トイレ装置
【課題】トイレ装置の高さを低くして、当該トイレ装置の座面高さを座りやすい高さに設計することができるようにする。
【解決手段】トイレ装置の圧送タンク3は、粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部からの汚物流動体が流入する流入口37と、該流入口37に流入した汚物流動体を備え付けトイレへ流出する流出口39と、流入口37から流出口39に向かって傾斜する傾斜部35と、流出口39へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部36とを有する。これにより、圧送タンク3の流入口37から流入した汚物流動体は、傾斜部35の傾斜により自重で流出口39に向かって流れる。そして、圧送タンク3は折曲部36を有しているので、所望の容量を確保しつつ、当該圧送タンク3の設計範囲を広げることができるようになる。この結果、トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【解決手段】トイレ装置の圧送タンク3は、粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部からの汚物流動体が流入する流入口37と、該流入口37に流入した汚物流動体を備え付けトイレへ流出する流出口39と、流入口37から流出口39に向かって傾斜する傾斜部35と、流出口39へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部36とを有する。これにより、圧送タンク3の流入口37から流入した汚物流動体は、傾斜部35の傾斜により自重で流出口39に向かって流れる。そして、圧送タンク3は折曲部36を有しているので、所望の容量を確保しつつ、当該圧送タンク3の設計範囲を広げることができるようになる。この結果、トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や公共施設等に設置される一般的なトイレ装置や、屋外等で簡易的に設置使用されたり、車載用等として使用されたりするポータブルトイレ装置や、介護用のトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、介護を必要とする人のために、介護用のポータブルトイレ装置が使用されている。このポータブルトイレ装置は、便座に腰を掛ける腰掛式(所謂洋式)の形態が多い。ポータブルトイレ装置は、汚物を受け入れて排出するための容器を備えた形態や、汚物排水を自然流下で行う形態が一般的である。
【0003】
特許文献1には、排水管勾配を得られない場所において、強制的に汚物を排出する手段として攪拌手段及び圧縮空気タンクを備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、便器本体内を密閉状態にして、便器本体内に設けられた攪拌手段により汚物を流動化して汚物流動体にし、便器本体内に圧縮空気タンクからの圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する。
【0004】
特許文献2には、エアーコンプレッサーを備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、粉砕装置内を密閉状態にして、粉砕装置により汚物を粉砕して汚物流動体にした後、粉砕装置にエアーコンプレッサーからの圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3985344号
【特許文献2】特開2008−86880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び2によれば、便器本体内や粉砕装置内を密閉状態にする必要があり、密閉精度を高める必要があった。更に、圧縮空気の圧力に耐えうるように、便器本体や粉砕装置の強度を高める必要があった。
【0007】
また、上述のように便器本体内や粉砕装置内を密閉状態にするのではなく、粉砕した汚物流動体を一旦タンクに貯留して、このタンクを開閉弁等で密閉した後、当該タンクに圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する方法がある。このようにすれば、便器本体内や粉砕装置内の強度を高める必要がなくなる。しかしながら、この場合、汚物流動体が貯留可能な容量を有するタンクを便器本体及び粉砕装置の下方に取り付ける必要があるため、トイレ装置の全高が高くなってしまい、当該トイレ装置の座面高さが座り難い高さになる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題を解決したものであって、トイレ装置の高さを低くして、当該トイレ装置の座面高さを座りやすい高さに設計することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係るトイレ装置は、洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と洗浄水とを受容する便器本体部と、便器本体部の下部に設けられ、便器本体部から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する粉砕機構部と、粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部からの汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した汚物流動体を廃棄場所へ流出する流出口と、流入口から流出口に向かって傾斜する傾斜部と、流出口へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部とを有するタンク部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るトイレ装置によれば、便器本体部、粉砕機構部及びタンク部を備える。便器本体部は、洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と洗浄水とを受容する。粉砕機構部は、便器本体部の下部に設けられ、便器本体部から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する。
【0011】
そして、タンク部は、粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部からの汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した汚物流動体を廃棄場所へ流出する流出口と、流入口から流出口に向かって傾斜する傾斜部と、流出口へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部とを有する。
