説明

トナー、二成分現像剤、およびトナーの製造方法

【課題】 トナーの耐久性を低下させることなく、環境汚染を抑制し、トナー粒子間の特性にばらつきが少なく、定着領域が広く、透明性の高い高画質の画像を得ることができるトナー、二成分現像剤、およびトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】
トナーは2−ピロン−4,6−ジカルボン酸がポリエステル骨格に導入されたバイオマス樹脂を含む結着樹脂と、着色剤とを含み、前記バイオマス樹脂は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を15%以上含み、数平均分子量が1000以上3000以下であり、数平均分子量に対する重量平均分子量の割合が1以上5以下であり、ガラス転移温度が55℃以上65℃以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー、二成分現像剤、およびトナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる画像形成装置では、感光体表面に形成される静電潜像に、トナーを供給して静電潜像を現像することによってトナー像を形成し、このトナー像を記録媒体に定着させることによって画像を形成する。このような画像形成装置に用いられるトナーは、結着樹脂中に、着色剤、離型剤および電荷制御剤などを配合し、所定の粒径となるように造粒して製造される。
【0003】
使用済みトナーは、埋め立てまたは焼却により廃棄されるが、焼却による廃棄の場合、大気中に温室効果ガスである二酸化炭素が排出され、着色剤や電荷制御剤などに含まれる金属が環境汚染源となる可能性もある。このことより、廃棄時に環境汚染源となる化合物の発生を抑制できるトナーが、数多く提案されている。
【0004】
特許文献1には、生分解性プラスチックを含有するトナー、あるいは生分解性プラスチックおよび光分解性プラスチックを含有するトナーが開示されている。特許文献1に開示のトナーは、分解性プラスチックを含んでいるので、トナーを埋め立て処分した場合、主要成分であるプラスチックが分解されて、環境汚染を抑制することができる。しかしながら、分解性プラスチックは、粉砕性が悪く、微粒子化が困難であるので、高品質かつ高解像度の画像形成を行うための小粒径トナーの製造が困難である。このような問題を解決するために、特許文献2には、生分解性樹脂を用いた小粒径トナーの製造方法が開示されている。特許文献2に開示の方法によって、粉砕性の悪い生分解性樹脂であっても容易に微粒子化することができ、小粒径のトナーを製造することができる。
【0005】
従来からトナーの結着樹脂に用いられているスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等は、石油が原料であるため、焼却により二酸化炭素が発生する。これらの樹脂は、自然環境下でほとんど分解されないので、焼却せずに埋め立て処分しても、半永久的に地中に残留する。また、投棄されたプラスチック類により、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題がある。
【0006】
近年、石油に代わり、トウモロコシ、サトウキビ等の植物を原料とした植物性樹脂が注目されている。植物性樹脂は、たとえば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸等を主成分としており、石油系樹脂と同等の剛性と強度を備えることから、各種成形材料への用途開発が進められている。植物性樹脂は、生分解性を有するため、石油系樹脂と比べ環境への影響が少ない。しかし、デンプン、コーンスターチ等を原料として用いるため、食物と競合する可能性がある。
【0007】
木材の主要成分であるリグニンは、芳香族高分子化合物として植物細胞壁に普遍的に含まれているバイオマス資源である。しかし、リグニンなどの植物芳香族高分子化合物は、化学構造が多様な化合物で構成され、複雑な高分子構造を有することから、有効な利用技術が開発されていない。そのため、製紙工程で大量に生成するリグニンは、主として重油の代替燃料として利用される以外には有効利用されていない。
【0008】
しかし、近年、リグニン等の植物芳香族高分子化合物を、化学的分解法や物理化学的分解法によって低分子化し、更に、各種分解法により生成する低分子混合物から、単一の中間物質に変換する技術が開発されている。このような中間物質のうち、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC)は、機能性プラスチック原料となり得る化合物であり、工業原料として価値が高い。特許文献3には、農林産廃棄物中に多量に存在するガリック酸からのPDCの製造方法が開示されている。また、特許文献4および5には、PDCを繰り返し単位構造に含むポリアミドの製造方法が開示されている。
【特許文献1】特開平4−218063号公報
【特許文献2】特開2004−177554号公報
【特許文献3】特開2007−37452号公報
【特許文献4】国際公開第99/54384号
【特許文献5】特開2009−197199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のようなポリアミド系の樹脂は粘着性を有するため、そのままトナーとして用いた場合、保存安定性が悪く、現像槽内で凝固したり、ホッパー内での流動性が悪いなどの問題が発生する。
【0010】
したがって本発明の目的は、トナーの耐久性を低下させることなく、環境汚染を抑制し、トナー粒子間の特性にばらつきが少なく、定着領域が広く、透明性の高い高画質の画像を得ることができるトナー、二成分現像剤、およびトナーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸がポリエステル骨格に導入されたバイオマス樹脂を含む結着樹脂と、着色剤とを含むトナーであって、
前記バイオマス樹脂は、
2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を15%以上含み、
数平均分子量が1000以上3000以下であり、
数平均分子量に対する重量平均分子量の割合が1以上5以下であり、
ガラス転移温度が55℃以上65℃以下であることを特徴とするトナーである。
【0012】
また本発明は、前記結着樹脂は、前記バイオマス樹脂の含有量が、トナー粒子100重量部に対して20重量部以上60重量部以下であることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記結着樹脂は、ビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記トナーと、キャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤である。
【0015】
また本発明は、前記トナーを製造する製造方法であって、
ジカルボン酸とジオールとの反応によって、バイオマス樹脂を作製する工程と、
前記バイオマス樹脂とポリエステル樹脂とを含有するトナー粒子を作製する工程とを含み、
前記ジカルボン酸は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸と、ポリエステル用モノマーであることを特徴とするトナーの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸がポリエステル骨格に導入されたバイオマス樹脂を含む結着樹脂と、着色剤とを含むトナーであるので、植物由来の資源を利用することで、大気中の二酸化炭素の増加を抑制することができる。また、耐久性に優れたトナーとすることができ、高画質の画像を得ることができる。また、前記バイオマス樹脂は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を15%以上含み、数平均分子量が1000以上3000以下であり、数平均分子量に対する重量平均分子量の割合が1以上5以下であり、ガラス転移温度が55℃以上65℃以下であるので、保存安定性に優れたトナーとすることができる。
【0017】
また本発明によれば、前記結着樹脂は、前記バイオマス樹脂の含有量が、トナー粒子100重量部に対して20重量部以上60重量部以下であるので、トナーへの電荷制御剤の添加量を抑制でき、また、トナーの強度を向上させることができる。さらに、定着領域の広いトナーとすることができる。
【0018】
また本発明によれば、前記結着樹脂は、ビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂を含有するので、透明性に優れ、二次色再現性に優れたトナーとすることができる。
【0019】
また本発明によれば、前記に記載のトナーと、キャリアとを含む二成分現像剤であるので、トナーの耐久性を低下させることなく、環境負荷の少ない二成分現像剤とすることができる。
【0020】
また本発明によれば、上記のトナーを製造する製造方法であって、ジカルボン酸とジオールとの反応によって、バイオマス樹脂を作製する工程と、前記バイオマス樹脂とポリエステル樹脂とを含有するトナー粒子を作製する工程とを含み、前記ジカルボン酸は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸と、ポリエステル用モノマーであるので、所望の大きさと均一な構造とを有するトナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置100に備わる現像部14を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1、トナーおよびその製造方法
