説明

トイレットペーパー供給装置

【課題】トイレ使用者が、トイレットペーパーを無駄にすることなく、また大小便に応じて適宜の量のトイレットペーパーを使用者に対して自動的に供給することができるトイレットペーパー供給装置を提供する。
【解決手段】トイレットペーパー供給装置1は、トイレットペーパー供給手段13と、供給手段13を制御してトイレットペーパーの供給量を制御する制御装置と、トイレ使用者のトイレ使用時間を検知するタイマと、トイレ使用者の操作により制御装置にトイレットペーパーの供給開始信号を出力するスイッチ部29と、を備え、制御装置は、スイッチ部29からの開始信号を受けると、タイマにより検知するトイレ使用時間に応じて、使用時間が短い場合は使用時間が長い場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう供給手段13を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレットペーパー供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のトイレットペーパーホルダーでは、ホルダーにセットしたトイレットロールペーパー(以下、「トイレットペーパー」という。また、当該トイレットペーパーを構成するペーパー自体を単に「ペーパー」ということにする。)のペーパーをトイレットペーパーホルダーから引き出して適宜の長さで切断するには、まず片手又は両手で必要な分引き出す。
【0003】
次に片手でペーパーを持った状態で、空いた手でトイレットペーパーが回転しないようにトイレットペーパーをホルダーの上部カバー越しに上から押さえつけ、さらにペーパーを持った手でペーパーを上部カバー先端部のエッジに宛がい千切るように切断する。つまり、トイレの使用者は、両手を使っての作業を必要とする。
【0004】
このように両手を使うとなると、片手が自由に使えない身障者や、例えば、ドレスや着物などを着用し、それらの服に気を使って片手が塞がってしまう女性などは苦労する。なぜならば、両手を使えないため、ペーパーを千切る際に勢いが余るほど片手に力を入れてペーパーを切除する者もいるからである。その場合、勢い余って必要以上にペーパーが繰り出してしまうことがあり得る。そして、両手を使用できる者であっても、大小便に拘わらず、必要以上にペーパーを繰り出す者もおり、ペーパーが極めて無駄になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−65604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みて発明されたものであって、その解決しようとする課題は、少なくとも、トイレ使用者が、トイレットペーパーを無駄にすることなく、また大小便に応じて適宜の量のトイレットペーパーを使用者に対して自動的に供給できるトイレットペーパー供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明のトイレットペーパー供給装置は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のトイレットペーパー供給装置は、トイレットペーパーを供給する供給手段と、前記供給手段を制御してトイレットペーパーの供給量を制御する制御手段と、トイレ使用者のトイレ使用時間を検知する検知手段と、トイレ使用者の操作により前記制御手段にトイレットペーパーの供給開始信号を出力するスイッチ部と、を備える。そして、前記制御手段は、前記スイッチ部からの開始信号を受けると、前記検知手段により検知したトイレ使用時間に応じて、使用時間が短い場合は使用時間が長い場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう前記供給手段を制御することを特徴とする。
【0009】
したがって、本発明によれば、トイレ使用時間が短い場合は、使用時間が長い場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう供給される。
このようにしたのは、一般的に、大便をする場合よりも小便をする場合の方がトイレの使用時間は比較的短時間で済むことと、ペーパー使用量も、小便の方が大便に比べ、少なくて済むからである。
【0010】
この結果、ペーパーの大幅な無駄遣いが抑制されるため、月単位や、年単位などの長期的な観点で見れば、トイレットペーパーの使用量を大幅に減少させることができる。つまりトイレ使用者が、自らトイレットペーパーを繰り出す場合に比べ、ペーパーの供給量が自動的に抑制されるので、長期に渡って換算するとトイレットペーパーの無駄を大幅に削減できる。
【0011】
前記ペーパーを切断する切断手段を有し、前記制御手段は、前記供給手段によるペーパーの供給量が所定量に達すると前記切断手段を作動させるようにしてもよい。このようにすると、トイレ使用者が自らトイレットペーパーを千切る必要がない。よって、トイレ使用者はトイレットペーパー以外に触ることがないので衛生的である。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトイレットペーパー供給装置によれば、大小便に応じた適宜の量のペーパーを使用者に自動的に供給できるので、ペーパーを無駄なく使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るトイレットペーパーホルダーをトイレに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るトイレットペーパーホルダーの覆面カバー体を取り外した状態の斜視図である。
【図3】図2の正面側から見た図である。
【図4】図3の一部切り欠き正面図である。
【図5】図2の一部省略縦断面図である。
【図6】図5の要部拡大図である。
【図7】トイレットペーパーの交換動作を説明するための図であり、直近で使用されていたトイレットペーパーが使用済みになった直後の状態を示す正面図と縦断面図とを並列して示す図である。
