説明

トイレシステム

【課題】手洗い時にすぐ温水を吐出できる手洗い装置を備えるトイレシステムの提供。
【解決手段】貯湯タンク11と、温水を内部に循環させて暖める暖房手段22をもつ便座21と、局部洗浄手段31と手洗い用水栓41、貯湯タンク11から水栓41に至る手洗い用配管42及び配管42からの流れを分岐する分岐手段43を備える手洗い手段、と使用者の立ち上がり動作を検知する着座センサを備え、使用者の立ち上がりに基づいて、配管42に温水を供給し且つ配管42からの流れを分岐手段43により分岐させて配管42内の温水温度を安定化する制御手段と、を有する。使用者の立ち上がりを検知して手洗い用水栓41に温水を供給する配管42内に温水を循環させることで、手洗いを行う前に配管42内を温水で満たすことが可能になり、手洗いを温水にて快適に行うことが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座暖房、局部洗浄及び手洗いを温水によって行うことができる快適なトイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、局部洗浄用のノズル装置と、内部に湯の通過流路を形成して表面を暖房可能な便座と、外部の給水源及び給湯源に接続され水と湯とを混合するバルブユニットとを備え、ノズル装置及び便座をバルブユニットの下流側に設けて流路を接続し、便座には供給した湯を外部に排出する流路系を設け、バルブユニットは、ノズル装置及び便座側へ向かう流路を独立して開閉制御可能な弁機構を備えるトイレが開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、トイレユニット内に温水器を設けその温水を洗浄、便座表面の暖房、床暖房、手洗いに利用することが開示されている(特許文献2)。
【特許文献1】実開平6−12578号公報
【特許文献2】特開平9−273322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2に開示のトイレシステムでは手洗いを行う部材と局部洗浄用ノズルとの間が離れているので、いずれか一方(通常は手洗いを行う部材)は給湯源との間の配管長が長くなる。従って、配管内に残った冷水が使用開始直後に吐出することになり不快感を感じることになる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて完成されたものであり、手洗いを行いたい時にすぐ温水を吐出することができる手洗い装置を備えるトイレシステムを提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のトイレシステムは、温水を供給する給湯手段と、
前記給湯手段から供給される温水を内部に循環させて暖める温水暖房手段をもつ便座と、
局部に向けて洗浄水を吹き出す洗浄ノズルをもつ局部洗浄手段と、
手洗い用水栓と、前記給湯手段から該手洗い用水栓に至る手洗い用配管と、該手洗い用水栓に至る前の該手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を分岐する分岐手段と、を備える手洗い手段と、
使用者の所定動作を検知する動作検知センサを備え、該動作検知センサが検知した該使用者の該所定動作に基づいて、前記給湯手段から前記手洗い用配管に温水を供給し且つ前記手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を前記分岐手段により分岐させて前記手洗い用配管内の温水温度を安定化する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
使用者が手洗いを行う前に必然的に現れる所定の動作を検知して、その動作に基づいて手洗い用水栓に温水を供給する手洗い用配管内に温水を循環させることで、手洗いを行う前に手洗い用配管内を温水で満たすことが可能になり、手洗いを温水にて快適に行うことが可能になる。
【0008】
手洗いを行うことが予測できる使用者の所定の動作としては、便座からの立ち上がり、使用者の便座や便器などへの接近、便器内の洗浄、局部洗浄の開始若しくは終了、局部乾燥の開始若しくは終了、トイレットペーパの使用、トイレシステム内における照明のオンオフなどが挙げられる。
