説明

トナーの製造方法及びトナー

【課題】一つの工程で母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させると共に、球形化させることが可能なトナーの製造方法及び該トナーを提供する。
【解決手段】母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤が付着しているトナー製造する方法で、複数の攪拌部材102が表面に設けられている軸状部材101と、所定の間隔を隔てて複数の攪拌部材102を覆うことが可能なケーシング103と、軸状部材101の中心軸Aを回転軸として、軸状部材101を回転駆動させる駆動部材112を有する混合装置100を用いて、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する工程を有し、ケーシング103は、複数の攪拌部材102を覆っている状態において、内周面の軸状部材101の中心軸Aに対して垂直な断面が軸状部材101の中心軸Aとの間の距離が一定である円状であり、消費される単位質量当たりの電力量が0.20kWh/kg以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーの製造方法及びトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機及びプリンターには、高画質化及び省エネルギー化が要求されているため、トナーは、結着樹脂及び着色剤を含む母体粒子の付着力を低減する必要がある。このとき、母体粒子の付着力を低減すると、トナーは、良好な現像性及び転写性、安定した帯電性を有するため、高画質化及び省エネルギー化を達成することができる。
【0003】
母体粒子の付着力を低減する方法として、母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させる方法が知られている。
【0004】
特許文献1には、複数の攪拌部材を外周部に設けた回転軸と、攪拌部材に対して微小間隙を隔てて位置する内周部を有したケーシングとを備え、回転軸の回転に伴い移動する攪拌部材によってケーシング内の処理物を攪拌処理する処理装置が開示されている。このとき、回転軸の軸方向と直交する方向から見て、回転軸の軸方向と平行な方向における複数の攪拌部材夫々の端部位置が、隣接する他の攪拌部材の端部位置よりも当該他の攪拌部材の内側に位置している。
【0005】
特許文献2には、帯電制御剤を、流動攪拌型混合装置によりトナー母体表面に固定する電子写真用トナーの製造方法が開示されている。
【0006】
一方、母体粒子の付着力を低減する方法として、母体粒子を球形化させる方法が知られている。
【0007】
特許文献3には、粉砕部の後の管内に、回転羽根を有する回転装置を複数設置し、回転羽根を通過させることにより小粒径な球形トナーを得る手段を有する球形トナーの製造装置が開示されている。
【0008】
特許文献4には、熱処理装置を用いてトナー粒子を熱処理した後、熱処理空間の下流側に設けた冷却容器にて熱風中に分散されたトナー粒子を冷却する電子写真用トナーの製造方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、一つの工程で、母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させると共に、球形化させることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、一つの工程で、母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させると共に、球形化させることが可能なトナーの製造方法及び該トナーの製造方法を用いて製造されているトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のトナーの製造方法は、結着樹脂及び着色剤を含む母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤が付着しているトナーを製造する方法であって、複数の攪拌部材が表面に設けられている軸状部材と、所定の間隔を隔てて前記複数の攪拌部材を覆うことが可能なケーシングと、前記軸状部材の中心軸を回転軸として、前記軸状部材を回転駆動させる駆動部材を有する混合装置を用いて、前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する工程を有し、前記ケーシングは、前記複数の攪拌部材を覆っている状態において、内周面の前記軸状部材の中心軸に対して垂直な断面が前記軸状部材の中心軸との間の距離が一定である円状であり、前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.20kWh/kg以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明のトナーは、本発明のトナーの製造方法を用いて製造されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一つの工程で、母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させると共に、球形化させることが可能なトナーの製造方法及び該トナーの製造方法を用いて製造されているトナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明で用いられる混合装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1の攪拌部材を示す概略図である。
【図3】図1の攪拌部材の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0016】
