トコトリエノールキノンを用いる、レーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症の治療
本発明は、疾患の症状を和らげるために、アルファ−トコトリエノールキノンを包含するトコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症を治療する方法に関する。別の実施形態において、本発明は、トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量の1種または複数のトコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年4月28日に出願された米国仮特許出願第61/214,795号および2010年3月29日に出願された米国仮特許出願第61/318,733号の優先権の利益を主張する。これらの出願の全内容は本明細書において参照として援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、トコトリエノールキノン(トコトリエノールハイドロキノンを包含する)、例えばアルファ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症(LHON)および優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
レーバー遺伝性視神経症(LHON)および優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)は、概して視神経変性および視力衰弱につながる最も一般的な単一症状の遺伝性視神経症である。
【0004】
LHONは、視神経の焦点変性に起因する中心視の両側性喪失を特徴とするミトコンドリア遺伝子疾患である。該疾患については、1871年に視力喪失の特徴的パターンを報告したTheodor Leber博士によって最初に記述された。Robert Erickson博士が遺伝形質の非メンデルパターンを報告し、ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異を示唆したのは、1972年になってからであった。特定の変異m.11778G>Aとの関連は、1988年になってDouglas Wallace博士によって最初に同定された。現在は、LHON系統の95%超が、3つのミトコンドリアDNA(mtDNA)点変異m.3460G>A、m.11778G>Aおよびm.14484T>Cのうちの1つを持ち、該変異すべてにミトコンドリア呼吸鎖の複合体Iをコードする遺伝子が関与していることが公知である。
【0005】
視力喪失の発病は8から60歳までの範囲であるが、15から30歳の間に最も多く発生する。しかしながら、視力低下は7歳になるまでの間に既に発生している可能性がある。該疾患は、主に男性に影響を及ぼす。
【0006】
概して、LHONキャリアは、片眼における霧視または視力混濁を経験するまで無症状のままであり、もう片眼は約6から8週間遅延して順次に冒される。LHON患者は、とりわけ緑色/赤色視野における退色が付随して起こる中心視の急速かつ無痛の喪失を経験する。視力は、通常は、数か月で20/400のレベルに達する。眼底検査において、特徴的徴候は、網膜中心血管の血管蛇行、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹、および蛍光眼底血管造影法における漏出の欠如を包含する。6か月後、視神経萎縮症は普遍的な特色である。視力回復が観察されるのは稀な症例とされているが、少なくとも点変異m.11778G>Aを有する患者においては改善の見込みがある。LHONは、患者の大部分が機能改善を示さず、かつ法的盲となる壊滅的な障害である。
【0007】
常染色体優性遺伝性視神経萎縮症、キュア(Kjer)型;キュア視神経萎縮症;またはキュアの常染色体優性遺伝性視神経萎縮症としても公知の優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)は、幼児期に開始し成人期に進行する中心視の緩徐進行性両側性喪失を特徴とする。これは、1886年にD.Battenによって最初に記述された。該疾患は、視神経に影響を及ぼし、幼児期に始まる視力の低下および失明を引き起こす常染色体遺伝性疾患である。この状態は、視神経線維の死滅を媒介するミトコンドリア機能不全によるものである。
【0008】
視力予後はLHONと比較すると良好であるが、DOAは重大な視力機能障害をもたらし、すべての冒された個体の約半分が運転免許を取得できず、13〜46%が法的盲として登録される。DOAにおける優性色覚欠如は、青−黄および赤−緑軸の両方が関与する色弱である。DOAの患者は、網膜神経節細胞層のびまん性萎縮、ミエリンの喪失、および外側膝状体まで伸展する前部視覚路に沿って線維性グリオーシスを経験する。
【0009】
DOAにおける視力喪失は、ミトコンドリア機能不全からの視神経線維喪失によるものである。優性遺伝性視神経萎縮症は、OPA1遺伝子の変異に関連する。視神経萎縮症を引き起こすものとして、他6つの染色体性遺伝子が記載される:OPA2(不明瞭)、OPA3(優性)、OPA4(優性)、OPA5(優性)、OPA6(劣性)およびOPA7(優性)。優性遺伝性視神経萎縮症は、単一疾患が異なる遺伝子座における種々の遺伝的欠損によって引き起こされ得るという遺伝的異質性を実証する。DOAを引き起こすOPA1遺伝子の60超の異なる変異が報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
故に、レーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症の有効な治療について重要かつ満たされていない必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
一実施形態において、本発明は、特定化合物を用いてレーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症を治療する方法を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量の1種または複数のトコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量の1種または複数のトコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0015】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0016】
別の実施形態において、医薬調製物は、LHONまたはDOAに罹患している患者に投与された場合に、少なくとも網膜または視神経系において治療レベルの化合物を提供するのに十分なアルファ−トコトリエノールキノンを含有する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のアルファ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するアルファ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0018】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のアルファ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するアルファ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0019】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A点変異を有する、または該個体は14484T>C点変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0020】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0021】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0022】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0023】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のベータ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するベータ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0024】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のベータ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するベータ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0025】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A変異を有する、または該個体は14484T>C変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0026】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0027】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0028】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0029】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のガンマ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するガンマ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0030】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のガンマ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するガンマ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0031】
ガンマ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A変異を有する、または該個体は14484T>C変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0032】
ガンマ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0033】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0034】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0035】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のデルタ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するデルタ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0036】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のデルタ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するデルタ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0037】
デルタ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A点変異を有する、または該個体は14484T>C点変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0038】
デルタ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0039】
一実施形態において、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体は、ミトコンドリア電子伝達鎖の複合体Iに影響を及ぼす変異を有する。
【0040】
一実施形態において、LHONまたはDOAに罹患している個体は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点(centrocecal scotomas)、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、瞳孔対光応答の欠乏(sparing of pupillary light responses)、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を有する。
【0041】
一実施形態において、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン等、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノン、デルタ−トコトリエノールキノンまたはデルタ−トコトリエノールハイドロキノンの1つまたは複数の、LHONに罹患している個体への投与は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を和らげる。
【0042】
一実施形態において、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン等、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノン、デルタ−トコトリエノールキノンまたはデルタ−トコトリエノールハイドロキノンの1つまたは複数の、DOAに罹患している個体への投与は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を和らげる。
【0043】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症の進行を停止することができる。
【0044】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、視力活性(visual activity)の進行を停止する。別の実施形態において、治療に使用される化合物は、色覚の喪失の進行を停止する。
【0045】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、視力を、20/400未満から、または約20/400未満から、20/100に、約20/100に、または20/100超に改善する。別の実施形態において、治療に使用される化合物は、色覚を改善する。
【0046】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約1ng/mlから約5,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約2,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約2,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約1,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約500ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約250ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約150ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約100ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約50ng/mlとなるような量で、患者に投与される。
【0047】
一実施形態において、LHONまたはDOAを治療する際に使用するための化合物は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノン、または前述の化合物の2つ以上の任意の組合せからなる群から選択され、補給チューブ、補給シリンジまたは胃造瘻を介する投与に適切な医薬調製物中で製剤化される。別の実施形態において、LHONまたはDOAを治療する際に使用するための化合物は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノン、または前述の化合物の2つ以上の任意の組合せからなる群から選択され、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油を含む医薬調製物中で製剤化される。別の実施形態において、LHONまたはDOAを治療する際に使用するための化合物は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノン、または前述の化合物の2つ以上の任意の組合せであり、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油を含む医薬調製物中で製剤化され、該医薬調製物は、経口投与に適切である。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明は、眼科的有効量(ophthalmically effective amount)のアルファ−トコトリエノールキノンを含む、局所、眼周囲または眼内眼科用製剤に関する。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の眼科用製剤は、点眼剤で局部的に投与される。他の実施形態において、本発明の眼科用製剤は、潅注溶液として投与される。他の実施形態において、本発明の眼科用製剤は、眼周囲に投与される。他の実施形態において、本発明の眼科用製剤は、眼内に投与される。
【0050】
別の態様において、本発明は、LHONまたはDOAからの眼科障害または視力喪失に罹患している、またはそのリスクがある患者に有益な局所眼科用製剤であって、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノンおよびデルタ−トコトリエノールキノン、またはそれらの混合物からなる群から選択される眼科的有効量の1種または複数の作用物質と;眼科的に許容されるビヒクルとを含む前記製剤に関する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、アルファ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、ベータ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、ガンマ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、デルタ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)から選択される疾患に関連する眼科障害からの保護、それらの軽減、寛解または治療に有益な、トコトリエノールキノンを含む局所眼科用製剤に関する。
【0053】
トコトリエノールキノンを使用する本明細書において記載されている化合物および方法のすべてについて、所望の場合、キノン型をその還元(ハイドロキノン、1,4−ベンゼンジオール)型で使用してもよい。同様に、所望の場合、ハイドロキノン型をその酸化(キノン)型で使用してもよい。
【0054】
本明細書において記載されている化合物および方法のすべてについて、本発明は、開示されている化合物および方法の治療における使用も包括する。本発明は、レーバー遺伝性視神経症を治療する際に使用するための薬剤の調製のための、本明細書において記載されている化合物の使用も包括する。本発明は、優性遺伝性視神経萎縮症を治療する際に使用するための薬剤の調製のための、本明細書において記載されている化合物の使用も包括する。
【0055】
本発明は、多様な態様、特色および実施形態を含み、そのような多様な態様、特色および実施形態は、任意の望ましい様式で組み合わせてよく、順序を変えてよい。本発明のこれらおよび他の態様、特色および実施形態は、下記の詳細な記述を包含する本出願の残りを参照して、明白となるであろう。加えて、ある特定の組成物および/または方法をより詳細に記述する種々の参考文献が本明細書において明記されており、そのような参考文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)の存在下における、Coriell Cell Repositories(Camden、NJ;保管番号GM03858)から入手したLHON変異を有する細胞の生存率を示すグラフを例証するものである。アルファ−トコトリエノールキノンは、12nMのEC50を表示した。
【図2】図2は、LHON 11778変異を有する患者(A)の、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療に応答した右眼および左眼の視力を示す2つのグラフを例証するものである。患者(A)は、左眼において網膜症も患っている。アルファ−トコトリエノールキノンを用いる治療は、右眼の視力を20/400から20/200に改善した。網膜症を有する左眼の視力も、わずかだけ改善された。
【図3】図3は、8枚のプレートを用いて実施した石原(Ishihura)式色覚検査の結果を示す2つのグラフを例証するものである。患者(A)の両眼における色覚は、ベースラインから低下していなかった。
【図4】図4は、患者(A)の視野を例証するものである。網膜症に罹患している左眼は測定できない。左眼の視野における主要な改善を、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後30日目について示す。
【図5】図5は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後5日目について、光干渉断層法(OCT)を用いて測定した場合の、患者(A)の眼における網膜厚の傾斜を例証するものである。
【図6】図6は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療に応答したLHON 11778変異を有する患者(B)の右眼および左眼の視力を示す2つのグラフを例証するものである。両眼において改善がみられる。
【図7】図7は、8枚のプレートを用いて実施した石原式色覚検査の結果を示す2つのグラフを例証するものである。患者(B)の左眼の色覚は正常まで改善しており、該患者の右眼は治療前であった。
【図8】図8は、患者(B)の両眼の視野を例証するものである。アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後41日目について、両眼におけるいくらかの改善が示されている。
