説明

データ配布制御装置、メディア選択方法、およびプログラム

【課題】配布データの配布形式に応じて、当該配布データを配布するために最適な情報媒体を選択する。
【解決手段】情報入力部16Aで、情報媒体により配布される配布データ15Aが持つ情報量i、当該配布データ15Aを配布する配布期間t、および当該情報媒体の配布数xを含む配布形式情報15Bを入力し、メディア選択部16Bで、この配布形式情報15Bに基づいて、配布データ15Aを紙媒体32で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーEpと、配布データを電子媒体31で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーEwとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、配布データ15Aを配布するための情報媒体として選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ配布制御技術に関し、特に情報媒体により配布される配布データの配布形式に応じて、当該配布データを配布するために最適な情報媒体を選択するためのメディア選択技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット技術の普及により、WEBサーバを設置し各種の配布データをインターネット経由で電子的に配布する方法が行われている。この方法によれば、配布データをインターネット経由で電子的に配布することができるため、紙媒体による情報配布よりも必要とする消費エネルギーが少ないと言われている。よって、配布データを配布するには電子媒体により消費エネルギーが少なくできる、すなわちコストを少なくすることが可能であると考えられている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−2147371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、配布する配布データの配布形式に応じて、当該配布データを配布するために最適な情報媒体(メディア)を選択できていないという問題があった。
すなわち、消費エネルギーの観点から必ずしも常に電子媒体による配布が紙媒体による配布よりも少ないとは言えない。電子媒体による配布にはWEBサーバなど電子機器の運用が必要であり、その運用には少なからずエネルギーを要し、さらに、配布データの配布期間が長くなればそれだけ電子機器の運用による消費エネルギーは大きくなる。
【0005】
電子媒体の利点は、情報量の大きなデータも高速に配布できることにあるが、もし、配布データの情報量がそれほど大きく場合にも電子媒体を利用することは、電子機器の運用により消費エネルギーが増大するという不利を生じる。したがって、最小の消費エネルギーでデータを配布するためには、配布データの情報量、配布期間、配布数に応じて電子媒体と紙媒体を切り替える必要がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、配布データの配布形式に応じて、当該配布データを配布するために最適な情報媒体を選択できるメディア選択技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかるデータ配布制御装置は、情報媒体により配布される配布データが持つ情報量、当該配布データを配布する配布期間、および当該情報媒体の配布数を含む配布形式情報を入力するための情報入力部と、配布形式情報に基づいて、配布データを紙媒体で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、配布データを電子媒体で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、配布データを配布するための情報媒体として選択するメディア選択部とを備えている。
【0008】
この際、メディア選択部で、情報量をiとし、配布期間をtとし、配布数をxとし、単位情報量のデータを紙媒体により配布する際に消費する基準紙媒体消費エネルギーをepとし、単位情報量のデータを電子媒体により配布する際に消費する基準電子媒体消費エネルギーをewとし、電子媒体を配布するWEBサーバで単位時間当たりに消費する基準WEBサーバ消費エネルギーをdとした場合、i×x/t<d/(ep−ew)が成立した際には、配布データを配布するための情報媒体として紙媒体を選択し、i×x/t>d/(ep−ew)が成立した際には、配布データを配布するための情報媒体として電子媒体を選択するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明にかかるメディア選択方法は、情報媒体を用いたデータ配布を制御するデータ配布制御装置で用いられるメディア選択方法であって、情報入力部が、情報媒体により配布される配布データが持つ情報量、当該配布データを配布する配布期間、および当該情報媒体の配布数を含む配布形式情報を入力するための配布形式情報入力ステップと、メディア選択部が、配布形式情報に基づいて、配布データを紙媒体で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、配布データを電子媒体で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、配布データを配布するための情報媒体として選択するメディア選択ステップとを備えている。
【0010】
