説明

トイレ装置

【課題】便槽へ排水する水を少なくすることができるトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置は、下部に排出口11Aを有する便鉢11を具備した便器本体10と、排出口11Aを便器本体10の下方に設けた便槽90に連通する排水路20と、この排水路20を分岐した分岐排水路30と、洗浄ノズルを有し、便器本体10に組み付けた局部洗浄装置50とを備えており、この局部洗浄装置50を駆動して洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、便鉢11内に流出した局部洗浄水を排水路20を介して便槽90へ排水せずに分岐排水路30へ流入させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には従来のトイレ装置が開示されている。このトイレ装置は、下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、排出口を便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、排水路を分岐した分岐排水路と、便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、便器本体の使用者を検知する検知装置とを備えている。
【0003】
このトイレ装置は、検知装置が使用者を検知しなくなった後、先ず、便器洗浄装置が少量の洗浄水を便鉢に供給して、便鉢内に残っているトイレットペーパー等を便槽に流し落とす。その後、便器洗浄装置が多量の洗浄水を便鉢に供給して、便鉢を洗浄する。この際、便鉢に供給した洗浄水は、排水路を介して便槽へ排水されず、分岐排水路へ流入する。このため、このトイレ装置では大量の洗浄水が便槽へ排水されることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3118862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のトイレ装置では、分岐排水路へ流入して便槽へ排水しない水は、検知装置が使用者を検知しなくなった後に便鉢を洗浄する洗浄水のみである。このため、この便器本体に局部洗浄装置を組み付けた場合、局部洗浄装置から吐水される局部洗浄水等は、排水路を介して便槽へ排水されてしまう。また、便器洗浄装置がその他に便鉢へ供給する洗浄水も排水路を介して便槽へ排水されてしまうことになる。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便槽へ排水する水を少なくすることができるトイレ装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトイレ装置は、下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、
前記排出口を前記便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、
この排水路を分岐した分岐排水路と、
洗浄ノズルを有し、前記便器本体に組み付けた局部洗浄装置とを備えており、
この局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記便鉢内に流出した局部洗浄水を前記排水路を介して前記便槽へ排水せずに前記分岐排水路へ流入させることを特徴とする。
【0008】
局部洗浄装置を駆動して局部洗浄を実行する際、洗浄初期は使用者の臀部に付着した排泄物を洗い落とすため、便鉢内に流出した局部洗浄水は汚濁度の高いものになる。このため、この局部洗浄水は排水路を介して便槽へ排水する。その後、局部洗浄装置が継続して駆動されると、便鉢内に落下して便鉢の排出口に流下した局部洗浄水は汚濁度が低いものになる。この局部洗浄水は排水路を介して便槽へ排水せずに分岐排水路へ流入させる。このように、このトイレ装置は便槽へ排水する局部洗浄水を少なくすることができる。
【0009】
また、トイレ装置は、前記便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置を備えており、
前記局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記便鉢内に流出した局部洗浄水を前記分岐排水路へ流入させるより前に前記便器洗浄装置を駆動して前記便鉢に設定水量の洗浄水を供給し得る。
【0010】
この場合、トイレ装置は、便鉢内に流出した局部洗浄水を分岐排水路へ流入させるより前に便器洗浄装置を駆動して便鉢に設定水量の洗浄水を供給するため、便鉢内の汚濁度の高い局部洗浄水は完全に便槽内へ排水することができ、分岐排水路へ流入する局部洗浄水の汚濁度を確実に低くすることができる。
【0011】
前記排出口に連結して前記排水路を形成し、
この排水路を開閉する閉止具、及びこの閉止具が前記排水路を閉鎖した状態にロックするロック装置を有しており、前記閉止具の上流側で前記排水路を分岐して前記分岐排水路を形成した接続装置と、
前記局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする制御装置とを備え得る。
【0012】
この場合、このトイレ装置は、局部洗浄装置が駆動され、洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、閉止具が排水路を閉止した状態にロックするため、汚濁度の低い局部洗浄水を分岐排水路へ流入させることができる。また、便槽へ排水する局部洗浄水を少なくすることができる。
【0013】
前記便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、
前記局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする前に前記便器洗浄装置を駆動して前記便鉢に設定水量の洗浄水を供給する制御装置とを備え得る。
