説明

データ配信および受信システム

【課題】同一番組の月極め契約、前払い契約のサービスをほぼ同じシステムで構成し、月極め契約のシステムで運用の限定受信方式との上位互換性を保つ。
【解決手段】受信側設備20に設けられ、受信したデータの利用可否判定を依頼するデータ利用可否設定手段22およびデータ利用要求手段25と、データ利用制御設備30に設けられ、前記依頼に基づいてデータ利用可否判定を行うデータ利用可否判定手段31と、その判定結果を受信側設備20に返すデータ利用許可情報生成発行手段32と、どのデータに対するデータ利用許可情報であるかを特定するデータ特定情報を前記受信側設備20に配信するデータ特定情報生成発行手段33と、前記受信側設備20に設けられ、前記配信されたデータ利用許可情報およびデータ特定情報を受信し、それらを突合せ、利用許可がある場合のみ前記データを利用可能とするデータ利用許可情報確認手段26と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送あるいは同報型で映像、音声、電子プログラムなどを含むデータを、不特定の複数の受信装置の中からある特定の条件を満たす複数の受信装置に対して同時にデータ配信するにあたり、配信時刻前あるいは配信中に条件判定を行い、データ利用制御を効率的に実施するためのデータ配信および受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の放送システム(非特許文献1、非特許文献2)において、有料番組の視聴形態は、ある特定のチャンネルの視聴を都度契約する場合と、ある特定のチャンネルの特定の番組あるいは時間帯のみを契約する視聴形態に大別できる。後者は、主にペイ・パー・ビュー: PPVと呼ばれており、視聴契約の時期により、前払い方式と後払い方式に分類することができる。後払い方式は、国内放送として商用利用されたことがある。
【0003】
後払い方式では、受信機に視聴者の利用(視聴)履歴を保存しておき、後から、月単位あるいは、利用(視聴)履歴の保存量の上限に達した場合などに予め接続された通信回線を利用して、利用(視聴)履歴を送信側設備に返却し、その後視聴者に課金する。
【0004】
後払い方式では、データの利用(例えば、コンテンツの視聴)のタイミングと利用(視聴)履歴を収集する時期が異なるために、通信回線を未接続の場合には、利用(視聴)履歴の収集ができない。その結果、放送事業者では視聴料金の請求に時間がかかったり、請求できなかったり、視聴者側では利用(視聴)履歴保存量の上限に達していることに気づかずに、PPVを視聴しようとしたときに、それ以上PPVの購入ができず、その状況になってから、通信回線を接続するなどの作業をしている間にそのPPV視聴のタイミングを逃してしまうことが生ずる(非特許文献1)。
【0005】
なお、収集されるまで受信機に保存しておく利用(視聴)履歴は、不正に一部または全部が消去あるいは改竄されてしまうと、実際の利用(視聴)と利用(視聴)履歴に差が生じ正確に把握することができなくなる。
【0006】
ICカードはサービスオペレーションコストを低廉化する観点から、低コストで製造できるように工夫されている。ICカードは故障や破損などのために交換が可能となっている。PPVが上限に達した場合、そのPPV視聴分の料金を支払うより、新規にICカードを再発行してもらう方が安いとするならば、通信回線は接続せず、PPVが上限に達したら、ICカードを交換しようと考える可能性がある。このようなことを防ぐためにも、コンテンツ配信前に利用者の支払い意思を確認し、課金を可能にすることが望ましい。
【0007】
さらに、事前に支払い意思を確認して購入した場合には、配信時間変更により、事前に支払い意思を明確化していた利用者がコンテンツを利用できなくなるようなことは極力避ける工夫が必要である。
【0008】
加えて、番組を有料で視聴する場合、利用者の観点からは、視聴候補の番組が利用者が期待する内容かを確認するためにプレビューの機能を有する場合がある。このプレビュー機能には、配信される番組の特性に応じて、プレビュー可能な時間に加えて、プレビューの回数も制御する必要がある。
【0009】
以上のように、配信番組を特定するために、配信時間帯と配信データ識別情報を利用することが有効である。
【0010】
一方前払い方式については、視聴契約を事前に結ぶために、電話でのオペレータや通信回線を接続していることが必要となるため、放送事業者のオペレーションコスト、視聴者側の通信回線準備の観点から運用されていなかった。
【0011】
しかしながら、近年ブロードバンドの低廉化が進み、通信回線を利用して動画配信を行うIPTV、CATV、携帯電話では、常時通信回線接続が予め確保できているため、今後は前払い方式のメリットが大きいと考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「デジタル放送におけるアクセス制御方式」、電波産業会ARIB STD−B25 5.1版 平成21年3月18日 5.1改定、第1部 受信時の制御方式(限定受信方式)3.2.3 ECM、pp.22〜24、第1部 受信時の制御方式(限定受信方式)4.2.4.3 PPV視聴予約処理、pp.49〜51
【非特許文献2】「デジタル放送ハンドブック」、オーム社、2003年6月、第8編 限定受信・著作権保護方式、第4章 受信の制御と課金方式、pp.292〜298
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、常時通信回線接続が予め確保できる環境における、放送あるいは同報によるデータ配信サービスにおいて、特に有料サービスでの前払い方式を実現するにあたり、受信機側の利用(視聴)履歴の保存領域確保や利用(視聴)履歴の未回収による視聴料金の請求漏れや視聴契機を逃すなどのトラブルを未然に防ぐことができる方式を提案することにある。