この際、メディア選択ステップに、情報量をiとし、配布期間をtとし、配布数をxとし、単位情報量のデータを紙媒体により配布する際に消費する基準紙媒体消費エネルギーをepとし、単位情報量のデータを電子媒体により配布する際に消費する基準電子媒体消費エネルギーをewとし、電子媒体を配布するWEBサーバで単位時間当たりに消費する基準WEBサーバ消費エネルギーをdとした場合、i×x/t<d/(ep−ew)が成立した際には、配布データを配布するための情報媒体として紙媒体を選択し、i×x/t>d/(ep−ew)が成立した際には、配布データを配布するための情報媒体として電子媒体を選択するステップを含むようにしてもよい。
【0011】
また、本発明にかかるプログラムは、コンピュータを、前述したデータ配布制御装置を構成する各部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配布データを配布する際、その配布形式に応じて、紙媒体32および電子媒体31のうちから、配布に要する消費エネルギーが小さい最適な情報媒体を選択することができる。したがって、配布データの情報量、配布期間、配布数が異なるいずれの配布形式についても、低い配布コストで配布データを配布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】データ配布制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】配布形式情報を示す説明図である。
【図3】基準設定情報を示す説明図である。
【図4】データ配布制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[データ配布制御装置]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかるデータ配布制御装置10について説明する。図1は、データ配布制御装置の構成を示すブロック図である。
このデータ配布制御装置10は、全体として、パーソナルコンピュータやサーバ装置、さらにはスマートフォンなどの情報処理装置からなり、任意の配布データを配布する際に、入力された配布形式情報に基づいて、配布データを配布するのに最適な情報媒体を選択する機能を有している。
【0015】
本実施の形態は、情報媒体により配布される配布データが持つ情報量、当該配布データを配布する配布期間、および当該情報媒体の配布数を含む配布形式情報を入力し、この配布形式情報に基づいて、配布データを紙媒体で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、配布データを電子媒体で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、配布データを配布するための情報媒体として選択するようにしたものである。
【0016】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるデータ配布制御装置10の構成について詳細に説明する。
このデータ配布制御装置10には、主な機能部として、通信I/F部11、プリンタI/F部12、操作入力部13、画面表示部14、記憶部15、および制御部16が設けられている。
【0017】
通信I/F部11は、インターネットなどのネットワーク50を介して、電子媒体31によりデータを配布するWEBサーバ21などの情報処理装置との間でデータ通信を行う機能を有している。
プリンタI/F部12は、紙媒体32を印刷出力するためのプリンタ22との間でデータ通信を行う機能とを有している。
【0018】
操作入力部13は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、ユーザの操作を検出して制御部16へ出力する機能を有している。
画面表示部14は、LCDなどの画面表示装置からなり、制御部16からの指示に応じて、操作メニュー、配布形式情報入力画面、媒体選択結果などの各種情報を画面表示する機能を有している。
【0019】
記憶部15は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部16での各種処理に用いる処理データやプログラム15Pを記憶する機能を有している。
プログラム15Pは、制御部16に読み出されて実行されることにより、メディア選択処理などの各種処理を実行する処理部を実現する機能を有しており、外部装置(図示せず)や記録媒体(図示せず)から予め読み込まれて記憶部15へ保存される。なお、本発明にかかるデータ配布制御装置10は、コンピュータとプログラム15Pによって実現でき、プログラム15Pを記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0020】
記憶部15で記憶される主な処理情報としては、配布データ15A、配布形式情報15B、基準設定情報15Cがある。
配布データ15Aは、電子媒体31または紙媒体32で配布する電子データであり、各種のコンテンツを含むファイル形式で、外部装置(図示せず)や記録媒体(図示せず)から予め読み込まれて記憶部15へ保存される。
【0021】
図2は、配布形式情報を示す説明図である。配布形式情報15Bは、配布データを配布する際の配布形式に関する情報であり、メディア選択処理に先立って外部から入力されて記憶部15に保存される。通常、配布データを媒体に記録して配布する際、この配布形式として、どの程度の情報量を持つ配布データを、どれだけの期間にわたり、どれだけの媒体数で配布するか、予め決定される。この配布形式情報15Bには、このように配布形式に関する情報として、図2に示すように、配布データのデータサイズを示す情報量i[MB]、配布データの配布開始から配布終了までの期間を示す配布期間t[日]、および配布期間t内に配布データが含まれている情報媒体を配布する数を示す配布数x[個]が含まれている。
