを配布することが可能となる。
【0117】
なお、本実施例では、ナビゲーション装置300の通信部308によっておこなわれるデータ通信を、移動体および他の移動体として車両を例に挙げて車両同士のデータ通信(車車間通信)について説明したが、移動体としては車両だけではなく、上述したようにたとえば携帯電話機や通信機能を有する携帯情報端末なども想定される。たとえば車両とこれらとの間でデータ通信をおこなえば、さらに効率よくデータ通信をおこなうことが可能となる。
【0118】
また、本実施例では、車両間において、ナビデータの送信要求や受信要求に対応する分割データを通信する構成として説明したが、データ通信装置は、これらの送信要求や受信要求によらずに、たとえばあらかじめ設定されたシーケンスなどに基づいて、分割データの通信をおこなってもよい。
【0119】
また、ユーザなどによって別途通信ルールを設定し、設定された通信ルールなどに基づいて分割データの通信をおこなうようにしてもよい。このようにすれば、本実施例のナビゲーション装置300におけるデータ通信に際して、より柔軟にユーザの意思を反映させることができるようになる。
【0120】
また、本実施例のナビゲーション装置300では、通信部308によって構成成分などに着目して分割した分割データを通信する構成としたが、これに加えて、たとえばナビデータに付加された識別子や版数などの情報に基づいて分割の優先度を設け、たとえば優先度の高いナビデータを優先的に分割して通信をおこなうようにしてもよい。このようにすれば、優先度の高いナビデータを効率よくデータ転送することが可能となる。
【0121】
また、本実施例のナビゲーション装置300では、通信された分割データを用いて分割前のナビデータを復元し、この復元したナビデータと記録媒体305などに記録(記憶)されているナビデータとを比較して、ナビデータを更新することができる構成としたが、これに加えて、ナビデータの復元をおこなわずに、通信した分割データ単位でその都度データ更新をおこなうようにしてもよい。
【0122】
なお、本実施の形態で説明したデータ通信方法およびデータ更新方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】実施の形態にかかるデータ通信装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態にかかるデータ通信装置のデータ通信処理手順の一例を説明するフローチャートである。
【図3】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4−1】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置を有する車両間におけるデータ通信の概要を示す説明図である。
【図4−2】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置を有する車両間におけるデータ通信の概要を示す説明図である。
【図5−1】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置のデータ通信処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5−2】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置のデータ通信処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置を有する車両間におけるデータ通信の概要を示す説明図である。
【図7】実施例にかかるデータ通信装置を搭載したナビゲーション装置における地図データの構成成分の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0124】
101 記憶部
102,308 通信部
103,309 通信制御部
104 更新部
301 ナビゲーション制御部
302 ユーザ操作部
303 表示部
304 位置取得部
305 記録媒体
306 記録媒体デコード部
307 音声出力部
310 経路探索部
311 経路誘導部
312 音声生成部
313 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されているデータ通信装置であって、
地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを分割した複数の分割データを前記移動体の周囲に存する他の移動体との間で通信する通信手段と、
前記他の移動体からの送信要求に対応する前記分割データを当該他の移動体に対して送信するように前記通信手段を制御するとともに、前記移動体による受信要求に対応する前記分割データを前記他の移動体から受信するように前記通信手段を制御する通信制御手段と、
を備えることを特徴とするデータ通信装置。
【請求項2】
前記ナビゲーションデータを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記通信制御手段は、前記他の移動体からの送信要求に応じて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを分割した前記分割データを送信するように前記通信手段を制御するとともに、前記移動体による受信要求に応じて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータに含まれていない前記分割データを受信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。
【請求項3】
前記移動体は、前記ナビゲーションデータを記憶する記憶手段を具備してナビゲーション処理を実行するナビゲーション装置を搭載しており、
前記通信制御手段は、前記他の移動体からの送信要求に応じて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを分割した前記分割データを送信するように前記通信手段を制御するとともに、前記移動体による受信要求に応じて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータに含まれていない前記分割データを受信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。
【請求項4】
前記通信手段によって受信された分割データを用いて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを更新する更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載のデータ通信装置。
【請求項5】
前記更新手段は、前記分割データを複数用いて分割前の前記ナビゲーションデータを生成し、生成した当該ナビゲーションデータに基づいて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを更新することを特徴とする請求項4に記載のデータ通信装置。
【請求項6】
前記通信制御手段は、前記送信要求または前記受信要求に応じた一回の通信につき少なくとも一つの前記分割データを送信または受信するように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のデータ通信装置。
【請求項7】
前記通信制御手段は、前記移動体と前記他の移動体との距離が所定範囲内にある場合に、当該他の移動体との通信をおこなうように前記通信手段を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のデータ通信装置。
【請求項8】
前記通信手段は、通信に用いる電波の周波数、帯域幅および変調方式の少なくともいずれかを変更しつつ前記分割データの通信をおこなうことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のデータ通信装置。
【請求項9】
前記通信手段は、前記分割データを前記移動体の周囲に存する固定局との間でさらに通信することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のデータ通信装置。
【請求項10】
前記通信制御手段は、前記送信要求に応じて、前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータに含まれている前記地図データを構成する構成成分ごとに当該ナビゲーションデータを分割して前記分割データを生成し、前記通信手段に送信させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載のデータ通信装置。
【請求項11】
移動体に搭載されており、地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを前記移動体の周囲に存する他の移動体との間で通信するデータ通信装置におけるデータ通信方法であって、
前記他の移動体からの送信要求に応じて、記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを分割して複数の分割データを生成する工程と、
生成した前記複数の分割データを前記他の移動体に対して送信する工程と、
を含んだことを特徴とするデータ通信方法。
【請求項12】
地図データを含むナビゲーション処理に必要なデータであるナビゲーションデータを記憶する記憶手段を備え、当該ナビゲーションデータを用いてナビゲーション処理を実行する移動体に搭載されているナビゲーション装置におけるデータ更新方法であって、
前記移動体の周囲に存する他の移動体に対し、前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを更新するための更新データを要求する工程と、
前記要求に応じて前記他の移動体が送信した前記更新データが分割された分割データを受信する工程と、
受信した前記分割データを用いて前記記憶手段に記憶されている前記ナビゲーションデータを更新する工程と、
を含んだことを特徴とするデータ更新方法。
【請求項13】
請求項11に記載のデータ通信方法をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ通信プログラム。
【請求項14】
請求項12に記載のデータ更新方法をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ更新プログラム。
【請求項15】
請求項13に記載のデータ通信プログラムまたは請求項14に記載のデータ更新プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−87069(P2007−87069A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274460(P2005−274460)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】