【図8】図7の斜視図である。
【図9】図7に連続する図でトイレットペーパーを使い切った直後に使用ロールペーパー固定用ソレノイドが作動し始めた状態を正面図と縦断面図とで並列して示す図である。
【図10】図9に連続する図で芯収納ボックスにトイレットペーパーの芯が落下している状態を正面図と縦断面図とで並列して示す図である。
【図11】図10に連続する図で芯収納ボックスにトイレットペーパーの芯が収納され、それに合わせて予備ロールペーパーが使用ロールペーパーとして供給される直前の状態を正面図と縦断面図とで並列して示す図である。
【図12】図11の斜視図である。
【図13】図11に連続する図で予備ロールペーパーが使用ロールペーパーとして供給された直後の状態を正面図と縦断面図とで並列して示す図である。
【図14】図13に連続する図で上段に位置する予備ロールペーパーが下段の予備ロールペーパーとして供給された直後の状態を正面図と縦断面図とで並列して示す図である。
【図15】図14の斜視図である。
【図16】トイレットペーパーの繰り出し状態を示す最初の図であって、ペーパーの先端部分にスクレーパが掛かっている状態を示す図である。
【図17】図16に連続する図であって、ペーパーが繰り出される初期段階を示す図である。
【図18】図17に連続する図であって、ペーパーが、ペーパー切断カッターに至る直前状態を示す図である。
【図19】図18に連続する図であって、ペーパーが、ペーパー切断カッターを通過し、ペーパー受け皿にペーパーが送り出される手前の状態を示す図である。
【図20】図19に連続する図であって、ペーパー受け皿にペーパーが送り出されペーパーの先端がペーパー受け皿の先端に接触した状態を示す図である。
【図21】図20に連続する図であって、ペーパー受け皿にペーパーが送り出された後、ペーパー受け皿上でペーパーが折り畳まれる直前の状態を示す図である。
【図22】図21に連続する図であって、ペーパーが、ペーパー受け皿上で折り畳まれる初期状態を示す図である。
【図23】図22に連続する図であって、ペーパーが、ペーパー受け皿上で折り畳まれる中途状態を示す図である。
【図24】図23に連続する図であって、ペーパーが、ペーパー受け皿上で一回折り畳まれ、折り返しを繰り返す図である。
【図25】図24に連続する図であって、所定回数の折り返しを繰り返した後、ペーパー切断カッターにより、ペーパーが切断される状態を示す図である。
【図26】ペーパー受け皿の斜視図である。
【図27】制御装置によって制御される部材のシステム構成図である。
【図28】トイレットペーパーホルダーの使用手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を実施するための形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0015】
図1は、本発明のトイレットペーパー供給装置であるトイレットペーパーホルダー1(以下、ホルダー1という)をトイレに設置したものである。ホルダー1は、その外形状が、上下方向に長い直方体の両端面を流線型にカットした如き変形直方体形状をしている。
【0016】
この明細書で上下とは、図1において、ホルダー1に正対した場合の上側及び下側をいい、同じく左右とは、図1に正対した場合の左側及び右側をいう。また、前後とは、図1に正対した場合の手前側及び向こう側をいう。
【0017】
ホルダー1は、長方形状をしたベース板2と、このベース板2に載置されたトイレットペーパーホルダー本体3(以下、ホルダー本体3という。)と、所定量のペーパーが重なり合って(折り畳まれて)排出されるペーパー受け皿4と、ペーパー受け皿4以外を覆う例えば金属製の覆面カバー体5とからなる。覆面カバー体5自体が流線型を呈していることで、ホルダー1が流線型をしているともいえる。覆面カバー体5は、ホルダー本体3に対して施錠されるようになっており、作業者だけが開閉できる。
【0018】
ベース板2は、抗菌加工された金属又は合成樹脂を加工した板材で、トイレの壁面に図示しない螺合手段や係合手段などで固定される。
ホルダー本体3は、図示しない着脱手段によってベース板2に取り付けられる本体カバー7(図3参照)を有し、当該本体カバー7には、ホルダー本体3を構成する各種部材が組み込まれる。
【0019】
本体カバー7は、上方に開口した間仕切りのない中空四角柱形状をしている。そして、その上半部が予備のトイレットペーパー(以下、「予備ロールペーパーTs」という。)
が収納される予備ロールペーパー収納域Iとされ、予備ロールペーパー収納域Iの直下には、使用可能状態に置かれているトイレットペーパー(以下、「使用ロールペーパーTu」という。)を受ける使用ロールペーパー収納域IIとされている(図3,5参照)。また、使用ロールペーパー収納域IIの直下は、使用済みのトイレットペーパーの芯8を収集する有底の芯収納ボックス9とされている(例えば図5,8参照)。
【0020】
すなわち、予備ロールペーパー収納域Iと、使用ロールペーパー収納域IIと、芯収納ボックス9とが鉛直方向に延びる同一軸線上に配列されている(図5参照)。
そして、予備ロールペーパー収納域Iと使用ロールペーパー収納域IIに収納されるトイレットペーパーも、上記同一軸線上に配置される。
【0021】
本体カバー7のうち、予備ロールペーパー収納域Iは、トイレットペーパーを横倒し状態で3個分、上下に積み重ねて最上位のトイレットペーパーが幾分はみ出す程度に収納できる容量を有する。予備ロールペーパーTsは、本体カバー7の前記開口からトイレ作業者により供給される。なお、予備ロールペーパーTsを予備ロールペーパー収納域Iに収納するときの向きは一定であり、当該収納をしたときに予備ロールペーパーTsの先端が後方にある状態において、当該先端が下向きの状態で収納される(図5、16等参照)。
【0022】
また、予備ロールペーパー収納域Iに予備ロールペーパーTsを横にして入れると、重力により予備ロールペーパーTsが自然落下するように、本体カバー7の寸法が設定されている。