【0009】
特に、前記動作検知センサは着座センサ及び人検知センサのうちの少なくとも一方であり、前記使用者の所定動作としては、前記着座センサが検知する前記使用者の前記便座からの立ち上がり動作及び/又は前記人検知センサが検知する前記使用者の接近動作を用いることが望ましい。
【0010】
そして、前記動作検知センサは前記人検知センサを備え、前記制御手段は前記人検知センサが検知した前記使用者の接近動作に基づいて、前記給湯手段から前記温水暖房手段に温水を供給させることが望ましい。この場合に、前記動作検知センサは前記着座センサを備え、前記制御手段は前記人検知センサが人の接近を検知した後、前記着座センサが前記使用者の前記便座への着座を所定時間検知しない場合に前記給湯手段から前記温水暖房手段への温水供給を停止することが望ましい。
【0011】
更に、前記温水暖房手段は前記便座の着座面側に配置し且つ該着座面側の面を熱伝導性が相対的に高い材料で形成し該着座面以外の面を断熱部材で形成した温水流路を備え、
閉位置において前記便座の前記着座面を広がり方向に隙間なく覆い且つ断熱性が高い蓋断熱部材と、該閉位置において該着座面の周囲を囲むように該蓋断熱部材の該着座面側に設けられ前記便座に密着して該着座面側の空間を密閉するパッキングとを備え、開位置及び前記閉位置の間で揺動可能に枢支される便座蓋体を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
上記構成を有することから本発明のトイレシステムは使用者による手洗いを予測して手洗い手段が温水を速やかに吐出できるように準備できるので、手洗い手段に温水を常に準備すること無しに使用者は何時でも快適に手洗いができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施形態のトイレシステムに基づいて本発明のトイレシステムを以下詳細に説明する。
【0014】
(構成)
本実施形態のトイレシステムは給湯手段と便座と局部洗浄手段と手洗い手段と制御手段とその他必要な手段とを有する。
【0015】
給湯手段はトイレシステムに一体的に組み込まれた形式の装置でもよいし、住宅全体の給湯用に設けられている外部の温水器などの装置であってもよい。得られる温水は、給湯手段により温度調節を行うことができるほか、給湯手段から供給される温水と上水道などの外部からの給水源からの給水とを任意の割合で混合できる混合弁を採用して温度調節を行うこともできる。また、後述する洗浄ノズル、温水暖房手段及び手洗い手段のそれぞれについて混合弁を設けてそれぞれ適正な温度の温水になるように制御することも可能である。
【0016】
便座は使用者が快適に着座できるように暖房する温水暖房手段をもつ。温水暖房手段は給湯手段から供給される温水により便座の暖房を行う手段であり、給湯手段から供給される温水を内部に循環させることで便座を暖める手段である。例えば、便座の内部に温水が循環できる配管を配置したり、温水を入れることができる空洞を便座内部に形成した構成が例示できる。便座内の空洞や配管をそのまま温水の貯湯タンクとして用いることも可能である。
【0017】
そして、便座内において温水を循環させる部分を囲む面のうち、便座の着座面側は熱伝導に優れた材料から構成することが望ましい。そして、その他の面側は断熱性が高い材料から構成することが望ましい。特に、着座面側は着座面の表面に至るまで熱伝導性の高い材料にて形成することで、温水によって速やかに着座面表面を暖めることができるので、使用に応じて瞬間的に暖房を行うことが容易になる。
【0018】
便座として温水が循環できるように配管を配置する場合には、便座の着座面側に配管を近接させることが望ましい。その場合に、便座内部を空洞とし、その空洞内部の着座面側に配管を設けることが望ましい。配管を設ける方法は特に限定しないが、別体の配管を便座内部に形成した空洞の内側に着設したり、便座の着座面側に溝を形成してその溝に覆いをかぶせることで配管が形成したりできる。
【0019】
後者の溝を形成する方法によると、配管が直接、着座面側に露出するので温水からの熱が速やかに伝導可能である。この場合に、溝を覆って配管の一部となり着座面側に直接、露出する部分の面の中央部分の熱伝導性をその周辺部分よりも相対的に低くすることが望ましい。
