説明

トナーカートリッジおよびそれを備えた画像形成装置

【課題】保管状況によって発生するトナー排出口側のトナーの凝集を防止するトナーカートリッジを提供すること。
【解決手段】長手方向一端側にトナー排出口204aを有するカートリッジ本体201と、トナー排出口204aを開閉するためのシャッター203と、カートリッジ本体201内のトナーTをトナー排出口204aへ搬送するためのスクリューシャフト202と、カートリッジ本体201内のトナーTをスクリューシャフト202側へ送り込むためのパドル部材206と該パドル部材206の一部に連結されたトナー流入阻止片205とを備え、トナー流入阻止片205は、カートリッジ本体201が画像形成装置に装着される前の状態においてトナーTのトナー排出口204側への流入を阻止する阻止位置に配置され、かつカートリッジ本体201が画像形成装置に装着された後の状態においてパドル部材206と共に回転して前記阻止位置から離間するように構成されたトナーカートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に交換可能に装着されるトナーカートリッジおよびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2成分現像剤を用いるコピー機、プリンター、ファクシミリ装置などの電子写真方式の画像形成装置は、その装置本体に交換可能に装着されたトナーカートリッジのトナー排出口から現像部にトナーが自動供給されることにより画像出力の連続運転が可能となっている。
【0003】
図10に示すように、このトナーカートリッジ300としては、トナー排出口304aを有するトナー収容用カートリッジ本体301と、カートリッジ本体301の外面側に設けられてトナー排出口304aを開閉するためのシャッター303と、カートリッジ本体301内に回転可能に設けられてカートリッジ本体301内のトナーTをトナー排出口304aへ搬送するためのオーガスクリュー302と、カートリッジ本体301内にオーガスクリュー302の回転軸302aと平行に回転可能に設けられてカートリッジ本体301内のトナーTをオーガスクリュー302側へ送り込むためのパドル部材306とを備え、カートリッジ本体301の長手方向一端側にトナー排出口304aが配置されたものが提案されている
また、図10に示したトナーカートリッジと類似するものとして、例えば、特許文献1に記載のものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−214667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に示したトナーカートリッジ300は、トナー排出口304a側を下に向けて立てた状態で保管された場合、カートリッジ本体301内のトナーTが時間経過とともに自重で下がり、トナー排出口304a付近のトナー密度が高くなる。その結果、トナー排出口304a付近のトナーTが凝集し、さらには塊になってしまい、トナー排出口304aを塞いでしまうという問題が生じる。なお、図10において、黒点の密度が高い部分はトナーTの凝集物や塊を表現している。
このようにトナーカートリッジ300を立てた状態で保管しないようにメーカー側はユーザーに要望しているが、それが守られないことがある。
なお、トナーカートリッジ300の輸送時の振動や積載状況によっても、トナー排出口304a付近のトナー密度が高くなって凝集することが起こりうる。
【0006】
このようなトナーTの凝集物または塊によってトナー排出口304aが塞がれたトナーカートリッジ300を画像形成装置の装置本体に装着した場合には、トナーカートリッジ300からトナーTが排出され難く、トナーカートリッジ300内に大量のトナーTが残っているにもかかわらず、装置本体側にてトナー切れと判断されることも起こりうる。
また、トナー排出口304a付近のトナーTの凝集物または塊がオーガスクリュー302の圧力によって圧縮されて固まり、その結果、オーガスクリュー302がロックするという故障も起こりうる。
そのため、新しいトナーカートリッジを装置本体に装着する場合には、トナーカートリッジを数回振った後に装着するといった対応を行うことをメーカー側はユーザーに要望しているが、それが守られないことがある。
【0007】
また、最近のトナーは、省エネルギー対策のために低温定着性をアップさせていることから保存安定性が低下し、自然放置においてトナー凝集を起こしやすい傾向にもある。
また、最近の画像形成装置においては、小型化が要求される関係から、トナーカートリッジも小型化される傾向にあり、カートリッジ本体内にトナーが密に詰められるためにトナー凝集が生じ易い状況になっている。
特許文献1に記載のトナーカートリッジは、オーガスクリューのトナー排出口側の螺旋羽根の一部をカットすることにより、トナー搬送時におけるオーガスクリューによるトナー排出口側のトナーにかかる圧力を低減してトナー凝集を防止するようにしているが、トナー排出口側を下に向けて立てた状態で保管された場合に生じるトナー凝集には対処できない。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、保管状況によって発生するトナー排出口側のトナーの凝集を防止するトナーカートリッジおよびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして、本発明によれば、一方向に長い密封容器状に形成されてその長手方向一端側にトナー排出口を有するトナー収容用カートリッジ本体と、該カートリッジ本体の外面側に設けられて前記トナー排出口を開閉するためのシャッターと、該カートリッジ本体内に前記長手方向の回転軸心廻りに回転可能に設けられてカートリッジ本体内のトナーを前記トナー排出口へ搬送するためのスクリューシャフトと、前記スクリューシャフトの回転軸と平行な回転軸およびこの回転軸に取り付けられた撹拌羽根を前記カートリッジ本体内に有しカートリッジ本体内のトナーを前記スクリューシャフト側へ送り込むためのパドル部材と、該パドル部材の一部に連結されたトナー流入阻止片とを備え、