【0023】
さらに、予備ロールペーパー収納域Iの左右の側壁11L・11R(図3参照)には、予備ロールペーパー収納域Iに収納された3個の横倒しにされた予備ロールペーパーTsのうち、下から1番目と2番目の予備ロールペーパーTsの重力による落下を抑制する落下抑制手段が設けられている。落下抑制手段の具体例としては、予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10を挙げられる。
【0024】
予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10は、使用ロールペーパー収納域IIに予備ロールペーパーTsが移送されて使用ロールペーパーTuになるまでの間、予備ロールペーパー収納域Iに予備ロールペーパーTsを一時的に留めておくためのものである。
【0025】
そして、予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10が作動することにより、予備ロールペーパー収納域Iでの予備ロールペーパーTsの落下が抑制される。予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10は、ホルダー本体3の左右の側壁11L・11Rの前縁寄りの箇所にそれぞれ上下方向に離れて二つずつ対となって合計4個取り付けられている(図2、3参照)。これら4つのソレノイド10の配置は、左右方向では水平軸上において、また上下方向では、垂直軸上において、それぞれトイレットペーパーを1個横倒しにした分の間隔が空けられて配置されている(図2参照)。
【0026】
予備ロールペーパー収納域Iに予備ロールペーパーTsを一時的に留めておく間、予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10のプランジャー12(以下、「繰出し用プランジャー」という。)が、予備ロールペーパー収納域I内に向けて突出し、予備ロールペーパーTsに対し、その手前側下方寄りで当接をするようになる(図2参照)。これに併せて予備ロールペーパーTsの後方側が、ベース板2に当接する。その結果、予備ロールペーパーTsが、予備ロールペーパー収納域Iから落下することなく一時的に留まる。
【0027】
繰出し用プランジャー12を後退させると、予備ロールペーパーTsの自然落下による通り抜けが許可される。すると、予備ロールペーパーTsが、自然落下により自動的に予備ロールペーパー収納域Iから使用ロールペーパー収納域IIに移行するようになる。
【0028】
使用ロールペーパー収納域IIは、その左側壁11Lの中央に使用ロールペーパー回転用モーター13が取り付けられている(図2、8等参照)。また、右側壁11Rに使用ロールペーパー固定用ソレノイド14が、使用ロールペーパー回転用モーター13と同軸に設置されている。
【0029】
さらに使用ロールペーパー収納域IIには、ペーパー絡み防止用ファン15の上半部である吹き出し口(ダクト)16、及び使用ロールペーパーTuのストッパー用ローラ17が設置されている(図2、8等参照)。加えて、使用ロールペーパー収納域II内には、使用ロールペーパー収納域IIから繰り出された使用ロールペーパーTuをペーパー受け皿4に案内するペーパー案内路18が形成されている(図5、6等参照)。
【0030】
使用ロールペーパー回転用モーター13は、使用ロールペーパー収納域IIに収納されている使用ロールペーパーTuを回転可能に支持するための回転手段であり、一定方向にのみ回転する(図2の矢印A参照)。使用ロールペーパーTuをゆっくり回転することで、使用ロールペーパーTuの芯8に巻き付けられているペーパー(以下「使用ペーパー」という。)を漸次繰り出すようになっている。
【0031】
使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数は、制御装置20(図1、27参照)によって自動制御される。自動制御の仕方としては、使用ロールペーパーTuの使用が進行するに連れて、その直径が小さくなるため、直径が小さくなるほど、使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数が高くなるように設定してある。
【0032】
例えば、トイレットペーパーを全く使用してない場合と使い切った場合とでは、トイレットペーパーはその直径で3倍ほどの差がある。このため、単純に計算すれば、使用ロールペーパーTuの使い始めと終わりとで、使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数に3倍の差を付け、途中ではその中間の回転数にする。このようにすることで、定常的に使用ロールペーパーTuの繰り出し量をほぼ一定にすることが考えられる。
【0033】
また、使用ロールペーパー回転用モーター13のシャフトには、当て板21が取り付けられており(図2,3等参照)、この当て板21は、トイレットペーパーの芯8部分に宛がわれる。芯8の穴径よりも当て板21の外形の方が大きい。
【0034】
使用ロールペーパー固定用ソレノイド14は、使用ロールペーパー回転用モーター13から、トイレットペーパーを1個横倒しにした分、離隔されている(図2,3等参照)。
使用ロールペーパー固定用ソレノイド14にもそのプランジャー(以下、「固定用プランジャー14A」という。)に当て板21が取り付けられる(図5参照)。なお、符号22で示すものは、使用ロールペーパー固定用ソレノイド14の架台である(図2参照)。架台22は、右側壁11Rに固定されている。
【0035】
そして、使用ロールペーパー収納域IIに使用ロールペーパーTuを留めておく間(使用ロールペーパーTuを使い終わる間)、固定用プランジャー14Aが、使用ロールペーパー収納域II内に向けて突出する。
【0036】