【0014】
また、ビジネス機会を増やすために、同一番組の月極め契約、前払い契約の両方サービスをほぼ同じシステムで構成できるように、月極め契約におけるシステムで運用されている限定受信方式との上位互換性を保つことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
PPVは通常有料サービスとして行われるため、確実に販売証跡をサービス提供者に残すことが可能なことが重要になる。そこで本発明では、視聴前の番組視聴意思を明確にしたときに販売証跡を取ることができるように前払いPPVを採用する。それに伴い、前払いPPVの長所は活かし下記の課題を解決するように構成した。通信路におけるマルチメディアデータの配信と、放送によるマルチメディアデータの配信の両者に適用できることから、放送の例にて説明を記載する。
(1)従来放送に容易に拡張可能なこと(現行規格を極力踏襲する)。
(2)番組予約(同時間帯の重複番組予約時の利用者への適切なガイド等も含む)ができること。
(3)放送時刻の変更に追従できること。
(4)同一コンテンツで複数の販売形態をとれること(例えば、PPV番組、PPD(ペイ・パー・デー)、月額契約サービスを混在できること)。
(5)番組開始後に購入が可能なこと(プレビュー機能を実現できること)。
【0016】
現行デジタル放送の視聴制御は、放送の前に契約条件を個々の受信機に向けて制御するEMM(Entitlement Management Message)と、放送中に放送コンテンツと同期し制御するECM(Entitlement Control Message)がある。そこで、
A)前記課題(1)及び(4)を解決するために、EMM、ECMの月額契約情報とは別領域にPPV用拡張を行い、視聴者が購入希望するPPV番組の視聴依頼に基づき(有料の場合はこの時点で、販売証跡を残す)、個々の受信機に対して視聴許可をEMMにて指示を出すように構成した。
B)前記課題(3)を解決するために、PPV番組に同期したECMにてPPV番組を識別するために、データ配信識別情報(番組ID)、及び、放送時刻を用いる。
C)前記課題(2)を解決するために、番組予約の同時間帯の重複番組予約時の回避、特別番組の割り込み等による放送時間帯の変更への追従、放送終了が放送開始時に確定できない番組へのほぼ実時間での放送時間変更に追従ができるようにECMに最新の放送終了時刻を含ませる。
D)前記課題(5)を解決するために、PPV用拡張領域にプレビュー機能制御情報を含ませる。
【発明の効果】
【0017】
(1)請求項1〜9に記載の発明によれば、常時通信回線接続が予め確保できる環境における、放送あるいは同報によるデータ配信サービスにおいて、特に有料サービスでの前払い方式を実現するにあたり、受信機側の利用(視聴)履歴の保存領域確保や利用(視聴)履歴の未回収による視聴料金の請求漏れや視聴契機を逃すなどのトラブルを未然に防ぐことができる。
【0018】
また、同一番組の月極め契約、前払い契約の両方サービスをほぼ同じシステムで構成でき、月極め契約におけるシステムで運用されている限定受信方式との上位互換性を保つことができる。
(2)請求項3〜5に記載の発明によれば、従来放送に容易に拡張することができる(現行規格を極力踏襲することができる)。すなわち、視聴者からの、購入希望PPV番組の視聴依頼に基づき、個々の受信機に対して視聴許可をEMMにて指示を出すことができ、現在の有料放送方式に影響を与えることなく(つまり、上位互換で)前払いでのPPVを実現することができる。
(3)請求項6に記載の発明によれば、放送時刻が変更になっても購入した番組の視聴が可能(追従可能)となる。
(4)請求項7、8に記載の発明によれば、特別番組の割り込みや放送開始時に放送終了時刻を確定できない番組があった場合であっても、同時間帯の重複番組予約時の利用者への適切なガイド等も含めた番組予約が可能となる。
(5)請求項9に記載の発明によれば、番組開始後に購入することができる(すなわちプレビュー機能を実現することができる)。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1のシステム構成図。
【図2】本発明の実施例1の動作の概要を示すフローチャート。
【図3】本発明の実施例1におけるEMMの構成例を示す説明図。
【図4】本発明の実施例1におけるECMの構成例を示す説明図。
【図5】本発明の実施例1におけるEMM,ECM内の都度契約情報を示す説明図。
【図6】本発明の実施例2におけるEMMの構成例を示す説明図。
【図7】本発明の実施例2におけるECMの構成例を示す説明図。
【図8】本発明の実施例2のシステムの全体構成図。
【図9】図8における受信機能ブロックの詳細構成図。
【図10】本発明の実施例2の動作の要部を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
本発明の最も典型的かつ効果がある技術分野は、放送をはじめとするIPTV、CATV、携帯電話向け動画配信システムである。
【0022】
配信システムは、放送サービスや同報型通信サービスの送出側のデータ等(音声、映像等のコンテンツ、静止画、データ、プログラムなどのマルチメディアデータ)に対応することができ、同時に複数の受信装置に向けたサービスをする場合を想定する。
【0023】
有料で行われる配信サービスでは、月額の自動契約更新型の契約と、数日〜数時間あるいは、データ単位の都度契約型に区分けすることができ。本発明は、どちらにも適用可能であるが、特に後者の都度契約により適しているため、後者の例で説明する。
【0024】
図1は、本発明を適用した実施例1のシステム構成図である。図1において、10は送信側設備、20は受信側設備、30はデータ利用制御設備であり、これらは図示省略のネットワークを介して接続されている。