図1に、本発明で用いられる混合装置の一例を示す。混合装置100は、軸状部材101と、軸状部材101の表面に設けられている複数の攪拌部材102と、複数の攪拌部材102を覆うことが可能なケーシング103を有する。このとき、ケーシング103は、複数の攪拌部材102を覆っている状態において、軸状部材101の中心軸Aとの間の距離が一定である。また、ケーシング103の外周面に、熱媒体を流すジャケット104が設けられている。このため、複数の攪拌部材102がケーシング103により覆われている状態において、ケーシング103内に粒子を入れた後、中心軸Aを回転軸として、軸状部材101を回転させることにより、効率よく粒子を混合することができると共に、ケーシング103内の雰囲気の温度を調整することができる。また、軸状部材101は、中心軸Aが鉛直方向に対して略垂直であるため、粒子を均一に混合することができる。
【0017】
なお、略垂直(又は略平行)とは、誤差として、垂直(又は平行)から5°程度のブレが許容されることを意味する。
【0018】
攪拌部材102は、図2に示すように、ケーシング103の内壁に対して、クリアランスC[mm]を隔てて配置されており、複数の攪拌部材102が表面に設けられている軸状部材101が回転することにより、ケーシング103内の粒子を混合することができる。
【0019】
軸状部材101の外径をD[mm]、ケーシング103の内径をD[mm]とすると、式
/D≦2.0
2.5≦D1/2/C≦10.0
を満たすことが好ましい。
【0020】
/Dが2を超えると、攪拌部材102による攪拌力を粒子に強く印加できなくなることがある。なお、D/Dは、通常、1.2以上である。D/Dが1.2未満であると、粒子を効率よく混合できなくなることがある。
【0021】
1/2/Cが2.5未満である場合又は10.0を超える場合は、攪拌部材102とケーシング103の内壁との間のクリアランス部における圧縮力や摩砕力やせん断力を効率よく粒子に印加できなくなることがある。
【0022】
軸状部材101は、軸受部材105により、図1中、左側のみが支持されており、モーター等の駆動部材112と連結している。混合する粒子を投入する投入口106は、ケーシング103の駆動部材112が設置されている側の端部の、図1中、上部に設置されており、混合された粒子を排出する排出口107は、ケーシング103の駆動部材112が設置されていない側の端部の、図1中、下部に設置されている。
【0023】
ケーシング103は、図1中、左側で開口し、右側で閉塞した有底円筒状であると共に、ガイド棒108及びボス109により支持されており、複数の撹拌部材102を覆う作動位置(図1参照)と、複数の撹拌部材102を覆わない非作動位置(不図示)の間を、軸状部材101の中心軸Aに対して略平行な方向に移動することができる。
【0024】
ケーシング103には、ケーシング103内での温度上昇による空気の膨張に伴う圧力を開放したり、軸状部材101の軸シール部(不図示)のシールエアを逃がしたりするために、排気管110が設置されている。また、排気管110には、粉塵の飛散を抑制するために、フィルタ111が設置されている。
【0025】
攪拌部材102は、3個の戻し用攪拌部材102a(1)、102a(2)、102a(3)、3個の戻し用攪拌部材102a'(1)、102a'(2)、102a'(3)、3個の送り用攪拌部材102b(1)、102b(2)、102b(3)及び3個の送り用攪拌部材(不図示)からなる。このとき、戻し用攪拌部材及び送り用攪拌部材は、それぞれ軸状部材101の中心軸Aに対して略平行な方向に設置されている。また、戻し用攪拌部材は、軸状部材101の中心軸Aに対して略平行な板状であり、それぞれ中心軸A上に対称点が存在するように点対称に設置されている。さらに、送り用攪拌部材は、軸状部材101の中心軸Aに対して所定の傾きを有する板状であり、それぞれ中心軸A上に対称点が存在するように点対称に設置されている。
【0026】
送り用攪拌部材102bは、図1中、右向きに粒子を送り、戻し用攪拌部材は、図1中、左向きに粒子を戻す。これにより、ケーシング103内において、粒子の流動を活発にすることができ、例えば、攪拌部材102とケーシング103の内壁の間のクリアランス部で、粒子が凝集したり、融着したりすることを抑制できる。また、ケーシング103内における粒子の移動経路が複雑になると共に長くなり、その結果、攪拌部材102による攪拌力を粒子に強く印加することができる。
【0027】
軸状部材101の回転方向Bにおいて、隣接する攪拌部材102は、軸状部材101の中心軸Aに対して平行な方向において重なり合うように配置されている。例えば、戻し用攪拌部材102a(1)の端部から、軸状部材101の回転方向Bに円弧Lを描くと、Lは、戻し用攪拌部材102a(1)に隣接する送り用攪拌部材102b(1)及び送り用攪拌部材と交差する。これにより、攪拌部材102の端部から、隣接する攪拌部材102の内側に粒子が移動し、その結果、攪拌部材102による攪拌力を粒子に強く印加することができる。
【0028】
攪拌部材102の形状としては、板状に限定されず、あぶみ状、溝形状、パドル状、フィン状等が挙げられる。
【0029】
なお、戻し用攪拌部材及び送り用攪拌部材は、軸状部材101の中心軸Aに対して略平行な方向に3個以上設置されていてもよい。戻し用攪拌部材及び送り用攪拌部材が軸状部材101の中心軸Aに対して略平行な方向に1個又は2個設けられている場合は、粒子を均一に攪拌できなくなることがある。
【0030】
また、軸状部材101の投入口106及び排出口107が形成されている側の端部に、それぞれ送り用攪拌部材及び戻し用攪拌部材を設置してもよい。これにより、軸状部材101の両端部への粒子の移動を抑制し、その結果、攪拌部材102による攪拌力が十分に印加されていない粒子が排出口107から排出されることを抑制できる。
【0031】
さらに、戻し用攪拌部材102a及び送り用攪拌部材102bの代わりに、水平攪拌部材を設置してもよい。
【0032】
