説明

トナーの製造方法およびトナー

【課題】生産性に優れると共に、耐熱保管性および低温定着性に優れかつトナー飛散防止性に優れるトナーを与えるトナーの製造方法を提供する。
【解決手段】第一の樹脂および着色剤を含有するコア層を有し、該コア層上にシェル層を有するコアシェル型トナーを製造するトナーの製造方法であって、該第一の樹脂および該着色剤を含有するコア粒子を含有するコア樹脂分散液と、ビニルトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三のポリエステル樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して、該コア粒子を、該シェル層用粒子で覆いシェル層Aを形成するシェル化工程、および該層Aを、酸化剤を含有する酸化剤溶液で処理し、該第二の樹脂を架橋する架橋工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置を用いた画像形成方法に用いられるトナーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止の観点から、種々の分野で省エネルギー化が検討されており、画像形成装置などの情報機器においても、待機時の省電力化など低エネルギーで使用できるよう取り組みが進められてきており、一方では、最もエネルギーを消費する定着工程において定着温度を低くする検討がなされている。
【0003】
このような定着温度の低下を実現させるために、例えば特許文献1には、電子写真方式の画像形成装置に用いるトナーとして、カルボン酸成分を含有する重合体と多価金属化合物とを結合させて架橋させた樹脂を含有するトナーが開示されている。
【0004】
このようなトナーによれば、加熱定着時に架橋に係る結合が熱により開裂されることにより樹脂の溶融粘度が低下するため、保管時の耐熱保管性が得られながら低温定着性が得られる。
【0005】
一般的に、基本的な構造のトナーにおいては、本来、耐熱保管性を得るためにガラス転移点の高い樹脂により形成されるもののそのために定着温度は高温にならざるを得ないという問題があって、すなわち耐熱保管性と低温定着性とはトレードオフの関係にあって両立させることは困難であった。
【0006】
そして、このような上記した樹脂を用いることによっても、定着温度は最低でも150℃程度は必要であり、十分な低温定着性が得られない場合があるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平8−3665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、生産性に優れると共に、耐熱保管性および低温定着性に優れかつトナー飛散防止性に優れるトナーを与えるトナーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、下記手段により解決される。
【0010】
1.第一の樹脂および着色剤を含有するコア層を有し、該コア層上にシェル層を有するコアシェル型トナーを製造するトナーの製造方法であって、該第一の樹脂および該着色剤を含有するコア粒子を含有するコア樹脂分散液と、下記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して、該コア粒子を、該シェル層用粒子で覆いシェル層Aを形成するシェル化工程、および該シェル層Aを、酸化剤を含有する酸化剤溶液で処理し、該第二の樹脂を架橋する架橋工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
【0011】
【化1】

【0012】
[式中、Rは、水素原子または塩素原子を表す。RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表す。]
2.前記第三の樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする前記1に記載のトナーの製造方法。
【0013】
3.前記シェル層用粒子は、前記第三の樹脂を有機溶剤に溶解してシェル第一樹脂溶液を調製する溶解工程、該シェル第一樹脂溶液と前記第二の樹脂とを含有するシェル第二樹脂溶液を調製する混合工程、該シェル第二樹脂溶液を水系媒体中に分散して、該シェル第二樹脂溶液の液滴が該水系媒体中に分散されたシェル第二樹脂溶液分散液を調製する分散工程およびシェル第二樹脂溶液分散液から該有機溶剤を除去して、樹脂粒子を形成する脱溶剤工程、を有する製造方法により製造されたものであることを特徴とする前記2に記載のトナー製造方法。
【0014】
4.前記シェル第二樹脂溶液に含有される前記第二の樹脂が、前記シェル第一樹脂溶液中で重合され合成された樹脂であることを特徴とする前記3に記載のトナーの製造方法。
【0015】
5.前記第二の樹脂が、下記一般式(2)で表される重合性単量体を用いた重合により得られた樹脂であることを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
【0016】
【化2】

【0017】
〔式中、Rは水素原子または塩素原子を表す。RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表す。Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、単結合または2価の連結基を表す。〕
6.前記1から5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法により製造されたトナーであって、前記第一の樹脂および前記着色剤を含有するコア層を有し、該コア層上に前記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂およびポリエステル樹脂を含有するシェル層を有し、該シェル層の表面が、下記一般式(3)で表される架橋構造を有することを特徴とするトナー。
【0018】
【化3】

【0019】
〔式中、Rは水素原子または塩素原子を表す。RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表す。Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、単結合または2価の連結基を表す。〕
【発明の効果】
【0020】
本発明の上記手段により、生産性に優れると共に、良好な耐熱保管性を有すると同時に十分な低温定着性を有しかつ粒子強度が高くトナー飛散防止性に優れるトナーを与えるトナーの製造方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、第一の樹脂および着色剤を含有するコア層を有し、該コア層上にシェル層を有するコアシェル型トナーを製造するトナーの製造方法であって、該第一の樹脂および該着色剤を含有するコア粒子を含有するコア樹脂分散液と、下記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して、該コア粒子を、該シェル層用粒子で覆いシェル層Aを形成するシェル化工程、および該シェル層Aを、酸化剤を含有する酸化剤溶液で処理し、該第二の樹脂を架橋する架橋工程を有することを特徴とする。
【0022】
本発明においては、特にシェル層に上記トリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を用い、コア層上にシェル層を設けた後に、このシェル層の第二の樹脂を、酸化剤を用いて架橋することで、生産性に優れると共に、良好な耐熱保管性を有すると同時に十分な低温定着性を有しかつ粒子強度が高くトナー飛散防止性に優れるトナーを与えるトナーの製造方法が提供できる。
【0023】
本発明の製造方法は、第一の樹脂および該着色剤を含有するコア粒子を含有するコア樹脂分散液と、上記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して、コア粒子を、第二の樹脂および第三の樹脂を含むシェル層Aで覆うシェル化工程、およびシェル層Aを、酸化剤を含有する酸化剤溶液で処理し、第二の樹脂を架橋する架橋工程とを有する。
【0024】
(シェル化工程)
シェル化工程では、第一の樹脂および該着色剤を含有するコア粒子を含有するコア樹脂分散液と、上記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して、コア層を第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層Aで覆う工程である。
【0025】
コア層は、第一の樹脂および着色剤を含有するコア粒子からなる。
【0026】
このコア粒子を含有するコア樹脂分散液の作製方法は限定されないが、第一の樹脂の粒子を分散含有する第一樹脂分散液を作製し、また着色剤の粒子を分散含有する着色剤分散液を作製しこれらの分散液を混合し、第一の樹脂粒子と着色剤の粒子を凝集させることにより、コア粒子を含有するコア樹脂分散液を作製することが生産性の観点から好ましい。
【0027】
コア粒子を含有するコア樹脂分散液を製造するほかの方法としては、例えば、着色剤を含有したモノマー滴を重合させてコア粒子分散液とする懸濁重合や、溶剤中に樹脂と着色剤を溶解または分散させた油滴を水に分散したのちに、油滴中の溶剤を除去しコア粒子分散液とする溶剤脱溶法などが挙げられる。
【0028】
シェル層Aは、コア粒子を含有するコア樹脂分散液と、第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して形成される。
【0029】
以下に、第一樹脂分散液、着色剤分散液、シェル樹脂分散液の作製、およびシェル層Aの形成方法について説明する。
【0030】
(第一樹脂分散液の作製)
第一樹脂分散液を作製する工程としては、例えば、第一の樹脂がスチレンアクリルのようなラジカル重合性のモノマーを用いたものであれば、熱可塑性樹脂を形成すべき重合性モノマーにラジカル開始剤や連鎖移動剤を溶解あるいは分散させ、さらに必要に応じて離型剤、荷電制御剤などのトナー粒子構成材料を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製し、これを、界面活性剤などを用いて水系媒体中に添加し、混合、攪拌しながら重合反応を行うことなどにより、第一樹脂分散液を得る工程があげられる。
【0031】
また、第一の樹脂がポリエステルのような樹脂であれば、酢酸エチル等の溶剤に、ポリエステル樹脂を溶解し、界面活性剤などを用いて、水系媒体中に分散機を用いて乳化分散させて、脱溶剤処理を行って、第一樹脂分散液を得る工程が挙げられる。
【0032】
ただし、これらの方法に限られるものではない。
【0033】
これらの工程において作製される分散液中の第一の樹脂の粒子は、その体積基準のメジアン径が50〜500nmの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは、80〜300nmである。
【0034】
ここに、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。
【0035】
水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0036】
第一の樹脂としては、熱可塑性樹脂である、ポリエステル樹脂やスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレンアクリル樹脂などのビニル系重合体、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。好ましいのはポリエステル樹脂とスチレンアクリル樹脂である。
【0037】
ポリエステル樹脂としては多価アルコールおよび多価カルボン酸を重縮合させることによって合成することができる。
【0038】
多価アルコールとしては非ラジカル重合性のものであれば、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができ、また、3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
【0039】