【0020】
便座内面に別体とした配管を配設する場合においても、その配管が接する部分において、接する部分の面の中央部分の熱伝導性をその周辺部分よりも相対的に低くすることが望ましい。つまり、配管から最も熱伝導し易い中央部分の熱伝導性をその両側よりも低くすることで熱の伝導性が平準化でき、着座面における熱伝導のムラが少なくなる。
【0021】
例えば、幾重にも折り重なるように着座面側の内面に配管が着設されている場合には、配管が内面に接する部分の形状は折り重なった帯状となる。その場合に、便座の着座面は全体としては熱伝導性に優れる材料(アルミニウムなどの金属)にて形成し、配管が接する部分である帯の中央部分には熱伝導性が低い材料(例えば、何らかの樹脂)を介設することで配管からの熱伝導を抑制することが望ましい。その結果、帯の中央部分への熱伝導は周辺部分からの熱伝導よりも遅くなり、全体としての熱伝導のムラが少なくなる。
【0022】
更に、熱伝導性が高い材料で配管を形成することにより、配管内に流れる温水の熱が配管の内面から着座面に向けて配管の全体を通じて効果的に伝達できる。熱伝導性が高い配管としては配管自身を熱伝導性が高い材料から構成する方法、配管の周囲を熱伝導性が高い材料で囲む方法などがある。
【0023】
局部洗浄手段は洗浄ノズルをもち、人体の局部を洗浄水にて洗浄する手段である。洗浄ノズルから洗浄水を吐出して局部を洗浄する。洗浄水には温水を用いることもできる。温水は給湯手段から供給されるものを使用する。
【0024】
手洗い手段は使用者が必要に応じて手洗いを行うために用いる手段である。手洗い手段は手洗い用水栓と手洗い用配管と分岐手段とを備える。手洗い用配管は給湯手段から供給される温水を手洗い用水栓に導くための配管である。手洗い用水栓の直前に分岐手段を備える。分岐手段は手洗い用水栓に至る前の手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を分岐する手段である。手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を分岐手段により分岐しながら手洗い用配管に温水を供給することで配管内を適正温度の温水にて置換できる。分岐した温水はそのまま廃棄してもよいし、給湯手段に戻してもよいし、洗浄ノズル用の温水や便座暖房用の温水として使用してもよい。
【0025】
制御手段は動作検知センサを備え、その動作検知センサの検知結果に基づき制御を行う手段である。制御手段は給湯手段から手洗い用配管に温水を供給し且つ手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を分岐手段により分岐させる。流れを分岐しながらの温水供給は手洗い用配管内の温度が適正な温度になるまで行う。制御手段はトイレシステムにおけるその他の制御についても併せて行うことができる。その他の制御としては便器の洗浄、局部洗浄用のノズルによる局部洗浄、脱臭手段の作動、乾燥手段の作動などである。
【0026】
動作検知センサは使用者の所定動作を検知するセンサである。所定の動作は使用者が手洗いを行う前に必然的に現れることが期待できる動作である。所定動作としては、便座からの立ち上がり、使用者の便座や便器などへの接近、便器内の洗浄、局部洗浄の開始若しくは終了、局部乾燥の開始若しくは終了、トイレットペーパの使用、トイレシステム内における照明のオンオフなどが挙げられる。
【0027】
便座からの立ち上がり便座に着座センサを配置することで検知可能である。使用者の便座や便器への接近はトイレシステム内に配置した人検知センサにより検知可能である。便器内の洗浄は便器洗浄用操作スイッチや便器洗浄用操作レバーの操作などにより検知可能である。局部洗浄、局部乾燥の開始若しくは終了は局部洗浄用操作スイッチなどにより検知可能である。トイレットペーパの使用はトイレットペーパホルダの動きを検知する動作検知センサを配置することで検知可能である。トイレシステム内における照明のオンオフは照明用スイッチにより検知可能である。
【0028】
