説明

データ通信装置

【目的】 中継依頼局から通知された着信局を中継局が自身の中継情報記憶部に記憶することにより、中継ルートの作成を容易化できるデータ通信装置を提供することを目的としている。
【構成】 中継依頼局としてのファクシミリ装置は、その通信制御部17を通知部として、所望の着信局を中継局に通知する。この場合、着信局のデータ(例えば局番等)は操作表示部18を通して入力され、システム制御部20によってファクシミリ伝送に適合するデータ型式に変換されて、中継局に通知される。一方、着信局を通知された中継局としてのファクシミリ装置にあって、システム制御部20は記憶制御部として、前記中継依頼局から通知された着信局を中継情報記憶部22に記憶する。この結果、中継ルートを中継依頼局の操作により中継局に登録することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は中継機能を有するファクシミリ装置等のデータ通信装置に関し、特に中継ルートの設定を容易化するデータ通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ファクシミリ装置や電子メール等のデータ通信装置が多用されているが、このデータ通信装置たとえばファクシミリ装置は、ある局(中継依頼局)から発信されたファクシミリ電文を所定の中継局により順次中継して末端の局(着信局)に配信する機能いわゆる中継同報機能を備えたものがある。
【0003】従来のこの種のファクシミリ装置としては、例えば特開平2−82839号公報、特開平2−96457号公報、あるいは特開平2−125543号公報等に記載されたものがある。中継局としてのファクシミリ装置には中継情報記憶部が備えられており、この中継情報記憶部に配信先の中継局や着信局を予め記憶しておくことにより、中継ルートを設定登録することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のデータ通信装置にあっては、情報発信局である中継依頼局において例えば多段の中継ルートを作成しようとしても、中継依頼局から中継局となる装置に中継ルートすなわち配信先の着信局を設定登録することができず、中継局となる装置毎にその中継ルートを設定登録する操作が必要であったため、中継ルートの作成が困難であった。
【0005】そこで、請求項1記載の発明は、中継依頼局から通知された着信局を中継局が自身の中継情報記憶部に記憶することにより、中継ルートの作成を容易化できるデータ通信装置を提供することを目的としている。次に、従来のデータ通信装置にあっては、一度作成した中継ルートを変更、削除する場合であっても、前述したように中継局に記憶されている着信局の設定を変更しなければならないため、中継ルートを変更する際に迅速に対応できなかった。
【0006】そこで、請求項2記載の発明は、中継依頼局から通知された着信局によって中継局が自身の記憶内容を変更することにより、中継ルートの変更を容易化できるデータ通信装置を提供することを目的としている。次に、従来のデータ通信装置にあっては、例えば多段中継等の中継ルートを作成した場合、その作成者が作図する等の手段で中継ルートを他のユーザーに伝えていたが、前記請求項1または2記載の発明によって中継依頼局の主導により中継局に中継ルートの設定登録が可能になると、新たに設定登録された中継ルートを中継依頼局のユーザーすなわち作成者が確認したいという欲求が当然に考えられる。
【0007】そこで、請求項3記載の発明は、中継依頼局から着信局を通知されて中継ルートの設定登録が行われた中継局が中継依頼局に対してルートのレポートを返送するにことにより、多段等の中継ルートの理解の助けとなる情報を中継依頼局側のユーザーに対して通知できるデータ通信装置を提供することを目的としている。次に、前記請求項1または2記載の発明によって中継依頼局の主導により中継局に中継ルートの設定登録が可能になると、中継局のユーザーにとっては意識外で勝手にルートを設定されたという感は否めず、また設定ルートを確認することもできない。
【0008】そこで、請求項4記載の発明は、中継依頼局から着信局を通知されて中継ルートの設定登録が行われた中継局のユーザーに対してその事実を報知することにより、中継依頼局の主導による中継ルートの設定登録を中継局のユーザーが認識できるデータ通信装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、情報発信局である中継依頼局と、この中継依頼局から発信された情報を中継する中継局と、この中継局を少なくとも1つ以上介して前記中継依頼局から発信された情報を最終的に着信する着信局と、を設けた中継同報ネットワークにあって、前記中継局として後段の中継局をも含む着信局を記憶する中継情報記憶部を備えたデータ通信装置において、前記中継依頼局にあって所望の着信局を中継局に通知する通知部と、この中継依頼局から通知された着信局を中継局にあって前記中継情報記憶部に記憶する記憶制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】また、請求項2記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1記載のデータ通信装置において、中継局にあって中継情報記憶部の記憶内容を中継依頼局から通知された着信局によって変更する変更制御部を備えたことを特徴とする。