説明

トゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法及びトゲのないワイヤロープの玉掛索

【課題】 トゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法及びトゲのないワイヤロープの玉掛索を提供する。
【解決手段】 本発明のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、かご差しの第1編み込み工程と、細束ストランド形成工程と、第1細束切断工程と、第1細束先端押込み工程と、第1半差し編み込み工程と、第2細束切断工程と、第2細束先端押込み工程とよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワイヤロープの端部側を輪状に丸く折り曲げてその折り曲げた端部の自由端をワイヤロープに連設固定してワイヤロープの先端にループ状の玉掛索を形成するトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法及びトゲのないワイヤロープの玉掛索に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製のワイヤロープは、数本ごとに金属素線を撚って形成したストランドという素線の束を更に多数撚ってロープとなるように構成している。
【0003】
そして、かかるワイヤロープを突起物に係合するためにはワイヤロープの先端に輪状のループ部を形成してこのループ部を突起物に係合する。
【0004】
従って、金属ワイヤロープの先端にはかかるループ部を形成して使用されることが多く、このループ形状を玉掛索と言っている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようにループ部の玉掛索を形成する方法としては、まず、曲げられたワイヤロープの自由端をストランドの束毎に、すなわち、数本の金属素線を撚って形成した金属束毎にばらばらに解舒する。
【0006】
次いで、ワイヤロープのループ基端とすべき位置において鋭利なスパイキと呼ばれる針部材で撚られた各束ストランドの間に隙間をこじ開けて先ほどのばらばらにしたストランドのうちの一束目のストランドを差し込んで隙間から挿通する。
【0007】
このようにして、ばらばらにした各束ストランドを同じ様にして撚りストランドの異なる隙間に通していき、最終的には、すべてのばらばらにした各ストランドの自由端を、ワイヤロープのループ基端となるべき位置において形成されたストランド間隙に挿通する。これを数回繰り返すことを丸差し作業と称する。
【0008】
かかる丸差し作業が行われた後に間隙を挿通して突出した各束ストランド先端部を更に2組の細束に分岐し、その1組目の細束ストランドはワイヤロープ表面から所望の長さで切断すると共に、切断しない他の組の細束ストランドはそれぞれ異なるストランド間隙に挿通する。これを数回繰り返すことを半差し作業と称する。
【0009】
このようにして数回のストランド挿通作業を完了し間隙から突出した自由端を切断していくことによりワイヤロープのループ基端の連設固定作業を完了しループ状の玉掛索が出来上がる(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
すなわち、従来の手編み玉掛索の製作に使用されるワイヤロープは、心綱とその周囲に6組のストランドを六角状に配しこれを螺旋状に撚り込んで作られており、また、各ストランドは、内部側を構成する複数のワイヤ素線の束とから構成されている。
【0011】
一般に、ワイヤロープを用いて手編み玉掛索を製作する場合において、ワイヤロープの先端を折り返してループ状とする所謂アイ加工では、法規で定められた基準を守って、例えば、かご差しや巻差しなどと呼ばれる特定の編み込み方法を用いて作られる。
【0012】
折り返した先端側をワイヤロープを構成する6組の束ストランドと心綱とをバラバラに分け、先端部分が折り返される基側、すなわち、ループ部基端となるべき位置において撚り込まれた各撚りストランドの間に決められた順序で各ばらばらにした束ストランドの先端を通し決まった間から抜き出す。
【0013】
ループ部基端においてワイヤロープの本線表面から抜き出た6組のばらばらにした束ストランドの先端側を、編み込み方法の種類によって決まった順序で、撚りストランドの特定の間から通して、別の特定の間から抜き出す作業を最低3回以上繰り返す。
【0014】
3回以上繰り返した後、本線の表面から外部に出ている6組のばらばらの各ストランドの先端側を、各組毎に更に外層線の細束ストランドと内層線の細束ストランドとにそれぞれ識別して、二つの組に細分化し12組の細束ストランド先端自由端部を形成し、ワイヤロープの表面から外部に出ている6組の各内層線の細束ストランドのみをワイヤロープの表面位置で切断する。
【0015】
また、切断しなかった6組の各外層線の細束を前記の編み込み方法の種類に決まっている順序で、ワイヤロープの螺旋状に撚り込まれたストランドの特定の間から通して、別の特定の間から抜き出す作業を最低2回以上繰り返す(これを「半差し作業」という)。その後、ワイヤロープの表面から外部に出ている6組の各外層線の細束ストランドをワイヤロープの表面位置で切断する。
【0016】
なお、各束ストランド又は各外層線の細束ストランドをどの間から通して他のどの間から抜き出すかのこれらの作業手順は、編み込み方法の種類で決まっている。また、各工程の途中ではワイヤロープ表面はハンマで軽く均される。
【0017】
従来はこのような方法によりワイヤロープを用いて手編み玉掛索が作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2006−291387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、従来の一般的な玉掛索の形成作業では、ワイヤロープの表面位置で切断された各内層線や各外層線の細束ストランドは、複数の強度のあるワイヤ素線の集まりであるため、その切断部分の所謂トゲは鋭利になっており、トゲに手が直接触ると手の表面を切ったりして非常に危険である。しかも、トゲの箇所は6個の細束の内層線で6箇所、6個の細束の外層線も6箇所あり、分岐した12個の細束ストランドにより合計12箇所のトゲの箇所がワイヤロープの本線表面に分散しており、このため、ワイヤロープのループ部基端表面を掴む場合には手袋をはめないと危険であった。
【0020】
また、従来の手編み玉掛索においては、内層線及び外層線の細束は当初は本線表面のぎりぎりの位置で切断されているが、トゲの箇所が分散されている本線部分を何回も折り曲げたりするうちに、トゲが本線表面から次第に一部突出し、突出するトゲは場合によっては手袋を裂いて手を切ることもあり、非常に危険であった。
【0021】
このように玉掛索における最大の問題は、ばらばらにした複数の束ストランドの自由端をスパイキで形成した撚りストランドの間隙から挿通して引出し先端を切断するため、ワイヤロープ周面から切断部分が突出し作業中に解舒ストランドの切断部分先端が鋭利となり作業中に作業員がケガするという危険があり、更には、最終的に完成した玉掛索のループ基端にストランドの切断自由端が突出しているためワイヤロープの玉掛索を使用する使用者にも非常に危険であったということにある。
【0022】
例えば、ストランドの突出自由端がワイヤロープ周面から突出しないような玉掛索の形成方法が特許文献1に記載されている。
【0023】
すなわち、手編み玉掛索の本線表面に現れる所謂トゲと呼ばれるワイヤ素線の切断端面がワイヤロープの表面に現れないようにして、手編み玉掛索の本線の表面に現れる切断端面の所謂トゲによって手が切れたりするのを確実に防いで安全性を高めることのできる手編み玉掛索の製作法が出願されている(特許文献1)。
【0024】
かかる特許文献1に記載された玉掛索の製造方法は、束ストランドの切断先端、いわゆるトゲがワイヤロープ周面から突出しないようにワイヤロープの中心部に形成された芯部空隙に押込む技術が開示されているが、ワイヤロープの玉掛索の使用中に徐々に押込まれたトゲが撚りストランドの間からワイヤロープ周面に突出するおそれがあった。その原因は、差し込まれる束ストランドがワイヤロープの撚りに対して常に一定の撚り方向、例えば、逆の方向のかご差し方法を半差し後に1回のみ差し込んで編み込むためであり、撚りストランドと差し込まれた束ストランドによる編み込みにより形成される芯部空隙が弛緩してワイヤロープ周面にまで出てきて、閉塞空間にできないことによると考えられる。
【0025】
そこで、本願の発明者は、玉掛索のループ基端に最後に挿通したストランドの自由端がワイヤロープの使用中に徐々に表面から突出しないようにしてワイヤロープの使用者の安全を確保できるトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法を開発した。
【0026】
すなわち、本願発明は、ループ基端のワイヤロープ表面にストランドの自由端が突出することなく一定の品質を維持しながら端部側に玉掛索を形成したワイヤロープを製作することのできるワイヤロープの玉掛索製造方法及びトゲのないワイヤロープの玉掛索を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ワイヤロープのループ部基端とすべき位置において、撚られた各ストランドの間に6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1編み込み工程と、第1編み込み工程終了後に、突出した6組の各束ストランドの先端を更にそれぞれ2組の細束に分別して第1細束と第2細束とした12組の細束ストランドを形成する細束ストランド形成工程と、細束ストランド形成工程終了後に、第1細束よりなる6組の細束ストランドの突出先端を切断する第1細束切断工程と、第1細束切断工程終了後に、切断した第1細束である6組の細束ストランドの先端をワイヤロープの撚り束ストランドの中心に形成された芯部領域中心に押込む第1細束先端押込み工程と、第1細束先端押込み工程終了後に、第2細束よりなる6組の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1半差し編み込み工程と、第1半差し編み込み工程終了後に、突出した第2細束たる6組の各細束ストランドの突出先端を切断する第2細束切断工程と、第2細束切断工程終了後に、切断した第2細束たる6組の細束ストランドの先端を、ワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む第2細束先端押込み工程とよりなるトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0028】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、第1編み込み工程には、撚られた各ストランドの間に差し込んだ前記6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と同じ方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業を行う巻差しを行う工程を含むトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0029】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1編み込み工程の前に、予め折り曲げられたワイヤロープ本体の自由端をストランド毎にばらばらに解舒してワイヤロープ先端部分に6組の束ストランドを形成する束ストランド形成工程と、その後、6組の束ストランドを2組に分けて第1組束ストランドと第2組束ストランドとし、第1組束ストランドは、ワイヤロープの撚り方向に差し込み、第2組束ストランドはワイヤロープの撚り方向と逆方向に差し込む準備差し込み工程を設けたトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0030】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の発明において、第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行うトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、第1半差し編み込み工程の後に、第2細束を第3細束と第4細束の2組に分けて、第3細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込むと共に、第4細束の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程と、第2半差し編み込み工程の後に、第4細束を第5細束と第6細束の2組に分け、第5細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込むと共に、第6細束をワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程と、第3半差し編み込み工程の後に、第6細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程よりなるトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0032】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明において、前記第1細束は各束ストランドを形成している内層線とし、前記第2細束から前記第6細束は各束ストランドを形成している外層線としてなるトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0033】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5の何れか1項に記載の発明において、前記第1細束は各束ストランドを形成している外層線とし、前記第2細束から前記第6細束は各束ストランドを形成している内層線としてなるトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法とした。