【図9】図9は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後15日目について、光干渉断層法(OCT)を用いて測定した場合の、患者(B)の眼における網膜厚の傾斜を例証するものである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
発明の詳細な説明
本発明は、特定化合物を用いてレーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症を治療する方法に関する。
【0058】
一態様において、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノンおよびデルタ−トコトリエノールキノンを包含するトコトリエノールキノンが、治療において使用するように企図されている。別の態様において、アルファ−トコトリエノールキノンが、治療において使用するように企図されている。トコトリエノールキノンの構造が以下の表1において与えられる。本発明の一実施形態においては、自然発生的なトコトリエノール配置のトコトリエノールキノンが使用されるが、他の立体異性体、および/またはラセミ混合物等の立体異性体の任意の比率の混合物を本発明において使用してもよい。
【0059】
トコトリエノールキノンは、表1に示す通りそれらの酸化型で使用されてよく、または、表2に示す通りそれらの還元ハイドロキノン型で使用されてもよい。キノン(シクロヘキサジエンジオン)型およびハイドロキノン(ベンゼンジオール)型は、適した試薬を用いて容易に相互転換される。キノンを、エーテル溶媒とNa2S2O4の塩基性水溶液との二相混合物中で処理してよい(Vogel, A.I.ら、Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry、第5版、Prentice Hall: New York、1996年;9.6.14節Quinones、「Reduction to the Hydroquinone」)。酸素の不在下における標準的なワークアップにより、所望のハイドロキノンが得られる。硝酸セリウムアンモニウム(CAN)または塩化第二鉄等の酸化剤を用いて、ハイドロキノン型をキノン型に酸化させることができる。キノンおよびハイドロキノン型は、当技術分野において周知のように、電気化学的にも容易に相互転換される。例えば、Streitweiser & Heathcockの33.4節、Introduction to Organic Chemistry、New York: Macmillan、1976年を参照されたい。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
「個体」、「被験体」または「患者」が意味するのは、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0062】
本明細書で論じられる化合物および方法を用いて疾患を「治療すること」は、さらなる治療剤の有無にかかわらず、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状のいずれかを軽減または解消するため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅らせるため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を軽減するために、本明細書で論じられる化合物の1つまたは複数を投与することとして定義される。本明細書で論じられる化合物および方法を用いる疾患の「抑制」は、さらなる治療剤の有無にかかわらず、疾患の臨床的兆候を抑制するため、または疾患の有害な症状の兆候を抑制するために、本明細書で論じられる化合物の1種または複数を投与することとして定義される。治療と抑制との間の違いは、治療は疾患の有害な症状が被験体において現れた後に発生するのに対し、抑制は疾患の有害な症状が被験体において現れる前に発生することである。抑制は、部分的、略全体的または全体的であってよい。
【0063】
LHONおよびDOAは遺伝子変異によるものであるため、遺伝的スクリーニングを使用して、該疾患のリスクがある患者を特定することができる。LHONは、ミトコンドリア呼吸鎖の複合体Iにおける変異から生じ得る。あらゆる有害な症状の出現を抑制し、または発生し得る症状の重症度を下げるために、本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、該疾患の臨床症状を発症するリスクがある、複合体Iにおける変異を有する無症状の患者を治療することができる。疾患を治療するために、本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、特に点変異11778G>A、3460G>Aまたは14484T>Cを包含するがこれらに限定されない、複合体Iにおける変異を有する症状のある患者を治療することができる。
【0064】
あらゆる有害な症状の出現を抑制し、または発生し得る症状の重症度を下げるために、本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、眼の疾患の臨床症状を発症するリスクがある、OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7等のOPA遺伝子における変異を有する無症状の患者を治療することができる。本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7等のOPA遺伝子における変異を有する症状のある患者を治療することができる。本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、OPA1遺伝子における変異を有する症状のある患者を治療することができる。
【0065】
本明細書で論じられる化合物の「治療的使用」は、疾患を上記で定義された通りに治療または抑制するために、本明細書で論じられる化合物の1種または複数を使用することとして定義される。化合物の「治療有効量」は、被験体に投与された場合に、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状のいずれかを軽減または解消するため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅らせるため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を軽減するため、あるいは疾患の臨床的兆候を抑制するため、あるいは疾患の有害な症状の兆候を抑制するために十分な化合物の量である。治療有効量は、1回または複数回の投与で与えてよい。
【0066】
本明細書において記載されている化合物が発生し得、中性(非塩)化合物として使用され得るが、本明細書は、本明細書において記載されている化合物のすべての塩およびそのような化合物の塩を使用する方法を内包するものとする。一実施形態において、化合物の塩は、薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩は、薬物または医薬品としてヒトおよび/または動物に投与され得、投与すると、遊離化合物(中性化合物または非塩化合物)の生物活性の少なくともいくつかを保持する塩である。塩基性化合物の所望の塩は、当業者に公知の方法により、化合物を酸で処理することによって調製できる。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸を包含するがこれらに限定されない。有機酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、スルホン酸およびサリチル酸を包含するがこれらに限定されない。アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩等、アミノ酸との塩基性化合物の塩を調製することもできる。酸性化合物の所望の塩は、当業者に公知の方法により、化合物を塩基で処理することによって調製できる。酸化合物の無機塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩等のアルカリ金属およびアルカリ土類塩;アンモニウム塩;ならびにアルミニウム塩を包含するがこれらに限定されない。酸化合物の有機塩の例は、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンおよびトリエチルアミン塩を包含するがこれらに限定されない。リジン塩等、アミノ酸との酸性化合物の塩を調製することもできる。
【0067】
本明細書における化合物の記述には、ジアステレオマーおよび鏡像異性体を包含する化合物のすべての立体異性体、ならびにラセミ混合物を包含するがこれに限定されない立体異性体の任意の比率の混合物も包含される。立体化学が構造中に明示されているのでない限り、構造は、描写されている化合物の考えられるすべての立体異性体を内包するものとする。分子の一部分(単数または複数)について立体化学が明示されており、分子の別の部分(単数または複数)については明示されていない場合、構造は、立体化学が明示されていない部分(単数または複数)について考えられるすべての立体異性体を内包するものとする。
【0068】
化合物は、プロドラッグ形態で投与され得る。プロドラッグは、化合物の誘導体であり、それ自体は比較的不活性であるが、プロドラッグが使用される被験体に導入されると、酵素的変換等のインビボにおける化学的または生物学的過程によって活性化合物に変換する。適切なプロドラッグ製剤は、本明細書に開示されている化合物のペプチド共役体および本明細書に開示されている化合物のエステルを包含するがこれらに限定されない。適切なプロドラッグについてのさらなる考察は、H. Bundgaard、Design of Prodrugs、New York: Elsevier、1985年;R. Silverman、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Boston: Elsevier、2004年;R.L. Juliano(編)、Biological Approaches to the Controlled Delivery of Drugs(Annals of the New York Academy of Sciences、507巻)、New York: New York Academy of Sciences、1987年;ならびにE.B. Roche(編)、Design of Biopharmaceutical Properties Through Prodrugs and Analogs(Symposium sponsored by Medicinal Chemistry Section、APhA Academy of Pharmaceutical Sciences、1976年11月学会、Orlando、Florida)、Washington: The Academy、1977年において提供されている。
治療有効性をモニタリングする
日常血漿分析物:ラクテート:ピルベートおよびベータ−ヒドロキシブチレート:アセトアセテートを包含する血中ケトン体比は、電子収支を反映している。これらの比率における変調を使用して、全身の代謝機能を評価することができる。血中ラクテートの上昇、血中ピルベートの上昇、血中アラニンの上昇、および血液pH(代謝性アシドーシスを確認するため)をモニタリングしてもよい。
【0069】
血奬および尿のメタボロミクス解析:尿分析は、患者に対して実施され得、下記の有機酸の測定を包含し得る:乳酸、ピルビン酸、コハク酸、フマル酸、2−ケトグルタル酸、メチルマロン酸、3−OH酪酸、アセト酢酸、2−ケト−3−メチル吉草酸、2−ケト−イソカプロン酸、2−ケト−イソ吉草酸、エチルマロン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、4−OH−フェニル酢酸、4−OH−フェニル乳酸、4−OH−フェニルピルビン酸、スクシニルアセトンおよびクレアチニン。患者に対して実施される尿分析は、下記のアミノ酸の測定も包含し得る:プロリン、グルタミン、スレオニン、セリン、グルタミン酸、アルギニン、グリシン、アラニン、ヒスチジン、リシン、バリン、アスパラギン、メチオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、ヒドロキシプロリン、クレアチニン、アスパラギン酸、システイン、オルニチン、シトルリン、ホモシステインおよびタウリン。代謝分析物のパネルにおいて、下記が測定され得る:ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、アニオンギャップ、グルコース(血清)、尿素窒素(血液)、クレアチニン、カルシウム、ビリルビン、アスパラギン酸塩アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、総タンパク質量(血清)、アルブミン(血清)および溶血指数。最近、クリティカルパス・イニシアチブは、腎ミトコンドリア機能も反映し得る薬物毒性を予測するためのバイオマーカーの電池を提案した。KIM−1、アルブミン、総タンパク質量、β2−ミクログロブリン、シスタチンC、クラステリン、トレフォイル因子−3、および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリンにおける変調を使用して、(存在する場合)無症候性腎症を検出することおよび腎機能のより正確な描写を結集することの両方ができる。最後に、Haasら、Mol Genet Metab.(2008年)94巻(1号):16〜37頁は、本発明において使用され得るMRSベースの生化学分析等の種々の試験について記載している。
【0070】
光干渉断層法(OCT):OCTは、眼底の内側にある多層感覚組織である網膜を撮像するために使用される非侵襲的技術である。医師が網膜の断面像を見ることができるようにするための最初の機器であるOCTは、黄斑円孔、網膜前膜、黄斑腫脹およびさらには視神経損傷等の眼の状態の早期検出および治療に革命をもたらしつつある。網膜厚は、網膜厚解析装置(RTA;Talia Technology,Ltd.、Mevasseret Zion、Israel)およびハイデルベルグレチナトモグラフ(HRT;Heidelberg Engineering GmbH、Heidelberg、Germany)等の他のデバイスを使用して測定することもできる。当業者であれば、網膜厚の傾斜は無数の距離にわたって算出できること、および最短距離は本発明の方法を実践するために使用されるデバイスの解像度によってのみ限定されることを理解するであろう。
【0071】
石原式色覚検査:石原式色覚検査は、赤緑色覚異常についての検査である。該検査は、石原表と呼ばれる多数の彩色プレートからなり、そのそれぞれは、色およびサイズが無作為に表示されたドットの集合体を含有する。パターン内には、正常な色覚の人々には可視であり、かつ赤緑色覚欠損の人々には不可視または見ることが困難な、番号を形成するドットがある。全検査は38のプレートからなるが、通常、数枚のプレートを終えたところで欠損症があることが明確になる。最初の24のプレートの検査をすることにより、色覚欠損の重症度についてより正確な診断が為される。
【0072】
一般的なプレートは、褐色の色合いで識別される数字を伴う緑色および薄青色の色合いのドットの集合体、または、緑色の色合いの数字を伴う赤色、橙色および黄色の色合いのドットの集合体を包含し、1つ目は赤色盲について検査するもの、2つ目は緑色盲について検査するものである。
レーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症:治療を行いやすい症状
LHONは、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症を包含する数種の壊滅的な症状を生じさせる。LHONにおいては瞳孔対光応答の欠乏が観察され、LHONを他の視覚性障害から識別する際に有用である(Bremner, F.D.、「Pupil assessment in optic nerve disorders」、Eye(2004年)18巻、1175〜1181頁を参照)。
【0073】
DOAの症状は、LHONのものと類似している。これらの症状は、幼児期に開始し成人期に可変的に進行する中心視の両側性喪失、盲点中心暗点、視神経乳頭の色覚の機能障害および耳側蒼白、視神経萎縮症ならびに視神経乳頭陥凹を包含する(Carelli、V.、「Retinal Ganglion Cell Neurodegeneration in Mitochondrial Inherited Disorders」、Biochimica et Biophysica Acta.、2009年;1787巻:518〜528頁を参照)。
【0074】
一実施形態において、本発明の方法は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症を包含する、LHONまたはDOAの1つまたは複数の症状を和らげることができる。一実施形態において、本発明の方法は、視力の喪失、中心視の喪失、または色覚の機能障害を包含する、LHONまたはDOAの1つまたは複数の症状を和らげることができる。
レーバー遺伝性視神経症を引き起こす変異
エネルギー代謝に関与する遺伝子における数種の変異は、LHONに関係する。前記変異は、ミトコンドリア電子伝達鎖における複合体Iに影響を及ぼす。
【0075】
現時点ではLHONの症状を現していない、これらの遺伝子における変異を有する個体は、LHONの症状を抑制するため、または発症したらLHONの症状の重症度を下げるために、本発明の方法を用いて治療できる。したがって、一態様において、本発明は、トコトリエノールキノン等の特定化合物を、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。別の態様において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。
【0076】
複合体Iに影響を及ぼす変異から生じるLHON障害は、本発明にとって興味深いものである。これらの変異は、点変異11778G>A、点変異3460G>Aまたは点変異14484T>Cを包含するがこれらに限定されない。
優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を引き起こす変異
エネルギー代謝に関与する遺伝子における数種の変異は、DOAに関係する。前記変異は、染色体3q28−qterにマッピングされたOPA遺伝子に影響を及ぼす。OPA1遺伝子は、2000年に、Delettreら、「Nuclear gene OPA1, encoding a mitochondrial dynamin−related protein, is mutated in dominant optic atrophy」、Nat. Genet.、2000年、26巻:207〜210頁およびAlexanderら、「OPA1 encoding a dynamin−related GTPase, is mutated in autosomal dominant optic atrophy linked to chromosome 3q28」、Nat. Genet.、2000年、26巻:211〜215頁によって同定された。DOAを有する少数のファミリーは、他の染色体性OPA3、OPA4、OPA5およびOPA7遺伝子にマッピングされていた(Yu−Wai−Manら、「Inherited Mitochondrial Optic Neuropathies」、J. Med. Genet.、2009年、46巻:145〜158頁。
【0077】
現時点ではDOAの症状を現していない、これらの遺伝子における変異を有する個体は、DOAの症状を抑制するため、または発症したらDOAの症状の重症度を下げるために、本発明の方法を用いて治療できる。したがって、一態様において、本発明は、トコトリエノールキノン等の特定化合物を、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。別の態様において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。
【0078】
複合体IまたはOPA遺伝子に影響を及ぼす変異から生じる視覚性障害は、本発明にとって興味深いものである。これらの変異は、複合体I;またはOPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6もしくはOPA7、特にOPA1における、点変異11778G>A、点変異3460G>Aまたは点変異14484T>Cを包含するがこれらに限定されない。
投薬量
本発明の方法において使用される化合物は、種々の量で投与され得る。使用され得る1日投薬量の例は、体重1kgにつき約0.1mgから約300mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約100mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約80mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約50mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約30mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約10mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約80mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約50mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約30mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約10mg、または体重1kgにつき約10mgから約80mg、または体重1kgにつき約50mgから約150mg、または体重1kgにつき約100mgから約200mg、または体重1kgにつき約150mgから約250mg、または体重1kgにつき約200mgから約300mg、または体重1kgにつき約250mgから約300mg、または約もしくは最大約1mg、約もしくは最大約5mg、約もしくは最大約10mg、約もしくは最大約15mg、約もしくは最大約20mg、約もしくは最大約25mg、約もしくは最大約30mg、約もしくは最大約40mg、約もしくは最大約50mg、約もしくは最大約60mg、約もしくは最大約70mg、約もしくは最大約75mg、約もしくは最大約80mg、約もしくは最大約90mg、約もしくは最大約100mg、約もしくは最大約125mg、約もしくは最大約150mg、約もしくは最大約175mg、約もしくは最大約200mg、約もしくは最大約225mg、約もしくは最大約250mg、約もしくは最大約275mg、約もしくは最大約300mg、約もしくは最大約325mg、約もしくは最大約350mg、約もしくは最大約375mg、約もしくは最大約400mg、約もしくは最大約425mg、約もしくは最大約450mg、約もしくは最大約500mg、約もしくは最大約550mg、約もしくは最大約600mg、約もしくは最大約650mg、約もしくは最大約700mg、約もしくは最大約750mg、約もしくは最大約800mg、約もしくは最大約850mg、約もしくは最大約900mg、約もしくは最大約950mg、または合計約もしくは最大約1000mgの投薬量範囲内の有効量である。化合物(複数可)が単回日用量で投与され得、または、総1日投薬量が、1日当たり2、3または4回の分割投薬量で投与され得る。これらの投薬量は、長期間、例えば、数か月、数年にわたって、または患者の生涯にまでわたって、投与され得る。