【0022】
図3は、基準設定情報を示す説明図である。基準設定情報15Cは、配布データを配布するために消費するエネルギーの算出に用いる、基準となる消費エネルギーを示す情報であり、メディア選択処理に先立って外部から入力されて記憶部15に保存される。この基準設定情報15Cには、図3に示すように、基準紙媒体消費エネルギーep[ワット日/MB]、基準電子媒体消費エネルギーew[ワット日/MB]、および基準WEBサーバ消費エネルギーd[ワット]が含まれている。
【0023】
このうち、基準紙媒体消費エネルギーepは、単位情報量(=1[MB])を紙媒体32により配布する際に消費するエネルギーを示している。また、基準電子媒体消費エネルギーewは、単位情報量(=1[MB])を電子媒体31により配布する際に消費するエネルギーを示している。また、基準WEBサーバ消費エネルギーdは、電子媒体31を配布するWEBサーバ21で単位時間当たりに消費するエネルギーを示している。
【0024】
制御部16は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部15からプログラム15Pを読み出して実行することにより、メディア選択処理などの各種処理を実行するための処理部(モジュール)を実現する機能を有している。
制御部16で実現される主な処理部として、情報入力部16A、メディア選択部16B、およびデータ出力部16Cがある。
【0025】
情報入力部16Aは、情報媒体により配布データを配布する際、通信I/F部11や操作入力部13を介して、配布データ15Aや配布形式情報15Bを入力し、記憶部15へ保存する機能と、配布形式情報15Bとして、前述した情報量i[MB]、配布期間t[日]、および配布数xを入力する機能とを有している。
【0026】
メディア選択部16Bは、配布形式情報15Bと基準設定情報15Cとに基づいて、配布データを紙媒体32で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、配布データを電子媒体31で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定する機能と、紙媒体32または電子媒体31のいずれか小さい方の情報媒体を、配布データを配布するための情報媒体として選択する機能と、この選択結果を画面表示部14で画面表示する機能とを有している。
【0027】
データ出力部16Cは、メディア選択部16Bにより、配布データを配布する情報媒体として電子媒体31が選択された場合には、通信I/F部11からWEBサーバ21へ、記憶部15の配布データ15Aと、配布形式情報15Bに応じた配布指示とを送信する機能と、メディア選択部16Bにより、配布データを配布する情報媒体として紙媒体32が選択された場合には、プリンタI/F部12からプリンタ22へ、記憶部15の配布データ15Aと、配布形式情報15Bに応じた配布指示とを出力する機能とを有している。
【0028】
[本実施の形態の動作]
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかるデータ配布制御装置10の動作について説明する。図4は、データ配布制御処理を示すフローチャートである。
データ配布制御装置10の制御部16は、操作入力部13でユーザによるデータ配信要求に応じて、図4のデータ配布制御処理を開始する。なお、データ配布制御処理の開始に先だって、記憶部15には、基準設定情報15Cが設定されているものとする。
【0029】
まず、情報入力部16Aは、通信I/F部11や操作入力部13を介して入力された、配布データ15Aと配布形式情報15Bとを受け取って、記憶部15へ保存する(ステップ100)。
次に、メディア選択部16Bは、記憶部15から配布形式情報15Bと基準設定情報15Cとを読み出して、配布データ15Aを紙媒体32で配布する場合と、電子媒体31で配布する場合とについて、後述する消費エネルギーに関するパラメータをそれぞれ計算する(ステップ101)。
【0030】
続いて、メディア選択部16Bは、これらパラメータを比較することにより、配布データ15Aを紙媒体32で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、配布データ15Aを電子媒体31で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体(メディア)を、配布データを配布するための情報媒体として選択し(ステップ102)、選択した情報媒体を画面表示部14で画面表示する(ステップ103)。
【0031】
この後、データ出力部16Cは、メディア選択部16Bにより、配布データ15Aを配布するための情報媒体として電子媒体31が選択されたか確認する(ステップ104)。ここで、電子媒体31が選択された場合には(ステップ104:YES)、通信I/F部11からWEBサーバ21へ、記憶部15の配布データ15Aと、配布形式情報15Bに応じた配布指示とを送信し(ステップ105)、一連のデータ配布制御処理を終了する。
【0032】
一方、紙媒体32が選択された場合には(ステップ104:NO)、プリンタI/F部12からプリンタ22へ、記憶部15の配布データ15Aと、配布形式情報15Bに応じた配布指示とを出力(ステップ106)、一連のデータ配布制御処理を終了する。