また、ラジカル重合性を持ち合わせるのものでは、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール、9−オクタデゼン−7,12−ジオールなどのラジカル重合性不飽和二重結合を有するもの;2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオールなどのラジカル重合性不飽和三重結合を有するものなどを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
多価カルボン酸としては非ラジカル重合性のものであれば、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;これらの低級アルキルエステルや酸無水物;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸などが挙げられる。
【0041】
また、ラジカル重合性を持ち合わせるものであれば、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物;特に、優れたラジカル重合性を示すことから、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸を用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
スチレンアクリル樹脂などのビニル系重合体としてはこれを得るためのラジカル重合性モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系単量体を挙げることができる。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
また、ラジカル重合性モノマーとしてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0044】
水系媒体中に粒子を安定に分散させるために、当該水系媒体中に界面活性剤を添加してもよく、このような界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを用いることができる。これはこれ以降の分散液の作製も同様に当てはまる。
【0045】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。
【0046】
また、カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。
【0047】
さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどを挙げることができる。
【0048】
重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であって、その10時間半減期温度が、用いるラジカル発生剤に係る10時間半減期温度(A)未満、好ましくは(A−10℃)未満であるものであれば、適宜のものを使用することができる。
【0049】
重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、有機過酸化物などが挙げられる。
【0050】
熱可塑性樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。
【0051】
連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
【0052】
上記のようにして得られた第一樹脂分散液と下述する着色剤分散液とを混合した後、混合液のpHを調整し、凝集してコア粒子を形成することができる。この際、凝集剤を使用することが有効である。
【0053】
用いられる凝集剤は、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
【0054】
前記無機金属塩としては、たとえば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。
【0055】
(着色剤分散液の作製)
着色剤分散液を作製する工程としては、水系媒体中に着色剤を添加し、これに機械的エネルギーを作用させることによって水系媒体中に着色剤粒子を分散させた着色剤粒子の分散液が調製される。
【0056】
機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。
【0057】
着色剤分散液作製工程において調製される分散液中の着色剤粒子は、その体積基準のメジアン径が20〜1,000nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜140nm、特に好ましくは30〜100nmである。
【0058】
着色剤粒子の体積基準のメジアン径を20〜1,000nmに制御する方法としては、例えば上述の機械的エネルギーの大きさを調整することなどにより、制御することができる。
【0059】
着色剤としては、下記に例示するような有機または無機の各種、各色の顔料を使用することができる。
【0060】
すなわち、黒トナー用の着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、鉄・チタン複合酸化物ブラック等が使用可能であり、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用可能である。また、磁性体としてはフェライト、マグネタイトなどが使用可能である。
【0061】
イエロートナー用のイエロー着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等、また、顔料としてC.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185等が使用可能で、これらの混合物も使用可能である。
【0062】
マゼンタトナー用のマゼンタ着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等、顔料としてC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222等が使用可能で、これらの混合物も使用可能である。
【0063】
シアントナー用のシアン着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー36、C.I.ソルベントブルー60、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ソルベントブルー93、C.I.ソルベントブルー95等、顔料としてC.I.ピグメントブルー1、7、15、60、62、66、76等が使用可能である。
【0064】
これらの顔料は、1種単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
【0065】
着色剤の含有割合は、トナー粒子中0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜10質量%である。
【0066】
(シェル樹脂分散液の作製)
シェル樹脂分散液は、下述する一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を分散して含有する分散液である。
【0067】
(一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂)
一般式(1)中、Rは水素原子または塩素原子であり、好ましくは水素原子である。
【0068】
一般式(1)中、Rが塩素原子である場合は、基Rはイミダゾール環に対してパラ位に結合されていることが好ましい。
【0069】
塩素原子よりなる基Rがイミダゾール環に対してパラ位に結合された場合には、後述するイミダゾール環間の架橋結合を形成しやすい。
【0070】
また、上記一般式(1)において、RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基であり、好ましくは水素原子である。
【0071】
当該一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基におけるRおよびRが塩素原子である場合は、RおよびRはイミダゾール環に対してオルト位、メタ位、パラ位のいずれに結合されていてもよい。
【0072】
また、RおよびRがメトキシ基である場合は、RおよびRはイミダゾール環に対してオルト位に結合されていることが好ましい。
【0073】
とRは、生産性の面から同一であることが好ましい。
【0074】
一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂は、一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する重合性単量体を用いた重合反応により得ることができる。
【0075】
重合性反応は、当該単量体のみを用いたものでもよいし、他の共重合単量体と共に行ってもよい。
【0076】
重合性単量体としては、ラジカル重合、縮合重合などに用いられる単量体であれば特に制限なく用いることができるが、上記の一般式(2)で表される重合性単量体を用いることが好ましい。
【0077】
一般式(2)において、Lは、単結合または2価の連結基を表す。RからRは、一般式(1)におけるRからRと、各々同義である。すなわち一般式(2)のLに結合している基の一つは、上記一般式(1)で表される基である。
【0078】
は、水素原子またはメチル基を表す。
【0079】
一般式(2)において、トリアリールイミダゾール基におけるイミダゾール環は、当該トリアリールイミダゾール基における、基Lに連続して結合されるべきベンゼン環について、基Lに対してメタ位に結合されていることが好ましい。
【0080】
イミダゾール環がトリアリールイミダゾール基における、基Lに連続して結合されるべきベンゼン環について、基Lに対してメタ位に結合されている重合性トリアリールイミダゾール化合物は、イミダゾール環間の架橋結合を形成しやすい。
【0081】
Lで表される2価の連結基としては、例えば−C(=O)−NH−、−C(=O)O−、−NH(C=O)NH−および−NH−C(=O)O−などが挙げられる。
【0082】
一般式(2)で表される重合性単量体としては、例えば下記の例示化合物1〜8で表される化合物を例示することができる。
【0083】
【化4】

【0084】
本発明に係る第二の樹脂としては、上記のような重合性単量体を用いた重合反応により得ることができるが、この重合性単量体と共重合可能な共重合用単量体と共重合させたものが好ましく用いられる。
【0085】
共重合用単量体としては、例えば前述の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどを挙げることができる。
【0086】
重合性単量体(重合性トリアリールイミダゾール化合物)と共重合用単量体との共重合比は、重合性トリアリールイミダゾール化合物:共重合用単量体のモル比で1:99〜30:70であることが好ましい。
【0087】
本発明においては、シェル層の形成に第二の樹脂および第三の樹脂を用いるが、シェル層を形成するためには、後述するように第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を分散含有するシェル樹脂分散液を用いる。
【0088】
(第三の樹脂)
本発明に係る第三の樹脂は、上記第二の樹脂以外の樹脂であれば特に制限はないが、第三の樹脂としてはポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレンアクリル樹脂などのビニル系重合体、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。第三の樹脂としては、これらの中でも特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0089】
(ポリエステル樹脂)
本発明において用いられるポリエステル樹脂は、および多価アルコール(誘導体)および多価カルボン酸(誘導体)よりなるポリエステル形成組成物を原料として重縮合反応により製造することができる。
【0090】
多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物およびヒドロキシカルボン酸が例示でき、多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物および酸塩化物が例示できる。
【0091】