【0012】
これにより、タンク部の流入口から流入した汚物流動体は、傾斜部の傾斜により自重で流出口に向かって流れる。そして、タンク部は折曲部を有しているので、所望の容量を確保しつつ、当該タンク部の設計範囲を広げることができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトイレ装置によれば、タンク部の設計範囲を広げることができるので、当該トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る介護用トイレ装置100の構成例を示す側面断面図である。
【図2】介護用トイレ装置100の構成例を示す背面図である。
【図3】圧送タンク3の構成例を示す斜視図である。
【図4】圧送タンク3の構成例を示す平面図である。
【図5】圧送タンク3の構成例を示す側面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る圧送タンク3Aの構成例を示す平面図である。
【図7】圧送タンク3Aの構成例を示す側面図である。
【図8】第3の実施の形態に係る圧送タンク3Bの構成例を示す平面図である。
【図9】圧送タンク3Bの構成例を示す側面図である。
【図10】第4の実施の形態に係る圧送タンク3Cの構成例を示す平面図である。
【図11】圧送タンク3Cの構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態の一例として、介護用トイレ装置について説明する。介護用トイレ装置は、排泄された汚物や使用済みのトイレットペーパ等を受容する便器本体部の下方に設けられた粉砕機構部で、便器本体部に供給される洗浄水と共に汚物及びトイレットペーパ等を粉砕して排出する、病院の病室や住宅の居間等に設置可能なものである。
【0016】
<第1の実施の形態>
[介護用トイレ装置100の構成例]
最初に、第1の実施の形態に係る介護用トイレ装置100の構成例について説明する。図1及び図2に示すように、介護用トイレ装置100は、便器本体部1、粉砕機構部2、圧送タンク3、給水タンク4及び仕切機構部10で構成される。
【0017】
給水タンク4は、例えば1.5から3リットルの洗浄水を貯える。この洗浄水は、当該介護用トイレ装置100が設置されている部屋とは別の部屋にある廃棄場所の一例である備え付けトイレ5(既設の通常のトイレ)から、介護用トイレ装置100の下後方にあるタンク給水口31等を介して給水される。
【0018】
備え付けトイレ5から給水タンク4へ給水する給水管4cには給水タンク用電磁弁4a及び流量センサ4bが設けられる。給水タンク用電磁弁4aは、図示しない制御部からの指令により開状態になると、備え付けトイレ5からの洗浄水が給水タンク4に給水される。この給水時に給水管4cを流れる洗浄水の流量を流量センサ4bが積算する。洗浄水が所定の流量だけ流れると、流量センサ4bから制御部へ信号を出力して、制御部は、給水タンク用電磁弁4aを閉状態にして給水タンク4への給水を停止させる。このようにして、給水タンク4に所定量の洗浄水が貯えられる。なお、流量センサの代わりに給水管4cに流れる洗浄水の時間を積算するフローセンサを設けても構わない。
【0019】
給水タンク4の下部にある給水口には給水弁4dが設けられる。また、この給水口から便器本体部1の流水口1cに向けて給水管4eが設けられる。給水弁4dが開くと、給水タンク4に貯えられた洗浄水が給水管4eを通って、流水口1cから便器本体部1の内部に流れ込む。給水タンク4に洗浄水を貯めるときには給水弁4dを閉じて、備え付けトイレ5から洗浄水を供給する。
【0020】
便器本体部1の上方には便蓋1a及び便座1bが設けられる。便蓋1aの開閉により介護用トイレ装置100の各種処理が行われる。便座1bには介護用トイレ装置100の下後方にある便座給水口32に繋がる図示しない給水管と接続される。便座給水口32には備え付けトイレ5からの洗浄水が給水されて、便座1bから洗浄水が噴出して当該便座1bに腰掛けたユーザの臀部等を洗浄する。
【0021】
便器本体部1は、例えば陶器で構成され、洗浄水が流入する流水口1cと、上部から汚物を受け入れる上部開口部1dと、下部から洗浄水及び汚物等を排出する下部開口部1eとを有する。便器本体部1は、便蓋1aを開けて便座1bに腰掛けたユーザから排泄された汚物を上部開口部1dにより受容して、この汚物を流水口1cから流水する洗浄水と共に下部開口部1eから排出するものである。
【0022】
便器本体部1の下方には粉砕機構部2が設けられる。粉砕機構部2は、便器本体部1から流出した汚物及び洗浄水が流入する開口部2aを有する。また、粉砕機構部2は、略円盤状を成して回転する回転歯2bと、この回転歯2bの下側に設けられ、略円盤状を成して筐体2dと一体の固定歯2cとを有する。
【0023】
粉砕機構部2は、便器本体部1から流出した汚物及び洗浄水を開口部2aから取り込んで、回転歯2bを図示しないモータにより回転させる。すると、汚物及び洗浄水は、回転歯2bと固定歯2cとの間に流入して、回転歯2bと固定歯2cとの対面しあう凹部及び凸部により粉砕される。この粉砕により、汚物及び洗浄水は汚物流動体となる。
【0024】
便器本体部1と粉砕機構部2との間には仕切機構部10が設けられる。仕切機構部10は、開閉蓋15によって開口部2aを開閉して、汚物及び洗浄水等を粉砕機構部2に流入させる。例えば、仕切機構部10は、ユーザが排泄を済まして便座1bから立ち上がり、便蓋1aを閉じると、開閉蓋15が図1では左側に移動して開口部2aを開状態にする。そして、仕切機構部10は、便器本体部1で受容した汚物及び洗浄水が開口部2aを通って粉砕機構部2に流入すると、開閉蓋15が右側に移動して開口部2aを閉状態にする。
【0025】
粉砕機構部2の下部にはタンク部の一例である圧送タンク3が設けられる。圧送タンク3は、例えば、円筒形状に加工された金属又は樹脂等で構成されていて、その内径が約65mm、その外形が約80mmで形成されている。圧送タンク3の容量は、3〜5リットル程度である。また、圧送タンク3は、コストを削減するために、安価に市販されている塩化ビニル管で形成しても良い。塩化ビニル管は、軽量で取り扱いが容易であり、水密性等に優れている。
【0026】
圧送タンク3は、図2に示すエアーコンプレッサー6に接続されて、このエアーコンプレッサー6によって内部に圧縮空気が充填される。このとき、圧送タンク3内の圧縮空気が逆流しないように、流入口37及び/又は流出口39に設けられた図示しない弁機構により、流入口37及び流出口39が開閉自在なっている。
【0027】