また、請求項3記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1または2記載のデータ通信装置において、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートを作成するレポート作成部と、作成されたレポートを前記中継依頼局に返送する返送部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】また、請求項4記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1または2記載のデータ通信装置において、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートを作成するレポート作成部と、作成されたレポートを中継局自身のユーザーに報知する報知部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
【作用】上記構成を有する請求項1記載の発明においては、中継依頼局にあって通知部から所望の着信局を中継局に通知し、この中継依頼局から通知された着信局を中継局にあって記憶制御部が中継情報記憶部に記憶する。また、上記構成を有する請求項2記載の発明においては、中継局にあって変更制御部が中継情報記憶部の記憶内容を中継依頼局から通知された着信局によって変更する。
【0013】また、上記構成を有する請求項3記載の発明においては、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートをレポート作成部により作成し、作成されたレポートを返送部によって中継依頼局に返送する。また、上記構成を有する請求項4記載の発明においては、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートをレポート作成部により作成し、作成されたレポートを報知部によって中継局自身のユーザーに報知する。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。図1は請求項1〜4いずれかに記載された発明の一実施例に係るデータ通信装置としてのファクシミリ装置を示すブロック構成図である。まず、構成を説明する。図において、スキャナ11は、原稿読取装置であり、原稿画像から所定解像度の画情報を読み出す。プロッタ12は、印字部としての記録装置であり、画情報を記録紙に記録する。符号化・復号化部13は、送信する画情報を符号化し、また受信した画情報を復号化する。画像メモリ14は、蓄積部として受信ファイルを蓄積するためのものであり、蓄積された受信ファイルは前記プロッタ12によってその画情報が印字出力される。また、蓄積送信の場合には前記スキャナ11で読み取った送信原稿の画情報が画像メモリ14に一旦蓄積され、蓄積された送信ファイルが受信局に対して送信される。なお、画像メモリ14には、規定フォーマットに変換されたジョブファイルのデータも蓄積される。
【0015】網制御部15は、回線の捕捉、発信先電話番号である選択信号の送出、または着信の検出等を行い、所定の発呼動作および着信動作を制御する。モデム16は、画情報を変復調して伝送すると共に、伝送制御手順における各種手順信号を伝送する。通信制御部17は、前記網制御部15とモデム16を制御して、CCITT(国際電信電話諮問委員会)勧告による例えばG3規格に準拠した所定の伝送制御手順によりファクシミリ伝送を実現する。
【0016】操作表示部18は、操作ガイダンス等を表示する表示装置や、そのガイダンスに従って、このファクシミリ装置に所定の送受信処理を実行させるための各種操作キーが設けられている。登録・送信管理情報記憶部19は、登録情報、ジョブファイル格納用のRAMエリアであり、例えば頻繁に交信を行う相手先の発呼番号と識別情報(例えばRTI/CSI等)を対応させて登録する。システム制御部20は、CPU、ROM、RAM等で構成され、上記各部を制御してファクシミリ装置の所定の動作を実現するマイクロコンピュータである。システムバス21は、上記各部間でやり取りされるデータの信号ラインである。
【0017】中継情報記憶部22は、中継局として後段の中継局をも含む着信局を記憶するもので、この着信局はその局番と共に、その着信先の情報(名称や部課名等)が登録される。なお、着信局の設定登録は前記操作表示部18を通して行われ、その際に着信局をグループ指定するグループ番号を対応させて記憶することができる。