【0079】
特定患者に適した特定の投薬量は、用量漸増法によって決定される。例えば、アルファ−トコトリエノールキノン投与の動物研究は、ラットにおいて、10mg/kgで、バイオアベイラビリティが高く(約90%)、Cmax=931ng/mL、Tmax=3.5時間かつt1/2=3.5時間であることを示した。2.4:6:10:20の用量における増大に対し、AUCにおける増大は1.5:2.8:4.0:6.7しかないため、用量比例性がより低くなる。この用量比例性の欠如は、用量範囲にわたってt1/2の変化がないことから、吸収低下によるものであり得る。ラットにおいて試験したアルファ−トコトリエノールキノンは、最大2000mg/kgを急性的に与えた際には安全であった。絶食したイヌにおいて、10mg/kgで、バイオアベイラビリティは低く(約16%)、Cmax=442ng/mL、Tmax=2.8時間かつt1/2=7.6時間である。
【0080】
アルファトコトリエノールキノンについての単回用量および反復用量血漿プロファイルは、Cmax<10μMおよびCmin>0.5μMを達成するように調整された用量を使用してシミュレートした。70kg成人についての日用量および線形動力学と仮定すると、C24時間で220.5ng/ml(0.5μM)を達成するために、総用量は379mg(5.41mg/kg)となる必要があろう。
【0081】
開始用量は、「Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」と題された米国食品医薬品局ガイドライン(2005年7月)および「Guidance on Non−clinical Safety Studies for the Conduct of Human Clinical Trials and Marketing Authorization for Pharmaceuticals」と題された日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン(2008年7月)に基づいて推定され得る。ICHガイドラインに準拠して、開始用量からの予測暴露は、より感受性の高い種においては、mg/m2ベースでNOAEL(最大無毒性量)の1/50を超えてはならない。アルファ−トコトリエノールキノンの単回経口用量に続いて、雌ラットのNOAELは500mg/kg、すなわち3,000mg/m2と確立された。この投薬量は、成体ヒトにおける81mg/kgに相当するであろう。81mg/kgの1/50は1.6mg/kgであり、すなわち、70kg成人では110mg、または10kg小児では16mgである。この用量を、1日当たり1、2または3回投与してよい。
共投与される作用物質
本明細書において記載されている化合物が唯一の活性医薬剤として投与され得る場合、該化合物を、LHONまたはDOAの治療または抑制において使用される1種または複数の他の作用物質と組み合わせて使用することもできる。LHONまたはDOAの治療または抑制のための、本明細書において記載されている化合物と組み合わせて有用となる代表的な作用物質は、コエンザイムQ10を包含するコエンザイムQ:イデベノン;MitoQ;アセチルカルニチン(アセチル−L−カルニチンまたはアセチル−DL−カルニチン等);パルミトイルカルニチン(パルミトイル−L−カルニチンまたはパルミトイル−DL−カルニチン等);カルニチン(L−カルニチンまたはDL−カルニチン等);ケルセチン(quercetine);マンゴスチン;アサイー;ウリジン;N−アセチルシステイン(NAC);レスベラトロル等のポリフェノール;ビタミンA;ビタミンC;ルテイン;ベータ−カロテン;リコペン;グルタチオン;α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3脂肪酸を包含する脂肪酸;リポ酸;およびリポ酸誘導体;ビタミンB複合体;ビタミンB1(チアミン);ビタミンB2(リボフラビン);ビタミンB3(ナイアシン、ニコチンアミドまたはナイアシンアミド);ビタミンB5(パントテン酸);ビタミンB6(ピリドキシンまたはピリドキサミン);ビタミンB7(ビオチン);ビタミンB9(葉酸、ビタミンB11またはビタミンMとしても公知);ビタミンB12(シアノコバラミン等のコバラミン);イノシトール;4−アミノ安息香酸;フォリン酸;ビタミンE;他のビタミン;ならびに抗酸化化合物を包含するがこれらに限定されない。
【0082】
共投与される作用物質は、LHONまたはDOAを治療することが意図されている一次化合物の投与と同時に、その前に、または後に投与され得る。
製剤および投与ルート
本発明の方法において使用される化合物は、十分な血漿中レベルの化合物を提供するであろう任意の適切な形態で投与され得る。化合物は、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよびビヒクルを必要に応じて含有する単位投薬量製剤で、経腸的に、経口的に、非経口的に、舌下に、吸入によって(例えば、ミストまたはスプレー剤として)、経直腸的にまたは局所的に投与され得る。例えば、適切な投与モードは、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオントフォレーシス、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内(例えば、鼻粘膜を介して)、硬膜下、直腸、胃腸等、および特定のまたは冒された臓器または組織へ直接を包含する。非経口という用語は、本明細書において使用される場合、皮下注射、静脈注射、動脈注射、筋肉注射、胸骨内注射または注入技術を包含する。化合物は、所望の投与ルートに適した薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよびビヒクルと混合される。
【0083】
経口投与は、その実行の容易さおよび患者(または介護者)コンプライアンスにより有利である。ある特定の実施形態において、活性化合物および許容される担体は、本発明の脂溶性キノンの取り込みおよび吸収を促進するために、クリームチーズ、ピーナッツバター、または少なくともカロリーの25%が脂肪由来である任意の他の食品等の食品とともに投与される。
【0084】
用語「栄養補助食品」は、食品または食品の一部であり、かつ、疾患の予防および治療を包含する医療または健康上の利益を提供する、任意の物質を指すために使用されてきた。それ故、「栄養補助食品」のラベルに該当する組成物は、単離された栄養素、ダイエタリーサプリメントおよび特定治療食から、遺伝子組換えのデザイナーフード、ハーブ製品、ならびに、シリアル、スープおよび飲料等の加工食品にまで及び得る。より技術的な意味では、該用語は、食品から単離または精製された生成物を指すために使用され、概して、通常は食品とは関係なく、かつ生理学的利益を有するまたは慢性疾患からの保護を提供することが実証された医薬形態で販売されてきた。したがって、本明細書において使用するために記載される化合物を、栄養補助食品的にまたは栄養的に許容される賦形剤、栄養補助食品的にまたは栄養的に許容される担体、および栄養補助食品的にまたは栄養的に許容されるビヒクル等の添加物とともに、栄養補助食品または栄養製剤として投与してもよい。そのような製剤は、時に医療食品と呼ばれる。適切な栄養補助食品的に許容される賦形剤は、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油を含む溶液等の液体溶液を包含し得る。本発明の化合物を、脂肪の多い食品と混合し、医療食品として投与してもよい。
【0085】
本明細書において使用するために記載される化合物は、固体形態で、液体形態で、エアゾール形態で、または、錠剤、丸剤、散剤混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム剤、液剤、坐剤、浣腸剤、結腸洗浄剤、乳剤、分散剤、食品プレミックスの形態で、および他の適切な形態で投与され得る。化合物をリポソーム製剤で投与してもよい。化合物は、プロドラッグとして投与されてもよく、該プロドラッグは、治療されている被験体において治療有効な形態への転換を受ける。さらなる投与方法は、当技術分野において公知である。
【0086】
注射用調製物、例えば滅菌注射用の水性または油脂性懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用し、当技術分野において公知の方法に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液、例えば、プロピレングリコール中の溶液等であってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中でも、用いられ得るのは、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油が溶媒または懸濁化媒体として慣行的に用いられる。この目的のために、合成モノ−グリセリドまたはジ−グリセリドを包含する任意の無刺激性固定油が用いられ得る。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射液の調製における使用を見出している。
【0087】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を包含し得る。そのような固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプン等の少なくとも1種の不活性希釈剤と混和され得る。そのような剤形は、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤も含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。錠剤および丸剤は、追加で腸溶コーティングを用いて調製することができる。
【0088】
経口投与用の液体剤形は、水等の当技術分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含し得る。そのような組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、シクロデキストリン等のアジュバント、ならびに甘味剤、香味剤および着香剤も含み得る。代替として、適切ならば、化合物を未希釈形態で投与してもよい。
【0089】
本発明において使用するための化合物は、リポソームの形態で投与してもよい。当技術分野において公知の通り、リポソームは概してリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散された単膜または多重膜の水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる非毒性の、生理的に許容され、かつ代謝可能な脂質が使用され得る。リポソーム形態の本組成物は、本発明において使用するための化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤等を含有し得る。好ましい脂質は、天然および合成両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Prescott編、Methods in Cell Biology、XIV巻、Academic Press、New York, N.W.、33頁以下参照(1976年)を参照されたい。
【0090】
本発明において使用するための化合物は、眼科的に許容されるビヒクルを追加で含む、局所、眼周囲または眼内眼科用製剤で投与されてもよい。いくつかの実施形態において、局所、眼周囲または眼内眼科用製剤は、界面活性剤、等張化剤、緩衝剤、保存剤、共溶媒および粘度構築剤(viscosity building agent)を包含するがこれらに限定されない種々の他の原料を追加で包含し得る。
【0091】
本発明において使用するための化合物および製剤は、米国特許出願公開第2009/0060981号において記載されているもの等のコンタクトレンズベースの生物活性剤送達系を使用して投与されてもよい。
【0092】
本発明の一実施形態において、眼の結膜嚢または前房への局所眼科投与または移植のための、アルファ−トコトリエノールキノンと、眼科的に許容される担体とを含む局所眼科用製剤が、それを必要とする患者に投与される。製剤は、当技術分野において公知の方法に従って所望される特定の投与ルートのために製剤化される。
【0093】
局所的に、眼周囲にまたは眼内に投与される局所眼科用製剤は、眼科的有効量のトコトリエノールキノン、好ましくはアルファ−トコトリエノールキノンを含む。本明細書において使用される場合、「眼科的有効量」は、本明細書において記載されている眼科障害の徴候または症状を軽減または解消するのに十分な量である。概して、点眼剤または眼軟膏剤の形態で眼に局所的に投与されることが意図されている製剤について、トコトリエノールキノンの総量は0.001から1.0%(w/w)となる。点眼剤として適用される場合、1〜2滴(約20〜45μlずつ)のそのような製剤が、1日当たり1回から数回投与されることになる。
【0094】
本発明の化合物は、眼科的に許容されるビヒクル中の溶液、懸濁液または乳液(分散液)として投与されてもよい。「眼科的に許容される」成分は、本明細書において使用される場合、意図された濃度で意図された使用時間にわたって、いかなる重大な眼損傷も眼の不快感も引き起こさない成分を指す。可溶化剤および安定剤等の眼科的に許容される成分はまた、化合物に非反応性であるべきである。「眼科的に許容されるビヒクル」は、化合物に非反応性であり、患者への投与に適切な任意の物質または物質の組合せを指す。適切なビヒクルは、シリコーン油、USP鉱油、ホワイト油、ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ヒマシ油および植物油、例えば、トウモロコシ油、ピーナッツ油等の生理的に許容される油を包含する非水性液体媒体であってよい。他の適切なビヒクルは、患者の眼への局所適用に適した水性または水中油型溶液であってよい。これらのビヒクルは、製剤化の容易さ、および1から2滴の液剤を冒された眼に滴注することによってそのような製剤を容易に投与する患者の能力に基づいて好適となり得る。製剤は、懸濁剤、粘性もしくは半粘性ゲル、または他の種類の固体もしくは半固体製剤、および、天然ワックス(例えば、白蜜ワックス)、カルナウバワックス、羊毛ワックス(羊毛脂)、精製ラノリン、脱水ラノリン等の脂肪基剤;石油ワックス(例えば、固形パラフィン)、微晶質ワックス;炭化水素(例えば、流動パラフィン)、白色ワセリン、黄色ワセリン;またはそれらの組合せであってもよい。製剤は、手、またはワイプ、コンタクトレンズ、滴瓶もしくはスプレー等のアプリケーターの使用によって適用され得る。
【0095】
本発明に従って投与される局所眼科用製剤は、界面活性剤、等張化剤、緩衝剤、保存剤、共溶媒および粘度構築剤を包含するがこれらに限定されない種々の他の原料も包含し得る。
【0096】
組成物の張度を、好ましくは眼科用組成物用に自然涙の張度に調整するために、種々の等張化剤を用いてよい。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロースおよび/またはマンニトールを組成物に添加して、生理学的張度に近似することができる。等張化剤のそのような量は、添加される特定の作用物質に応じて変動することになる。しかしながら、概して、製剤は、最終組成物に眼科的に許容されるオスモル濃度を有させるのに十分な量(概して約200〜400mOsm/kg)の等張化剤を有することになる。
【0097】
保存条件下でのpHドリフトを防止するために、適切な緩衝系(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸)を製剤に添加してよい。特定の濃度は、用いられる作用物質に応じて変動することになる。しかしながら、好ましくは、緩衝剤は、標的pHをpH6〜7.5の範囲内に維持するように選択される。
【0098】
LHONおよびDOAに関連する眼科障害の治療のための局所眼科用製剤は、ドライアイ型状態の即時の短期的緩和を提供するように設計された水性担体を含んでもよい。そのような担体は、リン脂質担体もしくは人工涙液担体、または両方の混合物として製剤化され得る。本明細書において使用される場合、「リン脂質担体」および「人工涙液担体」は、(i)潤滑化し、「湿らせ」、内因性の涙の粘稠度に近似し、自然涙の蓄積を補助し、または別様にして眼投与時にドライアイ症状および状態の一時的緩和を提供する、1種もしくは複数のリン脂質(リン脂質担体の場合)または他の化合物を含み、(ii)安全であり、かつ(iii)有効量の本明細書に開示されている化合物の1つまたは複数の局所投与に適した送達ビヒクルを提供する、水性製剤を指す。人工涙液担体として有用な人工涙液組成物の例は、Tears Naturale(登録商標)、Tears Naturale II(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)およびBion Tears(登録商標)(Alcon Laboratories、Inc.、Fort Worth、Tex.)等の市販の製品を包含するがこれらに限定されない。リン脂質担体製剤の例は、米国特許第4,804,539号(Guoら)、同第4,883,658号(Holly)、同第4,914,088号(Glonek)、同第5,075,104号(Gresselら)、同第5,278,151号(Korbら)、同第5,294,607号(Glonekら)、同第5,371,108号(Korbら)、同第5,578,586号(Glonekら)において開示されているものを包含し、前述の特許は、それらが本発明においてリン脂質担体として有用なリン脂質組成物を開示する程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
潤滑化し、「湿らせ」、内因性の涙の粘稠度に近似し、自然涙の蓄積を補助し、または別様にして眼投与時にドライアイ症状および状態の一時的緩和を眼に提供するように設計された他の化合物は、当技術分野において公知である。そのような化合物は、組成物の粘度を増強することができ、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール等の単量体ポリオール;ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等の重合体ポリオール;デキストラン70等のデキストラン;ゼラチン等の水溶性タンパク質;ならびにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポビドンおよびカルボマー等のビニルポリマーを包含するがこれらに限定されない。
【0100】
担体の粘度を増大させるために、本発明の局所眼科用製剤に他の化合物を添加してもよい。粘度増強剤の例は、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの種々のポリマー等の多糖類;ビニルポリマー;ならびにアクリル酸ポリマーを包含するがこれらに限定されない。概して、リン脂質担体または人工涙液担体組成物は、1から400センチポアズの粘度を呈することになる。
【0101】
局所眼科用生成物は、典型的には、多回用量形態で包装される。故に、使用中の微生物汚染を防止するために、保存剤が必要である。適切な保存剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、ポリクオタニウム−1、または当業者に公知である他の作用物質を包含する。そのような保存剤は、典型的には、0.001から1.0%w/vのレベルで用いられる。本発明の単位用量組成物は、無菌となるが、典型的には保存されない。したがって、そのような組成物は、概して保存剤を含有しない。
【0102】
本発明のトコトリエノールキノンは、眼周囲投与を介して投与されてもよく、眼周囲投与用の溶液または懸濁液中で製剤化され得る。眼周囲投与に有用な製剤は、概して、眼周囲注射製剤または手術用潅注溶液となる。眼周囲投与は、眼球の周りおよび眼窩内の組織または空間への投与等、眼付近の組織への投与を指す。眼周囲投与は、注射、堆積、または任意の他の配置モードによって行われ得る。眼周囲投与ルートは、結膜下、脈絡膜上、強膜近傍、後強膜近傍、テノン嚢下、後部テノン嚢下、球後、球周囲または球側方(laterobulbar)送達を包含するがこれらに限定されない。Raghavaら、Expert Opin. Drug Deliv.、1巻(1号):99〜114頁(2004年)、Ghateら、Investigative Ophthalmology and Visual Science、48巻(5号):2230頁(2007年)、Karl G. Csaky、Retina Today、32〜35頁(2007年3月/4月)、WO2009/023877、およびEP1611879は、眼周囲投与の種々のルートについて記載している。
【0103】
本発明のトコトリエノールキノンは、眼内投与用の溶液または懸濁液中で製剤化され得る。眼内投与に有用な製剤は、概して、眼内注射製剤または手術用潅注溶液となる。
【0104】
概して、上述した目的のために利用される用量は変動することになるが、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、または寛解させるための有効量となる。本明細書において使用される場合、「眼科的有効量」または「治療有効量」は、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、または寛解させる活性剤の量を指す。トコトリエノールキノンは、概して、約0.001から約10.0重量/体積%(「%w/v」)の量で、本明細書において企図されている、局所、眼周囲または眼内製剤に含有されることになる。好ましい濃度は、約0.1から約5.0%w/vの範囲となる。局所製剤は、概して、熟練した臨床医の裁量で、1日当たり1から6回、眼に送達されることになる。
【0105】
単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、該活性成分が投与される患者および特定の投与モードに応じて変動し得る。しかしながら、任意の特定の患者の特定の用量レベルは、用いられる特定化合物の活性;患者の年齢、体重、体面積、体格指数(BMI)、全身の健康、性別および食習慣;使用される投与時間および投与ルート;排泄率;もしあれば使用される薬物の組合せ;ならびに療法を受けている患者における疾患の進行および重症度を包含する様々な要因によって決まることが理解されよう。選択された医薬単位投薬量は、通常、血液、網膜、または身体の他の標的領域において規定の最終濃度の薬物を提供するために加工され、投与される。
【0106】
本発明において使用するための化合物を単回日用量で投与してよく、または総1日投薬量を1日当たり2、3もしくは4回の分割投薬量で投与してよい。
【0107】
本発明において使用するための化合物は、唯一の活性医薬剤として投与され得るが、障害の治療または抑制において使用される1種または複数の他の作用物質と組み合わせて使用してもよい。
【0108】
本発明において使用するための化合物と組み合わせてさらなる活性剤を使用する場合、該さらなる活性剤は、概して、参照により本明細書に組み込まれるPhysicians’ Desk Reference(PDR)、第63版(2009年)において示されている通りの治療量で、または当業者に公知であるような、もしくは各患者について実験的に決定されるような治療上有用な量で用いられ得る。