例えば、圧送タンク3の流入口37が開閉自在な構成になっているときに、圧送タンク3は、その内部に汚物流動体を流入する際に流入口37を開状態にする。そして、圧送タンク3は、汚物流動体の流入が完了した際に流入口37を閉状態にすると共に、エアーコンプレッサー6から圧縮空気が充填され、該充填された圧縮空気により汚物流動体を流出口39から圧送する。
【0028】
また、例えば、圧送タンク3の流入口37及び流出口39が開閉自在な構成になっているときに、圧送タンク3は、その内部に汚物流動体を流入する際に流入口37を開状態にすると共に流出口39を閉状態にする。そして、圧送タンク3は、汚物流動体の流入が完了した際に流入口37を閉状態にすると共にエアーコンプレッサー6から圧縮空気が充填され、流出口39を開状態にして、該充填された圧縮空気により汚物流動体を該流出口39から圧送する。
【0029】
上述のように流出口39から圧送された汚物流動体は、介護用トイレ装置100の下後方にある排水口33から備え付けトイレ5に向かって排出される。その他圧送タンク3については、図3乃至図5で詳しく説明する。
【0030】
図2に示すように、介護用トイレ装置100の下後方にはコンセント34が設けられる。従来の介護用トイレ装置は、暖房洗浄便座等の電気により駆動するものを追加するときに、暖房洗浄便座の電源コードが短いと、当該介護用トイレ装置を設置する部屋に設けられたコンセントの位置によって、設置場所が制限されてしまい不便であった。また、複数の電気駆動のものを当該介護用トイレ装置に追加すると、電源コードが何本も部屋を這うようになってしまう。
【0031】
そこで、本発明に係る介護用トイレ装置100ではコンセント34を設けた。これにより、暖房洗浄便座等の電源コードをこのコンセント34に差し込むことで、設置部屋のコンセントの位置に依存されないので当該介護用トイレ装置100の設置場所が制限されることなく、また、当該介護用トイレ装置100を設置した部屋に電源コードが何本も這うようなことを防止することができる。
【0032】
なお、コンセント34は、図2では1つしか設けていないが、これに限定されず、複数設けても構わない。
【0033】
[圧送タンク3の構成例]
次に、圧送タンク3の構成例について説明する。図3乃至図5に示すように、圧送タンク3は、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35及び折曲部36(継手)を有する。圧送タンク3は、傾斜部35及び折曲部36等を組み合わせて、略J字形状を成している。
【0034】
空気送入口38は、J字形状の圧送タンク3の一端に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。空気送入口38は、図2に示したエアーコンプレッサー6に接続されており、エアーコンプレッサー6からの圧縮空気を送入する。これにより、圧送タンク3内に圧縮空気が充填される。
【0035】
流入口37は、空気送入口38近傍に、圧送タンク3の本体上部に設けられる。流入口37は、粉砕機構部2から排出された汚物流動体を流入するものである。
【0036】
流出口39は、J字形状の圧送タンク3の他端に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。流出口39は、図1及び2に示した排水口33に接続されており、流入口37に流入した汚物流動体を排水口33を介して備え付けトイレ5へ流出する。
【0037】
傾斜部35は、流入口37から流出口39に向かって傾斜している部分を有する。この傾斜角度は、適宜設定可能であるが、本実施の形態では数度に設定されている。これにより、流入口37から流入した汚物流動体は、傾斜部35の傾斜により自重で流出口39に向かって流れる。この結果、汚物流動体を流出口39側から貯留することができ、圧縮空気によって汚物流動体を流出口39から効率的に排出させることができる。従って、圧送タンク3内に汚物流動体が残留せず、衛生状態が向上する。
【0038】
折曲部36は、流出口39へ向かう汚物流動体の流路を折曲させるものである。圧送タンクの容量を増加させたい場合には、一般に、圧送タンクの径を大きくする、圧送タンクの長さを長くする、又は、圧送タンクの形状を円筒形状ではなく円柱形状等にする等が考えられる。
【0039】
しかしながら、圧送タンクの径を大きくすると、圧送タンクの高さが高くなり、介護用トイレ装置の全高が高くなり座り難くなってしまう。また、圧送タンクの長さを長くすると介護用トイレ装置の全長が長くなり、設置場所等が制限されてしまう。更に、圧送タンクの形状を角柱形状等にすると、圧縮空気の圧力に耐えるようにするために製造コストが増加してしまう。
【0040】
そこで、本実施の形態に係る圧送タンク3は、折曲部36を設けることにより、圧送タンク3の高さを高くすることなく、圧送タンク3の長さを長くすることなく、また、コストが高い角柱形状を採用することなく、所望の容量を確保しつつ、当該圧送タンク3の設計範囲を広げることができる。これにより、介護用トイレ装置100の全高を低く抑えて、座面高さ座りやすい高さに設計することができる。
【0041】
また、折曲部36により、流路が折曲されると、流動抵抗が増加して、汚物流動体が流動しづらくなるが、圧送タンク3は、上述の傾斜部35を設けているために、汚物流動体をスムーズに流動させることができる。
【0042】
このように、第1の実施の形態に係る介護用トイレ装置100によれば、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3を備える。便器本体部1は、洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と洗浄水とを受容する。粉砕機構部2は、便器本体部1の下部に設けられ、便器本体部1から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する。
【0043】
そして、圧送タンク3は、粉砕機構部2の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部2からの汚物流動体が流入する流入口37と、該流入口37に流入した汚物流動体を備え付けトイレ5へ流出する流出口39と、流入口37から流出口39に向かって傾斜する傾斜部35と、流出口39へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部36とを有する。
【0044】
これにより、圧送タンク3の流入口37から流入した汚物流動体は、傾斜部35の傾斜により自重で流出口39に向かって流れる。そして、圧送タンク3は折曲部36を有しているので、所望の容量を確保しつつ、当該圧送タンク3の設計範囲を広げることができるようになる。この結果、介護用トイレ装置100の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した圧送タンク3の傾斜部35及び折曲部36の数を変更して容量を増加させた圧送タンク3Aについて説明する。第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0046】