この結果、固定用プランジャー14Aに取り付けられている当て板21も突出し、使用ロールペーパーTuの端面のうち芯8部分に宛がわれる。当て板21が使用ロールペーパーTuの前記端面に宛がわれることで、使用ロールペーパー回転用モーター13の当て板21との間で使用ロールペーパーTuが挟持される(図13〜15参照)。
【0037】
当該挟持された状態で使用ロールペーパー回転用モーター13が駆動すると、その回転
力は、使用ロールペーパーTuに伝達され、使用ロールペーパーTuが空回りせずに回転し、ペーパーが繰り出される。よって、使用ロールペーパー回転用モーター13、その当て板21、使用ロールペーパー固定用ソレノイド14、固定用プランジャー14Aに取り付けられている当て板21をトイレットペーパーの供給手段という。但し、使用ロールペーパー回転用モーター13が駆動しないことにはペーパーの繰り出しはできないので、使用ロールペーパー回転用モーター13単独でも供給手段ということにする。
【0038】
なお、この明細書では、固定用プランジャー14Aに取り付けられている当て板21が突出し、使用ロールペーパーTuの端面のうち芯8部分に当て板21が宛がわれることを、”差し”ということにする。逆に当て板21が、使用ロールペーパーTuの端面のうち芯8部分に宛がわれることをやめる、つまり当て板21が、使用ロールペーパーTuの端面のうち芯8部分から離れることを、”抜き(差しの解除)”ということにする。よって、固定用プランジャー14A及び当て板21のことを抜き差し部という。
【0039】
使用ロールペーパーTuを使い切り、予備ロールペーパーTsを使用ロールペーパー収納域IIに移動させるときは、前記抜きを行って、当て板21が、使用ロールペーパーTuの端面のうち芯8部分に宛がわれることをやめる。これにより、使用ロールペーパーTuの芯8が芯収納ボックス9内に落下する(図7〜12参照)。
【0040】
次に、繰出し用プランジャー12を後退させ、予備ロールペーパーTsの自然落下による通り抜けを許可する(図10〜13参照)。その後は、予備ロールペーパーTsが、自然落下により順次自動的に使用ロールペーパー収納域IIに移行する(図14、15参照)。
【0041】
ペーパー絡み防止用ファン15は、使用ロールペーパー収納域IIと、芯収納ボックス9とに跨った状態でかつ両者の手前側に設置されている。そして、ペーパー絡み防止用ファン15の吹き出し口16は、ホルダー本体3の後方に向けて開口されている。
【0042】
ストッパー用ローラ17は、予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10の前記垂直軸上に位置し(図5等参照)、かつ芯収納ボックス9の上方部前面(手前側に位置する面)においてホルダー本体3の幅方向(左右方向)に延びるローラである。ストッパー用ローラ17は、その両端から左右に突出する回転軸によりホルダー本体3の左右の側壁11L・11Rに回転自在に支持されている。
【0043】
ストッパー用ローラ17が使用ロールペーパーTuを受け止めた地点で、使用ロールペーパー回転用モーター13及び使用ロールペーパー固定用ソレノイド14に対して、使用ロールペーパーTuが位置決めされる。すなわち、使用ロールペーパーTuが、使用ロールペーパー収納域IIに位置し、これを使用できる状態になる。
【0044】
また、使用ロールペーパー収納域IIにある既述したペーパー案内路18は、ペーパー絡み防止用ファン15の吹き出し口16から続いており、使用ロールペーパーTuの上半分の外形状に沿って形成され、かつその後ペーパー受け皿4に向けてまっすぐに下方へ向けて伸びる扁平な中空領域である。
【0045】
そして、ペーパー案内路18は、これを側方から見ると、その形状は疑問符(?)に似ている(図5、18等参照)。但し、ペーパー案内路18の形状は、これに限定されるものではない。例えば、実質的にペーパーが案内を開始される箇所を基端としてそこから下方にまっすぐ伸びる扁平矩形な中空領域であってもよい。
【0046】
ペーパー案内路18の途中には、ペーパーカット用ソレノイド23と、当該ソレノイド
のプランジャー23Aの先端に取り付けられたペーパー切断カッター24と、ペーパー切断カッター24と組み合わせて設けられるカッター受け台25とを有する。カッター受け台25には、カッターの刃を受ける受け刃溝26が形成されている(図5、18等参照)。なお、ペーパー切断カッター24と、カッター受け台25とを前後方向において入れ替えて設置してもよい。
【0047】
ペーパー案内路18に対してこれを横断するように窓枠27が設置されている(図16参照)、当該窓枠27にペーパー切断カッター24とカッター受け台25とが、対向状態で取り付けられている。さらにペーパー案内路18の先端は、ペーパー受け皿4と連結されている。
【0048】
ペーパーカット用ソレノイド23のプランジャー23Aが延びる(後方に移動する)とペーパー切断カッター24がカッター受け台25に当接する。反対に、プランジャー23Aが後退する(前方に移動する)とペーパー切断カッター24はカッター受け台25から離れる。
【0049】
ペーパー切断カッター24がカッター受け台25から離れた状態で、使用ロールペーパーTuの使用ペーパーが、ペーパー切断カッター24とカッター受け台25との間に入り込む。そして、今度はその状態からペーパー切断カッター24をカッター受け台25に対して進行させる。すると、使用ペーパーは、ペーパー切断カッター24と受け刃溝26とによって押圧されて切断される(図25参照)。よって、ペーパー切断カッター24及び、受け刃溝26を含むカッター受け台25を切断手段ということができる。
【0050】
芯収納ボックス9は、上方に開口されて当該開口経由で使用済みの芯8を受ける箱体である。また、芯収納ボックス9の手前側には、ペーパー絡み防止用ファン15のファン本体15Aが対面するように設置されている。
【0051】
さらに、芯収納ボックス9の後面(向こう側に位置する面)には、使用ロールペーパーTuの先端を剥がすためのスクレーパ28(掻器)が形成されている(図5、6,7等参照)。スクレーパ28は、既述したストッパー用ローラ17と共に、予備ロールペーパーTsが使用ロールペーパー収納域IIに自然落下した際に、当該予備ロールペーパーTsを受け止める。