トナーは、結着樹脂と着色剤とを含む。本発明のトナーは、結着樹脂として、バイオマス樹脂とポリエステル樹脂とを混合したものを用いる。
【0023】
バイオマス樹脂とは、植物由来の化合物を原料として含む樹脂である。バイオマス樹脂とポリエステル樹脂とを混合して用いることで、定着領域を調整でき、また、トナーの機械的強度を保持することができる。
【0024】
本発明において、バイオマス樹脂は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC)を含む。PDCは、負電荷を蓄電放電しやすいため、バイオマス樹脂がPDCを含むことで、トナーへの電荷制御剤の添加量を低減することができる。また、バイオマス樹脂がPDCを含むことで、結着樹脂の強度が向上するので、キャリア汚染が改善され、その結果、画質の良好な画像を形成することができる。PDCは、たとえば、特開2005−278549号公報に記載の発酵法により容易に得ることができる。
【0025】
本実施形態のバイオマス樹脂は、PDCをポリエステル骨格に導入した樹脂である。
ポリエステル骨格へのPDCの導入は、通常のポリエステル樹脂の製造方法において、多塩基酸と2価アルコールとを縮重合する際にPDCを添加することで行われる。
【0026】
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0027】
2価アルコールとしても、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0028】
本実施形態において、バイオマス樹脂の重合反応は、2段階で行うことが好ましい。バイオマス樹脂の重合反応を2段階で行うことで、1段階で重合反応を行った場合と比べ、バイオマス樹脂を所望の分子量まで十分に大きくでき、また、PDCを優先的にポリエステル骨格中に導入することができる。
【0029】
具体的には、まず、1段階目の反応として、PDCと2価アルコールとを縮重合させる。このとき、重合体末端がOH基となるように、PDCおよび2価アルコールのモル比を調整し、触媒として固体酸を使用する。
【0030】
1段階目の反応が完了した後、2段階目の反応として、更に2価アルコールと多塩基酸とを加えて縮重合を続ける。これにより、ほとんどのPDCは重合され、現像剤の凝固などの不具合の原因となる、PDCを含むオリゴマーの生成を抑えることができる。
【0031】
本実施形態のバイオマス樹脂は、数平均分子量Mnが1000以上3000以下であることが好ましく、Mnが1500以上2500以下であることがより好ましい。バイオマス樹脂のMnが1500未満であると、オリゴマー成分の含有率が高くなり、現像剤が凝固するなどの不具合が発生する。また、Mnが2500を超えると、PDCがポリエステル骨格中に均一に導入されず、トナーの帯電量分布が広がり、その結果、画像欠陥などが発生する。
【0032】
また、本実施形態のバイオマス樹脂は、Mnに対する重量平均分子量Mwの比(Mw/Mn)が1以上5以下であることが好ましく、Mw/Mnが3以上5以下であることがより好ましい。本実施形態のバイオマス樹脂は、従来公知のトナー設計における低分子量成分として使用するものであり、シャープメルト性を有することが好ましいが、Mw/Mnが5よりも大きいものはシャープメルト性が低い。また、Mw/Mnが1より小さいものは作製することができない。
【0033】
また、本実施形態のバイオマス樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が55℃以上65℃以下であることが好ましく、Tgが60℃以上63℃以下であることがより好ましい。バイオマス樹脂のTgが63℃よりも高いと、定着温度が上昇し、定着時に消費されるエネルギーが大きくなり、その結果、環境負荷を低減する効果が得られない。また、バイオマス樹脂のTgは、60℃より低くても特に問題はないが、Tgが低すぎると高温輸送時に凝集などが発生するおそれがあるので、60℃以上が好ましいとした。
【0034】
本実施形態のバイオマス樹脂は、PDCの含有量が15%以上であることが好ましい。PDCの含有量が15%以上であることによって、環境負荷を低減することができる。PDCの含有量は、理想的には50%であるが、分子量分布や熱物性の調整などの点から、実質的により好ましくは36%程度である。
【0035】
本発明において、ポリエステル樹脂は、公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。ポリエステル樹脂は、透明性に優れ、トナー粒子に良好な粉体流動性、低温定着性および二次色再現性などを付与できるので、カラートナー用の結着樹脂に好適である。
【0036】
多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0037】
多価アルコールとしてもポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0038】
多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化温度などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。なお、ポリエステルの主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性ポリエステルも使用できる。
【0039】
本実施形態においては、バイオマス樹脂の含有量が、トナー粒子100重量部に対して20重量部以上60重量部以下であることが好ましい。バイオマス樹脂の含有量が、トナー粒子100重量部に対して20重量部未満であると、PDCの導入による、トナーへの電荷制御剤の添加量の低減や、結着樹脂の強度向上等の効果が得られない。また、バイオマス樹脂の含有量が60重量部を超えると、高温側の定着性が悪化し、その結果、トナーの定着領域が狭くなる。
【0040】
着色剤としては、電子写真分野で常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。
【0041】
黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。
【0042】
黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185などが挙げられる。
【0043】
橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。
【0044】
赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
【0045】
紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
【0046】
青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。
【0047】
緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
【0048】
白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。
【0049】
着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また同色であっても、2種以上を併用できる。着色剤の使用量は特に制限されないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して5重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上10重量部以下である。
【0050】
また、トナーには、結着樹脂および着色剤の他に電荷制御剤が含まれる。電荷制御剤としては、この分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用の電荷制御剤を使用できる。
【0051】
正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。
【0052】
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、ホウ素化合物、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるが、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上3重量部以下である。
【0053】
また、トナーには、さらに離型剤が含まれてもよい。離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)およびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)およびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体、シリコン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.2重量部〜20重量部、さらに好ましくは0.5重量部〜10重量部、特に好ましくは1.0重量部〜8.0重量部である。
【0054】
本発明の実施形態では、バイオマス樹脂、着色剤、および電荷制御剤をあらかじめ混合してマスターバッチを作製する。マスターバッチを作製することによって、着色剤や電荷制御剤の分散性を向上させることができる。その後、従来公知の方法と同様に溶融混練を行い、粉砕分級、外添処理によってトナーを得る。離型剤は、マスターバッチ作製時に添加してもよいし、または、その次の溶融混練工程で添加しても構わない。