【0014】
この場合、トイレ装置は、ロック装置を駆動して排水路を閉鎖した状態に閉止具をロックする前に便器洗浄装置を駆動して便鉢に設定水量の洗浄水を供給するため、便鉢内の汚濁度の高い局部洗浄水は完全に便槽内へ排水することができ、分岐排水路へ流入する局部洗浄水の汚濁度を確実に低くすることができる。
【0015】
本発明のトイレ装置は、下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、
前記排出口を前記便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、
この排水路を分岐した分岐排水路と、
洗浄ノズル、及びこの洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄機構を有し、前記便器本体に組み付けた局部洗浄装置とを備えており、
前記ノズル洗浄機構が前記洗浄ノズルを洗浄している間、前記便鉢内に流出したノズル洗浄水を前記排水路を介して前記便槽へ排水せずに前記分岐排水路へ流入させることを特徴とする。
【0016】
ノズル洗浄機構によって洗浄ノズルを洗浄して便鉢の排出口に流下したノズル洗浄水は汚濁度が低いものである。このため、そのノズル洗浄水は排水路を介して便槽へ排水せずに分岐排水路へ流入させることにより、ノズル洗浄水が便槽へ排水されることを防止することができる。よって、このトイレ装置は、便槽へ排水する水を少なくすることができる。
【0017】
前記排出口に連結して前記排水路を形成し、
この排水路を開閉する閉止具、及びこの閉止具が前記排水路を閉鎖した状態にロックするロック装置を有しており、前記閉止具の上流側で前記排水路を分岐して前記分岐排水路を形成した接続装置と、
前記ノズル洗浄機構が前記洗浄ノズルを洗浄している間、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする制御装置とを備え得る。
【0018】
この場合、ノズル洗浄機構が洗浄ノズルを洗浄している間、閉止具が排水路を閉止した状態にロックするため、汚濁度の低いノズル洗浄水は分岐排水路へ流入する。このため、便槽へ排水する水を少なくすることができる。
【0019】
前記局部洗浄装置を駆動している間、前記便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置を駆動しない制御装置を備え得る。この場合、制御装置の制御を単純化することができる。また、局部洗浄装置の駆動によって便鉢内に流入した局部洗浄水が便鉢の内面に付着した汚物等を洗い流し得る。この場合、便器洗浄装置を駆動して便鉢を洗浄することが不要になり得る。このため、無駄な洗浄水の使用を防止することができ、便槽へ排水する水を少なくすることができる。
【0020】
本発明のトイレ装置は、下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、
前記排出口を前記便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、
この排水路を分岐した分岐排水路と、
前記便器本体の清掃時に、前記便鉢に設定水量の洗浄水を供給する清掃洗浄を実行する便器洗浄装置とを備えており、
前記清掃洗浄を実行している間、前記便鉢内に流出した前記洗浄水を前記排水路を介して前記便槽へ排水せずに前記分岐排水路へ流入させることを特徴とする。
【0021】
清掃洗浄の実行によって便鉢に供給し、便鉢の排出口に流下した洗浄水は汚濁度が低いものである。このため、その洗浄水は排水路を介して便槽へ排水せずに分岐排水路に流入させることにより、清掃洗浄の実行によって便鉢に供給した洗浄水が便槽へ排水されることを防止することができる。よって、このトイレ装置は、便槽へ排水する水を少なくすることができる。また、このトイレ装置は、清掃洗浄時に使用される洗浄剤が混入した洗浄水も便槽へ排水されることを防止することができる。
【0022】
前記排出口に連結して前記排水路を形成し、
この排水路を開閉する閉止具、及びこの閉止具が前記排水路を閉鎖した状態にロックするロック装置を有しており、前記閉止具の上流側で前記排水路を分岐して前記分岐排水路を形成した接続装置と、
前記清掃洗浄を実行している間、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする制御装置とを備え得る。
【0023】
この場合、清掃洗浄を実行している間、閉止具が排水路を閉止した状態にロックするため、清掃洗浄の実行によって便鉢に供給し、便鉢の排出口に流下した汚濁度の低い洗浄水は分岐排水路へ流入する。このため、便槽へ排水する水を少なくすることができる。また、清掃洗浄時に使用される洗浄剤が混入した洗浄水も便槽へ排水されることを防止することができる。
【0024】
前記便器洗浄装置は、前記分岐排水路の下流側に連通した貯水槽と、この貯水槽に貯留した洗浄水を前記便鉢に供給する給水装置とを備え得る。この場合、分岐排水路に流入した汚濁度の低い洗浄水を貯水槽に貯留し、貯留した洗浄水を給水装置によって便鉢に供給することにより便器洗浄を実行することができる。このように、このトイレ装置は、洗浄水を循環再利用して便器洗浄を実行することができる。
【0025】
前記便槽は汚物等を発酵分解する菌床を収納し得る。この場合、便槽に排出された汚物等を菌床内で発酵分解することができる。また、便槽に排出する水が少ないため、菌床が水分過多にならず、汚物等の発酵分解を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1及び2のトイレ装置を示す概略図である。
【図2】実施例1及び2のトイレ装置の便器本体等の主要部材を示す概略図である。
【図3】実施例1及び2のトイレ装置においてプレ洗浄の実行を示す概略図である。