図3に、撹拌部材102の変形例を示す。攪拌部材102'は、ケーシング103の内壁に対向するように溝状部102a'が形成されていてもよい。なお、図3(a)及び(b)は、それぞれ側面図及び上面図である。撹拌部材102'は、2個の溝状部102a'により、ケーシング103の内壁に対向する領域が3個の領域に分割されている。このように、ケーシング103の内壁に対向する領域を分割すると、撹拌部材102'を大きくしても、粒子を撹拌する作用が低下したり、攪拌部材102'とケーシング103の内壁と間で粒子に印加されるせん断力に伴う摩擦熱が局所に集中したりすることを抑制できる。
【0033】
攪拌部材102'のケーシング103の内壁に対向する領域の表面積に対する溝状部102a'が形成されている領域の表面積の比は、通常、15〜50%であり、20〜40%が好ましい。
【0034】
ケーシング103の形状としては、内周面の軸状部材101の回転軸に対して垂直な断面が、複数の撹拌部材102を覆っている状態において、軸状部材101の回転軸との間の距離が略一定である円状であれば、円筒状に限定されず、球形状、円錐形状等が挙げられる。
【0035】
軸状部材101を回転させる際の攪拌部材102の周速は、通常、10〜150m/sであり、10〜120m/sが好ましい。
【0036】
また、軸状部材101を回転させる際の攪拌部材102の円軌道の直径は、通常、0.09〜1.00mであり、0.12〜0.75mが好ましい。
【0037】
混合装置100を用いて、結着樹脂及び着色剤を含む母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合すると、攪拌部材102と母体粒子の衝突力、攪拌部材102と無機粒子及び/又は帯電制御剤の衝突力、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤の衝突力や、攪拌部材102とケーシング103の内壁との間のクリアランス部における圧縮力や摩砕力やせん断力に加えて左右の対流混合により、無機粒子及び/又は帯電制御剤を母体粒子の表面に付着させることができる。
【0038】
このとき、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量は、0.20kWh/kg以上であり、0.30kWh/kg以上が好ましく、0.50kWh/kg以上がさらに好ましい。母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.20kWh/kg未満であると、母体粒子の表面を十分になめすことができず、トナーを球形化することができない。即ち、攪拌部材102と母体粒子の衝突力、攪拌部材102と無機粒子及び/又は帯電制御剤の衝突力、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤の衝突力や、攪拌部材102とケーシング103の内壁との間のクリアランス部における圧縮力や摩砕力やせん断力に加えて左右の対流混合が不十分となり、トナーを球形化することができない。なお、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量は、通常、1.50kWh/kg以下であり、1.20kWh/kg以下が好ましい。母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が1.50kWh/kgを超えると、無機粒子及び/又は帯電制御剤が母体粒子中に埋没することがある。
【0039】
なお、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量とは、混合する母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤の総質量1kg当たりの駆動部材112の消費電力量を意味する。ここでいう駆動部材112の消費電力量は、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される電力量と、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を用いない以外は、母体粒子と無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際と同一の条件で消費される電力量の差である。
【0040】
このとき、ジャケット104に、冷却媒体を流すことにより、ケーシング103内の雰囲気の温度上昇を抑制することができる。
【0041】
ケーシング103内の雰囲気の温度は、母体粒子のガラス転移点よりも50℃低い温度〜母体粒子のガラス転移点よりも15℃低い温度であることが好ましい。ケーシング103内の雰囲気の温度が母体粒子のガラス転移点よりも50℃低い温度未満であると、無機粒子及び/又は帯電制御剤を母体粒子の表面に付着させることが困難になることがある。一方、ケーシング103内の雰囲気の温度が母体粒子のガラス転移点よりも15℃低い温度を超えると、攪拌部材102による撹拌力が母体粒子に印加されることにより、母体粒子が融解したり、離型剤が露出したりすることがある。
【0042】
なお、特許文献3に開示されている装置を用いて母体粒子を球形化した後に、特許文献1に開示されている装置又は特許文献2に開示されている方法を用いて母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させると、微粉が増加して、粒度分布が変化する。その結果、母体粒子の付着力が大きくなり、キャリアの表面や感光体の表面に付着したり、選択現像が著しく発生したりする。
【0043】
また、特許文献4に開示されている方法を用いて母体粒子を球形化した後に、特許文献1に開示されている装置又は特許文献2に開示されている方法を用いて母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させると、離型剤が母体粒子の表面に染み出して、母体粒子の表面状態が変化する。その結果、母体粒子の付着力が大きくなり、キャリアの表面や感光体の表面に付着したり、現像効率や転写効率が低下したりする。また、結着樹脂中のガラス転移点が低い成分とガラス転移点が高い成分の分散状態が変化し、定着特性に影響を及ぼす。