【0109】
本発明において使用するための化合物および他の治療活性剤は、推奨される最大臨床投薬量で、またはそれより低用量で投与され得る。本発明において使用するための組成物中における活性化合物の投薬量レベルは、所望の治療応答を得るように、投与経路、疾患の重症度および患者の応答に応じて変動され得る。他の治療剤と組み合わせて投与する場合、治療剤は、同時もしくは異なる時に与えられる別個の組成物として製剤化されてよく、または治療剤は単一の組成物として与えられてよい。
【0110】
一実施形態において、トコトリエノールキノン調製物等の化合物の調製物の純度は、あらゆる医薬担体もしくは賦形剤、またはあらゆる追加活性剤の添加前に測定される。例えば、国際特許出願第PCT/US2009/062212号または米国特許出願第12/606,923号において記載されている方法のいずれかに従ってアルファ−トコトリエノールキノンが調製される場合、アルファ−トコトリエノールキノンの純度は、選択された方法の最終生成物について、医薬担体(複数可)もしくは賦形剤(複数可)またはさらなる活性剤(複数可)を添加する前に測定される。所望のトコトリエノールキノンまたは他の化合物の純度は、あらゆる医薬担体もしくは賦形剤、またはあらゆる追加活性剤の添加前、重量で、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%となり得る。モル分率で、または任意の他の相対測定(重量/体積等)でも、これらと同じ数値の純度レベルが使用され得る。
【0111】
別の実施形態において、トコトリエノールキノン調製物等の化合物の調製物の純度は、調製物中におけるトコトリエノールキノンおよび(存在する場合)トコトリエノールの総量に対する所望のトコトリエノールキノンの分率として測定される。例えば、100mgのアルファ−トコトリエノールキノン、50mgのベータ−トコトリエノールキノンおよび50mgのガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを含有する組成物は、調製物中に存在する他の非トコトリエノールまたは非トコトリエノールキノン化合物の量に関係なく、50重量%のアルファトコトリエノールキノンとして記述されるであろう。この純度測定は、医薬担体もしくは賦形剤の添加前もしくは後、または任意の非トコトリエノール/非トコトリエノールキノン活性剤の添加前もしくは後のいずれで測定されるかにかかわらず、同じになるであろう。所望のトコトリエノールキノンまたは他の化合物の純度は、重量で、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%となり得る。モル分率で、または任意の他の相対測定(重量/体積等)でも、これらと同じ数値の純度レベルが使用され得る。
キット
本発明は、LHONおよびDOAを治療するために有用な材料を含有する、製造品およびキットも提供する。製造品は、ラベル付き容器を含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアルおよび試験管を包含する。容器は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する。一実施形態において、化合物はアルファ−トコトリエノールキノンである。一実施形態において、活性剤はアルファ−トコトリエノールキノンである。容器に付されたラベルは、組成物がLHONおよびDOAを治療するために使用されるものであることを示し、治療において使用するための指示も示し得る。
【0112】
本発明は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物の任意の1つまたは複数を含むキットも提供する。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する、上述した容器を含む。他の実施形態において、本発明のキットは、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する、上述した容器と、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油等、化合物または組成物のためのビヒクルを含む第二の容器とを含む。他の実施形態において、本発明のキットは、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する、上述した容器を含み、ここで、該化合物または組成物は、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油等の、化合物または組成物のためのビヒクルと予め混合されたものである。キットは、LHONまたはDOAの治療のための、他のビヒクル、緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書において記載されている方法のいずれかを実施するための使用説明書付き添付文書を包含する、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに包含し得る。
【0113】
他の態様において、キットは、例えば、LHONまたはDOAの個体を治療することを包含する、本明細書において記載されている方法のいずれかに使用され得る。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
LHON細胞株アッセイおよび有効な化合物のための初期スクリーニング
Coriell Cell Repositories(Camden、NJ;保管番号GM03858)から入手したレーバー遺伝性視神経症(LHON)線維芽細胞をL−ブチオニン−(S,R)−スルホキシミン(BSO)の添加によって及ぼされるストレスから救済するその能力について、アルファ−トコトリエノールキノンを、Jauslinら、Hum. Mol. Genet.、11巻(24号):3055頁(2002年)、Jauslinら、FASEB J.、17巻:1972〜4頁(2003年)、および国際特許出願第WO2004/003565号において記載されている通りに試験した。試験化合物およびその酸化還元サイレントバージョンのEC50濃度を決定し、比較した。
【0115】
MEM(アミノ酸およびビタミンが豊富な培地、カタログ番号1−31F24−I)およびMedium 199(M199、カタログ番号1−21F22−I)(アール平衡塩含、フェノールレッド不含)は、Bioconceptから購入した。ウシ胎仔血清は、PAA Laboratoriesから入手した。塩基性線維芽細胞成長因子および上皮成長因子は、PeproTechから購入した。ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン混合物、L−ブチオニン(S,R)−スルホキシミン、およびウシ膵臓由来のインスリンは、Sigmaから購入した。カルセインAMは、Molecular Probesから購入した。125mLのM199 EBS、50mlのウシ胎仔血清、100U/mLのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのグルタミン、10μg/mLのインスリン、10ng/mLのEGFおよび10ng/mLのbFGFを合わせることによって細胞培養培地を作製した。体積が500mlになるまでMEM EBSを添加した。444mgのBSOを200mLの培地に溶解し、その後、濾過滅菌を行うことにより、10mMのBSO溶液を調製した。実験の経過中、この溶液を+4℃で貯蔵した。
【0116】
試験試料を1.5mLのガラスバイアルに投入した。化合物を、DMSO、エタノールまたはPBSで希釈して、5mMの貯蔵液にした。溶解したら、それらを−20℃で貯蔵した。
【0117】
試験試料は、下記のプロトコールに従ってスクリーニングした。LHON線維芽細胞を用いる培養は、液体窒素中で貯蔵された約500,000細胞を加えた1mLのバイアルから開始した。細胞を、9つのプレートが利用可能になるまで3日ごとに1:3の比率で分割することにより、10cmの細胞培養皿に播種した。集密的になったら、線維芽細胞を収穫した。54枚のマイクロタイタープレート(96ウェル−MTP)には、100μLの培地に3,000細胞/ウェルを加えたものに相当する、計1430万個の細胞(8継代)を480mLの培地に再懸濁させた。残った細胞は、繁殖のために10cmの細胞培養プレートに分布させた(500,000細胞/プレート)。プレートを、95%の湿度および5%のCO2を有する雰囲気中、37℃で終夜インキュベートして、細胞を培養プレートに付着させた。
【0118】
MTP培地(243μL)をマイクロタイタープレートのウェルに添加した。試験化合物を解凍し、243μLの培地を含有するウェルに7.5μLの5mM貯蔵液を溶解して、150μMの原液(master solution)にした。原液からの連続希釈を作製した。単一の希釈ステップ間の期間は、可能な限り短く保った(概して1秒未満)。
【0119】
プレートを細胞培養インキュベーター内で終夜保存した。翌日、10μLの10mM BSO溶液をウェルに添加し、1mMの最終BSO濃度にした。48時間後、3つのプレートを位相差顕微鏡下で検査して、0%対照(ウェルE1−H1)中の細胞が明らかに死亡していることを検証した。すべてのプレートから培地を廃棄し、ペーパータオルの上に反転させたプレートを軽くたたくことにより、残った液体を除去した。
【0120】
次いで、1.2μMのカルセインAMを含有する100μLのPBSを各ウェルに添加した。プレートを室温で50〜70分間インキュベートした。その時間の後、PBSを廃棄し、ペーパータオル上でプレートを軽くたたき、蛍光(励起/発光波長はそれぞれ485nmおよび525nm)をGemini蛍光リーダーで読み取った。データをMicrosoft Excel(EXCELは、表計算プログラムを表すMicrosoft Corporationの登録商標である)に取り込み、各化合物についてEC50濃度を算出するために使用した。
【0121】
化合物を3回試験した、すなわち、実験を3回実施し、細胞の継代数は繰り返しごとに1だけ増加させた。
【0122】
溶媒(DMSO、エタノール、PBS)は、試験した最高濃度(1%)でも、非BSO処理細胞の生存率に対する有害作用も有さず、BSOで処理した線維芽細胞に対する有益な影響も有さなかった。いずれの化合物も自己蛍光を示さなかった。非BSO処理線維芽細胞の生存率を100%として設定し、BSOおよび化合物で処理した細胞の生存率をこの値に対して算出した。
【0123】
アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)の存在下における、LHON変異細胞についての細胞生存率アッセイの結果を図1に示す。アルファ−トコトリエノールキノンは、12nMのED50で細胞を保護する。
【0124】
(実施例2)
LHON変異と診断された女性LHON患者(A)の治療
LHON 11778点変異を有する52歳の女性患者(A)を、アルファ−トコトリエノールキノンで治療した。患者(A)は、治療を開始した際、左眼において網膜症も患っていた。
【0125】
アルファ−トコトリエノールキノンを患者に経口的に投与し、薬物は投与用のゴマ油と混合し、アイスクリームとともに摂取した。アルファ−トコトリエノールキノンの下記の投薬を使用した。
【0126】
1日目、用量は100mgTIDであった。8日目には200mgTIDまで増量し、この投薬量で継続した。
【0127】
アルファトコトリエノールキノンで治療されている間、患者の医療チームは、何らかの改善の徴候または疾患の悪化の徴候について、患者の眼をモニタリングした。
【0128】
図2、3、4および5に示す下記の結果が得られた:(i)視力の喪失進行がないこと、および20/400から20/200への改善、(ii)色覚における変化なし、(iii)視野の改善および安定なOCT。
【0129】
研究中において、あらゆる有害事象を検出するために患者(A)の緊密なモニタリングが実施された。加えて、研究者は、被験体の安全性が危険にさらされた場合、研究を中止する権限を与えられていた。有害事象は観察されなかった。
【0130】
(実施例3)
LHON変異と診断された男性LHON患者(B)の治療
LHON 11778点変異を有する23歳の男性患者(B)を、アルファ−トコトリエノールキノンで治療した。治療開始時、視力は、右眼が20/400、左眼が20/200であった。患者(A)と同じく、患者(B)を100mgTIDで7日間治療し、8日目に用量を200mgTIDまで増量した。
【0131】
図6、7、8および9は、最初の2か月間の治療中に得られた結果を示す:(i)視力の喪失進行がないこと、ならびに右眼における20/400から20/200への改善および左眼における20/200から20/100への改善、(ii)患者の右眼における色覚の改善および左眼における色覚の維持、(iii)視野の改善、ならびに(iv)左眼における安定なOCT。
【0132】
研究中において、あらゆる有害事象を検出するために患者(B)の緊密なモニタリングを実施した。加えて、研究者は、被験体の安全性が危険にさらされた場合、研究を中止する権限を有していた。有害事象は観察されなかった。
【0133】
患者(B)は復職することができ、該患者の200mg/tidアルファ−トコトリエノールキノンの摂取を継続した。
【0134】
確認のための引用によって本明細書において参照したすべての刊行物、特許、特許出願および公開された特許出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
明瞭な理解を目的として、説明および実施例によって前述の発明を一部詳細に記述してきたが、ある一定の改正および修正が実践されるであろうことが当業者には明らかである。したがって、これらの記述および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年4月28日に出願された米国仮特許出願第61/214,795号および2010年3月29日に出願された米国仮特許出願第61/318,733号の優先権の利益を主張する。これらの出願の全内容は本明細書において参照として援用される。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、トコトリエノールキノン(トコトリエノールハイドロキノンを包含する)、例えばアルファ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症(LHON)および優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
レーバー遺伝性視神経症(LHON)および優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)は、概して視神経変性および視力衰弱につながる最も一般的な単一症状の遺伝性視神経症である。
【0004】
LHONは、視神経の焦点変性に起因する中心視の両側性喪失を特徴とするミトコンドリア遺伝子疾患である。該疾患については、1871年に視力喪失の特徴的パターンを報告したTheodor Leber博士によって最初に記述された。Robert Erickson博士が遺伝形質の非メンデルパターンを報告し、ミトコンドリアDNA(mtDNA)変異を示唆したのは、1972年になってからであった。特定の変異m.11778G>Aとの関連は、1988年になってDouglas Wallace博士によって最初に同定された。現在は、LHON系統の95%超が、3つのミトコンドリアDNA(mtDNA)点変異m.3460G>A、m.11778G>Aおよびm.14484T>Cのうちの1つを持ち、該変異すべてにミトコンドリア呼吸鎖の複合体Iをコードする遺伝子が関与していることが公知である。
【0005】
視力喪失の発病は8から60歳までの範囲であるが、15から30歳の間に最も多く発生する。しかしながら、視力低下は7歳になるまでの間に既に発生している可能性がある。該疾患は、主に男性に影響を及ぼす。
【0006】
概して、LHONキャリアは、片眼における霧視または視力混濁を経験するまで無症状のままであり、もう片眼は約6から8週間遅延して順次に冒される。LHON患者は、とりわけ緑色/赤色視野における退色が付随して起こる中心視の急速かつ無痛の喪失を経験する。視力は、通常は、数か月で20/400のレベルに達する。眼底検査において、特徴的徴候は、網膜中心血管の血管蛇行、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹、および蛍光眼底血管造影法における漏出の欠如を包含する。6か月後、視神経萎縮症は普遍的な特色である。視力回復が観察されるのは稀な症例とされているが、少なくとも点変異m.11778G>Aを有する患者においては改善の見込みがある。LHONは、患者の大部分が機能改善を示さず、かつ法的盲となる壊滅的な障害である。
【0007】
常染色体優性遺伝性視神経萎縮症、キュア(Kjer)型;キュア視神経萎縮症;またはキュアの常染色体優性遺伝性視神経萎縮症としても公知の優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)は、幼児期に開始し成人期に進行する中心視の緩徐進行性両側性喪失を特徴とする。これは、1886年にD.Battenによって最初に記述された。該疾患は、視神経に影響を及ぼし、幼児期に始まる視力の低下および失明を引き起こす常染色体遺伝性疾患である。この状態は、視神経線維の死滅を媒介するミトコンドリア機能不全によるものである。
【0008】
視力予後はLHONと比較すると良好であるが、DOAは重大な視力機能障害をもたらし、すべての冒された個体の約半分が運転免許を取得できず、13〜46%が法的盲として登録される。DOAにおける優性色覚欠如は、青−黄および赤−緑軸の両方が関与する色弱である。DOAの患者は、網膜神経節細胞層のびまん性萎縮、ミエリンの喪失、および外側膝状体まで伸展する前部視覚路に沿って線維性グリオーシスを経験する。
【0009】
DOAにおける視力喪失は、ミトコンドリア機能不全からの視神経線維喪失によるものである。優性遺伝性視神経萎縮症は、OPA1遺伝子の変異に関連する。視神経萎縮症を引き起こすものとして、他6つの染色体性遺伝子が記載される:OPA2(不明瞭)、OPA3(優性)、OPA4(優性)、OPA5(優性)、OPA6(劣性)およびOPA7(優性)。優性遺伝性視神経萎縮症は、単一疾患が異なる遺伝子座における種々の遺伝的欠損によって引き起こされ得るという遺伝的異質性を実証する。DOAを引き起こすOPA1遺伝子の60超の異なる変異が報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
故に、レーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症の有効な治療について重要かつ満たされていない必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
一実施形態において、本発明は、特定化合物を用いてレーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症を治療する方法を提供する。
【0012】
別の実施形態において、本発明は、トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量の1種または複数のトコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量の1種または複数のトコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、アルファ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のアルファ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ベータ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のベータ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールハイドロキノンを、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、デルタ−トコトリエノールハイドロキノンを用いて、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療する方法であって、治療有効量のデルタ−トコトリエノールハイドロキノンを、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体に投与するステップを含む方法を提供する。
【0014】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0015】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はアルファ−トコトリエノールキノンを含み、該アルファ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0016】
別の実施形態において、医薬調製物は、LHONまたはDOAに罹患している患者に投与された場合に、少なくとも網膜または視神経系において治療レベルの化合物を提供するのに十分なアルファ−トコトリエノールキノンを含有する。
【0017】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のアルファ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するアルファ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0018】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のアルファ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するアルファ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0019】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A点変異を有する、または該個体は14484T>C点変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0020】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0021】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0022】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はベータ−トコトリエノールキノンを含み、該ベータ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0023】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のベータ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するベータ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0024】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のベータ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するベータ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0025】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A変異を有する、または該個体は14484T>C変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0026】