特に望ましい態様としては、動作検知センサとして着座センサ及び人検知センサのうちの少なくとも一方を採用し、検知する使用者の所定動作としては、着座センサが検知する使用者の便座からの立ち上がり動作及び/又は人検知センサが検知する使用者の接近動作を用いることが望ましい。
【0029】
ここで、動作検知センサとして人検知センサを備えるときに、制御手段はその人検知センサが検知した使用者の接近動作に基づいて、給湯手段から温水暖房手段に温水を供給させるように制御することが望ましい。人の接近を検知して便座暖房を行うことで暖房を必要なときに行うことができるので、人がいない暖房不要時のエネルギー消費を少なくできる結果、暖房に要するエネルギーが低減できる。動作検知センサとして着座センサを更に備えることで、制御手段は人検知センサが人の接近を検知した後、着座センサが使用者の便座への着座を所定時間検知しない場合に給湯手段から温水暖房手段への温水供給を停止するように制御することができる。人の接近を検知した後、所定時間以上、着座しない場合は男性による小用であると判断して便座の暖房を停止することができる。
【0030】
その他必要な手段としては便座蓋体、便器、便器洗浄手段、局部乾燥手段、脱臭手段などである。特に便座の暖房効率を向上するために便座蓋体として断熱性に優れた構成を採用することが望ましい。
【0031】
例えば、蓋断熱部材とパッキングとを備えることで便座の着座面側を隙間なく覆うことで暖房効率を上げる構成が挙げられる。この蓋断熱部材は閉位置において便座の着座面を広がり方向に隙間なく覆い且つ断熱性が高い材料から形成されるものであり、パッキングは閉位置において着座面の周囲を囲むように蓋断熱部材の着座面側に設けられ便座に密着して着座面側の空間を密閉する部材である。
【0032】
(作用効果)
本実施形態のトイレシステムは動作検知センサにより検知した使用者の所定動作に基づいて、手洗い手段、便座の温水暖房手段などの制御を行う。
【0033】
手洗い手段の制御としては手洗い手段の使用を予測して手洗い用水栓の直前に至るまでの手洗い用配管内に温水が満たされるように準備することで、使用開始直後から快適温度の温水による手洗いが可能になる。
【0034】
人検知センサ、着座センサにより使用者の所定動作を検知する場合を例に挙げて説明を行う。
【0035】
使用者がトイレシステム内に入ると人検知センサにより検知される。制御手段は使用者の接近を検知すると、便座蓋体を開状態にしたり、便座の温水暖房手段に温水を供給して便座の暖房を開始する。便座の暖房は着座センサからの検知が所定時間以上ない場合には中断することができる。
【0036】
制御手段は、使用者の着座を着座センサが検知すると、プレ洗浄、脱臭手段の作動、便座の暖房、局部洗浄手段の作動の許可などを開始する。
【0037】
制御手段は、使用者が立ち上がったことを着座センサが検知すると、手洗い手段における手洗い用配管内を温水で置換するために手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を分岐手段により分岐させながら、給湯手段から手洗い用配管に温水を供給する。供給された温水は、手洗い用配管を通過し、分岐手段により手洗い用水栓には到達せずに手洗い用配管内を温水にて置換できる。
【0038】
その後、使用者が手洗い用水栓から水を吐出させるときには手洗い用配管内に準備しておいた温水を速やかに供給することが可能になる。
【0039】
使用者が立ち上がったことを着座センサにより検知した場合に便器洗浄や脱臭手段を作動させることや便座蓋体を閉じることも可能である。
【実施例】
【0040】
本実施例のトイレシステムは、図1に示すように、給湯手段11〜15と便座21及び22と便座蓋体(図略)と局部洗浄手段31及び32と手洗い手段41〜44と操作パネル51と便器本体61と壁部材81と排水口91と各種センサ(図略)と制御手段(図略)とを有する。図1において、点線は温水が流れる配管を示し、矢印方向に温水が流れることを示す。
【0041】
給湯手段11〜15は貯湯タンク11とポンプ12と混合バルブユニット13と外部給水口14と流路切替バルブユニット15とを備える。貯湯タンク11は湯を沸かして高温の湯を貯める手段である。貯湯タンク11には外部給水口14から水が供給されると共に貯められた湯を外部に供給することができる。また、貯湯タンク11は暖房などに用いた温水から熱が回収できるように熱交換器(図略)が内蔵されており、その熱交換器には便座暖房に用いた温水及び手洗い手段からの温水が流入でき、外部給水口14からの水との間で熱交換を行った後に排水口91に排水される。排水口91へはその他余剰した水も排水できるように接続されている。