多価アルコールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のポリオール(ジオール)は1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、2価のポリオール以外のポリオールとしては、たとえば、グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0092】
多価カルボン酸としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、2価のカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、たとえば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸等を挙げることができる。
【0093】
また、2価のカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
【0094】
これらの重縮合性単量体の組み合わせによりポリエステル構造を非結晶樹脂構造や結晶性樹脂構造またはそれらの混合構造など任意に制御することが可能であり、本発明において、ポリエステル樹脂は1種類または2種類以上のポリエステルを使用することができ、更に非結晶性、結晶性などポリエステル構造の組み合わせは任意に選定することができる。
【0095】
たとえば結晶性ポリエステル構造を得るためには、使用される、多価アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4,ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることができる。また多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコ酸、イタコン酸、グルタコ酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、これらの酸無水物あるいは酸塩化物を挙げることができる。
【0096】
非結晶性ポリエステルを得るために使用されるポリオールとしては、上記ポリオールのうち、特に、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールや、これらのアルキレンオキサイド付加物等を用いることが好ましい。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドが例示できる。
【0097】
非結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記の多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸を挙げることができる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、たとえば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等を挙げることができる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、酸塩化物、または、エステル等に誘導したものを用いてもよい。これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。尚、低級エステルとは、炭素数1から8の脂肪族アルコールのエステルをいう。
【0098】
エチレン性不飽和結合を導入可能な多価カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が好適に使用できる。
【0099】
ポリエステル樹脂としては、結晶性の場合の結晶融点Tmは50℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは55℃以上90℃以下の範囲である。
【0100】
Tmが50℃以上であると、高温度領域での結晶性樹脂の凝集力が適切な範囲であり、定着の際に良好な剥離性が得られ、更にオフセットの発生を生じることがないので好ましい。また、Tmが120℃以下であると、十分な溶融が得られ、好適な最低定着温度が得られるので好ましい。
【0101】
一方、ポリエステル樹脂粒子が非晶性の場合、ガラス転移点Tgは30℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。Tgが30℃以上であると、高温度領域での樹脂自体の凝集力が適切であり、定着の際にホットオフセットを生じることがないので好ましい。また、Tgが80℃以下であると、十分な溶融を得ることができ、好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
【0102】
ここで、結晶性樹脂の融点および非結晶性樹脂のガラス転移点の測定には、示差走査カロリメーター「DSC−7」(パーキンエルマー製)、および熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー製)を用いて測定されるものである。具体的には、樹脂4.50mgをアルミニウム製パン「KITNO.0219−0041」に封入し、これを「DSC−7」のサンプルホルダーにセットし、リファレンスの測定には空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃で、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分の測定条件で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを取得し、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本発明においては、最大のピークをもって融点とみなす。非結晶性の樹脂には、その2nd.Heatにおけるデータを取得し、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点をガラス転移点として示す。なお、1st.Heat昇温時は200℃にて5分間保持した。
【0103】
尚、前記の「結晶性ポリエステル樹脂」に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃未満であることを意味する。
【0104】
一方、吸熱ピークの半値幅が10℃以上の樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
【0105】
また、用いるポリエステル樹脂の平均分子量は、1,500以上60,000以下であることが好ましく、より好ましくは3,000以上40,000以下の範囲である。
【0106】
平均分子量が1,500以上であると、バインダー樹脂として好適な凝集力が得られ、ホットオフセット性が良好であるので好ましい。また、平均分子量が60,000以下であると、良好なホットオフセット性および好適な最低定着温度を得ることができるので好ましい。
【0107】
ここで用いるポリエステル樹脂の平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されたピーク分子量であって以下の方法によって測定されるものである。なお、ピーク分子量とは分子量分布におけるピークトップの溶出時間に相当する分子量であり、分子量ピークが複数存在した場合、ピーク面積比率の一番大きなピークトップの溶出時間に相当する分子量を指す。分子量は具体的には装置「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μlを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布から、測定されるものである。
【0108】
また、重縮合性単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
【0109】
また、アクリル樹脂をグラフト重合で付加したポリエステル樹脂も用いることができる。
【0110】
(シェル層用粒子の作製(シェル樹脂分散液の作製))
一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を分散して含有する分散液は、第二の樹脂と第三の樹脂とを溶解して含有する、溶媒を含む溶液から溶媒を除去することで得られる。
【0111】
シェル層用粒子を形成してシェル樹脂分散液を作製する方法としては、以下の方法が好ましく用いられる。
【0112】
すなわち、第三の樹脂を有機溶剤に溶解してシェル第一樹脂溶液を調製する溶解工程、このシェル第一樹脂溶液と第二の樹脂とを含有するシェル第二樹脂溶液を調製する混合工程、このシェル第二樹脂溶液を水系媒体中に分散して、シェル第二樹脂溶液の液滴が水系媒体中に分散されたシェル第二樹脂溶液分散液を調製する分散工程およびシェル第二樹脂溶液分散液から有機溶剤を除去してシェル層用樹脂粒子を形成する脱溶剤工程を有する製造方法が好ましく用いられる。
【0113】
(溶解工程)
溶解工程で用いられる有機溶媒としては、第三の樹脂の種類にもよるが、第三の樹脂および後述の第二の樹脂が溶解することが必要であり、さらには後述のように水媒体に分散させ油滴となるよう水とは相溶しないものである必要がある。例えば、ヘキサン、ペプタンのような脂肪族炭化水素系、ベンセン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル系の溶剤が挙げられる。
【0114】
これらの中でもたとえば第三の樹脂がポリエステルの場合、酢酸エチル等が好ましく用いられる。
【0115】
溶解工程におけるシェル第一樹脂溶液の濃度の範囲としては後述のシェル第二樹脂溶液が極端に高粘度を示さなければ限定はないが、一般的には5質量%〜30質量%が好ましい。
【0116】
(混合工程)
混合工程では、第三の樹脂を含有するシェル第一樹脂溶液と第二の樹脂とを含有するシェル第二樹脂溶液を調製するが、シェル第二樹脂溶液を調製する方法としては次の2つの方法がある。
【0117】
第二の樹脂をシェル第一樹脂溶液中で合成する方法と、第二の樹脂をあらかじめ合成しておき、シェル第一樹脂溶液と混合する方法である。
【0118】
本発明においては前者の方法、すなわちシェル第二樹脂溶液に含有される第二の樹脂が、シェル第一樹脂溶液中で重合されて合成された樹脂である製造方法が好ましく適用できる。
【0119】
第二の樹脂をシェル第一樹脂溶液中で合成(重合)する方法としては、シェル第一樹脂溶液に上記第二の樹脂形成するための重合性単量体、重合開始剤および必要に応じ上記の共重合用の単量体を添加し、加熱する方法が好ましく適用できる。
【0120】
また、第二の樹脂と第三の樹脂は、お互いが化学結合によりグラフトコポリマーやブロックコポリマーの形態であってもよく、お互いに化学結合がなく独立な形態であってもよい。
【0121】
第二の樹脂であるトリアリールイミダゾール基含有スチレンアクリル樹脂と第三の樹脂であるポリエステル樹脂を化学結合によりグラフトコポリマーやブロックコポリマーの形態とする方法としてはポリエステル樹脂存在下での重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合によりさせ、重合体を得ることが好ましい。
【0122】
具体的にはポリエステル樹脂の原材料として使用する多価アルコールおよび多価カルボン酸としてラジカル重合性の2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール、9−オクタデゼン−7,12−ジオールなどの多価アルコールおよびラジカル重合性のマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物;コーヒー酸などの不飽和芳香族多価カルボン酸を使用することで、ポリエステル樹脂内にラジカル重合性の二重結合を導入することができる。この後、重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合させることにより、両樹脂間に化学結合を形成することができる。
【0123】
またポリエステル末端の存在する多価アルコール由来の水酸基および多価カルボン酸由来のカルボン酸を利用してこれらと反応し得る官能基を持ったビニル系化合物のような重合性モノマーを付加させた後、重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合させることにより、両樹脂間に化学結合を形成することができる。