アルファ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0027】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0028】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はガンマ−トコトリエノールキノンを含み、該ガンマ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0029】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のガンマ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するガンマ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0030】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のガンマ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するガンマ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0031】
ガンマ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A変異を有する、または該個体は14484T>C変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0032】
ガンマ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0033】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、該調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約99重量%を構成する。
【0034】
一実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約40重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約50重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約60重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約70重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約75重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約80重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約90重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約95重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約98重量%を構成する。別の実施形態において、個体を治療する際に使用される医薬組成物はデルタ−トコトリエノールキノンを含み、該デルタ−トコトリエノールキノンは、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約99重量%を構成する。
【0035】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のデルタ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するデルタ−トコトリエノールキノンの純度は、重量で、調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0036】
一実施形態において、本発明は、約50mgから500mgの間のデルタ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤を提供し、該製剤中に存在するデルタ−トコトリエノールキノンの純度は、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、該調製物中に存在する材料の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%または少なくとも約99%を構成する。単位投薬量製剤は、レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体の治療に使用され得る。
【0037】
デルタ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、レーバー遺伝性視神経症の個体(該個体は11778G>A点変異を有する、該個体は3460G>A点変異を有する、または該個体は14484T>C点変異を有する)等、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体を治療することができる。
【0038】
デルタ−トコトリエノールキノンの医薬組成物、医薬製剤および単位投薬量製剤の実施形態のいずれかを使用して、優性遺伝性視神経萎縮症の個体(該個体は、OPA遺伝子OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7の少なくとも1つにおいて変異を有する;特に、該個体は、OPA1遺伝子において変異を有する)等、優性遺伝性視神経萎縮症に罹患している個体を治療することができる。
【0039】
一実施形態において、レーバー遺伝性視神経症に罹患している個体は、ミトコンドリア電子伝達鎖の複合体Iに影響を及ぼす変異を有する。
【0040】
一実施形態において、LHONまたはDOAに罹患している個体は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点(centrocecal scotomas)、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、瞳孔対光応答の欠乏(sparing of pupillary light responses)、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を有する。
【0041】
一実施形態において、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン等、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノン、デルタ−トコトリエノールキノンまたはデルタ−トコトリエノールハイドロキノンの1つまたは複数の、LHONに罹患している個体への投与は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を和らげる。
【0042】
一実施形態において、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン等、治療有効量のアルファ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノン、デルタ−トコトリエノールキノンまたはデルタ−トコトリエノールハイドロキノンの1つまたは複数の、DOAに罹患している個体への投与は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を和らげる。
【0043】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症の進行を停止することができる。
【0044】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、視力活性(visual activity)の進行を停止する。別の実施形態において、治療に使用される化合物は、色覚の喪失の進行を停止する。
【0045】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、視力を、20/400未満から、または約20/400未満から、20/100に、約20/100に、または20/100超に改善する。別の実施形態において、治療に使用される化合物は、色覚を改善する。
【0046】
一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約1ng/mlから約5,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約2,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約2,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約1,000ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約500ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約250ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約150ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約10ng/mlから約100ng/mlの間となるような量で、患者に投与される。一実施形態において、治療に使用される化合物は、患者の血漿中における化合物の濃度が約50ng/mlとなるような量で、患者に投与される。
【0047】
一実施形態において、LHONまたはDOAを治療する際に使用するための化合物は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノン、または前述の化合物の2つ以上の任意の組合せからなる群から選択され、補給チューブ、補給シリンジまたは胃造瘻を介する投与に適切な医薬調製物中で製剤化される。別の実施形態において、LHONまたはDOAを治療する際に使用するための化合物は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノン、または前述の化合物の2つ以上の任意の組合せからなる群から選択され、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油を含む医薬調製物中で製剤化される。別の実施形態において、LHONまたはDOAを治療する際に使用するための化合物は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノン、または前述の化合物の2つ以上の任意の組合せであり、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油を含む医薬調製物中で製剤化され、該医薬調製物は、経口投与に適切である。
【0048】
いくつかの実施形態において、本発明は、眼科的有効量(ophthalmically effective amount)のアルファ−トコトリエノールキノンを含む、局所、眼周囲または眼内眼科用製剤に関する。
【0049】
いくつかの実施形態において、本発明の眼科用製剤は、点眼剤で局部的に投与される。他の実施形態において、本発明の眼科用製剤は、潅注溶液として投与される。他の実施形態において、本発明の眼科用製剤は、眼周囲に投与される。他の実施形態において、本発明の眼科用製剤は、眼内に投与される。
【0050】
別の態様において、本発明は、LHONまたはDOAからの眼科障害または視力喪失に罹患している、またはそのリスクがある患者に有益な局所眼科用製剤であって、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノンおよびデルタ−トコトリエノールキノン、またはそれらの混合物からなる群から選択される眼科的有効量の1種または複数の作用物質と;眼科的に許容されるビヒクルとを含む前記製剤に関する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、アルファ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、ベータ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、ガンマ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。別の実施形態において、本発明は、そのような治療を必要とする個体において、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、寛解させ、または治療するための、デルタ−トコトリエノールキノンを含む製剤の、局所、眼周囲または眼内使用に関する。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)から選択される疾患に関連する眼科障害からの保護、それらの軽減、寛解または治療に有益な、トコトリエノールキノンを含む局所眼科用製剤に関する。
【0053】
トコトリエノールキノンを使用する本明細書において記載されている化合物および方法のすべてについて、所望の場合、キノン型をその還元(ハイドロキノン、1,4−ベンゼンジオール)型で使用してもよい。同様に、所望の場合、ハイドロキノン型をその酸化(キノン)型で使用してもよい。
【0054】
本明細書において記載されている化合物および方法のすべてについて、本発明は、開示されている化合物および方法の治療における使用も包括する。本発明は、レーバー遺伝性視神経症を治療する際に使用するための薬剤の調製のための、本明細書において記載されている化合物の使用も包括する。本発明は、優性遺伝性視神経萎縮症を治療する際に使用するための薬剤の調製のための、本明細書において記載されている化合物の使用も包括する。
【0055】
本発明は、多様な態様、特色および実施形態を含み、そのような多様な態様、特色および実施形態は、任意の望ましい様式で組み合わせてよく、順序を変えてよい。本発明のこれらおよび他の態様、特色および実施形態は、下記の詳細な記述を包含する本出願の残りを参照して、明白となるであろう。加えて、ある特定の組成物および/または方法をより詳細に記述する種々の参考文献が本明細書において明記されており、そのような参考文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)の存在下における、Coriell Cell Repositories(Camden、NJ;保管番号GM03858)から入手したLHON変異を有する細胞の生存率を示すグラフを例証するものである。アルファ−トコトリエノールキノンは、12nMのEC50を表示した。
【図2】図2は、LHON 11778変異を有する患者(A)の、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療に応答した右眼および左眼の視力を示す2つのグラフを例証するものである。患者(A)は、左眼において網膜症も患っている。アルファ−トコトリエノールキノンを用いる治療は、右眼の視力を20/400から20/200に改善した。網膜症を有する左眼の視力も、わずかだけ改善された。
【図3】図3は、8枚のプレートを用いて実施した石原(Ishihura)式色覚検査の結果を示す2つのグラフを例証するものである。患者(A)の両眼における色覚は、ベースラインから低下していなかった。
【図4】図4は、患者(A)の視野を例証するものである。網膜症に罹患している左眼は測定できない。左眼の視野における主要な改善を、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後30日目について示す。
【図5】図5は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後5日目について、光干渉断層法(OCT)を用いて測定した場合の、患者(A)の眼における網膜厚の傾斜を例証するものである。
【図6】図6は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療に応答したLHON 11778変異を有する患者(B)の右眼および左眼の視力を示す2つのグラフを例証するものである。両眼において改善がみられる。
【図7】図7は、8枚のプレートを用いて実施した石原式色覚検査の結果を示す2つのグラフを例証するものである。患者(B)の左眼の色覚は正常まで改善しており、該患者の右眼は治療前であった。
【図8】図8は、患者(B)の両眼の視野を例証するものである。アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後41日目について、両眼におけるいくらかの改善が示されている。
【図9】図9は、アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)を用いる治療後15日目について、光干渉断層法(OCT)を用いて測定した場合の、患者(B)の眼における網膜厚の傾斜を例証するものである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
発明の詳細な説明
本発明は、特定化合物を用いてレーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症を治療する方法に関する。
【0058】
一態様において、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノンおよびデルタ−トコトリエノールキノンを包含するトコトリエノールキノンが、治療において使用するように企図されている。別の態様において、アルファ−トコトリエノールキノンが、治療において使用するように企図されている。トコトリエノールキノンの構造が以下の表1において与えられる。本発明の一実施形態においては、自然発生的なトコトリエノール配置のトコトリエノールキノンが使用されるが、他の立体異性体、および/またはラセミ混合物等の立体異性体の任意の比率の混合物を本発明において使用してもよい。
【0059】
トコトリエノールキノンは、表1に示す通りそれらの酸化型で使用されてよく、または、表2に示す通りそれらの還元ハイドロキノン型で使用されてもよい。キノン(シクロヘキサジエンジオン)型およびハイドロキノン(ベンゼンジオール)型は、適した試薬を用いて容易に相互転換される。キノンを、エーテル溶媒とNa2S2O4の塩基性水溶液との二相混合物中で処理してよい(Vogel, A.I.ら、Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry、第5版、Prentice Hall: New York、1996年;9.6.14節Quinones、「Reduction to the Hydroquinone」)。酸素の不在下における標準的なワークアップにより、所望のハイドロキノンが得られる。硝酸セリウムアンモニウム(CAN)または塩化第二鉄等の酸化剤を用いて、ハイドロキノン型をキノン型に酸化させることができる。キノンおよびハイドロキノン型は、当技術分野において周知のように、電気化学的にも容易に相互転換される。例えば、Streitweiser & Heathcockの33.4節、Introduction to Organic Chemistry、New York: Macmillan、1976年を参照されたい。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
「個体」、「被験体」または「患者」が意味するのは、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0062】
本明細書で論じられる化合物および方法を用いて疾患を「治療すること」は、さらなる治療剤の有無にかかわらず、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状のいずれかを軽減または解消するため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅らせるため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を軽減するために、本明細書で論じられる化合物の1つまたは複数を投与することとして定義される。本明細書で論じられる化合物および方法を用いる疾患の「抑制」は、さらなる治療剤の有無にかかわらず、疾患の臨床的兆候を抑制するため、または疾患の有害な症状の兆候を抑制するために、本明細書で論じられる化合物の1種または複数を投与することとして定義される。治療と抑制との間の違いは、治療は疾患の有害な症状が被験体において現れた後に発生するのに対し、抑制は疾患の有害な症状が被験体において現れる前に発生することである。抑制は、部分的、略全体的または全体的であってよい。
【0063】
LHONおよびDOAは遺伝子変異によるものであるため、遺伝的スクリーニングを使用して、該疾患のリスクがある患者を特定することができる。LHONは、ミトコンドリア呼吸鎖の複合体Iにおける変異から生じ得る。あらゆる有害な症状の出現を抑制し、または発生し得る症状の重症度を下げるために、本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、該疾患の臨床症状を発症するリスクがある、複合体Iにおける変異を有する無症状の患者を治療することができる。疾患を治療するために、本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、特に点変異11778G>A、3460G>Aまたは14484T>Cを包含するがこれらに限定されない、複合体Iにおける変異を有する症状のある患者を治療することができる。
【0064】
あらゆる有害な症状の出現を抑制し、または発生し得る症状の重症度を下げるために、本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、眼の疾患の臨床症状を発症するリスクがある、OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7等のOPA遺伝子における変異を有する無症状の患者を治療することができる。本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6またはOPA7等のOPA遺伝子における変異を有する症状のある患者を治療することができる。本明細書に開示されている化合物を投与し、本明細書に開示されている本発明の方法を使用して、OPA1遺伝子における変異を有する症状のある患者を治療することができる。
【0065】