図6及び図7に示すように、圧送タンク3Aは、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35及び折曲部36を有する。圧送タンク3Aは、傾斜部35及び折曲部36等を組み合わせて、略M字形状を成している。
【0047】
空気送入口38は、M字形状の圧送タンク3Aの一端(図6では右上)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。流入口37は、空気送入口38近傍に、圧送タンク3Aの本体上部に設けられる。また、流出口39は、M字形状の圧送タンク3Aの他端(図6では右下)に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。
【0048】
このような圧送タンク3AのM字形状により、圧送タンク3Aの容量は、前述した圧送タンク3の容量の約2.5倍に増加している。
【0049】
このように、第2の実施の形態に係る圧送タンク3Aによれば、略M字形状を成しているので、前述した圧送タンク3の容量に比べて増加することができる。そして、圧送タンク3Aの高さは、圧送タンク3の高さと略同じであるので、介護用トイレ装置の座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【0050】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態で説明した折曲部36を変形例であるT字部36aを設けた圧送タンク3Bについて説明する。第1及び第2の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0051】
図8及び図9に示すように、圧送タンク3Bは、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35及び複数の傾斜部35を折曲させて略T字形状を成すように連結するT字部36aを有する。圧送タンク3Bは、傾斜部35及びT字部36a等を組み合わせて、略T字形状を成している。
【0052】
空気送入口38は、T字形状の圧送タンク3Bの端部(図8では右端)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。流入口37は、T字形状の圧送タンク3Bの端部(図8では下端)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。また、流出口39は、T字形状の圧送タンク3Bの端部(図8では左端)に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。
【0053】
このように、第3の実施の形態に係る圧送タンク3Bによれば、傾斜部35やT字部36aにより略T字形状を成しており、前述の圧送タンク3,3Aと同様に、所望の容量を確保しつつ、介護用トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【0054】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態で説明した折曲部36と、第3の実施の形態で説明したT字部36aとを組み合わせた圧送タンク3Cについて説明する。第1乃至第3の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0055】
図10及び図11に示すように、圧送タンク3Cは、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35、折曲部36及びT字部36aを有する。圧送タンク3Cは、傾斜部35、折曲部36及びT字部36a等を組み合わせて、略F字形状を成している。
【0056】
空気送入口38は、F字形状の圧送タンク3Cの端部(図10では右下)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。流入口37は、F字形状の圧送タンク3Cの端部(図10では中央下)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。また、流出口39は、F字形状の圧送タンク3Cの端部(図10では左上)に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。
【0057】
このように、第4の実施の形態に係る圧送タンク3Cによれば、傾斜部35や折曲部36及びT字部36aにより略F字形状を成しており、前述の圧送タンク3,3A,3Bと同様に、所望の容量を確保しつつ、介護用トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・便器本体部、1a・・・便蓋、1b・・・便座、1c・・・流水口、1d・・・上部開口部、1e・・・下部開口部、2・・・粉砕機構部、2a・・・開口部、2b・・・回転歯、2c・・・固定歯、2d・・・筐体、3,3A,3B,3C・・・圧送タンク(タンク部)、4・・・給水タンク、4a・・・給水タンク用電磁弁、4b・・・流量センサ、4c,4e・・・給水管、4d・・・給水弁、5・・・備え付けトイレ(廃棄場所)、6・・・エアーコンプレッサー、10・・・仕切機構部、15・・・開閉蓋、31・・・タンク給水口、32・・・便座給水口、33・・・排水口、34・・・コンセント、35・・・傾斜部、36・・・折曲部、36a・・・T字部、37・・・流入口、38・・・空気送入口、39・・・流出口、100・・・介護用トイレ装置(トイレ装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭や公共施設等に設置される一般的なトイレ装置や、屋外等で簡易的に設置使用されたり、車載用等として使用されたりするポータブルトイレ装置や、介護用のトイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、介護を必要とする人のために、介護用のポータブルトイレ装置が使用されている。このポータブルトイレ装置は、便座に腰を掛ける腰掛式(所謂洋式)の形態が多い。ポータブルトイレ装置は、汚物を受け入れて排出するための容器を備えた形態や、汚物排水を自然流下で行う形態が一般的である。
【0003】