【0018】レポート作成部23は、前記中継情報記憶部22に設定登録された着信局を基に中継ルートを把握し、中継ルートを作図したレポート、あるいは着信局を一覧表にしたレポート等を作成する。上記構成を有する請求項1記載の実施例において、中継依頼局としてのファクシミリ装置は、その通信制御部17を通知部として、所望の着信局を中継局に通知する。この場合、着信局のデータ(例えば局番等)は操作表示部18を通して入力され、システム制御部20によってファクシミリ伝送に適合するデータ型式に変換されて、中継局に通知される。一方、着信局を通知された中継局としてのファクシミリ装置にあって、システム制御部20は記憶制御部として、前記中継依頼局から通知された着信局を中継情報記憶部22に記憶する。ここで、中継依頼局から中継局に通知される着信局の数は、1つでも複数でもよく、また着信局にグループ番号を付加することにより、グループ分けした中継ルートを一括して設定登録することができる。
【0019】次に、請求項2記載の実施例において、中継局としてのファクシミリ装置は、そのシステム制御部20を変更制御部として、中継依頼局から通知された着信局によって、中継情報記憶部22に既に記憶されている内容を変更する。すなわち、中継依頼局から中継局に通知される着信局に追加、削除等の識別子を付加することにより、前記変更制御を実現する。
【0020】次に、請求項3記載の実施例において、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあっては、レポート作成部23により中継情報記憶部22の記憶内容すなわち新規または変更にかかわらず中継ルートに関するレポートを作成する。レポート作成部23により作成されたレポートは、システム制御部20によって画情報として画像処理された後、通信制御部17を返送部として前記中継依頼局に返送される。なお、着信局通知時に限らず、任意時に中継情報記憶部22の記憶内容を中継局から中継依頼局に通知することも可能である。
【0021】次に、請求項4記載の実施例において、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあっては、前記レポート作成部23により作成されたレポートを、例えば操作表示部18のLCDパネルまたはプロッタ12を報知部として、中継局自身のユーザーに報知する。次に、作用を説明する。
【0022】図2は中継同報ネットワークの構成例を示す図であり、同図(a)は中継局が1:1で連結している中継ルートを示し、同図(b)は中継局が1:多で連結している中継ルートを示す。以下、図2(a)に示す中継ルートの作成手順の流れを通して、図1に示すファクシミリ装置における作用を説明する。
【0023】図2(a)に示す中継同報ネットワークにおいては、中継依頼局Aを情報発信局とし、この中継依頼局Aから発信された情報を中継局B、Cによって中継する。中継局B、Cを介して前記中継依頼局Aから発信された情報を最終的に着信局D〜Fに着信する。ここで、中継依頼局Aのユーザーは、予め中継ルートを構成する各ファクシミリ装置B〜Fの局番を知っているものとする。また、中継ルートを構成する中継局は全て中継ルート作成機能すなわちレポート作成部23を有するものとする。
【0024】(1)まず、中継依頼局Aは作成する中継ルート内の最後の中継局Cに対して着信局番(D〜F)を通知する。
(2)中継局Cは、中継依頼局Aより通知された着信局番D〜Fを、自機の中継情報記憶部22に記憶する。このとき、着信局番D〜Fに対応するワンタッチダイヤル番号や短縮番号を、登録・送信管理情報記憶部19から検索する。ここで、同じ着信局番D〜Fが既に登録されている場合は新たな登録処理を行わないが、未登録の着信局番D〜Fに関しては、空いているワンタッチダイヤル番号や短縮番号に対応させて新規登録し、登録したワンタッチ若しくは短縮の番号を確保する。なお、中継情報記憶部22に記憶する着信局番D〜Fは、局番そのものであっても、また登録したワンタッチ若しくは短縮の番号いずれであっても構わない。
【0025】(3)次に、中継局Cは中継依頼局Aに対して返送する中継ルートのレポートをレポート作成部23によって作成すると共に、このレポートを中継依頼局Aに返送する際に、前記(2)で登録・送信管理情報記憶部19に確保したワンタッチ、短縮等の登録番号情報をも中継依頼局Aに通知する。ここで、中継局Cのレポート作成部23は、確保してある着信局の登録されたワンタッチ若しくは短縮、グループの番号等を利用してレポートを作成し、通信制御部17をしてレポートを中継依頼局Aに送出する。
【0026】(4)レポートを受信した中継依頼局Aは、中継局Cより通知された登録番号情報を自機の中継情報記憶部22および登録・送信管理情報記憶部19に記憶しておき、これらの登録番号と中継局Cの局番を次の中継局Bに通知する。
(5)中継局Bは、通知された中継局Cの局番を同報局番として、自機の中継情報記憶部22および登録・送信管理情報記憶部19に登録する。そして、中継局Cに登録した着信局番D〜Fの登録番号は、同じく登録・送信情報管理記憶部19の空いているグループの一つに登録する。