本明細書で論じられる化合物の「治療的使用」は、疾患を上記で定義された通りに治療または抑制するために、本明細書で論じられる化合物の1種または複数を使用することとして定義される。化合物の「治療有効量」は、被験体に投与された場合に、疾患または疾患の1つもしくは複数の症状のいずれかを軽減または解消するため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の進行を遅らせるため、あるいは疾患または疾患の1つもしくは複数の症状の重症度を軽減するため、あるいは疾患の臨床的兆候を抑制するため、あるいは疾患の有害な症状の兆候を抑制するために十分な化合物の量である。治療有効量は、1回または複数回の投与で与えてよい。
【0066】
本明細書において記載されている化合物が発生し得、中性(非塩)化合物として使用され得るが、本明細書は、本明細書において記載されている化合物のすべての塩およびそのような化合物の塩を使用する方法を内包するものとする。一実施形態において、化合物の塩は、薬学的に許容される塩を含む。薬学的に許容される塩は、薬物または医薬品としてヒトおよび/または動物に投与され得、投与すると、遊離化合物(中性化合物または非塩化合物)の生物活性の少なくともいくつかを保持する塩である。塩基性化合物の所望の塩は、当業者に公知の方法により、化合物を酸で処理することによって調製できる。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸を包含するがこれらに限定されない。有機酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、スルホン酸およびサリチル酸を包含するがこれらに限定されない。アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩等、アミノ酸との塩基性化合物の塩を調製することもできる。酸性化合物の所望の塩は、当業者に公知の方法により、化合物を塩基で処理することによって調製できる。酸化合物の無機塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩等のアルカリ金属およびアルカリ土類塩;アンモニウム塩;ならびにアルミニウム塩を包含するがこれらに限定されない。酸化合物の有機塩の例は、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンおよびトリエチルアミン塩を包含するがこれらに限定されない。リジン塩等、アミノ酸との酸性化合物の塩を調製することもできる。
【0067】
本明細書における化合物の記述には、ジアステレオマーおよび鏡像異性体を包含する化合物のすべての立体異性体、ならびにラセミ混合物を包含するがこれに限定されない立体異性体の任意の比率の混合物も包含される。立体化学が構造中に明示されているのでない限り、構造は、描写されている化合物の考えられるすべての立体異性体を内包するものとする。分子の一部分(単数または複数)について立体化学が明示されており、分子の別の部分(単数または複数)については明示されていない場合、構造は、立体化学が明示されていない部分(単数または複数)について考えられるすべての立体異性体を内包するものとする。
【0068】
化合物は、プロドラッグ形態で投与され得る。プロドラッグは、化合物の誘導体であり、それ自体は比較的不活性であるが、プロドラッグが使用される被験体に導入されると、酵素的変換等のインビボにおける化学的または生物学的過程によって活性化合物に変換する。適切なプロドラッグ製剤は、本明細書に開示されている化合物のペプチド共役体および本明細書に開示されている化合物のエステルを包含するがこれらに限定されない。適切なプロドラッグについてのさらなる考察は、H. Bundgaard、Design of Prodrugs、New York: Elsevier、1985年;R. Silverman、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、Boston: Elsevier、2004年;R.L. Juliano(編)、Biological Approaches to the Controlled Delivery of Drugs(Annals of the New York Academy of Sciences、507巻)、New York: New York Academy of Sciences、1987年;ならびにE.B. Roche(編)、Design of Biopharmaceutical Properties Through Prodrugs and Analogs(Symposium sponsored by Medicinal Chemistry Section、APhA Academy of Pharmaceutical Sciences、1976年11月学会、Orlando、Florida)、Washington: The Academy、1977年において提供されている。
治療有効性をモニタリングする
日常血漿分析物:ラクテート:ピルベートおよびベータ−ヒドロキシブチレート:アセトアセテートを包含する血中ケトン体比は、電子収支を反映している。これらの比率における変調を使用して、全身の代謝機能を評価することができる。血中ラクテートの上昇、血中ピルベートの上昇、血中アラニンの上昇、および血液pH(代謝性アシドーシスを確認するため)をモニタリングしてもよい。
【0069】
血奬および尿のメタボロミクス解析:尿分析は、患者に対して実施され得、下記の有機酸の測定を包含し得る:乳酸、ピルビン酸、コハク酸、フマル酸、2−ケトグルタル酸、メチルマロン酸、3−OH酪酸、アセト酢酸、2−ケト−3−メチル吉草酸、2−ケト−イソカプロン酸、2−ケト−イソ吉草酸、エチルマロン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、4−OH−フェニル酢酸、4−OH−フェニル乳酸、4−OH−フェニルピルビン酸、スクシニルアセトンおよびクレアチニン。患者に対して実施される尿分析は、下記のアミノ酸の測定も包含し得る:プロリン、グルタミン、スレオニン、セリン、グルタミン酸、アルギニン、グリシン、アラニン、ヒスチジン、リシン、バリン、アスパラギン、メチオニン、フェニルアラニン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、ヒドロキシプロリン、クレアチニン、アスパラギン酸、システイン、オルニチン、シトルリン、ホモシステインおよびタウリン。代謝分析物のパネルにおいて、下記が測定され得る:ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、アニオンギャップ、グルコース(血清)、尿素窒素(血液)、クレアチニン、カルシウム、ビリルビン、アスパラギン酸塩アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、総タンパク質量(血清)、アルブミン(血清)および溶血指数。最近、クリティカルパス・イニシアチブは、腎ミトコンドリア機能も反映し得る薬物毒性を予測するためのバイオマーカーの電池を提案した。KIM−1、アルブミン、総タンパク質量、β2−ミクログロブリン、シスタチンC、クラステリン、トレフォイル因子−3、および好中球ゼラチナーゼ関連リポカリンにおける変調を使用して、(存在する場合)無症候性腎症を検出することおよび腎機能のより正確な描写を結集することの両方ができる。最後に、Haasら、Mol Genet Metab.(2008年)94巻(1号):16〜37頁は、本発明において使用され得るMRSベースの生化学分析等の種々の試験について記載している。
【0070】
光干渉断層法(OCT):OCTは、眼底の内側にある多層感覚組織である網膜を撮像するために使用される非侵襲的技術である。医師が網膜の断面像を見ることができるようにするための最初の機器であるOCTは、黄斑円孔、網膜前膜、黄斑腫脹およびさらには視神経損傷等の眼の状態の早期検出および治療に革命をもたらしつつある。網膜厚は、網膜厚解析装置(RTA;Talia Technology,Ltd.、Mevasseret Zion、Israel)およびハイデルベルグレチナトモグラフ(HRT;Heidelberg Engineering GmbH、Heidelberg、Germany)等の他のデバイスを使用して測定することもできる。当業者であれば、網膜厚の傾斜は無数の距離にわたって算出できること、および最短距離は本発明の方法を実践するために使用されるデバイスの解像度によってのみ限定されることを理解するであろう。
【0071】
石原式色覚検査:石原式色覚検査は、赤緑色覚異常についての検査である。該検査は、石原表と呼ばれる多数の彩色プレートからなり、そのそれぞれは、色およびサイズが無作為に表示されたドットの集合体を含有する。パターン内には、正常な色覚の人々には可視であり、かつ赤緑色覚欠損の人々には不可視または見ることが困難な、番号を形成するドットがある。全検査は38のプレートからなるが、通常、数枚のプレートを終えたところで欠損症があることが明確になる。最初の24のプレートの検査をすることにより、色覚欠損の重症度についてより正確な診断が為される。
【0072】
一般的なプレートは、褐色の色合いで識別される数字を伴う緑色および薄青色の色合いのドットの集合体、または、緑色の色合いの数字を伴う赤色、橙色および黄色の色合いのドットの集合体を包含し、1つ目は赤色盲について検査するもの、2つ目は緑色盲について検査するものである。
レーバー遺伝性視神経症および優性遺伝性視神経萎縮症:治療を行いやすい症状
LHONは、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症を包含する数種の壊滅的な症状を生じさせる。LHONにおいては瞳孔対光応答の欠乏が観察され、LHONを他の視覚性障害から識別する際に有用である(Bremner, F.D.、「Pupil assessment in optic nerve disorders」、Eye(2004年)18巻、1175〜1181頁を参照)。
【0073】
DOAの症状は、LHONのものと類似している。これらの症状は、幼児期に開始し成人期に可変的に進行する中心視の両側性喪失、盲点中心暗点、視神経乳頭の色覚の機能障害および耳側蒼白、視神経萎縮症ならびに視神経乳頭陥凹を包含する(Carelli、V.、「Retinal Ganglion Cell Neurodegeneration in Mitochondrial Inherited Disorders」、Biochimica et Biophysica Acta.、2009年;1787巻:518〜528頁を参照)。
【0074】
一実施形態において、本発明の方法は、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、乳頭の周辺の網膜神経線維束の膨張(偽性浮腫)、または視神経萎縮症を包含する、LHONまたはDOAの1つまたは複数の症状を和らげることができる。一実施形態において、本発明の方法は、視力の喪失、中心視の喪失、または色覚の機能障害を包含する、LHONまたはDOAの1つまたは複数の症状を和らげることができる。
レーバー遺伝性視神経症を引き起こす変異
エネルギー代謝に関与する遺伝子における数種の変異は、LHONに関係する。前記変異は、ミトコンドリア電子伝達鎖における複合体Iに影響を及ぼす。
【0075】
現時点ではLHONの症状を現していない、これらの遺伝子における変異を有する個体は、LHONの症状を抑制するため、または発症したらLHONの症状の重症度を下げるために、本発明の方法を用いて治療できる。したがって、一態様において、本発明は、トコトリエノールキノン等の特定化合物を、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。別の態様において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。
【0076】
複合体Iに影響を及ぼす変異から生じるLHON障害は、本発明にとって興味深いものである。これらの変異は、点変異11778G>A、点変異3460G>Aまたは点変異14484T>Cを包含するがこれらに限定されない。
優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を引き起こす変異
エネルギー代謝に関与する遺伝子における数種の変異は、DOAに関係する。前記変異は、染色体3q28−qterにマッピングされたOPA遺伝子に影響を及ぼす。OPA1遺伝子は、2000年に、Delettreら、「Nuclear gene OPA1, encoding a mitochondrial dynamin−related protein, is mutated in dominant optic atrophy」、Nat. Genet.、2000年、26巻:207〜210頁およびAlexanderら、「OPA1 encoding a dynamin−related GTPase, is mutated in autosomal dominant optic atrophy linked to chromosome 3q28」、Nat. Genet.、2000年、26巻:211〜215頁によって同定された。DOAを有する少数のファミリーは、他の染色体性OPA3、OPA4、OPA5およびOPA7遺伝子にマッピングされていた(Yu−Wai−Manら、「Inherited Mitochondrial Optic Neuropathies」、J. Med. Genet.、2009年、46巻:145〜158頁。
【0077】
現時点ではDOAの症状を現していない、これらの遺伝子における変異を有する個体は、DOAの症状を抑制するため、または発症したらDOAの症状の重症度を下げるために、本発明の方法を用いて治療できる。したがって、一態様において、本発明は、トコトリエノールキノン等の特定化合物を、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。別の態様において、本発明は、アルファ−トコトリエノールキノンを、本明細書において列挙されている変異の1つまたは複数を有する個体に投与する方法を含む。
【0078】
複合体IまたはOPA遺伝子に影響を及ぼす変異から生じる視覚性障害は、本発明にとって興味深いものである。これらの変異は、複合体I;またはOPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6もしくはOPA7、特にOPA1における、点変異11778G>A、点変異3460G>Aまたは点変異14484T>Cを包含するがこれらに限定されない。
投薬量
本発明の方法において使用される化合物は、種々の量で投与され得る。使用され得る1日投薬量の例は、体重1kgにつき約0.1mgから約300mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約100mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約80mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約50mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約30mg、または体重1kgにつき約0.1mgから約10mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約80mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約50mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約30mg、または体重1kgにつき約1.0mgから約10mg、または体重1kgにつき約10mgから約80mg、または体重1kgにつき約50mgから約150mg、または体重1kgにつき約100mgから約200mg、または体重1kgにつき約150mgから約250mg、または体重1kgにつき約200mgから約300mg、または体重1kgにつき約250mgから約300mg、または約もしくは最大約1mg、約もしくは最大約5mg、約もしくは最大約10mg、約もしくは最大約15mg、約もしくは最大約20mg、約もしくは最大約25mg、約もしくは最大約30mg、約もしくは最大約40mg、約もしくは最大約50mg、約もしくは最大約60mg、約もしくは最大約70mg、約もしくは最大約75mg、約もしくは最大約80mg、約もしくは最大約90mg、約もしくは最大約100mg、約もしくは最大約125mg、約もしくは最大約150mg、約もしくは最大約175mg、約もしくは最大約200mg、約もしくは最大約225mg、約もしくは最大約250mg、約もしくは最大約275mg、約もしくは最大約300mg、約もしくは最大約325mg、約もしくは最大約350mg、約もしくは最大約375mg、約もしくは最大約400mg、約もしくは最大約425mg、約もしくは最大約450mg、約もしくは最大約500mg、約もしくは最大約550mg、約もしくは最大約600mg、約もしくは最大約650mg、約もしくは最大約700mg、約もしくは最大約750mg、約もしくは最大約800mg、約もしくは最大約850mg、約もしくは最大約900mg、約もしくは最大約950mg、または合計約もしくは最大約1000mgの投薬量範囲内の有効量である。化合物(複数可)が単回日用量で投与され得、または、総1日投薬量が、1日当たり2、3または4回の分割投薬量で投与され得る。これらの投薬量は、長期間、例えば、数か月、数年にわたって、または患者の生涯にまでわたって、投与され得る。
【0079】
特定患者に適した特定の投薬量は、用量漸増法によって決定される。例えば、アルファ−トコトリエノールキノン投与の動物研究は、ラットにおいて、10mg/kgで、バイオアベイラビリティが高く(約90%)、Cmax=931ng/mL、Tmax=3.5時間かつt1/2=3.5時間であることを示した。2.4:6:10:20の用量における増大に対し、AUCにおける増大は1.5:2.8:4.0:6.7しかないため、用量比例性がより低くなる。この用量比例性の欠如は、用量範囲にわたってt1/2の変化がないことから、吸収低下によるものであり得る。ラットにおいて試験したアルファ−トコトリエノールキノンは、最大2000mg/kgを急性的に与えた際には安全であった。絶食したイヌにおいて、10mg/kgで、バイオアベイラビリティは低く(約16%)、Cmax=442ng/mL、Tmax=2.8時間かつt1/2=7.6時間である。
【0080】
アルファトコトリエノールキノンについての単回用量および反復用量血漿プロファイルは、Cmax<10μMおよびCmin>0.5μMを達成するように調整された用量を使用してシミュレートした。70kg成人についての日用量および線形動力学と仮定すると、C24時間で220.5ng/ml(0.5μM)を達成するために、総用量は379mg(5.41mg/kg)となる必要があろう。
【0081】
開始用量は、「Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」と題された米国食品医薬品局ガイドライン(2005年7月)および「Guidance on Non−clinical Safety Studies for the Conduct of Human Clinical Trials and Marketing Authorization for Pharmaceuticals」と題された日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン(2008年7月)に基づいて推定され得る。ICHガイドラインに準拠して、開始用量からの予測暴露は、より感受性の高い種においては、mg/m2ベースでNOAEL(最大無毒性量)の1/50を超えてはならない。アルファ−トコトリエノールキノンの単回経口用量に続いて、雌ラットのNOAELは500mg/kg、すなわち3,000mg/m2と確立された。この投薬量は、成体ヒトにおける81mg/kgに相当するであろう。81mg/kgの1/50は1.6mg/kgであり、すなわち、70kg成人では110mg、または10kg小児では16mgである。この用量を、1日当たり1、2または3回投与してよい。
共投与される作用物質
本明細書において記載されている化合物が唯一の活性医薬剤として投与され得る場合、該化合物を、LHONまたはDOAの治療または抑制において使用される1種または複数の他の作用物質と組み合わせて使用することもできる。LHONまたはDOAの治療または抑制のための、本明細書において記載されている化合物と組み合わせて有用となる代表的な作用物質は、コエンザイムQ10を包含するコエンザイムQ:イデベノン;MitoQ;アセチルカルニチン(アセチル−L−カルニチンまたはアセチル−DL−カルニチン等);パルミトイルカルニチン(パルミトイル−L−カルニチンまたはパルミトイル−DL−カルニチン等);カルニチン(L−カルニチンまたはDL−カルニチン等);ケルセチン(quercetine);マンゴスチン;アサイー;ウリジン;N−アセチルシステイン(NAC);レスベラトロル等のポリフェノール;ビタミンA;ビタミンC;ルテイン;ベータ−カロテン;リコペン;グルタチオン;α−リノレン酸(ALA)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)等のオメガ3脂肪酸を包含する脂肪酸;リポ酸;およびリポ酸誘導体;ビタミンB複合体;ビタミンB1(チアミン);ビタミンB2(リボフラビン);ビタミンB3(ナイアシン、ニコチンアミドまたはナイアシンアミド);ビタミンB5(パントテン酸);ビタミンB6(ピリドキシンまたはピリドキサミン);ビタミンB7(ビオチン);ビタミンB9(葉酸、ビタミンB11またはビタミンMとしても公知);ビタミンB12(シアノコバラミン等のコバラミン);イノシトール;4−アミノ安息香酸;フォリン酸;ビタミンE;他のビタミン;ならびに抗酸化化合物を包含するがこれらに限定されない。
【0082】
共投与される作用物質は、LHONまたはDOAを治療することが意図されている一次化合物の投与と同時に、その前に、または後に投与され得る。
製剤および投与ルート
本発明の方法において使用される化合物は、十分な血漿中レベルの化合物を提供するであろう任意の適切な形態で投与され得る。化合物は、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよびビヒクルを必要に応じて含有する単位投薬量製剤で、経腸的に、経口的に、非経口的に、舌下に、吸入によって(例えば、ミストまたはスプレー剤として)、経直腸的にまたは局所的に投与され得る。例えば、適切な投与モードは、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオントフォレーシス、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内(例えば、鼻粘膜を介して)、硬膜下、直腸、胃腸等、および特定のまたは冒された臓器または組織へ直接を包含する。非経口という用語は、本明細書において使用される場合、皮下注射、静脈注射、動脈注射、筋肉注射、胸骨内注射または注入技術を包含する。化合物は、所望の投与ルートに適した薬学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントおよびビヒクルと混合される。
【0083】
経口投与は、その実行の容易さおよび患者(または介護者)コンプライアンスにより有利である。ある特定の実施形態において、活性化合物および許容される担体は、本発明の脂溶性キノンの取り込みおよび吸収を促進するために、クリームチーズ、ピーナッツバター、または少なくともカロリーの25%が脂肪由来である任意の他の食品等の食品とともに投与される。