【0124】
具体的にはポリエステル樹脂末端の水酸基に対してはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどに代表されるラジカル重合性カルボン酸や2−イソシアナトエチルメタクリレート、ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート、メタクロイルイソシアネート、2−イソシアナトエチルアクリレートなどに代表されるイソシアネート基含有ビニル基化合物を付加し、またポリエステル樹脂のカルボン酸に対しては2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートに代表される水酸基含有ビニル化合物やアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−β−メチルグリシジル、メタクリル酸−β−メチルグリシジル、アクリル酸−β−エチルグリシジル、メタクリル酸−β−エチルグリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、及びm−ビニルベンジルグリシジルエーテル及びp−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどに代表されるグリシジル基含有ビニル化合物を付加し、ポリエステル樹脂の末端にラジカル重合性の二重結合を導入することができる。
【0125】
この後、重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合させることにより、両樹脂間に化学結合を形成することができる。これらポリエステル樹脂末端基と反応し得る官能基を持った重合性モノマーの付加はポリエステル樹脂の重縮合反応と同時に行ってもよいし、重縮合反応が終了した後の添加による付加反応の何れであってもよい。
【0126】
またさらにポリエステル樹脂の原材料としてグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールやトリメリット酸、ピロメリット酸など3価以上の多価カルボン酸を一部併用することで水酸基またはカルボン酸を分子中に含有するポリエステル樹脂が得ることができ、前述と同様にこの水酸基もしくはカルボン酸と反応し得る官能基を持ったビニル系化合物のような重合性モノマーを付加させた後、重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合させることにより、両樹脂間に化学結合を形成することができる。
【0127】
この後、重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合させることにより、両樹脂間に化学結合を形成することができる。これらポリエステル樹脂末端基と反応し得る官能基を持った重合性モノマーの付加はポリエステル樹脂の重縮合反応と同時に行ってもよいし、重縮合反応が終了した後の添加による付加反応の何れであってもよい。
【0128】
トリアリールイミダゾール化合物を含有した、スチレン/アクリルのようなラジカル重合性のモノマーを用いたものであれば、重合性モノマーに重合開始剤や連鎖移動剤を溶解あるいは分散させ、さらに必要に応じて重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合可能な共重合用モノマーと共重合させこれにより得られる重合体以外の樹脂などの樹脂粒子構成材料を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製する。
【0129】
重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合用モノマーとの共重合比は、重合性トリアリールイミダゾール化合物のモル分率で1%〜50%であることが好ましい。
【0130】
重合開始剤としては、その10時間半減期温度が、用いるラジカル発生剤に係る10時間半減期温度(t)未満、好ましくは(t−10℃)未満であるものであれば、適宜のものを使用することができる。水溶性の重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、有機過酸化物などが挙げられる。油溶性の重合開始剤の具体例としては、例えばアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)など)、有機過酸化物などが挙げられる。好ましくはこれらの中でもたとえば溶媒として酢酸エチル等が用いられる場合、溶媒に対し溶解性を示すアゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
【0131】
連鎖移動剤としては分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
【0132】
(分散工程)
分散工程では、シェル第二樹脂溶液の液滴が水系媒体中に分散されたシェル第二樹脂溶液分散液を調製する。
【0133】
シェル第二樹脂溶液分散液は、水系媒体にシェル第二樹脂溶液を添加して分散処理を施すことで得られる。
【0134】
ここでいう、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランが挙げられ、得られるシェル第二樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0135】
また、水系媒体には予め、以降の工程のために界面活性剤を含有することが好ましい。用いることができる界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などを挙げられ、これはこれ以降の分散液の作製も同様に当てはまる。特にアニオン系界面活性剤として、例えば、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などが好ましく用いられる。
【0136】
シェル第二樹脂溶液分散液は、水系媒体中に添加された後、分散機を用いて機械的撹拌エネルギーを加えて油滴を形成させる。ただし、これらの方法に限定されるものではない。
【0137】
(脱溶剤工程)
脱溶剤工程では、シェル第二樹脂溶液の液滴が水系媒体中に分散されたシェル第二樹脂溶液分散液からシェル第二樹脂を溶解させている溶剤を除去する工程である。
【0138】
溶剤を減圧や加温等の方法により除去することでトリアリールイミダゾール化合物を含有した樹脂粒子分散液を得ることができる。
【0139】
これらの工程において調製される分散液中の樹脂微粒子は、その体積基準のメジアン径が20〜300nmの範囲であることが好ましい。
【0140】
トリアリールイミダゾール化合物を含有した樹脂粒子分散液としては、重合性トリアリールイミダゾール化合物と共重合用モノマーからなる樹脂部分とそれ以外の例えばポリエステルのような樹脂部分とは樹脂粒子分散液粒子内において外層/内層部を呈して相分離していることが好ましく、外層部にトリアリールイミダゾール化合物を配した樹脂が存在することが好ましい。
【0141】
(シェル層Aの形成方法)
シェル層Aは、コア樹脂分散液とシェル樹脂分散液とを混合することで得られ、コアシェル型のトナーを作製することができるが、混合した後、凝集剤の添加、pH調整を行って第二の樹脂を含有するシェル層用粒子をコア粒子の表面を覆うように付着させることが好ましい。
【0142】
たとえばコア粒子のコア樹脂分散液に凝集剤を添加し、さらに第二の樹脂を含有するシェル樹脂分散液を添加し、pH調製、温度調整を行い、コア粒子の表面に第二の樹脂を含有する粒子を凝集、融着させ、コア粒子の表面を第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子で覆おうことができる。
【0143】
シェル層用粒子の体積基準メジアン径は20nm以上300nm以下であることが好ましく、30nm以上250nm以下であることがより好ましい。
【0144】
体積基準メジアン径を上記範囲内とすることにより、シェル層を均一に形成することができるため好ましい。
【0145】
用いられる凝集剤は、界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
【0146】
本発明に係るシェル層Aには、荷電制御剤を含有させてもよく、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ、無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
【0147】
トナー中における荷電制御剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量部である。
【0148】
荷電制御剤として正帯電制御剤としては、例えば「ニグロシンベースEX」(オリエント化学工業社製)などのニグロシン系染料、「第4級アンモニウム塩P−51」(オリエント化学工業社製)、「コピーチャージPX VP435」(ヘキストジャパン社製)などの第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブデン酸キレート顔料、および「PLZ1001」(四国化成工業社製)などのイミダゾール化合物などが挙げられ、また、負帯電制御剤としては、例えば、「ボントロンS−22」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンS−34」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−81」(オリエント化学工業社製)、「ボントロンE−84」(オリエント化学工業社製)、「スピロンブラックTRH」(保土谷化学工業杜製)などの金属錯体、チオインジゴ系顔料、「コピーチャージNX VP434」(ヘキストジャパン社製)などの第4級アンモニウム塩、「ボントロンE−89」(オリエント化学工業社製)などのカリックスアレーン化合物、「LR147」(日本カーリット社製)などのホウ素化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カーボンなどのフッ素化合物などが挙げられる。負帯電制御剤として用いられる金属錯体としては、上記に示したもの以外にもオキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体などの各種の構造を有したものなどを使用することができる。
【0149】
このようにトナーが荷電制御剤を含有するものとして構成されることにより、トナーの帯電性が向上される。
【0150】
更に、磁性粉を含有させてもよく、磁性粉としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、または各種フェライトなどを使用することができる。
【0151】
磁性粉の含有割合は、トナー粒子中10〜500質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量%である。
【0152】
荷電制御剤および/または磁性粉が含有される場合、これらはシェル層Aに含有されていることが好ましい。
【0153】
(架橋工程)
架橋工程では、上記のようにして得られたシェル層Aを、酸化剤を含有する酸化剤溶液で処理して、第二の樹脂を架橋する。
【0154】
(酸化剤溶液)
酸化剤溶液に用いられる酸化剤としては、例えばフェリシアン化カリウム、フェリシアン化ナトリウムなどのフェリシアン塩類、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどの次亜塩素酸塩類、亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類、塩素酸カリウム、塩素酸バリウム、塩素酸カルシウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸アンモニウムなどの塩素酸塩類、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウムなどの過塩素酸塩類、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸ナトリウムなどの過マンガン酸塩類、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、臭素酸マグネシウムなどの臭素酸塩類、重クロム酸カリウム、重クロム酸アンモニウムなどの重クロム酸塩類、ヨウ素酸塩類、過ヨウ素酸塩類、ホウ素酸塩類、過ホウ素酸塩類、過炭酸塩類、過酢酸塩類、過酸化水素、有機過酸化物などの過酸化物、亜硝酸塩類、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸バリウム、硝酸アンモニウムなどの硝酸塩類などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましく用いられるのは、次亜塩素酸ナトリウム、フェリシアン化カリウムである。