【0052】
さらにまた、図5、6、16等に示すようにスクレーパ28は、使用ロールペーパーTuが使用ロールペーパー収納域IIにセッティングされた状態において、当該ロールペーパーTuの外周面に下方から後方に回り込んで当接をするように、芯収納ボックス9の後方外側に向けて湾曲形成されている。
【0053】
加えて、ベース板2と覆面カバー体5とで画成される空間部には、制御装置20が配置されている(図1参照)。
また、覆面カバー体5の下部曲面箇所には、使用ロールペーパー回転用モーター13を駆動するトリガーとなるノータッチセンサー29が取り付けられている(図1、2、5参照)。
【0054】
ノータッチセンサー29は、制御装置20と電気的に接続されており(図27参照)、トイレ使用者の操作(例えばノータッチセンサー29にトイレ使用者が手をかざすこと)により、制御装置20にトイレットペーパーの供給開始信号を出力するスイッチ部として機能する。
【0055】
ノータッチセンサー29としては種々考えられるが、例えば、照射した不可視光線の反
射により物体を検知する近赤外線反射式センサー、人や物体の微弱な熱エネルギーをキャッチする受動式センサーである熱線(遠赤外線)式センサー、照射したマイクロ波(電波)の反射により物体を検知するマイクロ波ドップラー式センサー、複数の検知原理を採用してそれぞれの長所を活かしたセンサーであるハイブリッド(複合)式センサーなどを挙げられる。ノータッチセンサー29のトイレ使用者による操作とは、例えばノータッチセンサー29にトイレ使用者が手をかざすことが挙げられる。
【0056】
さらに、便座には、使用者の着座を検知する着座センサー440が設置されており(図1参照)、着座センサー440は、使用者が便座に着座すると、トイレ使用のための開始信号を発信する。着座センサー440にもノータッチセンサー29と同様、近赤外線反射式センサーその他のセンサーが使用される。着座センサー440も制御装置20と電気的に接続されている(図27参照)。
【0057】
そして、前記制御装置20は、予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド10、使用ロールペーパー固定用ソレノイド14の各プランジャーの進退制御、各ソレノイド10,14、23、使用ロールペーパー回転用モーター13、ペーパー絡み防止用ファン15、ノータッチセンサー29、着座センサー440を稼働制御する制御手段である(図27参照)。
【0058】
また、制御装置20は、トイレ使用者のトイレ使用時間を検知する、検知手段としてのタイマ201と接続されている(図27参照)。制御装置20が前記着座センサー440からトイレ使用のための開始信号を受けると、タイマ201が働きトイレ使用時間を検知する。そして、使用時間が短い場合は、使用時間が長い場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう、前記使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数を制御する。
【0059】
つまり、トイレの使用時間が短い場合は、長い場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数を小さく制御する。反対にトイレの使用時間が長い場合は、短い場合よりもトイレットペーパーの供給量が多くなるよう使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数を大きく制御する。これによりトイレの使用者がトイレを使用する時間量に応じて、トイレットペーパーの供給量が制御される。
【0060】
通常、小便の場合は、大便の場合に比べてトイレの使用時間が短いが、大便の場合は、小便の場合に比べて使用時間が長い。そこで、トイレ使用者によるトイレ使用時間の長さに応じて、大小便のいずれがなされたかの区分けを行うようにしている。
このようにトイレの使用時間の長さによってトイレットペーパーの供給量が異なるホルダー1のことを、この明細書では、トイレットペーパー供給装置という。
【0061】
ペーパー受け皿4は、その付け根側が基端としてベース板2に固定され、先端側が自由にされた片持ち梁状をしている。そして、このペーパー受け皿4の先端に向けて使用ロールペーパーTuから使用ペーパーが繰り出されるようになっている。
【0062】
またペーパー受け皿4の基端4Aの直近箇所には、横断面で波形をした突条30が、ホルダー本体3の幅方向(左右方向)に延在している。突条30は、その横断面で、波頭にあたる箇所30Aが丸く、波頭の湾曲の外側(背中)の部分30Bが内側に湾曲し、波頭の湾曲の内側の部分30Cも内側に湾曲した形状をしている(図16、26等参照)。
【0063】
そして、外側(背中)の部分30Bの曲率半径が内側の部分30Cの曲率半径よりも大きくなっている。さらに、ペーパー受け皿4は、その自由端が内側に折り返されており、
使用ペーパーの進行を阻止する(図24,25参照)。
【0064】
換言すると、ペーパー受け皿4は、その前方にある自由端及び基端4A側(後方)にある突条30により、それぞれ、繰り出されるトイレットペーパーの前方への進行及び後方への進行を阻止する。
【0065】
次にこのようなホルダー1の動作について、図28のフローチャートを参照しながら説明する。フローチャートの各ステップにおける判断は、すべて制御装置20が行うものとする。
【0066】
制御装置20は、トイレ使用者が便座に着座したか否かを着座センサー440により判断する(S1)。肯定判定すればS2に進み、否定判定すれば肯定判定するまでこのルーチンを繰り返す。
【0067】
その後、制御装置20は、トイレ使用者によりノータッチセンサー29に手がかざされたか否かを判断する(S2)。肯定反転すればS3に進み、否定判定すれば肯定判定するまでこのルーチンを繰り返す。
【0068】