【図4】実施例1及び2のトイレ装置において屎尿排出状態を示す概略図である。
【図5】実施例1及び2のトイレ装置において局部洗浄の実行を示す概略図である。
【図6】実施例1及び2のトイレ装置において便器洗浄の実行を示す概略図である。
【図7】実施例1及び2のトイレ装置においてノズル洗浄の実行を示す概略図である。
【図8】実施例1のトイレ装置の「プレ洗浄」、「屎尿排出」、「局部洗浄」及び「便器洗浄」動作を示すフローチャートである。
【図9】(A)実施例1のトイレ装置の「ノズル洗浄」動作を示すフローチャートである。(B)実施例1のトイレ装置の「清掃洗浄」動作を示すフローチャートである。
【図10】実施例2のトイレ装置の「プレ洗浄」、「屎尿排出」、「局部洗浄」及び「便器洗浄」動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明のトイレ装置を具体化した実施例1及び2について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
<実施例1>
実施例1のトイレ装置は、図1及び図2に示すように、便器本体10、排水路20、分岐排水路30、便器洗浄装置40、局部洗浄装置50、検知装置60、制御装置70、及び接続装置80を備えている。
【0029】
便器本体10は下部に排出口11Aを有する便鉢11を具備している。便鉢11はリム吐水管13から吐水する洗浄水が便鉢11の上部内周に沿って流れるように便鉢11の上部内周に形成されたリム通水路12を有している。リム通水路12を流れる洗浄水は、徐々に便鉢11の内面に沿って流れ落ちるため、便鉢11の内面の全体を洗浄水によって洗浄することができる。
【0030】
便鉢11は排出口11Aに接続装置80を連結している。接続装置80は排出口11Aを後述する便槽90に連通する排水路20を形成している。接続装置80は、上端開口部を排出口11Aの外周面に接続し、上端開口部から連続し、下端が開口したすり鉢形状の流入部81を有している。
【0031】
接続装置80は流入部81の下端開口よりも下方に円筒状の中間管部82を有している。中間管部82は、上端部が内周面から外周面に向けて斜め上方に傾斜した傾斜面82Aを有し、上端開口縁82Bが流入部81の下端開口縁81Aより外側の上方に位置している。中間管部82の上傾斜面82Aと流入部81の下端部の外周面との間に洗浄水が通過する隙間Xを形成している。
【0032】
接続装置80は流入部81の外側面の上部と中間管部82の外側面とを連結する連結部83を有している。連結部83は外側面が円筒状である。接続装置80は連結部83の外側面の一部から分岐排水路30を外側に延ばして形成している。分岐排水路30は後述する閉止具85の上流側で排水路20を隙間X及び連結部83の内部空間を介して分岐したものである。
【0033】
接続装置80は、中間管部82の外側面に連結し、下端が開放した排出部84を有している。排出部84は下方に向けて徐々に径が細くなった略筒形状である。排出部84の下端開口部は便器本体10を設置した床面Fに設けられた排出口92に連結している。排出口92は床面Fの下方に設けられた便槽90に連通している。便槽90は便器本体10の下方に設けられている。便槽90は汚物を発酵分解する菌床91を収納している。菌床91は木材チップやおが屑等の培養地に好気性微生物を培養させたものである。
【0034】
排出部84は上端部の内面に閉止具85を一端に支持する支持部材86を回動支持する回動軸部86Aを有している。閉止具85は、円盤状の中央部とその外周縁部に連続して斜め上方外側に向けて傾斜した縁部とを有する受け皿状に形成されている。回動軸部86Aを挟んで閉止具85の反端側に位置する支持部材86の他端には鉄製の錘部材87が連結されている。錘部材87は閉止具85に加わる荷重が設定した重さ以上にならないと閉止具85側が下降しない重さに設定されている。
【0035】
このため、通常(便器本体10が使用されていない待機状態等)、閉止具85は回動軸部86Aを中心にして上昇し、中間管部82の下端開口縁82Cに当接しており、排水路20を閉鎖している。一方、閉止具85は、その上面に設定した重さ以上の屎尿や洗浄水等を載置すると、回動軸部86Aを中心にして下降し、排水路20を開放する。閉止具85が回動軸部86Aを中心に下降すると閉止具85の上面は垂直に近い傾斜状態になるため、閉止具85の上面に載置した屎尿や洗浄水等は落下し、便槽90へ排出される。閉止具85の上面に載置した屎尿や洗浄水等が落下すると、錘部材87によって閉止具85が回動軸部86Aを中心にして上昇するため、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖する状態に自動的に復帰する。
【0036】
排出部84は、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖している状態において錘部材87が当接する面の外側に電磁石88を取り付けている。この電磁石88に通電すると、その磁力によって錘部材87を引き寄せるため、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖する状態にロックすることができる。つまり、この電磁石88が排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックするロック装置である。電磁石88への通電及び非通電の切り替えは、後述する制御装置70によって制御される。
【0037】
便器洗浄装置40は、分岐排水路30の下流側に連通した貯水槽41と、この貯水槽41に貯留した洗浄水を便鉢11に供給する給水装置42とを備えている。貯水槽41はメッシュ状のフィルター部材43が組み込まれている。貯水槽41内に引き込まれた分岐排水路30はフィルター部材43の上方に吐水口を有している。このため、分岐排水路30を流下して吐水口から吐水された洗浄水は、フィルター部材43によって洗浄水に混入したある程度の大きさの固体を取り除き、貯水槽41内に貯留される。貯水槽41は塩素滅菌用の塩素剤供給筒44を設けている。また、貯水槽41は、水道管Sに接続した給水路1に連通したボールタップ45を有しており、貯水槽41内の水位が低下すると給水路1を介して水道水を貯水槽41内に供給することができる。