【0055】
マスターバッチは、たとえば、原料を混合機で乾式混合して、得られる粉体混合物を混練機で混練することによって作製する。
【0056】
混合機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)、スーパーミキサ(商品名、株式会社カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工株式会社製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、株式会社奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業株式会社製)などが挙げられる。
【0057】
混練機としては、公知のものを使用でき、たとえば、ニーダ、二軸押出機、二本ロールミル、三本ロールミル、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械株式会社製)、PCM−65/87、PCM−30(以上いずれも商品名、株式会社池貝製)などの1軸または2軸のエクストルーダ、ニーデックス(商品名、三井鉱山株式会社製)などのオープンロール方式の混練機が挙げられる。溶融混練は、複数の混練機を用いて行っても構わない。混練温度は、バイオマス樹脂の軟化温度によるが、通常は50℃〜150℃程度、好ましくは50℃〜120℃程度である。
【0058】
上記のようにして作製したマスターバッチは、ポリエステル樹脂およびその他添加剤と混合し、溶融混練して、トナー粒子とする。混合機および混練機としては、上記と同様のものを使用できる。混練温度は、マスターバッチと混合するポリエステル樹脂の軟化温度よりも高く設定することが好ましく、通常は80℃〜150℃である。
【0059】
このようにして得られるトナー粒子は、体積平均粒径が4μm以上8μm以下であることが好ましい。トナー粒子の体積平均粒径が4μm以上8μm以下であると、長期にわたり高精細な画像を安定して形成できる。またトナー粒子をこの範囲内に小粒径化することにより、付着量が少なくても高い画像濃度が得られ、トナー消費量を削減できる効果も生じる。トナー粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、粒径が小さいことにより、トナーが高帯電化および低流動化するおそれがある。トナーが高帯電化、低流動化すると、感光体にトナーを安定して供給できなくなり、地肌かぶりおよび画像濃度の低下などが発生するおそれがある。トナー粒子の体積平均粒径が8μmを超えると、粒径が大きいため形成画像の層厚が大きくなり、粒状性の著しい画像となり、高精細な画像を得られない。またトナー粒子の粒径が大きくなることにより比表面積が減少し、トナーの帯電量が小さくなる。トナーの帯電量が小さくなると、トナーが感光体に安定して供給されず、トナー飛散による機内汚染が発生するおそれがある。
【0060】
以上のようにして製造されたトナー粒子には、外添剤を添加してもよい。外添剤を添加することにより、たとえば、トナーの粉体流動性、摩擦帯電性、耐熱性等が向上し、長期保存性、クリーニング特性等が改善され、また、感光体表面の磨耗特性などを制御できる。
【0061】
外添剤としては、たとえば、シリカ、酸化チタン、およびアルミナなどが挙げられる。外添剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。外添剤の添加量は、トナー粒子100重量部に対し0.1重量部以上3重量部以下であることが好ましい。外添剤の添加量がこのような範囲であることによって、トナーの帯電量および環境特性、また、感光体表面の磨耗特性を好適にすることができる。
【0062】
2、現像剤
本発明の実施形態である現像剤は、上記の実施形態であるトナーを含む。本実施形態の現像剤は、一成分現像剤としても二成分現像剤としても使用できる。
【0063】
一成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いることなくトナー単体で使用し、ブレードおよびファーブラシを用い、現像スリーブでトナーを摩擦帯電し、スリーブ上にトナーを付着させることでトナーを搬送し、画像形成を行う。本発明の一成分現像剤は、耐久性の高いトナーであるため、ブレードなどへの融着や感光体フィルミングの発生が抑制された一成分現像剤とすることができる。
【0064】
二成分現像剤として使用する場合、上記の実施形態のトナーをキャリアとともに用いる。
【0065】
キャリアとしては、公知のものを使用でき、たとえば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロムなどからなる単独または複合フェライトおよびキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆した樹脂被覆キャリア、または樹脂に磁性を有する粒子を分散させた樹脂分散型キャリアなどが挙げられる。
【0066】
被覆物質としては公知のものを使用でき、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。また樹脂分散型キャリアに用いられる樹脂としては特に制限されないが、たとえば、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、およびフェノール樹脂などが挙げられる。いずれも、1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0067】
キャリアの形状は、球形または扁平形状が好ましい。またキャリアの粒径は特に制限されないが、高画質化を考慮すると、好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは20μm以上50μm以下である。
【0068】
キャリアの体積抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。キャリアの体積抵抗率は、キャリア粒子を断面積0.50cmの容器に入れてタッピングした後、容器内に詰められた粒子に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値から得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリアが帯電し、感光体にキャリア粒子が付着し易くなる。またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。
【0069】
キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10emu/g以上60emu/g以下、さらに好ましくは15emu/g以上40emu/g以下である。一般的な現像ローラの磁束密度条件下では、10emu/g未満であると磁気的な束縛力が働かず、キャリア飛散の原因となるおそれがある。また磁化強さが60emu/gを超えると、非接触現像ではキャリアの穂立ちが高くなり過ぎ、像担持体とトナーの非接触状態を保つことが困難になる。また接触現像ではトナー像に掃き目が現れ易くなるおそれがある。
【0070】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるが、たとえば、フェライトキャリアを用いる場合、現像剤中のトナーの含有率が、全現像剤量の2重量%以上30重量%以下、好ましくは2重量%以上20重量%以下となるようにすればよい。また二成分現像剤において、トナーによるキャリアの被覆率は、40重量%以上80重量%以下であることが好ましい。
【0071】
本発明の二成分現像剤は、上記のトナーを含むので、トナーの耐久性を低下させることなく、環境負荷の少ない二成分現像剤とすることができる。また、透明性の高い高画質の画像を形成することが可能な二成分現像剤とすることができる。
【0072】
3、画像形成装置
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置100においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。
【0073】
画像形成装置100は、像担持体である感光体ドラム11と、画像形成部2と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。画像形成部2を構成する各部材および転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
【0074】
感光体ドラム11は、図示しない回転駆動手段によって、軸線回りに回転可能となるよう設けられ、その表面に静電潜像が形成されるローラ状部材である。感光体ドラム11の回転駆動手段は、中央処理装置(Central Processing Unit;CPU)による制御手段で制御される。感光体ドラム11は、図示しない導電性基体と、導電性基体の表面に形成される図示しない感光層とを含む。
【0075】
導電性基体は種々の形状をとることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。
【0076】
導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルムまたは紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金および酸化インジウムなどの1種または2種以上から成る導電性層を形成させた導電性フィルム、ならびに導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