【0034】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか1項に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法により製造したトゲのないワイヤロープの玉掛索とした。
【発明の効果】
【0035】
請求項1に記載の発明によれば、ワイヤロープのループ部基端とすべき位置において、撚られた各ストランドの間に6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1編み込み工程と、第1編み込み工程終了後に、突出した6組の各束ストランドの先端を更にそれぞれ2組の細束に分別して第1細束と第2細束とした12組の細束ストランドを形成する細束ストランド形成工程と、細束ストランド形成工程終了後に、第1細束よりなる6組の細束ストランドの突出先端を切断する第1細束切断工程と、第1細束切断工程終了後に、切断した第1細束である6組の細束ストランドの先端をワイヤロープの撚り束ストランドの中心に形成された芯部領域中心に押込む第1細束先端押込み工程と、第1細束先端押込み工程終了後に、第2細束よりなる6組の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1半差し編み込み工程と、第1半差し編み込み工程終了後に、突出した第2細束たる6組の各細束ストランドの突出先端を切断する第2細束切断工程と、第2細束切断工程終了後に、切断した第2細束たる6組の細束ストランドの先端を、ワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む第2細束先端押込み工程とよりなることとした。
従って、束ストランドや細束ストランドのかご差しの編み込みにより、ワイヤロープの芯部領域中に押込んだ束ストランドや細束ストランドの切断先端部を格納するための、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向に交差したかご差し状態で束ストランドや細束ストランドが編み込まれて編込み収納部を形成することになる。
すなわち、網目状になって交差した束ストランドや細束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、束ストランドや細束ストランドのストランド切断先端部たるトゲを包み込んでワイヤロープの外部に突出できないように封止することができる効果がある。
そして、ワイヤロープの玉掛索として使用時に引張り応力が掛かると、網目状になって交差した束ストランドや細束ストランドが縮小することで、引張り応力が大きいほど網目がより緊密に小さくなり、すなわち、間隙のない円周状の側壁いわゆる編込み収納部を形成した状態となるため、編込み収納部における芯部領域の空隙に束ストランドや細束ストランドのストランド切断先端部たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように完全に封入することができる効果がある。
【0036】
請求項2に記載の発明によれば、第1編み込み工程には、撚られた各ストランドの間に差し込んだ前記6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と同じ方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業を行う巻差しを行う工程を含むものである。
従って、第1編み込み工程において、各束ストランドの巻差しの編み込みがなされ、更に、異なる編み込みとしての束ストランドのかご差しの編み込みがなされることにより、ワイヤロープの撚られた各ストランドに強固な編み込みが行われる。その後の第1細束先端押込み工程における切断した第1細束である6組の細束ストランドの先端をワイヤロープの撚り束ストランドの中心に形成された芯部領域中心に押込んだトゲのないワイヤロープの玉掛索が製造される。
そして、ワイヤロープの玉掛索として使用時に引張り応力が掛かると、束ストランドとワイヤロープの撚られた各ストランドとが巻差しとかご差しとの2種類の編み込みによって強固に編み込まれていることにより、ワイヤロープの撚り束ストランドの中心の芯部領域中から第1細束である6組の細束ストランドの先端が再突出することなく、完全に封入することができる効果がある。
【0037】
請求項3に記載の発明によれば、前記第1編み込み工程の前に、予め折り曲げられたワイヤロープ本体の自由端をストランド毎にばらばらに解舒してワイヤロープ先端部分に6組の束ストランドを形成する束ストランド形成工程と、その後、6組の束ストランドを2組に分けて第1組束ストランドと第2組束ストランドとし、第1組束ストランドは、ワイヤロープの撚り方向に差し込み、第2組束ストランドはワイヤロープの撚り方向と逆方向に差し込む準備差し込み工程を設けたものである。
従って、束ストランド形成工程や準備差し込み工程の作業がなされることになり、その後の第1編み込み工程によるワイヤロープの撚られた各ストランドに強固な編み込み作業を手際よく行うことができる効果がある。更に、その後の各工程の作業を行うことで、トゲのないワイヤロープの玉掛索を製造することができる。
【0038】
請求項4に記載の発明によれば、第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域中に押込む最終細束先端押込み工程を行うものである。
従って、複数回の細束ストランドの編み込みにより、ワイヤロープの芯部領域中に押込んだ細束ストランドの最終細束先端を格納するための、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向に交差したかご差し状態で細束ストランドが編み込まれて編込み収納部を形成することになる。
すなわち、網目状になって交差した細束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、最終細束先端たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように封止することができる効果がある。
そして、ワイヤロープの玉掛索として使用時に引張り応力が掛かると、網目状に交差した細束ストランドが縮小することで、引張り応力が大きいほど網目がより緊密に小さくなり、間隙のない円周状の側壁いわゆる編込み収納部を形成した状態となるため、編込み収納部における芯部領域の空隙に最終細束先端たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように完全に封入することができる効果がある。
【0039】
請求項5に記載の発明によれば、第1半差し編み込み工程の後に、第2細束を第3細束と第4細束の2組に分けて、第3細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域中に押込むと共に、第4細束の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程と、第2半差し編み込み工程の後に、第4細束を第5細束と第6細束の2組に分け、第5細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域中に押込むと共に、第6細束をワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程と、第3半差し編み込み工程の後に、第6細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域中に押込む最終細束先端押込み工程よりなるものである。
従って、第1細束から第6細束は、かご差しの半差し作業と段落し作業が交互に行われており、ワイヤロープの芯部領域中に押込む第1細束、第3細束、第5細束、第6細束の各切断先端部を徐々に細く形成できると共に、第2細束、第4細束、第6細束によるかご差しの編み込みがなされるために、ワイヤロープの芯部領域中に押込んだ第1細束、第3細束、第5細束、第6細束の切断先端部を格納した際、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向に交差した状態で第2細束、第4細束、第6細束による細束ストランドが編み込まれて編込み収納部を形成することになる。
すなわち、網目状になって交差した第2細束、第4細束、第6細束による細束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、第1細束、第3細束、第5細束、第6細束のストランド切断先端部たるトゲを包み込んでワイヤロープの外部に突出できないように封止することができる効果がある。
そして、ワイヤロープの玉掛索として使用時に引張り応力が掛かると、網目状になって交差した第2細束、第4細束、第6細束による細束ストランドが縮小することで、引張り応力が大きいほど網目がより緊密に小さくなり、間隙のない円周状の側壁いわゆる編込み収納部を形成した状態となるため、編込み収納部における芯部領域の空隙にストランド切断先端部たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように完全に封入することができる効果がある。
【0040】
請求項6に記載の発明によれば、その後、内層線と外層線とに分別した後の外層線は、第1半差し編み込み工程において、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向で撚りストランド間に挿通して編み込んでいくものである。
従って、外層線の細束ストランドのかご差しの編み込みがなされることになり、ワイヤロープの芯部領域中に押込んだ外層線の細束ストランドの切断先端部を格納した場合、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向に交差した状態で細束ストランドが編み込まれて編込み収納部を形成することになる。
すなわち、網目状になって交差した外層線の細束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、ストランド切断先端部たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように封止することができる効果がある。
そして、ワイヤロープの玉掛索として使用時に引張り応力が掛かると、網目状になって交差した外層線の細束ストランドが縮小することで、引張り応力が大きいほど網目がより緊密に小さくなり、間隙のない円周状の側壁いわゆる編込み収納部を形成した状態となるため、編込み収納部における芯部領域の空隙にストランド切断先端部たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように完全に封入することができる効果がある。
【0041】
請求項7に記載の発明によれば、その後、内層線と外層線とに分別した後の内層線は、第1半差し編み込み工程において、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向で撚りストランド間に挿通して編み込んでいくものである。
従って、内層線の細束ストランドの編み込みにより、ワイヤロープの芯部領域中に押込んだ内層線の細束ストランドの切断先端部を格納するための、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向に交差した状態で内層線の細束ストランドが編み込まれて編込み収納部を形成することになる。
すなわち、網目状になって交差した内層線の細束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、ストランド切断先端部たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように封止することができる効果がある。
そして、ワイヤロープの玉掛索として使用時に引張り応力が掛かると、網目状になって交差した内層線の細束ストランドが縮小することで、引張り応力が大きいほど網目がより緊密に小さくなり、間隙のない円周状の側壁いわゆる編込み収納部を形成した状態となるため、編込み収納部における芯部領域の空隙にストランド切断先端部たるトゲを封じ込めてワイヤロープの外部に突出できないように完全に封入することができる効果がある。
【0042】