【0038】
給水装置42は、貯水槽41内の下部に給水口を設けた給水管46と、給水管46の途中に設けられたポンプPとを有している。給水管46は下流端部をリム吐水管13の上流端部に接続している。給水装置42は、ポンプPを駆動することによって、貯水槽41内の洗浄水を給水管46、及びリム吐水管13を介して便鉢11に供給する。ポンプPの駆動は、後述する制御装置70によって制御される。
【0039】
局部洗浄装置50は、洗浄ノズル51と、洗浄ノズル51を収納するシリンダー部材52と、洗浄ノズル51の上流側に連通した温水タンク53とを有している。洗浄ノズル51は、図示しない電磁式モーターによって、シリンダー部材52内に収納された収納位置と、シリンダー部材52の前端から前方へ突出した前進位置との間を往復移動する。洗浄ノズル51は前進位置で先端部に設けられた洗浄孔から局部洗浄水を噴出させる。温水タンク52は、開閉弁Vが設けられた給水路1が連通しており、給水路1から流入した洗浄水を設定温度で貯留している。温水タンク52内の洗浄水の水温、電磁式モーターの駆動、及び開閉弁Vの開閉は、後述する制御装置70によって制御される。
【0040】
局部洗浄装置50は、洗浄ノズル51を洗浄するノズル洗浄機構を有している。ノズル洗浄機構は、温水タンク53から洗浄ノズル51に連通した連通路を切替弁を介して分岐した分岐路を有しており、分岐路の下流端の吐水口から収納位置に後退した洗浄ノズル51の先端部に向けて洗浄水を吐水し、洗浄ノズル51の先端部を洗浄するものである。切替弁の切り替えは、後述する制御装置70によって制御される。
【0041】
局部洗浄装置50は、便器本体10の上面後部に取り付けた便座ボックス2内に収納され、便器本体10に組み付けられている。便座ボックス2は、前端部に便蓋3及び便座4を回動自在に軸支する軸支部を有している。便蓋3及び便座4は、図示しない電磁式モーターによって起立状態と倒伏状態との間を回動する。この電磁式モーターの駆動は後述する制御装置70によって制御される。
【0042】
便座4は着座検知装置が組み込まれている。着座検知装置は、静電容量式センサによって構成されており、便座4への使用者の着座を検知することができる。着座検知装置は便座4への使用者の着座の有無を示す信号を後述する制御装置に送信する。
【0043】
検知装置60は便座ボックス2の上面の前端部に取り付けられている。検知装置60は、赤外線式センサによって構成されており、便器本体10の前方の設定範囲内の使用者を検知することができる。検知装置60は使用者の有無を示す信号を後述する制御装置に送信する。
【0044】
制御装置70は便座ボックス2内に収納されている。制御装置70はリモートコントローラー71から送信される操作信号を受信する受信部70Aを有している。リモートコントローラー71は便器本体10が設置されたトイレルームの壁面Wに取り付けられている。リモートコントローラー71は、便器洗浄ボタン72、局部洗浄ボタン73、停止ボタン74、ノズル洗浄ボタン75、及び清掃ボタン76等の各種操作ボタンを有している。リモートコントローラー71は各種操作ボタンの操作に応じた操作信号を制御装置70の受信部70Aに送信する送信部71Aを有している。リモートコントローラー71は、前面の一部を開閉する蓋部材71Bを有している。ノズル洗浄ボタン75及び清掃ボタン76等の使用頻度の少ない操作ボタンは、この蓋部材71Bが開いた際に露出する操作面に設けられている。
【0045】
このように構成されたトイレ装置の「プレ洗浄」、「屎尿排出」、「局部洗浄」及び「便器洗浄」動作について、図8に基づいて説明する。
【0046】
[プレ洗浄]
検知装置60はトイレルームに入室した使用者が便器本体10の前方の設定範囲内にいることを検知すると検知信号を制御装置70に送信する(ステップS1)。すると、制御装置70は電磁式モーターを駆動して便蓋3を起立状態に回動させるとともに、次に示すプレ洗浄を実行させる。
【0047】
プレ洗浄は、先ず、電磁石88へ通電してロック装置を駆動し、排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックする(ステップS2)。その後、設定時間T1(例えば、0.3秒)の間、便器洗浄装置40のポンプPを駆動する(ステップS3)。さらに、ポンプPの駆動を停止した後に、電磁石88への通電を終了して閉止具85のロックを解除する(ステップS4)。
【0048】
プレ洗浄の実行によって、便器洗浄装置40は貯水槽41内の洗浄水を給水管46、及びリム吐水管13を介して便鉢11のリム通水路12に供給する。リム通水路12を流れる洗浄水は、徐々に便鉢11の内面に沿って流れ落ちるため、便鉢11の内面の全体を洗浄水によって濡らすことができる。このため、便鉢11の内面に汚物等を付着し難くすることができる。
【0049】
このように、プレ洗浄の実行は、便鉢11の内面、及び閉止具85の上面に汚物等が付着し難くすることを目的としているため、プレ洗浄の実行によって便鉢11に供給される洗浄水の水量は、後述する便器洗浄の際に便鉢11に供給される洗浄水の水量よりも少ない。また、プレ洗浄の実行によって便鉢11に供給され、便鉢11の排出口11Aに流下した洗浄水は汚濁度が低いものである。
【0050】
便器洗浄装置40のポンプPを駆動中は電磁石88の磁力によって錘部材87は引き寄せられており、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖した状態にロックしている。このため、プレ洗浄の実行によって便鉢11に供給された洗浄水は、便槽90に排出されずに中間管部82の上端開口縁82Bから連結部83内に溢流し、分岐排水路30に流入する。よって、このトイレ装置は便槽90へ排水する水を少なくすることができる。このため、便槽90内に収納された菌床91が水分過多になることを防止することができ、汚物等の発酵分解を良好に行うことができる。