【0077】
感光層は、たとえば、導電性基体の表面に電荷発生層に電荷輸送層を積層して形成する。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間に下引き層を設けるのが好ましい。下引き層は導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆し、感光層表面を平滑化する。これにより、反復使用時における感光層の帯電性の劣化が防止でき、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性が向上する。また感光層は、最上層に感光体表面保護層を設け、耐久性の大きい三層構造をとっても良い。
【0078】
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格などを有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でもフタロシアニン系顔料、アゾ顔料が好ましく、フタロシアニン系顔料の中でも無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料が好ましく、アゾ顔料の中でもフローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などが好ましい。これらは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0079】
電荷発生物質の含有量は特に制限はないが、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対し、好ましくは5重量部以上500重量部以下、さらに好ましくは10重量部以上200重量部以下である。電荷発生層用の結着樹脂としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。
【0080】
電荷発生層は、前述した成分(電荷発生物質、結着樹脂、必要に応じて可塑剤、増感剤など)を含む電荷発生層塗液を調製し、これを導電性基体表面に塗布し、乾燥させることで形成できる。電荷発生層塗液を調製する際、各成分は適切な有機溶媒に溶解または分散する。このようにして形成される電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05μm以上5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上2.5μm以下である。
【0081】
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を主成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有するもので、この分野で常用されるものを使用できる。たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。
【0082】
電荷輸送物質は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないが、好ましくは電荷輸送層中の結着樹脂100重量部に対して10重量部以上300重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上150重量部以下である。
【0083】
電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、およびこれらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物が好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0084】
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびその誘導体、有機硫黄化合物、ならびに有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないが、電荷輸送層全成分の0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05重量%以上5重量%以下である。
【0085】
電荷輸送層は、前述した成分(電荷輸送物質、結着樹脂、必要に応じて酸化剤、可塑剤、増感剤など)を含む電荷輸送層塗液を調製し、これを電荷発生層表面に塗布し、乾燥させることで形成できる。電荷輸送層塗液を調製する際、各成分は適切な有機溶媒に溶解または分散する。このようにして形成される電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10μm以上50μm以下、さらに好ましくは15μm以上40μm以下である。
【0086】
また、1つの層に電荷発生物質と電荷輸送物質とが共存する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
【0087】
本実施の形態では、前述したような、電荷発生物質および電荷輸送物質を成分とする有機感光層から成る感光体ドラムを用いるが、シリコンなどを成分とする無機感光層から成る感光体ドラムも使用できる。
【0088】
画像形成部2は、帯電装置12と、露光ユニット13と、現像部14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電装置12および露光ユニット13は、潜像形成手段として機能する。帯電装置12、現像部14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11まわりに、この順序で配置される。帯電装置12は、現像部14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
【0089】
画像形成部2によって、帯電装置12により均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成し、これに現像部14からトナーを供給することでトナー像を形成させる。このトナー像を中間転写ベルト25に転写後、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
【0090】
帯電装置12は、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電装置12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電装置12は感光体ドラム11を臨み、ドラムの長手方向に沿ってドラム表面から間隙を有して配置されるが、それに限定されない。たとえば、帯電装置12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラムとが圧接するように帯電ローラを配置しても良く、帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いてもよい。
【0091】
露光ユニット13は、出射される各色の光が、帯電装置12と現像部14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLEDアレイ、または液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
【0092】
図2は、図1に示す画像形成装置100に備わる現像部14を模式的に示す概略図である。現像部14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。
【0093】
現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ50、供給ローラ51、撹拌ローラ52などのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。
【0094】
現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部53が形成され、この開口部53を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラ50が設けられる。現像ローラ50は、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナー供給の際、現像ローラ50表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下、単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、ローラ表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することにより、静電潜像に供給されるトナー量、すなわち静電潜像のトナー付着量を制御できる。
【0095】
供給ローラ51は現像ローラ50を臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ50周辺にトナーを供給する。撹拌ローラ52は供給ローラ51を臨んで回転可能となるよう設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ51周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口54と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口55とが連通するよう設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じトナーを補給する。また現像部14は、トナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成してもよい。