次に制御装置20は、着座センサー440による検知がされた後、ノータッチセンサー29による検知がされるまでの時間が所定時間内にあるか否かの判断を行う(S3)。
S3でいう所定時間とは、例えば、トイレ使用者が、便座に着座してから小便が済むまでの平均時間を挙げられる。
【0069】
S3で肯定判定すればS4に進み、否定判定すればS6進む。S4に進む場合は小便がされた場合に使用ペーパーが繰り出される場合であり、S6に進む場合は大便がされた場合に使用ペーパーが繰り出される場合である。当該判定の区分けを所定時間の長さに応じて行うのは、一般的には大便をするよりも小便をする方が、用を足すのに時間が掛からないためである。
【0070】
まず小便をする場合、すなわちS4に移動した場合のフローについて説明し、次に大便をする場合、すなわちS6に移動した場合のフローについて説明することにする。
S4で制御装置20は、使用ロールペーパー回転用モーター13を回転するとともに、ペーパー絡み防止用ファンを駆動する。使用ロールペーパー回転用モーター13が回転すると、その回転力が当て板21経由で使用ロールペーパーTuの端面に伝わり、使用ロールペーパーTuを回転する。使用ロールペーパーTuの回転により、使用ペーパーが繰り出される。
【0071】
繰り出しにあたっての使用ロールペーパー回転用モーター13の回転数は、既述のように使用ロールペーパーTuの現在の使用程度によって異なる。
使用ロールペーパーTuが多用された状態(使用ロールペーパーTuの残量がわずかな状態)にある場合は、使用ロールペーパーTuの直径が小さいため前記回転数は多くなる。反対に、使用の程度が少ない(使用ロールペーパーTuの残量が十分にある状態)状態にある場合は、使用ロールペーパーTuの直径が大きいため、前記回転数は少なくなる。
【0072】
このようにすることで、使用ロールペーパーTuの繰り出し量をほぼ一定にすることができる。すなわち、トイレットペーパー回転モーター13の回転数を使用ロールペーパーTuの直径の大きさに合わせて、小、中及び大のように段階的に変化させる。
【0073】
制御装置20は、トイレットペーパー回転モーター13が所定の回転数に達したか否かを判定する(S5)。ここでいう所定の回転数は、小用として予め定められていたトイレ
ットペーパー回転モーター13の回転数であるので、小用所定回転数ということにする。
【0074】
S5で肯定判定したら、S8に進み、トイレットペーパー回転モーター13及びペーパー絡み防止用ファン15の駆動を停止する。反対にS5で否定判定した場合は、肯定判定するまでトイレットペーパー回転モーター13及びペーパー絡み防止用ファン15を駆動する。
【0075】
トイレットペーパー回転モーター13が所定回転すると、トイレットペーパー回転モーター13は停止する(S8)。このとき、使用ペーパーは、後で述べるように、ペーパー受け皿4に幾重かに折り重ねられて手頃な厚みになるまで繰り出される(すなわち使用ペーパーの繰り出し量が所定量に達する)。
【0076】
制御装置20は、トイレットペーパー回転モーター13を停止したら、次にペーパーカット用ソレノイド23を作動してそのプランジャー23Aを突出させる。これにより、プランジャー先端に取り付けられたペーパー切断カッター24をカッター受け台25に向けて進行させる(S9)。
【0077】
この結果、ペーパーがカットされる。よって、制御装置20、ペーパーカット用ソレノイド23は、ペーパーの切断手段であるペーパー切断カッター24を作動させる作動手段ということもできる。
【0078】
また、トイレットペーパー回転モーター13とペーパー絡み防止用ファン15とは連動しており、トイレットペーパー回転モーター13が駆動している間は、ペーパー絡み防止用ファン15も作動する。そして、そのときに生じる風が、ペーパー案内路18に送られ、トイレットペーパーの繰り出しに影響する。ペーパー絡み防止用ファン15は、ペーパー案内路18に空気の流通を生じさせる空気流通手段である。
【0079】
次に図16〜図26を参照して、ペーパー受け皿4に使用ペーパーが幾重かに折り重ねられて手頃な厚みになるまでの経緯を未使用の使用ロールペーパーTuが適用される場合について述べる。
【0080】
トイレットペーパー回転モーター13を駆動することで使用ロールペーパーTuを回転させ、スクレーパ28でトイレットペーパーの先端を掻いて当該先端をトイレットペーパー本体から剥離する。図16は、スクレーパ28と使用ロールペーパーTuの先端とが当接している状態を示す。
【0081】
なお、スクレーパ28と使用ロールペーパーTuの先端との位置関係で、使用ロールペーパーTuの先端が、使用ロールペーパーTuの回転方向においてスクレーパ28を越えた箇所にあるときは、スクレーパ28に対し使用ロールペーパーTuの先端が当接するまで最大一回転、使用ロールペーパーTuを回転させる。
【0082】
また、トイレットペーパー回転モーター13が回転すると、その回転と同時にペーパー絡み防止用ファン15が作動する。ペーパー絡み防止用ファン15が作動すると当該ファンによって送風が生じる(図17の白矢印参照)。なお、図17はペーパーの先端部分にスクレーパ28が掛かった図16に連続する図であり、ペーパーがペーパー絡み防止用ファン15の送風によって繰り出される初期段階を示す。
【0083】
使用ペーパーの繰り出しは、自重によるところが大きいが、送風によっても繰り出される。送風によって使用ペーパーがペーパー案内路18に引っ掛かることなく円滑に流通される。
【0084】
使用ペーパーがさらに繰り出され、ペーパー切断カッター24の直前に至る(図18参照)。
さらに使用ペーパーが繰り出されると、使用ペーパーは、ペーパー切断カッター24を通過し、ペーパー受け皿4に送り出される手前の状態になる(図19参照)。
【0085】
さらにまた使用ペーパーの送り出しが進行し、ペーパー受け皿4に使用ペーパーが送り出された後、使用ペーパーの先端がペーパー受け皿4の先端に接触する(図20参照)。