【0155】
酸化剤溶液の溶媒としては、水が好ましいが、水溶性アルコール類などの有機溶媒を含有してもよい。
【0156】
シェル層Aを酸化剤溶液で処理し、とは上記のようにして得られたシェル層Aを有する粒子の表面に酸化剤溶液を接触させる処理をいう。
【0157】
接触させる方法としては、たとえば上記のような、コアシェル型の粒子を分散含有する液中に酸化剤溶液を添加する方法や、取り出した粒子に直接接触させるディップ方法などを適用できる。
【0158】
液中に添加する方法においては、酸化剤溶液の処理は、層Aを有するコアシェル型の粒子を分散含有する液を上記のように作製終了後に、例えば、−5℃/minの冷却速度で冷却した後、行うことが好ましい。
【0159】
酸化剤溶液の温度としては、5〜15℃が好ましく、酸化剤溶液による処理の処理時間としては、2〜8時間が好ましい。
【0160】
架橋工程では、上記酸化剤により、第二の樹脂は、架橋されて上記のような架橋構造を有する。
【0161】
従って、本発明の製造方法により製造されたトナーの、第二の樹脂を含有するシェル層の表面が上記架橋構造を有する、すなわちシェル層の表面のみが上記架橋構造を有する。
【0162】
上記から、本発明の製造方法により製造されたトナーが、本発明の効果を奏する理由は、下記のようであると、推察できる。
【0163】
すなわち、本発明の製造方法により製造されたトナーは、特定の架橋重合体が含有されており、当該特定の架橋重合体は、圧力の付与によってイミダゾール環間の結合が開裂される特性を有するものである。この開裂が生じると、必然的に当該特定の架橋重合体の分子量は低下する。
【0164】
この開裂による分子量低下は、定着装置により加えられる圧力によっても発生し、トナーのガラス転移点および溶融特性カーブが低温側にシフトする。従って、低い加熱温度であってもトナーの溶融が加速し、その結果、十分な低温定着性が得られる。
【0165】
一方、当該特定の架橋重合体は、圧力を付与される前の状態においては熱によるミクロブラウン運動が抑制されているために、耐熱保管性が向上される。
【0166】
さらに、トナー粒子が架橋点によって補強されているために、定着温度が低くても、撹拌等によるストレスに耐性を有する、大きな粒子強度が得られる。
【0167】
そして、特にこのようなトナーの中でコアシェル型のものについては、緻密なシェルを形成後に架橋をかけて特定の架橋重合体を得ることで、シェルとしてより強固なものとなり、さらにシェル層がポリエステル樹脂を含有することで、定着時の性能が向上する。
【0168】
その結果、架橋した粒子によりシェル化を行うトナーに比べて、更に耐熱性を維持したまま低温定着が可能となり更に粒子の強度が向上する。
【0169】
架橋工程を経た、コアシェル型トナーである粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmである。
【0170】
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
【0171】
粒子の体積基準のメジアン径は「コールターマルチサイザーTA−III」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマンコールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的にはトナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5%〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径とした。
【0172】
また、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、下記式(T)で示される平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
【0173】
式(T):平均円形度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
本発明に係るトナーは、離型剤を含有してもよい。
【0174】
本発明に係るトナー中に離型剤を含有させる場合に用いる離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを挙げることができる。
【0175】
トナー中に離型剤を含有させる方法としては、上述のように第一の樹脂の粒子を離型剤を含有するものとして構成する方法や、たとえばトナーの粒子を形成する塩析、凝集、融着工程において、水系媒体中に離型剤粒子が分散されてなる分散液を添加する方法などを挙げることができ、これらの方法を組み合わせてもよい。
【0176】
トナーの粒子中における離型剤の含有割合としては、オフセット防止効果、透光性や色再現性の面から、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜5質量部とされ、好ましくは1〜3質量部とされる。
【0177】
架橋工程を経た粒子は、そのままトナーとして用いることもできるが、下記の洗浄・乾燥工程、後処理工程を経ることが好ましい。
【0178】
(洗浄・乾燥工程)
水系媒体からトナーの粒子を濾別し、洗浄処理によってトナー粒子から界面活性剤等の不要物を除去し、洗浄処理されたトナーの粒子を乾燥処理する工程である。
【0179】
(後処理工程)
流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナーの粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加してもよい。
【0180】
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0181】
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
【0182】
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
【0183】
〔現像剤〕
本発明の製造方法により作製されたトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
【0184】
本発明の製造方法により作製されたトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
【0185】
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0186】
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0187】
〔画像形成方法〕
本発明の製造方法により作製されたトナーは、圧力を付与すると共に加熱することができる熱圧力定着方式による定着工程を含む画像形成方法に好適に用いることができる。
【0188】
この画像形成方法においては、具体的には、以上のようなトナーを使用して、例えば感光体上に形成された静電潜像を現像してトナー像を得、このトナー像を画像支持体に転写し、その後、画像支持体上に転写されたトナー像を熱圧力定着方式の定着処理によって画像支持体に定着させることにより、可視画像が形成された印画物が得られる。
【0189】
定着工程における圧力の付与および加熱は、同時であることが好ましく、また、まず圧力を付与し、その後、加熱してもよい。
【0190】
画像支持体上に転写されたトナー像を構成するトナー粒子に付与されるべき圧力は、例えば、後述する(i)熱ローラ方式の定着装置においては、加熱ローラと加圧ローラとの当接荷重が40〜350Nとなる圧力であればよい。また例えば、後述する(ii)フィルム加熱方式の定着装置においては、定着ベルトの画像支持体に対する面圧が9×10〜5×10N/mとなる圧力であればよい。
【0191】
本発明に係るトナーを用いた画像形成方法における熱圧力定着方式の定着装置としては、公知の種々のものを採用することができる。以下に、熱圧力定着装置として、熱ローラ方式の定着装置、およびフィルム加熱方式の定着装置を説明する。
【0192】
(i)熱ローラ方式の定着装置
熱ローラ方式の定着装置は、一般に、加熱ローラと、これに当接する加圧ローラとによるローラ対を備え、加熱ローラおよび加圧ローラ間に付与された圧力によって加圧ローラが変形されることにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成されてなるものである。
【0193】
加熱ローラは、一般に、アルミニウムなどよりなる中空の金属ローラよりなる芯金の内部に、ハロゲンランプなどよりなる熱源が配設されてなり、当該熱源によって芯金が加熱され、加熱ローラの外周面が所定の定着温度に維持されるように当該熱源ヘの通電が制御されて温度調節されるものである。
【0194】
特に、最大4層のトナー層からなるトナー像を十分に加熱溶融させて混色させる能力を要求されるフルカラー画像の形成を行う画像形成装置の定着装置として用いられる場合は、加熱ローラとして、芯金を高い熱容量を有し、また、その芯金の外周面上に、トナー像を均質に溶融させるためのゴム弾性層が形成されたものを用いることが好ましい。
【0195】
また、加圧ローラは、例えばウレタンゴム、シリコンゴムなどの軟質ゴムからなる弾性層を有するものである。
【0196】
加圧ローラとしては、例えばアルミニウムなどよりなる中空の金属ローラよりなる芯金を有するものとし、当該芯金の外周面上に弾性層が形成されたものを用いてもよい。
【0197】
さらに、加圧ローラは、芯金を有するものとして構成した場合に、その内部に、加熱ローラと同様にハロゲンランプなどよりなる熱源を配設して当該熱源によって芯金を加熱し、加圧ローラの外周面が所定の定着温度に維持されるように当該熱源ヘの通電が制御されて温度調節されるものとして構成してもよい。
【0198】
これらの加熱ローラおよび/または加圧ローラとしては、その最外層として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層が形成されてなるものを用いることが好ましい。この離型層の厚みは、概ね10〜30μmとすることができる。
【0199】
このような熱ローラ方式の定着装置においては、ローラ対を回転させて定着ニップ部に可視画像を形成すべき画像支持体を挟持搬送させることによって、加熱ローラによる加熱と、定着ニップ部における圧力の付与とを行い、これにより、未定着のトナー像が画像支持体に定着される。
【0200】
(ii)フィルム加熱方式の定着装置
フィルム加熱方式の定着装置は、一般に、例えばセラミックヒータよりなる加熱体と、加圧ローラと、これらの加熱体と加圧ローラとの間に耐熱性フィルムよりなる定着フィルムが挟まれてなるものであり、加熱体および加圧ローラ間に付与された圧力によって加圧ローラが変形されることにより、この変形部にいわゆる定着ニップ部が形成されてなるものである。
【0201】
定着フィルムとしては、ポリイミドなどよりなる耐熱性のフィルム、シートおよびベルトなどが用いられ、また、このポリイミドなどよりなる耐熱性のフィルム、シートおよびベルトなどをフィルム基体とし、当該フィルム基体上にテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体(PFA)などのフッ素樹脂などよりなる離型層が形成された構成のものであってもよく、さらに、フィルム基体と離型層との間に、ゴムなどよりなる弾性層が設けられた構成のものであってもよい。
【0202】
このようなフィルム加熱方式の定着装置においては、定着ニップ部を形成する定着フィルムと加圧ローラとの間に、未定着のトナー像が担持された画像支持体を前記定着フィルムと共に挟持搬送させることによって、定着フィルムを介した加熱体による加熱と、定着ニップ部における圧力の付与とを行い、これにより、未定着のトナー像が画像支持体に定着される。