前記カートリッジ本体は、前記パドル部材が配置される大容積の空間であってトナーの大半が収容されるトナー収容部と、前記スクリューシャフトが配置される小容積の空間であって前記トナー収容部と連通して隣接しかつその長手方向の一端側に前記トナー排出口が配置されたトナー搬送路とを内部に有し、
前記トナー流入阻止片は、前記カートリッジ本体が画像形成装置に装着される前の状態において前記トナー搬送路内でのトナーのトナー排出口側への流入を阻止する阻止位置に配置され、かつ前記カートリッジ本体が画像形成装置に装着された後の状態において前記パドル部材と共に回転して前記阻止位置から離間するように構成されたトナーカートリッジが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナーカートリッジがトナー排出口側を下に向けて立てた状態で保管されても、トナー流入阻片によってトナー搬送路のトナー排出口側の空間にトナーが流入し難くなるため、この状態でトナーカートリッジが長期間保管されたとしても、トナー排出口付近でトナーが凝集することを防止できる。
また、トナーカートリッジが輸送時に揺らされたりしても同様である。
この結果、画像形成装置の装置本体側にてトナー切れと判断される誤検知や、オーガスクリューがロックして故障するという問題を解消することができる。
また、トナーカートリッジを装置本体に装着した後、画像形成装置の現像部へトナーカートリッジからトナーを補給する際に、トナー流入阻止片がパドル部材と共に回転して阻止位置から離間するため、トナー搬送路のトナー排出口側の空間が自動的に開放され、スクリューシャフトによってトナーをトナー搬送口へ搬送することができる。
つまり、トナー流入阻止片を開放するための特別な機構を設ける必要が無く、トナーカートリッジをコンパクトに設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施形態1に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
【図2】図2は実施形態1に係る画像形成装置に搭載されるトナーカートリッジを具備するトナーカートリッジユニットの構成を示す斜視図である。
【図3】図3は実施形態1におけるトナーカートリッジが画像形成装置に装着される前の側面断面図である。
【図4】図4は図3におけるトナーカートリッジのA−A線断面図である。
【図5】図5は図3におけるトナーカートリッジのB−B線断面図である。
【図6】図6は実施形態1におけるトナーカートリッジのパドル部材を示す斜視図である。
【図7】図7は実施形態1のトナーカートリッジが画像形成装置に装着された状態を示す説明図である。
【図8】図8は本発明の実施形態2におけるパドル部材とトナー流入阻止片を示す斜視図である。
【図9】図9(A)および(B)は実施形態2におけるパドル部材とトナー流入阻止片の初期位置を示す断面図である。
【図10】図10は従来のトナーカートリッジが画像形成装置に装着される前の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るトナーカートリッジは、前記のように長手方向一端側にトナー排出口を有するトナー収容用カートリッジ本体と、トナー排出口を開閉するためのシャッターと、カートリッジ本体内のトナーをトナー排出口へ搬送するためのスクリューシャフトと、カートリッジ本体内のトナーをスクリューシャフト側へ送り込むためのパドル部材と、パドル部材の先端側に設けられたトナー流入阻止片とを備え、モノクロまたはフルカラーのコピー機、プリンター、ファクシミリ装置およびこれらの機能を備えた複合機等の電子写真方式の画像形成装置の装置本体に着脱可能(交換可能)に装着される。
また、このトナーカートリッジは次のように構成されてもよく、各構成が組み合わされてもよい。
【0013】
(1)前記カートリッジ本体は、前記トナー搬送路が前記トナー収容部よりも前記長手方向の一端側へ突出する形状に形成されており、
前記トナー排出口は、前記トナー収容部よりも前記長手方向の一端側へ突出した前記トナー搬送路の突出空間に配置されており、
前記トナー流入阻止部材の前記阻止位置が、前記トナー収容部側に開口する前記突出空間の開口部である。
このようにすれば、トナー排出口が突出空間に配置された既存のカートリッジ本体に対して、トナー流入阻止片を効果的な阻止位置に配置することができ、この結果、画像形成装置の装置本体へ装着する前のトナーカートリッジにおいて、トナー排出口側へのトナーの流入をより効果的に阻止することができ、トナー排出口付近でのトナー凝集をより効果的に防止することができる。
【0014】
(2)前記トナー流入阻止片は、前記パドル部材の撹拌羽根におけるトナー排出口側の端部に、前記スクリューシャフトの回転軸と垂直な方向に突出状に配置され、前記スクリューシャフトの回転軸に嵌り込む切欠き凹部を有している。
このようにすれば、トナー流入阻止片を簡素な構造としながらトナー搬送路の突出空間へのトナーの流入を阻止でき、かつトナー流入阻止片のスクリューシャフトからの離脱を容易に行うことができる。
【0015】
(3)前記パドル部材の前記撹拌羽根と前記トナー流入阻止片とが、可撓性シート部材にて一体状に形成されている。
このようにすれば、トナー流入阻止片をパドル部材に連結する部材を省略して作製することができる。
また、パドル部材およびトナー流入阻止片は弾性変形可能であるため、これらがカートリッジ本体内の内壁面やスクリューシャフト等に接触してもこれらの回転が阻害されることはなく、これらを回転させる駆動部にも過負荷がかからない。
また、パドル部材が可撓性を有することにより、トナー収容部の底部にパドル部材を摺接させながら回転させてトナーを無駄なくトナー搬送路へ送り込むことができる。
【0016】
(4)前記(3)の場合、前記トナー流入阻止片は、前記パドル部材の撹拌羽根の端部が折り曲げられて形成されており、前記撹拌羽根と前記トナー流入阻止片との境界部分に切欠き部が形成されている。
