説明

トイレ装置

【課題】あらゆる便器本体部と便座とを簡便に固定することができるようにする。
【解決手段】便器本体部1は、所定の間隔で離間する取付孔1cを有し、排泄された汚物を受容する。便座1aは、取付孔1cに挿入する挿入部1bを有し、便器本体部1の上部に設けられる。これを前提にして、第1の固定部材50は、取付孔1cに対応した位置に挿入部1bが貫通する貫通孔を有し、便器本体部1と便座1aとの間に設けられる。第2の固定部材60は、便器本体部1に設けられ、第1の固定部材50とネジ80で固定される。これにより、便器本体部1に便座1aを簡単に取り付けることができるようになる。この結果、便器本体部1や便座1aの種類によらない各種共通の取付孔及び挿入部に対応した位置に設けられた貫通孔を有する第1の固定部材50が第2の固定部材60と固定されるので、あらゆる便器本体部と便座とを簡便に固定することができる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や公共施設等に設置される一般的なトイレ装置や、屋外等で簡易的に設置使用されたり、車載用等として使用されたりするポータブルトイレ装置や、介護用のトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、介護を必要とする人のために、介護用のポータブルトイレ装置が使用されている。このポータブルトイレ装置は、便座に腰を掛ける腰掛式(所謂洋式)の形態が多い。ポータブルトイレ装置は、汚物を受け入れて排出するための容器を備えた形態や、汚物排水を自然流下で行う形態が一般的である。
【0003】
図8は、従来の介護用トイレ装置200の組立例を示す分解斜視図である。図8に示すように、介護用トイレ装置200は、便器本体部1及び便座1a等で構成される。便器本体部1には取付孔1dが穿設されており、便座1aにはネジが切ってある挿入部1bが設けられている。
【0004】
介護用トイレ装置200を製造する際に、便器本体部1に便座1aを取り付ける。その取り付け方法は、まず、便器本体部1の取付孔1dの上部から便座1aの挿入部1bを挿入して便器本体部1に便座1aを載置する。すると、挿入部1bは、取付孔1dを貫通して取付孔の下部から突出する。その突出した挿入部1bのネジが切ってある部分に、ナット70を締め付けることにより、便器本体部1と便座1aとが固定される。
【0005】
特許文献1には便座を便器本体部の上面側からの作業で着脱する便座の取付構造について開示されている。この便座の取付構造によれば、上方にネジ穴を有する取付用ボルトを備えることにより、便座の後方上面からネジで固定して便座を便器本体部に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61−86098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の介護用トイレ装置によれば、便器本体部1に便座1aを取り付ける際に、便器本体部の下部のように狭い箇所に作業者が手を入れてナットを締め付けなければならず、その作業は煩雑である。
【0008】
また、特許文献1によれば、便器本体部に設けられた取付用ボルトに、便座の後方上面からネジを固定することにより、便座を便器本体部に簡単に取り付けることができるが、このネジが露出するような便座の後方上面の空間が必要になり、便器本体部及び便座の種類によって取付用ボルトが使用できない(例えば、図8に示した介護用トイレ装置200)ことがあり、汎用性に乏しいという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題を解決したものであって、あらゆる便器本体部と便座とを簡便に固定することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係るトイレ装置は、所定間隔で離間する取付孔を有し、排泄された汚物を受容する便器本体部と、取付孔に挿入する挿入部を有し、便器本体部の上部に設けられる便座と、取付孔に対応した位置に挿入部が貫通する貫通孔を有し、便器本体部と便座との間に設けられる第1の固定部材と、便器本体部に設けられ、第1の固定部材と固定される第2の固定部材とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係るトイレ装置によれば、便器本体部、便座、第1の固定部材及び第2の固定部材を備える。便器本体部は、所定間隔で離間する取付孔を有し、排泄された汚物を受容する。例えば、この所定間隔とは、便器や便座の種類によらない共通した離間距離を有するものである。便座は、取付孔に挿入する挿入部を有し、便器本体部の上部に設けられる。これを前提にして、第1の固定部材は、取付孔に対応した位置に挿入部が貫通する貫通孔を有し、便器本体部と便座との間に設けられる。第2の固定部材は、便器本体部に設けられ、第1の固定部材と固定される。