【0044】
一方、特許文献1に開示されている装置又は特許文献2に開示されている方法を用いて母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤を付着させた後に、特許文献3に開示されている装置又は特許文献4に開示されている方法を用いて母体粒子を球形化すると、無機粒子及び/又は帯電制御剤が脱離したり、埋没したりする。
【0045】
結着樹脂としては、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単独重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレンービニルトルエン共重合体、スチレンービニルナフタレン共重合体、スチレンーアクリル酸エステル共重合体、スチレンーメタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルエーテル共重合体、スチレンービニルエチルエーテル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体等のスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル;フェノール樹脂;天然変性フェノール樹脂;天然樹脂変性マレイン酸樹脂;アクリル樹脂;メタクリル樹脂;ポリ酢酸ビニル;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;フラン樹脂;エポキシ樹脂;キシレン樹脂;ポリビニルブチラール;テルペン樹脂;クマロンインデン樹脂;石油系樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、スチレン系共重合体又はポリエステルが好ましい。
【0046】
着色剤としては、イエロー系顔料、マゼンタ系顔料、シアン系顔料等を用いることができる。
【0047】
イエロー系顔料としては、特に限定されないが、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0048】
イエロー系顔料の市販品としては、C.I. ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、90、93、95、96、97、109、110、111、120、128、129、138、147、155、168、180、181;ネフトールイエローS、ハンザイエローG、C.I.バットイエロー等が挙げられる。
【0049】
マゼンタ系顔料としては、特に限定されないが、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0050】
マゼンタ系顔料の市販品としては、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48、48:2、48:3、48:4、57、57:1、58、60、63、64、68、81、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、163、166、169、170、177、184、185、187、202、206、207、209、220、251、254;C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0051】
シアン系顔料としては、特に限定されないが、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0052】
シアン系顔料の市販品としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、6、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、C.I.アシッドブルー等が挙げられる。
【0053】
着色剤の添加量は、結着樹脂に対して、通常、2〜20質量%であり、4〜15質量%が好ましい。着色剤の含有量が、結着樹脂に対して、2質量%未満であると、着色力が低下することがあり、20質量%を超えると、着色力が必要以上に高まり、薄い色等の再現が困難になることがある。
【0054】
母体粒子は、離型剤をさらに含有していてもよい。
【0055】
離型剤としては、特に限定されないが、カルボニル基を有するワックス、ポリオレフィンワックス、長鎖炭化水素等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、カルボニル基を有するワックスが好ましい。
【0056】
カルボニル基を有するワックスとしては、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート等のポリアルカン酸エステル;トリメリット酸トリステアリル、マレイン酸ジステアリル等のポリアルカノールエステル;ジベヘニルアミド等のポリアルカン酸アミド;トリメリット酸トリステアリルアミド等のポリアルキルアミド;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン等が挙げられる。中でも、ポリアルカン酸エステルが好ましい。
【0057】
ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が挙げられる。
【0058】
長鎖炭化水素としては、パラフィンワックス、サゾールワックス等が挙げられる。
【0059】
離型剤の融点は、通常、40〜160℃であり、50〜120℃が好ましく、60〜90℃がさらに好ましい。離型剤の融点が40℃未満であると、トナーの耐熱保存性が低下することがあり、160℃を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
【0060】