【0025】
送信側設備10は、データ配信時刻情報(例えば電子番組表(EPG))を受信側設備20に配信するデータ配信時刻情報配信手段11と、前記データ配信時刻情報に基づいてデータ(コンテンツ)を受信側設備20に配信するデータ配信手段12を備えている。
【0026】
前記データ配信時刻情報配信手段11は、データの配信スケジュールを予め受信側設備20で認識できるように当該データとの契約が可能になる時点を目安として配信する。
【0027】
受信側設備20に設けられた21は、前記データ配信時刻情報配信手段11から配信されたデータ配信時刻情報を受信するデータ配信時刻情報受信手段である。
【0028】
22はデータを利用するか否かを決めるデータ利用可否設定情報を設定するデータ利用可否設定手段である。
【0029】
23は前記データ配信手段12から配信されたデータを受信するデータ受信手段である。
【0030】
24は前記受信したデータを利用するデータ利用手段である。
【0031】
25は、前記データ利用可否設定手段22によって設定されたデータ利用可否設定情報を用いて、受信側設備外、例えばデータ利用制御設備30でデータ利用許可を判定するために、該データ利用可否設定情報を前記データ利用制御設備30に転送するデータ利用要求手段である。
【0032】
26は、データ利用制御設備30から配信されるデータ利用許可情報およびデータ特定情報を受信し、それらを突合し、利用許可がある場合のみ受信データを利用可能とするデータ利用許可情報確認手段である。
【0033】
尚、前記データ利用可否設定手段22およびデータ利用要求手段25によって、本発明のデータ利用可否判定依頼手段を構成している。
【0034】
また前記データ利用許可情報確認手段26は、後述するEMMとECMとを比較して利用可否判定を行うEMM・ECM比較手段を具備している(図示省略)。
【0035】
また、データ利用許可情報確認手段26は、前記EMM・ECM比較手段が、データ配信開始・終了時刻から利用可能期間を判定し、ECM、EMMの双方に含まれる配信データ識別情報が一致した場合に、データの利用を許可する利用判定手段を具備している(図示省略)。
【0036】
またこの利用判定手段は、後述するEMM又はECMに含まれるプレビュー制御情報に基づいて配信終了時刻を基準としてプレビュー可能時間帯を判定するプレビュー可否判定手段を具備している(図示省略)。
【0037】
また受信側設備20には、前記ECMの配信データ識別情報に基づき、配信終了時刻を確認し、配信時間変更後に別の配信予定と重複しているかどうかを判定する配信時刻重複判定手段(図示省略)と、前記配信時刻重複判定手段により、重複が無いあるいは受信側設備20内で同時処理可能な重複と判定された場合には前記データ受信手段のデータ受信を実行させ、受信側設備20内で同時処理不可能な重複が有ると判定された場合には重複内容を提示する重複提示手段(図示省略)と、利用予約としての識別情報などの各種情報を記憶しておく記憶手段(図示省略)とを具備している。
【0038】
データ利用制御設備30に設けられた31は、前記受信側設備20のデータ利用要求手段25から転送されたデータ利用可否設定情報によりデータ利用許可を判定するデータ利用可否判定手段である。
【0039】
32は、前記データ利用可否判定手段31の判定結果に基づいてデータ利用許可情報を生成し、受信側設備20のデータ利用許可情報確認手段26に配信するデータ利用許可情報生成発行手段である。
【0040】
33は、どのデータに対するデータ利用許可情報であるかを特定するためのデータ特定情報を、前記データ配信時刻情報に基づき配信されるデータと同期して前記受信側設備20のデータ利用許可情報確認手段26に配信するデータ特定情報生成発行手段である。
【0041】
尚、前記データ利用可否判定手段31は後述するEMM発行判定手段(図示省略)を備えている。
【0042】
また前記データ利用許可情報生成発行手段32は、本発明のデータ利用可否判定返却手段を構成しており、後述するEMM配信手段を備えている。
【0043】
また前記データ特定情報生成発行手段33は、後述するECM配信手段(図示省略)を備えている。
【0044】
また前記データ特定情報生成発行手段33は、データ利用制御設備30に設けるに限らず、送信側設備10に設けても良い。
【0045】
前記送信側設備10、受信側設備20およびデータ利用制御設備30の各手段が実行する各機能は、例えばコンピュータによって達成される。
【0046】
受信側設備20のデータ利用要求手段25は、受信側設備20からデータ配信スケジュール(データ配信時刻情報)を確認し、使用するデータに対する要求を行なう機能を有し、データ利用可否判定手段31に対してデータ利用可否設定情報(PPV購入要求)を送る。
【0047】
データ利用可否判定手段31は、受信側設備20からのデータ利用要求に基づいて、例えば与信に成功した場合に、データ利用可と判定し、データ利用許可情報を発行するなどのデータ利用の可否を判定、あるいは与信システムに接続する機能を有し、都度契約での有料サービスの場合、受信側設備20に対して当該データを販売する判定を行う。
【0048】
データ利用許可情報生成発行手段32は、データ利用可否判定手段31において利用が許可された場合には、その許可情報(データ利用許可情報(EMM拡張部))を生成し、受信側設備20に対して発行する。
【0049】
利用許可対象データが許可された後にデータが配信される場合があるため、受信側設備20では、データが配信された時点で、許可されたデータを特定するための情報が必要になる。データ配信サービスにおいては、放送のチャンネル概念のように、単一のサービス内で複数のデータ配信が同時に行われている場合がある。
【0050】