このようにすれば、撹拌羽根とトナー流入阻止片とを一体状に維持しながら、撹拌羽根の可撓性(柔軟性)を損なわないようにすることができる。
この場合、前記切欠き部の長さが、前記撹拌羽根と前記トナー流入阻止片との接合部分の長さよりも短いことが、前記撹拌羽根の可撓性を向上させる上で好ましい。
【0017】
(5)前記トナー流入阻止片は、前記スクリューシャフトの回転軸に嵌り込む切欠き凹部を有し、パドル部材の一部にテープまたは紐にて連結されている。
つまり、トナー流入阻止片をパドル部材とは別に形成してパドル部材の一部にテープまたは紐にて連結する点が前記(2)とは異なる。
このようにすれば、既存のパドル部材を用いることができ、パドル部材がトナー流入阻止片に干渉することなく回転することができる。
【0018】
(6)前記トナー流入阻止片は、パドル部材の回転軸にテープまたは紐を介してトナー流入阻止片を連結されている。
このようにすれば、パドル部材が回転するとテープまたは紐が巻き取られてトナー流入阻止片が回転軸の位置に引き込まれるため、トナー流入阻止片がパドル部材の回転の邪魔にならず好都合となる。
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は次の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る画像形成装置の全体の構成を示す説明図である。
実施形態1に係る画像形成装置100は、図1に示すように、4つの画像形成部55(55a〜55d)を備え、各画像形成部55に備えられた後述のトナーカートリッジ200(200a〜200d)を採用したことを特徴としている。
なお、実施形態1では、通信ネットワーク等を介して外部から送信された画像データ等の入力コマンドに含まれる画像データに基づいて、所定のシート(記録用紙)に多色あるいは単色の画像を可視画像として形成するプリンターの場合を例示しているが、画像形成装置としては、外部から伝達される画像データおよび/またはスキャナによって原稿から読み取った画像データに応じても記録媒体に多色または単色の画像を形成することができるコピー機、ファクシミリ装置またはこれらの機能を備えた複合機であってもよい。
【0021】
<画像形成装置の全体構成>
まず、画像形成装置100の全体構成について詳しく説明する。
図1に示すように、実施形態1に係る画像形成装置100は、露光ユニットEと、前記4つの画像形成部55(55a〜55d)と、中間転写ベルト11と、一次転写ローラ13(13a〜13d)と、二次転写ローラ14と、定着装置15と、用紙搬送路P1、P2、P3と、給紙カセット16と、手差し給紙トレイ17と、排紙トレイ18と、トナーカートリッジユニット20等を備えている。
また、各画像形成部55(55a〜55d)は、露光ユニットEによって潜像が形成された像担持体に相当する感光体ドラム101(101a〜101d)と、現像装置102(102a〜102d)と、帯電ローラ103(103a〜103d)と、クリーニングユニット104(104a〜104d)等を備える。
【0022】
この画像形成装置100において扱われるカラー画像の画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の4色の各色相に対応した画像データであり、これらの画像データに基づいて各画像形成部55(55a〜55d)によって可視画像の形成が行われる。
従って、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、各画像形成部55(55a〜55d)には、現像装置102(102a〜102d)、感光体ドラム101(101a〜101d)、帯電ローラ103(103a〜103d)、転写ローラ13(13a〜13d)およびクリーニングユニット104(104a〜104d)がそれぞれ1つずつ設けられている。
そして、各画像形成部55(55a〜55d)は、中間転写ベルト11の移動方向(副走査方向)に一列に配列されている。
【0023】
なお、各画像形成部55a〜55dは、同様の構成であるため、本明細書において、各画像形成部を統一符号55で示し、各画像形成部に備えられた各感光体ドラムを統一符号101で示し、現像装置を統一符号102で示し、各帯電ローラを統一符号103で示し、各転写ローラを統一符号13で示し、各クリーニングユニットを統一符号104で示す場合がある。また、前記a〜dの符号は、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに対応し、これら符号によって区別された上記の各手段により、4つの画像ステーションが構成されている。
【0024】
露光装置である露光ユニットEは、図示しない半導体レーザ、ポリゴンミラー4、第1反射ミラー7、および第2反射ミラー8等を備えており、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの各色相の画像データによって変調されたレーザビーム等の光ビームのそれぞれを感光体ドラム101a〜101dのそれぞれに照射する。各感光体ドラム101a〜101dには、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの各色相の画像データによる静電潜像が形成される。
本実施形態では、露光ユニットEは、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いる手法のものであるが、発光素子をアレイ状に並べた、例えば、ELやLED書込みヘッドを用いる手法のものを使用してもよい。
【0025】
感光体ドラム101は、露光ユニットEの上方に配設され、略円筒形状の像担持体であり、不図示の駆動手段と制御手段により所定方向に回転するように制御されている。