請求項8に記載の発明によれば、トゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法により製造したトゲのないワイヤロープの玉掛索であるため、心綱と共にストランドの自由端も芯部空隙中に戻すことになり、芯部が心綱と鋼線の芯とで構成され、ワイヤロープの表面にストランドの切断部分が突出することなく、しかも、芯部の空洞部分を埋めることになり、使用時の安全性と共にワイヤロープの鋼性及び強度を飛躍的に向上しうる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】ワイヤロープの端部を示す分解斜視図である。
【図2】束ストランドをワイヤロープの撚りストランド間に通し抜き出す準備作業工程を示す図である。
【図3】第1実施形態における巻差しの第1編み込み工程を示す図である。
【図4】第1実施形態におけるかご差しの第1編み込み工程を示す図である。
【図5】(a)第1実施形態におけるかご差しの第1半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図6】(a)第1実施形態におけるかご差しの第2半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図7】(a)第1実施形態におけるかご差しの第3半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図8】第1実施形態における第2細束先端押込み工程を示す図である。
【図9】変形における巻差しの第1編み込み工程を示す図である。
【図10】他の準備作業工程を示す図である。
【図11】(a)第2実施形態におけるかご差しの第1半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図12】(a)第2実施形態におけるかご差しの第2半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図13】(a)第2実施形態におけるかご差しの第3半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図14】第2実施形態における第2細束先端押込み工程を示す図である。
【図15】(a)第3実施形態におけるかご差しの第1半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図16】(a)第3実施形態におけるかご差しの第2半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図17】(a)第3実施形態におけるかご差しの第3半差し編み込み工程を示す図である。(b)分割した細束ストランドの状態を示す説明図である。
【図18】第3実施形態における第2細束先端押込み工程を示す図である。
【図19】変形例1における巻差しの第1編み込み工程の終了後の状態を示す図である。
【図20】変形例1におけるかご差しの第1半差し編み込み工程を示す図である。
【図21】変形例1におけるかご差しの第2半差し編み込み工程を示す図である。
【図22】変形例1における第2細束先端押込み工程を示す図である。
【図23】変形におけるかご差しの第1編み込み工程を示す図である。
【図24】かご差し作業終了後のワイヤロープと細束ストランドの状態を示す斜視図である。
【図25】1本の束ストランドを内外層線に分けた状態を示す斜視図である。
【図26】ワイヤロープの心綱にスパイキを差し入れた状態を示す斜視図である。
【図27】1組の細束ストランドをワイヤロープの本線に収納する状態を示す斜視図である。
【図28】本ワイヤロープ玉掛索製造方法で製造したトゲのない玉掛ワイヤロープを示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
一般に、ワイヤロープを用いて手編み玉掛索を製作する方法として以下の技術が知られている。即ち、「巻差し方法」と「かご差し方法」が用いられる。このうち、「巻差し方法」は、ワイヤロープの先端をストランドの単位にばらばらに解舒して、そのストランドをワイヤロープの撚りストランドの間に通して、ワイヤロープの撚り方向と「同方向」に巻いていく方法である。
【0045】
「かご差し方法」は、ワイヤロープの先端をストランドの単位に解舒して、その束ストランドをワイヤロープの撚りストランドの間に通して、ワイヤロープの撚り方向と「反対方向」に巻いていく方法である。
【0046】
このように巻差し方法とかご差し方法とは、ワイヤロープの撚り方向と同一か反対かによって区別する。
【0047】
これら巻差し及びかご差しの作業を用いることで、後述する本発明のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法を行なうこととなる。
【0048】
(1)本発明のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、ワイヤロープのループ部基端とすべき位置において、撚られた各ストランドの間に6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1編み込み工程と、第1編み込み工程終了後に、突出した6組の各束ストランドの先端を更にそれぞれ2組の細束に分別して第1細束と第2細束とした12組の細束ストランドを形成する細束ストランド形成工程と、細束ストランド形成工程終了後に、第1細束よりなる6組の細束ストランドの突出先端を切断する第1細束切断工程と、第1細束切断工程終了後に、切断した第1細束である6組の細束ストランドの先端をワイヤロープの撚り束ストランドの中心に形成された芯部領域中心に押込む第1細束先端押込み工程と、第1細束先端押込み工程終了後に、第2細束よりなる6組の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1半差し編み込み工程と、第1半差し編み込み工程終了後に、突出した第2細束たる6組の各細束ストランドの突出先端を切断する第2細束切断工程と、第2細束切断工程終了後に、切断した第2細束たる6組の細束ストランドの先端を、ワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む第2細束先端押込み工程とよりなる。
【0049】
さらに、本発明のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、以下の(2)〜(7)の特徴を有している。
【0050】
(2)第1編み込み工程には、撚られた各ストランドの間に差し込んだ前記6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と同じ方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業を行う巻差しを行う工程を含む。
【0051】
(3)前記第1編み込み工程の前に、予め折り曲げられたワイヤロープ本体の自由端をストランド毎にばらばらに解舒してワイヤロープ先端部分に6組の束ストランドに形成する束ストランド形成工程と、その後、6組の束ストランドを2組に分けて第1組束ストランドと第2組束ストランドとし、第1組束ストランドは、ワイヤロープの撚り方向に差し込み、第2組束ストランドはワイヤロープの撚り方向と逆方向に差し込む準備差し込み工程を設けた。
【0052】
(4)第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0053】
(5)第1半差し編み込み工程の後に、第2細束を第3細束と第4細束の2組に分けて、第3細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込むと共に、第4細束の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程と、第2半差し編み込み工程の後に、第4細束を第5細束と第6細束の2組に分け、第5細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込むと共に、第6細束をワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程と、第3半差し編み込み工程の後に、第6細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程よりなる。
【0054】
(6)前記第1細束は各束ストランドを形成している内層線とし、前記第2細束から前記第6細束は各束ストランドを形成している外層線としてなる。
【0055】
(7)前記第1細束は各束ストランドを形成している外層線とし、前記第2細束から前記第6細束は各束ストランドを形成している内層線としてなる。
【0056】
(8)上記(1)〜(7)のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法により製造したトゲのないワイヤロープの玉掛索が完成することとした。
【0057】
以下、本願発明の玉掛索を製造する方法について図面に基づき説明する。
【0058】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、束ストランド形成工程と、準備差し込み工程と、巻差しの第1編み込み工程と、かご差しの第1編み込み工程と、細束ストランド形成工程と、第1細束切断工程と、第1細束先端押込み工程と、かご差しの第1半差し編み込み工程と、かご差しの第2半差し編み込み工程と、かご差しの第3半差し編み込み工程と、最終細束先端押込み工程とよりなる。
【0059】
I.[束ストランド形成工程]
束ストランド形成工程について説明する。図1に示すように、先ずワイヤロープ11の自由端部側に輪状のループ部12を作る。
【0060】
すなわち、ワイヤロープ11の先端側を折り返し、折り返した先端側でループ部12を構成すると同時に折り返したワイヤロープ11の先端部分において、6組の束ストランド1〜6とその中心にある心綱7とをばらばらに分ける。
【0061】
II.[準備差し込み工程]
ここで、ワイヤロープ11の本線11aの撚りストランドA〜F内に各束ストランド1〜6を通す作業(いわゆる巻差し方法による束ストランド挿通作業)の前段階としての準備差し込み工程を行う。すなわち、この準備差し込み工程は、地差し法による口入れと称するものであり、6組の各束ストランド1〜6を図2に示すように、撚りストランドA〜Fの適宜の間にスパイキ145を入れて、撚りストランドA〜F間の間隙に挿通する。この作業を図2に基づき詳説する。この工程は次工程の巻差しの第1編み込み工程を行うためにばらばらの束ストランド1〜6の根元を撚りストランドA〜Fに係合し固定して束ストランドの巻差しが弛緩しないようにするためのものである。
【0062】
(1)第2組束ストランドとしての束ストランド1をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して心綱7の左を通して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0063】
(2)第2組束ストランドとしての束ストランド2をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して心綱7の左を通して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0064】
(3)第2組束ストランドとしての束ストランド3をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して心綱7の右を通して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0065】
(4)第2組束ストランドとしての束ストランド4をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して心綱7の右を通して撚りストランドE・Fの間を抜く。ここで通したストランド4を締め込む。
【0066】
(5)撚りストランドA・Fの間から撚りストランドB・Cの間にスパイキを差してストランドA・Fの間に心綱7を入れる。
【0067】
(6)第1組束ストランドとしての束ストランド5をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜くと同時に、ストランドA〜Fの撚りを戻す。
【0068】
(7)第1組束ストランドとしての束ストランド6をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜くと同時に、ストランドA〜Fの撚りを戻す。そして、ストランドA〜Fの撚りを戻した部分をハンマで軽く均す。
【0069】
図2を用いて説明した地差し方法は、束ストランドを5対1に分けて撚りストランドに挿通したが、その他に束ストランドを4対2に分けて行う地差し方法と、束ストランドを3対3に分けて行う地差し方法があり、これらの方法においても本実施形態のワイヤロープの玉掛索を得るための準備差し込み工程となり得る。
【0070】
他の実施例として上記地差し法による口入れ方法の他にフレミッシュ法による口入れ方法がある。ここでは、図23に基づきフレミッシュ法を詳説する。なお、フレミッシュ法には、束ストランドを3対3の2組に分けて行う方法と、4対2の2組に分けて行う方法の2種類があり、ここでは、束ストランドを3対3の2組に分けて行う方法について説明する。
【0071】
(1)例えば、ストランド1をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して心綱7の右を通して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0072】