したがって、データ特定情報生成発行手段33から発行する、データを識別するための識別情報としては、データ識別IDあるいは、データを配信するストリーム識別情報(マルチキャストアドレス、チャネル、サービスIDなど)とデータの配信時刻(データ配信開始時刻と終了時刻を含む)の両方を含むことが望ましい。
【0051】
さらに、本発明ではデータを特定するための情報の伝送方法として、放送サービスでの限定受信方式にて広く用いられている、特定の受信機向けに送出される個別情報(EMM)と共通情報(ECM)を拡張して配信することが有効である。
【0052】
データ利用許可情報確認手段26は、送信側からEMMなどにより配信されるデータ利用許可情報、データ特定情報により利用許可されたデータを確認し、データ配信時刻とチャンネル等のストリーム識別情報を利用予約として受信側設備20内の記憶手段に記憶する。
【0053】
利用時刻直前になると予約されたデータ配信時刻とストリーム識別情報により、データ受信手段23はデータを受信する準備を開始する。
【0054】
受信側設備20の予約状態により、同時間帯での他ストリームでの利用予約がされていて、重複動作ができないあるいは同時処理数を超える利用を設定する場合には、どのストリーム処理を優先するか等を予め注意喚起することも可能となる。
【0055】
特に、予約録画機能、記録済みメディア(DVDやブルーレイなど)再生機能付きのテレビ受信機等に応用する場合には、映像再生用のデコーダや提示可能数などの同一リソースの処理数が予め定まっている場合が多いため、受信側設備20の同時処理機能に応じて利用者が意図する優先順にデータの利用ができるようにすることが可能になる。
【0056】
典型的な利用例として、IPTV、CATV、携帯電話の双方向性のネットワークを有するネットワークを利用し、マルチメディアデータの配信は放送を利用し、受信側から送信側への返答やリクエストはIPネットワーク等の通信路などを利用する併用型のサービス環境にて本発明は適用できる。そこで、映像配信サービスを例にして以下に動作例を説明する。
【0057】
映像配信サービスにおいては、放送やマルチキャストプロトコルを利用した放送型サービスと、受信機(利用者)からのリクエストに応じるオンデマンドサービス(代表例VOD(ビデオ・オン・デマンド))に大別できる。
【0058】
放送型サービスには、月々定額の支払う月額サービスと利用ごとに支払う都度契約サービスに分類できる。本発明は、後者の放送型サービスでの都度契約サービスに適しているため以降は、放送型サービスの都度契約サービスを中心に説明する。
【0059】
都度契約サービスは、即時視聴と視聴予約があるが、即時視聴は視聴予約の視聴予約直後に視聴することで実現することがでるため、視聴予約の動作例にて説明する。
【0060】
図2は視聴予約における予約から配信までの動作の概要を示すフローチャートであり、図中の「受信側」とは図1の受信側設備20を表している。尚、図2の「送出側」とは、図1の送信側設備10およびデータ利用制御設備30を含めて表したものである。
【0061】
図2において、配信のスケジュール(データを特定する識別情報と配信予定スケジュールを含む)が受信側に送出され、まずステップS1においてデータ利用可否設定手段22が受信予約対象の抽出を行なう。
【0062】
次にステップS2において受信予約の重複等がチェックされ、重複ありの場合はステップS3において他の受信予約を優先するか否かを判定する。
【0063】
これらステップS2,S3の処理は、送出側から送出された配信データ識別情報に基づき、配信終了時刻を確認し、配信時間変更後に別の配信予定と重複しているかどうかを判定する配信時刻重複判定手段と、該配信時刻重複判定手段により、重複が無いと判定された場合にはデータ受信手段23のデータ受信を実行させ、重複が有ると判定された場合には重複内容を提示する重複提示手段とが行なう。
【0064】
次に、受信予約の重複が無い場合は、データ利用要求手段25からデータ利用可否設定情報が送出側に転送され、ステップS4において、データ利用可否判定手段31が受信許可判定を行う。
【0065】
ステップS4の判定結果が許可である場合は、データ利用許可情報生成発行手段32から利用許可情報(データおよび送付ストリーム識別情報とデータの配信時刻情報)が、例えばEMMにて受信側に配信される。
【0066】
次に受信側ではステップS5において配信スケジュール(配信時刻)を待ち、ステップS6において配信スケジュール(配信時刻)になればデータの利用を開始する。
【0067】
これらステップS5、S6の処理は、受信側設備20のデータ利用許可情報確認手段26内のEMM・ECM比較手段が、前記データ配信開始・終了時刻から利用可能期間を判定し、ECM、EMMの双方に含まれる配信データ識別情報が一致した場合に、利用判定手段がデータの利用を許可することによって実行される。
【0068】
次に図1のシステムの動作の詳細を説明する。
【0069】
<利用データの確定>
利用を希望するデータを発見することが最初の段階である。発見の仕方に関しては、サービス提供者からのお薦め、電子番組表(EPG)から指定、番組情報を用いたキーワードによる検索、受信機能による抽出などの様々な観点から抽出可能である。また、既に配信が開始されてから、ある一定の時間許容されている試聴(プレビュー)を見ることにより利用データを確定することで抽出することも可能である。
【0070】
受信側設備20で利用データを特定(データ利用可否設定手段22により設定)したら、通信機能(データ利用要求手段25)を用いて、該当利用データの利用許可(都度の利用契約)を送出側(データ利用制御設備30)に要求する。このときに同一時間帯に複数ストリームを提供している場合はストリームを特定する情報、複数のデータをまとめて契約したり、個々に契約したり、日にち単位で契約したり、同一ストリームの契約形態が複数ある場合は、その契約種別を含めて送出側に契約を要求する。契約が成立すれば、有料データであれば、決済(課金)がなされ、利用が許可される(データ利用許可情報生成発行手段32が行なう)。