そして、ペーパー受け皿4に使用ペーパーが送り出された後、ペーパー受け皿4上で使用ペーパーが折り畳まれる直前の状態になる。すなわち、使用ペーパーのうちペーパー受け皿4の突条30付近にある使用ペーパーが、突条30の部分30Cに沿って案内されるようになる(図20、21参照)。
【0086】
加えて、使用ペーパーが、ペーパー受け皿4上で折り畳まれる初期状態に至る(図22参照)。
さらに使用ペーパーの送り出しが進行し、使用ペーパーが、ペーパー受け皿4上で折り畳まれる中途状態になった後(図23参照)、使用ペーパーが、ペーパー受け皿4上で一回折り畳まれ、その後上記の経路を経て折り返しを繰り返す(図24参照)。
【0087】
換言すると、繰り出されるトイレットペーパーの前方への進行が阻止されると共に後方への進行も阻止され、少なくとも後方にてトイレットペーパーに弛みを形成するようになる。弛みは、突条30の部分30Cが内側に湾曲した形状をしているので、ペーパー受け皿4の自由端側から部分30Cに向けて折り返して来たペーパーに丸みを与え、その結果弛みが形成される。よって、部分30C部を有する突条30を弛み形成部ということができる。
【0088】
そして、トイレットペーパー回転モーター13が小用の所定回数を終了することで、使用ペーパーが、所定の回数、折り返されると、トイレットペーパー回転モーター13はその駆動を停止し、使用ロールペーパーTuの小用の繰り出しが終了する。その後は、既述のようにペーパーカット用ソレノイド23が作動し、当該ソレノイドのプランジャー23Aの先端に取り付けられたペーパー切断カッター24により、使用ロールペーパーTuが切断される(図25、S9参照)。
【0089】
使用ロールペーパーTuが切断されると、切断された使用ペーパーのトイレ使用者による使用が行われる。その後、ホルダー1の使用手順を示すフローは、図28のS10に移行する。S10では、トイレ使用者が着座後、ノータッチセンサー29による検知が実施されたか否かを判定する。
【0090】
S10で肯定判定された場合は、S11に進み、否定判定された場合は肯定判定されるまでこのルーチンを繰り返す。肯定判定された場合とは、トイレ使用者が繰り返し、ホルダー1を二回以上繰り返し使用している状態にあることを意味する。また、S10で肯定判定された場合、ノータッチセンサー29からは少なくとも二回目以上の開始信号を制御装置20が受けることになる。
【0091】
S10で否定判定された場合とは、トイレ使用者がトイレの使用を終了したか、つまり便座から立ち上がるか、又はトイレを継続使用しているものの、ノータッチセンサー29が作動されていない、すなわちトイレ使用者がノータッチセンサーに手をかざしていないで着座を継続している状態である。そして、S10で否定判定された場合、肯定判定されるまでこのルーチンを繰り返す。
【0092】
S11では、S9の実行後、すなわち使用ロールペーパーTuが切断されてから所定時間内にノータッチセンサー29が感知したか否かを検知する。ノータッチセンサー29にトイレ使用者により手がかざされた状態、すなわち肯定判定すればS12に進み、反対に手がかざされない状態、すなわち否定判定すればS6に移動する。
【0093】
S9での実行後、S11で判定されるまでに所定時間内にノータッチセンサー29が検知しない場合、制御装置20は、用を足すのに時間が掛かっている、つまり大用として、使用ペーパーを繰り出す状況にあると判断する。なお、ここでいう、所定時間とは、例えば2分30秒を挙げられる。
【0094】
S12では、トイレットペーパー回転モーターによる使用ペーパーの前回の繰出し量が、小用の回転数に基づいていたものであったか否かを判定する。換言すると、S3での判定により、肯定判定され、その後S4−S5−S8〜S12のルートを経由して、トイレットペーパー回転モーターが、小用の回転数で回転することで、それに応じた量のトイレットペーパーを供給したか、又は否定判定され、その後S6−S7−S8〜S12のルートを経由して、トイレットペーパー回転モーターが、大用の回転数で回転することで、それに応じた量のトイレットペーパーを供給したかのいずれのルートを経由したかを判定する。S12で肯定判定すればS4に戻り、否定判定すればS6に戻る。
【0095】
S6では、S4と同様、制御装置20は、トイレットペーパー回転モーター13及びペーパー絡み防止用ファン15を駆動する。
【0096】
次にS7で制御装置20は、トイレットペーパー回転モーター13が所定の回転数に達したか否かを判定する。ここでいう所定の回転数とは、大用として予め定められていたトイレットペーパー回転モーター13の回転数であるので大用所定回転数ということにする。
大用所定回転数は、小用所定回転数よりも多い。
【0097】
このため、トイレットペーパー回転モーター13が大用所定回転数で回転した場合、小用所定回転数で回転した場合よりも多くの量のトイレットペーパーが供給され、逆に小用所定回転数で回転した場合、大用所定回転数で回転した場合よりも少ない量のトイレットペーパーが供給される。
【0098】
S7で肯定判定したらS8に進み、否定判定した場合は、肯定判定するまでトイレットペーパー回転モーター13及びペーパー絡み防止用ファンを駆動する。
【0099】
次にこのような構成のホルダー1の作用・効果について説明する。
そして、ホルダー1は、便座に着座している時間の長さに応じて、ペーパーの繰り出される所定量を変更する。着座してから、例えば、2分30秒以上ノータッチセンサー29が感知しない場合は、用足しが大便であったと判断し、ペーパーの繰り出し量を増やす。
【0100】
反対に着座してから2分30秒に満たない状態でノータッチセンサー29が感知したら着座時間が相対的に短いので、その場合は、用足しが小便であったと判断し、ペーパーの繰り出し量を減らす。
【0101】