【0096】
以上のように、現像部14では、本発明の二成分現像剤を用いて潜像を現像するので、環境負荷を抑制しながら、感光体ドラム11上に高精細なトナー像を安定して形成でき、透明性の高い高画質の画像を安定して形成することができる。
【0097】
クリーニングユニット15は、現像部14により感光体ドラム11表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写後に、ドラム表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。本実施形態の画像形成装置においては、感光体ドラム11として、有機感光体が用いられる。有機感光体ドラムの表面は樹脂成分が主体であるため、帯電装置のコロナ放電によって発生するオゾンが化学的に作用し、表面の劣化が進行しやすい。しかし、劣化した表面部分はクリーニングユニット15による擦過作用のため摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面劣化の問題が解消され、長期間にわたって、帯電電位を安定に維持できる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるが、クリーニングユニット15は特に設けなくてもよい。
【0098】
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの各色の画像情報にそれぞれ対応する4つの中間転写ローラ28(b,c,m,y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。
【0099】
転写手段3によって、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、転写ニップ部に搬送され、記録媒体に転写される。
【0100】
中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とに張架され、ループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転する。駆動ローラ26は図示しない駆動手段により、その軸線回りに回転可能となるよう設けられ、その回転によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転に従動回転可能となるよう設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転可能となるよう設けられる。また、中間転写ローラ28には、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する。
【0101】
中間転写ベルト25が、接触しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ローラ28から、ドラム表面のトナーの帯電極性とは逆極性の電位が転写バイアスとして印加され、トナー像が感光体ドラム11表面から中間転写ベルト25上へ転写される。転写されたトナー像は、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。
【0102】
転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。
【0103】
転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転可能となるよう設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部、すなわち転写ニップ部において、中間転写ベルト25に担持され、搬送されるトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を転写された記録媒体は、定着手段4に送給される。
【0104】
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着手段4によって、転写手段3においてトナー像の転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とに挟持され定着ニップ部を通過する際、トナー像が加熱、押圧されることにより記録媒体に定着され、画像が形成される。
【0105】
定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転可能となるよう設けられ、トナーを加熱し溶融することにより、記録媒体に担持される未定着トナー像を定着させる。
【0106】
定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられており、ローラ表面が所定の温度(以後「加熱温度」ともいう)となるよう定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後述する定着条件制御手段によって制御される。定着ローラ31の表面近傍には図示しない温度検知センサが設けられ、ローラの表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後述する制御手段の記憶部に書き込まれる。
【0107】
加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、定着ローラ31の回転に従動回転可能となるよう支持される。定着ローラ31からの熱によってトナーが溶融しトナー像が記録媒体に定着する際、加圧ローラ32はトナーと記録媒体とを押圧し、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。
【0108】
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38と、手差給紙トレイ39とを含む。記録媒体供給手段5によって、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体が、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給される。
【0109】
自動給紙トレイ35は画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、たとえば普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路a1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、転写ニップ部に送給する。
【0110】
手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置100内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路a2内を通過し、レジストローラ38に送給される。
【0111】
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
【0112】
画像形成装置100は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。
【0113】
記憶部には、画像形成装置100の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、および外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能で、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVDレコーダ、HD−DVD、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。
【0114】
演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
【0115】
制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置100内部における各装置にも電力を供給する。
【実施例】
【0116】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は特に断らない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。実施例および比較例におけるバイオマス樹脂のガラス転移温度、樹脂の酸価、水酸基価、THF不溶解分、数平均分子量および重量平均分子量、ポリエステル樹脂の軟化温度、離型剤の融点、トナー粒子の体積平均粒径および変動係数は、以下のようにして測定した。
【0117】
<バイオマス樹脂のガラス転移温度>
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線において、ガラス転移に相当する吸熱ピークより高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0118】
<樹脂の酸価>