【0071】
利用許可された情報の送出側から受信側への伝達方法として、放送サービスで用いられている個別情報(EMM)を用いて配信することが有効である。その利用として以下の特長がある。
【0072】
従来ではEMMの機能として、月額契約の変化(加入、解約、契約変更情報)結果を受信側に配信するために利用されている。受信側設備20では、データの利用判定は、送出側から送付された月額契約と都度契約の両方から行う場合がある。すなわち、ある特定のデータに対する利用可能の判定結果の検出を行う際に、月額契約と都度契約の両方の情報がまとめられていれば、利用可否の検出ロジックを組みやすくなる。これは、配信時刻変更などあった場合などの即応性が向上し、また誤判定などが起こりにくくなるメリットがある。
【0073】
<個別情報(EMM)の構成例>
ここで、図3に、現在デジタル放送で利用されているEMMの構造(図3(a))と、本発明に関わる都度契約情報を加えた利用例(EMM配信手段が配信するEMMの構造:図3(b))を示す。
【0074】
この図3に示すように、月額契約情報と同様なフォーマットで都度契約情報を加えることができることがわかる。さらには、フォーマットを統一することにより、月額契約のみのサービスを行っていたサービス提供が、都度契約サービスを加える場合などにも容易に拡張であることも特長である。
<共通情報(ECM)の構成例>
次に図4に、データ(コンテンツ)配信時間帯に常に同期あるいはデータに多重化されて送付されるECMの構造例を示す。図4(a)が現在放送サービスに用いられているECMの例、図4(b)が本発明に関わる都度契約情報を加えた利用例である。
【0075】
ECMには、現在同期して配信されているデータをどのような条件の場合に復号し、データを利用するかが月額契約情報として記載されている。受信機側では、すでに受信機側で個々に送付済の最新のEMMで許可されている月額契約情報とECMに含まれる月額契約情報の整合性を確認して、整合性がとれている場合には、データ利用を許可されていることと判断し、データの利用を行う。
【0076】
本発明の実施例としては、月額契約情報に加えて、図4(b)のように都度契約情報の条件を加えることができる(ECM配信手段が配信するECMの構造)。したがって、月額契約情報あるいは都度契約情報のいずれかでデータの利用が許可されている場合に、最終的にその受信側設備20の利用判定手段でデータの利用が許可される。
【0077】
<個別情報(EMM)と共通情報(ECM)を用いた判定例>
(1)複数の都度契約での運用例
月額契約のサービスをしていない場合あるいは、月額契約サービスを利用していない利用者は、都度契約情報のみの整合性を確認し、整合性があれば利用可能となる。
【0078】
以下に整合性確認の例を説明する。図5(a)は本発明に関わるEMM内の都度契約情報を示し、図5(b)は本発明に関わるECM内の都度契約情報を示している。
【0079】
EMM内の都度契約情報の配信開始時刻と配信終了時刻は、データ配信前にデータ利用予約をする場合などに受信側設備20がいつからいつまで当該データの動作(再生や録画動作など)をするか、受信側設備20内のリソースの時間割り等(最大同時録画数など)の観点から予め利用許容リソースを超えた利用者が利用予約をしようとした場合の意思確認に用いる。
【0080】
EMM内の都度契約情報の、例えば配信開始時刻iになると契約識別名iの番組があることがわかり、契約識別名からどのストリームを受信するかを抽出し、それに応じた動作を開始する。EMMに存在する契約識別名iがECM内の都度契約情報の契約識別名iに該当すればデータの利用が可能になる(EMM・ECM比較手段により実行される)。
【0081】
ECMに入れる有効期限は、開始時刻、終了時刻のいずれか一方、または、番組時間長を設定するよう変形することもできる。
【0082】
(2)1つの都度契約のみでの運用例
前記図5のECM内の都度契約情報の場合は、ECM内の都度契約情報は1つのみになるため、EMM内の都度契約情報と一致しているかどうかでデータ利用判断が可能である。
【0083】
(3)月額契約と都度契約混在の運用例
月額契約と都度契約を混在して運用する場合、月額契約と都度契約のどちらかで契約していれば、利用可能である。そのため、例えば、月額契約を確認し、契約していれば、その時点で利用可能という判定をしてよい。月額契約をしていない場合には、前記の都度契約の(1)、(2)と同様な判定をすることにより、実現できる。
【0084】
<配信スケジュール変更への追従例>
放送などのデータ(コンテンツ)配信予定は、1カ月〜1週間前までには概ね決まっている。しかしながら、配信予定の変更として、重要なニュースが流されたり、野球中継のように予め終了時刻を確定できないスポーツ番組などでは、配信時間や配信コンテンツ自体の変更が起きる。
【0085】
これらへの追従をすることを考えると、配信開始時刻、配信終了時刻は予定であり、変更することもあるため、契約識別名を優先した動作とすることが現実的である。
【0086】
ECM配信手段は、データ配信時刻が変更になった場合、ECMに最新の配信終了時刻を含ませるものである。
【0087】
<配信状況への対応例>
移動可能な受信においては、放送、同報の配信されるデータ等を受け取るための状況が場所により変わることが予想される。このような場合を考慮すると、PPVを事前に購入して、実際にPPVを利用する時間帯には、サービス提供外の場所にいることが考えられる。
【0088】
このような場合において、出来るだけ利用者の不都合が生じないように、コンサートのチケットの当日券と同様に、利用者におけるPPVの購入動作の操作の確定は、電波確認したうえで、PPV購入することも可能である。