母体粒子中の離型剤の含有量は、結着樹脂に対して、通常、3〜15質量%である。
【0061】
帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸及びその誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩基等の官能基を有する高分子化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0062】
帯電制御剤の市販品としては、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、コピーチャージNX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)等が挙げられる。
【0063】
帯電制御剤の添加量は、結着樹脂に対して、通常、0.1〜10質量%であり、1〜5質量%が好ましい。
【0064】
なお、母体粒子が帯電制御剤を含んでいてもよい。
【0065】
無機粒子を構成する材料としては、特に限定されないが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
【0066】
無機粒子の平均一次粒径は、通常、10nm〜1μmであり、30nm〜500nmが好ましい。
【0067】
無機粒子の添加量は、母体粒子に対して、通常、0.1〜10質量%であり、0.5〜8質量%が好ましい。
【0068】
母体粒子は、ガラス転移点が40〜65℃であることが好ましい。母体粒子のガラス転移点が40℃未満であると、トナーの保存安定性が低下することがあり、65℃を超えると、トナーの低温定着性が低下することがある。
【0069】
なお、母体粒子のガラス転移点は、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所社製)を用いて測定することができる。
【0070】
母体粒子は、体積平均粒径が3〜9μmであることが好ましい。母体粒子の体積平均粒径が3μm未満であると、トナーの融着が発生しやすくなることがあり、9μmを超えると、高画質画像を形成することが困難になることがある。
【0071】
なお、母体粒子の体積平均粒径は、コールターカウンターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定することができる。
【0072】
母体粒子の製造方法としては、特に限定されないが、粉砕法、重合法等が挙げられる。
【実施例】
【0073】
以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明は実施例に限定されない。以下、部は質量部を意味する。
【0074】
[母体粒子1の作製]
1/2流出開始温度が126℃のポリエステル100部、含フッ素4級アンモニウム塩3部及び銅フタロシアニンC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化社製)3部を、ブレンダーを用いて混合した後、100〜110℃に加熱した2本ロールを用いて溶融混練し、自然放冷した。次に、カッターミルを用いて粗粉砕した後、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに、風力分級装置を用いて分級し、母体粒子1を得た。母体粒子1は、ガラス転移点が60℃、体積平均粒径が7.4μm、平均円形度が0.935であった。
【0075】
[母体粒子2の作製]
加熱乾燥した三つ口フラスコに、セバシン酸ジメチル98mol%及び5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム2mol%からなる酸モノマーと、エチレングリコールからなるアルコールモノマーをモル比1:1で入れた。次に、酸モノマーとアルコールモノマーの総量に対して、0.3質量%のジブチルスズオキサイドを加えた後、容器内の空気を窒素で置換し、180℃で5時間還流した。さらに、減圧下、230℃まで昇温して2時間攪拌した後、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステルを得た。結晶性ポリエステルは、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が9700、融点が72℃であった。
【0076】
結晶性ポリエステル90部、カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬社製)1.8部及びイオン交換水210部を100℃に加熱した。次に、ホモジナイザーのウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて分散させた後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーを用いて1時間分散させ、体積平均粒径が200nm、固形分が20質量%の結晶性ポリエステル分散液を得た。
【0077】
攪拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた5Lのフラスコに、テレフタル酸30mol%及びフマル酸70mol%からなる酸モノマーと、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物20mol%及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物80mol%からなるアルコールモノマーをモル比1:1で入れた後、1時間で190℃まで昇温した。次に、酸モノマーとアルコールモノマーの総量に対して、1.2質量%のジブチルスズオキサイドを加えた。さらに、生成する水を留去しながら、6時間で240℃まで昇温した後、3時間保持し、非晶性ポリエステルを得た。非晶性ポリエステルは、酸価が12.0mg/KOH、重量平均分子量(ポリスチレン換算)が9700、ガラス転移点が61℃であった。