【0203】
このようなフィルム加熱方式の定着装置によれば、加熱体を、画像形成時のみ当該加熱体に通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源の投入から画像形成が実行可能な状態に至るまでの待ち時間が短いクイックスタート性が得られ、画像形成装置のスタンバイ時の消費電力も極めて小さく、省電力化が図れるなどの利点が得られる。
【0204】
〔画像支持体〕
本発明の製造方法により作製されたトナーを用いた画像形成方法に使用される画像支持体としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0205】
以上のようなトナーによれば、架橋重合体が含有されており、当該架橋重合体が圧力の付与によってトリアリールイミダゾール基のイミダゾール環間の結合が開裂される特性を有するものであるために、圧力を付与することによってガラス転移点が低下したものに変化するので、圧力を付与すると共に加熱することにより、低い加熱温度であってもトナーに十分な弾性率の低下状態が早期に得られ、その結果、十分な低温定着性が得られる。一方、当該特定の架橋重合体は、圧力を付与される前の状態においては熱によるミクロブラウン運動が抑制されているために、耐熱保管性が得られる。従って、このようなトナーによれば、耐熱保管性が得られながら十分な低温定着性が得られる。
【0206】
また、このようなトナーによれば、圧力の付与による架橋重合体の弾性率の低下状態が早期に得られることにより、十分な高速定着性をも得られる。
【実施例】
【0207】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において、トナーの体積基準のメジアン径、ピーク分子量およびガラス転移点の測定は、上述の方法と同様の方法によって行った。そして、トナーを測定試料として測定されたピーク分子量およびガラス転移点を、架橋重合体のピーク分子量およびガラス転移点とした。
【0208】
<コア用樹脂(第一の樹脂)1(スチレンアクリル樹脂)の粒子分散液の作製>
反応液
<スチレンアクリル樹脂の分散液>
スチレン 240質量部
ブチルアクリレート 130質量部
アクリル酸 6質量部
ターシャリードデシルメルカプタン 24質量部
を混合して溶解させた溶液を、ポリオキシエチレンラウリルエーテル「E−700」(日本エマルジョン社製)6質量部およびn−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10質量部をイオン交換水1550質量部に溶解させた水系媒体中に、フラスコ中で添加して分散、乳化させ、10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸カリウム11質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入して窒素置換を行った。
【0209】
次いで、フラスコ内を撹拌しながらオイルバスで内容物が70℃になるまで加熱し、5時間にわたって乳化重合を継続することによって、コア用樹脂(第一の樹脂)粒子の固形分量が20質量部であるコア用樹脂(第一の樹脂)1(スチレンアクリル樹脂)の粒子分散液を得た。この粒子の体積基準のメジアン径が152nmであった。
【0210】
また、得られたコア用樹脂(第一の樹脂)1のガラス転移点は21℃であり、また、GPC測定のよるピーク分子量が19,200であった。
【0211】
<コア用樹脂(第一の樹脂)2(ポリエステル樹脂)の粒子分散液の作製>
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマー仕込み、この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)(ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の全量に対し、0.003質量%分)を投入した。
【0212】
反応液
(多価カルボン酸単量体)
テレフタル酸 30質量部
イソフタル酸 3質量部
アジピン酸 3質量部
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物
75質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
25質量部
更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに6時間脱水縮合反応を継続し重合を行い、コア用樹脂2(第一の樹脂)を得た。
【0213】
得られたコア用樹脂2(第一の樹脂)のガラス転移点は40℃であり、また、GPC測定のよるピーク分子量が18000であった。
【0214】
酢酸エチル1700質量部に「コア用樹脂2(第一の樹脂)」400質量部を投入し70℃まで昇温し溶解、混合し、「コア用樹脂溶液」を得た。別途、イオン交換水2000質量部、ドデシル硫酸ナトリウム4.8質量部を攪拌分散し連続相となる「水相(1)」を調製した。この「水相(1)」中に「TKホモミキサーMarkII2.5型」(プライミクス株式会社製)で攪拌しながら「コア用樹脂溶液」を投入し、攪拌回転数を調整することにより「油滴(1)」を調製した。その後、50℃で減圧溜去して酢酸エチルを除去し、コア用樹脂(第一の樹脂)2(ポリエステル樹脂)のコア粒子分散液2(固形分量が20質量部)を得た。体積基準のメジアン径が180nmであった。
【0215】
(着色剤粒子分散液の調製)
非イオン性界面活性剤「E−700」(日本エマルジョン株式会社)6質量部をイオン交換水200質量部に撹拌溶解し、撹拌を継続しながら、着色剤としてシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15.3)50質量部を徐々に添加し、次いで、ホモジナイザー「ウルトラタラックス」(IKA社製)により10分間分散処理することにより、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液を調製した。この着色剤粒子分散液における着色剤粒子の粒子径を、「MICROTRAC UPA 150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で180nmであった。
【0216】
(離型剤粒子分散液の調製)
非イオン性界面活性剤「E−700」(日本エマルジョン株式会社)6質量部をイオン交換水200質量部に撹拌溶解し、撹拌を継続しながら、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−0190」(日本精鑞社製)50質量部を添加し、95℃に加熱し、次いで、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)により10分間分散処理することにより、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を調製した。この離型剤粒子分散液における離型剤粒子の粒子径を、「MICROTRAC UPA 150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、体積基準のメジアン径で250nmであった。
【0217】
<ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成>
〔ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(1)〕
反応容器に、
ベンゾイン(2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエタノン) 1609質量部
3−ビニルベンズアルデヒド 1002質量部
酢酸アンモニウム 5838質量部
四フッ化ホウ素 1603質量部
よりなる混合液を入れ、100℃に加温し、1.5時間撹拌を継続した。反応終了後、水で希釈し、得られた固形物を濾過し、繰り返し水で洗浄し、乾燥させ、次いで、ヘキサン/酢酸エチル(質量比9:1)の混合溶媒で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製した後、メタノール/ジクロロエタン(質量比9:1)混合溶媒で再結晶させることにより、ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(1)を得た。
【0218】
〔ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(2)〕
反応容器に、
2−(p−アミノフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール 3090質量部
メタクリル酸クロライド 925質量部
よりなる混合液を入れ、10℃で1.5時間撹拌を継続した。反応終了後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で希釈し、得られた固形物を濾過し、繰り返し水で洗浄し、乾燥させ、次いで、ヘキサン/酢酸エチル(質量比9:1)の混合溶媒で、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製した後、メタノール/ジクロロエタン(質量比9:1)混合溶媒で再結晶させることにより、ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(2)を得た。
【0219】
〔ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(3)〕
ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(2)において、2−(p−アミノフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール3090質量部の代わりに2−(p−ヒドロキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール3100質量部を用いたことの他は同様にして、ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(3)を得た。
【0220】
〔ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(4)〕
ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(2)において、メタクリル酸クロライド925質量部の代わりにビニルイソシアネート710質量部を用いたことの他は同様にして、ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(4)を得た。
【0221】
〔ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(5)〕
ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物の合成例(2)において、2−(p−アミノフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール3090質量部およびメタクリル酸クロライド925質量部の代わりに2−(p−ヒドロキシフェニル)4,5−ジフェニルイミダゾール3100質量部およびビニルイソシアネート710質量部を用いたことの他は同様にして、ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(5)を得た。
【0222】
<シェル層用粒子の分散液の作製>
〔シェル層用粒子の分散液aの作製(本発明に係るシェル樹脂分散液の作製)〕
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマー仕込み、この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)(ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の全量に対し、0.003質量%分)を投入した。
【0223】
(多価カルボン酸単量体)
テレフタル酸 30質量部