【0042】
また、使用によって温度が低下した温水を回収し、内部に配設した熱交換器により熱を回収して外部給水口14からの水を加熱することができる。
【0043】
ポンプ12は貯湯タンク11からの湯を加圧して混合バルブユニット13に供給する手段である。混合バルブユニット13はポンプ12により供給される湯と外部給水口14からの水とを任意割合で混合して目的とする温度の温水にして切替バルブユニット15に供給する手段である。切替バルブユニット15は供給される温水の流れを切り替えて温水が必要な部位に供給する手段である。
【0044】
便座21及び22は便座本体21とその着座面側に近接するよう配設された温水循環用配管22とを備える。便座本体21は、図2に示すように、着座面側の第1部材211と反対側の第2部材212との2つの部材が合わさり内部に空洞を形成している。温水循環用配管22は便座本体21の着座面側部材213に溝22aを設け、着座面側に覆い22bを形成して温水の配管22を形成している。着座面側部材213は第1部材211の着座面側に断熱部材214を介して接合している。配管22は4つ形成されており、図面の向かって左側の2つが図1において点線で示した温水の流路の内側に相当し、右の2つが図1における温水の流路の外側に相当する。温水循環用配管22は一端部が給湯手段の流路切替バルブユニット15に接続され、他端部が貯湯タンク11の熱交換器に接続されている。
【0045】
便座蓋体は閉位置において便座を覆い隠す部材である。便座蓋体は暖房されている便座の着座面からの放熱を抑制するために蓋断熱部材72及びパッキング73を備える。蓋断熱部材72は便座の着座面において暖房されている着座面側部材213を広がり方向に隙間なく覆っている。パッキング73は閉位置において着座面の周囲を囲むように蓋断熱部材72の着座面側に設けられている。パッキング73は便座の着座面に密着して着座面側の空間を密閉する。密閉することで着座面からの熱が流出し難くなって暖房効率が向上する。
【0046】
局部洗浄手段31及び32は本体部32と洗浄ノズル31とを備える。洗浄ノズル31は洗浄が必要なときに伸長し、先端に設けられた噴射口から洗浄水を局部に向けて噴射する。本体部32は洗浄ノズル31が使用されていないときに収納したり、洗浄ノズル31の動作や洗浄ノズル31からの洗浄水の噴射を制御する手段である。洗浄ノズル31には本体部32を介して流路切替バルブユニット15から温水が供給されるように接続している。
【0047】
手洗い手段41〜44は手洗い用水栓41と手洗い用配管42と分岐手段43と戻り配管44と洗浄ボタンとを備える。手洗い用配管42は一端が流路切替バルブユニット15に接続され、他端が分岐手段43に接続される。手洗い用水栓41は分岐手段43に接続されており洗浄ボタンにより開く弁をもつ。分岐手段43は手洗い用配管42から流入する温水の流れを手洗い用配管42及び戻り配管44のいずれかに導くように切り替える手段である。戻り配管44は貯湯タンク11内の熱交換器に接続されている。
【0048】
操作パネル51は便器本体61の洗浄、便座の暖房、局部洗浄手段の制御などのトイレシステムについて操作を行うための操作パネルである。操作パネル51を操作した信号は制御手段に出力される。
【0049】
各種センサとしては使用者の接近を検知する人検知センサ、着座センサ、温水や環境の温度センサ、照度センサなどを備える(図略)。人検知センサはトイレシステム後部に設けられている。着座センサは便座に設けられている。各センサからの信号は制御手段に出力されている。
【0050】
制御手段は操作パネル51、各種センサなどから入力される信号に基づきトイレシステムを制御する手段である。
【0051】
(作用効果:便座の暖房に関して(暑いときには冷水を循環させる便座冷房に応用することも可能である))
・必要に応じて便座の暖房を行う場合