特許文献1には、排水管勾配を得られない場所において、強制的に汚物を排出する手段として攪拌手段及び圧縮空気タンクを備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、便器本体内を密閉状態にして、便器本体内に設けられた攪拌手段により汚物を流動化して汚物流動体にし、便器本体内に圧縮空気タンクからの圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する。
【0004】
特許文献2には、エアーコンプレッサーを備えたトイレ装置が開示されている。このトイレ装置によれば、粉砕装置内を密閉状態にして、粉砕装置により汚物を粉砕して汚物流動体にした後、粉砕装置にエアーコンプレッサーからの圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3985344号
【特許文献2】特開2008−86880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1及び2によれば、便器本体内や粉砕装置内を密閉状態にする必要があり、密閉精度を高める必要があった。更に、圧縮空気の圧力に耐えうるように、便器本体や粉砕装置の強度を高める必要があった。
【0007】
また、上述のように便器本体内や粉砕装置内を密閉状態にするのではなく、粉砕した汚物流動体を一旦タンクに貯留して、このタンクを開閉弁等で密閉した後、当該タンクに圧縮空気を送り込んで汚物流動体を圧送排出する方法がある。このようにすれば、便器本体内や粉砕装置内の強度を高める必要がなくなる。しかしながら、この場合、汚物流動体が貯留可能な容量を有するタンクを便器本体及び粉砕装置の下方に取り付ける必要があるため、トイレ装置の全高が高くなってしまい、当該トイレ装置の座面高さが座り難い高さになる可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題を解決したものであって、トイレ装置の高さを低くして、当該トイレ装置の座面高さを座りやすい高さに設計することができるトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するために、本発明に係るトイレ装置は、洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と洗浄水とを受容する便器本体部と、便器本体部の下部に設けられ、便器本体部から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する粉砕機構部と、粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部からの汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した汚物流動体を廃棄場所へ流出する流出口と、流入口から流出口に向かって傾斜する傾斜部と、流出口へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部とを有するタンク部とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係るトイレ装置によれば、便器本体部、粉砕機構部及びタンク部を備える。便器本体部は、洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と洗浄水とを受容する。粉砕機構部は、便器本体部の下部に設けられ、便器本体部から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する。
【0011】
そして、タンク部は、粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部からの汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した汚物流動体を廃棄場所へ流出する流出口と、流入口から流出口に向かって傾斜する傾斜部と、流出口へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部とを有する。
【0012】
これにより、タンク部の流入口から流入した汚物流動体は、傾斜部の傾斜により自重で流出口に向かって流れる。そして、タンク部は折曲部を有しているので、所望の容量を確保しつつ、当該タンク部の設計範囲を広げることができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るトイレ装置によれば、タンク部の設計範囲を広げることができるので、当該トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る介護用トイレ装置100の構成例を示す側面断面図である。
【図2】介護用トイレ装置100の構成例を示す背面図である。
【図3】圧送タンク3の構成例を示す斜視図である。
【図4】圧送タンク3の構成例を示す平面図である。
【図5】圧送タンク3の構成例を示す側面図である。
【図6】第2の実施の形態に係る圧送タンク3Aの構成例を示す平面図である。
【図7】圧送タンク3Aの構成例を示す側面図である。
【図8】第3の実施の形態に係る圧送タンク3Bの構成例を示す平面図である。
【図9】圧送タンク3Bの構成例を示す側面図である。
【図10】第4の実施の形態に係る圧送タンク3Cの構成例を示す平面図である。
【図11】圧送タンク3Cの構成例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態の一例として、介護用トイレ装置について説明する。介護用トイレ装置は、排泄された汚物や使用済みのトイレットペーパ等を受容する便器本体部の下方に設けられた粉砕機構部で、便器本体部に供給される洗浄水と共に汚物及びトイレットペーパ等を粉砕して排出する、病院の病室や住宅の居間等に設置可能なものである。
【0016】
<第1の実施の形態>
[介護用トイレ装置100の構成例]
最初に、第1の実施の形態に係る介護用トイレ装置100の構成例について説明する。図1及び図2に示すように、介護用トイレ装置100は、便器本体部1、粉砕機構部2、圧送タンク3、給水タンク4及び仕切機構部10で構成される。
【0017】
給水タンク4は、例えば1.5から3リットルの洗浄水を貯える。この洗浄水は、当該介護用トイレ装置100が設置されている部屋とは別の部屋にある廃棄場所の一例である備え付けトイレ5(既設の通常のトイレ)から、介護用トイレ装置100の下後方にあるタンク給水口31等を介して給水される。
【0018】
備え付けトイレ5から給水タンク4へ給水する給水管4cには給水タンク用電磁弁4a及び流量センサ4bが設けられる。給水タンク用電磁弁4aは、図示しない制御部からの指令により開状態になると、備え付けトイレ5からの洗浄水が給水タンク4に給水される。この給水時に給水管4cを流れる洗浄水の流量を流量センサ4bが積算する。洗浄水が所定の流量だけ流れると、流量センサ4bから制御部へ信号を出力して、制御部は、給水タンク用電磁弁4aを閉状態にして給水タンク4への給水を停止させる。このようにして、給水タンク4に所定量の洗浄水が貯えられる。なお、流量センサの代わりに給水管4cに流れる洗浄水の時間を積算するフローセンサを設けても構わない。