【0051】
また、このトイレ装置は分岐排水路30に流入した汚濁度の低い洗浄水を貯水槽41に貯留することができる。貯水槽41に貯留した洗浄水は塩素滅菌され、給水装置42によって便鉢11に供給して便器洗浄に利用することができる。このように、このトイレ装置は、プレ洗浄の実行によって便鉢11に供給された洗浄水を便器洗浄に循環して再利用することができる。
【0052】
[屎尿排出]
プレ洗浄の終了後、着座検知装置は使用者が便座4へ着座したことを検知すると検知信号を制御装置70に送信する(ステップS5)。プレ洗浄の終了後は、閉止具85のロックが解除されているため、閉止具85は、その上面に設定した重さ以上の屎尿や洗浄水等が載置されると、回動軸部86Aを中心にして下降し、排水路20を開放する状態になっている。
【0053】
このため、図4に示すように、使用者Hが屎尿Pを排泄し、設定した重さ以上の屎尿Pが閉止具85の上面に載置されると、閉止具85は、回動軸部86Aを中心にして下降し、排水路20を開放する。閉止具85が回動軸部86Aを中心に下降すると閉止具85の上面は垂直に近い傾斜状態になるため、閉止具85の上面に載置した屎尿P等は落下し、便槽90へ排出される。閉止具85の上面に載置した屎尿P等が落下すると、錘部材87によって閉止具85が回動軸部86Aを中心にして上昇するため、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖する状態に自動的に復帰する。このように、使用者Hの屎尿Pの排泄に応じて、閉止具85が排水路20の開閉を繰り返すことになる。便槽90に排出された汚物等は、菌床91によって発酵分解される。
【0054】
[局部洗浄]
使用者がリモートコントローラー71の局部洗浄ボタン73を押すと、送信部71Aから制御装置70の受信部70Aに局部洗浄信号が送信される(ステップS6)。制御装置70は、局部洗浄信号を受信部70Aが受信すると、電磁式モーターを駆動して洗浄ノズル51を前進位置に移動するともに開閉弁Vを開弁して、局部洗浄装置50を駆動する(ステップS7)。
【0055】
その後、洗浄ノズル51から噴出する局部洗浄水の水量を検知し(ステップS8)、その水量が設定水量以上になると、制御装置70は電磁石88へ通電してロック装置を駆動し、排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックする(ステップS9)。
【0056】
この際、洗浄ノズル51から噴出する局部洗浄水の水量は、洗浄ノズル51から噴出する局部洗浄水の流量に応じて噴出時間により換算するものであり、制御装置70は開閉弁Vの開弁時間を制御している。つまり、制御装置70は、開閉弁Vを開弁した後、設定時間を経過すると、電磁石88へ通電する。
【0057】
開閉弁Vが開弁されることによって、図5に示すように、給水路1から供給された洗浄水が温水タンク53を経由して前進位置に移動した洗浄ノズル51の先端部に設けられた洗浄孔から噴出し、局部洗浄が実行される。開閉弁Vを開弁した後、設定時間が経過すると(局部洗浄を実行して洗浄ノズル51から噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると)、電磁石88へ通電するため、電磁石88の磁力によって錘部材87は引き寄せられ、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖した状態にロックする。
【0058】
局部洗浄を実行する際、洗浄初期は使用者の臀部に付着した排泄物を洗い落とすため、便鉢11内に流出した局部洗浄水は汚濁度の高いものになる。この汚濁度の高い局部洗浄水は、閉止具85が排水路20を閉鎖した状態にロックされるまで(開閉弁Vが開弁してから設定時間が経過するまで)に閉止具85が排水路20を必ず開放する水量(設定水量)の局部洗浄水が洗浄ノズル51から噴出するため、便槽90へ排出される。
【0059】
局部洗浄装置50を継続して駆動し、開閉弁Vが開弁してから設定時間を経過した頃には、便鉢11内に落下して便鉢11の排出口11Aに流下した局部洗浄水は汚濁度の低いものになっている。この時には、制御装置70が電磁石88を通電状態にしているため、閉止具85が排水路20を閉鎖した状態にロックしている。このため、汚濁度の低い局部洗浄水は、便槽90に排出されずに中間管部82の上端開口縁82Bから連結部83内に溢流し、分岐排水路30に流入する。このため、このトイレ装置は、便槽90へ排水する水を少なくすることができる。よって、便槽90内に収納された菌床91が水分過多になることを防止することができ、汚物等の発酵分解を良好に行うことができる。
【0060】
また、分岐排水路30に流入した汚濁度の低い局部洗浄水を貯水槽41に貯留する。貯水槽41に貯留した局部洗浄水は塩素滅菌され、給水装置42によって便鉢11に供給して便器洗浄に利用することができる。このように、このトイレ装置は、局部洗浄の実行によって洗浄ノズル51から噴出した局部洗浄水の一部を便器洗浄に循環して再利用することができる。
【0061】
局部洗浄装置50の駆動中に使用者がリモートコントローラー71の停止ボタン74を押すと、送信部71Aから制御装置70の受信部70Aに停止信号が送信される(ステップS10、S11)。制御装置70は、停止信号を受信部70Aが受信すると、電磁式モーターを駆動して洗浄ノズル51を収納位置に移動するとともに開閉弁Vを閉弁して、局部洗浄装置50の駆動を停止する(ステップS12、S13)。これによって、局部洗浄が終了する。また、電磁石88へ通電している場合には、制御装置70は電磁石88への通電を終了する(ステップS14)。
【0062】