よって、前記制御装置20は、ノータッチセンサー29から開始信号を受けると、トイレ使用者のトイレ使用時間を検知するタイマ201により検知したトイレ使用時間に応じて、トイレットペーパー回転モーター13の回転数を制御する。具体的には、トイレの使用時間が一般的に短くて済む小便の場合は、使用時間が長い大便の場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう前記トイレットペーパー回転モーター13の回転数を
制御する。
【0102】
逆にトイレの使用時間が一般的に長く掛かる大便の場合は、使用時間が短い小便の場合よりもトイレットペーパーの供給量が多くなるよう前記トイレットペーパー回転モーター13の回転数を制御する。
この明細書では、トイレ使用者が大小のいずれに使用したかの目安となる時間として、前記2分30秒を採用した。
【0103】
この結果、ホルダー1では、トイレ使用者が、トイレットペーパーを無駄にすることなく、また大小便に応じて適宜の量のトイレットペーパーを使用者に対して自動的に供給することができる。
【0104】
したがって、ホルダー1を使用するようにすれば、トイレ使用者が、自らトイレットペーパーを繰り出す場合に比べ、必要以上にトイレットペーパーの供給量を抑制できるようになる。この結果、長期に渡って換算すると、トイレットペーパーの無駄を大幅に減少することができる。
【0105】
さらに前記ペーパーを切断する切断手段を有し、前記制御手段は、前記供給手段によるペーパーの供給量が所定量に達すると前記切断手段を作動させるようにしてもよい。このようにすると、トイレ使用者が自らトイレットペーパーを千切る必要がない。よって、トイレ使用者はトイレットペーパー以外に触ることがないので衛生的である。
【0106】
なお、本実施例では芯ありのトイレットペーパーを保持する場合について述べたが、芯なしのトイレットペーパーにも適用することができる。
また、この実施例では、洋式トイレの便座に着座センサーを用いた場合を例示したが、和式トイレにも適用できる。その場合、例えば、トイレ使用者の前面の壁に赤外線センサー等を設けるようにすることが考えられる。
【符号の説明】
【0107】
1 トイレットペーパーホルダー(トイレットペーパー供給装置)
2 ベース板
3 トイレットペーパーホルダー本体
4 ペーパー受け皿
4A 基端
5 覆面カバー体
7 本体カバー
8 トイレットペーパーの芯
9 芯収納ボックス
10 予備ロールペーパー繰出し用ソレノイド
11L 左側壁
11R 右側壁
12 繰出し用プランジャー
13 トイレットペーパー回転モーター(供給手段)
14 使用ロールペーパー固定用ソレノイド
14A 固定用プランジャー
15 ペーパー絡み防止用ファン
15A ファン本体
16 吹き出し口
17 ストッパー用ローラ
18 ペーパー案内路
20 制御装置(制御手段)
21 当て板
22 架台
23 ペーパーカット用ソレノイド
23A プランジャー
24 ペーパー切断カッター(切断手段)
25 カッター受け台(切断手段)
26 受け刃溝
27 窓枠
28 スクレーパ
29 ノータッチセンサー(スイッチ部)
30 突条
30A 突条の所定箇所
30B 突条の所定部分
30C 突条の所定部分
201 タイマ(検知手段)
440 着座センサー
I 予備ロールペーパー収納域
II 使用ロールペーパー収納域
Ts 予備ロールペーパー
Tu 使用ロールペーパー
T トイレットペーパー
Tt トイレットペーパーの先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーを供給する供給手段と、
前記供給手段を制御してトイレットペーパーの供給量を制御する制御手段と、
トイレ使用者のトイレ使用時間を検知する検知手段と、
トイレ使用者の操作により前記制御手段にトイレットペーパーの供給開始信号を出力するスイッチ部と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチ部からの開始信号を受けると、前記検知手段により検知したトイレ使用時間の長さに応じて、トイレットペーパーの供給量を制御することを特徴とするトイレットペーパー供給装置。
【請求項2】
トイレットペーパーを供給する供給手段と、
前記供給手段を制御してトイレットペーパーの供給量を制御する制御手段と、
トイレ使用者のトイレ使用時間を検知する検知手段と、
トイレ使用者の操作により前記制御手段にトイレットペーパーの供給開始信号を出力するスイッチ部と、を備え、
前記制御手段は、前記スイッチ部からの開始信号を受けると、前記検知手段により検知するトイレ使用時間に応じて、使用時間が短い場合は使用時間が長い場合よりもトイレットペーパーの供給量が少なくなるよう前記供給手段を制御することを特徴とするトイレットペーパーの供給装置。
【請求項3】
前記トイレットペーパーを切断する切断手段を有し、前記制御手段は、前記供給手段によるペーパーの供給量が所定量に達すると前記切断手段を作動させる請求項1又は2に記載のトイレットペーパー供給装置。
【請求項4】
前記供給手段は、前記切断手段により少なくとも一度以上トイレットペーパーが切断された後、前記スイッチ部からの二回目以上の開始信号を前記制御手段が受けるまでの時間の長さに応じてトイレットペーパーの供給量が前記制御手段により制御されることを特徴とする請求項3に記載のトイレットペーパー供給装置。
【請求項5】
前記供給手段にはトイレットペーパー回転モーターが使用され、前記切断手段によるトイレットペーパーの切断が二回目以上実施された場合において、直近のトイレットペーパーの切断に係る前記回転モーターの回転数の多寡に応じて、トイレットペーパーの供給量を制御することを特徴とする請求項4に記載のトイレットペーパー供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−225(P2012−225A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137077(P2010−137077)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【出願人】(000155333)株式会社木村技研 (29)