【0019】
給水タンク4の下部にある給水口には給水弁4dが設けられる。また、この給水口から便器本体部1の流水口1cに向けて給水管4eが設けられる。給水弁4dが開くと、給水タンク4に貯えられた洗浄水が給水管4eを通って、流水口1cから便器本体部1の内部に流れ込む。給水タンク4に洗浄水を貯めるときには給水弁4dを閉じて、備え付けトイレ5から洗浄水を供給する。
【0020】
便器本体部1の上方には便蓋1a及び便座1bが設けられる。便蓋1aの開閉により介護用トイレ装置100の各種処理が行われる。便座1bには介護用トイレ装置100の下後方にある便座給水口32に繋がる図示しない給水管と接続される。便座給水口32には備え付けトイレ5からの洗浄水が給水されて、便座1bから洗浄水が噴出して当該便座1bに腰掛けたユーザの臀部等を洗浄する。
【0021】
便器本体部1は、例えば陶器で構成され、洗浄水が流入する流水口1cと、上部から汚物を受け入れる上部開口部1dと、下部から洗浄水及び汚物等を排出する下部開口部1eとを有する。便器本体部1は、便蓋1aを開けて便座1bに腰掛けたユーザから排泄された汚物を上部開口部1dにより受容して、この汚物を流水口1cから流水する洗浄水と共に下部開口部1eから排出するものである。
【0022】
便器本体部1の下方には粉砕機構部2が設けられる。粉砕機構部2は、便器本体部1から流出した汚物及び洗浄水が流入する開口部2aを有する。また、粉砕機構部2は、略円盤状を成して回転する回転歯2bと、この回転歯2bの下側に設けられ、略円盤状を成して筐体2dと一体の固定歯2cとを有する。
【0023】
粉砕機構部2は、便器本体部1から流出した汚物及び洗浄水を開口部2aから取り込んで、回転歯2bを図示しないモータにより回転させる。すると、汚物及び洗浄水は、回転歯2bと固定歯2cとの間に流入して、回転歯2bと固定歯2cとの対面しあう凹部及び凸部により粉砕される。この粉砕により、汚物及び洗浄水は汚物流動体となる。
【0024】
便器本体部1と粉砕機構部2との間には仕切機構部10が設けられる。仕切機構部10は、開閉蓋15によって開口部2aを開閉して、汚物及び洗浄水等を粉砕機構部2に流入させる。例えば、仕切機構部10は、ユーザが排泄を済まして便座1bから立ち上がり、便蓋1aを閉じると、開閉蓋15が図1では左側に移動して開口部2aを開状態にする。そして、仕切機構部10は、便器本体部1で受容した汚物及び洗浄水が開口部2aを通って粉砕機構部2に流入すると、開閉蓋15が右側に移動して開口部2aを閉状態にする。
【0025】
粉砕機構部2の下部にはタンク部の一例である圧送タンク3が設けられる。圧送タンク3は、例えば、円筒形状に加工された金属又は樹脂等で構成されていて、その内径が約65mm、その外形が約80mmで形成されている。圧送タンク3の容量は、3〜5リットル程度である。また、圧送タンク3は、コストを削減するために、安価に市販されている塩化ビニル管で形成しても良い。塩化ビニル管は、軽量で取り扱いが容易であり、水密性等に優れている。
【0026】
圧送タンク3は、図2に示すエアーコンプレッサー6に接続されて、このエアーコンプレッサー6によって内部に圧縮空気が充填される。このとき、圧送タンク3内の圧縮空気が逆流しないように、流入口37及び/又は流出口39に設けられた図示しない弁機構により、流入口37及び流出口39が開閉自在なっている。
【0027】
例えば、圧送タンク3の流入口37が開閉自在な構成になっているときに、圧送タンク3は、その内部に汚物流動体を流入する際に流入口37を開状態にする。そして、圧送タンク3は、汚物流動体の流入が完了した際に流入口37を閉状態にすると共に、エアーコンプレッサー6から圧縮空気が充填され、該充填された圧縮空気により汚物流動体を流出口39から圧送する。
【0028】
また、例えば、圧送タンク3の流入口37及び流出口39が開閉自在な構成になっているときに、圧送タンク3は、その内部に汚物流動体を流入する際に流入口37を開状態にすると共に流出口39を閉状態にする。そして、圧送タンク3は、汚物流動体の流入が完了した際に流入口37を閉状態にすると共にエアーコンプレッサー6から圧縮空気が充填され、流出口39を開状態にして、該充填された圧縮空気により汚物流動体を該流出口39から圧送する。
【0029】
上述のように流出口39から圧送された汚物流動体は、介護用トイレ装置100の下後方にある排水口33から備え付けトイレ5に向かって排出される。その他圧送タンク3については、図3乃至図5で詳しく説明する。
【0030】
図2に示すように、介護用トイレ装置100の下後方にはコンセント34が設けられる。従来の介護用トイレ装置は、暖房洗浄便座等の電気により駆動するものを追加するときに、暖房洗浄便座の電源コードが短いと、当該介護用トイレ装置を設置する部屋に設けられたコンセントの位置によって、設置場所が制限されてしまい不便であった。また、複数の電気駆動のものを当該介護用トイレ装置に追加すると、電源コードが何本も部屋を這うようになってしまう。
【0031】
そこで、本発明に係る介護用トイレ装置100ではコンセント34を設けた。これにより、暖房洗浄便座等の電源コードをこのコンセント34に差し込むことで、設置部屋のコンセントの位置に依存されないので当該介護用トイレ装置100の設置場所が制限されることなく、また、当該介護用トイレ装置100を設置した部屋に電源コードが何本も這うようなことを防止することができる。
【0032】
なお、コンセント34は、図2では1つしか設けていないが、これに限定されず、複数設けても構わない。
【0033】
[圧送タンク3の構成例]
次に、圧送タンク3の構成例について説明する。図3乃至図5に示すように、圧送タンク3は、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35及び折曲部36(継手)を有する。圧送タンク3は、傾斜部35及び折曲部36等を組み合わせて、略J字形状を成している。
【0034】
空気送入口38は、J字形状の圧送タンク3の一端に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。空気送入口38は、図2に示したエアーコンプレッサー6に接続されており、エアーコンプレッサー6からの圧縮空気を送入する。これにより、圧送タンク3内に圧縮空気が充填される。
【0035】
流入口37は、空気送入口38近傍に、圧送タンク3の本体上部に設けられる。流入口37は、粉砕機構部2から排出された汚物流動体を流入するものである。