(2)ストランド2をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して心綱7の左を通して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0073】
(3)ストランド3をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して心綱7の左を通して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0074】
(4)ストランド4をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して心綱7の右を通して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0075】
(5)ストランド5をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して心綱7の右を通して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0076】
(6)ストランド6をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して心綱7の右を通して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0077】
このように6組の各束ストランド1〜6がそれぞれ撚りストランドA〜F間に挿通された状態となりフレミッシュ法による口入れを完了する。
【0078】
III.[巻差しの第1編み込み工程]
このように6組の各束ストランド1〜6がそれぞれ撚りストランドA〜F間に挿通され準備差し込み工程が終了した後(図2参照)に、以下に示す巻差し方法による6組の各束ストランド1〜6の挿通作業が行われる。
【0079】
(1)例えば、図3に示すように、1組目の束ストランド1をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。ここで通した束ストランド1を締め込む。
【0080】
(2)2組目の束ストランド2をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。ここで通した束ストランド2を締め込む。
【0081】
(3)3組目の束ストランド3をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。ここで通した束ストランド3を締め込む。
【0082】
(4)4組目の束ストランド4をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。ここで通したストランド4を締め込む。
【0083】
(5)5組目の束ストランド5をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。ここで通した束ストランド5を締め込む。
【0084】
(6)6組目の束ストランド6をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜くと同時に、ストランドA〜Fの撚りを戻す。ここで通した束ストランド6を締め込む。
【0085】
このようにして1回目の6組の束ストランド1〜6の巻差し方法による挿通作業が完了する。
【0086】
次に、同じ手順(1)〜(6)で、2回目の巻差し方法による挿通作業が行われ、6組の束ストランド1〜6の巻差し方法による挿通作業が完了する。
【0087】
さらに、同じ手順(1)〜(6)で、3回目の巻差し方法による挿通作業が行われ、6組の束ストランド1〜6の巻差し方法による挿通作業が完了する。すなわち、1組目の束ストランド1は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から抜き出し、さらに、2組目の束ストランド2は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から抜き出し、さらにまた、3組目の束ストランド3は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から抜き出し、さらに、4組目の束ストランド4は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から抜き出し、さらにまた、5組目の束ストランド5は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から抜き出し、さらに、6組目の束ストランド6は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から抜き出した態様となる。そして、この態様から、次のかご差しの第1編み込み工程を行う。
【0088】
なお、1回目〜3回目の巻差し方法による挿通作業においては、1回目の束ストランド1は、ワイヤロープの撚りの第1旋回目部分における撚りストランドC・D間から撚りストランドB・C間の間隙に挿通されるものであり、2回目の束ストランド1は、撚りの第2旋回目部分における撚りストランドC・D間から撚りストランドB・C間の間隙に挿通されるものであり、3回目の束ストランド1は、撚りの第3旋回目部分における撚りストランドC・D間から撚りストランドB・C間の間隙に挿通されるものである。
【0089】
従って、撚りの第1旋回目部分の上手側に、撚りの第2旋回目部分があり、更にその上手側に撚りの第3旋回目部分が位置し、各旋回目毎に1組目の束ストランド1が挿通される。
【0090】
かかる手順は、2組目の束ストランド2においても同じように撚りの第1旋回目部分、第2旋回目部分、第3旋回目部分にそれぞれ挿通される。
【0091】
以下、3組目以下も同じように6組目までの束ストランド3〜6が各旋回目部分に挿通されて、各組の束ストランド3〜6の3回の巻差し作業が完了する。
【0092】
IV.[かご差しの第1編み込み工程]
次いで、各組の束ストランド1〜6を「かご差し方法」による作業で撚りストランド間に挿通する。
【0093】
すなわち、ワイヤロープの撚り方向と逆の方向に巻いていくかご差し方法を1回のみ実施するかご差し工程を行う。図4に示すのは1回のみ行うかご差し方法による各組の束ストランド1〜6の挿通状態である。以下詳説する。
【0094】
(1)例えば、図4に示すように、1組目の束ストランド1をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0095】
(2)2組目の束ストランド2をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0096】
(3)3組目の束ストランド3をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0097】
(4)4組目の束ストランド4をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0098】
(5)5組目の束ストランド5をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0099】
(6)6組目の束ストランド6をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0100】
以上で6組の束ストランド1〜6は、3回の巻差し、1回のかご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの挿通作業が完了する。次に後述する細束ストランド形成工程を行う。
【0101】
III’及びIV’[第1編み込み工程の変形]
上述したIII[巻差しの第1編み込み工程]とIV[かご差しの第1編み込み工程]との順序を逆にして、先にIII’[かご差しの第1編み込み工程]を行い、次いでIV’[巻差しの第1編み込み工程]を行うものである。
【0102】
変形の玉掛索製造方法における束ストランド形成工程〜準備差し込み工程までの説明については、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法におけるI.束ストランド形成工程〜II.準備差し込み工程と同一であり重複説明を省略する。
【0103】
III’.[かご差しの第1編み込み工程]
このように6組の各束ストランド1〜6がそれぞれ撚りストランドA〜F間に挿通され準備作業工程が終了した後(図2参照)に、以下に示すかご差し方法による6組の各束ストランド1〜6の挿通作業が行われる。
【0104】
(1)例えば、図9に示すように、1組目の束ストランド1をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。ここで通した束ストランド1を締め込む。
【0105】
(2)2組目の束ストランド2をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。ここで通した束ストランド2を締め込む。
【0106】
(3)3組目の束ストランド3をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。ここで通した束ストランド3を締め込む。
【0107】
(4)4組目の束ストランド4をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。ここで通した束ストランド4を締め込む。
【0108】
(5)5組目の束ストランド5をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。ここで通した束ストランド5を締め込む。
【0109】
(6)6組目の束ストランド6をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜くと同時に、ストランドA〜Fの撚りを戻す。ここで通した束ストランド6を締め込む。
【0110】
このようにして1回目の6組の束ストランド1〜6のかご差し方法による挿通作業が完了する。
【0111】
次に、同じ手順(1)〜(6)で、2回目のかご差し方法による挿通作業が行われ、6組の束ストランド1〜6のかご差し方法による挿通作業が完了する。
【0112】
さらに、同じ手順(1)〜(6)で、3回目のかご差し方法による挿通作業が行われ、6組の束ストランド1〜6のかご差し方法による挿通作業が完了する。すなわち、図9に示すように、1組目の束ストランド1は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から抜き出し、さらに、2組目の束ストランド2は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から抜き出し、さらにまた、3組目の束ストランド3は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から抜き出し、さらに、4組目の束ストランド4は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から抜き出し、さらにまた、5組目の束ストランド5は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から抜き出し、さらに、6組目の束ストランド6は、ワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から抜き出した態様となる。そして、この態様から、次の巻差しの第2編み込み工程を行う。
【0113】
なお、1回目〜3回目のかご差し方法による挿通作業においては、1回目の束ストランド1は、ワイヤロープの撚りの第1旋回目部分における撚りストランドA・B間から撚りストランドE・F間の間隙に挿通されるものであり、2回目の束ストランド1は、撚りの第2旋回目部分における撚りストランドD・E間から撚りストランドB・C間の間隙に挿通されるものであり、3回目の束ストランド1は、撚りの第3旋回目部分における撚りストランドA・B間から撚りストランドE・F間の間隙に挿通されるものである。
【0114】
従って、撚りの第1旋回目部分の上手側に、撚りの第2旋回目部分があり、更にその上手側に撚りの第3旋回目部分が位置し、各旋回目毎に1組目の束ストランド1が挿通される。
【0115】
かかる手順は、2組目の束ストランド2においても同じように撚りの第1旋回目部分、第2旋回目部分、第3旋回目部分にそれぞれ挿通される。
【0116】
以下、3組目以下も同じように6組目までの束ストランド3〜6が各旋回目部分に挿通されて、各組の束ストランド3〜6の3回のかご差し作業が完了する。
【0117】
IV’.[巻差しの第1編み込み工程]
次いで、各組の束ストランド1〜6を「巻差し方法」による作業で撚りストランド間に挿通する。
【0118】
すなわち、ワイヤロープの撚りと同じ方向に巻いていく巻差し方法を1回のみ実施する巻差し工程を行う。図10に示すのは1回のみ行う巻差し方法による各組の束ストランド1〜6の挿通状態である。以下詳説する。
【0119】
(1)例えば、図10に示すように、1組目の束ストランド1をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0120】