中和滴定法によって測定した。テトラヒドロフラン(THF)50mLに試料5gを溶解し、指示薬としてフェノールフタレインのエタノール溶液を数滴加えた後、0.1モル/Lの水酸化カリウム(KOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化カリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、酸価(mgKOH/g)を算出した。
【0119】
<樹脂の水酸基価>
逆滴定法によって測定した。アセチル化試薬5mLに、試料2gを加えて溶解し、得られた試料溶液を、液温を100℃に保って1時間静置した。アセチル化試薬は、ピリジン500mL、フタル酸70gおよびイミダゾール10gを混合して調製した。次いで、試料溶液に水1mL、THF70mLおよびフェノールフタレインのエタノール溶液数滴を加え、0.4モル/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で滴定を行なった。試料溶液の色が無色から紫色に変化した点を終点とし、終点に達するまでに要した水酸化ナトリウム水溶液の量と滴定に供した試料の重量とから、水酸基価(KOHmg/g)を算出した。
【0120】
<樹脂のTHF不溶解分>
試料1gを円筒濾紙に投入し、ソックスレー抽出器にかけた。テトラヒドロフラン(THF)100mLを抽出溶媒として用い、6時間加熱還流して、試料からTHF可溶画分を抽出した。THF可溶画分を含む抽出液から溶媒を除去した後、THF可溶画分を100℃で24時間乾燥し、得られたTHF可溶画分を秤量し、重量X(g)を求めた。THF可溶画分重量X(g)と、測定に用いた試料の重量(1g)とから、下記式に基づいて、試料中のTHF不溶画分の割合P(重量%)を算出した。以下、この割合PをTHF不溶解分と称する。
P(重量%)={1(g)−X(g)}/1(g)×100
【0121】
<樹脂の数平均分子量および重量平均分子量>
試料を濃度10mg/mLとなるようテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、試料重量として3mg相当をGPC装置(GPCカラム:TSK−GEL GMH、商品名、東ソー株式会社製)に注入し、分子量分布曲線を求めた。得られた分子量分布曲線のピークの分子量をピーク分子量Mpとした。また、得られた分子量分布曲線から、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを求め、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比である分子量分布指数(Mw/Mn;以後、単に「Mw/Mn」とも表記する)を求めた。測定は、溶媒としてTHFを流速1.2mL/minで流し、温度40℃で行った。溶媒および測定温度は、測定試料に合わせて適宜変更した。なお、分子量校正曲線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
【0122】
<ポリエステル樹脂の軟化温度>
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用い試料1gを昇温速度毎分6℃で加熱し、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えてダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
【0123】
<離型剤の融点>
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用い、試料1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で200℃まで加熱し、次いで200℃から20℃に急冷する操作を2回繰返し、DSC曲線を測定した。2回目の操作で測定したDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの温度を離型剤の融点とした。
【0124】
<トナー粒子の体積平均粒子径および変動係数>
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、STM社製)を用い周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料とした。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer3、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:20μm、測定粒子数:50000カウントの条件下で測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。またトナーの変動係数を、体積平均粒径およびその標準偏差に基づいて、下記式より算出した。
変動係数CV(%)=(体積粒度分布における標準偏差/体積平均粒径)×100
【0125】
(実施例1)
〔バイオマス樹脂の作製〕
ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物 347部
2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC) 140部
テトラブトキシチタネート 3部
【0126】
上記の原料を、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に投入し、生成する水を留去しながら、窒素気流下において185℃で5時間反応させた。5〜20mmHgの減圧下で反応を続け、酸価が2以下になった時点で、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物64部、テレフタル酸84部、およびテトラブトキシチタネート1.5部を添加し、生成する水を留去しながら、窒素気流下において230℃で6時間反応させた。生成した重合物を取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化してバイオマス樹脂1を得た。
【0127】
バイオマス樹脂1は、酸価11、水酸基価21、Mn2500、Mw/Mn3.5、Tg61℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度22%であった。ここで、バイオマス度とは、バイオマス樹脂中に含まれるバイオマスPDCの重量%である。
【0128】
〔ポリエステル樹脂の作製〕
ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物 41部
ビスフェノールA・プロピレンオキサイド3モル付加物 457部
テレフタル酸 166部
テトラブトキシチタネート 3部
【0129】
上記の原料を、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に投入し、生成する水を留去しながら、窒素気流下において230℃で5時間反応させた。5〜20mmHgの減圧下で反応を続け、酸価が2以下になった時点で、生成した重合物を取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化してポリエステル樹脂a(酸価2、水酸基価46、Mn2500、Mp5500)を得た。
ポリエステル樹脂a 622部
無水トリメリット酸 41部
テトラブトキシチタネート 3部
【0130】
上記の原料を、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に投入し、系内の気相を窒素置換した後、常圧密閉下において180℃で2時間反応させた。次いで500〜700mmHgの減圧下において220℃で反応させ、軟化温度が135℃になった時点でベルトクーラーを通して取り出し、粉砕し粒子化して、ポリエステル樹脂P1を得た。反応時のOH/COOHは0.77であった。ポリエステル樹脂P1は、酸価20、水酸基価10、Mn12500、Mw/Mn36.5、軟化温度135℃、THF不溶解分6重量%であった。
【0131】
〔トナー粒子の作製〕
バイオマス樹脂1 79.2部
カーボンブラック(商品名:MA−77、三菱化学社製) 18.5部
帯電制御剤(商品名:LR−147、日本カーリット株式会社製) 2.3部
【0132】
上記の原料を、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)によって10分間混合した後、二軸押出混練機(商品名:PCM65、株式会社池貝製)にて溶融混練した。この溶融混練物を粗粉砕して、マスターバッチ1を得た。
ポリエステル樹脂P1 53.5部
マスターバッチ1 43.8部
パラフィン系ワックス(融点130℃) 1.5部
磁性粉 1.2部
【0133】
上記の原料を、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山株式会社製)によって10分間混合した後、二軸押出混練機(商品名:PCM65、株式会社池貝製)にて溶融混練した。溶融混練物を粗粉砕し、ジェットミルにより粉砕分級し、トナー粒子(体積平均粒子径6.2μm、CV値22)を得た。このトナー粒子200重量部に疎水性シリカ微粉体(商品名:R−976S、日本アエロジル株式会社製)1.6重量部を添加し、実施例1のトナーを得た。
【0134】
(実施例2)