【0036】
流出口39は、J字形状の圧送タンク3の他端に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。流出口39は、図1及び2に示した排水口33に接続されており、流入口37に流入した汚物流動体を排水口33を介して備え付けトイレ5へ流出する。
【0037】
傾斜部35は、流入口37から流出口39に向かって傾斜している部分を有する。この傾斜角度は、適宜設定可能であるが、本実施の形態では数度に設定されている。これにより、流入口37から流入した汚物流動体は、傾斜部35の傾斜により自重で流出口39に向かって流れる。この結果、汚物流動体を流出口39側から貯留することができ、圧縮空気によって汚物流動体を流出口39から効率的に排出させることができる。従って、圧送タンク3内に汚物流動体が残留せず、衛生状態が向上する。
【0038】
折曲部36は、流出口39へ向かう汚物流動体の流路を折曲させるものである。圧送タンクの容量を増加させたい場合には、一般に、圧送タンクの径を大きくする、圧送タンクの長さを長くする、又は、圧送タンクの形状を円筒形状ではなく円柱形状等にする等が考えられる。
【0039】
しかしながら、圧送タンクの径を大きくすると、圧送タンクの高さが高くなり、介護用トイレ装置の全高が高くなり座り難くなってしまう。また、圧送タンクの長さを長くすると介護用トイレ装置の全長が長くなり、設置場所等が制限されてしまう。更に、圧送タンクの形状を角柱形状等にすると、圧縮空気の圧力に耐えるようにするために製造コストが増加してしまう。
【0040】
そこで、本実施の形態に係る圧送タンク3は、折曲部36を設けることにより、圧送タンク3の高さを高くすることなく、圧送タンク3の長さを長くすることなく、また、コストが高い角柱形状を採用することなく、所望の容量を確保しつつ、当該圧送タンク3の設計範囲を広げることができる。これにより、介護用トイレ装置100の全高を低く抑えて、座面高さ座りやすい高さに設計することができる。
【0041】
また、折曲部36により、流路が折曲されると、流動抵抗が増加して、汚物流動体が流動しづらくなるが、圧送タンク3は、上述の傾斜部35を設けているために、汚物流動体をスムーズに流動させることができる。
【0042】
このように、第1の実施の形態に係る介護用トイレ装置100によれば、便器本体部1、粉砕機構部2及び圧送タンク3を備える。便器本体部1は、洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と洗浄水とを受容する。粉砕機構部2は、便器本体部1の下部に設けられ、便器本体部1から流出した汚物を粉砕して洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する。
【0043】
そして、圧送タンク3は、粉砕機構部2の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、粉砕機構部2からの汚物流動体が流入する流入口37と、該流入口37に流入した汚物流動体を備え付けトイレ5へ流出する流出口39と、流入口37から流出口39に向かって傾斜する傾斜部35と、流出口39へ向かう汚物流動体の流路を折曲させる折曲部36とを有する。
【0044】
これにより、圧送タンク3の流入口37から流入した汚物流動体は、傾斜部35の傾斜により自重で流出口39に向かって流れる。そして、圧送タンク3は折曲部36を有しているので、所望の容量を確保しつつ、当該圧送タンク3の設計範囲を広げることができるようになる。この結果、介護用トイレ装置100の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した圧送タンク3の傾斜部35及び折曲部36の数を変更して容量を増加させた圧送タンク3Aについて説明する。第1の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0046】
図6及び図7に示すように、圧送タンク3Aは、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35及び折曲部36を有する。圧送タンク3Aは、傾斜部35及び折曲部36等を組み合わせて、略M字形状を成している。
【0047】
空気送入口38は、M字形状の圧送タンク3Aの一端(図6では右上)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。流入口37は、空気送入口38近傍に、圧送タンク3Aの本体上部に設けられる。また、流出口39は、M字形状の圧送タンク3Aの他端(図6では右下)に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。
【0048】
このような圧送タンク3AのM字形状により、圧送タンク3Aの容量は、前述した圧送タンク3の容量の約2.5倍に増加している。
【0049】
このように、第2の実施の形態に係る圧送タンク3Aによれば、略M字形状を成しているので、前述した圧送タンク3の容量に比べて増加することができる。そして、圧送タンク3Aの高さは、圧送タンク3の高さと略同じであるので、介護用トイレ装置の座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【0050】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態で説明した折曲部36を変形例であるT字部36aを設けた圧送タンク3Bについて説明する。第1及び第2の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0051】
図8及び図9に示すように、圧送タンク3Bは、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35及び複数の傾斜部35を折曲させて略T字形状を成すように連結するT字部36aを有する。圧送タンク3Bは、傾斜部35及びT字部36a等を組み合わせて、略T字形状を成している。
【0052】
空気送入口38は、T字形状の圧送タンク3Bの端部(図8では右端)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。流入口37は、T字形状の圧送タンク3Bの端部(図8では下端)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。また、流出口39は、T字形状の圧送タンク3Bの端部(図8では左端)に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。
【0053】