【0027】(6)次に、中継局Bは中継依頼局Aに対して、中継ルート作成レポートを返送する。ここで、中継局Bのレポート作成部23は、確保してある着信局の情報を登録したグループの番号を利用してレポートを作成し、通信制御部17をしてこのレポートを中継依頼局Aに送出する。このとき、中継局Bは、着信局(中継局Cをも含む着信局D〜F)を登録・送信情報管理記憶部19にグループとして登録した際のグループ番号データも一緒に通知する。
【0028】この中継局Bから中継依頼局Aに送出されるレポートは、図2(a)に示した中継ルートの全体像を示すものであり、レポートを中継依頼局Aが受け取ることにより、中継依頼局Aを中心とした中継ルートの作成は完了となる。以下、図3の通信フローを参照しながら上記中継ルート作成動作を説明する。図3は中継ルート作成時の通信フローを示す図であり、同図(a)は中継依頼局Aから中継局Cへの着信局通知フロー、同図(b)は中継局Cから中継依頼局Aへのレポート返送フロー、同図(c)は中継依頼局Aから中継局Bへの着信局通知フロー、同図(d)は中継局BCから中継依頼局Aへのレポート返送フローを示す。
【0029】まず、中継依頼局Aの操作表示部18から着信局D〜Fの局番を入力する。続いて同じく操作表示部18から着信局D〜Fに最も近い中継局Cの局番が入力されると、中継局Cに対して発呼が行われる。この発呼によるコーリング・トーンCNGを、図3(a)に示すように、中継局Cが受け付けると、中継局Cから中継依頼局Aに対して非標準機能識別信号NSF(Non-Standard Facilities)を返す。
【0030】非標準機能識別信号NSFを受けた中継依頼局Aは、中継局Cに対して非標準機能設定信号NSS(Non-Standard Facilities Set-up)を送出する。この際、中継依頼局Aは、操作表示部18から入力された着信局番データ(D〜F)を、NSSフレーム中に組み込んで中継局Cに通知する。中継局CはNSSフレーム中から解析した着信局番を中継情報記憶部22に記憶する。このとき、NSSフレーム中から解析した着信局番にグループ番号が指定されている場合は、このグループ番号も前記着信局番に対応させて中継情報記憶部22に記憶する。
【0031】また、着信局番は登録・送信管理情報記憶部19によってグループ番号毎に登録管理される。これにより発呼時すなわち中継同報時にグループ番号の指定のみで、グループ管理されている全ての着信局に順次発呼が行われる。ただし、グループ指定が無かった場合は、着信局番をワンタッチ若しくは短縮の番号に登録し、この登録番号を確保する。これにより中継同報時にはワンタッチ若しくは短縮の番号を用いて全ての着信局に順次発呼が行われる。
【0032】上記したように、着信局番を中継情報記憶部22に記憶すると、中継局Cは中継依頼局Aに対してメッセージ確認信号MCF(Message Confirmation)を送信し、中継依頼局Aから切断命令信号DCN(Disconnect)を受けた後に回線を切断して、中継依頼局Aから中継局Cへの着信局通知フローを終了する。次に、中継局Cは、図3(b)に示すように、中継依頼局Aに対して中継ルート作成レポートを返送するため発呼する。ここで、中継局Cのレポート作成部23は、中継情報記憶部22の着信局番および登録・送信管理情報記憶部19に確保してある着信局の登録番号すなわちワンタッチ若しくは短縮の番号を利用してレポートを作成し、中継依頼局Aに送信する。
【0033】このために、中継局Cはコーリング・トーンCNGに対して中継依頼局Aから応答された非標準機能識別信号NSFを受信し、非標準機能設定信号NSSおよびトレーニングチェックTCF(Training Check)を送出する。このとき、中継局Cの送信するNSSコードの中には、着信局を登録したワンタッチ、短縮等の登録番号データが組み込んである。
【0034】非標準機能設定信号NSSを受けた中継依頼局Aから受信準備確認信号CFRが送出されると、中継局Cは前記レポート作成部23により作成された中継ルートのレポートを画情報PIXとして中継依頼局Aに送信する。レポート情報PIXの送信が終了すると、中継局Cは手順終了信号EOP(End of Procedures)を送信する。
【0035】手順終了信号EOPを送出すると、中継局Cは中継依頼局Aからのメッセージ確認信号MCFを待って、切断命令信号DCNを送出し、中継局Cから中継依頼局Aへのレポート返送フローを終了する。一方、レポートを受信した中継依頼局Aは、中継局CのNSSコードより解析した着信局番が登録してある登録番号を、自機の登録・送信管理情報記憶部19および中継情報記憶部22に記憶しておき、レポート受信終了・回線切断後、操作表示部18に他の中継局番を受け付ける入力指示待ちである旨を表示する。本実施例では、図2(a)に示すように、中継局C以外の中継局Bが存在するため、ユーザーは操作表示部18から中継局Bの局番を入力する。