(2)2組目の束ストランド2をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0121】
(3)3組目の束ストランド3をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0122】
(4)4組目の束ストランド4をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0123】
(5)5組目の束ストランド5をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0124】
(6)6組目の束ストランド6をワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0125】
以上で6組の束ストランド1〜6は、3回のかご差し、1回の巻差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの挿通作業が完了する。すなわち、このようにワイヤーロープの撚りストランドに束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。次に後述する細束ストランド形成工程を行う。
【0126】
V.[細束ストランド形成工程]
以上で6組の束ストランド1〜6は、巻差し、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの挿通作業が完了する。そして、束ストランド1〜6の各突出端を更に2組の束に分割し、第1細束と第2細束とする。すなわち、第1細束の細束ストランド1c〜6cと、第2細束の細束ストランド1d〜6dとに2分割する細束ストランド形成工程を行う(図5(a)及び図5(b)参照)。
【0127】
VI.[第1細束切断工程]
6組の束ストランド1〜6の第1細束の細束ストランド1c〜6cと各束ストランド1〜6の細心綱8,・・,8は、ワイヤロープ表面の位置で切断する第1細束切断工程を行い、6組の第2細束、すなわち6組の細束ストランド1d〜6dを残す(図5(a)及び図5(b)参照)。このとき、撚りストランドA〜F間から心綱7を引き出し切断して、同撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いた箇所に芯部空隙11bを形成する。
【0128】
VII.[第1細束先端押込み工程]
切断された6組の細束ストランド1c〜6cと細心綱8,・・,8の先端切断部分、いわゆる第1細束トゲ6本は、撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いて生じた芯部領域の空隙11b中に押し込む第1細束先端押込み工程を行う。このとき束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、ストランド切断先端部たるトゲを包み込んだ状態となる。
【0129】
VIII.[かご差しの第1半差し編み込み工程]
突出したままのかかる第2細束の細束ストランド1d〜6dは、半差しによるかご差し方法による作業で撚りストランドA〜F間に挿通する第1半差し編み込み工程を行う。すなわち、図5(a)に示すように1組目〜6組目の第2細束の細束ストランド1d〜6dは、所定の撚りストランドA〜F間に、撚りと逆方向に巻回しながら挿通する。
【0130】
(1)例えば、図5(a)に示すように、1組目の第2細束の細束ストランド1dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0131】
(2)2組目の第2細束の細束ストランド2dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0132】
(3)3組目の第2細束の細束ストランド3dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0133】
(4)4組目の第2細束の細束ストランド4dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0134】
(5)5組目の第2細束の細束ストランド5dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0135】
(6)6組目の第2細束の細束ストランド6dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0136】
以上で6組の第2細束の細束ストランド1d〜6dは、かご差しの方法による撚りストランドA〜Fへの1回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。前記第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0137】
IX.[かご差しの第2半差し編み込み工程]
第2細束の各細束ストランド1d〜6dを第3細束の細束ストランド1e〜6eと第4細束の細束ストランド1f〜6fの2組に分けて、第3細束1e〜6eの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の編込み収納部における芯部領域の空隙中11bに押込むと共に、第4細束の細束ストランド1f〜6fをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程を行う。
【0138】
すなわち、第3細束の細束ストランド1e〜6eの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業と、第4細束の細束ストランド1f〜6fの2回目のかご差し方法による作業が行われる(図6(a)及び図6(b)参照)。図6(a)を基に詳説する。
【0139】
(1)例えば、図6(a)及び図6(b)に示すように、第3細束の細束ストランド1e〜6eを束ねて根元をテーピングし、その後、第3細束の細束ストランド1e〜6eの先端を切断して第3細束の細束ストランド1e〜6eの先端部分を芯部領域の空隙11b内に差し込む。テーピングにより第3細束の細束ストランドを確実に編込み収納部における芯部領域の空隙11b中に収納でき、更には、第3細束先端がバラバラになって芯部領域の空隙11bの周壁間隙から突出しないようにしている。以下のテーピングの作用は前述したことと同様である。なお、第3細束の切断とテーピングの作業順序はどちらを先に行ってもよい。
【0140】
(2)図6(a)に示すように、第4細束の細束ストランド1fをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0141】
(3)第4細束の細束ストランド2fをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0142】
(4)第4細束の細束ストランド3fをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0143】
(5)第4細束の細束ストランド4fをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0144】
(6)第4細束の細束ストランド5fをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0145】
(7)第4細束の細束ストランド6fをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0146】
以上で第3細束の細束ストランド1e〜6eは、各先端を切断しその先端部分を撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込み、更に、第4細束の細束ストランド1f〜6fは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの2回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0147】
X.[かご差しの第3半差し編み込み工程]
前記第2半差し編み込み工程の後に、第4細束の細束ストランド1f〜6fを第5細束の細束ストランド1g〜6gと第6細束の細束ストランド1h〜6hの2組に分け、第5細束の細束ストランド1g〜6gの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の編込み収納部における芯部領域の空隙中11bに押込むと共に、第6細束の細束ストランド1h〜6hをワイヤロープの撚られた各ストランドA〜Fの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程を行う。
【0148】
すなわち、第5細束の細束ストランド1g〜6gの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業と、第6細束の細束ストランド1h〜6hの3回目のかご差し方法による作業が行われる(図7(a)及び図7(b)参照)。図7を基に詳説する。
【0149】
(1)例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、第5細束の細束ストランド1g〜6gの根元をテーピングし、その後、第5細束の細束ストランド1g〜6gの先端を切断してその先端部分を芯部領域の空隙11b内に差し込む。テーピングに関しては前述のかご差しの第2半差し編み込み工程で説明したことと同様である。
【0150】
(2)図7(a)に示すように、第6細束の細束ストランド1hをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0151】
(3)第6細束の細束ストランド2hをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0152】
(4)第6細束の細束ストランド3hをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0153】
(5)第6細束の細束ストランド4hをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0154】
(6)第6細束の細束ストランド5hをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0155】
(7)第6細束の細束ストランド6hをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0156】
以上で第5細束の細束ストランド1g〜6gは、各先端を切断しその先端を撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込み、更に、第6細束の細束ストランド1h〜6hは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの3回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0157】
XI.[最終細束先端押込み工程]
第3半差し編み込み工程の後に、第6細束の細束ストランド1h〜6hの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0158】
すなわち、第6細束の細束ストランド1h〜6hの先端を切断し、その先端の切断部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業が行われる。図8を基に詳説する。
【0159】
例えば、図8に示すように、第6細束の細束ストランド1h〜6hを2組毎に束ねて根元をテーピングし、その後、第6細束の細束ストランド1h〜6hの先端を切断してテーピング束ストランドの先端部分を編込み収納部における芯部領域の空隙11b内に差し込む。そして、外部に引出していた心綱7を芯部領域の空隙11bに戻す。なお、図8で説明した6組の第6細束の細束ストランド1h〜6hを2本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしたが、6組の第6細束の細束ストランドをばらばらの状態で芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、また、6組の第6細束の細束ストランドを3本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、更に、6組の第6細束の細束ストランドを1つに束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよい。
【0160】
以上のI〜XIの各工程を経て、トゲなしのワイヤロープ玉掛索が完成する。
【0161】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、束ストランド形成工程と、準備差し込み工程と、巻差しの第1編み込み工程と、かご差しの第1編み込み工程と、細束ストランド形成工程と、内層線としての第1細束切断工程と、内層線としての第1細束先端押込み工程と、かご差しの第1半差し編み込み工程と、かご差しの第2半差し編み込み工程と、かご差しの第3半差し編み込み工程と、最終細束先端押込み工程とよりなる。
【0162】