【0033】
[メディア選択方法]
次に、本実施の形態にかかるデータ配布制御装置10で用いるメディア選択方法について詳細に説明する。
本実施の形態では、配布データ15Aを配布するため情報媒体を選択する場合、配布データ15Aの配布形式に基づいて、電子媒体31と紙媒体32とについて、配布に要する消費エネルギーを比較し、いずれか小さい方を選択する。比較に際し、消費エネルギーそのものを計算して比較してもよいが、本実施の形態では、パラメータを計算して比較する場合について説明する。
【0034】
ここでは、配布形式情報15Bについて説明したように、配布データのデータサイズを情報量i[MB]とし、配布データの配布開始から配布終了までの期間を配布期間t[日]とし、配布期間t内に配布データが含まれている情報媒体を配布する数を配布数x[個]とする。
また、基準設定情報15Cについて説明したように、単位情報量(=1[MB])を紙媒体32により配布する際に消費するエネルギーを基準紙媒体消費エネルギーepとし、単位情報量(=1[MB])を電子媒体31により配布する際に消費するエネルギーを基準電子媒体消費エネルギーewとし、電子媒体31を配布するWEBサーバ21で単位時間当たりに消費するエネルギーを基準WEBサーバ消費エネルギーdとする。
【0035】
通常、基準紙媒体消費エネルギーepは、基準電子媒体消費エネルギーewよりも大きく、ep>ewである。
ここで、情報量iを配布するのにプリンタ22により紙媒体32を印刷した場合、単位配布量当たりの消費エネルギーは、ep×iである。したがって、配布量xで配布期間tの配布形式における消費エネルギーEpは、Ep=ep×i×xと表すことができる。すなわち、紙媒体32を利用した場合、配布に要する消費エネルギーは、配布期間tによって変化せず、情報媒体の配布量xにのみ比例する。
【0036】
一方、WEBサーバ21から配信される電子媒体31を利用した場合、単位配布量当たりの消費エネルギーは、ew×iである。したがって、配布量xで配布期間tの配布形式における消費エネルギーは、ew×i×xと表すことができる。ここで、WEBサーバ21の単位時間当たりに消費するエネルギーは、基準WEBサーバ消費エネルギーdであるので、配布期間tに消費されるエネルギーは、d×tとなる。このため、電子媒体31を利用した場合、配布量xで配布期間tの配布形式における消費エネルギーEwは、Ew=ew×i×x+d×tとなる。すなわち、電子媒体31を利用した場合、配布に要する消費エネルギーは、WEBサーバ21の動作時間すなわち配布期間tに比例し、同時に情報媒体の配布量に比例する。
【0037】
したがって、プリンタ22による紙媒体32を利用する場合の方が、消費エネルギーが小さい条件は、ep×i×x<ew×i×x+d×t、すなわちi×x/t<d/(ep−ew)となる。
反対に、WEBサーバ21による電子媒体31を利用する場合の方が、消費エネルギーが小さい条件は、i×x/t>d/(ep−ew)となる。
【0038】
本実施の形態では、これら条件で用いるi×x/tやd/(ep−ew)をパラメータとして計算し、上記条件の成立可否を確認している。この際、d/(ep−ew)については、基準設定情報15Cのみで計算できる。このため、これらを基準パラメータとして予め算出して記憶部15に保存しておけば、いずれの配布形式についても共用できる。
したがって、配布形式情報15Bのみで計算できるi×x/tを比較パラメータとして、配布形式ごとに計算して、基準パラメータと比較するようにしてもよく、計算処理負担を大幅に軽減できる。
【0039】
[メディア選択例]
次に、メディア選択例として、入力された配布形式の内容により、配布データの配布に用いる情報媒体が変化する場合について説明する。
まず、基準設定情報15Cにおいて、ep=1[ワット日/MB]、ew=0.001[ワット日/MB]、d=100[ワット]と設定されているものとする。
【0040】
この際、epは、紙媒体32における単位情報量当たりの消費エネルギーであるが、紙媒体32のプリントアウトによるプリンタ22の消費エネルギーep1、紙自体のコストをエネルギー換算したものep2のほか、紙媒体32を運送する場合は運送に要するエネルギーep3も含まれる。このため、ep=ep1+ep2+ep3と表すことができる。
一方、ewは、電子媒体における単位情報量当たりの消費エネルギーであるが、これはインターネット等を経由してデータ伝送する際のエネルギーew1や、会議でパソコンなどで閲覧する場合に消費するエネルギーew2とを含む。このため、ew=ew1+ew2となる。
【0041】
ここで、第1の配布例として、情報量iが1[MB]、配布期間tが10[日]、配布数xが10[個]とした場合、i×x/t=1、d/(ep−ew)=100.1であることから、i×x/t<d/(ep−ew)となる。このため、紙媒体32を用いた方が消費エネルギーが少なくて済む。したがって、第1の配布例の場合、配布データ15Aは、プリンタI/F部12からプリンタ22へ出力され、プリンタ22で紙媒体32としてプリントアウトされて配布されることになる。
【0042】
一方、第2の配布例として、情報量iが1[MB]、配布期間tが1[日]、配布数xが200[個]とした場合、i×x/t=200となり、d/(ep−ew)=100.1のままであることから、i×x/t>d/(ep−ew)となる。このため、電子媒体31を用いた方が消費エネルギーが少なくて済む。したがって、第2の配布例の場合、配布データ15Aは、通信I/F部11からWEBサーバ21へ出力され、WEBサーバ21で電子媒体31として電子的に配布されることになる。