【0084】
用語「栄養補助食品」は、食品または食品の一部であり、かつ、疾患の予防および治療を包含する医療または健康上の利益を提供する、任意の物質を指すために使用されてきた。それ故、「栄養補助食品」のラベルに該当する組成物は、単離された栄養素、ダイエタリーサプリメントおよび特定治療食から、遺伝子組換えのデザイナーフード、ハーブ製品、ならびに、シリアル、スープおよび飲料等の加工食品にまで及び得る。より技術的な意味では、該用語は、食品から単離または精製された生成物を指すために使用され、概して、通常は食品とは関係なく、かつ生理学的利益を有するまたは慢性疾患からの保護を提供することが実証された医薬形態で販売されてきた。したがって、本明細書において使用するために記載される化合物を、栄養補助食品的にまたは栄養的に許容される賦形剤、栄養補助食品的にまたは栄養的に許容される担体、および栄養補助食品的にまたは栄養的に許容されるビヒクル等の添加物とともに、栄養補助食品または栄養製剤として投与してもよい。そのような製剤は、時に医療食品と呼ばれる。適切な栄養補助食品的に許容される賦形剤は、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油を含む溶液等の液体溶液を包含し得る。本発明の化合物を、脂肪の多い食品と混合し、医療食品として投与してもよい。
【0085】
本明細書において使用するために記載される化合物は、固体形態で、液体形態で、エアゾール形態で、または、錠剤、丸剤、散剤混合物、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、クリーム剤、液剤、坐剤、浣腸剤、結腸洗浄剤、乳剤、分散剤、食品プレミックスの形態で、および他の適切な形態で投与され得る。化合物をリポソーム製剤で投与してもよい。化合物は、プロドラッグとして投与されてもよく、該プロドラッグは、治療されている被験体において治療有効な形態への転換を受ける。さらなる投与方法は、当技術分野において公知である。
【0086】
注射用調製物、例えば滅菌注射用の水性または油脂性懸濁剤は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用し、当技術分野において公知の方法に従って製剤化され得る。滅菌注射用調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液、例えば、プロピレングリコール中の溶液等であってもよい。許容されるビヒクルおよび溶媒の中でも、用いられ得るのは、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌固定油が溶媒または懸濁化媒体として慣行的に用いられる。この目的のために、合成モノ−グリセリドまたはジ−グリセリドを包含する任意の無刺激性固定油が用いられ得る。加えて、オレイン酸等の脂肪酸が注射液の調製における使用を見出している。
【0087】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を包含し得る。そのような固体剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプン等の少なくとも1種の不活性希釈剤と混和され得る。そのような剤形は、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えばステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤も含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。錠剤および丸剤は、追加で腸溶コーティングを用いて調製することができる。
【0088】
経口投与用の液体剤形は、水等の当技術分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有する、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含し得る。そのような組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、シクロデキストリン等のアジュバント、ならびに甘味剤、香味剤および着香剤も含み得る。代替として、適切ならば、化合物を未希釈形態で投与してもよい。
【0089】
本発明において使用するための化合物は、リポソームの形態で投与してもよい。当技術分野において公知の通り、リポソームは概してリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散された単膜または多重膜の水和液晶によって形成される。リポソームを形成することができる非毒性の、生理的に許容され、かつ代謝可能な脂質が使用され得る。リポソーム形態の本組成物は、本発明において使用するための化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤等を含有し得る。好ましい脂質は、天然および合成両方のリン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成するための方法は、当技術分野において公知である。例えば、Prescott編、Methods in Cell Biology、XIV巻、Academic Press、New York, N.W.、33頁以下参照(1976年)を参照されたい。
【0090】
本発明において使用するための化合物は、眼科的に許容されるビヒクルを追加で含む、局所、眼周囲または眼内眼科用製剤で投与されてもよい。いくつかの実施形態において、局所、眼周囲または眼内眼科用製剤は、界面活性剤、等張化剤、緩衝剤、保存剤、共溶媒および粘度構築剤(viscosity building agent)を包含するがこれらに限定されない種々の他の原料を追加で包含し得る。
【0091】
本発明において使用するための化合物および製剤は、米国特許出願公開第2009/0060981号において記載されているもの等のコンタクトレンズベースの生物活性剤送達系を使用して投与されてもよい。
【0092】
本発明の一実施形態において、眼の結膜嚢または前房への局所眼科投与または移植のための、アルファ−トコトリエノールキノンと、眼科的に許容される担体とを含む局所眼科用製剤が、それを必要とする患者に投与される。製剤は、当技術分野において公知の方法に従って所望される特定の投与ルートのために製剤化される。
【0093】
局所的に、眼周囲にまたは眼内に投与される局所眼科用製剤は、眼科的有効量のトコトリエノールキノン、好ましくはアルファ−トコトリエノールキノンを含む。本明細書において使用される場合、「眼科的有効量」は、本明細書において記載されている眼科障害の徴候または症状を軽減または解消するのに十分な量である。概して、点眼剤または眼軟膏剤の形態で眼に局所的に投与されることが意図されている製剤について、トコトリエノールキノンの総量は0.001から1.0%(w/w)となる。点眼剤として適用される場合、1〜2滴(約20〜45μlずつ)のそのような製剤が、1日当たり1回から数回投与されることになる。
【0094】
本発明の化合物は、眼科的に許容されるビヒクル中の溶液、懸濁液または乳液(分散液)として投与されてもよい。「眼科的に許容される」成分は、本明細書において使用される場合、意図された濃度で意図された使用時間にわたって、いかなる重大な眼損傷も眼の不快感も引き起こさない成分を指す。可溶化剤および安定剤等の眼科的に許容される成分はまた、化合物に非反応性であるべきである。「眼科的に許容されるビヒクル」は、化合物に非反応性であり、患者への投与に適切な任意の物質または物質の組合せを指す。適切なビヒクルは、シリコーン油、USP鉱油、ホワイト油、ポリ(エチレン−グリコール)、ポリエトキシル化ヒマシ油および植物油、例えば、トウモロコシ油、ピーナッツ油等の生理的に許容される油を包含する非水性液体媒体であってよい。他の適切なビヒクルは、患者の眼への局所適用に適した水性または水中油型溶液であってよい。これらのビヒクルは、製剤化の容易さ、および1から2滴の液剤を冒された眼に滴注することによってそのような製剤を容易に投与する患者の能力に基づいて好適となり得る。製剤は、懸濁剤、粘性もしくは半粘性ゲル、または他の種類の固体もしくは半固体製剤、および、天然ワックス(例えば、白蜜ワックス)、カルナウバワックス、羊毛ワックス(羊毛脂)、精製ラノリン、脱水ラノリン等の脂肪基剤;石油ワックス(例えば、固形パラフィン)、微晶質ワックス;炭化水素(例えば、流動パラフィン)、白色ワセリン、黄色ワセリン;またはそれらの組合せであってもよい。製剤は、手、またはワイプ、コンタクトレンズ、滴瓶もしくはスプレー等のアプリケーターの使用によって適用され得る。
【0095】
本発明に従って投与される局所眼科用製剤は、界面活性剤、等張化剤、緩衝剤、保存剤、共溶媒および粘度構築剤を包含するがこれらに限定されない種々の他の原料も包含し得る。
【0096】
組成物の張度を、好ましくは眼科用組成物用に自然涙の張度に調整するために、種々の等張化剤を用いてよい。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、デキストロースおよび/またはマンニトールを組成物に添加して、生理学的張度に近似することができる。等張化剤のそのような量は、添加される特定の作用物質に応じて変動することになる。しかしながら、概して、製剤は、最終組成物に眼科的に許容されるオスモル濃度を有させるのに十分な量(概して約200〜400mOsm/kg)の等張化剤を有することになる。
【0097】
保存条件下でのpHドリフトを防止するために、適切な緩衝系(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸)を製剤に添加してよい。特定の濃度は、用いられる作用物質に応じて変動することになる。しかしながら、好ましくは、緩衝剤は、標的pHをpH6〜7.5の範囲内に維持するように選択される。
【0098】
LHONおよびDOAに関連する眼科障害の治療のための局所眼科用製剤は、ドライアイ型状態の即時の短期的緩和を提供するように設計された水性担体を含んでもよい。そのような担体は、リン脂質担体もしくは人工涙液担体、または両方の混合物として製剤化され得る。本明細書において使用される場合、「リン脂質担体」および「人工涙液担体」は、(i)潤滑化し、「湿らせ」、内因性の涙の粘稠度に近似し、自然涙の蓄積を補助し、または別様にして眼投与時にドライアイ症状および状態の一時的緩和を提供する、1種もしくは複数のリン脂質(リン脂質担体の場合)または他の化合物を含み、(ii)安全であり、かつ(iii)有効量の本明細書に開示されている化合物の1つまたは複数の局所投与に適した送達ビヒクルを提供する、水性製剤を指す。人工涙液担体として有用な人工涙液組成物の例は、Tears Naturale(登録商標)、Tears Naturale II(登録商標)、Tears Naturale Free(登録商標)およびBion Tears(登録商標)(Alcon Laboratories、Inc.、Fort Worth、Tex.)等の市販の製品を包含するがこれらに限定されない。リン脂質担体製剤の例は、米国特許第4,804,539号(Guoら)、同第4,883,658号(Holly)、同第4,914,088号(Glonek)、同第5,075,104号(Gresselら)、同第5,278,151号(Korbら)、同第5,294,607号(Glonekら)、同第5,371,108号(Korbら)、同第5,578,586号(Glonekら)において開示されているものを包含し、前述の特許は、それらが本発明においてリン脂質担体として有用なリン脂質組成物を開示する程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
潤滑化し、「湿らせ」、内因性の涙の粘稠度に近似し、自然涙の蓄積を補助し、または別様にして眼投与時にドライアイ症状および状態の一時的緩和を眼に提供するように設計された他の化合物は、当技術分野において公知である。そのような化合物は、組成物の粘度を増強することができ、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール等の単量体ポリオール;ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等の重合体ポリオール;デキストラン70等のデキストラン;ゼラチン等の水溶性タンパク質;ならびにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポビドンおよびカルボマー等のビニルポリマーを包含するがこれらに限定されない。
【0100】
担体の粘度を増大させるために、本発明の局所眼科用製剤に他の化合物を添加してもよい。粘度増強剤の例は、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストラン、セルロースファミリーの種々のポリマー等の多糖類;ビニルポリマー;ならびにアクリル酸ポリマーを包含するがこれらに限定されない。概して、リン脂質担体または人工涙液担体組成物は、1から400センチポアズの粘度を呈することになる。
【0101】
局所眼科用生成物は、典型的には、多回用量形態で包装される。故に、使用中の微生物汚染を防止するために、保存剤が必要である。適切な保存剤は、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、ポリクオタニウム−1、または当業者に公知である他の作用物質を包含する。そのような保存剤は、典型的には、0.001から1.0%w/vのレベルで用いられる。本発明の単位用量組成物は、無菌となるが、典型的には保存されない。したがって、そのような組成物は、概して保存剤を含有しない。
【0102】
本発明のトコトリエノールキノンは、眼周囲投与を介して投与されてもよく、眼周囲投与用の溶液または懸濁液中で製剤化され得る。眼周囲投与に有用な製剤は、概して、眼周囲注射製剤または手術用潅注溶液となる。眼周囲投与は、眼球の周りおよび眼窩内の組織または空間への投与等、眼付近の組織への投与を指す。眼周囲投与は、注射、堆積、または任意の他の配置モードによって行われ得る。眼周囲投与ルートは、結膜下、脈絡膜上、強膜近傍、後強膜近傍、テノン嚢下、後部テノン嚢下、球後、球周囲または球側方(laterobulbar)送達を包含するがこれらに限定されない。Raghavaら、Expert Opin. Drug Deliv.、1巻(1号):99〜114頁(2004年)、Ghateら、Investigative Ophthalmology and Visual Science、48巻(5号):2230頁(2007年)、Karl G. Csaky、Retina Today、32〜35頁(2007年3月/4月)、WO2009/023877、およびEP1611879は、眼周囲投与の種々のルートについて記載している。
【0103】
本発明のトコトリエノールキノンは、眼内投与用の溶液または懸濁液中で製剤化され得る。眼内投与に有用な製剤は、概して、眼内注射製剤または手術用潅注溶液となる。
【0104】
概して、上述した目的のために利用される用量は変動することになるが、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、または寛解させるための有効量となる。本明細書において使用される場合、「眼科的有効量」または「治療有効量」は、LHONまたはDOAを予防し、軽減し、または寛解させる活性剤の量を指す。トコトリエノールキノンは、概して、約0.001から約10.0重量/体積%(「%w/v」)の量で、本明細書において企図されている、局所、眼周囲または眼内製剤に含有されることになる。好ましい濃度は、約0.1から約5.0%w/vの範囲となる。局所製剤は、概して、熟練した臨床医の裁量で、1日当たり1から6回、眼に送達されることになる。
【0105】
単一剤形を生成するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、該活性成分が投与される患者および特定の投与モードに応じて変動し得る。しかしながら、任意の特定の患者の特定の用量レベルは、用いられる特定化合物の活性;患者の年齢、体重、体面積、体格指数(BMI)、全身の健康、性別および食習慣;使用される投与時間および投与ルート;排泄率;もしあれば使用される薬物の組合せ;ならびに療法を受けている患者における疾患の進行および重症度を包含する様々な要因によって決まることが理解されよう。選択された医薬単位投薬量は、通常、血液、網膜、または身体の他の標的領域において規定の最終濃度の薬物を提供するために加工され、投与される。
【0106】
本発明において使用するための化合物を単回日用量で投与してよく、または総1日投薬量を1日当たり2、3もしくは4回の分割投薬量で投与してよい。
【0107】
本発明において使用するための化合物は、唯一の活性医薬剤として投与され得るが、障害の治療または抑制において使用される1種または複数の他の作用物質と組み合わせて使用してもよい。
【0108】
本発明において使用するための化合物と組み合わせてさらなる活性剤を使用する場合、該さらなる活性剤は、概して、参照により本明細書に組み込まれるPhysicians’ Desk Reference(PDR)、第63版(2009年)において示されている通りの治療量で、または当業者に公知であるような、もしくは各患者について実験的に決定されるような治療上有用な量で用いられ得る。
【0109】
本発明において使用するための化合物および他の治療活性剤は、推奨される最大臨床投薬量で、またはそれより低用量で投与され得る。本発明において使用するための組成物中における活性化合物の投薬量レベルは、所望の治療応答を得るように、投与経路、疾患の重症度および患者の応答に応じて変動され得る。他の治療剤と組み合わせて投与する場合、治療剤は、同時もしくは異なる時に与えられる別個の組成物として製剤化されてよく、または治療剤は単一の組成物として与えられてよい。
【0110】
一実施形態において、トコトリエノールキノン調製物等の化合物の調製物の純度は、あらゆる医薬担体もしくは賦形剤、またはあらゆる追加活性剤の添加前に測定される。例えば、国際特許出願第PCT/US2009/062212号または米国特許出願第12/606,923号において記載されている方法のいずれかに従ってアルファ−トコトリエノールキノンが調製される場合、アルファ−トコトリエノールキノンの純度は、選択された方法の最終生成物について、医薬担体(複数可)もしくは賦形剤(複数可)またはさらなる活性剤(複数可)を添加する前に測定される。所望のトコトリエノールキノンまたは他の化合物の純度は、あらゆる医薬担体もしくは賦形剤、またはあらゆる追加活性剤の添加前、重量で、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%となり得る。モル分率で、または任意の他の相対測定(重量/体積等)でも、これらと同じ数値の純度レベルが使用され得る。
【0111】
別の実施形態において、トコトリエノールキノン調製物等の化合物の調製物の純度は、調製物中におけるトコトリエノールキノンおよび(存在する場合)トコトリエノールの総量に対する所望のトコトリエノールキノンの分率として測定される。例えば、100mgのアルファ−トコトリエノールキノン、50mgのベータ−トコトリエノールキノンおよび50mgのガンマ−トコトリエノールハイドロキノンを含有する組成物は、調製物中に存在する他の非トコトリエノールまたは非トコトリエノールキノン化合物の量に関係なく、50重量%のアルファトコトリエノールキノンとして記述されるであろう。この純度測定は、医薬担体もしくは賦形剤の添加前もしくは後、または任意の非トコトリエノール/非トコトリエノールキノン活性剤の添加前もしくは後のいずれで測定されるかにかかわらず、同じになるであろう。所望のトコトリエノールキノンまたは他の化合物の純度は、重量で、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%または少なくとも約99%となり得る。モル分率で、または任意の他の相対測定(重量/体積等)でも、これらと同じ数値の純度レベルが使用され得る。
キット
本発明は、LHONおよびDOAを治療するために有用な材料を含有する、製造品およびキットも提供する。製造品は、ラベル付き容器を含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアルおよび試験管を包含する。容器は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する。一実施形態において、化合物はアルファ−トコトリエノールキノンである。一実施形態において、活性剤はアルファ−トコトリエノールキノンである。容器に付されたラベルは、組成物がLHONおよびDOAを治療するために使用されるものであることを示し、治療において使用するための指示も示し得る。
【0112】
本発明は、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物の任意の1つまたは複数を含むキットも提供する。いくつかの実施形態において、本発明のキットは、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する、上述した容器を含む。他の実施形態において、本発明のキットは、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する、上述した容器と、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油等、化合物または組成物のためのビヒクルを含む第二の容器とを含む。他の実施形態において、本発明のキットは、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される化合物、または、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノン、デルタ−トコトリエノールキノン、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンから選択される活性剤を含む組成物を保持する、上述した容器を含み、ここで、該化合物または組成物は、ゴマ油等の1種もしくは複数の植物由来の油、および/または1種もしくは複数の動物由来の油、および/または1種もしくは複数の魚由来の油等の、化合物または組成物のためのビヒクルと予め混合されたものである。キットは、LHONまたはDOAの治療のための、他のビヒクル、緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書において記載されている方法のいずれかを実施するための使用説明書付き添付文書を包含する、商業的観点および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに包含し得る。
【0113】
他の態様において、キットは、例えば、LHONまたはDOAの個体を治療することを包含する、本明細書において記載されている方法のいずれかに使用され得る。
【実施例】
【0114】
(実施例1)
LHON細胞株アッセイおよび有効な化合物のための初期スクリーニング