使用者がリモートコントローラー71の停止ボタン74を押した後に、さらに局部洗浄ボタン73を押すことによって局部洗浄装置50が繰り返し駆動される場合、制御装置70は、停止ボタン74が押される度に開閉弁Vの開弁時間をリセットし、開閉弁Vの直近の開弁からの開弁時間を計測し、その時間が設定時間を経過すると電磁石88へ通電する。これは、使用者がリモートコントローラー71の停止ボタン74を押した後であって局部洗浄ボタン73を押すまでの間に屎尿を排泄する可能性があるためである。
【0063】
[便器洗浄]
使用者がリモートコントローラー71の便器洗浄ボタン72を押すと、送信部71Aから制御装置70の受信部70Aに便器洗浄信号が送信される(ステップS15)。制御装置70は、受信部70Aが便器洗浄信号を受信すると、次に示す便器洗浄を実行させる。
【0064】
便器洗浄は、先ず、設定時間T2(例えば、0.5秒)の間、便器洗浄装置40のポンプPを駆動して、第1便器洗浄を実行する(ステップS16)。次に、電磁石88へ通電してロック装置を駆動し、排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックして(ステップS17)、第2便器洗浄を開始する。そして、設定時間T3(例えば、3.5秒)の間、便器洗浄装置40のポンプPを駆動する(ステップS18)。さらに、ポンプPの駆動を停止した後に、電磁石88への通電を終了して閉止具85のロックを解除して(ステップS19)、第2便器洗浄を終了する。
【0065】
このようにして、貯水槽41内の洗浄水を給水管46、及びリム吐水管13を介して便鉢11のリム通水路12に供給する便器洗浄が実行される。第1便器洗浄の際には、電磁石88に通電していないため、閉止具85は、その上面に設定した重さ以上の屎尿Pや洗浄水等が載置されると、回動軸部86Aを中心にして下降して排水路20を開放する状態にある。このため、第1便器洗浄において供給した洗浄水によって、便鉢11の内面に付着した汚物やトイレットペーパー、及び閉止具85の上面に残留した汚物やトイレットペーパーを便槽90へ排出することができる。
【0066】
その後の第2便器洗浄の際に便鉢11に供給され、便鉢11の排出口11Aに流下した洗浄水は、汚濁度が低いものになっている。また、電磁石88に通電しているため、電磁石88の磁力によって錘部材87は引き寄せられており、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖した状態にロックしている。このため、便鉢11に供給した洗浄水は、便槽90に排出されずに中間管部82の上端開口縁82Bから連結部83内に溢流し、分岐排水路30に流入する。このため、このトイレ装置は、便槽90へ排水する水を少なくすることができる。よって、便槽90内に収納された菌床91が水分過多になることを防止することができ、汚物等の発酵分解を良好に行うことができる。
【0067】
また、分岐排水路30に流入した汚濁度の低い洗浄水を貯水槽41に貯留する。貯水槽41に貯留した洗浄水は塩素滅菌され、給水装置42によって便鉢11に供給して便器洗浄に利用することができる。このように、このトイレ装置は、便器洗浄で便鉢11に供給した洗浄水の一部を便器洗浄に循環して再利用することができる。
【0068】
第2便器洗浄を終了によって、便器洗浄が終了した後、使用者が便器本体10の前方の設定範囲内にいなくなったことを検知すると検知信号を制御装置70に送信する(ステップS20)。これによって、トイレ装置は待機状態に復帰する。
【0069】
このトイレ装置は、局部洗浄装置50の駆動中に使用者がリモートコントローラー71の便器洗浄ボタン72を押すと、送信部71Aから制御装置70の受信部70Aに便器洗浄信号が送信される。この際、制御装置70は、局部洗浄装置50が駆動中であった場合には、便器洗浄信号を受信部70Aが受信しても便器洗浄装置40のポンプPを駆動しない。このため、このトイレ装置は局部洗浄中に便器洗浄を実行しない。
【0070】
このように、このトイレ装置は、制御装置70の制御を単純化することができる。また、局部洗浄装置50の駆動によって便鉢11内に流入した局部洗浄水が便鉢11の内面に付着した汚物等を洗い流すことがある。この場合、便器洗浄装置40を駆動して便鉢11を洗浄することが不要になるため、無駄な洗浄水の使用を防止することができ、便槽90へ排水する水を少なくすることができる。
【0071】
次に、このトイレ装置の「ノズル洗浄」動作について図9(A)に基づいて説明する。
【0072】
[ノズル洗浄]
使用者がリモートコントローラー71のノズル洗浄ボタン75を押すと、送信部71Aから制御装置70の受信部70Aにノズル洗浄信号が送信される(ステップS31)。制御装置70は、ノズル洗浄信号を受信部70Aが受信すると、電磁石88へ通電してロック装置を駆動し、排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックする(ステップS32)。そして、制御装置70は、設定時間の間、分岐水路へ洗浄水が流入するように切替弁を切り替え、開閉弁Vを開弁する(ステップS33)。これによって、図7に示すように、給水路1から供給された洗浄水が温水タンク53、切替弁、及び分岐水路を介して、収納位置に後退した洗浄ノズル51の先端部に向けて洗浄水を吐水するノズル洗浄が実行される。制御装置70は、設定時間が経過してノズル洗浄が終了した後に、電磁石88への通電を終了して閉止具85のロックを解除する(ステップS34)。
【0073】
ノズル洗浄の実行によって洗浄ノズル51を洗浄して便鉢11の排出口11Aに流下したノズル洗浄水は汚濁度が低いものである。また、ノズル洗浄を実行中は電磁石88の磁力によって錘部材87は引き寄せられており、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖した状態にロックしている。
【0074】