バイオマス樹脂の作製において、185℃での反応時間を3.5時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂2(酸価11、水酸基価20、Mn1500、Mw/Mn4.6、Tg57.5℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度23%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂2を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例2のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.9μm、CV値23)を得た。
【0135】
(実施例3)
バイオマス樹脂の作製において、無水トリメリット酸を45部投入したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂3(酸価11、水酸基価18、Mn2800、Mw/Mn4.2、Tg62.1℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度23%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂3を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例3のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.0μm、CV値22)を得た。
【0136】
(実施例4)
バイオマス樹脂の作製において、185℃での反応時間を3.0時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂4(酸価12、水酸基価24、Mn1250、Mw/Mn2.6、Tg58.2℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度22%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂4を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例4のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.0μm、CV値25)を得た。
【0137】
(実施例5)
バイオマス樹脂の作製において、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC)の投入量を166部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂5(酸価16、水酸基価20、Mn2360、Mw/Mn3.9、Tg60.4℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度28%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂5を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例5のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.9μm、CV値22)を得た。
【0138】
(実施例6)
バイオマス樹脂の作製において、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC)の投入量を189部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂6(酸価18、水酸基価19、Mn2100、Mw/Mn3.6、Tg58.9℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度32%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂6を用いたこと以外は実施例1と同様にして実施例6のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.1μm、CV値20)を得た。
【0139】
(実施例7)
トナー粒子の作製においてポリエステル樹脂P1およびマスターバッチ1の投入量を、それぞれ65.7部、31.6部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例7のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.0μm、CV値22)を得た。
【0140】
(実施例8)
トナー粒子の作製においてポリエステル樹脂P1およびマスターバッチ1の投入量を、それぞれ27.9部、69.4部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例8のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.8μm、CV値22)を得た。
【0141】
(実施例9)
ポリエステル樹脂の作製において、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物379部、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物447部、テレフタル酸332部、およびテトラブトキシチタネート3部を原料として用い、実施例1と同様にして窒素気流下において230℃で5時間反応させた。5〜20mmHgの減圧下で反応を続け、酸価が2以下になった時点で、180℃まで冷却し、無水トリメリット酸40部を加え、常圧密閉下において2時間反応させた。生成した重合物を取り出し、室温まで冷却後、粉砕し粒子化して、ポリエステル樹脂P2(酸価21、水酸基価37、Mn2000、Mp4200、軟化温度132℃、THF不溶解分0重量%)を得た。トナー粒子の作製においてポリエステル樹脂P1の代わりにポリエステル樹脂P2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.0μm、CV値22)を得た。
【0142】
(実施例10)
ポリエステル樹脂の作製において、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物およびビスフェノールA・プロピレンオキサイド2モル付加物の代わりに、水素添加処理したビスフェノールA・グリコール付加物を55.0部用いたこと以外は実施例9と同様にしてポリエステル樹脂P3(酸価18、水酸基価32、Mn2600、Mp7200、軟化温度135℃、THF不溶解分0重量%)を得た。トナー粒子の作製においてポリエステル樹脂P1の代わりにポリエステル樹脂P3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例10のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.9μm、CV値23)を得た。
【0143】
(実施例11)
バイオマス樹脂の作製において、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸(PDC)の投入量を100部に変更し、テレフタル酸の投入量を85部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、バイオマス樹脂9(酸価18、水酸基価22、Mn2100、Mw/Mn4.1、Tg62.4℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度15%)を得た。トナー粒子の作製においてバイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例11のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.9μm、CV値22)を得た。
【0144】
(実施例12)
トナー粒子の作製においてポリエステル樹脂P1およびマスターバッチ1の投入量を、それぞれ74.6部、22.7部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例12のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.6μm、CV値25)を得た。
【0145】
(実施例13)
トナー粒子の作製においてポリエステル樹脂P1およびマスターバッチ1の投入量を、それぞれ15.3部、82部としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例13のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.7μm、CV値24)を得た。
【0146】
(比較例1)
バイオマス樹脂の作製において、185℃での反応時間を6.5時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂7(酸価14、水酸基価17、Mn3260、Mw/Mn4.1、Tg63.5℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度23%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂7を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.1μm、CV値21)を得た。
【0147】
(比較例2)