【0078】
溶融状態の非晶性ポリエステルを、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に100g/minで移送すると同時に、0.37質量%の希アンモニア水を、熱交換器で120℃に加熱しながら、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に0.1L/分で移送した。さらに、回転子の回転速度を60Hz、圧力を5kg/cmとして、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)を運転し、体積平均粒径が0.16μm、固形分が30質量%の非晶性ポリエステル分散液を得た。
【0079】
銅フタロシアニンC.I.Pigment Blue 15:3(大日精化社製)45部、カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬社製)5部及びイオン交換水200部を混合した後、ホモジナイザーのウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて分散させ、体積平均粒径が168nm、固形分が22質量%の着色剤分散液を得た。
【0080】
融点が75℃のパラフィンワックスHNP9(日本精鑞社製)45部、カチオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬社製)5部及びイオン交換水200部を混合した後、95℃に加熱した。次に、ホモジナイザーのウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて分散させた後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーを用いて分散させ、体積平均粒径が200nm、固形分が20質量%の離型剤分散液を得た。
【0081】
丸型のステンレス製フラスコに、非晶性ポリエステル分散液256.7部、結晶性ポリエステル分散液33.3部、着色剤分散液27.3部及び離型剤分散液35部を入れ、ホモジナイザーのウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて分散させた。次に、ポリ塩化アルミニウム0.20部を加え、ホモジナイザーのウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて分散させた後、48℃まで昇温し、60分間保持した。さらに、非晶性ポリエステル分散液70部を加えた後、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。次に、ステンレス製フラスコを密閉し、96℃まで昇温し、5時間保持した後、冷却し、濾過した。さらに、残渣をイオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離した。次に、残渣を40℃のイオン交換水1Lに加え、ホモジナイザーのウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて、300rpmで15分間攪拌した後、濾過する操作を繰り返した。濾液のpHが7.5、電気伝導度が7.0μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離した。さらに、12時間真空乾燥して、母体粒子2を得た。母体粒子2は、ガラス転移点が56℃、体積平均粒径が5.9μm、平均円形度が0.940であった。
【0082】
[母体粒子のガラス転移点]
母体粒子のガラス転移点は、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所社製)を用いて、以下の測定条件で測定した。
【0083】
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/分)
(昇温条件1)
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/分
終了温度:150℃
保持時間:なし
(降温条件1)
降温温度:10℃/分
終了温度:20℃
保持時間:なし
(昇温条件2)
昇温速度:10℃/分
終了温度:150℃
測定結果は、データ解析ソフトTA−60、バージョン1.52(島津製作所製)を用いて解析した。具体的には、2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線の最も低温側に最大ピークを示す点を中心として、±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いて、ピーク温度を求めた。次に、DSC曲線でピーク温度+5℃及び−5℃の範囲で、解析ソフトのピーク解析機能を用いて、DSC曲線の最大吸熱温度を求めた。
【0084】
[母体粒子の体積平均粒径]
母体粒子の体積平均粒径は、コールターカウンターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。具体的には、まず、約1質量%塩化ナトリウム水溶液ISOTON−II(コールター社製)100〜150ml中にポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.1〜5ml加えた。次に、母体粒子2〜20mg加えた後、超音波分散機を用いて、約1〜3分間分散させた。さらに、100μm角のアパーチャーを用いて、母体粒子の体積平均粒径を測定した。チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを用い、粒径が2.00μm以上40.30μm未満の粒子を測定対象とした。
【0085】
[母体粒子の平均円形度]