このため、汚濁度の低いノズル洗浄水は、便槽90に排出されずに中間管部82の上端開口縁82Bから連結部83内に溢流し、分岐排水路30に流入する。よって、このトイレ装置は便槽90へ排水する水を少なくすることができる。このため、便槽90内に収納された菌床91が水分過多になることを防止することができ、汚物等の発酵分解を良好に行うことができる。
【0075】
また、分岐排水路30に流入した汚濁度の低いノズル洗浄水を貯水槽41に貯留する。貯水槽41に貯留したノズル洗浄水は塩素滅菌され、給水装置42によって便鉢11に供給して便器洗浄に利用することができる。このように、このトイレ装置は、ノズル洗浄水を便器洗浄に循環して再利用することができる。
【0076】
次に、このトイレ装置の「清掃洗浄」動作について図9(B)に基づいて説明する。
【0077】
[清掃洗浄]
使用者がリモートコントローラー71の清掃ボタン76を押すと、送信部71Aから制御装置70の受信部70Aに清掃洗浄信号が送信される(ステップS41)。制御装置70は、清掃洗浄信号を受信部70Aが受信すると、電磁石88へ通電してロック装置を駆動し、排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックする(ステップS42)。そして、制御装置70は、設定時間の間、便器洗浄装置40のポンプPを駆動する(ステップS43)。これによって、貯水槽41内の洗浄水を給水管46、及びリム吐水管13を介して便鉢11のリム通水路12に供給する清掃洗浄が実行される。制御装置70は、設定時間が経過して清掃洗浄が終了した後に、電磁石88への通電を終了して閉止具85のロックを解除する(ステップS44)。
【0078】
清掃洗浄の実行によって便鉢11に供給し、便鉢11の排出口11Aに流下した洗浄水は汚濁度が低いものである。また、清掃洗浄を実行中は電磁石88の磁力によって錘部材87は引き寄せられており、閉止具85が中間管部82の下端開口縁82Cに当接して排水路20を閉鎖した状態にロックしている。
【0079】
このため、汚濁度の低い洗浄水は、便槽90に排出されずに中間管部82の上端開口縁82Bから連結部83内に溢流し、分岐排水路30に流入する。よって、このトイレ装置は便槽90へ排水する水を少なくすることができる。また、このトイレ装置は、清掃洗浄時に使用される洗浄剤が混入した洗浄水も便槽90へ排水されることを防止することができる。このため、便槽90内に収納された菌床91が水分過多になることを防止することができ、また、好気性微生物が洗浄剤によって死滅することを防止することができるため、汚物等の発酵分解を良好に行うことができる。
【0080】
また、分岐排水路30に流入した汚濁度の低いノズル洗浄水を貯水槽41に貯留する。貯水槽41に貯留したノズル洗浄水は塩素滅菌され、給水装置42によって便鉢11に供給して便器洗浄に利用することができる。このように、このトイレ装置は、清掃洗浄時に便鉢11に供給した洗浄水を便器洗浄に循環して再利用することができる。
【0081】
<実施例2>
実施例2のトイレ装置は、図10に示すように、「局部洗浄」動作において、局部洗浄装置50を駆動して洗浄ノズル51から噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、便鉢11内に流出した局部洗浄水を分岐排水路30へ流入させるより前に便器洗浄装置40を駆動して便鉢11に設定水量の洗浄水を供給する点(S21)が、実施例1と相違する。他の構成は実施例1と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0082】
このトイレ装置は、「局部洗浄」動作において、使用者がリモートコントローラー71の局部洗浄ボタン73を押して(ステップS6)、局部洗浄装置50が駆動し(ステップS7)、洗浄ノズル51から噴出する局部洗浄水の水量が設定水量以上になると、設定時間T4(例えば、0.4秒)の間、便器洗浄装置40のポンプPを駆動して、設定水量の洗浄水を便鉢11に供給する(ステップS21)。その後、制御装置70は電磁石88へ通電してロック装置を駆動し、排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックする(ステップS9)。
【0083】
このように、このトイレ装置は、「局部洗浄」動作において、ロック装置を駆動して排水路20を閉鎖した状態に閉止具85をロックし、便鉢内に流出した局部洗浄水を分岐排水路へ流入させるより前に便器洗浄装置40のポンプPを駆動して便鉢11に設定水量の洗浄水を供給するため、便鉢内の屎尿や汚濁度の高い洗浄水を完全に便槽内へ排水することができ、分岐排水路へ流入する局部洗浄水の汚濁度を確実に低くすることができる。
【0084】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1及び2では、分岐排水路は下流端を貯水槽に連通して、貯水槽に貯留した洗浄水を便器洗浄に循環再利用したが、分岐排水路の下流端をトイレ装置以外の排水を処理する排水処理装置に連通して排水してもよい。この場合、便器洗浄に利用する洗浄水は水道管に連通した給水路から供給してもよい。
(2)実施例1及び2では、便槽に菌床を収納したが、菌床を収納しない、汲み取り式の便槽であってもよい。この場合でも、このトイレ装置は便槽へ排水する水を少なくすることができるため、有効である。
(3)実施例1及び2では、閉止具によって排水路を閉鎖状態にロックすることによって便槽へ排水せずに分岐排水路へ洗浄水を流入させたが、洗浄水を便槽へ排水せずに分岐排水路へ流入させることができるものであれば他の構成のものであってもよい。
(4)実施例1及び2では便器本体の前方にいる使用者を検知装置が検知するとプレ洗浄を実行するが、使用者が便座に着座したことを着座検知装置が検知するとプレ洗浄を実行するものであってもよい。
(5)実施例1及び2ではプレ洗浄を実行することができる便器洗浄装置であったが、プレ洗浄機能を有さない便器洗浄装置であってもよい。