【0012】
これにより、便器本体部の取付孔に便座の挿入部が第1の固定部材の貫通孔を介して挿入して、第1の固定部材と第2の固定部材とが固定されることにより、便器本体部に便座を簡単に取り付けることができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトイレ装置によれば、便器本体部や便座の種類によらない各種共通の取付孔及び挿入部に対応した位置に設けられた貫通孔を有する第1の固定部材が第2の固定部材と固定されるので、あらゆる便器本体部と便座とを固定することができ、汎用性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る介護用トイレ装置100の構成例を示す斜視図である。
【図2】第1の固定部材50の構成例を示す斜視図である。
【図3】第1の固定部材50の構成例を示す平面図である。
【図4】第1の固定部材50の構成例を示す正面図である。
【図5】第1の固定部材50の構成例を示す側面図である。
【図6】介護用トイレ装置100の組立例(その1)を示す分解斜視図である。
【図7】介護用トイレ装置100の組立例(その2)を示す分解斜視図である。
【図8】従来の介護用トイレ装置200の組立例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態の一例として、介護用トイレ装置について説明する。介護用トイレ装置は、排泄された汚物や使用済みのトイレットペーパ等を受容する便器本体部の下方に設けられた粉砕機構部で、便器本体部に供給される洗浄水と共に汚物及びトイレットペーパ等を粉砕して排出する、病院の病室や住宅の居間等に設置可能なものである。
【0016】
[介護用トイレ装置100の構成例]
最初に、本実施の形態に係る介護用トイレ装置100の構成例について説明する。図1に示すように、介護用トイレ装置100は、便器本体部1、便座1a、給水タンク4、第1の固定部材50及び第2の固定部材60等で構成される。
【0017】
給水タンク4は、例えば1.5から3リットルの洗浄水を貯える。この洗浄水は、当該介護用トイレ装置100が設置されている部屋とは別の部屋にある備え付けトイレ5(既設の通常のトイレ)から給水される。
【0018】
便器本体部1は、例えば陶器で構成され、洗浄水が流入する流水口と、上部から汚物を受け入れる上部開口部と、下部から洗浄水及び汚物等を排出する下部開口部とを有する。便器本体部1は、便蓋を開けて便座1aに腰掛けたユーザから排泄された汚物を上部開口部により受容して、この汚物を流水口から流水する洗浄水と共に下部開口部から排出するものである。
【0019】
便器本体部1は、図7で示す所定の間隔で離間する取付孔1cが設けられる。取付孔1cは、図8で示した従来の介護用トイレ装置200に穿設される取付孔1dよりも径が大きく、ナット70が挿入可能な大きさである。つまり、介護用トイレ装置200では、ナット70で便座1aを固定していたが、本発明に係る介護用トイレ装置100では、ナット70は、取付孔1cを貫通し、便座1aと第1の固定部材50とを固定するものとなる。
【0020】
便器本体部1の下部には図示しない粉砕機構部が設けられ、この粉砕機構部が洗浄水と共に汚物を粉砕する。
【0021】
粉砕機構部の下部には図示しない圧送タンクが設けられる。圧送タンクは、例えば、円筒形状に加工された金属又は樹脂等で構成されている。圧送タンクの容量は3〜5リットル程度である。圧送タンクは、粉砕機構部により粉砕された汚物流動体が流入する流入口と、この流入口に流入した汚物流動体を備え付けトイレ5に向かって流出する流出口とを有する。
【0022】