感光体ドラム101は、例えば、アルミニウム等で製作された金属ドラムからなる基材と、この基材の外周面に積層されたアモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)や有機光半導体(OPC)等の薄膜光導電層とを有してなる。なお、感光体ドラム101の構成はこの構成に特に限定されない。
【0026】
帯電ローラ103は、感光体ドラム101の表面を所定の電位に均一に帯電させる接触方式の帯電器である。
実施形態1では、図1に示すように、帯電器として接触型のローラ型の帯電ローラ103を使用しているが、帯電ローラ103に代えて、チャージャー型やブラシ型の帯電器を代用してもよい。
【0027】
現像装置102は、静電潜像が形成された感光体ドラム101の表面にトナーを供給して静電潜像をトナー像に現像する。
各現像装置102a〜102dは、ブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローのトナーを収納しており、各色相に対応する感光体ドラム101a〜101dのそれぞれに形成された静電潜像をブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローのトナー像に顕像化する。
【0028】
クリーニングユニット104は、現像および画像転写後における感光体ドラム101上の表面に残留したトナーを潤滑剤等によって除去し回収する。
感光体ドラム101の上方に配置されている中間転写ベルト11は、厚さ100〜150μm程度のフィルムで無端状に形成されており、トナー画像搬送方向の下流側と上流側に配置された駆動ローラ11aと従動ローラ11bとの間に張架されて、ループ状の移動経路を形成している。
中間転写ベルト11の下部外周面に対向する感光体ドラム101は、トナー画像搬送方向の上流側から感光体ドラム101d、感光体ドラム101c、感光体ドラム101bおよび感光体ドラム101aの順に配置されている。
【0029】
この中間転写ベルト11の下部内周面側には、この下部内周面に当接して下部外周面を各感光体ドラム101a〜101dに押し付ける一次転写ローラ13a〜13dが配置されており、中間転写ベルト11における各感光体ドラム101a〜101dとの接触位置が一次転写位置となっている。
一次転写ローラ13a〜13dは、感光体ドラム101a〜101dの表面に担持されたトナー像を中間転写ベルト11上に転写するために、トナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが定電圧制御によって印加される。
これによって、感光体ドラム101a〜101dに形成された各色相のトナー像は、中間転写ベルト11の外周面に順次重ねて転写され、中間転写ベルト11の外周面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0030】
但し、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックの色相の一部のみの画像データが入力された場合には、4つの感光体ドラム101a〜101dのうち、入力された画像データの色相に対応する一部の感光体ドラム101のみにおいて、静電潜像およびトナー像の形成が行われる。
例えば、モノクロ画像形成時には、ブラックの色相に対応した感光体ドラム101aのみにおいて静電潜像の形成およびトナー像の形成が行われ、中間転写ベルト11の外周面には、ブラックのトナー像のみが転写される。
【0031】
各一次転写ローラ13a〜13dは、直径8〜10mmの金属(例えば、ステンレス)を素材とする軸と、この軸の表面を被覆する導電性の弾性材(例えば、EPDM、発泡ウレタン等)とを有して構成されており、導電性の弾性材によって中間転写ベルト11に均一に高電圧を印加する。
本実施形態では、転写電極として一次転写ローラ13a〜13dを使用しているが、それ以外にブラシなども使用可能である。
【0032】
各一次転写位置において、中間転写ベルト11の外周面に転写されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転によって、二次転写ローラ14との対向位置である二次転写位置に搬送される。
二次転写ローラ14は、画像形成時において、駆動ローラ11aに巻かれた中間転写ベルト11の外周面に所定のニップ圧で圧接されている。当該ニップ圧を定常的に得るために、二次転写ローラ14若しくは駆動ローラ11aの何れか一方は、金属等の硬質材料からなり、他方は、弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)からなる。
【0033】
給紙カセット16または手差し給紙トレイ17から給紙された用紙が二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間の二次転写位置を通過する際に、二次転写ローラ14にトナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧が印加される。
このように、各感光体ドラム101a〜101d上の静電潜像は、各色相に応じたトナーにより顕像化されて、それぞれトナー像となり、これらトナー像は、中間転写ベルト11上において積層される。その後、積層されたトナー像は、中間転写ベルト11の回転によって二次転写位置に搬送され、二次転写位置に搬送されてきた用紙上にトナー像が転写される。
【0034】
用紙へ転写されずに中間転写ベルト11上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるため、中間転写ベルトクリーニングユニット12によって除去されて回収される。
中間転写ベルトクリーニングユニット12には、中間転写ベルト11に接触する、例えば、クリーニングブレードが備えられている。このクリーニングブレードは、中間転写ベルト11における従動ローラ11bにて支持されている外周面部分に接触するよう配置されている。
【0035】