【0089】
<暗号化機能>
放送においては、有料放送や無料放送であってもコンテンツ保護目的で、コンテンツであるデータに対して暗号化(スクランブル)がされている。したがって、従来と同様に本発明における月額契約、都度契約への利用に関してもスクランブルを施すことは想定される。なお、ECMはデータに対するコンテンツ復号鍵を送付する機能があるため、その手段をそのまま利用することができる。
【0090】
さらに、本発明のECM内に記載される配信開始時刻、配信終了時刻、契約識別名は受信側装置で改竄、他に転用されてはならないため、データ復号用の鍵とおなじく耐タンパ性を有する領域に格納することが必要である。
【実施例2】
【0091】
実施例1を具体化してECM、EMMを用いる場合を実施例2として示す。
【0092】
図6に実施例2におけるEMMの例を、図7に実施例2におけるECMの例を各々示す。実施例2におけるシステム全体構成図を図8に、受信機能部分の詳細機能ブロックを図9に各々示す。
【0093】
図6のEMMの例において、PPV契約IDとは実施例1の契約識別名に該当し、有効期限とは実施例1の配信開始時刻、配信終了時刻に該当する。
【0094】
また図7のECMの例において、対象PPV契約ID数とは対象契約数を表し、対象PPV契約IDとは契約識別名を表している。
【0095】
図8において、40は図1の送信側設備10に対応するコンテンツ配信サーバであり、50は図1の受信側設備20に対応する受信側装置であり、60は図1のデータ利用制御設備30に対応するライセンスサーバである。
【0096】
受信側装置50は、放送波チューナー51、図1のデータ受信手段23に対応するEMM受信部52、ECM受信部53、PPV制御情報判定部54、図1のデータ利用許可情報確認手段26に対応するPPV契約情報抽出部55、図1のデータ利用判定手段に対応するPPV視聴判定部56および図1のデータ利用手段24に対応するPPV視聴処理部57を備えている。
【0097】
ライセンスサーバ60は、PPV購入処理部61、図1のデータ利用許可情報生成発行手段32に対応するEMM生成部62、PPV契約情報生成部63、図1のデータ特定情報生成発行手段33に対応するECM生成部64およびPPV契約情報生成部65を備えている。
【0098】
前記コンテンツ配信サーバ40からは、コンテンツ/EMM/ECMが放送網を介して受信側装置50に配信され、ライセンスサーバ60と受信側装置50の間は通信網を介してPPV購入処理、EMM配信処理が行われ、コンテンツ配信サーバ40とライセンスサーバ60の間ではEMM、ECMの送信が行なわれる。
【0099】
受信側装置50を示す図9において、71は配信データを受信するチューナ部であり、その出力コンテンツTS(トランスポートストリーム)はレンダラ72の分離部73に入力される。
【0100】
分離部73は入力TSを分離し、映像/音声情報を視聴処理部(デスクランブル/デコード部)74に送り、EMM,ECMをCASモジュール80に送る。
【0101】
前記チューナ部71および分離部73が図8のEMM受信部52およびECM
受信部53に該当する。
【0102】
CASモジュール80は、図8のPPV契約情報抽出部55に該当する、EMM受信/復号部81、EMM保存部82、ECM受信/復号部83、PPV制御情報判定部84およびPPV契約情報抽出部85と、図1のデータ配信時刻情報受信手段21に対応する時刻管理部86と図8のPPV視聴判定部56に該当するPPV視聴判定部87とを備えている。
【0103】
PPV視聴判定部87の判定結果(PPV視聴可ks出力)は視聴処理部74に送られ、視聴処理部74によって処理されたデータは表示部75、スピーカ76に送られる。
【0104】
前記CASモジュール80におけるEMM,ECMの受信(81,83)は、放送で取得する例を示しているが、通信で取得する場合は無線部より取得するものである。
【0105】
図8、図9のシステムの動作は、基本的には実施例1の図1のシステムと同様である。また、実施例1と実施例2の用語の対応関係を以下の表1に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
実施例2におけるEMMは、以下の様な特徴、条件を持つ。
【0108】
EMMの一部領域にPPV契約情報を含める(その他は、ワーク鍵に関する情報や、個別契約に関する情報などが格納されている)。
【0109】
購入したPPVコンテンツのPPV契約ID、有効期限を格納する。
【0110】
図6の例では、PPV契約ID、有効期限を各数byteとし、1つのセットとした制御情報となっている。
【0111】
図6のEMMの構造により、少ないメモリ量でも非常に多くのPPV契約を制御することが可能である。また、有効期限は契約者毎に設定することも可能である。
【0112】
複数購入時、追加購入時は、新規領域にPPV契約IDと有効期限を書き込む。有効期限が切れている場合は、当該領域に上書きしてもよい。
【0113】
EMMは,通信若しくは放送によって取得可能で、ICカード等のセキュリティモジュールで管理する。
【0114】
実施例2におけるECMは、以下の様な特徴、条件を持つ。
【0115】
ECMの一部領域にPPV制御情報を含める(その他は、スクランブル鍵に関する情報や、個別契約を判断するための情報などが格納されている。)。
【0116】
PPV対象コンテンツではPPV制御情報を含める。
【0117】
当該コンテンツのPPVを許容する、対象PPV契約IDを含める。
【0118】
PPV視聴可能対象を当該コンテンツのPPV購入者以外にも許容する場合、対象PPV契約IDを複数設定することも可能である。例えば、ドラマAの第1話PPV購入者にもドラマB第1話のPPVを許容する場合、対象PPV契約ID数を“2”とし、ドラマA第1話用対象PPV契約IDとドラマB第1話用対象PPV契約IDを含める。