操作パネルの操作や環境温度から便座の暖房が必要である場合に、制御手段はトイレシステム内への使用者の進入を人検知センサが検知すると、便座の暖房を開始する。具体的には、ポンプ12を作動させて貯湯タンク11から混合バルブユニット13に温水を供給し、適正な温度になるように混合バルブユニット13を調節する。切替バルブユニット15を切り替えて混合バルブユニット13からの温水を温水循環用配管22に流れるように切り替える。温水循環用配管22に温水が流れることで便座21の着座面側は速やかに暖められる。着座面の反対側には断熱部材14が配置されているので温水循環用配管からの熱は着座面側に伝達されて着座面を主に暖めることになる。
【0052】
混合バルブユニット13は最初の着座面側の温度が低いときに相対的に高温の温水を供給するように制御し、その後、着座面の温度が目的の適正温度範囲に至った場合に温水温度を低下させる。また、着座面の温度が適正である場合には温水循環用配管22への温水の供給を断続的にすることも可能である。
【0053】
その後、所定時間、使用者が便座に着座しない場合、使用者が便座を使用しないものと判断して温水循環用配管22への温水の供給を停止する。使用者が着座しない場合としては男性による小便器としてのみの使用態様、便器清掃などである。
【0054】
その後、着座センサが使用者の着座を検知した場合には速やかに温水循環用配管22への温水の供給を再開して便座を暖房する。また、便座の着座の有無の他、使用者の操作により便座が開状態にされた場合も便座の使用はないものと判断して速やかに便座暖房を停止することができる。
【0055】
・便座暖房を連続的に行う場合
制御手段は便座の着座面の温度が適正になるように温水温度及び量を調節して温水循環用配管22への温水の供給を行う。温水循環用配管22は断熱部材214、蓋断熱材72及びパッキング73により囲まれて断熱・密閉されているので着座面からの放熱が抑制される。従って、暖房効率が向上する。
【0056】
(作用効果:手洗い手段の制御に関して)
制御手段は使用者による手洗い手段の使用を予測して、手洗い用配管42内を温水にて置換する。温水による置換は分岐手段43を戻り配管44側に切り替えた状態で手洗い用配管42に温水を供給することで行う。
【0057】
供給された温水は手洗い用配管42を経て分岐手段43を通り戻り配管44から貯湯タンク11の熱交換器に戻る。手洗い用配管42内が温水にて置換された後に温水の供給を停止し、分岐手段43を手洗い用水栓41側に切り替える。
【0058】
その後に、使用者が洗浄ボタンを押したときには手洗い用水栓41の直前まで温水にて置換されているのですぐに暖かい快適な温水が供給される。
【0059】
制御手段は動作検知センサが所定動作を検知したときに手洗いを行うと予測している。所定動作としては、着座した状態から立ち上がった状態に使用者が移行する動作を採用し、動作検知センサとしての着座センサが立ち上がりを検知したときに上述した手洗い用配管42内を温水にて置換する動作を行う。
【0060】
その他にも使用者が便器内を洗浄する動作を所定動作とすることができる。単独で所定動作に採用することもできるが、立ち上がりの動作と組み合わせて所定動作とすることで、より確実に手洗いが予測できる。
【0061】
(変形態様)
実施例のように便座本体21の着座面側に温水循環用配管としての溝を形成することに代えて、形成した溝の中に別部材から構成した配管22aを配置することもできる。その場合に、図3に示すように、配管22aの上下面(着座面側及び反対側の面)からアルミニウムなどの熱伝導性に優れた材料から構成される熱伝導性膜215及び216にて挟み込むことで配管22aからの熱を効果的に着座面側に伝熱することができる。着座面に対して反対側の面の熱伝導性膜216は便座本体21の着座面側に形成した溝213aの壁には接触しないように配置することで配管22aからの熱は熱伝導性膜216を介して効果的に着座面に伝熱する。
【0062】
更に、図4に示すように、着座面側にて配管22aが接する部分である、熱伝導性膜215aと着座面を形成する薄膜217との間に熱伝導性膜215よりも熱伝導性が低い材料からなる低熱伝導性部材218を介装することで、比較的熱が伝わりやすい配管22aが接する部分の熱伝導性を低下させることで全体としての熱伝導性を均一化できる。
【0063】