可視画像としてトナー像が転写された用紙は、加熱ローラ15aと加圧ローラ15bを備える定着装置15に導かれ、加熱ローラ15aと加圧ローラ15bとの間を通過して、加熱および加圧処理を受ける。これによって、可視画像となるトナー像が用紙の表面に堅牢に定着する。
そして、トナー像が定着した用紙は、排紙ローラ18aによって排紙トレイ18上に排出される。
【0036】
画像形成装置100には、用紙カセット16に収納されている用紙を二次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間および定着装置15を経由して排紙トレイ18に送るための略垂直方向の用紙搬送路P1が設けられている。
用紙搬送路P1には、用紙カセット16内の用紙を一枚ずつ用紙搬送路P1内に繰り出すピックアップローラ16a、繰り出された用紙を上方に向けて搬送する搬送ローラr10、搬送されてきた用紙を所定のタイミングで2次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間に導くレジストローラ19、および用紙を排紙トレイ18に排出する排紙ローラ18aが配置されている。
【0037】
また、画像形成装置100の内部には、手差し給紙トレイ17からレジストローラ19に至る間に、ピックアップローラ17aおよび搬送ローラr10を配置した用紙搬送路P2が設けられている。
さらに、排紙ローラ18aから用紙搬送路P1におけるレジストローラ19の上流側に至る間には、用紙搬送路P3が形成されている。
【0038】
排紙ローラ18aは、正逆両方向に回転可能に設けられており、用紙の片面に画像を形成する片面画像形成時、および用紙の両面に画像を形成する両面画像形成における第2面画像形成時に正転方向に駆動されて用紙を排紙トレイ18に排出する。
一方、両面画像形成における第1面画像形成時には、排紙ローラ18aは、用紙の後端が定着装置15を通過するまで正転方向に駆動された後、用紙の後端部を挟持した状態で逆転方向に駆動されて用紙を用紙搬送路P3内に導く。これによって、両面画像形成時に片面のみに画像が形成された用紙は、表裏面および前後端を反転した状態で用紙搬送路P1に導かれる。
【0039】
レジストローラ19は、用紙カセット16若しくは手差し給紙トレイ17から給紙され、または用紙搬送路P3を経由して搬送された用紙を、中間転写ベルト11の回転に同期したタイミングで2次転写ローラ14と中間転写ベルト11との間に導く。
このため、レジストローラ19は、感光体ドラム101や中間転写ベルト11の動作開始時には、回転を停止していると共に、中間転写ベルト11の回転に先立って給紙または搬送された用紙は、前端をレジストローラ19に当接させた状態で用紙搬送路P1内における移動を停止する。この後、レジストローラ19は、2次転写ローラ14と中間転写ベルト11とが圧接する位置で、用紙の前端部と中間転写ベルト11上に形成されたトナー像の前端部とが対向するタイミングで回転を開始する。
【0040】
なお、画像形成部55a〜55dの全てにおいて、画像形成が行われるフルカラー画像形成時には、一次転写ローラ13a〜13dが中間転写ベルト11を感光体ドラム101a〜101dの全てに圧接させる。一方、画像形成部55aのみにおいて、画像形成が行われるモノクロ画像形成時には、一次転写ローラ13aのみが中間転写ベルト11を感光体ドラム101aに圧接させる。
【0041】
<トナーカートリッジの構成>
次に、実施形態1に係る特徴的なトナーカートリッジ200の構成について図面を参照して詳細に説明する。
図2は実施形態1に係る画像形成装置に搭載されるトナーカートリッジを具備するトナーカートリッジユニットの構成を示す斜視図である。
また、図3は実施形態1におけるトナーカートリッジが画像形成装置に装着される前の側面断面図であり、図4は図3におけるトナーカートリッジのA−A線断面図であり、図5は図3におけるトナーカートリッジのB−B線断面図であり、図6は実施形態1におけるトナーカートリッジのパドル部材を示す斜視図である。
【0042】
図2〜図6に示すように、このトナーカートリッジ200は、一方向に長い密封容器状に形成されてその長手方向一端側にトナー排出口204aを有するトナー収容用カートリッジ本体201と、カートリッジ本体201の外面側に設けられてトナー排出口204aを開閉するためのシャッター203と、カートリッジ本体201内に前記長手方向の回転軸心廻りに回転可能に設けられてカートリッジ本体201内のトナーTをトナー排出口204aへ搬送するためのスクリューシャフト202と、カートリッジ本体201内にスクリューシャフト202の回転軸202aと平行な回転軸206aを有しカートリッジ本体201内のトナーTをスクリューシャフト202側へ送り込むためのパドル部材206と、パドル部材206の一部に連結されたトナー流入阻止片205とを備える。
【0043】
このトナーカートリッジ200において、カートリッジ本体201は、略直方体部分201aと、略直方体部分201aの長手方向の一端側に連設された突出部分201bとを有している。なお、カートリッジ本体201内のスクリューシャフト202の回転軸202aの一端は、突出部分201bの側壁を貫通して外部に突出しており、その一端に駆動ギア202cが取り付けられている。
【0044】
トナーカートリッジ200は、図2に示すように、トナーカートリッジホルダ20xに4つ並んで装着されており、これによりトナーカートリッジユニット20が構成されている。
トナーカートリッジホルダ20xは、上方開口容器形であって、その内部には区画壁によって仕切られた4つの凹部を有し、4つ凹部にトナーカートリッジ200が収容される。
また、トナーカートリッジホルダ20xの凹部の長手方向両側の壁部には、各トナーカートリッジ200の前記駆動ギア202cを挿通させる窓部およびロックレバー20aが揺動可能に取り付けられた切欠き部が形成されている。
トナーカートリッジ200をトナーカートリッジホルダ20xの凹部に嵌め込み、トナーカートリッジホルダ20xのロックレバー20aを持ち上げることにより、カートリッジ本体201を右方向(矢印F方向)に移動させて、トナーカートリッジホルダ20のストッパプレート20bに押し当てた状態で保持される。