更に、圧送タンクは、図示しないエアーコンプレッサーに接続されて、このエアーコンプレッサーによって内部に圧縮空気が充填される。このとき、圧送タンク内の圧縮空気が逆流しないように、流入口に設けられた弁機構により、流入口が開閉自在になっている。
【0023】
流入口から汚物流動体が流入して圧縮空気が充填された圧送タンクは、流出口から汚物流動体を備え付けトイレ5に向かって排出する。
【0024】
便器本体部1の上方には便座1aが設けられる。便蓋と一体になった便座1aの開閉により介護用トイレ装置100の各種処理が行われる。便座1aには備え付けトイレ5からの洗浄水が給水されて、便座1aから洗浄水が噴出して当該便座1aに腰掛けたユーザの臀部等を洗浄する。
【0025】
便座1aには図6で示す挿入部1bが設けられる。挿入部1bにはネジが切ってあり、ナット70に挿入可能になっている。また、挿入部1bは、便器本体部1の取付孔1cに挿入する。
【0026】
便器本体部1と便座1aとの間には第1の固定部材50が設けられる。第1の固定部材50は、便器本体部1の取付孔1cに対応した位置に便座1aの挿入部1bが貫通する貫通孔50a(図2乃至図5参照)を有する。また、第1の固定部材50は、ネジ孔50b(図2乃至図5参照)を有する。
【0027】
便器本体部1には第2の固定部材60が設けられる。第2の固定部材60は、ネジ孔60aを有し、このネジ孔60aと第1の固定部材50のネジ孔50bとを重ね、該重ねたネジ孔50b,60aにネジ80を挿入して締めることにより、第1の固定部材と固定される。このように第1及び第2の固定部材50,60の固定により、便器本体部1と便座1aとが固定される。
【0028】
介護用トイレ装置100の下後方には図示しないコンセントが設けられる。従来の介護用トイレ装置は、暖房洗浄便座等の電気により駆動するものを追加するときに、暖房洗浄便座の電源コードが短いと、当該介護用トイレ装置を設置する部屋に設けられたコンセントの位置によって、設置場所が制限されてしまい不便であった。また、複数の電気駆動のものを当該介護用トイレ装置に追加すると、電源コードが何本も部屋を這うようになってしまう。
【0029】
そこで、本発明に係る介護用トイレ装置100ではコンセントを設けた。これにより、暖房洗浄便座等の電源コードをこのコンセントに差し込むことで、設置部屋のコンセントの位置に依存されないので当該介護用トイレ装置100の設置場所が制限されることなく、また、当該介護用トイレ装置100を設置した部屋に電源コードが何本も這うようなことを防止することができる。なお、コンセントは、1つだけ設けても良いし、複数設けても良い。
【0030】
[第1の固定部材50の構成例]
次に、便器本体部1と便座1aとの間に設けられる第1の固定部材50の構成例について説明する。第1の固定部材50は、アルミニウムやステンレス等の金属材料で構成され、その厚みは2〜3mm程度である。図2乃至図5に示すように、第1の固定部材50は、平板部分に所定間隔の貫通孔50aが設けられ、平板部分から左右に延在した部分に長円形状に形成されたネジ孔50bが設けられる。貫通孔50aは、便座1aの挿入部1bに挿入される孔である。ネジ孔50bは、第2の固定部材60のネジ孔60aとネジ80で固定される孔である。
【0031】
第1の固定部材50の下方には緩衝部材51が設けられる。緩衝部材51は、第1の固定部材50と便器本体部1とが直接当接して便器本体部1に傷が付くのを防ぐためのものであり、介護用トイレ装置100の完成時に第1の固定部材50と便器本体部1との間に設けられるものである。緩衝部材51には第1の固定部材50の貫通孔50aに対応した位置に貫通孔51aが設けられる。
【0032】
[介護用トイレ装置100の組立例]
次に、介護用トイレ装置100の組立例について説明する。図6に示すように、まず、便座1aの挿入部1bに第1の固定部材50の貫通孔50aを貫通させて、便座1aの下面に第1の固定部材50を当接させる。そして、貫通孔50aを貫通した挿入部1bにナット70を取り付けることにより、便座1aと第1の固定部材50とが固定される。
【0033】
図7に示すように、便器本体部1にはナット70が挿入可能な大きさの径を有する取付孔1cを穿設する。この取付孔1cの間隔は、従来の介護用トイレ装置200の取付孔1dの間隔と同じであり、便器本体部や便座の種類によらない共通した離間距離を有するものである。
【0034】
