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トイレ装置
説明

トイレ装置

【課題】清掃性・耐傷性共に優れたシボ形状を有するトイレ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】表面にシボ形状を有し、前記シボ形状における十点平均粗さRzと粗さ曲線要素の平均長さRSmが、1μm<Rz<3μm、且つ、RSm>100μmであることを特徴とするトイレ装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面に細かな凹凸を設けるシボ形状を便座に用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
従来のシボ形状は、傷が目立ちにくいという利点があるが、凹み部分に汚れが堆積しやすいため清掃性に乏しいという点で改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−161642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、清掃性・耐傷性共に優れたシボ形状を有するトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、表面にシボ形状を有し、前記シボ形状における十点平均粗さRzと粗さ曲線要素の平均長さRSmが、1μm<Rz<3μm、且つ、RSm>100μmであることを特徴とするトイレ装置である。
これにより、清掃性・耐傷性共に優れたシボ形状を有するトイレ装置を提供することを可能とした。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、前記シボ形状における十点平均粗さRzが、1μm<Rz<2μmであることを特徴とするトイレ装置である。
これにより、さらに清掃性に優れたシボ形状を有するトイレ装置を提供することを可能とした。
【0008】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、引張破壊ひずみ32%のポリプロピレン材の表面に前記シボ形状を形成したことを特徴とするトイレ装置である。
これによれば、引張破壊ひずみ32%のポリプロピレン材を用いることにより、シボ形状による耐傷性の効果が顕著に得られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、清掃性・耐傷性共に優れたシボ形状を有するトイレ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態にかかるトイレ装置の斜視模式図である。
【図2】シボ形状を拡大した模式断面図である。
【図3】複数の試験片についての清掃性評価結果を表すグラフである。
【図4】耐傷性評価装置の平面模式図である。
【図5】耐傷性評価用治具の斜視模式図である。
【図6】複数の試験片についての耐傷性評価結果を表すグラフである。
【図7】シボ形状と清掃性・耐傷性の関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係るトイレ装置の斜視模式図である。
【0012】
トイレ装置10は、図示しない腰掛便座の上に設置されるケース3と、ケース3に回動自在に軸支された便座1と、便蓋2と、を備える。ただし、本発明は図1に表した具体例に限定されるものではなく、例えば、ケース3や便蓋2などが設けられず、腰掛便器に付設される便座1のみを有するものであってもよい。
トイレ装置10の表面の少なくとも一部には、シボ形状が形成されている。
【0013】
図2は、シボ形状を拡大した模式断面図である。
便座1の表面には、凸部20aと、凹部20bと、からなるシボ形状20が形成されている。このようなシボ形状20は、トイレ装置10の表面の全体に形成してもよく、一部のみに形成してもよい。例えば、便座1の着座面(上側の面)のみに設けてもよく、便座1の表面の全体に形成してもよい。また、必要に応じて、便蓋2やケース3の表面にシボ形状を形成してもよい。
【0014】
このようなシボ形状20を形成することにより、傷が目立ちにくくなり、また光を乱反射することによる柔らかな質感が得られる。ただし、シボ形状20の凹部20bには汚れなどが堆積しやすく、清掃性の点で改善の余地がある。
【0015】
本発明者は、清掃性・耐傷性共に優れたシボ形状を有するトイレ装置を提供するために、清掃性・耐傷性それぞれの性能について、樹脂成形した各シボ形状にて評価し、清掃性・耐傷性の性能が両立するシボ形状を見出した。
【0016】
まず、清掃性について以下説明する。
シボ形状を用いたトイレ装置では、汚物汚れや着座時に付着する皮脂汚れ、また清掃による洗剤等が凹み部分に堆積しやすく、清掃性に乏しいという点で改良の余地がある。また、堆積のしやすさはシボの形状によって変化する。
【0017】
そこで、シボ形状を1μm<Rz<6μm、50μm<RSm<200μmの範囲で複数の試験片を作成した。
なお、Rzとは、十点平均粗さのことであり、粗さ曲線から抜き取った基準長さの内の、最高の山頂から5番目までの高い順に数えた粗さ曲線の山頂の高さZpの和の平均値と最深の谷底から5番目までの谷底の深さZvの和の平均値である。

【数1】


また、RSmとは粗さ曲線要素の平均長さのことであり、基準長さにおける輪郭曲線要素の長さXsの平均である。基準長さは、輪郭曲線の特性を求めるために用いる輪郭曲線のX軸方向の長さであり、輪郭曲線要素とは、一つの山谷のX軸方向長さである。X軸方向は山谷の深さ方向に対して垂直な方向である。