Coriell Cell Repositories(Camden、NJ;保管番号GM03858)から入手したレーバー遺伝性視神経症(LHON)線維芽細胞をL−ブチオニン−(S,R)−スルホキシミン(BSO)の添加によって及ぼされるストレスから救済するその能力について、アルファ−トコトリエノールキノンを、Jauslinら、Hum. Mol. Genet.、11巻(24号):3055頁(2002年)、Jauslinら、FASEB J.、17巻:1972〜4頁(2003年)、および国際特許出願第WO2004/003565号において記載されている通りに試験した。試験化合物およびその酸化還元サイレントバージョンのEC50濃度を決定し、比較した。
【0115】
MEM(アミノ酸およびビタミンが豊富な培地、カタログ番号1−31F24−I)およびMedium 199(M199、カタログ番号1−21F22−I)(アール平衡塩含、フェノールレッド不含)は、Bioconceptから購入した。ウシ胎仔血清は、PAA Laboratoriesから入手した。塩基性線維芽細胞成長因子および上皮成長因子は、PeproTechから購入した。ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン混合物、L−ブチオニン(S,R)−スルホキシミン、およびウシ膵臓由来のインスリンは、Sigmaから購入した。カルセインAMは、Molecular Probesから購入した。125mLのM199 EBS、50mlのウシ胎仔血清、100U/mLのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのグルタミン、10μg/mLのインスリン、10ng/mLのEGFおよび10ng/mLのbFGFを合わせることによって細胞培養培地を作製した。体積が500mlになるまでMEM EBSを添加した。444mgのBSOを200mLの培地に溶解し、その後、濾過滅菌を行うことにより、10mMのBSO溶液を調製した。実験の経過中、この溶液を+4℃で貯蔵した。
【0116】
試験試料を1.5mLのガラスバイアルに投入した。化合物を、DMSO、エタノールまたはPBSで希釈して、5mMの貯蔵液にした。溶解したら、それらを−20℃で貯蔵した。
【0117】
試験試料は、下記のプロトコールに従ってスクリーニングした。LHON線維芽細胞を用いる培養は、液体窒素中で貯蔵された約500,000細胞を加えた1mLのバイアルから開始した。細胞を、9つのプレートが利用可能になるまで3日ごとに1:3の比率で分割することにより、10cmの細胞培養皿に播種した。集密的になったら、線維芽細胞を収穫した。54枚のマイクロタイタープレート(96ウェル−MTP)には、100μLの培地に3,000細胞/ウェルを加えたものに相当する、計1430万個の細胞(8継代)を480mLの培地に再懸濁させた。残った細胞は、繁殖のために10cmの細胞培養プレートに分布させた(500,000細胞/プレート)。プレートを、95%の湿度および5%のCO2を有する雰囲気中、37℃で終夜インキュベートして、細胞を培養プレートに付着させた。
【0118】
MTP培地(243μL)をマイクロタイタープレートのウェルに添加した。試験化合物を解凍し、243μLの培地を含有するウェルに7.5μLの5mM貯蔵液を溶解して、150μMの原液(master solution)にした。原液からの連続希釈を作製した。単一の希釈ステップ間の期間は、可能な限り短く保った(概して1秒未満)。
【0119】
プレートを細胞培養インキュベーター内で終夜保存した。翌日、10μLの10mM BSO溶液をウェルに添加し、1mMの最終BSO濃度にした。48時間後、3つのプレートを位相差顕微鏡下で検査して、0%対照(ウェルE1−H1)中の細胞が明らかに死亡していることを検証した。すべてのプレートから培地を廃棄し、ペーパータオルの上に反転させたプレートを軽くたたくことにより、残った液体を除去した。
【0120】
次いで、1.2μMのカルセインAMを含有する100μLのPBSを各ウェルに添加した。プレートを室温で50〜70分間インキュベートした。その時間の後、PBSを廃棄し、ペーパータオル上でプレートを軽くたたき、蛍光(励起/発光波長はそれぞれ485nmおよび525nm)をGemini蛍光リーダーで読み取った。データをMicrosoft Excel(EXCELは、表計算プログラムを表すMicrosoft Corporationの登録商標である)に取り込み、各化合物についてEC50濃度を算出するために使用した。
【0121】
化合物を3回試験した、すなわち、実験を3回実施し、細胞の継代数は繰り返しごとに1だけ増加させた。
【0122】
溶媒(DMSO、エタノール、PBS)は、試験した最高濃度(1%)でも、非BSO処理細胞の生存率に対する有害作用も有さず、BSOで処理した線維芽細胞に対する有益な影響も有さなかった。いずれの化合物も自己蛍光を示さなかった。非BSO処理線維芽細胞の生存率を100%として設定し、BSOおよび化合物で処理した細胞の生存率をこの値に対して算出した。
【0123】
アルファ−トコトリエノールキノン(αTTQ)の存在下における、LHON変異細胞についての細胞生存率アッセイの結果を図1に示す。アルファ−トコトリエノールキノンは、12nMのED50で細胞を保護する。
【0124】
(実施例2)
LHON変異と診断された女性LHON患者(A)の治療
LHON 11778点変異を有する52歳の女性患者(A)を、アルファ−トコトリエノールキノンで治療した。患者(A)は、治療を開始した際、左眼において網膜症も患っていた。
【0125】
アルファ−トコトリエノールキノンを患者に経口的に投与し、薬物は投与用のゴマ油と混合し、アイスクリームとともに摂取した。アルファ−トコトリエノールキノンの下記の投薬を使用した。
【0126】
1日目、用量は100mgTIDであった。8日目には200mgTIDまで増量し、この投薬量で継続した。
【0127】
アルファトコトリエノールキノンで治療されている間、患者の医療チームは、何らかの改善の徴候または疾患の悪化の徴候について、患者の眼をモニタリングした。
【0128】
図2、3、4および5に示す下記の結果が得られた:(i)視力の喪失進行がないこと、および20/400から20/200への改善、(ii)色覚における変化なし、(iii)視野の改善および安定なOCT。
【0129】
研究中において、あらゆる有害事象を検出するために患者(A)の緊密なモニタリングが実施された。加えて、研究者は、被験体の安全性が危険にさらされた場合、研究を中止する権限を与えられていた。有害事象は観察されなかった。
【0130】
(実施例3)
LHON変異と診断された男性LHON患者(B)の治療
LHON 11778点変異を有する23歳の男性患者(B)を、アルファ−トコトリエノールキノンで治療した。治療開始時、視力は、右眼が20/400、左眼が20/200であった。患者(A)と同じく、患者(B)を100mgTIDで7日間治療し、8日目に用量を200mgTIDまで増量した。
【0131】
図6、7、8および9は、最初の2か月間の治療中に得られた結果を示す:(i)視力の喪失進行がないこと、ならびに右眼における20/400から20/200への改善および左眼における20/200から20/100への改善、(ii)患者の右眼における色覚の改善および左眼における色覚の維持、(iii)視野の改善、ならびに(iv)左眼における安定なOCT。
【0132】
研究中において、あらゆる有害事象を検出するために患者(B)の緊密なモニタリングを実施した。加えて、研究者は、被験体の安全性が危険にさらされた場合、研究を中止する権限を有していた。有害事象は観察されなかった。
【0133】
患者(B)は復職することができ、該患者の200mg/tidアルファ−トコトリエノールキノンの摂取を継続した。
【0134】
確認のための引用によって本明細書において参照したすべての刊行物、特許、特許出願および公開された特許出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
明瞭な理解を目的として、説明および実施例によって前述の発明を一部詳細に記述してきたが、ある一定の改正および修正が実践されるであろうことが当業者には明らかである。したがって、これらの記述および実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体において、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を治療する方法であって、トコトリエノールキノンおよびトコトリエノールハイドロキノンからなる群から選択される治療有効量の化合物を、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)に罹患している個体に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記個体がレーバー遺伝性視神経症(LHON)に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノンおよびデルタ−トコトリエノールキノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物がアルファ−トコトリエノールキノンである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
LHONに罹患している前記個体が、11778G>A、3460G>Aまたは14484T>Cからなる群から選択される少なくとも1つの変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記個体が、LHONに罹患しており、11778G>A点変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記個体が、LHONに罹患しており、少なくとも1つの遺伝子において少なくとも1つの変異を有し、前記変異が、ミトコンドリア電子伝達鎖の複合体Iに影響を及ぼす、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
DOAに罹患している前記個体が、OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6およびOPA7の群から選択される少なくとも1つのOPA遺伝子の少なくとも1つの変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
DOAに罹患している前記個体が、少なくとも1つのOPA1遺伝子において少なくとも1つの変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記個体が、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、瞳孔対光応答の欠乏、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)の治療において使用するのに適した、50mgから500mgのアルファ−トコトリエノールキノンを含有する医薬調製物。
【請求項13】
患者に投与された場合に、少なくとも網膜または視神経系において治療レベルの化合物を提供するのに十分なアルファ−トコトリエノールキノンを含有する医薬調製物。
【請求項14】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、前記調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも50重量%を構成する、請求項12または13に記載の調製物。
【請求項15】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、前記調製物中に存在する材料の少なくとも80重量%を構成する、請求項14に記載の調製物。
【請求項16】
アルファ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤。
【請求項17】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、前記調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも95重量%を構成する、請求項16に記載の単位投薬量製剤。
【請求項18】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、あらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、前記調製物中に存在する材料の少なくとも95重量%を構成する、請求項17に記載の単位投薬量製剤。
【請求項19】
50mgから500mgのアルファ−トコトリエノールキノンを含有する、請求項16から17のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項20】
50mgから500mgのアルファ−トコトリエノールキノンを含有する、請求項18に記載の単位投薬量製剤。
【請求項21】
レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症を治療する際に使用するための、請求項12または請求項13に記載の医薬調製物。
【請求項22】
ミトコンドリア電子伝達系の複合体Iにおいて少なくとも1つの変異を有するレーバー遺伝性視神経症の個体を治療する際に使用するための、請求項12または請求項13に記載の医薬調製物。
【請求項23】
OPA1遺伝子において少なくとも1つの変異を有する優性遺伝性視神経萎縮症の個体を治療する際に使用するための、請求項12または請求項13に記載の医薬調製物。
【請求項24】
LHONまたはDOAを治療する際に使用するための、請求項14から20のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項25】
ミトコンドリア電子伝達系の複合体Iにおいて少なくとも1つの変異を有するLHONの個体を治療する際に使用するための、請求項14から20のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項26】
OPA1遺伝子において少なくとも1つの変異を有するDOAの個体を治療する際に使用するための、請求項14から20のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項27】
個体において、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を治療する方法であって、請求項12から26のいずれかに記載の調製物を、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)に罹患している個体に投与するステップを含む方法。
【請求項28】
前記個体が、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、瞳孔対光応答の欠乏、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記調製物が、局所、眼周囲または眼内投与を介して投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記調製物が、経口投与を介して投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項1】
個体において、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を治療する方法であって、トコトリエノールキノンおよびトコトリエノールハイドロキノンからなる群から選択される治療有効量の化合物を、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)に罹患している個体に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
前記個体がレーバー遺伝性視神経症(LHON)に罹患している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物が、アルファ−トコトリエノールキノン、ベータ−トコトリエノールキノン、ガンマ−トコトリエノールキノンおよびデルタ−トコトリエノールキノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、アルファ−トコトリエノールハイドロキノン、ベータ−トコトリエノールハイドロキノン、ガンマ−トコトリエノールハイドロキノンおよびデルタ−トコトリエノールハイドロキノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物がアルファ−トコトリエノールキノンである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
LHONに罹患している前記個体が、11778G>A、3460G>Aまたは14484T>Cからなる群から選択される少なくとも1つの変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記個体が、LHONに罹患しており、11778G>A点変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記個体が、LHONに罹患しており、少なくとも1つの遺伝子において少なくとも1つの変異を有し、前記変異が、ミトコンドリア電子伝達鎖の複合体Iに影響を及ぼす、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
DOAに罹患している前記個体が、OPA1、OPA2、OPA3、OPA4、OPA5、OPA6およびOPA7の群から選択される少なくとも1つのOPA遺伝子の少なくとも1つの変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
DOAに罹患している前記個体が、少なくとも1つのOPA1遺伝子において少なくとも1つの変異を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記個体が、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、瞳孔対光応答の欠乏、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)の治療において使用するのに適した、50mgから500mgのアルファ−トコトリエノールキノンを含有する医薬調製物。
【請求項13】
患者に投与された場合に、少なくとも網膜または視神経系において治療レベルの化合物を提供するのに十分なアルファ−トコトリエノールキノンを含有する医薬調製物。
【請求項14】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、前記調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも50重量%を構成する、請求項12または13に記載の調製物。
【請求項15】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、添加されたあらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、前記調製物中に存在する材料の少なくとも80重量%を構成する、請求項14に記載の調製物。
【請求項16】
アルファ−トコトリエノールキノンの単位投薬量製剤。
【請求項17】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、前記調製物中に存在するトコトリエノールおよびトコトリエノールキノンの少なくとも95重量%を構成する、請求項16に記載の単位投薬量製剤。
【請求項18】
前記アルファ−トコトリエノールキノンが、あらゆる医薬担体または賦形剤の重量を除き、前記調製物中に存在する材料の少なくとも95重量%を構成する、請求項17に記載の単位投薬量製剤。
【請求項19】
50mgから500mgのアルファ−トコトリエノールキノンを含有する、請求項16から17のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項20】
50mgから500mgのアルファ−トコトリエノールキノンを含有する、請求項18に記載の単位投薬量製剤。
【請求項21】
レーバー遺伝性視神経症または優性遺伝性視神経萎縮症を治療する際に使用するための、請求項12または請求項13に記載の医薬調製物。
【請求項22】
ミトコンドリア電子伝達系の複合体Iにおいて少なくとも1つの変異を有するレーバー遺伝性視神経症の個体を治療する際に使用するための、請求項12または請求項13に記載の医薬調製物。
【請求項23】
OPA1遺伝子において少なくとも1つの変異を有する優性遺伝性視神経萎縮症の個体を治療する際に使用するための、請求項12または請求項13に記載の医薬調製物。
【請求項24】
LHONまたはDOAを治療する際に使用するための、請求項14から20のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項25】
ミトコンドリア電子伝達系の複合体Iにおいて少なくとも1つの変異を有するLHONの個体を治療する際に使用するための、請求項14から20のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項26】
OPA1遺伝子において少なくとも1つの変異を有するDOAの個体を治療する際に使用するための、請求項14から20のいずれかに記載の単位投薬量製剤。
【請求項27】
個体において、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)を治療する方法であって、請求項12から26のいずれかに記載の調製物を、レーバー遺伝性視神経症(LHON)または優性遺伝性視神経萎縮症(DOA)に罹患している個体に投与するステップを含む方法。
【請求項28】
前記個体が、視力の喪失、中心視の喪失、色覚の機能障害、盲点中心暗点、視神経乳頭の耳側蒼白、乳頭周囲毛細血管拡張性微小血管症、瞳孔対光応答の欠乏、乳頭の周辺の網膜神経線維束の腫脹(偽性浮腫)、または視神経萎縮症からなる群から選択される1つまたは複数の症状を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記調製物が、局所、眼周囲または眼内投与を介して投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記調製物が、経口投与を介して投与される、請求項27に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2012−525399(P2012−525399A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508609(P2012−508609)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032624
【国際公開番号】WO2010/126911
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507393285)エジソン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/032624
【国際公開番号】WO2010/126911
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507393285)エジソン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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