【0045】
さらに、トナーカートリッジホルダ20xの凹部の底壁には、装着された各トナーカートリッジ200のトナー排出口204aと対向する位置からその近傍の端縁に亘って切欠き窓部(図示省略)が形成されている。
画像形成装置にトナーカートリッジユニット20を装着する際、トナーカートリッジ200がトナー補給パイプ105に対して略水平方向に移動することにより、前記切欠き窓部を通過したトナー補給パイプ105の上端にシャッター203の端面が当接してシャッター203が略水平方向に移動し、トナー排出口204aがトナー補給パイプ105と対向する位置に配置されると、トナー排出口204aが開放する(図1、図7参照)。
なお、画像形成装置には、各トナーカートリッジ200のパドル部材206側の駆動ギアとスクリューシャフト202側の駆動ギアとにそれぞれ噛合して駆動モータからの回転力を伝達するギアが設けられている。
【0046】
カートリッジ本体201はその内部に、パドル部材206が配置される大容積の空間であってトナーTの大半が収容されるトナー収容部201xと、スクリューシャフト202が配置される小容積の空間であってトナー収容部201xと連通して隣接しかつその長手方向の一端側にトナー排出口204aが配置されたトナー搬送路201yとを有している。
このトナー搬送路201yの長手方向の一端部分は、カートリッジ本体201の突出部分201bの内部空間であって、トナー排出口204aを有するトナー排出部204となっている。
つまり、カートリッジ本体201は、トナー搬送路201yがトナー収容部201xよりも長手方向の一端側へ突出する形状に形成されていると共に、トナー排出口204aは、トナー収容部201xよりも長手方向の一端側へ突出したトナー搬送路201yの突出空間に配置されている。
なお、トナー収容部201xおよびトナー搬送路201yの底面は円弧状に形成されている。
【0047】
トナー排出口204aは、トナー排出部204の底部に設けられる四角形の開口部であり、スクリューシャフト202で運ばれてきたトナーTをトナーカートリッジ200の外部へ排出するための開口である。
シャッター203は、トナー排出口204aを閉鎖する位置にスライド可能に設けられる略四角形の板状のシャッターであり、トナーカートリッジ200が画像形成装置に装着された際にトナー排出口204aを開放するためのものである。
トナーカートリッジ200が画像形成装置に装着される前の状態において、シャッターは、例えば、図示しないバネ部材によってトナー排出口204aを閉鎖する方向に弾発付勢されている。
【0048】
パドル部材206は、回転軸206aと、回転軸206aに取り付けられた1枚の長方形撹拌羽根206bとを有してなる。
回転軸206aの一端は、トナー収容部201x内のカートリッジ本体201の長手方向一端側の側壁を回転可能に貫通し、その一端に図示しない駆動ギアが取り付けられている。
また、回転軸206aの他端は、トナー収容部201x内のカートリッジ本体201の長手方向他端側の側壁に設けられた凹部に回転可能に嵌め込まれて支持されている。
【0049】
撹拌羽根206bは、適度な柔軟性と剛性を併せ持つ樹脂シート(例えば、PETシート)、ゴムシート等の可撓性シート部材からなり、その長さはトナー収容部201xの長さよりも僅かに短い寸法であり、その幅はトナー収容部201の底面に十分摺接する寸法である。
攪拌パドル207は、回転軸206aが矢印E方向に回転することにより、トナー収容部201x内のトナーTを解し、かつ解したトナーTをトナー搬送路201y内に送り込む。
【0050】
スクリューシャフト202は、前記回転軸202aと、回転軸202aに取り付けられた前記トナー排出部204内に収まる径方向寸法の螺旋羽根202bとを有するオーガスクリューである。
回転軸202aの一端は前記の如く回転可能に支持されると共に、回転軸202aの他端はトナー搬送路201y内のカートリッジ本体201の長手方向他端側の側壁に設けられた凹部に回転可能に嵌め込まれて支持されている。
【0051】
トナー流入阻止片205は、図3および図5(実線)に示すように、カートリッジ本体201が画像形成装置に装着される前の状態においてトナー搬送路201y内でのトナーのトナー排出口204a側への流入を阻止する阻止位置に配置され、かつ、図7および図5(二点鎖線)に示すように、カートリッジ本体201が画像形成装置に装着された後の状態においてパドル部材206と共に回転して前記阻止位置から離間するように構成されている。
ここで、「阻止位置」とは、トナー収容部201x側に開口する前記突出空間であるトナー排出部204の開口部であり、この阻止位置にトナー流入阻止片205が配置されることにより、トナーカートリッジ200の画像形成装置への装着前では、カートリッジ本体201の略直方体部分201aの内部に収容されているトナーTをトナー排出部204内へ流入し難くしている。
【0052】
トナー流入阻止片205は、パドル部材206の撹拌羽根206bにおけるトナー排出口204a側の端部に、スクリューシャフト202の回転軸202aと垂直な方向に突出状に配置され、スクリューシャフト200の回転軸202aに嵌り込む切欠き凹部205aを有している。
さらに具体的に説明すると、実施形態1の場合、パドル部材206の撹拌羽根206bとトナー流入阻止片205とが、例えば、PETシートといった可撓性シート部材にて一体状に形成されている。
【0053】
この場合、長方形の可撓性シート部材の一方の短辺を折り曲げ、その折り曲げた部分の略半分を切除し、残部の先端側の外周をカートリッジ本体201内のトナー搬送路201yの断面形状に一致させかつ前記切欠き凹部205aを形成するようカットする。
このように、トナー流入阻止片205は、パドル部材206の撹拌羽根206bのトナー排出部204側に配置される端部が折り曲げられて形成されている。
なお、切欠き凹部205aは、パドル部材206の回転軸206aと略同一径の円形奥部と、外側から内側に向って幅が円形奥部の径よりも少し狭くなる扇形開口部とを有する形状である。