なお、本願発明の第2実施形態のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法におけるI.束ストランド形成工程〜IV.かご差しの第1編み込み工程まで同様に行い、その後の各工程が次のように異なる。すなわち、各工程は、V−a.細束ストランド形成工程と、VI−a.内層線としての第1細束切断工程と、VII−a.内層線としての第1細束先端押込み工程と、VIII−a.かご差しの第1半差し編み込み工程と、IX−a.かご差しの第2半差し編み込み工程と、X−a.かご差しの第3半差し編み込み工程と、XI−a.最終細束先端押込み工程とにおいて異なることとなる。
【0163】
本願発明の第2実施形態の玉掛索製造方法における束ストランド形成工程〜かご差しの第1編み込み工程までの説明については、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法のI.束ストランド形成工程〜IV.かご差しの第1編み込み工程と同一であり重複説明を省略する。なお、第2実施形態においては、第1細束を内層線とし、第2細束〜第6細束を外層線として説明を行う。
【0164】
V−a.[細束ストランド形成工程]
以上で6組の束ストランド1〜6は、3回のかご差し、1回の巻差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの挿通作業が完了する。そして、束ストランド1〜6の各突出端を第1細束としての内層線の細束ストランド1a〜6aと、第2細束としての外層線の細束ストランド1b〜6bとに分別する細束ストランド形成工程を行う(図11(a)及び図11(b)参照)。一般にストランド単体を構成する複合線は、内外層線の多層線よりなり、これらを内層線、外層線と称しており、ここでは、これら内外層線に分別する作業を行う。
【0165】
VI−a.[内層線としての第1細束切断工程]
6組の束ストランド1〜6の内層線の細束ストランド1a〜6aと各束ストランド1〜6内の細心綱8,・・,8は、ワイヤロープ表面の位置で切断する内層線としての第1細束切断工程を行い、6組の外層線、すなわち6組の細束ストランド1b〜6bを残す(図11(a)、図11(b)、図24及び図25参照)。このとき、撚りストランドA〜F間から心綱7を引き出し切断(図26参照)して、同撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いた箇所に芯部領域の空隙11bを形成する。
【0166】
VII−a.[内層線としての第1細束先端押込み工程]
切断された6組の細束ストランド1a〜6aと細心綱8,・・,8の先端切断部分、いわゆる内層線トゲ6本は、撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いて生じた芯部領域の空隙11b中に押し込む内層線としての第1細束先端押込み工程を行う。
【0167】
VIII−a.[かご差しの第1半差し編み込み工程]
突出したままのかかる外層線の細束ストランド1b〜6bは、半差しによるかご差し方法による作業で撚りストランドA〜F間に挿通するかご差しの第1半差し編み込み工程を行う。すなわち、図11(a)に示すように1組目〜6組目の外層線の細束ストランド1b〜6bは、所定の撚りストランドA〜F間に、撚りと逆方向に巻回しながら挿通する。
【0168】
(1)例えば、図11(a)に示すように、1組目の外層線の細束ストランド1bをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0169】
(2)2組目の外層線の細束ストランド2bをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0170】
(3)3組目の外層線の細束ストランド3bをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0171】
(4)4組目の外層線の細束ストランド4bをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0172】
(5)5組目の外層線の細束ストランド5bをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0173】
(6)6組目の外層線の細束ストランド6bをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0174】
以上で6組の外層線の細束ストランド1b〜6bは、かご差しの方法による撚りストランドA〜Fへの1回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。前記第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0175】
IX−a.[かご差しの第2半差し編み込み工程]
外層線の第2細束の細束ストランド1b〜6bを第3細束の細束ストランド1j〜6jと第4細束の細束ストランド1k〜6kの2組に分けて、第3細束1j〜6jの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の編込み収納部における芯部領域の空隙中11bに押込むと共に、第4細束の細束ストランド1k〜6kをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程を行う。
【0176】
すなわち、外層線の第3細束の細束ストランド1j〜6jの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業と、第4細束の細束ストランド1k〜6kの2回目のかご差し方法による作業が行われる(図12(a)及び図12(b)参照)。図12を基に詳説する。
【0177】
(1)例えば、図12(a)及び図12(b)に示すように、外層線の第3細束の細束ストランド1j〜6jの根元をテーピングし、その後、第3細束の細束ストランド1j〜6jの先端を切断して第3細束の細束ストランド1j〜6jの先端部分を芯部領域の空隙11b内に差し込む。
【0178】
(2)図12(a)に示すように、外層線の第4細束の細束ストランド1kをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0179】
(3)外層線の第4細束の細束ストランド2kをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0180】
(4)外層線の第4細束の細束ストランド3kをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0181】
(5)外層線の第4細束の細束ストランド4kをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0182】
(6)外層線の第4細束の細束ストランド5kをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0183】
(7)外層線の第4細束の細束ストランド6kをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0184】
以上で外層線の第3細束の細束ストランド1j〜6jは、各先端を切断しその先端部分を撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込み、更に、外層線の第4細束の細束ストランド1k〜6kは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの2回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0185】
X−a.[かご差しの第3半差し編み込み工程]
前記第2半差し編み込み工程の後に、外層線の第4細束の細束ストランド1k〜6kを第5細束の細束ストランド1m〜6mと第6細束の細束ストランド1n〜6nの2組に分け、第5細束の細束ストランド1m〜6mの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の編込み収納部における芯部領域の空隙中11bに押込むと共に、第6細束の細束ストランド1n〜6nをワイヤロープの撚られた各ストランドA〜Fの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程を行う。
【0186】
すなわち、外層線の第5細束の細束ストランド1m〜6mの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業と、外層線の第6細束の細束ストランド1n〜6nの3回目のかご差し方法による作業が行われる(図13(a)及び図13(b)参照)。図13を基に詳説する。
【0187】
(1)例えば、図13(a)及び図13(b)に示すように、外層線の第5細束の細束ストランド1m〜6mの根元をテーピングし、その後、第5細束の細束ストランド1m〜6mの先端を切断してその先端部分を芯部領域の空隙11b内に差し込む。
【0188】
(2)図13(a)に示すように、外層線の第6細束の細束ストランド1nをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0189】
(3)外層線の第6細束の細束ストランド2nをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0190】
(4)外層線の第6細束の細束ストランド3nをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0191】
(5)外層線の第6細束の細束ストランド4nをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0192】
(6)外層線の第6細束の細束ストランド5nをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0193】
(7)外層線の第6細束の細束ストランド6nをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0194】
以上で外層線の第5細束の細束ストランド1m〜6mは、各先端を切断しその先端を撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込み、更に、外層線の第6細束の細束ストランド1n〜6nは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの3回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0195】
XI−a.[最終細束先端押込み工程]
前記第3半差し編み込み工程の後に、外層線の第6細束の細束ストランド1n〜6nの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0196】
すなわち、外層線の第6細束の細束ストランド1n〜6nの先端を切断し、その先端の切断部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業が行われる。図14を基に詳説する。
【0197】
例えば、図14に示すように、外層線の第6細束の細束ストランド1n〜6nを2組毎に束ねて根元をテーピングし、その後、第6細束の細束ストランド1n〜6nの先端を切断してテーピング束ストランドの先端部分を編込み収納部における芯部領域の空隙11b内に差し込む。そして、外部に引出していた心綱7を芯部領域の空隙11bに戻す。なお、図14で説明した6組の第6細束の細束ストランド1n〜6nを2本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしたが、6組の第6細束の細束ストランドをばらばらの状態で芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、また、6組の第6細束の細束ストランドを3本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、更に、6組の第6細束の細束ストランドを1つに束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよい。
【0198】
以上のI〜IV、V−a〜XI−aの各工程を経て、トゲなしのワイヤロープ玉掛索が完成する。
【0199】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、束ストランド形成工程と、準備差し込み工程と、巻差しの第1編み込み工程と、かご差しの第1編み込み工程と、細束ストランド形成工程と、外層線としての第1細束切断工程と、外層線としての第1細束先端押込み工程と、かご差しの第1半差し編み込み工程と、かご差しの第2半差し編み込み工程と、かご差しの第3半差し編み込み工程と、最終細束先端押込み工程とよりなる。
【0200】
なお、本願発明の第3実施形態のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法におけるI.束ストランド形成工程〜IV.かご差しの第1編み込み工程までを同等に行い、さらに第2実施形態の玉掛索製造方法におけるV−a.細束ストランド形成工程を同様に行い、その後の各工程が次ぎのように異なる。すなわち、各工程は、VI−b.外層線としての第1細束切断工程と、VII−b.外層線としての第1細束先端押込み工程と、VIII−b.かご差しの第1半差し編み込み工程と、IX−b.かご差しの第2半差し編み込み工程と、X−b.かご差しの第3半差し編み込み工程と、XI−b.最終細束先端押込み工程とにおいて異なることとなる。