母体粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)を用いて測定した。具体的には、まず、フィルタを通して微細なごみを取り除き、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の粒子数が20個/10−3cm以下の水を得た。得られた水10ml中にノニオン系界面活性剤コンタミノンN(和光純薬社製)を数滴加えた後、母体粒子5mgを加え、超音波分散機UH−50(STM社製)を用いて、20kHz、50W/10cmの条件で5分間分散させた。次に、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の粒子数を4000〜8000個/10−3cmに調整した後、平均円形度を測定した。
【0086】
[実施例1]
混合装置100(図1参照)を用いて、150gの母体粒子1および平均一次粒径が40nmのシリカ粒子RX50(日本アエロジル社製)4.5gを混合し、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.953であった。
【0087】
このとき、クリアランスCを1.0mm、軸状部材101の外径Dを91mm、ケーシング103の内径Dを130mmとした。また、攪拌部材102の周速を10〜150m/sの範囲で調整しながら、母体粒子とシリカ粒子を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.25kWh/kgとなるように混合した。さらに、ケーシング103内の雰囲気の温度が22℃となるように冷却した。
【0088】
[実施例2]
母体粒子とシリカ粒子を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.35kWh/kg、ケーシング103内の雰囲気の温度が24℃となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.957であった。
【0089】
[実施例3]
母体粒子とシリカ粒子を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.60kWh/kg、ケーシング103内の雰囲気の温度が26℃となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.960であった。
【0090】
[実施例4]
母体粒子とシリカ粒子を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が1.00kWh/kg、ケーシング103内の雰囲気の温度が30℃となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.963であった。
【0091】
[実施例5]
母体粒子とシリカ粒子を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が1.40kWh/kg、ケーシング103内の雰囲気の温度が32℃となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.966であった。
【0092】
[実施例6]
母体粒子1の代わりに、母体粒子2を用い、ケーシング103内の雰囲気の温度が24℃となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.955であった。
【0093】
[実施例7]
クリアランスCを3.5mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.951であった。
【0094】
[実施例8]
クリアランスCを1.2mmに変更すると共に、軸状部材101の外径を65mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.952であった。
【0095】
[実施例9]
シリカ粒子の代わりに、平均一次粒径が50nmのサリチル酸金属錯体粒子E−84(オリエント化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.953であった。
【0096】
[比較例1]
母体粒子とシリカ粒子を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.10kWh/kg、ケーシング103内の雰囲気の温度が20℃となるように混合した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。トナーは、平均円形度が0.935であった。
【0097】
表1に、トナーの製造条件を示す。
【0098】
【表1】

[耐久試験]
トナー4質量%と、シリコーン樹脂により被覆されている平均粒径が50μmの銅−亜鉛フェライト粒子96質量%からなる現像剤及びimagio Neo 450(リコー社製)を用いて、A4サイズの用紙に45枚/分で印字密度が5%で1万枚連続印字した。
【0099】
耐久試験時に、以下の評価を実施した。
【0100】
[画像濃度]
ベタ画像を出力した後、938スペクトロデンシトメーター(X−RITE社製)を用いて、画像濃度を測定した。なお、画像濃度が1.40以上である場合を◎、1.30以上1.40未満である場合を○、1.20以上1.30未満である場合を△、1.20未満である場合を×として、判定した。
【0101】
[かぶり]
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を、938スペクトロデンシトメーター(X−RITE社製)を用いて測定し、かぶりを評価した。なお、この差が0.005未満である場合を◎、0.005以上0.010未満である場合を○、0.010以上0.030未満である場合を△、0.030以上である場合を×として、判定した。
【0102】
[転写性]
30mm×30mmのベタ画像を出力して、式
(転写材上の定着前のトナー量)/(感光体ドラム上の転写前のトナー量)×100