【0054】
さらに、撹拌羽根206bとトナー流入阻止片205との境界部分に切欠き部207が形成されている。このとき、撹拌羽根206bとトナー流入阻止片205とを一体状に維持しながら、撹拌羽根206bの可撓性(柔軟性)を維持させるために、切欠き部207の長さは、撹拌羽根206bとトナー流入阻止片205との接合部分207aの長さよりも短く設定されている。
【0055】
このように構成されたトナーカートリッジ200は、図3と図5に示すように、画像形成装置に装着する前は、パドル部材206の撹拌羽根206bがスクリューシャフト202側の初期位置に配置され、かつトナー流入阻止片205の切欠き凹部205aがスクリューシャフト202の回転軸202aに嵌り込んだ初期位置に配置されている。
このとき、トナー流入阻止片205は、トナー排出部204の開口縁と螺旋羽根202bとに密着させた状態で回転軸202aに取り付けられる。
これにより、トナー排出部204の開口部の大半がトナー流入阻止片205によって塞がれるが、トナー流入阻止片205は切欠き凹部205aを有しているため、トナー排出部204の開口部の一部は塞がれていない。
【0056】
しかしながら、トナー流入阻止片205によってトナー排出部204の開口部の大半が塞がれることにより、例えば、トナー排出部204を下にしてトナーカートリッジ200が保管されたり輸送されたりした場合でも、トナー流入阻止片205が無い場合と比べて、トナー排出部204内へトナーTが流入し難くなり、トナー排出部204内に空間Sが生じ易くなる。
その結果、トナー排出口204a付近のトナーTが圧力により凝集あるいは塊になってしまうことがなく、トナー排出口204aを塞いでしまうということがない。
したがって、トナー排出部204内に空間Sを有する各トナーカートリッジ200が装着されたトナーカートリッジホルダ20を、画像形成装置に装着すると、図7に示すように、シャッター203が開き、トナー排出部204内のトナーTがトナー補給パイプ105内へ落下し、トナー排出部204内の空間Sが広がる。
【0057】
そして、画像形成装置の駆動時に、図4と図5に示すように、パドル部材206の回転軸206aが矢印E方向に回転すると、撹拌羽根206bは初期位置から上方へ回転し、その後、撹拌羽根206bは弾性変形してその先端側がカートリッジ本体201の内壁面に摺接しながら回転し、トナー収容部201内のトナーを解しながら掻き出すようにしてトナー搬送路201yへ送る。
このとき、撹拌羽根206bと一体化したトナー流入阻止片205も初期位置から上方へ移動し、スクリューシャフト202の回転軸202aから離脱する。これにより、トナー排出部204の開口部が完全に開放する。
また、切欠き部207によって撹拌羽根206bとトナー流入阻止片205との接合部分の長さが短くされており、この接合部分はトナー流入阻止片205の捻り方向に弾性変形するため、撹拌羽根206bの回転に干渉することなくトナー流入阻止片205もカートリッジ本体201の内壁面に摺接しながら回転する。
【0058】
一方、画像形成装置の駆動時には、スクリューシャフト202も回転しており、トナー搬送路201y内のトナーをトナー排出部204側へ搬送する。
このとき、トナー排出部204内には幾分トナーが存在するが、凝集または塊となっておらず、それに加え、そのトナーの上方には空間Sも存在するため、回転する螺旋羽根202bによってトナー排出部204内のトナーは十分に解されてトナー排出口204aから落下し、トナー補給パイプ105を通って現像装置102内へ供給され、トナー搬送路201y内のトナーも順次トナー排出部204へ送られる。
【0059】
(実施形態2)
図8は本発明の実施形態2におけるパドル部材とトナー流入阻止片を示す斜視図であり、図9(A)および(B)は実施形態2におけるパドル部材とトナー流入阻止片の初期位置を示す断面図である。なお、図9(A)および(B)において、図4と図5中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
【0060】
実施形態2の図示しないトナーカートリッジは、トナー流入阻止片215が、スクリューシャフト202の回転軸202aに嵌り込む切欠き凹部215aを有することは実施形態1と同様であるが、パドル部材216の撹拌羽根216bとは個別に形成されており、パドル部材216の一部に、例えば、樹脂製のテープ217または紐にて連結されている点が実施形態1とは異なる。
実施形態2のトナーカートリッジにおいて、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0061】
具体的には、トナー流入阻止片215は、パドル部材216の回転軸216aにテープ217または紐にて連結されている。
このとき、カートリッジ本体201内において、テープ217または紐の一端は、回転軸216aのトナー排出部側に接着等によって固着され、その他端はトナー流入阻止片215の切欠き凹部215aと反対側の端縁に接着される。
【0062】
このように構成された実施形態2のトナーカートリッジも、図9(A)と(B)に示すように、画像形成装置に装着する前は、パドル部材216の撹拌羽根216bがスクリューシャフト202側の初期位置に配置され、かつトナー流入阻止片215の切欠き凹部215aがスクリューシャフト202の回転軸202aに嵌り込んだ初期位置に配置されている。それに加え、トナー流入阻止片215は、トナー排出部の開口縁と螺旋羽根202bとに密着させた状態で回転軸202aに取り付けられる。
なお、トナー流入阻止片215におけるトナー排出部の開口縁との接触部分に粘着剤を塗布することにより、回転軸202a上でトナー流入阻止片215がぐらつかないようにしてもよい。
【0063】
これにより、トナー排出部の開口部の大半がトナー流入阻止片215によって塞がれるため、実施形態1と同様に、トナー排出部を下にしてトナーカートリッジが保管されたり輸送されたりした場合でも、トナー流入阻止片215が無い場合と比べて、トナー排出部内へトナーが流入し難くなり、トナー排出部内に空間が生じ易くなる。