取付孔1cに、先程の図6で説明した、第1の固定部材50が固定された便座1aの挿入部1bを挿入する。この際、取付孔1cには挿入部1bのみならず、ナット70も挿入されて、ナット70の上部にある緩衝部材51と便器本体部1とが当接する。
【0035】
取付孔1cに挿入部1b等が挿入した後、第1の固定部材50のネジ孔50bと第2の固定部材60のネジ孔60aとの位置が一致するように便座1aの位置を微調整する。そして、ネジ孔50b,60aにネジ80を挿入して締めることにより、第1の固定部材50と第2の固定部材60とが固定されて、この結果、便座1aと便器本体部1とが固定される。
【0036】
このように、本実施の形態に係る介護用トイレ装置100によれば、便器本体部1、便座1a、第1の固定部材50及び第2の固定部材60を備える。便器本体部1は、所定の間隔で離間する取付孔1cを有し、排泄された汚物を受容する。便座1aは、取付孔1cに挿入する挿入部1bを有し、便器本体部1の上部に設けられる。
【0037】
上述の所定間隔は、便器本体部や便座の種類によらない共通した離間距離を有するものである。また、取付孔1cは、従来の介護用トイレ装置200の取付孔1dよりも大きな径を有するものである。
【0038】
これを前提にして、第1の固定部材50は、取付孔1cに対応した位置に挿入部1bが貫通する貫通孔50aを有し、便器本体部1と便座1aとの間に設けられる。第2の固定部材60は、便器本体部1に設けられ、第1の固定部材50と固定される。
【0039】
これにより、便器本体部1の取付孔1cに便座1aの挿入部1bが第1の固定部材50の貫通孔50aを介して挿入して、第1の固定部材50と第2の固定部材60とが固定されることにより、便器本体部1に便座1aを簡単に取り付けることができるようになる。
【0040】
この結果、便器本体部1や便座1aの種類によらない各種共通の取付孔及び挿入部に対応した位置に設けられた貫通孔50aを有する第1の固定部材50が第2の固定部材60と固定されるので、あらゆる便器本体部と便座とを簡便に固定することができ、汎用性が向上する。
【0041】
なお、本実施の形態では、第1及び第2の固定部材50,60にネジ孔50b,60aを設けてネジ80により当該第1及び第2の固定部材50,60を固定する方法について説明したが、これに限定されず、第1の固定部材に係合部を設け、第2の固定部材に被係合部を設け、係合部が被係合部に係合することにより、第1及び第2の固定部材を固定するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0042】
1・・・便器本体部、1a・・・便座、1b・・・挿入部、1c,1d・・・取付孔、5・・・備え付けトイレ、50・・・第1の固定部材、50a,51a・・・貫通孔、50b,60a・・・ネジ孔、51・・・緩衝部材、60・・・第2の固定部材、70・・・ナット、80・・・ネジ、100,200・・・介護用トイレ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で離間する取付孔を有し、排泄された汚物を受容する便器本体部と、
前記取付孔に挿入する挿入部を有し、前記便器本体部の上部に設けられる便座と、
前記取付孔に対応した位置に前記挿入部が貫通する貫通孔を有し、前記便器本体部と前記便座との間に設けられる前記第1の固定部材と、
前記便器本体部に設けられ、前記第1の固定部材と固定される第2の固定部材とを備えることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の固定部材にはネジ孔が設けられ、前記ネジ孔にネジを挿入して締めることにより、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とが固定されることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記第1の固定部材には係合部が設けられ、前記第2の固定部材には被係合部が設けられ、前記係合部が前記被係合部に係合することにより、前記第1の固定部材と前記第2の固定部材とが固定されることを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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