(6)実施例1及び2ではノズル洗浄を実行することができる局部洗浄装置であったが、ノズル洗浄機能を有さない局部洗浄装置であってもよい。
(7)実施例1及び2では、清掃洗浄を実行することができる便器洗浄装置であったが、清掃洗浄機能を有さない便器洗浄装置であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
10…便器本体
11…便鉢
11A…排出口
20…排水路
30…分岐排水路
40…便器洗浄装置
41…貯水槽
42…給水装置
50…局部洗浄装置
51…洗浄ノズル
60…検知装置
70…制御装置
80…接続装置
85…閉止具
88…電磁石(ロック装置)
90…便槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、
前記排出口を前記便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、
この排水路を分岐した分岐排水路と、
洗浄ノズルを有し、前記便器本体に組み付けた局部洗浄装置とを備えており、
この局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記便鉢内に流出した局部洗浄水を前記排水路を介して前記便槽へ排水せずに前記分岐排水路へ流入させることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置を備えており、
前記局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記便鉢内に流出した局部洗浄水を前記分岐排水路へ流入させるより前に前記便器洗浄装置を駆動して前記便鉢に設定水量の洗浄水を供給することを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記排出口に連結して前記排水路を形成し、
この排水路を開閉する閉止具、及びこの閉止具が前記排水路を閉鎖した状態にロックするロック装置を有しており、前記閉止具の上流側で前記排水路を分岐して前記分岐排水路を形成した接続装置と、
前記局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする制御装置とを備えていることを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置と、
前記局部洗浄装置を駆動して前記洗浄ノズルから噴出した局部洗浄水が設定水量以上になると、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする前に前記便器洗浄装置を駆動して前記便鉢に設定水量の洗浄水を供給する制御装置とを備えていることを特徴とする請求項3記載のトイレ装置。
【請求項5】
下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、
前記排出口を前記便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、
この排水路を分岐した分岐排水路と、
洗浄ノズル、及びこの洗浄ノズルを洗浄するノズル洗浄機構を有し、前記便器本体に組み付けた局部洗浄装置とを備えており、
前記ノズル洗浄機構が前記洗浄ノズルを洗浄している間、前記便鉢内に流出したノズル洗浄水を前記排水路を介して前記便槽へ排水せずに前記分岐排水路へ流入させることを特徴とするトイレ装置。
【請求項6】
前記排出口に連結して前記排水路を形成し、
この排水路を開閉する閉止具、及びこの閉止具が前記排水路を閉鎖した状態にロックするロック装置を有しており、前記閉止具の上流側で前記排水路を分岐して前記分岐排水路を形成した接続装置と、
前記ノズル洗浄機構が前記洗浄ノズルを洗浄している間、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする制御装置とを備えていることを特徴とする請求項5記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記局部洗浄装置を駆動している間、前記便鉢に洗浄水を供給する便器洗浄装置を駆動しない制御装置を備えていることを特徴とする請求項1、3、5又は6のいずれか1項記載のトイレ装置。
【請求項8】
下部に排出口を有する便鉢を具備した便器本体と、
前記排出口を前記便器本体の下方に設けた便槽に連通する排水路と、
この排水路を分岐した分岐排水路と、
前記便器本体の清掃時に、前記便鉢に設定水量の洗浄水を供給する清掃洗浄を実行する便器洗浄装置とを備えており、
前記清掃洗浄を実行している間、前記便鉢内に流出した前記洗浄水を前記排水路を介して前記便槽へ排水せずに前記分岐排水路へ流入させることを特徴とするトイレ装置。
【請求項9】
前記排出口に連結して前記排水路を形成し、
この排水路を開閉する閉止具、及びこの閉止具が前記排水路を閉鎖した状態にロックするロック装置を有しており、前記閉止具の上流側で前記排水路を分岐して前記分岐排水路を形成した接続装置と、
前記清掃洗浄を実行している間、前記ロック装置を駆動して前記排水路を閉鎖した状態に前記閉止具をロックする制御装置とを備えていることを特徴とする請求項8記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記便器洗浄装置は、前記分岐排水路の下流側に連通した貯水槽と、この貯水槽に貯留した洗浄水を前記便鉢に供給する給水装置とを備えていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−107490(P2012−107490A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221318(P2011−221318)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】