【0119】
ECM毎に対象PPV契約IDを変更することが可能であるため、時間単位でのPPVも実現可能である。例えば19時から20時の間のECMにはPPV制御情報を含めPPVを許容し、20時以降は含めずに、PPVを許容しない。
【0120】
以下、実施例2における全体処理の流れを説明する。なお、分離部73より取得したEMMをEMM受信/復号部81によりEMM復号して、保存する(事前に受信していてもよい)こととする。また、EMMは通信での取得、放送での取得のどちらでもよい。
【0121】
ステップS11; チューナ部71により視聴するコンテンツ(TS)を選局する。
【0122】
ステップS12; ECM受信/復号部83によりECMを復号する。
【0123】
ステップS13; PPV制御情報判定部84にて、ECM内のPPV制御情報の有無を判定する。制御情報が無い場合にはPPV視聴不可とし、判定処理を中止する。
【0124】
ステップS14; PPV契約情報抽出部85にてECM内の対象PPV契約IDを対象PPV契約ID数分抽出する。
【0125】
ステップS15; PPV契約情報抽出部85にてEMM内のPPV契約IDを抽出する
ステップS16; PPV視聴判定部87にて、対象PPV契約ID(複数の場合は全て)とPPV契約IDを比較し、合致するかを判定。合致しなかった場合、視聴不可とし、判定処理を中止する。
【0126】
ステップS17; PPV視聴判定部87にて、対象PPV契約IDと合致したPPV契約IDの有効期限を時刻管理部86より取得した現在日時と比較し、有効期限内であった場合、視聴処理部74にて視聴処理を開始する。有効期限外であった場合、視聴不可とし、判定処理を中止する。
【0127】
以後、ECMを受信する毎に、ステップS13〜S17の処理を繰り返す。
【0128】
上記全体処理の流れの中での、PPV制御情報判定部84、PPV契約情報抽出部85、時刻管理部86およびPPV視聴判定部87が行う、ステップS13〜S17の詳細処理を、図10に示す。
【0129】
図10において、まずステップS21においてコンテンツ(データ)の選局がなされ、次にステップS22においてECM内のPPV制御情報の有無が判定される(PPV制御情報判定部84が行う)。
【0130】
PPV制御情報が無い場合はステップS23にてPPV視聴不可とし、判定処理を中止する。
【0131】
PPV制御情報が有る場合は、ステップS24においてECMのPPV制御情報より対象PPV契約IDを抽出し、ステップS25においてEMM保存部82内に保存されているEMMのPPV契約情報のPPV契約IDと前記ECMの対象PPVIDを比較する(PPV契約情報抽出部85が行なう)。
【0132】
EMMのPPV契約IDとECMの対象PPVIDが合致しない場合はステップS23にてPPV視聴不可として判定処理を中止し、合致する場合はステップS26に進む。
【0133】
ステップS26では、EMMのPPV契約IDの有効期限(配信開始時刻、配信終了時刻)と、時刻管理部86から取得した現在日時とを比較する(PPV視聴判定部87が行う)。
【0134】
前記比較した結果、有効期限切れの場合はステップS23にてPPV視聴不可として判定処理を中止し、有効期限内の場合はステップS27において、PPV視聴可ks出力を視聴処理部74に送りPPV視聴を開始させる。
【0135】
実施例2もECM、EMMの拡張により既存方式を変更することなく(つまり上位互換で)PPVに対応可能な拡張を実現可能という効果が得られる。
【符号の説明】
【0136】
10…送信側設備
11…データ配信時刻情報配信手段
12…データ配信手段
20…受信側設備
21…データ配信時刻情報受信手段
22…データ利用可否設定手段
23…データ受信手段
24…データ利用手段
25…データ利用要求手段
26…データ利用許可情報確認手段
30…データ利用制御設備
31…データ利用可否判定手段
32…データ利用許可情報生成発行手段
33…データ特定情報生成発行手段
40…コンテンツ配信サーバ
50…受信側装置
51…放送波チューナー
52…EMM受信部
53…ECM受信部
54,84…PPV制御情報判定部
55,85…PPV契約情報抽出部
56,87…PPV視聴判定部
57…PPV視聴処理部
60…ライセンスサーバ
61…PPV購入処理部
62…EMM生成部
63…PPV契約情報生成部
64…ECM生成部
65…PPV制御情報生成部
71…チューナ部
72…レンダラ
73…分離部
74…視聴処理部
75…表示部
76…スピーカ
80…CASモジュール
81…EMM受信/復号部
82…EMM保存部
83…ECM受信/復号部
84…PPV制御情報判定部
85…PPV契約情報抽出部
86…時刻管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信側装置と受信側装置の間でネットワークを介してデータの配信、受信を行なうデータ配信および受信システムにおいて、
前記送信側装置に設けられ、前記受信側装置に対してデータを配信するデータ配信手段と、
前記受信側装置に設けられ、前記送信側装置から配信されたデータを受信するデータ受信手段と、
前記受信したデータの利用可否を受信装置外で判定するために、データ利用可否判定依頼を出力するデータ利用可否判定依頼手段と、
データ利用制御装置に設けられ、前記受信側装置からのデータ利用可否判定依頼に基づいて、受信側装置毎に少なくとも1つ以上のデータ利用可否判定を行うデータ利用可否判定手段と、
前記データ利用可否判定された結果を少なくとも利用可の場合に前記受信側装置に返送するデータ利用可否判定返却手段と、