【0036】すなわち、図3(c)に示すように、操作表示部18より中継局番Bの入力を受けた中継依頼局Aは、コーリング・トーンCNGを発して中継局Bに発呼する。同時に、中継情報記憶部22より、中継局Bの局番に対応するグループが存在するかどうかを検索する。対応するグループが存在する場合はそのグループの番号を、また存在しない場合は新規である旨を、それぞれNSSフレームに組み込み、中継局Bからの非標準機能識別信号NSFを受けたら、この非標準機能識別信号NSFを送出する。もちろん、この非標準機能識別信号NSFには、中継局Cの局番および登録番号(中継局Cに登録された着信局D〜Fのワンタッチ、短縮の登録番号)も同時に組み込まれている。
【0037】中継局Bの通信制御部17は受信したNSSコードを解析し、グループの指定が有る場合は指定されたグループに、新規の指定の場合は空いているグループに、NSSから得た中継局Cの局番と着信局D〜Fの登録番号をそれぞれ、中継局番、着呼転送の宛先として登録する。処理が終わると、中継局Bは中継依頼局Aに受信準備確認信号CFRを返す。受信準備確認信号CFRを受けた中継依頼局Aは、切断命令信号DCNを送出して回線を切断し、中継依頼局Aから中継局Bへの着信局通知フローを終了する。
【0038】次に、中継局Bは、図3(d)に示すように、中継依頼局Aに対して中継ルート作成レポートを返送するため発呼する。ここで、中継局Bのレポート作成部23は、中継情報記憶部22の着信番号および登録・送信管理情報記憶部19に確保してある着信局の情報が登録されたグループ番号を利用してレポートを作成し、中継依頼局Aに送出する。
【0039】このために、中継局Bはコーリング・トーンCNGに対して中継依頼局Aから応答された非標準機能識別信号NSFを受信し、非標準機能設定信号NSSおよびトレーニングチェックTCF(Training Check)を送出する。このとき、中継局Bの送信するNSSコードの中には、着信局を登録したグループの番号データが組み込んである。
【0040】非標準機能設定信号NSSを受けた中継依頼局Aから受信準備確認信号CFRが送出されると、中継局Bは前記レポート作成部23により作成された中継ルートのレポートを画情報PIXとして中継依頼局Aに送信する。レポート情報PIXの送信が終了すると、中継局Bは手順終了信号EOPを送信する。手順終了信号EOPを送出すると、中継局Bは中継依頼局Aからのメッセージ確認信号MCFを待って、切断命令信号DCNを送出し、中継局Cから中継依頼局Aへのレポート返送フローを終了する。
【0041】中継局Bの非標準機能設定信号NSSに組み込まれたグループ番号は中継依頼局Aの所定記憶部に記憶され、また画情報PIXとして受信したレポートをプロッタ12をして印字出力すれば、図2(a)に示す中継ルートを目視により確認することができる。また、中継依頼局Aは中継時、グループを指定して中継局Bに発呼を行えば、図2(a)の多段中継が可能となる。
【0042】なお、中継局Bと中継局C間の中継ルート作成時すなわち中継局Bに対する中継ルート作成処理時にのみ、中継依頼局Aが中継局Bに対して対応するグループを中継情報記憶部22より検索する。着信局D〜Fと中継局C間の中継ルート作成時すなわち中継局Cに対する中継ルート作成処理時には、上述の検索課程は必要ない。言い替えると中継局番をNSSコードに入れ込まない時は中継情報記憶部22の検索は不要である。
【0043】以上は図2(a)を参照して中継ルートが中継局B、C間で1:1に対応している場合のルート作成処理を説明したが、図2(b)に示すように中継局Bと中継局およびD間が1:多の中継ルートを作成する場合は、■と■の2つの範囲にグループ分けすることによって、上と同じ手順で中継ルート作成が可能である。すなわち、中継局間で1:1で接続していない部分から先を分けて処理する。
【0044】このように、請求項1記載の実施例においては、中継ルート作成時の設定を中継依頼局Aからの操作で行えるため、中継局B、Cのユーザーの手を煩わせることが無い。また、請求項2記載の実施例においては、着信局、中継局の追加処理を先述した手順に従って行うことができ、さらに中継ルート削除用のビットを非標準機能設定信号NSS内にアサインすることにより、中継依頼局Aから指示された中継局番または着信局番を、中継情報記憶部22および登録・送信管理情報記憶部19を通して削除することができ、中継ルートの変更に迅速に対応できる。なお、指定の順序は中継ルート作成の手順と同じである。
【0045】次に、請求項3記載の実施例においては、追加若しくは新規に登録されたグループ、ワンタッチ、短縮の番号と登録内容を、レポート作成部23により中継レポートとして作成し、作成された中継ルートを中継依頼局Aでレポートとして確認できるので、多段等の中継ルートの理解を容易化できる。なお、ワンタッチ、短縮の登録時、若しくはグループの登録時、全て登録済みのために新規に追加、または登録ができなかった場合もレポートに記載することができる。