【数2】

【0018】
この様々な試験片について、清掃性に関して以下の評価を行った。
なお、シボ形状については、エッチングによって表面を粗らした金型で樹脂成形を行うことで形成した。このエッチングを微調整することで、十点平均粗さRz、粗さ曲線要素の平均長さRSmが異なる複数の試験片を得た。
【0019】
また、比較例として、鏡面加工を施した試験片を作成し、シボ形状の試験片と同様の評価を行った。この比較例の鏡面の表面形状を測定したところ、Rz=0.8μm、RSm=34.6μmであったことから、鏡面が含まれるRz≦1μm、RSm≦50μmはシボ形状にはあたらず、1μm<Rz、50μm<RSmをシボ形状にあたると定義した。
【0020】
まず、評価の方法について説明する。
シボ形状を形成した試験片上に赤色口紅をφ10mm程の円内を塗りつぶすように軽く塗る。その後、水を含んだ布で3往復ふき取る作業を1セットとし、それを5セット繰り返した後、分光測色計(コミカミノルタセンシング製、CM−600d)にて色度の強さΔaを測定した。
【0021】
シボ形状を形成した試験片については、接針式表面粗さ測定器(ミツトヨ製、SJ−400)にて測定し、十点平均粗さRzと粗さ曲線要素の平均長さRSmを求めた。測定条件を以下に示す。
【0022】
測定針:針先R2μm
測定長さ:4.0mm
測定速度:0.5mm/sec
カットオフ波長:0.8mm
【0023】
色度の強さΔaとは色度のパラメータであり、値が大きい程赤みが強いことを表す。よって、Δaが大きい値のシボ形状ほど色の染まりが強く、汚れが堆積しやすいことを意味する。
測定条件を以下に示す。
【0024】
光源:D65
視野角:2°
測定径:φ8mm
【0025】
比較データとしてシリコーンコートフィルムについても同様の評価方法で評価を行ったところ、色度の強さΔa=2.18であった。そこで、シリコーンコートフィルムより良好なΔa≦2.18を清掃性ありと定義した。
【0026】
シリコーンコートフィルムは、表層が汚れをはじく効果の高いシリコーン樹脂で構成されているため、清掃性に優れている。したがって、シリコーンコートフィルムと同等あるいはこれ以下のΔa≦2.18なる範囲は、清掃性が優れた範囲に対応する。
【0027】
図3は、複数の試験片についての清掃性評価結果を表すグラフである。
なお、グラフ中の各プロットの近傍に表したそれぞれの数値は、色度の強さΔaを表す。
図3から、色度の強さΔa≦2.18となる試験片は、すべて、Rz<3μm、Rz/RSm<3/100の範囲であった。
これにより、シリコーンコートフィルムと同程度又はシリコーンコートフィルムよりも良好な清掃性が得られるシボ形状は、Rz<3μm、Rz/RSm<3/100の範囲であることがわかった。
また、Rz<2μm、Rz/RSm<3/100の範囲のシボ形状にすると、シリコーンコートフィルムの清掃性を上回る清掃性が得られることがわかった。
【0028】
次に、耐傷性について説明する。
シボ形状は凹凸を有し、主に凸部にしか傷が入らないため、傷が目立ちにくいという利点がある。
【0029】
そこで、各シボ形状について、耐傷性について以下の評価を行い、掃除などで爪が当たっても傷が目立たないレベルを耐傷性に優れるとし、耐傷性に優れるシボ形状を数値により特定した。
【0030】
図4は、耐傷性評価装置300の平面模式図である。
耐傷性評価装置300は、土台200と、土台200上部に設けられ速度制御できる可動台210と、土台200の先端に直立固定された柱220と、柱220に回動自在に軸支されたアーム230と、アーム230の重さとバランスをとるための重り240と、アーム230先端上部に設けられた荷重セット部250と、アーム230先端下部に設けられた治具100と、を備える。荷重セット部250に、検査体Wへ加える荷重である重りをセットし、可動台210上面に検査体Wを固定した状態で、可動台210を一定速度で左方向に動かす。
【0031】
図5は、耐傷性評価用治具100の斜視模式図である。
治具100は、アクリル樹脂製であり、ヒトの爪に近似させるために、治具100を前方から見た時のRが9.5mm、治具100を右側あるいは左側から見た時のRが0.3mmの形状を有する。Rとは、円の半径のことであり、治具のカーブの状態を表す。
【0032】
耐傷性評価装置300を用い、1mm/secの速度で可動台を動かすことで、試験片Wが、治具100により、上から垂直に荷重を加えられながら移動するようにした。その後、傷の有無を目視で確認した。また、荷重を変化させ、傷の見えない最大荷重を求め、1g=1点とし点数化した。軽く爪を当てたときに傷が見えない境界の点数が200点(g)であったため、200点以上を耐傷性に優れる範囲とした。
【0033】
図6は、複数の試験片についての耐傷性評価結果を表すグラフである。
図6から、点数が200点以上となる試験片は、すべて、1μm<Rz<6μm、RSm>100μmの範囲であった。
これにより、耐傷性に優れたシボ形状は、1μm<Rz<6μm、RSm>100μmの範囲にあることが分かった。
【0034】
ここで、図6に表した結果は、引張破壊ひずみ32%のポリプロピレン材について得られたものである。引張破壊ひずみとは、ダンベル状に成形した試験片に引張荷重を加えた時の破壊するまでに伸びた伸び率のことである。
【0035】
これらの評価結果から、清掃性と耐傷性の両方の性能に優れたシボ形状を導きだした。 図7は、シボ形状と清掃性・耐傷性の関係を表すグラフである。
図7から、清掃性と耐傷性の両方に優れるシボ形状は、 1μm<Rz<3μm、RSm>100μmの範囲にあることが分かる。すなわち、1μm<Rz<3μm、RSm>100μmの範囲に含まれるようなシボ形状を樹脂の表面に形成することにより、清掃性と耐傷性の両方に優れたトイレ装置を得ることができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや便座1、便蓋2、およびケース3の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0037】
1…便座、 2…便蓋、 3…ケース、 10…便座装置、 20…シボ形状、 20a…凸部、 20b…凹部、 100…治具、 200…土台、 210…可動台、 220…柱、 230…アーム、 240…重り、 250…荷重セット部、 300…耐傷性評価装置、 W…検査体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にシボ形状を有し、前記シボ形状における十点平均粗さRzと粗さ曲線要素の平均長さRSmが、1μm<Rz<3μm、且つ、RSm>100μmであることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記シボ形状における十点平均粗さRzが、1μm<Rz<2μmであることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
引張破壊ひずみ32%のポリプロピレン材の表面に前記シボ形状を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−206340(P2011−206340A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78190(P2010−78190)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】