前記受信側装置に設けられ、前記データ利用制御装置のデータ利用可否判定返却手段から返送されたデータ利用可否判定結果にしたがって、前記受信したデータを利用するデータ利用手段と、
を具備したことを特徴とするデータ配信および受信システム。
【請求項2】
前記送信側装置は、データ配信時刻情報を配信するデータ配信時刻情報配信手段をさらに備え、前記データ配信手段は前記データ配信時刻情報に基づいてデータを配信し、
前記受信側装置のデータ利用可否判定依頼手段は、データを利用するか否かを決めるデータ利用可否設定情報を設定するデータ利用可否設定手段と、
前記データ利用可否設定情報を用いて受信側装置外でデータ利用許可を判定するために、該データ利用可否設定情報を前記データ利用制御装置に転送するデータ利用要求手段とを備え、
前記データ利用制御装置のデータ利用可否判定手段は、前記受信側装置から転送されたデータ利用可否設定情報により、データ利用許可を判定し、前記データ利用可否判定返却手段は、前記データ利用可否判定手段の判定結果に基づき、データ利用許可情報を生成して前記受信側装置に配信するデータ利用許可情報生成発行手段で構成され、
前記送信側装置又はデータ利用制御装置に設けられ、どのデータに対するデータ利用許可情報であるかを特定するためのデータ特定情報を、前記データ配信時刻情報に基づき配信されるデータと同期して前記受信側装置に配信するデータ特定情報生成発行手段と、
前記受信側装置に設けられ、前記配信されたデータ利用許可情報およびデータ特定情報を受信し、それらを突合せ、利用許可がある場合のみ前記データを利用可能とするデータ利用許可情報確認手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項3】
前記データ配信および受信システムは、放送サービスとして適用され、
前記送信側装置のデータ配信手段は、受信側装置に対して映像や音声、テキスト、データなど何れかのマルチメディアデータを配信し、
前記受信側装置のデータ利用要求手段は、前記データ利用許可情報としてのEMM(Entitlement Management Message)の発行を依頼し、
前記データ利用制御装置のデータ利用可否判定手段は、受信側装置からのEMM発行依頼に基づき、受信側装置ごとにEMMを発行してよいか判定するEMM発行判定手段で構成され、
前記データ利用許可情報生成発行手段は、前記EMM発行判定手段により許可された場合、月額契約情報とは別の領域にPPV用領域を持たせ、一つまたは複数個の配信データ識別情報をEMMとして返送するEMM配信手段で構成され、
前記受信側装置のデータ利用手段は、前記返送されたEMMにて許容されている範囲に従い、配信されたデータを利用することを特徴とする請求項2に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項4】
前記送信側装置又はデータ利用制御装置のデータ特定情報生成発行手段は、許可情報として、月額契約情報とは別の領域にPPV用領域を持ち、そのPPV用領域に前記EMM配信手段が用いる一つまたは複数個の配信データ識別情報に加え、データ配信開始時刻情報、終了時刻情報、プレビュー制御情報の少なくとも一つを含むECM(Entitlement Control Message)を前記受信側装置に配信するECM配信手段を具備することを特徴とする請求項3に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項5】
前記受信側装置のデータ利用許可情報確認手段は、前記配信データ識別情報毎に、利用可否を判定するために、前記EMM発行判定手段により許可されたEMMと前記ECM配信手段により配信されたECMとを比較して利用可否判定を行うEMM・ECM比較手段を具備することを特徴とする請求項4に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項6】
前記データ利用可否情報確認手段は、前記EMM・ECM比較手段が、前記データ配信開始・終了時刻から利用可能期間を判定し、ECM、EMMの双方に含まれる配信データ識別情報が一致した場合に、データの利用を許可する利用判定手段を具備することを特徴とする請求項5に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項7】
前記ECM配信手段は、データ配信時刻が変更になった場合、ECMに最新の配信終了時刻を含ませることを特徴とする請求項6に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項8】
前記受信側装置に設けられ、前記ECMの配信データ識別情報に基づき、配信終了時刻を確認し、配信時間変更後に別の配信予定と重複しているかどうかを判定する配信時刻重複判定手段と、
前記配信時刻重複判定手段により、重複が無いあるいは受信側装置内で同時処理可能な重複と判定された場合には前記データ受信手段のデータ受信を実行させ、受信側装置内で同時処理不可能な重複が有ると判定された場合には重複内容を提示する重複提示手段と、
を具備することを特徴とする請求項6に記載のデータ配信および受信システム。
【請求項9】
前記EMM又はECMにはプレビュー制御情報が含まれ、前記利用判定手段は、前記プレビュー制御情報に基づいて配信終了時刻を基準としてプレビュー可能時間帯を判定するプレビュー可否判定手段を具備することを特徴とする請求項6に記載のデータ配信および受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−216941(P2011−216941A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80208(P2010−80208)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】