【0046】次に、請求項4記載の実施例においては、中継依頼局Aから中継ルート作成処理を受けた結果、ワンタッチ、短縮、グループ等に登録処理がなされた場合、その中継局で通信制御部17がその旨を操作表示部18のLCD上に表示したり、またはレポート作成部23によって作成されたレポートを自機のプロッタ12によって印字出力できるので、中継依頼局Aの主導による中継ルートの作成処理を中継局のユーザーが認識できる。
【0047】なお、以上の実施例ではファクシミリ装置を例示したが、本発明は他に電子メールやテレビ会議システム等のデータ通信装置に適用可能である。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明に係るデータ通信装置によれば、中継依頼局にあって通知部から所望の着信局を中継局に通知し、この中継依頼局から通知された着信局を中継局にあって記憶制御部が中継情報記憶部に記憶するので、中継ルート作成時の設定を中継依頼局からの操作で行うことができ、中継局のユーザーの手を煩わせることが無い。
【0049】また、請求項2記載の発明に係るデータ通信装置によれば、中継局にあって変更制御部が中継情報記憶部の記憶内容を中継依頼局から通知された着信局によって変更するので、中継ルートの変更に迅速に対応できる。また、請求項3記載の発明に係るデータ通信装置によれば、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートをレポート作成部により作成し、作成されたレポートを返送部によって中継依頼局に返送するので、作成された中継ルートを中継依頼局でレポートとして確認でき、多段等の中継ルートの理解を容易化できる。
【0050】また、請求項4記載の発明に係るデータ通信装置によれば、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートをレポート作成部により作成し、作成されたレポートを報知部によって中継局自身のユーザーに報知するので、中継依頼局の主導による中継ルートの作成処理を中継局のユーザーが認識できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜4いずれかに記載された発明の一実施例に係るデータ通信装置としてのファクシミリ装置を示すブロック構成図である。
【図2】中継同報ネットワークの構成例を示す図であり、同図(a)は中継局が1:1で連結している中継ルートを示し、同図(b)は中継局が1:多で連結している中継ルートを示す。
【図3】中継ルート作成時の通信フローを示す図であり、同図(a)は中継依頼局Aから中継局Cへの着信局通知フロー、同図(b)は中継局Cから中継依頼局Aへのレポート返送フロー、同図(c)は中継依頼局Aから中継局Bへの着信局通知フロー、同図(d)は中継局BCから中継依頼局Aへのレポート返送フローを示す。
【符号の説明】
12 プロッタ(報知部)
17 通信制御部(通知部、返送部)
18 操作表示部(報知部)
19 登録・送信管理情報記憶部
20 システム制御部(記憶制御部、変更制御部)
22 中継情報記憶部
23 レポート作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】情報発信局である中継依頼局と、この中継依頼局から発信された情報を中継する中継局と、この中継局を少なくとも1つ以上介して前記中継依頼局から発信された情報を最終的に着信する着信局と、を設けた中継同報ネットワークにあって、前記中継局として後段の中継局をも含む着信局を記憶する中継情報記憶部を備えたデータ通信装置において、前記中継依頼局にあって所望の着信局を中継局に通知する通知部と、この中継依頼局から通知された着信局を中継局にあって前記中継情報記憶部に記憶する記憶制御部と、を備えたことを特徴とするデータ通信装置。
【請求項2】請求項1記載のデータ通信装置において、中継局にあって中継情報記憶部の記憶内容を中継依頼局から通知された着信局によって変更する変更制御部を備えたことを特徴とするデータ通信装置。
【請求項3】請求項1または2記載のデータ通信装置において、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートを作成するレポート作成部と、作成されたレポートを前記中継依頼局に返送する返送部と、を備えたことを特徴とするデータ通信装置。
【請求項4】請求項1または2記載のデータ通信装置において、中継依頼局から着信局を通知された中継局にあって、中継情報記憶部の記憶内容に関するレポートを作成するレポート作成部と、作成されたレポートを中継局自身のユーザーに報知する報知部と、を備えたことを特徴とするデータ通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平5−327981
【公開日】平成5年(1993)12月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−132926
【出願日】平成4年(1992)5月26日
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)