フマル酸 1質量部
アジピン酸 5質量部
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物
75質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
25質量部
更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに6時間脱水縮合反応を継続し重合を行い、非結晶性のポリエステル樹脂bを得た。
【0224】
得られた非結晶性のポリエステル樹脂bのガラス転移点は40℃であり、また、GPC測定のよるピーク分子量が8000であった。
【0225】
酢酸エチル750質量部に「非結晶性のポリエステル樹脂b」200質量部を投入し70℃まで昇温し溶解、混合し、「ポリエステルシェル第一樹脂溶液(本発明に係るシェル第一樹脂溶液」を得た。
【0226】
さらにポリエステルシェル第一樹脂溶液に、下記の、ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物を含有するビニル化合物溶液を添加して溶解させ、さらにアゾビスイソブチロニトリル4質量部を溶解した酢酸エチル50質量部を投入した。
【0227】
ビニル化合物溶液
ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(1) 42質量部
スチレン 100質量部
ブチルアクリレート 40質量部
アクリル酸 3質量部
ターシャリードデシルメルカプタン 12質量部
次いで、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまで加熱し、5時間にわたって溶液重合を継続することによって「ポリエステル樹脂(第三の樹脂)−スチレンアクリル樹脂(第二の樹脂)混合溶液(本発明に係るシェル第二樹脂溶液)」を得た。
【0228】
別途、イオン交換水2000質量部、ドデシル硫酸ナトリウム4.8質量部を攪拌分散し連続相となる「界面活性剤水溶液(1)」を調製した。この「界面活性剤水溶液(1)」中に「TKホモミキサーMarkII2.5型」(プライミクス株式会社製)で攪拌しながら「ポリエステル樹脂(第三の樹脂)−スチレンアクリル樹脂(第二の樹脂)混合溶液(本発明に係るシェル第二樹脂溶液)」を投入し、攪拌回転数を調整することにより油滴を調製した。その後、50℃で減圧溜去して酢酸エチルを除去し、シェル層用樹脂粒子の分散液a(本発明に係るシェル樹脂分散液)を得た。体積基準のメジアン径が150nmであった。
【0229】
〔シェル層用樹脂粒子の分散液b(本発明に係るシェル樹脂分散液の作製)〕
シェル用樹脂粒子コア樹脂分散液aにて作製のビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(1)をビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(2)に変更した以外は、シェル層用樹脂粒子の分散液aの作製と同様にシェル層用樹脂粒子の分散液bを作製した。
【0230】
〔シェル層用樹脂粒子の分散液c(本発明に係るシェル樹脂分散液の作製)〕
シェル用樹脂粒子コア樹脂分散液aにて作製のビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(1)をビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(3)に変更した以外は、シェル層用樹脂粒子の分散液aの作製と同様にシェル層用樹脂粒子の分散液cを作製した。
【0231】
〔シェル層用樹脂粒子の分散液d(本発明に係るシェル樹脂分散液の作製)〕
攪拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸モノマー及び多価アルコールモノマー仕込み、この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に攪拌されていることを確認した後、触媒Ti(OBu)(ポリエステル樹脂のカルボン酸成分の全量に対し、0.003質量%分)を投入した。
【0232】
(多価カルボン酸単量体)
テレフタル酸 30質量部
アジピン酸 6質量部
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物
75質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
25質量部
更に、生成する水を留去しながら同温度から6時間を要して240℃まで温度を上げ、240℃でさらに6時間脱水縮合反応を継続し重合を行い、非結晶性のポリエステル樹脂cを得た。
【0233】
酢酸エチル750質量部に「非結晶性のポリエステル樹脂c」200質量部を投入し70℃まで昇温し溶解、混合し、「ポリエステルシェル第二樹脂溶液(本発明に係るシェル第一樹脂溶液」を得た。2−イソシアナトエチルメタクリレート1質量部添加して1時間経過した後、さらに下記ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物、ビニル化合物溶液を混合して溶解させたビニル化合物溶液を滴下して添加しさらに、アゾビスイソブチロニトリル4質量部を溶解した酢酸エチル50質量部を投入した。
【0234】
ビニル化合物溶液
ビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(3) 42質量部
スチレン 100質量部
ブチルアクリレート 40質量部
アクリル酸 3質量部
ターシャリードデシルメルカプタン 12質量部
次いで、フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまで加熱し、5時間にわたって溶液重合を継続することによって「ポリエステル樹脂(第三の樹脂)−スチレンアクリル樹脂(第二の樹脂)混合溶液(4)(本発明に係るシェル第二樹脂溶液)」を得た。
【0235】
別途、イオン交換水2000質量部、ドデシル硫酸ナトリウム4.8質量部を攪拌分散し連続相となる「界面活性剤水溶液(4)」を調製した。この「界面活性剤水溶液(4)」中に「TKホモミキサーMarkII2.5型」(プライミクス株式会社製)で攪拌しながら「ポリエステル樹脂(第三の樹脂)−スチレンアクリル樹脂(第二の樹脂)混合溶液(4)(本発明に係るシェル第二樹脂溶液)」を投入し、攪拌回転数を調整することにより油滴を調製した。その後、50℃で減圧溜去して酢酸エチルを除去し、シェル層用樹脂の粒子分散液dを得た。
【0236】
〔シェル層用樹脂粒子の分散液eの作製〕
シェル層用樹脂粒子の分散液dにて作製の多価アルコール単量体を以下のように変更した以外はシェル層用樹脂粒子の分散液dの作製と同様にシェル層用樹脂粒子の分散液eを作製した。
【0237】
(多価アルコール単量体)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物
75質量部
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物
20質量部
グリセリン 1質量部
〔シェル層用樹脂粒子の分散液fの作製〕
シェル層用樹脂粒子の分散液aにて作製のビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(1)をビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(4)に変更した以外は、シェル層用樹脂粒子の分散液aの作製と同様にシェル層用樹脂粒子の分散液fを作製した。
【0238】
〔シェル用樹脂粒子の分散液gの作製〕
シェル用樹脂粒子の分散液aにて作製のビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(1)をビニル−トリフェニルイミダゾール化合物(5)に変更した以外は、シェル用樹脂粒子分散液aの作製と同様にシェル用樹脂粒子の分散液gを作製した。
【0239】
〔シェル層用樹脂粒子の分散液hの作製〕
シェル用樹脂粒子コア樹脂分散液cを作製した後、−5℃/minの冷却速度で10℃まで分散液を冷却し、1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液10質量部を加え、温度10℃で6時間反応させシェル層用樹脂粒子の分散液hを得た。また、シェル層用樹脂粒子の分散液hは架橋構造を形成したため、テトラヒドロフランに対して、実質的に不溶あった。
【0240】
【表1】

【0241】
<トナー粒子の作製>
〔トナー粒子(1)の作製〕
コア用樹脂1の粒子を272質量部(固形分換算)、イオン交換水2200質量部、着色剤粒子分散液98質量部、離型剤微粒子分散液243質量部を、温度計、冷却管、窒素導入装置及び攪拌装置を設けたセパラブルフラスコに投入した。さらに、系内の温度を30℃に保った状態で水酸化ナトリウム水溶液(25質量%)を添加したpHを10に調整した。
【0242】
次に、塩化マグネシウム・6水和物54.3質量部をイオン交換水54.3質量部に溶解させた水溶液を添加し、その後、系内の温度を60℃に昇温させて、樹脂粒子と着色剤粒子の凝集反応を開始した。
【0243】
凝集反応開始後、定期的にサンプリングを行って、粒度分布測定装置「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて、粒子の体積基準におけるメジアン径(D50)が6.0μmになった時に、トナーのシェル層を形成するシェル層用樹脂粒子の分散液a857質量部を添加した。トナー表面にシェル層が形成された時点で、エチレンジアミン四酢酸を20.1質量部添加した。この時点のトナー粒子の円形度が0.92であった。
【0244】
温度を昇温し、トナー粒子の円形度が0.96に達したところで6℃/分の条件で10℃まで懸濁液を冷却し、1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液10質量部を加え、温度10℃で6時間反応させた。分散液中の生成物をろ過し、イオン交換水で充分に洗浄した後、乾燥させる第二の樹脂が架橋された粒子を得た。
【0245】
次いで、生成したトナー粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARK III型」(型式番号60×40)(松本機械製作社製)で固液分離して、トナーのウェットケーキを形成した。以後、ろ液の電気伝導度の値が15μS/cm以下になるまでトナーの洗浄と固液分離を繰り返した。
【0246】
次いで、ウェットケーキを気流式乾燥機「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理をした。なお、乾燥処理は40℃、20%RHの気流を吹き付けて行った。乾燥したトナーを24℃に放冷し、トナー100質量部に対し、疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩いを通過させた。得られたトナーをトナー粒子(1)とする。
【0247】
〔トナー粒子(2)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のシェル層用樹脂粒子の分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液bに変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(2)を作製した。
【0248】
〔トナー粒子(3)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液cに変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(3)を作製した。
【0249】
〔トナー粒子(4)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液dに変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(4)を作製した。
【0250】
〔トナー粒子(5)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液eに変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(5)を作製した。
【0251】