【0201】
すなわち、以下の第3実施形態では、上記第2実施形態の内層線と外層線との押し込み工程の順序を逆にして、先に外層線の細束ストランド1b〜6bを切断し、芯部領域の空隙11bに押し込み、その後に、複数回の内層線のかご差しの半差し編み込み工程を行い、最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行うようにした。
【0202】
本願発明の第3実施形態の玉掛索製造方法における束ストランド形成工程〜細束ストランド形成工程までの説明については、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法のI.束ストランド形成工程〜IV.かご差しの第1編み込み工程及び第2実施形態の玉掛索製造方法のV−a.細束ストランド形成工程と同一であり重複説明を省略する。なお、第3実施形態においては、第1細束を外層線とし、第2細束を内層線として説明を行う。
【0203】
VI−b.[外層線としての第1細束切断工程]
6組の束ストランド1〜6の外層線の細束ストランド1b〜6bと各束ストランド1〜6内の細心綱8,・・,8は、ワイヤロープ表面の位置で切断する外層線としての第1細束切断工程を行い、6組の内層線、すなわち6組の細束ストランド1a〜6aを残す(図15(a)、図15(b)、図24及び図25参照)。このとき、撚りストランドA〜F間から心綱7を引き出し切断(図26参照)して、同撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いた箇所に芯部領域の空隙11bを形成する。
【0204】
VII−b.[外層線としての第1細束先端押込み工程]
切断された6組の細束ストランド1b〜6bと各束ストランド1〜6内の細心綱8,・・,8の先端切断部分、いわゆる外層線トゲ6本は、撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いて生じた芯部領域の空隙11b中に押し込む外層線としての第1細束先端押込み工程を行う。このとき束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、ストランド切断先端部たるトゲを包み込んだ状態となる。
【0205】
VIII−b.[かご差しの第1半差し編み込み工程]
突出したままのかかる内層線の細束ストランド1a〜6aは、半差しによるかご差し方法による作業で撚りストランドA〜F間に挿通するかご差しの第1半差し編み込み工程を行う。すなわち、図15(a)に示すように1組目〜6組目の内層線の細束ストランド1a〜6aは、所定の撚りストランドA〜F間に、撚り方向と逆の方向に巻回しながら挿通する。
【0206】
(1)例えば、図15(a)に示すように、1組目の内層線の細束ストランド1aをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0207】
(2)2組目の内層線の細束ストランド2aをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0208】
(3)3組目の内層線の細束ストランド3aをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0209】
(4)4組目の内層線の細束ストランド4aをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0210】
(5)5組目の内層線の細束ストランド5aをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0211】
(6)6組目の内層線の細束ストランド6aをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0212】
以上で6組の内層線の細束ストランド1a〜6aは、かご差しの方法による撚りストランドA〜Fへの1回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。前記第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0213】
IX−b.[かご差しの第2半差し編み込み工程]
内層線の第2細束の細束ストランド1a〜6aを第3細束の細束ストランド1p〜6pと第4細束の細束ストランド1q〜6qの2組に分けて、第3細束1p〜6pの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の編込み収納部における芯部領域の空隙中11bに押込むと共に、第4細束の細束ストランド1q〜6qをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程を行う。
【0214】
次に、内層線の第3細束の細束ストランド1p〜6pの先端を切断し、その先端部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業と、第4細束の細束ストランド1q〜6qの2回目のかご差し方法による作業が行われる(図16(a)及び図16(b)参照)。図16を基に詳説する。
【0215】
(1)例えば、図16(a)及び図16(b)に示すように、内層線の第3細束の細束ストランド1p〜6pの根元をテーピングし、その後、第3細束の細束ストランド1p〜6pの先端を切断して第3細束の細束ストランド1p〜6pの先端部分を芯部領域の空隙11b内に差し込む。
【0216】
(2)図16(a)に示すように、内層線の第4細束の細束ストランド1qをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0217】
(3)内層線の第4細束の細束ストランド2qをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0218】
(4)内層線の第4細束の細束ストランド3qをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0219】
(5)内層線の第4細束の細束ストランド4qをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0220】
(6)内層線の第4細束の細束ストランド5qをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0221】
(7)内層線の第4細束の細束ストランド6qをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0222】
以上で内層線の第3細束の細束ストランド1p〜6pは、各先端を切断しその先端を撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込み、更に、内層線の第4細束の細束ストランド1q〜6qは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの2回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0223】
X−b.[かご差しの第3半差し編み込み工程]
前記第2半差し編み込み工程の後に、内層線の第4細束の細束ストランド1q〜6qを第5細束の細束ストランド1r〜6rと第6細束の細束ストランド1s〜6sの2組に分け、第5細束の細束ストランド1r〜6rの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の編込み収納部における芯部領域の空隙中11bに押込むと共に、第6細束の細束ストランド1s〜6sをワイヤロープの撚られた各ストランドA〜Fの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程を行う。
【0224】
すなわち、内層線の第5細束の細束ストランド1r〜6rの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業と、内層線の第6細束の細束ストランド1s〜6sの3回目のかご差し方法による作業が行われる(図17(a)及び図17(b)参照)。図17を基に詳説する。
【0225】
(1)例えば、図17(a)及び図17(b)に示すように、内層線の第5細束の細束ストランド3rと細束ストランド4rを束ねて根元をテーピングし、その後、第5細束の細束ストランド3rと細束ストランド4rの先端を切断してテーピング束ストランドの先端部分を芯部領域の空隙11b内に差し込む。
【0226】
(2)図17(a)に示すように、内層線の第6細束の細束ストランド1sをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0227】
(3)内層線の第6細束の細束ストランド2sをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0228】
(4)内層線の第6細束の細束ストランド3sをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間を抜く。
【0229】
(5)内層線の第6細束の細束ストランド4sをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0230】
(6)内層線の第6細束の細束ストランド5sをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0231】
(7)内層線の第6細束の細束ストランド6sをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0232】
以上で内層線の第5細束の細束ストランド1r〜6rは、各先端を切断しその先端を撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込み、更に、内層線の第6細束の細束ストランド1s〜6sは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの3回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0233】
XI−b.[最終細束先端押込み工程]
前記第3半差し編み込み工程の後に、内層線の第6細束の細束ストランド1s〜6sの先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む最終細束先端押込み工程を行う。
【0234】
すなわち、内層線の第6細束の細束ストランド1s〜6sの先端を切断し、その先端の切断部分をワイヤロープの撚りストランドA〜Fの中心の芯部領域の空隙中11bに押込む作業が行われる。図18を基に詳説する。
【0235】
例えば、図18に示すように、内層線の第6細束の細束ストランド1s〜6sを2組毎に束ねて根元をテーピングし、その後、第6細束の細束ストランド1s〜6sの先端を切断してテーピング束ストランドの先端部分を編込み収納部における芯部領域の空隙11b内に差し込む。そして、外部に引出していた心綱7を芯部領域の空隙11bに戻す。なお、図18で説明した6組の第6細束の細束ストランド1s〜6sを2本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしたが、6組の第6細束の細束ストランドをばらばらの状態で芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、また、6組の第6細束の細束ストランドを3本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、更に、6組の第6細束の細束ストランドを1つに束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよい。
【0236】
以上のI〜IV、V−a、VI−b〜XI−bの各工程を経て、トゲなしのワイヤロープ玉掛索が完成する。
【0237】
以下、変形例について説明する。
【0238】
[変形例1]
変形例1のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、束ストランド形成工程と、準備差し込み工程と、3回の巻差しの第1編み込み工程と、1回の巻差しの第1編み込み工程と、細束ストランド形成工程と、第1細束切断工程と、第1細束先端押込み工程と、かご差しの第1半差し編み込み工程と、第2細束切断工程と、第2細束先端押込み工程とよりなる。
【0239】
なお、変形例1のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法は、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法におけるI.束ストランド形成工程、II.準備作業工程、III.巻差しの第1編み込み工程まで同様に行い、その後の各工程が次のように異なる。すなわち、各工程は、IV−c.巻差しの第1編み込み工程と、V−c.細束ストランド形成工程と、VI−c.第1細束切断工程と、VII−c.第1細束先端押込み工程と、VIII−c.かご差しの第1半差し編み込み工程と、IX−c.第2細束切断工程と第2細束先端押込み工程とにおいて異なることとなる。
【0240】