バイオマス樹脂の作製において、185℃、5時間の反応を200℃、4.5時間の反応に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂8(酸価19、水酸基価25、Mn2920、Mw/Mn5.6、Tg62.4℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度23%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂8を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例2のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.9μm、CV値23)を得た。
【0148】
(比較例3)
バイオマス樹脂の作製を行わず、トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりに、市販のポリ乳酸系樹脂であるバイオマス樹脂10(商品名:テラマックT−1070、ユニチカ製、融点170℃、比重1.24、Mn2360、Mw/Mn3.4、Tg48.3℃、バイオマス度21%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径5.8μm、CV値25)を得た。
【0149】
(比較例4)
バイオマス樹脂の作製において、185℃、5時間の反応を200℃、3.0時間の反応に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂11(酸価24、水酸基価37、Mn980、Mw/Mn4.8、Tg55.9℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度21%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂11を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例4のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.5μm、CV値25)を得た。
【0150】
(比較例5)
バイオマス樹脂の作製において、水素添加ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物の投入量を300部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂12(酸価14、水酸基価27、Mn2590、Mw/Mn4.0、Tg52.2℃、THF不溶解分0重量%、バイオマス度21%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂12を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例5のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.3μm、CV値24)を得た。
【0151】
(比較例6)
バイオマス樹脂の作製において、テトラブトキシチタネートの投入量を2部に変更し、185℃での反応時間を6.0時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてバイオマス樹脂13(酸価10、水酸基価18、Mn2970、Mw/Mn4.8、Tg66.2℃、THF不溶解分1重量%、バイオマス度21%)を得た。トナー粒子の作製において、バイオマス樹脂1の代わりにバイオマス樹脂13を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例6のトナー(トナー粒子:体積平均粒子径6.3μm、CV値22)を得た。
【0152】
実施例1〜13および比較例1〜6の各トナーとキャリアと混合して二成分現像剤を調製し、以下のようにして評価を行った。画像形成装置として、AR−150(商品名、シャープ株式会社製)を用いた。
【0153】
<保存安定性>
実施例および比較例の各トナー300gを専用のトナーボトルに入れ、50℃の恒温槽で2日間放置した後、400メッシュのふるいにかけた。凝集物の存在を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎(非常に良好):凝集物なし
○(良好):凝集物がわずかに認められる
△(実用上問題なし):凝集物あり
×(実用不可):トナーボトルにトナーが固着
【0154】
<定着性>
実施例および比較例のトナーをそれぞれ含む二成分現像剤を、上記画像形成装置に充填した。プロセススピード88mm/secで画像形成装置を稼動させ、記録用紙(坪量52g/m)上に所定のチャートで画出しを行った未定着画像を形成させた。記録用紙上に形成された未定着画像を、オイルレス型定着方式の外部定着機を用いて、100℃から200℃まで10℃刻みで記録用紙に定着させた。定着ローラの回転が2回転目以降における記録用紙上のオフセットの有無を目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎(非常に良好):定着温度120℃以上200℃以下の範囲においてオフセットの発生がない
○(良好):定着温度130℃以上190℃以下の範囲においてオフセットの発生がない
△(実用上問題なし):定着温度140℃以上190℃以下の範囲においてオフセットの発生がない
×(実用不可):定着温度140℃以上190℃以下の範囲においてオフセットの発生あり
【0155】
<耐久性>
実施例および比較例のトナーをそれぞれ含む二成分現像剤を、上記画像形成装置に充填した。気温20℃、相対湿度50%の環境下で、プロセススピード88mm/secで画像形成装置を稼動させ、A4サイズの記録用紙(坪量75g/m)上に所定のチャートで画出しを行った画像を形成させた。画像形成10000枚後に、記録用紙の白紙部分を無作為抽出された10人の被験者が目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎(非常に良好):10人全員が白紙部分の汚れを認めなかった
○(良好):1人または2人が白紙部分の汚れを認めた
△(実用上問題なし):3人が白紙部分の汚れを認めた
×(実用不可):4人以上が白紙部分の汚れを認めた
【0156】
<透明性>
実施例および比較例のトナーをそれぞれ含む二成分現像剤を、上記画像形成装置に充填した。プロセススピードが88mm/secで画像形成装置を稼動させ、色度および彩度が最適化された現像および定着条件で、OHPシート(商品名:IJ188OHP、シャープドキュメントシステム製)上に所定のチャートで画出しを行った画像を形成させた。形成された画像を無作為抽出された10人の被験者が目視で観察し、下記の基準で評価した。
◎(非常に良好):10人全員がシートの曇りを認めなかった
○(良好):1人がシートの曇りを認めた
△(実用上問題なし):2人〜4人がシートの曇りを認めた
×(実用不可):5人以上がシートの曇りを認めた
【0157】
<総合評価>
保存安定性、定着性、耐久性、および透明性の評価結果を合わせて、以下の基準で総合評価を行った。
◎(良好):いずれの評価も◎または○である
○(実用上問題なし):いずれかの評価が△であるが、×はない
×(実用不可):いずれかの評価が×である
【0158】
実施例1〜13および比較例1〜6のトナーに用いた樹脂の物性を表1に示し、各トナーの物性および評価結果を表2に示す。
【0159】
【表1】

【0160】
【表2】

【0161】
表2の結果より、実施例1〜13のトナーは、比較例1〜6のトナーに比べて、定着性、保存性、耐久性および透明性などのトナー特性が優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0162】
3 転写手段
4 定着手段
5 記録媒体供給手段
6 排出手段
11 感光体ドラム
12 帯電装置
13 露光ユニット
14 現像部
15 クリーニングユニット
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−ピロン−4,6−ジカルボン酸がポリエステル骨格に導入されたバイオマス樹脂を含む結着樹脂と、着色剤とを含むトナーであって、
前記バイオマス樹脂は、
2−ピロン−4,6−ジカルボン酸を15%以上含み、
数平均分子量が1000以上3000以下であり、
数平均分子量に対する重量平均分子量の割合が1以上5以下であり、
ガラス転移温度が55℃以上65℃以下であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記結着樹脂は、前記バイオマス樹脂の含有量が、トナー粒子100重量部に対して20重量部以上60重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記結着樹脂は、ビスフェノールA骨格を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーを製造する製造方法であって、
ジカルボン酸とジオールとの反応によって、バイオマス樹脂を作製する工程と、
前記バイオマス樹脂とポリエステル樹脂とを含有するトナー粒子を作製する工程とを含み、
前記ジカルボン酸は、2−ピロン−4,6−ジカルボン酸と、ポリエステル用モノマーであることを特徴とするトナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−257568(P2011−257568A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131536(P2010−131536)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】