から、転写率[%]を求めた。なお、転写率が90%以上である場合を◎、85%以上90%未満である場合を○、80%以上85%未満である場合を△、80%未満である場合を×として、判定した。
【0103】
[スペント化率]
耐久試験後の現像剤からブローオフ法によりトナーを除去し、残存したキャリアの質量W1[g]を測定した。次に、キャリアをトルエン中に入れ、洗浄し、乾燥した後の質量W2[g]を測定した。そして、式
(W1−W2)/W1×100
から、スペント化率を求めた。なお、スペント化率が0.01%未満である場合を◎、0.01%以上0.02%未満である場合を○、0.02%以上0.05%未満である場合を△、0.05%以上である場合を×として、判定した。
【0104】
[フィルミング]
耐久試験後の現像ローラ又は感光体上のトナーのフィルミングの有無を観察した。なお、フィルミングがない場合を◎、筋上のフィルミングが見られる場合を○、全体的にフィルミングがある場合を×として、判定した。
【0105】
表2に、実施例1〜9及び比較例1のトナーの評価結果を示す。
【0106】
【表2】

表2より、実施例1〜9のトナーは、母体粒子の表面にシリカ粒子又はサリチル酸金属錯体粒子を付着させる際に、球形化されているため、初期及び耐久試験後のいずれにおいても、画像濃度、かぶり及び転写性が優れることがわかる。また、実施例1〜9のトナーは、耐久試験後のスペント化率及びフィルミングも優れる。
【0107】
一方、比較例1のトナーは、母体粒子の表面にシリカ粒子を付着させる際に、球形化されていないため、初期及び耐久試験後のいずれにおいても、転写性が低下している。また、比較例1のトナーは、耐久試験後の画像濃度、かぶり、スペント化率及びフィルミングも低下している。
【符号の説明】
【0108】
100 混合装置
101 軸状部材
102 攪拌部材
102a 戻し用攪拌部材
102b 送り用攪拌部材
102' 攪拌部材
102a' 溝状部
103 ケーシング
104 ジャケット
105 軸受部材
106 投入口
107 排出口
108 ガイド棒
109 ボス
110 排気管
111 フィルタ
112 駆動部材
A 中心軸
B 回転方向
C クリアランス
軸状部材の外径
ケーシングの内径
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2005−270955号公報
【特許文献2】特開2009−69640号公報
【特許文献3】特開平9−85741号公報
【特許文献4】特開2000−29241号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を含む母体粒子の表面に無機粒子及び/又は帯電制御剤が付着しているトナーを製造する方法であって、
複数の攪拌部材が表面に設けられている軸状部材と、所定の間隔を隔てて前記複数の攪拌部材を覆うことが可能なケーシングと、前記軸状部材の中心軸を回転軸として、前記軸状部材を回転駆動させる駆動部材を有する混合装置を用いて、前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する工程を有し、
前記ケーシングは、前記複数の攪拌部材を覆っている状態において、内周面の前記軸状部材の中心軸に対して垂直な断面が前記軸状部材の中心軸との間の距離が一定である円状であり、
前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を混合する際に消費される単位質量当たりの電力量が0.20kWh/kg以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項2】
前記複数の攪拌部材は、送り用攪拌部材と戻し用攪拌部材を有し、
前記送り用攪拌部材は、前記軸状部材の中心軸に対して略平行な方向に前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を送り、
前記戻し用攪拌部材は、前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を送る方向とは逆方向に前記母体粒子と前記無機粒子及び/又は帯電制御剤を戻すことを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
【請求項3】
前記間隔をC[mm]、前記軸状部材の外径をD[mm]、前記ケーシングの内径をD[mm]とすると、式
/D≦2.0
2.5≦D1/2/C≦10.0
を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
【請求項4】
前記ケーシングは、有底円筒状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
【請求項5】
前記軸状部材の中心軸は、鉛直方向に対して略垂直であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
【請求項6】
前記ケーシング内の雰囲気の温度は、前記母体粒子のガラス転移温度よりも50℃低い温度以上前記母体粒子のガラス転移温度よりも15℃低い温度以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
【請求項7】
前記母体粒子は、離型剤をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトナーの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナーの製造方法を用いて製造されていることを特徴とするトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−29790(P2013−29790A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167717(P2011−167717)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】