このように、第3の実施の形態に係る圧送タンク3Bによれば、傾斜部35やT字部36aにより略T字形状を成しており、前述の圧送タンク3,3Aと同様に、所望の容量を確保しつつ、介護用トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【0054】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、第1及び第2の実施の形態で説明した折曲部36と、第3の実施の形態で説明したT字部36aとを組み合わせた圧送タンク3Cについて説明する。第1乃至第3の実施の形態と同じ名称及び符号のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。
【0055】
図10及び図11に示すように、圧送タンク3Cは、流入口37、空気送入口38、流出口39、傾斜部35、折曲部36及びT字部36aを有する。圧送タンク3Cは、傾斜部35、折曲部36及びT字部36a等を組み合わせて、略F字形状を成している。
【0056】
空気送入口38は、F字形状の圧送タンク3Cの端部(図10では右下)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。流入口37は、F字形状の圧送タンク3Cの端部(図10では中央下)に設けられ、かつ、本体上部に設けられる。また、流出口39は、F字形状の圧送タンク3Cの端部(図10では左上)に設けられ、かつ、本体下部に設けられる。
【0057】
このように、第4の実施の形態に係る圧送タンク3Cによれば、傾斜部35や折曲部36及びT字部36aにより略F字形状を成しており、前述の圧送タンク3,3A,3Bと同様に、所望の容量を確保しつつ、介護用トイレ装置の全高を低く抑えて、座面高さを座りやすい高さに設計することができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・便器本体部、1a・・・便蓋、1b・・・便座、1c・・・流水口、1d・・・上部開口部、1e・・・下部開口部、2・・・粉砕機構部、2a・・・開口部、2b・・・回転歯、2c・・・固定歯、2d・・・筐体、3,3A,3B,3C・・・圧送タンク(タンク部)、4・・・給水タンク、4a・・・給水タンク用電磁弁、4b・・・流量センサ、4c,4e・・・給水管、4d・・・給水弁、5・・・備え付けトイレ(廃棄場所)、6・・・エアーコンプレッサー、10・・・仕切機構部、15・・・開閉蓋、31・・・タンク給水口、32・・・便座給水口、33・・・排水口、34・・・コンセント、35・・・傾斜部、36・・・折曲部、36a・・・T字部、37・・・流入口、38・・・空気送入口、39・・・流出口、100・・・介護用トイレ装置(トイレ装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と前記洗浄水とを受容する便器本体部と、
前記便器本体部の下部に設けられ、前記便器本体部から流出した前記汚物を粉砕して前記洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する粉砕機構部と、
前記粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、前記粉砕機構部からの前記汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した前記汚物流動体を廃棄場所へ流出する流出口と、前記流入口から前記流出口に向かって傾斜する傾斜部と、前記流出口へ向かう前記汚物流動体の流路を折曲させる折曲部とを有するタンク部とを備えることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記タンク部の流入口は開閉自在な構成とし、
前記タンク部は、
当該タンク部の内部に前記汚物流動体を流入する際に前記流入口を開状態にし、
前記汚物流動体の流入が完了した際に前記流入口を閉状態にすると共に前記圧縮空気が充填され、該充填された圧縮空気により前記汚物流動体を前記流出口から圧送することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記タンク部の流入口及び流出口は開閉自在な構成とし、
前記タンク部は、
当該タンク部の内部に前記汚物流動体を流入する際に前記流入口を開状態にすると共に前記流出口を閉状態にし、
前記汚物流動体の流入が完了した際に前記流入口を閉状態にすると共に前記圧縮空気が充填され、前記流出口を開状態にして、該充填された圧縮空気により前記汚物流動体を該流出口から圧送することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項1】
洗浄水が流入可能で、排泄された汚物と前記洗浄水とを受容する便器本体部と、
前記便器本体部の下部に設けられ、前記便器本体部から流出した前記汚物を粉砕して前記洗浄水と共に汚物流動体と成して流下する粉砕機構部と、
前記粉砕機構部の下部に、圧縮空気を充填可能に設けられ、前記粉砕機構部からの前記汚物流動体が流入する流入口と、該流入口に流入した前記汚物流動体を廃棄場所へ流出する流出口と、前記流入口から前記流出口に向かって傾斜する傾斜部と、前記流出口へ向かう前記汚物流動体の流路を折曲させる折曲部とを有するタンク部とを備えることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記タンク部の流入口は開閉自在な構成とし、
前記タンク部は、
当該タンク部の内部に前記汚物流動体を流入する際に前記流入口を開状態にし、
前記汚物流動体の流入が完了した際に前記流入口を閉状態にすると共に前記圧縮空気が充填され、該充填された圧縮空気により前記汚物流動体を前記流出口から圧送することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記タンク部の流入口及び流出口は開閉自在な構成とし、
前記タンク部は、
当該タンク部の内部に前記汚物流動体を流入する際に前記流入口を開状態にすると共に前記流出口を閉状態にし、
前記汚物流動体の流入が完了した際に前記流入口を閉状態にすると共に前記圧縮空気が充填され、前記流出口を開状態にして、該充填された圧縮空気により前記汚物流動体を該流出口から圧送することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−36687(P2012−36687A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179846(P2010−179846)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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