〔トナー粒子(6)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液fに変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(6)を作製した。
【0252】
〔トナー粒子(7)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液gに変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(7)を作製した。
【0253】
〔トナー粒子(8)の作製〕
トナー粒子(1)にて作製のコア用粒子1をコア用粒子2に変更した以外は、トナー粒子(1)の作製と同様にトナー粒子(8)を作製した。
【0254】
〔トナー粒子(9)の作製〕
トナー粒子(8)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液bに変更した以外は、トナー粒子(8)の作製と同様にトナー粒子(9)を作製した。
【0255】
〔トナー粒子(10)の作製〕
トナー粒子(8)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液cに変更した以外は、トナー粒子(8)の作製と同様にトナー粒子(10)を作製した。
【0256】
〔トナー粒子(11)の作製〕
トナー粒子(8)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液dに変更した以外は、トナー粒子(8)の作製と同様にトナー粒子(11)を作製した。
【0257】
〔トナー粒子(12)の作製〕
トナー粒子(8)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液eに変更した以外は、トナー粒子(8)の作製と同様にトナー粒子(12)を作製した。
【0258】
〔トナー粒子(13)の作製〕
トナー粒子(8)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液fに変更した以外は、トナー粒子(8)の作製と同様にトナー粒子(13)を作製した。
【0259】
〔トナー粒子(14)の作製〕
トナー粒子(8)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液aをシェル層用樹脂粒子分散液gに変更した以外は、トナー粒子(8)の作製と同様にトナー粒子(14)を作製した。
【0260】
〔トナー粒子(15)の作製〕
トナー粒子(3)にて作製の次亜塩素酸ナトリウムをフェリシアン化カリウムに変更した以外は、トナー粒子(3)の作製と同様にトナー粒子(15)を作製した。
【0261】
〔トナー粒子(16)の作製〕
トナー粒子(10)にて作製の次亜塩素酸ナトリウムをフェリシアン化カリウムに変更した以外は、トナー粒子(10)の作製と同様にトナー粒子(16)を作製した。
【0262】
〔比較トナー粒子(1)の作製〕
トナー粒子(3)にて作製のシェル層用樹脂粒子分散液cをシェル層用樹脂粒子分散液hに変更して、次亜塩素酸ナトリウムを添加せず、さらにシェル化温度は95℃まで上昇させた。それ以外はトナー粒子(3)の作製と同様にトナー粒子比較1を作製した。
【0263】
〔比較トナー粒子(2)の作製〕
比較トナー粒子(1)にて作製のコア粒子1をコア粒子2に変更した以外は、比較トナー粒子(1)の作製と同様に比較トナー粒子(2)を作製した。
【0264】
更に、上記特許文献1の実施例1で、使用しているトナーについても作製し、比較トナー粒子(3)を得た。
【0265】
(二成分現像剤の調製)
フェライト粒子(体積基準のメジアン径:50μm(パウダーテック社製))100質量部と、メチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート共重合体樹脂(一次粒子の体積基準のメジアン径:85nm)4質量部とを、水平撹拌羽根式高速撹拌装置に入れ、撹拌羽根の周速:8m/s、温度:30℃の条件で15分間混合した後、120℃まで昇温して撹拌を4時間継続した。その後、冷却し、200メッシュの篩を用いてメチルメタクリレート−シクロヘキシルメタクリレート共重合体樹脂の破片を除去することにより、樹脂被覆キャリアを作製した。
【0266】
この樹脂被覆キャリアを、上記のトナー粒子(1)〜(16)及び比較トナー粒子(1)、(2)、(3)の各々に、トナーの濃度が7質量%になるよう混合し、現像剤(1)〜(16)及び比較1、2、3を調製した。
【0267】
【表2】

【0268】
(評価)
現像剤(1)〜(16)および比較1、2、3を用いて下記(A)〜(C)の評価項目について評価した。結果を表1に示す。
【0269】
(A)低温定着性
画像形成装置として、市販の複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用い、この装置に現像剤として、それぞれ現像剤(1)〜現像剤(16)並びに比較用の現像剤(1)および(2)を搭載し、熱ロール定着方式の定着手段における定着加熱部材の表面温度を、80〜150℃の範囲において5℃刻みで変更し、各温度について、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、画像支持体として秤量350gの紙を用いて画像形成を行い、画像濃度が0.8のベタ画像を可視画像として得た。その後、定着ベタ画像を折り機を用いて折り、これに0.35MPaの空気を吹きつけ、折り目の状態を限度見本を参照し5段階に評価し、ランク3の定着温度を下限定着温度とした。ランク5:全く折れ目に剥離無し、ランク4:一部折り目に従い剥離有り、ランク3:折り目に従い細い線状の剥離あり、ランク2:折り目に従い太い剥離有り、ランク1:画像に大きな剥離有り。
【0270】
(B)耐熱保管性
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り、蓋を閉めてタップデンサー「KYT−2000」(セイシン企業製)を用いて室温で600回振とうした後、蓋を取り温度55℃、湿度35%RHの環境下に2時間放置した。次いでトナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に解砕しないよう注意しながら載せて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調節し10秒間振動を加えた後、篩上に残存した残存トナー量を測定し、下記式(1)によりトナー凝集率を算出し、これにより評価した。
【0271】
式(1):トナー凝集率(%)={残存トナー量(g)/0.5(g)}×100
なお、トナー凝集率が15%未満である場合にトナーの耐熱保管性が極めて良好であると判断され、トナー凝集率が15%以上、20%以下である場合にトナーの耐熱保管性が良好であると判断され、トナー凝集率が20%を超える場合にはトナーの耐熱保管性が悪く、実用に耐えないと判断される。
【0272】
(C)トナー飛散防止性
下記のようにしてトナー粒子強度を求め、トナー飛散防止性の指標とした。
【0273】
市販のデジタル複写機「bizhub 920」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の現像装置に二成分現像剤をセットし、感光体上に静電潜像が形成されない、すなわちトナーが現像されない電位条件で2時間撹拌する撹拌テストを行い、その後、トナーを取り出し、フロー式粒子像解析装置「FPIA−2100」(シスメック社製)を用いてトナーの粒度分布を測定し、1μm以下の粒子の数、および全体の粒子の数を計測し、下記式(2)で表される粒子強度指数を算出し、当該粒子強度指数に基づいて評価した。
【0274】
式(2):粒子強度指数={(1μm以下の粒子の数)/(全体の粒子の数)}×100
なお、撹拌テストの前はどの現像剤も粒子強度指数が1未満であった。そして、撹拌テスト後の粒子強度指数が9未満である場合は、十分な粒子強度を有してトナー粒子の破砕微粉が発生せずにキャリア汚染の発生が抑制されて十分な耐ストレス性が得られ、その結果、二成分現像剤の交換サイクルが長いものになると判断され、一方、粒子強度指数が9を超える場合には、二成分現像剤を電子顕微鏡で目視したときにキャリア粒子の表面をトナー粒子の破砕片が支配的に覆った状態が観察されてキャリア粒子およびトナー粒子が摩擦帯電する機会が圧倒的に低減され、その結果、現像装置からのトナー飛散が激しいものとなり、実用に耐えないと判断される。
【0275】
【表3】

【0276】
表3から本発明の製造方法により製造されたトナーは、コアシェル型のトナーの表面を酸化剤溶液で処理するという簡単な方法であり、かつシェル化をより効率的に行うことができ、生産性に優れると共に、良好な耐熱保管性を有すると同時に十分な低温定着性を有しかつ粒子強度が高くトナー飛散防止性に優れることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の樹脂および着色剤を含有するコア層を有し、該コア層上にシェル層を有するコアシェル型トナーを製造するトナーの製造方法であって、該第一の樹脂および該着色剤を含有するコア粒子を含有するコア樹脂分散液と、下記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂および第三の樹脂を含有するシェル層用粒子を含有するシェル樹脂分散液とを混合して、該コア粒子を、該シェル層用粒子で覆いシェル層Aを形成するシェル化工程、および該シェル層Aを、酸化剤を含有する酸化剤溶液で処理し、該第二の樹脂を架橋する架橋工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
【化1】

[式中、Rは、水素原子または塩素原子を表す。RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表す。]
【請求項2】
前記第三の樹脂が、ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
【請求項3】
前記シェル層用粒子は、前記第三の樹脂を有機溶剤に溶解してシェル第一樹脂溶液を調製する溶解工程、該シェル第一樹脂溶液と前記第二の樹脂とを含有するシェル第二樹脂溶液を調製する混合工程、該シェル第二樹脂溶液を水系媒体中に分散して、該シェル第二樹脂溶液の液滴が該水系媒体中に分散されたシェル第二樹脂溶液分散液を調製する分散工程およびシェル第二樹脂溶液分散液から該有機溶剤を除去して、樹脂粒子を形成する脱溶剤工程、を有する製造方法により製造されたものであることを特徴とする請求項2に記載のトナー製造方法。
【請求項4】
前記シェル第二樹脂溶液に含有される前記第二の樹脂が、前記シェル第一樹脂溶液中で重合され合成された樹脂であることを特徴とする請求項3に記載のトナーの製造方法。
【請求項5】
前記第二の樹脂が、下記一般式(2)で表される重合性単量体を用いた重合により得られた樹脂であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
【化2】

〔式中、Rは水素原子または塩素原子を表す。RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表す。Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、単結合または2価の連結基を表す。〕
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法により製造されたトナーであって、前記第一の樹脂および前記着色剤を含有するコア層を有し、該コア層上に前記一般式(1)で表されるトリアリールイミダゾール基を有する第二の樹脂およびポリエステル樹脂を含有するシェル層を有し、該シェル層の表面が、下記一般式(3)で表される架橋構造を有することを特徴とするトナー。
【化3】

〔式中、Rは水素原子または塩素原子を表す。RおよびRは、水素原子、塩素原子またはメトキシ基を表す。Rは水素原子またはメチル基を表す。Lは、単結合または2価の連結基を表す。〕

【公開番号】特開2012−128142(P2012−128142A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278966(P2010−278966)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】