その他に、図5に示すように、低熱伝導性部材218の介装に代えて、その部分における着座面を形成する薄膜217aの厚みを相対的に厚くすることで熱の伝導を低くできるので、比較的熱が伝わりやすい配管22aが接する部分の熱伝導性を低下させることが可能になり全体としての熱伝導性を均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例におけるトイレシステムの概略図である。
【図2】図1に示したトイレシステムにおける便座のII-II断面図である。
【図3】変形態様における便座の概略断面図である。
【図4】変形態様における便座の概略断面図である。
【図5】変形態様における便座の概略断面図である。
【符号の説明】
【0065】
11…貯湯タンク
12…ポンプ
13…混合バルブユニット
14…外部給水口
15…切替バルブユニット
21…便座本体
22、22a…温水循環用配管
31、32…局部洗浄手段
41…手洗い用水栓
42…手洗い用配管
43…分岐手段
44…戻り配管
51…操作パネル
61…便器本体
81…壁部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を供給する給湯手段と、
前記給湯手段から供給される温水を内部に循環させて暖める温水暖房手段をもつ便座と、
局部に向けて洗浄水を吹き出す洗浄ノズルをもつ局部洗浄手段と、
手洗い用水栓と、前記給湯手段から該手洗い用水栓に至る手洗い用配管と、該手洗い用水栓に至る前の該手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を分岐する分岐手段と、を備える手洗い手段と、
使用者の所定動作を検知する動作検知センサを備え、該動作検知センサが検知した該使用者の該所定動作に基づいて、前記給湯手段から前記手洗い用配管に温水を供給し且つ前記手洗い用配管からの流れの全部乃至一部を前記分岐手段により分岐させて前記手洗い用配管内の温水温度を安定化する制御手段と、を有することを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
前記動作検知センサは着座センサ及び人検知センサのうちの少なくとも一方であり、
前記使用者の所定動作としては、前記着座センサが検知する前記使用者の前記便座からの立ち上がり動作及び/又は前記人検知センサが検知する前記使用者の接近動作を用いる請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項3】
前記動作検知センサは前記人検知センサを備え、
前記制御手段は前記人検知センサが検知した前記使用者の接近動作に基づいて、前記給湯手段から前記温水暖房手段に温水を供給させる請求項1又は2に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記動作検知センサは前記着座センサを備え、
前記制御手段は前記人検知センサが人の接近を検知した後、前記着座センサが前記使用者の前記便座への着座を所定時間検知しない場合に前記給湯手段から前記温水暖房手段への温水供給を停止する請求項3に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記温水暖房手段は前記便座の着座面側に配置し且つ該着座面側の面を熱伝導性が相対的に高い材料で形成し該着座面以外の面を断熱部材で形成した温水流路を備え、
閉位置において前記便座の前記着座面を広がり方向に隙間なく覆い且つ断熱性が高い蓋断熱部材と、該閉位置において該着座面の周囲を囲むように該蓋断熱部材の該着座面側に設けられ前記便座に密着して該着座面側の空間を密閉するパッキングとを備え、開位置及び前記閉位置の間で揺動可能に枢支される便座蓋体を有する請求項1〜4のいずれかに記載のトイレシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−82054(P2008−82054A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264434(P2006−264434)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】