変形例1の玉掛索製造方法における束ストランド形成工程〜細束ストランド形成工程までの説明については、上述した第1実施形態の玉掛索製造方法におけるI.束ストランド形成工程〜III.巻差しの第1編み込み工程と同一であり重複説明を省略する。
【0241】
IV−c.[巻差しの第1編み込み工程]
次いで、各組の束ストランド1〜6を「巻差し方法」による作業で撚りストランド間に挿通する。
【0242】
すなわち、ワイヤロープの撚り方向と同じ方向に巻いていく巻差し方法を1回のみ実施する巻差しの第1編み込み工程を行う。すなわち、第1実施形態におけるIII.巻差しの第1編み込み工程と同じ手順(1)〜(6)で、巻差し方法による挿通作業が行われ、6組の束ストランド1〜6の巻差し方法による挿通作業が完了する(図19参照)。
【0243】
V−c.[細束ストランド形成工程]
以上で6組の束ストランド1〜6は、3回の巻差し、1回の巻差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの挿通作業が完了する。そして、束ストランド1〜6の各突出端を更に2組の束に分割し、第1細束と第2細束とする。すなわち、第1細束の細束ストランド1c〜6cと、第2細束の細束ストランド1d〜6dとに2分割する細束ストランド形成工程を行う。
【0244】
VI−c.[第1細束切断工程]
6組の束ストランド1〜6の第1細束の細束ストランド1c〜6cは、ワイヤロープ表面の位置で切断する第1細束切断工程を行い、6組の第2細束、すなわち6組の細束ストランド1d〜6dを残す(図20参照)。このとき、撚りストランドA〜F間から心綱7を引き出し切断して、同撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いた箇所に芯部領域の空隙11bを形成する。
【0245】
VII−c.[第1細束先端押込み工程]
切断された6組の細束ストランドの先端切断部分、いわゆる第1細束トゲ6本は、撚りストランドA〜Fの中心部の心綱7の一部を抜いて生じた芯部領域の空隙11b中に押し込む第1細束先端押込み工程を行う。このとき束ストランドが芯部領域の周囲を囲繞した編込み収納部により、ストランド切断先端部たるトゲを包み込んだ状態となる。
【0246】
VIII−c.[かご差しの第1半差し編み込み工程]
突出したままのかかる第2細束の細束ストランド1d〜6dは、半差しによるかご差し方法による作業で撚りストランドA〜F間に挿通するかご差しの第1半差し編み込み工程を行う。すなわち、1組目〜6組目の第2細束の細束ストランド1d〜6dは、所定の撚りストランドA〜F間に、撚り方向と逆の方向に巻回しながら挿通する。
【0247】
(1)例えば、図20に示すように、1組目の第2細束の細束ストランド1dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Bの間から挿入して撚りストランドE・Fの間を抜く。
【0248】
(2)2組目の第2細束の細束ストランド2dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドB・Cの間から挿入して撚りストランドA・Fの間を抜く。
【0249】
(3)3組目の第2細束の細束ストランド3dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドC・Dの間から挿入して撚りストランドA・Bの間を抜く。
【0250】
(4)4組目の第2細束の細束ストランド4dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドD・Eの間から挿入して撚りストランドB・Cの間を抜く。
【0251】
(5)5組目の第2細束の細束ストランド5dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドE・Fの間から挿入して撚りストランドC・Dの間を抜く。
【0252】
(6)6組目の第2細束の細束ストランド6dをワイヤロープ11の本線11a側の撚りストランドA・Fの間から挿入して撚りストランドD・Eの間に抜く。
【0253】
以上で6組の第2細束の細束ストランド1d〜6dは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの1回目の挿通作業が完了する。
【0254】
次に、図21に示すように、上記(1)〜(6)と同じ手順で6組の第2細束の細束ストランド1d〜6dの2回目のかご差し方法による作業が行われる。
【0255】
そして、6組の第2細束の細束ストランド1d〜6dは、かご差しの各方法による撚りストランドA〜Fへの2回目の挿通作業が完了する。このようにワイヤーロープの撚りストランドに細束ストランドを編み込むことで編込み収納部が形成されることとなる。
【0256】
以上の第1半差し編み込み工程において、半差しにおけるかご差し作業は2回行われるが、特に2回に限定されるものではなく2回以上であってもよい。
【0257】
IX−c.[第2細束切断工程及び第2細束先端押込み工程]
2〜3回の巻差しの作業が終了するとワイヤロープ表面位置において突出した6組の第2細束の細束ストランド1d〜6dを切断する第2細束切断工程を行う。切断した第2細束の切断部分は、撚りストランドA〜Fの芯部領域の空隙11b中に押込む第2細束先端押込み工程を行う。
【0258】
例えば、図22に示すように、6組の第2細束の各細束ストランド1d〜6dのうち2組ずつを束ねて根元をテーピングし、新たに3組のテーピングストランド束を形成し、その後、テーピングの先端から突出した細束ストランドを切断して3組のテーピング束ストランドの先端部分を編込み収納部における芯部領域の空隙11b内に差し込む。そして、外部に引出していた心綱7を芯部領域の空隙11bに戻す。なお、図22で説明した6組の第2細束の細束ストランド1d〜6dを2本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしたが、6組の第2細束の細束ストランドをばらばらの状態で芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよし、また、6組の第2細束の細束ストランドを3本ずつ束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしたが、さらに、6組の第2細束の細束ストランドを1つに束ねて芯部領域の空隙11bに収めるようにしてもよい。
【0259】
以上のI〜III、IV−c〜IX−cの各工程を経て、トゲなしのワイヤロープ玉掛索が完成する。
【0260】
なお、第1細束及び第2細束には、各束ストランドを形成している内層線、外層線を用いて、V−c.細束ストランド形成工程以降の各工程の作業を行うことでトゲなしのワイヤロープ玉掛索を製造するようにしてもよい。
【0261】
なお、変形例1におけるVIII−c.かご差しの第1半差し編み込み工程〜IX−c.第2細束切断工程及び第2細束先端押込み工程までの作業に変えて、第1実施形態のVIII.かご差しの第1半差し編み込み工程〜XI.最終細束先端押込み工程までの作業を行うことにより、トゲなしのワイヤロープ玉掛索を製造するようにしてもよい。
【0262】
なお、上述した各実施形態におけるワイヤロープは、6本の束ストランド1〜6を用いて説明したが、6本に限定するものではなく、8本の束ストランドを撚ったワイヤーロープであってもよい。例えば、8本の束ストランドを2分割して8本の第1細束と8本の第2細束とし、一方の第1細束を切断してその先端を芯部領域の空隙11b中に押し込み、他方の8本の第2細束を編み込んだのち分割して、2本の第3細束と6本の第4細束とし、一方の第3細束を切断してその先端を芯部領域の空隙11b中に押し込み、他方の6本の第4細束を編み込んだのち分割して、3本の第5細束と3本の第6細束とし、一方の第5細束を切断してその先端を芯部領域の空隙11b中に押し込み、他方の3本の第6細束を編み込んだのちに切断してその先端を芯部領域の空隙11b中に押し込むようにしてもよい。
【0263】
第1細束から第6細束における分割した際の細束ストランドの本数については、半分に分割する必要はなく、適宜最適な本数の比の数量であればよい。
【符号の説明】
【0264】
A〜F 撚りストランド
1〜6 束ストランド
1a〜6a 内層線の細束ストランド
1b〜6b 外層線の細束ストランド
1c〜6c 第1細束の細束ストランド
1d〜6d 第2細束の細束ストランド
7 心綱
11 ワイヤロープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤロープのループ部基端とすべき位置において、撚られた各ストランドの間に6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1編み込み工程と、
第1編み込み工程終了後に、突出した6組の各束ストランドの先端を更にそれぞれ2組の細束に分別して第1細束と第2細束とした12組の細束ストランドを形成する細束ストランド形成工程と、
細束ストランド形成工程終了後に、第1細束よりなる6組の細束ストランドの突出先端を切断する第1細束切断工程と、
第1細束切断工程終了後に、切断した第1細束である6組の細束ストランドの先端をワイヤロープの撚り束ストランドの中心に形成された芯部領域中心に押込む第1細束先端押込み工程と、
第1細束先端押込み工程終了後に、第2細束よりなる6組の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第1半差し編み込み工程と、
第1半差し編み込み工程終了後に、突出した第2細束たる6組の各細束ストランドの突出先端を切断する第2細束切断工程と、
第2細束切断工程終了後に、切断した第2細束たる6組の細束ストランドの先端を、ワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む第2細束先端押込み工程とよりなる
ことを特徴とするトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項2】
第1編み込み工程には、撚られた各ストランドの間に差し込んだ前記6組の束ストランドをそれぞれ別々にワイヤロープの撚り方向と同じ方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業を行う巻差しを行う工程を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項3】
前記第1編み込み工程の前に、予め折り曲げられたワイヤロープ本体の自由端をストランド毎にばらばらに解舒してワイヤロープ先端部分に6組の束ストランドを形成する束ストランド形成工程と、その後、6組の束ストランドを2組に分けて第1組束ストランドと第2組束ストランドとし、第1組束ストランドは、ワイヤロープの撚り方向に差し込み、第2組束ストランドはワイヤロープの撚り方向と逆方向に差し込む準備差し込み工程を設けた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項4】
第1半差し編み込み工程の後に、更に複数回の半差し編み込み工程を行い最終的に切断した最終細束先端を芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程を行う
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項5】
第1半差し編み込み工程の後に、第2細束を第3細束と第4細束の2組に分けて、第3細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込むと共に、第4細束の細束ストランドをワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第2半差し編み込み工程と、
第2半差し編み込み工程の後に、第4細束を第5細束と第6細束の2組に分け、第5細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込むと共に、第6細束をワイヤロープの撚られた各ストランドの間にワイヤロープの撚り方向と逆の方向に差し込んでワイヤロープ周面から突出させる編み込み作業のかご差しを行う第3半差し編み込み工程と、
第3半差し編み込み工程の後に、第6細束の先端を切断し、その先端をワイヤロープの撚りストランドの中心の芯部領域の空隙中に押込む最終細束先端押込み工程よりなる
ことを特徴とする請求項4に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項6】
前記第1細束は各束ストランドを形成している内層線とし、前記第2細束から前記第6細束は各束ストランドを形成している外層線としてなる
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項7】
前記第1細束は各束ストランドを形成している外層線とし、前記第2細束から前記第6細束は各束ストランドを形成している内層線としてなる
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のトゲのないワイヤロープの玉掛索製造方法により製造したトゲのないワイヤロープの玉掛索。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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