【0043】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、情報入力部16Aで、情報媒体により配布される配布データ15Aが持つ情報量i、当該配布データ15Aを配布する配布期間t、および当該情報媒体の配布数xを含む配布形式情報15Bを入力し、メディア選択部16Bで、この配布形式情報15Bに基づいて、配布データ15Aを紙媒体32で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーEpと、配布データを電子媒体で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーEwとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、配布データ15Aを配布するための情報媒体として選択するようにしたものである。
【0044】
これにより、配布データを配布する際、その配布形式に応じて、紙媒体32および電子媒体31のうちから、配布に要する消費エネルギーが小さい最適な情報媒体を選択することができる。したがって、配布データの情報量、配布期間、配布数が異なるいずれの配布形式についても、低い配布コストで配布データを配布することができる。
【0045】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0046】
10…データ配布制御装置、11…通信I/F部、12…プリンタI/F部、13…操作入力部、14…画面表示部、15…記憶部、15A…配布データ、15B…配布形式情報、15C…基準設定情報、15P…プログラム、16…制御部、16A…情報入力部、16B…メディア選択部、16C…データ出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報媒体により配布される配布データが持つ情報量、当該配布データを配布する配布期間、および当該情報媒体の配布数を含む配布形式情報を入力するための情報入力部と、
前記配布形式情報に基づいて、前記配布データを紙媒体で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、前記配布データを電子媒体で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、前記配布データを配布するための情報媒体として選択するメディア選択部と
を備えることを特徴とするデータ配布制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ配布制御装置において、
前記メディア選択部は、前記情報量をiとし、前記配布期間をtとし、前記配布数をxとし、単位情報量のデータを前記紙媒体により配布する際に消費する基準紙媒体消費エネルギーをepとし、単位情報量のデータを前記電子媒体により配布する際に消費する基準電子媒体消費エネルギーをewとし、前記電子媒体を配布するWEBサーバで単位時間当たりに消費する基準WEBサーバ消費エネルギーをdとした場合、i×x/t<d/(ep−ew)が成立した際には、前記配布データを配布するための情報媒体として前記紙媒体を選択し、i×x/t>d/(ep−ew)が成立した際には、前記配布データを配布するための情報媒体として前記電子媒体を選択することを特徴とするデータ配布制御装置。
【請求項3】
情報媒体を用いたデータ配布を制御するデータ配布制御装置で用いられるメディア選択方法であって、
情報入力部が、情報媒体により配布される配布データが持つ情報量、当該配布データを配布する配布期間、および当該情報媒体の配布数を含む配布形式情報を入力するための配布形式情報入力ステップと、
メディア選択部が、前記配布形式情報に基づいて、前記配布データを紙媒体で配布する際に必要となる紙媒体消費エネルギーと、前記配布データを電子媒体で配布する際に必要となる電子媒体消費エネルギーとの大小を判定し、いずれか小さい方の情報媒体を、前記配布データを配布するための情報媒体として選択するメディア選択ステップと
を備えることを特徴とするメディア選択方法。
【請求項4】
請求項3に記載のメディア選択方法において、
前記メディア選択ステップは、前記情報量をiとし、前記配布期間をtとし、前記配布数をxとし、単位情報量のデータを前記紙媒体により配布する際に消費する基準紙媒体消費エネルギーをepとし、単位情報量のデータを前記電子媒体により配布する際に消費する基準電子媒体消費エネルギーをewとし、前記電子媒体を配布するWEBサーバで単位時間当たりに消費する基準WEBサーバ消費エネルギーをdとした場合、i×x/t<d/(ep−ew)が成立した際には、前記配布データを配布するための情報媒体として前記紙媒体を選択し、i×x/t>d/(ep−ew)が成立した際には、前記配布データを配布するための情報媒体として前記電子媒体を選択するステップを含むことを特徴とするメディア選択方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1または請求項2に記載のデータ配布制御装置を構成する各部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−61826(P2013−61826A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200192(P2011−200192)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)
【Fターム(参考)】