その結果、トナー排出口付近のトナーが圧力により凝集あるいは塊になってしまうことがなく、トナー排出口を塞いでしまうということがない。
【0064】
そして、画像形成装置の駆動時に、図9(A)と(B)に示すように、パドル部材216の回転軸216aが矢印E方向に回転することにより、テープ217または紐が回転軸216aに巻き取られ、それによりトナー流入阻止片215が回転軸216aの方へ引っ張られてスクリューシャフト202の回転軸202aから離脱する。これにより、トナー排出部204の開口部が完全に開放する。
この場合、トナー流入阻止片215は、最終的にパドル部材216の回転軸216aまで引き寄せられるため、撹拌羽根216bの回転に全く干渉しない。
【符号の説明】
【0065】
55(55a〜55d) 現像部
100 画像形成装置
101(101a〜101d) 感光体ドラム
200 トナーカートリッジ
201 カートリッジ本体
201x トナー収容部
201y トナー搬送路
202 スクリューシャフト
202a 回転軸
203 シャッター
204 トナー排出部
204a トナー排出口
205、215 トナー流入阻止片
205a、215a 切欠き凹部
206、216 パドル部材
206a、216a 回転軸
206b、216b 撹拌羽根
207 切欠き部
207a 接合部分
217 テープ
T トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長い密封容器状に形成されてその長手方向一端側にトナー排出口を有するトナー収容用カートリッジ本体と、該カートリッジ本体の外面側に設けられて前記トナー排出口を開閉するためのシャッターと、該カートリッジ本体内に前記長手方向の回転軸心廻りに回転可能に設けられてカートリッジ本体内のトナーを前記トナー排出口へ搬送するためのスクリューシャフトと、前記スクリューシャフトの回転軸と平行な回転軸およびこの回転軸に取り付けられた撹拌羽根を前記カートリッジ本体内に有しカートリッジ本体内のトナーを前記スクリューシャフト側へ送り込むためのパドル部材と、該パドル部材の一部に連結されたトナー流入阻止片とを備え、
前記カートリッジ本体は、前記パドル部材が配置される大容積の空間であってトナーの大半が収容されるトナー収容部と、前記スクリューシャフトが配置される小容積の空間であって前記トナー収容部と連通して隣接しかつその長手方向の一端側に前記トナー排出口が配置されたトナー搬送路とを内部に有し、
前記トナー流入阻止片は、前記カートリッジ本体が画像形成装置に装着される前の状態において前記トナー搬送路内でのトナーのトナー排出口側への流入を阻止する阻止位置に配置され、かつ前記カートリッジ本体が画像形成装置に装着された後の状態において前記パドル部材と共に回転して前記阻止位置から離間するように構成されたことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記カートリッジ本体は、前記トナー搬送路が前記トナー収容部よりも前記長手方向の一端側へ突出する形状に形成されており、
前記トナー排出口は、前記トナー収容部よりも前記長手方向の一端側へ突出した前記トナー搬送路の突出空間に配置されており、
前記トナー流入阻止部材の前記阻止位置が、前記トナー収容部側に開口する前記突出空間の開口部である請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記トナー流入阻止片は、前記パドル部材の撹拌羽根におけるトナー排出口側の端部に、前記スクリューシャフトの回転軸と垂直な方向に突出状に配置され、前記スクリューシャフトの回転軸に嵌り込む切欠き凹部を有している請求項1または2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記パドル部材の前記撹拌羽根と前記トナー流入阻止片とが、可撓性シート部材にて一体状に形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記トナー流入阻止片は、前記パドル部材の撹拌羽根の端部が折り曲げられて形成されており、
前記撹拌羽根と前記トナー流入阻止片との境界部分に切欠き部が形成されている請求項4に記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
前記切欠き部の長さが、前記撹拌羽根と前記トナー流入阻止片との接合部分の長さよりも短い請求項5に記載のトナーカートリッジ。
【請求項7】
前記トナー流入阻止片は、前記スクリューシャフトの回転軸に嵌り込む切欠き凹部を有し、かつ前記パドル部材の一部にテープまたは紐にて連結されている請求項1または2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項8】
前記トナー流入阻止片は、前記パドル部材の回転軸にテープまたは紐にて連結されている請求項7に記載のトナーカートリッジ。
【請求項9】
表面に静電潜像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラム表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像部と、該現像部にトナーを補給するための請求項1〜8のいずれか1つに記載のトナーカートリッジと、感光体ドラム表面のトナー像を記録媒体に転写する転写部と、トナー像を記録媒体に定着させる定着部とを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−191420(P2011−191420A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56250(P2010−56250)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】